JP2022031161A - フィルム、積層体及び包装材並びにフィルムの製造方法 - Google Patents

フィルム、積層体及び包装材並びにフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】室温での生分解性度が高く、海洋生分解性にも優れる、高い生分解性の蒸着フィルムを提供する。この蒸着フィルムを用いることで、少ない層構成でもガスバリア性に優れ、包装材、特に食品用包装材や医薬品用包装材に好適に使用することができ、工業的に有用な積層体を提供する。【解決手段】脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を有するフィルム。基材層の上に、蒸着膜を有し、該蒸着膜の上に、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を含む樹脂層を有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム、該フィルムを基材層の上に積層した積層体及び該積層体を用いた包装材並びに該フィルムの製造方法に関し、より詳細には、脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物を用いた生分解性を有する樹脂層の表面に無機蒸着層を形成した蒸着フィルム、該蒸着フィルムの無機蒸着層を有する面に植物由来成分を有する基材層を配置した生分解性を有する積層体、該積層体を用いた包装材、並びに脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物を用いた樹脂層の表面に無機物を蒸着させて無機蒸着層を形成するフィルムの製造方法に関する。
近年、プラスチック製品の海洋廃棄等による、生態系や環境汚染の懸念が顕在化している。例えば、欧州では、小売業における使い捨てプラスチック製レジ袋や使い捨てプラスチック容器のカップや皿の使用を禁じる規制や法律が制定されつつあり、世界各国において、環境汚染防止の観点などから様々な規制が制定されつつある。最近では、生分解性プラスチックを用いた製品として、例えば、一般家庭でも堆肥にすることが可能なプラスチック製品(ホームコンポスト可能な製品)であるだけでなく、海洋に流出したプラスチック製品が海中でも分解する、海洋生分解可能なプラスチック製品も希求されてきている。
従来から、生分解性を有するプラスチック(樹脂)として、例えばポリブチレンサクシネート(以下、PBSと略記する)、ポリブチレンテレフタレート/アジペート(以下、PBATと略記する)、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート(以下、PBSTと略記する)、ポリ乳酸(以下、PLAと略記する)などが知られている。また、特に海洋においてもある程度の生分解性を有する樹脂として、ポリブチレンサクシネート/アジペート(以下、PBSAと略記する)や、ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと略記する)などが知られている。PHAには、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(以下、PHBと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/3-ヒドロキシバレレート)(以下、PHBVと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、PHBHと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/4-ヒドロキシブチレート)などがある。
食品、飲料品や医薬品などの包装材や積層紙で作られたカップ、トレー、カートンに代表される積層体の加工品は、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、保香性、加工性等を向上させるため、紙単独で使用する場合よりも、紙の片面あるいは両面にプラスチックを積層して使用する場合が多い。これらの食品用包装材や医薬品用包装材においても、近年、生分解性を有するものが検討されている。
特許文献1には、植物由来成分を含む基材層と、脂肪族ポリエステルを含む最外層と、基材層および最外層の間に存在する最外層とは異なる中間層とを有する積層体の、該中間層が、PBSやPBST、PBATなどの脂肪族ポリエステルを含有する積層体により、生分解性や加工性が向上することが開示されている。
また、特許文献2には、ポリ乳酸系又はポリエステル系の生分解性樹脂からなるフィルムに0.1~1.0μmの膜厚の金属蒸着層を形成した蒸着生分解性フィルム及びその蒸着生分解性フィルムを紙や他のフィルムとラミネート加工することが開示されており、ガスバリア性によって食品包装材料に好適に使用できることが開示されている。
特許文献3には、少なくとも2層からなる2軸延伸された脂肪族ポリエステルフィルムであって、非晶性ポリ乳酸系樹脂及び結晶性ポリ乳酸系樹脂の2つの樹脂を含有し、それぞれの各層で、これらの混合比率を規定した脂肪族ポリエステルフィルムが開示されており、またこの脂肪族ポリエステルフィルムの表面にアンカーコートを施し、無機蒸着膜を形成したフィルムも開示されており、このフィルムを用いてなるガスバリア性を付与した包装用資材も開示されている。
特開2013-226833号公報 特開2003-145677号公報 特開2005-53223号公報
近年のより強い自然環境保護に対する社会の流れ、中でも、使用済みプラスチック用品の廃棄に起因する環境汚染(特に使用済みプラスチック用品の海洋廃棄によって引き起こされるマイクロプラスチックによる海洋生物への影響)から、生分解性を有する樹脂としても、部分的な生分解性ではなく、完全生分解性を有する樹脂が要求されている。また、生分解の環境としても、比較的高温(58℃以上)の好気的コンポスト環境(土中)下での生分解性だけでなく、室温(28℃)の好気的コンポスト(土中)環境下での生分解性や海中における高い生分解性が求められている。室温生分解性のみならず海中での生分解性(海洋生分解性)も示すものであれば、例えば、生分解性樹脂からなるフィルムなどを、使用後にホームコンポストとして処理することが可能となるだけでなく、更には海中で生分解することによりマイクロプラスチックによる海洋生物への悪影響をなくすことが可能となる。
一方で、食品用包装材や医薬品包装材などの包装材に関して言えば、生分解性樹脂を用いたフィルムを用いる場合は、加工時における製造コストの観点から、フィルム自体の膜厚や積層体の層構成を少なくすることで、製造コストの低減を図ることが望まれるが、この場合、膜厚や層構成が少なくなるほどガスバリア性が悪化するという問題があった。
特許文献1に記載の技術は、層構成が少なくとも3層以上であり、製造コストの観点から工業的に有利な積層体並びに包装材ではなく、また生分解性についても、比較的生分解しやすい条件下では生分解が進行するが、室温(28℃)の好気的コンポスト(土中)環境下での生分解性や海中における生分解性は十分とは言えなかった。また、特許文献1には、無機蒸着膜を形成することでガスバリア性を向上する点に関しても触れられておらず、食品包装材や医薬品用包装材として適用可能かどうかも示されていなかった。
特許文献2や特許文献3に記載の蒸着生分解性フィルムや脂肪族ポリエステルフィルムは、アルミニウム等の蒸着によって、ガスバリア性や水蒸気透過性はある程度改善するが、具体的に開示されているフィルムとして、生分解性樹脂にポリ乳酸を用いたフィルムしか開示がなく、他の生分解性を有するポリエステルをフィルム化して金属蒸着したものは開示されていない。このため、他の生分解性樹脂を用いた場合にガスバリア性が向上するかは不明であった。また、ポリ乳酸系樹脂によるフィルムは、室温(28℃)の好気的コンポスト(土中)環境下での生分解性や海中における生分解性は十分とは言えなかった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、従来の生分解性樹脂を用いたフィルム及びそのフィルムに金属蒸着を施した蒸着フィルムに比べて、室温での生分解性度が高く、海洋生分解性にも優れ、少ない層構成でもガスバリア性を維持できる、工業的に有利な生分解性樹脂を含む樹脂組成物よりなる蒸着フィルム及びそのフィルムを用いた積層体並びに包装材を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、更に好ましくは、特定のポリヒドロキシアルカノエート(B)を含む樹脂組成物を用いたフィルムに無機蒸着層膜を形成した蒸着生分解性フィルムによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]~[13]に存する。
[1] 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を有するフィルム。
[2] 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に含まれる脂肪族ジカルボン酸に由来する繰り返し単位中にコハク酸単位及び/又はアジピン酸単位を含む、[1]に記載のフィルム。
[3] 前記樹脂組成物が、ポリヒドロキシアルカノエート(B)を更に含有する、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4] 前記ポリヒドロキシアルカノエート(B)が3-ヒドロキシブチレート単位及び3-ヒドロキシヘキサノエート単位を主構成単位として含有する共重合体である、[3]に記載のフィルム。
[5] 前記無機蒸着膜が、アルミニウム、アルミニウムを主体にした合金、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素・酸化アルミニウムの複合体から選ばれた少なくとも1種の無機物を主成分とする蒸着膜である、[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム。
[6] 基材層の上に、蒸着膜を有し、該蒸着膜の上に樹脂層を有する積層体であって、該樹脂層が脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を含む積層体。
[7] 前記基材層が植物由来成分を含む、[6]に記載の積層体。
[8] 前記蒸着膜が、アルミニウム、アルミニウムを主体にした合金、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素・酸化アルミニウムの複合体から選ばれた少なくとも1種の無機物を主成分とする無機蒸着膜である、[6]又は[7]に記載の積層体。
[9] 前記蒸着膜が、前記樹脂層の表面に蒸着により形成された蒸着膜である、[6]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 前記基材層及び前記樹脂層の合計の質量に対し、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の質量割合が、10~70質量%である、[6]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] [6]~[10]のいずれかに記載の積層体を用いてなる包装材。
[12] 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を形成するフィルムの製造方法。
[13] 予めコロナ処理が施された前記樹脂層の少なくとも一方の表面にアンカーコート剤をコーティングした後、該表面に前記無機蒸着膜を形成する、[12]に記載のフィルムの製造方法。
本発明によれば、室温での生分解性度が高く、海洋生分解性にも優れる、高い生分解性の蒸着フィルムを提供することができ、また、この蒸着フィルムを用いることで、少ない層構成でもガスバリア性に優れ、工業的に有利な積層体を提供することができる。この積層体は、包装材、特に食品用包装材や医薬品用包装材に好適に使用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
尚、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
また、本明細書において、“質量%”及び“質量部”と、“重量%”及び“重量部”とは、それぞれ同義である。
〔フィルム〕
本発明のフィルムは、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を有するフィルムであり、好ましくは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に含まれる脂肪族ジカルボン酸に由来する繰り返し単位中にコハク酸単位及び/又はアジピン酸単位を含み、更に好ましくは、本発明の樹脂組成物中に、更にポリヒドロキシアルカノエート(B)を含有するフィルムである。
このような本発明のフィルムは、本発明の樹脂組成物を用いてフィルム成形して得られる樹脂層(以下、「フィルム基材」と称す場合がある。)の少なくとも一方の面に無機蒸着膜を形成することにより製造される。
本発明において、脂肪族ジオールとは脂肪族炭化水素基に水酸基が2つ結合したものをいい、該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。
また、脂肪族ジカルボン酸とは、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2つ結合したものをいい、該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。
また、本発明の樹脂組成物に含まれる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、繰返し単位を有する重合体であるが、それぞれの繰返し単位は、それぞれの繰返し単位の由来となる化合物に対する化合物単位とも呼ぶ。例えば、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位を「脂肪族ジオール単位」、脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位を「脂肪族ジカルボン酸単位」とも呼ぶ。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中の「主構成単位」とは、通常、その構成単位が脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中に80質量%以上含まれる構成単位のことであり、主構成単位以外の構成単位が全く含まれない場合もある。ポリヒドロキシアルカノエート(B)における「主構成単位」についても同様である。
[本発明の樹脂組成物]
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)>
本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)(以下「ポリエステル系樹脂(A)」と称す場合がある。)は、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂である。
本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)は、全ジカルボン酸単位中にコハク酸単位及び/又はアジピン酸単位を含むことが好ましく、全ジカルボン酸単位中にコハク酸単位及びアジピン酸単位を含むことがより好ましい。また、この場合において、ポリエステル系樹脂(A)は、コハク酸単位を全ジカルボン酸単位中に5モル%以上90モル%以下含み、アジピン酸単位を全ジカルボン酸単位中に10モル%以上95モル%以下含むことが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)は、コハク酸単位及び/又はアジピン酸単位の量が異なる脂肪族ポリエステル系樹脂の混合物であってもよい。即ち、コハク酸単位及び/又はアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂とコハク酸単位及びアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂との混合物であってもよいし、更にコハク酸単位及びアジピン酸単位のうちの一方のみを含む脂肪族ポリエステル系樹脂をブレンドしてポリエステル系樹脂(A)におけるコハク酸単位及び/又はアジピン酸単位量を上記好適範囲内に調整して使用することも可能である。
ポリエステル系樹脂(A)が、コハク酸単位及びアジピン酸単位とを含む共重合ポリエステル系樹脂であると、ポリエステル系樹脂(A)の結晶化度が下がり、生分解性をより一層高くすることが可能であり、好ましい。
より具体的には、ポリエステル系樹脂(A)は、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位、および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含むポリエステル系樹脂である。
-O-R-O- (1)
-OC-R-CO- (2)
式(1)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。また、上記式(2)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。上記式(1)、(2)で表される脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位は、石油から誘導された化合物由来であっても、植物原料から誘導された化合物由来であってもかまわないが、植物原料から誘導された化合物由来であることが望ましい。
ポリエステル系樹脂(A)が共重合体である場合には、ポリエステル系樹脂(A)中に2種以上の式(1)で表される脂肪族ジオール単位が含まれていてもよく、ポリエステル系樹脂(A)中に2種以上の式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位が含まれていてもよい。
前述の通り、式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位は、コハク酸単位及びアジピン酸単位を含み、全ジカルボン酸単位に対してコハク酸単位を5モル%以上90モル%以下、アジピン酸単位を10モル%以上95モル%以下含むことが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)がコハク酸単位及びアジピン酸単位を含み、コハク酸単位及びアジピン酸単位含有量が上記所定範囲内であると、成形性が向上するとともに耐熱性、生分解性にも優れた本発明の樹脂組成物を得ることが可能となる。同様の理由から、ポリエステル系樹脂(A)中のコハク酸単位量は、全ジカルボン酸単位に対してより好ましくは10モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、特に好ましくは64モル%以上、とりわけ好ましくは68モル%以上で、より好ましくは88モル%以下、更に好ましくは86モル%以下、特に好ましくは84モル%以下、とりわけ好ましくは82モル%以下である。一方、ポリエステル系樹脂(A)中のアジピン酸単位量は、全ジカルボン酸単位に対してより好ましくは12モル%以上、更に好ましくは14モル%以上、特に好ましくは16モル%以上、とりわけ好ましくは18モル%以上で、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは50モル%以下、特に好ましくは36モル%以下、とりわけ好ましくは32モル%以下である。
また、式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位には、耐熱性や強度、生分解性の制御などの目的で、コハク酸単位及びアジピン酸単位以外の他の構造単位を有していてもよい。コハク酸単位及びアジピン酸単位以外の脂肪族ジカルボン酸単位を含む場合、全ジカルボン酸単位に対してその含有量は70モル%以下であり、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下である。その他の構造単位としては、例えば、セバシン酸、アゼライン酸などの炭素数が4以上10以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体に由来するもの;シュウ酸、マロン酸などのアルキレン鎖の数が2未満であるジカルボン酸に由来するもの;グリコール酸、乳酸などのアルキレン鎖の数が2未満であるヒドロキシカルボン酸に由来するもの;その他、ポリエステル系樹脂の共重合成分として公知のものを挙げることができる。
式(1)で表されるジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数が2以上10以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4以上6以下の脂肪族ジオールが特に好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4-ブタンジオールが特に好ましい。尚、上記脂肪族ジオールは、2種類以上を用いることもできる。
ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族オキシカルボン酸に由来する繰返し単位(脂肪族オキシカルボン酸単位)を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等の誘導体が挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸或いはその誘導体である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
ポリエステル系樹脂(A)がこれらの脂肪族オキシカルボン酸単位を含む場合、その含有量は、成形性の観点から、ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位を100モル%として20モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下であり、最も好ましくは0モル%(含まない)である。
また、ポリエステル系樹脂(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、脂肪族ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位として、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸単位を含んでいてもよい。
また、ポリエステル系樹脂(A)は3官能以上の脂肪族多価アルコール、3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物、或いは3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸成分を共重合することによって、溶融粘度が高められたものであってもよい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能であるが、成形性、機械強度や成形品外観の観点からリンゴ酸等の(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプが好ましく、より具体的には、リンゴ酸が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプに分かれ、何れのタイプも使用可能であるが、カルボキシル基を複数有するものが好ましく、より具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
ポリエステル系樹脂(A)がこのような3官能以上の成分由来の構成単位を含む場合、その含有量は、ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位を100モル%として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明に係る脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造方法は、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。また、この際の重縮合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。通常、エステル化反応を進行させた後、減圧操作を行うことによって更に重合度を高める方法が採用される。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造時に、ジオール単位を形成するジオール成分とジカルボン酸単位を形成するジカルボン酸成分とを反応させる場合には、製造される脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が目的とする組成を有するようにジオール成分およびジカルボン酸成分の使用量を設定する。通常、ジオール成分とジカルボン酸成分とは実質的に等モル量で反応するが、ジオール成分は、エステル化反応中に留出することから、通常はジカルボン酸成分よりも1~20モル%過剰に用いられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に脂肪族オキシカルボン酸単位や芳香族ジカルボン酸単位や、多官能成分単位等の必須成分以外の成分(任意成分)を含有させる場合、その脂肪族オキシカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位や多官能成分単位もそれぞれ目的とする組成となるように、それぞれに対応する化合物(モノマーやオリゴマー)を反応に供するようにする。このとき、上記の任意成分を反応系に導入する時期および方法に制限はなく、本発明に好適な脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を製造できる限り任意である。
例えば脂肪族オキシカルボン酸や芳香族ジカルボン酸単位を反応系に導入する時期および方法は、ジオール成分とジカルボン酸成分との重縮合反応以前であれば特に限定されず、(1)予め触媒を脂肪族オキシカルボン酸溶液又は芳香族ジカルボン酸溶液に溶解させた状態で混合する方法、(2)原料仕込み時に触媒を反応系に導入すると同時に混合する方法、などが挙げられる。
多官能成分単位を形成する化合物の導入時期は、重合初期の他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むようにしてもよく、或いは、エステル交換反応後、減圧を開始する前に仕込むようにしてもよいが、他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込む方が工程の簡略化の点で好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、通常、触媒の存在下で製造される。触媒としては、公知のポリエステル系樹脂の製造に用いることのできる触媒を、本発明の効果を著しく損なわない限り任意に選択することができる。その例を挙げると、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属化合物が好適である。中でもゲルマニウム化合物、チタン化合物が好適である。
触媒として使用できるゲルマニウム化合物としては、例えば、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物などが挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウムおよびテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。
触媒として使用できるチタン化合物としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタンなどの有機チタン化合物が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどが好ましい。
また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。なお、触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
触媒の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、使用するモノマー量に対して、通常0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、また、通常3質量%以下、好ましくは1.5質量%以下である。この範囲の下限を下回ると触媒の効果が現れないおそれがあり、上限を上回ると製造費が高くなったり得られるポリマーに著しい着色を生じたり、耐加水分解性が低下したりするおそれがある。
触媒の導入時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に導入しておいてもよく、減圧開始時に導入してもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を導入する場合は、原料仕込み時に乳酸やグリコール酸等の脂肪族オキシカルボン酸単位を形成するモノマーやオリゴマーと同時に導入するか、又は脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましく、特に、重合速度が速くなるという点で脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を製造する際の温度、重合時間、圧力などの反応条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応および/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。また、反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下である。更に、反応圧力は、通常、常圧~10kPaであるが、中でも常圧が好ましい。また、反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは6時間以下、より好ましくは4時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成が起こり、不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
また、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル反応および/又はエステル交換反応後の重縮合反応は、圧力が、下限が通常0.01×10Pa以上、好ましくは0.03×10Pa以上、上限が通常1.4×10Pa以下、好ましくは0.4×10Pa以下の真空度下で行うことが望ましい。また、この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。更に、反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成で不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造時には、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできる。この場合、鎖延長剤の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成単位を100モル%とした場合のポリエステル系樹脂(A)中のカーボネート結合やウレタン結合の割合として、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。しかしながら、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中にウレタン結合やカーボネート結合が存在すると、生分解性を阻害する可能性があるため、本発明では、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位に対し、カーボネート結合は1モル%未満、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であり、ウレタン結合は0.55モル%以下、好ましくは0.3モル%以下、より好ましくは0.12モル%以下、更に好ましくは0.05モル%以下とするのがよい。この量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100質量部あたりに換算すると、0.9質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。特に、ウレタン結合量が上記上限値を上回ると、成膜工程等において、ウレタン結合の分解のため、ダイス出口からの溶融膜からの発煙や臭気が問題となる場合があり、また、溶融膜中に発泡による膜切れが起こって安定的に成形できないことがある。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中のカーボネート結合量やウレタン結合量は、H-NMRや13C-NMR等のNMR測定結果から算出して求めることができる。
上記鎖延長剤としてのカーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物も使用可能である。
ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの混合体、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示される。
また、その他の鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどを使用してもよい。
珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシシラン等が例示される。
これらの鎖延長剤(カップリング剤)を用いた高分子量ポリエステル系樹脂についても従来の技術を用いて製造することが可能である。鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で無溶媒にて反応系に添加し、重縮合により得られたポリエステルと反応させる。
より具体的には、ジオール成分とジカルボン酸成分とを触媒反応させて得られる、末端基が実質的にヒドロキシル基を有し、重量平均分子量(Mw)が20,000以上、好ましくは40,000以上のポリエステルに上記鎖延長剤を反応させることにより、より高分子量化したポリエステル系樹脂を得ることができる。重量平均分子量が20,000以上のプレポリマーは、少量の鎖延長剤の使用で、溶融状態といった苛酷な条件下でも、残存する触媒の影響を受けないので反応中にゲルを生ずることなく、高分子量のポリエステル系樹脂を製造することができる。ここで、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶媒をクロロホルムとし、測定温度40℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から単分散ポリスチレンによる換算値として求められる。
したがって、例えば鎖延長剤として上記のジイソシアネート化合物を用いて、ポリエステル系樹脂を更に高分子量化する場合には、重量平均分子量が20,000以上、好ましくは40,000以上のプレポリマーを用いることが好ましい。重量平均分子量が20,000未満であると、高分子量化するためのジイソシアネート化合物の使用量が多くなり耐熱性が低下する場合がある。このようなプレポリマーを用いてジイソシアネート化合物に由来するウレタン結合を介して連鎖した線状構造を有するウレタン結合を有するポリエステル系樹脂が製造される。
鎖延長時の圧力は、通常0.01MPa以上1MPa以下、好ましくは0.05MPa以上0.5MPa以下、より好ましくは0.07MPa以上0.3MPa以下であるが、常圧が最も好ましい。
鎖延長時の反応温度は、下限が通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは200℃以上であり、上限が通常250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下である。反応温度が低すぎると粘度が高く均一な反応が難しく、高い攪拌動力も要する傾向があり、また高すぎると、ポリエステル系樹脂のゲル化や分解が併発する傾向がある。
鎖延長を行う時間は、下限が通常0.1分以上、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上であり、上限が通常5時間以下、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、最も好ましくは15分以下である。鎖延長を行う時間が短すぎる場合には、鎖延長剤の添加効果が発現しない傾向があり、また、長すぎる場合には、ポリエステル系樹脂のゲル化や分解が併発する傾向がある。
本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが可能であって、単分散ポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量(Mw)が、通常10,000以上1,000,000以下であるが、成形性と機械強度の点において有利なため、好ましくは20,000以上500,000以下、より好ましくは50,000以上400,000以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に基づいて190℃、荷重2.16kgで測定した値で、通常0.1g/10分以上100g/10分以下であるが、成形性と機械強度の観点から、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のMFRは、分子量により調節することが可能である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点は70℃以上が好ましく、より好ましくは75℃以上であり、170℃以下であることが好ましく、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃未満である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点や弾性率の調整法は特に限定されないが、例えば、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸成分の共重合成分の種類を選択したり、ぞれぞれの共重合比率を調節したり、それらを組み合わせたりすることにより調節することが可能である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)としては、市販品を用いることもでき、PTTMCC Biochem社製「BioPBS(登録商標) FZ71PB」、「BioPBS(登録商標) FZ71PM」、「BioPBS(登録商標) FZ91PB」、「BioPBS(登録商標) FZ91PM」、「BioPBS(登録商標) FD92PB」、「BioPBS(登録商標) FD92PM」、BASF社製「ECOFLEX(登録商標) C1200」を用いることができる。
本発明では、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上の脂肪族ポリエステル樹脂(A)をブレンドして用いることができる。
<ポリヒドロキシアルカノエート(B)>
本発明で用いるポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと称することがある)(B)は、一般式:[-CHR-CH-CO-O-](式中、Rは炭素数1~15のアルキル基である。)で示される繰り返し単位を含む脂肪族ポリエステルであり、好ましくは3-ヒドロキシブチレート単位と3-ヒドロキシヘキサノエート単位を主構成単位として含む共重合体である。
本発明で用いるポリヒドロキシアルカノエート(B)は、成形性、熱安定性の観点から、構成成分として3-ヒドロキシブチレート単位を80モル%以上含むことが好ましく、85モル%以上含むことがより好ましい。また、微生物によって生産されたものが好ましい。ポリヒドロキシアルカノエート(B)の具体例としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂等が挙げられる。
特に、成形加工性および得られる成形体の物性の観点から、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂、即ちPHBHが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)において、3-ヒドロキシブチレート(以下、3HBと称する場合がある)と、共重合している3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、3HHと称する場合がある)等のコモノマーとの構成比、即ち共重合樹脂中のモノマー比率としては、成形加工性および成形体品質等の観点から、3-ヒドロキシブチレート/コモノマー=97/3~80/20(モル%/モル%)であることが好ましく、95/5~85/15(モル%/モル%)であることがより好ましい。このコモノマー比率が3モル%未満であると、成形加工温度と熱分解温度が近接するため成形加工し難い場合がある。コモノマー比率が20モル%を超えると、ポリヒドロキシアルカノエート(B)の結晶化が遅くなるため生産性が悪化する場合がある。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)中の各モノマー比率は、以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定できる。
乾燥PHA約20mgに、2mlの硫酸/メタノール混液(15/85(質量比))と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、PHA分解物のメチルエステルを得る。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生が止まるまで放置する。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、上清中のPHA分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析することにより、共重合樹脂中の各モノマー比率を求められる。
本発明で用いるポリヒドロキシアルカノエート(B)の重量平均分子量(以下、Mwと称する場合がある)は、前記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが可能であって、単分散ポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量(Mw)が、通常200,000以上2,500,000以下であるが、成形性と機械強度の点において有利なため、好ましくは250,000以上2,000,000以下、より好ましくは300,000以上1,000,000以下である。重量平均分子量が200,000未満では、機械物性等が劣る場合があり、2,500,000超えると、成形加工が困難となる場合がある。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に基づいて190℃、荷重2.16kgで測定した値で、好ましくは1g/10分以上100g/10分以下であるが、成形性と機械強度の観点から、より好ましくは80g/10分以下、特に好ましくは50g/10分以下である。ポリヒドロキシアルカノエート(B)のMFRは、分子量により調節することが可能である。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)の融点は100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であり、180℃以下であることが好ましく、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは160℃未満である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)は、例えば、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32株(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)、原寄託日:平成8年8月12日、平成9年8月7日に移管、寄託番号FERM BP-6038(原寄託FERM P-15786より移管))(J.Bacteriol.,179,4821(1997))等の微生物によって産生される。
ポリヒドロキシアルカノエート(B)としては、市販品を用いることもでき、3-ヒドロキシブチレート単位及び3-ヒドロキシヘキサノエート単位を主構成単位として含むポリヒドロキシアルカノエート(B)の市販品としては、カネカ社製「Aonilex(登録商標) X131N」、「Aonilex(登録商標) X131A」、「Aonilex(登録商標) 151A」、「Aonilex(登録商標) 151C」、「PHBH(登録商標) X331N」、「PHBH(登録商標) X131A」、「PHBH(登録商標) 151A」、「PHBH(登録商標) 151C」を用いることができる。
本発明では、ポリヒドロキシアルカノエート(B)は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上のポリヒドロキシアルカノエート(B)をブレンドして用いることができる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート(B)の含有割合>
本発明の樹脂組成物は、上記の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、好ましくは更にポリヒドロキシアルカノエート(B)を含むものであるが、本発明の樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の含有割合としては、成形加工のしやすさの観点から好ましくは70質量%以上である。また、一方で、耐熱性などの他の特性を制御する場合は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の含有割合は1~30質量%である。
また、本発明の樹脂組成物にポリヒドロキシアルカノエート(B)を含む場合、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物に含まれる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート(B)の質量比は、剛性の向上及び成形加工のし易さの観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)/ポリヒドロキシアルカノエート(B)=95/5~70/30が好ましく、より好ましくは95/5~75/25、更に好ましくは95/5~80/20である。また、耐熱性を向上させる場合は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)/ポリヒドロキシアルカノエート(B)=5/95~30/70も好ましく、より好ましくは5/95~25/75である。
<その他の樹脂>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリエステル系樹脂(A及び、ポリヒドロキシアルカノエート(B)以外の樹脂、例えば芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン、ABS、AS(アクリロニトリルスチレン)、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、セルロースエステルなどの合成樹脂、ポリ乳酸や脂肪族芳香族ポリエステルであるPBATなどの生分解性樹脂などの1種又は2種以上を含有していてもよい。この中でも、生分解性の観点からポリカプロラクトンや脂肪族芳香族ポリエステルであるPBATがより好ましい。
本発明の樹脂組成物が、これらのその他の樹脂を含有する場合、樹脂成分として脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、更にはポリヒドロキシアルカノエート(B)を含むことによる本発明の効果を有効に得るために、その他の樹脂の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート(B)とその他の樹脂との合計100質量部中に30質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、無機フィラー、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤、結晶核剤、アンチブロッキング剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、難燃剤、離型剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、分散助剤、各種界面活性剤、スリップ剤等の各種添加剤や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、機能性添加剤として、鮮度保持剤、抗菌剤等を配合することもできる。
これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのその他の成分の含有量は、通常、本発明の樹脂組成物の物性を損なわないために、混合する成分の総量が、本発明の樹脂組成物の総量に対して0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
<本発明の樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、好ましくは更にポリアルカノエート(B)と、必要に応じて用いられるその他の樹脂やその他の成分を混合することにより製造される。
この混合工程は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、ポリヒドロキシアルカノエート(B)及び必要に応じて用いられるその他の樹脂やその他の成分を、所定の割合で同時に、又は任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合し、好ましくは溶融混練することにより行われる。
混合工程で使用される混練機について、溶融混練機であってもよい。また、二軸押出機もしくは単軸押出機の種別の如何を限定するものではないが、用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、ポリヒドロキシアルカノエート(B)の特性に応じて溶融混練を達成する目的の下では二軸押出機がより好ましい。
溶融混練時の温度は120~220℃が好ましく、130~160℃であることがより好ましい。この温度範囲であれば、溶融反応に要する時間の短縮が可能になり、樹脂の劣化に伴う色調の悪化等を防止することができ、また、耐衝撃性や耐湿熱性などの実用面での物理特性をより向上させることができる。
また溶融混練時間については、前記同様の樹脂劣化をより確実に回避するという観点から無用な長大化は回避されるべきであり、20秒以上20分以下が好ましく、より好ましくは30秒以上15分以下であり、これを満たすような溶融混練温度や時間の条件設定を行うことが好ましい。
[フィルム基材の成形]
本発明のフィルムの樹脂層であるフィルム基材は、本発明の樹脂組成物をフィルムに成形することで得られる。
本発明の樹脂組成物をフィルム成形する方法としては例えば、射出成形、押出成形や共押出成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、熱プレス成形、中空成形(各種ブロー成形)、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工、粉末成形(回転成形)等が挙げられる。特に、押出成形やインフレーション成形によって成形する方法(インフレーション法)やTダイ法が、本発明の効果が顕著に現れるので好ましい。
より具体的には、例えば、Tダイ、Iダイ又は丸ダイ等から所定の厚みに押し出したフィルム状、シート状物又は円筒状物を、冷却ロールや水、圧空等により冷却、固化させる方法等が挙げられる。この際、本発明の効果を阻害しない範囲で、数種の組成物を積層させた積層フィルムとすることも可能である。
インフレーション成形の場合、バブル内圧、加熱温度、バブル直径、冷却速度、引き取り速度等の条件は通常の公知の条件を採用することができる。
成形条件としては、例えば、ブロー比を通常1.1~10倍、好ましくは2~5倍とすることによりフィルムの引裂強度を調節することができる。
また、インフレーション成形適性はバブル安定性、フロストライン高さ等を目視判定し、バブルは揺れがなく安定であるほど好ましく、またバブルの形状が左右対称であることが好ましい。フロストライン高さは高すぎないことが好ましい。フロストラインが高すぎる場合はチューブ状のフィルムが固化しにくいことを示し、フィルムのブロッキングが生じ、口開きが悪化することがある。また、フロストラインが低すぎると、エアリングやダイスにバブルが接触して成形ができないことがある。したがって、フロストラインは装置、使用する原料、加工条件に適した高さにする必要がある。
ダイス内の樹脂温度は、溶融粘度が高くなりすぎず押出機の動力当たりの押出量が適正となるようにその下限は通常100℃である。一方、ダイスに樹脂劣化物が付着して得られるフィルムに混入することがないようにその上限は通常280℃である。ダイス内の樹脂温度は、好ましくは110~250℃、より好ましくは120~200℃の範囲とする。
このようなインフレーション成形により得られるフィルムは単層構造でも積層構造でも良い。
インフレーション成形によるフィルム、即ちフィルム基材の厚みは、通常6~100μm、好ましくは10~50μmである。
Tダイ成形の場合、ダイス内の樹脂温度は、溶融粘度が高くなりすぎず押出機の動力当たりの押出量が適正となるようにその下限は通常110℃である。一方、ダイスに樹脂劣化物が付着して得られるフィルムに混入することがないようにその上限は通常280℃である。ダイス内の樹脂温度は、好ましくは120~250℃、より好ましくは130~220℃の範囲とする。
また、吐出された溶融樹脂は巻き取り時のブロッキングを防止するために素早く冷却することが望ましく、通常、静電密着式またはタッチロール式のキャスティングロールにて冷却することが望ましい。この場合、キャスティングロールの表面温度は、通常15~70℃、好ましくは20~60℃に制御すればよい。また、シートの厚みが1mm以上であるときは、多段式冷却ロールを用いることが望ましい。その他成形条件は通常の公知の条件を採用することができる。
Tダイ成形により得られるフィルムも単層構造でも積層構造でも良い。
Tダイ成形によるフィルム、即ちフィルム基材の厚みは、通常3~200μm、好ましくは5~100μmである。
インフレーション法やTダイ法で得られたフィルム状成形体は、その後、ロール法、テンター法、チューブラー法等によって一軸又は二軸延伸を施してもよい。延伸する場合は、延伸温度は通常30℃~110℃の範囲で、延伸倍率は縦、横方向、それぞれ0.6~10倍の範囲で行われる。また、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる方法等によって熱処理を施してもよい。
[無機蒸着膜の形成]
本発明のフィルムは、上記のように本発明の樹脂組成物から形成されたフィルム基材に無機蒸着膜を形成することで得ることができる。その蒸着法としては、EB蒸着、誘導加熱蒸着、マグネトロンスパッタ法、CVD法等公知の方法が挙げられる。
無機蒸着膜の厚みは、十分な防湿性を付与できる観点から、その厚みの下限は20nmであることが好ましく、経済的な観点から、その厚みの上限は100nmであることが好ましい。更に好適な厚みの範囲は30~70nmである。
無機蒸着膜として用いられる無機物は、純アルミニウム(99.9mol%以上)を使用することができるが、これ以外に、主成分としてアルミニウムを90.0~99.8mol%とし、マグネシウム、シリコン、タンタル、チタン、硼素、カルシウム、バリウム、炭素、マンガン等を少なくとも1種以上の添加元素を0.2~10.0mol%を含む材質がよく、アルミニウムを92~99.5mol%とし、添加元素を0.5~8mol%を含む材質が好ましい。これは、純アルミニウムに比較して、薄膜層の結晶が微細化されるため、透過ガスのパスが長くなり、また、薄膜の強度が向上し、表面に凹凸を形成している添加粒子が脱落し難くなるためと考えられる。無機蒸着膜の光沢度を向上させる必要がある場合には、添加元素の添加量の上限は好適には10mol%以下、より好適には7mol%以下、更に好適には4mol%以下にすることが必要である。
透明性が特に必要な用途においては、酸化処理若しくは窒化酸化処理した上記材料(以下、「透明蒸着材料」と称する。)からなる薄膜を用いるとよい。蒸着法においては予め反応次数の低い酸化物や窒化物を高真空容器中で電子線などにより照射加熱する。このとき、若干の酸素や窒素を適宜導入して、反応次数をコントロールする。スパッタ法に於いては、合金ターゲットを使用し、アルゴンガスに窒素及び/又は酸素を適量混合し反応させながら製膜することで目的の無機蒸着膜を形成できる。
上記透明蒸着材料を例示すると、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化珪素・酸化アルミニウムの複合体、酸化亜鉛、酸化チタンなどがよい。より好ましくは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化珪素・酸化アルミニウムであり、更に好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウムである。これらの酸化次数は、酸化珪素で例示すると、SiOxにおいて、X=1.0~1.9であり、より好ましくは、X=1.3~1.7である。この酸化次数は、蒸着時の材料の酸素純度及び、酸素導入量によりコントロールする。酸化次数はESCAにて測定される。X=1.0を下回ると、膜が着色し、透明性を損ね、好ましくない。X=1.9を上回るとガスバリア性が不十分となる。
無機蒸着膜と本発明の樹脂組成物を成形してなるフィルム基材との密着性を向上する目的で、上記無機蒸着膜を形成する前に、アンカーコートを行うことが好ましい。アンカーコートの形成に用いるアンカーコート剤としては、従来ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルムに蒸着を施すときに下塗り層として使用されるアンカーコート用樹脂を用いたものであれば特に限定されないが、フィルム基材の生分解後の環境問題に配慮して、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び脂肪族ポリエステル系樹脂から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
上記アンカーコート用樹脂の溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトン、テトラハイドロフラン、ジオキサン、クロロホルム、メチルエチルケトンなどが使用できるが、密着性からメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、及び酢酸エチルから選ばれる1種又は2種以上の混合溶剤を使用するのが好ましい。
このようなアンカーコート剤のコーティングにより形成されるアンカーコート層の厚みは、好ましくは0.01~5μm、より好ましくは0.1~2μmである。
また、本発明では、フィルム基材と上記アンカーコート層との密着性をより高めるために、フィルム基材の表面に常法に従って予めコロナ処理を施し、このコロナ処理面に上記のアンカーコート剤をコーティングしてもよい。
[フィルムの酸素ガス透過率]
本発明のフィルムの酸素ガス透過率は、10cc/m・24hr・atm以下が好ましく、7cc/m・24hr・atm以下がより好ましく、4cc/m・24hr・atm以下が更により好ましい。酸素ガス透過率が10cc/m・24hr・atmより大きいものは、十分なガスバリア機能を有さず、例えば包装材料としての使用が不適となる。
なお、フィルムの酸素ガス透過率は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
〔積層体〕
本発明の積層体は、基材層の上に、蒸着膜を有し、該蒸着膜の上に樹脂層を有する積層体であって、該樹脂層が脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を含むものである。
本発明の積層体における、樹脂層に含まれる樹脂組成物は、上述した本発明の樹脂組成物である。
本発明の積層体における蒸着膜は、無機蒸着膜が好ましく、無機蒸着膜としては、前述の本発明のフィルムに形成される無機物を用いることが好ましい。
また、本発明の積層体は、前記蒸着膜が、前記樹脂層の表面に蒸着されて形成された蒸着膜であることが好ましい。この場合、樹脂及び無機蒸着膜として上述した本発明のフィルムを用いることが好ましく、本発明のフィルムの無機蒸着膜側に基材層が配置されることが好ましい。
基材層としては、繊維またはフィルムが好ましく、具体的には、紙、板紙、コットン不織布、レーヨン不織布、ポリ乳酸フィルム、硝酸セルロースフィルム、酢酸セルロースフィルム、セルロースフィルム、ポリグリコール酸フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。中でも、得られる積層体が全体として生分解性となり、環境に配慮した包装材を形成することができる観点から、基材層は生分解性を有することが好ましく、植物由来の繊維またはフィルムであることが好ましい。具体的には、紙、板紙、パルプ不織布、コットン不織布、レーヨン不織布、ポリ乳酸フィルム、再生セルロースフィルム等が挙げられ、特に紙、板紙、ポリ乳酸フィルム、セルロースフィルムが好ましい。また、それ自体生分解性がない酢酸セルロース、再生セルロース等に、澱粉やキトサン等を配合して生崩壊性を持たせた複合フィルムを使用することもできる。
紙基材としては、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、模造紙、上質紙、中質紙、グラシン紙、パーチメント、アート紙、コート紙等の印刷・情報用紙、コップ原紙、ダンボール原紙等の加工原紙、ケント紙、マニラボール紙、コートボール紙等の板紙、ポリビニルアルコール(PVOH)などのコーティング剤により酸素バリア性や水蒸気バリア性を付与したバリア紙を挙げることができる。また、コットン不織布、レーヨン不織布等の不織布も紙基材に含まれる。これらの紙基体の坪量(日本工業規格 JIS P8124)は、紙質によっても異なるが、一般に10~1000g/m、特に30~700g/mの範囲にあることが好ましい。
紙基材において、乾燥紙力を向上させる方法としては、ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉等の乾燥紙力増強剤を内添する方法がある。乾燥紙力増強剤の添加量は、通常絶乾パルプに対して0.01~0.3質量%である。ここで「内添」とは、抄紙前のパルプスラリーに添加剤を添加する方法を指す。また、抄紙前のパルプの叩解度を高めて濾水度(CSF)を450~600ml程度にする方法がある。ここで、「CSF」とは、製紙業界で通常用いられるカナダ標準濾水度を指す。また、紙基材に配合する針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)の配合量を上げる方法がある。
また、紙基材が親水性であるため、本発明の積層体が水と接触した場合に、積層体の端面から水が浸入して基材層が膨潤して膨れや皺になったり、基材層内部で層破壊して剥がれたりすることがある。耐水性が要求される用途の場合、紙基材のサイズ度や湿潤紙力強度を向上させることが好ましい。
紙基材において、サイズ度を向上させる方法としては、アルキルケテンダイマー等の内添サイズ剤を内添する方法が挙げられる。内添サイズ剤の添加量は、通常絶乾パルプに対して0.1~0.5質量%である。この場合、硫酸バンドを併用することも好ましい。
また、湿潤紙力強度を向上させる方法としては、ポリアミドポリアミン、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン変性物、ポリエチレンイミンエピクロロヒドリン変性物等の内添湿潤紙力増強剤を内添する方法が挙げられる。内添湿潤紙力増強剤の添加量は、通常絶乾パルプに対して0.1~0.5質量%である。
紙、板紙には、通常填料と称する充填剤を配合する。本発明に使用する基材において、積層体の白色度と不透明度を向上させるために重質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等を単独または併用して配合することが好ましい。また、これら填料の配合量は、紙基材に対して通常1~30質量%である。
その他、必要に応じてタルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸塩、ベントナイト等の無機充填剤や、ポリスチレン粒子、尿素ホルマリン樹脂粒子等の有機充填剤等を適宜選択して使用することができる。
特に積層体の不透明度を高くする場合は、基材層に黒鉛、カーボンブラックを内添したり、基材層表面に黒色印刷を施したりしても良い。
基材層として不織布を使用することもできる。具体的には、コットンリンターを原料とする水流交絡法不織布である旭化成社製ベンリーゼ(登録商標)、パルプを原料とするエアレイド法不織布である王子キノクロス社製キノクロス(登録商標)、レーヨンを原料とするスパンレース法不織布であるオーミケンシ社製ピロス(登録商標)、レーヨンを原料とする水流交絡法不織布であるクラレ社製クラフレックス(登録商標)、ポリ乳酸を原料とするスパンボンド法不織布であるユニチカ社製テラマック(登録商標)、シンワ社製ハイボン(登録商標)等が挙げられる。
基材層として植物由来成分を含むフィルムを使用することもできる。具体的には、酢酸セルロース系フィルムであるダイセル化学工業社製セルグリーンPC-A(登録商標)や日本触媒社製ルナーレZT(登録商標)、セルロース系フィルムであるフタムラ化学社製 NatureFlex NP、NPU、NK、NKR NEシリーズ、変性澱粉であるクラレ社製Plantic(登録商標)HP、澱粉と合成生分解性高分子のブレンドフィルムであるノバモント社製マタービー(登録商標)、キトサン、セルロース、デンプンのブレンドフィルムであるアイセロ化学社製ドロンCC(商品名)、ポリグリコール酸フィルムであるクラレ社製Kuredux(登録商標)、PLAフィルムである三菱ケミカル社製エコロージュ(登録商標)等が挙げられる。
このような基材層を、本発明のフィルムの無機蒸着膜側に積層一体化して本発明の積層体を製造する場合、基材層は例えば、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等により無機蒸着膜に貼り合わせて接着すればよい。その他、押出ラミネーションにより接着することもできる。
本発明の積層体は、基材層、蒸着膜、及び本発明の樹脂組成物よりなるフィルム基材を積層一体化してなるものであるが、必要に応じて、これら以外の他の層を有していてもよい。他の層としては、本発明の目的(ガスバリア性、薄膜性等)を損なわないものであればよく、特に制限はないが、例えば、印刷層、接着層等が挙げられる。
本発明の積層体においては、前記基材層及び前記樹脂層の合計の質量に対し、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の質量割合が5~80質量%であることが好ましく、より好ましくはこの割合は10~70質量%である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の質量割合が上記下限値以上であれば、包装材として使用する際にヒートシール性を十分に得ることができ、上記上限値以下であれば、十分な剛性を得ることができる。
また、本発明の積層体の総厚みは、生分解性、薄膜性、機械的強度、加工安定性等の観点から10~300μm、特に20~250μm程度であることが好ましい。
〔用途〕
本発明のフィルム及び積層体は、自然環境下における分解性を有しつつ、ガスバリア性を有するものであることから、包装材として用いることが好ましい。また、成形性、透明性、表面特性及び力学特性などについても優れたものとすることができるため、食品用包装材、医薬用包装材、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において、特に使い捨てにされる用途に好適に用いることができる。その具体的用途としては、例えば、農業用マルチフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、林業用燻蒸シート、フラットヤーン等を含む結束テープ、おむつのバックシート、包装用シート、ショッピングバッグ、レジ袋、ゴミ袋、水切り袋、コンポストバッグ、油脂食品包材、乾燥食品包材、畜産加工品包材、水産加工品包材、飲料・液体食品包材、乾燥菓子包材、スナック菓子包材、即席麺包材、レトルト食品包材、チルド・冷凍食品包材、紅茶・緑茶・コーヒー等の包材、サプリメントの包材、化粧品包材、電子部材の包材、光学部材の包材等が好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[用いた樹脂のメルトフローレート(MFR)の測定]
JIS K7210(1999年)に基づき、メルトインデクサーを用いて190℃、荷重2.16kgにて測定した。単位はg/10分である。
[使用原料]
実施例及び比較例で使用した樹脂の詳細は下記の通りである。
以下において、「PBSA」は「ポリブチレンサクシネート/アジペート」、「PLA」は「ポリ乳酸」、「PHBH」は「ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)」を示す。
PBSA:PTTMCC Biochem社製「BioPBS(登録商標) FD92PM」(全ジカルボン酸単位量中のコハク酸単位量:74モル%、MFR:5.0g/10分、融点:89℃)
PLA:Nature Works社製「4032D」(MFR:3.5g/10分、融点:170℃)
PHBH:株式会社カネカ製「PHBH(登録商標) X131A」(3HB/3HHモル比:94/6、MFR:6g/10分、融点:140℃)
[評価法]
実施例及び比較例における各種物性、特性の評価方法は以下の通りである。
<水蒸気透過率>
JIS Z0208(1976年)に基づき、カップ法にて測定した。測定条件は、40℃、90%RHで評価した。
<酸素ガス透過率>
JIS K7126(2006年)に基づき、温度23℃、湿度75%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(機種名、オクストラン(OXTRAN))にて測定した。
<土中室温生分解試験>
三重県の農場から採取した土(水分量30%)にフィルムを28±2℃条件下で3ヶ月間保管した後、重量測定を実施し下記基準で土中室温生分解性を評価した。尚、分解度は下記の式で算出した。
分解度(%)=100-(3ヶ月後のサンプル重量/試験前のサンプル重量)×100
+++:分解度が90%以上
++:分解度が30%以上、90%未満
+:分解度が30%未満
<海水中生分解試験>
三重県四日市市の四日市港で採取した海水中にシートを28±2℃条件下で6ヶ月間保管した後、重量測定を実施し下記基準で海水中生分解性を評価した。尚、分解度は下記の式で算出した。
分解度(%)=100-(6ヶ月後のサンプル重量/試験前のサンプル重量)×100
+++:分解度が50%以上
++:分解度が10%以上50%未満
+:分解度が10%未満
[実施例1~3]
脂肪族ポリエステルフィルム原料として、表1に示す原料を表1に示す割合でブレンドし、混練温度140℃にて、スクリュウ径φ30mmの二軸押出機にてストランド状に押出し、ペレタイザーによりペレット化した。得られた樹脂ペレットをスクリュウ径φ40mmのインフレーションフィルム成形機を用いて、150℃、ブロー比2.5で、膜厚30μmの脂肪族ポリエステルフィルムを作成した。フィルムはワインダーで巻き取られる直前にアンカーコート剤塗布面にコロナ処理を実施した。
次いで、密着性を高める目的で、蒸着前にコロナ処理側に、共重合ポリエステル系樹脂(東洋紡績(株)製バイロン200)1質量部とイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート)0.1質量部、トルエン25質量部、メチルエチルケトン25質量部からなるアンカーコート剤を乾燥後の膜厚で0.2μmとなるように塗布し、60℃で乾燥した。得られた脂肪族ポリエステルフィルムにしわなどの発生は無かった。
次いで、得られた脂肪族ポリエステルフィルムのアンカーコート処理面に、電子ビーム加熱方式真空蒸着機(レイボルト社製)を用いて、真空度1×10-4hPaの雰囲気下で連続的に蒸着処理を行い、純度99.9mol%のアルミニウムよりなる厚み60nmのアルミ蒸着膜を形成した。
得られたフィルムのガスバリア性(酸素ガス透過率、水蒸気透過率)、土中室温生分解性、海水中生分解性を上記の方法で測定及び評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で作成した脂肪族ポリエステルフィルムのガスバリア性(酸素ガス透過率、水蒸気透過率)、土中室温生分解性、海水中生分解性を上記の方法で測定及び評価した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
脂肪族ポリエステルフィルム原料としてPLAのみを用い、混練温度およびフィルム成形温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様にして蒸着フィルムを作成し、同様に測定及び評価を実施した。その結果を表1に示す。
Figure 2022031161000001
[実施例4]
実施例1で得られたアルミ蒸着膜を形成した脂肪族ポリエステルフィルムのアルミ蒸着面に、イソシアネート系接着剤を乾燥後の膜厚で2μmとなるように塗布し、基材としてセルロースフィルム(大王製紙社製「白山 PT#300」)を貼り合わせた後60℃で乾燥した。この積層フィルムの基材と脂肪族ポリエステルフィルムとの合計に対する脂肪族ポリエステルフィルムの質量割合(脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の質量割合)は50質量%であった。
得られた積層フィルムのガスバリア性(酸素ガス透過率、水蒸気透過率)、土中室温生分解性、海水中生分解性を上記の方法で測定及び評価した。その結果を表2に示す。
[実施例5]
脂肪族ポリエステルフィルムとして実施例2で得られたアルミ蒸着膜を形成した脂肪族ポリエステルフィルムを使用した以外は実施例4と同様にして積層フィルムを作成し、同様に測定及び評価を実施した。その結果を表2に示す。
[実施例6]
基材としてクラフト紙(大王製紙社製「ナゴヤ晒竜王 35g/m」)を使用した以外は実施例4と同様にして積層フィルムを作成し、同様に測定及び評価を実施した。その結果を表2に示す。
[実施例7]
PLAをスクリュウ径φ50mmの単軸押出機にて、幅300mmのハンガーコート型のTダイを用い、190℃にて膜厚が20μmになるよう引き取り速度を調整して成形し、PLAフィルムを得た。尚、冷却温度は40℃とし、冷却ロールはセミマットタイプ、エアナイフを使用した。
得られたPLAフィルムを基材として使用した以外は実施例4と同様にして積層フィルムを作成し、同様に測定及び評価を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 2022031161000002
表1,2より、本発明のフィルム及びこれを用いた積層体は、室温での生分解性度が高く、海洋生分解性にも優れる、高い生分解性を有し、しかも、少ない層構成でもガスバリア性に優れ、包装材、特に食品用包装材や医薬品用包装材に好適に使用することができることが分かる。

Claims (13)

  1. 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を有するフィルム。
  2. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に含まれる脂肪族ジカルボン酸に由来する繰り返し単位中にコハク酸単位及び/又はアジピン酸単位を含む、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記樹脂組成物が、ポリヒドロキシアルカノエート(B)を更に含有する、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記ポリヒドロキシアルカノエート(B)が3-ヒドロキシブチレート単位及び3-ヒドロキシヘキサノエート単位を主構成単位として含有する共重合体である、請求項3に記載のフィルム。
  5. 前記無機蒸着膜が、アルミニウム、アルミニウムを主体にした合金、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素・酸化アルミニウムの複合体から選ばれた少なくとも1種の無機物を主成分とする蒸着膜である、請求項1~4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 基材層の上に、蒸着膜を有し、該蒸着膜の上に樹脂層を有する積層体であって、該樹脂層が脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を含む積層体。
  7. 前記基材層が植物由来成分を含む、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記蒸着膜が、アルミニウム、アルミニウムを主体にした合金、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素・酸化アルミニウムの複合体から選ばれた少なくとも1種の無機物を主成分とする無機蒸着膜である、請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記蒸着膜が、前記樹脂層の表面に蒸着により形成された蒸着膜である、請求項6~8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記基材層及び前記樹脂層の合計の質量に対し、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の質量割合が、10~70質量%である、請求項6~9のいずれかに記載の積層体。
  11. 請求項6~10のいずれかに記載の積層体を用いてなる包装材。
  12. 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いた樹脂層の少なくとも一方の表面に無機蒸着膜を形成するフィルムの製造方法。
  13. 予めコロナ処理が施された前記樹脂層の少なくとも一方の表面にアンカーコート剤をコーティングした後、該表面に前記無機蒸着膜を形成する、請求項12に記載のフィルムの製造方法。
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