JP2007119287A - 木質系石膏板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度及び耐火性に優れ、且つ、かさ比重の比較的小さい木質系石膏板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の木質系石膏板は、木質材料:15〜40質量%、石膏:30〜60質量%を主たる構成成分とする。本発明の木質系石膏板は、石膏、セメント、無機充填材、及び無機混和剤の混合物と、ポリマー混和剤及び水の混合物を用意し、これら2つの混合物と木質材料とを混合し、加圧成形することにより製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築用資材である木質系石膏板の技術分野に属する。なお、木質系石膏板は、現在はJISには規格としては認められていない新規の材料である。
火力発電所等において大気汚染防止を目的とした排煙脱硫装置から排出される排煙脱硫石膏は、有用な資源としての利用が十分にはなされておらず、廃棄物としての処分が問題となっており、積極的な利用が求められている。そのため、素材としては安価である。しかしながら、速硬性を有しており、また、硬化後の寸法安定性、断熱性及び耐火性に優れている等の長所も多い材料でもある。
木質系石膏板は、石膏に木毛、木片等の木質材料及び水を加え、加圧成形して作られる有機材料と無機材料の複合建築用材料である。ここではセメント板にならい前者を木毛石膏板と、後者を木片石膏板と便宜上呼ぶことにする。なお、本発明においては、木毛石膏板を主たる対象としているが、木片石膏板についても、本発明の範囲に含むことは勿論である。
上記構成の木質系石膏板は、木質材料と石膏を複合することにより、構成しているため、当然、木材に比較して耐火性・難燃性に優れているという長所を持つ。価格も安い。一方、木質を含み、且つ、製造上必然的に空隙が含まれることになり、また、意識的にも空隙をコントロールできるため、石膏板や、セメント板よりもかさ密度を低くすることができる。また、例えば、木毛といった強度増加に有効な物質を入れていることより、強度、特に、単位質量当たりの強度の高いものが得られるという長所がある。
石膏と木質材料よりなる木質系石膏板については、二水石膏からなる石膏相に木片が均一に混在している木質系石膏板である石膏パーティクルボードが、特許文献1に開示されている。
この木質系石膏板は、二水石膏からなる石膏相に木片が均一に混在していることにより、木片セメント板や石膏ボードに比べて、かさ比重を小さくし、強度を向上させることができるとされている。しかし、木質と石膏の含用量は示されておらず、どの程度のかさ比重なのか、どの程度の強度が得られているのかは明らかにされていない。
ただ、示されている図からは、木片(木毛ではないように見える。)の割合は10質量%程度と推定され、JISA5405−98に示されている木毛セメント板の45質量%以下に比較して著しく少ない量である。そのため、かさ比重も木毛セメント板の0.4〜0.7に比較してかなり高いと予想される。すなわち、木毛セメント板に対して、かさ比重を小さく、強度を向上させることができるとは考え難い。
なお、石膏自体はその耐水性は必ずしも十分ではなく、それが原因となって、その利用の範囲は限られてきたが、特許文献1には、石膏に対してポリマー混和剤として、0.1〜4質量%のパラフィンエマルション、又は、石膏に対して、0.5〜10質量%のEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、PAE(ポリアクリル酸エステル)、又は、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)を加えることが、強度の確保、水分浸入による強度劣化の抑制上から好ましいと記載されている。しかし、対象とした強度はどのようなものなのか(曲げ強度なのか、圧縮強度なのか等)、それがどの程度増加するのか、或いはどの程度、強度低下が防げるのか等に関するデータは示されていない。
なお、特許文献1には、ポリマー混和剤としてSBRが好ましいと記載されているが、強度劣化を抑制するとの観点から述べられているに過ぎず、水分吸収、形状の変化等の耐水性という観点からは捉えられていない。
耐火性についても優れているとの記載もあるが、それは、石膏の脱水効果に期待しているとの記載のみであり、実際にどの程度の耐火性を有しているかは明らかでない。
すなわち、特許文献1には、単に石膏に少量の木片を混入させた石膏板ができたということを示しているに過ぎず、それに、ポリマー混和剤を添加することにより、強度が増加する、又は、水分浸入による劣化が抑制されるであろうとの希望的な予想が述べられているに過ぎず、どの程度改善されるかという効果については全く示されていない。
また、特許文献2には、石膏を用いた混合物を木毛セメント板の空隙部に流し込み充填する耐火性建材の製造方法が開示されている。得られる製品は、当然、石膏を含んだ木毛セメント板になるが、セメント、スラグ、フライアッシュ等が主体の製品であり、かさ比重も1.1と大きく、木毛の配合割合も示されていない。
さらに、特許文献3には、石膏ボードに強化材としての古紙、ダンボール等の補強繊維を含有させた、かさ比重が1.0〜1.6の石膏板が開示されている。しかし、補強繊維の量についての記載はない。また、この石膏板には、撥水性を上げるために、アスファルト系、パラフィン系及びシリコーン系の撥水剤を使用することが示されている。撥水性については、2時間どぶ浸け時の吸水性が10%以下とされているが、これはかなり悪い値である。耐火性については、厚さ、9.5mm、かさ比重1.3の製品について、昭和45年建設省告示第1828号に規定する防火性能試験に不燃材料として合格とある。石膏の割合が多いことから、これは、当然の結果と言ってよい。
特開平9−165869号公報 特開平5−306159号公報 特開平9−302802号公報
以上に示したように、特許文献1〜3には、どのような組成にすれば、また、どのような製造方法によれば、かさ比重、強度、耐水性、耐火性を満足させられる木質系石膏板が得られるかは、全く開示されていないと言ってよい。
まず、木質系石膏板においては、木質材料の強化作用により、かさ比重を小さくしつつ、強度を向上を図れる可能性がある。しかし、十分な耐火性を得るためには、石膏の質量割合を比較的多くし、木片の質量割合を比較的少なくする必要があるため、かさ比重と耐火性との兼ね合いを如何に最適にするかがもっとも重要な課題であると言ってよい。
このように、従来の木質系石膏板においては、かさ比重が1.0以上と比較的高いため、一層の軽量化が必要であろう。また、木毛の配合量が示されておらず、さらに、強度についての記載も少なく、十分に満足のいくものが得られているとは、到底言い難い状態である。
従来からの単に木毛と石膏の割合のみで、かさ比重と耐火性が決まるという考えも再考する必要があろう。また、様々な添加物質を使うことにより、質量当たりの効果に差があることも十分に考えられ、この方向からの検討も、当然、有意義である。
本発明は、上述の問題に考慮し、強度及び耐火性に優れ、且つ、かさ比重の比較的小さい木質系石膏板を提供することを目的とする。さらに、石膏の問題点である、耐水性の確保も合わせて重要な目的とする。
耐水性を向上させるためには、ポリマー混和剤を加えることが効果的であるが、ポリマー混和剤の添加は、耐火性に悪影響を与えることが危惧される。また、曲げ強度は改善されると期待されるが、圧縮強度には悪影響を及ぼす可能性がある。
そのため、強度、耐水性、及び耐火性がいずれも満足できる、種々の構成材料の最適範囲を求めることが必要となる。特に、ポリマー混和剤、無機混和材の効果を最大限に引き出すための様々な工夫が必要である。ベントナイト等の無機混和材の働きは、特許文献1〜3には示されていないが、水分を多く含むことが可能な粘土が耐火性に大きな効果を有している可能性がある。
本発明は、請求項1の、木質材料:15〜40質量%、石膏:30〜60質量%を主たる構成成分とする木質系石膏板により、前記課題を解決した。
この木質系石膏板は、さらに、セメント:1〜10質量%を含むことができる。
この木質系石膏板は、さらに、無機充填材:3〜15質量%を含むことができる。
そして、この木質系石膏板は、さらに、無機混和材:3〜15質量%を含むことができる。
また、この木質系石膏板は、さらに、ポリマー混和剤:2〜5質量%を含むことができる。
前記無機充填材は、スラグ、炭酸カルシウム、シリカフューム、及び火山灰等、シリカ、又は、シリカとアルミナを主成分とする化合物のうち、1つ又は複数からなることが好ましい。
前記無機混和材は粘土が好適である。
前記無機混和材はベントナイトでもよい。
さらに、本発明は、請求項9の、木質材料、石膏、セメント、無機充填材、無機混和材、ポリマー混和剤、及び水が混合され、加圧成形されたことを特徴とする木質系石膏板によって、前記課題を解決した。
さらに、本発明は請求項10の、石膏、セメント、無機充填材、及び無機混和材の混合物と、ポリマー混和剤、及び水の混合物を用意し、前記2つの混合物と木質材料とを混合し、加圧成形することを特徴とする木質系石膏板の製造方法をも提供する。
本発明によれば、強度及び耐火性に優れ、且つ、かさ比重の比較的小さい木質系石膏板を得ることができる。
また、本発明によれば、耐水性に優れた木質系石膏板を製造することができる。
具体的には、これまでの木質系石膏板は、単に、木質材料及び石膏により構成されているもので、その特性については余り考慮が払われて来なかったが、本発明では、木質材料及び石膏の配合比率を規定することにより、強度、耐火性、及びかさ比重についての要求が満足されるようになった。
また、セメント、無機充填材、無機混和剤、ポリマー混和剤を加えることにより、強度、耐火性、かさ比重、耐水性、さらには、意匠性を持たせた木質系石膏板を製造することも可能になった。
特に、セメント、無機充填材、及び無機混和材とポリマー混和剤の複合効果、中でも、無機混和材の作用を巧みに利用し、それらの量の最適範囲を決めたことが大きな特徴である。
まず、木質材料としては、木毛、木片のいずれもが使用できるが、木片、木毛の形状及び量により、得られる木質系石膏板の性質に差が出てくる。木片や木毛が小さすぎると、また、短すぎると十分な強度を持った石膏板が得られない。また、木片が、大きすぎる場合も、強度が低くなるため、最適範囲が存在する。
木毛としては、長さが10〜420mm、幅1.0〜6.0mm、厚さが0.1〜0.6mmの通常使用されているものを使用できる。勿論、この範囲に限定する必要はないが、最低長さが長い方が当然得られる特性は優れている。専用の木毛製造用装置によって製造された木毛は、木材の繊維の方向が木毛の長さ方向と一致しており、強く、折れ難く、長い繊維の木毛が得られ、得られる木毛板の特性も優れている。
木片としては、例えば、製材時に発生する切れ端や、廃材等を5〜10mmの不定型に粉砕した粉砕チップが用いられることが多い。勿論、形状、大きさ等は、上記の範囲に限る必要はなく、さらに細かく粉砕し、粉末状に至るまでの大きさにしたものも用いることができる。木片の製造は、例えば、プレスやロールによる圧搾、切断等、いずれの方法によっても可能である。
なお、木毛を用いる方が、特に、上記の寸法範囲の木毛を用いる場合には、かさ比重を下げ、強度、断熱性を向上させる効果が格別に優れている。また、木毛を用いる方が、均一な表面状態にすることが容易であり、木質系石膏板として優れた意匠性、及び美観が得られる利点もある。
木毛、木片の材質は特に限定する必要はなく、通常の木質セメント板に使用可能な、赤松、松、杉、楢、栂 ブナ、ラワン等の、国内産材、輸入材等を用いることができるが、赤松より製造した木毛が加工性、その特性、経済性等の観点より最適である。
なお、木片の場合は、新材と同様に、建築廃材等も適当なサイズの木片とすることにより利用できるため、廃棄物処理、環境保護の面からも優れている。間伐材も、大きさによっては木片は勿論、木毛にも使用でき、資源の有効活用、環境保護の面でも有効である。
木質系石膏板は、かさ比重を下げるために、多孔性であることが好ましいが、木質材料として木毛を用いる場合、ポーラスな形に加圧成形することで、木質系石膏板が多孔性となり、かさ比重を下げることができる。また、木質材料として木片を用いる場合は、プレス圧を下げることで、木質系石膏板を多孔性にすることができる。
木質材料の配合割合は、15〜40質量%とすべきである。この配合割合が少ない場合はかさ比重が高くなり、配合割合が大きい場合は、耐火性の確保が困難になる。耐火性の確保から40質量%以下にする必要がある。配合割合を下げると、耐火性は向上するが、かさ比重が高くなる。15質量%未満にすると、かさ比重が0.8を越えるため、使い勝手が悪くなり、好ましくない。
使用する石膏は、二水石膏より乾式加熱して得られたβ型半水石膏(略称gypsum)が、施工性、特性、原料確保、価格の上からも最適である。配合割合は、30〜60質量%とした。β型半水石膏は排煙脱硫二水石膏を焼成したものを用いる。このβ型半水石膏に水を加えると二水石膏に戻る。
石膏は、速硬性で、硬化後の寸法安定性、断熱性、耐火性に優れている。火力発電所等において、大気汚染防止を目的とした排煙脱硫装置から排出される排煙脱硫石膏を使用できるため安価であり、廃棄物を有効利用の観点からも優れた材料である。配合量が30質量%未満の場合は、十分な耐火性が得られない。60質量%を超えると、かさ比重が1.0を超えてしまう。
セメントは、石膏板の強度の向上、ミクロフィラー(microfiller)効果と水和物の生成を目的として1〜10質量%の範囲で配合する。従来の木質系石膏板には強度が比較的低いという問題があったが、本発明では、セメントを加えることによって優れた強度が得られた。強度の増加の効果は、1質量%以上で認められた。一方、添加量が10質量%を超えた場合、強度向上効果は飽和し、また、コスト高に繋がる。
セメントは、強度向上、耐火性の向上に有効であるが、水和物の形成による効果が後に述べるように、間接的に耐水性向上に繋がることも重要である。この場合も、配合量が1質量%未満の場合は、これらのミクロフィラー効果と水和物の 生成量は十分ではなく、10質量%を超えて配合してもその効果は飽和し、一方では、経済性が低下する。
セメントには、例えば、JIS R5210に規定されている普通ポルトランドセメントが好ましいが、勿論、これに限るものではない。高炉セメント、も使用可能である。使用するセメントのブレーン値(比表面積)は、2,5000〜5,000cm2/g程度、好ましくは、4,000〜5,000cm2/g程度がよい。
無機充填材としては、ミクロフィラー効果と水和物の生成を目的として、スラグ、炭酸カルシウム、シリカを主成分とする化合物(例えば、シリカフューム)、及び火山灰等、シリカ又はシリカとアルミナを主成分とする物質のうち1つ又は複合して3〜15質量%の範囲で配合する。配合量の下限は、ミクロフィラー効果と水和物の生成効果の有効性より定めた。上限は、その効果が飽和する量とした。
スラグとしては、例えば、高炉溶融スラグへの加圧水の噴射、或いは溶融スラグを水中に投入して急冷、粒状化(水砕)した高炉スラグ微粉末が使用できる。そのブレーン値(比表面積)の範囲は、5,000〜15,000cm2/g、 好ましくは、7,000〜15,000cm2/g、最適範囲は、10,000 〜15,000cm2/g程度である。
シリカフュームの場合も、ブレーン値(比表面積)は5,000〜15,000cm2/g、好ましくは、7,000〜15,000cm2/g、最適範囲は、10,000〜15,000cm2/g程度である。
炭酸カルシウムは、石灰石の粉末が好ましい。この場合のブレーン値の範囲も、先のスラグ、シリカフュームのの場合とほぼ同様であるが、ブレーン値(比表面積)の最適範囲は、8,000〜15,000m2/g程度である。
火山灰も無機充填材として有効である。組成は、例えば、主要成分がシリカ約60質量%、アルミナ約20質量%、酸化カルシウム、その他、約20質量%のものが使用できる。他の充填剤と同様に、セメントに比較してシリカ、及びアルミナの割合が多く、酸化カルシウムの割合が低い。火山灰は、例えば、関東ロームのように、鉄分等を含むことが多く、着色している例もあるが、阿武隈山地、福島県田村市大越町の石灰採取場(田村町大越町)からの、又は、石灰採取の副産物として採取される白色の火山灰は、灰色のセメントやスラグによる着色を薄める効果があり、意匠性を高くできる。例えば、マルナカ白土のシルトF(商品名)は、凝灰岩が微粉化したものであるが、本用途に最適である。
火山灰のブレーン値(比表面積)は、先に示したスラグ、シリカフュームの場合とほぼ同様であるが、さらに細かく、最適範囲は8,000〜15,000cm2/g程度であるが、10,000〜15,000cm2/g程度の物を使用するとよい。
このように、火山灰は他の無機充填材として優れた特性を持っている。火山灰は有効利用がされていない場合も多く、活用方法を提供できる意義は大きい。
なお、上記の無機充填材のうち、シリカフュームを配合する場合の範囲は、0〜5質量%とする。従って、5質量%以上配合する場合は、シリカフュームを単独で配合するのではなく、高炉スラグ、炭酸カルシウム、火山灰等と共に用いる必要がある。高炉スラグ、炭酸カルシウム、及び火山灰は、単独で用いることができる。なお、炭酸カルシウムは、例えば、石灰石のような炭酸カルシウムを主とした鉱物の微粉体で添加する。
勿論、無機充填材は、上記の物質に限る必要はない。シリカ、及びアルミナを主成分とするブレーン値範囲が5,000〜15,000m2/g、好ましくは 、7,000〜15,000m2/g、最適範囲は8,000〜15,000m2/g程度の物質は使用可能である。
石膏だけの硬化体の微細組織は、針状結晶構造で空隙が多く、そこに水が入りやすく、当然耐水性も劣っている。セメント及び無機充填材を混合することにより、反応性のある水和物が形成されて針状結晶を覆い、さらに、空隙に入り込むため、緻密な組織が形成され、強度、耐水性が向上する。
本発明では、後に述べるように耐水性を向上させるため、ポリマー混和剤を使用することとしたが、ポリマー混和剤は耐火性に悪影響を与え、且つ、高価なため、その使用量を少なくする方法を幅広く研究した。その結果、石膏に微粉状態のセメント及び無機充填材及び無機混和材を添加することによって、石膏の結晶中の空隙が減少し、また、石膏結晶の針状の微細組織に微粉状態のセメント及び無機充填材等が付着すること、及び水和物を形成することによる形状の変化により、組織内部の表面積が減少し、少量のポリマー混和剤フィルムで覆うことが可能になる。すなわち、ポリマー混和剤の添加量が少ない状態でも、耐水性が確保されることを可能にした。
無機混和材の配合は、本発明の大きな特徴である。無機混和材を加えることによって木質系石膏板の耐火性が向上し、結果として、木質系材料の割合を多くすることができ、さらに、結果として石膏の割合を少なくすることができ、木質系石膏板のかさ比重を下げることができる。配合量は、3〜15質量%の範囲とする。下限は、耐火性を確保、及び、色合い調整効果より設けた。上限は、かさ密度を低く保つために設けた。
無機混和材としては粘土が好ましく、特に、ベントナイトが好ましく用いられる。ベントナイトの主要鉱石は、モンモリロナイトである。ベントナイトは、容易に水分子を取込む特性があり、水に入れると膨潤して体積は約10倍近くになる。そのため、680℃までの耐火性があり、石膏ボードの耐火性を上げる効果が極めて大きい。その他の無機混和材としては、モンロリロナイト(シリカ:50〜60質量%、アルミナ:20〜30質量%)、カオリナイト(シリカ:40〜50質量%、アルミナ:35〜40質量%)、イライト(シリカ:50〜55質量%、アルミナ:20〜30質量%)等の粘土を用いることできる。勿論、水分を保持する機能を有する粘土であれば、上記のものに限る必要はない。また、2種以上を混合して用いてもよい。
使用に適したベントナイトのブレーン値(比表面積)は、8,000〜15,000cm2/gの範囲である。
ベントナイトを添加することによって、石膏板の色合いの調整が可能になり、特色のある色調の石膏板にすることができ、意匠性の高い製品が得られる。
石膏自体の耐水性は、必ずしも十分ではなく、その利用の範囲は限られてきた。このことは、木質系石膏板においても同様であり、先に示した、特許文献1及び3にもそのことが記述されており、合わせて、この耐水性を改善する目的で、様々な樹脂を添加することが開示されている。
この石膏の耐水性の向上の観点から添加するポリマー混和剤としては、例えば、JIS A 6203に規定されているスチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックス、ポリアクリル酸エステル(PAE)エマルジョン、エチレン酢酸ビニル(EVA)エマルションを用いることができる。
ポリマー混和剤の添加量は、2〜5質量%とするのが好ましい。2質量%未満では、上記の耐水性向上の効果は得られず、また、種々の無機充填材、及び無機混和材を混合しているため、5質量%を超えて添加してもその効果は飽和する傾向にある。また、ポリマー混和剤の添加量を増加させると、製造コストは上昇し、耐火性は、低下することは勿論である。
先に述べたように、無機充填材を添加することによって形成された水和物は、微細組織の表面積を小さくし、空隙を少なくし、耐水性を向上させるために必要とされるポリマーフィルムで覆う面積を少なくする効果がある。
上記のポリマー混和剤を配合して木質系石膏板を製作したところ、木質系石膏板を48時間、水に浸けておいても形が崩れることはなく、十分な耐水性が得られることが確認された。また、この期間の水分の吸水率はいずれも、5%未満であった。また、本発明のボードは、48時間の浸漬後も、強度の低下は余り認められず、優れた浸漬後強度を示した。
これに対して、無機充填材等を添加していない、或いは、添加量が少ない木質系石膏板、及び、ポリマー混和剤を添加していないか、添加量が少ない木質系石膏板の場合は、48時間の水浸漬により、一部に形崩れが認められ、大きな強度低下が認められた。
なお、これらのポリマー混和剤として使用する樹脂の全固形分に対して、有効シリコーン分が0.5〜1.0質量%程度となるように、シリコーンエマルジョン系消泡剤を必要に応じて添加してもよい。
また、必要に応じて、石膏の急結を防ぐためのクエン酸―水和物を石膏量に対して、0.01〜0.1質量%添加する。減水剤として、例えば、ナフタレンスルホン酸塩系高性能減水剤を必要に応じて使用する。
次に、図1に基づいて、本発明の木質系石膏板の製造方法を説明する。
図1に示すように、石膏(β型半水石膏を用いる)、セメント、無機充填材(スラグ、火山灰等)、及び無機混和剤(ベントナイト等)を混合し、これとは別に、ポリマー混和剤と水との混合物を混合する。次に、まず、これら2つの混合物を混合し、次いで、これに木質材料(木毛)を混合し、加圧成形する。加圧圧力は、50〜100kNである。なお、木毛は、前処理として水中に24時間浸漬し、その後、脱水したものを用いる。成形された板を初期養生した後に取出し、さらに養生、乾燥、仕上げの工程を経て、本発明の木質系石膏板が完成する。
なお、上記製造方法では、まず、石膏、セメント、無機充填材、無機混和剤との混合物とポリマー混和剤と水との混合物を混合し、次いで、これに木質材料を混合しているが、前記2つの混合物と木質材料の3者を、同時に混合して加圧成形してもよい。
木毛として、平均長さ:50.0mm、平均幅:3.0mm、平均厚さ:0.5mm、密度:0.86g/cm3の赤松を用いた。
混合時における水を除いた配合割合を以下に示す。
実施例1
木毛:27.3質量%、石膏:45.5質量%、セメント:2.7質量%、無機充填材(スラグ):11.8質量%、無機混和材(ベントナイト):9.1質量%、ポリマー混和剤(SBR):3.6質量%、
実施例2
木毛:30質量%、石膏:48質量%、セメント:9質量%、無機充填材(火山灰):5質量%、無機混和材(ベントナイト):5質量%、ポリマー混和剤(ポリアクリル酸エステル):3質量%
実施例1,2ともに、石膏、セメント、無機充填材、及び無機混和材を混合し、これとは別に、ポリマー混和剤と水を混合し、次に、前記2つの混合物を混合し、さらに木質材料とを混合後、型に充填し加圧し、20℃、湿度:90%の条件下で24時間の初期養生した後に取出し、さらに、20℃、湿度:60%の条件下で6日間の養生(乾燥)を行い、木質系石膏板を製造した。この木毛石膏板の寸法は、600(mm)L×600(mm)W×20(mm)Tである。
吸水率試験は、JIS A 1171(ポリマーセメントモルタルの試験方法)に従って、供試体を20℃の静水中に48時間まで浸漬し、浸漬前の質量に対する浸漬前後の質量差の割合を求めて吸水率とした。
かさ比重は、実施例1では0.58、実施例2では0.55であった。また、曲げ強度(曲げ破壊荷重)は、実施例1,2ともに、500〜550Nの範囲の値になり、かさ比重の低い、優れた強度の木質系石膏板が得られた。また、48時間浸漬後の吸水率は10%以下であり、浸漬後の強度も浸漬前の約60%が確保できており、優れた耐水性を示した。耐火性については、実施例2について、建築基準法施行令第1条第5号に係る準不燃材料の防火性能試験を実施して合格した。
本発明の木質系石膏板の製造方法の説明図。

Claims (10)

  1. 木質材料:15〜40質量%、石膏:30〜60質量%を主たる構成成分とする木質系石膏板。
  2. さらに、セメント:1〜10質量%を含む、請求項1の木質系石膏板。
  3. さらに、無機充填材:3〜15質量%を含む、請求項1又は2の木質系石膏板。
  4. さらに、無機混和材:3〜15質量%を含む、請求項1から3のいずれかの木質系石膏板。
  5. さらに、ポリマー混和剤:2〜5質量%を含む、請求項1から4のいずれかの木質系石膏板。
  6. 前記無機充填材が、スラグ、炭酸カルシウム、シリカフューム、及び火山灰等、シリカ、又は、シリカとアルミナを主成分とする化合物のうち、1つ又は複数からなる、請求項3から5のいずれかの木質系石膏板。
  7. 前記無機混和材が粘土である、請求項4から6のいずれかの木質系石膏板。
  8. 前記無機混和材がベントナイトである、請求項4から7のいずれかの木質系石膏板。
  9. 木質材料、石膏、セメント、無機充填材、無機混和材、ポリマー混和剤、及び水が混合され、加圧成形されたことを特徴とする、木質系石膏板。
  10. 石膏、セメント、無機充填材、及び無機混和材の混合物と、
    ポリマー混和剤、及び水の混合物を用意し、
    前記2つの混合物と木質材料とを混合し、加圧成形することを特徴とする、
    木質系石膏板の製造方法。

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