JP2022047661A - 複合体、成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents

複合体、成形体及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な生分解性を有しつつ、これを用いて成形した紙等の成形体の機械的強度も良好にすることができる複合体を提供する。【解決手段】繊維と、デキストリンと、を含み、前記デキストリンの少なくとも一部が前記繊維に付着しており、前記デキストリンのDE値が0.25以上3.60以下である、複合体。【選択図】図1

Description

本発明は、複合体、成形体及び成形体の製造方法に関する。
紙等の成形体の製造方法として、乾式法と称する水を全く又はほとんど用いない方法が期待されている。例えば、特許文献1には、乾式で繊維と熱可塑性樹脂とを混合し、混合物を堆積した状態で熱を印加することにより、シートを製造する技術が開示されている。
また、特許文献2には、重合度の小さい澱粉を用い、乾燥工程のエネルギー消費量を下げることができる紙力増強剤が開示されている。
国際公開第2018/043034号 特開2004-115960号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたシート製造方法は、熱可塑性のポリエステル樹脂等を繊維同士の結合に用いている。このような樹脂は多くの場合石油由来で合成されるため、樹脂の製造工程で多くのCO排出を伴い、また製造したシートの生分解性は必ずしも優れたものではなかった。また特許文献2に開示されたような澱粉からなる紙力増強剤は、植物由来の材料であることから、製造工程でのCO排出量は小さく、シートの生分解性にも優れる。ところが、当該紙力増強剤を用いて紙を製造する際には、多量の水を用いることから、乾式製紙と比較すると乾燥に多くのエネルギーを消費していた。また、特許文献1に記載の技術において、ポリエステル樹脂の代わりに特許文献2に記載の紙力増強剤を用いたとしても、乾式でシートを製造することから、シートの機械的強度が不足するおそれがあった。
本発明に係る複合体の一態様は、
繊維と、デキストリンと、を含み、
前記デキストリンの少なくとも一部が前記繊維に付着しており、
前記デキストリンのDE値が0.25以上3.60以下である。
本発明に係る成形体の一態様は、
上述の複合体を原料として用い、所定の形状に成形されている。
本発明に係る成形体の製造方法の一態様は、
繊維、及びDE値が0.25以上3.60以下のデキストリンを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を加湿する加湿工程と、
加湿された前記混合物を加圧及び加熱して成形体を得る成形工程と、
を含む。
実施形態に係る複合体の例を拡大して示す模式図。 実施形態に係る成形体製造装置を模式的に示す図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.複合体
本実施形態に係る複合体は、繊維と、デキストリンと、を含む。図1は、本実施形態に係る複合体を拡大して示す模式図である。
本実施形態に係る複合体C100は、繊維C1と、デキストリンC2とを含み、デキストリンC2の少なくとも一部が繊維C1に付着している。そして、デキストリンC2のDE値が0.25以上3.60以下である。
このような複合体C100を用いることにより、石油由来の材料の使用を抑制しつつ、少量の水を用いるだけで、所望の形状を有する成形体を好適に製造することができる。すなわち、乾式の成形方法に好適に適用することができる。したがって、成形体の生産性や生産コスト、省エネルギー、成形体の製造設備の小型化等の観点からも有利である。また、上記のような所定のDE値のデキストリンを用いることにより、吸水性が向上し、少量の水を付与した場合でも、繊維への付着が好適に進行する。その結果、複合体C100を用いた成形体の生産性を優れたものとすることができる。
また、上記のような所定のDE値のデキストリンC2は、少量の水と加熱により好適に繊維C1との間で付着力を発揮し、繊維C1に対して優れた被覆性を示すため、複合体C100を用いて製造される成形体の強度等を優れたものとすることができる。
また、上記のような所定のDE値のデキストリンC2は、水分付与による不本意な変性を生じにくいため、複合体C100を用いて製造される成形体はリサイクル性に優れている。また、複合体C100を用いた成形体の製造時における繊維C1の飛散等をより効果的に防止することができる。また、このような複合体C100や複合体C100を用いて製造される成形体は、生分解性にも優れている。さらに、少量の水分で結着力を発現できるので、製造される成形体を用いて再度成形体を乾式製造する際のリサイクル性にも優れる。なお、ここでいうリサイクル性とは、繊維とデキストリンとを含む成形体を解繊して得た原料から再度乾式成形体を製造した場合の、製造された成形体の性能の劣化の度合いを指す。すなわち、再度製造された成形体の引張強度等が優れていればリサイクル性に優れており、劣っていればリサイクル性に劣るものとする。
これに対し、DE値の条件を満たさない場合には、満足な結果が得られない。例えば、繊維と、当該繊維に付着しているデキストリンとを含む複合体であっても、デキストリンのDE値が0.25未満であると、複合体を用いて製造される成形体の強度を十分に優れたものとすることができない。
また、繊維と、当該繊維に付着しているデキストリンとを含む複合体であっても、DE値が3.60を超えると、デキストリンの吸水性が低下するために、加熱前にあらかじめ多量の水で処理することが必要となり、複合体を用いた成形体の生産性、生産コストが著しく悪化するとともに、成形体の製造設備も大型化し、省エネルギーの観点からも好ましくない。また、複合体を用いて製造された成形体のリサイクル性も低下する。
ここで、DE値は、デキストロース当量値(Dextrose Equivalent 値)の略称であり、デキストロースの還元力を100とした場合の尺度である。換言すると、DE値は、還元糖をグルコースとして測定し、その還元糖の全固形分に対する割合である。DE値は、0に近いほど澱粉に近い特性、100に近づくほど澱粉の加水分解が進み平均分子量が小さくなり、ブドウ糖に似た特性となる。したがって本実施形態のデキストリンC2のDE値において、下限値の0.25である場合のほうが上限値の3.60である場合よりも分子量が大きい。
デキストリンC2のDE値は、例えば、日本国税関が掲示する「No.102 はちみつの分析法」の中の「109 デキストリン中の還元糖分の定量分析法」に記載の方法により測定することができる。かかる試験方法の概略は、以下の通りである。
試験方法の概略:この分析法は、デキストリン(でん粉分解物)に含まれているぶどう糖、麦芽糖などの還元糖分をぶどう糖として定量する場合に適用し、次の手順にしたがって行う。
(1)水分の定量
(2)レイン・エイノン法による還元糖分の定量
(3)ぶどう糖として計算した還元糖の含有率(%)の計算
また、デキストリンのDE値は、簡易的にはGPC測定や粘度測定により見積もることができる。この場合、適宜に標準試料等を用いて測定される。
また、本明細書において、乾式の形成方法とは、成形体を製造する過程において、成形用原料を、水を含む液体中に浸漬することのない方法のことを指し、少量の水を用いる方法、例えば、成形用原料等に水を含む液体を噴霧する方法、成形用原料等を加湿する方法等も、乾式の成形方法に含まれることとする。
1.1.繊維
複合体C100は、繊維C1を含んでいる。
繊維C1は、通常、複合体C100を用いて製造される成形体の主成分であり、成形体の形状の保持に大きく寄与するとともに、成形体の強度等の特性に大きな影響を与える成分である。
繊維C1は、水酸基、カルボニル基、アミノ基のうちの少なくとも1つの化学構造を含む物質で構成されていることが好ましい。
これにより、繊維C1と、後に詳述するデキストリンC2との間で、水素結合を形成しやすくなり、繊維C1とデキストリンC2との接合強度、複合体C100を用いて製造される成形体全体としての強度、例えば、シート状の成形体の引っ張り強度等をより優れたものとすることができる。
繊維C1は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂で構成された合成繊維であってもよいが、天然由来の繊維、すなわち、バイオマス由来繊維であることが好ましく、セルロース繊維であることがより好ましい。
これにより、環境問題や埋蔵資源の節約等により好適に対応することができる。特に、繊維C1がセルロース繊維である場合には、以下のような効果も得られる。
すなわち、セルロースは、植物由来で豊富な天然素材であり、複合体C100を構成する繊維として、セルロースを用いることにより、環境問題や埋蔵資源の節約等にさらに好適に対応することができるとともに、複合体C100やそれを用いて製造される成形体の安定供給、コスト低減等の観点からも好ましい。また、セルロース繊維は、各種繊維の中でも、理論上の強度が特に高いものであり、成形体の強度のさらなる向上の観点からも有利である。さらにセルロース繊維は、良好な生分解性を有する。
セルロース繊維は、通常、主としてセルロースで構成されたものであるが、セルロース以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ヘミセルロース、リグニン等が挙げられる。また、セルロース繊維としては、漂白等の処理が施されたものを用いてもよい。
また、繊維C1は、紫外線照射処理、オゾン処理、プラズマ処理等の処理が施されたものであってもよい。これにより、繊維C1の親水性を高めることができ、デキストリンC2との親和性を高めることができる。より具体的には、これらの処理により、繊維C1の表面に水酸基等の官能基を導入することができ、デキストリンC2との間で、より効率よく水素結合を形成することができるようになる。
複合体C100は、繊維C1とともに、デキストリンC2を含み、デキストリンC2の少なくとも一部が繊維C1に付着しているが、複合体C100は、デキストリンC2が付着している繊維C1とともに、デキストリンC2が付着していない繊維C1を含んでいてもよい。
繊維C1の平均長さは、特に限定されないが、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.2mm以上5.0mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上3.0mm以下であることがさらに好ましい。
これにより、複合体C100を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。
繊維C1の平均太さは、特に限定されないが、0.005mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.010mm以上0.05mm以下であることがより好ましい。
これにより、複合体C100を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。また、複合体C100を用いて製造される成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる。
繊維C1の平均アスペクト比、すなわち、平均太さに対する平均長さは、特に限定されないが、10以上1000以下であることが好ましく、15以上500以下であることがより好ましい。
これにより、複合体C100を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。また、複合体C100を用いて製造される成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる。
複合体C100中における繊維C1の含有率は、特に限定されないが、60.0質量%以上99.0質量%以下であることが好ましく、85.0質量%以上98.0質量%以下であることがより好ましく、88.0質量%以上97.0質量%以下であることがさらに好ましい。
これにより、複合体C100を用いて製造される成形体の形状の安定性や強度等の特性をより優れたものとすることができる。また、成形体の製造時の成形性をより優れたものとすることができ、成形体の生産性を向上させる上でも有利である。
1.2.デキストリン
複合体C100は、前述したような所定のDE値の範囲のデキストリンC2を含んでいる。デキストリンC2は、複合体C100を用いて製造される成形体において、繊維C1同士を結合する結合材として機能する成分である。特に、デキストリンC2は、バイオマス由来とすることができ、環境問題や埋蔵資源の節約等に好適に対応することができる。また、デキストリンC2が前述したような所定のDE値を有するものであることにより、吸水性が向上し、水分を付与した場合に当該水分を速やかに吸収することができる。また、デキストリンの量に対して少量の水分により比較的低温で付着性を発揮でき、優れた結合性を得ることができる。
デキストリンC2は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子材料である。デキストリンC2は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。
前述したように、デキストリンC2のDE値が0.25以上3.60以下であるが、より好ましくは0.30以上2.60以下、さらに好ましくは0.40以上1.80以下である。DE値がこのような範囲であると、前述した効果がより顕著に発揮される。
このようにDE値が所定範囲の値となるように制御されたデキストリンC2は、例えば、天然の澱粉を原料とし、これを水に懸濁したのち硫酸、塩酸、あるいは次亜塩素酸ナトリウムを澱粉が糊化しない条件下で作用させる、又は、天然の澱粉を直接、あるいはごく少量の塩酸などの揮発酸を水で希釈し加えて、よく混和、熟成、低温の乾燥をした後、120℃以上180℃以下に加熱する、又は、天然の澱粉を水とともに加熱した糊液を酸又は酵素で加水分解する、等の処理を施すことにより得ることができる。また、デキストリンは市販されているものを用いてもよく、例えば、デキストロール、黄色デキストリン、Aソル、酵素変性デキストリン、ブリティッシュガム等の名称で流通しているものの中から、DE値が0.25以上3.60以下のものを選んで用いてもよい。
デキストリンC2の原料となる天然の澱粉としては、例えば、各種植物由来のものを用いることができ、より具体的には、例えば、トウモロコシ、小麦、米等の穀類、ソラマメ、緑豆、小豆等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ等のイモ類、カタクリ、ワラビ、葛等の野草類、サゴヤシ等のヤシ類を由来とするもの等を用いることができる。
上述したように、複合体C100は、繊維C1とともに、デキストリンC2を含み、デキストリンC2の少なくとも一部が繊維C1に付着しているが、繊維C1に付着しているデキストリンC2とともに、繊維C1に付着していないデキストリンC2を含んでいてもよい。
複合体C100の総量にするデキストリンC2の含有率は、2.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上40.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、デキストリンの含有率は、NMR法等の成分分析により測定することができ、必要に応じて酵素分解等の前処理手法を用いて測定できる。
これにより、複合体C100の吸水性を特に優れたものとすることができ、複合体C100を用いて製造される成形体の形状の安定性や強度等の特性をより優れたものとすることができる。また、成形体の製造時の成形性をより優れたものとすることができ、成形体の生産性を向上させる上でも有利である。
1.3.その他の成分
複合体C100は、前述した繊維C1及びデキストリンC2以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビヤ系ガム等の天然ガム糊;エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導糊;グリコーゲン、ヒアルロン酸、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の多糖類;アルギン酸ソーダ、寒天等の海藻類;コラーゲン、ゼラチン、加水分解コラーゲン等の動物性蛋白質;サイズ剤;繊維C1由来の不純物;デキストリンC2由来の不純物等が挙げられる。また、複合体を用いて成形される後述の成形体に、所望の性能を付与するための成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、シリカ、珪藻土等の填料;顔料、染料、トナー等の色材;ポリビニルアルコール(PVA)等の紙力増強剤等が挙げられる。
ただし、複合体C100中における繊維C1及びデキストリンC2以外の成分の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
複合体C100は、27℃/98%RHの環境下に2時間放置した場合の含水率が、20質量%以上55質量%以下であることが好ましく、22質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、繊維とデキストリンを混合することで含水率が高くなり、複合体の吸水速度の向上及び複合体内部へ水を均一に供給することができる。
なお、上記の含水率の測定は、例えば、複合体C100を0.7g取り分けて、パール金属株式会社製 ラフィネ ステンレス製自動粉ふるいMを用いて複合体をクッキングペーパー上に円盤状に篩積層させ、そのクッキングシートごとステンレス製ピシャット網かご(新越ワークス社製)に載せ、恒温槽(エスペック株式会社製、恒温恒湿器プラチナス(登録商標)KシリーズPL―3KPHを用いて、27℃/98%RHに環境設定した状態に2時間放置した条件で、加熱乾燥式水分計(A&B株式会社製、MX-50)を用いること等により含水率を測定することができる。なお、後述する実施例で示す27℃/98%RHの環境下に2時間放置した場合の複合体の含水率も、上記のような条件での測定により求められた値である。
2.成形体
次に、本実施形態に係る成形体について説明する。本実施形態に係る成形体は、前述した本実施形態の複合体C100を原料として用い、所定の形状に成形されたものである。これにより、石油由来の材料の使用を抑制しつつ、所望の形状を有する成形体を提供することができる。また、このような成形体は、生分解性にも優れている。また、このような成形体は、リサイクル性や強度等も優れている。
成形体の形状は、特に限定されず、例えば、シート状、ブロック状、球状、三次元立体形状等、いかなるものであってもよいが、成形体は、シート状をなすものであることが好ましい。なお、ここでいうシート状とは、厚さが30μm以上30mm以下、密度が0.05g/cm以上1.5g/cm以下となるように成形された成形体を指す。これにより、例えば、成形体を記録媒体等として好適に用いることができる。また、後述するような製造方法、製造装置を用いることにより、より効率よく成形体を製造することができる。
成形体は、その少なくとも一部が前述した複合体C100で構成されていればよく、複合体C100で構成されていない部位を有するものであってもよい。成形体の用途は、特に限定されず、例えば、記録媒体、液体吸収体、緩衝材、吸音材等が挙げられる。また、成形体は、成形工程の後に、切断等の機械加工や、各種化学処理が施されて、用いられるものであってもよい。
成形体が液体吸収体である場合、その厚さは、0.3mm以上30mm以下であることが好ましい。さらに、密度は、0.05g/m以上0.4g/m以下であることが好ましい。これにより、成形体を液体吸収体としてより好適に用いることができる。また、後述するような製造方法、製造装置を用いることにより、より効率よく製造することができる。
3.成形体の製造方法
次に、成形体の製造方法について説明する。実施形態に係る成形体の製造方法は、繊維、及び、DE値が0.25以上3.60以下であるデキストリンを混合して混合物を得る混合工程と、混合物を加湿する加湿工程と、混合物を加熱及び加圧して、所定の形状に成形する成形工程とを有する。
これにより、石油由来の材料の使用を抑制しつつ、比較的少ない水分の付与量であっても、所望の形状を有する成形体を好適に製造することができる成形体の製造方法を提供することができる。したがって、成形体の生産性や生産コスト、省エネルギー、成形体の製造設備の小型化等の観点からも有利である。また、本実施形態の製造方法を用いて製造される成形体は、生分解性にも優れている。また、製造される成形体は、リサイクルも容易に行うことができる。また、成形体の強度等を優れたものとすることができるとともに、成形体の製造時における繊維の飛散等をより効果的に防止することができる。
3.1.混合工程
混合工程では、繊維、及び、DE値が0.25以上3.60以下であるデキストリンを混合する。混合工程に先だって、混合される原料を用意する原料用意工程を有してもよい。原料用意工程では、少なくとも繊維、及び、DE値が0.25以上3.60以下であるデキストリンを用意する。
原料用意工程で用意されるデキストリンは、粒子状のデキストリンであってもよいし、上述の複合体中のデキストリンであってもよい。さらに原料用意工程で用意されるデキストリンは、上述の複合体や上述の成形体を解繊・粉砕等して得られたものとしてもよい。上述の複合体や上述の成形体を解繊・粉砕等して得られたデキストリンを用いる態様は、複合体や成形体を再生する態様に相当する。本実施形態の複合体や成形体は、上述のようにデキストリンの劣化を生じにくいので、再生利用が容易である点でも優れている。
また、原料用意工程で用意されるデキストリンの原料としてシート状の複合体を用いると、原料の保管に要する空間を狭くすることができ、成形体製造装置の小型化にも寄与できる。さらに、シート状の複合体が記録媒体等として用いられた古紙であり、当該古紙を用いてシート状の成形体を製造する場合には、複合体の再利用回数、リサイクルの回数をより増やすことができる。
原料用意工程で用意されるデキストリンが粒子状である場合、当該デキストリンの平均粒径は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましく、1μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、デキストリンの取り扱いやすさ、流動性をより好適なものとすることができ、混合物の調製をより容易に行うことができる。また、繊維とデキストリンとが混合された状態の混合物からのデキストリンの脱落の抑制効果をさらに高めることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルを、当該サンプルが溶解・膨潤しない分散媒に添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA-II型)にて、50μmのアパーチャーを用いて測定することにより求めることができる。
混合物には、上記のような繊維及びデキストリンに加えて、他の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、上記「1.3.その他の成分」で述べた成分等が挙げられる。
混合工程では、原料用意工程で用意された原料を混合する。混合工程で得られる混合物は、少なくとも繊維、及び、DE値が0.25以上3.60以下であるデキストリンを含む。また、混合物は、その他の成分を含んでもよい。
混合工程は、繊維及びデキストリンを混合することにより実施でき、例えば原料を容器に入れて撹拌して行ってもよい。また、混合工程は、後述する製造装置の混合部により行われてもよい。
3.2.加湿工程
加湿工程では、混合物を加湿する。加湿工程で水分が付与された混合物を、上述の複合体としてもよい。すなわち、混合物に水分が付与されることで、デキストリンの表面の一部又は全部が繊維への付着性を有するものとなり、繊維に付着することができるので、上述の複合体が形成される。
また、加湿工程により混合物が加湿されると、後述する成形工程で、繊維とデキストリンとの接合強度、及び、デキストリンを介した繊維同士の接合強度を優れたものとすることができ、最終的に得られる成形体の強度等を十分に優れたものとすることができる。また、成形工程での成形を比較的穏やかな条件で好適に行うことができる。
混合物を加湿する方法は、特に限定されないが、混合物に対して非接触で行うことが好ましく例えば、混合物を高湿度雰囲気下に置く方法、混合物を高湿度空間を通過させる方法、混合物に水を含む液体のミストを吹きかける方法、混合物を水を含む液体のミストが浮遊する空間を通過させる方法等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上の方法を組み合わせて行ってもよい。なお、水を含む液体中には、例えば、防腐剤、防カビ剤、殺虫剤等が含まれていてもよい。
混合物の加湿は、例えば、成形体を製造する過程において、複数の段階で行ってもよい。より具体的には、例えば、繊維及びデキストリンを含むシート状の複合体に対する加湿、シート状の複合体の粗砕片に対する加湿、解繊物を堆積させて得られたウェブに対する加湿、及び、シート状の複合体の解繊物、例えば、粗砕片を解繊して得られた解繊物を含む組成物に対する加湿により、混合物の原料を加湿して混合物に水分が導入されてもよく、さらにこれらの2つ以上の手法を組み合わせて行ってもよい。
上記のように、成形体を製造する過程において複数の段階で、混合物又はその原料の加湿を行うことにより、例えば、各段階での加湿量を必要以上に高める必要がなくなる。その結果、例えば、成形体製造装置での混合物等の搬送速度を高めることができ、成形体の生産性をより優れたものとすることができる。
加湿工程で混合物に付与する水分量は、特に限定されないが、加湿工程終了時における混合物の含水率、すなわち、加湿工程終了時における混合物の質量に対する、当該混合物が含む水分の質量の割合は、15.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、18.0質量%以上45.0質量%以下であることがより好ましく、20.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
これにより、より好適にデキストリンに吸水させることができ、後の成形工程をより好適に行うことができる。その結果、最終的に得られる成形体の強度、信頼性等をより優れたものとすることができる。また、デキストリンの吸水に要する時間を比較的短いものとすることができるため、成形体の生産性をより優れたものとすることができる。さらに、後の成形工程で加熱に要する消費エネルギーを、抄造法と比較して顕著に減らすことができる。
なお、水分含有量は、A&D社製の加熱乾燥式水分計等を用いた測定により求めることができる。
3.3.成形工程
成形工程では、加湿された混合物を加熱及び加圧して所定の形状に成形する。これにより、付着したデキストリンにより繊維同士が結合した成形体が得られる。なお、加湿工程と成形工程とは、同時進行的に行ってもよい。
成形工程における加熱温度は、特に限定されないが、50℃以上180℃以下であることが好ましく、60℃以上150℃以下であることがより好ましく、70℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。
これにより、吸水しているデキストリンの付着力を十分に得ることができるとともに、成形体の構成材料が不本意に劣化してしまうこと等を抑制でき、また、省エネルギーの観点からも好ましい。また、得られる成形体の耐熱性や室温等の比較的低温での機械的強度等をより優れたものとすることができる。なお、上記の温度は、合成樹脂であるポリエステルを結合材として用いた場合よりも、十分に低い温度である。
成形工程での加圧は、0.1MPa以上100MPa以下で行うことが好ましく、0.3MPa以上20MPa以下で行うことがより好ましい。本工程は、例えば、熱プレス、熱ローラー等を用いて行うことができる。
3.4.成形体製造装置
次に、成形体の製造方法に好適に適用することができる成形体製造装置について説明する。図2は、成形体製造装置の好適な例を示す概略側面図である。
なお、以下では、図2の上側を「上」又は「上方」、下側を「下」又は「下方」と言うことがある。また、図2は、概略構成図であり、成形体製造装置100の各部の位置関係は、実際の位置関係とは異なる場合がある。また、各図において、繊維原料M1、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、シートSが搬送される方向、すなわち、矢印で示す方向を搬送方向とも言う。また、矢印の先端側を搬送方向下流側、矢印の基端側を搬送方向上流側とも言う。
図2に示す成形体製造装置100は、繊維原料M1を粗砕、解繊し、堆積させ、この堆積物を成形部20によって成形することで成形体を得る装置である。
また、成形体製造装置100により製造される成形体は、例えば、再生紙のようなシート状をなしていてもよく、ブロック状をなしていてもよい。また、成形体の密度も特に限定されず、シートのような繊維の密度が比較的高い成形体であってもよく、スポンジ体のような繊維の密度が比較的低い成形体であってもよく、これらの特性が混在する成形体であってもよい。
繊維原料M1としては、例えば、使用済み又は不要となった古紙を利用することができる。また、例えば、繊維原料M1としては、繊維と、当該繊維に付着しているDE値が0.25以上3.60以下のデキストリンとを含むシート材を用いてもよい。当該シート材は、例えば、再生紙であってもよいし、非再生紙であってもよい。
以下の説明では、繊維原料M1として、繊維と、当該繊維に付着しているデキストリンとを含む複合体であるシート材である古紙を用い、製造される成形体が、再生紙であるシートSである場合について中心的に説明する。
図2に示す成形体製造装置100は、シート供給装置11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、これらの作動を制御する制御部28と、を備えている。粗砕部12、解繊部13、選別部14、第1ウェブ形成部15、細分部16、混合部17、分散部18、第2ウェブ形成部19、成形部20、切断部21及びストック部22の各々が、シートを処理する処理部である。
また、シート供給装置11と、粗砕部12又は解繊部13とにより、シート処理装置10Aが構成される。また、シート処理装置10Aと、第2ウェブ形成部19とにより、繊維体堆積装置10Bが構成される。
また、成形体製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、成形体製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
また、加湿部231~加湿部236及びブロアー261~ブロアー263は、制御部28と電気的に接続されており、制御部28によってその作動が制御される。すなわち、本実施形態では、1つの制御部28によって成形体製造装置100の各部の作動が制御される構成である。ただし、これに限定されず、例えば、シート供給装置11の各部の作動を制御する制御部と、シート供給装置11以外の部位の作動を制御する制御部と、をそれぞれ有する構成であってもよい。
また、成形体製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、放出工程と、堆積工程と、シート形成工程と、切断工程とが実行される。原料供給工程から混合工程までが成形体の製造方法での原料用意工程に該当し、シート形成工程が成形体の製造方法での成形工程に該当する。また、後に詳述する各加湿部で加湿する工程が加湿工程に該当する。
以下、各部の構成について説明する。シート供給装置11は、粗砕部12に繊維原料M1を供給する原料供給工程を行う部分である。前述したように、繊維原料M1としては、繊維と、当該繊維に付着しているデキストリンとを含む複合体を用いることができる。特に、繊維原料M1としては、繊維としてセルロース繊維を含むものを好適に用いることができる。
粗砕部12は、シート供給装置11から供給された繊維原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行う部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で繊維原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適していることが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であることが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であることがより好ましい。
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルターを有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、上記説明した加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
シュート122は、管241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行う部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
また、解繊部13は、回転刃の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程を行う部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。その平均長さは、1μm以上30μm以下であることが好ましい。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち、上流側が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行う部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、回収部27に回収されることとなる。
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、上記の加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行う部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と添加剤とを混合する混合工程を行う部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と添加剤との混合物M7が通過する流路である。
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、添加剤が収容されたハウジング部170と、ハウジング部170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング部170内の添加剤がハウジング部170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された添加剤は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
ここで、添加剤供給部171から供給される添加剤としては、例えば、繊維同士を結着させる結着剤や、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤、解繊物等が挙げられ、これらのうちの一種又は複数種を組み合わせて用いることができる。以下では、添加剤が結着剤としてのデキストリンP1、特に、DE値が0.25以上3.60以下のデキストリンP1である場合について説明する。
添加剤供給部171からデキストリンP1を供給することにより、繊維原料M1中におけるデキストリンの含有率が比較的低い場合や、繊維原料M1中に含まれていたデキストリンのうち比較的多くの割合のものが成形体製造装置100を用いた処理により除去されてしまう場合であっても、好適な成形体としてのシートSを得ることができる。すなわち、最終的に得られる成形体としてのシートS中におけるデキストリンの含有率を十分に高いものとすることができるとともに、シートSを構成する繊維にデキストリンを高い密着性で付着させることができ、その結果、前述したような効果がより顕著に発揮される。
またデキストリンP1は、上記説明した複合体C100の構成成分としてのデキストリンC2と同様の条件を満足するものであることが好ましい。これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
添加剤供給部171から供給される添加剤としては、デキストリンP1の代わりに、上記実施形態の複合体、すなわち、繊維と当該繊維に付着しているデキストリンとを含む複合体を用いてもよい。
これにより、例えば、繊維原料M1として、繊維と当該繊維に付着しているデキストリンとを含むシート材を用いる場合等において、混合部17での混合工程を簡略化した場合であっても、第2ウェブM8での組成のばらつき、特に、各部位でのデキストリンの存在のばらつきを抑制することができる。その結果、最終的に得られる成形体としてのシートSでの組成のばらつき等を抑制することができ、シートSの信頼性をより優れたものとすることができる。
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6とデキストリンP1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6とデキストリンP1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6とデキストリンP1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
なお、図2に示すように、ブロアー173は、制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
図2に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出する放出工程を行う部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入及び放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、ドラム181を回転駆動する駆動源183と、を有する。
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
駆動源183は、図示はしないが、モーターと、減速機と、ベルトと、を有する。モーターは、モータードライバーを介して制御部28と電気的に接続されている。また、モーターから出力された回転力は、減速機によって減速される。ベルトは、例えば、無端ベルトで構成されており、減速機の出力軸及びドラムの外周に掛け回されている。これにより、減速機の出力軸の回転力がベルトを介してドラム181に伝達される。
また、ハウジング182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング182内を加湿することができ、加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、混合物M7がハウジング182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する堆積工程を行う部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうことが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
分散部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、特に限定されないが、加湿工程終了時における混合物の含水率、すなわち、加湿部236で加湿された状態の第2ウェブM8の質量に対する、当該第2ウェブM8が含む水分の質量の割合は、15質量%以上50質量%以下であることが好ましく、18質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
第2ウェブM8が形成されるまでに少なくとも1回の加湿工程が行われた場合には、第2ウェブM8は、デキストリンの少なくとも一部が繊維に付着するものとなっている。そのため、第2ウェブM8は、上記実施形態の複合体となっている。また、第2ウェブM8が形成されるまでに加湿工程が行われなかった場合には、第2ウェブM8に対して加湿部236による加湿工程が行われ、この時点で第2ウェブM8は、デキストリンの少なくとも一部が繊維に付着するものとなる。この場合においても加湿部236よりも下流側に位置する第2ウェブM8は、上記実施形態の複合体となっている。
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、混合物である第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程を行う部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱及び加圧により、第2ウェブM8内では、加湿により吸水しているデキストリンが繊維に付着しており、このデキストリンとともに第2ウェブM8が加圧・加熱されることによって、デキストリンを介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行う部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
第1カッター211は、シートSの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの幅方向の両側端部の不要な部分を除去して、シートSの幅を整えるものであり、切断除去された部分は、いわゆる「みみ」と呼ばれる。
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
なお、成形部20としては、上記のようにシートSに成形する構成に限定されず、例えば、ブロック状、球状等の成形体に成形する構成であってもよい。
このような成形体製造装置100が備える各部は、後述する制御部28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御部28によって制御される。
なおここでは、成形体製造装置100を用い、原料として繊維及び特定のDE値を有するデキストリンを含む成形体又は複合体を使用した例を示した。特定のDE値を有するデキストリンを用いることにより、再生によるデキストリンの劣化が抑制され、機械的強度が高く、着色等も抑制された成形体を得ることができる。これに対して例えば特許文献2に記載の技術のように、澱粉を水に溶かして乾燥させて用いる場合には、澱粉が変質するので、当該技術で製造された紙は、これを原料として再生することに不向きであり、特に複数回の再生は困難である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、成形体の製造に用いる成形体製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、成形体製造装置を用いた成形体の製造方法で、繊維と所定のDE値のデキストリンとを含む繊維原料を用い、混合部において、繊維原料の解繊物から得られた細分体と、添加剤供給部から供給された所定のDE値のデキストリンとを混合するものとして説明したが、繊維と所定のDE値のデキストリンとを含む繊維原料を用いる場合、成形体の製造に際して、所定のDE値のデキストリンを追加して用いる必要がない。この場合、添加剤供給部を省略することができる。また、これに伴い、細分部、混合部、分散部、第2ウェブ形成部等を省略することができ、第1のウェブを直接成形部に供給するように構成してもよい。
また、本発明の成形体の製造方法は、前述した混合工程と、加湿工程と、成形工程とを有していればよく、前述した成形体製造装置を用いる場合に限らず、いかなる装置を用いてもよい。
4.実施例及び比較例
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
4.1.評価試料の作成
4.1.1.デキストリンの準備
表1に示すDE値の各種デキストリンを準備した。デキストリンの調整は、“Modified Starches: Properties and Uses”, O. B. Wurzburg, CRC Press Inc., 1987に説明されている反応条件を用いた。具体的には、水分を5.0重量%含むコーンスターチ(NON-CMO:日本コーンスターチ株式会社製)を焙焼器に投入し、焙焼を行った。焙焼において、温度を135℃~220℃の範囲、時間を15分~18時間の範囲で変化させることで、表1の各実施例および比較例に示すDE値を有するデキストリンを得た。焙焼の温度が高く、時間が長いほど、コーンスターチの加水分解が進行し、DE値の大きいデキストリンが得られた。また各例におけるDE値は、上述の、日本国税関が掲示する「No.102 はちみつの分析法」の中の「109 デキストリン中の還元糖分の定量分析法」に記載の方法により測定した。
Figure 2022047661000002
4.1.2.成形体及び再生成形体の製造
各例について、図2に示すような成形体製造装置100を用いて、以下のようにして、成形体としてのシートSを製造した。
まず、繊維原料M1として、セルロース繊維で構成されたG80(三菱製紙社製)を複数枚用意し、これらをシート供給装置11の収容部に収容するとともに、添加剤供給部171のハウジング部170に各例のデキストリンを収容した。その後、前述したように、成形体製造装置100の運転を行った。
その結果、混合部17において、セルロース繊維とデキストリンとが表1に記載の混合比率(デキストリン/(繊維+デキストリン);質量基準)で混合され、これらを含む複合体としての混合物M7が得られた。
混合部17で得られた混合物M7は、分散部18を経て、第2ウェブ形成部19で、セルロース繊維とデキストリンとを含む複合体としての第2ウェブM8となった。
なお、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とで、それぞれ、加湿を行い、加湿部236で加湿された状態の第2ウェブM8の質量に対する、当該第2ウェブM8が含む水分の質量の割合が、表1中の水添加量(質量%)(水/ウェブ;質量基準)となるようにした。
第2ウェブM8は、成形部20で加熱および加圧されることにより、長尺状の成形体であるシートSとなった。成形部20での加熱温度は80℃、加熱時間は15秒とし、成形部20での加圧は70MPaで行った。
このようにして得られた長尺状の成形体であるシートSを、切断部21で切断し、A4サイズのシートSとした。
さらに、各例で得られたシートSを原料とし、これをシート供給装置11の収容部に収容して導入し、添加剤供給部171からデキストリンを供給することなく、その他の条件を上記と同様にして各例の再生シートS(再生成形体)を製造した。
4.2.評価
各実施例および各比較例の成形体及び再生成形体について、以下の比引張強さ評価を行った。
各実施例および各比較例の成形体及び再生成形体について、AUTOGRAP AGC-X 500N(島津製作所製)を用いて、JIS P8113に準じた測定を行い、比引張強さを求め、以下の基準に従い評価し、結果をそれぞれ表1に記載した。なお、再生成形体に関しては、再生前の原料の成形体の比引張強さに対する再生後の成形体の比引張り強さの低下率を用いて以下の評価を行った。
(最初の成形体に関する評価基準)
A:比引張強さが25N・m/g以上
B:比引張強さが20N・m/g以上25N・m/g未満
C:比引張強さが15N・m/g以上20N・m/g未満
D:比引張強さが15N・m/g未満
(再生成形体に関する評価基準)
A:低下率が10%未満
B:低下率が10%以上20%未満
C:低下率が20%以上30%未満
D:低下率が30%以上
表1から明らかなように、各実施例では優れた結果が得られた。すなわち、各実施例で得られた成形体は、生分解性を確保しつつ、優れた機械的強度を得ることができた。また各実施例の成形体を形成する過程における複合体についても、良好な生分解性を有しつつ、これを用いて成形した成形体の機械的強度を良好にできることが分かった。さらに各実施例ではリサイクル性も良好であった。これに対し、各比較例では、生分解性については良好と考えられるものの、機械的強度やリサイクル性が不十分な結果となった。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
複合体の一態様は、
繊維と、デキストリンと、を含み、
前記デキストリンの少なくとも一部が前記繊維に付着しており、
前記デキストリンのDE値が0.25以上3.60以下である。
この複合体は、DE値が0.25以上3.60以下のデキストリンを含むので、良好な生分解性を有しつつ、これを用いて成形した紙等の成形体の機械的強度も良好にすることができる。
上記複合体の態様において、
前記デキストリンの含有量が、前記複合体の総量に対して2.0質量%以上60.0質量%以下であってもよい。
この複合体を用いて成形した紙等の成形体の機械的強度をさらに良好にすることができる。
上記複合体の態様において、
前記繊維は、水酸基、カルボニル基又はアミノ基を有する物質で構成されてもよい。
この複合体を用いて成形した紙等の成形体の機械的強度をさらに良好にすることができる。
上記複合体の態様において、
前記繊維は、セルロースであってもよい。
この複合体は、さらに優れた生分解性を有する。
成形体の一態様は、上述の複合体を原料として用い、所定の形状に成形されている。
この成形体は、良好な生分解性を有しつつ、優れた機械的強度を有する。
上記成形体の態様において、
シート状の形状をなしてもよい。
成形体の製造方法の一態様は、
繊維、及びDE値が0.25以上3.60以下のデキストリンを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を加湿する加湿工程と、
加湿された前記混合物を加圧及び加熱して成形体を得る成形工程と、
を含む。
この成形体の製造方法によれば、用いる水の量を少量とし、エネルギー消費を小さく抑えながら、機械的強度の良好な成形体を製造することができる。
上記成形体の製造方法の態様において、
前記加湿工程終了時における前記混合物の含水率は、前記混合物の総量に対して15.0質量%以上50.0質量%以下であってもよい。
この製造方法によれば、さらにエネルギー消費を抑制することができる。
上記成形体の製造方法の態様において、
前記成形工程における加熱温度は、60.0℃以上150.0℃以下であってもよい。
この製造方法によれば、さらにエネルギー消費を抑制することができる。
上記成形体の製造方法の態様において、
前記繊維及び前記デキストリンは、前記製造方法により製造された成形体から得られたものを含んでもよい。
この製造方法によれば、得られた成形体を再利用しながらも機械的強度の良好な成形体を製造することができる。
C100…複合体、C1…繊維、C2…デキストリン、100…成形体製造装置、10A…シート処理装置、10B…繊維体堆積装置、11…シート供給装置、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御部、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、170…ハウジング部、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、182…ハウジング、183…駆動源、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…CPU、282…記憶部、M1…繊維原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、S…シート、P1…デキストリン

Claims (10)

  1. 繊維と、デキストリンと、を含み、
    前記デキストリンの少なくとも一部が前記繊維に付着しており、
    前記デキストリンのDE値が0.25以上3.60以下である、複合体。
  2. 請求項1において、
    前記デキストリンの含有量が、前記複合体の総量に対して2.0質量%以上60.0質量%以下である、複合体。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記繊維は、水酸基、カルボニル基又はアミノ基を有する物質で構成された、複合体。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記繊維は、セルロースである、複合体。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の複合体を原料として用い、所定の形状に成形された、成形体。
  6. 請求項5において、
    シート状の形状をなす、成形体。
  7. 繊維、及びDE値が0.25以上3.60以下のデキストリンを混合して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を加湿する加湿工程と、
    加湿された前記混合物を加圧及び加熱して成形体を得る成形工程と、
    を含む、成形体の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記加湿工程終了時における前記混合物の含水率は、前記混合物の総量に対して15.0質量%以上50.0質量%以下である、製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8において、
    前記成形工程における加熱温度は、60.0℃以上150.0℃以下である、製造方法。
  10. 請求項7ないし請求項9のいずれか一項において、
    前記繊維及び前記デキストリンは、前記製造方法により製造された成形体から得られたものを含む、製造方法。
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