以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。なお、本明細書においては、「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力供給方向を基準とするものとする。
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、発電された電力を負荷Hへと供給するものである。電力供給システム1は、住宅に設けられ、当該住宅の負荷H(例えば、住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として蓄電システム10、分電盤20、燃料電池30、第一センサ40、第二センサ50及びEMS60を具備する。
蓄電システム10は、電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。蓄電システム10は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられる。蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を配電線L(負荷H)に出力可能であると共に、配電線Lを流れる電力(系統電源Kからの電力及び後述する燃料電池30で発電された電力)を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の性能や運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kと負荷H(分電盤20)とを繋ぐ配電線Lの中途部(接続点P)に対して、電路A1を介して接続される。蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述する第一センサ40の検出結果等に基づいて、放電(出力)する電力を調整する負荷追従運転を行うことができる。
分電盤20は、負荷Hへと電力を分配するものである。分電盤20は、蓄電システム10(接続点P)よりも下流側に設けられ、負荷Hと接続される。なお、図1においては1つの負荷Hしか示していないが、分電盤20は複数の負荷に接続され、各負荷に電力を分配する。分電盤20は、系統電源Kからの電力、蓄電池12から放電された電力及び後述する燃料電池30からの電力を負荷Hへと供給する。
燃料電池30は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池30は、分電盤20に対して電路A2を介して接続される。燃料電池30は、発電ユニット31及び貯湯タンク32を具備する。
発電ユニット31は、燃料電池30の発電部である。発電ユニット31は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)又は固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)や制御部等により構成される。発電ユニット31は、後述する第二センサ50によって検出された電力量に応じて負荷追従運転を行う。また、燃料電池30は、電力需要(住宅の負荷Hの消費電力)や給湯需要に関する情報を学習する学習機能を有する。こうして、燃料電池30は、学習機能により学習した情報に基づいて発電計画を作成することができる。また、燃料電池30は、後述するEMS60からの指示に応じて、前記作成した発電計画に従って発電を行うことができる。
貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)を、温水として蓄熱するものである。貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)によって加熱された上水(温水)を貯湯する。
このように構成された燃料電池30は、貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達すると(貯湯タンク32が満タンになり、これ以上蓄熱ができない状態となると)、発電ユニット31による発電を停止させる場合がある。また、燃料電池30は、給湯需要の発生時間帯までに貯湯タンク32の貯湯量が最大容量になるように、発電を開始させる。
第一センサ40は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第一センサ40は、蓄電システム10(接続点P)よりも上流側(接続点Pの直ぐ上流側)に設けられる。第一センサ40は、当該第一センサ40が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
第二センサ50は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第二センサ50は、蓄電システム10(接続点P)と分電盤20との間に設けられる。第二センサ50は、当該第二センサ50が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
EMS60は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS60は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS60の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS60の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
EMS60は、ハイブリッドパワコン13と電気的に接続される。EMS60は、所定の信号をハイブリッドパワコン13に送信し、蓄電池12の運転(例えば、蓄電池12の充放電等)を制御することができる。また、EMS60は、ハイブリッドパワコン13から所定の信号が入力可能に構成され、各種の情報(蓄電池12の蓄電残量等)を取得することができる。
また、EMS60は、燃料電池30に電気的に接続され、当該燃料電池30の動作を制御することができる。
上述の如く構成された電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力や、太陽光発電部11で発電された電力を、蓄電池12に充電することができる。また、当該電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力、太陽光発電部11及び燃料電池30で発電された電力、及び蓄電池12に充電された電力を、住宅の負荷Hへと供給することができる。また、当該電力供給システム1において、太陽光発電部11で発電された電力の余剰分(余剰電力)は、系統電源Kへと逆潮流させて売却することもできる。
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
電力供給システム1は、電力の供給態様として第一モード及び第二モードを有する。以下に示す第一モードは、第一センサ40の検出結果に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。また、以下に示す第二モードは、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。
第一モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部11からの電力を負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11からの電力が負荷Hの消費電力に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池12に充電する。ハイブリッドパワコン13は、蓄電池12を最大充電電力(蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量)で充電しても太陽光発電部11からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Sへと逆潮流させる。
上記負荷Hへの電力の供給において、ハイブリッドパワコン13は、第一センサ40の検出結果に基づいて蓄電池12の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
一方、第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行う。第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて、例えば系統電源Sからの電力(深夜電力)を蓄電池12に充電させることができる。
ここで、燃料電池30は、前述の如く負荷追従運転を行うことができるが、絶えず負荷追従運転を行うと、燃料電池30で発電された電力によって、太陽光発電部11で発電された電力の自家消費が減少する場合がある。
そこで、電力供給システム1においては、燃料電池30の「発電要請時刻」を決定する発電要請時刻設定制御を行う。
ここで、「発電要請時刻」とは、燃料電池30が他の時刻に対して優先的に発電を行う時刻を示すものである。燃料電池30は、発電要請時刻において所定の条件を満たす場合に、発電を行うこととなる。具体的には、燃料電池30は、学習機能により作成した発電計画によって発電可能な時間帯が定められているが、当該時間帯のうち発電要請時刻に優先的に発電を行う。換言すれば、発電計画に基づいて発電可能とされた時刻であっても、発電要請時刻でなければ燃料電池30は発電を行わない。但し、燃料電池30は、発電要請時刻以外の時刻であっても、排熱を利用可能である(貯湯タンク32が満タンでない)場合、発電を行うことができる。
以下、図2を用いて、燃料電池30の発電要請時刻の設定方法(発電要請時刻設定制御)について説明する。なお、図2の発電要請時刻設定制御は、1日1回実行される。また、図2の発電要請時刻設定制御は、日照時間が終わる少し前に開始され、例えば17時に開始される。なお、以下の図2の発電要請時刻設定制御及び後述する図3の発電要請時刻再設定制御についての説明において、「当日」及び「翌日」とは、図2の発電要請時刻設定制御の開始時を基準としている。
ステップS11において、EMS60は、翌日の電力需要、PV発電電力(太陽光発電部11による発電電力)及び余剰電力を予測する。この処理において、EMS60は、太陽光発電部11の過去の発電電力のデータ、及び翌日の天気予報(例えば15時発表の天気予報)等に基づいて、当該予測を行う。EMS60は、燃料電池30が全く発電しない想定で当該予測を行う。本実施形態においては、EMS60は、当該ステップS11の予測及び後述するステップS12のフラグの設定を1時間単位で行う。また、EMS60は、翌日の6時(台)から17時(台)の電力需要、PV発電電力及び余剰電力を予測する。
ここで、「余剰電力」とは、負荷Hの消費電力(電力需要)に対する太陽光発電部11及び燃料電池30による発電電力の余剰分を示すものである。なお、燃料電池30が全く発電しない想定であるので、ステップS11で予測される「余剰電力」は、電力需要に対するPV発電電力の余剰分となる。
EMS60は、当該ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
ステップS12において、EMS60は、フラグの設定を行う。具体的には、EMS60は、余剰電力が発生する時刻にフラグを立てる。
図4は、翌日の各時刻における余剰電力及びフラグの設定の一例を示すものである。図4に示す例においては、翌日の6時、10時、12時、14~17時において余剰電力が発生している。このため、EMS60は、翌日の6時、10時、12時、14~17時にフラグを立てる。
EMS60は、当該ステップS12の処理を行った後、ステップS13に移行する。
ステップS13において、EMS60は、フラグの更新を行う。具体的には、EMS60は、フラグが立てられた時刻の直後の指定時間(例えば3時間)の全ての時刻にフラグが立てられていない場合、当該時刻のフラグを取り消す。
図4に示す例においては、6時にフラグが立てられているが、6時以降の3時間(7~9時)にはフラグが立てられていない。よって、6時のフラグが取り消される。一方、10時にフラグが立てられており、10時以降の3時間のうち12時にフラグが立てられている。よって、10時のフラグは取り消されず維持される。また、15時及び16時にフラグが立てられているが、15時及び16時以降の指定時間は3時間未満しか取れない。このように指定時間が3時間未満しか取れない場合であっても、当該指定期間におけるフラグの有無に基づいて、フラグの維持又は取消しを判定する。また、17時にフラグが立てられているが、17時以降に指定時間は存在しない。このように指定時間が存在しない場合、フラグは維持される。このようにして、フラグが更新される。
EMS60は、当該ステップS13の処理を行った後、ステップS14に移行する。
ステップS14において、EMS60は、発電要請時刻の設定を行う。具体的には、EMS60は、開始時刻から最初にフラグが立てられた時刻までを発電要請時刻とする。ここで、「開始時刻」とは、発電要請時刻が開始される時刻を示すものである。開始時刻は太陽光発電部11が発電しない時刻に設定され、本実施形態においては、当日の19時に設定されている。
図4に示す例においては、フラグ更新後において、最初にフラグが立てられている時刻は翌日の10時である。よって、EMS60は、開始時刻(当日の19時)から翌日の10時までを、発電要請時刻とする。
なお、ステップS13においてフラグの更新を行ったが、仮に6時のフラグを取り消さない場合、ステップS14において発電要請時刻は開始時刻(当日の19時)から翌日の6時までとなる。そうすると、余剰電力が発生しない7~9時において燃料電池30が発電しないため、系統電源Kからの購入電力量が増加してしまう。このため、ステップS13においては、余剰電力が発生する時刻であっても、当該時刻の直後の指定時間(例えば3時間)に余剰電力が発生していない場合は、当該時刻のフラグを取り消して余剰電力が発生していないとみなすこととしている。
EMS60は、当該ステップS14の処理を行った後、図2に示す発電要請時刻設定制御を終了する。
以下、図3を用いて、燃料電池30の発電要請時刻の再設定方法(発電要請時刻再設定制御)について説明する。なお、図3の発電要請時刻再設定制御は、図2の発電要請時刻設定制御の後に実行される。
ステップS15において、EMS60は、現在時刻が発電要請時刻終了の1時間前となっているか否かを判定する。本実施形態においては、発電要請時刻は翌日の10時に終了するので、EMS60は、現在時刻が翌日の9時となっているか否かを判定する。
EMS60は、現在時刻が発電要請時刻終了の1時間前(翌日の9時)となっていると判定した場合(ステップS15で「YES」)、ステップS16に移行する。一方、EMS60は、現在時刻が発電要請時刻終了の1時間前(翌日の9時)となっていないと判定した場合(ステップS15で「NO」)、図2に示す発電要請時刻設定制御を終了する。
ステップS16において、EMS60は、発電要請時刻の再設定を行う。具体的には、EMS60は、発電要請時刻終了の1時間前(翌日の9時)に、次回の発電要請時刻を再設定する。発電要請時刻は、ステップS14で設定した発電要請時刻と同じ時刻とする。
なお、発電要請時刻が終了(経過)すると、前回の発電要請時刻の設定はリセットされるため、再設定を行わないと燃料電池30をいつ発電するのか(換言すれば、燃料電池30をいつ発電させないのか)が決定されていない状態となる。このため、発電要請時刻の終了直前にステップS16の処理(発電要請時刻の再設定)を行うことにより、例えば翌日の10時~19時は発電要請時刻ではない(燃料電池30の発電を行わない)ことが明確となる。
EMS60は、当該ステップS16の処理を行った後、図2に示す発電要請時刻設定制御を終了する。
燃料電池30は、図2に示す発電要請時刻設定制御で設定された発電要請時刻(当日の19時~翌日の10時)においては、優先的に発電(負荷追従運転)を行う。これに対して、燃料電池30は、原則として発電要請時刻以外の時間(翌日の10時~19時)においては、発電を行わない。
このように、本実施形態に係る電力供給システム1は、図2に示す発電要請時刻設定制御及び図3に示す発電要請時刻再設定制御を実行することによって、燃料電池30は、余剰電力が発生しない時間帯に優先して発電することとなる。言い換えると、余剰電力が発生する時間帯には優先して燃料電池30の発電を停止させる。そうすることで、太陽光発電部11の発電電力を負荷Hの消費電力に充てることができ、ひいては太陽光発電部11の発電電力の自家消費を増大させることができる。これにより、深夜電力の買電単価より太陽光発電部11で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
ここで、燃料電池30は、一般的に、部分負荷運転(出力を下げた低負荷での運転)を行う場合、定格運転を行う場合と比べて発電効率(ひいては電力供給システム1全体の総合効率)が低下する。発電効率の低下は、結果的に光熱費の増大につながる。このため、発電要請時刻(余剰電力が発生していない時間帯)であっても、燃料電池30を部分負荷運転させることは、光熱費の低減という観点から好ましくない。
そこで、本実施形態においては、発電要請時刻であっても、燃料電池30が所定の発電量以下で運転すると予測される低負荷時刻には燃料電池30の発電を停止させる。以下、図5から図7を用いて、燃料電池30の発電停止時刻の設定方法(発電停止時刻設定制御)について説明する。
なお、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御は、1日1回実行される。また、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御は、図2のステップS14が実行された後に実行され、例えば17時30分に実行される。
なお、図5に示すステップS20からS26は、後述の発電停止指示がされていた時刻において、当該発電停止指示を継続するのか或いは解除するのかを決定するものである。また、図6に示すS27からS34及び図7に示すステップS35からS37は、発電停止指示がされていなかった時刻において、発電停止指示を行うか否かを決定するものである。
図5に示すステップS20において、EMS60は、対象時刻(time)を所定の時刻、例えば18時に設定する。ここで、「対象時刻」とは、以降のステップにおける判定や処理の対象の時刻を示すものであり、ここでは発電停止指示の継続/解除を判定する対象の時刻を示すものである。なお、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御についての説明において、「前日」、「当日」及び「翌日」とは、対象時刻の日を基準としている。
EMS60は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS21に移行する。
ステップS21において、EMS60は、前日の対象時刻(例えば18時)に発電停止指示があったか否かを判定する。ここで、「発電停止指示」とは、後述するステップS32(図6)及びステップS37(図7)で行われるものであり、EMS60から燃料電池30に対して発電を停止するよう指示するものである。
EMS60は、前日の対象時刻に発電停止指示があったと判定した場合(ステップS21で「YES」)、ステップS22に移行する。一方、EMS60は、前日の対象時刻に発電停止指示がなかったと判定した場合(ステップS21で「NO」)、ステップS25に移行する。
ステップS22において、EMS60は、前日の対象時刻における(1時間当りの)電力需要<250Whであったか否かを判定する。EMS60は、前日の対象時刻における第一センサ40及び第二センサ50の検出結果に基づいて、前日の対象時刻における電力需要を算出する。なお、「250Wh」とは、燃料電池30の発電効率の低下を考慮して設定される値であり、燃料電池30に応じて任意に設定される値である。
EMS60は、前日の対象時刻における電力需要<250Whであったと判定した場合(ステップS22で「YES」)、ステップS23に移行する。一方、EMS60は、前日の対象時刻における電力需要<250Whでなかったと判定した場合(ステップS22で「NO」)、ステップS24に移行する。
ステップS23において、EMS60は、当日における対象時刻の発電停止指示を継続する。これにより、燃料電池30は、当日における対象時刻において発電が停止されることとなる。
一方、ステップS24において、EMS60は、当日における対象時刻の発電停止指示を解除する。そして、EMS60は、当日の対象時刻において停止禁止フラグをオンする。なお、「停止禁止フラグ」とは、燃料電池30の発電停止を禁止する(すなわち発電を可能とする)ことを示すものであり、停止禁止フラグがオンされた時刻においては、燃料電池30の発電停止が不可となる。
EMS60は、当該ステップS23又はS24の処理を行った後、ステップS25に移行する。
ステップS25において、EMS60は、対象時刻を1時間進める。EMS60は、現在の対象時刻が例えば18時である場合、対象時刻を19時に設定する。
EMS60は、当該ステップS25の処理を行った後、ステップS26に移行する。
ステップS26において、EMS60は、対象時刻がステップS20の対象時刻の24時間後(すなわち翌日の18時)より前であるか否かを判定する。
EMS60は、対象時刻が翌日の18時より前であると判定した場合(ステップS26で「YES」)、ステップS21に処理を戻す。そして、EMS60は、ステップS21からS26までの処理を繰り返すことにより、18時以降の各時刻(1時間毎)における発電停止指示の継続/解除を決定する。
一方、EMS60は、対象時刻が翌日の18時より前でないと判定した場合、(ステップS26で「NO」)、図6に示すステップS27に移行する。すなわち、EMS60は、18時から翌日の18時より前の時刻(17時)までの全ての時刻において発電停止指示の継続/解除を決定した後に、図6に示すステップS27に移行する。
図6に示すステップS27において、EMS60は、対象時刻を当日の18時に設定する。
EMS60は、当該ステップS27の処理を行った後、ステップS28に移行する。
ステップS28において、EMS60は、前日の対象時刻に発電停止指示がなかったか否かを判定する。
EMS60は、前日の対象時刻に発電停止指示がなかったと判定した場合(ステップS28で「YES」)、ステップS29に移行する。一方、EMS60は、前日の対象時刻に発電停止指示があったと判定した場合(ステップS28で「NO」)、ステップS33に移行する。
ステップS29において、EMS60は、当日の対象時刻における需要予測<250Whであったか否かを判定する。ここで、「需要予測」とは、天気予報等に基づいて予測される電力需要(電力需要の予測値)を示すものである。
EMS60は、当日の対象時刻における需要予測<250Whであったと判定した場合(ステップS29で「YES」)、ステップS30に移行する。一方、EMS60は、当日の対象時刻における需要予測<250Whでなかったと判定した場合(ステップS29で「NO」)、ステップS33に移行する。
ステップS30において、EMS60は、対象時刻において停止禁止フラグがオフされているか否かを判定する。なお、停止禁止フラグはステップS24(図5)においてオンされた後、所定の期間(例えば1ヶ月)経過後に自動的にオフされるようになっている。
EMS60は、対象時刻において停止禁止フラグがオフされていると判定した場合(ステップS30で「YES」)、ステップS31に移行する。一方、EMS60は、対象時刻において停止禁止フラグがオフされていない(すなわち停止禁止フラグがオンされている)と判定した場合(ステップS30で「NO」)、ステップS33に移行する。
ステップS31において、EMS60は、対象時刻の1時間前又は1時間後の各時刻に発電停止指示があったか否かを判定する。
EMS60は、対象時刻の1時間前又は1時間後の各時刻に発電停止指示があったと判定した場合(ステップS31で「YES」)、ステップS32に移行する。一方、EMS60は、対象時刻の1時間前及び1時間後の時刻ともに発電停止指示がなかったと判定した場合(ステップS31で「NO」)、ステップS33に移行する。
ステップS32において、EMS60は、対象時刻において発電停止指示を行う。
EMS60は、当該ステップS32の処理を行った後、ステップS33に移行する。
ステップS33において、EMS60は、対象時刻を1時間進める。EMS60は、現在の対象時刻が例えば18時である場合、対象時刻を19時に設定する。
EMS60は、当該ステップS33の処理を行った後、ステップS34に移行する。
ステップS34において、EMS60は、対象時刻が翌日の18時より前であるか否かを判定する。
EMS60は、対象時刻が翌日の18時より前であると判定した場合(ステップS34で「YES」)、ステップS28に処理を戻す。そして、EMS60は、ステップS28からS34までの処理を繰り返すことにより、既に発電停止指示がされた時刻の前後の時刻にまで発電停止指示を行うか(すなわち、既に発電停止指示がされた時刻から前後の時刻にまで発電停止指示を拡張するか)否かを決定する。
一方、EMS60は、対象時刻が翌日の18時より前でないと判定した場合(ステップS34で「NO」)、図7に示すステップS35に移行する。
図7に示すステップS35において、EMS60は、全ての時刻において発電停止指示がないか否かを判定する。
EMS60は、全ての時刻において発電停止指示がないと判定した場合(ステップS35で「YES」)、ステップS36に移行する。一方、EMS60は、全ての時刻において発電停止指示がないわけではない(発電停止指示がされた時刻がある)と判定した場合(ステップS35で「NO」)、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御を終了する。
ステップS36において、EMS60は、需要予測<250Whの時刻が連続する時間帯があるか否かを判定する。
EMS60は、需要予測<250Whの時刻が連続する時間帯があると判定した場合(ステップS36で「YES」)、ステップS37に移行する。一方、EMS60は、需要予測<250Whの時刻が連続する時間帯がないと判定した場合(ステップS36で「NO」)、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御を終了する。
ステップS37において、EMS60は、需要予測<250Whの時刻が連続する時間帯に停止指示を行う。EMS60は、当該連続する時間帯が複数ある場合、連続時間数が最大の時間帯に発電停止指示を行う。EMS60は、連続時間数が同数の場合、1日の中で早い時間帯に発電停止指示を行う。
EMS60は、当該ステップS37の処理を行った後、図5から図7に示す発電停止時刻設定制御を終了する。
図8は、各時刻における発電停止指示の設定等の一例を示すものである。図8に示す例においては、前日に発電停止指示した時刻(8時及び9時)の需要実績(電力需要の実績値)が250Wh(0.25kWh)以上である(図5に示すステップS22でNO)。このため、8時及び9時において、発電停止指示が解除されるとともに停止禁止フラグがオンされる(図5に示すステップS24)。
そうすると、全ての時刻で停止指示がなくなる(図7に示すステップS35でYES)。図8に示すように、1時~3時及び、5時~9時の時間帯においては、需要予測が250Wh未満の時刻が連続している(図7に示すステップS36でYES)。そして、8時及び9時においては停止禁止フラグがオンされているので、両時間帯ともに連続時間数は3時間である。そして、連続時間数が同数である場合は早い時間帯が優先されるため、1~3時に発電停止指示が行われる。
図9は、各時刻における発電停止指示等の設定の一例を示すものである。図9に示す例においては、前日に発電停止指示した時間帯(1時~3時)の需要実績が250Wh未満である(図5に示すステップS22でYES)。このため、1時~3時において発電停止指示が継続される。
そして、1時~3時の前後の時刻(12時及び4時)のうち、4時の需要予測が250Wh未満である(図6に示すステップS31でYES)。このため、4時にも発電停止指示を行う。これにより、1時から4時まで発電停止指示が拡張される。
ここで、全ての時刻に発電停止指示がされていない場合、発電停止指示の継続又は解除の判断(図5のステップS23又はS24)や前後に発電停止指示があるか否かの判断(図6のステップS32)を行わず、図7のステップS35からS37の処理を行うこととなる。したがって、全ての時刻に発電停止指示がされていない最初の段階においては、需要予測に基づいて発電停止時刻を設定する。具体的には、電力需要が所定量(例えば250Wh)未満と予測される時刻においては、燃料電池30の発電を停止させる(図7に示すステップS35からS37)。これにより、燃料電池30の低負荷運転を抑制し、ひいては燃料電池30の発電効率の維持を図っている。
ここで、本実施形態に係る電力供給システム1において、EMS60は、電力需要(負荷Hの消費電力)を第一センサ40又は第二センサ50の検出値に基づいて算出している。しかしながら、EMS60は、燃料電池30の発電状況(発電の有無)や発電量を把握することができないため、当該検出値が、燃料電池30が発電したうえでのもの(負荷Hの消費電力量から燃料電池30の発電量を引いたもの)であるのか、それとも燃料電池30の発電が停止したうえでのもの(負荷Hの消費電力量そのもの、すなわち系統電源Kからの購入電力量)であるのかを判別することができない。もし当該検出値が燃料電池30が発電したうえでのものである場合、本来発電を停止させなくてもよい時刻まで発電停止指示をしてしまうおそれがある。
したがって、本実施形態に係る電力供給システム1においては、まずは需要予測に基づいて発電停止指示を行い(発電停止時刻を設定し)、そして需要実績に基づいて発電停止指示の継続/解除を決定する。
具体的には、需要予測に基づいて発電停止時刻を設定したうえで(図7に示すステップS37)、発電停止時刻の需要実績が所定値(例えば250Wh)より少なかった場合(図5に示すステップS22でYES)、発電停止指示を継続する(図5に示すステップS23)。一方、発電停止時刻帯の需要実績が所定値(例えば250Wh)以上であった場合(図5に示すステップS22でNO)、発電停止指示を解除する(図5に示すステップS24)。これにより、発電停止時刻の需要実績(すなわち、燃料電池30の発電が停止された状態での電力需要)に基づいて発電停止指示を行うのか否かを決定することができる。
また、発電停止指示を継続する場合、発電停止時刻の前後の時刻の需要予測が所定値(例えば250Wh)より少なかった場合、当該前後の時刻にまで発電停止指示を拡張する。これにより、既に発電停止指示がされている時刻と連続する時刻を発電停止とするので、燃料電池30の停止及び再起動を行うことなく、燃料電池30の部分負荷運転の時間を低減することができる。
以下、図10及び図11を用いて、燃料電池30の発電時間の設定の具体例を示す。
図10は、燃料電池30の発電時間を調整する前の消費電力及びPV発電電力等を示した図である。なお、図10及び後述する図11においては、太陽光発電部11(PV)と燃料電池30(FC)の発電電力の合計を二点鎖線で示している。図10に示す例においては、燃料電池30は、常時負荷追従運転を行っており、余剰電力が発生する時間帯(9~16時頃)においても発電(負荷追従運転)している。このため、余剰電力が発生する時間帯において、太陽光発電部11で発電された電力は電力需要に用いられることなく、蓄電池12へ充電され、それでも余剰する分は系統電源Kへ売電されている。
図11は、燃料電池30の発電時間を調整した後の電力需要(消費電力)及びPV発電電力等を示した図である。図11に示す例においては、余剰電力が発生する時間帯(9~16時頃)において燃料電池30が発電を停止している(発電要請指示を行っていない)ため、太陽光発電部11で発電された電力の一部は電力需要に用いられている(自家消費されている)。また、深夜から早朝(0~5時頃)においては、電力需要が比較的少ない(例えば250Wh未満である)ので、燃料電池30の発電を停止している。これにより、燃料電池30の低負荷運転が抑制され、ひいては燃料電池30の発電効率を維持することができる。
このように、本実施形態に係る電力供給システム1は、図2に示す発電要請時刻設定制御及び図3に示す発電要請時刻再設定制御を実行することによって、余剰電力が発生しない時間帯に発電要請時刻を設定して燃料電池30を優先的に発電する(図2に示すステップS11からS14)。すなわち、余剰電力が発生する時間帯には燃料電池30の発電を停止させる。そうすることで、燃料電池30による発電電力が減少した分、太陽光発電部11の発電電力の自家消費率を向上させることができる。これにより、深夜電力の買電単価より太陽光発電部11で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、図5から図7までに示す発電停止時刻設定制御を実行することによって、発電要請時刻であっても、燃料電池30が低負荷運転を行うと予測される場合には燃料電池30の発電を停止させる。そうすることで、燃料電池30が比較的小さい出力で運転を行うことが抑制されるので、燃料電池30の発電効率を維持(向上)させることができる。
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部11(発電部)と、燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池30と、前記燃料電池30の動作を制御するEMS60(制御部)と、を具備し、前記EMS60は、前記太陽光発電部11で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する余剰電力を予測し、前記余剰電力が発生しない時刻を、前記燃料電池30を他の時刻に対して優先的に発電する発電要請時刻(優先時刻)に設定し(図2のステップS14)、前記発電要請時刻のうち前記燃料電池30が所定の発電量以下で運転すると予測される低負荷時刻においては前記燃料電池30の発電を停止するように、前記燃料電池30に対して発電停止指示を行う(図5のステップS23、図6のステップS32、図7のステップS37)ものである。
このように構成されることにより、太陽光発電部11で発電された電力の自家消費の向上を図りつつ、燃料電池30の発電効率の維持を図ることができる。
具体的には、余剰電力が発生しない時刻に燃料電池30の発電時間を設定することにより、燃料電池30による発電電力が減少した分、太陽光発電部11の発電電力の自家消費率を向上させることができる。
また、燃料電池30が比較的小さい出力で運転を行うことが抑制されるので、燃料電池30の発電効率を維持(向上)させることができる。
また、前記低負荷時刻には、電力需要が第一閾値(例えば250Wh)未満であると予測される時刻(図6のステップS29でYES、図7のステップS36でYES)が含まれるものである。
このように構成されることにより、燃料電池30の発電効率の維持をより図ることができる。
具体的には、燃料電池30が所定の出力以下で運転を行うことが抑制されるので、燃料電池30の発電効率を維持(向上)させることができる。
また、前記低負荷時刻には、電力需要の実績値が第二閾値(例えば250Wh)未満である時刻(図5のステップS22でYES)が含まれるものである。
このように構成されることにより、燃料電池30の発電効率の維持をより図ることができる。
具体的には、燃料電池30が所定の出力以下で運転を行うことが抑制されるので、燃料電池30の発電効率を維持(向上)させることができる。
また、前記EMS60は、前記発電停止指示がされていた時刻の電力需要の実績値が第三閾値(例えば250Wh)未満である場合(図5のステップS22でYES)、同じ時刻の前記発電停止指示を継続し(図5のステップS23)、前記実績値が前記第三閾値以上である場合(図5のステップS22でNO)、同じ時刻の前記発電停止指示を解除する(図5のステップS24)ものである。
このように構成されることにより、燃料電池30の発電効率の維持をより図ることができる。
具体的には、燃料電池30の発電を停止させた状態の電力需要に基づいて発電停止指示の継続又は解除が判定されるので、燃料電池30の発電効率維持の精度を向上させることができる。
また、前記EMS60は、前記発電停止指示がされていた時刻の電力需要の実績値が前記第三閾値(例えば250Wh)以上である場合(図5のステップS22でNO)、同じ時刻に前記発電停止指示がされるのを所定期間禁止する(停止禁止フラグをオンする、図5のステップS24)ものである。
このように構成されることにより、光熱費の低減を図ることができる。
具体的には、電力需要が比較的多い時間帯に燃料電池30が発電することができるので、購入電力量の増加を抑制することができる。
また、前記EMS60は、前記発電停止指示がされていた時刻と連続する前又は後の時刻における電力需要の予測値が第四閾値未満である場合(図6のステップS29、S31でYES、)、当該前又は後の時刻にまで前記発電停止指示を拡張する(図6のステップS32)ものである。
このように構成されることにより、燃料電池30の起動に要する電力の消費を抑制しつつ、燃料電池30の発電効率の維持を図ることができる。
具体的には、既に発電停止指示がされている時刻と連続する時刻を発電停止とするので、燃料電池30の停止及び再起動を行うことなく、燃料電池30の低負荷運転の時間を低減することができる。
また、前記EMS60は、前記低負荷時刻が連続する低負荷時間帯が複数ある場合、連続時間数が最大の前記低負荷時間帯において前記燃料電池30の発電を停止するように、前記発電停止指示を行う(図7のステップS37)ものである。
このように構成されることにより、燃料電池30の起動に要する電力の消費を抑制しつつ、燃料電池30の発電効率の維持を図ることができる。
具体的には、互いに連続しない複数の低負荷時間帯の両方に発電停止指示を行うと燃料電池30の停止及び再起動が必要となる。また、連続時間数が短い方に発電停止指示を行うと燃料電池30の低負荷運転の時間が多くなる。そこで、連続時間数が最大の低負荷時間帯にのみ発電停止指示を行うことにより、燃料電池30の停止及び再起動を行うことなく、燃料電池の低負荷運転の時間を低減することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
また、本実施形態において発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部11であるものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
また、本実施形態においては、燃料電池30の発電停止時刻は、電力需要の予測値及び実績値の両方に基づいて決定されるものとしたが、電力需要の予測値又は実績値のいずれか一方に基づいて決定されるものであってもよい。
また、本実施形態においては、EMS60は、図7のステップS37において、需要予測<250Whの連続する時間帯が複数ある場合、連続時間数が最大の時間帯に発電停止指示を行うものとしたが、図5のステップS22又は図6のステップS29において需要予測<250Whの連続する時間帯が複数ある場合にも、連続時間数が最大の時間帯に発電停止指示を行うものとしてもよい。