JP2022053991A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃費の悪化を抑制する。【解決手段】排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、バンク毎のフィルタの温度に基づいてバンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定したバンク毎の燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて燃料カットを禁止する。これにより、燃費の悪化を抑制できる。【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられる内燃機関の制御装置に関する。
従来、この種の内燃機関の制御装置としては、多気筒の内燃機関を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。内燃機関は、排気系に、バンク毎に、排気浄化装置と、排気管の排気浄化装置より上流側で燃料を添加する燃料添加弁と、を備える。この制御装置では、内燃機関の運転状態が排気管に燃料が付着しやすい状態であるときには、運転状態が排気管に燃料が付着し難い状態であるときに比して排気流量が多いタイミングで燃料添加弁から燃料を添加する。これにより、燃料を排気に乗せて排気浄化装置へ運びやすくし、燃料の排気管への付着を抑制している。
ところで、バンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた内燃機関を制御する制御装置では、燃料噴射を停止する燃料カットを行なうと、フィルタに空気(酸素)が供給されてフィルタに堆積した粒子状物質が燃焼し、フィルタの再生が行なわれる。そして、フィルタの温度が高温になると、燃料カットを禁止する。これにより、フィルタに供給される空気(酸素)量を低下させ、フィルタに堆積した粒子状物質の燃焼を抑制し、フィルタの保護を図っている。一般に、フィルタの温度は、演算負荷の低減などを目的として、全てのバンクで同一であると推定して、1つのバンクのフィルタの温度を用いて燃料カットを禁止する。しかしながら、実際のフィルタの温度は、バンク毎に異なる。そのため、1つのバンクのフィルタの温度を用いて燃料カットを禁止すると、他のバンクでは不必要に燃料カットを禁止することになり、燃費が悪化してしまう場合がある。
本発明の内燃機関の制御装置は、燃費の悪化を抑制することを主目的とする。
本発明の内燃機関の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関の制御装置は、
排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記バンク毎の前記フィルタの温度に基づいて前記バンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定した前記バンク毎の前記燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて前記燃料カットを禁止する
ことを要旨とする。
排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記バンク毎の前記フィルタの温度に基づいて前記バンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定した前記バンク毎の前記燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて前記燃料カットを禁止する
ことを要旨とする。
この本発明の内燃機関の制御装置では、バンク毎のフィルタの温度に基づいてバンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定したバンク毎の燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて燃料カットを禁止する。これにより、1つのバンクのフィルタの温度に基づいて設定した燃料許可時間を用いて燃料カットを禁止するものに比して、不必要な燃料カットの禁止を抑制できる。この結果、燃費の悪化を抑制できる。ここで、「燃料カット条件」としては、例えば、本発明の内燃機関の制御装置を内燃機関と共に車両に搭載したときには、アクセルオフのときとしてもよい。
こうした本発明の内燃機関の制御装置では、前記燃料カットが開始されてからの経過時間が前記最短許可時間を超えたときには、前記燃料カット条件が成立しているときでも前記燃料カットを禁止してもよい。こうすれば、全てのバンクのフィルタが高温に至ることを抑制できる。
本発明の車両は、
内燃機関と、
上述したいずれかの態様の本発明の内燃機関の制御装置、即ち、基本的には、排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記バンク毎の前記フィルタの温度に基づいて前記バンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定した前記バンク毎の前記燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて前記燃料カットを禁止する内燃機関の制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記経過時間が前記最短許可時間を超えているときでも、前記最短許可時間が所定時間未満のときには、前記燃料カットを許可する
ことを要旨とする。
内燃機関と、
上述したいずれかの態様の本発明の内燃機関の制御装置、即ち、基本的には、排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記バンク毎の前記フィルタの温度に基づいて前記バンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定した前記バンク毎の前記燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて前記燃料カットを禁止する内燃機関の制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記経過時間が前記最短許可時間を超えているときでも、前記最短許可時間が所定時間未満のときには、前記燃料カットを許可する
ことを要旨とする。
この本発明の車両では、バンク毎のフィルタの温度に基づいてバンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定したバンク毎の燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて燃料カットを禁止する。そして、最短許可時間が所定時間未満のときには、経過時間が最短許可時間を超えているときでも、燃料カットを許可する。これにより、燃料カットの継続時間が短くなることによるドライバビリティの低下を抑制できる。ここで、「所定時間」は、燃料カットの継続時間が短くなることでドライバビリティが低下するか否かを判定するための閾値である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての内燃機関の制御装置を搭載した自動車20の構成の概略を示す構成図である。図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車20は、図示するように、エンジン22と、トルクコンバータ28と、自動変速機30と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などの燃料を用いて各気筒の吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の各行程により動力を出力する第1、第2バンク132A、132B(それぞれ2気筒や3気筒など)を有する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、図2に示すように、エアクリーナ124により清浄された空気を吸気管126、スロットルバルブ128、インテークマニホールド(インマニ)130を介して吸入すると共に各燃料噴射弁から燃料を噴射して空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を各吸気バルブを介してエンジン本体132の各燃焼室に吸入し、各点火プラグによる電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられる各ピストンの往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。エンジン本体132の第1バンク132Aの各燃焼室から各排気バルブおよびエキゾーストマニホールド(エキマニ)134Aを介して排気管136Aに排出される排気は、浄化装置138A、ガソリンパティキュレートフィルタ(以下、「GPF」という)140Aを介して外気に排出される。また、エンジン本体132の第2バンク132Bの各燃焼室から各排気バルブおよびエキゾーストマニホールド(エキマニ)134Bを介して排気管136Bに排出される排気は、浄化装置138B、GPF140Bを介して外気に排出される。浄化装置138A、138Bは、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)を有する。GPF140A、140Bは、セラミックスやステンレスなどにより多孔質フィルタとして形成されており、排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕捉する。エンジン22は、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するECU50により燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。
トルクコンバータ28は、一般的な流体式の伝導装置として構成されており、エンジン22のクランクシャフト23の動力を自動変速機30の入力軸32にトルクを増幅して伝達したり、トルクを増幅することなくそのまま伝達したりする。トルクコンバータ28は、エンジン22のクランクシャフト23に接続されたポンプインペラと、入力軸32に接続されたタービンランナと、タービンランナからポンプインペラへの作動油の流れを整流するステータと、ステータの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチと、ポンプインペラとタービンランナとを連結する油圧駆動のロックアップクラッチ28aと、を備える。ロックアップクラッチ28aは、ECU50により駆動制御されている。
自動変速機30は、入力軸32に接続されると共に、駆動輪(前輪)36a、36bに連結された車軸にデファレンシャルギヤを介して接続された駆動軸37に接続されている。自動変速機30は、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)と、を備える。自動変速機30は、複数の摩擦係合要素の係脱により第1速から第4速までの前進段や後進段を形成して入力軸32と駆動軸37との間で動力を伝達する。自動変速機30は、ECU50により駆動制御されている。なお、自動変速機30としては、最高段が第4速のものに限定されるものではなく、最高段を第3速以下としたり、第5速以上としてもよい。
ECU50は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。
ECU50には、エンジン22の運転制御やロックアップクラッチ28a、自動変速機30の制御に必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。ECU50に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト23のクランク角を検出するクランク角センサからのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Twを挙げることができる。また、吸気管126におけるエアクリーナ124とインテークマニホールド130との間に取り付けられたエアフローメータ71からの吸入空気量Qaや、スロットルバルブ128の開度を検出する開度センサからの開度THも挙げることができる。さらに、排気管136Aにおける浄化装置138Aの上流側および下流側に取り付けられた空燃比センサ76A、78Aからの空燃比AFf1、AFr1や、排気管136Bにおける浄化装置138Bの上流側および下流側に取り付けられた空燃比センサ76B、78Bからの空燃比AFf2、AFr2も挙げることができる。そして、浄化装置138A、138BとGPF140A、140Bとの間に取り付けられた温度センサ80A、80BからのGPF床温TgpfA、TgpfBも挙げることができる。また、入力軸32に取り付けられた回転数センサからの入力軸32の回転数Niも挙げることができる。さらに、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。さらに、アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。
ECU50からは、エンジン22の運転制御やロックアップクラッチ28a、自動変速機30の制御に必要な各種制御信号が出力ポートを介して出力される。各種制御信号としては、例えば、スロットルバルブ128のポジションを調節するスロットルモータや燃料噴射弁への駆動信号や、燃料噴射弁への駆動信号などを挙げることができる。また、トルクコンバータ28のロックアップクラッチ28aへの制御信号や、自動変速機30への変速制御信号などを挙げることができる。
ECU50は、クランクポジションセンサからのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、ECU50は、エアフローメータ71からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLも演算している。さらに、ECU50は、エンジン22が始動されてから運転を停止するまでの期間において所定時間毎に検出される吸入空気量Qaを積算した積算吸入空気量ΣQaを演算している。積算吸入空気量ΣQa、始動後経過時間tstは、エンジン22の運転を停止したときに値0にリセットされる。
こうして構成された実施例の自動車20は、運転者のアクセルペダル63の操作に応じて、エンジン22からの動力を駆動輪36a、36bに出力して走行する。
実施例の自動車20は、シフトポジションSPに応じて自動変速機30を制御する。シフトポジションSPがDポジションやRポジションのときには、基本的には、自動変速機30が第1速~第4速のいずれかの状態やリバースの状態となるよう自動変速機30の複数の摩擦係合要素を制御する。シフトポジションSPがNポジションやPポジションのときには、複数の摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)を全て開放する。
実施例の自動車20は、アクセルペダル63がオフされたときには、各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行する。燃料カット中は、GPF140A、140Bに空気(酸素)が供給されてGPF140A、140Bに堆積した粒子状物質が燃焼し、GPF140A、140Bの再生が行なわれる。
次に、こうして構成された実施例の自動車20の動作、特に、アクセルペダル63がオフされて燃料カットを実行しているときの動作について説明する。図3は、ECU50により実行される燃料カット可否判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、アクセルペダル63がオフされているときに所定時間(例えば、数msecなど)毎に繰り返し実行される。
本ルーチンが実行されると、最初に、GPF床温TgpfA、TgpfBや燃料カット経過時間tfc、PM堆積量MpmA、MpmBを入力する処理を実行する(ステップS100)。GPF床温TgpfA、TgpfBは、温度センサ80A、80Bにより検出されたものを入力している。燃料カット経過時間tfcは、燃料カットの実行が開始されてからの経過時間としてECU50の図示しないタイマで計測されたものを入力している。燃料カット経過時間tfcは、燃料カットが停止したときに値0にリセットされる。PM堆積量MpmA、MpmBは、GPF140A、140Bに捕捉された粒子状物質の推定される堆積量であり、エンジン22の運転中に演算される。ここで、PM堆積量MpmA、MpmBの設定について説明する。なお、PM堆積量MpmA、MpmBは、同様の手法で設定することから、実施例では、PM堆積量MpmAの推定についてのみ詳細に説明する。
エンジン22の燃料噴射が行なわれているときには、ECU50は、最初に、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaと冷却水温Twと積算吸入空気量ΣQaとからGPF140Aへ排出された粒子状物質の排出量(PM排出量)MpmexAを設定する。PM排出量MpmexAの設定は、エンジン22の回転数と冷却水温と吸入空気量と積算吸入空気量と1つのバンクでのPM排出量との関係を予め実験や解析などにより求めて排出量設定用マップとしてROMに記憶しておき、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaと冷却水温Twと積算吸入空気量ΣQaとを排出量設定用マップに与えて対応するPM排出量として導出された値に係数kexを乗じた値として設定する。排出量設定用マップでは、PM排出量は、エンジン22の回転数が高いときには低いときに比して大きくなり、吸入空気量が大きいときには小さいときに比して大きくなり、冷却水温が低いときには高いときに比して大きくなり、積算吸入空気量が小さいときには大きいときに比して大きくなる。係数kexは、吸入空気量Qaが小さいときには大きいときに比して大きくなるように設定されている。これは、エンジン22の回転数が高いときには低いときに比して単位時間あたりに燃焼室から排出される粒子状物質の量が大きくなり、エンジン22の吸入空気量が大きいときには小さいときに比してGPF140Aに流入する粒子状物質の量が多くなり、冷却水温が低いときには高いときに比してエンジン22の暖機が十分ではなく燃焼室から排出される粒子状物質の量が多くなり、積算吸入空気量が小さいときには大きいときに比してエンジン22の暖機が十分ではなく燃焼室から排出される粒子状物質の量が多くなることに基づく。
こうしてPM排出量MpmexAを設定すると、ECU50は、既に演算されているPM堆積量MpmA(演算前MpmA)に設定したPM排出量MpmexAを加えた値(=演算前MpmA+MpmexA)をPM堆積量MpmAとする。
エンジン22の燃料噴射が行なわれていないとき(例えば、アクセルペダル83がオフのとき)には、ECU50は、GPF140Aでの粒子状物質の燃焼量(PM燃焼量)MpmcAを設定する。
PM燃焼量Mpmcは、PM堆積量とGPF140Aの温度(GPF床温)とエンジン22の吸入空気量とPM燃焼量との関係を予め実験や解析などにより求めて燃焼量設定用マップとしてROMに記憶しておき、既に演算されているPM堆積量MpmA(演算前MpmA)とGPF温度TgpfAと吸入空気量Qaとを燃焼量設定用マップに与えて対応するPM燃焼量として導出された値に係数kcを乗じた値として設定される。燃焼量設定用マップでは、PM燃焼量は、前回本ルーチンを実行したときのPM堆積量が大きいときには小さいときに比して大きくなり、GPF140Aの温度が高いときに低いときに比して大きくなり、エンジン22の吸入空気量が大きいときには小さいときに比して大きくなる。係数kcは、吸入空気量Qaが大きいときに小さいときに比して大きくなるように設定される。これは、前回本ルーチンを実行したときのPM堆積量が大きいときには小さいときに比して、また、GPF床温が高いときに低いときに比して、吸入空気量が大きいときには小さいときに比して、GPF140Aで燃焼する粒子状物質の量が多くなることに基づく。
そして、ECU50は、既に演算されているPM堆積量MpmA(演算前MpmA)から設定したPM燃焼量Mpmcを減じた値(=演算前MpmA-Mpmc)をPM堆積量MpmAに設定する。
次に、PM堆積量MpmAとGPF床温TgpfAとからGPF140Aが高温に至らない範囲内で許容される燃料カット時間の最大値としての燃料カット許可時間tpAを設定する(ステップS110)。燃料カット許可時間tpAの設定は、PM堆積量とGPF床温とカット許可時間との関係を予め実験や解析などにより求めて許可時間設定用マップとしてROMに記憶しておき、PM堆積量MpmAとGPF床温TgpfAとを許可時間設定用マップに適用して得られたものを設定する。図4は、許可時間設定用マップの一例を示す説明図である。カット許可時間は、PM堆積量が多いときには少ないときに比して短く、GPF床温が高いときには低いときに比して短く設定される。これは、燃料カット中は、PM堆積量が多いときには少ないときに比して粒子状物質の燃焼量が多いことからGPF床温が上昇しやすく、GPF床温が高いときには低いときに比してGPF140Aが高温に至りやすいことに基づく。
次に、PM堆積量MpmAとGPF床温TgpfAとからGPF140Aが高温に至らない範囲内で許容される燃料カット時間の最大値としての燃料カット許可時間tpAを設定する(ステップS110)。燃料カット許可時間tpAの設定は、PM堆積量とGPF床温とカット許可時間との関係を予め実験や解析などにより求めて許可時間設定用マップとしてROMに記憶しておき、PM堆積量MpmAとGPF床温TgpfAとを許可時間設定用マップに適用して得られたものを設定する。図4は、許可時間設定用マップの一例を示す説明図である。カット許可時間は、PM堆積量が多いときには少ないときに比して短く、GPF床温が高いときには低いときに比して短く設定される。これは、燃料カット中は、PM堆積量が多いときには少ないときに比して粒子状物質の燃焼量が多いことからGPF床温が上昇しやすく、GPF床温が高いときには低いときに比してGPF140Aが高温に至りやすいことに基づく。
続いて、PM堆積量MpmBとGPF床温TgpfBとからGPF140Bが高温に至らない範囲内で許容される燃料カット時間の最大値としての燃料カット許可時間tpBを設定する(ステップS120)。燃料カット許可時間tpBの設定は、上述の許可時間設定用マップを用いて燃料カット許可時間tpAの設定と同様の方法で行なわれる。
こうして燃料カット許可時間tpA、tpBを設定すると、燃料カット許可時間tpA、tpBのうち短いほうの値を判定用閾値(最短許可時間)trefに設定し(ステップS130)、燃料カット経過時間tfcが判定用閾値trefを超えているか否かを判定する(ステップS140)。ステップS130で燃料カット許可時間tpA、tpBのうち短いほうの値を判定用閾値trefに設定しているから、ステップS140は、燃料カットをさらに継続したときに、GPF140A、140Bのうちの少なくとも一方が高温に至るか否かを判定する処理となっている。
燃料カット経過時間tfcが判定用閾値tref以下のときには、燃料カットをさらに継続してもGPF140A、140Bのいずれかが高温に至ることはないと判断して、燃料カットを許可し(ステップS150)、本ルーチンを終了する。こうして燃料カットを継続することにより、GPF140A、140Bに堆積している粒子状物質を燃焼させると共に、燃費の悪化を抑制できる。
燃料カット経過時間tfcが判定用閾値trefを超えているときには、燃料カットをさらに継続すると、GPF140A、140Bの少なくとも一方が高温に至ると判断して、燃料カットを禁止して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。こうして燃料カットを禁止することにより、GPF140A、140Bへの空気(酸素)の供給が抑制されて、粒子状物質の燃焼が抑制される。これにより、GPF140A、140Bが高温に至ることを抑制できる。なお、燃料カットを禁止したときには、エンジン22をアイドル運転(自立運転)しながら走行させればよい。今、アクセルペダル83がオフされていることから、ユーザは減速を要求していると考えられる。したがって、エンジン22から動力を出力しながら走行すると、増速してユーザに違和感を与える場合がある。実施例では、エンジン22をアイドル運転することにより、ユーザの違和感を抑制できる。
以上説明した実施例の内燃機関の制御装置を搭載した自動車20によれば、バンク毎のGPF140A、140Bの温度としてのGPF床温TgpfA、TgpfBに基づいてバンク毎に燃料カット許可時間tpA、tpBを設定し、設定したバンク毎の燃料カット許可時間tpA、tpBのうち短いほうの時間として判定用閾値(最短許可時間)trefを用いて燃料カットを禁止するから、燃費の悪化を抑制できる。
実施例の内燃機関の制御装置を搭載した自動車20では、ステップS140で燃料カット経過時間tfcが判定用閾値trefより大きいときには、燃料カットを禁止している。しかしながら、燃料カット経過時間tfcが判定用閾値trefより大きいときであっても、判定用閾値trefが所定時間tj未満のときには、燃料カットを許可してもよい。ここで、所定時間tjは、燃料カットの継続時間が短くなることでドライバビリティが悪化するか否かを判定するための閾値である。これにより、燃料カットの継続が短くなることによるドライバビリティの低下を抑制できる。
実施例の内燃機関の制御装置を搭載した自動車20では、GPF140A、140Bの上流側に温度センサ80A、80Bを取り付けている。しかしながら、GPF140A、140Bの下流側に温度センサ80A、80Bを取り付けてもよい。
実施例の内燃機関の制御装置を搭載した自動車20では、温度センサ80A、80Bにより検出したGPF床温TgpfA、TgpfBを用いて燃料カット許可時間tpA、tpBを設定している。しかしながら、温度センサ80A、80Bを取り付けずに、GPF床温TgpfA、TgpfBをエンジン22の回転数Neと負荷率KLと吸入空気量Qaから演算してもよい。この場合、エンジン22の回転数と負荷率とGPF床温との関係を予め温度設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、温度設定用マップからエンジン22の回転数Neと負荷率KLとに対応するGPF床温を導出し、導出したGPF床温に一次遅れ係数kを乗じたものをGPF床温TgpfA、TgpfBに設定すればよい。温度設定用マップでは、GPF床温は、エンジン22の回転数Neが高いときに低いときに比して高くなり、負荷率KLが大きいときには小さいときに比して大きくなるよう設定される。一次遅れ係数kは、吸入空気量Qaが大きいほど小さくなるよう設定される。こうしてGPF床温TgpfA、TgpfBをエンジン22の回転数Neと負荷率KLと吸入空気量Qaから演算することにより、温度センサ80A、80Bを用いない簡易な手法でGPF床温TgpfA、TgpfBを設定できる。
実施例の内燃機関の制御装置を搭載した自動車20では、ECU50として単一の電子制御ユニットを備えているが、複数の電子制御ユニットを備えていてもよい。
実施例では、本発明を、エンジン22を備える自動車20に適用している。しかしながら、本発明を、エンジン22と、走行用の動力を出力するモータと、を搭載するハイブリッド自動車に適用しても構わない。
実施例では、本発明を自動車20に適用する場合について例示している。しかしながら、本発明は、自動車20以外でも列車など、エンジンを備えるものであれば如何なるものに適用しても構わない。また、本発明を、内燃機関の制御装置の形態としても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、ECU50が「内燃機関の制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関の制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 自動車、22 エンジン、23 クランクシャフト、28 トルクコンバータ、28a ロックアップクラッチ、30 自動変速機、32 入力軸、36a、36b 駆動輪、37 駆動軸、50 電子制御ユニット(ECU)、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、124 エアクリーナ、126 吸気管、128 スロットルバルブ、130 インテークマニホールド、132 エンジン本体、132A 第1バンク、132B 第2バンク、134A、134B エキゾーストマニホールド、136A、136B 排気管、138A、138B 浄化装置、140A、140B ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)。
Claims (1)
- 排気系にバンク毎に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられた多気筒の内燃機関に用いられ、燃料カット条件が成立しているときには燃料噴射を停止する燃料カットが行なわれるように前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記バンク毎の前記フィルタの温度に基づいて前記バンク毎の燃料カット許可時間を設定し、設定した前記バンク毎の前記燃料カット許可時間のうち最も短い最短許可時間を用いて前記燃料カットを禁止する
内燃機関の制御装置。
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JP2020160926A JP2022053991A (ja) | 2020-09-25 | 2020-09-25 | 内燃機関の制御装置 |
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