JP2022034096A - テラヘルツ発振素子、その製造方法、および、テラヘルツ発振装置 - Google Patents

テラヘルツ発振素子、その製造方法、および、テラヘルツ発振装置 Download PDF

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嘉人 齋藤
Yoshito Saito
健成 寺嶋
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【課題】 高温超伝導ウィスカ結晶を用いたテラヘルツ発振素子、その製造方法およびテラヘルツ発振装置を提供すること。【解決手段】 本発明のテラヘルツ発振素子は、十字接合された、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と、第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを備え、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を備える。高温超伝導ウィスカ結晶は、それぞれ、Bi-2212相、Bi-2201相およびBi-2223相からなる群から少なくとも1種選択される結晶相を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、高温超伝導ウィスカ結晶を用いたテラヘルツ発振素子、その製造方法、および、それを用いたテラヘルツ発振装置に関する。
銅酸化物高温超伝導体の固有ジョセフソン接合を利用したテラヘルツ発振器が開発された(例えば、非特許文献1を参照)。非特許文献1によれば、Bi系高温超伝導単結晶BiSrCaCuを用いメサ構造に加工することにより、テラヘルツ発振を報告する。このような固有ジョセフソン接合を利用したテラヘルツ発振器は、量子カスケードレーザ、共鳴トンネルダイオードに次ぐ、第三の小型テラヘルツ発振源として注目されている。
しかしながら、非特許文献1で用いる高温超伝導単結晶は、フローティングゾーン(FZ)法などの高価な単結晶育成装置を使用する必要があり、その単結晶育成プロセスも困難である。また、メサ構造への加工には、フォトリソグラフィ、エッチング等の微細加工プロセスを必要とする。このため、歩留まりが低く、コスト高となっている。
一方、高温超伝導体ウィスカを用いたジョセフソン素子が開発された(例えば、特許文献1、非特許文献2を参照)。特許文献1、非特許文献2によれば、高温超伝導ウィスカ結晶を交差させ、熱処理をすることにより、ジョセフソン結合が形成されることを報告する。しかしながら、このようにして得られた素子によるテラヘルツ発振は確認されていない。
特許第4092393号公報
L.Ozyuzerら,SCIENCE,VOL.318,23,NOVEMBER 2007 羽多野 毅ら,日本金属学会誌第66,巻第4号,2002,247-253
以上から、本発明の課題は、高温超伝導ウィスカ結晶を用いたテラヘルツ発振素子、その製造方法およびテラヘルツ発振装置を提供することである。
本発明によるテラヘルツ発振素子は、十字接合された、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と、第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを備え、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を備え、これにより上記課題を解決する。
前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶および前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶は、それぞれ、Bi-2212相、Bi-2201相およびBi-2223相からなる群から少なくとも1種選択される結晶相を有してもよい。
前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶および前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶の厚さ方向は、前記結晶相のc軸方向であってもよい。
前記電流抑制部は、切り欠き、および/または、改質処理された結晶であってもよい。
前記電流抑制部は、前記切り欠きであり、前記いずれか一方のウィスカ結晶の全体の厚さのうち前記切り欠きによって残った厚さと前記いずれか一方のウィスカ結晶の幅とによって形成される面積は、前記いずれか一方のウィスカ結晶の短手方向の幅と、前記電流抑制部間の距離とによって形成される面積の1/2000以上であってもよい。
前記電流抑制部は、前記切り欠きであり、前記切り欠きの長さは、前記いずれか一方のウィスカ結晶の全幅の1/2以上であってもよい。
前記改質処理された結晶は、超伝導を示さない領域であってもよい。
前記十字接合において、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶とは、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向に対する前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向のなす角が0°より大きく90°以下の範囲となるように、交差していてもよい。
本発明による上記テラヘルツ発振素子の製造方法は、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを交差させ、熱処理し、接合することと、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を形成することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記電流抑制部を形成することは、集束イオンビーム(FIB)加工、レーザ加工、マイクロ放電加工およびアルゴンイオンミリングからなる群から1以上選択される加工法を用いてもよい。
前記電流抑制部を形成することは、水と反応させてもよい。
前記電流抑制部を形成することは、水素アニール処理を行ってもよい。
前記電流抑制部を形成することは、酸と反応させてもよい。
前記熱処理し、接合することは、酸素を含有する雰囲気中、700℃以上1000℃以下の温度範囲で5分以上10日以下の時間範囲で加熱してもよい。
前記熱処理し、接合することは、酸化マグネシウム(MgO)基板、サファイア基板、アルミナ基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、および、ガラスからなる群から選択される基板上で加熱してもよい。
本発明によるテラヘルツ発振装置は、上記テラヘルツ発振素子と、接合領域に電流を流す電源とを備え、これにより上記課題を解決する。
本発明のテラヘルツ発振素子は、十字接合された一対の高温超伝導ウィスカ結晶において、少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を備えるため、電流を流した際に、十字接合においてウィスカ結晶の厚さ方向に十分に電流が流れる。その結果、有効な固有ジョセフソン接合が電流抑制部間にわたるウィスカ結晶の厚さ方向に形成され、テラヘルツ発振を可能にする。また、このような十字接合されたウィスカ結晶がアンテナとして機能し、指向性を持ったテラヘルツ発振素子を提供できる。本発明のテラヘルツ発振素子を電源とともに用いれば、テラヘルツ発振装置を提供できる。本発明のテラヘルツ発振装置は、非破壊検査、セキュリティ応用、バイオメディカル、環境、材料センシング等に適用される。
本発明のテラヘルツ発振素子の製造方法は、十字接合された一対の高温超伝導ウィスカ結晶において接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を設けるだけでよいので、複雑な加工プロセスを不要とする。また、高温超伝導ウィスカ結晶は特別な結晶育成装置や特殊な技術を要することなく製造されるので、本発明の方法は、歩留まりよくテラヘルツ発振素子を提供できる。
本発明のテラヘルツ発振素子を示す斜視図 本発明のテラヘルツ発振素子の図1のA-A断面を示す模式図 例示的なビスマス系高温超伝導相を示す模式図 電流抑制部を模式的に示す図 本発明のテラヘルツ発振装置を示す模式図 本発明のテラヘルツ発振素子を製造する工程を示すフローチャート Bi-2212相のウィスカ結晶の外観を示す図 例1の素子の光学顕微鏡写真 例1の素子のFIB装置による二次電子像 例1の素子の電流電圧特性、および、発振波強度の電圧依存性を示す図 図12に示す周波数依存性における電流電圧特性のバイアスポイントを示す図 例1の素子の発振波の周波数依存性を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明のテラヘルツ発振素子を示す斜視図である。
図2は、本発明のテラヘルツ発振素子の図1のA-A断面を示す模式図である。
本発明のテラヘルツ発振素子100は、十字接合された、第1の高温超伝導ウィスカ結晶110と第2の高温超伝導ウィスカ結晶120とを備える。十字接合されているとは、接合した第1の高温超伝導ウィスカ結晶110および第2の高温超伝導ウィスカ結晶120の電流電圧特性を測定した際に、1以上の電圧の飛び(ギャップ電圧)を示すことをいい、十字接合によって固有ジョセフソン接合が形成されていることをいう。
本願発明者らは、十字接合された第1の高温超伝導ウィスカ結晶110および第2の高温超伝導ウィスカ結晶120のうち少なくともいずれか一方のウィスカ結晶(図1および図2では第1の高温超伝導ウィスカ結晶110)の接合領域130を挟んだ両端に電流抑制部140a、140bを備えることによって、テラヘルツ発振することを発見した。
特許文献1、非特許文献2に記載されるように十字接合によってウィスカ結晶の界面にのみ固有ジョセフソン接合が形成されるが、電流抑制部140a、140bを備えることにより、電流が第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120の接合領域130に対して垂直方向に流れることができるため、固有ジョセフソン接合が、接合領域130を含む電流抑制部140a、140b間にわたる第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の面(図1の距離Dと第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の短手方向の全幅とによって形成される矩形領域)に対して垂直方向に無数に形成されることになる。電流の増加に伴い、無数に形成された固有ジョセフソン接合210(図2)に電圧が印加されると、固有ジョセフソン接合から電磁波が発生するが、固有ジョセフソン接合が無数に存在するため、電磁波の位相が容易に揃い、テラヘルツ発振を可能にする。なお、本願明細書において、テラヘルツ発振の範囲は、300GHz以上3THzの範囲をいう。
このことから電流抑制部140a、140bは、十字接合された第1の高温超伝導ウィスカ結晶110および第2の高温超伝導ウィスカ結晶120の接合領域130の面内方向に電流が流れることを抑制し、厚さ方向に電流が流れるような働きをする。電流抑制部140a、140bは、電流が流れることを抑制すればよく、電流が完全に流れない状態とするもの、例えば、電流抑制部が後述の切り欠きの場合に実質的に切断した様態や、電流抑制部が後述の改質処理された結晶の場合に厚さ方向全体にわたって結晶性が壊れていたり、非超伝導性になっていたりする様態を含まない。
したがって、電流抑制部140a、140bは、少なくとも一方のウィスカ結晶にあればよいが、両方のウィスカ結晶に設けてもよい。これにより、より電流を接合領域130の厚さ方向に流すことができる。
十字接合において、第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120は、互いが平行になるように接合されない限り、接合様態に制限はないが、第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の長手方向に対する第2の高温超伝導ウィスカ結晶120の長手方向のなす角が0°より大きく90°以下となるように交差している。交差角度によりジョセフソン特性の制御も可能である。例示的には、第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120は、第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の長手方向に対する第2の高温超伝導ウィスカ結晶120の長手方向のなす角が45°以上90°以下となるように交差している。
第1の高温超伝導ウィスカ結晶110および第2の高温ウィスカ結晶120は、高温超伝導性を示し、アスペクト比の大きな繊維状の形状を有するものであれば特に制限はないが、例示的には、ビスマス系高温超伝導である。
図3は、例示的なビスマス系高温超伝導相を示す模式図である。
ビスマス系高温超伝導は、好ましくは、BiSrCuOに代表されるB-2201相、BiSrCaCuに代表されるB-2212相、および、BiSrCaCu10に代表されるB-2223相からなる群から少なくとも一種選択される結晶相を有する。これらのビスマス系高温超伝導は、図3に示すように、超伝導を示す一対のCuO層の間に絶縁性を示すBiO層が位置した構造がc軸方向に積層されており、これ自身が原子レベルで固有ジョセフソン接合を有するため、テラヘルツ発振に有利である。第1の高温超伝導ウィスカ結晶110と第2の高温超伝導ウィスカ結晶120とは、異なるビスマス系高温超伝導相であってもよいし、同じであってもよい。
なお、上述のB-2201相、B-2212相、B-2223相は、結晶構造を壊さない範囲で、ストロンチウム(Sr)サイトをカルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、希土類元素(RE)等で置換したものや、ビスマス(Bi)サイトを鉛(Pb)、テルル(Te)等で置換したものや、銅(Cu)サイトを鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等で置換したものも含むものとする。
このような観点から、第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120が上述のビスマス系高温超伝導である場合、好ましくは、ウィスカ結晶の厚さ方向が、上述の結晶相のc軸方向である。これにより、効率的にテラヘルツを発振できる。第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120の長手方向と短手方向とによってなす面は、好ましくは、上述の結晶相のab面である。
第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120の大きさには特に制限はないが、例示的には、長手方向に100μm以上30mm以下の範囲の長さであり、短手方向に1μm以上100μm以下の範囲の長さであり、厚さ方向に0.1μm以上100μm以下の範囲の長さである板状であってよい。
より好ましくは、第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶110、120は、長手方向に1mm以上10mm以下の範囲の長さであり、短手方向に10μm以上70μm以下の範囲の長さであり、厚さ方向に0.5μm以上30μm以下の範囲の長さを有する板状であり得る。
このような大きさを有するビスマス系高温超伝導からなるウィスカ結晶は、合成が可能であり、例えば、M.Nagaoら,Appl.Phys.Lett.,79,2001,2612、M.Nagaoら,Physica C,377,2002,260、M.Nagaoら,Jpn.J.Appl.Phys.,41,2002,L43に記載の方法によって製造できる。
図4は、電流抑制部を模式的に示す図である。
電流抑制部140a、140bは、電流が第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の面内方向に流れることを抑制する限り、特に形状に制限はないが、好ましくは、図4(A)~(C)に示すように切り欠き、および/または、図4(D)~(E)に示すように改質処理された結晶であってよい。
切り欠きとは、ウィスカ結晶を物理的にミリングしたものである。切り欠きの形状には特に制限はなく、図4(A)に示すようにコの字型であってもよいし、図4(B)に示すようにVの字型であってもよいし、図4(C)に示すようにUの字型であってもよい。図4は単なる例示であって、これに限らない。
切り欠きにおいて、好ましくは、ウィスカ結晶の全体の厚さのうち切り欠きによって残った厚さと、ウィスカ結晶の短手方向の幅とによって形成される面積は、好ましくは、ウィスカ結晶の短手方向の幅と、電流抑制部140a、140b間の距離Dとによって形成される面積(ジョセフソン接合の面積)の1/2000(0.0005)以上であればよい。これにより、切り欠きによってウィスカ結晶の面内方向に電流が流れることを抑制しつつ、導電性を維持できる。上限については、臨界電流と関係がないためジョセフソン接合の面積との比で表すことができないため、特に制限を設けない。
切り欠きにおいて、より好ましくは、ウィスカ結晶の全体の厚さのうち切り欠きによって残った厚さと、ウィスカ結晶の短手方向の幅とによって形成される面積は、好ましくは、ウィスカ結晶の短手方向の幅と、電流抑制部140a、140b間の距離Dとによって形成される面積の0.001以上であればよい。これにより、切り欠きによって残った部分の超伝導臨界電流を超えて、超伝導が破壊することを効率的に抑制できる。特に、上述したビスマス系系高温超電導体は、ab軸方向の臨界電流に対するc軸方向の臨界電流の比が約1/1000であることが知られているため、0.001を下限とすることは妥当である。
切り欠きは、ウィスカ結晶の短手方向の全幅にわたる必要はなく、好ましくは、ウィスカ結晶の全幅の1/2以上であればよい。これにより、切り欠きによってウィスカ結晶の面内方向に電流が流れることを効率的に抑制できる。
改質処理された結晶とは、ウィスカ結晶の一部が超伝導性を示さない領域である。例えば、図4(D)に示すように、ウィスカ結晶の一部の結晶性が壊れた(乱れた)領域(図中斜線で示す領域)であってもよいし、図4(E)に示すように、ウィスカ結晶の一部が非超伝導層(図中ドットで示す領域)であってもよい。これにより、ウィスカ結晶の面内方向に電流が流れることを抑制できる。この場合も、切り欠きと同様の長さや深さに改質処理された結晶の領域を設定することができる。また、切り欠きと改質処理された結晶の領域とを両方採用してもよい。
電流抑制部140a、140bの位置は特に制限はないが、例示的には、接合領域130からそれぞれ0μm以上500μm以下の距離だけ離間して位置する。これにより、ウィスカ結晶の面内方向に電流が流れることを抑制できる。さらに好ましくは、接合領域130からそれぞれ0μm以上50μm以下の距離だけ離間して位置する。この範囲であれば歩留まりよく、本発明のテラヘルツ発振素子を提供できる。
第2の高温超伝導結晶ウィスカ120は電極としても機能するので、金属導体を用いた電極を不要とするため、発熱が少なく、テラヘルツ波を安定して発振できる。
図示しないが、本発明のテラヘルツ発振素子100は、基板上に位置してもよい。これにより、製造時の歩留まりが向上し、排熱が促進されるので、安定してテラヘルツ波を発振できる。このような基板は、例示的には、酸化マグネシウム(MgO)基板、サファイア基板、アルミナ基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、および、ガラスからなる群から選択される。
また、本発明のテラヘルツ発振素子100を基板上に1以上を集積させてもよい。これにより、テラヘルツ波の発振強度を高めることができる。
次に、このようにして得られた本発明のテラヘルツ発振素子を用いた発振装置を説明する。
図5は、本発明のテラヘルツ発振装置を示す模式図である。
本発明のテラヘルツ発振装置500は、上述した本発明のテラヘルツ発振素子100と、この接合領域130に電流を流す電源510とを備える。
電源510から供給された電流は、第1の高温超伝導ウィスカ結晶110が接合領域130を挟んで両端に電流抑制部140a、140bを備えるため、第2の高温超伝導ウィスカ結晶120から接合領域130に対して第1の高温超伝導ウィスカ結晶110へと垂直方向に流れる。その結果、接合領域130に対して垂直方向に電圧が印加されるため、電流抑制部140a、140b間にわたる第1の高温超伝導ウィスカ結晶110の厚さ方向に無数に固有ジョセフソン接合が形成される。無数に形成された固有ジョセフソン接合間で共振が生じ、振動電流が位相を揃えてコヒーレントに流れることで、テラヘルツ波520が外部に発振される。
図示しないが、テラヘルツ発振素子100は冷凍機に配置され、冷却されてもよい。これにより、効率的にテラヘルツ波を発振する。動作時の冷却温度は、4K以上80K以下、より好ましくは、30K以上60K以下の範囲である。これにより、大きな強度を有するテラヘルツ波を発振できる。
このようなテラヘルツ発振装置500を例えば分光器とともに用いれば、高分子、酵素、タンパク質等の同定できる。また、物質の同定だけでなく、本発明のテラヘルツ発振装置は、非破壊検査、セキュリティ応用、バイオメディカル、環境、材料センシング等に適用される。
次に、本発明のテラヘルツ発振素子の製造方法について説明する。
図6は、本発明のテラヘルツ発振素子を製造する工程を示すフローチャートである。
ステップS610:第1の高温超伝導ウィスカ結晶と第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを交差させ、熱処理し、接合する。
ステップS620:前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を形成する。
このように、本発明のテラヘルツ発振素子は、十字接合された一対の高温超伝導ウィスカ結晶において接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を設けるだけでよいので、複雑な加工プロセスを不要とする。
各ステップを詳述する。
ステップS610において、第1の高温超伝導ウィスカ結晶および第2の高温超伝導ウィスカ結晶は、図1を参照して説明したとおりであるため説明を省略する。なお、ビスマス系高温超伝導ウィスカ結晶は、市販品を入手してもよいし、上述した方法によって合成してもよい。
ステップS610において、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを、第1の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向に対する第2の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向のなす角が0°より大きく90°以下となるように交差させる。
ステップS610において、交差させた第1の高温超伝導ウィスカ結晶および第2の高温超伝導ウィスカ結晶を、酸素を含有する雰囲気中、700℃以上1000℃以下の温度範囲で5分以上加熱すればよい。なお、加熱時間に上限はないが、10日以上行っても、接合に変化はないため、10日を上限とする。例示的な酸素分圧は、20%以上100%以下の範囲である。この範囲であれば、接合が促進される。
ステップS610において、交差させた第1の高温超伝導ウィスカ結晶および第2の高温超伝導ウィスカ結晶を、基板上で熱処理し、接合させてもよい。基板上で熱処理することにより、接合が促進される。なお、基板は、上述した、酸化マグネシウム(MgO)基板、サファイア基板、アルミナ基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、および、ガラスからなる群から選択される基板を採用できる。
ステップS610において接合領域に固有ジョセフソン接合が形成されたか否かは、四端子測定により電流電圧特性を測定した際に、1以上の電圧の飛び(ギャップ電圧)を示すか否かによって判定できる。
ステップS620において、電流抑制部140a、140bが切り欠きである場合、集束イオンビーム(FIB)加工、レーザ加工、マイクロ放電加工およびアルゴンイオンミリングからなる群から1以上選択される加工法によって形成される。これらであれば、高温超伝導ウィスカ結晶を物理的にミリングし、切り欠きを形成できる。好ましくは、FIB加工法である。これにより、切り欠きの大きさを高度に制御できる。
ステップS620において、電流抑制部140a、140bがウィスカ結晶の一部の結晶性が壊れた(乱れた)領域である場合、ウィスカ結晶を酸と反応させればよい。これにより酸と反応した領域のウィスカ結晶は、物理的に結晶構造が壊れたり、乱れたりすることになり、電流抑制部として機能する。このような酸には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の無機酸を使用できる。
ステップS620において、電流抑制部140a、140bがウィスカ結晶の一部が非超伝導層である場合、ウィスカ結晶を水と反応させればよい。これにより水と反応した領域のウィスカ結晶の表面には非超伝導層が形成され、電流抑制部として機能する。あるいは、水素アニール処理を行ってもよい。この場合も、水素と反応した領域のウィスカ結晶の表面には非超伝導層が形成される。水素アニール処理は、例えば、100%水素ガス雰囲気下で300℃以上1000℃以下の温度範囲で熱処理すればよい。
なお、電流抑制部140a、140bの形成においては、必要に応じて、ウィスカ結晶の電流抑制部が形成されるべき領域を露出させたマスクを付与し、いずれかの加工または処理を行ってもよい。
図6を参照して、ステップS610、ステップS620の順に行い、本発明のテラヘルツ発振素子を製造する方法を説明してきたが、ステップS620を行った後にステップS610を行ってもよい。すなわち、先に第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶のうち少なくともいずれか一方のウィスカ結晶に2つの電流抑制部を形成(ステップS620相当)し、次いで、2つの電流抑制部で挟まれた領域に接合領域が形成されるよう、第1および第2の高温超伝導ウィスカ結晶を交差させ、熱処理(ステップS610相当)し、十字接合を形成してもよい。このようにしても、本発明のテラヘルツ発振素子100を製造できる。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[高温超伝導ウィスカ結晶の製造]
高温超伝導ウィスカ結晶として、ビスマス系高温超伝導であるBi-2212相のウィスカ結晶を次のようにして製造した。
酸化ビスマス(III)(和光純薬株式会社製)、炭酸ストロンチウム(高純度化学研究所株式会社製)、炭酸カルシウム(高純度化学研究所株式会社製)、酸化銅(II)(フルウチ化学株式会社製)および酸化テルル(和光純薬株式会社製)を、モル比でBi:Sr:Ca:Cu:Te=2:2:2:2:0.5の割合になるように秤量混合し、仮焼成を3回、760℃、790℃、820℃で行った。各温度の仮焼成時間は、いずれも、10時間であった。油圧プレスでφ10のペレットに成型した試料を酸素気流下840℃で50時間熱処理しウィスカ結晶を得た。
このようにして得られたウィスカ結晶が、Bi-2212相のウィスカ結晶であり、厚さ方向がc軸方向であり、面内方向(長手方向と短手方向とによってなす平面)がab面であることを、X線回折装置(株式会社リガク製、MiniFlex600)を用いて同定した。得られたBi-2212相からなるウィスカ結晶の様子を図7に示す。
図7は、Bi-2212相のウィスカ結晶の外観を示す図である。
図7(A)は、ペレットからウィスカ結晶が成長した様子である。図7(B)は、1本のウィスカ結晶の光学顕微鏡写真である。いずれのウィスカ結晶の大きさも、長手方向に500μm~5mm、短手方向に10μ~40μm、厚さ方向に0.5μm~1.5μmであった。
[例1]
例1では、図6に記載の方法にしたがって、テラヘルツ発振素子を製造した。
酸化マグネシウム(MgO)基板(フルウチ化学株式会社製、2mm×2mm×0.5mm)上に1対のウィスカ結晶を90°で交差させ、熱処理し、接合させた(図6のステップS610)。ウィスカ結晶には、長手方向に3mm、短手方向に30μm、厚さ方向に1μmの大きさのものと、長手方向に3mm、短手方向に33μm、厚さ方向に1μmの大きさのものとを、長手方向に1mmとなるよう切断して使用した。熱処理条件は、酸素気流(酸素分圧100%)中、850℃で30分間であった。接合領域に固有ジョセフソン接合が形成されたことを四端子測定法による電流電圧測定から確認した。
次いで、得られた十字接合した一対のウィスカ結晶のうち下側(基板側)のウィスカ結晶(短手方向の長さ30μm)の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を形成した(図6のステップS620)。電流抑制部は、集束イオンビーム(セイコーインスツル社製、SMI9800SE)を用いた切り欠きであった。集束イオンビームの照射条件は、ガリウム(Ga)源を用い、加速電圧30kV、電流密度320pA/cmであった。得られた切り欠きは、図4(A)に示すようにコの字型であり、0.9μmの深さを有し、ウィスカ結晶の全幅にわたり、接合領域から27.5μm離間していた。このようにして得られた素子を例1の素子と呼ぶ。
例1の素子を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、SMZ745T)および電子顕微鏡を用いて観察した。観察結果を図8および図9に示す。電子顕微鏡観察は、上述のFIB装置の二次電子撮影機能を用いて行った。
例1の素子に図5に示すように直流電源を接続し、窓付きパルスチューブ冷凍機に配置し、30K~60Kまで冷却した。四端子測定法により電流電圧特性を測定した。次いで、冷凍機の外部に、ポリエチレンレンズを介して、フーリエ変換赤外分光器(日本分光株式会社、FARIS-1)、および、InSbホットエレクトロンボロメータを配置し、素子から発振波の周波数を測定した。結果を図10~図12に示す。
[例2]
例2では、長手方向に2mm、短手方向に32μm、厚さ方向に0.7μmの大きさと、長手方向に2mm、短手方向に32μm、厚さ方向に0.66μmの大きさとの2本のウィスカ結晶を用い、電流抑制部を形成しない以外は、例1と同様にして素子を得た。このようにして得られた素子を例2の素子と呼ぶ。例1と同様に、例2の素子を観察し、電流電圧特性を測定し、素子からの発振強度を測定した。結果を表2に示す。
[例3]
例3では、図6に記載の方法にしたがって、テラヘルツ発振素子を製造した。例3では、例2の素子のうち1本のウィスカ結晶(短手方向の長さ30μm)に電流抑制部として切り欠きを形成した。例1と同様のFIB条件にて、0.4μmの深さを有し、ウィスカ結晶の全幅にわたり、接合領域から26.5μm離間した切り欠きを形成した。このようにして得られた素子を例3の素子と呼ぶ。例1と同様に、例3の素子を観察し、電流電圧特性を測定し、素子からの発振強度および発振周波数を測定した。結果を表2に示す。
[例4]
例4では、図6に記載の方法にしたがって、テラヘルツ発振素子を製造した。例4では、例3の素子の切り欠きにさらにFIB加工を行い、0.52μmの深さとした。このようにして得られた素子を例4の素子と呼ぶ。例1と同様に、例4の素子を観察し、電流電圧特性を測定し、素子からの発振強度および発振周波数を測定した。結果を表2に示す。
簡単のため、例1~例4の素子の構造を表1に示し、以上の結果をまとめて説明する。
Figure 2022034096000002
図8は、例1の素子の光学顕微鏡写真である。
図9は、例1の素子のFIB装置による二次電子像である。
図8には、例1の素子において、一対のウィスカ結晶が十字接合されており、ウィスカ結晶の端部に銀ペーストが付与されていることが示される。図9によれば、例1の素子の接合領域を挟んだ両端に切り込みが形成されていることが分かる。切り込みは、接合領域から27.5μm離間していた。図示しないが、例3、例4の素子も同様の様態を示した。
図10は、例1の素子の電流電圧特性、および、発振波強度の電圧依存性を示す図である。
図10は、例1の素子を45Kに冷却した際の電流電圧特性である。図10の電流電圧特性によれば、1以上のギャップ電圧が確認され、例1の素子には固有ジョセフソン接合が形成されていることが分かった。図示しないが、例3、例4の素子の電流電圧特性によれば、切り欠きの深さが増すに従い素子のそれのギャップ電圧の数は増大しており、切り欠きが電流抑制部として機能することにより、電流が一対のウィスカ結晶の接合領域に対して垂直方向に流れ、固有ジョセフソン接合が電流抑制部間にわたるウィスカ結晶の厚さ方向に無数に形成されたことが示された。
さらに、図10の発振波強度の変化に着目すると、電流掃引の戻り電流時において、例1の素子からの発振波強度の顕著な増大が確認された。このような傾向は、例1の素子を30K~60Kの全範囲で確認され、特に、35K~45Kの冷却時に、もっとも大きな強度が確認された。
Figure 2022034096000003
表2には、例2~例4の素子のボロメータの信号強度の一覧を示す。例2~例4の素子は、同一の一対の十字接合されたウィスカ結晶について、切り込み深さを変化させ、同一の測定条件において信号強度を測定したため、信号強度を比較できる。表2に示すように、例3、例4の素子は、40Kに冷却した際に、それぞれ、0.1mVおよび0.22mVの強度を示した。一方、例2の素子は、ギャップ電圧を有する電流電圧特性を示したものの、発振波強度の増大は見られなかった。また、図示しないが、例3および例4の素子は、例1の素子と同様に、30K~60Kの全範囲で確認され、特に、35K~45Kの冷却時に、もっとも大きな強度が確認された。
表2によれば、切り込みが深くなるにしたがい、発振強度が高くなることが分かった。このことは、切り欠きが深くなるにともない、電圧の飛びが大きくなったためである。また、以上の結果から、ウィスカ結晶の短手方向の幅と、切り欠き間の距離とによって形成される矩形領域に対して垂直方向(ウィスカ結晶の厚さ方向)に形成された固有ジョセフソン接合が発振に寄与していることを示唆する。
図11は、図12に示す周波数依存性における電流電圧特性のバイアスポイントを示す図である。
図12は、例1の素子の発振波の周波数依存性を示す図である。
例1の素子は、図11の0.72Vのバイアスポイントにおいて、発振し、図12によれば、図10で確認された発振波の周波数が、650GHzであることが分かった。このことから、例1の素子は、テラヘルツ発振素子として機能することが示された。例3および例4の素子も、300GHz~3THzの範囲で発振した。
表1および例1、例3~例4の素子のテラヘルツ発振の結果から、ウィスカ結晶の短手方向の幅と、切り欠き間の距離とによって形成される面積に対する切り欠きによって残った厚さと、ウィスカ結晶の短手方向の幅とによって形成される面積の比は、0.001以上を満たすことが分かった。上限については、臨界電流と関係がないためジョセフソン接合の面積との比では表すことができず、特に制限を設けていないが、切り欠きの深さの観点からすると、0.3μm以上とすればよいことを実験的に確認している。
以上説明してきたように、十字接合された、一対の高温超伝導ウィスカ結晶において、少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に切り欠き等の電流抑制部を備えることにより、テラヘルツ発振することが示され、テラヘルツ発振素子およびそれを用いた装置を提供できることが分かった。
本発明のテラヘルツ発振素子は、非破壊検査、セキュリティ応用、バイオメディカル、環境、材料センシング等に適用される。
100 テラヘルツ発振素子
110 第1の高温超伝導ウィスカ結晶
120 第2の高温超伝導ウィスカ結晶
130 接合領域
140a、140b 電流抑制部
210 固有ジョセフソン接合
500 テラヘルツ発振装置
510 電源

Claims (16)

  1. 十字接合された、第1の高温超伝導ウィスカ結晶と、第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを備え、
    前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を備える、テラヘルツ発振素子。
  2. 前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶および前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶は、それぞれ、Bi-2212相、Bi-2201相およびBi-2223相からなる群から少なくとも1種選択される結晶相を有する、請求項1に記載のテラヘルツ発振素子。
  3. 前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶および前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶の厚さ方向は、前記結晶相のc軸方向である、請求項2に記載のテラヘルツ発振素子。
  4. 前記電流抑制部は、切り欠き、および/または、改質処理された結晶である、請求項1~3のいずれかに記載のテラヘルツ発振素子。
  5. 前記電流抑制部は、前記切り欠きであり、
    前記いずれか一方のウィスカ結晶の全体の厚さのうち前記切り欠きによって残った厚さと前記いずれか一方のウィスカ結晶の幅とによって形成される面積は、前記いずれか一方のウィスカ結晶の短手方向の幅と、前記電流抑制部間の距離とによって形成される面積の1/2000以上である、請求項4に記載のテラヘルツ発振素子。
  6. 前記電流抑制部は、前記切り欠きであり、
    前記切り欠きの長さは、前記いずれか一方のウィスカ結晶の全幅の1/2以上である、請求項4または5に記載のテラヘルツ発振素子。
  7. 前記改質処理された結晶は、超伝導を示さない領域である、請求項4に記載のテラヘルツ発振素子。
  8. 前記十字接合において、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶とは、前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向に対する前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶の長手方向のなす角が0°より大きく90°以下の範囲となるように、交差している、請求項1~7のいずれかに記載のテラヘルツ発振素子。
  9. 第1の高温超伝導ウィスカ結晶と第2の高温超伝導ウィスカ結晶とを交差させ、熱処理し、接合することと、
    前記第1の高温超伝導ウィスカ結晶と前記第2の高温超伝導ウィスカ結晶との少なくともいずれか一方のウィスカ結晶の接合領域を挟んだ両端に電流抑制部を形成することと
    を包含する、請求項1~8のいずれかに記載のテラヘルツ発振素子の製造方法。
  10. 前記電流抑制部を形成することは、集束イオンビーム(FIB)加工、レーザ加工、マイクロ放電加工およびアルゴンイオンミリングからなる群から1以上選択される加工法を用いる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記電流抑制部を形成することは、水と反応させる、請求項9に記載の方法。
  12. 前記電流抑制部を形成することは、水素アニール処理を行う、請求項9に記載の方法。
  13. 前記電流抑制部を形成することは、酸と反応させる、請求項9に記載の方法。
  14. 前記熱処理し、接合することは、酸素を含有する雰囲気中、700℃以上1000℃以下の温度範囲で5分以上10日以下の時間範囲で加熱する、請求項9~13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記熱処理し、接合することは、酸化マグネシウム(MgO)基板、サファイア基板、アルミナ基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、および、ガラスからなる群から選択される基板上で加熱する、請求項9~14のいずれかに記載の方法。
  16. 請求項1~8のいずれかに記載のテラヘルツ発振素子と、
    接合領域に電流を流す電源と
    を備える、テラヘルツ発振装置。
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