JP2022060991A - 医療器具及び医療アセンブリ - Google Patents

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隆 横尾
Takashi Yokoo
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Abstract

【課題】目的部位に対象材料を運ぶ際の安全性を向上させる医療器具を提供する。【解決手段】体内の目的部位に対象材料を運ぶための医療器具であって、体内に挿入されるように構成された本体と、前記本体の先端部に設けられ、前記対象材料を内部に収容するように構成された収容部材と、前記収容部材に収容された前記対象材料を前記目的部位において解放し、前記対象材料を前記収容部材の内部から外部へ移動させるように構成された解放機構と、を備える、医療器具を提供する。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、医療器具及び医療アセンブリに関する。
近年、腹部や胸部に形成した小開口から内視鏡及び手術器具を患者の体内に挿入し、体内の様子を内視鏡でモニタリングしながら手術を行う内視鏡下手術が盛んに行われている。このような内視鏡下手術は、切開創が小さく、患者の負担が軽く、術後の回復が早いといったメリットがある。
内視鏡下手術において移植を行う場合には、移植材料を把持具で把持した状態で、この移植材料を患者の体内の目的部位まで運ぶことが多い。例えば、生体組織を把持するための内視鏡下手術用鉗子として下記の特許文献1及び2に記載されたものなどが知られている。
特許第3708152号公報 特許第5290813号公報
しかしながら、把持される移植材料が柔らかく傷つきやすい場合には、移植材料が把持具によって物理的に損傷するおそれがある。また、目的部位まで運ぶ途中に移植材料が把持具から脱落してしまうおそれもある。このため、非常に柔らかく傷つきやすい対象材料を損傷から保護して目的部位に届ける必要がある。
そこで、本発明の1つの目的は、目的部位に対象材料を運ぶ際の安全性を向上させる医療器具を提供することである。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]体内の目的部位に対象材料を運ぶための医療器具であって、体内に挿入されるように構成された本体と、前記本体の先端部に設けられ、前記対象材料を内部に収容するように構成された収容部材と、前記収容部材に収容された前記対象材料を前記目的部位において解放し、前記対象材料を前記収容部材の内部から外部へ移動させるように構成された解放機構と、を備える、医療器具。
[2]前記収容部材は、前記解放機構によって、前記対象材料を収容する収容空間が形成される閉構成と、前記対象材料が前記収容空間から外部に移動できるように前記収容空間を開放する開構成と、の間で切り替えられる、[1]に記載の医療器具。
[3]前記収容部材は、少なくとも一対の凹状部材を有し、
前記少なくとも一対の凹状部材は、前記閉構成においては互いに閉じて前記収容空間を形成し、前記開構成においては互いに開いて前記収容空間を開放するように構成されている、[2]に記載の医療器具。
[4]前記収容部材の少なくとも一部は、透明又は半透明の材料で構成されている、[1]~[3]のいずれか一つに記載の医療器具。
[5]前記収容部材は、前記医療器具から取り外せるように構成されている、[1]~[4]のいずれか一つに記載の医療器具。
[6]前記収容部材の少なくとも一部は、可撓性を有する材料で構成されている、[1]~[5]のいずれか一つに記載の医療器具。
[7]前記本体は、内部を流体が通過可能な管状部材である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の医療器具。
[8]前記解放機構は、前記本体の内部を通して前記先端部へ流体を送出するように構成された流体送出部材を含む、[7]に記載の医療器具。
[9]前記流体送出部材は、前記収容部材に収容された前記対象材料を、前記本体を通る流体で前記目的部位へ押し出すように構成されている、[8]に記載の医療器具。
[10]前記流体は、生理食塩水を含む、[8]又は[9]に記載の医療器具。
[11]前記流体は、薬液を含む、[8]~[10]のいずれか一つに記載の医療器具。
[12]内視鏡下手術用の医療器具である、[1]~[11]のいずれか一つに記載の医療器具。
[13]前記対象材料は、移植材料である、[1]~[12]のいずれか一つに記載の医療器具。
[14]前記移植材料は、腎臓原基と、前記腎臓原基に結合した膀胱と、を含む、[13]に記載の医療器具。
[15]体内に挿入されるように構成された管状の挿入ポートと、前記挿入ポート内に挿入されるように構成された、[1]~[14]のいずれか一つに記載の医療器具と、を備える医療アセンブリ。
本発明によれば、目的部位に対象材料を運ぶ際の安全性を向上させる医療器具を提供することができる。
第1実施形態の内視鏡下手術用アセンブリを示す概略図である。 第1実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。 第1実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。 第1実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す断面図である。 第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。 第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。 第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。 第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。 第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。 第2実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。 第2実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。 第3実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。 第3実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。 第4実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。 第4実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。 トロカール部位を示す写真である。 新規な腹腔鏡把持鉗子を示す写真である。 ブタのクロアカの腹腔鏡下移植の様子を示す写真である。 腹腔鏡検査により移植したブタのクロアカの、移植から4週間後の様子を示す写真である。 移植から4週間後のブタのクロアカ(後腎-膀胱組織)に対してマッソントリクローム染色を行った写真である。 移植から4週間後の分化した後腎に対してマッソントリクローム染色を行った写真である。
本発明は、1実施形態において、体内の目的部位に対象材料を運ぶための医療器具であって、体内に挿入されるように構成された本体と、前記本体の先端部に設けられ、前記対象材料を内部に収容するように構成された収容部材と、前記収容部材に収容された前記対象材料を前記目的部位において解放し、前記対象材料を前記収容部材の内部から外部へ移動させるように構成された解放機構と、を備える、医療器具を提供する。
≪定義≫
本明細書では、患者、患畜その他の医療処置を行う対象をまとめて「患者等」と総称する。
本明細書において「目的部位」とは、患者等の体のうち医療処置を行う対象となる部位を意味する。
本明細書において「対象材料」とは、医療処置のために患者等の目的部位に運ぶべき物(例えば移植片)を意味する。
本明細書において「基端」とは、2つの端を有する物体の近位方向の端、すなわち物体の使用者から見て近い方の端を意味する。以下の実施形態における挿入ポートや内視鏡下手術器具では、被験者の体外で使用者が操作する側の端を基端と称する。
本明細書において「先端」とは、2つの端を有する物体の遠位方向の端、すなわち使用者から見て遠い方の端を意味する。以下の実施形態における挿入ポートや内視鏡下手術器具では、被験者の体内に位置する側の端を先端と称する。
本明細書において「内視鏡下手術」とは、患者等の体内に内視鏡及び医療器具を挿入した状態で、体内を内視鏡で観察しながら行われる任意の医療処置を意味する。
[第1実施形態]
≪内視鏡下手術用アセンブリ≫
図1は、第1実施形態に係る内視鏡下手術用アセンブリ1の概略図である。
内視鏡下手術用アセンブリ1は、患者等内に挿入されるように構成された管状の挿入ポート2と、挿入ポート2内に挿入されるように構成された内視鏡下手術器具10と、を備える。内視鏡下手術器具10は、「医療器具」の一例である。
内視鏡下手術用アセンブリ1は、内視鏡(図示せず)を用いて行われる内視鏡下手術(例えば腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術、神経内視鏡下手術など)において使用可能である。内視鏡下手術では、通常、患者等の皮膚を切開して複数の小開口を形成する。内視鏡は、小開口の1つから患者等の体内に挿入されて体内の撮像を行い、撮影した画像を体外の表示装置(図示せず)に送信する。1つ以上の挿入ポート2が、別の小開口から患者等の体内に挿入されて、他の医療器具を患者等内に挿入するためのポートとして機能する。挿入ポート2を通して様々な器具を患者等の体内に挿入し、内視鏡の撮像部により取得された体内の画像(静止画でも動画でもよい)を表示装置上でモニタリングしながら体内で切開、移植、縫合など様々な処置を行うことができる。なお、内視鏡自体に医療器具を挿入するためのポートが形成され、内視鏡が挿入ポート2として機能してもよい。また、挿入ポート2を介さず、皮膚上に形成された小開口に内視鏡下手術器具10を直接挿入してもよい。
ここで、図1に示すようなxyz直交座標系を設定する。x方向は挿入ポート2が延在する方向であり、患者等への挿入ポート2の挿入方向に略一致する。x方向、y方向、及びz方向は互いに直交する。図中の座標軸を表す矢印の向きを+方向とし、逆向きを-方向とする。
挿入ポート2は、患者等内に挿入される挿入部3と、挿入部3の位置合わせを行う位置合わせ部4を含む。
挿入部3は、基端と先端とを有する長手状の管状部材である。本実施形態では、挿入部3は、部分的に又は全体的に可撓性を有し、屈曲させることができるが、挿入部3の一部(例えば先端)又は全部が硬質であってよい。ここで、「可撓性」とは、人間が手で力を加えた場合に変形させることが可能な性質を意味する。挿入部3は、例えば患者等の体表を切開した小開口を通して、又は患者等の口腔や鼻腔などを通して、患者等の体内に挿入可能である。挿入部3の構成としては、既知の任意のものが採用可能である。
位置合わせ部4は、患者等の体外に配置され、患者等の体内に挿入された挿入部3の位置や向きなどを調節することができる。例えば、使用者は、内視鏡により取得された体内画像を観察しながら、挿入部3が最適な配置となるように患者等の体外から位置合わせ部4を手で操作し、挿入部3の位置合わせを行う。位置合わせ部4の構成としては、既知の任意のものが採用可能である。
挿入ポート2には、挿入部3の長さ方向(図1のx方向)に沿って挿入部3及び位置合わせ部4の内部で延在する1つ以上の挿入孔2aを有する。この挿入孔2aには、後述の内視鏡下手術器具10の他、一般的な内視鏡用鉗子、切開器具、洗浄ブラシ、縫合器具など様々な内視鏡下手術用の医療器具を挿入することができる。
なお、挿入ポート2の構成は上記例に限られず、後述の内視鏡下手術器具10を挿入可能な任意の構成であってよい。挿入部3、位置合わせ部4、及び挿入孔2aの具体的な配置構成も、上記例に限られない。
≪内視鏡下手術器具≫
以下、内視鏡下手術器具10について説明する。
内視鏡下手術器具10は、本体20と収容部材30と解放機構40とを備える。内視鏡下手術器具10は、患者等の体外から患者等内の目的部位Tに対象材料Mを運ぶために使用可能である。内視鏡下手術器具10は、挿入ポート2の挿入孔2aに挿入可能であり、この挿入孔2aを通して患者等の体内に挿入される。内視鏡下手術器具10は、対象材料Mを保持した状態で、挿入ポート2の挿入孔2aを通って患者等内の目的部位Tまで対象材料Mを運ぶことができる。内視鏡下手術器具10は、対象材料Mを保持する機能を有するという点で内視鏡用鉗子の一種と言える。
図1に示すように、本体20は、基端部22及び先端部24を有しx方向に延在する長手状部材である。本体20は、挿入ポート2の挿入孔2aに挿入可能であり、この挿入孔2aを通して患者等内に挿入される。本実施形態では、本体20の長さは挿入ポート2の長さよりも大きく、本体20の外径は挿入ポート2の内径(すなわち挿入孔2aの直径)よりも小さい。本実施形態では、本体20は、挿入ポート2の挿入部3と同様に、部分的に又は全体的に可撓性を有し、屈曲させることができる。なお、本体20の一部(例えば基端部22及び先端部24など)又は全部が硬質であってもよい。本体20の先端部24は、挿入ポート2の基端において、挿入ポート2の内部に設けられた挿入孔2aに挿入され、この挿入孔2aを通って挿入ポート2の先端まで案内される。これにより、本体20の先端部24が患者等の体内に到達する。本実施形態では、本体20が可撓性を有するので、挿入ポート2の挿入部3が曲がった状態であっても、本体20は挿入部3の形状に合わせて変形できる。
本体20は、内部を流体が通過可能な管状部材である。本体20の内部には、本体20の基端部22から先端部24まで延在する内部空洞26が形成される(図3参照)。例えば、本体20は可撓性を有する樹脂製のチューブで構成され得る。これにより、本体20の内部空洞26を通して、基端部22から先端部24へ流体を送り込むことができる。このような流体送出については、後述の流体送出部材60の説明において詳述する。
次いで、収容部材30について説明する。
図2Aは、第1実施形態の内視鏡下手術器具10(閉構成)を示す斜視図である。図2Bは、第1実施形態の内視鏡下手術器具10(開構成)を示す斜視図である。図3は、第1実施形態の内視鏡下手術器具10(開構成)を示す断面図である。
図2A、図2B、及び図3に示すように、収容部材30は、本体20の先端部24に設けられ、対象材料Mを内部に収容する。すなわち、収容部材30は、対象材料Mを包んだ状態で運ぶことができる。また、収容部材30は、開閉可能な構成である。収容部材30が閉じている閉構成(図2A参照)では、対象材料Mが収容部材30の内部に収容されるので、対象材料Mが収容部材30から出ることはできない。一方、収容部材30が開いている開構成(図2B参照)では、収容部材30内の対象材料Mが外部に露出する。ここで、「外部に露出する」とは、対象材料Mを収容部材30の内部から取り出せる状態を意味する。収容部材30は、後述の解放機構40によって閉構成と開構成との間で切り替えられる。
図1に示すように、収容部材30は、本体20とともに挿入ポート2の挿入孔2aに挿入される。収容部材30は、少なくとも閉構成において、挿入孔2aを通過できる大きさである。好ましくは、開構成における収容部材30の大きさは、挿入ポート2の内径(挿入孔2aの直径)よりも大きい。これにより、収容部材30が挿入孔2aの内部に位置している間は収容部材30の開閉が制限される。
図2Bに示すように、収容部材30は、第1凹状部材32及び第2凹状部材34で構成される一対の凹状部材を有する。第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、それぞれ第1凹部32a及び第2凹部34aを有する略半球状(例えば半楕円体状)の形状を有する。本実施形態では、第1凹状部材32及び第2凹状部材34はそれぞれスプーンのような形状であり、これらが合わさって卵形の楕円体形状を形成する。第1凹状部材32と第2凹状部材34とは、共通の回転軸38に結合されており、回転軸38を中心として互いに独立に回転可能である。本実施形態の回転軸38は、y方向と略平行である。
第1凹状部材32の第1縁部32bと第2凹状部材34の第2縁部34bとは、互いに略一致した形状を有する。収容部材30の閉構成では、第1縁部32bと第2縁部34bとを合わせることにより、第1凹状部材32と第2凹状部材34とが全体として中空の楕円体形状を形成する。このような閉構成において、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、第1凹部32a及び第2凹部34aからなる、対象材料Mを収容する収容空間36を形成している。一方、開構成においては、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、閉構成から開く方向に回転軸38の周りで回転することにより、収容空間36を開放する。これにより、収容部材30内の対象材料Mが外部に露出され、対象材料Mを収容部材30から取り出せる状態となる。ここで、「開放」とは、収容空間36を外部空間と連通させることを意味する。なお、閉構成において収容空間36が外部空間から完全に隔離されていなくてもよく、例えば第1凹状部材32及び第2凹状部材34に対象材料Mが通過できない大きさの小開口が形成されていてもよい。
本実施形態では、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、互いに略対称的な略同一の形状及び大きさを有する。これにより、第1凹状部材32と第2凹状部材34とを同一の型で製造できるので生産コストが低減され得る。ただし、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の形状や大きさは上記例に限られず、全体として収容空間36を形成可能であれば、互いに非対称な形状及び大きさであってもよい。また、各凹状部材の凹部の形状や外形も上記例のような半楕円体形状に限られず、任意の形状であってよい。
本実施形態では、収容部材30の第1凹状部材32及び第2凹状部材34の少なくとも一方は、収容空間36内の対象材料Mが外部から見えるように、少なくとも一部が透明又は半透明の材料で構成される。例えば、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂などの透明プラスチック材料で構成され得る。ここで、「透明又は半透明」とは、その材料の一側から反対側に位置する物体を視認可能である性質を意味する。例えば、「透明」とは、可視光領域の少なくとも1つの波長における光透過率が70%以上であることを意味し、「半透明」とは、可視光領域の少なくとも1つの波長における光透過率が0%より大きく70%未満であることを意味する。好ましくは、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の少なくとも一方は、可視光領域の少なくとも1つの波長における光透過率が5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは30%以上であり、特に好ましくは50%以上である。使用者は、収容部材30が患者等の体内に位置している状態においても、内視鏡によって、透明又は半透明な第1凹状部材32及び第2凹状部材34を通して収容部材30内の対象材料Mの状態を確認することができる。ただし、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は上記例に限られず、金属などの不透明な材料で構成されてもよい。
本実施形態では、収容部材30は、内視鏡下手術器具10から取り外せるように構成されている。例えば、収容部材30と本体20の先端部24との結合部が取外し可能に構成される。これにより、内視鏡下手術器具10を使用した後、収容部材30を使い捨て部分として取り外し、新しい収容部材30を本体20の先端部24に取り付けて内視鏡下手術器具10を再度使用することができる。なお、内視鏡下手術器具10の使い捨て部分は収容部材30に限られず、収容部材30以外の部分も取外し可能な使い捨て部分であってよく、内視鏡下手術器具10全体が使い捨ての単回使用器具であってもよい。
収容部材30の第1凹状部材32及び第2凹状部材34は、少なくとも一部がエラストマーなど可撓性を有する材料で構成されてもよい。収容部材30が可撓性を有する材料で構成されている場合、収容部材30が物理的に対象材料Mを傷つける危険性を低減することができる。ただし、第1凹状部材32及び第2凹状部材34は上記例に限られず、一部又は全部が硬質材料で構成されてもよい。
本実施形態では、収容部材30は、第1凹状部材32及び第2凹状部材34という2つの凹状部材で構成されるが、これに限られず、3つ以上の凹状部材、例えば同じ形状及び大きさの4つの凹状部材で構成されてもよい。また、収容部材30は、1つ以上の凹状部材と凹部を有しない部材とで構成されてもよい。例えば、収容部材30は、凹部を有する1つの凹状部材と、凹部をカバーする平面状の蓋部材とで構成されてもよい。その他、内部に収容空間36を形成できる開閉可能な構成であれば、収容部材30は任意の構成であってよい。
第1凹状部材32及び第2凹状部材34の外面の形状は、上記例に限られず、任意の形状であってよい。例えば、半楕円体形状の代わりに有底円柱、有底角柱、有底推台など任意の形状であってよく、一部又は全部が角ばっていてもよい。また、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の先端が細くなっている先細形状や、逆に先端側ほど太くなっている先太形状、幅が一定の筒形状などであってもよい。例えば、第1凹状部材32及び第2凹状部材34が三角形の断面を有する先細形状(例えば半円錘形状、半角錐形状など)を有し、全体として先細の漏斗状(例えば円錐状、角錐状など)に形成されてもよい。この場合、細い先端部が狭いスペースに挿入しやすく、かつ卵形の収容部材30に比べて収容部材30を開く際に必要なスペースが小さくなり得るという利点がある。同様に、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の内部形状(すなわち第1凹部32a及び第2凹部34aの形状)も上記例に限られず、任意の形状であってよく、例えば一部又は全部が角ばっていてもよい。
なお、収容部材30は、対象材料Mを内部に収容して保持するだけでなく、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の先端で任意の物を挟んで把持することができるように構成されてもよい。
解放機構40は、収容部材30に収容された対象材料Mを目的部位Tにおいて解放するように構成されている。解放機構40は、対象材料Mを解放するための手段として操作部材42及び流体送出部材60を含む。ここで、「解放」とは、対象材料Mを収容部材30の内部から外部に移動させることを意味する。
操作部材42は、本体20の基端部22に設けられ、収容部材30を開構成にするように構成されている。本実施形態では、操作部材42は、収容部材30を閉構成と開構成との間で切り替えることができる。操作部材42は、第1凹状部材32に結合されて第1凹状部材32を操作する第1操作部材44と、第2凹状部材34に結合されて第2凹状部材34を操作する第2操作部材52と、を含む。図3に示すように、第1操作部材44は、本体20の基端部22に設けられた第1把持部46と、第1把持部46から本体20の先端部24へ延在する第1延在部48と、第1延在部48と第1凹状部材32とを連結する第1連結部50と、第1把持部46から本体20の先端部24へ延在する第2延在部56と、第2延在部56と第2凹状部材34とを連結する第2連結部58と、を有する。第2操作部材52は、本体20の基端部22に設けられた第2把持部54を有する。
第1把持部46及び第2把持部54は、それぞれ本体20の基端部22において使用者が把持できる持ち手を有する。図1~図3に示されるように、第1把持部46及び第2把持部54は、はさみの持ち手のような輪っかの形状である。第1把持部46と第2把持部54とはy方向に平行な回転軸の周りで互いに回転可能に接続されている。使用者は、第1把持部46及び第2把持部54の持ち手に指を掛けて、はさみのように第1把持部46と第2把持部54とを開閉することができる。本実施形態では、第2把持部54は本体20の基端部22に固定されており、第2把持部54に対して第1把持部46がy方向に平行な回転軸の周りで回転可能である。ただし、第1把持部46及び第2把持部54は上記例に限られず、使用者が把持できる任意の形状及び構成を採用可能である。例えば、第1把持部46及び第2把持部54は、基端部22からそのまま-x方向に延在してもよい。また、第1把持部46及び第2把持部54の両方が基端部22に対して回転可能に構成されてもよい。
第1延在部48及び第2延在部56は、いずれも一端が第1把持部46に接続され、その各接続部は、第1延在部48及び第2延在部56がいずれも第1把持部46に対してy方向に平行な回転軸の周りで回転可能であるように構成される。また、第1延在部48及び第2延在部56の他端は、本体20に沿って先端部24まで延在する。第1延在部48及び第2延在部56は、本体20の長さ方向(図3ではx方向)に沿って移動可能である。これにより、使用者が第1把持部46を第2把持部54に対して回転させると、第1把持部46に接続された第1延在部48及び第2延在部56が、第1把持部46に引っ張られて-x方向に移動する。
なお、図3では第1延在部48及び第2延在部56は本体20の内部を通っているが、本体20の表面上などに配置されてもよい。また、本実施形態では、第1延在部48及び第2延在部56は、少なくとも部分的に可撓性を有し、本体20に合わせて変形可能であるが、第1延在部48及び第2延在部56の一部又は全部が硬質であってもよい。
第1連結部50は、先端部24において第1延在部48の先端と第1凹状部材32とを連結する。図3に示すように、第1連結部50は、第1延在部48及び第1凹状部材32の各々に対して、少なくともy方向に平行な回転軸の周りで回転可能に結合されている。また、第1連結部50は、第1延在部48と同様に、本体20の長さ方向に沿って移動可能である。これにより、使用者が第1把持部46を第2把持部54から遠ざかる方向にy方向に平行な回転軸の周りで回転させた場合、その力は、第1延在部48を介して第1連結部50に伝達されるとともに、第2延在部56を介して第2連結部58に伝達され、第1連結部50によって、第1凹状部材32を回転軸38の周りで開構成に向かう方向に回転させる力に変換されるとともに、第2連結部58によって、第2凹状部材34を回転軸38の周りで開構成に向かう方向に回転させる力に変換される。その結果、使用者は、第1凹状部材32及び第2凹状部材34を回転軸38の周りで収容部材30が開く方向に回転させ、収容部材30を閉構成から開構成に切り替えることができる(図2B、図3参照)。すなわち、使用者が第1把持部46を第2把持部54から遠ざかる方向に回転させる力は、第1凹状部材32と第2凹状部材34とを開く力に変換される。逆に、収容部材30が開構成である状態で使用者が第1把持部46を第2把持部54に近づく方向に回転させた場合には、その力が、第1延在部48及び第1連結部50を介して、第1凹状部材32を回転軸38の周りで閉構成に向かう方向に回転させる力に変換されるとともに、第2延在部56及び第2連結部58を介して、第2凹状部材34を回転軸38の周りで閉構成に向かう方向に回転させる力に変換される。すなわち、使用者が第1把持部46を第2把持部54に近づく方向に回転させる力は、第1凹状部材32と第2凹状部材34とを閉じる力に変換される。
このように、使用者が第1操作部材44及び第2操作部材52を手元で操作することにより、収容部材30の開閉動作を操作して、収容部材30を開位置と閉位置との間で切り替えることができる。
なお、操作部材42の構成は上記例に限られず、任意の操作手段、接続方式、及び動力伝達方式を利用可能である。例えば、第1把持部46が第1延在部48に接続され、第2把持部54が第2延在部56に接続され、既知の動力伝達要素を利用して第1把持部46及び第2把持部54の開閉運動を第1延在部48及び第2延在部56の直線運動に変換してもよい。また、本体20の基端部22に対して第1把持部46及び第2把持部54をx方向に押し引きできるように構成し、第1把持部46及び第2把持部54を近位方向に引くことにより、これらに連結された延在部48、56を連動して近位方向に移動させてもよい。あるいは、収容部材30に内蔵された制御式の開閉機構を、患者等の外部のコントローラによってワイヤレスで遠隔操作してもよい。また、例えば本体20が硬質の材料で形成されている場合には、一般的な長尺状の鉗子と同様に、第1凹状部材32と第1把持部46とを接続し、第2凹状部材34と第2把持部54とを接続し、回転軸38を支点、第1把持部46及び第2把持部54を力点、第1凹状部材32及び第2凹状部材34を作用点として、第1把持部46及び第2把持部54の開閉動作によってそのまま第1凹状部材32及び第2凹状部材34が開閉するように操作部材42を構成してもよい。
流体送出部材60は、操作部材42とともに、収容部材30から対象材料Mを解放する解放機構40を実現する。流体送出部材60は、本体20の内部空洞26を通して先端部24へ流体を送出するように構成されている。例えば、流体送出部材60は、内部空洞26に連通するシリンジとして構成される。先端部24へ送出される流体は、例えば液体であり、例えば生理食塩水である。本実施形態では、流体送出部材60は、流体収容部62、プッシュ部64、及び流体送出管66を含む。
流体収容部62は、先端部24へ送出される流体を収容する収容空間を有する。プッシュ部64は、流体収容部62の収容空間に挿入されるピストン部材である。プッシュ部64は、流体収容部62に押し込まれることにより流体収容部62に収容された流体を押し出して本体20の先端部24に向けて送出する。流体送出管66は、流体収容部62の収容空間に連通するとともに、流体収容部62の先端から延在して本体20の内部空洞26に連通する管状部材である。
プッシュ部64により送出された流体収容部62内の流体は、流体送出管66を通って本体20の内部空洞26へ送り込まれ、内部空洞26を通って先端部24から収容部材30内へ送り込まれる。収容部材30が開構成である場合、収容部材30に収容された対象材料Mは、流体送出部材60が先端部24へ送出した流体によって、収容部材30から外部へ流れ出る。使用者は、対象材料Mを収容した閉構成の収容部材30を患者等の目的部位Tの付近に配置した後、操作部材42によって収容部材30を閉構成から開構成へ切り替えるとともに、流体送出部材60により送出された流体で収容部材30内の対象材料Mを目的部位Tに押し出すことができる。このようにして、内視鏡下手術器具10は、患者等の目的部位Tに対象材料Mを運ぶことができる。
なお、流体送出部材60においては、プッシュ部64が押されるまでは流体が収容部材30に流れ出ないように、各部材の材質や流体送出管66の内径などが適宜設定されてもよく、既知の任意の弁構造などが設けられてもよい。
流体送出部材60の構成は上記例に限られず、既知の任意の流体送出手段を用いることができる。
また、流体送出部材60によって送出される流体は上記例に限られず、2種類以上の液体を混合して使用してもよく、必要に応じて送出する流体を交換してもよい。また、送出される流体は、生理食塩水の代わりに、又はそれに加えて、薬液を含んでもよい。薬液の成分は必要に応じて選択可能であり、例えば薬液は免疫抑制剤を含んでもよい。流体送出部材60は、収容部材30内の対象材料Mを押し出すためだけではなく、目的部位Tに薬液などを送出するためにも使用可能である。なお、送出される流体として気体などを利用し、流体送出部材60をブロワーのように使用してもよい。
≪内視鏡デバイスの使用方法≫
図4及び図5A~図5Dは、第1実施形態の内視鏡下手術器具の使用方法の一例を示す。
図4及び図5A~図5Dに示す例は、内視鏡下手術器具10を用いて対象材料Mである移植片を患者等の体内に移植するものである。ここでは、対象材料Mが腎臓原基であり、移植する目的部位Tが患者等の傍大動脈領域である腹腔鏡下移植処置を例として説明するが、これに限られず、任意の対象材料M及び目的部位Tに対して内視鏡下手術器具10を適用可能である。また、内視鏡下手術器具10の用途も移植に限られず、対象材料Mを目的部位Tに運ぶことが必要とされる任意の用途に内視鏡下手術器具10を適用可能である。
図4に示す例では、まず患者等の皮膚Sの一部を切開して小開口Aを形成する。この小開口Aを通して、挿入ポート2を患者等の体内に挿入する。別の小開口から体内に挿入した内視鏡で患者等の体内を観察しながら、挿入ポート2の先端を目的部位Tの付近に配置する。
一方、対象材料Mは、患者等の体外において、内視鏡下手術器具10の収容部材30に収容される。対象材料Mを収容した後、第1凹状部材32及び第2凹状部材34を閉じて収容部材30を閉構成とする。次いで、内視鏡下手術器具10の収容部材30及び本体20の先端部24を、挿入ポート2内の挿入孔2aに挿入する。挿入孔2aを通して収容部材30及び本体20を患者等の体内に挿入し、収容部材30を挿入ポート2の先端よりも遠位側へ突出させる。これにより、収容部材30が目的部位Tの付近に配置される(図4及び図5A参照)。
目的部位Tには、対象材料Mを移植するためのポケットPが形成される。ポケットPの形成は任意の方法で行われ得る。例えば、収容部材30の先端などで目的部位Tの組織の表面に僅かに切り口を作ることによりポケットPを形成してもよい。あるいは、内視鏡下手術器具10の挿入前に、挿入ポート2を通して内視鏡下手術器具10とは別のポケット形成用の処置具(図示せず)を患者等の体内に挿入し、この処置具を用いて予め目的部位TにポケットPを形成してもよい。
収容部材30を目的部位Tの近傍に配置した後、操作部材42によって収容部材30を閉構成から開構成に切り替え、第1凹状部材32及び第2凹状部材34の一方又は両方を開く。流体送出部材60のプッシュ部64を押し込むことにより流体収容部62内の生理食塩水(「流体」の一例である)を流体送出管66に注入する。生理食塩水は本体20の内部空洞26を通って収容部材30に到達し、本体20の先端部24から収容部材30内へ、そして目的部位Tへ流れ出る(図5B参照)。このとき、対象材料Mも生理食塩水とともに収容部材30から目的部位Tへ流れ出て、ポケットP内に入る。その後、挿入ポート2を通して内視鏡下手術器具10を患者等の体外へ取り出す。
次いで、挿入ポート2を通して固定部材70を体内に挿入し、固定部材70を用いて対象材料MをポケットPに固定する(図5C参照)。例えば、対象材料Mの固定は、ポケットPをクリッピングすることにより行われてもよく、対象材料Mを周囲の組織と縫合することによって行われてもよいが、これらに限られず、既知の任意の手法により実行可能である。また、内視鏡下手術器具10の収容部材30の先端をクリッピングを実行できるように構成し、この収容部材30を用いてクリッピングを行ってもよい。これにより、対象材料Mが目的部位TのポケットPに埋め込まれる(図5D参照)。
その後、固定部材70及び挿入ポート2を患者等の体内から取り出し、皮膚Sの小開口Aを閉じる。このようにして、目的部位Tへの対象材料Mの移植が完了する。
上述した患者等内での一連の操作の一部又は全部が、内視鏡により取得された画像をモニタリングしながら行われ得る。
≪手術方法≫
1実施形態において、本発明は、患者等の目的部位に対象材料を運ぶ方法であって、
(a)内視鏡下手術器具の収容部材の内部に対象材料を収容するステップと、
(b)前記収容部材を患者等の体内に挿入するステップと、
(c)前記収容部材に収容された前記対象材料を、目的部位において前記収容部材の内部から外部に移動させるステップと、
を含む方法を提供する。
上記ステップ(c)は、以下の工程を含み得る。
(c1)収容部材を開く工程
(c2)収容部材に流体を送出して収容部材の内部の対象材料を目的部位へ流し出す工程
また、1実施形態において、本発明は、患者等の目的部位に対象材料を移植する方法であって、
(a)内視鏡下手術器具の収容部材の内部に対象材料を収容するステップと、
(b)前記収容部材を患者等の体内に挿入するステップと、
(c)目的部位にポケットを形成するステップと、
(d)前記収容部材に収容された前記対象材料を、目的部位において前記収容部材の内部から外部に移動させるステップと、
(e)前記対象材料を前記ポケット内に固定するステップと、
を含む方法を提供する。
上記ステップ(d)は、以下の工程を含み得る。
(d1)収容部材を開く工程
(d2)収容部材に流体を送出して収容部材の内部の対象材料を目的部位へ流し出す工程
本実施形態の方法により、目的部位に対象材料を運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
≪対象材料≫
本実施形態では、対象材料Mは移植材料である。対象材料Mとしては、移植用の細胞、細胞塊、原基、組織、組織塊、オルガノイド、スフェロイドなどが挙げられるが、特に限定されない。対象材料Mは複数の材料を含んでもよい。例えば、対象材料Mは、高分子半透膜で細胞を包んだカプセル化細胞であってもよい。柔らかく傷つきやすい対象材料Mには、内視鏡下手術器具10の収容部材30による保護が特に有効である。なお、対象材料Mは移植材料に限られず、例えば目的部位Tに有効な薬剤などでもよいし、1つ以上の移植材料と薬剤などの他成分とを含んでもよい。
目的部位Tは、患者等の体内の任意の部位であり得る。目的部位Tの例としては、胸腔鏡下手術であれば肺や心臓などが挙げられ、腹腔鏡下手術であれば腎臓や肝臓などが挙げられ、神経内視鏡下手術であれば脳や脊髄などが挙げられる。
1実施形態において、対象材料Mは、腎臓原基と、腎臓原基に結合した膀胱と、を含む移植材料であってもよい。腎臓原基とは、胎仔期の腎臓をいい、哺乳類では、後腎にあたる。解剖学用語で、鳥類等、直腸、生殖器、尿路系が1つの排泄口を兼ねているものを総排泄口という。発明者らは、この胎仔期の膀胱-尿管-後腎組織をクロアカグラフトと名付けた。腎臓原基を動物の腹腔内に移植すると、ホストからクロアカに血管が侵入し、発育が継続し、尿を生産する。
このような腎臓原基は、本実施形態の内視鏡下手術器具10を用いてホストに供与される。移植後の移植用臓器は、生体内成長を継続し、腎臓機能を発揮するクローン腎臓の形成が完成する。
≪効果≫
以上のような構成によれば、対象材料Mが収容部材30の内部で保護された状態でこの対象材料Mを目的部位Tまで運ぶことができるので、対象材料Mを目的部位Tに運ぶまでに対象材料Mが損傷してしまう危険性を低減することができる。特に、対象材料Mが胎仔期の組織、オルガノイド、スフェロイドなど極めて柔らかい材料であるような場合、従来のように内視鏡用鉗子で対象材料Mの把持や挟持を行うと、柔らかい対象材料Mが鉗子によって損傷するおそれがある。また、特にロボットアームなどを利用して対象材料Mの把持を行う場合、対象材料Mが誤って把持具から脱落してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態の構成によれば、対象材料Mが鉗子などの把持具によって物理的に把持されず、単に収容部材30に包まれた状態で目的部位Tまで運ばれるので、非常に柔らかい対象材料Mであっても損傷の危険性が格段に低減される。また、対象材料Mが収容部材30の内部に収容されて運ばれるので、目的部位Tに到着するまでに対象材料Mが脱落してしまう危険性も格段に低減される。したがって、目的部位Tに対象材料Mを運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
本実施形態では、収容部材30は、解放機構40によって、対象材料Mを収容する収容空間36が形成される閉構成と、対象材料Mが収容空間36から外部に移動できるように収容空間36を開放する開構成との間で切り替えられる。このような構成によれば、目的部位Tに到達するまでは閉構成で対象材料Mを保護し、目的部位Tに到達した後は開構成で対象材料Mを適切に目的部位Tに配置することができる。
1実施形態に係る収容部材30は、少なくとも一対の凹状部材32、34を有し、少なくとも一対の凹状部材32、34は、閉構成においては互いに閉じて収容空間36を形成し、開構成においては互いに開いて収容空間36を開放するように構成されている。このような構成によれば、閉構成と開構成とを切替え可能な収容部材30を簡単な構成で実現することができる。
1実施形態では、収容部材30の少なくとも一部は、透明又は半透明の材料で構成されている。このような構成によれば、収容部材30内の対象材料Mの様子を内視鏡で観察しながら対象材料Mの解放作業を行うことができる。
1実施形態では、収容部材30は、内視鏡下手術器具10から取り外せるように構成されている。このような構成によれば、収容部材30を使い捨て可能として使用のたびに取り換えることにより、患者等内に挿入される部分を清潔に保つことができる。
1実施形態では、収容空間36の少なくとも一部は、可撓性を有する材料で構成されている。このような構成によれば、収容部材30が物理的に対象材料Mを傷つける危険性を低減することができる。
1実施形態では、本体20は、内部を流体が通過可能な管状部材である。このような構成によれば、本体20の内部空洞26を通して、患者等の体外から収容部材30内の対象材料Mに作用することができる。
1実施形態では、解放機構40は、本体20の内部を通して先端部24へ流体を送出するように構成された流体送出部材60を含む。このような構成によれば、本体20の内部空洞26を通して収容部材30に流体を送り込むことにより、機械的な処置を行わずに対象材料Mに作用することができるので、対象材料Mの解放作業の安全性が向上し得る。
1実施形態では、流体送出部材60は、収容部材30に収容された対象材料Mを、本体20を通る流体で目的部位Tへ押し出すように構成されている。このような構成によれば、機械的な処置を行わずに対象材料Mを収容部材30から流し出すことができるので、対象材料Mの解放作業の安全性が向上し得る。
1実施形態では、流体は、生理食塩水を含む。このような構成によれば、対象材料Mや患者等の体内組織に害を及ぼすことなく、対象材料Mを収容部材30から流し出すことができる。
1実施形態では、流体は、薬液を含む。このような構成によれば、必要に応じて目的部位Tに薬液を供給することにより、内視鏡下手術器具10による医療処置をサポートすることができる。
本実施形態では、医療器具は、内視鏡下手術用の医療器具10である。このような構成によれば、視野や作業空間が限られて把持具で把持された対象材料Mの損傷や脱落が生じやすい内視鏡下手術においても、目的部位Tに対象材料Mを運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
[第2実施形態]
次に、図6A及び図6Bを参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、収容部材が閉構成から開構成に切り替わる際に第1凹状部材が近位方向にスライドする点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図6Aは、第2実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。図6Bは、第2実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。
第2実施形態に係る内視鏡下手術器具110の収容部材130は、第1凹状部材132及び第2凹状部材134で構成される一対の凹状部材を有する。第1実施形態と同様に、第1凹状部材132及び第2凹状部材134は、それぞれ第1凹部132a及び第2凹部34aを有する略半球状(例えば半楕円体状)の形状を有する。本実施形態では、第1凹状部材132が第2凹状部材134よりも小さいが、大きさは任意である。
第1凹状部材132は、本体120の延在軸Xに沿って、x方向にスライドすることができる。本実施形態では、第1凹状部材132は、連結部148によって、本体120の基端部に設けられたはさみの持ち手状の把持部(図示せず)と連結されており、把持部に加わる力が第1凹状部材132にも伝達される。ただし、第1実施形態とは異なり、第2凹状部材134は把持部に連結されていない。このため、使用者が把持部を回転させると、第1実施形態と同様のメカニズムで第1凹状部材132だけが近位方向に移動する。
本体120の先端部124には、近位方向にスライドした第1凹状部材132を収容する後退部Rが設けられる。後退部Rは、本体120の先端から近位方向に形成された窪みである。好ましくは、後退部Rのx方向の長さは第1凹状部材132のx方向の長さ以上である。
図6Aに示すように、収容部材130が閉構成である場合、第1凹状部材132及び第2凹状部材134は、第1凹部132aと第2凹部134aとが対向するように、x方向において互いに位置合わせされる。これにより、第1凹部132aと第2凹部134aとが対象材料Mを収容する収容空間136を形成する。
収容部材130を閉構成から開構成に切り替えるために、使用者は、はさみの持ち手状の把持部を開く方向に回転させる。これにより、図6Bに示すように、第1凹状部材132が、第2凹状部材134に対して近位方向(-x方向)に移動し、後退部Rに収容される。その結果、第2凹状部材134の上部空間が開放されるので、収容空間136が開放され、収容空間136内の対象材料Mを外部に取り出すことが可能となる。なお、第1凹状部材132をスライドさせる操作は、上記例に限られず、任意の機構により実現され得る。
第2実施形態の内視鏡下手術器具110によれば、収容部材を閉構成から開構成に切り替える際に、収容部材が上下に開かないので、第1実施形態に比べて開構成における収容部材の体積が小さくなる。このため、体腔内での収容部材の取扱いが容易であり、狭い体腔内での内視鏡下手術であっても作業スペースが小さくて済むという利点がある。また、第1実施形態と異なり、連結部の直線運動を凹状部材の回転運動に変換する必要がないので、操作部材の構成が簡便なものになり得る。
[第3実施形態]
次に、図7A及び図7Bを参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、収容部材が閉構成から開構成に切り替わる際に第1凹状部材が第2凹状部材を覆うように回転する点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図7Aは、第3実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。図7Bは、第3実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。
第3実施形態に係る内視鏡下手術器具210の収容部材230は、第1凹状部材232及び第2凹状部材234で構成される一対の凹状部材を有する。第1実施形態と同様に、第1凹状部材232及び第2凹状部材234は、それぞれ第1凹部232a及び第2凹部34aを有する略半球状(例えば半楕円体状)の形状を有する。第1凹状部材232は、第2凹状部材234よりも一回り大きく、第2凹状部材234の外面上に第1凹状部材232を配置することができる。言い換えれば、第1凹状部材232の内側の第1凹部232aは、第2凹状部材234を少なくとも部分的に収容することができる。
第1実施形態では、第1凹状部材32及び第2凹状部材34はそれぞれ回転軸38の周りで回転可能であったが、第3実施形態では、第1凹状部材232及び第2凹状部材234の少なくとも一方は、本体220の延在軸Xの周りでyz平面に沿って回転可能である。
収容部材230が閉構成である場合、第1凹状部材232及び第2凹状部材234は、第1凹部232aと第2凹部234aとが対向するように配置され、第1凹状部材232が第2凹状部材234の第2凹部234aをカバーする(図7A参照)。これにより、第1凹部232aと第2凹部234aとが対象材料Mを収容する収容空間236を形成する。
収容部材230を閉構成から開構成に切り替えるために、第1凹状部材232は、第2凹状部材234の外面上をスライドするように本体220の延在軸Xの周りで回転する。これにより、収容空間236が開放され、収容空間236内の対象材料Mを外部に取り出すことが可能となる(図7B参照)。
収容部材230を開閉する操作は、任意の機構により実現され得る。例えば、第1実施形態の操作部材42の機構に代えて、ねじ機構やラックアンドピニオン機構などにより、使用者が本体220の基端部に設けられた把持部(図示せず)を開閉することにより把持部に結合された延在部を押し引きする力を、第1凹状部材232を本体220の延在軸Xの周りで回転させる力に変換することができる。あるいは、収容部材230に内蔵された制御式の回転機構をワイヤレスで遠隔操作してもよい。また、例えば本体220が硬質の材料で形成されている場合には、使用者が手元の把持部をひねることで第1凹状部材232が本体220の延在軸Xの周りで回転させることができるような構成としてもよい。
第3実施形態の内視鏡下手術器具210によれば、収容部材を閉構成から開構成に切り替える際に、収容部材が上下に開かず、一方の凹状部材が他方の凹状部材に重なるようにスライドするので、第1実施形態及び第2実施形態に比べて開構成における収容部材の体積が小さい。むしろ、本実施形態では、開構成における収容部材の体積が閉構成における体積よりも小さくなる。このため、体腔内での収容部材の取扱いが容易であり、狭い体腔内での内視鏡下手術であっても作業スペースが小さくて済むという利点がある。
[第4実施形態]
次に、図8A及び図8Bを参照して、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、収容部材が閉構成から開構成に切り替わる際に窓部材がスライドして収容部材上に開口を形成する点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図8Aは、第4実施形態の内視鏡下手術器具(閉構成)を示す斜視図である。図8Bは、第4実施形態の内視鏡下手術器具(開構成)を示す斜視図である。
第4実施形態に係る内視鏡下手術器具310の収容部材330は、中空部材332及び窓部材334を有する。中空部材332は、内部が空洞である略楕円体状の形状を有し、外面上に開口332a及び案内溝332bを有する。窓部材334は、中空部材332の案内溝332b内に設けられ、中空部材332の外面上を案内溝332bに沿ってスライド可能である。窓部材334は、収容部材330の閉構成では図8Aに示すように開口332aをカバーするように配置され、収容部材330の開構成では図8Bに示すように開口332aを露出させるように配置される。
窓部材334の一端は、連結部350を介して本体320の基端部に設けられた第1実施形態と同様の把持部(図示せず)に連結されており、把持部を開閉することで連結部350に加わるx方向の力が、連結部350を介して窓部材334にも伝達される。このため、使用者が把持部を開くように回転させると、連結部350が近位方向(-x方向)に引かれるので、窓部材334も中空部材332の外面に沿って案内溝332b内を近位方向に移動し、開口332aを外部に露出させる(図8B参照)。これにより、中空部材332内に収容された対象材料Mを外部に取り出すことが可能になる。
なお、窓部材334のスライド方向は上記例に限られず、第3実施形態のようにx方向に平行な軸の周りで回転するように中空部材332の外面上をスライドしてもよい。また、本実施形態では、窓部材334は中空部材332の外面上に設けられているが、中空部材332の内面上に設けられてもよい。
第4実施形態の内視鏡下手術器具310によれば、収容部材を閉構成から開構成に切り替える際に、収容部材が上下に開かないので、第1実施形態に比べて開構成における収容部材の体積が小さい。このため、体腔内での収容部材の取扱いが容易であり、狭い体腔内での内視鏡下手術であっても作業スペースが小さくて済むという利点がある。
上記の各実施形態では、内視鏡下手術器具10を内視鏡下手術に使用するものとして説明したが、内視鏡を使用しない他の手術においても使用可能である。
上記の各実施形態では、内視鏡下手術器具は内視鏡とは別個のデバイスとして説明したが、内視鏡下手術器具が内視鏡に一体化されてもよい。すなわち、内視鏡の先端側に収容部材が設けられ、内視鏡の基端側に解放機構が設けられ、内視鏡の挿入部が内視鏡下手術器具の本体としても機能するように構成されてもよい。この場合、内視鏡下手術器具が内視鏡に挿入されるのではなく、内視鏡自体が内視鏡下手術器具として機能する。例えば、内視鏡は、内視鏡の操作部によって収容部材の開閉をも操作することができるように、また、内視鏡の基端側に設けられた流体送出部材によって挿入部を通して収容部材へ流体を送出することができるように構成され得る。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、目的部位に対象材料を運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
本発明者らは、「異種再生医学」(xeno-regenerative medicine)というコンセプトを提唱している。これは器官を形成する手法であって、幹細胞の分化を可能にしつつ器官の残部を異種組織として保つというものである。この手法は、透析からの移行を目的とする、新しい腎臓再生治療法である。本発明者らは、移植されたブタ胚のクロアカ(後腎-膀胱組織)から幹細胞由来の胚腎臓のための排尿通路を効果的に成長させることができることを示した。今日まで、ブタのクロアカは尿系組織への用途で利用されている。上記の移植実験は、ブタの開腹手術において行われた。
本発明者らは、将来的には、この種の手術を人体内における低侵襲性の腹腔鏡/ロボット支援手術に応用することを企図している。しかしながら、このコンセプトには様々な課題がある。腹腔鏡鉗子は、主に手術中の「把持」及び「切除」のために使用されている。腹腔鏡鉗子は硬質金属製であるので、これを使用してブタ胚のクロアカのような柔らかく損傷しやすい組織を体外から腹腔鏡トロカールを通して運ぶことは、極めて困難である。一方、デリケートな肝臓向けのロボットの開発は進んでいるものの、こうしたロボットは本分野には未だに適用されていない。さらに、通常の腹腔鏡用把持鉗子を用いて目的移植部位にブタ胚のクロアカを正確に置こうとしても、クロアカが表面張力で鉗子に付着するため困難である。そこで、本発明者らは、組織を把持せずに僅かな水などで組織を押し出すことができ、腹腔鏡下で移植組織を所定の移植部位へ運ぶことを容易にする、新規な鉗子システムを開発した。本実施例では、本デバイスを用いた腹腔鏡移植を初めて行い、この新規なデバイスの使用可能性を調べた。
すべての実験は、慈恵医科大学の動物実験倫理委員会により承認済みである(承認番号:2020-055)。本研究で使用したブタは、富士マイクラ株式会社(静岡県、日本)の超小型ブタである。全動物は「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」に従って処置した。本実施例では、生後30月の体重24.6kg及び22.6kgの2頭の雌ブタを使用した。移植の16日前に、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)により免疫抑制薬を適切に供給した。移植の2日前に、免疫抑制誘導のため、ブタに対してタクロリムス(0.15mg/kg、1日2回経口投与)及びミコフェノール酸モフェチル(500mg/頭、1日2回経口投与)の投与を開始した。腹腔鏡手術では、内視鏡システム(CLV-U400、オリンパス社、東京都、日本)及び5mmの0度内視鏡スコープを利用した。手術は一般的な麻酔下で行った。ブタは右側臥位とした。カメラトロカールを留置し、気腹圧10mmHgにおいて本移植術を施行した。
本実施例では、3本のトロカール(図9参照)を使用して手術を開始した(白色の丸 12mmのカメラトロカール、黒色の丸 5mmのトロカール、矢印 PEG)。まず、腹部大動脈と左腎を特定した。移植部位は、腎動脈の分岐領域部位の周辺とした。腹膜を切断し、10mm未満の切開部を2カ所形成して移植ポケットを作成した。
この新規な腹腔鏡用移植把持デバイスは、独自に開発したものである。図10は、新規な腹腔鏡把持鉗子を示す写真である。この把持鉗子は、把持部の中間部に空間を持つ(図10の矢印参照)。移植部位において、付属のチューブから生理食塩水を鉗子先端に流すことで移植クロアカを目的部位へ流すことができる。
図11は、ブタのクロアカの腹腔鏡下移植の様子を示す写真である。矢印は、E30ブタ胚から得たブタのクロアカ、すなわち後腎-膀胱組織を表す。本実施例では、図11に示すように移植を行い、内視鏡用の金属クリップ(LIGAMAX5(登録商標)、エチコン、米国)を使用して腹膜を閉鎖した。手術前後の有害事象は観測されなかった。ブタには、術後初日から不断給餌・給水を行った。追跡調査期間中、タクロリムス(0.15~0.6mg/kg、1日2回経口投与)、ミコフェノール酸モフェチル(250~500mg/頭、1日2回経口投与)、及びプレドニゾロン(0.5~1mg/kg1日2回経口投与)を投与した。
図12は、腹腔鏡検査により移植したブタのクロアカの、移植から4週間後の様子を示す写真である。手術から4週間後、開腹手術(図12参照)によりクロアカを摘出した。図13は、移植から4週間後のブタのクロアカ(後腎-膀胱組織)に対してマッソントリクローム染色を行った写真である。図14は、移植から4週間後の分化した後腎に対してマッソントリクローム染色を行った写真である。後腎は糸球体構造を保っている。図13及び図14に示す組織病理学的評価により、クロアカから腎臓・膀胱組織が成長していることを確認することができた。
本実施例では、腹腔鏡下クロアカ移植に初めて成功した。腹腔鏡下クロアカ移植手術においては、クロアカを傷つけずに標的部位に移植することが極めて重要である。新規に開発された腹腔鏡鉗子は上記の目的を容易に実現するものである。本コンセプトは、柔らかく損傷しやすい組織を体内で把持して運ぶための技術のみならず、このような組織を目的移植部位に正確に移植するためのリアルハプティクス技術にも関連し得る。
1…内視鏡下手術用アセンブリ(医療アセンブリ)、2…挿入ポート、2a…挿入孔、3…挿入部、4…操作部、10、110、210、310…内視鏡下手術器具(医療器具)、20、120、220、320…本体、22…基端部、24、124、224、324…先端部、26…内部空洞、30、130、230、330…収容部材、32、132、232…第1凹状部材、34、134、234…第2凹状部材、36、136、236、336…収容空間、38…回転軸、40…解放機構、42…操作部材、44…第1操作部材、52…第2操作部材、60…流体送出部材、332…中空部材、334…窓部材、350…連結部、M…対象材料、T…目的部位。

Claims (15)

  1. 体内の目的部位に対象材料を運ぶための医療器具であって、
    体内に挿入されるように構成された本体と、
    前記本体の先端部に設けられ、前記対象材料を内部に収容するように構成された収容部材と、
    前記収容部材に収容された前記対象材料を前記目的部位において解放し、前記対象材料を前記収容部材の内部から外部へ移動させるように構成された解放機構と、
    を備える、医療器具。
  2. 前記収容部材は、前記解放機構によって、前記対象材料を収容する収容空間が形成される閉構成と、前記対象材料が前記収容空間から外部に移動できるように前記収容空間を開放する開構成と、の間で切り替えられる、請求項1に記載の医療器具。
  3. 前記収容部材は、少なくとも一対の凹状部材を有し、
    前記少なくとも一対の凹状部材は、前記閉構成においては互いに閉じて前記収容空間を形成し、前記開構成においては互いに開いて前記収容空間を開放するように構成されている、請求項2に記載の医療器具。
  4. 前記収容部材の少なくとも一部は、透明又は半透明の材料で構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具。
  5. 前記収容部材は、前記医療器具から取り外せるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療器具。
  6. 前記収容部材の少なくとも一部は、可撓性を有する材料で構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療器具。
  7. 前記本体は、内部を流体が通過可能な管状部材である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療器具。
  8. 前記解放機構は、前記本体の内部を通して前記先端部へ流体を送出するように構成された流体送出部材を含む、請求項7に記載の医療器具。
  9. 前記流体送出部材は、前記収容部材に収容された前記対象材料を、前記本体を通る流体で前記目的部位へ押し出すように構成されている、請求項8に記載の医療器具。
  10. 前記流体は、生理食塩水を含む、請求項8又は9に記載の医療器具。
  11. 前記流体は、薬液を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の医療器具。
  12. 内視鏡下手術用の医療器具である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療器具。
  13. 前記対象材料は、移植材料である、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療器具。
  14. 前記移植材料は、腎臓原基と、前記腎臓原基に結合した膀胱と、を含む、請求項13に記載の医療器具。
  15. 体内に挿入されるように構成された管状の挿入ポートと、
    前記挿入ポート内に挿入されるように構成された、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療器具と、
    を備える医療アセンブリ。
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