JP2022048501A - リチャージ計測管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】リチャージ工法を採用した工事に係る遠隔管理の効率化を図ることが可能なリチャージ計測管理システムを提供する。【解決手段】少なくとも、複数の注水井戸2各々に設けられた管理機器5と、該管理機器5に接続された制御装置6と、該制御装置6に通信網7を介して接続された遠隔者端末8と、を有し、前記管理機器5は、複数の前記注水井戸2各々に設けられる注水電磁バルブ51と、該注水電磁バルブ51で調整された処理水の流量を計測する注水井戸用流量計52と、複数の前記注水井戸2各々の井戸内水位を計測する注水井戸用水位計53と、を備え、前記制御装置6は、前記管理機器5から受信した計測情報を前記遠隔者端末8に送信する端末側通信部と、前記遠隔者端末8から受信した指示情報を前記管理機器5に送信する管理機器側通信部と、を備え、前記指示情報は、前記注水電磁バルブ51各々の開度を調整するための開度調整情報を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、リチャージ工法を採用した地盤掘削を伴う地下工事で用いるリチャージ計測管理システムに関する。
地盤掘削を伴う地下工事では、あらかじめ施工対象領域に揚水井戸を設置するとともに、施工対象領域の周囲に注水井戸を設置しておく。そして、揚水井戸で施工対象領域の地下水を揚水し、揚水した地下水を注水井戸を介して施工対象領域の周辺地盤に還元する作業を継続的に行う。このようなリチャージ工法を採用することにより、施工対象領域での掘削作業をドライワークにより実施することが可能となるが、揚水した地下水には、注水井戸やその周辺地盤に目詰まりを生じさせるような物質が多く含まれている。
このため、リチャージ工法は、注水井戸の注水性能が経時的に減少するといった課題を有しており、このような課題を解決すべく、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1では、揚水した地下水に酸化剤を添加したうえで貯留部に一旦貯留したのち、ろ過装置でろ過して不溶性物質の除去処理を行う。こののち、除去処理を済ませた地下水を、注水井戸を介して施工対象領域の周辺地盤に還元している。
また、除去処理を済ませた地下水を注水井戸に注水するにあたっては、ろ過装置に設けたポンプをインバーター制御することにより流量を一定に維持するとともに、注水井戸内に水圧計を配置して井戸内水位の変化を制御手段により常時観測する。そして、井戸内水位があらかじめ設定した水位管理値を超えたタイミングで、注水井戸の自動洗浄を行っている。
特開2018-197470号公報
特許文献1のように、注水性能の長期化を図るべくろ過装置や自動洗浄等の設備が設けられた注水井戸の管理は、自動制御化が検討される一方で、作業員による手動操作により管理を行っている施工現場も多い。このような現場では、注水井戸に手動バルブを設けたうえで、ろ過装置で処理した地下水を注水井戸に還元する際、作業員が流量計を確認しつつ手動バルブを操作して流量調整を行っており、その作業は煩雑なものとなっている。また、手動バルブの開度を一定に保持していても経時的に流量が変化する場合があるため、作業員はそのつど、手動バルブを操作して流量調整を行う必要がある。
また、揚水した地下水をろ過装置で処理したのちに注水井戸へ注水しても、不測の事態により注水井戸内の急激な水位上昇を生じる場合がある。加えて、井戸内水位があらかじめ設定した水位管理値を超えたタイミングで自動洗浄を行う場合、自動洗浄が開始されるタイミングを予測することが困難である。さらには、洗浄設備を含む様々な設備の故障や停電も起こりうる。このため、リチャージ工法を採用した工事を安全に実施するには、管理の自動制御化が進んでも作業員が現場に常駐する必要が生じていた。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、リチャージ工法を採用した工事に係る遠隔管理の効率化を図ることである。
かかる目的を達成するため、本発明のリチャージ計測管理システムは、揚水井戸から揚水した地下水を目詰まり防止設備で処理したのち、処理水を複数の注水井戸を介して地盤に還元するリチャージ工法を採用した工事に用いるリチャージ計測管理システムであって、少なくとも、複数の前記注水井戸各々に設けられた管理機器と、該管理機器に接続された制御装置と、該制御装置に通信網を介して接続された遠隔者端末と、を有し、前記管理機器は、複数の前記注水井戸各々に設けられる注水電磁バルブと、該注水電磁バルブで調整された前記処理水の流量を計測する注水井戸用流量計と、複数の前記注水井戸各々の井戸内水位を計測する注水井戸用水位計と、を備え、前記制御装置は、前記管理機器から受信した計測情報を、前記遠隔者端末に送信する端末側通信部と、前記遠隔者端末から受信した指示情報を、前記管理機器に送信する管理機器側通信部と、を備え、前記指示情報は、前記注水電磁バルブ各々の開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とする。
本発明のリチャージ計測管理システムによれば、少なくとも注水井戸の井戸内水位や注水量、注水電磁バルブの開度といった注水井戸の計測情報が遠隔者端末に送信されるとともに、遠隔者端末から送信した注水電磁バルブの開度調整情報を、制御装置を介して注水電磁バルブに送信できる。これにより、現場管理者や作業者は、遠隔者端末を携帯することにより、現場に常駐していなくとも、注水井戸の計測情報を常時モニタリングできるとともに、モニタリング結果に基づいて、手動操作により注水電磁バルブの開度を調整することができ、リチャージ工法を採用した工事に係る遠隔管理を、安全かつ効率的に行うことが可能となる。
本発明のリチャージ計測管理システムは、前記注水電磁バルブの開度が、あらかじめ設定した洗浄開始予定時刻に、前記注水井戸各々の井戸内水位が管理水位に到達する流量となるよう設定されること特徴とする。
本発明のリチャージ計測管理システムによれば、現場管理者や作業者は、洗浄開始予定時刻に併せて現場の作業計画や自身の行動計画を立てることができ、リチャージ工法を採用した工事の管理をより効率的に行うことが可能となる。
本発明のリチャージ計測管理システムは、前記制御装置が、前記管理機器から受信した計測情報に基づいて、少なくとも前記注水井戸に係る異常を検知する異常検知部を備えるとともに、異常を検知した場合に、警報情報を前記端末側通信部から前記遠隔者端末に送信することを特徴とする。
本発明のリチャージ計測管理システムによれば、現場管理者や作業者は現場に常駐していなくても、遠隔者端末で警報情報を確認できるとともに、指示情報を遠隔者端末を介して制御装置に送信することで、警報情報に対する対策を講じることが可能となる。
本発明のリチャージ計測管理システムは、前記目詰まり防止設備が、揚水した前記地下水を貯留する地下水貯留槽と、前記地下水から前記処理水を生成するろ過装置とを備えるとともに、前記管理機器が、前記地下水貯留槽の貯留槽水位を計測する地下水貯留槽用水位計と、前記地下水貯留槽に貯留する前記地下水を排水するための排水バルブと、を備え、前記指示情報は、前記排水バルブの開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とする。
また、本発明のリチャージ計測管理システムは、前記目詰まり防止設備が、揚水した前記地下水を貯留する地下水貯留槽と、前記地下水から前記処理水を生成するろ過装置と、該ろ過装置と前記注水井戸との間に設けられる処理水貯留槽とを有するとともに、前記管理機器が、前記処理水貯留槽の貯留槽水位を計測する処理水貯留槽用水位計と、前記処理水貯留槽に貯留する前記処理水を排水するための排水バルブと、を備え、前記指示情報は、前記排水バルブの開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とする。
本発明のリチャージ計測管理システムによれば、現場管理者や作業者は、遠隔者端末で地下水貯留槽もしくは処理水貯留槽の貯留槽内水位をモニタリングできるとともに、モニタリング結果に基づいて、貯留されていた地下水もしくは処理水を、手動操作により下水道へ放流することが可能となる。
本発明によれば、遠隔者端末を携帯することにより現場管理者や作業者は、現場に常駐していなくとも、リチャージ工法を採用した工事に係る遠隔管理を、安全かつ効率的に行うことが可能となる。
本実施の形態におけるリチャージ工法を採用した地盤掘削を伴う地下工事現場の概略を示す図である。 本実施の形態におけるリチャージ工法における揚水した地下水の流れを示す図である。 本実施の形態におけるリチャージ計測管理システムの概略を示す図である。 本実施の形態における制御装置の詳細を示す図である。 本実施の形態における遠隔者端末の端末画面を示す図である(その1)。 本実施の形態における遠隔者端末の端末画面を示す図である(その2)。 本実施の形態における遠隔者端末の端末画面を示す図である(その3)。 本実施の形態における遠隔者端末の端末画面を示す図である(その4)。 本実施の形態における目詰まり防止設備3の他の事例を示す図である。
本発明は、リチャージ工法を採用した地盤掘削を伴う地下工事等の施工現場に、管理者が常駐することなく、遠隔地でリチャージ工法に係る設備の管理を効率よく実施できるようにしたものである。以下に、図1~図9を参照しつつ、リチャージ計測管理システムの詳細を説明するが、これに先立ち、リチャージ工法の概略を説明する。
図1で示すように、リチャージ工法を補助工法として採用する地下工事現場では、止水壁で囲まれた掘削作業領域Sに、地下水GWを揚水するための揚水井戸1が設けられている。また、揚水した地下水GWを強制的に地盤に還元するための注水井戸2が、掘削作業領域Sの周辺地盤に設けられている。さらに、揚水した地下水GWには、注水井戸2及びその周辺に目詰まりを生じさせる錆や砂分等が含まれていることから、これら微粒子を除去するための目詰まり防止設備3が、揚水井戸1と注水井戸2の間に組み込まれている。
目詰まり防止設備3は、図2で示すように、揚水井戸1から揚水した地下水GWを貯留する地下水貯留槽31と、貯留した地下水GWの微粒子を除去するろ過装置32と、ろ過装置32により微粒子が除去された処理水TWを貯留する処理水貯留槽33とにより構成されている。したがって、注水井戸2には、ろ過装置32で微粒子が除去された処理水TWが、注水井戸2の注水能力に応じた流量だけ処理水貯留槽33から注水されることとなる。
このように、目詰まり防止設備3に、ろ過装置32で処理した処理水TWを一旦貯留する処理水貯留槽33を設けておくと、注水井戸2を複数用いる場合に処理水貯留槽33から安定して、注水井戸2ごとで経時的に変動する注水能力に対応させた流量の処理水TWを注水することができる。
なお、本実施の形態では、揚水井戸1及び注水井戸2がともに複数設けられている場合を事例に挙げているが、これに限定されるものではなく、揚水井戸1及び注水井戸2ともに単数、もしくはいずれか一方が単数で多方が複数等、いずれの組み合わせであってもよい。また、掘削作業領域Sの周辺地盤には、地下水位を観測するための観測井戸10が設けられている。
≪≪リチャージ計測管理システム100の概要≫≫
リチャージ計測管理システム100は、上記の注水井戸2、目詰まり防止設備3及び揚水井戸1といったリチャージ工法に係る設備を、安全かつ効率よく運転させるための管理を、遠隔地で行うことができるようにしたものである。その構成は、図3で示すように、作業者や現場管理者が携帯する遠隔者端末8と、遠隔者端末8にインターネット等の通信網7を介して接続される制御装置6と、制御装置6に無線もしくは有線接続される、管理機器(目詰まり防止設備用)4、管理機器(注水井戸用)5、管理機器(揚水井戸用)9、及び管理機器(観測井戸用)11とにより構成される。
管理機器(目詰まり防止設備用)4は、地下水貯留槽31の貯留槽内水位を計測する水位計41と、処理水貯留槽33の貯留槽内水位を計測する水位計42と、処理水貯留槽33に貯留している処理水TWを下水へ放流する際に用いる排水バルブ43とを備えている。管理機器(注水井戸用)5は、注水井戸2に注水する処理水TWの流量を調整する注水電磁バルブ51と、注水電磁バルブ51で調整された処理水TWの流量を計測する流量計52と、注水井戸2の井戸内水位を計測する水位計53とを備える。
また、管理機器(観測井戸用)11は、観測井戸10に設けられるものであり、観測井戸10の井戸内水位を計測する水位計である。そして、図2で示す揚水井戸1に設けられている管理機器(揚水井戸用)9は、揚水井戸1から揚水する地下水GWの流量を調整する揚水バルブと、揚水バルブで調整された地下水GWの揚水量を計測する流量計と、揚水井戸1の井戸内水位を計測する水位計とを備えている。
遠隔者端末8は、図3で示すように、ノートPC、タブレット端末、スマートホン等、インターネット等の通信網7を介して制御装置6との間でデータ通信が可能であり、また、ディスプレイ等の出力部およびキーボードやタッチパネル等の入力部を備えるものであれば、いずれであってもよい。
制御装置6は、図4で示すように、管理機器側通信部61と、端末側通信部62と、制御部63と、記憶部64と、警報機器出力部65とを備えている。管理機器側通信部61は、管理機器(目詰まり防止設備用)4、管理機器(注水井戸用)5、管理機器(揚水井戸用)9、管理機器(観測井戸用)11との間で情報の送受信を行い、端末側通信部62は、遠隔者端末8との間で情報の送受信を行う。そして、これらは制御部63により制御されている。
制御部63は、管理機器側通信部61を介して上記の管理機器4、5、9、11から計測情報を取り込み、これら計測情報を端末側通信部62を介して遠隔者端末8に送信する。また、端末側通信部62を介して遠隔者端末8から取得した指示情報を、管理機器側通信部61を介して管理機器4、5、9に送信する。さらに、管理機器側通信部61を介して取得した計測情報、及び端末側通信部62を介して取得した指示情報を、記憶部64に格納する。なお、計測情報及び指示情報については、後述する。
また、制御部63は、情報分析部631と異常検知部632と管理判定部633とを備える。情報分析部631は、記憶部64に格納され蓄積された計測情報を用いて、グラフを作成する、もしくは、注水井戸2に処理水TWを還元する際の適正注水量を推定する(詳細は後述する)等の計測情報を用いた分析処理を行う。異常検知部632は、管理機器側通信部61を介して取得した計測情報に基づく管理判定部633の判定を参照し、リチャージ工法に係る設備の異常を検知する。管理判定部633は、上記の管理機器4、5、9、11から取り込んだ計測情報が、記憶部64にあらかじめ格納した管理値を満足するか否かを判定する。
≪≪リチャージ計測管理システム100によるモニタリング≫≫
上記の構成を有するリチャージ計測管理システム100の詳細と使用方法を、計測情報、指示情報、及び警報情報の詳細と併せて、以下に説明する。
≪揚水井戸のモニタリング≫
図2で示すように、掘削作業領域Sに設置した3つの揚水井戸1で地下水GWを揚水すると、揚水井戸1ごとで、揚水バルブの開度、流量計で計測した流量、及び水位計で計測した井戸内水位が、管理機器(揚水井戸用)9から得たよう揚水井戸1の計測情報として取得され、制御装置6に送信される。すると、揚水井戸1の計測情報は、図3及び図4で示すように、管理機器側通信部61を介して制御部63に取り込まれ、記憶部64に格納されるとともに、端末側通信部62から通信網7を介して遠隔者端末8に送信される。
これにより、図5(a)で示すように、管理機器(揚水井戸用)9から得た揚水井戸1に係る計測情報は、遠隔者端末8の端末画面81に出力される。なお、本実施の形態では、制御装置6の記憶部64に、複数の揚水井戸1ごとの管理流量を管理値として格納しておく。これにより、前述した管理判定部633において、揚水井戸用流量計で計測した地下水GWの流量が管理流量を超える場合には「OK」、超えない場合には「NG」の流量判定を行う。そして、これら流量判定の結果を揚水井戸1の計測情報と関連付けて、遠隔者端末8に送信している。
≪目詰まり防止設備のモニタリング≫
図2で示すように、3つの揚水井戸1各々より揚水された地下水GWは、目詰まり防止設備3の地下水貯留槽31に一旦貯留されたのち、地下水貯留槽31を介してろ過装置32に供給されることにより、微粒子が除去された処理水TWとなって処理水貯留槽33に貯留される。
このとき、図3及び図4で示すように、地下水貯留槽31の水位計41で計測された貯留槽内水位と、処理水貯留槽33の水位計42で計測された貯留槽内水位が、目詰まり防止設備3の計測情報として取得される。これら目詰まり防止設備3の計測情報は、有線もしくは無線により制御装置6に送信される。すると、管理機器側通信部61を介して制御部63に取り込まれ、記憶部64に格納されるとともに、端末側通信部62から通信網7を介して遠隔者端末8に送信される。
これにより、図6(a)で示すように、管理機器(目詰まり防止設備用)4から得た目詰まり防止設備3に係る計測情報は、遠隔者端末8の端末画面81に出力される。なお、本実施の形態では、制御装置6の記憶部64に、地下水貯留槽31及び処理水貯留槽33各々の管理水位を管理値として格納しておく。これにより、上述の制御部63に設けた管理判定部633において、地下水貯留槽31及び処理水貯留槽33各々で計測された貯留槽内水位が、管理水位を下回る場合には「OK」、上回る場合には「NG」の水位判定を行う。そして、これら水位判定の結果を目詰まり防止設備3の計測情報と関連付けて、遠隔者端末8に送信される。
≪注水井戸及び観測井戸のモニタリング≫
図2で示すように、目詰まり防止設備3の処理水貯留槽33に貯留された処理水TWが、2つの注水井戸2に分配注水されると、注水井戸2ごとの注水電磁バルブ51の開度、流量計52で計測した流量、及び水位計53で計測した井戸内水位が、管理機器(注水井戸用)5から得た計測情報として取得される。あわせて、観測井戸10に管理機器(観測井戸用)11で計測した井戸内水位も計測情報として取得される。
これら注水井戸2及び観測井戸10の計測情報は、有線もしくは無線により制御装置6に送信される。すると、管理機器側通信部61を介して制御部63に取り込まれ、記憶部64に格納されるとともに、端末側通信部62から通信網7を介して遠隔者端末8に送信される。これにより、図5(b)及び図6(a)で示すように、管理機器(注水井戸用)5から得た注水井戸2に係る計測情報、及び管理機器(観測井戸用)11から得た観測井戸10に係る計測情報は、遠隔者端末8の端末画面81に出力される。
なお、本実施の形態では、制御装置6の記憶部64に、複数の注水井戸2ごとの管理流量を管理値として格納しておく。これにより、上述の制御部63に設けた管理判定部633において、注水井戸2ごとに流量計52で計測された処理水TWの流量が、管理流量を下回る場合には「OK」、上回る場合には「NG」の流量判定を行う。そして、これら流量判定の結果を複数の注水井戸2ごとの計測情報と関連付けて、遠隔者端末8に送信している。
また、制御装置6の記憶部64に、複数の注水井戸21各々と観測井戸10の管理水位を管理値として格納しておく。これにより、上述の制御部63に設けた管理判定部633において、注水井戸21及び観測井戸10各々で計測された井戸内水位が、各々の管理水位を下回る場合には「OK」、上回る場合には「NG」の水位判定を行う。そして、これら水位判定の結果を、複数の注水井戸2及び観測井戸10の計測情報と関連付けて、遠隔者端末8に送信している。
上記のとおり、遠隔者端末8の端末画面81には、揚水井戸1、注水井戸2、目詰まり防止設備3、観測井戸10といったリチャージ工法に係る設備の計測情報が、リアルタイムで表示される。したがって、現場管理者や作業者は、現場に常駐していなくとも遠隔から、これらを常時モニタリングすることが可能となっている。なお、図5及び図6では、遠隔者端末8の端末画面81にリチャージ工法に係る設備の計測情報を出力した場合を事例に挙げたが、出力形態はこれに限定されるものではなく、選択的に表示してもよい。
≪≪リチャージ計測管理システム100による計測情報のグラフ表示≫≫
上述したように制御装置6には、制御部63に情報分析部631が備えられているとともに、記憶部64にリチャージ工法に係る設備の計測情報が格納され蓄積される。したがって、この情報分析部631で計測情報の整理や分析を行うことができる。
例えば、現場管理者や作業者が遠隔者端末8を介して制御装置6に、指示情報としてグラフ作成要求情報を送信すると、制御部63は情報分析部631において、グラフ作成要求情報に応じた計測情報のグラフを作成し、端末側通信部62を介して遠隔者端末8に送信する。これにより、遠隔者端末8の端末画面81上で現場管理者や作業者は、図7で示すように、蓄積した計測情報を時系列に整理したグラフで確認することも可能となる。なお、図7では、目詰まり防止設備3から注水井戸2に注水した処理水TWの流量の時系列データを例示している。
≪≪リチャージ計測管理システム100による適正注水量の分析≫≫
さらに、制御部63の情報分析部631では、記憶部64に格納した計測情報の分析を行うことも可能であり、これらの分析結果は、リチャージ工法に用いる設備の運転に、反映させることが可能である。以下に、分析活用事例として、複数の注水井戸2各々であらかじめ設定した洗浄開始予定時刻に、注水井戸2各々の井戸内水位を管理水位に到達させるための、目詰まり防止設備3から注水井戸2に注水する処理水TWの最適注水量を推定する手順を示す。
まず、準備工として、ある一定の流量で注水井戸2に処理水TWを注水するとともに、時間が経過するごとに変化する井戸内水位の様子を、例えば2時間程度観察する。すると、注水井戸2の井戸内水位が制御装置6の記憶部64に格納されるから、制御部63の情報分析部631において、記憶部64に格納された注水井戸2の井戸内水位に係る時系列データを解析する。
これにより、ある一定の流量を維持した状態における注水井戸2の水位上昇カーブ(時間経過とともに上昇する井戸内水位の推定値)を推定することができる。注水井戸2の水位上昇カーブは、図8で示すように、遠隔者端末8の端末画面81(上段に表示)に出力してもよい。その一方で、注水井戸2の洗浄開始予定時刻を設定するとともに、洗浄を開始する時点で好適な井戸内水位を注水井戸2の管理水位として設定しておく。
そして、洗浄開始予定時刻に注水井戸2の井戸内水位を上記の管理水位に到達させるための、目詰まり防止設備3から注水する処理水TWの最適流量を、前述の水位上昇カーブに基づいて推定する。なお、洗浄開始予定時刻、及び注水井戸2の管理水位は、制御装置6の記憶部64に格納しておく。併せて、算定した最適流量を注水井戸2の管理流量として、制御装置6の記憶部64に格納しておく。
こののち、算定した最適流量を実現する注水電磁バルブの開度を推定し、注水井戸2への注水を実施する。これらの手順は、複数の注水井戸2各々で実施する。このように、あらかじめ注水井戸2の洗浄開始予定時刻を設定しておくと、現場管理者や作業者は、この洗浄開始予定時刻に併せて、現場の作業計画や自身の行動計画を立てることができ、リチャージ工法を採用した地下工事現管理を、より効率的に行うことが可能となる。
図8の遠隔者端末8の端末画面81(下段に表示)に、注水井戸2の井戸内水位上昇量の時間経過を表すグラフの事例を示す。このように、注水井戸2の運転中に、計測結果と推定値との間にズレが生じた場合には、前述の手順で再度解析を行い、最適流量を再設定するとよい。また、注水電磁バルブ51は推定した開度を維持するよう設定しても、経時的に流量に変化を生じることが一般に知られている。したがって、流量に変化が見られた場合には適宜、注水電磁バルブ51の開度を調整する必要が生じる。
そこで、リチャージ計測管理システム100では、現場管理者や作業者が、遠隔者端末8を用いて注水電磁バルブ51の開度に係る開度調整情報を、指示情報として制御装置6に送信できる構成となっている。これにより、現場を離れている場合にも、手動操作により注水電磁バルブ51の開度を調整することが可能となる。
≪≪リチャージ計測管理システム100による手動操作≫≫
以下に、その操作手順を説明するが、本実施の形態では、遠隔者端末8の端末画面81がタッチパネルである場合を事例に挙げて説明する。
図6(b)で示すように、遠隔者端末8の端末画面81には、現場管理者や作業者が手動操作を実施しようとするバルブの名称を選択するバルブ選択フォーム82と、選択したバルブの開度を入力する開度入力フォーム83が設けられている。したがって、現場管理者や作業者は、端末画面81で注水井戸2に係る計測情報を確認し、注水井戸2の流量判定に「NG」が表示されている場合に、上記のバルブ選択フォーム82に流量調整を行うべき注水井戸2の管理名称を入力し、開度入力フォーム83に注水電磁バルブ51の開度を入力する。
例えば、図5(b)では、管理名称が「RW4」の注水井戸2の流量判定が「NG」となっており、現在の流量が管理流量を超えている。したがって、バルブ選択フォーム82に「RW4」を入力し、開度入力フォーム83には、現在の設定バルブ開度72%より小さい開度を、例えば作業者の経験等に基づいて適宜入力すればよい。
すると、これら入力した情報が指示情報として遠隔者端末8から制御装置6に送信され、図3及び図4で示すように、端末側通信部62を介して制御部63に取り込まれる。そして、管理機器側通信部61を介して管理名称が対応する注水井戸2の注水電磁バルブ51に送信される。これにより、管理流量との間で乖離が生じている注水井戸2の流量を、手動操作により調整することができる。
また、同様の手順で、目詰まり防止設備3の処理水貯留槽33に設けた排水バルブ43も、開度に係る開度調整情報を指示情報として遠隔者端末8から制御装置6に送信することで、手動操作による調整が可能である。
≪≪リチャージ計測管理システム100による警告情報の表示≫≫
また、リチャージ計測管理システム100では、図6(b)で示すように、遠隔者端末8の端末画面81にリチャージ工法に係る設備の計測情報に基づいて、少なくとも以下に示す3つの警告情報が表示される。
具体的には、前述したように制御装置6の制御部63に設けた管理判定部633は、複数の注水井戸2各々で計測された井戸内水位について、記憶部64に格納された管理水位を上回った場合に「NG」の水位判定を下す。すると、制御装置6の制御部63に設けた異常検知部632は、井戸内水位について「NG」の判定が下された注水井戸2について、注水井戸2もしくはその周辺地盤に目詰まりが生じているとの判断し、端末側通信部62を介して遠隔者端末8に、注水井戸2と関連付けた「要洗浄」の警報情報を送信する。
また、管理判定部633は、観測井戸10で計測された井戸内水位について、記憶部64に格納された管理水位を上回った場合に「NG」の水位判定を下す。すると、異常検知部632は、注水井戸2を設けた掘削作業領域Sの周辺地盤において、地下水位が上昇しているものと判断し、端末側通信部62を介して遠隔者端末8に、観測井戸10と関連付けた「要流量調整」の警報情報を送信する。
さらに、管理判定部633は、目詰まり防止設備3の処理水貯留槽33で計測された貯留槽内水位について、記憶部64に格納された管理水位を上回る場合に「NG」の水位判定を下す。すると、異常検知部632は、処理水貯留槽33に貯留された処理水TWがオーバーフローする可能性があるものと判断し、端末側通信部62を介して遠隔者端末8に、処理水貯留槽33と関連付けた「要排水」の警報情報を送信する。
なお、上記の警報情報は、端末側通信部62を介して遠隔者端末8にメールで情報送信する機能を付加してもよい。また、制御装置6には、警報機器出力部65が備えられており、これらの警報を遠隔者端末に送信するのと同時に、現場に設けられたブザーやランプ等の警報機器(図示せず)に対して警報機器出力部65を出力する。
≪≪リチャージ計測管理システム100による警告情報に対する対策≫≫
上記のような警報情報が遠隔者端末8に送信されると、図6(b)で示すように、端末画面81には3つの警報が適宜発報される。これにより、現場管理者や作業者は現場に常駐していなくても、遠隔者端末8を携帯することにより、上記の3つの警報情報を確認できるとともに、上述した手動操作により警報に対する対策を講じることができる。
例えば、「要洗浄」の警報が発報されている場合には、バルブ選択フォーム82で警報が発報されている注水井戸2の管理名称を選択する。次に、開度入力フォーム83で、注水電磁バルブ51の開度を0もしくは洗浄に影響を与えない程度の開度を、開度調整情報として入力する。すると、これら入力した情報が指示情報として遠隔者端末8から制御装置6に送信され、端末側通信部62を介して制御部63に取り込まれる。
そして、管理機器側通信部61を介して管理名称が対応する注水井戸2の注水電磁バルブ51に送信される。これにより、注水井戸2でオーバーフローが生じる前に運転を停止させることができ、注水井戸2に自動洗浄機能が付与されている場合には、安全に洗浄作業が実行される。
また、「要流量調整」の警報が発報されている場合には、図5(b)で示すように、現場管理者や作業者が端末画面81に表示されている2つの注水井戸2の流量や井戸内水位に基づいて、流量調整を行うべき注水井戸2を選択する。そして、選択した注水井戸2に設けられている注水電磁バルブ51の開度を、上記と同様の手順で適宜調整すればよい。なお、すべての注水井戸2で流量調整を行ってもよい。このように、現場管理者や作業者は、端末画面81に表示されている2つの注水井戸2の状態を確認しながら、注水井戸2ごとの注水能力に見合った最適な流量調整を行うことが可能となる。
さらに、「要排水」の警報が発報されている場合には、バルブ選択フォーム82で処理水貯留槽33の排水バルブ43に対応する管理名称を選択する。次に、開度入力フォーム83で、処理水貯留槽33に設けられている排水バルブ43の開度を適宜入力する。すると、入力した情報が遠隔者端末8から制御装置6に送信され、端末側通信部62を介して制御部63に取り込まれる。
そして、管理機器側通信部61を介して処理水貯留槽33の排水バルブ43に送信される。これにより、処理水貯留槽33でオーバーフローが生じる前に、貯留されていた処理水TWを下水道へ放流することが可能となる。なお、処理水貯留槽33に対して、警報が発報された際に作動する自動排水ポンプ等が設けられている場合には、その排水量を排水バルブ43で調整するようにしてもよい。
本発明のリチャージ計測管理システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、図3で示すように、目詰まり防止設備3に処理水貯留槽33を設けたが、必ずしも設けなくてもよい。この場合には、図9で示すように、ろ過装置32で処理したのちの処理水TWを、複数の注水井戸2各々に直接分配すればよい。こうすると、複数の揚水井戸1で揚水した地下水GWの総量が、複数の注水井戸2に注水可能な処理水TWの総量より多い場合には、地下水貯留槽31にオーバーフローの恐れが生じる。
したがって、地下水貯留槽31に排水バルブ43を設けておく。また、管理判定部633は、処理水貯留槽33に替わって地下水貯留槽31で計測された貯留槽内水位について、記憶部64に格納された管理水位を上回るか否かの水位判定を行う。そして、上回る場合に「NG」の水位判定が下ると、異常検知部632は、地下水GWを貯留している地下水貯留槽31がオーバーフローする可能性があるものと判断し、端末側通信部62を介して遠隔者端末8に、地下水貯留槽31と関連付けた「要排水」の警報情報を送信する。
この場合に、端末画面81上で現場管理者や作業者は、バルブ選択フォーム82で地下水貯留槽31の排水バルブ43に対応する管理名称を選択する。次に、開度入力フォーム83で、地下水貯留槽31に設けられている排水バルブ43の開度を適宜入力する。すると、入力した情報が遠隔者端末8から制御装置6に送信され、端末側通信部62を介して制御部63に取り込まれる。そして、管理機器側通信部61を介して地下水貯留槽31の排水バルブ43に送信される。これにより、地下水貯留槽31でオーバーフローが生じる前に、貯留されていた地下水GWを、下水道へ放流することが可能となる。
また、本実施の形態では、目詰まり防止設備3に対して図3及び図9で示すように、管理機器(目詰まり防止設備用)4を設けたが、必ずしも設ける必要はない。この場合には、注水ポンプ及び排水オートポンプを、図3の場合では処理水貯留槽33に、また、図9の場合では地下水貯留槽31にそれぞれ設けるとよい。なお、排水オートポンプは、貯留槽内の水位に反応して、排水ポンプを作動させるフロートスイッチが備えられているものをいう。
100 リチャージ計測管理システム
1 揚水井戸
2 注水井戸
3 目詰まり防止設備
31 地下水貯留槽
32 ろ過装置
33 処理水貯留槽
4 管理機器(目詰まり防止設備用)
41 水位計(地下水貯留槽用)
42 水位計(処理水貯留槽用)
43 排水バルブ
5 管理機器(注水井戸用)
51 注水電磁バルブ
52 流量計(注水井戸用)
53 水位計(注水井戸用)
6 制御装置
61 管理機器側通信部
62 端末側通信部
63 制御部
631 情報分析部
632 異常検知部
64 記憶部
65 警報機器出力部
7 通信網
8 遠隔者端末
81 端末画面
82 バルブ選択フォーム
83 開度入力フォーム
9 管理機器(揚水井戸用)
10 観測井戸
11 管理機器(観測井戸用)

S 掘削工事エリア
GW 地下水
TW 処理水
OW 観測井戸

Claims (5)

  1. 揚水井戸から揚水した地下水を目詰まり防止設備で処理したのち、処理水を複数の注水井戸を介して地盤に還元するリチャージ工法を採用した工事に用いるリチャージ計測管理システムであって、
    少なくとも、複数の前記注水井戸各々に設けられた管理機器と、
    該管理機器に接続された制御装置と、
    該制御装置に通信網を介して接続された遠隔者端末と、を有し、
    前記管理機器は、
    複数の前記注水井戸各々に設けられる注水電磁バルブと、
    該注水電磁バルブで調整された前記処理水の流量を計測する注水井戸用流量計と、
    複数の前記注水井戸各々の井戸内水位を計測する注水井戸用水位計と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記管理機器から受信した計測情報を前記遠隔者端末に送信する端末側通信部と、
    前記遠隔者端末から受信した指示情報を前記管理機器に送信する管理機器側通信部と、を備え、
    前記指示情報は、前記注水電磁バルブ各々の開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とするリチャージ計測管理システム。
  2. 請求項1に記載のリチャージ計測管理システムにおいて、
    前記注水電磁バルブの開度が、あらかじめ設定した洗浄開始予定時刻に、前記注水井戸各々の井戸内水位が管理水位に到達する流量となるよう設定されること特徴とするリチャージ計測管理システム。
  3. 請求項1または2に記載のリチャージ計測管理システムにおいて、
    前記制御装置は、前記管理機器から受信した計測情報に基づいて、少なくとも前記注水井戸に係る異常を検知する異常検知部を備えるとともに、異常を検知した場合に警報情報を、前記端末側通信部から前記遠隔者端末に送信することを特徴とするリチャージ計測管理システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のリチャージ計測管理システムにおいて、
    前記目詰まり防止設備が、揚水した前記地下水を貯留する地下水貯留槽と、前記地下水から前記処理水を生成するろ過装置とを備えるとともに、
    前記管理機器が、前記地下水貯留槽の貯留槽水位を計測する地下水貯留槽用水位計と、前記地下水貯留槽に貯留する前記地下水を排水するための排水バルブと、を備え、
    前記指示情報は、前記排水バルブの開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とするリチャージ計測管理システム。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載のリチャージ計測管理システムにおいて、
    前記目詰まり防止設備が、揚水した前記地下水を貯留する地下水貯留槽と、前記地下水から前記処理水を生成するろ過装置と、該ろ過装置と前記注水井戸との間に設けられる処理水貯留槽とを有するとともに、
    前記管理機器が、前記処理水貯留槽の貯留槽水位を計測する処理水貯留槽用水位計と、前記処理水貯留槽に貯留する前記処理水を排水するための排水バルブと、を備え、
    前記指示情報は、前記排水バルブの開度を調整するための開度調整情報を含むことを特徴とするリチャージ計測管理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115775438A (zh) * 2022-12-07 2023-03-10 长江水利委员会长江科学院 一种堤防在役减压井淤堵状态在线智能诊断和自动预警装置及方法
CN116068917A (zh) * 2022-12-09 2023-05-05 中铁北京工程局集团有限公司 一种用于软弱地基的降水控制系统

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