JP2022030866A - 臓器モデルおよびトレーニングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】生体における物性の分布が精度良く再現された臓器モデルを提供する。【解決手段】生体をMRE測定することにより取得される生体物性を示す生体物性情報に基づいて造形され、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有することを特徴とする臓器モデル17。【選択図】図10

Description

本発明は、臓器モデルおよびトレーニングシステムに関する。
三次元立体造形技術の進歩はめざましく、熱溶融積層法、バインダージェッティング法、光造形法、粉末焼結積層造形法、マテリアルジェッティング法などの様々な3Dプリンタが製造業において用いられている。また、3Dプリンタで用いる材料としては、従来から知られている金属及び樹脂に加え、多様な材料が開発されている。これら多様な材料に対応した新規用途も提案されており、産業分野のみならず、医療分野及びヘルスケア分野等への応用も期待されている。医療分野における3Dプリンタの応用例としては、例えば、チタン、ハイドロキシアパタイト、PEEK等によるインプラント可能な人工骨の造形、細胞の直接積層による人工臓器の研究などへの応用が挙げられる。ヘルスケア分野における3Dプリンタの応用例としては、例えば、個人特有の形状を反映する必要のある補聴器具や義肢などへの応用が挙げられる。
医療分野における3Dプリンタの他の応用例としては、手術トレーニングやシミュレーションを目的とし、実際の臓器形状や生体を模したモデルへの応用が期待される。このようなモデルへの応用が期待される背景として、近年、医療機器の開発が進み、従来の大きく切り開き取り除く医療から、カテーテル、内視鏡、ロボットアシスト等による患者への負担が少ない低侵襲型医療が主流になりつつある点が挙げられる。これら医療機器を用いた手術オペレーションは、非常に高度な技術と熟練を要するため、医療事故防止の観点から適切なモデルを用いた手術トレーニングの重要性が認識されているためである。また、実施事例の少ない難手術においては、事前に対象部位の詳細を再現したモデルを得ることができれば、綿密な術前シミュレーションをすることが可能になる。
特許文献1には、CT装置などの断層形状測定装置により得られた二次元断層画像データに基づいて、光硬化性樹脂中にレーザー光を照射して各断層形状に合致する硬化層を形成し、これらを順次積層して臓器等を模した立体モデルを造形する方法が開示されている。
特許文献2には、被検体の臓器を示す複数のボクセルを有する医用3D画像に基づいて、臓器の形状、硬さ、密度及び実効原子番号のうちの2つ以上を個別に略ボクセル毎に示す設計図データを作成し、当該設計図データを基に3D造形物を造形する方法が開示されている。
しかしながら、生体における物性の分布が精度良く再現された臓器モデルを作製することは困難である課題がある。
本発明は、生体をMRE測定することにより取得される生体物性を示す生体物性情報に基づいて造形され、前記生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有することを特徴とする臓器モデルに関する。
本発明によれば、生体における物性の分布が精度良く再現された臓器モデルを提供することができる。
図1は、医用画像データセットの一例を示す模式図である。 図2は、医用3Dデータの一例を示す模式図である。 図3は、医用3Dデータの一例を示す模式図である。 図4は、医用3Dデータをボクセル領域分割することで取得される領域別医用3Dデータの一例を示す模式図である。 図5は、領域別医用3Dデータをサーフェイスモデル変換することで取得されるSTL形式のデータの一例を示す模式図である。 図6は、領域別医用3DデータをFAVフォーマット変換することで取得されるFAV形式のデータの一例を示す模式図である。 図7は、高強度造形用組成物および低強度造形用組成物の配置パターンにより表現される7階調の強度物性の一例を示す模式図である。 図8は、鉱物としての水膨潤性層状粘土鉱物、及び水膨潤性層状粘土鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。 図9は、臓器モデルの造形装置の一例を示す模式図である。 図10は、臓器モデルを支持体から剥離した一例を示す模式図である。 図11は、サンプル1~4における圧縮強度の測定結果を示す。 図12は、サンプル5~8における引張試験の測定結果を示す。
1.臓器モデル
本開示において「臓器モデル」とは、臓器の少なくとも一部の形状及び物性を模した立体造形物(「モデル」とも称する)である。また、臓器とは、生体を構成する機能器官であって、内臓に限らず、骨、皮膚、血管など生体を構成するあらゆる器官を含む。
臓器モデルを構成する材料としては、臓器の少なくとも一部の形状及び物性を模した立体造形物を造形できる材料であれば特に限定されないが、例えば、以下の3つの条件を満たす材料であることが好ましい。
・柔らかい材料であって、且つ材料の物性を制御できること
・自立可能(形状を保持可能)であること
・造形装置(「3Dプリンタ)とも称する)を用いて造形可能であること
このような材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂およびシリコーン樹脂等を含む軟質プラスチック、ポリビニルアルコール等を含むハイドロゲルなどを挙げることができるが、ハイドロゲルであることが好ましい。本開示において「ハイドロゲル」とは、ポリマーを含む三次元網目構造の中に水が包含されている構造体を表し、かかる三次元網目構造が、ポリマーと鉱物とが複合化して形成される三次元網目構造である場合、特に「有機無機複合ハイドロゲル」という。なお、ハイドロゲルは水を主成分として含み、具体的には、水の含有量がハイドロゲルの全量に対して30.0質量%以上であることが好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましく、50.0質量%以上であることが更に好ましい。
臓器モデルを構成する材料は、当該材料の前駆体である造形用組成物により形成される。このとき、臓器モデルを構成する材料がハイドロゲルである場合、ハイドロゲルは、ハイドロゲルの前駆体であるハイドロゲル立体造形用組成物により形成される。本開示において「ハイドロゲル立体造形用組成物」とは、光などの活性エネルギー線又は熱を照射されることで硬化してハイドロゲルを形成する液体組成物であって、特にハイドロゲルからなる立体造形物を造形するために用いられる液体組成物を意味する。ハイドロゲル立体造形用組成物は、水、重合性化合物を含有し、必要に応じて、鉱物、有機溶剤、その他成分を含有してもよい。以下、ハイドロゲル立体造形用組成物に含まれる各成分について説明する。
(1)水
ハイドロゲル立体造形用組成物は水を含む。水としては、一般的に溶媒として用い得るものであれば特に限定されず、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水などを用いることができる。
ハイドロゲル立体造形用組成物を臓器モデルの造形に用いる場合、水の含有量は、ハイドロゲル立体造形用組成物の全量に対して30.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、40.0質量%以上90.0質量%以下であることがより好ましい。
なお、水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解又は分散させてもよい。
(2)重合性化合物
ハイドロゲル立体造形用組成物は重合性の官能基を有する化合物である重合性化合物を含む。重合性化合物としては、モノマー、オリゴマー等が挙げられる。重合性化合物は、活性エネルギー線又は熱を照射されることで重合してポリマーの少なくとも一部を形成する。すなわち、ポリマーは、重合性化合物に由来する構造単位を有する。また、ポリマーは、鉱物と架橋して複合化し、ハイドロゲル中で三次元網目構造を形成することが好ましい。ここで、重合性化合物は、水溶性であることが好ましい。水溶性とは、例えば、30℃の水100g及びモノマー1gを混合して撹拌したとき、モノマーの90質量%以上が溶解することを表す。
重合性化合物は、重合性の官能基を有する化合物であれば特に制限はないが、光重合性の官能基を有する化合物であることが好ましい。本開示において「重合性官能基」とは、活性エネルギー線の照射や熱の付加により重合反応を起こす官能基を意味し、「光重合性官能基」は特に活性エネルギー線の照射により重合反応を起こす官能基を意味する。光重合性官能基としては、これに限定するものではないが、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する基、エポキシ基などの環状エーテル基が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリルアミド基を有する化合物、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、アリル基を有する化合物などが挙げられる。
(I)モノマー
重合性化合物として用い得るモノマーは、好ましくは不飽和炭素-炭素結合などの重合性官能基を1つ以上有する化合物であり、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。更に、多官能モノマーとしては、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)単官能モノマー
単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N-置換アクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換アクリルアミド誘導体、N-置換メタクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換メタクリルアミド誘導体、アクリル酸、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
単官能モノマーの含有量としては、ハイドロゲル立体造形用組成物の全量に対して、0.5質量%以上30.0質量%以下が好ましい。
(B)二官能モノマー
二官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)三官能以上のモノマー
三官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーの含有量としては、ハイドロゲル立体造形用組成物の全量に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下が好ましい。
(II)オリゴマー
オリゴマーは、上記単官能モノマーの低重合体や末端に反応性不飽和結合基を有する低重合体である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(3)鉱物
ハイドロゲル立体造形用組成物は鉱物を含むことが好ましい。鉱物は、上記重合性化合物から形成されるポリマーと結合することが可能な鉱物であれば特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層状粘土鉱物、特に水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
水膨潤性層状粘土鉱物について図8を用いて説明する。図8は、鉱物としての水膨潤性層状粘土鉱物、及び水膨潤性層状粘土鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。図8の上図に示すように、水膨潤性層状粘土鉱物は、単一層の状態で存在しており、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態を呈している。そして、図8の上図の水膨潤性層状粘土鉱物を水中で分散させると、図8の下図に示すように、各単一層が分離して、複数の二次元円盤状の結晶となる。
なお、水膨潤性とは、図8に示すように層状粘土鉱物の各単一層の間に水分子が挿入され、水中に分散される性質を意味する。また、水膨潤性層状粘土鉱物の単一層の形状は円盤状に限定されず、他の形状であってもよい。
水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高弾性のハイドロゲルが得られる点から、水膨潤性ヘクトライトが好ましい。
水膨潤性ヘクトライトは、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライトSWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、ハイドロゲルの弾性率を向上させる点から、合成ヘクトライトが好ましい。
鉱物の含有量としては、ハイドロゲル立体造形用組成物の全量に対して、1.0質量%以上40.0質量%以下が好ましい。
(4)有機溶媒
ハイドロゲル立体造形用組成物は必要に応じて有機溶剤を含んでもよい。有機溶媒は、例えば、ハイドロゲルの保湿性を高めること等を目的として含有される。
有機溶媒としては、例えば、炭素数1~4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトンアルコール類、エーテル類、多価アルコール類、ポリアルキレングリコール類、多価アルコールの低級アルコールエーテル類、アルカノールアミン類、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコールが好ましく、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類が良好に使用される。
有機溶媒の含有量としては、ハイドロゲル立体造形用組成物の全量に対して、10.0質量%以上50.0質量%以下が好ましい。10.0質量%以上であることでハイドロゲル立体造形用組成物の乾燥を抑制でき、50.0質量%以下であることでハイドロゲル立体造形用組成物中における鉱物の分散性を向上できる。
(5)その他成分
ハイドロゲル立体造形用組成物は必要に応じてその他成分を含んでもよい。
その他成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安定化剤、表面処理剤、重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、金属イオン、フィラー、金属微粒子、分散剤などが挙げられる。
(I)安定化剤
安定化剤は、鉱物を安定して分散させ、ハイドロゲル立体造形用組成物のゾル状態を保つために含有される。また、ハイドロゲル立体造形用組成物を液滴として吐出する方式に用いる場合、液体としての特性安定化を目的として安定化剤が含有される。
安定化剤としては、例えば、高濃度リン酸塩、グリコール、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
(II)表面処理剤
表面処理剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、クマロン樹脂、脂肪酸エステル、グリセライド、ワックスなどが挙げられる。
(III)重合開始剤
重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点から、活性エネルギー線を照射することによりラジカル又はカチオンを生成する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm以上400nm以下の紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
(6)ハイドロゲル立体造形用組成物の物性
ハイドロゲル立体造形用組成物の25℃における粘度は、3.0mPa・s以上20.0mPa・s以下が好ましく、6.0mPa・s以上12.0mPa・s以下がより好ましい。粘度が3.0mPa・s以上20.0mPa・s以下であることで、3Dプリンター(特にマテリアルジェッティング方式)における液滴吐出などに好適に適用することができる。なお、粘度の測定は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM-150III、東機産業株式会社製)などを用いて測定することができる。
ハイドロゲル立体造形用組成物の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。表面張力が、20mN/m以上であると、吐出安定性を向上でき、45mN/m以下であると、造形用の吐出ノズル等にハイドロゲル立体造形用組成物を充填しやすくなる。なお、表面張力の測定は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM-701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
2.臓器モデルの造形方法
本発明の臓器モデルは、生体をMRE測定することにより取得される生体物性を示す生体物性情報に基づいて造形される。また、このように造形されることで、本発明の臓器モデルは、当該生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する。そこで、生体物性情報に基づいて本発明の臓器モデルを造形する造形方法について説明する。
造形方法としては、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する臓器モデルが造形可能である限り特に限定されず、例えば、3Dプリンタを用いて造形する方法などが挙げられる。また、3Dプリンタを用いて造形する方法としては、生体の医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて臓器モデルを造形する造形工程を有することが好ましい。このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、上記造形工程より前に実行される工程として、生体の医用3Dデータを取得する取得工程と、医用3Dデータに基づいて造形用3Dデータを生成する生成工程と、を有してもよい。更に、このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、上記造形工程より後に実行される工程として、造形された臓器モデルの精度を評価する評価工程を有してもよい。以下、臓器モデルの造形方法の一例として、取得工程と、生成工程と、造形工程と、評価工程と、を有する場合について説明する。
なお、本開示において「生体」とは、ヒト又はヒト以外の生物を構成する少なくとも一部を表し、対象の数は1つでもあってもよいし複数であってもよい。なお、ヒト又はヒト以外の生物を構成する少なくとも一部とは、例えば、胸部などの生体中における所定の領域、生体中における所定の臓器などを表す。
また、本開示において「生体の医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて臓器モデルを造形する」とは、医用3Dデータを3Dプリンタに入力して臓器モデルを造形するような直接的に医用3Dデータを用いる場合に限定されず、医用3Dデータに基づいて生成された造形用3Dデータなどを3Dプリンタに入力して臓器モデルを造形するような間接的に医用3Dデータを用いる場合も表す。
(1)取得工程
造形方法は、生体の医用3Dデータを取得する取得工程を有することが好ましい。本開示において「医用3Dデータ」とは、少なくとも、生体を医用画像撮影装置により撮影することにより取得される医用画像データと、生体をMRE測定することにより取得される生体物性と、に基づき作成されるデータを表す。すなわち、生体の医用3Dデータを取得する取得工程は、生体を医用画像撮影装置により撮影することで医用画像データを取得する撮影工程と、生体をMRE測定することにより生体物性を取得する測定工程と、医用画像データ及び生体物性に基づき医用3Dデータを作成する作成工程と、を有する。
(I)撮影工程
撮影工程は、生体を医用画像撮影装置により撮影することで医用画像データを取得する工程である。医用画像撮影装置は、モダリティとも称され、被検体である生体をスキャンして医用画像データを取得する装置である。医用画像撮影装置としては、例えば、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置などが挙げられる。これらの中でも、後述する測定工程におけるMRE測定も行える観点からMRI装置を用いることが好ましい。医用画像撮影装置は、生体の断面を複数回撮影するスライス断層撮影を行う。これにより、図1に示すように、生体の断面を示す画像である医用画像データを複数取得できる。この複数の医用画像データ(「医用画像データセット」とも称する)は、それぞれ、医療画像交換に関する国際標準規格であるDICOM形式の画像であることが好ましい。また、医用画像データは、医用画像撮影装置により取得される画像濃度を示す画像濃度情報を含む。画像濃度は、例えば、医用画像撮影装置としてCT装置を用いた場合はCT値(X線透過率)であり、MRI装置を用いた場合はMRI信号値であり、超音波診断装置を用いた場合は反射強度である。
(II)測定工程
測定工程は、生体をMRE測定することで生体物性を取得する工程である。MRE測定とは、磁気共鳴エラストグラフィー(MRE:Magnetic Resonance Elastography)の手法により測定することを表す。本手法は、加振装置を用いて被検体内部にせん断波を生成しながらMRI装置で撮影することで、被検体内部の粘弾性分布を測定する非侵襲的な手法である。すなわち、生体をMRE測定することで取得される生体物性とは粘弾性であることが好ましい。なお、生体の粘弾性を取得する方法としては、MRE測定を行う方法以外に、超音波エラストグラフィーによる測定を行う方法が挙げられる。この点、超音波エラストグラフィーによる測定は得られる情報が1次元であるのに対し、MRE測定は得られる情報が2次元であって3Dデータの生成が容易であるため、MRE測定を行うことが好ましい。なお、測定対象が、心臓や血管等の臓器自体が周期的な運動を伴うものである場合、この運動に伴う臓器の変形量を計測し、力学モデル等に基づいて計測値から生体物性を推測する方法も挙げられる。しかし、この方法で得られる生体物性はあくまで推測値であり、生体の正確な情報取得性の観点でMRE測定に劣る。加えて、この方法を用いることができるのは、測定対象が心臓や血管等の周期的な運動を伴う臓器である場合に限定されるため、周期的な運動を伴わない臓器または周期的な運動に伴う変形量の計測が困難である臓器も測定対象にすることができる点でMRE測定を行うことが好ましい。また、MRE測定は、MRI装置のオプション機能としてシステムに含まれることが多く、撮影工程及び測定工程を同一のMRI装置により実行できる点でも好ましい。これに付随して、MRI装置による撮影工程とMRI装置による測定工程は、ほぼ同時に行うことができる。ほぼ同時に行えることで、患者等の被検体の負担を軽減できる点、医用画像データの取得時と生体物性の取得時がほぼ同時となり正確な生体の情報を得ることができる点などで好ましい。特に、後者の点に関しては、撮影および測定の対象が、経時的に形状、物性等の面で変化を生じやすい性質を有する生体であることを考慮すると、重要な観点となる。なお、ほぼ同時とは、撮影工程の時間および測定工程の時間の少なくとも一部が重複している場合、一度のMRI装置の使用で撮影工程および測定工程の両方を実行できる場合などを表す。また、MRE測定は、生体に対して行えるので、生体中で血圧が付与されている状態の臓器における生体物性を取得できる点でも好ましい。
(III)作成工程
作成工程は、撮影工程で取得した医用画像データおよび測定工程で取得した生体物性に基づき医用3Dデータを作成する工程である。医用3Dデータは、医用画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与された医用画像データにおける画像濃度を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与された生体物性を示す生体物性情報と、を含む情報である。言い換えると、医用3Dデータは、ボクセル、画像濃度情報、及び生体物性情報が関連付けられた情報である。
医用3Dデータを作成する方法について具体的に説明する。
まず、撮影工程で取得した医用画像データから、医用画像撮影装置又は当該医用画像撮影装置と関連する画像処理装置(「医用画像撮影装置等」とも称する)により、3D画像処理に対応する医用3Dデータが作成される。医用3Dデータは、図2に示すような立方体等の最小単位を少なくとも1つ含むボクセルの集合体であり、ボクセルごとに様々な情報を関連付けることができる。次に、医用画像撮影装置等が、ボクセルごとに、撮影工程で取得した医用画像データにおける画像濃度を示す画像濃度情報を関連付ける。更に、医用画像撮影装置等が、ボクセルごとに、測定工程で取得した生体物性を示す生体物性情報を関連付ける。これにより、図3に示すように、ボクセル、画像濃度情報、及び生体物性情報が関連付けられた情報である医用3Dデータを作成できる。医用3Dデータは、画像濃度情報を用い、ボクセル領域分割(セグメンテーション)を行うことができる。ボクセル領域分割とは、画像濃度が近いボクセルを分類してセグメント化(区分化)することを表す。これにより、医用3Dデータに基づき、生体の内部構造の形状認識、構造分割、組織分析、及び3D画像解析等が可能になり、生体の医用3Dデータから目的とする臓器部分の医用3Dデータを取得することができる。本発明では、図4に示すように、医用3Dデータをボクセル領域分割することで取得される部分領域における医用3Dデータを領域別医用3Dデータと称する。なお、領域別医用3Dデータは、医用3Dデータに含まれる一概念であるとする。
(2)生成工程
造形方法は、医用3Dデータに基づいて造形用3Dデータを生成する生成工程を有することが好ましい。本開示において「造形用3Dデータ」とは、医用3Dデータに基づいて生成されるデータであって、3Dプリンタに入力されるデータを表す。造形用3Dデータは、1つのデータから構成されてもよいし、複数のデータから構成されてもよい。以下、造形用3Dデータを生成する方法の具体例2つを説明するが、本方法としてはこれらに限定されない。
(I)STL形式のデータを含む造形用3Dデータの生成
医用3Dデータに基づいてSTL(Standard Triangulated Language)形式のデータを含む造形用3Dデータを生成する場合について説明する。
この場合、図5に示すように、医用3Dデータをボクセル領域分割して取得された領域別医用3Dデータに対し、サーフェースモデル変換を行うことで領域別医用3Dデータに対応するSTL形式のデータを作成する。なお、STL形式のデータはサーフェイスデータであるため、サーフェースモデル変換を行うことで領域別医用3Dデータのボクセルごとに付与された生体物性情報は失われる。そのため、サーフェースモデル変換とは別に、領域別医用3Dデータから、ボクセルの位置を示す位置情報と、位置情報ごとに付与された生体物性情報と、を含む3D造形用生体物性情報を作成する。なお、位置情報ごとに付与された生体物性情報とは、位置情報の示す位置にあったボクセルに関連付けられていた生体物性情報である。すなわち、本説明でいう造形用3Dデータは、STL形式のデータと3D造形用生体物性情報とを含む。
(II)FAV形式のデータを含む造形用3Dデータの生成
医用3Dデータに基づいてFAV(FAbricatable Voxel)形式のデータを含む造形用3Dデータを生成する場合について説明する。
この場合、図6に示すように、医用3Dデータをボクセル領域分割して取得された領域別医用3Dデータに対し、FAVフォーマット変換を行うことで領域別医用3Dデータに対応するFAV形式のデータを作成する。なお、FAV形式のデータは、STL形式のデータのようにサーフェイスデータではなく、ボクセルデータとして定義されている。これにより、画像濃度情報や生体物性情報等が付与されたボクセルデータである医用3Dデータを、画像濃度情報や生体物性情報等が付与されたままFAV形式のデータに変換することができる。すなわち、STL形式のデータに変換したときのように、別途、生体物性情報等の必要情報に関するデータ処理を行う工程を省ける点で好ましい。
(3)造形工程
造形方法は、生体の医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて臓器モデルを造形する造形工程を有する。また、上記の通り、本開示において「生体の医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて臓器モデルを造形する」とは、医用3Dデータを3Dプリンタに入力して臓器モデルを造形するような直接的に医用3Dデータを用いる場合に限定されず、医用3Dデータに基づいて生成された造形用3Dデータなどを3Dプリンタに入力して臓器モデルを造形するような間接的に医用3Dデータを用いる場合も表す。以下、医用3Dデータに基づいて生成された造形用3Dデータを3Dプリンタに入力して臓器モデルを造形する場合を一例に造形工程について説明する。
まず、上記のSTL形式のデータを含む造形用3Dデータが3Dプリンタに入力される場合について説明する。この場合、造形用3Dデータは、STL形式のデータと3D造形用生体物性情報とを含む。これらデータは同時に入力されてもよいし、別々に入力されてもよい。
3Dプリンタは、入力されたSTL形式のデータを印刷用2D画像データセットに変換する。印刷用2D画像データセットとは、複数の印刷用2D画像データを含むデータセットであり、印刷用2D画像データとは、Z軸方向における3Dプリンタの解像度に合わせてSTL形式のデータをスライスすることで得られる二次元のスライスデータである。次に、3Dプリンタは、入力された3D造形用生体物性情報に基づき、印刷用2D画像データの各領域における強度物性を示す強度物性情報を付与する。この印刷用2D画像データ及び印刷用2D画像データの各領域における強度物性情報に基づき、3Dプリンタで複数種類の造形用組成物をそれぞれ所定の領域に所定の吐出量で吐出し硬化する工程を繰り返すことにより、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する臓器モデルを造形することができる。ここで、本開示において「強度物性」とは、3Dプリンタにより造形される臓器モデルの物性を表し、具体的には、生体物性に対応する物性であるため粘弾性を表す。
次に、上記のFAV形式のデータを含む造形用3Dデータが3Dプリンタに入力される場合について説明する。
3Dプリンタは、入力されたFAV形式のデータを、上記同様のスライスデータである印刷用2D画像データセットに変換する。但し、印刷用2D画像データセットに含まれる各印刷用2D画像データは、FAV形式のデータに含まれる生体物性情報に基づき、各領域における強度物性を示す強度物性情報が付与されている。この印刷用2D画像データ及び印刷用2D画像データの各領域における強度物性情報に基づき、3Dプリンタで複数種類の造形用組成物をそれぞれ所定の領域に所定の吐出量で吐出し硬化する工程を繰り返すことにより、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する臓器モデルを造形することができる。
造形工程において使用される3Dプリンタとしては、例えば、複数種類の造形用組成物をそれぞれ所定の領域に所定の吐出量で吐出することにより、造形される臓器モデルの強度物性を部位ごとに制御できるプリンタが挙げられる。具体的には、インクジェットヘッドで造形用組成物を吐出するマテリアルジェッティング方式(MJ方式)の3Dプリンタが挙げられる。
上記のように、3Dプリンタを用いて強度物性を生体物性と対応させる方法としては、強度物性を階調により表現できる3Dプリンタを用いる方法が挙げられる。そこで、本方法の一例を説明する。
まず、高い強度物性を有する立体造形物を造形可能な高強度造形用組成物と、低い強度物性を有する立体造形物を造形可能な低強度造形用組成物と、を準備する。これら造形用組成物は、少なくともそれぞれ1種類用いるが、それぞれ複数種類用いてもよい。このとき、高強度造形用組成物により造形される臓器モデルの強度物性は生体中における生体物性の最大値以上であることが好ましく、低強度造形用組成物により造形される臓器モデルの強度物性は生体中における生体物性の最小値以下であることが好ましい。
次に、臓器モデルの強度物性を、あるグリッド領域を埋めるために配置する造形用組成物のパターンにより制御する。例えば、図7に示すように、7階調の強度物性による表現が必要な場合、6区画を最小単位としたグリッドを高強度造形用組成物及び低強度造形用組成物で埋める組み合わせパターンにより、7階調の強度表現が可能になる。単位グリッドの区画数を増やすことで様々な階調表現が可能になる。これはXY平面で配置することにより平面方向、Z方向で配置することにより、縦方向の強度分布を設定することができ、これにより生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する臓器モデルを造形することができる。すなわち、本開示において「生体物性の分布に対応する強度物性の分布」とは、分布内における強度物性が対応する位置における生体物性と同一である場合に限定されず、階調表現により実現される強度物性が対応する位置における生体物性と近似する場合も含まれる。近似する場合としては、例えば、強度物性(後述するモデル物性と同義)の生体物性に対する差異が5%以内である場合などが挙げられる。また、本開示において「階調」とは、上記の通り、複数種類の造形用組成物がそれぞれ配置されることで形成される配置パターンであって、配置パターンごとに硬化物における強度物性が異なるものを表す。
なお、本方法は、ボクセルとして表現可能なため、FAVなどのボクセルフォーマットと対応させると効率がよい。また、単位区画を埋める造形用組成物の液滴数は任意の構成でよい。
また、3Dプリンタで表現できる階調における強度物性を、事前にMRE測定などで把握しておくことで、より正確に、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する臓器モデルを造形することができる。
(4)評価工程
造形方法は、造形された臓器モデルの精度を評価する評価工程を有してもよい。評価工程は、取得工程において生体をMRE測定することにより取得される生体物性を示す生体物性情報と、造形工程において造形された臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性を示すモデル物性情報と、に基づき、造形された臓器モデルの精度を評価する工程である。なお、本工程は、人が実行してもよいし、パソコン等の情報処理装置が実行してもよい。
まず、生体物性情報およびモデル物性情報に基づき造形された臓器モデルの精度を評価する方法について説明する。
臓器モデルの精度を評価する方法としては、例えば、生体物性の分布およびモデル物性の分布がほぼ同一の分布を示しているかを判断することで精度を評価する方法、生体および臓器モデルの対応する部位においてほぼ同一の生体物性およびモデル物性を有しているかを判断することで精度を評価する方法などが挙げられる。
生体および臓器モデルの対応する部位とは、例えば、生体および臓器モデルに対して同じ基準で座標を割り当てた場合においてほぼ同一の座標となる生体中の部位および臓器モデル中の部位、生体中の特定構造を有する部位(腫瘍部等)および生体中の当該特定構造を有する部位を模した臓器モデル中の部位(腫瘍部を模した部位等)などが挙げられるが、後者であることが好ましい。後者である場合、例えば、生体中の特定構造を有する部位および生体中の当該特定構造を有する部位を模した臓器モデル中の部位のそれぞれにおいて10ヶ所の位置を選択し、それぞれの部位における生体物性の平均およびモデル物性の平均を算出し、これらの平均に基づいて臓器モデルの精度を評価する。
生体および臓器モデルの対応する部位においてほぼ同一の生体物性およびモデル物性を有しているかを判断する基準の一例としては、当該対応する部位においてモデル物性の生体物性に対する差異が5%以内であることが挙げられる。なお、差異に関しては、5%以内に限られず、求められる精度の程度により適宜選択でき、例えば、50%以内、40%以内、30%以内、20%以内、10%以内などであってもよいが、高精度であることを評価できる観点から差異が小さいことが好ましい。なお、差異が5%以内である臓器モデルは、MRI装置による撮影工程とMRI装置による測定工程とを、ほぼ同時に行うことで実現できる。上記の通り、医用画像データの取得時と生体物性の取得時がほぼ同時となり正確な生体の情報を得ることができるためである。なお、ほぼ同時とは、撮影工程の時間および測定工程の時間の少なくとも一部が重複している場合、一度のMRI装置の使用で撮影工程および測定工程の両方を実行できる場合などを表す。
なお、上記のように、生体および臓器モデルの対応する部位における生体物性情報およびモデル物性情報を比較するためには、生体物性が測定された生体中の位置を示す情報およびモデル物性が測定された臓器モデル中の位置を示す情報もあることが好ましい。そのため、臓器モデルの精度を評価する場合、ボクセル、画像濃度情報、及び生体物性情報が関連付けられた情報である医用3Dデータと、ボクセル、画像濃度情報、及びモデル物性情報が関連付けられた情報であるモデル3Dデータと、を用い、これらデータにそれぞれ含まれる生体物性情報およびモデル物性情報を比較することが好ましい。ボクセルが上記の位置を示す情報に相当するためである。なお、モデル3Dデータは、医用3Dデータと同様にして取得されるデータであって、少なくとも、臓器モデルを医用画像撮影装置により撮影することにより取得されるモデル画像データと、臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性と、に基づき作成されるデータを表す。
なお、本評価工程は、臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性を用いる。これは、臓器モデルを構成する材料の主成分の一つとして、水素原子核を信号源とするMRE測定に適している水が含まれていることが好ましいことを表す。すなわち、臓器モデルを構成する材料として、上記のハイドロゲルが含有されていることが好ましい。
3.3Dプリンタを用いて臓器モデルを造形する方法
3Dプリンタ(以下、「造形装置」とも称する)で臓器モデルを造形する方法の一例として、マテリアルジェッティング方式の3Dプリンタで上記のハイドロゲル立体造形用組成物を用いて臓器モデルを造形する方法について説明する。
マテリアルジェッティング方式による臓器モデルの造形方法は、ハイドロゲル立体造形用組成物の液滴を付与して液膜を形成する液膜形成工程と、ハイドロゲル立体造形用組成物の液膜を硬化させる硬化工程と、を有し、液膜形成工程及び硬化工程を順次繰り返すことを特徴とする。なお、臓器モデルの造形方法は、必要に応じて、臓器モデルを支持する支持体を造形する支持体造形工程、その他工程を有してもよい。
マテリアルジェッティング方式による臓器モデルの造形装置は、ハイドロゲル立体造形用組成物を収容している収容手段と、収容されていたハイドロゲル立体造形用組成物の液滴を付与して液膜を形成する液膜形成手段と、ハイドロゲル立体造形用組成物の液膜を硬化させる硬化手段と、を有し、液膜形成手段による液膜形成及び硬化手段による硬化を順次繰り返すことを特徴とする。
まず、図9及び図10を用いてマテリアルジェッティング方式について説明する。図9は、臓器モデルの造形装置の一例を示す模式図である。図10は、臓器モデルを支持体から剥離した一例を示す模式図である。図9に示すマテリアルジェッティング方式の臓器モデルの造形装置10は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用い、ハイドロゲル立体造形用組成物噴射ヘッドユニット11からハイドロゲル立体造形用組成物収容容器に収容されていたハイドロゲル立体造形用組成物を、支持体造形用組成物噴射ヘッドユニット12から支持体造形用組成物収容容器に収容されていた支持体造形用組成物を、造形体支持基板14に向けて噴射し、隣接した紫外線照射機13でハイドロゲル立体造形用組成物及び支持体造形用組成物を硬化しながら積層する。ここで、支持体造形用組成物とは、光などの活性エネルギー線又は熱を照射されることで硬化し、臓器モデルを支持する支持体を造形する液体組成物を表し、例えば、アクリル系材料などが挙げられる。なお、造形装置10は、噴射されたハイドロゲル立体造形用組成物を平坦化する平滑化部材16を有してもよい。
造形装置10は、ハイドロゲル立体造形用組成物噴射ヘッドユニット11、支持体造形用組成物噴射ヘッドユニット12、及び紫外線照射機13と、臓器モデル(ハイドロゲル)17及び支持体(サポート材)18とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、ステージ15を下げながら積層する。
造形装置10における紫外線照射機13は、矢印A、Bいずれの方向に移動する際も使用され、紫外線照射に伴って発生する熱により、積層表面が平滑化され、結果として臓器モデル17の寸法安定性が向上する。
造形装置10における造形が終了後、図10に示すように臓器モデル17と支持体18を水平方向に引っ張ることにより、支持体18は一体として剥離され、臓器モデル17を容易に取り出すことができる。
(1)液膜形成工程
液膜形成工程においてハイドロゲル立体造形用組成物を付与する方法としては、液滴が適切な精度で目的の位置に付与できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の液滴吐出方式を用いることができる。液滴吐出方式の具体例としては、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられるが、インクジェット方式であることが好ましい。
ハイドロゲル立体造形用組成物の液滴の体積は、例えば、2pL以上60pL以下が好ましく、15pL以上30pL以下がより好ましい。液滴の体積が2pL以上であると吐出安定性を向上でき、60pL以下であると、造形用の吐出ノズル等にハイドロゲル立体造形用組成物を充填する際に、充填が容易になる。
(2)硬化工程
硬化工程においてハイドロゲル立体造形用組成物の液膜を硬化させる硬化手段は、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線などが挙げられる。紫外線(UV)照射ランプの種類としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
ハイドロゲル立体造形用組成物に対する硬化手段としては、UV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode:紫外線発光ダイオード)が好適に使用される。LEDの発光波長としては特に制限するものではなく、一般的には365nm、375nm、385nm、395nm、405nm等があるが、造形物への色の影響を考慮すると、開始剤の吸収が大きくなるように、短波長発光の方が有利である。また、UV-LEDは、一般的に用いられる紫外線照射ランプ(高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ)、電子線などにくらべ、硬化時に生じる熱エネルギーが小さく、ハイドロゲルの熱損傷が小さくなる。特に、ハイドロゲル立体造形用組成物により造形されるハイドロゲルは、水を含有する状態で使用されるため、この効果は顕著なものである。
臓器モデルの造形方法は、ハイドロゲル立体造形用組成物の液滴を付与して液膜を形成する液膜形成工程と、ハイドロゲル立体造形用組成物の液膜を硬化させる硬化工程と、を有し、液膜形成工程及び硬化工程を順次繰り返す。このとき、繰り返し回数としては、特に制限はなく、造形する臓器モデルの大きさ、形状などに応じて適宜選択することができる。また、硬化後の1層あたりの平均厚みは、10μm以上50μm以下が好ましい。平均厚みが10μm以上50μm以下であることで、精度よく、且つ剥離を少なく造形することが可能である。
(3)支持体造形工程
支持体造形工程において使用される支持体造形用組成物は、光などの活性エネルギー線又は熱を照射されることで硬化し、臓器モデルを支持する支持体を造形する液体組成物である。支持体造形用組成物の組成は、ハイドロゲル立体造形用組成物とは異なる。具体的には、硬化性材料及び重合開始剤などを含み、水及び鉱物は含まないことが好ましい。硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生じて硬化する化合物であり、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
支持体造形用組成物は、ハイドロゲル立体造形用組成物とは異なる位置に付与される。これは、支持体造形用組成物とハイドロゲル立体造形用組成物とが重ならないことを意味し、支持体造形用組成物とハイドロゲル立体造形用組成物とが隣接していてもよい。
支持体造形用組成物を付与する方法としては、ハイドロゲル立体造形用組成物を付与する方法と同様の方法が挙げられる。
(4)その他工程
その他の工程としては、例えば、液膜を平滑化させる工程、剥離工程、造形物の研磨工程、造形物の清浄工程などが挙げられるが、液膜を平滑化させる工程を含むことが好ましい。液膜形成工程にて形成された液膜は、全ての位置で狙いの膜厚(層厚)になっているとは限らないためである。例えば、インクジェット方式で液膜形成する場合、不吐出やドット間段差が生じる場合などがあり、高精度な臓器モデルを形成することが困難になることがある。これら課題に対しては、液膜を形成した後に機械的に平滑化する(均す)、液膜を硬化して得られるハイドロゲル薄膜を機械的に削り取る、平滑度を検知して次の層の積層時に製膜量をドットレベルで調整する、などの方法が考えられる。なお、臓器モデルを構成する材料であるハイドロゲルの硬度は比較的柔らかいため、平滑化の方法としては、液膜を機械的に均す方法が好ましい。機械的に平滑化する方法とは、例えば、ブレード形状の部材で均す、ローラー形状の部材で均すなどの方法が挙げられる。
(5)強度物性が異なる部位を有する臓器モデルの造形方法
次に、臓器モデルの造形方法のより具体的な説明として、強度物性が異なる部位を有する臓器モデルの造形方法の一例について説明する。以下の説明では、組成の異なる2種類のハイドロゲル立体造形用組成物を用いる態様を例として詳細を説明するが、かかる態様に限定されるものではない。当業者であれば、かかる説明からさらなる態様(例えば、3種類以上のハイドロゲル立体造形用組成物を用いる態様など)について容易に理解するものである。
強度物性が異なる部位を有する臓器モデルの造形方法は、組成の異なる複数のハイドロゲル立体造形用組成物の液滴をそれぞれ付与することで、組成の異なる複数の領域を有する液膜を形成する液膜形成工程と、液膜を硬化させる硬化工程と、を有し、液膜形成工程及び硬化工程を順次繰り返すことを特徴とする。
なお、上記造形方法は、組成の異なる複数のハイドロゲル立体造形用組成物をそれぞれ収容している収容手段と、収容されていた組成の異なる複数のハイドロゲル立体造形用組成物の液滴をそれぞれ付与することで、組成の異なる複数の領域を有する液膜を形成する液膜形成手段と、液膜を硬化させる硬化手段と、を有し、液膜形成手段による液膜形成及び硬化手段による硬化を順次繰り返すことを特徴とする臓器モデルの造形装置を用いる。
具体的には、まず、第一のハイドロゲル立体造形用組成物と、第一のハイドロゲル立体造形用組成物とは組成の異なる第二のハイドロゲル立体造形用組成物と、を用い、各ハイドロゲル立体造形用組成物の液滴の、それぞれ、付与する位置及び付与量を制御することにより、組成が異なる複数の領域を連続的に有する液膜を形成する。なお、第一のハイドロゲル立体造形用組成物は上記の高強度造形用組成物の一例であるとし、第二のハイドロゲル立体造形用組成物は上記の低強度造形用組成物の一例であるとする。次に、この液膜を硬化させて上記領域を連続的に有する1層分の硬化膜を形成する。その後、液膜の形成と硬化とを順次繰り返すことで硬化膜を積層し、強度物性が異なる複数の部位を連続的に有する臓器モデルを造形する。なお、臓器モデルにおける強度物性が異なる複数の部位は、1層分の硬化膜の中で強度物性が異なることにより存在していてもよいし、硬化膜間で強度物性が異なることにより存在していてもよい。
4.臓器モデルの用途
(1)汎用用途または個別用途
臓器モデルの用途としては2つに大別できる。1つは個別用途における臓器モデルであり、もう1つは汎用用途における臓器モデルである。
個別用途における臓器モデルとしては、例えば、医療現場におけるインフォームドコンセント、術前シミュレーション、術式トレーニングなどに用いられる臓器モデルである。この場合の臓器モデルは、対象とする患者個人の患部を含む臓器の形状・物性を有する。また、この場合の臓器モデルは、患者個人のデータを基に造形され、患部が再現されたモデルであることが好ましい。
個別用途における臓器モデルの造形方法は、1つの生体の医用3Dデータである個別医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて、個別用途における臓器モデルを造形する造形工程を有する。このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、造形工程より前に実行される工程として、個別医用3Dデータを取得する取得工程と、個別医用3Dデータに基づいて造形用3Dデータである個別造形用3Dデータを生成する生成工程と、を有してもよい。更に、このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、造形工程より後に実行される工程として、造形された臓器モデルの精度を評価する評価工程を有してもよい。
また、上記取得工程は、1つの生体を医用画像撮影装置により撮影することで医用画像データである個別医用画像データを取得する撮影工程と、1つの生体をMRE測定することにより生体物性である個別生体物性を取得する測定工程と、個別医用画像データ及び個別生体物性に基づき個別医用3Dデータを作成する作成工程と、を有する。
また、上記評価工程は、上記取得工程において取得される個別生体物性を示す個別生体物性情報と、造形工程において造形された臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性を示すモデル物性情報と、に基づき、造形された臓器モデルの精度を評価する工程である。
汎用用途における臓器モデルとしては、例えば、医療機器開発における性能確認、校正、トレーニング、教育現場における構造確認などに用いられる臓器モデルである。この場合の臓器モデルは、対象とする臓器の平均的な形状・物性を有する。また、この場合の臓器モデルは、主に健常者のデータを基に造形され、単独もしくは複数人のデータが平均化されたモデルであることが好ましい。
汎用用途における臓器モデルの造形方法は、複数の生体のそれぞれにおける医用3Dデータである個別医用3Dデータを平均化して得られる平均医用3Dデータに基づき、3Dプリンタを用いて、汎用用途における臓器モデルを造形する造形工程を有する。このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、造形工程より前に実行される工程として、複数の個別医用3Dデータを取得し、取得した複数の個別医用3Dデータを平均化して平均医用3Dデータを得る取得工程と、平均医用3Dデータに基づき造形用3Dデータである平均造形用3Dデータを生成する生成工程と、を有してもよい。更に、このような造形工程を有する造形方法を実行する場合、必要に応じて、造形工程より後に実行される工程として、造形された臓器モデルの精度を評価する評価工程を有してもよい。
また、上記取得工程は、複数の生体をそれぞれ医用画像撮影装置により撮影することで医用画像データである個別医用画像データを複数取得する撮影工程と、複数の生体をそれぞれMRE測定することにより生体物性である個別生体物性を複数取得する測定工程と、生体ごとの個別医用画像データ及び個別生体物性に基づき複数の個別医用3Dデータを作成する作成工程と、複数の個別医用3Dデータを平均化して平均医用3Dデータを得る平均化工程と、を有する。なお、平均医用3Dデータは、複数の個別医用3Dデータに含まれる個別ボクセルと、個別画像濃度情報と、個別生体物性情報と、をそれぞれ平均化して得られる平均ボクセルと、平均画像濃度情報と、平均生体物性情報と、を含む。また、平均化する方法は適宜公知の方法を用いることができる。
また、上記評価工程は、上記取得工程において取得される平均生体物性を示す平均生体物性情報と、造形工程において造形された臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性を示すモデル物性情報と、に基づき、造形された臓器モデルの精度を評価する工程である。
(2)トレーニング用途
臓器モデルは、手術のトレーニングに用いられることが好ましい。本発明の臓器モデルは生体の形状および物性を再現しているため、手技トレーニングなどに対しては単体でも有用である。しかし、手術全体のトレーニング(手順の把握、患部までのアプローチ等を目的としたトレーニング)、シミュレーションに際しては、本発明の臓器モデルと、臓器モデルを内蔵する筐体と、を有するトレーニングシステムを用いることが好ましい。筐体としては特に制限はないが、トレーニング用途に応じて、その形態、形状などを適宜選択できる。例えば、内視鏡トレーニング用であれば、外部から臓器モデルが見えない方が好ましいため、内蔵された臓器の視認性が無い又は低下する材料で筐体を作製し、その内部に臓器モデルを配置する。この際、筐体の形状は生体(人体の構造や骨格など)を模した構造体であると効果的であるため好ましい。この様な筐体は、腹腔鏡用トレーニングボックスの様な簡便的なものから、内部にろっ骨などを配置した複雑な形状を有するものまで市販されており、それらを適宜使用してもよい。
(3)ヒトの臓器モデル用途
造形物をヒトの臓器モデルとして用いる場合、造形物を形成するハイドロゲルなどの材料における水の含有量は、臓器モデル全量に対して70質量%以上85質量%以下であることが好ましい。70質量%以上85質量%以下であることで、ヒトの臓器モデルが対象とする実際のヒトの臓器と同等の水分含有量とすることができ、好適に使用することができる。なお、具体的には、ヒトの心臓モデルであれば約80質量%であることが好ましく、ヒトの腎臓モデルであれば約83質量%であることが好ましく、ヒトの脳又は腸のモデルであれば約75質量%であることが好ましい。従って、臓器モデルにおける水の含有量は、臓器モデル全量に対して75質量%以上83質量%以下であることがより好ましい。
以下、本発明の例を説明するが、本発明はこれら例に何ら限定されるものではない。
<ハイドロゲル立体造形用組成物1の作製>
まず、イオン交換水に減圧脱気を30分間実施して純水を準備し、この純水580.0質量部を撹拌させながら、水膨潤性粘土鉱物である合成ヘクトライト(ラポナイトRD、BYK社製)67.0質量部を少しずつ添加し、更に撹拌して混合液を作製した。次に、混合液に合成ヘクトライトの分散剤としてエチドロン酸(東京化成工業株式会社製)5.0質量部を添加して分散液を得た。
次に、得られた分散液に、モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したジメチルアクリルアミド(DMAA、東京化成工業株式会社製)262.0質量部を添加した。また、架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA、東京化成工業株式会社製)2.4質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(A-400、新中村化学工業株式会社製)8.0質量部を添加した。更に、乾燥防止剤としてグリセリン(阪本薬品工業株式会社製)300.0質量部を添加して混合した。
次に、重合促進剤としてN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED、東京化成工業株式会社製)6.7質量部を添加した。また、界面活性剤としてエマルゲンLS-106(花王株式会社製)を5.3質量部添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)のメタノール4質量%溶液を12.3質量部添加し、攪拌混合の後、減圧脱気を20分間実施した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、均質なハイドロゲル立体造形用組成物1を得た。
<ハイドロゲル立体造形用組成物2の作製>
まず、イオン交換水に減圧脱気を30分間実施して純水を準備し、この純水580.0質量部を撹拌させながら、水膨潤性粘土鉱物である合成ヘクトライト(ラポナイトRD、BYK社製)67.0質量部を少しずつ添加し、更に撹拌して混合液を作製した。次に、混合液に合成ヘクトライトの分散剤としてエチドロン酸(東京化成工業株式会社製)5.0質量部を添加して分散液を得た。
次に、得られた分散液に、モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したジメチルアクリルアミド(DMAA、東京化成工業株式会社製)262.0質量部を添加した。また、架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA、東京化成工業株式会社製)0.6質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(A-400、新中村化学工業株式会社製)2.0質量部を添加した。更に、乾燥防止剤としてグリセリン(阪本薬品工業株式会社製)300.0質量部を添加して混合した。
次に、重合促進剤としてN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED、東京化成工業株式会社製)6.7質量部を添加した。また、界面活性剤としてエマルゲンLS-106(花王株式会社製)を5.3質量部添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)のメタノール4質量%溶液を12.3質量部添加し、攪拌混合の後、減圧脱気を20分間実施した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、均質なハイドロゲル立体造形用組成物2を得た。
[ヤング率の評価]
まず、ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2を用いてハイドロゲルのサンプル1~4を作製した。具体的には、31mm×31mm(厚さ10mm)の容器を準備し、下記表1に示す質量比のハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2の混合物で内部を満たし、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5-250DB)を用いて硬化させることでサンプル1~4を作製した。照射条件は、波長:365nm、積算露光量:350mJ/cmであった。
次に、各サンプルにおける圧縮強度を測定した。圧縮強度は、オートグラフAG-1(島津製作所製)を用い、1MPaのロードセルを用いて測定した。結果を図11に示す。図11におけるグラフの傾きからヤング率を算出し、下記表1に示した。
図11および表1で示すように、ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2の質量比によりハイドロゲルの物性(ヤング率)を制御することができる。
Figure 2022030866000002
[粘弾性の評価]
まず、ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2を用いてハイドロゲルのサンプル5~8を作製した。具体的には、ダンベル3号形(JIS K 7139)を形取った容器を準備し、下記表2に示す質量比のハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2の混合物で内部を満たし、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5-250DB)を用いて硬化させることでサンプル5~8を作製した。照射条件は、波長:365nm、積算露光量:350mJ/cmであった。
次に、各サンプルに対して引張試験を実施した。引張試験は、オートグラフAG-1(島津製作所製)を用い、フォースゲージにて応力を測定した。結果を図12に示す。
図12に示すように、ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2の質量比によりハイドロゲルの物性(粘弾性)を制御することができる。
Figure 2022030866000003
<医用3Dデータ1の取得>
MRE測定が可能なMRI装置を用い、脂肪肝を患う患者の肝臓部分を含む医用3Dデータ1を取得した。医用3Dデータ1は、患者をMRI装置で撮影することにより取得される医用画像データと、患者をMRE測定することにより取得される生体物性と、に基づいて作成されていた。具体的には、医用3Dデータ1は、医用画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与された医用画像データにおける画像濃度(MRI信号値)を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与された生体物性(粘弾性)を示す生体物性情報と、を含んでいた。
なお、MRE測定により取得された肝臓部分における生体物性(粘弾性)は、いずれの部位においても、ハイドロゲル立体造形用組成物1の硬化物における粘弾性とハイドロゲル立体造形用組成物2の硬化物における粘弾性の範囲内であった。
<造形用3Dデータ1の生成>
医用3Dデータ1をボクセル領域分割し、肝臓部分を示す領域別医用3Dデータ1を取得した。次に、領域別医用3Dデータ1に対し、FAVフォーマット変換を行うことでFAV形式である造形用3Dデータ1を生成した。
<肝臓モデル1の造形例>
ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2を、それぞれ、図9に示すようなマテリアルジェッティング方式であって、且つ強度物性の階調を表現できる3Dプリンタに収容し、3Dプリンタのインクジェットヘッドに充填した。次に、3Dプリンタに造形用3Dデータ1を入力し、造形用3Dデータ1を基に、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する肝臓モデル1の造形を行った。具体的には、インクジェットヘッドから各造形用組成物を噴射させ、液膜形成と硬化を順次繰り返すことで造形した。
<モデル3Dデータ1の取得>
MRE測定が可能なMRI装置を用い、肝臓モデル1のモデル3Dデータ1を取得した。モデル3Dデータ1は、肝臓モデル1をMRI装置で撮影することにより取得されるモデル画像データと、肝臓モデル1をMRE測定することにより取得されるモデル物性と、に基づいて作成されていた。具体的には、モデル3Dデータ1は、モデル画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与されたモデル画像データにおける画像濃度(MRI信号値)を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与されたモデル物性(粘弾性)を示すモデル物性情報と、を含んでいた。
[肝臓モデル1の精度評価]
取得した医用3Dデータ1の肝臓部分に含まれる生体物性情報と、肝臓モデル1のモデル3Dデータ1に含まれるモデル物性情報と、に基づき、肝臓モデル1の肝臓部分に対する精度を評価した。具体的には、肝臓部分と肝臓モデル1の対応する部分(各部分10ヶ所における平均)におけるモデル物性の生体物性に対する差異を算出したところ3%であった。
<医用3Dデータ2’の取得>
MRE測定が可能なMRI装置を用い、健常者3名それぞれの肝臓部分を含む医用3Dデータ2を取得した。医用3Dデータ2は、健常者をMRI装置で撮影することにより取得される医用画像データと、健常者をMRE測定することにより取得される生体物性と、に基づいて作成されていた。具体的には、医用3Dデータ2は、医用画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与された医用画像データにおける画像濃度(MRI信号値)を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与された生体物性(粘弾性)を示す生体物性情報と、を含んでいた。
次に、健常者3名の医用3Dデータ2を平均化し、平均的な健常者における医用3Dデータ2’を作成した。
なお、平均的な健常者における医用3Dデータ2’における生体物性(粘弾性)は、いずれの部位においても、ハイドロゲル立体造形用組成物1の硬化物における粘弾性とハイドロゲル立体造形用組成物2の硬化物における粘弾性の範囲内であった。
<造形用3Dデータ2’の生成>
平均的な健常者における医用3Dデータ2’をボクセル領域分割し、肝臓部分を示す領域別医用3Dデータ2’を取得した。次に、領域別医用3Dデータ2’に対し、FAVフォーマット変換を行うことでFAV形式である造形用3Dデータ2’を生成した。
<肝臓モデル2’の造形例>
ハイドロゲル立体造形用組成物1及びハイドロゲル立体造形用組成物2を、それぞれ、図9に示すようなマテリアルジェッティング方式であって、且つ強度物性の階調を表現できる3Dプリンタに収容し、3Dプリンタのインクジェットヘッドに充填した。次に、3Dプリンタに造形用3Dデータ2’を入力し、造形用3Dデータ2’を基に、生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有する肝臓モデル2’の造形を行った。具体的には、インクジェットヘッドから各造形用組成物を噴射させ、液膜形成と硬化を順次繰り返すことで造形した。
<モデル3Dデータ2’の取得>
MRE測定が可能なMRI装置を用い、肝臓モデル2’のモデル3Dデータ2’を取得した。モデル3Dデータ2’は、肝臓モデル2’をMRI装置で撮影することにより取得されるモデル画像データと、肝臓モデル2’をMRE測定することにより取得されるモデル物性と、に基づいて作成されていた。具体的には、モデル3Dデータ2’は、モデル画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与されたモデル画像データにおける画像濃度(MRI信号値)を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与されたモデル物性(粘弾性)を示すモデル物性情報と、を含んでいた。
[肝臓モデル2’の精度評価]
平均化して作成した医用3Dデータ2’の肝臓部分に含まれる生体物性情報と、肝臓モデル2’のモデル3Dデータ2’に含まれるモデル物性情報と、に基づき、肝臓モデル2’の平均化された肝臓部分に対する精度を評価した。具体的には、平均化された肝臓部分と肝臓モデル2’の対応する部分(各部分10ヶ所における平均)におけるモデル物性の生体物性に対する差異を算出したところ4%であった。
[肝臓モデル1および肝臓モデル2’の医師による質感評価]
肝臓モデル1および肝臓モデル2’を5名の医師が触診し、実際の肝臓における質感との比較を行った。結果、いずれの肝臓モデルも非常に再現性が高いとの見解であった。
<トレーニングシステムの作製>
肋骨等の構造を有する人体の腹部形状を模した筐体を作製し、その内部に肝臓モデル1およびその他の臓器を模した構造体を配置することでトレーニングシステム1を作製した。また、肝臓モデル1の代わりに肝臓モデル2’を用いることでトレーニングシステム2’を作製した。また、これら筐体の一部には、腹腔鏡、管子などが入れられる穴があけられ、内視鏡手術が可能な器具がセットされた。
次に、3名の医師が、これらトレーニングシステムの肝臓モデル1および肝臓モデル2’に対し、生検用管子を用いて肝臓の組織片採取と同様の操作を実施し、肝臓モデル1および肝臓モデル2’の触感を評価した。結果、肝臓モデル1および肝臓モデル2’で明らかな違いが感じられ、実際の触感に近いとの見解であった。
10 造形装置
11 ハイドロゲル立体造形用組成物噴射ヘッドユニット
12 支持体造形用組成物噴射ヘッドユニット
13 紫外線照射機
14 造形体支持基板
15 ステージ
16 平滑化部材
17 臓器モデル(ハイドロゲル)
18 支持体(サポート材)
特開平5-11689号公報 特開2019-153180号公報

Claims (10)

  1. 生体をMRE測定することにより取得される生体物性を示す生体物性情報に基づいて造形され、前記生体物性の分布に対応する強度物性の分布を有することを特徴とする臓器モデル。
  2. 前記生体物性情報を含む医用3Dデータに基づいて造形され、
    前記医用3Dデータは、前記生体を医用画像撮影装置で撮影することにより取得される医用画像データと、前記生体物性と、に基づいて作成される請求項1に記載の臓器モデル。
  3. 前記医用3Dデータは、前記医用画像データに基づいて作成される複数のボクセルと、ボクセルごとに付与された前記医用画像データにおける画像濃度を示す画像濃度情報と、ボクセルごとに付与された前記生体物性情報と、を含む請求項2に記載の臓器モデル。
  4. 前記生体物性情報は、1つの生体をMRE測定することにより取得される個別生体物性を示す個別生体物性情報である請求項1から3のいずれか一項に記載の臓器モデル。
  5. 前記生体物性情報は、複数の生体をそれぞれMRE測定することにより取得される複数の個別生体物性を平均化して得られる平均生体物性を示す平均生体物性情報である請求項1から3のいずれか一項に記載の臓器モデル。
  6. 前記臓器モデルをMRE測定することにより取得されるモデル物性の前記生体物性に対する差異は5%以内である請求項1から5のいずれか一項に記載の臓器モデル。
  7. 前記臓器モデルを構成する材料としてハイドロゲルを含有する請求項1から6のいずれか一項に記載の臓器モデル。
  8. 前記ハイドロゲルは、水、ポリマー、及び鉱物を含有する請求項7に記載の臓器モデル。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の臓器モデルと、前記臓器モデルを内蔵する筐体と、を有するトレーニングシステム。
  10. 前記筐体は、前記生体の少なくとも一部の構造を模した模造体である請求項9に記載のトレーニングシステム。
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