JP2022046757A - 電力取引システム - Google Patents
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Abstract
【課題】データの非改ざん性を担保しつつ、再生可能エネルギーのトレーサビリティを担保可能な、実効性の高い技術を提供する。【解決手段】電力取引システム2は、再生可能エネルギーを含む電力を供給する供給者端末と、電力を消費する需要者の需要者端末と、電源を供給者から需要者に送電する送電者の送電者端末と、供給者端末、需要者端末及び送電者端末にネットワークを介して接続し、パブリックブロックチェーンネットワークに接続する管理端末を有する。管理端末は、送電者端末から、第1の供給者に関する情報、第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報及び所定の単位時間当たりの、第1の供給者が第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報としてパブリックブロックチェーンネットワークに記録する。【選択図】図2
Description
本発明は、ブロックチェーン技術を利用した電力取引システムに関する。
近年、電力の全面自由化以降、高圧法人から低圧家庭に至る電力需要者は、様々な電力小売り事業者と電力の取引を行うことが可能となり、また、電源の種類等の選択肢の中から太陽光発電等の再生可能エネルギーといった環境を考慮した電源を選択することも可能となっている。
特許文献1には、電力取引をブロックチェーンに記録、管理することにより、データの改ざんを防止し、取引の安全性を担保する技術が開示されており、特に、プライベートブロックチェーンにおいて、電気取引者をマイナーとして参加させ、マイニングを通じたブロック生成に対する報酬を付与することで、ブロックチェーン取引の安全性を維持する旨記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、プライベートブロックチェーンという、特定の管理者によって許可されたマイナーのみが参加可能なネットワークであるため、データの改ざん性の点及び取引の安全性の点において依然としてリスクを有している。
他方、RE100、RE ACTION、ESG、SDGs等企業による環境問題への関心の高まり及び取り組みの強化により、再生可能エネルギーに対するニーズが高まっており、電力供給者から需要者への送電のプロセスにおいて、電力量に占める再生可能エネルギーが占める割合を可視化し、KPIとして管理する、といった電源のトレーサビリティの必要性が高まっている。
ここで、トレーサビリティを担保するために、どの電力供給者がどの需要者に電力供給したか、に関する電力取引記録を、トランザクション情報として、ブロックチェーンに記録する際に、データの非改ざん性を担保するために、取引の承認を特定の管理者ではなく、不特定多数のノードやマイナーが行うパブリックブロックチェーンを利用する場合、トランザクション情報を取引が行われる都度ブロックチェーンに記録すると、多頻度のトランザクション回数に応じてトランザクションコストが都度発生してしまい、実効性が低くなり、経済性も悪化してしまう。
そこで、本発明は、データの非改ざん性を担保しつつ、再生可能エネルギーのトレーサビリティを担保可能な、実効性の高い技術を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、再生可能エネルギーを含む電力を供給する、一または複数の供給者の供給者端末と、電力を消費する、一または複数の需要者の需要者端末と、電源を供給者から需要者に送電する送電者の送電者端末と、前記供給者端末、前記需要者端末及び前記送電者端末にネットワークを介して接続し、パブリックブロックチェーンネットワークに接続する管理端末を有する電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第1の供給者に関する情報、前記第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第1の供給者が前記第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する。
前記管理端末は、前記送電者端末から、第1の供給者に関する情報、前記第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第1の供給者が前記第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する。
本発明によれば、データの非改ざん性を担保しつつ、再生可能エネルギーのトレーサビリティを担保可能な、実効性の高い技術を提供することが可能となる。
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による電力取引システム(以下単に「システム」という)は、以下のような構成を備える。
[項目1]
再生可能エネルギーを含む電力を供給する、一または複数の供給者の供給者端末と、電力を消費する、一または複数の需要者の需要者端末と、電源を供給者から需要者に送電する送電者の送電者端末と、前記供給者端末、前記需要者端末及び前記送電者端末にネットワークを介して接続し、パブリックブロックチェーンネットワークに接続する管理端末を有する電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第1の供給者に関する情報、前記第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第1の供給者が前記第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、
電力取引システム。
[項目2]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンネットワークは、イーサリアムである電力取引生成システム。
[項目3]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記複数の単位時間は、所定期間に相当する、電力取引システム。
[項目4]
項目3に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記複数単位分取得した第1の電力量を基に、前記第1の供給者から前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。
[項目5]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第2の供給者に関する情報、前記第2の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第2の供給者が前記第2の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第2の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位分取得した、第1の電力量及び第2の電力量を基に、前記第1の供給者及び第2の供給者から各々前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。
[項目6]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンに記録されたトランザクション情報を基に、前記第1の需要者が、前記第1の供給者から供給された、単位時間当たりの電力量に関する情報を生成する、電力取引システム。
[項目7]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記複数単位時間分取得した電力量情報を基に、ハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を前記トランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、電力取引システム。
[項目1]
再生可能エネルギーを含む電力を供給する、一または複数の供給者の供給者端末と、電力を消費する、一または複数の需要者の需要者端末と、電源を供給者から需要者に送電する送電者の送電者端末と、前記供給者端末、前記需要者端末及び前記送電者端末にネットワークを介して接続し、パブリックブロックチェーンネットワークに接続する管理端末を有する電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第1の供給者に関する情報、前記第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第1の供給者が前記第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、
電力取引システム。
[項目2]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンネットワークは、イーサリアムである電力取引生成システム。
[項目3]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記複数の単位時間は、所定期間に相当する、電力取引システム。
[項目4]
項目3に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記複数単位分取得した第1の電力量を基に、前記第1の供給者から前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。
[項目5]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第2の供給者に関する情報、前記第2の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第2の供給者が前記第2の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第2の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位分取得した、第1の電力量及び第2の電力量を基に、前記第1の供給者及び第2の供給者から各々前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。
[項目6]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンに記録されたトランザクション情報を基に、前記第1の需要者が、前記第1の供給者から供給された、単位時間当たりの電力量に関する情報を生成する、電力取引システム。
[項目7]
項目1に記載の電力取引システムであって、
前記複数単位時間分取得した電力量情報を基に、ハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を前記トランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、電力取引システム。
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態によるシステムについて、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態によるシステムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による供給者及び需要者による電力取引を説明する概念図である。
図1に示されるように、本実施形態における送電システム1において、複数の電力供給者10A、10B(以下、「供給者」という)と、電力供給者から供給される電力を消費する、複数の電力需要者20A、20B(以下、「需要者」という)とが、送電ネットワークNWを介して接続し、需要者は、複数の供給者のいずれかの供給者、または供給者の組み合わせと、所定量の電力を調達するための取引を行い、契約を締結し、電力を調達する。
ここで、供給者10A、10Bは、例えば、各々風力発電事業者、太陽光発電事業者であり、その他地熱発電、水力発電、バイオマス発電等の再生可能エネルギー源から電力を供給する事業者であってもよいが、非再生可能エネルギーに分類される、火力、原子力発電事業者も含まれてもよい。また、供給者は、個人発電事業者で、個人の消費者で一戸建ての屋根に太陽光を置いて発電を行っている事業者(いわゆる「プロシューマー」)であってもよい。需要者20A、20Bは、例えば、低圧家庭、低圧法人、高圧法人等で構成されるが、本送電システム1における電力取引において、需要者は、電力の供給源となる電源の種類(再生可能エネルギー(さらにその詳細)、非再生可能エネルギー)及び/または地域を選択することができる。例えば、需要者は、福島の事業者の再生可能エネルギー(例えば、風力発電)を自社の電力として使いたい、と考え、本システムを介して、福島の事業者と直接取引を行い、契約締結のうえ、福島の事業者から電力の供給を受けることができる。同時に、同じ需要者は、千葉の太陽光発電事業者からも電力供給を受けたいと考えるか、または、福島の風力発電事業者から所望の電力量の供給を受けられない場合等の事情により、福島の風力発電事業者とは異なる千葉の太陽光発電事業者を含め、複数の事業者から電力供給を受ける、という事態も考えられる。
しかしながら、特に需要者が複数の事業者から電力供給を受ける場合、各々の供給者が発電し、供給した電力は送電ネットワークに入ってしまうと、トラッキングすることが困難となる。そこで、本送電システム1において、供給者の発電装置及び需要者の電力消費装置の各々に、スマートメータのように、所定の単位時間(例えば、30分)毎に電力を計測する計測部及び計測値を外部の装置に対して送信可能な通信部を有する装置を設置することで、各供給者及び各需要者の供給・需要電力をモニタリングすることができる。
図2は、本発明の第1の実施形態による電力取引システムを説明する図である。
図2に示されるように、本実施形態における電力取引システム2において、複数の供給者端末100A、100Bと、複数の需要者端末200A、200Bとが、通信ネットワークNWを介して相互に接続し、また、送電者端末300及び管理端末400に同ネットワークを介して接続する。供給者端末100A、100B及び需要者端末200A、200Bは、図1に示す送電システム1における、供給者10A、10B及び需要者20A、20Bに対応する供給者及び需要者の各々により管理される端末とすることができる。また、送電者端末300は、送電ネットワークNWを運営、管理する事業者が管理する端末とすることができる。管理端末400は、供給者と需要者間の電力取引を運営、管理する、いわゆる電力小売業者等の事業者により管理される端末とすることができる。
例えば、管理端末400は、供給者端末100A、100Bから、供給者に関する基本情報及び供給情報(供給者の電源の種別、電力量等)を受信し、需要者端末200A、200Bから、需要者に関する基本情報及び需要情報(電力の供給を受けたい供給者の地域、電源の種別、電力量(割合比率)等)を受信する。管理端末400は、需要者の需要情報に基づいて、供給者と需要者との初期マッチングを実施し、需要者に対して電力を供給する供給者を決定する。ここで、上述の通り、複数の需要者と複数の供給者間でマッチングを図るなかで、需要者の、電力に対する需要を最大限満足するために、単一の需要者に対し複数の供給者をマッチングすることもできる。
マッチング成立後、供給者と需要者との間で契約が締結されると、実際に供給者が需要者に対し、図1に示す送電ネットワークNWを介して電力を供給する。ここで、送電者端末300は、図1に示す供給者及び需要者の、発電装置または電力消費装置の各々に設置されたスマートメータから、所定の単位時間毎に供給・需要電力量に関する情報を受信し、所定期間(例えば、1ヶ月)毎に確定値として纏め、ネットワークを介して管理端末400に電力量に関する情報を送信する。
これにより、管理端末400は、所定期間(例えば、1ヶ月)、特定の需要者に対し、一または複数の供給者が供給する電力量の総量を算出するためのマッチング処理を実行し、単位時間毎の供給・需要電力量を保持することで、電力のトレーサビリティを担保することが可能となる。
また、本電力取引システム1において、管理端末400は、ウォレットを有しており、パブリックブロックチェーンネットワークNWに接続する。管理端末400は、上記所定期間毎に確定値として出力された、供給者及び需要者の、単位時間毎の供給及び需要電力量に関する情報を基に、SHA256または他のハッシュ関数を用いて単一のハッシュ値を生成し、トランザクション情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録する。また、上記マッチング処理で算出した、所定期間(例えば、1ヶ月)、特定の需要者に対し、一または複数の供給者が供給する電力量の総量について、トランザクション情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。ブロックチェーン・ネットワーク上で、トランザクション情報、直前のブロックに記録されたハッシュ値及びノードにより採掘されたナンス値を基に、本ブロックが生成され、直前のブロックに続いて記録され、ブロックチェーンが形成される。ここで、上記ハッシュ生成、及び/またはトランザクション情報のブロックチェーンへの記録を管理端末400でなく、他の端末を介して行うこともできる。この場合、管理端末400は、他の端末に対し、マッチング処理で算出した電力量の総量及び単位時間毎の供給及び需要要求量に関する情報(確定値)を、送信する。さらに、管理端末400は、上記マッチング結果として算出した、特定の需要者に対する一又は複数の供給者が供給する電力量の総量(及び/または単位時間毎の供給及び需要電力量)に関する情報を、スマートコントラクトとしてブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。スマートコントラクトを用いることで、上記電力量に関する情報を基に、需要者と供給者との間の電力取引に関する契約を、第三者を介さずに自動生成し、承認及び実行をすることができる。また、スマートコントラクトにより、需要者及び供給者の当事者、及び第三者が、管理端末を介することなく、トランザクション情報を参照することが可能となり、サービス利便性が高まり、運用コストも軽減される。
ここで、パブリックブロックチェーンは、上述の通り、取引の承認を特定の管理者ではなく、不特定多数のノードやマイナーが行うため、プライベートブロックチェーンと比較して、データのより高い非改ざん性を担保することができ、よって、取引の安全性が担保されることから、本実施形態において電力取引を記録する先としてパブリックブロックチェーンであることが好ましい。パブリックブロックチェーンとして、Bitcon(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)等が挙げられるが、例えば、Ethereumは、パブリックブロックチェーンの中でも、非改ざん性、信頼性がより高い。
そこで、Ethereumを活用し、トランザクションコストを抑えるために、ブロックチェーン・ネットワークへのトランザクション情報の記録の頻度を抑えることが考えられる。そのために、上述の通り、本電力取引システム1は、トランザクション情報を、単位時間毎に記録する方法に替えて、単位時間(例えば、30分単位)毎に収集した電力量情報を、複数の単位時間で構成される所定期間(例えば、1ヶ月)毎に一つの取引情報として纏め、30分毎の電力取引情報を都度ブロックチェーン・ネットワークに記録することなく、月次で記録することで、少なくとも、1ヶ月を30日と仮定し、需要者が単一の供給者から電力供給を受けると仮定したときに、月に1440回必要とされていた記録を1回の記録に低減することができるため、1439回相当のトランザクションコストを軽減することができる。さらに、需要者が複数の供給者から電力供給を受け、30分毎に一供給者から供給を受けた電力の取引記録を都度記録し、さらに複数供給者分記録する場合と比較すると、さらにトランザクションコストの軽減となる。このため、Ethereumのようなパブリックブロックチェーンを利用することの実効性を担保しながら、データの非改ざん性及び信頼性を担保することが可能となる。
図3は、電力取引システムを構成する管理端末の機能ブロック図である。
通信部110は、ネットワークNWを介して外部の端末と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、需要者に関連する各種データを格納する、需要者データ格納部121、供給者に関連する各種データを格納する、供給者データ格納部122、単位時間毎の、供給者が需要者に供給した電力量(需要者の需要電力量)に関連するデータを格納する電力データ格納部123、上記電力量に関連するデータとともに、所定期間に供給者から需要者に対して供給された電力量の総量に関連するデータを含むトランザクション情報を格納する、トランザクションデータ格納部124、及び需要者に対して電力取引の詳細を所定期間毎に確定値としてレポートする、レポートデータを格納するレポートデータ格納部125を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120または管理端末400外に構築されていてもよい。
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、管理端末400の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、供給者端末100、需要者端末200、及び送電者端末300等外部の端末からの情報を受け付ける情報受付部131、供給者及び需要者により各々供給/需要する電力量を管理する電力量管理部132、所定期間に供給者から需要者に対して供給された電力量の総量を算出するマッチング処理部133、単位時間毎の電力量を所定期間分で纏めてハッシュ値を生成し、ブロックチェーン・ネットワークに電力取引をトランザクション情報として記録する処理を行う、トランザクション処理部135、及び、所定期間毎に、需要者に対して、供給者別に供給された電力量及び割合比率を単位時間毎の内訳も含めてレポートする、レポートデータを生成し、送信する、レポート生成部136を有する。
また、図示しないが、制御部130は、画像生成部を有し、需要者端末200等外部の端末のユーザインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザインターフェースに表示される情報を生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
また、管理端末400は、さらに、ブロックチェーン・ネットワークに対しトランザクション情報を記録するために必要なウォレットを有する。なお、本ウォレットは管理端末400外部に有することもできる。
図4は、電力取引システムを構成する需要者端末の機能ブロック図である。
需要者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
通信部210は、ネットワークNWを介して管理端末400と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
表示操作部220は、需要者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、需要者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、需要者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である需要者端末200により実行される。
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、管理端末400との通信内容を一時的に記憶している。
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、需要者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
なお、図示しないが、供給者端末100及び送電者端末300についても、需要者端末200と同様の構成とすることができる。
図5は、本発明の第1の実施形態による需要者データの詳細を説明する図である。
図5に示す需要者データ1000は、需要者端末200を介して需要者から取得した、需要者に関連する各種データを格納する。図5において、説明の便宜上、一需要者(需要者ID「10001」で識別される需要者)の例を示すが、複数の需要者の情報を格納することができる。需要者に関連する各種データとして、例えば、需要者の基本情報(需要者の氏名(法人名)、ユーザ名、住所、連絡先、メールアドレス、属性(低圧家庭、低圧法人、高圧法人)等)、供給者による電力供給に対する支払手段に関する支払い情報(クレジットカード番号、銀行口座等)、需要情報(需要者が希望する供給者(電源)の地域、全電力量に占める供給者による供給電力の割合比率、供給者の電源の種別(風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス、火力、原子力等)、指定する供給者等)、及び契約情報(供給者、需要量、割合比率、電源種別等)を含むことができる。
図6は、本発明の第1の実施形態による供給者データの詳細を説明する図である。
図6に示す供給者データ2000は、供給者より取得した、供給者に関連する各種データを格納する。図6において、説明の便宜上、一供給者(供給者ID「20001」で識別される供給者)の例を示すが、複数の供給者に関連する情報を格納することができる。供給者に関連する各種データとして、例えば、供給者に関連する基本情報(法人名、地域、電源種別等)及び契約情報(需要者、供給量、割合比率等)を含むことができる。 ここで、本供給者データ2000には、供給者が需要者に対して希望する情報(例えば、希望する需要者の種別等)を含まないが、供給者が需要者に対してその地域、属性及び電力量に関連して希望がある場合に、供給者から希望情報を収集し、希望情報(及び/または需要情報)を基に供給者と需要者とのマッチングを図ることができる。
図7は、本発明の第1の実施形態による電力量情報の詳細を説明する図である。
図7に示される電力量情報は、単位時間毎に、供給者の発電装置に備えられたスマートメータ及び需要者の電力消費装置に備えられたスマートメータの各々において計測された電力量の情報であり、単位時間毎に速報値として送電者端末において収集され、所定期間が経過したのち電力取引の確定値として集計されるものである。
図7に示すように、電力量情報は、例えば、「2019年4月10日」という日付について、「7時から7時30分」等30分毎の時刻に、供給者から需要者に供給された(需要者により消費された)電力量を格納する。図7に示す電力情報によれば、同一時刻に、異なる供給者から需要者に対して電力が供給されていることが理解できる。例えば、「2019年4月10日」の「7時から7時30分」の間に、供給者「20001」から需要者「10001」に「1.5kWh」、また、供給者「20005」から需要者「10001」に「2kwh」の電力が供給されていることが理解できる。このように、電力量情報により、単位時間毎に、どの供給者からどの需要者に何kWhの電力が供給されたかをトラッキングすることができる。単位時間毎の電力量に関する情報に基づいて、所定期間(例えば、1ヶ月)で、どの供給者からどの需要者に何kWhの電力が供給されたか、電力量の総量を算出する、マッチング処理を行うことができる。
図8は、本発明の第1の実施形態によるトランザクション情報の詳細を説明する図である。
図8に示すように、例えば、再生エネルギー電源として、千葉に所在する「A太陽光」という供給者が、発電量200kWhを発電し、千葉に所在する需要者「Y自治体」、及び、神奈川に所在する需要者「Z製造業」に電力を供給する。ここで、当月の需要者毎に電力を供給者の情報及びその供給電力量の総量を集計することで、当月の電力取引を示すトランザクション情報を生成することができる。例えば、需要者「X幼稚園」は、福島の「B風力」から150kWh、神奈川の「C小水力」から100kWhの電力供給を受けた旨トランザクション情報を生成することができる。
図9は、本発明の第1の実施形態による電力取引処理に係るフローチャート図である。
まず、S101の処理として、管理端末400の制御部130の情報取得部131は、送電者端末300から、ネットワークNWを介して、各供給者及び各需要者の供給/需要電力に関する情報を取得する。ここで、本実施形態においては、情報取得部131は、送電者端末300において、各供給者及び各需要者に設置されたスマートメータから、単位時間(例えば、30分)毎に収集した電力量の情報を、所定期間(1ヶ月)毎に、当月の確定値として集計した情報を取得するものとするが、他の例において、単位時間毎に電力量情報を取得し、管理端末側で当月分の確定値として情報を纏めることも可能である。情報取得部131が取得した電力量情報は、制御部130の電力量管理部132において管理され、記憶部120の電力データ123に格納される。
続いて、制御部130のマッチング処理部133は、前ステップにおいて取得した、単位時間毎の電力量情報を基に、その当月に、需要者別に当該需要者に電力を供給した供給者の情報を特定し、その供給電力量の総量を算出するために、マッチング処理を実行する。マッチング処理部130は、マッチング処理の結果算出された、月次で総計された、需要者毎の一または複数の供給者による供給電力量に関する情報を、記憶部120のトランザクションデータ格納部124に格納することができる。
例えば、図7に示すような、マッチング処理部133は、供給者及び需要者の各々のスマートメータから30分毎に取得される電力量情報に基づいて生成される、供給者から需要者に対して供給される電力量に関する情報に基づき、図8に示すように、当月当たりの、需要者(例えば、千葉の「Y自治体」に電力を供給する供給者情報(例えば、千葉の「A太陽光」、福島の「B風力」及び神奈川の「C小水力」という事業者)を決定し、各々の供給者によって供給される電力量の総量に関する情報(例えば、需要者の総使用量「350kWh」に対し、「A太陽光」から「100kWh」、「B風力」から「200kWh」、「C小水力」から「50kWh」等)を算出する。
次に、ステップS103において、制御部130のトランザクション処理部135は、ステップS101で取得した電力量情報を基に、ハッシュ値を生成する。すなわち、トランザクション処理部135は、単位時間(例えば、30分)毎の供給者から需要者から供給された電力量について、所定期間(1日48コマx30日)分のデータ配列を纏めて、ハッシュ関数を用いて1行のハッシュ値を生成する。トランザクション処理部135は、生成されたハッシュ値を記憶部120のトランザクションデータ格納部124に格納することができる。
続いて、ステップS104において、トランザクション処理部135は、パブリックブロックチェーンに、上記マッチング処理結果としての月次で総計された、需要者毎の一または複数の供給者による供給電力量に関する情報及び/または上記ハッシュ値を、トランザクション情報として記録する。上述の通り、トランザクション情報の記録は、供給者及び需要者の電力量が集計される単位時間毎でなく、所定期間毎(例えば、月次)で実行される。ブロックチェーン・ネットワーク上で、トランザクション情報、直前のブロックに記録されたハッシュ値及びノードにより採掘されたナンス値を基に、本ブロックが生成され、直前のブロックに続いて記録され、ブロックチェーンが形成される。
パブリックブロックチェーンにトランザクション情報を記録することで、プライベートブロックチェーンと比較して、非改ざん性及び取引の信頼性を担保することができ、また、トランザクションの記録を最小限に抑えることで、パブリックブロックチェーン上のトランザクションコストを抑え、パブリックブロックチェーン、特に、信頼性の高いEthereumを活用した電力取引の実効性を担保することができる。同時に、トランザクション情報を参照することで、単位時間毎の供給者と需要者の電力取引に関するトラッキングすることもでき、トレーサビリティを担保することができる。
また、制御部130のレポート生成部136は、上記マッチング処理の結果生成された、月次で総計された、需要者毎の一または複数の供給者による供給電力量に関する情報及び単位時間毎の供給電力量に関する情報を基に、需要者に対し、時系列で供給者別の電力量の内訳を示す、可視化されたレポートを生成することができる。そして、データの信頼性を示す証書をブロックチェーンより取得することが可能となる。また電力量に加えて、環境KPIとして、CO2の削減量を、例えば、杉の木の本数等で表現したり、コメントまたは画像を用いて表示させることもできる。
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
10 供給者
11、21 スマートメータ
20 需要者
100 供給者端末
200 需要者端末
300 送電者端末
400 管理端末
11、21 スマートメータ
20 需要者
100 供給者端末
200 需要者端末
300 送電者端末
400 管理端末
Claims (7)
- 再生可能エネルギーを含む電力を供給する、一または複数の供給者の供給者端末と、電力を消費する、一または複数の需要者の需要者端末と、電源を供給者から需要者に送電する送電者の送電者端末と、前記供給者端末、前記需要者端末及び前記送電者端末にネットワークを介して接続し、パブリックブロックチェーンネットワークに接続する管理端末を有する電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第1の供給者に関する情報、前記第1の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第1の供給者が前記第1の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第1の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位時間分取得した電力量情報をトランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、
電力取引システム。 - 請求項1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンネットワークは、イーサリアムである電力取引生成システム。 - 請求項1に記載の電力取引システムであって、
前記複数の単位時間は、所定期間に相当する、電力取引システム。 - 請求項3に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記複数単位分取得した第1の電力量を基に、前記第1の供給者から前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。 - 請求項1に記載の電力取引システムであって、
前記管理端末は、前記送電者端末から、第2の供給者に関する情報、前記第2の供給者が電力を供給する第1の需要者に関する情報、及び所定の単位時間当たりの、前記第2の供給者が前記第2の需要者に供給する電力量に関する情報を含む、第2の電力量情報を、複数単位時間分取得し、
前記複数単位分取得した、第1の電力量及び第2の電力量を基に、前記第1の供給者及び第2の供給者から各々前記第1の需要者に供給された電力量の総量を算出する、マッチング処理を行う、電力取引システム。 - 請求項1に記載の電力取引システムであって、
前記パブリックブロックチェーンに記録されたトランザクション情報を基に、前記第1の需要者が、前記第1の供給者から供給された、単位時間当たりの電力量に関する情報を生成する、電力取引システム。 - 前記請求項1に記載の電力取引システムであって、
前記複数単位時間分取得した電力量情報を基に、ハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を前記トランザクション情報として前記パブリックブロックチェーンネットワークに記録する、電力取引システム。
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