JP2022049956A - 不燃建材ボードの製造方法及び原料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】白華を生じ難い不燃建材ボードを、水を用いずかつホットプレス中にパンクを生じることなく、比較的短時間で製造する方法を提供する。【解決手段】不燃建材ボードの製造方法において、水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する工程と、前記混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する工程とを有し、前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されている。【選択図】なし
Description
本発明は、ジオポリマーを主体とする不燃建材ボードの製造方法に関する。
不燃建材ボードは、セメントやケイ酸カルシウムを主成分とした板状のものがある。製造方法としては、大きく分けて2種類ある。一つは、スレート板のようにケイ酸質原料、石灰質原料、補強繊維を含む原料スラリーを抄造機によって板状に成形した後に、オートクレーブ中で水熱反応によってケイ酸カルシウムを生成させて硬化させる抄造方法である(特許文献1)。
もう一つは、繊維補強セメント板のようにセメント、砂、混和剤、水等をミキサーでセメントモルタルのスラリー状としたものをポンプで圧送し、スプレーガンで型枠面に吹付けると同時に、耐アルカリガラス繊維のロービングをカッターで所定の長さに切断しながら、噴霧状態のセメントモルタルスラリーと同時に、型枠面に吹付け成形するダイレクトスプレー法である(特許文献2)。あるいは、セメントモルタルと、予め所定の長さに切断した耐アルカリガラス繊維のチョップドストランドをミキサー中で混合し、型枠の中に流し込むか、この混合物を押出しやプレスなどで成形するプレミックス法がある。これらの方法もオートクレーブ中で養生するのが一般的である。
また、セメント系硬化材に替わる硬化材としてジオポリマーが知られている(特許文献3、4)。ジオポリマーの原料は、潜在水硬性物質である活性フィラーとアルカリ刺激剤である。硬化反応は、水を媒体として行われ、アルカリ刺激剤が活性フィラーのHO-Si-O-Si-O結合やHO-Si-O-Al-O結合の-O-の部分を切断し、アルカリ刺激剤のOHイオンが結合して単量体になり、脱水縮合を繰り返し[O-Si-O-Al-O-Si-O]nのアルミノケイ酸塩の縮重合体(ジオポリマー)を成形していく反応機構と考えられている。混合物のイオン化を図るため、通常は原料に水を加えてモルタルのようなスラリー状にして型枠内に流し込み反応させて固化物を得る。
特許文献4には、水を加えずに、スラグ粉末等の活性フィラーと、アルカリ刺激剤であるメタケイ酸ナトリウム含水塩とを含む硬化組成物をホットプレスすることにより固化物を得ることが記載されている。
特許文献5は、合成樹脂の発泡剤として硼砂(四ホウ酸ナトリウム10水和物)と水酸化ナトリウムを含む耐火性の無機発泡剤を開示している。
特許文献1、2の製造方法では、オートクレーブ内の温度を常温から一定の温度上昇で60℃から80℃程度まで上げ、その温度で4時間前後保持した後に蒸気を止め、常温まで自然冷却する養生パターンをとっているため、養生に多大な時間をかけており、生産性が悪い。
特許文献4には、活性フィラー100重量部に対してメタケイ酸ナトリウム含水塩60~150重量部を加え、60℃~120℃で5分間、ホットプレスすることにより、例えば射撃用標的又は建築材料を得ると記載されている。しかしながら、直径10cm程度の皿状の射撃用標的を得る方法は記載されているものの、建材ボードを得る具体的な方法は記載されていない。
また、ホットプレスで建材ボードを製造する場合、原料組成物の含水率が15重量%を超えるような高含水量ではプレス中の水分蒸発によってパンクしてしまい、ボードを形成できない。水を用いない原料組成物であっても、活性フィラーに対してメタケイ酸ナトリウム含水塩の量が多いと、ホットプレス時に融解する結晶水が過多となりパンクを生じ易くなる。またさらに、ホットプレス時の温度が低すぎると反応が遅いため、建材ボードとして十分な強度を得るには時間がかかる。
さらに、ジオポリマーによる建材ボードの欠点は、水に対して白華現象を起こすことである。特に、活性フィラーとメタケイ酸ナトリウム含水塩とからなる建材ボードでは、未反応のナトリウムがボード内に残留するので、ボードが水に濡れると水酸化ナトリウムイオンを生じ、これが空気中の二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウム等になり白華現象を起こす。
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、白華を生じ難い不燃建材ボードを、水を用いずかつホットプレス中にパンクを生じることなく、比較的短時間で製造する方法を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を提供する。
・ 本発明の態様は、不燃建材ボードの製造方法において、
水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する工程と、
前記混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する工程とを有し、
前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されることを特徴とする。
・ 上記態様において、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物及び前記四ホウ酸ナトリウム10水和物の各々の結晶水に由来する、前記混合物全体の含水率が7~15重量%の範囲内であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記不燃建材ボードの密度が1.0~1.5g/cm3であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記活性フィラーが、フライアッシュ、クリンカアッシュ、高炉スラグ、又は火山灰であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記混合物を生成する工程において、前記活性フィラーと前記メタケイ酸ナトリウム5水和物と前記四ホウ酸ナトリウム10水和物との混合割合が異なる複数の混合物を生成し、
・ 前記不燃建材ボードを成形する工程において、前記複数の混合物の各々を、隣り合う層が異なる混合割合をもつように型枠内に2層以上散布成層した後、ホットプレスすることが、好ましい。
・ 本発明の別の態様は、不燃建材ボードの原料組成物であって、
・ 前記原料組成物は、水を含まず、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを含む混合物であり、前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されていることを特徴とする。
・ 本発明の態様は、不燃建材ボードの製造方法において、
水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する工程と、
前記混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する工程とを有し、
前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されることを特徴とする。
・ 上記態様において、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物及び前記四ホウ酸ナトリウム10水和物の各々の結晶水に由来する、前記混合物全体の含水率が7~15重量%の範囲内であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記不燃建材ボードの密度が1.0~1.5g/cm3であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記活性フィラーが、フライアッシュ、クリンカアッシュ、高炉スラグ、又は火山灰であることが、好ましい。
・ 上記態様において、前記混合物を生成する工程において、前記活性フィラーと前記メタケイ酸ナトリウム5水和物と前記四ホウ酸ナトリウム10水和物との混合割合が異なる複数の混合物を生成し、
・ 前記不燃建材ボードを成形する工程において、前記複数の混合物の各々を、隣り合う層が異なる混合割合をもつように型枠内に2層以上散布成層した後、ホットプレスすることが、好ましい。
・ 本発明の別の態様は、不燃建材ボードの原料組成物であって、
・ 前記原料組成物は、水を含まず、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを含む混合物であり、前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されていることを特徴とする。
本発明による不燃建材ボードの製造方法では、水を使わないため乾式の状態で型枠内に散布成層でき、パンクを生じることなく、かつ、オートクレーブ等の養生することなく短時間で製造できるため生産性が高められる。さらに、その製造方法において、活性フィラーとメタケイ酸ナトリウム5水和物に加え、四ホウ酸ナトリウム10水和物を用いることにより白華現象を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明による、不燃建材ボードの製造方法は、水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する第1の工程を有する。さらに、その混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する第2の工程を有する。その場合、第1の工程で生成される混合物における四ホウ酸ナトリウム10水和物は、メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合される。
本発明による、不燃建材ボードの製造方法は、水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する第1の工程を有する。さらに、その混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する第2の工程を有する。その場合、第1の工程で生成される混合物における四ホウ酸ナトリウム10水和物は、メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合される。
また、本発明の不燃建材ボードの製造方法に用いる原料組成物は、水を含まず、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物である。その混合物における四ホウ酸ナトリウム10水和物は、メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されている。
さらに上記混合物において、メタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物の結晶水に由来する、混合物全体の含水率が、7~15%の範囲内であることが好ましい。
上記混合物すなわち原料組成物を、そのまま乾式で所定の型枠内に散布成層し、ホットプレスすると、アルカリ刺激剤であるメタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物の各々の中の結晶水が融解し、その融解した水を媒体として活性フィラーの縮重合硬化反応を生じる。その結果、アルミノケイ酸塩の縮重合体(ジオポリマー)が形成され、ボード状の固化物が得られる。
ボードの外郭形状及び厚さは、型枠の形状により規定される。ボードの密度は、型枠の容積と、型枠内に充填され圧締される原料組成物の重量により規定される。ボードの密度は、好ましくは1.0~1.5g/cm3である。このようなボードは、軽量不燃建材ボードとして使用できる。
本発明により製造される不燃建材ボードは、単層板も複層板も製造することができる。単層のボードを製造する場合は、所定の混合割合の一種類の原料組成物を型枠に散布成層する。
複層板のボードを製造する場合は、混合物を生成する工程において、活性フィラーとメタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物との混合割合が異なる複数の混合物を準備する。そして、不燃建材ボードを成形する工程において、複数の混合物の各々を、隣り合う層が異なる混合割合をもつように型枠内に2層以上(例えば3層)積層させて散布成層した後、ホットプレスする。例えば3層を積層する場合、表面層と裏面層を同じ組成とし、中芯層を異なる組成とすることができる。
活性フィラーは、潜在水硬性物質であり、非晶質のケイ酸アルミニウムを含む材料である。例えば、産業廃棄物として捨てられているフライアッシュ、クリンカアッシュに代表される石炭灰、高炉スラグ微粉末、火山灰等を活性フィラーとして用いることができる。散布成層を乾式で行う場合、材料を飛散させない散布状態を考慮すると、ブレーン値2000~4200cm2/gが望ましい。ブレーン値がこの範囲より高い場合、反応に必要な水の量が多くなるため、メタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物の量を多くする必要があるが、それによってホットプレス時の水の蒸発分が多くなる結果、ホットプレス後の固化物における水の蒸発分に相当する容積変化が大きくなり、クラックが生じ易くなるので好ましくない。
アルカリ刺激剤は、メタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物とを混合したものが好ましい。好ましい混合割合は、メタケイ酸5水和物に対し四ホウ酸ナトリウム10水和物を10~30重量%とする。メタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物は、室温では固体でありかつホットプレス時に結晶水が融解して水を放出する。
本発明により密度1.5g/cm3以下の不燃建材ボードをホットプレスで製造する場合、パンク又はクラックを発生させないように、混合物全体の含水率を15重量%以下に抑える必要がある。この水分は、メタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物に含まれる結晶水に由来する。混合物全体の含水率の下限は、縮重合反応に必要な水分量によって規定され、混合物全体の含水率を7重量%以上とすることが好ましい。
メタケイ酸ナトリウム5水和物は、ホットプレスすると72℃付近で結晶水が融解し、約100℃で蒸発する。仮に、アルカリ刺激剤としてメタケイ酸ナトリウム5水和物のみを使用する場合、メタケイ酸ナトリウム5水和物に由来する水分量は、混合したメタケイ酸ナトリウム5水和物の42重量%と少ない。その結果、水分が分散せず、水の周囲に活性フィラーが付着して玉状に固まり、縮重合反応が弱くなるため建材ボードを成形することが困難となる。
そこで本発明では、アルカリ刺激剤として、メタケイ酸ナトリウム5水和物に加え、四ホウ酸ナトリウム10水和物を含む。四ホウ酸ナトリウム10水和物は、メタケイ酸ナトリウム5水和物のみでは不足する、縮重合反応のための水分量を補うことができる。
さらに、四ホウ酸ナトリウム10水和物を配合することによって、ジオポリマーによる建材ボードの欠点である白華現象を抑制する効果が得られる。縮重合反応のための水分量の補充効果は、四ホウ酸ナトリウム10水和物以外に例えばメタケイ酸ナトリウム9水和物でも得られるが、白華現象の抑制効果については、四ホウ酸ナトリウム10水和物の方が良好であることが試験結果から判明した。
また、四ホウ酸ナトリウム10水和物は、メタケイ酸ナトリウム5水和物に近い75℃で融解する点でも好ましい。結晶水が融解し水分量が増すことによってナトリウムイオンが反応を進める。メタケイ酸ナトリウム5水和物及び四ホウ酸ナトリウム10水和物の結晶水が融解した水分は、活性フィラーに分散してしみ込み、100℃で蒸発することによって空隙を生じる、この空隙すなわち発泡は、不燃建材ボードの軽量化に寄与する。
このように、メタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物の組合せによって、ホットプレスで成形する場合にそれらの水分がアルカリ刺激剤としての機能を満たし、活性フィラーとジオポリマー硬化反応を行うことにより不燃建材ボードを成形でき、かつ、白華抑制効果も得られる。
メタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物との混合割合においては、ホットプレスの温度と、強度との兼ね合いも考慮する必要がある。したがって、活性フィラーを100重量部とした場合、メタケイ酸ナトリウム5水和物を25~50重量部の範囲とし、さらに四ホウ酸ナトリウム10水和物の混合割合は、メタケイ酸ナトリウム5水和物に対し10~30重量%とすることが好ましい。
その場合、メタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物に由来する混合物全体の含水率が、7~15重量%の範囲内に収まるように調整することが好ましい。混合物全体の含水率が7~15重量%の範囲内であれば、ホットプレス時に混合物がパンクすることなく成形し易い。また、混合物全体の含水率が7~15重量%の範囲内であれば、ホットプレス前の混合物を大気中に放置しても潮解することなくダマにもならないので、散布に良好である。加えて、縮重合反応に必要な水分も十分に得られる。
さらに、上記混合物すなわち原料組成物は、活性フィラーと、メタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物に加え、硬化促進剤、補強繊維、防水剤等を含むことができる。
硬化促進剤として、モルタルセメントに使用されているものが使用できるが、本発明ではカルシウム塩が効果的であり、特に水酸化カルシウムが適している。硬化促進剤の添加量は、活性フィラーを100重量部とした場合、0.5~2.0重量部が適量である。
補強繊維は、不燃建材ボードの強度向上とクラック防止を図ることができる。建材ボードの表面層の補強繊維は、硬化促進作用も兼ね備えているロックファイバーが好ましい。表面層の補強繊維の添加量は、活性フィラーを100重量部とした場合、1~3重量部が好ましい。建材ボードの中芯層の補強繊維には、一般に、セメントコンクリートの補強に使用されている、ビニロン、木毛、パルプ、ロックファイバー、ガラス繊維、アクリル繊維等を使用できる。ビニロン繊維は、ジオポリマーと馴染みが良いので補強繊維として特に好ましい。中芯層の補強繊維の添加量は、不燃性を考慮して、活性フィラーを100重量部とした場合、1~3重量部が適量である。
防水剤は、高級脂肪酸誘導体と界面活性剤を主成分にした粉末である。防水剤は、活性フィラーを100重量部とした場合、1~3重量部添加することが好ましい。
その他の混和物として、増量材、軽量骨材等を、必要な強度が確保される範囲で添加することができる。軽量骨材は、製品を軽量化する材料であり、不燃建材ボードの物性に影響を与えないものであればよく、軽石、発泡ガラス、パーライト、シラスバルーン等を用いることができる。
ホットプレスの時間は、生産性を考慮して30分以内に成型することが好ましい。型枠は、底面が平らであり、側面の高さが建材ボードの厚さを規定する。ホットプレスの温度範囲は120℃~160℃が好ましく、温度が高いほど反応が促進される。120℃未満の温度範囲では、30分以内では反応が進んでおらず、十分な強度が得られない。また、160℃を超える温度範囲では、メタケイ酸ナトリウム5水和物と四ホウ酸ナトリウム10水和物の量が多い場合に水の蒸発が急激に起こりパンク又はクラックが生じ易く、黒色の成型物となる。また、混合物の散布体積が少なすぎる場合もクラックが生じ易い。
本発明の実施例に使用した材料は以下の通りである。
<使用材料>
活性フィラー :JISII種フライアッシュ(北電興業株式会社)
アルカリ刺激剤:メタケイ酸ナトリウム5水和物(広栄化学株式会社)
四ホウ酸ナトリウム10水和物(U.S.Borax.Inc)
補強繊維 :ロックファイバー繊維(日本ロックウール株式会社)
ビニロン繊維(株式会社クラレ)
硬化促進剤 :水酸化カルシウム(試薬;関東化学株式会社)
軽量骨材 :パーライト(三井金属鉱業株式会社)
防水剤 :タイトレックスP(竹本油脂株式会社)
<使用材料>
活性フィラー :JISII種フライアッシュ(北電興業株式会社)
アルカリ刺激剤:メタケイ酸ナトリウム5水和物(広栄化学株式会社)
四ホウ酸ナトリウム10水和物(U.S.Borax.Inc)
補強繊維 :ロックファイバー繊維(日本ロックウール株式会社)
ビニロン繊維(株式会社クラレ)
硬化促進剤 :水酸化カルシウム(試薬;関東化学株式会社)
軽量骨材 :パーライト(三井金属鉱業株式会社)
防水剤 :タイトレックスP(竹本油脂株式会社)
<実施例1>
複層板の不燃建材ボードを次の手順で作製した。
コール板40cm×40cmの範囲に、表面層として、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、0.5mm以下に粉砕したメタケイ酸ナトリウム5水和物45重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物4.5重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10重量%)と、ロックファイバー繊維3.0重量部と、防水剤としてのタイトレックP1.0重量部とを混合した混合物264gを、均一な薄層となるように散布成層し、次に、長さ12mmのビニロン繊維7.5gを散布した。
さらに中芯層として、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、メタケイ酸ナトリウム5水和物30重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物3.6重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して12重量%)と、パーライト20重量部と、水酸化カルシウム1.5重量部とを混合した混合物1625gを、表面層の上に積層するように散布成層した。
その上に、裏面層として表面層と同じ配合の混合物264gを均一に散布成層した。なお、散布成層後の積層物全体の計算含水率は11.3重量%相当であった。
複層板の不燃建材ボードを次の手順で作製した。
コール板40cm×40cmの範囲に、表面層として、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、0.5mm以下に粉砕したメタケイ酸ナトリウム5水和物45重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物4.5重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10重量%)と、ロックファイバー繊維3.0重量部と、防水剤としてのタイトレックP1.0重量部とを混合した混合物264gを、均一な薄層となるように散布成層し、次に、長さ12mmのビニロン繊維7.5gを散布した。
さらに中芯層として、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、メタケイ酸ナトリウム5水和物30重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物3.6重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して12重量%)と、パーライト20重量部と、水酸化カルシウム1.5重量部とを混合した混合物1625gを、表面層の上に積層するように散布成層した。
その上に、裏面層として表面層と同じ配合の混合物264gを均一に散布成層した。なお、散布成層後の積層物全体の計算含水率は11.3重量%相当であった。
上記の手順によって得られた積層物を10mmの厚み規制バーを置いて、温度135℃のホットプレスに挿入し、加圧して厚み規制バーに着いた後、さらに20分間加熱してボード状の固化物である成型体を作製した。
得られた不燃建材ボードの特性は以下の通りである。
厚さ 10.2mm
密度 1.20g/cm3
曲げ強さ 16.2N/mm2
剥離強度 2.2N/mm2
厚さ 10.2mm
密度 1.20g/cm3
曲げ強さ 16.2N/mm2
剥離強度 2.2N/mm2
<実施例2>
単層板の不燃建材ボードを次の手順で作製した。
コール板の40cm×40cmの範囲に、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、0.5mm以下に粉砕したメタケイ酸ナトリウム5水和物35重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物3.5重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10重量%)と、水酸化カルシウム1.5重量部と、ロックファイバー繊維3.0重量部と、長さ12mmのビニロン繊維0.71重量部とを混合した混合物1510gを、均一に散布成層した。なお、散布成層時の計算含水率は混合物全体の11.2重量%相当であった。
単層板の不燃建材ボードを次の手順で作製した。
コール板の40cm×40cmの範囲に、フライアッシュ(ブレーン値4130cm2/g)100重量部に対し、0.5mm以下に粉砕したメタケイ酸ナトリウム5水和物35重量部と、四ホウ酸ナトリウム10水和物3.5重量部(メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10重量%)と、水酸化カルシウム1.5重量部と、ロックファイバー繊維3.0重量部と、長さ12mmのビニロン繊維0.71重量部とを混合した混合物1510gを、均一に散布成層した。なお、散布成層時の計算含水率は混合物全体の11.2重量%相当であった。
その後、7mmの厚み規制バーを置いて、温度130℃のホットプレスに挿入し、加圧して厚み規制バーに着いた後、さらに20分間加熱してボード状の固化物である成型体を作製した。
得られた不燃建材ボードの特性は以下の通りである。
厚さ 6.8mm
密度 1.30g/cm3
曲げ強さ 14.5N/mm2
剥離強度 2.1N/mm2
厚さ 6.8mm
密度 1.30g/cm3
曲げ強さ 14.5N/mm2
剥離強度 2.1N/mm2
以上の各実験で製作したボードは、建築基準法施行令第108条の2に定められた不燃材料に該当し、切断時の加工性も良好な不燃建材ボードであった。
<白華試験>
さらに、各実施例で得られたボードに対し、白華に関する試験を行った。白華の試験方法は、JIS A 5440「火山性ガラス質複層板(VSボード)」の7.6吸水試験後の試料を自然乾燥して白華状態を見た。その結果、いずれのボードも白華状態は見られなかった。
さらに、各実施例で得られたボードに対し、白華に関する試験を行った。白華の試験方法は、JIS A 5440「火山性ガラス質複層板(VSボード)」の7.6吸水試験後の試料を自然乾燥して白華状態を見た。その結果、いずれのボードも白華状態は見られなかった。
Claims (6)
- 不燃建材ボードの製造方法において、
水を加えずに、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物を生成する工程と、
前記混合物を型枠内に散布成層した後、120~160℃の温度範囲で15~30分ホットプレスすることによって不燃建材ボードを成形する工程とを有し、
前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されることを特徴とする不燃建材ボードの製造方法。 - 前記メタケイ酸ナトリウム5水和物及び前記四ホウ酸ナトリウム10水和物の各々の結晶水に由来する、前記混合物全体の含水率が、7~15重量%の範囲内であること特徴とする請求項1に記載の不燃建材ボードの製造方法。
- 前記不燃建材ボードの密度が、1.0~1.5g/cm3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の不燃建材ボードの製造方法。
- 前記活性フィラーが、フライアッシュ、クリンカアッシュ、高炉スラグ、又は火山灰であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の不燃建材ボードの製造方法。
- 前記混合物を生成する工程において、前記活性フィラーと前記メタケイ酸ナトリウム5水和物と前記四ホウ酸ナトリウム10水和物との混合割合が異なる複数の混合物を生成し、
前記不燃建材ボードを成形する工程において、前記複数の混合物の各々を、隣り合う層が異なる混合割合をもつように型枠内に2層以上散布成層した後、ホットプレスすることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の不燃建材ボードの製造方法。 - 不燃建材ボードの原料組成物であって、
前記原料組成物は、水を含まず、100重量部の潜在水硬性物質である活性フィラーと、25~50重量部のメタケイ酸ナトリウム5水和物と、四ホウ酸ナトリウム10水和物とを少なくとも含む混合物であり、前記混合物における前記四ホウ酸ナトリウム10水和物は、前記メタケイ酸ナトリウム5水和物に対して10~30重量%配合されていることを特徴とする不燃建材ボードの原料組成物。
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