JP2022029634A - 描画システム - Google Patents

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孝史 京野
Takashi Kyono
真也 伊藤
Shinya Ito
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Abstract

【課題】背景の視認性を確保しながら、映像の視認性を向上可能な描画システムを提供する。【解決手段】一実施形態に係る描画システムは、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含む描画レーザ光を出力する光出力部と、光出力部から出力された描画レーザ光を、映像を描画するように走査する走査部と、走査部で走査された描画レーザ光によって描画される映像を表示する透明な映像表示部とを備え、映像表示部は、描画レーザ光を拡散または散乱して映像を表示する表示機構と、少なくとも1つの反射波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、を含み、少なくとも1つの反射波長帯は、少なくとも1色のレーザ光に対する波長帯であり、誘電体多層膜は、表示機構に対して光出力部と反対側に位置する。【選択図】図5

Description

本発明は、描画システムに関する。
本技術分野の従来技術として、特許文献1,2に記載の技術がある。特許文献1,2に記載の技術では、背景を視認可能な透明なスクリーンに映像を表示する技術が開示されている。具体的には、透明なスクリーンに投射された映像光の一部を透明なスクリーン内で反射させることによって、映像光で表される映像を表示させている。
特開2017-173788号公報 特開2018-146666号公報
背景を視認可能な透明なスクリーンに映像を表示する場合、特許文献1,2に記載されているように、透明なスクリーンに入射した光の一部を反射させる必要がある。しかしながら、反射量を多くすると映像の視認性が向上する一方、背景の視認性が低下し、逆に、反射量を小さくすると背景の視認性が向上する一方、映像の輝度が低下するため映像の視認性が低下する。
本開示は、背景の視認性を確保しながら、映像の視認性を向上可能な描画システムを提供することを目的とする。
一実施形態に係る描画システムは、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含む描画レーザ光を出力する光出力部と、前記光出力部から出力された前記描画レーザ光を、映像を描画するように走査する走査部と、前記走査部で走査された前記描画レーザ光によって描画される前記映像を表示する透明な映像表示部と、を備え、前記映像表示部は、前記描画レーザ光を拡散または散乱して前記映像を表示する表示機構と、少なくとも1つの反射波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は、前記少なくとも1色のレーザ光に対する波長帯であり、前記誘電体多層膜は、前記表示機構に対して前記光出力部と反対側に位置する。
本開示によれば、背景の視認性を確保しながら、映像の視認性を向上可能な描画システムを提供できる。
図1は、一実施形態に係る描画システムの構成の模式図である。 図2は、図1に示した描画システムを側方からみた場合の模式図である。 図3は、光出力部および走査部の一例の構成を説明するための模式図である。 図4は、制御装置の一例の機能ブロック図である。 図5は、図1のV-V線に沿った断面の模式図である。 図6は、誘電体多層膜の一例が有する透過特性を説明するための図面である。 図7は、赤色のレーザ光の波長帯を選択的に反射する誘電体多層膜に対する第1透過スペクトルの模式図である。 図8は、赤色のレーザ光の波長帯を選択的に反射する誘電体多層膜に対する第2透過スペクトルの模式図である。 図9は、赤色のレーザ光の波長帯および緑色のレーザ光の波長帯を選択的に反射する誘電体多層膜に対する第1透過スペクトルの模式図である。 図10は、赤色のレーザ光の波長帯および緑色のレーザ光の波長帯を選択的に反射する誘電体多層膜に対する第2透過スペクトルの模式図である。 図11は、透明スクリーン(映像表示部)の変形例を示す模式図である。 図12は、透明スクリーン(映像表示部)の他の変形例を示す模式図である。 図13は、透明スクリーン(映像表示部)の更に他の変形例を示す模式図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
一実施形態に係る描画システムは、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含む描画レーザ光を出力する光出力部と、前記光出力部から出力された前記描画レーザ光を、映像を描画するように走査する走査部と、前記走査部で走査された前記描画レーザ光によって描画される前記映像を表示する透明な映像表示部と、を備え、前記映像表示部は、前記描画レーザ光を拡散または散乱して前記映像を表示する表示機構と、少なくとも1つの反射波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は、前記少なくとも1色のレーザ光に対する波長帯であり、前記誘電体多層膜は、前記表示機構に対して前記光出力部と反対側に位置する。
上記構成では、赤色、緑色および青色の少なくとも一色のレーザ光を含む描画レーザ光は、走査部によって映像を描画するように映像表示部に向けて反射されるととともに、2次元的に走査される。映像表示部は、描画レーザ光を拡散または散乱する表示機構を有する。よって、映像表示部に入射された描画レーザ光は、表示機構で拡散または散乱される。これにより、透明な映像表示部に描画された映像が表示される。表示機構に対して光出部と反対側には誘電体多層膜が配置されている。そのため、表示機構をとおり抜けた描画レーザ光は、誘電体多層膜に入射し、上記少なくとも一つの反射波長帯の光が反射される。上記少なくとも一つの反射波長帯は、描画レーザ光に含まれる赤色、緑色および青色のすくとも1色のレーザ光の波長帯に対応する。レーザ光のスペクトル線幅は狭いため、誘電体多層膜は、映像の表示に寄与する光を選択的に反射し、他の光を透過可能である。そのため、背景の視認性を確保しながら、映像の視認性を向上できる。
前記表示機構は、前記描画レーザ光を拡散または散乱する複数の微粒子を有してもよい。この場合、複数の微粒子によって、描画レーザ光が拡散または散乱されるので、映像が表示され得る。
前記映像表示部は、透明光学層を有し、前記複数の微粒子は、前記透明光学層内に分散されており、前記誘電体多層膜は、前記透明光学層のうち前記光出力部と反対側の面に設けられている平坦な膜であってもよい。
前記表示機構は、前記描画レーザ光を拡散または散乱する凹凸面を有してもよい。凹凸面で描画レーザ光が拡散または散乱されるので、映像を表示できる。
前記表示機構は、前記凹凸面上にハーフミラー層を有してもよい。この場合、描画レーザ光は、ハーフミラー層で反射されながら凹凸面で拡散または散乱されるので、映像を一層視認しやすい。
前記誘電体多層膜は、前記凹凸面に接していてもよい。
前記映像表示部における前記映像の中央に対する前記描画レーザ光の入射角は0度より大きく、前記誘電体多層膜の厚さ方向の透過スペクトルは、前記誘電体多層膜に前記入射角で入射した光の正反射方向の透過スペクトルにおいて前記少なくとも1つの反射波長帯において選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第1透過低減領域に対応しており、選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第2透過低減領域を有し、前記少なくとも1つの第2透過低減領域は、対応する前記少なくとも1つの第1透過低減領域より長波長側に存在してもよい。この場合、映像表示部の厚さ方向において、少なくとも一つの反射波長帯の透過率を確保できる。そのため、背景の視認性が向上する。
前記描画レーザ光は赤色のレーザ光を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は前記赤色のレーザ光の波長帯を含んでもよい。この場合、比較的に視感度のよい赤色で映像を表示できるので、映像の視認性を確保し易い。
前記描画レーザ光は緑色のレーザ光を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は前記緑色のレーザ光の波長帯を含んでもよい。この場合、比較的に視感度のよい緑色で映像を表示できるので、映像の視認性を確保し易い。
前記描画レーザ光は赤色のレーザ光と緑色のレーザ光を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は前記赤色のレーザ光の波長帯と前記緑色のレーザ光の波長帯を含んでもよい。この場合、比較的に視感度のよい赤色および緑色を用いて映像を表示できるので、映像の視認性を確保し易い。
前記描画レーザ光は赤色のレーザ光と緑色のレーザ光と青色のレーザ光を含み、前記少なくとも1つの反射波長帯は、前記赤色のレーザ光の波長帯と前記緑色のレーザ光の波長帯と前記青色のレーザ光の波長帯を含んでもよい。この場合、三原色を用いて映像を表示できるので、カラー映像を表示し易い。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る描画システムの構成を概略的に示す模式図である。図2は、図1に示した描画システムの側面図である。図1および図2に示したように、描画システム1は、描画モジュールMと、透明スクリーン50とを備える。描画システム1は、描画モジュールMを制御する制御装置40を備えてもよい。以下では、断らない限り、制御装置40を備えた描画システム1を説明する。描画システム1は、描画モジュールMが出力する描画レーザ光Lによって、透明スクリーン50の前面(第1面)50aに映像100を描画することによって、映像100を表示するシステムである。透明スクリーン50の前面50aは、透明スクリーン50の描画モジュールM側の面であり、描画レーザ光Lが入射される面である。
描画モジュールMは、映像100を描画するために描画レーザ光Lを2次元的に走査しながら出力する。本実施形態において描画レーザ光Lは、直線偏光光である。図1において映像100中の二点鎖線は、描画レーザ光Lの走査状態の例を示している。
映像100を見る観察者に対して描画モジュールMが映像100を遮らないように、たとえば、描画モジュールMは、下方または上方から描画レーザ光Lが透明スクリーン50に入射するように配置される。この場合、図2に示したように、透明スクリーン50の厚さ方向(前面50aの垂直方向に相当)に対して、描画レーザ光Lが映像100の中央C(前面50aにおいて映像100が描画される描画領域の中央に相当)に入射する場合の入射角θは0度より大きい。入射角θは、通常、90度より小さい。入射角θの例は、たとえば、40度~70度である。以下、断らない限り、描画モジュールMは、中央Cに描画レーザ光Lが入射角θで入射するように配置されている。
描画モジュールMは、図3に示したように、光出力部10と、走査部20とを有する描画装置である。
光出力部10は、描画レーザ光Lを出力する。描画レーザ光Lは、赤色、緑色および青色の少なくとも1つの色のレーザ光を含むレーザ光である。赤色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長620nm~波長650nmである。緑色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長510nm~波長540nmである。青色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長435nm~波長465nmである。以下では、断らない限り、描画レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光を含むレーザ光である。
光出力部10は、光源部11と合波部13とを有する。光源部11は、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cを有する。
第1光源12aは、第1レーザ光L1を出力する半導体レーザ素子である。第1レーザ光L1は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうちの何れかのレーザ光である。第2光源12bは、第2レーザ光L2を出力する半導体レーザ素子である。第2レーザ光L2は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうち第1レーザ光L1以外の何れかのレーザ光である。第3光源12cは、第3レーザ光L3を出力する半導体レーザ素子である。第3レーザ光L3は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうち第1レーザ光L1および第2レーザ光L2以外のレーザ光である。
第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cの例は、レーザダイオード(LD)である。第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cは、レーザダイオードチップ(LDチップ)でもよい。
以下の説明では、断らない限り、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3は、次に示したレーザ光である。
第1レーザ光L1:赤色レーザ光
第2レーザ光L2:緑色レーザ光
第3レーザ光L3:青色レーザ光
合波部13は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を合波可能に構成されている。図3に示した合波部13に基づいて、合波部13の一例を説明する。合波部13は、レンズ14a、レンズ14b、レンズ14c、フィルタ15a、フィルタ15bおよびフィルタ15cを有する。
レンズ14aは、第1レーザ光L1をコリメートするコリメートレンズである。レンズ14bは、第2レーザ光L2をコリメートするコリメートレンズである。レンズ14cは、第3レーザ光L3をコリメートするコリメートレンズである。
フィルタ15a、フィルタ15bおよびフィルタ15cは、たとえば波長選択性フィルタである。
フィルタ15aは、レンズ14aによってコリメートされた第1レーザ光L1をフィルタ15bに向けて反射する。フィルタ15bは、第1レーザ光L1を透過するとともに、レンズ14bによってコリメートされた第2レーザ光L2をフィルタ15cに向けて反射する。これにより、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が合波される。フィルタ15cは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2(すなわち、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の合波光)を透過し、レンズ14cによってコリメートされた第3レーザ光L3をフィルタ15bと反対側(図3における走査部20側)に反射する。これにより、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3が合波された合波光である描画レーザ光Lが得られる。フィルタ15a~15cを用いて合波される第1~第3レーザ光L1~L3は、コリメート光であるため、描画レーザ光Lもコリメート光である。
第1~第3レーザ光L1~L3が全て出力されている場合を例にして説明した。しかしながら、第1~第3レーザ光L1~L3のうち何れかが出力されていない場合、描画レーザ光Lは、出力されているレーザ光が合波された光である。
走査部20は、描画レーザ光Lを前面50aに向けて反射し、映像100を描画するように描画レーザ光Lを2次元的に走査する。これにより、透明スクリーン50の前面50aに映像100が描画される。図3では模式的に走査部20を示している。走査部20は、描画レーザ光Lを反射するミラー(反射部)21と、ミラー21を2次元駆動する駆動機構22とを有する。走査部20の例は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたMEMSチップである。この場合、ミラー21はMEMSミラーである。
光出力部10および走査部20は、電子冷却モジュール(以下、TEC(Thermo-Electric Cooler)と称する場合もある。)上に設けられてもよい。TECの例は、熱電クーラー、またはペルチェモジュール(ペルチェ素子)である。
描画レーザ光Lの光路において、合波部13と走査部20との間には、描画レーザ光Lを通すアパーチャーが設けられてもよい。これにより、描画レーザ光Lの径をより小さくしたり、描画に寄与しない不要な光をカットしたりすることが可能である。
光出力部10および走査部20は、パッケージ30内に収容されていてもよい。この場合、パッケージ30には、描画レーザ光Lを通す窓部31が形成される。窓部31は、たとえば、パッケージ30の壁面に形成された開口30aに窓部材32が取り付けられることよって形成され得る。一実施形態において、上記パッケージ30は、気密封止(ハーメチックシール)され得る。
制御装置40は、光出力部10および走査部20を制御する装置である。描画システム1では、制御装置40は、外部から制御装置40に入力される映像入力信号に応じて、描画レーザ光Lが映像100を描画するように、光源部11および走査部20を駆動する。制御装置40は、たとえば、FPGA(field-programmable gate array)である。
映像入力信号は、描画すべき映像100の映像情報(各画素の位置情報、各画素の色情報など)を含む信号である。映像入力信号は、描画すべき映像100を作成する映像作成装置で作成される。映像作成装置は、たとえば、映像作成ソフトなどが組み込まれたパーソナルコンピュータである。
図4は、制御装置40の一例の機能ブロック図である。制御装置40は、信号入力部41、信号解析部42、走査制御部43、光源制御部44および記憶部45を有する。
信号入力部41は、映像入力信号を受け付ける。信号入力部41は、信号線などが接続されるポートを含む。
信号解析部42は、信号入力部41に入力された映像入力信号を解析する。信号解析部42は、映像入力信号を含まれる映像情報のうち、描画すべき映像100を構成する複数の画素の位置情報と色情報を光源制御部44に入力する。
走査制御部43は、規定の周波数に基づいて、描画レーザ光Lによって映像100を描画するように、走査部20を制御する。走査制御部43は、走査部20の駆動状態を検出し、上記複数の画素の位置情報に対応するタイミング情報を光源制御部44に入力する。
光源制御部44は、上記複数の画素の位置情報、色情報、タイミング情報に基づいて光源部11を駆動する。具体的には、光源制御部44は、第1~第3レーザ光L1~L3が各画素の色を実現するための出力強度を有するように、第1~第3光源12a~12cそれぞれを駆動する。
記憶部45は、コンピュータを、描画システム1の制御装置40として機能させるためのプログラム、その他、描画システム1を制御するのに必要な情報等を保存する。
制御装置40は、たとえば、描画システム専用の装置でもよい。或いは、上記制御装置40の機能を実現するプログラムを実行することによって、パーソナルコンピュータなどを制御装置40として使用し得る。
図1および図5を利用して透明スクリーン50を説明する。図5は、図1のV-V線に沿った断面の模式図である。
透明スクリーン50は、描画レーザ光Lによって映像100が描画され、その描画された映像100を表示するための透明な映像表示部である。透明スクリーン50は、前面(第1面)50aと背面(第2面)50bとを有する。前面50aは、描画レーザ光Lが入射される面である。背面50bは、前面50aと反対の面である。本実施形態において前面50aおよび背面50bは平滑面である。透明スクリーン50は、前面50a側からみて、背面50b側の背景などを観察者が視認可能な透明度を有する。
本開示における「透明度」は、可視光の波長帯に対する透過率(光透過性)によって評価され得る。透明スクリーン50は、可視光の波長帯に対する透過率が70%以上である部材である。透明スクリーン50の上記透過率は、80%以上でもよいし、90%以上でもよい。
図5に示したように、透明スクリーン50は、透明光学層(透明部材)51と、表示機構52と、誘電体多層膜53とを有する。
透明光学層51は、表面(第1面)51aと、裏面(第2面)51bとを有する板状、シート状またはフィルム状の部材である。表面51aは、透明スクリーン50の前面50aに相当する。裏面51bは、表面51aと反対の面(表面51aに対して背面側の面)である。本実施形態において、表面51aおよび裏面51bは平滑面である。透明光学層51の材料はガラス、透明樹脂(たとえば紫外線硬化樹脂)などである。透明光学層51の厚さの例は、2~7mmである。
表示機構52は、透明スクリーン50に入射された描画レーザ光Lの一部を拡散または散乱して、描画レーザ光Lによって描画された映像100を表示するための機構である。図5に示した形態では、表示機構52は、透明光学層51内に分散された複数の微粒子521である。複数の微粒子521は分散されているので、描画レーザ光Lの一部を拡散または散乱可能である。複数の微粒子521により描画レーザ光Lが拡散または散乱されることによって、映像100が結像され得る。
誘電体多層膜53は、透明光学層51の裏面51b上に設けられている。誘電体多層膜53のうち透明光学層51と反対の面53aが、透明スクリーン50の背面50bに相当する。本実施形態において、誘電体多層膜53は、平坦な膜である。誘電体多層膜53は、屈折率の高い膜(たとえば屈折率が2.0~2.6の膜)と、屈折率の低い膜(たとえば、屈折率が1.3~1.6の膜)とが交互に積層された膜である。誘電体多層膜53の厚さは、たとえば、20~900nmである。誘電体多層膜53は、少なくとも1つの反射波長帯の光を選択的に反射する反射特性を有する膜である。上記反射特性は、図2に示した入射角θで光が誘電体多層膜53に入射し反射された場合の特性である。誘電体多層膜53における反射波長帯の光の反射率は、たとえば、40~90%であり、反射波長帯以外の可視光の波長帯における透過率は、50~98%である。上記少なくとも1つの波長反射帯は、描画レーザ光Lが有する赤色、緑色および青色の少なくとも1つの色のレーザ光に対応する波長帯である。赤色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長615nm~波長660nmである。緑色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長495nm~波長545nmである。青色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長430nm~波長480nmである。誘電体多層膜53で選択的に反射する反射波長帯は、三原色(赤色、緑色および青色)のうち描画レーザ光Lに含まれる色の反射波長帯である。本実施形態では、断らない限り、誘電体多層膜53は、赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を選択的に反射する。
誘電体多層膜53の反射特性は、誘電体多層膜53を構成する複数の層それぞれの厚さ、材料等を調整することで実現され得る。誘電体多層膜53における高い屈折率を有する層の厚さの例は、10~100nmであり、誘電体多層膜53における低い屈折率を有する層の厚さの例は、10~100nmである。誘電体多層膜53における高い屈折率を有する層の材料としては、たとえば、TiO(二酸化チタン)、Nb(五酸化ニオブ)、Ta(五酸化タンタル)等が挙げられる。誘電体多層膜53における低い屈折率を有する層の材料としては、たとえば、SiO(二酸化ケイ素)、MgF(フッ化マグネシウム)、Al(酸化アルミニウム)等が挙げられる。
誘電体多層膜53は、次の透過特性Aを有してもよい。
(透過特性A)
誘電体多層膜53の厚さ方向の透過スペクトルは、誘電体多層膜53に入射角θ(図2参照)で入射した光の正反射方向の透過スペクトルにおいて上記少なくとも1つの反射波長帯に現れる選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第1透過低減領域に対応しており、選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第2透過低減領域を有し、少なくとも1つの第2透過低減領域は、対応する少なくとも1つの第1透過低減領域より長波長側に存在する。
図6~図10を利用して上記透過特性を具体的に説明する。ここでは、誘電体多層膜53が赤色のレーザ光の波長帯を選択的に反射する場合と、誘電体多層膜53が赤色のレーザ光の波長帯と緑色のレーザ光の波長帯を選択する場合を説明する。
図6に示したように、上記透過特性Aを有する誘電体多層膜53を通して背景を見る場合のモデルとして、図6に示したように誘電体多層膜53に背景光Lが入射する場合を想定する。誘電体多層膜53の厚さ方向に対して角度θの方向に対する透過スペクトルを第1透過スペクトルと称し、誘電体多層膜53の厚さ方向に対する透過スペクトルを第2透過スペクトルと称す。図6に示した角度θの方向は、映像100の中央C(図1および図2参照)へ入射した描画レーザ光Lの正反射方向に対応する。
第1の例として、誘電体多層膜53が赤色のレーザ光を選択的に反射する場合を説明する。このように、赤色のレーザ光を選択的に反射する誘電体多層膜53を誘電体多層膜53R(図6参照)と称す。図7は、誘電体多層膜53Rに対する第1透過スペクトルの模式図である。誘電体多層膜53Rは赤色のレーザ光を選択的に反射する。すなわち、誘電体多層膜53Rが選択的に反射する反射波長帯は赤色のレーザ光の波長帯である。よって、図7に示したように、第1透過スペクトルは、赤色のレーザ光の波長帯において、透過率が選択的に低下する第1透過低減領域α1を有する。図8は、誘電体多層膜53Rに対する第2透過スペクトルの模式図である。図8に示したように、誘電体多層膜53Rが透過特性を有する場合、第2透過スペクトルは、第1透過低減領域α1に対応する第2透過低減領域α1aを有する。第2透過低減領域α1aは、第1透過低減領域α1より長波長側に位置しており、透過率が選択的に低下している領域である。たとえば、第2透過低減領域α1aは、赤外領域に位置するように誘電体多層膜53Rが設計されていてもよい。第2透過低減領域α1aが赤外領域に位置する場合、第2透過スペクトルの可視域透過率を高くすることができ、背景の視認性を確保し易い。
第2の例として、誘電体多層膜53が赤色のレーザ光及び緑色のレーザ光を選択的に反射する場合を説明する。このように、赤色のレーザ光及び緑色のレーザ光を選択的に反射する誘電体多層膜53を誘電体多層膜53RG(図6参照)と称す。図9は、誘電体多層膜53RGに対する第1透過スペクトルの模式図である。誘電体多層膜53RGは赤色のレーザ光及び緑色のレーザ光を選択的に反射する。すなわち、誘電体多層膜53RGは、選択的に反射する反射波長帯を2つ有し、2つの反射波長帯は、赤色のレーザ光の波長帯及び緑色のレーザ光の波長帯である。よって、図9に示したように、第1透過スペクトルは、赤色のレーザ光の波長帯および緑色のレーザ光の波長帯それぞれにおいて、透過率が選択的に低下する第1透過低減領域α1および第1透過低減領域α2を有する。図10は、誘電体多層膜53RGに対する第2透過スペクトルの模式図である。図10に示したように、誘電体多層膜53Rが透過特性を有する場合、第2透過スペクトルは、第1透過低減領域α1に対応する第2透過低減領域α1aおよび第1透過低減領域α2に対応する第2透過低減領域α2aを有する。第2透過低減領域α1aは、第1透過低減領域α1より長波長側に位置しており、透過率が選択的に低下している領域である。第2透過低減領域α2aは、第1透過低減領域α2より長波長側に位置しており、透過率が選択的に低下している領域である。たとえば、第2透過低減領域α1aが、赤外領域に位置するように誘電体多層膜53RGが設計されていてもよい。第2透過低減領域α1aが赤外領域に位置する場合、第2透過スペクトルの可視域透過率を高くすることができ、背景の視認性を確保し易い。また、第2透過低減領域α2aが赤色領域に位置するように誘電体多層膜53RGが設計されていてもよい。第2透過低減領域α2aが赤色領域に位置する場合、第2透過スペクトルにおいて視感度に優れた緑色領域の透過率を高くすることができ、背景の視認性を確保し易い。
上記透過特性Aを有する誘電体多層膜53も、誘電体多層膜53を構成する複数の層それぞれの厚さ、材料等を調整することで実現され得る。
上記透明スクリーン50は、複数の微粒子521が分散された透明光学層51に誘電体多層膜53を形成することによって製造され得る。たとえば、透明光学層51の材料が透明樹脂である場合、溶融された透明樹脂内に複数の微粒子521を添加した状態で成形することによって、複数の微粒子521が分散された透明光学層51を得ることができる。誘電体多層膜53は、スパッタ法、蒸着法などを用いて製造され得る。
上記描画システム1では、光出力部10が出力する描画レーザ光Lは、走査部20によって、透明スクリーン50に向けて反射される。走査部20は、描画レーザ光Lを2次元的に走査する。これにより、透明スクリーン50に映像100が描画される。透明スクリーン50に入射した描画レーザ光Lの一部は、表示機構52によって拡散または散乱される。上記表示機構52による描画レーザ光Lの拡散または散乱によって、描画レーザ光Lによって描画された映像100が結像され、その結果、表示される。描画レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光を含むレーザ光であることから、映像100は三原色によってカラー表現され得る。透明スクリーン50は一定の透明性を有するため、観察者は、透明スクリーン50を介して背景も視認可能である。
透明スクリーン50は、表示機構52の後方に誘電体多層膜53を有する。そのため、透明スクリーン50に入射した描画レーザ光Lのうち表示機構52をとおり抜けた描画レーザ光Lは、誘電体多層膜53に入射する。誘電体多層膜53に入射した描画レーザ光Lのうち誘電体多層膜53の反射波長帯の成分は、誘電体多層膜53によって選択的に反射される。誘電体多層膜53で反射された描画レーザ光Lは、表示機構52で拡散または散乱され、映像100の表示に寄与する。その結果、映像100の輝度が向上することから、観察者による映像100の視認性が向上する。誘電体多層膜53は、誘電体多層膜53に入射する光のうち、上記反射波長帯の部分以外は透過する。そのため、背景の視認性を確保できる。
本実施形態における描画システム1では、赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を含む描画レーザ光Lで映像100を描画しており、誘電体多層膜53は、赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を選択的に反射する。すなわち、誘電体多層膜53は、映像100に寄与する描画レーザ光Lを反射する。これにより、上記のように映像100の輝度向上が図れる。一方、誘電体多層膜53は、描画レーザ光Lが有する赤色のレーザ光の波長帯、緑色のレーザ光の波長帯および青色のレーザ光の波長帯以外の波長帯の光は透過する。レーザ光のスペクトル線幅は狭い。したがって、透過率の低減を最小限に抑えながら、描画レーザ光Lに対する反射率を上げることが可能である。その結果、描画システム1では、背景の視認性を確保しながら、映像100の視認性を向上できる。したがって、たとえば、透明スクリーン50が屋外に配置されている場合であっても、映像100の輝度を確保可能であり、その場合でも背景を視認できる。
描画システム1では、映像100を描画している際にも観察者は背景を視認できる。そのため、たとえば、描画システム1では、背景に映像100を重畳させた表現形態(たとえば拡張現実)も実現できる。
描画レーザ光Lが三原色のレーザ光を含み、誘電体多層膜53が赤色のレーザ光の波長帯、緑色のレーザ光の波長帯および青色のレーザ光の波長帯に対応する3つの反射波長帯を有する形態では、映像100を所望の色で表示し易い。
誘電体多層膜53が上記透過特性Aを有する場合、前述したように、透明スクリーン50の厚さ方向(誘電体多層膜53の厚さ方向に相当)の誘電体多層膜53の透過スペクトルは、第1透過低減領域に対応しており第1透過低減領域より長波長側にシフトしている第2透過低減領域を有する。そのため、誘電体多層膜53における上記反射波長帯において、透明スクリーン50の厚さ方向に沿った光透過性を確保できることから、背景を視認し易い。例えば、描画レーザ光Lが赤色のレーザ光と緑色のレーザ光を含む場合(たとえば、映像100を赤色および緑色で表す場合)、誘電体多層膜53は、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光を選択的に反射するので、赤色のレーザ光の波長帯および緑色のレーザ光の波長帯それぞれに第1透過低減領域が存在する。第2透過低減領域は、第1透過低減領域より長波長側に存在するため、透明スクリーン50の厚さ方向の可視域透過率を高くすることが可能である。
第1~第3光源12a~12cがLDチップである場合、描画モジュールM(或いは描画システム1)の小型化を図れる。LDチップからは直線偏光の光が出力される。そのため、描画レーザ光Lの偏光状態を制御し易い。たとえば、LDチップである第1~第3光源12a~12cを基板上に実装する際に、LDチップの出力端面が基板の主面(第1~第3光源12a~12cが搭載される面)に直交するように第1~第3光源12a~12cを実装する。これにより、第1~第3光源12a~12cの偏光方向を揃えることが可能である。そのため、偏光方向を維持可能な合波部13を上記基板に実装することによって、直線偏光光の描画レーザ光Lを容易に形成できる。この場合、描画モジュールMの配置を調整することによって、s偏光またはp偏光のレーザ光として描画レーザ光Lを透明スクリーン50に入射可能である。描画レーザ光Lをs偏光のレーザ光として透明スクリーン50に入射する場合、描画レーザ光Lの電界の振動方向は、図1に示した仮想平面P(前面50aに入射する描画レーザ光Lに対する入射面に相当)に対して直交する方向である。描画レーザ光Lをp偏光のレーザ光として透明スクリーン50に入射する場合、図1に示した描画レーザ光Lの電界の振動方向は、仮想平面Pに平行な方向である。p偏光のレーザ光として描画レーザ光Lを透明スクリーン50に入射する場合、図2に示した入射角θをブリュースター角とすることで、描画レーザ光Lの正反射を抑制でき、正反射方向に不要な像が表示されることを防止し易い。
上記のように、第1~第3光源12a~12cおよび合波部13を基板に実装する場合、第1~第3光源12a~12cおよび合波部13は、たとえば、適宜、支持台(たとえばサブマウント)などを介して基板に実装されてもよい。
走査部20がMEMSチップであり且つ走査部20が光出力部10と一緒にパッケージ30内に収容されている場合、描画モジュールM(或いは描画システム1)の小型化を図れる。たとえば、走査部20がMEMSチップである場合、光出力部10が実装される基板上に、走査部20も実装できる。これにより、パッケージ30を小型化できる。更に、パッケージ30内に走査部20も収容されているため、走査部20の配置状態を維持し易い。そのため、光出力部10から出力される描画レーザ光Lの偏光状態を維持し易い。第1~第3光源12a~12c、合波部13およびMEMSチップ(走査部20)を同じ基板に実装する場合、それらは、たとえば、適宜、支持台(たとえばサブマウント)などを介して基板に実装されてもよい。
次に透明スクリーン50の種々の変形例を説明する。
(変形例1)
図11は、透明スクリーン50の変形例を示す模式図である。図11に示した透明スクリーン50Aは、表示機構52の代わりに、凹凸面522とハーフミラー層523とを有する表示機構52Aを備える点で、主に透明スクリーン50と相違する。相違点を中心に、透明スクリーン50Aを説明する。
透明スクリーン50Aは、第1透明光学層511と、ハーフミラー層523と、第2透明光学層512と、誘電体多層膜53を有する。
第1透明光学層511は、表面511aと、表面511aと反対側に凹凸面522を有する層である。表面511aはたとえば平滑面である。第1透明光学層511の材料の例は、透明光学層51の場合と同様とし得る。変形例1では、表面511aが透明スクリーン50Aの前面50aに相当する。凹凸面522は、描画レーザ光Lを拡散または散乱可能な微細な凹凸形状を有する面である。凹凸面522はたとえばマット面である。
ハーフミラー層523は、第1透明光学層511の凹凸面522上に、凹凸面522に沿って形成されている。したがって、ハーフミラー層523の両面(厚さ方向における両面)は凹凸面522と同様の凹凸形状を有する。ハーフミラー層523は、描画レーザ光Lの一部を反射し、残りを透過する機能を有する半透過型の反射層である。ハーフミラー層523は、入射する描画レーザ光Lのうち透過量の方が反射量より大きい層である。たとえば、ハーフミラー層523は、入射する描画レーザ光Lのうち5~25%反射し、残りを透過する。ハーフミラー層523は、たとえば、金属(たとえば、アルミニウム、銀、ニッケル等)で形成された金属薄膜である。
第2透明光学層512は、第1透明光学層511と第2透明光学層512によってハーフミラー層523を挟むように、ハーフミラー層523に対して第1透明光学層511と反対に設けられている。第2透明光学層512は、ハーフミラー層523に接する凹凸面512aと、凹凸面512aと反対に裏面512bを有する層である。裏面512bは、たとえば平滑面である。第2透明光学層512の材料の例は、透明光学層51の場合と同様とし得る。第2透明光学層512の材料は、たとえば、第1透明光学層511の材料と同じである。
誘電体多層膜53は、第2透明光学層512の裏面512b上に形成されている。
上記透明スクリーン50Aは、たとえば、第1透明光学層511を形成した後、第1透明光学層511が有する凹凸面522上にハーフミラー層523、第2透明光学層512および誘電体多層膜53を、ハーフミラー層523、第2透明光学層512および誘電体多層膜53の順に形成することによって製造され得る。
たとえば、第1透明光学層511および第2透明光学層512が紫外線硬化樹脂の成形体(硬化物)であり、ハーフミラー層523が金属薄膜である場合、次のように製造される。まず、第1透明光学層511を、第1透明光学層511の形状に応じた型に紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を照射して硬化させることによって製造する。次に、第1透明光学層511の凹凸面522上に、ハーフミラー層523としての金属薄膜を、スパッタ法、蒸着法などによって形成する。その後、ハーフミラー層523上に紫外線硬化樹脂を塗布し硬化することで、ハーフミラー層523上に第2透明光学層512を形成する。これにより、透明スクリーン50Aが製造され得る。
透明スクリーン50Aは、表示機構52Aおよび誘電体多層膜53を有する。そのため、透明スクリーン50の代わりに透明スクリーン50Aを用いた描画システムは、描画システム1の場合と同様の作用効果を有する。
表示機構52Aは、凹凸面522と、ハーフミラー層523とを有する。凹凸面522は、第1透明光学層511とハーフミラー層523との界面であり、微小な凹凸形状を有する。これにより、凹凸面522は、描画レーザ光Lを拡散または散乱して、映像100を表示する。ハーフミラー層523は描画レーザ光Lの一部を反射するので、凹凸面522ではより多くの描画レーザ光Lが拡散または散乱される。そのため、映像100の視認性が向上する。ハーフミラー層523は、光を透過する機能も有するため、ハーフミラー層523を設けていても背景を視認可能である。
(変形例2)
図12は、透明スクリーン50の他の変形例を示す模式図である。図12に示した透明スクリーン50Bは、ハーフミラー層523の代わりに誘電体多層膜53が凹凸面522上に形成されている点で、透明スクリーン50Aと主に相違する。凹凸面522上に誘電体多層膜53が形成されていることから、ハーフミラー層523の場合と同様に、誘電体多層膜53の両面も微細な凹凸形状を有する。透明スクリーン50Bでは、凹凸面522が表示機構として機能する。透明スクリーン50Aでは、第2透明光学層512の裏面512bが透明スクリーン50Bの背面50bに相当する。
透明スクリーン50Bは、表示機構として凹凸面522を有するとともに、誘電体多層膜53を有する。よって、透明スクリーン50Aの場合と同様に、透明スクリーン50の代わりに透明スクリーン50Bを用いた描画システムは、描画システム1の場合と同様の作用効果を有する。
(変形例3)
図13は、透明スクリーン50の更に他の変形例を示す模式図である。図13に示した透明スクリーン50Cは、凹凸面522の代わりに凹凸面522Aを有する点で主に透明スクリーン50Bと相違する。凹凸面522Aは、凹凸面522と同様に描画レーザ光Lを拡散または散乱可能な微細な凹凸形状を有する。凹凸面522Aは、複数の基本単位部5211が連なった形状を有する。基本単位部5211は、凹凸面523Aに入射する描画レーザ光Lが、所定方向に主に反射される形状である。上記所定方向の例は、正面方向(透明スクリーン50Cの厚さ方向)である。基本単位部5211は、第1領域5211aと、第1領域5211aに対して傾斜した第2領域5211bとによって形成されている。隣接する基本単位部5211は、一方の基本単位部5211の第1領域5211aのうち第2領域5211bの接続端と反対側の端が、他方の基本単位部5211の第2領域5211bのうち第1領域5211aとの接続端と反対側の端とが接続されるように繋がっている。基本単位部5211は、映像100の左右方向に沿って延在しており、複数の基本単位部5211は、映像100の左右方向に直交する方向(図13において上下方向)に繋がっている。凹凸面522Aを備える第1透明光学層511は、サーキュラーフレネルレンズとして機能し得る。
透明スクリーン50Cは、表示機構として凹凸面522Aを有するとともに、誘電体多層膜53を有する。よって、透明スクリーン50Bの場合と同様に、透明スクリーン50の代わりに透明スクリーン50Cを用いた描画システムは、描画システム1の場合と同様の作用効果を有する。透明スクリーン50Cでは、凹凸面522Aが複数の基本単位部5211が繋がった形状を有し、基本単位部5211は、凹凸面522Aによって描画レーザ光Lが、上記所定方向に主に反射する形状であり、凹凸面522Aは、微細な凹凸形状を有するので、描画レーザ光Lを更に拡散または散乱可能である。そのため、上記所定方向からの映像100の視認性が一層向上する。
以上、本開示による描画システムの種々の実施形態を説明したが、本開示による描画システムは、例示した種々の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
映像をたとえば1色で表示する場合、たとえば、描画レーザ光は赤色または緑色のレーザ光である。この形態では、光出力部は、赤色または緑色のレーザ光を出力する光源と、走査部とを少なくとも有する。光出力部が、赤色または緑色のレーザ光を出力する光源を2つ以上有する場合、光出力部は、合波部を有する。この場合、誘電体多層膜は、赤色または緑色のレーザ光の波長帯を選択的に反射するように構成され得る。赤色または緑色は、たとえば青色に比べて視感度が優れているので、赤色または緑色を用いて映像を表示する場合、映像を視認し易い。赤色または緑色を用いて映像を表示する場合において、誘電体多層膜が上述した透過特性Aを有する形態では、第2透過低減領域は、緑色の波長帯からズレた箇所に位置しやすいので、透明スクリーンの厚さ方向において、視感度に優れた緑色を透過し易い。その結果、背景の視認性を確保できる。
映像を赤色のみで表示する場合、赤色レーザ光(描画レーザ光)としては、発振波長が、たとえば645nm~660nmである赤色レーザ光を使用してもよい。
映像をたとえば2色で表示する場合、描画レーザ光は、たとえば、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光が合成されたレーザ光である。具体的には、光出力部は、赤色レーザ光を出力する少なくとも一つの光源と、緑色レーザ光を出力する少なくとも一つの光源と、赤色レーザ光および緑色レーザ光を合波する合波部と走査部とを有する。この場合、誘電体多層膜は、赤色のレーザ光の波長帯および緑色のレーザ光の波長帯を選択的に反射するように構成される。
光出力部が有する光源(レーザ光源)の数は、3個または5個に限定されない。1つ、2つまたは4つでもよい。更に、6個以上の光源を使用してもよい。
上記変形例1の構成において、たとえば、第1透明光学層および第2透明光学層の屈折率が異なる場合、ハーフミラー層を有しなくてもよい。この場合、第1透明光学層および第2透明光学層の界面が凹凸面であり、描画レーザ光を拡散または散乱する表示機構として機能する。
透明スクリーンは、たとえば、光透過性を有し剛性の高い支持板を前面側または背面側に有してもよい。これにより、たとえば、透明スクリーンを単独で配置可能である。或いは、透明スクリーンは、たとえば、窓などに貼合されていてもよい。
映像表示部として透明スクリーンを例示した。しかしながら、透明スクリーンと同様の透明性を有し、表示機構および誘電体多層膜を有していれば、たとえば、窓なども映像表示部として使用可能である。
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
1…描画システム
10…光出力部
11…光源部
13…合波部
12a…第1光源
12b…第2光源
12c…第3光源
14a…レンズ
14b…レンズ
14c…レンズ
15a…フィルタ
15b…フィルタ
15c…フィルタ
20…走査部
21…ミラー
22…駆動機構
30…パッケージ
31…窓部
30a…開口
32…窓部材
40…制御装置
41…信号入力部
42…信号解析部
43…走査制御部
44…光源制御部
45…記憶部
50…透明スクリーン
50A…透明スクリーン
50B…透明スクリーン
50C…透明スクリーン
50a…前面
50b…背面
51…透明光学層
51a…表面
51b…裏面
52…表示機構
52A…表示機構
53…誘電体多層膜
53R…誘電体多層膜
53RG…誘電体多層膜
53a…面
100…映像
511…第1透明光学層
511a…表面
512…第2透明光学層
512a…凹凸面(表示機構)
512b…裏面
521…微粒子(表示機構)
522…凹凸面(表示機構)
522A…凹凸面(表示機構)
523…ハーフミラー層(表示機構)
523A…凹凸面(表示機構)
5211…基本単位部
5211a…第1領域
5211b…第2領域
C…中央
L…描画レーザ光
L1…第1レーザ光
L2…第2レーザ光
L3…第3レーザ光
…背景光
M…描画モジュール
P…仮想平面
θ…入射角
α1…第1透過低減領域
α1a…第2透過低減領域
α2…第1透過低減領域
α2a…第2透過低減領域

Claims (11)

  1. 赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含む描画レーザ光を出力する光出力部と、
    前記光出力部から出力された前記描画レーザ光を、映像を描画するように走査する走査部と、
    前記走査部で走査された前記描画レーザ光によって描画される前記映像を表示する透明な映像表示部と、
    を備え、
    前記映像表示部は、
    前記描画レーザ光を拡散または散乱して前記映像を表示する表示機構と、
    少なくとも1つの反射波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、
    を含み、
    前記少なくとも1つの反射波長帯は、前記少なくとも1色のレーザ光に対する波長帯であり、
    前記誘電体多層膜は、前記表示機構に対して前記光出力部と反対側に位置する、
    描画システム。
  2. 前記表示機構は、前記描画レーザ光を拡散または散乱する複数の微粒子を有する、
    請求項1に記載の描画システム。
  3. 前記映像表示部は、透明光学層を有し、
    前記複数の微粒子は、前記透明光学層内に分散されており、
    前記誘電体多層膜は、前記透明光学層のうち前記光出力部と反対側の面に設けられている平坦な膜である、
    請求項2に記載の描画システム。
  4. 前記表示機構は、前記描画レーザ光を拡散または散乱する凹凸面を有する、
    請求項1に記載の描画システム。
  5. 前記表示機構は、前記凹凸面上にハーフミラー層を有する、
    請求項4に記載の描画システム。
  6. 前記誘電体多層膜は、前記凹凸面に接している、
    請求項4に記載の描画システム。
  7. 前記映像表示部における前記映像の中央に対する前記描画レーザ光の入射角は0度より大きく、
    前記誘電体多層膜の厚さ方向の透過スペクトルは、前記誘電体多層膜に前記入射角で入射した光の正反射方向の透過スペクトルにおいて前記少なくとも1つの反射波長帯において選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第1透過低減領域に対応しており、選択的に透過率が低下する少なくとも1つの第2透過低減領域を有し、
    前記少なくとも1つの第2透過低減領域は、対応する前記少なくとも1つの第1透過低減領域より長波長側に存在する、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の描画システム。
  8. 前記描画レーザ光は赤色のレーザ光を含み、
    前記少なくとも1つの反射波長帯は前記赤色のレーザ光の波長帯を含む、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の描画システム。
  9. 前記描画レーザ光は緑色のレーザ光を含み、
    前記少なくとも1つの反射波長帯は前記緑色のレーザ光の波長帯を含む、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の描画システム。
  10. 前記描画レーザ光は赤色のレーザ光と緑色のレーザ光を含み、
    前記少なくとも1つの反射波長帯は前記赤色のレーザ光の波長帯と前記緑色のレーザ光の波長帯を含む、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の描画システム。
  11. 前記描画レーザ光は赤色のレーザ光と緑色のレーザ光と青色のレーザ光を含み、
    前記少なくとも1つの反射波長帯は、前記赤色のレーザ光の波長帯と前記緑色のレーザ光の波長帯と前記青色のレーザ光の波長帯を含む、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の描画システム。
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