JP2022042886A - アビラテロン酢酸エステル含有製剤 - Google Patents

アビラテロン酢酸エステル含有製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】服用性を向上させるために、よりアビラテロン酢酸エステルの含有率の高めた小型の錠剤であって、長期保存後であっても良好な溶出特性を示す錠剤を提供する。【解決手段】有効成分としてのアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%と、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを含む造粒物を含む錠剤、ならびに有効成分としてのアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%と、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および部分α化デンプンからなる群より選択される少なくとも1種である崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを含む造粒物。【選択図】なし

Description

本発明は、アビラテロン酢酸エステルを含む錠剤に関する。より詳細には、アビラテロン酢酸エステルの含有率を向上させたアビラテロン酢酸エステル含有小型錠剤に関する。
アビラテロン酢酸エステルは、つぎの式:
Figure 2022042886000001
で表され、生体内で速やかにアビラテロンへ加水分解され、アンドロゲン合成酵素である17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)の活性を阻害する。去勢抵抗性前立腺癌など、精巣、副腎および前立腺腫瘍組織において、テストステロンやジヒドロテストステロン含量を低下させ、腫瘍の増殖を抑制する。アビラテロン酢酸エステルを有効成分とする錠剤が、去勢抵抗性前立腺癌治療剤として「ザイティガ(登録商標)錠250mg」などの名称で販売されている(非特許文献1)。
アビラテロン酢酸エステルを有効成分として去勢抵抗性前立腺癌治療剤に用いる場合、通常、成人にはプレドニゾロンとの併用において、アビラテロン酢酸エステルとして1日1回1,000mgを空腹時に経口投与することとされており、現在は、上述のとおり、1錠中にアビラテロン酢酸エステルを250mg含有する錠剤が用いられ、1日4錠服用されている。この錠剤はアビラテロン酢酸エステルの含有量が、約35質量%と低く、長径16mm、短径9.6mm、厚さ6.3mm、総質量736mgの大きな錠剤である。
アビラテロン酢酸エステルについては、経口アベイラビリティーの低い難溶性の薬剤であることから、薬剤の溶解速度を高めるために、所定の粉砕化合物や促進剤と共にアビラテロン酢酸エステルを粉砕して得られるアビラテロン酢酸エステルのナノ微粒子を用いることが開示されている(特許文献1)。また、特許文献1においても具体的に記載されている錠剤中のアビラテロン酢酸エステルの含有量は、約15質量%と市販の錠剤よりもさらに低く、有効成分の含有率や錠剤のサイズについての議論は一切なされていない。
特開2018-135351号公報
「ザイティガ(登録商標)錠250mg」添付文書
しかし、非特許文献1記載の錠剤では、上述した通りサイズが大きく服用性に問題があり、また、1日4錠も服用しなければならないため、患者のコンプライアンスが得られ難いという問題がある。
また、本発明者らの研究により、結合剤を有効成分であるアビラテロン酢酸エステルと共に含む造粒物を用いることにより、良好な溶出特性を有するアビラテロン酢酸エステルの含有率の高い小型の錠剤を提供できること見出し先に出願した(特願2019-199132)が、これらの製剤は、長期貯蔵により経時的に溶出率が低下する傾向があるという問題が見出された。
そこで、本発明は、服用性を向上させるために、よりアビラテロン酢酸エステルの含有率の高めた小型の錠剤であって、長期保存後であっても良好な溶出特性を示す錠剤を提供することを課題とする。
本発明者らが、上記課題を検討した結果、結合剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを、有効成分であるアビラテロン酢酸エステルと共に含む造粒物を用いることにより、長期保存後であっても良好な溶出特性を有するアビラテロン酢酸エステルの含有率の高い小型の錠剤を提供できること見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]有効成分としてのアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%と、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを含む造粒物を含む錠剤、
[2]錠剤全体の質量が420mg以下である上記[1]記載の錠剤、
[3]アビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して65~95質量%含む上記[1]または[2]記載の錠剤、
[4]崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および部分α化デンプンからなる群より選択される少なくとも1種である上記[1]~[3]のいずれかに記載の錠剤、ならびに
[5]さらに別の結合剤を含む上記[1]~[4]のいずれかに記載の錠剤
に関する。
本発明によれば、結合剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを、有効成分であるアビラテロン酢酸エステルと、崩壊剤と共に含む造粒物を用いることにより、長期保存後であっても良好な溶出特性を有し、有効成分であるアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%含有させたアビラテロン酢酸エステルの含有率の高い小型の錠剤を提供することができ、患者の服用性を向上させることができる。
実施例1のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 比較例1のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 実施例2のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 比較例2のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 実施例3のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 実施例4のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。 実施例5のアビラテロン酢酸エステルの溶出率(%)を示すグラフである。
本発明の錠剤は、有効成分としてのアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%と、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを含む造粒物を含むものである。結合剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いることにより、非常に良好な造粒物を得ることができる。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、疎水性であるが酸性で溶解する。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEが錠剤中に分散して存在することで、例えば60℃および湿度75%といった温湿度条件下で崩壊剤等の崩壊力が低下しても、日本薬局方溶出試験第一液(pH1.2)においては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE自体が溶解するため、水が錠剤中に引き込まれ、錠剤の崩壊・溶出特性が維持されるものと考えられる。
錠剤中のアビラテロン酢酸エステルの含有量は、錠剤全体の質量に対して55質量%以上であり、65質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。アビラテロン酢酸エステルの含有量が、錠剤全体の質量に対して55質量%未満であると、十分に錠剤を小型化することができず、服用性を向上し難い傾向がある。また、錠剤中のアビラテロン酢酸エステルの含有量は、錠剤全体の質量に対して95質量%以下であり、90質量%以下が好ましい。アビラテロン酢酸エステルの含有量が、錠剤全体の質量に対して95質量%より多いと、結合剤の含有量が相対的に低下し、溶出性が低下する傾向がある。
本発明の錠剤は、服用性の観点から錠剤全体の質量が420mg以下であることが好ましく、260~420mgであることがより好ましい。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、EUDRAGIT(登録商標)E 100(エボニック社製)、EUDRAGIT(登録商標)E PO(エボニック社製)として知られている。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの錠剤中の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、錠剤中の結合剤の含有量は、通常、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
崩壊剤は、Swellingタイプの崩壊剤とWickingタイプの崩壊剤とに大別される。Swellingタイプの崩壊剤は、崩壊剤自体は水に不溶であるが崩壊剤の内部に崩壊剤が有する空隙よりも大量の水を取り込んで膨潤し、その膨潤力で錠剤の構造を破壊し、さらに水が次々に粒子間に浸透するため、錠剤は噴火するように微粉化しながら分散崩壊すると考えられる。Wickingタイプの崩壊剤は、接触角が小さいため水の浸潤速度が速く、水が崩壊剤の表面を伝わって錠剤内部に浸透し、粒子間の結合力を低下させることで、錠剤はひび割れ状に崩壊すると考えられる。本発明の錠剤では、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いていることからも、Swellingタイプの崩壊剤とWickingタイプの崩壊剤のいずれも使用することができ、特に限定されるものではない。
Swellingタイプの崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。なかでも、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選択されることが好ましい。Wickingタイプの崩壊剤としては、部分α化デンプン、カルメロース、トウモロコシデンプン、結晶セルロースなどが挙げられる。これら崩壊剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
崩壊剤の錠剤中の含有量は、特に限定されるものではないが、崩壊剤の錠剤の全質量に対し、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。崩壊剤の錠剤の全質量に対し、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
本発明の錠剤には、有効成分であるアビラテロン酢酸エステルと、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEと以外に、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE以外の結合剤、可溶化剤、賦形剤、甘味剤、香料、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、着色剤、界面活性剤など、この分野で通常使用される添加剤を含むことができる。また、本発明の錠剤は、フィルムコーティング錠であってもよい。本発明の錠剤をフィルムコーティング錠とする場合、本発明の錠剤には、上記添加剤に加えてさらにフィルムコーティング層を形成するフィルムコーティング基剤などを含むことができる。
上記造粒物に含有させることのできる、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE以外の結合剤としては、特に限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、キサンタンガム、アラビアゴム末、部分けん化ポリビニルアルコールおよびプルランなどが挙げられる。なかでも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコールおよびヒプロメロースからなる群より選択される少なくとも1種のものであることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドンおよびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種であることがより好ましく、特にヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE以外の結合剤を併用する場合、その錠剤中の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、錠剤中のアミノアルキルメタクリレートコポリマーE以外の結合剤の含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
可溶化剤としては、特に限定されるものではないが、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル類(例えばポリソルベート80等)、ポリエチレングリコール類などのノニオン系界面活性剤、その他各種界面活性剤などが挙げられる。なかでも一般的に可溶化能が比較的高い点、また有効成分が塩基性薬物である点からラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムがより好ましい。可溶化剤は、単独で使用してもよく、2種以上混合して用いてもよい。
可溶化剤を使用する場合の錠剤中の含有量は、錠剤におけるアビラテロン酢酸エステルや結合剤の含有量に応じて異なり、特に限定されるものではないが、通常、錠剤の全質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
賦形剤としては、特に限定されるものではないが、例えばセルロース類(結晶セルロース、エチルセルロースなど)およびその誘導体、糖(ブドウ糖、乳糖、白糖、精製白糖、粉糖、トレハロース、デキストラン、デキストリンやそれらの水和物など)、糖アルコール(D-マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなど)、グリセリン脂肪酸エステル、無機粉体(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト)、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩が挙げられる。なかでも結晶セルロースなどのセルロース類、乳糖や乳糖水和物などの糖が好ましい。賦形剤は、単独で使用してもよく、2種以上混合して用いてもよい。
賦形剤を使用する場合の錠剤中の含有量は、錠剤におけるアビラテロン酢酸エステルや崩壊剤の含有量に応じて異なり、特に限定されるものではないが、錠剤の全質量に対し、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましい。
滑沢剤としては、特に限定されるものではないが、例えばステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、タルクなどが挙げられる。なかでも滑沢性が高い点からステアリン酸マグネシウムが好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上混合して用いてもよい。
滑沢剤を使用する場合の錠剤中の含有量は、上述のアビラテロン酢酸エステルや種々の添加剤が錠剤を製造する装置(杵や臼)に付着することが抑制できる程度の量であり、これは用いる滑沢剤の種類に応じて異なるため、特に限定されるものではないが、通常、錠剤の全質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
流動化剤としては、特に限定されるものではないが、例えばケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上混合して用いてもよい。
流動化剤を使用する場合の錠剤中の含有量は、上述の粉体であるアビラテロン酢酸エステルや種々の添加剤が、錠剤の製造においてスムーズに流動できる程度の添加量であればよく、これは用いる流動化剤の種類に応じて異なるため、特に限定されるものではないが、通常、錠剤の全質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
本発明の錠剤はフィルムコーティング基剤を使用し、錠剤の表面に被膜を施したフィルムコーティング錠とすることができ、それにより、苦みや悪臭のマスキング、水分、光または酸素などの外的条件からの主薬の安定性向上、外観の改善と商品価値の増加などの効果を期待することができる。
フィルムコーティング基剤としては、特に限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどの高分子を用いることができる。フィルムコーティング基剤には、必要に応じてポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、酸化チタン、三二酸化鉄、アルミニウムレーキなどの着色剤、カルナウバロウなどの光沢化剤などを適宜添加することができる。
本発明の錠剤をフィルムコーティング錠とする場合のフィルムコーティング層の質量は、錠剤全体を被覆できる程度の量であれば、特に限定されるものではないが、通常、服用後に錠剤中のアビラテロン酢酸エステルを速やかに溶出させる点から、錠剤中のフィルムコーティング層以外の部分の質量を100質量部とした場合、その0.1~5質量部とすることが好ましく、その1~5質量部とすることがより好ましい。
本発明の錠剤は、去勢抵抗性前立腺がんおよび内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺がんなどの治療に有用である。
本発明の錠剤の服用量は、本技術分野の常識の範囲内であれば特に限定されるものではなく、例えば去勢抵抗性前立腺癌治療については、成人1日当たりアビラテロン酢酸エステル換算で500mg~1000mg、特に例えば1000mgであり、1日当たりの服用量を1~4回に分けて服用することができる。
(錠剤の製造方法)
錠剤の製造方法としては、本技術分野において一般的な方法を用いることができ、少なくともアビラテロン酢酸エステルと、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを混合造粒する工程を含むものであれば、特に限定されるものではない。例えば、アビラテロン酢酸エステルと、崩壊剤およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む特定の添加剤を混合造粒し、得られた造粒物にその他の添加剤を混合し、打錠することによって製造することができる。この際、可溶化剤を造粒物に含めることがより好ましい。造粒方法は、特に限定されるものではなく、乾式造粒および湿式造粒など、製剤分野において通常使用される造粒法を用いることができる。打錠方法は、特に限定されるものではなく、例えば、打錠用臼、打錠用上杵および下杵を用いて、油圧式ハンドプレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機などにより行う方法などを用いることができる。打錠は、得られる錠剤が適度な硬度を有するような打錠圧で行えばよく、打錠圧は、打錠方法、打錠に用いる機器、錠剤の大きさなどに応じて適宜調整される。
得られる錠剤の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円盤状、ドーナツ状、多角形板状、球状、楕円状、カプレット状などの形状とすることができる。大きさは、小型である方が好ましく、例えば楕円状の場合は、長径が8~15mm程度、短径が5~12mm程度、厚みが3~8mm程度であることが好ましい。また、円形の場合は、直径が5~15mm程度、厚みが2.5~6mm程度であることが好ましい。
(フィルムコーティング方法)
フィルムコーティング方法としては、本技術分野において使用されている通常のフィルムコーティング錠剤の製造方法を用いることができる。例えば、アビラテロン酢酸エステルを含む錠剤をフィルムコーティング機に仕込み、上記フィルムコーティング剤や添加物を水やエタノールなどの有機溶媒、またはそれらの混合溶液(例えば、水/エタノール混液)などの適切な溶媒に溶解または分散したコーティング液を錠剤に噴霧し、乾燥することによりコーティングすることができる。
以下、本発明を実施例にもとづき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。
実施例において使用した試薬の詳細を以下に記載する。
アビラテロン酢酸エステル
ラウリル硫酸ナトリウム:日局XVII
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE:日局XVII EUDRAGIT(登録商標)E PO エボニック社製
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)SL(数平均分子量:10×104):日局XVII
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)L(数平均分子量:14×104):日局XVII
クロスポビドン:日局XVII
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC):日局XVII
クロスカルメロースナトリウム:日局XVII
部分α化デンプン:日局XVII PCS(登録商標) 旭化成(株)製
ステアリン酸マグネシウム:日局XVII
軽質無水ケイ酸:日局XVII
上記において、日局XVIIとは第十七改正日本薬局方を表す。
実施例1~5、比較例1および2
表1の処方に従い、アビラテロン酢酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、結合剤および崩壊剤を混合機(V型混合機(V-20)、(株)徳寿工作所製)で混合した。得られた混合末に水を添加してさらに混合し、湿塊としたものを、棚式乾燥機(DN43、ヤマト科学(株)製)にて60℃で乾燥した。これを乳棒および乳鉢で整粒することで造粒物を得た。得られた造粒物に、表1の処方に従い、ステアリン酸マグネシウム、および軽質無水ケイ酸を加えて混合機(V型混合機(V-20)、(株)徳寿工作所製)で混合し、得られた混合物を電動式プレス(N3043-00、エヌピーエーシステム(株)製)に投入し、打錠圧12kN、長径13.1mm、短径7.0mm、厚さ5mmで打錠し、表に示す質量の錠剤を得た。
Figure 2022042886000002
試験例1:溶出特性試験
実施例1~5ならびに比較例1および2で製造した直後の錠剤を、それぞれ開放系で温度60℃、湿度75%の環境下にて7日間保存した。保存開始時を0日目として保存開始から3日目または7日目の各錠剤について、日本薬局方溶出試験法にしたがい、溶出試験機(商品名:NTR-6000シリーズ、富山産業(株)製)において、溶出試験液として日本薬局方溶出試験第一液(pH1.2)を用いてパドル法により実施した。試験条件は、溶出溶媒の容積900mL、温度37±0.5℃、パドル速度75rpmとした。結果は、図1~7および表2に平均値で示す。
Figure 2022042886000003
図1および2ならびに表2より、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを結合剤として用いた実施例1の錠剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含有せず、HPCを結合剤に用いた比較例1の錠剤と比較して、苛酷条件にて保存した後も良好な溶出特性を示すことがわかる。また、図3および4ならびに表2より、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEおよびHPCの組み合わせを結合剤として用いた実施例2の錠剤が、結合剤としてHPCのみを用いた比較例2と比較して、苛酷条件下にて保存した後の溶出特性の低下を大幅に改善したことがわかる。さらに、図1、5~7および表2より、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを結合剤として用いた場合、崩壊剤の種類を種々変更しても、苛酷条件にて保存した後も良好な溶出特性を示すことがわかる。なお、実施例1~5の苛酷条件下で保存した後の溶出特性については、市販のザイティガ(登録商標)錠250mgと同等のものであった。

Claims (5)

  1. 有効成分としてのアビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して55~95質量%と、崩壊剤と、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとを含む造粒物を含む錠剤。
  2. 錠剤全体の質量が420mg以下である請求項1記載の錠剤。
  3. アビラテロン酢酸エステルを錠剤全体の質量に対して65~95質量%含む請求項1または2記載の錠剤。
  4. 崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および部分α化デンプンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~3のいずれか1項に記載の錠剤。
  5. さらに別の結合剤を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の錠剤。
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