JP2022050762A - 切削装置及び切削方法 - Google Patents

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Kokichi Minato
香一 牧野
Koichi Makino
義智 成田
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Abstract

【課題】エッジトリミングにおいて段差部の厚さのばらつきを低減する。【解決手段】表面側に環状の段差部を形成する切削装置であって、被加工物の裏面側を保持する保持面を有し、被加工物を保持面で保持した状態で所定の回転軸の周りに回転可能なチャックテーブルと、一端部に切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、スピンドルに装着された切削ブレードで表面側の外周部を切削して段差部を形成する切削ユニットと、段差部の厚さを測定するための厚さ測定器と、チャックテーブル、切削ユニット及び厚さ測定器を制御する制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、チャックテーブルの回転角度と、回転角度に対応する段差部の厚さと、を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された段差部の厚さのデータに基づいて、切削時の切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正部と、を有する切削装置を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、表面及び裏面の各外周部が面取りされたウェーハの表面側の外周部を切削し、表面側に環状の段差部を形成する切削装置、及び、当該切削装置を用いて、ウェーハの表面側に環状の段差部を形成する切削方法に関する。
シリコン製の半導体ウェーハ等の円盤状の被加工物では、通常、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされている(即ち、表面側及び裏面側の各外周部に、ベベル部が形成されている)。
この様な被加工物を、半分以下の厚さに薄化すると、外周部に所謂シャープエッジ(ナイフエッジとも称される)が形成されて、外周部が破損しやすくなる。そこで、外周部の破損を防ぐために、表面側の外周部を切削ブレードで所定深さだけ切削して環状の段差部を形成した後(即ち、エッジトリミングを施した後)、裏面側を研削して薄化する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000-173961号公報
しかし、エッジトリミングにより形成した段差部が、厚さのばらつきを有する場合がある。例えば、切削ブレードの切り込み深さが目標の切り込み深さに満たない場合、裏面側を研削してもナイフエッジが形成される。また、例えば、切削ブレードの切り込み深さが目標の切り込み深さを超える場合、切削ブレードの切り刃の消耗が促進されてしまう。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、エッジトリミングにおいて段差部の厚さのばらつきを低減することを目的とする。
本発明の一態様によれば、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側の該外周部を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削装置であって、該被加工物の裏面側を保持する保持面を有し、該被加工物を該保持面で保持した状態で所定の回転軸の周りに回転可能なチャックテーブルと、一端部に切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、該スピンドルに装着された該切削ブレードで該表面側の該外周部を切削して該段差部を形成する切削ユニットと、該段差部の厚さを測定するための厚さ測定器と、該チャックテーブル、該切削ユニット及び該厚さ測定器を制御する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該チャックテーブルの回転角度と、該回転角度に対応する該段差部の厚さと、を記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された該段差部の厚さのデータに基づいて、切削時の該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正部と、を有する切削装置が提供される。
好ましくは、該厚さ測定器は、レーザー変位計を有する。
また、好ましくは、該厚さ測定器は、該厚さ測定器から該被加工物の該段差部の上面までの第1距離と、該厚さ測定器から該チャックテーブルの外周部の上面までの第2距離と、を測定し、該被加工物の該段差部の厚さは、該第1距離と、該第2距離と、の差分により算出される。
本発明の他の態様によれば、チャックテーブルと、切削ブレードが装着された切削ユニットと、を備える切削装置を用いて、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削方法であって、該被加工物の裏面側を該チャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該保持ステップの後、切削ブレードの下端を、該外周部における所定の目標深さ位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを所定の回転軸の周りに少なくとも360度回転させて、該表面側に該段差部を形成する切削ステップと、該切削ステップの後、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させることにより、該段差部の上方に配置された厚さ測定器を用いて、該被加工物の周方向に沿う該段差部の厚さを測定する厚さ測定ステップと、該厚さ測定ステップの後、該チャックテーブルの回転角度に対応する該段差部の厚さのデータに基づいて、該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正値算出ステップと、を備える切削方法が提供される。
本発明の更なる他の態様によれば、チャックテーブルと、切削ブレードが装着された切削ユニットと、を備える切削装置を用いて、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削方法であって、該被加工物の裏面側を該チャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該切削ブレードの下端を、該外周部における所定の目標深さ位置よりも浅い仮切削目標深さ位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを所定の回転軸の周りに少なくとも360度回転させて、該表面側に仮切削段差部を形成する仮切削ステップと、該仮切削ステップの後、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させることにより、該仮切削段差部の上方に配置された厚さ測定器を用いて、該被加工物の周方向に沿う該仮切削段差部の厚さを測定する厚さ測定ステップと、該厚さ測定ステップの後、該チャックテーブルの回転角度に対応する該仮切削段差部の厚さのデータに基づいて、該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正値算出ステップと、該補正値算出ステップの後、該切削ブレードの下端を、該外周部における該所定の目標深さの位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させて、該表面側に該段差部を形成する本切削ステップと、を備える切削方法が提供される。
本発明の一態様に係る切削装置は、チャックテーブルと、切削ユニットと、段差部の厚さを測定するための厚さ測定器と、チャックテーブル、切削ユニット及び厚さ測定器を制御する制御ユニットと、を備える。
制御ユニットは、チャックテーブルの回転角度と、回転角度に対応する段差部の厚さと、を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された段差部の厚さのデータに基づいて、切削時の切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正部と、を有する。制御ユニットが、補正値に応じて切削ユニットの切り込み送り量を補正することにより、段差部の厚さのばらつきを低減できる。
切削装置の斜視図である。 切削装置の一部断面側面図である。 第1の実施形態に係る切削方法のフロー図である。 図4(A)は上面測定ステップを示す図であり、図4(B)は保持ステップを示す図である。 図5(A)は第1の切削ステップを示す一部断面側面図であり、図5(B)は第1の切削ステップを示す斜視図である。 厚さ測定ステップを示す図である。 図7(A)は段差部の厚さのばらつきを示すグラフであり、図7(B)は補正値を示すグラフである。 第2の切削ステップを示す斜視図である。 第2の実施形態に係る切削方法のフロー図である。 図10(A)は仮切削ステップを示す図であり、図10(B)は厚さ測定ステップを示す図であり、図10(C)は本切削ステップを示す図である。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、図1及び図2を用いて、第1の実施形態に係る切削装置2について説明する。図1は、切削装置2の斜視図であり、図2は、切削装置2の一部断面側面図である。
図1及び図2に示す、X軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)、及び、Z軸方向(鉛直方向、高さ方向)は互いに直交する。切削装置2は、各構成要素を支持又は収容する基台4を有する。
基台4の上部には、頂面及び複数の側面を構成するカバー6が設けられている。カバー6の内部には、切削ユニット8が収容されている。切削ユニット8は、角柱状のスピンドルハウジング10を有する。
スピンドルハウジング10は、長手方向がY軸方向と略平行になる様に配置されている。図2に示す様に、スピンドルハウジング10には、円柱状のスピンドル12の一部が回転可能な態様で収容されている。
スピンドル12の一端部には、円環状の切削ブレード16が装着される。切削ブレード16は、例えば、ハブ型ブレードであり、アルミニウム等の金属で形成された円環状の基台と、基台の外周部に環状に設けられた切り刃16aと、を有する。
切り刃16aの刃厚は、被加工物11を複数のチップに分割する際に用いられる切り刃の刃厚よりも大きい。切り刃16aの刃厚は、例えば、1mm以上3mm以下である。スピンドル12の他端部には、サーボモーター等の回転駆動源14が連結されている。
スピンドルハウジング10には、Z軸移動機構20が連結されている。Z軸移動機構20は、一対のガイドレール22を有する。一対のガイドレール22には、Z軸移動板(不図示)がスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動板の表面側には、スピンドルハウジング10が固定されており、Z軸移動板の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、一対のガイドレール22の間でZ軸方向に沿って配置されたボールネジ24が、回転可能に連結されている。
ボールネジ24の上端部に連結されたパルスモーター等の回転駆動源26でボールネジ24を回転させると、切削ユニット8はZ軸方向に沿って移動する。Z軸移動機構20は、Y軸移動板30の表面側に配置されている。
Y軸移動板30は、Y軸方向に沿って配置された一対のガイドレール32に、スライド可能に取り付けられている。なお、図2では、一方のガイドレール32のみを示す。一対のガイドレール32の間には、Y軸方向に沿ってボールネジ34が配置されている。
ボールネジ34には、Y軸移動板30の裏面側に設けられたナット部(不図示)が回転可能に連結されている。ボールネジ34の一端部には、パルスモーター等の回転駆動源36が連結されており、回転駆動源36でボールネジ34を回転させると、切削ユニット8及びZ軸移動機構20は、Y軸方向に沿って移動する。
切削ユニット8の下方には、被加工物11を吸引保持するためのチャックテーブル38が設けられている。チャックテーブル38の下部には、Z軸方向に略平行な所定の回転軸40aの周りにチャックテーブル38を回転させる回転機構40が連結されている。
回転機構40の下部には、チャックテーブル38及び回転機構40をX軸方向に沿って移動させるX軸移動機構(不図示)が設けられている。チャックテーブル38は、金属等で形成された円盤状の枠体42を有する。
枠体42の上部には、円盤状の凹部が形成されており、この凹部には多孔質セラミックスで形成された円盤状のポーラス板44が固定されている。枠体42には流路(不図示)が形成されており、流路の一端は、ポーラス板44の下面に接続されている。
流路の他端は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されており、吸引源を動作させると、ポーラス板44の上面44aには負圧が発生する。ポーラス板44の上面44aは、枠体42の上面42aと、面一となっている。
上面42a,44aは、被加工物11を吸引保持するための略平坦な保持面38aを構成する。チャックテーブル38の上方には、厚さ測定器46が配置されている。本実施形態の厚さ測定器46は、レーザー変位計48を有する。
レーザー変位計48は、枠体42の上面42a(チャックテーブル38の外周部)の上方の所定の位置に配置されている。レーザー変位計48は、レーザー式レベルセンサとも呼ばれる。
レーザー変位計48は、例えば、SLD(Super Luminescent Diode)光源を有する分光干渉式のレーザー変位計であり、レーザービームを利用して対象物までの距離を非接触で測定するために用いられる。
レーザー変位計48から上面42aの一点にレーザービームを照射した状態で、チャックテーブル38を一回転させることで、レーザー変位計48から上面42aまでの第1距離A(図4(A)参照)を上面42aの周方向に沿って測定できる。
また、被加工物11の裏面11b側(図4(B)参照)を保持面38aで吸引保持し、被加工物11の表面11a側の外周部の一点にレーザービームを照射した状態で、チャックテーブル38を一回転させると、レーザー変位計48から表面11aまでの距離を表面11aの周方向に沿って測定できる。
レーザー変位計48から表面11aの一点までの距離と、レーザー変位計48から当該一点と同一のXY座標における枠体42の上面42aまでの第1距離Aと、の差分を算出することで、当該一点における被加工物11の厚さが算出される。
被加工物11は、例えば、シリコンで形成された円盤状の半導体ウェーハである。本実施形態では二種類の被加工物11が使用される。第1の種類の被加工物11は、NP(Non Product)ウェーハ、QC(Quality Control)ウェーハ等と呼ばれる所謂ダミーウェーハである。
ダミーウェーハには、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されていない(図4(B)、図5(A)、図5(B)参照)。第1の実施形態では、このダミーウェーハを用いて、まず、エッジトリミング時における切削ブレード16の切り込み送り量の補正値を取得する。
次に、取得した補正値を利用して高精度に切り込み送り量を調整しながら、デバイスが形成されている第2の種類の被加工物11(デバイスウェーハ)に対して、エッジトリミングを施す。
第2の種類の被加工物11の表面11aには、複数の分割予定ライン(ストリート)15が設定されており、複数の分割予定ライン15で区画される各領域には、IC、LSI等のデバイス17が形成されている(図8参照)。
但し、ダミーウェーハもデバイスウェーハも、略同じ径及び厚さを有し、表面11a側の外周部と、裏面11b側の外周部とは、面取りされている。ここで、図1に戻り、切削装置2の他の構成について説明する。
図1に示す様に、基台4の角部には、カセットテーブル50が設けられている。カセットテーブル50の上面には、複数の被加工物11を収容したカセット(不図示)が載せられる。カバー6の前面6aには、表示部及び入力部として機能するタッチパネル式の表示装置52が設けられている。
切削装置2には、切削ユニット8、Z軸移動機構20、Y軸移動機構28、チャックテーブル38、吸引源、回転機構40、X軸移動機構、厚さ測定器46、カセットテーブル50、表示装置52等の動作を制御する制御ユニット54が設けられている。
制御ユニット54は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット54の機能が実現される。
補助記憶装置のリソースの一部は、回転機構40の回転角度θと、当該回転角度に対応する位置における段差部11cの厚さ11d(図6参照)と、を記憶する記憶部56として機能する。更に、補助記憶装置のリソースの他の一部に記憶されたプログラムは、補正部58として機能する。
補正部58は、レーザー変位計48から段差部11cの上面11eまでの第1距離A(図4(A)参照)と、レーザー変位計48から枠体42の上面42aの第2距離A(図6参照)と、の差分により、段差部11cの厚さ11dを算出する。
本実施形態において、被加工物11の厚さの算出は補正部58により行われるが、厚さ測定器46に搭載されたCPU、IC、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により行われてもよい。
また、補正部58は、図7(A)及び図7(B)において説明する様に、記憶部56に記憶された段差部11cの厚さ11dのデータに基づいて、切削ユニット8の切り込み送り量の補正値を算出する。制御ユニット54は、当該補正値に基づいて、Z軸移動機構20を制御し、切り込み送り量を調整する。
次に、図3から図8を参照して、第1の実施形態に係る被加工物11の切削方法について説明する。図3は、被加工物11の表面11a側の外周部にエッジトリミングを施すための第1の実施形態に係る切削方法のフロー図である。
まず、レーザー変位計48を用いて、レーザー変位計48から上面42aまでの第1距離Aを測定する(上面測定ステップS10)。図4(A)は、上面測定ステップS10を示す図である。
上面測定ステップS10では、枠体42の上面42aの一点にレーザービームを照射した状態で、チャックテーブル38を一回転させる。これにより、レーザービームの移動の経路に沿って、レーザー変位計48から上面42aまでの第1距離Aが測定される。
上面42aは、略平坦であるが、周方向における微小な凹凸、回転軸40aの微小な傾き等の要因により、第1距離Aには、例えば、μmオーダーのばらつきがある。
第1距離Aは、チャックテーブル38の回転角度θと共に、記憶部56に記憶される。上面測定ステップS10の後、上述の第1の種類の被加工物11(ダミーウェーハ)の裏面11b側を保持面38aで保持する(保持ステップS20)。
図4(B)は、保持ステップS20を示す図である。保持ステップS20の後、回転している切削ブレード16の切り刃16aを被加工物11に切り込み、切り刃16aの下端を、被加工物11の表面11a側の外周部における所定の目標深さ位置13に位置付ける。
この状態で、チャックテーブル38を回転軸40aの周りに少なくとも360度回転させることで、表面11a側の外周部を切り刃16aで切削し、被加工物11の外周部に段差部11cを形成する(第1の切削ステップS30)。
図5(A)は、第1の切削ステップS30(切削ステップ)を示す一部断面側面図であり、図5(B)は、第1の切削ステップS30を示す斜視図である。第1の切削ステップS30の後、表面11aの周方向に沿って環状に形成された段差部11cの厚さ11dを測定する(厚さ測定ステップS40)。
図6は、厚さ測定ステップS40を示す図である。厚さ測定ステップS40では、段差部11cの上方において、上面測定ステップS10と同じ位置にレーザー変位計48を配置した状態で、チャックテーブル38を回転軸40aの周りに少なくとも360度回転させる。
これにより、被加工物11の周方向に沿って、レーザー変位計48から、段差部11cの上面11eまでの第2距離Aを測定する。次いで、厚さ測定ステップS40では、補正部58が、第1距離Aと第2距離Aとの差分を算出し、段差部11cの厚さ11dを算出する。
図7(A)は、厚さ測定ステップS40で測定された段差部11cの厚さ11dのばらつきを示すグラフである。図7(A)では、段差部11cの厚さ11dを実線で示し、目標深さ位置13を一点鎖線で示す。
また、図7(A)では、枠体42の上面42aの高さ位置を、基準高さ位置(即ち、0μm)とする。目標深さ位置13は、例えば、200μmであり、段差部11cの厚さ11dは、上述した凹凸、傾き等の要因により、1μmから10μm程度のばらつきを有する。
そこで、厚さ測定ステップS40の後、補正部58は、回転角度θに対応する段差部11cの厚さ11dのデータを目標深さ位置13に対して反転させることで、切り込み送り量の補正値を算出する(補正値算出ステップS50)。
図7(B)は、補正値を示すグラフである。図7(B)では、段差部11cの厚さ11dを破線で示し、補正値を実線で示す。その他は、図7(A)と同じである。補正値算出ステップS50の後、第1の種類の被加工物11(ダミーウェーハ)を保持面38aから搬出する。
そして、第2の種類の被加工物11(デバイスウェーハ)を、保持面38aで吸引保持し、回転角度θに応じて切削ユニット8の切り込み送り量を調整しながら、第2の種類の被加工物11の表面11a側の外周部に段差部11cを形成する(第2の切削ステップS60)。
図8は、第2の切削ステップS60を示す斜視図である。第2の切削ステップS60では、回転角度θに対応する補正値を利用して、切り込み送り量を調整しながら表面11a側を切削するので、被加工物11の段差部11cの厚さ11dのばらつきを低減できる。
補正値は、ダミーウェーハに対して実際にエッジトリミングを施すことにより得られている。それゆえ、補正値には、切削前の表面11aや保持面38aの高さばらつきのみに基づいて切り込み送り量を調節する場合に比べて、切削時の応力等までも含めて、段差部11cの厚さ11dのばらつきが、より正確に反映されている。従って、第2の切削ステップS60では、段差部11cの厚さ11dのばらつきを効果的に低減できる。
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、上述の切削装置2を使用するが、第1の種類の被加工物11(ダミーウェーハ)を使用することなく、第2の種類の被加工物11(デバイスウェーハ)に対してエッジトリミングを施す。
図9は、第2の実施形態に係る切削方法のフロー図である。第2の実施形態でも、まず、図4(A)と同様にして、上面42aの周方向に沿って、レーザー変位計48から上面42aまでの第1距離Aを測定する(上面測定ステップS10)。
上面測定ステップS10の後、図4(B)と同様にして、第2の種類の被加工物11(デバイスウェーハ)の裏面11b側を保持面38aで保持する(保持ステップS20)。
保持ステップS20の後、回転している切削ブレード16の切り刃16aを被加工物11に切り込み、切り刃16aの下端を、被加工物11の表面11a側の外周部における所定の目標深さ位置13よりも浅い(即ち、上方に位置する)仮切削目標深さ位置19(図10(A)参照)に位置付ける。
仮切削目標深さ位置19は、仮切削に続く本切削で、段差部11cの厚さ11dを調整できるように、目標深さ位置13よりも浅くすることが好ましい。例えば、目標深さ位置13が200μmである場合、これよりも所定の深さ(例えば、10μm)だけ浅い位置に設定される。
図10(A)に示す様に、回転する切削ブレード16の切り刃16aの下端を仮切削目標深さ位置19に位置付けた状態で、チャックテーブル38を回転軸40aの周りに少なくとも360度回転させることで、被加工物11の外周部に仮切削段差部11fを形成する(仮切削ステップS32)。
図10(A)は、仮切削ステップS32を示す図である。仮切削ステップS32の後、仮切削段差部11fの厚さ11gを測定する(厚さ測定ステップS40)。図10(B)は、厚さ測定ステップS40を示す図である。
厚さ測定ステップS40では、まず、上面測定ステップS10と同じ位置にレーザー変位計48を配置した状態で、チャックテーブル38を回転軸40aの周りに少なくとも360度回転させる。
これにより、被加工物11の周方向に沿って、レーザー変位計48から、仮切削段差部11fの上面11hまでの第3距離Aを測定する。次いで、補正部58が、上述の第1距離Aと第3距離Aとの差分を算出することで、仮切削段差部11fの厚さ11gを算出する。仮切削段差部11fの厚さ11gも、上述の凹凸や傾き等の要因によりばらつきを有する可能性がある。
そこで、厚さ測定ステップS40の後、補正部58は、図7(B)と同様にして、回転角度θに対応する厚さ11gのデータを仮切削目標深さ位置19に対して反転させることで、切り込み送り量の補正値を算出する(補正値算出ステップS50)。
補正値算出ステップS50の後、回転している切削ブレード16の切り刃16aを仮切削段差部11fに切り込み、切り刃16aの下端を、表面11a側の外周部における所定の目標深さ位置13に位置付ける。この状態で、チャックテーブル38を回転軸40aの周りに少なくとも360度回転させることで、被加工物11の外周部に段差部11cを形成する(本切削ステップS62)。
図9(C)は、本切削ステップS42を示す図である。本切削ステップS42では、目標深さ位置13まで切り込むことにより、表面11a側の外周部に、厚さ11dを有する段差部11cが形成される。
第2の実施形態では、上面測定ステップS10から補正値算出ステップS50を経て、切り込み送り量の補正値を取得できる。それゆえ、第1の種類の被加工物11(ダミーウェーハ)を使用する必要が無いという利点がある。
また、第2の実施形態でも、第2の種類の被加工物11(デバイスウェーハ)の加工時に切り込み送り量を調整することで、被加工物11の段差部11cの厚さ11dのばらつきを低減できる。
なお、仮切削ステップS32により補正値が得られているので、補正値には、切削前の表面11aや保持面38aの高さばらつきに基づいて切り込み送り量を調節する場合に比べて、切削時の応力等までも含めて、段差部11cの厚さ11dのばらつきがより正確に反映されている。それゆえ、段差部11cの厚さ11dのばらつきを効果的に低減できる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、厚さ測定器46が、上述のレーザー変位計48に代えて、超音波方式等の他の方式の変位計を搭載しても、上述の切削装置2、及び、切削方法を実現できる。
また、被加工物11は、1枚のウェーハに限定されない。被加工物11は、2枚の円盤状のウェーハが貼り合わされた積層ウェーハであってもよい。積層ウェーハは、例えば、キャリアウェーハと、ダミーウェーハとが貼り合わされた、第1の積層ウェーハや、キャリアウェーハと、デバイスウェーハとが貼り合わされた、第2の積層ウェーハである。
当該積層ウェーハに対して、上述の切削方法を適用する場合、切削ブレード16の切り刃16aの切り込み深さを、上側ウェーハと下側ウェーハとの接合部に高精度に合わせることで、下側ウェーハ(キャリアウェーハ)の外周部を切削せずに、上側ウェーハ(ダミーウェーハ又はデバイスウェーハ)のみの外周部を切削により除去できる。
2:切削装置、4:基台、6:カバー、6a:前面、8:切削ユニット
10:スピンドルハウジング、12:スピンドル、14:回転駆動源
11:被加工物、11a:表面、11b:裏面、11c:段差部
11d,11g:厚さ、11e,11h:上面、11f:仮切削段差部
13:目標深さ位置、15:分割予定ライン、17:デバイス
16:切削ブレード、16a:切り刃
19:仮切削目標深さ位置
20:Z軸移動機構
22,32:ガイドレール、24,34:ボールネジ、26,36:回転駆動源
28:Y軸移動機構、30:Y軸移動板
38:チャックテーブル、38a:保持面、40:回転機構、40a:回転軸
42:枠体、42a:上面
44:ポーラス板、44a:上面
46:厚さ測定器、48:レーザー変位計
50:カセットテーブル、52:表示装置
54:制御ユニット、56:記憶部、58:補正部
:第1距離、A:第2距離、A:第3距離、θ:回転角度

Claims (5)

  1. 表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側の該外周部を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削装置であって、
    該被加工物の裏面側を保持する保持面を有し、該被加工物を該保持面で保持した状態で所定の回転軸の周りに回転可能なチャックテーブルと、
    一端部に切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、該スピンドルに装着された該切削ブレードで該表面側の該外周部を切削して該段差部を形成する切削ユニットと、
    該段差部の厚さを測定するための厚さ測定器と、
    該チャックテーブル、該切削ユニット及び該厚さ測定器を制御する制御ユニットと、を備え、
    該制御ユニットは、
    該チャックテーブルの回転角度と、該回転角度に対応する該段差部の厚さと、を記憶する記憶部と、
    該記憶部に記憶された該段差部の厚さのデータに基づいて、切削時の該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正部と、
    を有することを特徴とする切削装置。
  2. 該厚さ測定器は、レーザー変位計を有することを特徴とする請求項1記載の切削装置。
  3. 該厚さ測定器は、該厚さ測定器から該被加工物の該段差部の上面までの第1距離と、該厚さ測定器から該チャックテーブルの外周部の上面までの第2距離と、を測定し、
    該被加工物の該段差部の厚さは、該第1距離と、該第2距離と、の差分により算出されることを特徴とする請求項1又は2記載の切削装置。
  4. チャックテーブルと、切削ブレードが装着された切削ユニットと、を備える切削装置を用いて、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削方法であって、
    該被加工物の裏面側を該チャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
    該保持ステップの後、切削ブレードの下端を、該外周部における所定の目標深さ位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを所定の回転軸の周りに少なくとも360度回転させて、該表面側に該段差部を形成する切削ステップと、
    該切削ステップの後、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させることにより、該段差部の上方に配置された厚さ測定器を用いて、該被加工物の周方向に沿う該段差部の厚さを測定する厚さ測定ステップと、
    該厚さ測定ステップの後、該チャックテーブルの回転角度に対応する該段差部の厚さのデータに基づいて、該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正値算出ステップと、を備えることを特徴とする切削方法。
  5. チャックテーブルと、切削ブレードが装着された切削ユニットと、を備える切削装置を用いて、表面側及び裏面側の各外周部が面取りされた被加工物の該表面側を切削し、該表面側に環状の段差部を形成する切削方法であって、
    該被加工物の裏面側を該チャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
    該保持ステップの後、該切削ブレードの下端を、該外周部における所定の目標深さ位置よりも浅い仮切削目標深さ位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを所定の回転軸の周りに少なくとも360度回転させて、該表面側に仮切削段差部を形成する仮切削ステップと、
    該仮切削ステップの後、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させることにより、該仮切削段差部の上方に配置された厚さ測定器を用いて、該被加工物の周方向に沿う該仮切削段差部の厚さを測定する厚さ測定ステップと、
    該厚さ測定ステップの後、該チャックテーブルの回転角度に対応する該仮切削段差部の厚さのデータに基づいて、該切削ユニットの切り込み送り量の補正値を算出する補正値算出ステップと、
    該補正値算出ステップの後、該切削ブレードの下端を、該外周部における該所定の目標深さの位置に位置付けると共に、該チャックテーブルを該所定の回転軸の周りに少なくとも該被加工物を360度回転させて、該表面側に該段差部を形成する本切削ステップと、を備えることを特徴とする切削方法。
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