JP2022038493A - 被測定物の熱抵抗測定方法及びプローブ - Google Patents

被測定物の熱抵抗測定方法及びプローブ Download PDF

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Abstract

【課題】接触物への接触物を考慮せずに熱抵抗を得る場合と比較して、対象物の熱抵抗の精度良く取得することが可能な被測定物の熱抵抗測定方法及びプローブを提供する。【解決手段】変化量取得工程42と熱抵抗取得工程44とを備える。変化量取得工程42は、接触物18を対象物14に接触させた場合に対象物14に生ずる温度の変化を温度変化量として取得する。熱抵抗取得工程44は、変化量取得工程42で取得した温度変化量及び接触物18を介して移動する熱量の関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得する。【選択図】図4

Description

本発明は、被測定物の熱抵抗測定方法及びプローブに関する。
対象物の温度を測定する方法としては、熱電対を用いた方法が挙げられる。熱電対は被測定物にとっては放熱経路となるため、接続により放熱に起因する温度低下を招き、その低下分が測定誤差となる。この誤差を補正するためには、被測定物の熱抵抗の値を測定する必要がある。
特許文献1には、対象物である小型電子部品の温度を熱電対で測定する方法が示されている。
特開2016-011880号公報
この測定方法にあっては、熱電対で構成された接触子を対象物に接触して温度測定を行う。このため、対象物から接触子を経由した放熱が生じ、測定誤差が発生する。
これにより、対象物の温度の測定精度が低下するという問題があった。
そこで本発明は、温度測定手段の放熱に起因する測定誤差を低減するための、被測定物の熱抵抗測定方法及び測定のためのプローブを提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、接触物を対象物に接触させた場合に前記対象物に生ずる温度の変化を示す温度変化量を取得する変化量取得工程と、前記変化量取得工程で取得した前記温度変化量及び前記接触物を介して移動する熱量の関係から前記対象物の出力熱抵抗を取得する熱抵抗取得工程と、を備える。
本態様によれば、接触物を対象物に接触させた場合に生ずる温度変化量と接触物を介して移動する熱量との関係から対象物の熱抵抗を出力熱抵抗として取得することができる。このため、対象物に接触物を接触させた際に生じ得る温度変化を考慮した出力熱抵抗を取得することができる。
したがって、対象物に接触される接触物を考慮せずに温度を測定する場合と比較して、対象物の温度を精度良く取得することが可能となる。
図1は、第一実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を説明するための模式図である。 図2は、基本モデルの熱等価回路を示す図である。 図3は、熱の移動を示す熱等価回路を示す図である。 図4は、第一実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を示す工程図である。 図5は、第二実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を示す工程図である。 図6は、第二実施形態に係る対象物に第一熱電対を接触させた状態を示す模式図である。 図7は、第二実施形態に係る対象物に第二熱電対を接触させた状態を示す模式図である。 図8は、第三実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を示す工程図である。 図9は、第三実施形態に係る対象物に第一細線を接触させた状態を示す模式図である。 図10は、第三実施形態に係る対象物に第二細線を接触させた状態を示す模式図である。 図11は、第四実施形態に係るプローブを示す模式図である。 図12は、第四実施形態に係るプローブを対象物に接触させた状態を示す模式図である。 図13は、対象物の温度とプローブの各所の温度との関係を示す図である。 図14は、第五実施形態に係るプローブを示す模式図である。 図15は、第五実施形態に係るプローブを対象物に接触させた状態を示す模式図である。 図16は、対象物の温度とプローブの各所の温度との関係を示す図である。 図17は、第六実施形態に係るプローブを示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について説明する。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を説明するための模式図であり、基本モデル10が示されている。
図1には、所定位置12に設置された対象物14の接続箇所16に接触物18を接触して接続した接続状態20と、対象物14から接触物18を離した分離状態22とにおいて、接続箇所16に温度差が生ずる様子が示されている。
対象物14に接続される接触物18としては、例えば線材又は棒材が挙げられる。本実施形態では、接触物18を一例として円柱状に形成された金属製の棒材で構成した場合について説明する。
対象物14としては、例えば電子部品が挙げられ、電子部品としては、例えば、部品本体からリード線が延出する部品、又は部品本体に電極が設けられたチップ部品が挙げられる。なお、対象物14の熱抵抗Rthoutは、同じ対象物14であっても、一般に、接触物18が接続される接続箇所16の場所によって変化する。従って、以降、単に対象物14の熱抵抗、対象物14の熱抵抗あるいは対象物14の熱抵抗Rthout等と記述されている場合には、いずれも接触物18の接続箇所16から対象物14を見た出力熱抵抗Rthoutの意である。
チップ部品としては、例えば、チップ型のトランジスタ、チップ型のダイオード、チップ型のIC、チップ型のコンデンサ、又はチップ型の抵抗器が挙げられる。本実施形態では、一例としてチップ型の抵抗器であるチップ抵抗を対象物14として想定して対象物14の被測定物の熱抵抗測定方法を説明する。
チップ抵抗で構成される対象物14は、通電時に発熱し、周囲温度Taよりも高くなる。
なお、本実施形態では、対象物14が発熱して加熱される場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、外部から対象物14に熱を加えて対象物14を周囲温度Taよりも高い温度にしてもよい。
また、本実施形態では、対象物14の温度を周囲温度Taよりも高くする場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、対象物14の温度を周囲温度Taよりも低くしてもよい。
そして、チップ抵抗で構成された対象物14において、接触物18が接続される接続箇所16は、一例としてチップ抵抗の端部に設けられた端子部とする。
対象物14が設置される設置対象としては、一例として銅箔の配線が形成されたプリント配線基板24が挙げられる。対象物14は、プリント配線基板24の上面に密着的に配置され、対象物14の端子部がプリント配線基板24の配線に半田で固定される。
対象物14は、通電時の電力供給によって高められた熱が対象物14に接する空気中及びプリント配線基板24の双方から流出するとともに、端子部を介して配線に流出する。
対象物14を通電して電力を加え周囲温度Taよりも高い温度に加熱するとともに、対象物14から接触物18を離した分離状態22において、接続箇所16の温度を分離時温度Ttとする。
そして、この対象物14に加えた電力を維持し発熱量を保った状態において、対象物14と異なる温度の接触物18を接続箇所16に接触させて接続する。具体的に説明すると、接触物18の先端の端面を対象物14の接続箇所16に密着的に接触させ、接触物18を対象物14に熱的に接続する。
ここで、接触物18は、接続箇所16から周囲温度Taへの熱移動を促す。
この接続状態20において、対象物14の接続箇所16からは、流出熱量Qの熱が接触物18へ流出し、対象物14及び接続箇所16の温度が低下する。このとき、対象物14の接続箇所16の温度を接触時温度Tmとする。
なお、本実施形態では、対象物14の温度が接触物18の温度よりも高いので、対象物14の熱が接触物18に流出する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、対象物14の温度が接触物18の温度よりも低い場合、接触物18の熱が対象物14へ流入する。この場合、接触物18から流出する熱の量を流出熱量Qとする。
(第一熱等価回路)
図2は、基本モデル10の熱等価回路である第一熱等価回路26を示す図であり、図2には、基本モデル10における熱の流れが示されている。
この第一熱等価回路26において、対象物14の熱抵抗は、出力熱抵抗Rthoutで示されており、対象物14から接触物18を介して流出する熱量は、流出熱量Qで示されている。
対象物14から接触物18を離した分離状態22において、接続箇所16の温度は、分離時温度Ttで示されている。この時の対象物14の温度は、分離時温度Ttと同温である。また、対象物14に接触物18を接続した接続状態20において、接続箇所16の温度は、接触時温度Tmで示されている。
この第一熱等価回路において、対象物14の接続箇所16に接触物18を接続した場合、分離状態22と接続状態20との互い異なる状態で生ずる対象物14の温度差ΔTは、次式1で示される。
ΔT=Tt-Tm ・・・(式1)
そして、対象物14の出力熱抵抗Rthoutは、温度差ΔTを流出熱量Qで除算した値となり、次式2で表される。
Rthout=(Tt-Tm)/Q=ΔT/Q ・・・(式2)
この式2を用いて対象物14であるチップ抵抗の出力熱抵抗Rthoutを求めることにより、対象物であるチップ抵抗が実装されたプリント配線基板24の温度測定の精度を高めることが可能となる。
(第二熱等価回路)
図3は、熱の移動を示す熱等価回路である第二熱等価回路30を示す図である。第二熱等価回路30は、対象物14に接触させる接触物18を熱電対とした場合の例が示されており、対象物14の熱が熱電対で構成された接触物18を介して流出する状態が示されている。
図3に示す第二熱等価回路30において、対象物14の熱抵抗は、出力熱抵抗Rthoutで示されており、接触物18を構成する熱電対の熱抵抗は、熱電対熱抵抗Rthtcで示されている。対象物14及び接触物18の周囲の温度は、周囲温度Taで示されている。
対象物14に接触物18を接続した接続状態20において、接続箇所16の温度は、接触時温度Tmで示されている。対象物14から接触物18を離した分離状態22における接続箇所16の温度は、分離時温度Ttで示されている。対象物14から接触物18を介して流出する熱量は、流出熱量Qで示されており、この熱は、対象物14、接触物18の順に移動する。
第二熱等価回路30によれば、熱電対熱抵抗Rthtcが既知の接触物18である熱電対で温度測定を行う場合、出力熱抵抗Rthoutが既知であれば、分離状態22の温度を示す分離時温度Ttを接触時温度Tmと周囲温度Taとから求められることが分かる。具体的には、分離時温度Ttを求める演算式は、次式3により表される。
Figure 2022038493000002
このように、熱電対熱抵抗Rthtcと出力熱抵抗Rthoutとが分かっていれば正確な分離時温度Ttを求めることができる。
(被測定物の熱抵抗測定方法)
次に、前述した式2を用いて対象物14の出力熱抵抗Rthoutを測定する被測定物の熱抵抗測定方法について説明する。
図4は、第一実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を示す工程図であり、図4に従って、対象物14の熱抵抗測定方法40を説明する。
この熱抵抗測定方法40は、変化量取得工程42と熱抵抗取得工程44とを備える。
(変化量取得工程)
変化量取得工程42は、図1に示したように、接触物18を対象物14に接触させた場合に対象物14に生ずる温度の変化を温度変化量として取得する。
詳細に説明すると、チップ抵抗で構成された対象物14を通電して規定の電力を加え、対象物14を周囲温度Taよりも高い温度に対象物14を加熱する。そして、対象物14から接触物18が離された分離状態22において、対象物14の一部である接続箇所16の温度を測定し、測定温度を分離時温度Ttとして取得する。
接続箇所16の温度測定には、温度センサを用いる。この温度センサとしては、例えば、接触式のセンサ又は非接触式のセンサが挙げられる。接触式のセンサを用いる場合は、センサからの放熱量を抑制する工夫を要する。
一方、非接触式のセンサは、センサ自体を接続箇所16に接触することなく、温度測定が可能であり、センサからの放熱対策が不要である。非接触式のセンサの一例としては、赤外線サーモグラフィ(IRT)が挙げられ、本実施形態では、赤外線サーモグラフィ(IRT)を用いて温度を測定する。
次に、対象物14を通電して規定の電力を加えた状態において、周囲温度Taと同温に保たれた接触物18の先端を対象物14の接続箇所16に接触させ、接続状態20を形成する。このとき、対象物14の熱は、接触物18を介して流出し、接触物18を介して流出する熱量は、流出熱量Qで示される。ここで、熱電対の熱電対熱抵抗Rthtcが分かっていることを前提とすると、流出熱量Qは、Q=(Tm-Ta)/Rthtcで求めることができる。
接続状態20において、対象物14の接続箇所16の温度を測定し、測定した温度を接触時温度Tmとして取得する。この接続箇所16の温度測定には、前述した赤外線サーモグラフィ(IRT)が用いられる。
そして、前述した式1を用いて分離時温度Ttから接触時温度Tmを減算し、温度差ΔTを求めて温度変化量を取得する。
これにより、接触物18を対象物14に接触させた接続状態20で測定される対象物14の接触時温度Tmと、接触物18を対象物14から分離した分離状態22で測定される対象物14の分離時温度Ttとの温度差ΔTを温度変化量として取得する。
(熱抵抗取得工程)
熱抵抗取得工程44は、変化量取得工程42で取得した温度変化量及び接触物18を介して移動する流出熱量Qの関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得する。
具体的に説明すると、前述した式2に示したように、温度変化量を示す温度差ΔTを流出熱量Qで除算して出力熱抵抗Rthoutを求める。
これにより、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを演算で求めることができる。
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
本実施形態の被測定物の熱抵抗測定方法40は、変化量取得工程42と熱抵抗取得工程44とを備えている。変化量取得工程42は、接触物18を対象物14に接触させた場合に対象物14に生ずる温度の変化を温度変化量として取得する。熱抵抗取得工程44は、変化量取得工程42で取得した温度変化量及び接触物18を介して移動する熱量の関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得する。ここで、接触物18は、一例として熱電対が挙げられる。
この構成によれば、接触物18を対象物14に接触させた場合に生ずる温度変化量を示す温度差ΔTと、接触物18を介して移動する流出熱量Qとの関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得することができる。このため、接触物18を接触させた際に生じ得る温度変化を考慮した出力熱抵抗Rthoutを得ることができる。
したがって、対象物14に接触する接触物18を考慮せずに温度を取得する場合と比較して、対象物14の温度を精度良く取得することが可能となる。
また、モールドされたパケージIC、又は多数実装された電子部品の中の特定部位の出力熱抵抗Rthoutの測定が可能となる。
本実施形態の変化量取得工程42は、接触物18を対象物14に接触させた状態で測定される対象物14の接触時温度Tmと接触物18を対象物14から分離した状態で測定される対象物14の分離時温度Ttとの温度差ΔTを温度変化量として取得する。熱抵抗取得工程44は、温度変化量を示す温度差ΔTを流出熱量Qで除算して出力熱抵抗Rthoutを求める。
この構成によれば、接触時温度Tmと分離時温度Ttとの温度差ΔTから温度変化量を取得することができる。また、温度差ΔTを流出熱量Qで除算することで、出力熱抵抗Rthoutを取得することができる。
このため、分離状態22から接続状態20へ移行した際に生ずる温度変化を相対値として測定する測定装置を用いることなく、出力熱抵抗Rthoutを取得することができる。
<第二実施形態>
図5から図6は、第二実施形態を示す図であり、第二実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を図面に従って説明する。
図5は、第二実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法を示す工程図であり、熱抵抗測定方法で実施する各工程の一例が示されている。図6は、第二実施形態に係る対象物14に第一熱電対を接触させた状態を示す模式図である。図7は、第二実施形態に係る対象物14に第二熱電対を接触させた状態を示す模式図である。
本実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法50は、変化量取得工程52と熱抵抗取得工程54とを備える。
(変化量取得工程)
変化量取得工程52は、図6及び図7に示したように、接触物を対象物14に接触させた場合に対象物14に生ずる温度の変化を温度変化量として取得する。
接触物は、一例として熱抵抗が異なる第一接触物と第二接触物とで構成される。第一接触物は、第一熱電対56で構成され、第二接触物は、第二熱電対58で構成される。ここで、異なる熱抵抗は、異なる放熱能力又は異なる放熱熱抵抗と言い換えることができる。
変化量取得工程52は、対象物14に第一熱電対56を接触させた場合の接続箇所16の温度と、対象物14に第二熱電対58を接触させた場合の接続箇所16の温度との間で、対象物14に生ずる温度の変化を温度変化量として取得する。
変化量取得工程52は、図5に示したように、加熱工程60と、第一接続工程62と、第一温度測定工程64と、分離工程66と、第二接続工程68と、第二温度測定工程70と、温度変化量演算工程72とを順に実施する。
加熱工程60は、チップ抵抗で構成された対象物14を通電して規定の電力を加え、対象物14を周囲温度Taよりも高い温度に加熱する。
対象物14を加熱する加熱方法は、チップ抵抗のように発熱部品であれば、自己発熱させてもよいが、自己発熱しない部品等の対象物14の場合、外部から熱を加えて昇温してもよい。
第一接続工程62は、図6に示したように、第一熱電対56の先端部の温接点80を対象物14の接続箇所16に接触させ、第一熱電対56が接続箇所16に接続された第一接続状態82を形成する。第一熱電対56を接続箇所16に熱的に接続する方法としては、例えば、熱伝導率が高く絶縁性を有したシリコングリス、又はテープを用いて温接点80を接続箇所16に固定する接続方法が挙げられる。
ここで、第一熱電対56は、長時間常温に放置されており、第一熱電対56の温度は、周囲温度Taと同温とする。このとき、対象物14の熱は、第一熱電対56を介して周囲の空気へ流出し、対象物14の温度が低下する。ここでは、第一熱電対56を介して流出する第一熱量は、第一流出熱量Q1aで示される。
第一温度測定工程64は、第一接続状態82において、対象物14の接続箇所16の温度を第一温度Tm1aとして測定する。接続箇所16の測定には、温度センサが用いられる。この温度センサとしては、例えば、接触式のセンサ又は非接触式のセンサが挙げられる。
非接触式のセンサとしては、一例として前述した赤外線サーモグラフィ(IRT)が挙げられる。接触式のセンサとしては、一例として、熱電対が挙げられ、本実施形態では、対象物14に接続された第一熱電対56を利用する。
分離工程66は、対象物14の接続箇所16から第一熱電対56を離して分離状態を形成する。
第二接続工程68は、図7に示したように、第二熱電対58の先端部の温接点86を、第一接続工程62と同じ方法で対象物14の接続箇所16に接触させ、第二熱電対58が接続箇所16に接続された第二接続状態88を形成する。
このとき、チップ抵抗で構成された対象物14は、加熱工程60から継続して加えられた規定の電力によって周囲温度Taよりも高い温度に保たれている。また、第二熱電対58は、長時間常温に放置されており、第二熱電対58の温度は、周囲温度Taと同温とする。
すると、対象物14の熱は、第二熱電対58を介して周囲の空気へ流出し、対象物14の温度が低下する。このとき、第二熱電対58を介して流出する第二熱量は、第二流出熱量Q2aで示される。
第二温度測定工程70は、第二接続状態88において、対象物14の接続箇所16の温度を第二温度Tm2aとして測定する。接続箇所16の測定には、温度センサが用いられる。この温度センサとしては、例えば、接触式のセンサ又は非接触式のセンサが挙げられる。
非接触式のセンサとしては、一例として前述した赤外線サーモグラフィ(IRT)が挙げられる。接触式のセンサとしては、一例として、熱電対が挙げられ、本実施形態では、対象物14に接続された第二熱電対58を利用する。
温度変化量演算工程72は、第二接続状態88で測定した第二温度Tm2aと第一接続状態82で測定した第一温度Tm1aとの温度差から温度変化量を求める。具体的には、第二温度Tm2aから第一温度Tm1aを減算して温度変化量を演算する。温度変化量を求める演算式を、次式11に示す。
温度変化量=(Tm2a-Tm1a) ・・・(式11)
(熱抵抗取得工程)
熱抵抗取得工程54は、温度変化量演算工程72で取得した温度変化量及び接触物である各熱電対56、58を介して移動する各流出熱量Q1a、Q2aの関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得する。
熱抵抗取得工程54は、変化量取得工程52の温度変化量演算工程72の後に、熱量差取得工程90と出力熱抵抗演算工程92とを順に実施する。
熱量差取得工程90は、第一接触物である第一熱電対56を介して移動する第一流出熱量Q1a及び第二接触物である第二熱電対58を介して移動する第二流出熱量Q2aとの熱量差を取得する。具体的には、第一流出熱量Q1aから第二流出熱量Q2aを減算して熱量差を演算する。熱量差を求める演算式を、次式12に示す。
熱量差=(Q1a-Q2a) ・・・(式12)
出力熱抵抗演算工程92は、温度変化量演算工程72で演算した温度変化量、及び熱量差取得工程90で演算した熱量差の関係から出力熱抵抗Rthoutを求める。
出力熱抵抗Rthoutは、温度変化量を熱量差で除算して求めることができ、出力熱抵抗Rthoutの演算式を、次式13に示す。
Figure 2022038493000003
ここで、式13について詳細に説明する。すなわち、対象物14に第一熱電対56を接触させた第一接続状態82における出力熱抵抗Rthoutは、次式14で示される。
Rthout=(Tt-Tm1a)/Q1a ・・・(式14)
この式14から分離時温度Ttを、次式15で求める。
t=Rthout×Q1a+Tm1a ・・・(式15)
次に、対象物14に第二熱電対58を接触させた第二接続状態88における出力熱抵抗Rthoutは、次式16で示される。
Rthout=(Tt-Tm2a)/Q2a ・・・(式16)
この式16から分離時温度Ttを、次式17で求める。
t=Rthout×Q2a+Tm2a ・・・(式17)
この式17と式15とから、次式18を得る。
Rthout×Q1a+Tm1a=Rthout×Q2a+Tm2a ・・・(式18)
この式18から前述した式13が求められる。
そして、第一熱電対56の熱抵抗を第一熱抵抗Rth1aとすると、第一熱電対56から流出する第一流出熱量Q1aは、次式19で求められる。
1a=(Tm1a-Ta)/Rth1a ・・・(式19)
また、第二熱電対58の熱抵抗を第二熱抵抗Rth2aとすると、第二熱電対58から流出する第二流出熱量Q2aは、次式20で求められる。
2a=(Tm2a-Ta)/Rth2a ・・・(式20)
式19及び式20を、式13に代入すると、次式21及び式22が得られる。
Figure 2022038493000004
Figure 2022038493000005
この式22を用いることで対象物14の出力熱抵抗Rthoutを演算で求めることができる。
(作用及び効果)
本実施形態においても、第一実施形態と同様又は同等部分については、同様の作用及び効果を得ることができる。
また、本実施形態では、接触物は、熱抵抗が異なる第一接触物である第一熱電対56及び第二接触物である第二熱電対58を含む。
変化量取得工程52は、対象物14に第一接触物である第一熱電対56を接触させた状態の対象物14の温度を第一温度Tm1aとして測定する第一温度測定工程64を有する。また、変化量取得工程52は、対象物14に第二接触物である第二熱電対58を接触させた状態の対象物14の温度を第二温度Tm2aとして測定する第二温度測定工程70を有する。さらに、変化量取得工程52は、第一温度Tm1aと第二温度Tm2aとの温度差から温度変化量を求める温度変化量演算工程72を有する。
そして、熱抵抗取得工程54は、第一接触物である第一熱電対56を介して移動する第一流出熱量Q1a及び第二接触物である第二熱電対58を介して移動する第二流出熱量Q2aとの熱量差を取得する熱量差取得工程90を有する。また、熱抵抗取得工程54は、温度変化量及び熱量差の関係から出力熱抵抗Rthoutを求める出力熱抵抗演算工程92を有する。
この構成によれば、熱抵抗が異なる第一接触物である第一熱電対56及び第二接触物である第二熱電対58を用いることで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutの測定が可能となる。
また、本実施形態において、第一接触物は第一熱電対56で構成されるとともに第二接触物は第二熱電対58で構成されている。第一温度測定工程64は、対象物14の接触点である接続箇所16に第一熱電対56を接触させた状態において第一熱電対56で接続箇所16の温度を第一温度Tm1aとして測定する。第二温度測定工程70は、接触点である接続箇所16に第二熱電対58を接触させた状態において第二熱電対58で接続箇所16の温度を第二温度Tm2aとして測定する。
この構成によれば、対象物14に接触させる接続物と接続箇所16の温度を測定するセンサとが別体に構成される場合と比較して、測定に要する費用の抑制が可能となる。
<第三実施形態>
図8から図10は、第三実施形態を示す図であり、第二実施形態と同一又は同等部分に関しては、同符号を付して説明を割愛するとともに、第二実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、第三実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法100を示す工程図であり、熱抵抗測定方法100で実施する各工程の一例が示されている。図9は、第三実施形態に係る対象物14に第一接触物を接触させた状態を示す模式図である。図10は、第三実施形態に係る対象物14に第二接触物を接触させた状態を示す模式図である。
この第三実施形態に係る被測定物の熱抵抗測定方法100では、第二実施形態と比較して、対象物14に接触させる接触物が異なる。
すなわち、第二実施形態では、第一接触物として第一熱電対56を用いたが、第三実施形態では、図9及び図10に示すように、第一接触物の一例として第一細線102を用いる。また、第二実施形態では、第二接触物として第二熱電対58を用いたが、第三実施形態では、第二接触物の一例として第二細線104を用いる。そして、第三実施形態では、第二実施形態の第一接続工程62が第一細線接続工程106とされており、第二実施形態の第二接続工程68が第二細線接続工程108とされている。
第一細線102は、図9に示したように、円柱状の金属製の棒材で構成されており、第二細線104は、図10に示したように、円柱状の金属製の棒材で構成されている。第一細線102と第二細線104とは、異なる熱抵抗とされており、異なる熱抵抗は、異なる放熱能力又は異なる放熱熱抵抗と言い換えることができる。
(変化量取得工程)
変化量取得工程52の第一細線接続工程106は、図9に示したように、加熱工程60で周囲温度Taよりも高い温度に加熱された対象物14の接続箇所16に第一細線102の先端面を接触させて第一接続状態82を形成する。
ここで、第一細線102は、長時間常温に放置されており、第一細線102の温度は、周囲温度Taと同温とする。このとき、第一細線102を介して流出する第一熱量を、流出熱量Q1bとする。
第一温度測定工程64は、第一接続状態82において、対象物14の接続箇所16の温度を第一温度Tm1bとして測定する。接続箇所16の測定には、温度センサが用いられる。この温度センサとしては、例えば、接触式のセンサ又は非接触式のセンサが挙げられる。
接触式のセンサとしては、一例として、熱電対が挙げられる。非接触式のセンサとしては、一例として前述した赤外線サーモグラフィ(IRT)が挙げられ、本実施形態では、非接触式のセンサの一例である赤外線サーモグラフィ(IRT)を用いる。
これにより、対象物14に接触する第一細線102の向き、取付け位置、又は角度に関わらず、温度の測定が可能となる。また、接続箇所16に自然対流が生じたり、風などが吹き付けられたりした場合であっても、測定結果への影響を抑制する。
そして、第二細線接続工程108は、図10に示したように、分離工程66で第一細線102が外された対象物14の接続箇所16に第二細線104の先端面を接触させて第二接続状態88を形成する。
ここで、第二細線104は、長時間常温に放置されており、第二細線104の温度は、周囲温度Taと同温とする。このとき、第二細線104を介して流出する第二熱量を、第二流出熱量Q2bとする。
第二温度測定工程70は、第二接続状態88において、対象物14の接続箇所16の温度を第二温度Tm2bとして測定する。この測定は、第一温度測定工程64で用いた赤外線サーモグラフィ(IRT)で行う。これにより、異なるセンサで測定した場合に生じ得る測定温度差に起因した熱抵抗の導出誤差を抑制する。
温度変化量演算工程72は、第二接続状態88で測定した第二温度Tm2bと第一接続状態82で測定した第一温度Tm1bとの温度差から温度変化量を求める。具体的には、第二温度Tm2bから第一温度Tm1bを減算して温度変化量を演算する。温度変化量の演算式を、次式30に示す。
温度変化量=(Tm2b-Tm1b) ・・・(式30)
(熱抵抗取得工程)
熱抵抗取得工程54は、変化量取得工程52で取得した温度変化量及び接触物である各細線102、104を介して移動する各流出熱量Q1b、Q2bの関係から対象物14の熱抵抗を出力熱抵抗Rthoutとして取得する。
熱抵抗取得工程54の熱量差取得工程90は、第一接触物である第一細線102を介して移動する第一流出熱量Q1b及び第二接触物である第二細線104を介して移動する第二流出熱量Q2bとの熱量差を取得する。具体的には、第一流出熱量Q1bから第二流出熱量Q2bを減算して熱量差を演算する。熱量差の演算式を、次式31に示す。
熱量差=(Q1b-Q2b) ・・・(式31)
出力熱抵抗演算工程92は、温度変化量演算工程72で演算した温度変化量、及び熱量差取得工程90で演算した熱量差の関係から出力熱抵抗Rthoutを求める。
出力熱抵抗Rthoutは、温度変化量を熱量差で除算して求めることができ、出力熱抵抗Rthoutの演算式を、次式32に示す。
Figure 2022038493000006
そして、第一細線102の熱抵抗を第一熱抵抗Rth1bとすると、第一細線102から流出する第一流出熱量Q1bは、次式33で求められる。
1b=(Tm1b-Ta)/Rth1b ・・・(式33)
また、第二細線104の熱抵抗を第一熱抵抗Rth2bとすると、第二細線104から流出する第二流出熱量Q2bは、次式34で求められる。
2b=(Tm2b-Ta)/Rth2b ・・・(式34)
そして、式33及び式34を、式32に代入して得られた対象物14の出力熱抵抗Rthoutを求める演算式を、次式35及び式36に示す。
Figure 2022038493000007
Figure 2022038493000008
この式36を用いることで対象物14の出力熱抵抗Rthoutを演算で求めることができる。
(作用及び効果)
本実施形態においても、第二実施形態と同様又は同等部分については、同様の作用及び効果を得ることができる。
また、本実施形態では、第一接触物である第一細線102及び第二接触物である第二細線104は、金属製の線状部材で構成されている。第一温度測定工程64は、対象物14の接触点である接続箇所16に第一接触物である第一細線102を接触させた状態で非接触式のセンサを用いて接続箇所16の温度を第一温度Tm1bとして測定する。第二温度測定工程70は、接続箇所16に第二接触物である第二細線104を接触させた状態で前述のセンサを用いて接続箇所16の温度を第二温度Tm2bとして測定する。
この構成によれば、熱抵抗が異なる第一接触物である第一細線102及び第二接触物である第二細線104を用いることで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutの測定が可能となる。これにより、対象物14に接触される接触物を熱電対で構成する場合と比較して、接触物の構造を簡素化できるとともに、低コスト化が可能となる。
<第四実施形態>
図11から図13は、第四実施形態を示す図であり、第四実施形態を図面に従って説明する。
図11は、第四実施形態に係るプローブ120を示す模式図であり、このプローブ120は、対象物14の熱抵抗の測定に用いられる。
プローブ120は、熱電対を構成する一方の金属で形成された棒状の接触子122と、熱電対を構成する他方の金属で形成された第一検出線124及び第二検出線126とを備えている。第一検出線124及び第二検出線126は、線状に形成されており、接触子122の長さ方向128で異なる位置に接続されている。
接触子122は、円柱状に形成されており、接触子122の直径D1は、一例として、0.5mmとされている。第一検出線124及び第二検出線126は、細線で構成されており、各検出線124、126の直径D2は、一例として、0.05mmとされている。このように、接触子122と比較して各検出線124、126を小径とすることで、各検出線124、126へ流れ込む熱量を抑制する。
第一検出線124は、接触子122の先端に溶接によって接合されており、第一検出線124の接合箇所は、接触子122の先端130を構成する端面132の周縁134とされている。これにより、第一検出線124は、端面132より突出しないように構成されており、端面132が平坦となるように構成されている。
第二検出線126は、第一検出線124の接合箇所よりも接触子122の基端側136に溶接によって接合されており、第二検出線126の接合箇所と第一検出線1224の背悦豪箇所との離間距離138は、一例として、2.0mmとされている。
接触子122と第一検出線124との接合箇所は、先端側温接点140を構成し、接触子122と第二検出線126との接合箇所は、基端側温接点142を構成する。
熱電対の一方の金属で構成された接触子122は、ニッケル及びクロムを主とした合金であるクロメル(登録商標)で形成されている。また、熱電対の他方の金属で構成された各検出線124、126は、ニッケルを主とした合金であるアルメル(登録商標)で形成されている。
これにより、接触子122及び第一検出線124によって、接触子122と第一検出線124との間に生ずる電位差から先端側温接点140の温度を第一温度として検出するKタイプの熱電対が構成される。また、接触子122及び第二検出線126によって、接触子122と第二検出線126との間に生ずる電位差から基端側温接点142の温度を第二温度として検出するKタイプの熱電対が構成される。
このように構成されたプローブ120は、先端側温接点140が形成された先端130から基端側温接点142までのプローブ熱抵抗Rthsensは、536℃/Wとなる。また、このプローブ120において、先端側温接点140と基端側温接点142との間に、5.36℃の温度差が検出された場合、10mWの熱量が接触子122に流れたことになる。
なお、本実施形態では、クロメル(登録商標)とアルメル(登録商標)とで構成されたKタイプの熱電対を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
接触子122を構成する金属と各検出線124、126を構成する金属との組み合わせを変更することで、他のタイプの熱電対を構成してもよい。その一例として、銅及びニッケルを主とした合金からなるコンスタンタンと銅との組み合わせで構成されるTタイプの熱電対などであってもよい。
クロメル(登録商標)の熱伝導率は、アルメル(登録商標)の熱伝導率よりも低く、接触子122を構成する一方の金属は、各検出線124、126を構成する他方の金属よりも熱伝導率が低くい。これにより、接触子122の熱伝導率を各検出線124、126の熱伝導率よりも高くした場合と比較して、接触子122を先端130から加熱した際に先端側温接点140と基端側温接点142との間に生ずる温度差を大きくする。
(熱抵抗の測定)
このプローブ120を用いた対象物14の熱抵抗測定方法について説明する。
図12は、第四実施形態に係るプローブ120を対象物14に接触させた状態を示す模式図である。また、図13は、対象物14の温度とプローブ120の各所の温度との関係144を示す図である。
このプローブ120を用いて対象物14の熱抵抗を測定する際には、例えば対象物14を通電して第一の電力を加え、対象物14を周囲温度Taよりも高い第一温度T1にする。この状態において、対象物14の接続箇所16にプローブ120の先端を熱的に接触させる。すると、プローブ120には、先端130から熱流Q1が流れ込み、プローブ120の温度が上昇する。
ここで、プローブ120の接触子122は、プローブ熱抵抗Rthsensを有する。このため、プローブ120には、このプローブ熱抵抗Rthsensに応じて長さ方向128に温度勾配が生ずる。この温度勾配が生じ状態において、熱電対を構成する先端側温接点140の温度を第一先端側温度T1ACとして取得し、基端側温接点142の温度を第一基端側温度T1BCとして取得する。
次に、例えば対象物14を通電して第二の電力を加え、対象物14を周囲温度Taよりも高く、かつ第一温度T1と異なる第二温度T2にする。この状態において、対象物14の接続箇所16にプローブ120の先端130を熱的に接触させる。すると、プローブ120には、先端130から熱流Q2が流れ込み、プローブ120の温度が上昇する。
この状態において、先端側温接点140の温度を第二先端側温度T2ACとして取得し、基端側温接点142の温度を第二基端側温度T2BCとして取得する。これらの温度測定には、接触子122と各検出線124、126との接合により構成された熱電対を用いることができる。
これらの対象物14の温度とプローブ120の各所の温度との関係を図13に示す。
第一温度T1の対象物14にプローブ120を接触させた場合の第一先端側温度T1ACと、第二温度T2の対象物14にプローブ120を接触させた場合の第二先端側温度T2ACとで生じた温度変化量を求める演算式を、次式40に示す。
温度変化量=(T2AC-T1AC) ・・・(式40)
また、第一温度T1の対象物14にプローブ120を接触させた場合にプローブ120に流れ込む熱流Q1と、第二温度T2の対象物14にプローブ120を接触させた場合にプローブ120に流れ込む熱流Q2との熱量差を求める演算式を、次式41に示す。
熱量差=(Q1-Q2) ・・・(式41)
そして、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを求める為の演算式を、次式42に示す。
Figure 2022038493000009
また、接触子122の熱抵抗を、接触子熱抵抗Rthsensとすると、出力熱抵抗Rthoutは、次式43及び式44で示される。
Figure 2022038493000010
Figure 2022038493000011
これにより、式44を用いることで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを演算で求めることができる。
(作用及び効果)
本実施形態のプローブ120は、熱電対を構成する一方の金属で形成された棒状の接触子122と、熱電対を構成する他方の金属で形成され接触子122の長さ方向128で異なる位置に接続された線状の第一検出線124及び第二検出線126とを備える。
この構成によれば、異なる温度の対象物14にプローブ120を接触させた場合において、接続箇所16に生ずる温度変化量をプローブ120に流れ込む熱量差で除算することで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを求めることができる。
また、接触子122に各検出線124、126が接続された接続箇所の温度差から、プローブ120における接触子122の熱抵抗及びプローブ120の接触子122に流れ込む熱流Q1、Q2を取得することができる。このため、対象物14に接触物であるプローブ120を接触させた際に生じ得る温度変化を考慮した出力熱抵抗Rthoutを取得することができる。
したがって、対象物14に接触される接触物を考慮せずに熱抵抗を取得する場合と比較して、対象物14の熱抵抗の精度良く取得することが可能となる。
さらに、このプローブ120を用いることによって、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを容易に測定することができる。
また、本実施形態のプローブ120において、第一検出線124は接触子122の先端130に接続され、第二検出線126は第一検出線124よりも接触子122の基端側136に接続される。
この構成によれば、接触子122と、接触子122の先端130に接続された第一検出線124とで構成される熱電対によって、対象物14の接続箇所16の温度を取得することができる。これにより、接続箇所16の温度を他の測定装置で測定する場合と比較して、温度測定が容易となるとともに、測定コストの抑制が可能となる。
さらに、本実施形態のプローブ120において、一方の金属は、他方の金属よりも熱伝導率が低い。
この構成によれば、接触子122の熱伝導率を、各検出線124、126の熱伝導率よりも高くした場合と比較して、接触子122を先端130から加熱した際に先端側と基端側との間に生ずる温度差を大きくすることができる。
これにより、接触子122の先端側と基端側との間に生ずる温度差が小さい場合と比較して、対象物14の出力熱抵抗Rthoutの測定精度を高めることが可能となる。
なお、本実施形態では、対象物14の温度を変更することで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを測定する場合について説明したが、これに限定されるものでなく、例えばプローブ120の温度を変更して対象物14の出力熱抵抗Rthoutを測定してもよい。
<第五実施形態>
図14から図16は、第五実施形態を示す図であり、第四実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
図14は、第五実施形態に係るプローブ150を示す模式図である。このプローブ150の接触子122の基端部には、円筒状のヒータ152が設けられており、ヒータ152に電力を加えて発熱させることで、ヒータ152からの熱で接触子122を基端側から加熱できるように構成されている。
(熱抵抗の測定)
このプローブ150を用いた対象物14の熱抵抗測定方法について説明する。
図15は、第五実施形態に係るプローブ150を対象物14に接触させた状態を示す模式図である。図16は、対象物14の温度とプローブ150の各所の温度との関係154を示す図である。
このプローブ150を用いて対象物14の出力熱抵抗Rthoutを測定する際には、例えばヒータ152を通電して第一の電力を加え、接触子122を周囲温度Taよりも高い第一温度T1にする。この状態において、対象物14の接続箇所16にプローブ150の先端130を熱的に接触させる。すると、プローブ150の接触子122から熱流Q1が対象物14へ流出し、プローブ150における接触子122の温度が低下する。
ここで、プローブ150の接触子122は、プローブ熱抵抗Rthsensを有する。このため、プローブ150には、このプローブ熱抵抗Rthsensに応じて長さ方向128に温度勾配が生ずる。この温度勾配が生じ状態において、熱電対を構成する先端側温接点140の温度を第一先端側温度T1ACとして取得し、基端側温接点142の温度を第一基端側温度T1BCとして取得する。
次に、ヒータ152の通電電圧を変更して第二の電力を加え、接触子122を周囲温度Taよりも高く、かつ第一温度T1と異なる第二温度T2にする。この状態において、対象物14の接続箇所16にプローブ150の先端130を熱的に接触させる。すると、プローブ150には、先端130から熱流Q2が流出し、プローブ150の温度が低下する。
この状態において、先端側温接点140の温度を第二先端側温度T2ACとして取得し、基端側温接点142の温度を第二基端側温度T2BCとして取得する。これらの温度測定には、接触子122と各検出線124、126との接合により構成された熱電対を用いることができる。
これらの対象物14の温度とプローブ150の各所の温度との関係を、図16に示す。
第一温度T1の接触子122を対象物14に接触させた場合の第一先端側温度T1ACと、第二温度T2の接触子122を対象物14に接触させた場合の第二先端側温度T2ACとで生じた温度変化量を求める演算式を、次式50に示す。
温度変化量=(T1AC-T2AC) ・・・(式50)
また、第一温度T1の接触子122を対象物14に接触させた場合に接触子122から流出する熱流Q1と、第二温度T2の接触子122を対象物14に接触させた場合に接触子122から流出する熱流Q2との熱量差を求める演算式を、次式51に示す。
熱量差=(Q1-Q2) ・・・(式51)
そして、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを求める演算式を、次式52に示す。
Figure 2022038493000012
また、接触子122の熱抵抗を、接触子熱抵抗Rthsensとすると、出力熱抵抗Rthoutは、次式53及び式54で示される。
Figure 2022038493000013
Figure 2022038493000014
これにより、式54を用いることで、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを演算で求めることができる。
(作用及び効果)
本実施形態のプローブ150にあっても、第四実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
また、本実施形態のプローブ150は、ヒータ152を備える。このため、対象物14の状態を変化させることなく、対象物14の出力熱抵抗Rthoutを測定することができる。
<第六実施形態>
図17は、第六実施形態に係るプローブ160を示す模式図である。
このプローブ160は、第四実施形態のプローブ120と比較して、プローブ160の先端部分が筒体162で覆われている点が異なる。
(作用及び効果)
本実施形態のプローブ160にあっても、第四実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
また、本実施形態のプローブ160は、先端部分が筒体162で覆われている。このため、測定に与える外気の影響を抑制することができる。これにより、対象物14の出力熱抵抗Rthoutの測定精度を高めることが可能となる。なお、筒体162の内側の面は、接触子122、第一検出線124および第二検出線126とのふく射による伝熱を防止するために、放射率の低い金属などで、コーティングしておくことが望ましい。
なお、第四実施形態から第六実施形態で示した接触子122の寸法、及び各検出線124、126の寸法は、前述した寸法に限定されるものはなく、異なる寸法であってもよい。
また、各実施形態において、対象物14の接続箇所16に熱伝導率の高いヒートスプレッダーを設けてもよい。この場合、熱流の集中が緩和されるとともに出力熱抵抗Rthoutが変化する。このため、ヒートスプレッダー上の温度を測定する。
14 対象物
16 接続箇所
18 接触物
20 接続状態
22 分離状態
40 熱抵抗測定方法
42 変化量取得工程
44 熱抵抗取得工程
50 熱抵抗測定方法
52 変化量取得工程
54 熱抵抗取得工程
56 第一熱電対
58 第二熱電対
64 第一温度測定工程
70 第二温度測定工程
72 温度変化量演算工程
90 熱量差取得工程
92 出力熱抵抗演算工程
100 熱抵抗測定方法
102 第一細線
104 第二細線
120 プローブ
122 接触子
124 第一検出線
126 第二検出線
128 長さ方向
130 先端
132 端面
134 周縁
136 基端側
150 プローブ
160 プローブ
1 第一温度
2 第二温度
m 接触時温度
t 分離時温度
ΔT 温度差
Rthout 出力熱抵抗
Q 流出熱量
1a 第一流出熱量
2a 第二流出熱量

Claims (8)

  1. 接触物を対象物に接触させた場合に前記対象物に生ずる温度の変化を示す温度変化量を取得する変化量取得工程と、
    前記変化量取得工程で取得した前記温度変化量及び前記接触物を介して移動する熱量の関係から前記対象物の出力熱抵抗を取得する熱抵抗取得工程と、
    を備える被測定物の熱抵抗測定方法。
  2. 請求項1に記載の被測定物の熱抵抗測定方法であって、
    前記変化量取得工程は、前記接触物を前記対象物に接触させた状態で測定される前記対象物の接触時温度と前記接触物を前記対象物から分離した状態で測定される前記対象物の分離時温度との温度差を前記温度変化量として取得し、
    前記熱抵抗取得工程は、前記温度変化量を前記熱量で除算して前記出力熱抵抗を求める、
    被測定物の熱抵抗測定方法。
  3. 請求項1に記載の被測定物の熱抵抗測定方法であって、
    前記接触物は、熱抵抗が異なる第一接触物及び第二接触物を含み、
    前記変化量取得工程は、
    前記対象物に前記第一接触物を接触させた状態の前記対象物の温度を第一温度として測定する第一温度測定工程と、
    前記対象物に前記第二接触物を接触させた状態の前記対象物の温度を第二温度として測定する第二温度測定工程と、
    前記第一温度と前記第二温度との温度差から前記温度変化量を求める温度変化量演算工程と、を有し、
    前記熱抵抗取得工程は、
    前記第一接触物を介して移動する第一熱量及び前記第二接触物を介して移動する第二熱量との熱量差を取得する熱量差取得工程と、
    前記温度変化量及び前記熱量差の関係から前記出力熱抵抗を求める出力熱抵抗演算工程と、を有する、
    被測定物の熱抵抗測定方法。
  4. 請求項3に記載の被測定物の熱抵抗測定方法であって、
    前記第一接触物及び前記第二接触物は、金属製の線状部材で構成され、
    前記第一温度測定工程は、前記対象物の接触点に前記第一接触物を接触させた状態で非接触式のセンサを用いて前記接触点の温度を前記第一温度として測定し、
    前記第二温度測定工程は、前記接触点に前記第二接触物を接触させた状態で前記センサを用いて前記接触点の温度を前記第二温度として測定する、
    被測定物の熱抵抗測定方法。
  5. 請求項3に記載の被測定物の熱抵抗測定方法であって、
    前記第一接触物は第一熱電対で構成されるとともに前記第二接触物は第二熱電対で構成され、
    前記第一温度測定工程は、前記対象物の接触点に前記第一熱電対を接触させた状態において前記第一熱電対で前記接触点の温度を前記第一温度として測定し、
    前記第二温度測定工程は、前記接触点に前記第二熱電対を接触させた状態において前記第二熱電対で前記接触点の温度を前記第二温度として測定する、
    被測定物の熱抵抗測定方法。
  6. 熱電対を構成する一方の金属で形成された棒状の接触子と、
    熱電対を構成する他方の金属で形成され、前記接触子の長さ方向で異なる位置に接続された線状の第一検出線及び第二検出線と、
    を備えたプローブ。
  7. 請求項6に記載のプローブであって、
    前記第一検出線は、前記接触子の先端に接続され、
    前記第二検出線は、前記第一検出線よりも前記接触子の基端側に接続される、
    プローブ。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のプローブであって、
    前記一方の金属は、前記他方の金属よりも熱伝導率が低い、
    プローブ。
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