JP2022051830A - 心筋症、収縮期心機能不全及びうっ血性心不全症状の治療のためのプロベネシド - Google Patents

心筋症、収縮期心機能不全及びうっ血性心不全症状の治療のためのプロベネシド Download PDF

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Abstract

【課題】一般的に用いられているβ-アゴニストであるイソプロテレノールが、心筋の収縮力を増加させるが細胞死を増加させるところ、本発明は、このような欠点を有さない成分を提供することを目的とする。【解決手段】プロベネシドを含み、注射、経口投与又は経皮投与の少なくとも1つによって投与される組成物が、細胞死を増加させることなく、心臓細胞内のカルシウム濃度を増加させることができることを見出した。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書中に明示的に組み込まれている、先に出願された同時係属の米国出願第13/584,713号(2012年8月13日出願)の利益及び優先権を主張するものである。
本発明は一般に、プロベネシド、その代謝産物及び関連化学物質による心筋症、収縮期心機能不全及びうっ血性心不全症状の治療に関する。
米国では、ほぼ600万人の人々が、うっ血性心不全及び他の心機能不全の症状を抱えて生きている。うっ血性心不全の症状を患っている患者は、平均で6種の異なる薬物で治療されている。
現在行われている急性うっ血性心不全の管理は、後負荷の低減及び心筋収縮力の増加に基づいている。前者の治療法は、確立されており、直接的及び間接的な血管拡張薬が含まれる。残念ながら、後者に利用可能な治療法の選択肢は、ジゴキシンや交感神経作動薬(即ち、ドーパミン、ドブタミン、ミルリノン)に限定されている。交感神経作動薬は、心筋細胞においてcAMP産生を増加させる(β-ADR刺激を介して直接的に、又はホスホジエステラーゼ阻害PDIを介して間接的に)という共通のエンドポイントを共有し、不良転帰と関連することが繰り返し示されている。いくつかのメカニズムが、これらの医薬品に付随する有害転帰に関係することが示されており、この有害転帰には不整脈、アポトーシスシグナル伝達の刺激及び心筋エネルギー要求量増加が含まれる。うっ血性心不全の新しい、より安全な治療法が必要とされているが、今日まで探索に何十億ドルが投資されたにもかかわらず、ほとんどの候補は依然として同じ経路に焦点を置いたものであり、類似する有害作用プロフィールを有している。
プロベネシドは、ペニシリンの尿細管排泄を減少させるために1950年代に開発された、優れた安全性プロフィールを有する高脂溶性の安息香酸誘導体であり、それ以来現在まで、いくつかの抗生物質及び抗ウイルス薬の血清濃度を増加させるのに用いられている。プロベネシドはまた、脳、肝臓及び眼における能動輸送プロセスの競合的阻害薬であることが判明しており、これらの分野においては研究されたのであるが、腎臓に対する作用以外の臨床的使用は確立されなかった。
抗生物質の血清レベルを増加させるために開発された他の薬物と違わず、プロベネシドは、最初は、緩徐な静脈内注入によって投与された。その後、プロベネシドは、経口投与後に急速に吸収され、ピーク血清濃度が1~5時間で現れることが判明した。この薬物の水溶性調合剤は米国では簡単に入手できるが、経口投与される脂溶性のものは現在1種のみ入手可能であり、FDAによって痛風の治療について承認されている。
プロベネシド(Benemidと称する)を用いた初期の研究において、プロベネシドは、強力な尿酸排泄効果を有することが観察され、すぐに痛風治療の標準になった。プロベネシドは、有機アニオントランスポーター(OAT)の競合的阻害薬として作用し、したがって尿から血清への尿酸のOAT媒介再取り込みを防ぐことによって、腎近位尿細管(renal proximal tube)による尿酸などの有機酸の再吸収の阻害を介して血清中の尿酸レベルを低下させることが判明した。プロベネシドは有害作用プロフィールが最小であるにもかかわらず、他の痛風の治療法が有効性の改善を示したので、臨床的に使用されることは著しく減少した。
これまで、プロベネシドの利尿(diurectic)効果は、「合併症のないうっ血性心不全」を患っている患者において検討された[Bronskyら、(1955年) Diuretic Action of [Probenecid]: Its Effects Upon The Urinary Excretion of Sodium, Chloride, Potassium, and Water In Edematous Subjects、Am. J. Med. 18、259~266頁、及びKushnerら、(1954年) Effect of [Probenecid] On Excretion of Water, Sodium, and Chloride In Congestive Heart Failure、Federation Proceedings、13、435頁]。これらの検討においては、プロベネシドの腎臓に対する潜在的な効果を評価するという明確な目標を持って、2g/日又は4g/日の大用量のプロベネシドが、合併症のないうっ血性心不全のある対象に数日間にわたって経口投与された。これらの研究は、プロベネシドが強力な利尿効果を有し、その効果が潜在的な心臓効果ではなくプロベネシドの腎臓に対する側面に起因することを技術的に見出した。
最近になって、プロベネシドへの研究上の関心は、それが一過性受容器電位バニロイド2(TRPV 2)の選択的アゴニストであるという発見によって増している。TRPファミリーのイオンチャネルは、腎臓学及び神経学の文献において長年にわたって研究の対象となっている。いくつかのTRPはまた、血管緊張(TRPC1、TRPVc6及びTRPM4)、脳血流(TRPM4)、新生内膜過形成(TRPC1)及び肺高血圧(TRPC6)の重要なメディエーターであることがわかっている。しかし、最近まで、このファミリーにおけるチャネルの一部(例えば、圧負荷に反応した心肥大の発生におけるTRPC3/6/7)しか、直接的な心臓効果を有することが分かっていない。TRPVファミリーに関して、直接的な心臓効果を発見した非常に興味深い研究がある。最初に、TRPV2の心臓特異的な過剰発現は、マウス心臓の全腔の室拡張をもたらすことが観察された。その後、TRPV1ノックアウトマウスは、それらの野生型同腹仔と比較して、左前下行枝を結紮後に梗塞サイズが増加し、生存期間が短縮することが観察された。興味深いことに、他の研究者らは、特定のアゴニストによるTRPV1活性化により、虚血/再灌流(I/R)傷害からの保護がもたらされることを観察している。
Bronskyら、(1955年) Diuretic Action of [Probenecid]: Its Effects Upon The Urinary Excretion of Sodium, Chloride, Potassium, and Water In Edematous Subjects、Am. J. Med. 18、259~266頁 Kushnerら、(1954年) Effect of [Probenecid] On Excretion of Water, Sodium, and Chloride In Congestive Heart Failure、Federation Proceedings、13、435頁 Remington: The Science and Practice of Pharmacy (第19版) A. R. Gennaro編、Mack Publishing Company、Easton、Pa. 1995年
本発明を特定の実施形態に関連して記載するが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明は、本発明の精神及び範囲内に含まれ得る全ての代替形態、変更形態及び均等形態を含む。
本発明の一態様は、対象における、本明細書中で「心機能不全」と総称する心筋症、収縮期心機能不全及びうっ血性心不全症状の治療方法であって、心機能不全及び心機能不全症状を治療するのに有効な量のプロベネシドを静脈内投与によって投与する工程を含む方法を対象とする。本発明の一実施形態において、プロベネシドは、約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲で投与する。プロベネシドは、ボーラス注射若しくは持続静脈内注入、又はボーラス(負荷用量)とそれに続く静脈内注入のうちの少なくとも1つで投与し得る。一実施形態において、プロベネシドは、約8時間~約24時間の期間にわたって投与する。プロベネシドは、短期治療、即ち、1週間未満の治療に使用することもできるし、又は長期的に、即ち、数週間、数ヶ月若しくはさらには数年の期間にわたって投与することもできる。プロベネシドは、臨床的に心機能を改善するのに十分な量で投与して、心機能不全の改善をもたらすことができる。心機能不全の改善は、例えば、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量(diuretic dose requirement)の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づいて定量化可能な臨床的観察によって決定できるようなものである。
本発明の別の態様は、対象における心機能不全及び心機能不全症状の治療方法であって、心機能不全症状を治療するのに有効な量のプロベネシドを経口投与によって投与する工程を含む方法に関する。一実施形態において、プロベネシドは、約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲で投与する。プロベネシドは、即時利用可能な製剤で又は長時間放出製剤で投与できる。長期放出製剤は、プロベネシドの治療血漿濃度を約18時間から約24時間の間の範囲の持続時間にわたって維持するように製剤化する。プロベネシドは、短期治療、即ち、1週間未満の治療に使用することもできるし、又は長期的に、即ち、数週間、数ヶ月若しくはさらには数年の期間にわたって投与することもできる。プロベネシドは、臨床的に心機能を改善するのに十分な量で投与して、心機能不全の改善をもたらすことができる。心機能不全の改善は、例えば、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量(diuretic dose requirement)の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づいて定量化可能な臨床的観察によって決定できるようなものである。
本明細書中に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付図は、本発明の例示的な実施形態を図示するものであり、前記の本発明の一般的な説明及び下記の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
ベースラインに関する及びプロベネシド200mg/kg IV投与後の長軸断面からの代表的なBモード及びMモード心エコー図である。 プロベネシドが心エコーの変化をもたらさなかったことを示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従ってプロベネシド200mg/kgをIV投与後におけるEF変化の時間経過を示すグラフである。 本発明の実施形態に従って種々の濃度のプロベネシドを注射後のEFの用量依存的変化を示すグラフである。 野生型(WT)、TRPV2+/-(HET)及びTRPV2-/-(KO)に関する、プロベネシド100mg/kgをIP投与後におけるEFの平均変化を示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従って種々の用量のプロベネシドを投与後に測定したRR間隔を示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従って種々の用量のプロベネシドを投与後に測定したPR間隔を示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従って種々の用量のプロベネシドを投与後に測定したQRS間隔を示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従って種々の用量のプロベネシドを投与後に測定した心拍数を示す棒グラフである。 本発明の実施形態に従ってプロベネシド30mg/kg IVを投与し、その5分後にプロベネシド100mg/kg IVを投与した後における+dP/dtのインビボ測定を示すグラフである。 発明の実施形態に従って、10-6プロベネシドの潅流中、90~210秒における+dP/dtの変化のLangendorff灌流測定が全て、ベースラインと有意差があることを示すグラフである。 野生型(WT)、TRPV2+/-(HET)及びTRPV2-/-(KO)マウス心臓から単離されたmRNAからの定量的RT-PCR産物を示す図である。 生理食塩水とプロベネシドとを比較する、リン酸化されたホスホランバン(p-PLN)の代表的なウェスタンブロット解析を示す図である。 生理食塩水とプロベネシドとを比較する、リン酸化されたホスホランバン(p-PLN)のウェスタンブロット解析を定量化する棒グラフである。 生理食塩水とプロベネシドとを比較する、リン酸化されたリアノジン受容体2(p-RyR2)の代表的なウェスタンブロット解析を示す図である。 生理食塩水とプロベネシドとを比較する、リン酸化されたリアノジン受容体2(p-RyR2)のウェスタンブロット解析を定量化する棒グラフである。 10-7Mプロベネシド(PROB)への曝露時の心室筋細胞の代表的な収縮記録を示す図である。 筋細胞収縮力に対するプロベネシドの用量反応曲線を示すグラフである。データ点は、4匹のマウスからの平均であり、S字形非線形回帰曲線に当てはめられている。 ルテニウムレッド(ruthedium red)で前処理した心室筋細胞に関する、10-7Mプロベネシド(PROB)への曝露時の代表的な収縮記録を示す図である。 対照及び10-7Mプロベネシド曝露下における筋細胞の短縮率(FS)に関する平均データを示す棒グラフである。 10-7Mプロベネシド(PROB)への曝露時の心室筋細胞の代表的なCa2+トランジェント記録を示す図である。 対照及び10-7Mプロベネシド曝露下におけるCa2+トランジェント振幅F/F0(左側)及び時定数タウ(右側)に関する平均データを示す棒グラフである。 対照下及び10-7Mプロベネシドに5分間暴露時における筋細胞からの細胞質Ca2+の共焦点顕微鏡ラインスキャンの画像を、ヒートマップと共に示す図である。ヒートマップは、F/F0強度(0から2で評価)を示していることが分かる。 対照下及び10-7Mプロベネシドに5分間暴露時におけるCa2+スパーク頻度に関する平均データを示す棒グラフである。 10-6Mのルテニウムレッド(RR)で前処理した及び前処理していない筋細胞における、10-7Mプロベネシドへの曝露時の細胞質Ca2+の時間経過を示すグラフである。 対照及び10-7Mプロベネシド曝露(5分間)下での筋細胞細胞質Ca2+に関する平均データを示す棒グラフである。 10-6Mのルテニウムレッドで前処理した筋細胞の、対照及び10-7Mプロベネシド曝露(5分間)下での細胞質Ca2+に関する平均データを示す棒グラフである。 10-7Mプロベネシド処理により内向きCa2+電流がないこと(左側)及び+10mVへの脱分極電圧ステップによりL型Ca2+電流が誘発されたことを示す、同一の筋細胞からのパッチクランプデータを示す図である。 10-6Mタプシガルジン(TG)で15分間前処理した筋細胞からの、5分間の10-7Mプロベネシドで5分間処理前及び処理後における細胞質Ca2+の共焦点顕微鏡ラインスキャンの画像を示す図である。 10-6Mタプシガルジンで前処理した筋細胞における、対照下及び10-7Mプロベネシド処理後の筋細胞細胞質Ca2+に関する平均データを示す棒グラフである。 種々の用量のプロベネシドの前後におけるピーク細胞質(cystolic)蛍光を示す棒グラフである。 種々の用量のプロベネシドに関する標準化した蛍光の用量反応曲線を示す直線回帰を示すグラフである。 種々の用量のプロベネシドが有意な細胞死をもたらさなかったのに対して、1mMイソプロテレノールでの処理は処理後わずか4時間で有意な細胞死をもたらし且つ処理後24時間近くではH2O2陽性対照と区別できなかったことを示す棒グラフである。 虚血傷害を有するマウス及び有さないマウスのTUNEL染色された核によって示された、プロベネシドで前処置した場合と前処置しない場合における細胞死に有意な差がないことを示す棒グラフである。 I/R傷害に供したマウスにおいて、プロベネシド投与し且つ50~60%の初期EFによって群を分けた後に心機能を心エコーによって追跡後の、初期EFとEFの変化との相関を示す散布図である。 初期EFとプロベネシド投与後のEFの変化との相関を示すグラフであり、最も軽微な損傷(40~50%)を示している。 初期EFとプロベネシド投与後のEFの変化との相関を示すグラフであり、より著しい心筋傷害を示している。 I/R傷害後に、水処置マウスが、プロベネシドで処置したマウスと比較して拡張期左室容積(LV Vol;d)を増加させたことを示すグラフである。 プロベネシドマウスが水処置マウスと比較して大きい変位によって測定される改善された心筋収縮力を有していたことを示す心エコー図である。 図11Bの心エコー図データを示すグラフである。 プロベネシドによるEF変化のわずかな(しかし、統計的に有意でない)増加を示す心エコー図である。 図11Cの心エコー図データを示すグラフである。 梗塞サイズは、45分間の虚血では30分間の虚血と比較して大きいが、いずれの時点でも対照マウスと200mg/kgプロベネシドで前処置したマウスとの間に差はなかったことを示す棒グラフである。 EFに関して、いずれの時点でも対照マウスと前処置マウスとの間に差はなかったことを示す棒グラフである。 円周方向ストレイン(circumferential strain)に関して、いずれの時点でも対照マウスと前処置マウスとの間に差はなかったことを示す棒グラフである。 プロベネシドによって前処置したIRを示す心エコー図である。 半径方向変位に関して、いずれの時点でも対照マウスと前処置マウスとの間に差はなかったことを示す棒グラフである。 ブタ健常モデルにおいて種々の用量のプロベネシドIV後に心エコーによって測定された心機能の改善を示すグラフである。 生理食塩水投与後には心機能の変化がないこと、及びプロベネシド5mg/kg IV投与後にはEFの急速な増加がみられることを示すグラフである。
本発明の一態様は、対象における、本明細書中で「心機能不全」と総称する心筋症、収縮期心機能不全及びうっ血性心不全症状の新規治療方法を対象とする。最近になって、プロベネシドは、一過性受容器電位バニロイド2(TRPV2)イオンチャネルのアゴニストと特定された。TRPV2は、カルシウム弱選択性のカチオンチャネルであり、プロベネシドのような特定のアゴニストに加えて、細胞膨潤及び熱によって活性化される。
特定の理論に束縛されるものではないが、プロベネシドは、筋細胞カルシウム濃度の用量依存的変化及び細胞によるカルシウムハンドリングの改善によって心筋細胞の収縮力を増加させる。実施例1において提供するデータに示されるように、これらのプロセスは、βアドレナリン受容体のリン酸化又はリアノジン受容体若しくはホスホランバンを介しては媒介されない。プロベネシドによって媒介される効果は、細胞死を誘発せず、臨床的に使用される交感神経作動薬と異なり、シミュレートされた心筋梗塞時の梗塞サイズの増加と関係しない。実施例2及び実施例3において実証される、プロベネシドの効果に関する作用メカニズムを理解にすることにより、心機能不全及び心機能不全症状は、プロベネシドで、より特定すると、他の用途に必要とされるより低用量のプロベネシドで、実際に、うっ血性心不全の以前の研究において使用されたプロベネシドの用量より低用量で、治療できるという驚くべき発見が可能になる。これらの観察は、治療有効用量のプロベネシドでの、急性クライシスの対象の新規治療、及び患者の長期治療につながった。
実施例中に示すように、プロベネシドは、マウスの心不全モデルにおいての陽性変力物質として作用する。重要なことに、プロベネシドは、駆出率の低い心不全マウスでは、心不全のないマウスよりも活性である。心不全マウスにおいて、プロベネシドは駆出率を正常化する。マウス心臓組織と同様に、ヒト心臓組織も、プロベネシドで心機能不全又は心機能不全症状を治療するための標的とすることができるTRPV2イオンチャネルを含む。
心機能不全又は心機能不全症状を治療する場合、プロベネシドの治療有効用量は、心拍出量が心機能不全の少なくとも一部の症状を軽減するのに十分であるように心臓の収縮力を増加させる、プロベネシド及びその活性代謝産物の血漿中レベルを達成する用量である。例えば、プロベネシドは、臨床的に心機能を改善するのに十分な量で投与して、心機能不全の改善をもたらすことができる。心機能不全の改善は、例えば、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づいて定量化可能な臨床的観察によって決定できるようなものである。
発明の一態様は、対象における心機能不全又は心機能不全症状の治療方法であって、治療有効量のプロベネシドを注射によって投与する工程を含む、方法を対象とする。一実施形態において、注射は静脈内投与である。所与の患者の心機能を適切に改善するのに必要な用量は、治療の有効性及びクリアランスの速度によって必要とされる用量設定によって大きく変動し得る。したがって、一実施形態において、プロベネシドは、約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲で投与する。用語「日」は、24時間周期であると理解される。別の実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/~約50mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。代替的実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。一実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約10mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約50mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。
治療有効量のプロベネシドの注射は、ボーラス注射で、持続注入によって、又はボーラス注射と持続注入の組合せによって投与できる。用語「ボーラス注射」は、用量が比較的短期間で送達される注射であると理解される。用語「持続注入」は、プロベネシド療法に望ましい期間にわたって用量が計量的に送達される点滴静注などによって送達される注射であると理解される。一実施形態において、プロベネシドは、約30分/日から約24時間/日の間の範囲の期間にわたって持続注入によって投与する。別の実施形態において、治療有効量のプロベネシドは、約8時間/日~約24時間/日にわたって投与する。状況によっては、プロベネシドは、少なくとも1日であって7日以下、持続点滴によって投与する。他の状況では、プロベネシドは、さらに長期間、例えば、対象の症状の治療に必要な複数の週、複数の月、又はさらには複数の年にわたる複数の日に投与できる。したがって、本発明の実施形態は、心機能不全及び心機能不全症状を治療するためのプロベネシドの長期投与を対象とする。
場合によっては、ボーラス注射と持続注入との組合せが、対象の治療に望ましいことがある。例えば、ボーラス注射は、負荷用量、即ち、対象におけるプロベネシドの所望の治療レベルを急速に達成するプロベネシドの用量を送達するのに使用でき、持続注入は、所望の治療持続期間にわたって所望の治療レベルを維持し又はさらには用量設定するのに使用できる。例えば、非代償性うっ血性心不全などによる急性窮迫の対象は、プロベネシドのボーラス静脈内注射によるで、即時治療を必要する可能性がある。初期ボーラス注射の後、対象は次に、続いて、持続注入などによってその後一定期間にわたってプロベネシドの維持投与又は用量設定を必要とする可能性がある。別法として、プロベネシドの維持投与は、その後のボーラス注射によって達成することもできる。プロベネシドの持続注入はまた、代償性うっ血性心不全又は他の形態の心機能不全を有する対象の治療に有用である。
本発明の別の態様は、対象における心機能不全及び心機能不全症状の治療方法であって、治療有効用量のプロベネシドを経口投与によって投与する工程を含む方法を対象とする。一実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約25mg/kg/日の範囲の投与量を含む。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約20mg/kg/日の範囲の投与量を含む。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約15mg/kg/日の範囲の投与量を含む。プロベネシドのこの経口用量は、24時間の間に単回投与又は複数回投与で投与でき、一般に、数日、数週、数ヶ月又はさらには数年の期間にわたって投与できる。一実施形態において、プロベネシドは、少なくとも2週間にわたって対象に経口投与し、代替的実施形態においては、プロベネシドは、複数月又は1年以上にわたって投与する。したがって、本発明の実施形態は、心機能不全及び心機能不全症状を治療するためのプロベネシドの長期投与を対象とする。
本発明の別の態様は、対象における心機能不全又は心機能不全症状の治療方法であって、プロベネシド及びその活性代謝産物の治療血漿濃度を約18時間/日から約24時間/日の間の範囲の持続時間にわたって維持するプロベネシドの長時間放出製剤を投与する工程を含む、方法を対象とする。長時間放出製剤は、経口製剤、注射製剤(injected formulation)又はさらには経皮製剤であることができる。一実施形態において、長期間放出製剤は、臨床的に心機能を改善するプロベネシドの総用量を含み、心機能不全の改善をもたらすことができる。心機能不全の改善は、例えば、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づいて定量化可能な臨床的観察によって決定できるようなものである。プロベネシドの投薬は、所望の効果の達成及び維持のために用量設定を必要とするであろう。したがって、心機能を適切に改善するのに必要な用量は、所与の対象に関して治療の進行につれて及び対象間で大きく異なり得る。したがって、一実施形態において、プロベネシドは、約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲で投与する。用語「日」は、24時間周期であると理解される。別の実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/~約50mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。代替的実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。一実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約10mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約50mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。一実施形態において、プロベネシドは、少なくとも2週間にわたって対象に経口投与し、代替的実施形態においては、プロベネシドは、複数月又は1年以上にわたって投与する。したがって、本発明の実施形態は、心機能不全及び心機能不全症状を治療するためのプロベネシドの長期投与を対象とする。
本発明の別の態様は、対象における心機能不全又は心機能不全症状の治療方法であって、治療有効量のプロベネシドを、ゲル剤又はパッチ剤などによる経皮投与によって投与する工程を含む、方法を対象とする。一実施形態において、経皮製剤は、プロベネシド及びその活性代謝産物の治療血漿濃度を約18時間/日から約24時間/日の間の範囲の持続時間にわたって維持する。一実施形態において、経皮製剤は、臨床的に心機能を改善するプロベネシドの総用量を含み、心機能不全の改善をもたらすことができる。心機能不全の改善は、例えば、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づいて定量化可能な臨床的観察によって決定できるようなものである。プロベネシドの投薬は、所望の効果の達成及び維持のための用量設定を必要とするであろう。したがって、心機能を適切に改善するのに必要な用量は、所与の対象に関して治療の進行につれて及び対象間で大きく異なり得る。したがって、一実施形態において、プロベネシドは、約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲で投与する。用語「日」は、24時間周期であると理解される。別の実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。代替的実施形態において、長時間放出製剤は、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日の範囲のプロベネシドの総用量を含む。一実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日の範囲である。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約10mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。別の実施形態において、プロベネシドの治療有効量は、約50mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の投与量を含む。一実施形態において、プロベネシドは、少なくとも1週間にわたって対象に経皮投与し、代替的実施形態においては、プロベネシドは、複数月又は1年以上にわたって投与する。したがって、本発明の実施形態は、心機能不全及び心機能不全症状を治療するためのプロベネシドの長期投与を対象とする。
治療血漿濃度の達成は、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せによるなどして、対象の新機能の臨床的改善を定量化することによって評価できる。別法として、プロベネシド及びその代謝産物のレベルは、対象の血液で測定し得る。例えば、NYHA分類を、例えば4から3まで1下げることは、定量化可能な改善である。長時間放出及び経皮製剤は、非代償性うっ血性心不全を患っている対象の救助に使用できると同時に、これらの製剤は、心機能不全及び心機能不全症状を患っている対象に対してプロベネシドを維持及び用量設定するのに特に有用である。
プロベネシドの投薬及び投与経路は、対象の最適治療をもたらすために組合せてもよい。例えば、プロベネシドは、非代償性心不全などの心機能不全を有する急性疾患の対象において、ボーラス療法として1/mg/kg~50mg/kgの用量で投与できる。この治療が症状の改善に十分な場合、医師は、1mg/kg/時間~最高100mg/kg/時間の速度で持続注入を開始し、必要に応じて個々のシナリオに基づき用量設定することを選択できる。さらにまた、一部の患者には、ゲルの形態又は分割カプセル剤によって1日200mgから最高1日4grの範囲で投与できる非経口プロベネシドへの移行が必要な場合がある。
本明細書中で使用するプロベネシドは、プロベネシドの医薬として許容される塩、並びにプロドラッグ、異性体及び多形体、並びにプロベネシドに構造的に関係する又はプロベネシドから誘導される誘導体を含む。医薬として許容される担体中のプロベネシドの組成物を、インビボで投与できる。「医薬として許容される」とは、生物学的に又はその他の面で不所望でない材料を意味する。したがって、組成物は、不所望な生物学的作用を引き起こすことがなく、又は医薬組成物中に含まれる医薬組成物のいかなる他の成分とも有害な相互作用をすることがなく、対象に投与することができる。当業者ならば分かることであるが、当然ながら、担体は、プロベネシドのいかなる分解も最小限に抑え且つ対象における有害な副作用を最小限に抑えるように選択する。
好適な担体及びそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第19版) A. R. Gennaro編、Mack Publishing Company、Easton、Pa. 1995年に記載されている。静脈内投与の場合は、製剤を等張性にするために、適切な量の医薬として許容される塩を製剤中に使用する。医薬として許容される担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定するものではない。溶液のpHは、医薬として許容される範囲、好ましくは約5~約8.5、より好ましくは約7.8~約8.2である。さらなる担体としては、持続放出調合剤、例えば、医薬品組成物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、マトリックスは、成形品、例えば、フィルム、リポソーム又は微小粒子の形態である。一部の担体が、例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度によってより好ましい場合があることは当業者には明らかであろう。例えば、当業者は、前述のような注射によって又は経口摂取によって体に取り込むのに好適な特定の担体を選ぶことができる。
一実施形態において、プロベネシドの注射製剤は、0.1モルの水酸化ナトリム中にプロベネシド粉末(酸形態)を溶解させることによって調製する。次に、この溶液を0.2Mリン酸塩緩衝液(pH=7.4)で希釈する。次いで、標準生理食塩水(normal saline)又は静脈内注射に好適な他の担体を用いて、プロベネシドを原液濃度、例えば、約4.2mg/mlに希釈して、原液を形成する。次に、原液を、投与のために望ましい用量まで、生理食塩水又は他の注射可能な溶液中で希釈することができる。
経口摂取の場合は、プロベネシドは、薬物の経口投与のために当業者に知られているように、錠剤の形態にし、カプセル化し、又は液体若しくはゲル中に溶解若しくは懸濁させることができる。一部の実施形態において、プロベネシドは、持続放出のために、例えば、対象による吸収のために指定された期間にわたってプロベネシドの放出を制御する1種以上の賦形剤を用いて、製剤化する。
プロベネシドの医薬組成物はまた、プロベネシド及び担体に加えて、結合剤、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤、界面活性剤なども含むことができる。
開示した組成物は、全身投与に好適であり得る。例えば、組成物は、当技術分野で知られている他の手段によって、例えば、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射又は皮下注射)、坐剤によって、又はさらには経皮的に、例えば、ゲル若しくはパッチ製剤によって投与できる。このような製剤は、前述のようにして又は当業者に知られているようにして、調製できる。
TRPVチャネルの発現に関するマウス及びヒト心筋組織の調査により、TRPV2は、全心臓試料で及び左心室で特異的に発現されるもの中で最も高いことが確証された。本研究は、動物の全身、摘出された心臓全体及び単離された心室筋細胞を検討して、心筋機能を調節するプロベネシドの能力を評価する。
方法
動物 - 野生型(WT)マウス(B6129SF2/J F2及びC57BL6J、Jackson laboratories社)及びTRPV2-/-マウス[Dr. M. Caterina(John's Hopkins、Baltimore、MD)により提供されたブリーディングペア(breeding pair)]は、12~16週齢の雄であった。
インビボ研究 - プロベネシドの静脈内投与による収縮力の研究。
心エコー評価。用量反応曲線を得るために、12~16週齢の雄C57 WT(n=39)マウスをイソフルランで麻酔すると同時に、既に記載されているようにして顕微鏡下で頸静脈の静脈内アクセス(IV)を得た。続いて、Mモード及びとBモードの両方での心エコー検査(echocardiographic study)は、後述するように傍胸骨長軸(PSLAX)で得た。生理食塩水又は種々の用量のプロベネシド(2mg/kgから200mg/kgまで増加させる)を、WTマウスにおいて初期収縮力の研究のために注射した(ボーラスIV)。
侵襲的評価。 - 用量範囲が決定されたら、異なる群のWTマウスを、ケタミン(50μg/g)及びイナクチン(チオブタバルビタール、100μg/g、Sigma社、MA)の腹腔内注射によって麻酔した。気管切開を行い(PE-90)、体温をモニターし、フィードバック制御された暖房テーブルで維持した。右大腿動脈に、血圧測定のための液体充填ポリエチレンチューブ管をカニューレ挿入し、低コンプライアンス圧力トランスデューサー[COBE Cardiovascular社、(Arvada、CO)]に接続した。右大腿静脈に、薬物の送達のためにカニューレ挿入した。高忠実度の1.2-French SciSence圧力カーテル[SciSence社(London、ON、Canada)]を、右頸動脈に挿入し、左心室まで進めて、心臓性能をモニターした。ECGリードを左右の腕及び左脚に配置し、BIOAmp[AD Instruments社(Colorado Springs、CO)]に接続した。頸動脈血流量を測定するために、左頸動脈を単離し、TS420流量計[Transonic Systems社(Ithaca、NY)]に接続された0.5-PSB血管周囲流量プローブを装着した。100μg/μlプロベネシドの実験用溶液を、大腿静脈カテーテルを介して30及び100mg/kgのボーラスとして、各用量間隔5分で送達させた。血行力学的変数を収集し、MacLab 4/Sシステム[AD Instruments社(Colorado Springs、CO)]及びChartソフトウェアを用いて解析した。
WT、TRPV2+/-及びTRPV2-/-マウスを用いた収縮力の研究 - 前記実験の結果に基づき、プロベネシドの100mg/kgの用量が最大収縮力反応をもたらすと判断された。次に、起こり得る手術のストレス作用を低減するために、マウスにプロベネシドを腹腔内(IP)注射した。WT、TRPV2+/-及びTRPV2-/-マウスを、後述するように注射後30分にわたってエコーでモニターした。
心エコー - 全ての心エコー検査は、MS400プローブ(センターライン周波数30MHz)を備えたVevo 2100 Ultrasoundシステム[Visualsonics社(Toronto、Canada)]で行い、別個のワークステーションにおいてVevostrainソフトウェア[Vevo 2100、v1.1.1 B1455、Visualsonics社(Toronto、Canada)]で後処理した。画像を、Mモード及びBモードの両方において深さ2から10mmの間のPSLAX及び短軸(SAX)断面から得た。I/R傷害に曝露されたマウスの全検査は、PSLAXにおいてMモード、Bモード及びSAXにおいてストレインイメージングを含むものであった。さらに、収縮力の研究のために、Mモード測定値のみをPSLAXから得た。ストレインイメージングを、Bモード画像から行ない、局所的な半径方向ストレイン及び円周方向変位を局所壁によって測定し、SAX画像からの平均値を合計した。Mモード画像から、左心室の内腔サイズ及び壁厚を測定した。駆出率(EF)及び短縮率(FS)の計算値を、Vevoソフトウェアを用いて得た。
EF、FS並びにストレインに由来するパラメーターの変化は、その後の時点に対して個々の対象からベースライン値を減算することによって得た。加えて、5分から30分の間の各時点に関するベースラインからの平均変化を、各マウスについて、5分毎に測定を行うことによって求めた。これらの平均値を、異なる群間で比較した。
インビボ電気生理 - 全ての心エコー検査中に、心電図のデータを得た。続いて、これらの検査を、全時点において独立した盲検リーダーが解析して、心電図変化及び薬物誘発性不整脈について評価した。PR間隔、RR間隔、QRS幅のパラメーターを測定し、ピーク変化として報告し、同時に、上室性不整脈又は心室性不整脈の存在を、30分で得られた全画像にわたって観察された合計として判定した。
エキソビボ(Langendorff)の研究 - 摘出心臓実験を、WTマウスについて前述したようにして行った。心臓がペーシングによって400bpmの定常状態に達した後、プロベネシド(10-6M)を、最高5分間にわたってシリンジポンプを用いた連続潅流によって心臓に灌流させた。測定は、1秒毎に行った。5分間のプロベネシドの潅流後、心臓をカニューレから取り外し、ウェスタンブロット解析のためにN2中で急速冷凍させた。
分子的研究
定量的RT-PCR - WT、TRPV2+/-及びTRPV2-/-マウスからRNA単離及びqRT-PCRのために得た心臓(LV)を、急速冷凍し、-80℃で保存した。TRPV2転写レベルを見積もるために、全RNAを単離し[RNeasyキット; Qiagen社(Valencia、CA)]、製造業者の指示に従って、198塩基対の産物を産生する、C末端に位置するプライマー5'-CTACTGCTCAACATGCTC-3'(センス)(配列番号1)及び5'-CTCATCAGGTATACCATCC-3'(アンチセンス)(配列番号2)を用いて、cDNAを合成した[high Capacity RNA-to-cDNAキット; Applied Biosystems社(Carlsbad、CA)]。全ての試料について、最低3つの独立した実験的複製を三重反復で行い、発現の差を、δ-δCt概算法を用いて18S mRNAを負荷対照として算出した。必要に応じて、プライマー効率のための補正を、Pfaffl法を用いて行った。
ウェスタンブロット解析 - タンパク質発現のために使用するWT心臓を、Langendorff実験からの対照マウス(C57、12~16週齢)から摘出した。カルシウムハンドリングタンパク質(calcium handling protein)に関する総タンパク質は、80mMイミダゾール、300nMスクロース、1mM DTT、10mMピロ亜硫酸ナトリウム、プロテアーゼ阻害剤カクテルP834[Sigma社(St. Louis、MO)]及びホスファターゼ阻害剤カクテルセットII[EMD、Merck社(Darmstadt、Germany)]を含有する氷冷緩衝液中で心臓全体をホモジナイズすることによって単離した。タンパク質濃度は、BCA Protein Assayキット[Pierce、Thermo Scientific社(Rockford、IL)]を用いて測定した。
タンパク質のアリコートをSDS-PAGEゲル[Novexゲル、Invitrogen社、(Eugene、OR)]上で分離し、次いでニトロセルロース膜[Bio-Rad社、(Hercules、CA)]に転写し、5%BSAでブロックした。膜は、一次抗体で解析した。適当な場合には、膜を半分に切って、2つの異なる一次抗体を使用できるようにした。上半分はCa2+ハンドリングタンパク質の1つに、下半分(60kD未満)は、正常化タンパク質、アクチンに使用された。2つのタンパク質のサイズが近すぎるために膜を切ることが適当でない状況では、第1のタンパク質の後で膜をストリップした。また、膜は、リン酸化タンパク質と対応する総タンパク質の一次抗体の間でストリップした。表Aは、負荷された各タンパク質の量、タンパク質のサイズ、希釈及び製造業者を示している。
単離筋細胞、カルシウム取り込み及びハンドリング
心室筋細胞の単離 - WTマウス(12週齢)からの心臓を、LangendorffシステムでNaCl 118mM、KCl 5.4mM、HEPES 10mM、NaH2PO4 0.33mM、MgCl2 2mM、グルコース10mM、タウリン30mM、ブタンジオンモノオキシム10mMから構成される修正Krebs-Henseleit緩衝液(KHB) (pH=7.4)を用いて灌流させた。次いで、酵素溶液(0.7mg/ml II型コラゲナーゼ、0.1%BSA及び25μM CaCl2を含有するKHB)を用いて、心臓を10分間消化した。最後に、心臓の心室を切除し、細かく切り刻み、濾過して、単離細胞を得た。十分に沈降させた後、上清を除去し、細胞を再懸濁させた。
筋細胞収縮力の測定 - 筋細胞は、NaCl 140mM、KCl、5.4mM、MgCl2 1mM、CaCl2 1.8mM、HEPES 5mM、グルコース10mMから構成されるタイロード液(pH=7.4)を含むプレキシガラスチャンバー上に置いた。筋細胞を、0.5Hzの電場刺激下で興奮させた。定常状態に達した後に、筋細胞の短縮並びに短縮率(+dL/dt)及び再伸長率(-dL/dt)を、CCDカメラで画像化し、ビデオエッジ検出器でモニターした。薬物をタイロード液に溶解させ、チャンバー中に灌流させた。データを、PCLAMP 9ソフトウェアによって連続的に収集した。
筋細胞Ca2+トランジェント及び細胞質Ca2+の測定 - 筋細胞に、Fluo-4アセトキシメチルエステル(7μM)を室温で20分間負荷し、続いてタイロード液で10分間洗浄し、次いで記録のためにプレキシガラスチャンバー上に置いた。Ca2+トランジェントの測定のために、筋細胞を、0.5Hz及び3Hzの電場刺激下で興奮させ、蛍光シグナルをNikon TE 2000顕微鏡を用いて得て、InCyt Standard測光システムによって収集した。静止状態の筋細胞における細胞質Ca2+の分析のために、Zeiss LSM 510共焦点顕微鏡を用いて、静止筋細胞からの蛍光画像を記録した。ラインスキャンモードを、512ピクセルを0.056μm間隔で配置して、3.07ms間隔で適用した。薬物をタイロード液に溶解させ、チャンバー中に灌流させた。筋細胞の画像は、薬物適用後30s毎に記録した。データ解析は、Clampfit 9.2及びImage J 1.44ソフトウェアを用いて行った。
水溶性プロベネシドを、筋細胞実験の全てに用いた。
電気生理学的な記録 - 単離した筋細胞に、塩化テトラエチルアンモニウム(TEA-Cl) 137mM、CsCl 5.4mM、CaCl2 2mM、MgCl2 1mM、HEPES 5mM、グルコース10mM及び4-アミノピリジン3mMを含有する、Na+及びK+を含まない溶液(pH=7.4)を灌流させた。ホールセルパッチクランプ記録を、Axopatch-1B増幅器を用いて行った。Ca2+電流の記録のために、ガラスピペットに、アスパラギン酸115mM、CsOH 115mM、CsCl 20mM、EGTA 11mM、HEPES 10mM、MgCl2 2.5mM、Na-GTP 0.1mM、Mg-ATP 2mMを含有する溶液(pHをCsOHで7.2に調整)を充填した。プロベネシドを、筋細胞を灌流させるのに用いた、Na+及びK+を含まない溶液に溶解させた。データは、pCLAMP9ソフトウェアを用いてAxon Digidata 1322Aデータ取得システムによって収集した。実験は全て、室温(24℃)で行った。
統計解析 - データは全て、平均値±平均値の標準誤差(SEM)で表す。結果は、必要に応じて、対応のある及び対応のないスチューデントt検定並びに一元配置ANOVAで解析した。P値≦0.05を、有意とみなした。検出力分析を用いて、前述のように対照群と実験群でエンドポイント測定値間に有意差が存在するかどうかを判定するのに必要な群サイズを決定した。SigmaPlotを用いて、最良適合線を作成し、用量反応曲線に関するEC50を算出した。
結果
プロベネシドは、WTではインビボでの収縮力を増加させるが、TRPV2-/-マウスでは増加させない。 - WTマウスへのプロベネシドの投与は、EFによって測定される収縮力を、生理食塩水を与えた対照マウスにおけるEFと比較して増加させた(図1A)。収縮力の増加は、75mg/kg以上の全ての用量においてボーラス注射後5分以内に認められた(75mg/kg、100mg/kg及び200mg/kgに関するピーク変化はそれぞれ、5.26±3.35、8.40±2.80、7.32±2.52)(図1B及び図1C、75及び100mg/kgに関してはデータは示さず)。5分間隔(合計30分間)で測定した収縮力変化により、収縮力の用量依存的な増加が明らかになり、推定EC50は49.33mg/kgであった(図1D)。EFは、より長い期間にわたって評価した対象(n=5、用量200mg/kg IV)では少なくとも1時間にわたって高い状態にどどまった(ベースラインと比べたEFの平均増加8.9±2.57、データは示さず)。
プロベネシドは、TRPV2+/-マウスに投与すると収縮力を増加させたが、収縮力のピーク変化は、WTマウスにおいて同一用量で観察されるピーク変化のわずか49%であった(図1E)。さらにまた、プロベネシドをTRPV2-/-に投与した場合、30分間の心エコー図測定の間に識別可能な心臓反応は認められなかった。
プロベネシドは、インビボマウスにおいて電気伝導に測定可能な変化を引き起こさない。 - 一般的に用いられる変力物質はさまざまな不整脈をもたらすことが知られている。上室性若しくは心室性不整脈又は心房性期外収縮若しくは心室性期外収縮は、WTマウスにおいてはプロベネシドのいかなる用量の投与後も観察されなかった。さらにまた、全ての用量において、いずれの伝導間隔にも変化は測定されず(図2A、図2B及び図2C)、WT及びTRPV2-/-マウスのプロベネシド(100mg/kg)IP間で有意差は認められなかった(図2D)。
プロベネシドは、インビボ心臓及びLangendorff灌流心臓において収縮力を増加させる。 - +dP/dtの侵襲的測定から、収縮力に対するプロベネシド(10-6M)の心臓特異的な効果を測定するのに用いたLangendorff灌流心臓と同様な効果が実証された。本発明者らは、インビボでのプロベネシドの投与が、低用量(30mg/kg)及び高用量(100mg/kg)のいずれにおいても、ピーク+dP/dtを急速に増加させることを見出した(図3A)。Langendorff灌流心臓における平均+dP/dtの経時的変化を、図3Bに示す。この変化は、90秒から210秒までが統計的に有意であること及び120秒から180秒の間で定常状態に達することが分かった(図3B)。また、弛緩(-dP/dt)も同一濃度のプロベネシドで影響され、1812±158から2309±133まで増加した(P<0.01)。プロベネシドによる処置後、心臓は、他の実験に使用するために急速冷凍した。
TRPV2 mRNAが心臓組織に見られる。 - WT、TRPV2+/-及びTRPV2-/-マウスからの定量的リアルタイムPCRにより、WTマウスからTRPV2+/-マウスまでの発現に減少が認められ、TRPV2-/-マウスに関してはカウントが検出されなかった。qRT-PCRのPCR産物を、2%アガロースゲルにかけて特異性を検証して、約200 bpの発現が認めらたが、発現はTRPV2-/-では認められず、TRPV2+/-では減少した(図4)。
カルシウムハンドリングタンパク質の発現レベルは、プロベネシドの投与後に変化しない。 - Langendorff法の動物から摘出した心臓及びタイロード液で灌流させた年齢適合対照マウス心臓を用いて、心臓全体における、ホスホランバン(PLN)及びリアノジン受容体(RyR)(リン酸化及び総タンパク質)の発現を見積もった。これらの心臓は収縮力の増加を示したにもかかわらず、これらの心臓におけるリン酸化若しくは総ホスホランバン又はリン酸化若しくは総リアノジン受容体の量に有意な変化は認められず(図5A及び図5B)、p-PLN対t-PLNの比にも有意な変化は認められなかった(図5C)。さらにまた、収縮力の増加の原因となる別のCa2+ハンドリングタンパク質があるかどうかを確認するためにナトリウム/カルシウム交換体(NCX)及びSERCA2aを検討したが、発現レベルに変化は認められないことが分かった(データは示さず)。
単離筋細胞においてはプロベネシドによる収縮力の用量依存的な増加がある。 - プロベネシドは、単離心室筋細胞の収縮力を用量依存的に増加させたことが分かった(図6)。筋細胞の短縮率(FS)は、0.1μMプロベネシドに0.5Hz及び室温において曝露した場合には30.8±1.4%増加し(6.9%から9.0%まで; n=6、P<0.01)、3Hz及び32℃において曝露した場合には10.1%から13.9%まで増加した(n=4; P<0.01);プロベネシドの作用の用量反応曲線は、EC50が1.6nMであった(図6A及び図6B)。TRPV2チャネルの非選択的遮断薬であるルテニウムレッドでの筋細胞の前処理は、筋細胞の収縮力に対するプロベネシドの効果を完全に消失させた(図6C及び図6D)。単離筋細胞において、本発明者らは+dL/dt及び-dL/dtを測定した。室温において、プロベネシド投与は80.6±12.3から112.5±16.6までの最大+dL/dtの変化をもたらし(n=10、P<0.01)、-dL/dtは57.7±7.4μm/秒から77.6±8.7μm/秒まで増加した(P<0.01)。
筋細胞Ca2+トランジェントに対するプロベネシドの効果も調べた。プロベネシドは、Ca2+トランジェント振幅(ΔF/F0)の有意な増加をもたらした(図6E及び図6F)。これは、筋細胞においてみられる短縮率の増加と一致していた。濃度0.1μMのプロベネシドは、Ca2+トランジェント振幅(ΔF/F0)を3.35±0.20から4.25±0.25まで増加させた(P<0.001)が、Ca2+トランジェントの減衰率(タウ)は、プロベネシド処理によって影響を受けなかった(図6F)。
単離筋細胞におけるプロベネシドによる細胞質Ca2+の増加。 - 細胞質Ca2+及びSR Ca2+遊離に対するプロベネシドの効果を、共焦点イメージングを用いてさらに調べた。プロベネシド(0.1μM)は、SR遊離の顕著な増加(Ca2+スパーク頻度により測定)及び細胞質Ca2+濃度の段階的な増加を引き起こした(図7A及び図7B)。平均して、スパーク頻度は、1.45±0.09から2.99±0.24までの2倍の増加を示した。細胞質Ca2+は、プロベネシド処理の1分後に増加し始め、典型的には約5分後にピークに達した(図7C)。定常状態に達した時点で、細胞質Ca2+は、プロベネシド処理下では対照と比較して2.5±0.2倍増加していた(図7D)。ルテニウムレッド(1μM)を筋細胞に適用した場合には、プロベネシドによる細胞質Ca2+の増加は完全に遮断された(図7E)。パッチクランプ実験は、プロベネシドは有意な膜貫通Ca2+流入をトリガーしないことを示している。筋細胞を-70mVに保持し且つ0.1μMプロベネシドに曝露した場合には、測定可能な内向きCa2+電流は検出されなかった(図7F、左側)。しかし、-70mVから+10mVへの細胞膜の脱分極は、ロバストなL型Ca2+電流を誘発した(図7F、右側)。SR Ca2+遊離の増加は、細胞質Ca2+レベルの増加において主要な役割を果たすように思われた。SERCA遮断薬であるタプシガルジンによってSR内容物を空にすると、プロベネシドによる細胞質Ca2+の変化は消失した(図7G及び図7H)。
プロベネシドは、これまで認識されていなかった陽性変力性を有しており、効果はTRPV2チャネルによって媒介される。
これらのデータは、プロベネシドは、心エコーによって及び侵襲的測定によって用量依存的に測定した場合、マウス心臓において収縮力を増加させたことを示している。しかし、これらの研究には、動物にとって外傷性であり且つ交感神経反応を刺激する可能性がある頸静脈カテーテルの導入が必要であった。より低用量(100mg/kg)のIP注射は、より簡単な投与方法で同様な効果を有することが観察され(したがって、この方法及び用量を残りの研究で用いた)。
プロベネシドは、脳、CSF及び血漿中の特定のモノアミンの一過性増加を引き起こすことが文献記載されている。これらの研究は、プロベネシド療法が、イヌにおける5-HIAA及びHVA(それぞれ、セロトニン及びドーパミンの酸代謝産物である)の濃度並びにヒトにおけるノルエピネフリン又はDOPAC(これも、ドーパミンの酸代謝産物である)のレベルを上昇させ得ることを示唆した。一連の実験は、β-アドレナリン作動性(β-ADR)経路がプロベネシドの投与によって刺激されているどうかを確認するために行った。インビボ実験で観察された収縮力の増加は、RyR又はPLNのβ-ADR媒介リン酸化によってではなく、カルシウム依存性メカニズムによって起こると結論づけられた。β-ADR刺激が心毒性作用を有し、結果として酸素要求量の増加による梗塞サイズの増加、心筋細胞アポトーシスの誘発及び肥大をもたらすことが広く文献記載されているため、並びにβ-拮抗作用が心保護的であり且つ心不全の治療において安全であることが知られているため、このことは重要である。したがって、心臓のβ-ADR刺激(直接又は間接的)は、収縮力を増加させるが、虚血及び細胞死の増加を伴い、虚血性心疾患患者においては傷害性であるとみなされる。ここに示されたデータは、エキソビボ及びインビボ実験によって、プロベネシドの作用メカニズム(即ち、収縮力を増加を引き起こす)がこれらの経路に依存しないこと及び虚血性心疾患患者において陽性変力物質として潜在的に有用であり得ることを実証している。さらにまた、WT及びTRPV2-/-マウスに対するプロベネシドのIP又はIV投与前、投与中及び投与後の全ての心電図記録の極めて徹底的な解析により、測定した心電図変数のいずれにも不整脈及び有意な変化がないことが実証された。これは、心房性頻脈及びAV伝導欠陥(ジゴキシン)並びに心室性及び上室性不整脈(ドーパミン、ドブタミン、イソプロテレノール(isoprotenelol))を含む著しい不整脈をもたらす、一般的に使用されている変力物質と大きく異なる。
初期のインビボ実験は、収縮力の増加のみを記載し、メカニズムについては記載していないが、本発明者らは、その後、プロベネシドの心臓特異的効果から全身を切り離すために一連のLangendorff実験を行った。これらの実験は、インビボで観察されたのと同様な収縮力の増加を示した。一連の予備実験で使用した10-6Mの濃度は、この用量が最も再現性がある反応をもたらすことを示した。さらにまた、これらの実験が同様な時間枠(いずれの場合も5分)内で収縮力の対応する変化を生じたという事実は、陽性変力作用の主要因としてのアドレナリン作用性緊張(adrenergic drive)の著しい全身的増加と明らかに相反する。本発明者らが短縮率(+dL/dt)及び再伸長率(-dL/dt)を測定した場合に、収縮力の増加が単離筋細胞における弛緩率の増加と関連することも観察された。それらは同一でないとしても、エキソビボ研究でみられる収縮率(+dP/dt)及び弛緩率(-dP/dt)に匹敵する。
プロベネシドは、すでに2007年にTRPV2発現HEK293細胞を用いてTRPV2アゴニストと特定された。Fluro-3 AMカルシウムイメージング実験から、プロベネシドは、TRPV2発現細胞においては細胞質Ca2+の著しい増加を誘発するが、TRPV1、TRPV3、TRPV4、TRPM8及びTRPA1を含む他のサーモTRPチャネルを発現する細胞においては誘発しないことが実証された。サーモTRPチャネルファミリーのメンバーとして、TRPV2は、侵害的熱(>52℃)によって活性化されるCa2+選択的チャネルであり、TRPV2の活性化は、後根神経節に限局されるニューロン細胞中においてCa2+流入をもたらすことが示されている。細胞質Ca2+及び筋細胞収縮力に対するプロベネシドの刺激作用は、TRPV2チャネルの活性化を伴うと仮定された。この仮説は、TRPV2チャネルの遮断薬であるルテニウムレッド(RR)が、収縮力及び細胞質Ca2+レベルの両方に対するプロベネシドの効果を完全に消失し得ることによって裏付けられる。RRは、TRPVチャネルの一般的なアンタゴニストとして確立されており、それらの水性ポアを遮断することによって作用するが、また、それはミトコンドリアのカルシウム取り込み及びリアノジン受容体のカルシウム放出に影響を及ぼすことも示されている。
TRPV2-/-マウスを入手して、インビボで機能実験を行ったところ、プロベネシド(100mg/kg)への曝露後に、TRPV2+/-マウスでは収縮力が約50%減少したが、TRPV2-/-マウスでは機能に変化が全くなかった。これらの発見は、収縮力の増加に対するTRPV2受容体の必要性を論じるものであるが(それは全身ノックアウトであり、心臓特異的ノックアウトでないため)、その効果が心筋細胞のこれらの受容体に直接依存することを立証していない。
細胞レベルにおいては、データは、プロベネシドがマウス心室筋細胞においては収縮力を増加させたことを示しているが、心臓線維芽細胞については個別に検討しなかった。TRPV2が、種々の型の線維芽細胞中に存在し、活性であることは分かっており、これは、観察された効果に潜在的に関与している可能性がある。また、プロベネシドはCa2+トランジェントの振幅を増加させることもわかった。静止状態の筋細胞では細胞質Ca2+濃度の段階的な増加が観察された。興味深いことに、測定可能な内向きCa2+電流は、プロベネシドへの曝露時に検出されなかった。このことは、筋細胞へのCa2+流入が、プロベネシドによってトリガーされた細胞質Ca2+レベルの増加の直接原因ではなかったこと示唆している。むしろ、SR Ca2+遊離の増大が、細胞質Ca2+増加において主要な役割を果たすように思われた。プロベネシドはCa2+スパーク頻度を著しく増加させること、及びSERCA遮断薬でSRを空にすることにより細胞質Ca2+に対するプロベネシドの効果が消失することが分かった。
実施例1のデータは、プロベネシドが、これまで認識されていなかった陽性変力性を有することを実証する。実施例1のデータはまた、プロベネシドは、有意な悪性の電気生理学的性質を有さず(即ち、不整脈が認められなかった)、したがって、心不全の治療に有用な薬物であり得ることを実証している。他の陽性変力物質は細胞傷害性であることが知られているので、実施例2のデータは、マウス虚血性心疾患モデルにおいて、プロベネシドの潜在的細胞毒性/アポトーシス性及び陽性変力物質としてのその潜在的使用を実証する。これらのデータは、プロベネシドが、従来から使用されている変力物質とは異なるメカニズムによって機能すること、及び収縮力を増加させ且つ虚血後の心機能を改善させるが、細胞生存期間を短縮することもアポトーシスを増加させることもないことを示唆している。確立されている、臨床的に関連したマウス虚血/再灌流(I/R)モデルに加えて、HL-1心臓細胞株を使用してインビトロでデータを生成し、心エコーによって心機能をモニターした。
方法
細胞生存率アッセイ - 細胞生存率は、ApoTox-Glo Triplex Assay[Promega社(Madison、WI)]を用いて製造業者の指示に従って見積もった。簡潔には、HL-1細胞を、96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルの密度で播種し、10% FBS、100U/mlペニシリン/ストレプトマイシン及び2mM L-グルタミンが補充されたClaycomb培地中で一晩成長させた。細胞を、総容量100μlの補充成長培地中で指示用量のプロベネシド又はイソプロテレノールで処理し、一晩インキュベートした。次いで、GF-AFC(GF-AFC viability)を、ApoTox-Glo Assay Bufferに2.0mlのAssay Bufferに対してGF-AFC 10μlの比率で加え、この混合物20μlを各ウェルに加え、細胞を37℃で30分間インキュベートした。400nm(ex)/505nm(em)において蛍光を測定し、データを非処理の対照細胞に対して標準化した。
水溶性プロベネシドを、実験の全てに用いた。
Ca2+蛍光のイメージング及び測定。 - HL-1細胞は、前述のようにして得た。解離細胞を、6ウェルプレート(BD Falcon)の各ウェルの内部に配置したガラスカバーグラス(GG-25-ポリリシン#1、Neuvitro社、CA)上に蒔いた。画像取得は、倒立Axiovert 200 M BP [Carl Zeiss Microscopy, LLC社(Thornwood、NY)]及びLSM5ソフトウェアを装着したLSM 510 Metaシステムを用いて40~65Hzで行った。画像取得は、Plan-Apochromat 40x/水を用いてフレームサイズ512(X)及び256(Y)で行った。取得速度を最適化するために、取得領域を数個の細胞に限定した。タイロード液[Sigma-Aldrich社(St. Louis、MO)]中で最終濃度1μMまで希釈したCa2+インジケータ染料FLUO4-AM[Molecular Probes, Life Technologies社(Carlsbad、CA)]を細胞に37℃において20分間負荷し、次いでタイロード液中で5分間にわたって2回洗浄した。染料を前負荷した付着性HL1細胞を有するカバースリップを、倒立顕微鏡上に取り付けられた記録室に入れ、続いてタイロード液に浸してから、プロベネシドを灌流させた。焦点調節及びベースライン画像の撮影の後、プロベネシド(種々の実験で10-8~10-4M)を0.5ml/15秒の速度で細胞に灌流させた。これらの実験のために、画像曝露時間は5ミリ秒、カメラオンチップマルチプリケーションゲイン(camera on-chip multiplication gain)は500~600とし、種々の濃度の各ランに対して700サイクルとした。マルチラインアルゴンレーザーの488nmラインがFLUO-4を励起し、電子シャッターがレーザーへの細胞曝露を制御した。オフライン画像処理をLSM5ソフトウェアによって行い、データに関する統計解析を、MS Excel(Microsoft社)及びSAS 9.2[SAS Institute社(Cary、NC)]を用いて行った。
保存LSMファイルから画像を取得後に、潅流前のピーク蛍光(F0)及び灌流後のピーク蛍光(F)を手動で決定した。それぞれの実験の全持続時間にわたる保存画像の各細胞の細胞質内の円形領域を用いて、灌流前後における蛍光の変化を求めた。
F/F0の商として決定した標準化した蛍光を変数として用いて、統計解析において種々の漸増濃度における蛍光の相対変化を比較した。従属変数(log[F/F0])の最尤推定値(maximal likelihood estimate)を、SASにおいて反復測定に関してproc mixedモデリングを用いて、プロベネシド(log[プロベネシド]、M)用量の濃度の関数として決定した。モデルの直線回帰及び直線回帰プロットを用いて、用量反応相関をモデル化した。
細胞死の検出。 - 種々の条件下でプロベネシド又は砂糖水(対照)に曝露したマウスから心臓を採取した。これらの実験のマウスは、対照(n=4)、プロベネシド処置水(n=4)、I/R傷害後の対照(n=4)及びI/R傷害後のプロベネシド処置水(n=4)を含む4群とした。心臓を取り出し、PBSですすぎ、3.7%緩衝ホルムアルデヒドで固定し(30分後に緩衝液を変えた)、脱水した(18~24時間後に心臓を70%エタノール中に入れた)。試料を、パラフィン包理し、それぞれ10μmの間隔をあけて厚さ6μmの切片を作り、2つの心臓切片を各スライド上に載せた。スライドは、その場アポトーシス検出キットCardioTACS[Trevigen社(Gaithersburg、MD)]を用いて製造業者の指示に従って調製した。染色後、スライドを、顕微鏡(Olympus 1X71)上に配置し、アポトーシス細胞の数を、2人の独立した盲検リーダーが各心臓切片につき5視野でカウントした。同一視野で総細胞数も測定し、アポトーシス細胞を、総細胞の百分率となるように計算した。次に、これらの値をプロベネシド及び対照マウスの各群について平均した。
動物 - 全てのマウス[C57BL6J、Jackson laboratories社(Bar Harbor、ME)]は、12~16週齢の雄であった。
虚血/再灌流法 - マウスをペントバルビタールナトリウムで麻酔し、第4肋間腔のレベルで左開胸によって心臓を露出させた。マウスに挿管し、これを小型人工呼吸器[Harvard apparatus社(Holliston、MA)]に配置した。ループオクルーダーを左前下行枝(LAD)の周囲に配置し、締め付け、LADを30分間又は45分間閉塞させた。手術後、開胸部(thorocotomy)を重ねて縫合し、動物を回復させた。
全てのマウスは、IRの24時間後に記載した通りの心エコー測定を行って、インビボで傷害の重症度を判定した。
心エコー法 - 全ての心エコー検査は、実施例1に関して既に記載したようにして行った。
虚血/再灌流とそれに続くプロベネシドボーラス - I/R研究は、前述のようにして45分間虚血させて行った。心エコーは、I/Rの24時間後及びその後週1回行った。マウスは、I/R後EFが50~60%のマウスのサブグループに関する生理食塩水及びプロベネシドの群(生理食塩水についてはn=5及びプロベネシドについてはn=6)又はI/R後EFが40~50%のマウスのサブグループを含む生理食塩水及びプロベネシドの群(生理食塩水についてはn=6及びプロベネシドについてはn=6)の4群とした。プロベネシドマウスは、100μl(100mg/kg)のIPボーラスで処置し、生理食塩水群には生理食塩水100μlのみをIP投与した。マウスを、合計30分間にわたって5分間隔で撮像した。
虚血/再灌流とそれに続く経口プロベネシド - I/R研究を、前述のようにして45分間虚血させて行い、心エコーを、I/Rの24時間後及びその後4週間にわたって週1回行った。24時間後、マウスを、プロベネシド処置水又は非処置水のケージに無作為に割り付けた。プロベネシドは、5%スクロースを含有する水に0.5μg/mlの濃度で溶解させた。水を週2回変え、消費前後に容量を測定して、概算用量を決定した。投与された総用量をより正確に見積もるために、マウスは1ケージに2匹収容した。
プロベネシドボーラスとそれに続く虚血/再灌流 - 45分間の冠状動脈閉塞の15分前に食塩水又はプロベネシド(100mg/kg)をIV投与した(即ち、収縮力の最大限の増加時)。I/Rの24時間後に、心エコーを行い、続いて梗塞サイズの測定のために心臓を取り出し、リスク領域に対して標準化を行った。
統計解析 - データは全て、平均値±平均値の標準誤差(SEM)で表す。結果は、必要に応じて、対応のある及び対応のないスチューデントt検定並びに一元配置ANOVAで解析した。P値≦0.05を、有意とみなした。全てのインビボ研究に関して、検出力分析を用いて、前述のように対照群対実験群でエンドポイント測定値間に有意差が存在するかどうかを判定するのに必要な群サイズを決定した。
結果
プロベネシドはインビトロで細胞死を誘発しない。 - これらの実験では、HL-1細胞を用いて、プロベネシドの効果をアッセイした。プロベネシド10-8の潅流前後におけるピーク細胞質蛍光の測定中央値に有意差は観察されなかった。他に、より高濃度のプロベネシドを潅流した後のピーク蛍光の中央値は、灌流前の値よりも有意に高かった(図8A)。
漸増濃度(10-8~10-4)での標準化した蛍光(F/F0)の対数に関する対数用量反応曲線は、プロベネシドの用量が増加するにつれて直線的な反応を示した。用量反応の最良適合回帰線のR2値は0.67であった(図8B)。最低プロベネシド濃度10-8対他のより高い濃度での反応には統計的有意差が認められた(これらの対比較に関して、p値は0.001~0.01の間の範囲であった)。
加えて、漸増用量のプロベネシドによるHL-1細胞の処理は、処理の4、8又は24時間後に検出可能な細胞毒性をもたらさない(図8B)。しかし、1.0mMイソプロテレノールでの同様な処理は、処理の4及び8時間後に有意な量の細胞死を誘発し(*p<0.001)、処理の24時間後にはかなりの細胞死を引き起こし(**p<0.001)、生細胞は細胞の20%未満であり、H2O2陽性対照と区別できなかった(図8C)。
プロベネシドは、インビボで筋細胞の有意な細胞死を引き起こさない。健常マウスにおける経口プロベネシド療法は、プロベネシドの平均摂取量がケージ当たりのペアのマウスの水消費量に基づき190.56±6.33mg/kg/日と推定される処置の2週間後に、有意なアポトーシスを誘発しなかった。さらにまた、I/Rに供してからプロベネシド処置水又は非処置水に無作為に割り付けたマウスは、プロベネシド処置水と非処置水との間で細胞死の量に有意差を示さなかった(図2A)。予想通り、I/R傷害に供したマウスは、非I/Rマウスと比較して高いレベルのアポトーシスを示した(図9)。
ボーラスプロベネシドは、虚血的に損傷された心臓において急性的に機能を改善する。I/R傷害後に、IP投与されたプロベネシドは、全ての処置マウスにおいてEFの統計的に有意な増加を引き起こした。興味深いことに、プロベネシドによって誘発されたEFの増加と初期EFとの間の強い相関関係によって示されるように、プロベネシドによる処置は、低い初期EFを示すマウスほど強く機能を増大させることができた(図10A)。この効果は、既に報告した同様な時間枠において現れ、最初の上昇は、両群において1分及び5分で観察された。しかし、ピーク効果は、初期EFがより高い(50~60%)マウスでは10分でみられた(EFの変化は19.72±4.10%であった)が、プロベネシドは、EFがより低い(40~50%)マウスにおいては30分間の全実験期間にわたって収縮力を増大させ続けた(図10B及び図10C)。
経口プロベネシドは、虚血及び再灌流傷害後の機能を改善する。I/R傷害の24時間後には、その後に水対照及びプロベネシド処置に無作為に割り付けたマウスの間で、EF又はLV Vol;dに有意差は認められなかった(EF:それぞれ、43.44±2.05及び41.81±3.40、p=0.65; LV Vol;d:それぞれ、66.51±2.65及び71.99±5.44、p=0.39)。
プロベネシド群においては、LV腔サイズ(LV Vol;d)は、実験の1週間後に最小限の拡張を認めたが、実験中に悪化しなかった。しかし、シャム処置マウスにおいては、LV腔サイズ(LV Vol;d)がさらに増加した(水22.55±4.47及びプロベネシド7.59±6.08、p=0.076、図11A)。加えて、水処置マウスでは、プロベネシド処置マウスと比較して半径方向変位が減少した(代表的な心エコー図像を図11B及び図11Cに示す)。これは、心筋機能が保たれたことを示している(水0.018±0.018及びプロベネシド0.071±0.013、p<0.05、図11D及び図11E)。したがって、初期虚血/再灌流傷害が等しいにもかかわらず、プロベネシド処置マウスは、対照と比較して機能を保っていた。
プロベネシドは、虚血及び再灌流傷害を悪化させない。アドレナリン刺激は、筋細胞の収縮力を増加させるが、代謝要求量の増加及びアポトーシスメカニズムの誘発を含むいくつかのメカニズムによって細胞損傷及び細胞死と関連することははっきりしている。本研究は、虚血イベント中におけるプロベネシド投与によって観察される収縮力増加の効果を評価するために実施した。組織学的検査によって測定される梗塞サイズは、プロベネシドで前処置したマウスでは、生理食塩水で前処置したマウスと比較して、24時間の再灌流後の30分及び45分虚血群の両方に関して有意差がなかった(図12A)。さらにまた、これらのマウスにおける収縮機能(EF及び円周方向グローバルストレインによって測定)は、生理食塩水処置群とプロベネシド処置群との間で有意差はなかった(図12B及び図12C)。興味深いことに、局所壁運動を、半径方向変位を測定するストレインイメージングによって決定した場合には、30分間の虚血後には、45分間の虚血後と比較して前壁の機能に有意差が認められたが、処置群間で差は認められなかった(30分間、生理食塩水0.43±0.02mm対プロベネシド0.46±0.06mm、及び45分間、生理食塩水0.36±0.03mm対0.35±0.06mm、両方の生理食塩水及びプロベネシド処置群間でp>0.05)(図12D及び図12E)。
考察
実施例1からのデータは、FDAに認可された薬物であるプロベネシドが、何十年も認識されずに済まされてきた変力性を有することを実証した。これらの実験は、プロベネシドが細胞質Ca2+レベルを増加させ、結果としてβ-アドレナリン作動性シグナル伝達とは独立した収縮力の増加をもたらすことを実証した。アドレナリン刺激は心筋代謝要求を増加させ、アポトーシスの経路を刺激し、筋細胞の肥大を引き起こすことは既に示されているので、β-AR経路の刺激の欠如が、本明細書中に示した研究を開始させた。これは、症状及び血行動態パラメーターが改善されるにもかかわらずこれらの薬物に曝露された患者の短期及び長期死亡率が増加することを見い出した、伝統的なβ1-アゴニスト(ドブタミン、ドーパミン)及びPDI(即ち、ミルリノン)を含む多くの臨床試験に反映されている。
この研究の2つの主要な発見は、これらの問題に対処する: 1)変力反応の改善に関連する細胞死の欠如、及び2)虚血的に損傷された心臓におけるプロベネシドの陽性変力効果。
後者に関しては、最初に、虚血を短期間引き起こした後に血管を開く、虚血性心疾患の臨床的に関連したモデルを用いた。この病態生理は、血管再生が短期間で行われ且つその後の虚血性損傷が軽微である急性心筋梗塞の一般的な臨床経過と異なるものではない。本モデルは、高周波プローブを使用するため、収縮期の機能の小さい減少を検出でき、これにより、本発明者らは二分法によってマウスを軽度損傷(EF50~60%)と中等度損傷(EF40~50%)に分割できた。プロベネシドが前述のように収縮力を増加させるだけでなく、虚血後EFと逆相関する(EF40~50%の中等度損傷群は、EFのより大きな増加を示した)という本発見は、重要なことには、中等度収縮機能不全患者に使用する、この薬物のトランスレーショナルな可能性の信憑性を高める。
損傷を受けていない/非虚血性の筋細胞におけるプロベネシドの作用メカニズムについては、本発明者らのグループが既に報告したが、本発明者らは現在、ストレッサー(例えば、虚血)に反応する収縮力のモジュレーターとしてのTRPV2チャネルの効果を探求している。主に尿路上皮細胞、膵臓細胞及び神経内分泌細胞の細胞内区画にあり、伸張刺激後に活性化され且つ/又は細胞膜にトランスロケートさせられることが判明したTRPV2チャネルを記載している、心血管系以外におけるある程度の証拠がある。本研究はこのプロセスにおけるTRPV2の役割を解決することを目指すものではなかったが、本研究の結果は心臓に対するプロベネシドの効果が虚血的に損傷された心筋において増大されることを実証するものである。これは、TRPV2のトランスロケーション及び活性化が、ストレスによって(即ち、伸張、cAMPの増加によって)媒介され、傷害後の有用な代償メカニズムであり得ることを実証する以前の研究と一致している。
I/Rにおける潜在的治療薬としてプロベネシドを使用するためのさらなる証拠として、経口プロベネシドによる処置が、シャム処置マウスと比較して心機能の悪化を低減する(より少ない心室拡張及び収縮機能の改善によって証拠立てられる)ことも実証された。
本研究の第2の重要な発見は、プロベネシドがインビボ及びインビトロの両方で細胞損傷を引き起こさないことであった。臨床的に利用可能な変力物質の大部分は死亡率を増加させ且つ心毒性経路を刺激して梗塞サイズの増加及びアポトーシスをもたらすことが分かっているので、これは劇的な発見である。しかし、高用量療法であっても、インビボで2週間の療法後に又はインビトロでいくつかの異なる時点で及び臨床的に投与される場合に達成されるよりも実質的に高濃度で、有意な細胞死をもたらさなかった(非処置水と比較して)。長期間にわたって陽性変力物質として経口的に使用できるのはジゴキシンのみであるが、ジゴキシンは治療域が極めて狭いので厳密なモニタリングを必要とするため、この発見は潜在的に重要であり得る。これは、数十年にわたってポジティブな安全性プロフィールを有し且つマウスモデルにおいて極めて高用量で投与される場合さえ安全であるプロベネシドとは大きく異なる。
要約すると、本データは、プロベネシドが陽性変力薬であるという興味深い発見で始まったトランスレーショナルなプロセスの次のステップを提示している。これらのデータは、プロベネシドがI/R傷害後の機能を改善すること及びインビボ又はインビトロでアポトーシス反応を誘発しないことを実証している。これらの発見は、プロベネシドのβ-AR非依存的メカニズムを立証する実施例1に示した以前の研究と共に、プロベネシドがヒトにおける心不全の治療に安全に使用できることを示している。
プロベネシドは、インビトロで、HL-1細胞において細胞死を増加させることなく、細胞内カルシウム濃度の増加を誘導する。本発明者らは、プロベネシドが細胞内カルシウムを増加させるが、心臓細胞に損傷を与えないことを確認した。これは、臨床的に関連した濃度で収縮力も増加させるが細胞死を明らかに増加させるイソプロテレノール(一般的に用いられるβ-アゴニスト)とは異なる。超生理的濃度であっても、プロベネシドは細胞死を引き起こしておらず、実際に、細胞生存期間を延長する傾向がある。これは、プロベネシドが細胞死促進経路(pro-cell death pathway)を活性化することなく、細胞内カルシウムのわずかな増加によって心臓を軽く刺激する(nudge)という事実によると本発明者らは考える。一方、イソプロテレノールは、カルシウムレベルのより劇的な増加と、傷害性であることが知られている細胞死促進及び肥大経路の活性化の両方をもたらすシグナル伝達を引き起こす。これらの経路の一部の活性を見積もることにより、プロベネシドが、β-AR依存的経路(イソプロテレノール及びドブタミンの標的)を活性化しないこと、及びカルシウムレベルを増加するためにイソプロテレノールによって調節されるカルシウムハンドリングタンパク質のリン酸化状態を変化させないことが立証される。
マウスにおいて虚血性傷害(心臓発作に相当する)がある場合及びない場合において、処置なしとプロベネシド処置との間に心臓細胞死に差はない。これは、プロベネシドがマウスにおいて心臓発作後に経口的に使用しても(水での投与)安全であることを確証し、プロベネシドが、高ストレスの傷害モデルでも細胞死を増大しないことを裏付けている。β-ARアゴニストによる同様な研究は、さらなる損傷を暗示する梗塞サイズの増加を示している。
さらにまた、プロベネシドで処置したマウスは、処置していないマウスと比較して、心室拡張(心臓のサイズ増加)が少なく、機能が良好でであった。
虚血性傷害(心臓発作)後に、損傷が最も大きい(即ち、梗塞領域がより大きい)マウスにおいてプロベネシド(腹腔内投与された)のより強力な効果が認められる。
本発明者らは、傷害後のマウスで心機能(EF)を測定した。心筋梗塞(MI)後のEFが低いほど、変力効果は強力であった。これは、虚血的に損傷された心臓におけるその使用の信憑性を高め、低用量であっても、傷害された又は不全状態にある心臓に有効であり得ることを示唆している。
プロベネシドは、ブタ健常モデルにおいて5mg/kg/時間(最初の60分間)及び10mg/kg/時間(次の30分間)で持続点滴によって投与された場合に心エコーによって測定される機能を改善する。この効果は、プロベネシドを5mg/kg IVのボーラスで投与された場合にも認められた。
本発明をその1つ以上の実施形態によって例示し、実施形態をかなり詳細に説明したが、これらの実施形態は、添付した特許請求の範囲の範囲を制限することを意図するものではなく、又はその範囲をこのような詳細に限定することを全く意図するものではない。本明細書中で示して説明した種々の特徴は、単独で又は任意の組合せで使用できる。さらなる利点及び変更形態は、当業者ならば容易に考えつくであろう。このため、広い態様での本発明は、示して説明した具体的詳細、代表的な装置及び方法並びに例示に限定されない。したがって、一般的な発明概念を逸脱することなく、このような詳細から離れることができる。

Claims (20)

  1. 対象における心機能不全の心臓症状の治療方法であって、心機能不全の心臓症状を治療するのに有効な量のプロベネシドを投与する工程を含み、前記量のプロベネシドを、注射、経口投与又は経皮投与の少なくとも1つによって投与する、方法。
  2. 注射が静脈内注入である、請求項1に記載の方法。
  3. 注射が、ボーラス注射又は持続静脈内注入のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記量のプロベネシドが、長時間放出製剤で投与される、請求項1に記載の方法。
  5. プロベネシドの長期放出製剤が、プロベネシドの治療血漿濃度を約18時間/日から約24時間/日の間の範囲の持続時間にわたって維持する、請求項4に記載の方法。
  6. プロベネシドの量が、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びその組合せに基づく、改善された性能をもたらすのに十分である、請求項1に記載の方法。
  7. プロベネシドの治療有効量が、約1mg/kg/日~約100g/kg/日の範囲の投与量を有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記治療有効量のプロベネシドが、約8時間/日~約24時間/日の期間にわたって投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 対象が、治療有効量のプロベネシドで少なくとも1週間にわたって治療される、請求項1に記載の方法。
  10. 対象が、治療有効量のプロベネシドで少なくとも1ヶ月にわたって治療される、請求項1に記載の方法。
  11. 心機能不全がうっ血性心不全である、請求項1に記載の方法。
  12. うっ血性心不全が非代償性心不全である、請求項10に記載の方法。
  13. 対象における心機能不全の心臓症状の治療方法であって、プロベネシドの治療血漿濃度を約18時間/日から約24時間/日の間の持続時間にわたって維持する投与レジメンで対象にプロベネシドを投与する工程を含み、治療血漿濃度が、対象において心臓機能の心臓症状を治療するのに十分である、方法。
  14. 投与レジメンが、前記投与量のプロベネシドの静脈内投与を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 投与レジメンが、前記用投与量のプロベネシドの経口投与を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 投与レジメンが、前記投与量のプロベネシドの経皮投与を含む、請求項13に記載の方法。
  17. 投与レジメンが、プロベネシドの経口投与、静脈内注射及び経皮投与のうちの少なくとも2つの組合せを含む、請求項13に記載の方法。
  18. プロベネシドの量が、6分間歩行試験の標準化、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の改善、利尿薬投与必要量の減少、血清BNPレベルの低下、血清ナトリウム濃度の正常化、及びそれらの組合せに基づく、改善された性能をもたらすのに十分である、請求項13に記載の方法。
  19. 対象が、治療有効量のプロベネシドで少なくとも1週間にわたって治療される、請求項13に記載の方法。
  20. 心機能不全がうっ血性心不全である、請求項13に記載の方法。
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