JP2022046381A - タービンホイール、タービン及びターボチャージャ - Google Patents
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Abstract
Description
回転軸に連結されて軸線の周りに回転されるタービンホイールであって、
前記軸線に沿った断面において、前記軸線に対して傾斜するハブ面を有するハブと、
前記ハブ面に設けられた複数の翼と、
を備え、
前記タービンホイールは、隣り合う2つの前記翼の間に形成される流路を複数含み、
前記複数の流路の内の少なくとも1つの流路であるスロート拡大流路のスロート部の面積をAen、
前記複数の流路についてのスロート部の平均面積をAave、とした場合に、
Aen/Aave>1.01の関係を満たす。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、幾つかの実施形態に係るターボチャージャ1の一例を示す断面図である。
幾つかの実施形態に係るターボチャージャ1は、例えば自動車などの車両に搭載されるエンジンの吸気を過給するための排気ターボ過給機である。
ターボチャージャ1は、ロータシャフト2を回転軸として連結されたタービンホイール3及びコンプレッサホイール4と、タービンホイール3を回転自在に収容するケーシング(タービンハウジング)5と、コンプレッサホイール4を回転自在に収容するケーシング(コンプレッサハウジング)6とを有する。また、タービンハウジング5は、内部にスクロール流路7aを有するスクロール部7を含む。コンプレッサハウジング6は、内部にスクロール流路8aを有するスクロール部8を含む。
幾つかの実施形態に係るタービン30は、タービンホイール3と、ケーシング5とを備える。幾つかの実施形態に係るコンプレッサ40は、コンプレッサホイール4と、ケーシング6とを備える。
図2は、幾つかの実施形態に係るタービンホイール3の外観の斜視図である。
幾つかの実施形態に係るタービンホイール3は、ロータシャフト(回転軸)2に連結されて回転軸線AXwの周りに回転される羽根車である。幾つかの実施形態に係るタービンホイール3は、回転軸線AXwに沿った断面において、回転軸線AXwに対して傾斜するハブ面32を有するハブ31と、ハブ面32に設けられた複数の翼(動翼)33とを有する。なお、図1、2に示したタービンホイール3はラジアルタービンであるが、斜流タービンであってもよい。図2において、矢印Rはタービンホイール3の回転方向を示す。翼33は、タービンホイール3の周方向に間隔をあけて複数設けられる。
図3は、幾つかの実施形態に係るタービン30のスクロール部7について説明するための図であり、回転軸線AXwに直交する断面における模式的な断面図である。
図4Aは、タービンホイール3の前縁36における排ガスの流入角度βが理想的な流入角度に近いときの速度三角形について説明するための図である。
図4Bは、タービンホイール3の前縁36における排ガスの流入角度βが理想的な流入角度から離れてしまったときの速度三角形について説明するための図である。
図4Bに示す速度三角形は、タービンホイール3の回転速度ベクトルUと、排ガスの絶対速度ベクトルC’と、タービンホイール3から見たときの排ガスの相対速度ベクトルWとによって形成される。
図4Bに示す速度三角形において、タービンホイール3の前縁36における排ガスの流入角度β’は、前縁36における翼33のキャンバーラインCLの延在方向と相対速度ベクトルWとの角度差である。
なお、図4A及び図4Bにおいて、翼33の図示下方の面が圧力面PSであり、図示上方の面が負圧面SSである。
また、図4A及び図4Bにおいて、1点鎖線の円弧は、タービンホイール3の回転によって移動する前縁36の軌跡Locである。
一般的にタービン30では、タービンホイール3の前縁36における排ガスの流入角度βが理想的な流入角度に近いほどタービン30の空力性能が向上する。しかし、排ガスの流動時に舌部71の表面に境界層が発達して、ウェイク(低速領域)が発生すると、排ガスの絶対速度が低下して排ガスの絶対速度ベクトルCの大きさが小さくなる。そのため、タービンホイール3の前縁36における排ガスの流入角度βが理想的な流入角度から離れ、タービン30の効率低下を招くおそれがある。
図5及び図6に示すように、タービンホイール3の周方向に沿って隣り合う2つの翼33の間には、排ガスの流路12が形成されている。幾つかの実施形態に係るタービンホイール3は、隣り合う2つの翼33の間に形成される流路12を複数含んでいる。複数の流路12のそれぞれは、排ガスの流れる方向に沿って見たときの流路12の断面の面積(流路面積)が最小となる部位であるスロート部35を有する。
図5及び図6では、破線の楕円によってスロート部35が存在するおおよその位置を示している。
なお、上記平均面積Aaveは、スロート拡大流路12Aを含むすべての流路12のスロート部35、35Aにおける流路面積の平均値である。
上記の構成では、スロート拡大流路12Aにおけるスロート部35Aの面積Aenは、複数の流路12についてのスロート部35の平均面積Aaveの1.01倍を超えている。
一般的にスロート部35の面積Aの製造上の誤差は、スロート部35の平均面積Aaveの1%未満である。そのため、スロート拡大流路12Aにおけるスロート部35Aの面積Aenは、複数の流路12についてのスロート部35の平均面積Aaveよりも意図的に大きくなるようにすることで、上記平均面積Aaveの1.01倍を超えることとなる。
幾つかの実施形態に係るタービンホイール3では、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の翼ピッチをPen、複数の翼33についての翼ピッチPの平均値をPave、とした場合に、Pen>Paveの関係を満たすようにしてもよい。
なお、上記平均値Paveは、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の翼ピッチPenを含むすべての翼ピッチPの平均値である。
これにより、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の翼ピッチPenを上記翼ピッチPの平均値Paveよりも大きくすることで、比較的容易にスロート拡大流路12Aにおけるスロート部35Aの面積Aenを上記平均面積Aaveよりも大きくすることができる。
図7は、他の実施形態に係るタービンホイール3の模式的な展開図である。
図7に示すタービンホイール3では、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の少なくとも何れか一方におけるスロート部35Aを形成する領域における翼厚をTen、複数の翼33についてのスロート部35を形成する領域における翼厚Tの平均値をTave、とした場合に、Ten<Taveの関係を満たすようにしてもよい。
なお、上記平均値をTaveは、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33を含むすべての翼33についての、スロート部35、35Aを形成する領域における翼厚Tの平均値である。
すなわち、図7に示すタービンホイール3では、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の少なくとも何れか一方の翼33Aにおいて、スロート部35Aを形成する領域における翼厚Tenを他の翼33の翼厚Tよりも小さくすることで、スロート部35Aの面積Aenを上記平均面積Aaveよりも大きくしている。
なお、図7に示すタービンホイール3のように、スロート拡大流路12Aを形成する隣り合う2つの翼33の一方の翼33Aの翼厚を前縁36から後縁37まで全体的に小さくしてもよく、スロート部35Aを形成する領域だけ翼厚を小さくしてもよい。
図8は、さらに他の実施形態に係るタービンホイール3の模式的な断面図である。
図8に示すタービンホイール3では、タービンホイール3の子午面において、スロート拡大流路12Aのスロート部35Aにおけるハブ面32と、翼33のチップ端34とのスパン距離をHenとする。タービンホイール3の子午面において、複数の流路12についてのスロート部35におけるハブ面32と、翼33のチップ端34とのスパン距離Hの平均値をHave、とする。そして、Hen>Haveの関係を満たすようにしてもよい。
なお、上記平均値Haveは、スロート拡大流路12Aのスロート部35Aを含むすべてのスロート部35、35Aにおける、ハブ面32と翼33のチップ端34とのスパン距離Hの平均値である。
このように、スロート拡大流路12Aのスロート部35Aにおけるハブ面32とチップ端34とのスパン距離Henを上記スパン距離Hの平均値Haveよりも大きくすることで、比較的容易にスロート拡大流路12Aにおけるスロート部35Aの面積Aenを上記平均面積Aaveよりも大きくすることができる。
上述した幾つかの実施形態に係るタービンホイール3において、少なくとも1つのスロート拡大流路12Aは、複数のスロート拡大流路12Aを含んでいてもよい。
スロート拡大流路12Aの設置数の適した値は、例えばターボチャージャ1の仕様や、組み合わせるエンジンの仕様によって異なる。
上述した幾つかの実施形態に係るタービンホイール3において、複数のスロート拡大流路12Aを含んでいれば、スロート拡大流路12Aを1つではなく複数設けた方がタービン30の効率の低下をより抑制できる場合に有効である。
複数のスロート拡大流路12Aを周方向に沿って連続的に配置した方がよいか、離散的に配置した方がよいかは、例えばターボチャージャ1の仕様や、組み合わせるエンジンの仕様によって異なる。
上述した幾つかの実施形態に係るタービンホイール3において、複数のスロート拡大流路12Aを離散的に配置すれば、複数のスロート拡大流路12Aを離散的に配置した方がよい場合に有効である。
上述したように、複数のスロート拡大流路12Aを周方向に沿って連続的に配置した方がよいか、離散的に配置した方がよいかは、例えばターボチャージャ1の仕様や、組み合わせるエンジンの仕様によって異なる。
上述した幾つかの実施形態に係るタービンホイール3において、複数のスロート拡大流路12Aは、連続的に配置すれば、複数のスロート拡大流路12Aを連続的に配置した方がよい場合に有効である。
また、上述した幾つかの実施形態に係るターボチャージャ1では、上述した幾つかの実施形態に係るタービン30を備えるので、ターボチャージャ1の性能を向上できる。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るタービンホイール3は、回転軸(ロータシャフト2)に連結されて軸線(回転軸線AXw)の周りに回転されるタービンホイール3であって、軸線(回転軸線AXw)に沿った断面において、軸線(回転軸線AXw)に対して傾斜するハブ面32を有するハブ31と、ハブ面32に設けられた複数の翼33と、を備える。タービンホイール3は、隣り合う2つの翼33の間に形成される流路12を複数含み、複数の流路12の内の少なくとも1つの流路12であるスロート拡大流路12Aのスロート部35Aの面積をAen、複数の流路12についてのスロート部35の平均面積をAave、とした場合に、Aen/Aave>1.01の関係を満たす。
上記(5)の構成よれば、スロート拡大流路12Aを1つではなく複数設けた方がタービン30の効率の低下をより抑制できる場合に有効である。
上記(6)の構成よれば、複数のスロート拡大流路12Aを離散的に配置した方がよい場合に有効である。
上記(7)の構成よれば、複数のスロート拡大流路12Aを連続的に配置した方がよい場合に効果的である。
2 回転軸(ロータシャフト)
3 タービンホイール
5 ケーシング(タービンハウジング)
12 流路
12A スロート拡大流路
30 タービン
31 ハブ
32 ハブ面
33、33A 翼(動翼)
34 チップ端
35、35A スロート部
36 前縁
37 後縁
Claims (9)
- 回転軸に連結されて軸線の周りに回転されるタービンホイールであって、
前記軸線に沿った断面において、前記軸線に対して傾斜するハブ面を有するハブと、
前記ハブ面に設けられた複数の翼と、
を備え、
前記タービンホイールは、隣り合う2つの前記翼の間に形成される流路を複数含み、
前記複数の流路の内の少なくとも1つの流路であるスロート拡大流路のスロート部の面積をAen、
前記複数の流路についてのスロート部の平均面積をAave、とした場合に、
Aen/Aave>1.01の関係を満たす、
タービンホイール。 - 前記スロート拡大流路を形成する前記隣り合う2つの前記翼の翼ピッチをPen、
前記複数の翼についての翼ピッチの平均値をPave、とした場合に、
Pen>Paveの関係を満たす、
請求項1に記載のタービンホイール。 - 前記スロート拡大流路を形成する前記隣り合う2つの前記翼の少なくとも何れか一方における前記スロート部を形成する領域における翼厚をTen、
前記複数の翼についての前記スロート部を形成する領域における翼厚の平均値をTave、とした場合に、
Ten<Taveの関係を満たす、
請求項1又は2に記載のタービンホイール。 - 前記タービンホイールの子午面において、
前記スロート拡大流路の前記スロート部における前記ハブ面と、前記翼のチップ端とのスパン距離をHen、
前記複数の流路についての前記スロート部における前記ハブ面と、前記翼のチップ端とのスパン距離の平均値をHave、とした場合に、
Hen>Haveの関係を満たす、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のタービンホイール。 - 前記少なくとも1つのスロート拡大流路は、複数のスロート拡大流路を含む、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のタービンホイール。 - 前記複数のスロート拡大流路は、離散的に配置されている、
請求項5に記載のタービンホイール。 - 前記複数のスロート拡大流路は、連続的に配置されている、
請求項5に記載のタービンホイール。 - 請求項1乃至7の何れか一項に記載のタービンホイール、
を備えるタービン。 - 請求項8に記載のタービン、
を備えるターボチャージャ。
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