JP2022027992A - 配線基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸縮性を有し、高い生産性で簡便に製造することができると共に、基板と導体との接着性に優れる配線基板を提供すること。【解決手段】カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層3と、伸縮性樹脂層3上に設けられ、配線パターンを形成している導体箔5と、を有する、配線基板1が開示される。【選択図】図2

Description

本発明は、高い伸縮性を有することのできる配線基板、及びその製造方法に関する。
近年、ウェアラブル機器、ヘルスケア関連機器等の分野において、例えば身体の曲面又は関節部に沿って使用できると共に、脱着しても接続不良が生じにくいためのフレキシブル性及び伸縮性が求められている。このような機器を構成するためには、高い伸縮性を持つ配線基板が求められる。
特許文献1には、伸縮性の樹脂組成物を用いてメモリーチップ等の半導体素子を封止する方法が記載されている。特許文献1では、伸縮性の樹脂組成物の封止用途への適用が主として検討されている。
国際公開第2016/080346号
配線基板に伸縮性を付与する手法として、あらかじめ伸長させた基板に金属薄膜を蒸着し、伸長を緩和することによりシワ状の金属配線を形成するプレストレッチ法が提案されている。しかし、この手法は、金属蒸着により導体を形成する長時間の真空プロセスを必要とするため、生産効率の点で十分でなかった。
伸縮性エラストマ中に導電粒子等が分散している伸縮性導電ペーストを使用した印刷により、伸縮性を有する配線を簡便に形成する手法も提案されている。しかし、導電ペーストによる配線は、金属配線と比較して抵抗値が高いことに加え、伸長時の抵抗値が増加するという問題を有していた。
また、上記配線基板は、基板と導体との接着性に優れることが求められる。
このような状況において、本発明は、伸縮性を有し、高い生産性で簡便に製造することのできると共に、基板と導体との接着性に優れる配線基板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と導体箔とを組み合わせることにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明の一側面は、カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と、伸縮性樹脂層上に設けられ、配線パターンを形成している導体箔と、を有する、配線基板を提供する。
本発明の一側面に係る伸縮性を有する配線基板は、高い生産性で簡便に製造されることができると共に、基板と導体との接着性に優れる。
回復率の測定例を示す応力-ひずみ曲線である。 配線基板の一実施形態を示す平面図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係る配線基板は、カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と、伸縮性樹脂層の片面上又は両面上に設けられ、配線パターンを形成している導体箔とを有する。
本実施形態におけるカップリング剤は、有機材料と無機材料を結合させる機能を有する化合物である。本実施形態におけるカップリング剤は、例えば、無機材料(無機充てん材、ガラス、金属など)に対して親和性又は反応性を有する加水分解基及び有機材料(有機合成樹脂など)と化学結合し得る有機官能基を有する化合物であり得る。伸縮性樹脂層がカップリング剤を含有することにより、当該カップリング剤が、伸縮性樹脂層及び導体泊に作用し、基板と導体との接着性が向上すると考えられる。
上記加水分解基としては、アルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられる。
上記有機官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、酸無水物基等が挙げられる。
カップリング剤は、基板と導体との接着性が更に向上する観点及び汎用性の観点から、例えば、シランカップリング剤であってもよい。
カップリング剤の具体例は、ビニルシラン、(メタ)アクリルシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、サルファーシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシラン及び酸無水物を含む。
ビニルシランの市販品としては、例えば、KBM-1003及びKBE-1003(信越シリコーン(株)、商品名);並びにA-151、A-171、A-172及びA-2171(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
(メタ)アクリルシランの市販品としては、例えば、KBM-5103、KBM-502、KBM-503、KBE-502及びKBE-503(信越シリコーン(株)、商品名);Z-6030及びZ-6033(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名);並びにY-9936及びA-174(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
エポキシシランの市販品としては、例えば、KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402及びKBE-403(信越シリコーン(株)、商品名);Z-6040、Z-6044及びZ-6043(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名);並びにA-186、A-187及びA-1871(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
メルカプトシランの市販品としては、例えば、Z-6062(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名);並びにA-189及びA-1891(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
サルファーシランの市販品としては、例えば、A-LINK599(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
アミノシランの市販品としては、例えば、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBM-573、KBM-575、KBE-903及びKBE-9103(信越シリコーン(株)、商品名);Z-6610、Z-6011、Z-6020、Z-6094、Z-6883及びZ-6032(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名);並びにA-1100、A-1110、A-1120、A-2120及びY-9669(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
ウレイドシランの市販品としては、例えば、KBE-585(信越シリコーン(株)、商品名);及びA-1160(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
イソシアヌレートシランの市販品としては、例えば、KBM-9659(信越シリコーン(株)、商品名)が挙げられる。
イソシアネートシランの市販品としては、例えば、KBE-9007(信越シリコーン(株)、商品名);並びにA-1310及びY-5187(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、商品名)が挙げられる。
酸無水物の市販品としては、例えば、X-12-967C(信越シリコーン(株)、商品名)が挙げられる。
カップリング剤は、基板と導体との接着性が更に向上する観点から、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアヌレート基、イソシアネート基及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。上記官能基は、例えば、伸縮性樹脂層を構成する樹脂の種類等の観点から、適宜選択してもよい。例えば、不飽和二重結合を含む樹脂系においては、カップリング剤は、ビニル基又は(メタ)アクリル基を有することが好ましく、極性官能基を含む樹脂系においては、カップリング剤は、アミノ基又はメルカプト基を有することが好ましい。導体箔との相互作用の観点から、カップリング剤は、例えば、極性官能基を有していてもよい。
カップリング剤の具体例は、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン及びビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランを含む。
カップリング剤の含有量は、伸縮性樹脂層の全質量を基準として、0.2~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましく、0.8~3質量%であることが更に好ましい。カップリング剤の含有量が上記の範囲内であると、伸縮性樹脂層の特性を維持したまま、導体との接着性を更に向上し易い傾向にある。
導体箔の弾性率は、40~300GPaであってもよい。導体箔の弾性率が40~300GPaであることにより、配線基板の伸長による導体箔の破断が生じ難い傾向がある。同様の観点から、導体箔の弾性率は50GPa以上又は280GPa以上であってもよく、60GPa以下、又は250GPa以下であってもよい。ここでの導体箔の弾性率は、共振法によって測定される値であることができる。
導体箔は、金属箔であることができる。金属箔としては、銅箔、チタン箔、ステンレス箔、ニッケル箔、パーマロイ箔、42アロイ箔、コバール箔、ニクロム箔、ベリリウム銅箔、燐青銅箔、黄銅箔、洋白箔、アルミニウム箔、錫箔、鉛箔、亜鉛箔、半田箔、鉄箔、タンタル箔、ニオブ箔、モリブデン箔、ジルコニウム箔、金箔、銀箔、パラジウム箔、モネル箔、インコネル箔、ハステロイ箔などが挙げられる。適切な弾性率等の観点から、導体箔は、銅箔、金箔、ニッケル箔、及び鉄箔から選ばれることが好ましい。配線形成性の観点から、銅箔を使用することが好ましい。
銅箔としては、特に制限はなく、例えば、銅張積層板、フレキシブル配線板等に一般的に用いられる電解銅箔及び圧延銅箔を使用できる。市販の電解銅箔としては、例えばF0-WS-18(古河電工(株)製、商品名)、NC-WS-20(古河電工(株)製、商品名)、YGP-12(日本電解(株)製、商品名)、GTS-18(古河電工(株)製、商品名)、及びF2-WS-12(古河電工(株)製、商品名)が挙げられる。圧延銅箔としては、例えばTPC箔(JX金属(株)製、商品名)、HA箔(JX金属(株)製、商品名)、HA-V2箔(JX金属(株)製、商品名)、及びC1100R(三井住友金属鉱山伸銅(株)製、商品名)が挙げられる。伸縮性樹脂層との接着性が更に向上する観点から、粗化処理を施している銅箔を使用することが好ましい。また、耐折性の観点から、圧延銅箔を用いることが好ましい。
上記導体箔は、伸縮性樹脂層中のカップリング剤との相互作用が得られ易く、伸縮性樹脂層との接着性を更に向上し易い観点から、表面にシランカップリング処理を施している導体箔であってもよい。
伸縮性樹脂層は、例えば歪み20%まで引張変形した後の回復率が80%以上であるような、伸縮性を有することができる。この回復率は、伸縮性樹脂層の測定サンプルを用いた引張試験において求められる。1回目の引っ張り試験で加えたひずみ(変位量)をX、次に初期位置に戻し再度引っ張り試験を行ったときに荷重が掛かり始めるときの位置とXとの差をYとし、式:R(%)=Y/X×100で計算されるRが、回復率として定義される。回復率は、Xを20%として測定することができる。図1は、回復率の測定例を示す応力-ひずみ曲線である。回復率が80%以上であれば繰り返しの使用に耐えることができるため、回復率は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
伸縮性樹脂層の弾性率は、0.1MPa以上1000MPa以下であることが好ましい。弾性率が0.1MPa以上1000MPa以下であると、基材としての取り扱い性及び可撓性が特に優れる傾向がある。この観点から、弾性率が0.3MPa以上100MPa以下であることがより好ましく、0.5MPa以上50MPa以下であることが更に好ましい。
伸縮性樹脂層の破断伸び率は、100%以上であることが好ましい。破断伸び率が100%以上であると、十分な伸縮性が得られ易い傾向がある。この観点から、破断伸び率は150%以上であることがより好ましく、200%以上であることが更に好ましい。破断伸び率の上限は、特に制限されないが、通常1000%程度以下である。
伸縮性樹脂層は、(A)ゴム成分を含有することができる。主にこのゴム成分によって、伸縮性樹脂層に容易に伸縮性が付与される。ゴム成分の含有量が、伸縮性樹脂層の全質量に対して30質量%以上であってもよい。また、ゴム成分の含有量は、伸縮性樹脂層の全質量に対して100質量%未満であってもよい。
ゴム成分は、例えば、アクリルゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、及び塩素化ブチルゴムの少なくとも1種を含むことができる。吸湿等による配線へのダメージを保護する観点から、ゴム成分のガス透過性が低いことが好ましい。かかる観点から、ゴム成分が、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、及びブチルゴムから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
アクリルゴムの市販品としては、例えば日本ゼオン(株)「Nipol ARシリーズ」、クラレ(株)「クラリティシリーズ」が挙げられる。
イソプレンゴムの市販品としては、例えば日本ゼオン(株)「Nipol IRシリーズ」が挙げられる。
ブチルゴムの市販品としては、例えばJSR(株)「BUTYLシリーズ」が挙げられる。
スチレンブタジエンゴムの市販品としては、例えばJSR(株)「ダイナロンSEBSシリーズ」、「ダイナロンHSBRシリーズ」、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンDポリマーシリーズ」、及びアロン化成(株)「ARシリーズ」が挙げられる。
ブタジエンゴムの市販品としては、例えば日本ゼオン(株)「Nipol BRシリーズ」が挙げられる。
アクリロニトリルブタジエンゴムの市販品としては、例えばJSR(株)「JSR NBRシリーズ」が挙げられる。
シリコーンゴムの市販品としては、例えば信越シリコーン(株)「KMPシリーズ」が挙げられる。
エチレンプロピレンゴムの市販品としては、例えばJSR(株)「JSR EPシリーズ」が挙げられる。
フッ素ゴムの市販品としては、例えばダイキン(株)「ダイエルシリーズ」が挙げられる。
エピクロルヒドリンゴムの市販品としては、例えば日本ゼオン(株)「Hydrinシリーズ」が挙げられる。
ゴム成分は、合成により作製することもできる。例えば、アクリルゴムでは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物等を反応させることにより得られる。
伸縮性樹脂層は、(B)架橋成分の架橋重合体を更に含有していてもよい。架橋成分は、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、シアネート基、イソシアネート基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する化合物であってもよい。これらの化合物は、単独又は2種類以上組み合わせることができる。
(メタ)アクリル基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物としては、単官能、2官能又は多官能のいずれでもよく、特に制限はないが、十分な硬化性を得るためには2官能又は多官能の(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(o-フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(1-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(2-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2-テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-N-カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、及びこれらのカプロラクトン変性体が挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;及びレゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
エポキシ基を含有する化合物は、分子内にエポキシ基を有していれば特に制限されず、例えば一般的なエポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂としては、単官能、2官能又は多官能のいずれでもよく、特に制限はないが、十分な硬化性を得るためには2官能又は多官能のエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などが挙げられる。脂肪鎖で変性したエポキシ樹脂であれば、柔軟性を付与でき、好ましい。市販の脂肪鎖変性エポキシ樹脂としては、例えばDIC(株)製のEXA-4816が挙げられる。
架橋成分から形成された架橋重合体の含有量は、伸縮性樹脂層の質量を基準として、10~50質量%であることが好ましい。架橋成分から形成された架橋重合体の含有量が上記の範囲であれば、伸縮性樹脂層の特性を維持したまま、導体箔との密着力が向上する傾向がある。以上の観点から、架橋成分から形成された架橋重合体の含有量が15~40質量%であることがより好ましい。
伸縮性樹脂層、又はこれを形成するために用いられる樹脂組成物は、(C)成分として添加剤を更に含有することもできる。(C)添加剤としては、硬化促進剤、重合開始剤などが挙げられる。これらは樹脂組成物が含有する他の成分に応じて適宜選択できる。例えば、(メタ)アクリレート化合物等を含有する樹脂組成物であれば、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、加熱又は紫外線などの照射によって重合を開始させるものであれば特に制限はなく、例えば熱ラジカル重合開始剤、又は光ラジカル重合開始剤を用いることができる。熱ラジカル開始剤であれば、樹脂組成物の反応が均一に進行するという点で好ましい。光ラジカル開始剤であれば、常温硬化が可能なことから、デバイスの熱による劣化を防止するという点、及び、伸縮性樹脂層の反りを抑制できるという点で好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p-メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウリレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2’-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記ジアシルパーオキシド、上記パーオキシエステル、及び上記アゾ化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどのベンゾインケタール;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンなどのα-ヒドロキシケトン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンなどのα-アミノケトン;1-[(4-フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタジオン-2-(ベンゾイル)オキシムなどのオキシムエステル;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物;N-フェニルグリシン;及びクマリンが挙げられる。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸との組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記α-ヒドロキシケトン及び上記ホスフィンオキシドが好ましい。これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせることもできる。
重合開始剤の含有量は、ゴム成分及び架橋成分の合計量100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましい。重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、十分な硬化が得られ易い傾向がある。重合開始剤の含有量が10質量部以下であると十分な光透過性が得られ易い傾向がある。以上の観点から、重合開始剤の含有量は0.3~7質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。
エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物に、三級アミン、イミダゾール、酸無水物、ホスフィン系の硬化促進剤を添加してもよい。ワニスの保存安定性及び硬化性の観点から、イミダゾールを使用することが好ましい。
伸縮性樹脂層、又はこれを形成するための樹脂組成物は、以上の成分の他、必要に応じて、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などを、本発明の効果を著しく損なわない範囲で更に含んでもよい。
伸縮性樹脂層は、例えば、カップリング剤、ゴム成分及び必要により他の成分を、有機溶剤に溶解又は分散して樹脂ワニスを得ることと、樹脂ワニスを後述の方法によって導体箔又はキャリアフィルム上に成膜することとを含む方法により、製造することができる。
ここで用いる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p-シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;及びN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどのアミドが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス中の固形分(有機溶媒以外の成分)濃度は、通常20~80質量%であることが好ましい。
キャリアフィルムとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン及び液晶ポリマが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート及びポリスルホンが好ましい。
キャリアフィルムの厚みは、特に制限されないが、3~250μmであることが好ましい。3μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、厚みは5~200μmであることがより好ましく、7~150μmであることが更に好ましい。伸縮性樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより基材フィルムに離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
必要に応じて、保護フィルムを伸縮性樹脂層上に貼り付け、導体箔又はキャリアフィルム、伸縮性樹脂層及び保護フィルムからなる3層構造の積層フィルムとしてもよい。
保護フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;及びポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;及びポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましい。伸縮性樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されていてもよい。
保護フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10~250μmであることが好ましい。厚みが10μm以上であるとフィルム強度が十分である傾向があり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる傾向がある。以上の観点から、厚みは15~200μmであることがより好ましく、20~150μmであることが更に好ましい。
本実施形態に係る配線基板の具体例を図2に基づき説明する。図2は、配線基板の一実施形態を示す平面図である。図2に示す配線基板1は、カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層3と、伸縮性樹脂層3上に設けられた導体箔5とを有する。導体箔5は、配線基板の長手方向Xに沿って蛇行する波形の配線パターンを形成している。なお、図2においては、波形の配線パターンを形成しているが、配線パターンの形状に特に制限はなく、適宜決定できる。
次に、一実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。一実施形態に係る配線基板は、例えば、伸縮性樹脂層と伸縮性樹脂層上に積層された導体箔とを有する積層板を準備する工程と、導体箔上にエッチングレストを形成する工程と、エッチングレジストを露光し、露光後の前記エッチングレジストを現像して、導体箔の一部を覆うレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンによって覆われていない部分の導体膜を除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、を含む方法により、製造することができる。
伸縮性樹脂層及び導体箔を有する積層板を得る手法としては、どのような手法を用いてもよいが、例えば、伸縮性樹脂層を形成するための樹脂組成物のワニスを導体箔に塗工する方法、及び、キャリアフィルム上に形成された伸縮性樹脂層に導体箔を真空プレス又はラミネータ等により積層する方法がある。伸縮性樹脂層を形成するための樹脂組成物が架橋成分を含有する場合、加熱又は光照射によって架橋成分の架橋反応(硬化反応)を進行させることで、伸縮性樹脂層が形成される。
キャリアフィルム上の伸縮性樹脂層を導体箔に積層する手法としては、どのようなものでもよいが、ロールラミネータ、真空ラミネータ、真空プレス等が用いられる。生産効率の観点から、ロールラミネータ又は真空ラミネータを用いて成型することが好ましい。
伸縮性樹脂層の乾燥後の厚みは、特に限定されないが、通常は5~1000μmである。上記の範囲であると、伸縮性基材の十分な強度が得られ易く、かつ乾燥が十分に行えるため樹脂フィルム中の残留溶媒量を低減できる。
伸縮性樹脂層の導体箔とは反対側の面に更に導体箔を積層することにより、伸縮性樹脂層の両面上に導体箔が形成された積層板を作製してもよい。伸縮性樹脂層の両面上に導体層を設ける形成することにより、硬化時の積層板の反りを抑制することができる。
積層板(配線基板形成用積層板)の導体箔に配線パターンを形成させる手法としては、一般的にエッチング等を用いた手法が用いられる。例えば導体箔として銅箔を用いた場合、エッチング液としては、例えば濃硫酸と過酸化水素水との混合溶液、塩化第二鉄溶液等を使用できる。
エッチングに用いるエッチングレジストとしては、例えばフォテックH-7025(日立化成(株)製、商品名)、フォテックH-7030(日立化成(株)製、商品名)、及びX-87(太陽ホールディングス(株)製、商品名)が挙げられる。エッチングレジストは、配線パターンの形成の後、通常、除去される。
配線基板に各種の電子素子を搭載することにより、ストレッチャブルデバイスを得ることができる。
本発明について以下の実施例を挙げて更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.伸縮性樹脂層形成用のワニス調製
伸縮性樹脂層形成用のワニスとして、以下の樹脂ワニスA~Fを調製した。
[樹脂ワニスA]
(A)成分としての水添型スチレンブタジエンゴム(旭化成(株)製、タフテックP1500、商品名)30gと、カップリング剤としての3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、A-1160、商品名)0.3gと、溶剤としてのトルエン70gとを攪拌しながら混合し樹脂ワニスAを得た。
[樹脂ワニスB]
(A)成分としての水添型スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、ダイナロン2324P、商品名)20gと、(B)成分としてのブタンジオールジアクリレート(日立化成(株)製、ファンクリルFA-124AS、商品名)5gと、(C)成分としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF(株)製、イルガキュア819、商品名)0.4gと、カップリング剤としての3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン(株)製、KBE-903、商品名)0.25gと、溶剤としてのトルエン15gとを撹拌しながら混合し、樹脂ワニスBを得た。
[樹脂ワニスC]
(A)成分としての水添型スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、ダイナロン2324P、商品名)20gと、(B)成分としてのノナンジオールジアクリレート(日立化成(株)製、ファンクリルFA-129AS、商品名)5gと、(C)成分としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF(株)製、イルガキュア819、商品名)0.4gと、カップリング剤としての3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、Y-5187、商品名)0.25gと、溶剤としてのトルエン15gとを撹拌しながら混合し、樹脂ワニスCを得た。
[樹脂ワニスD]
(A)成分としての水添型スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、ダイナロン2324P、商品名)20gと、(B)成分としてのノナンジオールジアクリレート(日立化成(株)製、ファンクリルFA-129AS、商品名)5gと、(C)成分としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF(株)製、イルガキュア819、商品名)0.4gと、カップリング剤としての3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越シリコーン(株)製、X-12-967C、商品名)0.25gと、溶剤としてのトルエン15gとを撹拌しながら混合し、樹脂ワニスDを得た。
[樹脂ワニスE]
(A)成分としてのアクリルポリマ((株)クラレ製、クラリティLA2140、商品名)20gと、(B)成分としての脂肪鎖変性エポキシ樹脂(DIC(株)製、EXA4816、商品名)5gと、(C)成分としての2-フェニルイミダゾール(四国化成(株)製、2PZ、商品名)0.5gと、カップリング剤としての3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503、商品名)0.3gと、溶剤としてのメチルエチルケトン15gとを撹拌しながら混合し、樹脂ワニスEを得た。
[樹脂ワニスF]
(A)成分としての水添型スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、ダイナロン2324P、商品名)20gと、(B)成分としてのノナンジオールジアクリレート(日立化成(株)製、ファンクリルFA-129AS、商品名)5gと、(C)成分としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF(株)製、イルガキュア819、商品名)0.4gと、溶剤としてのトルエン15gとを撹拌しながら混合し、樹脂ワニスFを得た。
2.導体層付積層板の作製
実施例1
[伸縮性樹脂層を有する積層フィルム]
キャリアフィルムとして離型処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を準備した。このPETフィルムの離型処理面上にナイフコータ((株)康井精機製「SNC-350」を用いて樹脂ワニスAを塗布した。塗膜を乾燥機((株)二葉科学製「MSO-80TPS」)中100℃で20分乾燥して、塗工後の厚みが100μmである伸縮性樹脂層を形成させた。形成された伸縮性樹脂層に、キャリアフィルムと同じ離型処理PETフィルムを、離型処理面が伸縮性樹脂層側になる向きで保護フィルムとして貼付けて、積層フィルムAを得た。
[導体層付積層板]
積層フィルムAの保護フィルムを剥離し、銅箔(日本電解(株)製、YGP-12、商品名)の粗化面側に積層フィルムAの伸縮性樹脂層を重ねた。真空加圧式ラミネータ(ニチゴー・モートン(株)「V130」)を用いて、圧力0.5MPa、温度90℃及び加圧時間60秒の条件で圧着して、導体層付積層板を作製した。
実施例2
樹脂ワニスAを樹脂ワニスBに変更したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔及び未硬化の樹脂層を有する積層体を得た。その後、紫外線露光機(ミカサ(株)「ML-320FSAT」)によって紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm照射することで樹脂層を硬化させて、導体層付積層板を得た。
実施例3
樹脂ワニスBを樹脂ワニスCに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、導体層付積層板を得た。
実施例4
樹脂ワニスBを樹脂ワニスDに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、導体層付積層板を得た。
実施例5
樹脂ワニスAを樹脂ワニスEに変更したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔及び未硬化の樹脂層を有する積層体を得た。その後、乾燥機を用いて180℃1時間の条件で樹脂層を硬化させて、導体層付積層板を得た。
比較例1
樹脂ワニスBを樹脂ワニスFに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、導体層付積層板を得た。
[接着性(接着強度)評価]
各導体層付積層板の導体層上に、幅10mm、長さ100mmの部分を形成した。この一端を、導体層(回路層)及び伸縮性樹脂層の界面で剥がした後、つかみ具でつかみ、垂直方向に引き剥がした時の荷重を測定した。測定は、島津製作所(株)製オートグラフEZ-Testを使用して、室温中で、引張り速度約50mm/分の条件で実施した。評価結果を表1に示す。
[伸縮性樹脂層を歪み20%まで引張変形した後の回復率]
実施例1~5及び比較例1で作製した導体層付積層板の導体層を過硫酸アンモニウム水溶液により全面エッチングした。その後,伸縮性樹脂層を20%まで引張変形した後の回復率(%)を測定した。測定は、Illinois Tool Works Inc製マイクロフォース試験機Instron 5948を使用して、室温で実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 2022027992000002
表1より、実施例1~5の導体層付積層板においては、比較例1の導体層付積層板と比較して、導体の接着強度が高く、基板と導体との接着性に優れることがわかる。すなわち、本発明によれば、伸縮性を有し、高い生産性で簡便に製造することができると共に、基板と導体との接着性に優れる配線基板が提供される。
1…配線基板、3…伸縮性樹脂層、5…導体箔。

Claims (11)

  1. カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と、
    前記伸縮性樹脂層上に設けられ、配線パターンを形成している導体箔と、
    を有する、配線基板。
  2. 前記カップリング剤がシランカップリング剤である、請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記カップリング剤が、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアヌレート基、イソシアネート基及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項1又は2に記載の配線基板。
  4. 前記伸縮性樹脂層を歪み20%まで引張変形した後の回復率が80%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線基板。
  5. 前記伸縮性樹脂層が、(A)ゴム成分を含有し、
    前記ゴム成分が、アクリルゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、及び塩素化ブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線基板。
  6. 前記ゴム成分の含有量が、前記伸縮性樹脂層の全質量に対して30質量%以上である、請求項5に記載の配線基板。
  7. 前記伸縮性樹脂層が、(B)架橋成分の架橋重合体を更に含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の配線基板。
  8. 前記架橋成分が、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、シアネート基、イソシアネート基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する化合物である、請求項7に記載の配線基板。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の配線基板と、前記配線基板に搭載された電子素子と、を備えるストレッチャブルデバイス。
  10. カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と、前記伸縮性樹脂層上に設けられた導体箔と、を有し、請求項1~8のいずれか一項に記載の配線基板を形成するために用いられる、配線基板形成用積層板。
  11. カップリング剤を含有する伸縮性樹脂層と前記伸縮性樹脂層上に積層された導体箔とを有する積層板を準備する工程と、
    前記導体箔上にエッチングレストを形成する工程と、
    前記エッチングレジストを露光し、露光後の前記エッチングレジストを現像して、前記導体箔の一部を覆うレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンによって覆われていない部分の前記導体箔を除去する工程と、
    前記レジストパターンを除去する工程と、
    を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の配線基板を製造する方法。
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