JP2022026498A - 着磁ヨーク及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような着磁ヨークによれば、ロータコアに着磁を施す際に、所定の時間間隔でコイルに印加される高電流によってコイルには比較的大きな交番荷重が掛かるところ、硬化した樹脂によってコイルの変位が抑制される。これにより着磁ヨークは、コイル同士、コイルと鉄心との間での絶縁破壊を防止することができる。
しかしながら、コイル同士、コイルと鉄心との間に配置される樹脂にボイドが形成されると、このボイドによって、コイルの固定力が低減する。また、ボイドは、樹脂の絶縁性能を低下させるために、高電流が印加されたコイルは、放電を生じさせやすい。
これにより従来の着磁ヨークにおいては、このような交番荷重や放電によってコイルが損傷・破断するおそれがある。
また、本発明の着磁ヨークの製造方法は、鉄心軸を中心とした周方向に、複数の貫通孔を鉄心軸に沿うように鉄心に並設する工程と、前記鉄心の巻線を挿通固定するスロットを有する熱可塑性樹脂からなるスロット部材を形成する工程と、前記鉄心の前記貫通孔のそれぞれに前記スロット部材を挿通する工程と、前記スロットに前記巻線を挿通固定する工程と、を有することを特徴とする。
本実施形態の着磁ヨークは、鉄心の巻線が予め成形された熱可塑性樹脂からなるスロット部材に挿通固定されていることを主な特徴とする。
本実施形態では、電動モータのロータコアを着磁対象物として、このロータコアに着磁する12極の着磁ヨークを例にとって説明する。ただし、着磁ヨークの極数、着磁対象物は後記のようにこれに限定されるものではない。
この着磁ヨーク100の中空部4は、図示しない着磁対象物(ロータコア)が配置されるワーク挿入孔となっている。ちなみに、着磁対象物は、着磁ヨーク100の後記する鉄心軸Ax(図2参照)と同軸となるように配置されることによって、着磁対象物の周面に着磁されることとなる。
また、図2に示すように、着磁ヨーク100は、鉄心1の巻線8を挿通固定するスロット部材2を備えている。なお、図2中、符号5は、鉄心1を冷却する冷却管であり、符号6は、鉄心1と端面部材3とを締結する締結具であり、符号Axは、鉄心軸である。
まず、鉄心1について説明する。
鉄心1は、図1に示すように、円筒体からなる着磁ヨーク100の高さ方向の中央部を構成している。つまり、鉄心1は、着磁ヨーク100の高さ方向の中央で着磁ヨーク100の外周面と内周面とを部分的に形成している。
鉄心板11は、着磁ヨーク100(図1参照)の平面形状と同じ環状の平面形状を有しており、例えばケイ素鋼などからなる電磁鋼板で形成されている。
このような貫通孔12のそれぞれには、スロット部材2が挿通固定されることとなる。この貫通孔12は、特許請求の範囲にいう「貫通孔」に相当する。
本実施形態での貫通孔13は、隣接する貫通孔12同士の間に形成されて鉄心1の周方向Cdに複数並んでいる。つまり、本実施形態での鉄心1においては、12本の貫通孔13が周方向Cdに等間隔に並ぶように形成されている。
そして、貫通孔13のそれぞれは、後記するスロット部材2のスロット21よりも鉄心1の径方向外側に配置されている。
図2に示すように、これら貫通孔13のそれぞれには、冷却管5が挿通固定されることとなる。
本実施形態での貫通孔14は、貫通孔13に対して鉄心1の径方向Rd外側に形成されている。つまり、本実施形態での鉄心1においては、12本の貫通孔14が周方向Cdに等間隔に並ぶように形成されている。
そして、貫通孔14のそれぞれは、後記するスロット部材2よりも鉄心1の径方向Rd外側に配置されている。
これら貫通孔14のそれぞれには、締結具6(図2参照)のうち、後記する第1締結具6a(図2参照)が挿通されることとなる。
次に、スロット部材2について説明する。
図4Aは、スロット部材2の全体斜視図である。
図4A中、矢示方向Cdは、鉄心1(図3参照)の周方向を示し、矢示方向Rdは、鉄心1(図3参照)の径方向を示し、矢示方向Adは、鉄心軸方向を示している。
図4Bは、矢示方向Adに沿う方向から見たスロット部材2の平面図である。
スロット21は、図示を省略するが、スロット部材2を鉄心軸方向Adに貫くように形成される矩形断面の貫通孔で形成されている。このスロット21には、後に詳しく説明するように、鉄心1の巻線8(図2参照)が挿通固定されることとなる。
また、スロット群22は、スロット部材2の周方向Cd(幅方向)の中央を境に互いに線対称となる第1のスロット群23と第2のスロット群24とを備えている。
この貫通孔26には、前記の締結具6(図2参照)のうち、後記する第2締結具6b(図2参照)が挿通されることとなる。
なお、スロット部材2は、部品2a、部品2b、部品2c、部品2d、及び部品2eが予め一体となった一体成形品とすることもできる。このようなスロット部材2は、例えば、押出成形した熱可塑性樹脂からなる四角柱の基礎部材に、前記のスロット21(図4A参照)と貫通孔26(図4A参照)とを切削などにより加工成形する簡素な工程で得ることができる。
スロット部材2を形成する熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂が好ましく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などが挙げられる。
次に、端面部材3(図1参照)について説明する。
図1に示すように、端面部材3は、鉄心1の鉄心軸方向Adの両端面にそれぞれ配置されている。
端面部材3は、円筒体からなる着磁ヨーク100の高さ方向の上部及び下部を構成しており、鉄心1とともに、着磁ヨーク100の外周面と内周面とを形成している。
そして、本実施形態での端面板30は、図2に示すように、鉄心1の下側に配置される第1から第4の端面板30a,30b,30c,30dと、鉄心1の上側に配置される第5から第11の端面板30e,30f,30g,30h,30i,30j,30kとで形成されている。
図2に示すように、第1端面板30aは、鉄心1の下側の端面7に隣接するように配置されている。
図5Aに示すように、第1端面板30aには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、図4Aに示すスロット部材2のスロット21に対応する穴部37と、が形成されている。
図5Bに示すように、第2端面板30bには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第1端面板30a(図2参照)の下面に沿って延びる巻線8(図2参照)に対応するように形成されている。
ただし、図4Bに示すスロット部材2における第1列25a、第4行目25gのスロット21に対応する穴部37については、溝38の端部と上下方向にオーバーラップするものの、例外的に第2端面板30bに設けられている。
図5Cに示すように、第3端面板30cには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第2端面板30b(図2参照)の上面に沿って延びる巻線8(図2参照)に対応するように形成されている。
図5Dに示すように、第4端面板30dには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第3端面板30c(図2参照)の上面に沿って延びる巻線8(図2参照)に対応するように形成されている。
図2に示すように、第5端面板30eは、鉄心1の上側の端面7に隣接するように配置されている。
図5Aに示すように、第5端面板30eは、前記の第1端面板30aと同様の構造を有している。よって、ここでの第5端面板30eの詳細な説明は省略する。
図5Eに示すように、第6端面板30fには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第5端面板30e(図2参照)の上面に沿って延びる後記のブリッジ線9(図7参照)に対応するように形成されている。第6端面板30fは、第5端面板30e上で延びるブリッジ線9と、このブリッジ線9と交差するように第6端面板30f上で延びるブリッジ線(図示を省略)とを絶縁している。
図5Fに示すように、第7端面板30gには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第6端面板30f(図2参照)の上面に沿って延びる後記のブリッジ線9(図7参照)に対応するように形成されている。
図5Gに示すように、第8端面板30hには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
これらの溝部38は、後記するように、第7端面板30g(図2参照)の上面に沿って延びる後記のブリッジ線9(図7参照)に対応するように形成されている。
図5Hに示すように、第9端面板30iには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第8端面板30h(図2参照)の上面に沿って延びる後記のブリッジ線9(図7参照)に対応するように形成されている。
図5Iに示すように、第10端面板30jには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
この溝部38は、後記するように、第9端面板30i(図2参照)の上面に沿って延びる後記のブリッジ線9(図7参照)に対応するように形成されている。
図5Jに示すように、第11端面板30kには、図3に示す鉄心1の貫通孔13に対応する穴部34と、図3に示す鉄心1の貫通孔14に対応する穴部35と、図4Aに示すスロット部材2の貫通孔26に対応する穴部36と、が形成されている。
これらの溝部38a,38b,38cは、後記するように、第9端面板30i(図2参照)の上面に沿って延びる後記のリード線(図示を省略)に対応するように形成されている。
また、第11端面板30kには、図4Bに示すスロット部材2におけるスロット21のうち、第1列25a、第4行目25gのスロット21に対応する穴部37のみが形成されている。
次に、着磁ヨーク100(図1参照)の製造方法について説明する。
まず、この製造方法においては、鉄心板11(図3参照)と、スロット部材2(図4A参照)と、端面板30(図2参照)と、を準備する。
次に、この製造方法においては、複数の鉄心板11を積層することによって、図3に示すように、貫通孔12、貫通孔13、貫通孔14を有する鉄心1を形成する。
ちなみに、貫通孔12は、前記のように、特許請求の範囲にいう「貫通孔」に相当する。そして、鉄心板11を積層して鉄心1を形成する工程は、特許請求の範囲にいう「鉄心軸を中心とした周方向に、複数の貫通孔を鉄心軸に沿うように鉄心に並設する工程」に相当する。
この工程は、特許請求の範囲にいう「鉄心の貫通孔のそれぞれにスロット部材を挿通する工程」に相当する。
図6Aは、第1端面板30a(図2参照)とスロット部材2(図2参照)とを介して鉄心1に巻線8を取り付ける取付工程の説明図であり、図2の矢示V1方向から見た下側の第1端面板30aの様子を示している。図6Bは、コ字状に加工した巻線8の部分拡大斜視図である。
図6A中、符号30aは、第1端面板であり、符号1は、鉄心である。また、符号8は、巻線であり、第1端面板30aの下面側で延びるコ字状の巻線8の閉じた側である。
このようなコ字状は、鉄心1(図3参照)の周方向に隣接するスロット部材2(図3参照)同士の間に配置される鉄心部分に対する巻き数(ターン数)に応じて複数準備される。ちなみに、本実施形態では、1極当たりの巻き数(ターン数)が9ターンであるものを想定している。つまり、図4Bに示すように、一つのスロット群22あたり、第1行面25dから第3行目25fまでの9本のスロット21に巻き数(ターン数)は対応している。したがって、巻き数(ターン数)は、スロット部材2におけるスロット21の数を増減することによって調節することができる。
図6Bに示すように、鉄心1(図3参照)に取り付ける前のコ字状の巻線8は、二股の脚部81,81にて開いた側と、脚部81,81同士を連結するR部82とを備えている。
R部82は、脚部81,81を、端面板30(図2参照)を介してスロット21(図2参照)に挿通した際に、端面板30(図2参照)側に残る部分であり、側面視では端面板30(図2参照)に沿うように平坦になっている。
ただし、平面視でのR部82は、端面板30(図2参照)の面方向に湾曲している。
具体的には、R部82は、端面板30の周方向、つまり鉄心1(図6A参照)の周方向Cdに沿うように湾曲している。
つまり、巻線8は、図3に示すように、隣接し合うスロット部材2同士の間に配置されることとなる鉄心1を部分的に跨いで配置されることとなる。
ちなみに、本実施形態での溝部38の溝幅は、巻線8の横幅よりも僅かに(例えば、50μm程度)狭くなっている。これにより巻線8は、第1端面板30aに第2端面板30bを重ねた際の軽圧入操作によって溝部38に嵌り込んで支持されることとなる。
なお、前記のように、図4Aに示す本実施形態でのスロット部材2は、各部品2a,2b,2c,2d,2e同士が向き合った際に、スロット21の半分同士が合わさって一つのスロット21を形成するようになっている。このようなスロット部材2によれば、例えば、貫通孔12(図3参照)と、スロット部材2(図3参照)との間に、楔部材などを挿入してスロット部材2を径方向Rdに圧縮することで、スロット21に挿通された巻線8をより強固に固定することができる。
次に、この製造方法では、図2に示すように、鉄心1の上側の端面7に第5端面板30eを重ねて配置する。
図7に示すように、鉄心1に第5端面板30eを重ねて配置したことによって、穴部37のうち、穴部373と穴部374とを除いた他の穴部37から巻線8(図6Bに示す脚部81)が延出する。つまり、巻線8の開いた側(二股)のそれぞれは、特許請求の範囲にいう「スロットの他端側」から延出することとなる。
穴部373は、図4Aに示すスロット部材2に対応付けて説明すると、一のスロット部材2における第1列25aの第3行目25fのスロット21(図4B)に対応する。また、穴部374は、一のスロット部材2に隣接する他のスロット部材2(図3参照)における第1列25aの第4行目25gのスロット21(図4B参照)に対応する。
具体的には、図7に示すように、第5端面板30eの穴部375から延出する脚部81と、穴部376から延出する脚部81とが、ブリッジ線9にて接続される。そして、穴部377から延出する脚部81と、穴部378から延出する脚部81とが、ブリッジ線9にて接続される。
そして、ブリッジ線9(図7参照)にて接続されない他の巻線8の脚部81(図7参照)は、図示を省略するが、これと対応する位置に形成された図5Eに示す穴部37を通って上方に延出する。
このような第6端面板30f(図5E参照)上でのコ字状の巻線(図示を省略)のブリッジ線(図示を省略)による接続は、周方向Cdに12本並ぶスロット部材2について同様に行われる。その後、図2に示すように、第6端面板30fの上面に第7端面板30gが重ねられる。この際、第6端面板30f(図5E参照)上で延びるブリッジ線(図示を省略)は、図5Fに示した第7端面板30gの溝部38に軽圧入操作によって嵌り込む。
そして、ブリッジ線(図示を省略)にて接続されない他の巻線の脚部(図示を省略)は、これと対応する位置に形成された図5Fに示す穴部37を通って上方に延出する。
このような第7端面板30g(図5F参照)上でのコ字状の巻線(図示を省略)のブリッジ線(図示を省略)による接続は、周方向Cdに12本並ぶスロット部材2について同様に行われる。その後、図2に示すように、第7端面板30gの上面に第8端面板30hが重ねられる。この際、第7端面板30g(図5F参照)上で延びるブリッジ線(図示を省略)は、図5Gに示した第8端面板30hの溝部38に軽圧入操作によって嵌り込む。
そして、ブリッジ線(図示を省略)にて接続されない他の巻線の脚部(図示を省略)は、これと対応する位置に形成された図5Gに示す穴部37を通って上方に延出する。
このような第8端面板30h(図5G参照)上でのコ字状の巻線(図示を省略)のブリッジ線(図示を省略)による接続は、周方向Cdに12本並ぶスロット部材2について同様に行われる。その後、図2に示すように、第8端面板30hの上面に第9端面板30iが重ねられる。この際、第8端面板30h(図5G参照)上で延びるブリッジ線(図示を省略)は、図5Hに示した第9端面板30iの溝部38に軽圧入操作によって嵌り込む。
そして、ブリッジ線(図示を省略)にて接続されない他の巻線の脚部(図示を省略)は、これと対応する位置に形成された図5Hに示す穴部37を通って上方に延出する。
このような第9端面板30i(図5H参照)上でのコ字状の巻線(図示を省略)のブリッジ線(図示を省略)による接続は、周方向Cdに12本並ぶスロット部材2について同様に行われる。その後、図2に示すように、第9端面板30iの上面に第10端面板30jが重ねられる。この際、第9端面板30i(図5H参照)上で延びるブリッジ線(図示を省略)は、図5Iに示した第10端面板30jの溝部38に軽圧入操作によって嵌り込む。
そして、ブリッジ線(図示を省略)にて接続されない他の巻線の脚部(図示を省略)は、これと対応する位置に形成された図5Iに示す4つの穴部37a1,37a2,37a3,37a4を通って上方にそれぞれ延出する。
具体的には、図5Jに示す溝部38aに沿って延びるリード線(図示を省略)に接続されることとなる図5Iに示す穴部37a1に臨む巻線部分を基端とし、穴部27a2に臨む巻線部分を先端とした場合に、この巻線(図示を省略)は、鉄心1(図3参照)の内周側から外周側に見た側面視で、鉄心部分を左回りに巻回することとなる。
そして、図5Iに示す穴部37a3に臨む巻線部分を基端とし、図5Iに示す穴部37a4に臨む巻線部分を先端とした場合に、この巻線(図示を省略)は、鉄心1(図3参照)の内周側から外周側に見た側面視で、鉄心部分を右回りに巻回することとなる。
そして、12本のスロット部材2の間に配置されることとなる12極の鉄心部分のそれぞれを巻回する巻線8は、前記のようにリード線(図示を省略)が接続することによって、鉄心1の周方向の全体にわたって一体に連結される。
つまり、鉄心1の周方向に一体に連結された巻線8の一端側と、他端側との間に、例えばコンデンサ式電源装置などの所定の電源から高電流が印加された際に、鉄心1は、正逆(NS)交互に入れ替わった12極を内周側の周方向に並んで形成する。
そして、図2に示すように、冷却管5が貫通孔13に挿通固定された状態で、鉄心1と端面部材3とが第1締結具6aと第2締結具6bとによって一体に接合されることによって、図1に示す着磁ヨーク100が完成する。
本実施形態の着磁ヨーク100においては、鉄心1の巻線8が予め成形された熱可塑性樹脂からなるスロット部材2に挿通固定されている。
このような着磁ヨーク100によれば、従来の着磁ヨーク100(例えば、特許文献1参照)のように熱硬化性樹脂からなる樹脂部材で巻線を固定するものと異なって、巻線8を固定する樹脂部材(スロット部材2)にボイドが形成されることが避けられる。これにより本実施形態の着磁ヨーク100は、着磁対象物に着磁を施す際に、従来と比べてより確実にコイル(巻線8)の損傷・破断を防止することができる。
このような着磁ヨーク100によれば、従来の着磁ヨーク100(例えば、特許文献1参照)のように熱硬化性樹脂からなる樹脂部材で巻線8のコイルエンド部を固定するものと異なって、鉄心1の端面上で巻線8を固定する樹脂部材(端面板30)にボイドが形成されることが避けられる。これにより本実施形態の着磁ヨーク100は、着磁対象物に着磁を施す際に、従来と比べてより確実にコイル(巻線8)の損傷・破断を防止することができる。
このような着磁ヨーク100によれば、鉄心1の端面から延出する巻線8をより確実に固定することができる。
このような着磁ヨーク100によれば、スロット部材2などの樹脂部材が耐熱性能、機械的強度、加工性などにおいて一段と優れたものとなる。
このような製造方法によれば、印加される高電流によって巻線8に大きな交番荷重が掛かるところ、熱可塑性樹脂からなるスロット部材2及び熱可塑性樹脂からなる被覆部材によって、巻線8の鉄心1に対する強固な固定力が発揮されるとともに、電気的絶縁性が一段と向上する。
図8は、第1変形例に係る着磁ヨーク100の構成説明図である。図9は、第2変形例に係る着磁ヨーク100の構成説明図である。図10は、第3変形例に係る着磁ヨーク100の構成説明図である。なお、図8から図10において前記実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、図8から図10中、スロット部材2に挿通される巻線の記載は作図の便宜上省略している。
この第1変形例に係る着磁ヨーク100は、図示を省略するが、1又は2n(nは自然数)の磁極を有するものを想定している。
このような着磁ヨーク100においては、内周側に配置される着磁対象物(図示を省略)は、回転させながら着磁対象物の全周面にわたって着磁が行われることとなる。
なお、磁極が一つの着磁ヨーク100は、電源端子(図示を省略)に印加される電流の極性が着磁ごとに正逆入れ替わるスイッチング工程が実施される。
このような着磁ヨーク100は、リング状の着磁対象物10の内周面の周方向に着磁が行われることとなる。なお、図9に示す着磁ヨーク100は、平面視で扇型を呈するように変形することもできるが、この場合、図示を省略するが、着磁対象物10が鉄心軸(図示を省略)周りに、回転することで、着磁対象物の内周面の周方向全体にわたって着磁が行われることとなる。
なお、この第3変形例に係る着磁ヨーク100は、磁極が一つであるものを想定している。このような着磁ヨーク100においては、着磁対象物10に対する着磁ごとに、電源端子(図示を省略)に印加される電流の極性が着磁ごとに正逆入れ替わるスイッチング工程が実施されることとなる。これにより着磁対象物10には、長さ方向に沿って極性(NS)が交互に入れ替わるように着磁が行われる。
2 スロット部材
3 端面部材
7 鉄心の端面
8 巻線
8a 電線
8b 被覆部材
12 鉄心の貫通孔
21 スロット
30 端面板
30a 第1端面板(端面板)
30b 第2端面板(端面板)
30c 第3端面板(端面板)
30d 第4端面板(端面板)
30e 第5端面板(端面板)
30f 第6端面板(端面板)
30g 第7端面板(端面板)
30h 第8端面板(端面板)
30i 第9端面板(端面板)
30j 第10端面板(端面板)
30k 第11端面板(端面板)
37 端面板の穴部(巻線支持部)
38 端面板の溝部(巻線支持部)
100 着磁ヨーク
Ax 鉄心軸
Claims (6)
- 鉄心の巻線を挿通固定するスロットが加工形成された熱可塑性樹脂からなるスロット部材を備え、前記スロット部材は前記鉄心に挿通固定されていることを特徴とする着磁ヨーク。
- 前記鉄心の端面には、熱可塑性樹脂からなる複数の端面板が積層配置されていることを特徴とする請求項1に記載の着磁ヨーク。
- 前記端面板には、前記スロットから延出する前記巻線を支持する巻線支持部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の着磁ヨーク。
- 前記熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の着磁ヨーク。
- 鉄心軸を中心とした周方向に、複数の貫通孔を鉄心軸に沿うように鉄心に並設する工程と、
前記鉄心の巻線を挿通固定するスロットを有する熱可塑性樹脂からなるスロット部材を形成する工程と、
前記鉄心の前記貫通孔のそれぞれに前記スロット部材を挿通する工程と、
前記スロットに前記巻線を挿通固定する工程と、
を有することを特徴とする着磁ヨークの製造方法。 - 芯材となる電線を被覆する熱可塑性樹脂からなる被覆部材を有している前記巻線を前記スロットに挿通固定する請求項5に記載の着磁ヨークの製造方法において、
コ字状に屈曲した前記巻線を前記鉄心に対する前記巻線の巻回数に応じて複数組準備する工程と、
複数組準備した前記巻線のうちの一つについて、前記鉄心の周方向に隣接し合う前記スロット部材のうち一方の前記スロット部材における前記スロットの一端側に、コ字状の前記巻線の二股に開いた側の一方を挿通するとともに、他方の前記スロット部材の前記スロットの一端側に、コ字状の前記巻線の二股に開いた側の他方を挿通することによって、隣接し合う前記スロット部材同士の間の鉄心部分を跨ぐように二股の前記巻線を配置する工程と、
二股の前記巻線を配置するこの工程を前記鉄心部分に対する前記巻線の前記巻回数に応じて複数回繰り返す工程と、
前記スロットに挿通した巻線部分のうち前記スロットの他端側に延出した前記巻線の端部に有する前記被覆部材を部分的に除去する工程と、
前記鉄心部分に対する前記巻線の前記巻回数となるように前記被覆部材を部分的に除去した巻線部分にて複数組からなるコ字状の前記巻線同士を接合する工程と、
を含むことを特徴とする着磁ヨークの製造方法。
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