JP2022034666A - エアレスタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐久性を向上することができるエアレスタイヤを提供する。【解決手段】 接地面を有する環状のトレッドリング2と、トレッドリング2のタイヤ半径方向内側に配されるハブ3と、トレッドリング2とハブ3とを連結するスポーク部4とを備えたエアレスタイヤ1である。ハブ3は、金属材料からなる。スポーク部4は、樹脂又はエラストマー材料からなる。ハブ3とスポーク部4との間に、ポリアミド樹脂を含む接着補強層5を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、エアレスタイヤに関する。
下記特許文献1には、エアレスタイヤが記載されている。このエアレスタイヤは、円筒状のトレッドリングと、トレッドリングの半径方向内側に配される金属製のハブと、トレッドリングとハブとを連結する樹脂又はエラストマーからなるスポークとを具えている。
上記のエアレスタイヤでは、ハブとスポークとが、互いに異なる材料で形成されている。したがって、この種のエアレスタイヤの耐久性を向上させるためには、ハブとスポークとの間の接着強度を高めることが重要である。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、耐久性を向上することができるエアレスタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、接地面を有する環状のトレッドリングと、前記トレッドリングのタイヤ半径方向内側に配されるハブと、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポーク部とを備えたエアレスタイヤであって、前記ハブは、金属材料からなり、前記スポーク部は、樹脂又はエラストマー材料からなり、前記ハブと前記スポーク部との間に、ポリアミド樹脂を含む接着補強層を有することを特徴とする。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記接着補強層の厚さが1~10(mm)であってもよい。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記接着補強層の曲げ弾性率が50~300(MPa)であってもよい。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記接着補強層は、前記ハブの外周面の全周に亘って形成されていてもよい。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6又はポリアミド12をハードセグメント部とするポリアミドエラストマーであってもよい。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記スポーク部は、熱可塑性の樹脂又はエラストマーからなるものでもよい。
本発明に係る前記エアレスタイヤにおいて、前記熱可塑性の樹脂は、ポリウレタン樹脂又はポリウレタンエラストマーであってもよい。
本発明のエアレスタイヤは、ハブとスポーク部との間に、金属及び樹脂の双方との接着性に優れたポリアミド樹脂を含む接着補強層を有している。これにより、本発明のエアレスタイヤは、前記ハブと前記スポーク部との間の接着強度を高め、ひいては、耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれていることが理解されなければならない。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれていることが理解されなければならない。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
[エアレスタイヤの基本構造]
本実施形態のエアレスタイヤの基本構造が説明される。
図1は、エアレスタイヤ1の一例を示す側面図である。図2は、その斜視図である。図3は、図1の要部拡大断面図である。図1ないし図3に示されるように、エアレスタイヤ1は、トレッドリング2と、そのタイヤ半径方向内側に配されるハブ3と、トレッドリング2とハブ3とを連結するスポーク部4とを備えている。
本実施形態のエアレスタイヤの基本構造が説明される。
図1は、エアレスタイヤ1の一例を示す側面図である。図2は、その斜視図である。図3は、図1の要部拡大断面図である。図1ないし図3に示されるように、エアレスタイヤ1は、トレッドリング2と、そのタイヤ半径方向内側に配されるハブ3と、トレッドリング2とハブ3とを連結するスポーク部4とを備えている。
[トレッドリング]
トレッドリング2は、環状のゴム部材である。トレッドリング2は、例えば、加硫ゴムで形成される。トレッドリング2のタイヤ半径方向の外側面は、地面(路面)と接触するための接地面2aとして形成される。この接地面2aには、各種の排水用の溝(図示省略)が形成されても良い。また、トレッドリング2のタイヤ半径方向の内周面2bには、スポーク部4が接合されている。
トレッドリング2は、環状のゴム部材である。トレッドリング2は、例えば、加硫ゴムで形成される。トレッドリング2のタイヤ半径方向の外側面は、地面(路面)と接触するための接地面2aとして形成される。この接地面2aには、各種の排水用の溝(図示省略)が形成されても良い。また、トレッドリング2のタイヤ半径方向の内周面2bには、スポーク部4が接合されている。
好ましい態様では、トレッドリング2には、内部に補強コード層2c(図3に示す)が配される。補強コード層2cは、例えば、複数の有機繊維コード又はスチールコードが所定の向きに配向された層からなる。このような補強コード層2cは、トレッドリング2のタイヤ周方向及び/又はタイヤ軸方向の剛性を高め、操縦安定性を向上させるのに役立つ。さらに、トレッドリング2には、一部に樹脂材料が添加又は複合されても良い。
[ハブ]
ハブ3は、車軸(図示省略)を固定するためのものである。本実施形態のハブ3は、金属材料によって構成されている。ハブ3は、例えば、ディスク部3aと、そのタイヤ半径方向外側に形成された円筒状部3bとを一体に備える。ディスク部3aは、トレッドリング2と同芯に配されている。ディスク部3aには、例えば、センターボア3cや取付孔3dなどが形成されている。
ハブ3は、車軸(図示省略)を固定するためのものである。本実施形態のハブ3は、金属材料によって構成されている。ハブ3は、例えば、ディスク部3aと、そのタイヤ半径方向外側に形成された円筒状部3bとを一体に備える。ディスク部3aは、トレッドリング2と同芯に配されている。ディスク部3aには、例えば、センターボア3cや取付孔3dなどが形成されている。
[スポーク部]
スポーク部4は、トレッドリング2とハブ3との間に形成され、これらを一体に連結している。
スポーク部4は、トレッドリング2とハブ3との間に形成され、これらを一体に連結している。
スポーク部4は、タイヤ走行時の振動を吸収し、乗り心地性能を向上させる機能を有する。このため、スポーク部4は、例えば、荷重支持能力を十分に発揮し得る強度を持つ材料で形成されるのが望ましい。本実施形態のスポーク部4は、樹脂又はエラストマー材料8で形成されている。なお、樹脂又はエラストマー材料8には、後述の接着補強層5のポリアミド樹脂9とは異なる樹脂が選択されるのが望ましい。
樹脂又はエラストマー材料8は、適宜選択されうる。本実施形態の樹脂又はエラストマー材料8は、熱可塑性の樹脂又はエラストマーによって構成される。このような熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8は、熱硬化性のものに比べて、エアレスタイヤ1の製造工程でのスポーク部4の硬化時間(成形時間)を短縮することができる。したがって、エアレスタイヤ1の生産性を向上させることができる。
熱可塑性の樹脂は、適宜選択されうる。本実施形態の熱可塑性の樹脂には、ポリウレタン樹脂又はポリウレタンエラストマーが採用されるのが望ましい。このような熱可塑性の樹脂は、スポーク部4に必要な強度や弾性率を有しており、エアレスタイヤ1の耐久性を向上させるのに役立つ。
本実施形態のスポーク部4は、例えば、タイヤ半径方向外側のアウターリング部4aと、タイヤ半径方向内側のインナーリング部4bと、複数のスポークエレメント4cとを一体的に備えている。
アウターリング部4aは、例えば、トレッドリング2の内周面2bに接合された環状体である。
インナーリング部4bは、ハブ3の外周面(より具体的には、円筒状部3bの外周面)3e側に接合された環状体である。
各スポークエレメント4cは、それぞれ、タイヤ半径方向に延びて、アウターリング部4aとインナーリング部4bとを互いに接続している。各スポークエレメント4cは、例えば、走行時に撓むことで、トレッドリング2に入力された衝撃を緩和することができる。スポークエレメント4cの形状等は、図示の態様に限定されるものではなく、例えば、タイヤ半径方向又は周方向にジグザグ状に延びるものや、タイヤ周方向断面において、網目状にのびるもの等、種々の態様が採用される。
[接着補強層]
本実施形態のエアレスタイヤ1は、図3に示されるように、ハブ3とスポーク部4との間に、ポリアミド樹脂9を含む接着補強層5を有する。ポリアミド樹脂9は、金属及び樹脂(又はエラストマー材料)の双方との接着性に優れる性質を有している。このため、接着補強層5は、金属材料からなるハブ3と、樹脂又はエラストマー材料8からなるスポーク部4との間の接着強度を高めることができる。これにより、本実施形態のエアレスタイヤ1は、接着補強層5を有しない従来のエアレスタイヤ(図示省略)に比べて、ハブ3とスポーク部4との剥離を効果的に防ぐことができるため、耐久性を向上させることができる。
本実施形態のエアレスタイヤ1は、図3に示されるように、ハブ3とスポーク部4との間に、ポリアミド樹脂9を含む接着補強層5を有する。ポリアミド樹脂9は、金属及び樹脂(又はエラストマー材料)の双方との接着性に優れる性質を有している。このため、接着補強層5は、金属材料からなるハブ3と、樹脂又はエラストマー材料8からなるスポーク部4との間の接着強度を高めることができる。これにより、本実施形態のエアレスタイヤ1は、接着補強層5を有しない従来のエアレスタイヤ(図示省略)に比べて、ハブ3とスポーク部4との剥離を効果的に防ぐことができるため、耐久性を向上させることができる。
ポリアミド樹脂9は、スポーク部4として採用可能な樹脂のうち、とりわけ、ポリウレタン樹脂及びポリウレタンエラストマーとの接着性が良好である。したがって、本実施形態のように、スポーク部4がポリウレタン樹脂又はポリウレタンエラストマーからなる場合、接着補強層5は、優れた接着強度を発揮することができる。
ポリアミド樹脂9は、金属及び樹脂(又はエラストマー材料)の双方との接着性に優れるものであれば、適宜採用されうる。本実施形態のポリアミド樹脂9には、ポリアミド6又はポリアミド12をハードセグメント部とするポリアミドエラストマーが採用されるのが望ましい。このようなポリアミドエラストマーは、金属及び樹脂(又はエラストマー材料)の双方との接着性に優れるだけでなく、耐熱性及び耐久性にも優れる。
接着補強層5の厚さW1(図3に示す)は、1~10mmに設定されるのが望ましい。厚さW1が1mm以上に設定されることにより、ハブ3とスポーク部4との間の接着強度を効果的に高めることができる。一方、厚さW1が10mm以下に設定されることによって、エアレスタイヤ1が装着された車両の走行中に作用するハブ3とスポーク部4との間の歪み等によって、接着補強層5が破壊するのを防ぐことができる。さらに、走行中に接着補強層5の動きが大きくなるのを防ぐことができるため、乗り心地性能を向上させることができる。このような作用を効果的に発揮させるために、厚さW1は、好ましくは3mm以上であり、また、好ましくは8mm以下である。
接着補強層5の曲げ弾性率は、50~300MPaであるのが望ましい。曲げ弾性率が50MPa以上に設定されることによって、ハブ3とスポーク部4との間の接着強度を効果的に高めることができる。さらに、走行中に接着補強層5の動きが大きくなるのを防ぐことができ、乗り心地性能を向上させることができる。一方、曲げ弾性率が300MPa以下に設定されることによって、走行中のスポーク部4の変形に対して、接着補強層5が追従することができるため、接着補強層5の破壊を防ぎつつ、乗り心地性能を向上させることができる。このような作用を効果的に発揮させるために、曲げ弾性率は、好ましくは100MPa以上であり、また、好ましくは250MPa以下である。
本明細書において、「曲げ弾性率」は、接着補強層5と同一のポリアミド樹脂からなる試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)について、ISO178に準じて測定された値である。
図1に示されるように、接着補強層5は、ハブ3の外周面3eの全周に亘って形成されるのが望ましい。これにより、接着補強層5は、ハブ3とスポーク部4との間の接着強度を効果的に高めることができ、エアレスタイヤ1の耐久性を向上させることができる。
[エアレスタイヤの製造方法]
次に、エアレスタイヤ1の製造方法が説明される。
次に、エアレスタイヤ1の製造方法が説明される。
[トレッドリング及びハブの準備]
本実施形態は、トレッドリング2(図8に示す)とハブ3(図6に示す)とを準備する工程を含む。トレッドリング2は、例えば、慣例にしたがって、未加硫ゴム材料やコード材料等を所定形状に成型し、これを金型等で加硫することにより得られる。一方、ハブ3は、鋳造、鍛造、切削等の各種の方法により製造される。ハブ3の外周面3eには、ショットブラストなどの下地処理及び/又は接着剤が塗布されてもよい。これは、ハブ3と接着補強層5との接着力を高めるのに役立つ。
本実施形態は、トレッドリング2(図8に示す)とハブ3(図6に示す)とを準備する工程を含む。トレッドリング2は、例えば、慣例にしたがって、未加硫ゴム材料やコード材料等を所定形状に成型し、これを金型等で加硫することにより得られる。一方、ハブ3は、鋳造、鍛造、切削等の各種の方法により製造される。ハブ3の外周面3eには、ショットブラストなどの下地処理及び/又は接着剤が塗布されてもよい。これは、ハブ3と接着補強層5との接着力を高めるのに役立つ。
[接着補強層の形成]
本実施形態は、ハブ3の外周面3eに、ポリアミド樹脂9を含む接着補強層5を形成する工程を含む。これにより、ハブ3の外周面3eに接着補強層5が形成されたハブ複合体21(図4に示す)が得られる。接着補強層5の形成には、第1金型10(図5に示す)が用いられる。図4は、ハブ複合体21の一例を示す平面図である。図5は、第1金型10の一例を示す平面図である。
本実施形態は、ハブ3の外周面3eに、ポリアミド樹脂9を含む接着補強層5を形成する工程を含む。これにより、ハブ3の外周面3eに接着補強層5が形成されたハブ複合体21(図4に示す)が得られる。接着補強層5の形成には、第1金型10(図5に示す)が用いられる。図4は、ハブ複合体21の一例を示す平面図である。図5は、第1金型10の一例を示す平面図である。
図5に示されるように、第1金型10は、例えば、下型10Aと、下型10Aに対して相対的に上下方向に移動可能な上型(図示省略)とを含む。図5では、下型10Aと上型とを閉じた状態で、それらの合わせ面20よりも下側が示されている。
第1金型10の下型10Aには、円柱状の凹部からなるキャビティ11が形成されている。キャビティ11は、本質的に、円形をなす底面13と、底面13から立ち上がる内周面14とを含み、その上部は、上型(図示省略)で閉じられる。
キャビティ11は、第1キャビティ16と第2キャビティ17とを含む。図5では、これらの理解を助けるために、第1キャビティ16と第2キャビティ17との第1境界15が仮想線で示されている。
第1キャビティ16は、予め準備されたハブ3(図5で仮想線で示す)を配置するための空間である。第1キャビティ16には、底面13から上向きに延びる突出軸18及び19が設けられている。ハブ3は、その軸心を上下方向として、第1キャビティ16に配置され、実質的に第1キャビティ16を埋める。換言すると、ハブ3の外周面3eが、本質的に、第1キャビティ16と第2キャビティ17との第1境界15を規定する。
ハブ3のセンターボア3cや取付孔3d(図4に示す)は、それぞれ第1キャビティ16の突出軸18及び19に差し込まれる。これは、第1キャビティ16に、ハブ3を正確に位置合わせするのに役立つ。
第2キャビティ17は、第1キャビティ16に配置されたハブ3の外周面3eに、接着補強層5(図4に示す)を成形するための空間である。第2キャビティ17は、第1キャビティ16の外側に連なり、環状に延びている。本実施形態の第2キャビティ17は、下型10Aの底面13、キャビティ11の内周面14、第1キャビティ16に配置されたハブ3の外周面3e、及び、上型(図示省略)で画定される。第2キャビティ17には、その中にポリアミド樹脂9を射出するためのゲート(図示省略)が連通している。
以上のように構成された第1金型10を用いて、接着補強層5を成形する好ましい手順は次のとおりである。図6は、第1金型10に配置されたハブ3の一例を示す平面図である。
次に、第1金型10に上記ハブ3が配置される。具体的には、第1金型10を開き、その下型10Aの第1キャビティ16に、ハブ3が配置される。そして、上型(図示省略)を下型10Aに嵌合させ、第1金型10が閉じられる。
次に、第2キャビティ17に、ゲート(図示省略)を介して、溶融したポリアミド樹脂9が射出(加圧注入)される。これにより、第2キャビティ17に、ポリアミド樹脂9が充填される。ポリアミド樹脂9の射出には、例えば、慣例にしたがって、射出成形機(図示省略)が用いられる。
次に、第1金型10内でポリアミド樹脂9が冷却、硬化される。これにより、図4に示したように、ハブ3の外周面3eに接着補強層5が形成されたハブ複合体21が得られる。
[ハブ複合体の取り出し]
本実施形態は、ハブ複合体21を第1金型10から取り出す工程を含む。具体的には、第1金型10を開き、ハブ複合体21(図4に示す)が取り出される。
本実施形態は、ハブ複合体21を第1金型10から取り出す工程を含む。具体的には、第1金型10を開き、ハブ複合体21(図4に示す)が取り出される。
[トレッドリング及びハブ複合体の第2金型への配置]
図7は、第2金型22の一例を示す平面図である。図8は、第2金型22に配置されたトレッドリング2及びハブ複合体21の一例を示す平面図である。
図7は、第2金型22の一例を示す平面図である。図8は、第2金型22に配置されたトレッドリング2及びハブ複合体21の一例を示す平面図である。
図8に示されるように、本実施形態は、第2金型22に、トレッドリング2と、ハブ複合体21とを配置する工程を含む。第2金型22は、トレッドリング2と、ハブ3(ハブ複合体21)とを連結するスポーク部4を成形して、エアレスタイヤ1を一体成型するためのものである。
図7に示されるように、第2金型22は、例えば、下型22Aと、下型22Aに対して相対的に上下方向に移動可能な上型22Bとを含む。図7では、上型22Bと下型22Aとを閉じた状態において、それらの合わせ面31よりも下側を示し、上型22Bが断面として示されている。
第2金型22の下型22Aには、円柱状の凹部からなるキャビティ23が形成されている。キャビティ23は、本質的に、円形をなす底面24と、底面24から立ち上がる内周面25とを含み、その上部は、上型22Bで閉じられる。
キャビティ23は、第3キャビティ部26、第4キャビティ部27、及び、第5キャビティ部28を含む。図7では、これらの理解を助けるために、第3キャビティ部26と第5キャビティ部28との第2境界29、及び、第4キャビティ部27と第5キャビティ部28との第3境界30が、それぞれ二点鎖線(仮想線)で示されている。
第3キャビティ部26は、予め準備されたトレッドリング2(図8に示す)を収容するための空間である。本実施形態では、トレッドリング2の外周面は、キャビティ23の内周面25にほぼ揃えて配置される。したがって、この状態において、トレッドリング2の内周面2b(図8に示す)に対応する位置が、本質的に、第3キャビティ部26と第5キャビティ部28との第2境界29(二点鎖線で示す)を規定する。
第4キャビティ部27は、ハブ複合体21を収容するための空間である。第4キャビティ部27には、底面24から上向きに延びる突出軸32及び33が設けられている。ハブ複合体21は、その軸心を上下方向として、第4キャビティ部27に配置され、実質的に第4キャビティ部27を埋める。換言すると、ハブ複合体21(接着補強層5)の外周面21a(図8に示す)が、本質的に、第4キャビティ部27と第5キャビティ部28との第3境界30(二点鎖線で示す)を規定する。
図8に示されるように、ハブ3のセンターボア3cや取付孔3dは、それぞれ第4キャビティ部27の突出軸32及び33に差し込まれる。これは、第4キャビティ部27に、ハブ3(ハブ複合体21)を正確に位置合わせするのに役立つ。
図7に示されるように、第5キャビティ部28は、第3キャビティ部26に配置されたトレッドリング2と、第4キャビティ部27に配置されたハブ3(ハブ複合体21)との間に、スポーク部4(図8に示す)を成形するための空間である。第5キャビティ部28は、第3キャビティ部26と、第4キャビティ部27との間を連通している。本実施形態の第5キャビティ部28は、下型22Aの底面24、複数の突起34、複数の突起35、第2境界29(図8に示した内周面2b)、第3境界30(図8に示した外周面21a)、及び、上型22Bで画定される。
複数の突起34は、下型22Aの底面24から上向きに延びている。一方、複数の突起35は、上型22Bから下方に延びている。これらの突起35は、下型22Aと上型22Bとを閉じたときに、下型22Aの突起34、34間に進入し、第5キャビティ部28を画定する。本実施形態の第5キャビティ部28のハブ複合体21側には、熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8を、第5キャビティ部28に射出するための射出ゲート(図示省略)が連通している。
図8に示されるように、各突起34、35とトレッドリング2の内周面2bとの間には、スポーク部4のアウターリング部4a(図1に示す)を形成するための環状の第1隙間36が形成されている。同様に、各突起34、35とハブ複合体21の外周面21aとの間には、スポーク部4のインナーリング部4b(図1に示す)を形成するための環状の第2隙間37が形成されている。本実施形態では、第2隙間37に、射出ゲート(図書省略)が連通している。さらに、円周方向に隣接する複数の突起34、35の間には、それぞれ、スポークエレメント4c(図1に示す)を形成するための第3隙間38が形成されている。
第1隙間36~第3隙間38は、互いに連通されている。このため、溶融した熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8が、射出ゲート(図示省略)を介して第2隙間37に射出されることにより、第2隙間37から第3隙間38を介して、第1隙間36へと充填されうる。
以上のように構成された第2金型22に、上記のトレッドリング2とハブ複合体21とが配置される。具体的には、第2金型22を開いて、図8に示されるように、下型22Aの第3キャビティ部26にトレッドリング2が配置され、かつ、第4キャビティ部27にハブ複合体21が配置される。そして、上型22Bを下型22Aに嵌合させ、第2金型22が閉じられる。これにより、本実施形態では、第2金型22に、トレッドリング2とハブ複合体21とが配置される。
なお、トレッドリング2の配置に先立ち、トレッドリング2の内周面2bには、例えば、トレッドリング2とスポーク部4との接着力を高めるために、表面処理及び/又は接着剤が塗布されても良い。さらに、ハブ複合体21の配置に先立ち、ハブ複合体21(接着補強層5)の外周面21aには、接着補強層5とスポーク部4との接着力を高めるために、表面処理及び/又は接着剤が塗布されても良い。
[スポーク部の成形]
本実施形態は、第2金型22に配置されたトレッドリング2とハブ複合体21との間に、溶融した熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8を射出して、トレッドリング2とハブ3(ハブ複合体21)とを連結するスポーク部4を成形する工程を含む。このスポーク部4の成形により、エアレスタイヤ1が一体成型される。
本実施形態は、第2金型22に配置されたトレッドリング2とハブ複合体21との間に、溶融した熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8を射出して、トレッドリング2とハブ3(ハブ複合体21)とを連結するスポーク部4を成形する工程を含む。このスポーク部4の成形により、エアレスタイヤ1が一体成型される。
本実施形態では、第5キャビティ部28(第1隙間36~第3隙間38)に、射出ゲート(図示省略)を介して、溶融した熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8が射出(加圧注入)される。これにより、第2金型22に配置されたトレッドリング2とハブ複合体21との間に、熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8が充填される。熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8の射出には、例えば、慣例にしたがって、射出成形機(図示省略)が用いられる。
次に、第2金型22内で、熱可塑性の樹脂又はエラストマー材料8が冷却、及び、硬化される。これにより、トレッドリング2とハブ3(ハブ複合体21)とを連結するスポーク部4が成形されて、それらが一体成形されたエアレスタイヤ1が得られる。
[エアレスタイヤの取り出し]
本実施形態は、エアレスタイヤ1を第2金型22から取り出す工程を含む。具体的には、第2金型22を開き、エアレスタイヤ1が取り出される。
本実施形態は、エアレスタイヤ1を第2金型22から取り出す工程を含む。具体的には、第2金型22を開き、エアレスタイヤ1が取り出される。
本実施形態の製造方法では、ハブ3とスポーク部4との間に、ポリアミド樹脂9(図4に示す)を含む接着補強層5を形成することができる。このため、ハブ3とスポーク部4との間の接着強度を高め、ひいては、耐久性を向上させることが可能なエアレスタイヤ1を確実に製造することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
以下、本発明のより具体的かつ非限定的な実施例が説明される。
[実施例A]
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズ145/70R12に相当するタイヤ)が試作された(実施例1)。実施例1のエアレスタイヤの製造方法は、次の通りである。
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズ145/70R12に相当するタイヤ)が試作された(実施例1)。実施例1のエアレスタイヤの製造方法は、次の通りである。
実施例1の製造方法では、加硫ゴムからなるトレッドリング及びアルミニウム合金からなるハブが準備された。トレッドリングは、170℃×20分の条件で加硫された。トレッドリングの内部には、外側補強コード層及び内側補強コード層が配置されている。これらの詳細は、以下の通りである。
<外側補強コード層>
・プライ数:2枚
・補強コード:スチールコード
・コードの角度:+21度/-21度
<内側補強コード層>
・プライ数:2枚
・補強コード:スチールコード
・コードの角度:+21度/-21度
<外側補強コード層>
・プライ数:2枚
・補強コード:スチールコード
・コードの角度:+21度/-21度
<内側補強コード層>
・プライ数:2枚
・補強コード:スチールコード
・コードの角度:+21度/-21度
次に、実施例1では、ハブの外周面に、接着剤(ロード・ファー・イーストコーポレーション社製の商品名「ケムロック」)が塗布された。接着剤の層厚さは、20μmに設定された。
次に、実施例1では、接着剤が塗布されたハブが、第1金型に配置された。そして、ハブの外周面に、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製の商品名「UBESTA(登録商標)」)が射出されて、接着補強層(厚さW1:3mm、曲げ弾性率:150MPa)が形成された。これにより、ハブ複合体が成形された。なお、ポリアミド樹脂は、PA12(ポリアミド12)をハードセグメント部とするポリアミドエラストマーである。
次に、実施例1では、トレッドリングの内周面に、上記の接着剤が塗布された。次に、実施例1では、第2金型に、トレッドリング及びハブ複合体が配置された。そして、実施例1では、第2金型のトレッドリングとハブとの間に、熱可塑性ポリウレタン樹脂が射出された。これにより、トレッドリングとハブ(ハブ複合体)とを連結するスポーク部が成形されて、エアレスタイヤが製造された。
比較のために、接着補強層を有さないエアレスタイヤが製造された(比較例)。比較例のエアレスタイヤは、接着補強層を除いて、実施例1と同一の構造を有している。そして、実施例1及び比較例のエアレスタイヤについて、耐久性が評価された。テスト方法は、次のとおりである。
<耐久性>
評価対象のエアレスタイヤについて、ハブとスポーク部との間の接着強度が、JISK6854に準拠して実施される剥離試験(T字剥離)によって評価された。結果は、実施例1の接着強度を100とする指数で示されている。数値が大きいほど、接着強度が高く、良好であること示している。なお、耐久性は、数値が60以上であれば良好であることを示している。
テストの結果が、表1に示される。
評価対象のエアレスタイヤについて、ハブとスポーク部との間の接着強度が、JISK6854に準拠して実施される剥離試験(T字剥離)によって評価された。結果は、実施例1の接着強度を100とする指数で示されている。数値が大きいほど、接着強度が高く、良好であること示している。なお、耐久性は、数値が60以上であれば良好であることを示している。
テストの結果が、表1に示される。
テストの結果、実施例1は、比較例に比べて、ハブとスポーク部との間の接着強度を高めることができ、エアレスタイヤの耐久性を向上させることができた。
[実施例B]
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズは、実施例Aと同一)が試作された(実施例1~6)。実施例2~6の構成は、接着補強層の厚さW1を除いて、実質的に実施例1の構成(実施例Aに記載)と同一である。
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズは、実施例Aと同一)が試作された(実施例1~6)。実施例2~6の構成は、接着補強層の厚さW1を除いて、実質的に実施例1の構成(実施例Aに記載)と同一である。
そして、実施例1~6のエアレスタイヤについて、耐久性及び乗り心地性能が評価された。耐久性の評価方法は、実施例Aに記載のとおりである。また、乗り心地性能のテスト方法は、次のとおりである。
<乗り心地性能>
評価対象のタイヤが、車両(小型EV:商品名COMS)の4輪に装着され、1名乗車にてドライアスファルト路面のタイヤテストコースを走行し、乗り心地性能についてドライバーの官能評価によって評価された。結果は、実施例1を100とする指数で示されており、数値の大きいほど、良好であることが示されている。テストの結果が、表2に示される。
評価対象のタイヤが、車両(小型EV:商品名COMS)の4輪に装着され、1名乗車にてドライアスファルト路面のタイヤテストコースを走行し、乗り心地性能についてドライバーの官能評価によって評価された。結果は、実施例1を100とする指数で示されており、数値の大きいほど、良好であることが示されている。テストの結果が、表2に示される。
テストの結果、接着補強層の厚さW1が好ましい範囲に設定された実施例1及び実施例3~5は、この他の実施例2及び実施例6に比べて、ハブとスポーク部との間の接着強度を高めつつ、乗り心地性能を維持することができた。
[実施例C]
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズは、実施例Aと同一)が試作された(実施例1及び実施例7~11)。実施例7~11の構成は、接着補強層の曲げ弾性率を除いて、実質的に実施例1の構成(実施例Aに記載)と同一である。
図1~3の基本構造をなすエアレスタイヤ(タイヤサイズは、実施例Aと同一)が試作された(実施例1及び実施例7~11)。実施例7~11の構成は、接着補強層の曲げ弾性率を除いて、実質的に実施例1の構成(実施例Aに記載)と同一である。
そして、実施例1及び実施例7~11のエアレスタイヤについて、耐久性及び乗り心地性能が評価された。耐久性のテスト方法は、実施例Aに記載のとおりである。また、乗り心地性能のテスト方法は、実施例Cに記載のとおりである。テストの結果が、表3に示される。
テストの結果、接着補強層の曲げ弾性率が好ましい範囲の実施例1及び実施例7~10は、この他の実施例11に比べて、ハブとスポーク部との間の接着強度を高めつつ、乗り心地性能を維持することができた。
1 エアレスタイヤ
2 トレッドリング
3 ハブ
4 スポーク部
5 接着補強層
2 トレッドリング
3 ハブ
4 スポーク部
5 接着補強層
Claims (7)
- 接地面を有する環状のトレッドリングと、前記トレッドリングのタイヤ半径方向内側に配されるハブと、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポーク部とを備えたエアレスタイヤであって、
前記ハブは、金属材料からなり、
前記スポーク部は、樹脂又はエラストマー材料からなり、
前記ハブと前記スポーク部との間に、ポリアミド樹脂を含む接着補強層を有する、
エアレスタイヤ。 - 前記接着補強層の厚さが1~10(mm)である、請求項1に記載のエアレスタイヤ。
- 前記接着補強層の曲げ弾性率が50~300(MPa)である、請求項1又は2に記載のエアレスタイヤ。
- 前記接着補強層は、前記ハブの外周面の全周に亘って形成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエアレスタイヤ。
- 前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6又はポリアミド12をハードセグメント部とするポリアミドエラストマーである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエアレスタイヤ。
- 前記スポーク部は、熱可塑性の樹脂又はエラストマーからなる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエアレスタイヤ。
- 前記熱可塑性の樹脂は、ポリウレタン樹脂又はポリウレタンエラストマーである、請求項6記載のエアレスタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020138474A JP2022034666A (ja) | 2020-08-19 | 2020-08-19 | エアレスタイヤ |
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2020
- 2020-08-19 JP JP2020138474A patent/JP2022034666A/ja active Pending
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