JP2022057336A - 芳香族乳酸を含む組成物の製造方法 - Google Patents

芳香族乳酸を含む組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも高い生産量で芳香族乳酸を製造する技術の提供。【解決手段】芳香族乳酸を含む組成物の製造方法であって、カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、及び前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、を含む、製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、芳香族乳酸を含む組成物の製造方法に関する。
芳香族乳酸は様々な微生物により芳香族アミノ酸から代謝される。芳香族乳酸である3-フェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、及びインドール-3-乳酸は、芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor, AhR)のリガンドであり、AhRに結合するこ
とによりAhRを活性化する。
活性化AhRは様々な作用を有することが知られている。
例えば、活性化AhRは、腸管幹細胞(Intestinal Stem Cell, ISC)の過剰増殖を抑制する作用を有し、組織のダメージを修復する作用や大腸がんの形成を抑制する作用を有することが知られている(非特許文献1)。
また、活性化AhRは、杯細胞の分化を促進する作用やムチンの産生を促進する作用を有
し、腸管バリア機能を向上させる作用を有することが知られている(非特許文献2)。
また、活性化AhRは、腸の運動性を調節する作用を有し、腸管内の恒常性を維持する作
用を有することが知られている(非特許文献3)。
また、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)の患者ではAhRのリガンドが減少することが知られていることから(非特許文献4)、活性化AhRは、抗炎症作用を有
すると考えられる。
また、インドールアクリル酸(indoleacrylic acid, IA)は、リポ多糖(Lipopolysaccharide, LPS)により活性化した末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cells,
PBMC)のIL-6、IL-1βの分泌を抑制する作用を有することからも(非特許文献2)、活
性化AhRは抗炎症作用を有すると考えられる。
また、活性化AhRはIL-22の産生を促進する作用を有し、感染症の予防や改善に有効であることが知られている(非特許文献5)。
また、活性化AhRは、緑膿菌の細菌シグナル分子(quorum-sensing (QS)分子)を感知することからも、感染症の予防や改善に有効であることが考えられる(非特許文献6)。
また、インドール-3-乳酸は、ペニシリウム(Penicillium)属細菌などの真菌や、
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)な
どの細菌に対する抗菌作用を有すること、また、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)由来のインドール-3-乳酸により活性化したAhRは、上皮内CD4+ Tヘルパー細胞を免疫制御性T細胞にリプログラミングする作用を有することが知られている(非
特許文献2)。
また、インドール-3-乳酸は、神経成長因子(NGF)の効果を増強する作用を有する
ため、神経発達を促進する作用を有することが考えられている (非特許文献7)。
芳香族乳酸の一つであるインドール-3-乳酸は、L-システインを含有するMRS培地
においてビフィドバクテリウム属細菌により産生されることが知られており、中でもヒト乳幼児型ビフィドバクテリウム属細菌ではその産生量が多いことが知られている。そのようなヒト乳幼児型ビフィドバクテリウム属細菌として、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536 (NITE BP-02621)、ビフィドバクテリウム・ロンガ
ム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC 15707、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブス
ピーシーズ・インファンティスM-63 (NITE BP-02623)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC 15697が報告されている(非特許文献8)。
また、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC 15697が産生するインドール-3-乳酸は抗炎症物質として知られ、壊死性腸炎(Necrotizing enterocolitis, NEC)の予防に役立つ可能性が細胞実験から示唆されている(非特許文献9)。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスM-63 (NITE BP-02623)の培養上清を対象に投与することにより、抗炎症に関連する遺伝子の発現が変化することが知られている(特許文献1)。
また、カゼイン分解物等をビフィドバクテリウム属細菌とともにインキュベートして培養混合物を得た後、該混合物中のビフィドバクテリウム属細菌を加熱により不活性化等し、得られた混合物を2種以上の非消化性炭水化物と組み合わせることで製剤を製造する方法が知られている(特許文献2)。
また、培地への還元剤の添加により、コリネバクテリウム・グルタミクムのアミノ酸産生量が高まることが報告されている(非特許文献10)。また、培地への還元剤の添加により、ビフィドバクテリウム属細菌の発酵産物の産生が促進されpHが低下したと推測されている(非特許文献11)。
国際公開第2018/180728号 国際公開第2009/151331号
Immunity, 49(2):353-362 (2018) Nat. Com., 9(1):3294 (2018) Nature, 578(7794):284-289 (2020) Nat. Med., 22(6):598-605 (2016) Immunity, 22;39(2):372-85 (2013) Science, 20;366(6472) (2019) Microorganisms, 8(3):398 (2020) Microorganisms, 7(9):340 (2019) Pediatric Research, 88(2):209-217 (2020) Biotechnol. Bioeng., 5;40(7):851-7 (1992) AGRIS, vol.27, 230-235 (2001)
本発明は、従来よりも高い生産量で芳香族乳酸を製造する技術の提供を課題とする。
本発明者らは、所定のタンパク質加水分解物及び/又は還元剤を含有する培地で所定のビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養した場合に、従来よりも高い生産量で芳香族乳酸を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、芳香族乳酸を含む組成物の製造方法であって、
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する
工程、及び
前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、
を含む、製造方法を提供する。
前記製造方法は、前記培地がカゼインタンパク質加水分解物を含有し、
前記カゼインタンパク質加水分解物が高度分解カゼインタンパク質加水分解物であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記培地がホエイタンパク質加水分解物を含有し、
前記ホエイタンパク質加水分解物が高度分解ホエイタンパク質加水分解物であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記還元剤が、クエン酸、システイン、アスコルビン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記芳香族乳酸が、3-フェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、及びインドール-3-乳酸からなる群から選ばれる1つ以上であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記回収する工程が、噴霧乾燥処理又は凍結乾燥処理を含むことを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536 (NITE BP-02621)及び/又はビフィドバクテ
リウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスM-63 (NITE BP-02623)であることを好ましい態様としている。
本発明はまた、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の芳香族乳酸の産生量を高める方法であって、
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で前記菌体を培養する工程を含む、方法を提供することができる。
本発明はまた、インドール-3-乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸が固形分換算で1gあたり48μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物を提供することができる。
本発明はまた、3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記3-フェニル乳酸が固形分換算で1gあたり60μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物を提供することができる。
本発明はまた、インドール-3-乳酸及び3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸及び前記3-フェニル乳酸の合計量が固形分換算で1gあたり110μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物を提供することができる。
本発明はまた、カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、
前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、及び
前記回収する工程で回収した前記画分を有効成分として製剤化する工程、
を含む、炎症の予防又は改善のための組成物の製造方法を提供することができる。
前記製造方法は、前記炎症が壊死性炎症であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記壊死性炎症が壊死性腸炎であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記組成物が飲食品組成物であることを好ましい態様としている。
前記製造方法はまた、前記組成物が医薬組成物であることを好ましい態様としている。
本発明によれば、従来よりも高い生産量で芳香族乳酸を製造することができる。例えば、腸内にビフィドバクテリウム属細菌が少ない新生児へ同菌体を投与した場合、腸内での同菌体の定着及び代謝に個人差が生じてしまうが、本発明により、芳香族乳酸を豊富に含む組成物が製造できれば、該新生児に十分な量の芳香族乳酸を摂取させることができるようになる。
本発明の一実施態様に係る実施例1の結果を示す図。 本発明の一実施態様に係る実施例1の結果を示す図。 本発明の一実施態様に係る実施例1の結果を示す図。 本発明の一実施態様に係る実施例2の結果を示す図。 本発明の一実施態様に係る実施例3の結果を示す図。 本発明の一実施態様に係る実施例3の結果を示す図。
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのないものについては重量(質量)による表示である。
本発明に係る芳香族乳酸を含む組成物の製造方法は、
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、及び
前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程
を含む。
本発明の芳香族乳酸としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体によって芳香族アミノ酸から産生されるものであればよい。本発明の芳香族乳酸は1種でも2種以上を用いてもよい。例えば、3-フェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、インドール-3-乳酸が挙げられる。3-フェニル乳酸はチロシンから変換されるものであり、4-ヒドロキシフェニル乳酸はフェニルアラニンから変換されるものであり、インドール-3-乳酸はトリプトファンから変換されるものである。
本発明のカゼインタンパク質加水分解物としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養によって芳香族アミノ酸から産生される芳香族乳酸の産生量が高くなるものであれ
ば特に制限されない。
本発明におけるカゼインタンパク質加水分解物の平均分子量は、以下の数平均分子量の概念により求めるものである。
数平均分子量(Number Average of Molecular Weight)は、例えば文献(社団法人高分子学会編、「高分子科学の基礎」、第116~119頁、株式会社東京化学同人、1978年)に記載されているとおり、高分子化合物の分子量の平均値を次のとおり異なる指標に基づき示すものである。
すなわち、タンパク質加水分解物等の高分子化合物は不均一な物質であり、かつ分子量に分布があるため、タンパク質加水分解物の分子量は、物理化学的に取り扱うためには、平均分子量で示す必要があり、数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、分子の個数についての平均である。
本明細書において、カゼインタンパク質加水分解物の平均分子量は、以下の方法で測定及び算出したものをいう。すなわち、高速液体クロマトグラフィーを使用して、ポリヒドロキシエチル・アスパルタミド・カラム(Poly Hydroxyethyl Aspartamide Column:ポリ・エル・シー(Poly LC)社製;直径4.6×200mm)を用い、20mM塩化ナトリウム、50mMギ
酸により溶出速度0.4mL/分で溶出する(宇井信生ら編、「タンパク質・ペプチドの高速
液体クロマトグラフィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社化学同人、1984年)。検出は、UV検出器(島津製作所社製)を使用して行い、GPC分析システム(島津製作所社製)によりデータ解析して数平均分子量を算出する。なお、分子量算出のための標品は、分子量が既知のタンパク質及び/又はペプチドを適宜用いればよい。
タンパク質加水分解物には、一般に製造過程において遊離アミノ酸が含まれる。
本明細書において、アミノ酸遊離率は、カゼインタンパク質加水分解物全体に対する遊離アミノ酸量の割合であり、以下の方法で測定・算定することができる。
トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6規定の塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸自動分析機(日立製作所製、835型)により分析し、アミノ酸の質量を測定する。
上記の方法により試料中の各アミノ酸の組成を測定し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出する。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留する各遊離アミノ酸の質量を上記の方法により測定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸含有率を次式により算出する。
アミノ酸遊離率(質量%)=(全遊離アミノ酸の質量/全アミノ酸の質量)×100
カゼインタンパク質加水分解物を取得するにあたり出発原料となるカゼインタンパク質は、例えば、市販の各種カゼイン、若しくはヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の乳等から常法(例えば、等電点沈殿法)により単離したもの、又は遺伝子組換え技術等によって生産されたものであってよい。カゼインは、α-カゼイン、β-カゼイン、及びκ-カゼインに分類されるが、本発明にはいずれのカゼインも用いることができる。
以下にカゼインタンパク質加水分解物の一般的な取得方法を説明するが、特にこれに限定されるものではない。
原料カゼインタンパク質を水又は温湯に分散し、溶解する。該溶解液の濃度は格別の制限はないが、通常、タンパク質換算で5~15%前後の濃度範囲にするのが効率性及び操作性の点から望ましい。得られた前記カゼインタンパク質を含有する溶液を70~90℃で10分間~15秒間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。次いで、前記カゼインタンパク質を含有する溶液にアルカリ剤又は酸剤を添加し、p
Hを使用する加水分解酵素の至適pH又はその付近に調整することが好ましい。アルカリ剤又は酸剤は、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なるアルカリ剤又は酸剤であってもよい。具体的には、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を、酸剤としては、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸等を例示することができる。
次いで、前記カゼインタンパク質溶液に加水分解酵素溶液を添加する。加水分解酵素はタンパク質を加水分解する酵素であれば特に制限されず、動物由来、又は微生物由来の酵素であることが好ましい。また、酵素はエンドペプチダーゼであることが好ましい。エンドペプチダーゼとしては、パンクレアチン、ペプシン、トリプシン、エラスターゼ等、種々の酵素を使用することができる。尚、「由来」とは、元来上記の生物が保持していることを意味し、採取原を意味するものではない。例えば、バチルス・ズブチリスが産生するプロテアーゼをコードする遺伝子をエシェリヒア・コリに導入し、同遺伝子を発現させることにより製造したプロテアーゼは、バチルス・ズブチリス「由来」である。
加水分解酵素は1種でもよく、2種以上用いてもよい。2種以上の酵素を用いる場合は、それぞれの酵素反応は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
酵素を添加した溶液を、酵素の種類に応じて適当な温度、例えば30~60℃、望ましくは45~55℃に保持してカゼインタンパク質の加水分解を開始する。加水分解反応時間は、酵素反応の分解率をモニターしながら、好ましい分解率に達するまで反応を続ける。
加水分解反応の停止は、加水分解液中の酵素の失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができるが、例えば、80~130℃の温度範囲で30分間~2秒間の保持時間で行うことができる。尚、得られた反応液は必要に応じてクエン酸等の酸によりpHを5.5~7の範囲に調整してもよい。
得られたカゼインタンパク質加水分解物を含有する溶液は、そのまま使用することも可能であり、また、必要に応じて、この溶液を公知の方法により濃縮した濃縮液、更に、この濃縮液を公知の方法により乾燥した粉末、として使用することもできる。
本発明のカゼインタンパク質加水分解物としては、例えば、加水分解度に従った、高度分解カゼインタンパク質加水分解物、中度分解カゼインタンパク質加水分解物、低度分解カゼインタンパク質加水分解物が挙げられる。いずれも1種を用いてもよく複数種を用いてもよい。また、高度分解カゼインタンパク質加水分解物、中度分解カゼインタンパク質加水分解物、及び低度分解カゼインタンパク質加水分解物からなる群から選択される1つ以上を用いてよい。
本発明のカゼインタンパク質加水分解物としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養によって芳香族アミノ酸から産生される芳香族乳酸の産生量が高くなることから、加水分解度が大きいほど好ましい。すなわち、低度分解カゼインタンパク質加水分解物よりも中度分解カゼインタンパク質加水分解物が好ましく、中度分解カゼインタンパク質加水分解物よりも高度分解カゼインタンパク質加水分解物が好ましい。
本明細書において、高度分解カゼインタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が50%以上であるカゼインタンパク質加水分解物をいう。具体的には、CU5000、C3500Ca、MCH-30(いずれも森永乳業株式会社製)等が挙げられる。また、これらの他に高度分
解カゼインタンパク質加水分解物Xを挙げることができる。
高度分解カゼインタンパク質加水分解物Xは、例えば、次のようにして調製することができる。
10kgの食用カゼイン(Alacid 720、フォンテラ社製、食用カゼイン含量:88%)を10%濃度で脱イオン水に分散し、10%水酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整して溶解する。得られた溶解液を80℃で10分間の加熱殺菌をし、55℃に保持し、10%水酸化ナトリウム溶液でpH9.0に調整し、Bacillus licheniformis由来の酵素(天野エンザイム社製)40g及びAspergillus oryzae(新日本化学工業社製)400gを添加して14時間の加水分解を行う。次いで、90℃、10分間の加熱処理を行うことで酵素を失活させる。その後、珪藻土シリカ300SA(中央シリカ製)により沈殿物を除去し、濃縮後、噴霧乾燥し、粉末状の高度分解カゼインタンパク質加水分解物Xを得る。
本明細書において、中度分解カゼインタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が30%以上50%未満のカゼインタンパク質加水分解物をいう。
本明細書において、低度分解カゼインタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が0以上30%未満のカゼインタンパク質加水分解物をいう。
本発明のホエインタンパク質加水分解物としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養によって芳香族アミノ酸から産生される芳香族乳酸の産生量が高くなるものであれば特に制限されない。
本発明におけるホエイタンパク質加水分解物の平均分子量が数平均分子量の概念により求められるものであること、並びに、アミノ酸遊離率がホエイタンパク質加水分解物全体に対する遊離アミノ酸量の割合であること、及び、その測定・算定については、それぞれ、既出のカゼインタンパク質加水分解物の平均分子量及びアミノ酸遊離率の説明を援用する。
ホエイタンパク質加水分解物を取得するにあたり出発原料となるホエイタンパク質は、例えば、市販品または牛乳、脱脂乳等から公知の方法により分離されたホエイ(たとえば、チーズホエイ、酸ホエイ、膜分離ホエイ、ホエイ粉末、脱塩ホエイ粉末等)、または分離精製したホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質単離物(WPI)等から選ばれる1種のもの又は2種以上の混合物が挙げられる。当該混合物は任意の割合で混合すればよい。
また、前記ホエイタンパク質は、一般的な乳由来のものほか、大豆などの植物由来のもの(いわゆる「大豆ホエイ」等)であってもよいが、乳由来であることがより好ましく、さらに好ましくはウシの乳由来のものである。
以下にホエイタンパク質加水分解物の一般的な取得方法を説明するが、特にこれに限定されるものではない。
原料ホエイタンパク質を水又は温湯に分散し、溶解してホエイタンパク質水溶液を調製する。
さらに、前記ホエイタンパク質水溶液を、ナトリウム型又はカリウム型陽イオン交換樹脂(好適には強酸性陽イオン交換樹脂)を用いたイオン交換法、電気透析法、限界濾過膜法、ルーズ逆浸透膜法等で脱塩し、適宜pH調整やカルシウム濃度調整を行うのが好適である。脱塩の際には、カラム式やバッチ式の何れを採用してもよい。また、ホエイタンパク質水溶液を、脱塩前等に適宜、加熱殺菌をおこなってもよい。
次いで、前記ホエイタンパク質水溶液を、加水分解処理する。当該加水分解処理として、例えば酵素処理、酸処理、アルカリ処理、熱処理等が挙げられ、これらの2種以上の処理を適宜組み合わせてもよい。
本開示のタンパク質加水分解酵素は、例えば、植物由来、動物由来、微生物由来等が挙げられ、これらから1種又は2種以上組み合わせて使用できる。当該タンパク質加水分解酵素としては、エンドプロテアーゼが好適である。
前記エンドプロテア-ゼとしては、例えば、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼが挙げられ、これらを1種又は2種以上選択して用いることができる。このうち、セリンプロテアーゼ及び/又はメタロ
プロテアーゼを用いるのが好適である。
また、プロテアーゼは、アルカリ性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼに分類される。このうち中性プロテアーゼを用いるのが好適である。
前記タンパク質加水分解酵素は、市販品を用いることができる。前記タンパク質加水分解酵素として、例えば、ビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)、プロレザー(天野エンザイム社製)、プロテアーゼS(天野エンザイム社製)、PTN6.0S(ノボザイムズ社製)、サビナーゼ(ノボザイムズ社製)、GODO B.A.P(合同酒精社製)、プロ
テアーゼN(天野エンザイム社製)、GODO B.N.P(合同酒精社製)、ニュート
ラーゼ(ノボザイムズ社製)、アルカラーゼ(ノボザイムズ社製)、トリプシン(ノボザイムズ社製)、キモトリプシン(ノボザイムズ社製)、スブチリシン(ノボザイムズ社製)、パパイン(天野エンザイム社製)、ブロメライン(天野エンザイム社製)等が挙げられ、これらから1種又は2種以上の酵素を選択して用いてもよい。
これらのうち、スブチリシン(subtilisin:例えば、ビオプラーゼ)、トリプシン(trypsin:例えばPTN6.0S)、及びバシロシン(bachillolysin:例えばプロテアーゼN)から選ばれる1種又は2種以上の中性プロテアーゼが好ましく、より好ましくはこれら3種を組み合わせて用いる。
前記ホエイタンパク質に対するエンドプロテアーゼの使用量は、特に限定されず、基質濃度、酵素力価、反応温度及び反応時間等により適宜調整すればよい。
前記タンパク質加水分解酵素による加水分解条件を適宜調整することにより、特定の平均分子量の範囲のホエイタンパク質加水分解物を得ることができる。
前記タンパク質加水分解酵素による加水分解前に、前記原料乳タンパク質溶液のpHを、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の食品上使用可能な塩類を用いて、使用酵素の至適pHに調整することもできる。
前記タンパク質加水分解酵素の反応温度は、使用酵素の最適温度の範囲で行うことが望ましい。
前記タンパク質加水分解酵素の反応保持時間は、前記特定の非タンパク態窒素比率になるように適宜調整すればよい。
前記タンパク質加水分解酵素による加水分解は、当該酵素を加熱して失活させて終了させればよい。例えば、100℃以上(好適には110~130℃)で失活させる場合には1~3秒間、100℃未満60℃以上で失活させる場合には3~40分間で行うことが好適である。
なお、本発明に係るホエイタンパク質加水分解物の製造において、カルシウム濃度未調整の溶液を加水分解した場合には、得られた分解液を、前記のような脱塩処理し、カルシウム濃度を調整してもよい。次いで、常法により加熱して酵素を失活させる。反応加熱温度と反応保持時間は使用した酵素の熱安定性を配慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。加熱失活後、常法により冷却し、そのまま利用することもでき、必要に応じて濃縮して濃縮液を得ることもでき、更に濃縮液を乾燥し、粉末製品を得ることも可能である。
また、前記ホエイタンパク質水溶液を酸処理又はアルカリ処理にて加水分解する際には、ホエイタンパク質水溶液のpHを調整して処理すればよい。当該pH調整による処理の場合には、ホエイタンパク質水溶液のpHが、好ましくはpH5以下又はpH9以上であり、より好ましくはpH4以下又はpH10以上である。このようにpH処理された水溶液は、室温にて数分以上、好ましくは5分~1時間、放置又は撹拌することによって、酸処理又はアルカリ処理の加水分解物を得ることができる。ここで、「室温」とは、4~40℃程度であるが、10~30℃が好適である。
また、前記ホエイタンパク質水溶液を、熱処理にて加水分解してもよい。このホエイタンパク質水溶液は、pH未調整でもよく、またpH調整(具体的には、酸性(pH5以下)、中性(pH6~8)、アルカリ性(pH8以上))してもよい。熱処理は、4~100℃程度で、上記酸アルカリ処理のような条件にて行えばよい。
得られたホエイタンパク質加水分解物は、未精製のままの状態で使用しても効能を発揮することが可能であるが、さらに、適宜公知の分離精製を行ってもよい。例えば、得られたホエイタンパク質加水分解物に対して分子量分画を行い、特定の平均分子量及びアミノ酸遊離率の範囲を満たすホエイタンパク質加水分解物を得ることができる。
分子量分画として、例えば、限外濾過、ゲル濾過等の方法が採用でき、これにより不要な分子量のペプチドや遊離アミノ酸の除去率を高めることができる。
限外濾過の場合には、所望の限外濾過膜を使用すればよく、ゲル濾過の場合には、所望のサイズ排除クロマトグラフィーに用いるゲルろ過剤を使用すればよい。
さらに、脱塩や不純物を除去したり、純度を高めたりするために、公知の分離精製方法(例えば、イオン交換樹脂等)を用いてもよい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物としては、例えば、加水分解度に従った、高度分解ホエイタンパク質加水分解物、中度分解ホエイタンパク質加水分解物、低度分解ホエイタンパク質加水分解物が挙げられる。いずれも1種を用いてもよく複数種を用いてもよい。また、高度分解ホエイタンパク質加水分解物、中度分解ホエイタンパク質加水分解物、及び低度分解ホエイタンパク質加水分解物からなる群から選択される1つ以上を用いてよい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養によって芳香族アミノ酸から産生される芳香族乳酸の産生量が高くなることから、加水分解度が大きいほど好ましい。すなわち、低度分解ホエイタンパク質加水分解物よりも中度分解ホエイタンパク質加水分解物が好ましく、中度分解ホエイタンパク質加水分解物よりも高度分解ホエイタンパク質加水分解物が好ましい。
本明細書において、高度分解ホエイタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が50%以上であるホエイタンパク質加水分解物をいう。具体的には、WU2900(森永乳業株式会社製)等が挙げられる。
本明細書において、中度分解ホエイタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が30%以上50%未満のホエイタンパク質加水分解物をいう。具体的には、W1600(森永
乳業株式会社製)等が挙げられる。
本明細書において、低度分解ホエイタンパク質加水分解物とは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分子量分布測定の結果に基づき、分子量500未満のペプチドの割合が0以上30%未満のホエイタンパク質加水分解物をいう。
本発明の還元剤としては、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養によって芳香族アミノ酸から産生される芳香族乳酸の産生量が高くなるものであれば特に制限されない。本発明の還元剤は1種でも2種以上を用いてもよい。
例えば、クエン酸、システイン、アスコルビン酸、及びそれらの塩が挙げられる。前記それらの塩について、クエン酸塩としては、クエン酸三ナトリウムが挙げられる。システイン塩としては、L-システイン塩酸塩が挙げられる。アスコルビン酸塩としては、アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
本発明のビフィドバクテリウム属細菌としては、芳香族アミノ酸から芳香族乳酸を産生できるものであれば特に制限されない。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(Bifidobacterium longum subsp. longum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィド
バクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アド
レセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アンギュラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(Bifidobacterium psudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(Bifidobacterium animalis subsp. animalis)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・グロボッサム(Bifidobacterium pseudolongum subsp. globosum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum subsp. pseudolongm)、
ビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)等が挙げられる。尚、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムは、単にビフィドバクテリウム・ロンガムと表記される場合もある。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスは、単にビフィドバクテリウム・インファンティスと表記される場合もある。
具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707(Bifidobacterium longum subsp. longum ATCC15707)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536(NITE BP-02621)(Bifidobacterium longum subsp. longum BB536(NITE BP-02621))、ビフィドバクテ
リウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC15697(Bifidobacterium longum subsp. infantis ATCC15697)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスM-63(NITE BP-02623)(Bifidobacterium longum subsp. infantis M-63(NITE BP-02623))、ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC15700(Bifidobacterium breve ATCC15700)、ビフィドバクテリウム
・ブレーベFERM BP-11175(Bifidobacterium breve FERM BP-11175)、ビ
フィドバクテリウム・ブレーベM-16V(NITE BP-02622)(Bifidobacterium breve M-16V(NITE BP-02622))、ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC29521(Bifidobacterium bifidum ATCC29521)、ビフィドバクテリウム・アドレセン
ティスATCC15703(Bifidobacterium adolescentis ATCC15703)、ビフィドバクテリウム・アンギュラツムATCC27535(Bifidobacterium angulatum ATCC27535
)、ビフィドバクテリウム・デンティウムDSM20436(Bifidobacterium dentium DSM20436)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータムATCC27919(Bifidobacterium psudocatenulatum ATCC27919)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティスDSM10140(Bifidobacterium animalis subsp. lactis
DSM10140)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスAT
CC25527(Bifidobacterium animalis subsp. animalis ATCC25527)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・グロボッサムJCM5820(Bifidobacterium pseudolongum subsp. globosum JCM5820)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・シュードロンガムATCC25526(Bifidobacterium pseudolongum subsp. pseudolongm ATCC25526)、ビフィドバクテリウム・サーモフィ
ルムATCC25525(Bifidobacterium thermophilum ATCC25525)等が挙げられる。ビフィドバクテリウム属細菌は、一種でも二種以上を用いてもよい。また、一株でも二株以上を用いてもよい。
ATCC番号が付与された細菌は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(住所:12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, United States of America
)から入手することができる。
DSM番号が付与された細菌は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(住所:Inhoffenstraβe 7B, 38124 Braunschweig, Germany)から入手することができる。
JCM番号が付与された細菌は、Japan Collection of Microorganisms(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室、郵便番号:305-0074、住所:茨城県つくば市高野台3-1-1)から入手することができる。
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536(NITE
BP-02621)は、2018年1月26日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、
NITE BP-02621の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスM-63(NITE BP-02623)は、2018年1月26日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室
)に、NITE BP-02623の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。
ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175は、2009年8月25日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(現 独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター、〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、FERM BP-11175の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際
寄託がなされたものである。
ビフィドバクテリウム・ブレーベM-16V(NITE BP-02622)は、2018年1月26日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、NITE BP-02622の
受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。
なお、本発明のビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536(NITE BP-02621)には、当該細菌名で所定の機関に寄託や登録がなされている株そのもの(以下、説明の便宜上、「寄託株」ともいう)に限られず、それと実質的に同等な株(「派生株」または「誘導株」ともいう)も包含される。すなわち、「ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536(NITE BP-02621)」には、受託番号NITE BP-02621で上記寄託機関に寄託されている株そのものに限られず、それと実質的に同等な株も包含される。「上記寄託株と実質的に同等の株」とは、上記寄託株と同一の種に属し、本発明の効果が得られ、さらにその16SrRNA遺伝子の塩基配列が、上記寄託株の16SrRNA遺伝子の塩基配列に対して、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%の同一性を有し、かつ、好ましくは上記寄託株と同一の菌学的性質を有する株をいう。
上記寄託株と実質的に同等の株は、例えば、当該寄託株を親株とする派生株であってよい。派生株としては、寄託株から育種された株や寄託株から自然に生じた株が挙げられる。育種方法としては、遺伝子工学的手法による改変や、突然変異処理による改変が挙げられる。突然変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN-メチル-N'-ニ
トロ-N-ニトロソグアニジン、エチルメタンスルフォネート、およびメチルメタンスルフォネート等の変異剤による処理が挙げられる。寄託株から自然に生じた株としては、寄託株の使用の際に自然に生じた株が挙げられる。そのような株としては、寄託株の培養(例えば継代培養)により自然に生じた変異株が挙げられる。派生株は、一種の改変により構築されてもよく、二種またはそれ以上の改変により構築されてもよい。
このことは、受託番号が付与された前記の寄託株で同様である。
本発明では、前記培養する工程において培養するビフィドバクテリウム属細菌の菌体は、予め次のようにして培養したものを用いてもよい。その培養方法としては、ビフィドバクテリウム属細菌が増殖できる限り特に制限されない。例えば、ビフィドバクテリウム属細菌の培養に通常用いられる方法を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。培養温度は、例えば、25~50℃であってよく、35~42℃であることが好ましい。培養は、好ましくは嫌気条件下で実施することができ、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら実施することができる。また、培養は、液体静置培養等の微好気条件下で実施することもできる。培養は、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌が所望の程度に増殖するまで実施することができる。
このときの培養に用いる培地は、ビフィドバクテリウム属細菌が増殖できる限り、特に制限されない。例えば、ビフィドバクテリウム属細菌の培養に通常用いられる培地を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を用いることができる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。また、ビフィドバクテリウム・ブレーベの培養に通常用いられる培地として、具体的には、強化クロストリジア培地(Reinforced Clostridial medium)、MRS培地(de Man, Rogosa, and Sharpe medium)、mMRS培地(modified MRS medium)、TOSP培地(TOS propionate medium)、TOSP Mup
培地(TOS propionate mupirocin medium)が挙げられる。
前記培養する工程で使用する培地としては、同菌体が芳香族アミノ酸から芳香族乳酸を産生でき、培養後の培養物から回収した芳香族乳酸を含む画分を飲食品組成物や医薬組成物に製剤化し、それを対象が安全に摂取等できるものであれば特に制限されない。例えば、後述する実施例で使用したような、5%のスイートホエイパウダー(Sweet whey powder,
SWP)を含有する乳培地や、5%の脱脂乳(Skim Milk, SM)を含有する乳培地などが挙げ
られるが、これらに制限されない。炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を用いることができる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用
いてもよい。
前記培養する工程におけるビフィドバクテリウム属細菌の菌体の培養方法は、同菌体が芳香族アミノ酸から芳香族乳酸を産生できる限り特に制限されない。また、同菌体が増殖できることが好ましい。培養方法としては、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌の培養に通常用いられる方法を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。培養温度は、例えば、25~50℃であってよく、35~42℃であることが好ましい。培養は、好ましくは嫌気条件下で実施することができ、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら実施することができる。また、培養は、液体静置培養等の微好気条件下で実施することもできる。培養は、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が所望の程度に増殖するまで実施することができる。
本発明に係る芳香族乳酸を含む組成物の製造方法は、前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程を含む。
前記回収する工程は、前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分が回収できる限り特に制限されず、例えば、噴霧乾燥処理、凍結乾燥処理、加熱処理、遠心分離処理、精密濾過処理、限外濾過処理等を含んでよい。また、芳香族乳酸は、前記培養する工程で得られた培養物の培養上清に含まれるため、前記培養する工程後の培養上清に対して行う上記処理を含んでよい。
前記回収する工程は、前記培養する工程で培養したビフィドバクテリウム属細菌の菌体を除去する工程を含んでも含まなくてもよいが、含まないことが好ましい。したがって、前記回収する工程で回収される芳香族乳酸を含む画分は、前記培養する工程で培養したビフィドバクテリウム属細菌の菌体を含んでも含まなくてもよいが、含むことが好ましい。
前記回収する工程は、前記培養する工程で培養したビフィドバクテリウム属細菌の菌体を除去する工程を含まない場合、同菌体が死滅する処理を含んでも含まなくてもよいが、含まないことが好ましく、菌体の生残性が高い処理が好ましい。したがって、前記回収する工程で回収される芳香族乳酸を含む画分は、前記培養する工程で培養したビフィドバクテリウム属細菌の菌体を含む場合、該菌体は生菌体でもよく、死菌体でもよく、両者を含むものでもよいが、生菌体が好ましく、生菌体を含むことが好ましい。該菌体が生菌体である場合、及び生菌体を含む場合、プロバイオティクスとしての効果を期待することができるためである。
尚、前記培養する工程で得られた培養物に含まれる芳香族乳酸の量の測定方法は、常法に従うことができる。例えば、後述する実施例のように、前記培養物の上清から芳香族乳酸の抽出し、誘導体化し、GC-MS等を用いて芳香族乳酸の量を測定することができる。
本発明の他の態様は、
ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の芳香族乳酸の産生量を高める方法であって、
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で前記菌体を培養する工程を含む、方法
である。
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地でビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養することで、同菌体の芳香族乳酸の産生量を高めることができる。
ビフィドバクテリウム属細菌、芳香族乳酸、カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタ
ンパク質加水分解物、還元剤、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程については、既出の内容を援用する。
カゼインタンパク質加水分解物を含有する培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量は、カゼインタンパク質加水分解物を含有しない培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量に対して、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上、よりさらに好ましくは2倍以上であり、一方で、上限は高いほど好ましいが、例えば、20倍以下である。
ホエイタンパク質加水分解物を含有する培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量は、ホエイタンパク質加水分解物を含有しない培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量に対して、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上、よりさらに好ましくは2倍以上であり、一方で、上限は高いほど好ましいが、例えば、20倍以下である。
還元剤を含有する培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量は、還元剤を含有しない培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量に対して、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.8倍以上であり、一方で、上限は高いほど好ましいが、例えば、20倍以下である。
カゼインタンパク質加水分解物及び還元剤を含有する培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量は、カゼインタンパク質加水分解物及び還元剤を含有しない培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量に対して、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上、よりさらに好ましくは3.5倍以上であり、一方で、上限は高いほど好ましいが、例えば、30倍以下である。
ホエイタンパク質加水分解物及び還元剤を含有する培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量は、ホエイタンパク質加水分解物及び還元剤を含有しない培地で同菌体を培養した場合の芳香族乳酸の産生量に対して、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上、よりさらに好ましくは3.5倍以上であり、一方で、上限は高いほど好ましいが、例えば、30倍以下である。
本発明の他の態様は、インドール-3-乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸が固形分換算で1gあたり48μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物である。なお、前記インドール-3-乳酸が固形分換算で1gあたり50μg以上であることが好ましく、60μg以上であることがより好ましく、100μg以上であることが更に好ましく、150μg以上であることが特に好ましい。
本発明の他の態様は、3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記3-フェニル乳酸が固形分換算で1gあたり60μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物である。なお、前記3-フェニル乳酸が固形分換算で1gあたり140μg以上であることが好ましく、150μg以上であることがより好ましく、200μg以上であることが更に好ましく、250μg以上であることが特に好ましい。
本発明の他の態様は、インドール-3-乳酸及び3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸及び前記3-フェニル乳酸の合計量が固形分換算で1gあたり110μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物である。なお、前記インドール-3-乳酸及び前記3-フェニル乳酸の合計量が固形分換算で1gあたり190μg以上であることが好ましく、200μg以上であることがより好ましく、300μg以上であることが更に好ましく、400μg以上であることが特に好まし
い。
本発明の他の態様は、
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、
前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、及び
前記回収する工程で回収した前記画分を有効成分として製剤化する工程、
を含む、炎症の予防又は改善のための組成物の製造方法である。
カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、及び前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程については、既出の内容を援用する。
本態様に係る製造方法は、前記回収する工程で回収した前記芳香族乳酸を含む画分を有効成分として製剤化する工程を含む。
製剤化にあたっては、常法に従って、前記回収する工程で回収した前記芳香族乳酸を含む画分を有効成分として製剤化することができる。
前記回収する工程で回収した前記芳香族乳酸を含む画分を有効成分として製剤化することによって、炎症の予防又は改善のための組成物が得られる。前記炎症は壊死性炎症であることが好ましく、前記壊死性炎症は壊死性腸炎であることが好ましい。
また、背景技術に記載したように、芳香族乳酸はAhRを活性化することができるため、
前記組成物は炎症の予防又は改善のためだけでなく、活性化AhRが有する他の作用のため
の組成物とすることもできる。すなわち、用途としては、腸管幹細胞の過剰増殖抑制のため、組織のダメージを修復するため、大腸がんの形成を抑制するため、杯細胞の分化を促進するため、ムチンの産生を促進するため、腸管バリア機能を向上させるため、腸の運動性を調節するため、腸管内の恒常性を維持するため、抗炎症用、L-22の産生を促進するため、感染症の予防や改善のため、抗菌用、上皮内CD4+Tヘルパー細胞を免疫制御性T細胞にリプログラミングするため、神経成長因子(NGF)の効果を増強するため、神経発達を促
進するため等が挙げられる。
前記回収する工程で回収した前記芳香族乳酸を含む画分を有効成分として飲食品組成物中に含有させ、前記組成物の一態様として、炎症の予防又は改善のための飲食品組成物として加工することも可能である。
このような飲食品組成物としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、飲食品であってもよく、錠菓、流動食等のほか、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、
食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、グミ、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等のその他の市販食品等;育児用調製粉乳;経腸栄養食;特別用途食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品);栄養補助食品等が挙げられる。
また、前記回収する工程で回収した前記芳香族乳酸を含む画分を有効成分として医薬組成物中に含有させ、前記組成物の一態様として、炎症の予防又は改善のための医薬組成物として加工することも可能である。
医薬組成物の剤形は特に制限されず、具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、及び点鼻剤等を例示できる。また、製剤化にあたっては、製剤担体として通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、又は注射剤用溶剤等の添加剤を使用することができる。
また、前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機の担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α-デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸
エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]芳香族乳酸の産生量の評価
本実施例では、以下の組成の乳培地にてBifidobacterium longum subsp. longum BB536の菌体、Bifidobacterium longum subsp. infantis M-63の菌体、Bifidobacterium lactis DSM10140Tの菌体をそれぞれ培養し、培養上清中の3-フェニル乳酸(3-PLA)、4-ヒドロキシフェニル乳酸(4-OH PLA)、インドール-3-乳酸(ILA)を測定することで、
芳香族乳酸の産生量を評価した。
(1) 菌培養上清の調製
各菌株を、スイートホエイパウダー(Sweet whey powder, SWP)、高度分解カゼインタンパク質加水分解物、及び中度分解ホエイタンパク質加水分解物をそれぞれ5%, 1%, 1%含む培地で、アネロパックを用いて15時間37℃で嫌気培養した。
(2) 培養上清からの芳香族乳酸の抽出
上清を氷上で、1.5 ml容スクリューキャップ付きチューブに50 μl分注し、内部標準として、0.5 mg/mlの2-イソプロピルリンゴ酸(2-IS)を各チューブに10 μl添加した。
水:メタノール:クロロホルム=1:2.5:1の混合溶媒を調製し、ガラスピペットで250 μlずつ各チューブに添加した。ボルテックスで十分混合した後、振盪機能付きブロ
ックインキュベーターで37℃、1200 rpmで5分間混和した。4℃、16000×gで3分間遠心処
理を行い、各チューブから200 μlの上清を1.5 ml容エッペンチューブに回収した。回収
した上清にMilliQ水を178 μlずつ添加し、ボルテックスで十分混合後、4℃、16000×gで3分間遠心処理を行った。ペレットを吸わないように上清250 μlを1.5 ml容スクリューキャップ付きチューブに回収し、遠心エバポレーターで3時間以上処理することで乾
固させた。
(3) 芳香族乳酸の誘導体化
ピリジンを溶媒として20 mg/mlに調製したメトキシアミン塩酸塩を、乾固後のサンプルにそれぞれ80 μl添加した。ソニケーターで10分以上処理を行い、チューブ内の残滓が確認できなくなるまで処理した。振盪機能付きブロックインキュベーターで30℃、1200 rpmで90分以上処理を行った後、N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(MSTFA)を40 μl添加した。振盪機能付きブロックインキュベーターで37℃、1200 rpmで30分以上処理を行い、16000×gで3分間遠心処理を行い、上清70 μlをGC-MS分析
に供した。
(4) GC-MSを用いた芳香族乳酸量の測定
前記(3)のサンプルをGC-MSに供した。GC-MSはGC-MS QP2010 UltraおよびSmart metabolite databae(島津製作所)を使用し、内部標準法にて定量した。GC-MSにおける芳香族乳酸量の測定は、以下の分析条件で行った。
Figure 2022057336000002
(5) 結果
B. longum BB536、B. infantis M-63、B. lactis DSM10140Tの各菌体が産生した3-PLA
、4-OH PLA、ILAの産生量を測定した(図1、図2、図3)。B. longum BB536の菌体及びB. infantis M-63の菌体は、B. lactis DSM10140Tの菌体に比べて、芳香族乳酸の産生量
が多いことが分かった。
[実施例2]培地の検討
本実施例では、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が芳香族乳酸を高産生するための培地の検討を行った。
(1) 培地中成分の検討
5% SWPに対し、分解度や由来の異なる27種のタンパク質加水分解物を添加し、それぞれの培地でB. longum BB536を9時間培養したときの芳香族乳酸量を、実施例1にしてGC-MS
にて測定した。27種のタンパク質加水分解物として、カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、ライスタンパク質に由来するペプチド(ライスタンパク質加水分解物)、又はエンドウタンパク質に由来するペプチド(エンドウタンパク質加水分解物)を用い、分解度の低いものから分解度の高いものを用いた。各タンパク質加水分解物を用いたときの芳香族乳酸の産生量を比較した結果、高度分解カゼインタンパク質加水分解物を用いた場合に、3-PLA及びILAの産生量が高くなることが分かった。ILA及び3-PLAの産生量が高かった上位5種類のタンパク質加水分解物をそれぞれ表2、表3に示す。
以降の検討では、高度分解カゼインタンパク質加水分解物A、および中度分解ホエイタンパク質加水分解物Bを用いた。
Figure 2022057336000003
Figure 2022057336000004
(2) 芳香族乳酸の産生量へ還元剤が与える効果の検証
5% SWPおよび2% 高度分解カゼインタンパク質加水分解物Aを含む対照培地のほか、該
対照培地にさらに0.6% クエン酸三ナトリウムを添加した培地、該対照培地にさらに0.05%
L-システイン塩酸塩を添加した培地、及び該対照培地にさらに1.0% アスコルビン酸ナトリウムを添加した培地をそれぞれ調製した。それぞれの培地で、B. longum BB536を9時間培養し、実施例1と同様にしてGC-MSにて培地中の芳香族乳酸の総量(3-PLA、4-OH PLA、及びILAの合計量)を測定した。
その結果、培地への還元剤の添加により、芳香族乳酸の総量が増加する傾向が観察された(図4)。以上から、還元剤の添加が、芳香族乳酸の総量を高めるのに有効であると考えられる。
[実施例3]脱脂乳を含む培地での芳香族乳酸の産生量の検証
本実施例では、脱脂乳を含む培地を用いたときの、芳香族乳酸の産生量への効果を検証した。5% 脱脂粉乳(Skim Milk, SM)を対照培地として、該対照培地に2% 高度分解カゼ
インタンパク質加水分解物Aを添加した培地、該対照培地に2% 高度分解カゼインタンパ
ク質加水分解物Aおよび0.6% クエン酸三ナトリウム(cit)を添加した培地、該対照培地に2% 中度分解ホエイタンパク質加水分解物Bを添加した培地、並びに、該対照培地に2% 中度分解ホエイタンパク質加水分解物Bおよび0.6% クエン酸三ナトリウムを添加した培
地をそれぞれ調製した。それぞれの培地でB. longum BB536を9時間培養し、実施例1と同
様にしてGC-MSにて培地中の3-PLA及びILAの量を測定した。
その結果、SWPでの検討結果(実施例1、実施例2)と同様に、タンパク質加水分解物
及び/又は還元剤の添加によって3-PLA及びILAの量が増加すること、また、高度分解カゼインタンパク質加水分解物と還元剤とを組合わせた場合に特に3-PLA及びILAの産生量が増加することが示唆された(図5、図6)。
[実施例4]芳香族乳酸を含む画分の回収
PCM (probiotics conditioned medium)の製造においては、培養上清から芳香族乳酸を
含む画分の回収する工程として、凍結乾燥やスプレードライにより、水分を抜き乾燥させ、粉末化する工程が考えられる。そこで、固形物1 gあたりのILA量および3-PLA量、また
それらの合計量を算出した(表4)。
Figure 2022057336000005
以上から、ビフィドバクテリウム属細菌が産生する芳香族乳酸を多く得るためには、乳成分の培地に対し、
(i) 高度分解タンパク質加水分解物を添加すること
(ii) 還元剤を添加すること
が好ましいと考えられた。

Claims (16)

  1. 芳香族乳酸を含む組成物の製造方法であって、
    カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、及び
    前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、
    を含む、製造方法。
  2. 前記培地がカゼインタンパク質加水分解物を含有し、
    前記カゼインタンパク質加水分解物が高度分解カゼインタンパク質加水分解物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記培地がホエイタンパク質加水分解物を含有し、
    前記ホエイタンパク質加水分解物が高度分解ホエイタンパク質加水分解物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記還元剤が、クエン酸、システイン、アスコルビン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記芳香族乳酸が、3-フェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、及びインドール-3-乳酸からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記回収する工程が、噴霧乾燥処理又は凍結乾燥処理を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536 (NITE BP-02621)及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム・サ
    ブスピーシーズ・インファンティスM-63 (NITE BP-02623)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の芳香族乳酸の産生量を高める方法であって、
    カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で前記菌体を培養する工程を含む、方法。
  9. インドール-3-乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸が固形分換算で1gあたり48μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物。
  10. 3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記3-フェニル乳酸が固形分換算で1gあたり60μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物。
  11. インドール-3-乳酸及び3-フェニル乳酸を含む、菌体の処理物であって、前記インドール-3-乳酸及び前記3-フェニル乳酸の合計量が固形分換算で1gあたり110μg以上である、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体の処理物。
  12. カゼインタンパク質加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、及び還元剤からなる群から選ばれる1つ以上を含有する培地で、ビフィドバクテリウム属細菌の菌体を培養する工程、
    前記培養する工程で得られた培養物から芳香族乳酸を含む画分を回収する工程、及び
    前記回収する工程で回収した前記画分を有効成分として製剤化する工程、
    を含む、炎症の予防又は改善のための組成物の製造方法。
  13. 前記炎症が壊死性炎症である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記壊死性炎症が壊死性腸炎である、請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記組成物が飲食品組成物である、請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 前記組成物が医薬組成物である、請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
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