JP2022055147A - 検査装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明の目的は、被検体の締結状態を信頼性高く診断することが可能な締結状態の検査装置及び検査する方法を提供することにある。
上記第1の観点による検査装置では、超音波プローブが被検体に対して所定の荷重で押し付けられるので、より安定した被検体からの超音波に対応するインピーダンスデータを得ることができる。これにより、被検体の締結状態をより高い精度で検査することが可能になる。
本発明において、荷重付与部が圧縮ばね(7)を含み、当該圧縮ばねが縮んだとき自然長に戻ろうとする復元力を前記超音波プローブの押し付け荷重とするのが好ましい。このことによって、小型で簡易な検査装置とすることができる。
図1は、実施例1に係る検査装置を示す構成説明図である。
検査装置100は、その本体を覆う本体ケース19を有しており、この内部には、本体ケース19の内面に突設された支持部31にガイドホルダー27が載置されている。ガイドホルダー27の内側に各中心軸が重なるように、フランジ部を有する軸受15がガイドホルダー27にボルトで固定されている。軸受15は、その中心軸に直交する断面は二重円形状であり、その中心軸に平行な円柱形の穴を有する。ばね受け部材9はばねを受ける面と垂直な中心線方向に円柱形の軸部を有し、該軸部は軸受15の円柱形穴と嵌合し、その中心軸方向に摺動可能な構造となっている。
ばね受け部材9は、その後端部(円柱形の軸部端面)において六角ボルト17でプレート13を固定している。さらに、ばね受け部材9は、その先端部において外筒29の後端部に互いの中心軸が重なるようにビス35で固定されている。外筒29は、中心軸に直交する断面が二重円形状面を有し、その先端部に円柱形の穴を有する固定ブロック3を備えている。同じく円柱形状の穴を有し、その中心線に直交する断面が円形の穴を有するガイド5がビス33で固定ブロック3に中心軸が一致するように固定されている。
プローグ1は、その中心軸に直交する面に平行に取り付けられたフランジ21の周縁部で、プローブ1の中心軸が軸受15やガイド5の中心軸と一致するように固定ブロック3に固着されている。このように、フランジ21はプローグ1と外筒29の連結部となっている。
検査装置100のプローブ1の先端を被検体を構成する締結ネジ39の頭部に押し付けた状態で、本体ケース19に力を加えると、本体ケース19が締結ネジ39の方向へ移動し、図2に示すように、調整ネジ23の先端が六角ボルト17の頭部に当接して止まる。
このとき、コイルスプリング7は、無負荷時のコイルばねの長さ(自由高さ)より縮んだ状態にあるので復元力が生じている。この力がプローブ1の先端が締結ネジ39の頭部を押し付ける荷重となる。事前に調整ネジ23を回転させてその先端位置を調整することにより、検査装置100が被検体に押し付ける荷重を一定の力とすることができる。
図3に示すように、判定器45は、検査装置100のプローブ1と信号線51及び53によって電気的に連結されている。また、判定器45は、調整ネジ23及び六角ボルト17(図2参照)と電気線47及び49によってそれぞれ電気的に連結されている。
検査装置100の本体ケース19の取っ手25を掴み、ガイド5の円筒形穴で締結ネジ39の頭部を覆いかぶせて、締結ネジ39の頭部に当てた状態で本体ケース19を押し付けると本体ケース19は一定距離前方へ進んで停止する。このとき、被検体はコイルスプリング(図2参照)による復元力Fの力で押し付けられている。
予め、調整ネジ23(図1参照)の先端と六角ボルト17(図1参照)の頭部までの距離と押し付け荷重との関係を求め、次に押し付け荷重を一定にして超音波の周波数とインピーダンス値との関係を求めた。図4は、インピーダンスが最大となるときの周波数を押し付け荷重との関係で示したものである。
図4から分かるように、押し付け荷重が37ニュートン以上では、押し付け荷重を変えてもインピーダンスの最大時の周波数の変化は少なく、データは安定している。このことから、測定時の押し付け荷重は37ニュートン以上が好ましく、37ニュートン以上87ニュートン以下の範囲であることがさらに好ましい。
図5に示すように、締結ネジの締結トルクが異なるとインピーダンスの波形が異なる。規定のトルクで締結されている場合、66.83kHzと67.24kHz付近に凹形状の下向きのピークが生じるが、規定トルクの1/2で締結されている場合、当該ピークが生じるときの周波数は小さくなり、それぞれ66.68kHzと67.10kHz付近に凹形状の下向きのピークが生じる。さらに、締結トクルがゼロの場合には、インピーダンスは周波数の増加と減少するが下向きのピークは現れない。
このことから、このように周波数を変えたときのインピーダンスの波形から締結状態を推測することができる。
図6の横軸は、締結ネジ39の軸中心とプローブ1の軸中心のズレの大きさを示す。横軸の数字0は両軸中心が一致していることを示し、1/4,1/2,3/4は、プローブ1の軸中心が締結ネジ39の軸中心からそれぞれ頭部の中央から周縁までの長さ(ネジの頭部の半径)の1/4,1/2,3/4ずつ離れていることを示す。
図7は、実施例2に係る検査装置200を示す構成説明図である。
図7に示すように、検査装置200の本体ケース29にはガイドホルダー37がその内面に溶接で固定されている。検査装置100の本体ケース29が備える取っ手25及び調整ネジ23は有していない。本体ケース29の上部は、例えばロボット装置のアッタチメント57などにボルトで固定できる構造になっている。その他の構成は検査装置100と同じであるので重複する説明は省略する。
図8は、実施例3に係る検査装置の使用概念図である。
検査装置200は、アッタチメント57でロボット装置61に取り付けられている。ロボット装置37は、被締結部材65と締結部材63を締結する締結ネジ39の頭部にプローブ1の先端を所定の荷重で押し付ける。プローブ1の先端には軟質材(図示せず)が設けられている。軟質材は、弾性材料からなり、締結ネジ39の頭部とプローブ1との接触を高める。プローブ1が押し付ける荷重力とプローブ1の先端位置はロボット装置61の制御部(図示せず)で制御する。プローブ1の圧電素子11(図1参照)と判定器45は信号線51及び53によって電気的に連結されている。
被締結部材65と締結部材63を締結する締結ネジ39の頭部にプローブ1の先端を所定の荷重で押し付ける。この荷重力は、ロボット装置37の制御部(図示せず)に設定する。プローブ1が放射する超音波の周波数と繰り返し変位は駆動ドライバーにより圧電素子11に電圧を印加することによって行われる。プローブ1から放射された超音波は被検体で反射され、その反射波を圧電素子11が受信する。該受信信号は信号線53を通ってインピーダンス変換部71に送られ、該受信信号に対応するインピーダンスに変換される。変換されたインピーダンス(本明細書において、「インピーダンスデータ」ということがある。)は、表示部67に表示される。判定部73は、締結ネジ39による被締結部材65と締結部材63の締結状態の良否を判定する。
図9(a)は、プローブ1を締結ネジ39の頭部に押し付けないフリーの状態でプローブ1を駆動し、表示されたインピーダンスデータを示す。一方、(b)は、プローブ1を締結ネジ39の頭部に一定の力で押し付けた状態で、プローブ1の先端から超音波を放射し、その反射波から取得したインピーダンスデータを示す。両者を比較すると、(b)では、周波数46KHz付近にインピーダンスのピークが存在するが、(a)にはない。この変化部分を締結ネジの軸力が変化するインピーダンスデータとして締結ネジの軸力の判定に使用することができる。
図10は、実施例4に係る周波数とインピーダンスの関係を示す。
図10(a)は、プローブ1を締結ネジ39の頭部に一定の力で押し付けた状態で、プローブ1の先端から超音波を放射し、その反射波の信号を変換して得られたインピーダンスデータを示す。一方、(b)は、締結ネジ39の座面が、被締結部材65に接触していない、又は、トルクが0(ゼロ)の軸力が発生しない浮き状態時に、同様にプローブ1の先端から超音波を放射し、その反射波の信号を変換して得られたインピーダンスデータを示す。両者を比較すると、(a)では、周波数44.3KHz付近にインピーダンスのピークがあるが、(b)にはない。このことから、ネジの浮きの評価は、このピークの出現の有無で検査することができる。
図11は、締結ネジの軸力(本明細書において「締結力」ということがある。)とインピーダンスの関係を示す。
締結ネジ39の軸力を予め変えて、プローブ1を締結ネジ39に一定の力で押し付けて、実施例4と同様な方法でインピーダンスデータを取得した。
締結ネジの軸力は、トルクレンチを用いて締結トルクを変えることで行った。例えば、外径8mmのネジは、定格トルク12.3Nmで締め付けた場合、9.69キロニュートンの締結力を得ることができる。締結トルクが定格トルクの半分ならば、3.85キロニュートン、1/4ならば2.0ニュートン程度の締結力をそれぞれ得ることができる。
図11に示すように、定格トルクの1/4の軸力でピーク(1)が現れ、定格トルクの半分では変化部分がピーク(2)に移動し、定格トルクのときには、ピーク(3)にインピーダンスのピークが移動する。このことは、軸力の増加に伴い、周波数の増加する方向にピークが移動することを示す。これらのピークの位置によって、締結ネジの軸力を推定することができる。
締結力とインピーダンスピークとその時の周波数の関係は、次の方法で求めることができる。
ステップ1で、締結ネジ39の頭部にプローブ1の先端を接触させない状態で、プローブ1から放射する超音波の周波数を変化させ、その反射波から得られた信号がインピーダンス変換部71で変換されたインピーダンスデータ(第2データ)を取得する。
ステップ3で、スッテプ1及び2によって得られた第2データと第1データを比較して、第1データに新たに出現したピークを見出す。
ステップ4で、ステップ3において見出したピークの周波数の周辺の周波数について、締結ネジ39の締結力を変えて、複数のインピーダンスデータを取得し、第1データと比較して新たに出現したピーク及びその周波数を得る。
ステップ6で、ステップ4又は5によって得られた締結力とインピーダンスと周波数の関係をプロットし、締結力をインピーダンスと周波数で分離する。
図12に示すように、十分な締結力がある(合格品の)ときに計測されたピークのインピーダンスと周波数は低周波数側にプロットされ、締結力が足りない(不合格品の)ときに計測されたピークのインピーダンスと周波数は高周波数側にプロットされる。
このことから、被締結部材と締結部材を締結した締結ネジ39の頭部にプローブ1を所定の荷重で押し付た状態で取得したインピーダンスピークがどこに位置するかによって被検体の締結力の合否を判定することができる。
図13は、本発明の別の実施例における周波数とインピーダンスの関係を示す。
この実施例は、締結状態を2個のインピーダンスピークから判定する方法を示したものである。図13に示すように、締結ネジの「着座」で出現するピークAと締結力の大小でピークの周波数が変化するピークBの両方をその締結の判定に使用する。この方法によると、図13に示すように、ピークAが出現しているので、この締結ネジは着座していることが分かり、ピークBの周波数によって、その締結力を評価することができる。
図14は、プローブの先端の変位と周波数関係を示す。
図14は、プローブ1を圧電素子11を用いて、圧電素子駆動ドライバー69で電圧を印加し、その先端の変位量を縦軸に時間を横軸に示している。一般的に、インピーダンスデータのばらつきが少ないデータを取得するには、この振幅値を大きく取ればよいが、圧電素子ドライバー69の能力と圧電素子11の性能によって、この変位は決まる。本実施例では、ばらつきが少ないインピーダンスデータを取得するためには、0.001μmから1.0μmの繰り返し変位と1KHzから100KHzの周波数が好ましい。
3 固定ブロック
5 ガイド
7 コイルスプリング,圧縮ばね,荷重付与部
9 ばね受け部材
11 圧電素子
13 プレート
15 軸受
17 六角ボルト
19,29 本体ケース
21 フランジ
23 調整ネジ
25 取っ手
27,37 ガイドホルダー
31 支持部
33,35 ビス
39 締結ネジ
41 前面ブロック
43 裏打ちブロック
45 判定器
47,49 電気線
51,53 信号線
55 ナット部
57 アッタチメント
59 ボルト
61 ロボット装置
63 締結部材
65 被締結部材
67 表示部
69 駆動ドライバー
71 インピーダンス変換部
73 判定部
100,200 検査装置
Claims (11)
- 超音波を送信し、被検体から反射波を受信する圧電素子を備えた超音波プローブと、
前記超音波プローブが被検体に所定の荷重で押し付けられるように、前記超音波プローブに荷重を付与する荷重付与部と
を有する被検体の締結状態を検査する検査装置 - 前記所定の荷重が37ニュートンから87ニュートンの間である請求項1記載の検査装置。
- 前記荷重付与部が圧縮ばねを含み、当該圧縮ばねが縮んだとき自然長に戻ろうとする復元力を前記超音波プローブの押し付け荷重とする請求項1又は請求項2記載の検査装置。
- 被締結部材と締結部材を締結する締結手段に圧電素子を備えた超音波プローブを所定の荷重で押し付け、前記超音波プローブが複数の周波数で前記締結手段に超音波を放射し、その反射波を受信し、インピーダンス変換部が該受信信号をインピーダンス第1データに変換し、
前記締結手段と離れた状態の超音波プローブ又は締結力がゼロの状態の締結手段に所定の荷重で押し付けられた超音波プローブが複数の周波数で超音波を放射し、その反射波を受信し、該受信信号がインピーダンス変換部で変換されたインピーダンス第2データと前記第1データを比較して、前記第1データに出現した新たなインピーダンスのピークを見出し、
判定器が前記ピークにおける周波数とインピーダンス値によって締結状態を判定する
各ステップを含む締結状態の検査方法。 - 前記所定の荷重が37ニュートンから87ニュートンの間である請求項4記載の検査方法。
- 所定の締結力を有する締結手段に所定の荷重で押し付けられた超音波プローブが複数の周波数で前記締結手段に超音波を放射し、その反射波を受信し、インピーダンス変換部が該受信信号をインピーダンス第1データに変換し、
前記締結手段と離れた状態の超音波プローブ又は締結力がゼロの状態の締結手段に所定の荷重で押し付けられた超音波プローブが複数の周波数で超音波を放射し、その反射波を受信し、該受信信号がインピーダンス変換部で変換されたインピーダンス第2データと前記第1データを比較して、前記第1データに出現した新たなインピーダンスのピークを見出すことを含む
締結力とインピーダンスピークとその時の周波数との関係を求める方法。 - 前記所定の荷重が37ニュートンから87ニュートンの間である請求項8記載の方法。
- 前記所定の締結力が正常と認められる締結力のみならず、締結力不足と認められる締結力も含む請求項7又は請求項8記載の方法。
- 被締結部材と締結部材を締結する締結手段に所定の荷重で押し付けられた、圧電素子を備えた超音波プローブが複数の周波数で前記締結手段に超音波を放射し、その反射波を受信し、インピーダンス変換部によって該受信信号からインピーダンスに変換された第1データと請求項8に記載された方法で求められた締結力とインピーダンスピークとその時の周波数との関係を比較して判定器が締結状態を判定する
ステップを含む締結状態の検査方法。 - 前記圧電素子に前記超音波プローブの先端に0.001μmから1.0μmの繰り返し変位と1KHzから100KHzの周波数を加える請求項4,5及び9のいずれか1項記載の方法。
- 超音波プローブの軸中心が締結手段の頭部の中心から周縁までの長さの1/2より内側を所定の荷重で押し付ける請求項4ないし10のいずれか1項記載の方法。
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