実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下の説明において、貯蔵室を開閉する扉側を前、その反対側を後ろとする。また、左右とは、冷蔵庫の前に立った利用者から見た左右のことである。
1.冷蔵庫の全体構成
図1に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の筐体11は、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱12と、貯蔵室が形成された内箱13とが組み合わされ、外箱12と内箱13との間に断熱材14が充填されて構成されたものである。
筐体11の内側は断熱仕切壁15によって上下に仕切られている。断熱仕切壁15の上側は冷蔵空間である。冷蔵空間は冷蔵保存に適した温度である冷蔵温度に維持される。また断熱仕切壁15の下側は冷凍空間である。冷凍空間は冷凍保存に適した温度である冷凍温度に維持される。冷蔵空間及び冷凍空間には食品を貯蔵する貯蔵室がそれぞれ複数設けられている。各貯蔵室は前方に開口部を有し、利用者はその開口部から食品を出し入れできる。
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20内は冷蔵温度の範囲内の例えば2~5℃に維持され、野菜室22内は冷蔵温度の範囲内の例えば4~7℃に維持される。冷蔵室20には複数の載置棚24が設けられている。また、野菜室22には、引き出し式容器40と、その上に載っている上側容器41が収納されている。これらの容器については後述する。冷蔵室20の前方開口部は、フレンチ式(観音式)の左右一対の冷蔵室扉21で開閉される。図示省略するが、冷蔵室扉21には操作パネルが設けられている。
野菜室22の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉23で開閉される。上記の引き出し式容器40は野菜室扉23の庫内側の面に固定されている。そのため、利用者が野菜室扉23を開けると、引き出し式容器40と、引き出し式容器40の上に載っている上側容器41とが、一体となって引き出される。
冷凍空間の上部には製氷室や小冷凍室26が設けられ、冷凍空間の下部には冷凍室28が設けられている。製氷室及び冷凍室28の内部は冷凍温度の範囲内の例えば-20~-18℃に維持される。また小冷凍室26内は、冷凍温度の範囲内の例えば-18~-16℃に維持される。小冷凍室26及び冷凍室28にはそれぞれ引き出し式の収納容器18、19が収納されている。
小冷凍室26の前方開口部は引き出し式の収納室扉27で開閉される。収納室扉27の庫内側の面に上記の収納容器18が固定されている。また、冷凍室28の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉29で開閉される。冷凍室扉29の庫内側の面に上記の収納容器19が固定されている。また、製氷室の前方開口部は引き出し式の製氷室扉(不図示)で開閉される。
冷蔵空間の背後には、冷気を発生させる第1冷却器30と、発生した冷気を循環させる第1ファン32とが設けられている。第1冷却器30で発生した冷気は、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト34を通って、複数の吹出口36から冷蔵空間へ吹き出る。冷蔵空間を循環した冷気は吸込口38から第1冷却器30へ向かって吸い込まれる。
また、冷凍空間の背後には、冷気を発生させる第2冷却器31と、発生した冷気を循環させる第2ファン33とが設けられている。第2冷却器31で発生した冷気は、冷凍空間の奥面に形成されている吹出口35から冷凍空間へ吹き出て、冷凍空間を循環した後、冷凍空間の奥面に形成されている吸込口37から第2冷却器31へ向かって吸い込まれる。
冷蔵庫10の下部後方には機械室16が設けられている。機械室16には圧縮機17や凝縮器(不図示)等が収納されている。
圧縮機17、凝縮器、第1冷却器30、第2冷却器31等は周知の冷凍サイクル装置を構成している。圧縮機17で圧縮された冷媒が第1冷却器30及び第2冷却器31に交互に流れ、冷媒が流れたときにそれぞれの冷却器で冷気が発生する。
2.野菜室の引き出し式容器等の構造
図2~4に示すように、野菜室22の引き出し式容器40は、平面視で略長方形の底板42と、底板42の4つの辺部からそれぞれ立ち上がった前後左右の側壁43、44、45、46とを有する、上に開口した箱形の容器である。底板42の上面が、引き出し式容器40の内側の底面47である。
底板42の前後方向中央よりやや前方の場所には、左右方向に延びる立ち上がり部48が形成されている。立ち上がり部48の高さは、引き出し式容器40の深さ(言い換えれば、前側の側壁43の高さ)の1/5程度の高さである。この立ち上がり部48の上に、立ち上がり部48とは別体の前後仕切り壁50が設けられている。立ち上がり部48及び前後仕切り壁50は、左右の側壁44、45に接触しており、引き出し式容器40の内側を前後に区画している。立ち上がり部48及び前後仕切り壁50より前方の空間が、ペットボトル60の収納部となる。
左右の側壁44、45の上部において、前後仕切り壁50より後ろ側の位置に段差51が形成されている。それにより、左右の側壁44、45は、前側で高く、後ろ側で低くなっている。左右の側壁44、45の後ろ側の部分は、後ろ側の側壁46と同じ高さである。
そして、左右の側壁44、45の段差51より後ろ側の部分の上端部と、後ろ側の側壁46の上端部とに、上記の上側容器41が載っている。上側容器41は、背が低く上へ開口した箱形容器で、その左右方向の幅が引き出し式容器40の左右方向の幅と同じである。
上側容器41は、左右の側壁44、45における段差51より後ろ側の部分の上端部に対して摺動することにより、引き出し式容器40に対して前後に移動可能となっている。利用者は、上側容器41を後方へ移動させることにより、引き出し式容器40における前後仕切り壁50より後方の空間に対して、貯蔵物を出し入れできる。
また、上側容器41は、段差51より前には移動できない。そのため、引き出し式容器40における前後仕切り壁50より前方の空間は、常に上に開口している。
左右の側壁44、45における段差51より前側の部分には、側壁44、45の上端部に対して凹部となった凹形状部52が形成されている。凹形状部52は左右方向から見て半円形である。
図6に示すように、凹形状部52は左右方向に厚みを有している。凹形状部52における容器内側(図6では右側)の端部には、凹形状部52の径方向内側に突出したリブ53が形成されている。図5に示すように、左右方向から見るとリブ53は半円形である。凹形状部52において、リブ53より左右方向に容器外側の面を、拡径部54とする。
リブ53の内径R1(図5参照)は、26mm以上31mm以下が好ましく、例えば29mmである。また、拡径部54の内径R2(図5参照)は、ペットボトル60のフランジ66(図12参照)の直径よりやや大きいことが好ましく、例えば37mmである。また、リブ53の厚み(左右方向の長さ)T1(図6参照)は、3mm以下が好ましく、例えば2mmである。また、拡径部54の厚み(左右方向の長さ)T2(図6参照)は、リブ53の厚みT1より厚いことが好ましく、例えば8mmである。
このような凹形状部52は、左右方向に横たえられたペットボトル60の蓋62側の部分を支持する第1支持部である。左側の側壁44の凹形状部52と、右側の側壁45の凹形状部52は、左右対称の形である。そのため、左右方向に横たえられたペットボトル60の蓋62側の部分を、左側の凹形状部52に配置することも、右側の凹形状部52に配置することもできる。蓋62が左右いずれ側を向く場合も、ペットボトル60の長手方向が引き出し式容器40の左右方向と一致するように、ペットボトル60は配置される。
図2に示すように、前後仕切り壁50の前面には複数の(図2の場合は7つの)第1着脱部55が設けられている。前後仕切り壁50の左右方向中央より左側では、第1支持部(凹形状部52)から遠い第1着脱部55ほど、その位置が下になっている。また、前後仕切り壁50の左右方向中央より右側でも、第1支持部(凹形状部52)から遠い第1着脱部55ほど、その位置が下になっている。そして、前後仕切り壁50の左右方向中央の第1着脱部55は、全ての第1着脱部55の中で最も位置が下になっている。
図2に示すように、第1着脱部55は、前後仕切り壁50の前面に対する凹部として形成されている。図7に拡大して示すように、凹部である第1着脱部55は、下面56、後面57及び左右の側面58によって形成され、前方及び上方へ開口している。第1着脱部55の前端部の左右2箇所には、上に突出した小さな板状の第1突起59が設けられている。
第1着脱部55の後面57には前方に向かって突出した第2突起70が設けられている。下面56から後面57にかけて切り込み71が入っており、その切り込み71によって下面56から後面57にかけて弾性変形可能な爪72が形成されている。第2突起70はその爪72の先端付近に設けられている。爪72が弾性変形することにより、第2突起70は前後方向に変位できる。
また、図3に示すように、引き出し式容器40の前側の側壁43の後ろ側の面には、複数の(図3の場合は7つの)第2着脱部73が設けられている。各第2着脱部73は、第1着脱部55と対向する位置に設けられている。対向する関係にある第1着脱部55と第2着脱部73とは、高さが同じで、左右方向の位置も一致する。
第2着脱部73は引き出し式容器40の内面に対する凹部として形成されている。それぞれの第2着脱部73の後端部には上に突出した小さな板状の第3突起74が設けられている。
そして、複数の第1着脱部55のうちの1つと、その第1着脱部55と対向する第2着脱部73とに、第2支持部としての支持部材75が架け渡されている。図2及び図3では、左右方向中央の第1着脱部55及び第2着脱部73に、支持部材75が架け渡されている。
図8に示すように、支持部材75は前後方向に延びる平面状の表面板76と、表面板76の左右両側から下に延びる側板80とを有している。表面板76の後端部の裏側には、左右方向から見て円形の回転軸部77が設けられている。回転軸部77は表面板76の後端部の裏側の左右に1つずつ設けられている。また、表面板76の後端部近傍には孔78が形成されている。また、表面板76の前端部には、下に向かって延びる前板81が設けられている。また、左右の側板80の前方部分には、下に向かって広がった垂下部82が設けられている。
図9、図10に示すように、支持部材75は、その後端部にある回転軸部77が第1着脱部55の第1突起59と後面57との間に嵌まることによって、第1着脱部55に取り付けられている。このとき、支持部材75の回転軸部77が、第1着脱部55の第1突起59に当たっているので、支持部材75の回転軸部77が第1着脱部55から前方に外れない。
図9に示すように、支持部材75が第1着脱部55及び第2着脱部73に架け渡されているとき、表面板76が水平となり、支持部材75の前板81が第2着脱部73の第3突起74の前側に入り込む形で、支持部材75の前端部が第2着脱部73に載っている。このとき、支持部材75の前端部は、第2着脱部73に下から支持されているだけであり、第2着脱部73に対して固定はされていない。
図9に示す状態において支持部材75が下から上へ向かって押されると、支持部材75の後端部の回転軸部77が回転軸として機能し、支持部材75の前側の部分が持ち上がる。支持部材75は、回転軸部77を回転軸として図9に示す状態から90°回転して、図10に示すように鉛直方向になることができる。図10に示す状態のとき、支持部材75の孔78に第2突起70が入り込んでおり、それにより支持部材75が第1着脱部55から上へ抜けなくなっている。
図2~4に示すように、この支持部材75と引き出し式容器40の底面47との間には空間が形成されている。支持部材75が一番低い位置の第1着脱部55及び第2着脱部73に設けられた場合でも、引き出し式容器40の底面47から支持部材75までの高さは、横向きのペットボトル60が収納可能な高さである。
また、支持部材75がいずれの第1着脱部55及び第2着脱部73に設けられても、支持部材75は凹形状部52より低い位置となる。これは、ペットボトル60の蓋62側の部分を凹形状部52が支持し、ペットボトル60の本体61を支持部材75が支持したときに、ペットボトル60が水平になるようにするためである。
本実施形態において、野菜室22の高さは307mm未満である。そのため、高さが307mmである2リットルのペットボトル60を野菜室22に立てて収納することができない。ここで、野菜室22の高さとは、引き出し式容器40の底面47から、野菜室22内における引き出し式容器40の引き出し動作の軌跡の範囲内で最も低い部分(例えば、野菜室22の前方開口部の上辺や、野菜室22の天井の最も低い部分)までの高さのことである。
3.引き出し式容器へのペットボトルの収納方法
まず、引き出し式容器40に収納されるペットボトル60の構造について、図11及び図12に基づき説明する。なおペットボトル60の構造の説明において、断面とは、ペットボトル60の長手方向に直交する断面のことである。
ペットボトル60は、長尺の本体61と、本体61の長手方向一方の蓋62とから構成されている。本体61の内部に飲料が入り、本体61の開口部(不図示)を蓋62が開閉する。
本体61は、略直方体の主要部63と、主要部63から長手方向一方へ向かって形成された肩部64と、肩部64の先端から連続して形成されたボトルネック65と、外面に蓋62が螺合される口部(図11では蓋62の内側に隠れているため不図示)と、ボトルネック65と口部との間に形成されたフランジ66と、を有している。ボトルネック65、フランジ66及び口部の断面形状は円形である。
肩部64は、ボトルネック65に向かって徐々に断面が小さくなっている。ボトルネック65は肩部64よりも断面積が小さい。また、フランジ66の直径はボトルネック65及び口部の外径より大きい。各部の寸法は、フランジ66の直径R3(図12参照)が33mm、ボトルネック65の直径R4(図12参照)が26mm、蓋62の直径R5(図12参照)が31mm、フランジ66とボトルネック65の境界から蓋62の先端までの長さL1(図12参照)が22mmである。本実施形態ではペットボトル60として2リットルのものを想定しているが、1リットル、500ミリリットル、350ミリリットル、280ミリリットル等の他のサイズのペットボトルでも、R3~R5、L1及びL2の寸法は同じである。
このようなペットボトル60が引き出し式容器40に収納された様子を図13及び図14に示す。図13及び図14では、前後仕切り壁50より前方の空間に、2本のペットボトル60が上下に並べて収納されている。
図示されているように、上側のペットボトル60は、蓋62側が引き出し式容器40の側壁44の凹形状部52に支持され、本体61が引き出し式容器40の内側に設けられた支持部材75に支持されて、水平に配置されている。なお図13及び図14では引き出し式容器40の左側の側壁44の凹形状部52に蓋62側の部分が配置されているが、右側の側壁45の凹形状部52に蓋62側の部分が配置されても良い。
図15に拡大して示すように、凹形状部52においては、ペットボトル60のボトルネック65がリブ53に支持されている。それにより、ペットボトル60のフランジ66と肩部64の間に凹形状部52のリブ53が挟まれていることになるので、ペットボトル60が左右方向へ移動できなくなっている。
ここで、リブ53の内径R1(26mm以上31mm以下が好ましい)がペットボトル60のボトルネック65の直径R4(26mm)より大きく、リブ53の厚みT1(3mm以下が好ましい)がペットボトル60のボトルネック65の長さL2より短くなっている。そのため、ペットボトル60のボトルネック65がリブ53の内側に納まり、ボトルネック65がリブ53から浮き上がらない。
また、凹形状部52の拡径部54の内側には、ペットボトル60のフランジ66及び蓋62が配置されている。ここで、拡径部54の内径R2(例えば37mm)がペットボトル60のフランジ66の直径R3(33mm)及び蓋62の直径R5(31mm)より大きい。そのため、ペットボトル60のフランジ66及び蓋62が拡径部54に接触せず、蓋62が拡径部54から浮き上がらない。
さらに、凹形状部52及び支持部材75に支持されたペットボトル60の下では、別のペットボトル60が引き出し式容器40の底面47の上に横向きで配置されている。ただし、凹形状部52及び支持部材75に支持されたペットボトル60の下に、野菜等の収納物を収納することもできる。
このようにペットボトル60を収納するために、まず利用者は、引き出し式容器40を引き出し、前後仕切り壁50より前の場所の底面47の上に、1本目のペットボトル60を置く。なお、利用者は、1本目のペットボトル60の代わりに野菜等を置いても良い。
次に利用者は、複数の第1着脱部55のうちの1つに支持部材75を取り付ける。利用者は、先に入れた1本目のペットボトル60の上に2リットル等の大きなペットボトル60を収納しようとする場合は、凹形状部52から一番遠くかつ一番低い位置の第1着脱部55に支持部材75を取り付ける。しかし、小さいペットボトルを収納しようとする場合は、より凹形状部52に近いいずれかの第1着脱部55に支持部材75を取り付ける。利用者は、第1着脱部55に支持部材75の回転軸部77を入れることによって第1着脱部55に支持部材75を取り付けた後、支持部材75の前端部を倒して第2着脱部73に載せる。これにより支持部材75が水平になる。なお、支持部材75は、最初から取り付けられていても良い。
次に、利用者は、2本目のペットボトル60を用意し、そのボトルネック65を凹形状部52のリブ53に載せ、本体61を支持部材75に載せる。これにより2本目のペットボトル60が水平に支持される。このとき、2本目のペットボトル60の上端部が、上側容器41の上端部より下にあることが好ましい。
最後に、利用者が野菜室扉23を押し込むと、ペットボトル60が野菜室22の天井等に引っ掛かることなく、引き出し式容器40が野菜室22の内部に押し込まれる。
反対にペットボトル60を引き出し式容器40から取り出す場合、まず、利用者は、引き出し式容器40を野菜室22から引き出す。次に、利用者は、凹形状部52及び支持部材75に支持されている上記の2本目のペットボトル60を取り出す。
次に、利用者は、引き出し式容器40の底面47に置かれている上記の1本目のペットボトル60を取り出す。そのとき、利用者は、支持部材75に触れる必要はなく、ペットボトル60の蓋62付近を持ってペットボトル60を持ち上げるだけで良い。利用者がペットボトル60をある程度持ち上げたところで、ペットボトル60の一部が支持部材75の垂下部82に当たる。ここで、支持部材75は、後端部の回転軸部77が第1着脱部55に取り付けられているのに対し、前端部が固定されていない。そのため、ペットボトル60が持ち上げられるに従い、支持部材75の後端部の回転軸部77が第1着脱部55に取り付けられた状態のまま、支持部材75の前方の部分が押し上げられる。そして、支持部材75が鉛直方向になるまで押し上げられ、ペットボトル60が引き出し式容器40から取り出される。
なお、鉛直方向に押し上げられた支持部材75は、前方に倒す力が加わると、垂下部82の重みもあって容易に前方に倒れ、元の水平状態に戻る。利用者が支持部材75を前方に倒しても良いし、引き出し式容器40が野菜室22の内部に押し込まれる途中で支持部材75が野菜室22の天井等に当たって支持部材75が前方に倒れるように構成されていても良い。
4.実施形態の効果
本実施形態の冷蔵庫10では、引き出し式容器40の底面47より上においてペットボトル60を支持する支持部として、ペットボトル60の長手方向の一方を支持する凹形状部52(第1支持部)と、ペットボトル60の長手方向の他方を支持する支持部材75(第2支持部)とが設けられている。
これによりペットボトル60を横向きで配置できるので、野菜室22の高さがペットボトル60を縦置きできる高さでなくても、野菜室22にペットボトル60を収納することができる。また、引き出し式容器40の底面47より上でペットボトル60が支持されるので、そのペットボトル60を取り出すことが容易であるし、ペットボトル60の下に野菜等を収納してもそれが潰れてしまうおそれがない。このように、本実施形態の冷蔵庫10はペットボトル60の収納に適している。
また、引き出し式容器40の上に上側容器41が載っているが、上側容器41がペットボトル60を支持する凹形状部52(第1支持部)及び支持部材75(第2支持部)よりも後ろ側に設けられているため、上側容器41に邪魔されることなく利用者がペットボトル60を出し入れすることができる。また、凹形状部52及び支持部材75に支持されたペットボトル60が引き出し式容器40の左右の側壁44、45より高い位置まで飛び出しても、ペットボトル60の上に上側容器41が存在しないので問題がない。
また、引き出し式容器40の左右の側壁44、45が前側で高く後ろ側で低くなっており、前側と後ろ側の間に段差51があるため、左右の側壁44、45の上を摺動する上側容器41が前側に移動してしまうことがない。
また、支持部材75(第2支持部)が凹形状部52(第1支持部)よりも低い位置にあるので、横向きのペットボトル60のボトルネック65を凹形状部52が支持し、そのペットボトル60の本体61を支持部材75が支持することにより、ペットボトル60が水平又は略水平になることができる。
また、引き出し式容器40の左右の側壁44、45の上端部に凹形状部52が設けられることにより、側壁44、45が有効活用されている。また、凹形状部52がペットボトル60のボトルネック65を支持して蓋62が引き出し式容器40の外側に出ることにより、引き出し式容器40の外側の従来無駄だった空間が有効活用され、また、引き出し式容器40の内側の空間も有効活用できる。また、利用者は、蓋62が引き出し式容器40の外側に出たことを目視することにより、ペットボトル60のボトルネック65が凹形状部52に嵌まったことを確認することができる。
また、引き出し式容器40の内側に支持部材75が設けられ、引き出し式容器40の底面47と支持部材75との間が空間になっているので、支持部材75で支持されたペットボトル60の下に上記の通り野菜を収納することができるし、2本目のペットボトル60を収納することもできる。
また、支持部材75が長尺部材であり、その長手方向の一方が回転軸部77となって第1着脱部55に取り付けられ、その長手方向の他方の部分が第2着脱部73よって下から支持されている。そのため、支持部材75の下に収納されたペットボトル60を取り出すとき、利用者がペットボトル60を持ち上げると、支持部材75がペットボトル60に押し上げられて回転軸部77を軸として持ち上がることとなる。そのため、利用者が支持部材75に触れなくても容易にペットボトル60を取り出すことができる。
また、下に向かって広がった垂下部82が、支持部材75における回転軸部77と反対側の部分に設けられているため、利用者がペットボトル60を持ち上げたときに、ペットボトル60が支持部材75における回転軸部77と反対側の部分に当たることになる。そのため、支持部材75が回転軸部77を中心に回転しやすくなり、また第1着脱部55から外れにくい。また、利用者が支持部材75の下からペットボトル60を取り出し終わった後、垂下部82の重みで支持部材75が元の水平状態に戻りやすい。
また、支持部材75の後端部が回転軸部77となって第1着脱部55に取り付けられている。そのため、支持部材75が鉛直に立ち上がった状態のまま、利用者が野菜室扉23を閉じる方向に押して引き出し式容器40が後方に移動した場合に、鉛直に立ち上がった支持部材75の上端部が野菜室22の入り口や野菜室22の天井からの突出物に当たると支持部材75が容易に前方に倒れる。
また、支持部材75は1本の長尺部材であり、支持部材75より下側の空間を覆ってしまわない。そのため、支持部材75の前端部が第2着脱部73に載ったままの状態でも、利用者が支持部材75の下にペットボトル60をくぐらせて配置することができる。また、引き出し式容器40の幅が十分に広い場合は、支持部材75の上にペットボトル60が載ったままでも、利用者が支持部材75の下の別のペットボトル60や野菜等を取り出すことができる。
また、支持部材75を着脱可能な第1着脱部55及び第2着脱部73が複数設けられ、それぞれ凹形状部52からの距離及び高さが異なるため、収納しようとするペットボトル60のサイズに合わせて支持部材75の位置を変えることができる。
また、ペットボトル60の本体61は、その長手方向に直交する断面が、長辺と短辺を有する長方形である。そして、本体61の長辺側の面と短辺側の面のどちらを支持部材75に載せるかにより、ペットボトル60のボトルネック65の高さが変わる。そこで、本体61の長辺側の面を支持部材75に載せる場合と、短辺側の面を支持部材75に載せる場合とで、支持部材75の高さを変えることにより、いずれの場合もボトルネック65の高さを凹形状部52と同じ高さとすることができる。そのためペットボトル60を水平に配置することができる。
また、凹形状部52のリブ53の内径R1がペットボトル60のボトルネック65の直径R4より大きく、リブ53の厚みT1がペットボトル60のボトルネック65の長さより短いため、ペットボトル60のボトルネック65がリブ53の内側に嵌まることができ、逆に嵌まっていなければペットボトル60が浮くので利用者が気付くことができる。
5.変更例
(1)変更例1
ペットボトル60の他にも、蓋付きの瓶類等の長尺容器が上記のように収納可能である。瓶類であれば、その長手方向一方の蓋側の細い部分を第1支持部である凹形状部52に載せ、長手方向他方の太い部分を第2支持部である支持部材75に載せれば良い。
(2)変更例2
図16、図17に示すように、引き出し式容器40の左右の側壁44、45に形成された凹形状部152が、左右方向から見て矩形であっても良い。矩形の凹形状部152においても、容器内側(図17の右側)の部分にリブ153が形成されている。リブ153によって形成された凹部の前後方向の長さL3は26mm以上31mm以下が好ましく、例えば27mmである。このリブ153がペットボトル60のボトルネック65を支持する。
(3)変更例3
図18に変更例の凹形状部252を示す。図18において、右側が引き出し式容器40の内側、左側が引き出し式容器40の外側である。図18に示すように、凹形状部252における容器外側の端部にリブ253が形成され、凹形状部252における容器内側の部分が拡径部254となっていても良い。その場合、ペットボトル60の肩部64が拡径部254に当たらないように、拡径部254の内径が大きく、リブ253と拡径部254との段差が大きくなっていることが好ましい。
(4)変更例4
支持部材75が着脱される第1着脱部55及び第2着脱部73が1つずつしかなく、支持部材75が1箇所にしか着脱できなくても良い。また、支持部材75に相当する第2支持部が、着脱不能で、引き出し式容器40に固定されていても良い。
(5)変更例5
引き出し式容器40の底面47より上においてペットボトル60を支持する支持部として、第1支持部及び第2支持部に加えて、さらに別の支持部が設けられていても良い。
(6)変更例6
ペットボトル60を支持する第1支持部及び第2支持部の形態は上記のものに限定されない。第1支持部がペットボトル60の長手方向の一方を支持でき、第2支持部がペットボトル60の長手方向の他方を支持できれば良い。
図19及び図20に示す変更例では、第1支持部としての第1L字部材352と、第2支持部としての第2L字部材375とが設けられている。第1L字部材352は、左右方向から見てL字状に屈曲した部材で、水平部353と鉛直部354とからなる。第2L字部材375も、左右方向から見てL字状に屈曲した部材であり、水平部376と鉛直部377とからなる。第2L字部材375の水平部376の右端部から壁部378が立ち上がっている。
第1L字部材352及び第2L字部材375の取り付けのために、引き出し式容器40の前側の側壁43に、左右方向へ延びる1つの段部373が設けられている。この段部373に、第1L字部材352の水平部353の前端部及び第2L字部材375の水平部376の前端部が載っている。また、第1L字部材352の鉛直部354の下端部及び第2L字部材375の鉛直部377の下端部は、引き出し式容器40の底面47に接触している。これら鉛直部354、377の下端部は、係合部材を介する等して引き出し式容器40の底面47に固定されても良い。
第1L字部材352の水平部353の上面及び第2L字部材375の水平部376の上面はそれぞれ水平面となっており、その上に図20に示すようにペットボトル60が載っている。詳細には、第1L字部材352の水平部353にペットボトル60の本体61の蓋62側の部分が載り、第2L字部材375の水平部376にペットボトル60の本体61の底67付近の部分が載っている。
また、第2L字部材375の水平部376から立ち上がった壁部378がペットボトル60の底67に押し当てられ、引き出し式容器40の左側の側壁44にペットボトル60の蓋62が押し付けられている。これにより、ペットボトル60が左右方向に移動できないように制限されている。
このような第1L字部材352及び第2L字部材375を用いても、ペットボトル60を横向きで配置することができ、ペットボトル60の下に野菜等を収納することもできる。また、引き出し式容器40の前側の側壁43の段部373が左右方向に長いため、利用者が第1L字部材352及び第2L字部材375の左右方向の位置を変更することができ、様々なサイズのペットボトル60を適切に収納することができる。