本発明の好適な実施形態によれば、地物を示す地物データ構造であって、前記地物を検出しうる検出装置による検出結果に基づき更新可能な、前記地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれる検出関連情報フィールドを備える。ここで、「地物」は、地上に存在する天然または人工の全ての物体、樹木、河川、家屋、道路、鉄道等をいう。この態様によれば、地物を示す地物データ構造には、地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれる検出関連情報フィールドが備えられる。検出関連情報フィールドは、地物を検出しうる検出装置による検出結果に基づき更新可能である。この態様では、地物データ構造は、地物を検出する際に有用な設定情報及び環境情報を更新可能に保持することができ、当該地物データ構造のデータを参照する装置に対して地物の検出を好適に実行させることができる。
上記地物データ構造の一態様では、前記検出関連情報フィールドは、複数の移動体に搭載される前記検出装置の検出結果を統計的手法で解析するサーバ装置により更新される。この態様により、検出関連情報フィールドは、サーバ装置による統計的手法に基づく検出装置の検出結果の解析に基づき好適に更新される。
上記地物データ構造の他の一態様では、前記検出関連情報フィールドは、前記検出装置の種別毎に複数設けられている。この態様により、検出装置の種別に適した設定情報及び環境情報を検出装置に参照させて地物の検出処理を実行させることができる。上記地物データ構造の好適な例では、前記検出関連情報フィールドは、前記検出装置の種別毎に対応して前記地物の検出に関する設定情報または環境情報を示すサブフィールドを含む。
上記地物データ構造の他の一態様では、前記サブフィールドは、前記検出装置の種別毎にそれぞれの前記検出装置による前記地物の検出率が所定値以上または所定値未満となる時間帯、天候の少なくともいずれかを含む。この態様により、検出装置は、地物データ構造のレコードを参照することで、現在の検出環境が対象の地物の検出に適した(又は不適な)時間帯又は天候に該当するか否かを好適に把握することができる。
上記地物データ構造の他の一態様では、前記サブフィールドは、前記検出装置の種別毎にそれぞれの前記検出装置による前記地物の検出率が所定値以上または所定値未満となる当該地物に関連する空間的範囲の情報を含む。この態様により、検出装置は、地物データ構造のレコードを参照することで、対象の地物の外形のうち、検出が容易又は困難な箇所を特定して効率的に地物の検出処理を実行することができる。
上記地物データ構造の他の一態様では、地物データ構造は、前記地物の位置に関する情報を示す位置情報フィールドと、前記地物の属性に関する情報を示す属性情報フィールドを含み、前記検出装置は、前記地物の位置に関する情報および前記地物の属性に関する情報に基づいて前記地物を検出する。この態様により、検出装置は、地物データ構造のレコードを参照して地物の位置及び属性を特定し、地物を高精度に検出することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、情報処理装置は、地物を示す地物データ構造であって、移動体に搭載されて前記地物を検出しうる検出装置による検出結果に基づき更新可能な、前記地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれる検出関連情報フィールドを備える地物データ構造のレコードを記憶する記憶部と、前記検出装置が、前記地物の検出に成功または失敗した際の、前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記状態情報に基づいて、前記検出関連情報フィールドを更新する更新部と、を備える。情報処理装置は、地物データ構造のレコードを記憶する記憶部と、状態情報を取得する取得部と、検出関連情報フィールドを更新する更新部とを備える。この態様により、情報処理装置は、地物データ構造のレコードの検出関連情報フィールドの内容を好適に更新することができる。
上記情報処理装置の一態様では、前記取得部は、複数の移動体から送信される複数の地物に関する前記状態情報を取得し、前記更新部は、前記地物に対する複数の前記状態情報を統計的手法で解析することにより、前記地物に対応する前記検出関連情報フィールドの更新内容を決定する。この態様により、情報処理装置は、複数の移動体から送信される状態情報を統計的手法で解析することで、地物データ構造のレコードの検出関連情報フィールドの内容を好適に更新することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、検出装置は、移動体周辺に存在する物体を検出する検出部と、地物の位置に関する情報を示す位置情報フィールドと、前記地物の検出に関連する情報を示す検出関連情報フィールドと、を含むデータ構造を有するレコードを外部装置から取得する取得部と、前記地物の位置に関する情報に基づいて、前記検出部により検出された物体を前記地物として特定する特定部と、前記特定部が前記地物の特定に成功または失敗した際の前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を、前記外部装置に送信する送信部と、を備え、前記検出部は、前記地物の検出に関連する情報に基づいて、前記物体の検出に係る設定を変化させる。この態様では、検出装置は、検出部と、取得部と、特定部と、送信部とを有する。そして、検出装置は、検出部により検出した物体を地物として特定したとき(特定に失敗した場合も含む)の状態情報を外部装置に送信する。また、検出装置は、検出関連情報フィールドが示す地物の検出に関連する情報に基づいて、物体の検出に係る設定を変化させる。この態様により、検出装置は、検出関連情報フィールドを含むデータ構造を有するレコードの更新に必要な状態情報を外部装置に好適に供給すると共に、外部装置から取得したレコードに基づき地物の検出に関する設定を定めることができる。
上記検出装置の一態様では、前記検出関連情報フィールドは、前記地物の検出成功率が所定値以上となる検出条件を示すサブフィールドを含み、前記検出部は、前記地物の検出成功率が所定値以上となる検出条件に基づいて、当該検出部の検出領域の範囲を変化させる。この態様により、検出装置は、地物の検出成功率が高い検出条件に基づき、検出領域の範囲を好適に決定することができる。
上記検出装置の他の一態様では、前記検出関連情報フィールドは、前記地物の検出成功率が所定値未満となる検出条件を示すサブフィールドを含み、前記検出部は、前記地物の検出成功率が所定値未満となる検出条件に、前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態が該当する場合は、前記地物を検出対象から除外する。この態様により、検出装置は、検出が失敗する蓋然性が高い状況下での地物検出処理を好適に抑制することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、地物を示す地物データ構造であって、移動体に搭載されて前記地物を検出しうる検出装置による検出結果に基づき更新可能な、前記地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれる検出関連情報フィールドを備える地物データ構造のレコードを記憶する記憶部を参照する情報処理装置が実行する制御方法であって、前記検出装置が、前記地物の検出に成功または失敗した際の、前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を取得する取得工程と、前記取得工程により取得された前記状態情報に基づいて、前記検出関連情報フィールドを更新する更新工程と、を有する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、地物データ構造のレコードの検出関連情報フィールドの内容を好適に更新することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、地物を示す地物データ構造であって、移動体に搭載されて前記地物を検出しうる検出装置による検出結果に基づき更新可能な、前記地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれる検出関連情報フィールドを備える地物データ構造のレコードを記憶する記憶部を参照するコンピュータが実行するプログラムであって、前記検出装置が、前記地物の検出に成功または失敗した際の、前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記状態情報に基づいて、前記検出関連情報フィールドを更新する更新部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、地物データ構造のレコードの検出関連情報フィールドの内容を好適に更新することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、検出装置が実行する制御方法であって、移動体周辺に存在する物体を検出する検出工程と、地物の位置に関する情報を示す位置情報フィールドと、前記地物の検出に関連する情報を示す検出関連情報フィールドと、を含むデータ構造を有するレコードを外部装置から取得する取得工程と、前記地物の位置に関する情報に基づいて、前記検出工程により検出された物体を前記地物として特定する特定工程と、前記特定工程が前記地物の特定に成功または失敗した際の前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を、前記外部装置に送信する送信工程と、を有し、前記検出工程は、前記地物の検出に関連する情報に基づいて、前記物体の検出に係る設定を変化させる。検出装置は、この制御方法を実行することで、検出関連情報フィールドを含むデータ構造を有するレコードの更新に必要な状態情報を外部装置に好適に供給すると共に、外部装置から取得したレコードに基づき地物の検出に関する設定を定めることができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、コンピュータが実行するプログラムであって、移動体周辺に存在する物体を検出する検出部と、地物の位置に関する情報を示す位置情報フィールドと、前記地物の検出に関連する情報を示す検出関連情報フィールドと、を含むデータ構造を有するレコードを外部装置から取得する取得部と、前記地物の位置に関する情報に基づいて、前記検出部により検出された物体を前記地物として特定する特定部と、前記特定部が前記地物の特定に成功または失敗した際の前記移動体の状態、前記移動体の周辺の状態、または前記検出装置の状態の少なくともいずれかを含む状態情報を、前記外部装置に送信する送信部と、を備え、前記検出部は、前記地物の検出に関連する情報に基づいて、前記物体の検出に係る設定を変化させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、検出関連情報フィールドを含むデータ構造を有するレコードの更新に必要な状態情報を外部装置に好適に供給すると共に、外部装置から取得したレコードに基づき地物の検出に関する設定を定めることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[システム構成]
図1は、本実施例に係る高度化地図システムの概略構成である。高度化地図システムは、外界センサ31を備える車載機1と、高度化地図DB43を記憶するサーバ装置4とを備える。そして、高度化地図システムは、道路周辺に存在する地物(図1の例では看板5)を種々の外界センサにより的確に検知するのに必要な設定情報等を自動生成する。
車載機1は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)やカメラなどの1または複数の外界センサ31を有し、外界センサ31の出力に基づき自車位置の高精度な推定などを行う。
本実施例では、車載機1は、後述するGPS受信機などの出力に基づく自車位置情報を含む所定の要求信号をサーバ装置4へ送信することで、サーバ装置4から自車位置周辺に存在する地物に関する情報(「地物情報IF」とも呼ぶ。)を受信する。後述するように、地物情報IFには、対応する地物を外界センサ31により検出するのに好適な又は不適な外界センサ31の属性(「センサ属性」とも呼ぶ。)の情報が含まれている。そして、車載機1は、検出対象の地物を外界センサ31により検出する際に、受信した地物情報IFに基づき外界センサ31を制御し、外界センサ31による地物の検出を行う。その後、車載機1は、外界センサ31による地物の検出条件に関する情報(「条件情報IC」とも呼ぶ。)をサーバ装置4に送信する。条件情報ICには、後述するように、対象の地物の検出が成功した否かの情報に加え、対象の地物の検出環境に関する情報及び外界センサ31の設定情報(即ちパラメータの情報)が含まれる。なお、図1では、車載機1は便宜上1台のみ図示されているが、実際には道路上の各車両に搭載される複数の車載機1がサーバ装置4と地物情報IF及び条件情報ICの授受を行う。車載機1は、本発明における「検出装置」の一例である。
サーバ装置4は、道路周辺に存在する各地物に対応した地物情報IFを含む高度化地図DB43を記憶し、車載機1から地物情報IFの要求信号を受信した場合に、当該要求信号に含まれる車載機1の位置情報に基づき、高度化地図DB43から車載機1の周辺の地物に対応する地物情報IFを抽出し、車載機1に送信する。高度化地図DB43に地物情報IFとして登録される地物は、例えば、道路脇に周期的に並んでいるキロポスト、100mポスト、デリニエータ、交通インフラ設備(例えば標識、方面看板、信号)、電柱、街灯などの人工的な地物の他、樹木などの天然の地物であってもよい。また、サーバ装置4は、複数の車載機1から受信する条件情報ICを蓄積し、蓄積した条件情報ICを統計解析することで、高度化地図DB43に登録されている各地物情報IFに含まれるセンサ属性の更新処理を行う。サーバ装置4は、本発明における「情報処理装置」の一例である。
[車載機及びサーバ装置の構成]
図2(A)は、車載機1の機能的構成を示すブロック図である。車載機1は、主に、通信部11と、記憶部12と、センサ部13と、入力部14と、制御部15と、出力部16とを有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
通信部11は、制御部15の制御に基づき、サーバ装置4とデータ通信を行う。記憶部12は、制御部15が実行するプログラムや、制御部15が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。例えば、記憶部12は、サーバ装置4から受信した地物情報IF、または地物情報IF含む地図データなどを記憶してもよい。
センサ部13は、車両の周辺環境を認識するための1または複数の外界センサ31と、GPS受信機32と、ジャイロセンサ33と、加速度センサ34と、速度センサ35等を含む。本実施例では、外界センサ31は、制御部15の制御信号に基づき出力に関する設定が調整自在に構成される。例えば、外界センサ31がライダの場合、外界センサ31は、車載機1から供給される制御信号に基づき、出射するパルスレーザのピークパワーと、パルスレーザを繰り返し出射するパルス周期(所謂レーザパルス密度)と、レーザにより照射する角度範囲を示すレーザ照射角度範囲とが調整可能に構成される。他の例では、外界センサ31がカメラの場合、外界センサ31は、車載機1から供給される制御信号に基づき、フレームレート、解像度、画角、感度、露出等が調整可能に構成される。
入力部14は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、出力部16は、例えば、制御部15の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
制御部15は、プログラムを実行するCPUなどを含み、車載機1の全体を制御する。制御部15は、GPS受信機32、ジャイロセンサ33、加速度センサ34等の出力に基づき自車位置を予測する。また、制御部15は、自車位置周辺の地物を対象として外界センサ31により当該地物の位置情報を算出し、検出対象の地物の地物情報IFが示す位置情報と比較することで、予測した自車位置を補正する。これにより、制御部15は、自動運転等のための高精度な自車位置を取得する。また、本実施例では、制御部15は、地物を高精度に検出するための処理を実行し、機能的には、地物情報取得部21と、地物検出部22と、条件情報送信部23と、を有する。これらの各要素については図3を参照して後述する。
図2(B)は、サーバ装置4の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置4は、主に、通信部41と、記憶部42と、制御部45とを有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
通信部41は、制御部45の制御に基づき、車載機1とデータ通信を行う。記憶部42は、制御部45が実行するプログラムや、制御部45が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部42は、高度化地図DB43を記憶する。高度化地図DB43は、車載機1の外界センサ31による検出対象となる各地物に対応する地物情報IFを含んでいる。高度化地図DB43に登録される各地物の地物情報IFのセンサ属性のフィールドには、例えば初期状態では空データが登録されており、制御部45による条件情報ICの統計解析に基づき適宜更新される。地物情報IFのデータ構造については、[データ構造]のセクションで詳しく説明する。記憶部42は、本発明における「記憶媒体」の一例である。
制御部45は、プログラムを実行するCPUなどを含み、サーバ装置4の全体を制御する。本実施例では、制御部45は、機能的には、地物情報送信部46と、条件情報取得部47と、センサ属性更新部48とを含む。
図3は、車載機1及びサーバ装置4の機能的な関係を示す機能ブロック図である。
地物情報取得部21は、GPS受信機32、ジャイロセンサ33、加速度センサ34等の出力に基づき自車位置を予測し、予測した自車位置の情報を含む地物情報IFの要求信号を、通信部11によりサーバ装置4へ送信する。この場合、地物情報取得部21は、例えば、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から取得していないと判断した場合に、上述の要求信号をサーバ装置4へ通信部11により送信する。そして、地物情報取得部21は、サーバ装置4から地物情報IFを受信した場合、受信した地物情報IFを地物検出部22へ供給する。地物情報取得部21は、本発明における「取得部」の一例であり、地物情報IFは、本発明における「レコード」の一例である。
地物検出部22は、受信した地物情報IFのうち少なくともいずれか1つの地物に対応する地物情報IFに基づき当該地物の検出処理を行う。この場合、地物検出部22は、例えば、地物検出に用いる外界センサ31に対応するセンサ属性を対象の地物情報IFから抽出する。ここで、地物情報IFには、後述するように、統計上で検出率が高かったときの外界センサ31の設定情報(例えばライダの場合にはレーザパワー、レーザパルス密度等のパラメータの情報)が含まれている。よって、例えば、地物検出部22は、地物検出に用いる外界センサ31に対し、参照するセンサ属性に含まれる統計上検出率が高い設定を適用するための制御信号を送信し、対象の地物の検出に好適な設定を行う。そして、地物検出部22は、地物情報IFに基づく設定後に外界センサ31から受信する出力信号に基づき地物の3次元上の位置情報(点群情報も含む)を取得又は算出する。そして、地物検出部22は、対象の地物情報IFに含まれる地物の位置情報と比較し、当該地物の検出が成功したか否か判定する。そして、地物検出部22は、地物の検出が成功したか否かの情報と、地物検出に使用した外界センサ31の設定情報と、地物検出時の時刻や天候などの環境情報等とを、条件情報送信部23へ供給する。
なお、地物検出部22は、参照するセンサ属性の各サブフィールドが初期状態のままの空データである場合、センサ属性によらずに地物の検出を行う。この場合、地物検出部22は、例えば、地物検出に用いる外界センサ31の各パラメータを予め設定された標準的な設定値にしてもよく、地物検出に用いる外界センサ31の各パラメータの設定値を無作為に決定してもよい。地物検出部22は、本発明における「検出部」及び「特定部」の一例である。
条件情報送信部23は、地物検出部22から受信した情報に基づき、条件情報ICを生成してサーバ装置4へ通信部11により送信する。なお、送信は、地物の検出のたびに逐次行われてもよいし、条件情報ICがある程度蓄積した時点でまとめて行われてもよい。条件情報ICには、後述するように、車両の位置、姿勢、速度等の情報と、地物の検出が成功したか否かの情報と、地物検出に使用した外界センサ31の設定情報とが少なくとも含まれている。条件情報ICのデータ構造及び生成方法については、図6を参照して後述する。条件情報送信部23は、本発明における「送信部」の一例であり、条件情報ICは、本発明における「状態情報」の一例である。
地物情報送信部46は、通信部41が車載機1から地物情報IFの要求信号を受信した場合に、例えば、要求信号に含まれる車載機1の位置情報と、高度化地図DB43に登録された各地物情報IFに含まれる地物の位置情報とを比較することで、車載機1の周辺の地物情報IFを抽出する。そして、地物情報送信部46は、抽出した地物情報IFを、通信部41により車載機1へ送信する。
条件情報取得部47は、道路を走行する車両に搭載される各車載機1から送信される条件情報ICを通信部41により受信し、記憶部42に記憶させることで蓄積する。条件情報取得部47は、本発明における「取得部」の一例である。
センサ属性更新部48は、複数の車載機1から受信する条件情報ICを統計解析することで、高度化地図DB43に登録された各地物情報IFのセンサ属性を更新する。
[データ構造]
次に、地物情報IF及び条件情報ICのデータ構造について具体的に説明する。
(1)地物情報
図4は、地物情報IFのデータ構造(地物データ構造)の一例である。図4に示す地物情報IFは、ヘッダ情報と、ボディ情報とを含む。ヘッダ情報は、「ヘッダID」、「バージョン情報」、「ボディ長」の各フィールドを含む。「ヘッダID」には、対応するボディ情報が地物に関するものであることを示す識別情報が登録される。「バージョン情報」には、ボディ情報のデータ構造のバーションが登録される。「ボディ長」には、ボディ情報のデータサイズが登録される。
ボディ情報は、「地物ID」、「座標」、「種類」、「属性情報」、複数(ここではN個)の「センサ属性」の各フィールドを含む。「地物ID」には、高度化地図DB43の中で一意に割り当てられる地物の識別情報が登録される。「座標」には、地物の位置を代表する座標であり、例えば、緯度、経度、及び地上高(標高)の各座標が登録される。「種類」には、地物が属する種類が登録される。例えば、「種類」には、道路標識(標識、支柱、方面看板等を含む)、信号機(車両用信号、歩行者用信号、踏切遮断機等を含む)、設備(電柱、街灯、ガードレール、トンネル、橋等を含む)、施設(建物、看板等を含む)、自然物(立木、岩等を含む)などの情報が登録される。「属性情報」には、地物の一般的な属性が登録される。「属性情報」に登録される情報は、対象の地物の種類に応じて変化する。例えば地物が道路標識の場合、「属性情報」には、道路標識の種別(例えば通行規制、速度規制等)、道路標識の標示面の向き、道路標識の大きさ等の情報が登録される。「座標」のフィールドは、本発明における「位置情報フィールド」の一例であり、「属性情報」のフィールドは、本発明における「属性情報フィールド」の一例である。
「センサ属性」には、対象の地物を検出する際に好適な又は不適な外界センサ31の設定情報(即ちパラメータの情報)及び検出環境に関する環境情報が登録される。「センサ属性」は、外界センサ31の種類ごとに設けられ、サーバ装置4による条件情報ICに対する統計解析処理により登録及び更新が行われる。各「センサ属性」のフィールドは、本発明における「検出関連情報フィールド」の一例である。
図5(A)は、ライダを対象とした「センサ属性」のフィールドのデータ構造の一例を示し、図5(B)は、カメラを対象とした「センサ属性」のフィールドのデータ構造の一例を示す。図5(A)、(B)に示すように、この場合、「センサ属性」のフィールドには、「センサタイプ」、「メーカ情報」、「ハードウェアID」などの対象の外界センサの設定情報及び検出環境に関する環境情報が登録される複数のサブフィールドが設けられている。これらのサブフィールドは、初期状態ではNull(空データ)、または汎用的な標準値に設定され、サーバ装置4による条件情報ICに対する統計解析処理により適宜登録及び更新が行われる。
まず、図5(A)に示すライダを対象とした「センサ属性」のフィールドの各サブフィールドの内容及び車載機1が参照した際の用途について説明する。
「センサタイプ」には、対象とする外界センサ31の種類(ここではライダ)を示す情報が登録される。「メーカ情報」には、対象とする外界センサ31のメーカの情報が登録される。「ハードウェアID」には、対象とする外界センサ31の機種等を特定する情報が登録される。車載機1は、これらのサブフィールドを参照することで、地物情報IFに登録された複数(図4の例ではN個)の「センサ属性」のフィールドから、地物検出に用いる外界センサ31に適合する「センサ属性」のフィールドを抽出する。
「検出率が最も高い時間帯」、又は「検出率が最も低い時間帯」には、対象の地物の検出が成功した確率(検出成功率)が最も高い又は低い時間帯(例えば0~24時までの1時間単位の時間帯のいずれか)が登録される。
一般に、ライダによる地物検出の場合、例えば、渋滞が発生する時間帯では、他車両がライダのレーザ照射範囲内に存在して障害物となり、地物検出が失敗しやすい傾向がある。同様に、対象の地物の検出時に夕日等により逆光となる時間帯では、地物の検出成功率が低くなることが考えられる。
よって、第1の例では、車載機1は、図5(A)に示すセンサ属性を参照した場合、現在時刻が「検出率が最も高い時間帯」が示す時間帯に属する場合に限り、ライダによる対象の地物の検出処理を実行する。この場合、車載機1は、地物の高精度な検出が期待できる場合に限り地物検出を行うことができる。第2の例では、車載機1は、現在時刻が「検出率が最も低い時間帯」が示す時間帯以外の場合に、ライダによる対象の地物の検出処理を実行する。これにより、車載機1は、失敗する可能性が高い地物検出を不要に実行するのを好適に防ぐことができる。
「上記時間帯での平均レーザパワー」及び「上記時間帯でのレーザパルス密度」は、「検出率が最も高い時間帯」及び「検出率が最も低い時間帯」に対してそれぞれ設けられており、該当する各時間帯の地物検出時に設定されていたライダの平均レーザパワー及びレーザパルス密度の平均値がそれぞれ登録される。例えば、車載機1は、現在時刻が「検出率が最も高い時間帯」が示す時間帯に属する場合、対応する「上記時間帯での平均レーザパワー」が示すレーザパワー及び対応する「上記時間帯でのレーザパルス密度」が示すレーザパルス密度にライダを設定して地物検出を行う。これにより、車載機1は、地物検出時にライダのレーザパワー及びレーザパルス密度を不要に高く設定するのを防いで消費電力を削減する。また、他の例では、車載機1は、現在時刻が「検出率が最も低い時間帯」が示す時間帯に属する場合、ライダによる地物検出を成功させるにはライダの精度を上げる必要があると判断し、対応する「上記時間帯での平均レーザパワー」が示すレーザパワー及び対応する「上記時間帯でのレーザパルス密度」が示すレーザパルス密度よりも高いレーザパワー及びレーザパルス密度にライダを設定して地物検出を行う。
「検出率が高い車両相対距離(範囲)」には、地物の検出率が所定率以上となる場合の地物に対する車両の相対距離が登録される。この場合、例えば、「検出率が高い車両相対距離(範囲)」には、地物検出時に車両が存在した車線番号、及び、車線と垂直方向での車両と地物との距離の範囲の組合せが登録される。同様に、「検出率が低い車両相対距離(範囲)」には、地物の検出率が所定率未満となる場合の地物に対する車両の相対距離が登録される。車載機1が図5(A)に示すセンサ属性を参照した場合、例えば、車載機1は、対象の地物との相対距離が「検出率が高い車両相対距離(範囲)」が示す相対距離の範囲内である場合に限り対象の地物の検出処理を実行する。他の例では、車載機1は、対象の地物との相対距離が「検出率が低い車両相対距離(範囲)」が示す相対距離の範囲外である場合に、対象の地物の検出処理を実行する。
また、「検出率が高い地物自身の領域」には、対象の地物の全体の表面領域の中で検出率が所定率以上で検出された領域の情報が登録される。例えば、「検出率が高い地物自身の領域」には、所定率以上の確率で検出された領域の地上高及び当該領域が向いている向きの情報が登録される。同様に、「検出率が低い地物自身の領域」には、対象の地物の全体の表面領域の中で所定率未満の確率により検出された領域の情報が登録される。例えば、車載機1は、「検出率が高い地物自身の領域」が示す領域のみを、ライダによる地物の検出対象領域と定める。これにより、車載機1は、効率的に地物検出を実行することができる。同様に、車載機1は、「検出率が低い地物自身の領域」が示す領域を、ライダによる地物の検出対象領域から除外してもよい。「検出率が高い地物自身の領域」が示す領域は、本発明における「空間的範囲」の一例である。
「検出率が高い天候」には、検出率が所定率以上となる天候の情報が登録される。「検出率が低い天候」には、検出率が所定率未満となる天候の情報が登録される。例えば、車載機1は、現在の天候が「検出率が高い天候」が示す天候と一致する場合に限り、ライダによる地物の検出処理を実行する。この場合、車載機1は、地物の高精度な検出が期待できる場合に限りライダによる地物検出を行うことができる。他の例では、車載機1は、現在の天候が「検出率が低い天候」以外の場合に、ライダによる対象の地物の検出処理を実行する。これにより、車載機1は、失敗する可能性が高い環境下でのライダによる地物検出を不要に実行するのを好適に防ぐことができる。
なお、「検出率が最も高い時間帯」、「検出率が高い車両相対距離(範囲)」、「検出率が高い地物自身の領域」及び「検出率が高い天候」は、本発明における「地物の検出成功率が所定値以上となる検出条件を示すサブフィールド」の一例である。また、「検出率が最も低い時間帯」、「検出率が低い車両相対距離(範囲)」、「検出率が低い地物自身の領域」及び「検出率が低い天候」は、本発明における「地物の検出成功率が所定値未満となる検出条件を示すサブフィールド」の一例である。
次に、図5(B)に示すカメラを対象とした「センサ属性」のフィールドについて説明する。
図5(B)に示すカメラを対象とした「センサ属性」のフィールドは、「センサタイプ」、「メーカ情報」、「ハードウェアID」、「検出率が最も高い時間帯」、「上記時間帯でのフレームレート」、「上記時間帯での解像度」、「検出率が最も低い時間帯」、「上記時間帯でのフレームレート」、「上記時間帯での解像度」、「検出率が高い車両相対距離(範囲)」、「検出率が低い車両相対距離(範囲)」、「検出率が高い地物自身の領域」、「検出率が低い地物自身の領域」、「検出率が高い天候」、及び「検出率が低い天候」の各サブフィールドを含む。
カメラを対象とした「センサ属性」のフィールドには、ライダを対象とした「センサ属性」のフィールドに設けられた「上記時間帯での平均レーザパワー」及び「上記時間帯でのレーザパルス密度」の各サブフィールドに代えて、カメラに特有の項目である「上記時間帯でのフレームレート」及び「上記時間帯での解像度」の各サブフィールドが設けられている。ここで、「上記時間帯でのフレームレート」及び「上記時間帯での解像度」には、対応する「検出率が最も高い時間帯」または「検出率が最も低い時間帯」が示す時間帯の地物検出時に設定されていたカメラのフレームレートの平均値及び解像度の平均値がそれぞれ登録される。他のサブフィールドは、図5(A)の例で説明した各サブフィールドと重複しており、図5(A)の例で説明した内容と同様の内容が登録される。
このように、地物情報IFのボディ情報には、地物検出に用いられることが想定される外界センサの各種類に対応する設定情報及び環境に関する情報が登録されている。よって、車載機1は、地物の検出に用いる外界センサ31に対応するセンサ属性を参照し、対象の地物の検出処理を的確に実行することができる。
(2)条件情報
図6は、条件情報ICのデータ構造の一例である。図6に示す条件情報ICは、ヘッダ情報と、ボディ情報とを含む。ヘッダ情報は、「ヘッダID」、「バージョン情報」、「ボディ長」の各フィールドを含む。「ヘッダID」には、対応するボディ情報が地物の検出に成功した際の情報であるか又は当該検出に失敗した際の情報であるかを識別するための情報が登録される。従って、車載機1は、地物の検出に成功した際に条件情報ICをサーバ装置4へ送信する場合、「ヘッダID」には、対応するボディ情報が地物の検出に成功した旨の識別情報を登録する。一方、車載機1は、地物の検出に失敗した際に条件情報ICをサーバ装置4へ送信する場合、「ヘッダID」には、対応するボディ情報が地物の検出に失敗した旨の識別情報を登録する。「バージョン情報」には、ボディ情報のデータ構造のバーションが登録される。「ボディ長」には、ボディ情報のデータサイズが登録される。
ボディ情報は、地物検出を行う車載機1を載せた車両の状態、車両の周辺の状態、または外界センサ31の状態を示す情報であって、図6の例では、「地物ID」、「センサタイプ」、「メーカ情報」、「ハードウェアID」、「車両の姿勢」、「車両の速度」、「車両の位置」、「時刻」、「天候」、及び複数の「使用したパラメータ」の各フィールドを含む。
「地物ID」には、条件情報ICを生成する車載機1が検出対象とした地物の識別情報が登録される。この識別情報は、高度化地図DB43の中で一意に割り当てられる地物の識別情報である。「センサタイプ」には、条件情報ICを生成する車載機1が地物検出に使用した外界センサ31の種類を示す情報が登録される。「メーカ情報」には、条件情報ICを生成する車載機1が地物検出に使用した外界センサ31のメーカの情報が登録される。「ハードウェアID」には、条件情報ICを生成する車載機1が地物検出に使用した外界センサ31の機種等を特定する情報が登録される。「車両の姿勢」には、条件情報ICを生成する車載機1を載せた車両の地物検出時での姿勢の情報が登録される。例えば、車載機1は、ジャイロセンサ33、加速度センサ34などの内界センサからの検出信号に基づき、地物検出時での車両のロール角、ピッチ角、及びヨー角を算出し、これらの角度の情報を「車両の姿勢」のフィールドに登録する。「車両の速度」には、条件情報ICを生成する車載機1を載せた車両の地物検出時での速度センサ35の出力等に基づく車両の速度の情報が登録される。「車両の位置」には、条件情報ICを生成する車載機1を載せた車両の地物検出時でのGPS受信機32の出力等に基づく車両の位置の情報が登録される。
なお、「車両の姿勢」、「車両の速度」、「車両の位置」には、地物検出が成功したか否かに関わらず、対応する情報が登録される。即ち、「車両の姿勢」、「車両の速度」、「車両の位置」には、地物検出に成功した場合には成功したときの車両の姿勢、速度、位置が登録され、地物検出に失敗した場合には失敗したときの車両の姿勢、速度、位置が登録される。以下の「時刻」、「天候」、及び複数の「使用したパラメータ」の各フィールドも同様である。
「時刻」には、地物検出時の時刻が登録される。「天候」には、地物検出時の時刻が登録される。車載機1は、図示しない照度センサや雨滴センサ等の出力に基づき「天候」に登録すべき天候を判定してもよく、天候情報を管理するサーバ装置から「天候」に登録すべき天候の情報を取得してもよい。
複数の「使用したパラメータ」(図6中の「使用したパラメータ1」、「使用したパラメータ2」)には、地物検出時での地物検出に用いた外界センサ31の設定情報が登録される。例えば、地物検出に用いた外界センサ31がライダの場合には、地物検出時でのレーザパワー、レーザパルス密度、レーザにより照射する角度範囲等を示す設定情報がそれぞれ「使用したパラメータ」の各々に登録される。他の例では、地物検出に用いた外界センサ31がカメラの場合には、フレームレート、解像度、画角等を示す設定情報がそれぞれ「使用したパラメータ」の各々に登録される。
[処理フロー]
(1)車載機の処理
図7は、車載機1が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。車載機1は、図7に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
まず、車載機1は、GPS受信機32、ジャイロセンサ33、加速度センサ34、速度センサ35等の出力に基づき、車両の現在位置、姿勢、速度等を検出する(ステップS101)。
次に、車載機1の地物情報取得部21は、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から未取得であるか否か判定する(ステップS102)。この場合、地物情報取得部21は、例えば、サーバ装置4から地物情報IFを前回受信した位置から所定距離以上離れた場合、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から未取得であると判断する。他の例では、地物情報取得部21は、予め区切られたエリアのうち、所定期間内に進入していないエリアに進入した場合、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から未だ取得していないと判断し、後述するステップS103において当該エリアに対応する地物情報IFを取得する。
そして、地物情報取得部21は、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から未だ取得していない場合(ステップS102;Yes)、サーバ装置4から自車位置周辺の地物情報IFを取得する(ステップS103)。この場合、地物情報取得部21は、ステップS101で検出した自車位置を含む地物情報IFの要求信号をサーバ装置4に送信することで、自車位置周辺の地物情報IFをサーバ装置4から受信する。この場合、地物情報取得部21は、地物情報IFを含む自車位置周辺の地図データを受信してもよい。一方、地物情報取得部21は、自車位置周辺の地物情報IFを既にサーバ装置4から取得済みである場合(ステップS102;No)、ステップS104へ処理を進める。
次に、車載機1の地物検出部22は、外界センサ31の検出範囲内に地物が存在するか否か判定する(ステップS104)。例えば、地物検出部22は、サーバ装置4から受信した地物情報IFの「座標」のフィールドが示す位置が、外界センサ31の検出範囲内に含まれるか否か判定する。なお、地物検出部22は、外界センサ31の検出範囲を、予め記憶部12に記憶した外界センサ31の検出範囲の情報を参照することで特定してもよく、外界センサ31に設定されたパラメータに基づき算出してもよい。
そして、地物検出部22は、外界センサ31の検出範囲内に地物が存在する場合(ステップS104;Yes)、当該地物を対象とした外界センサ31の出力に基づく地物検出処理を行う(ステップS105)。この場合、地物検出部22は、検出対象の地物の地物情報IFのセンサ属性のフィールドを参照し、当該地物の検出を行う場合の外界センサ31に設定すべきパラメータの情報等を認識する。そして、地物検出部22は、例えば、外界センサ31の出力と、図4に示す地物情報IFの「座標」及び「属性情報」の各フィールドの内容とを比較し、公知の地物検出技術に基づき、対象の地物が検出できたか否か判定する。なお、地物検出部22は、検出対象の地物の地物情報IFのセンサ属性のフィールドを参照し、当該地物の検出が困難と判断した場合には、以後のステップS106~S108の処理を実行することなくフローチャートの処理を終了してもよい。
そして、車載機1の条件情報送信部23は、地物検出部22による対象の地物の検出が成功した場合(ステップS106;Yes)、成功時の条件等を示す条件情報ICをサーバ装置4へ送信する(ステップS107)。この場合、条件情報送信部23は、送信する条件情報ICのヘッダ情報の「ヘッダID」には、対応するボディ情報が検出成功時の情報であることを示す特定の識別番号等を登録する。一方、条件情報送信部23は、地物検出部22による対象の地物の検出が失敗した場合(ステップS106;No)、失敗時の条件等を示す条件情報ICをサーバ装置4へ送信する(ステップS108)。この場合、条件情報送信部23は、送信する条件情報ICのヘッダ情報の「ヘッダID」には、対応するボディ情報が検出失敗時の情報であることを示す特定の識別番号等を登録する。
(2)サーバ装置の処理
図8は、サーバ装置4が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。サーバ装置4は、図8のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
まず、サーバ装置4の条件情報取得部47は、条件情報ICを車載機1から受信したか否か判定する(ステップS201)。そして、条件情報取得部47は、条件情報ICを車載機1から受信した場合(ステップS201;Yes)、受信した条件情報ICを蓄積する(ステップS202)。このとき、例えば、条件情報取得部47は、地物IDごとに条件情報ICを蓄積する。一方、条件情報取得部47は、条件情報ICを車載機1から受信していない場合(ステップS201;No)、ステップS203へ処理を進める。
次に、サーバ装置4のセンサ属性更新部48は、統計解析処理のタイミングであるか否か判定する(ステップS203)。例えば、センサ属性更新部48は、条件情報ICの蓄積個数が所定個数以上となった地物IDが存在する場合に、当該地物IDに対応する条件情報ICを対象にした統計解析処理を実行するタイミングであると判断する。この場合、上述の所定個数は、実行する統計解析処理に最低限必要な個数に予め設定される。
そして、センサ属性更新部48は、統計解析処理のタイミングであると判断した場合(ステップS203;Yes)、統計解析処理により、高度化地図DB43中の地物情報IFのセンサ属性のフィールドを更新する(ステップS204)。この場合、センサ属性更新部48は、例えば、統計解析処理に最低限必要な個数の条件情報ICが蓄積された地物IDの地物情報IFを対象に、センサ属性のフィールドに属する各サブフィールドの値を更新する。また、センサ属性更新部48は、センサ属性のフィールドを更新した場合、対応するヘッダ情報のバージョン情報に登録されたバージョンについても更新する。一方、センサ属性更新部48は、統計解析処理のタイミングでないと判断した場合(ステップS203;No)、ステップS205へ処理を進める。
次に、サーバ装置4の地物情報送信部46は、地物情報IFの送信要求を車載機1から受信したか否か判定する(ステップS205)。そして、地物情報送信部46は、地物情報IFの送信要求を車載機1から受信したと判断した場合(ステップS205;Yes)、要求元の車載機1に対し、対応する地物情報IFを送信する(ステップS206)。この場合、地物情報送信部46は、地物情報IFの送信要求に含まれる位置情報と、各地物情報IFのボディ情報の「座標」とをそれぞれ参照し、地物情報IFに含まれる位置情報が示す位置から所定距離以内に存在する地物の地物情報IFを高度化地図DB43から抽出して車載機1へ送信する。一方、地物情報送信部46は、地物情報IFの送信要求がない場合(ステップS205;No)、フローチャートの処理を終了する。
以上説明したように、本実施例では、サーバ装置4が記憶する高度化地図DB43には、車載機1の外界センサ31により検出される対象となる地物ごとに、地物情報IFが登録されている。そして、地物情報IFのデータ構造には、地物の検出に関する設定情報または環境情報が含まれるセンサ属性のフィールドが設けられている。サーバ装置4は、センサ属性のフィールドを、複数の車載機1から受信した地物検出時の条件を示す条件情報ICを統計解析することで更新する。これにより、サーバ装置4は、地物を検出する際に有用な外界センサ31の設定情報及び環境情報を更新可能に地物情報IFとして保持することができ、地物情報IFを車載機1に配信することで車載機1に地物検出を好適に実行させることができる。
[変形例]
次に、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
(変形例1)
車載機1は、車載機1が備える外界センサ31に関連するセンサ属性のみを含む地物情報IFをサーバ装置4から受信してもよい。
この場合、車載機1は、地物情報IFの送信要求に、自身が備える外界センサ31の種別情報を含めてサーバ装置4に送信する。そして、サーバ装置4は、地物情報IFの送信要求を受信した場合、当該送信要求に含まれる上述の種別情報が示す外界センサ31に関連しないセンサ属性を除外した地物情報IFを、車載機1へ送信する。あるいは、サーバ装置4は、個別の車両が搭載している外界センサ31を車両ごとに記憶しており、車載機1は、車両を識別するための車両情報をサーバ装置4に送信し、サーバ装置4は受信した車両情報に対応する車両に搭載される外界センサ31に関連しないセンサ属性を除外した地物情報IFを送信してもよい。この例では、車載機1は、搭載されていない種類の外界センサに関するセンサ属性を受信する必要がなくなる。
(変形例2)
車載機1は、地物情報IFを受信する代わりに、センサ属性のみをサーバ装置4から受信してもよい。
この場合、例えば、車載機1は、センサ属性以外の情報が登録された地物情報IFを含む地図データを予め記憶部12に記憶しておく。そして、車載機1は、図7のステップS102では自車位置周辺のセンサ属性を未取得であるか否か判定し、ステップS103において自車位置周辺のセンサ情報をサーバ装置4から受信する。この態様によれば、車載機1とサーバ装置4との通信量を好適に削減することができる。この場合、車載機1は、上述の(変形例1)と組み合わせることで、車載機1が備える外界センサ31に関連するセンサ属性のみを受信してもよい。
(変形例3)
車載機1は、条件情報ICに含まれる地物検出時の時刻や天候などの情報に加えて、または代えて、地物検出時の日付または季節に関する情報を、サーバ装置4に送信してもよい。例えば、地物が樹木などであった場合、季節に応じて葉の量や色が異なるため、検出に好適な外界センサ31の設定が異なる場合がある。サーバ装置4は、このような条件情報ICを複数の車載機1から受信して蓄積して統計解析することで、季節に依存して態様が変化する地物に対しても、高度化地図DB43に登録された地物情報IFのセンサ属性を好適に更新することができる。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う地物データ構造、記憶媒体、情報処理装置及び検出装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。