JP2022026335A - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】染料の劣化を抑制するとともに、長期に渡って視認性を維持し得る光学積層体の提供。【解決手段】外層側から、ハードコート層30及び基材層10をこの順に有してなり、下記(1)及び(2)の少なくとも何れかの構成を有する、光学積層体。(1)基材層10中に、基材層10のハードコート層30側の面又は基材層10のハードコート層30とは反対側の面から浸透してなる染料81を含み、基材層10を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂であり、基材層10及び基材層10よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。(2)光学積層体100が、ハードコート層30及び基材層10以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、樹脂層2及び樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる層に紫外線吸収剤を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
近年、有機EL表示装置、液晶表示装置、マイクロLED表示装置等の画像表示装置は、色純度を高めて色再現性を向上する開発が進んでいる。画像表示装置の色純度を高めるためには、表示素子から出射するRGBのスペクトルの分布形状をシャープにすればよい。
RGBのスペクトルの分布形状をシャープにした画像表示装置として、例えば、三色独立方式の有機EL素子を用いた有機EL表示装置、バックライトに量子ドットを用いた液晶表示素子等が提案されている。
しかし、出射光のスペクトルの分布形状は、発光素材の材質に起因する。このため、現在汎用的に用いられている発光素材では、出射光のRGBスペクトルの分布形状をシャープにすることには一定の限界がある。かかる問題を解消する手段として、例えば、特許文献1の手段が提案されている。
特開2003-191366号公報(請求項1、6、7及び9)
特許文献1には、基材フィルム層と、基材フィルム層の一方の面に設けられたハードコート層、基材フィルム層の他方の面に設けられた粘着層からなり、紫外線吸収剤がいずれかの層に含有されてなり、染料を含有する層が紫外線吸収剤を含有する層より粘着層側に存在し、所定の光学特性を有する光学積層体が開示されている。
特許文献1の光学積層体は、特定波長域の光をカットすることにより色純度を高めるとともに、紫外線により染料が劣化することを抑制、長期に渡って視認性を維持することを狙ったものである。
しかし、特許文献1の構成要件を満たす光学積層体であっても、視認性を良好にできないケースが頻発した。
本発明は、染料の劣化を抑制するとともに、長期に渡って視認性を維持し得る光学積層体、並びに、それを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、染料を含む層がラジカル重合性樹脂を含む場合には、該層の形成時に生じるラジカル及び該層の形成後に経時的に生じるラジカルによって染料が劣化すること、並びに、紫外線吸収剤及び光安定剤等ではラジカルによる染料の劣化を十分に抑制できないことが上記課題の原因であることを見出し、これを解決するに至った。
本発明は、以下の[1]~[3]の光学積層体、偏光板及び表示装置を提供する。
[1]外層側から、ハードコート層及び基材層をこの順に有する光学積層体であって、下記(1)及び(2)の少なくとも何れかの構成を有する、光学積層体。
(1)前記基材層中に、前記基材層の前記ハードコート層側の面又は前記基材層の前記ハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含み、前記基材層を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記基材層及び前記基材層よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
(2)前記光学積層体が、ハードコート層及び基材層以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、前記バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記樹脂層2及び前記樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
[2]偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置されてなる透明保護板Aと、前記偏光子の他方の側に配置されてなる透明保護板Bとを有する偏光板であって、前記透明保護板A及び前記透明保護板Bの少なくとも一方が、前記[1]に記載の光学積層体であり、前記ハードコート層側の面が前記偏光子と反対側を向くように前記光学積層体が配置されてなる、偏光板。
[3]表示素子と、前記[1]に記載の光学積層体又は前記[2]に記載の偏光板とを有する、画像表示装置。
本発明の光学積層体、偏光板及び画像表示装置は、染料の劣化を抑制し、長期に渡って視認性を維持することができる。
本発明の光学積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明の光学積層体のその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の光学積層体のその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の光学積層体のその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の画像表示装置の一実施形態を示す断面図である。 光学積層体の分光透過率の測定値の一実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、外層側から、ハードコート層及び基材層をこの順に有してなり、下記(1)及び(2)の少なくとも何れかの構成を有するものである。
(1)前記基材層中に、前記基材層の前記ハードコート層側の面又は前記基材層の前記ハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含み、前記基材層を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記基材層及び前記基材層よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
(2)前記光学積層体が、ハードコート層及び基材層以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、前記バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記樹脂層2及び前記樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
以下、上記(1)の構成を有する光学積層体を実施形態1、上記(2)の構成を有する光学積層体を実施形態2として説明する。
-実施形態1の光学積層体-
実施形態1の光学積層体は、外層側から、ハードコート層及び基材層をこの順に有してなり、下記(1)の構成を有するものである。
(1)前記基材層中に、前記基材層の前記ハードコート層側の面又は前記基材層の前記ハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含み、前記基材層を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記基材層及び前記基材層よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
実施形態1では、基材層中に、基材層のハードコート層側の面又は基材層のハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含むことを要する。以下、基材層のハードコート層側の面又は基材層のハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1のことを、「浸透染料」と称する。
基材層が当初から染料を含んでいる場合、当該染料は、基材層上にハードコート層等の他の層を積層する際に染み出しやすく、視認性を悪化させてしまう場合もある。以下、基材層に当初から含まれている染料のことを「基材含有染料」と称する。基材層上に他の層を形成する際に、基材層から基材含有染料が染み出しやすい理由は、染料は分子量が低いものが多いためである。特許文献1の光学積層体は、基材フィルムが基材含有染料を含有しているため、ハードコート層等の形成時に基材含有染料が染み出して視認性が悪化してしまう。
したがって、実施形態1では、基材層中の染料1は、基材層のハードコート層側の面又は基材層のハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1(浸透染料)であることを要する。なお、実施形態1において、基材層中には基材含有染料を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、実施形態1において、基材層中における基材含有染料の含有量は、基材層の全固形分の0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
基材層内に染料を浸透させる手段としては、例えば、溶剤で溶解又は膨潤しやすい基材層上に、染料及び溶剤を含むインキを塗布する手段が挙げられる。
なお、当該インキは、樹脂を含んでいなくてもよいし、樹脂を含んでいてもよい。溶剤で溶解又は膨潤しやすい基材層上に、染料及び溶剤を含み、樹脂を含まないインキを塗布した場合、染料の多くは基材層内に浸透して、浸透染料(染料1)となる。また、溶剤で溶解又は膨潤しやすい基材層上に、染料、溶剤及び樹脂を含むインキを塗布した場合、染料の多くは基材層内に浸透する一方で、樹脂は分子量が大きいため基材層内には浸透しにくく、基材層上に樹脂塗膜を形成する。このため、例えば、ハードコート層形成用インキ中に染料を含有させることにより、ハードコート層を形成する際に、基材層内に染料が浸透して、浸透染料(染料1)となる。
また、実施形態1では、基材層を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂であることを要する。基材層を構成する樹脂がラジカル重合性樹脂である場合、当該ラジカル重合性樹脂から経時的に生じるラジカルによって、浸透染料(染料1)が劣化してしまう。
本明細書において、「ラジカル重合性樹脂」とは、「ラジカル重合性化合物を含む組成物の硬化物」のことをいう。ラジカル重合性化合物の具体例については後述する。
さらに、実施形態1では、基材層及び基材層よりも外層側に位置する層の少なくとも何れかの層に紫外線吸収剤を含むことを要する。当該構成を有さないと、基材層中の浸透染料(染料1)が経時的に劣化してしまう。
図1~2は、実施形態1の光学積層体(100)の実施の形態を示す断面図である。
図1~2の光学積層体(100)は、外層側から、ハードコート層(30)及び基材層(10)をこの順に有している。
また、図1の光学積層体(100)は、基材層(10)中に、基材層のハードコート層(30)側の面から浸透してなる染料1(81)を含むとともに、ハードコート層(30)中に紫外線吸収剤(70)を含んでいる。図1の光学積層体の基材層(10)は、染料が浸透してなる染料浸透領域(12)をハードコート層(30)側に有し、染料非浸透領域(11)をハードコート層(30)とは反対側に有している。また、図1の光学積層体(100)は、ハードコート層(30)と基材層(10)との間に、樹脂層1(21)を有している。
また、図2の光学積層体(100)は、基材層(10)中に、紫外線吸収剤(70)を含むとともに、基材層のハードコート層(30)とは反対側の面から浸透してなる染料1(81)を含んでいる。図2の光学積層体の基材層(10)は、染料が浸透してなる染料浸透領域(12)をハードコート層(30)とは反対側に有し、染料非浸透領域(11)をハードコート層(30)側に有している。
なお、基材層(10)中に染料1(81)が浸透した場合、染料(81)が侵入した側の基材層(10)の表面は通常は荒れた状態となる。すなわち、図1の層構成の場合、基材層(10)のハードコート層側の表面は通常は荒れた状態となるが、図1では、図面を簡略化するため、基材層(10)のハードコート層側の表面を平滑に示している。同様に、図2の層構成の場合、基材層(10)のハードコート層とは反対側の表面は通常は荒れた状態となるが、図2では、図面を簡略化するため、基材層(10)のハードコート層とは反対側の表面を平滑に示している。
なお、実施形態1の光学積層体は、図1~2の構成に限定されない。例えば、実施形態1の光学積層体は、図1の構成において、樹脂層1(21)を有さず、ハードコート層(30)と基材層(10)とが接する構成であってもよい。また、実施形態1の光学積層体は、図2の構成において、ハードコート層(30)中に紫外線吸収剤(70)を含んでいてもよい。また、実施形態1の光学積層体は、図1~2の積層構成とは異なる積層構成であってもよい。
<染料1>
染料1としては、フタロシアニン系、シアニン系、スクアリリウム系、インドール化合物系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系、キノン系、アズレニウム系、ピリリウム系、クロコニウム系、ピロメテン系、ポルフィリン系等の有機系色素が挙げられる。これらの有機系色素は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、吸収ピーク波長の幅の狭い点、有機溶媒への溶解性に優れる点、及び耐光性が良好である点でポルフィリン系の有機系色素が好ましく、テトラアザポルフィリン系の有機系色素がより好ましい。
染料1(浸透染料)の含有量は、光学積層体の単位面積当たりに換算して、0.001~0.500g/mであることが好ましく、0.001~0.150g/mであることがより好ましい。
実施形態1において、染料1(浸透染料)の含有量は、基材層の厚みにより異なるため一概にはいえないが、基材層中の樹脂100質量部に対して0.01~10質量部であることが好ましく、0.05~2.0質量部であることがより好ましい。
実施形態1において、染料1(浸透染料)は、基材層内に浸透させやすくする観点から、分子量が1,000以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましい。なお、染料1(浸透染料)の分子量の下限は特に限定されないが、通常は200以上である。
<基材層>
実施形態1において、基材層を構成する樹脂は非ラジカル重合性樹脂であることを要する。言い換えると、実施形態1において、基材層は、非ラジカル重合性樹脂から形成されてなるプラスチックフィルムであることを要する。
非ラジカル重合性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等が挙げられる。
さらに、実施形態1において、基材層は溶剤で溶解又は膨潤しやすいものが好ましい。溶剤で溶解又は膨潤しやすい基材層上に、染料及び溶剤を含むインキを塗布することにより、基材層内に染料を浸透させやすくすることができ、実施形態1の構成を実現しやすくできる。
溶剤で溶解又は膨潤しやすい基材層としては、アクリルフィルム又はトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。トリアセチルセルロースフィルムは、溶剤で溶解又は膨潤しやすい点でより好ましい。また、アクリルフィルムは、浸透染料がブリードアウトしにくい点で好ましい。アクリルフィルム及びトリアセチルセルロースフィルムは、面内位相差を小さくしやすい点でも好ましい。
なお、アクリルフィルム及びトリアセチルセルロースフィルム以外の基材層(例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド)であっても、適切な溶剤を選択することにより、基材内に染料を浸透させることができる。
染料及び溶剤を含むインキに含まれる溶剤は、基材層を溶解又は膨潤するものが好ましいが、基材層を過度に溶解又は膨潤させた場合、基材層の強度が低下してしまう。このため、染料及び溶剤を含むインキに含まれる溶剤は、基材層を構成する樹脂に応じて適切なものを用いることが好ましい。
例えば、基材層がアクリルフィルムの場合、揮発しにくい溶剤を含む溶剤が好ましい。基材層がトリアセチルセルロースフィルムの場合、メチルイソブチルケトン(MIBK)を含む溶剤が好ましい。
また、トルエン、シクロヘキサノンは、アクリルを過度に溶解又は膨潤する傾向がある。このため、基材層がアクリルフィルムの場合、全溶剤中のトルエン及びシクロヘキサノンの含有割合は70質量%未満とすることが好ましい。また、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸メチルは、トリアセチルセルロースを過度に溶解又は膨潤する傾向がある。このため、基材層がトリアセチルセルロースフィルムの場合、全溶剤中のMEK及び酢酸メチルの含有割合は70質量%未満とすることが好ましい。
実施形態1において、基材層を厚み方向に2つの領域に分け、ハードコート層側の領域をH、ハードコート層とは反対側の領域をLと定義する。さらに、ハードコート層側の領域Hにおける染料1(浸透染料)の平均濃度をDH、ハードコート層とは反対側の領域Lにおける染料1(浸透染料)の平均濃度をDLと定義する。
上記の前提条件において、基材層のハードコート層側の面から染料が浸透している場合には、DL<DHの関係を満たすことが好ましく、基材層のハードコート層とは反対側の面から染料が浸透している場合には、DH<DLの関係を満たすことが好ましい。当該関係を満たすことにより、基材層内に染料が浸透し過ぎることによる基材層の強度の低下を抑制しやすくできる。
また、上記の前提条件において、基材層のハードコート層側の面から染料が浸透している場合には、領域Lには実質的に染料1(浸透染料)を含有しないことが好ましく、基材層のハードコート層とは反対側の面から染料が浸透している場合には、領域Hには実質的に染料1(浸透染料)を含有しないことが好ましい。当該関係を満たすことにより、基材層の強度の低下をより抑制しやすくできる。領域L(又は領域H)に染料1(浸透染料)を実質的に含有しないとは、領域L(又は領域H)の全固形分に対する染料1(浸透染料)の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
なお、基材層のハードコート層側の面から染料が浸透している場合には、基材層とハードコート層との間に、非ラジカル重合性樹脂を主成分として含む樹脂層(樹脂層1)を配置することが好ましい。基材層とハードコート層との間に樹脂層1を配置することにより、基材層のハードコート層側の面から染料が浸透している場合であって、かつ、DL<DHの関係を満たす場合において、ハードコート層のラジカル重合性樹脂によって、基材層の浸透染料が劣化することを抑制しやすくできる。非ラジカル重合性樹脂を主成分として含む樹脂層(樹脂層1)については後述する。
基材層の厚みは、下限は好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、上限は好ましくは300μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは70μm以下、さらに好ましくは45μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
本明細書において、基材層及びハードコート層等の光学積層体に含まれる各厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による光学積層体の断面写真の任意の箇所を20点選び、その平均値により算出できる。STEMの加速電圧及び倍率はサンプルに応じて適宜調整でき、例えば、加速電圧は10kv~30kV、倍率は1000~7000倍とすることが好ましい。
なお、基材層の厚みのバラツキは平均値±8%の範囲であることが好ましく、平均値±4%の範囲であることがより好ましく、平均値±3%の範囲であることがさらに好ましい。例えば、厚みの平均値が50μmならば、各厚さが46~54μmの範囲に収まることが好ましく、各厚さが48~52μmの範囲に収まることが好ましく、各厚さが48.5~51.5μmの範囲に収まることがさらに好ましい。
基材層の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理等の物理的な処理や化学的な処理を施したり、易接着層を形成したりしてもよい。
基材層は光透過性が高いことが好ましい。具体的には、基材層は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
<紫外線吸収剤>
実施形態1の光学積層体は、基材層及び基材層よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含むことを要する。当該構成を有さない場合、基材層中の染料1(浸透染料)が経時的に劣化してしまう。
実施形態1では、基材層のみに紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、基材層よりも外層側に位置する層のみに紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、両者に紫外線吸収剤を含んでいてもよい。基材層よりも外層側に位置する層としては、ハードコート層、樹脂層1及び反射防止層等が挙げられる。
実施形態1及び実施形態2において、基材層が紫外線吸収剤を含む場合、当該紫外線吸収剤は、基材層に当初から含まれるものであってもよいし、基材層のハードコート層側の面又は基材層のハードコート層とは反対側の面から浸透してなる紫外線吸収剤であってもよい。
実施形態1及び実施形態2において、基材層に当初から含まれる紫外線吸収剤は、分子量の高いものが好ましい。
また、実施形態1及び実施形態2において、基材層内に浸透してなる紫外線吸収剤を含む場合、当該紫外線吸収剤は、基材層のハードコート層側の面から浸透してなる紫外線吸収剤であることが好ましい。
実施形態1及び実施形態2において、基材層中に、ハードコート層側の面から浸透してなる紫外線吸収剤を含む場合において、基材層のハードコート層側の領域Hにおける紫外線吸収剤の平均濃度をUH、基材層のハードコート層とは反対側の領域Lにおける紫外線吸収剤の平均濃度をULと定義した際に、UL<UHの関係を満たすことが好ましい。当該関係を満たすことにより、基材層内に紫外線吸収剤が浸透し過ぎることによる基材層の強度の低下を抑制しやすくできる。
さらに、上記の実施形態1及び実施形態2の好ましい形態においては、領域Lには実質的に紫外線吸収剤を含有しないことが好ましい。当該関係を満たすことにより、基材層の強度の低下をより抑制しやすくできる。領域Lに紫外線吸収剤を実質的に含有しないとは、領域Lの全固形分に対する紫外線吸収剤の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
さらに、上記の実施形態1の好ましい形態(基材層中に、ハードコート層側の面から浸透してなる紫外線吸収剤を含む実施形態)では、基材層中の浸透染料はハードコート層とは反対側の面から浸透してなるものであることが好ましい。当該構成とすることにより、染料の劣化をより抑制しやすくできる。
実施形態1及び実施形態2において、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アントラセン系紫外線吸収剤等の汎用の有機系紫外線吸収剤の1種又は2種以上を用いることができる。
実施形態1及び実施形態2において、基材層内に浸透してなる紫外線吸収剤を含む場合、当該紫外線吸収剤の分子量は2,000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。なお、当該該紫外線吸収剤の分子量は200以上であることが好ましい。
また、実施形態1において、基材層内に浸透してなる紫外線吸収剤の分子量は、染料1(浸透染料)の分子量よりも大きいことが好ましい。かかる条件を満たす紫外線吸収剤及び染料を含むインキを、基材層のハードコート層側の面に塗布した場合、紫外線吸収剤よりも染料が基材層の内部に浸透するため、紫外線吸収剤による染料1(浸透染料)の劣化を抑制する効果を高めることができる。
実施形態1及び実施形態2において、基材層中に当初から紫外線吸収剤を含む場合、基材層上に他の層を形成する際に紫外線吸収剤が染み出すことを抑制する観点から、当該紫外線吸収剤の分子量は300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。なお、当該該紫外線吸収剤の分子量は2000以下であることが好ましい。
実施形態1及び実施形態2において、ハードコート層中に紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、ハードコート層のバインダー樹脂100質量部に対して0.01~30質量部が好ましく、0.01~15質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましい。
実施形態1及び実施形態2において、基材層中に紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、基材層のバインダー樹脂100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.01~5質量部がより好ましく、0.01~3質量部がさらに好ましい。
<ハードコート層>
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、ハードコート層を有する。
ハードコート層は通常ラジカル重合性樹脂を含む。そして、ラジカル重合性樹脂は、染料を劣化させる要因となるラジカルをハードコート層の形成時及び形成後に発生する。このため、ハードコート層中に染料を含む場合、ハードコート層中に生じるラジカルによって染料が劣化されやすい。
一方、実施形態1の光学積層体は、ハードコート層ではなく基材層内に染料1(浸透染料)を含んでいることから、ハードコート層のラジカル重合性樹脂から生じるラジカルによる染料1(浸透染料)の劣化を抑制しやすくできる。
また、実施形態2の光学積層体は、ハードコート層ではなく樹脂層2に染料2を含んでいることから、ハードコート層のラジカル重合性樹脂から生じるラジカルによる染料2の劣化を抑制しやすくできる。
以下、ハードコート層に関しては、特に断りがない限り、実施形態1及び実施形態2に共通の記載とする。
ハードコート層は、光学積層体の耐擦傷性を向上する観点から、ラジカル重合性樹脂を含むことが好ましい。上述したように、「ラジカル重合性樹脂」とは、「ラジカル重合性化合物を含む組成物の硬化物」のことをいう。
ハードコート層の全樹脂成分に対するラジカル重合性樹脂の含有割合は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物は、分子中にラジカル重合性官能基を有する化合物をいう。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合含有基が挙げられる。なかでも、ハードコート層の耐擦傷性の観点から、ラジカル重合性化合物としては、分子中にエチレン性不飽和結合含有基を2つ以上有する化合物が好ましく、分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。多官能(メタ)アクリレート化合物としては、モノマー、オリゴマー、及びポリマーのいずれも用いることができるが、耐擦傷性の観点から、少なくとも多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましい。
多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレートモノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、2官能以上の(メタ)アクリレート系オリゴマーであれば特に制限はなく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等の各種(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)が4,000未満のものが好ましく、より好ましくは1,000超、3,000未満である。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、より好ましくは3~12官能、さらに好ましくは3~10官能である。官能基数が上記範囲内であると、優れた強度の保護層が得られる。
多官能(メタ)アクリレートポリマーとしては、2官能以上の(メタ)アクリレート系ポリマーであれば特に制限はなく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートポリマー、エポキシ(メタ)アクリレートポリマー、ポリエステル(メタ)アクリレートポリマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートポリマー等の各種(メタ)アクリレート系ポリマーを用いることができる。
多官能(メタ)アクリレートポリマーは、上記効果を得る観点から、重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)が4,000以上のものが好ましく、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは10,000~50,000である。重量平均分子量が100,000以下であれば、硬化性及び塗工性が良好である。
また、多官能(メタ)アクリレートポリマーの官能基数には特に制限はないが、硬化性の観点から、1分子あたりの官能基数が多い(すなわち、官能基当量が低い)ことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートポリマーの官能基当量は、好ましくは400g/当量以下、より好ましくは300g/当量以下、さらに好ましくは250g/当量以下である。
以上のラジカル重合性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、ラジカル重合性化合物は、耐擦傷性の観点から、前述の多官能(メタ)アクリレートモノマーを主成分とすることが好ましい。その含有量は、ラジカル重合性化合物の全量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは85~100質量%である。
ラジカル重合性化合物を含む組成物は光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ハードコート層は、上述したように紫外線吸収剤を含有していてもよい。
また、ハードコート層は、本発明の効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、屈折率調整剤、防眩剤、防汚剤、帯電防止剤及びレベリング剤等が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、カール抑制、機械的強度、硬度及び靭性とのバランスの観点から、0.5~100μmであることが好ましく、1.0~50μmがより好ましく、さらには2.0~20μmがより好ましい。
本明細書において、ハードコート層の厚みのバラツキは、平均厚みに対して±15%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±7%以内であることがさらに好ましい。
<その他の層>
実施形態1の光学積層体は、基材層及びハードコート層以外の層(その他の層)を有していてもよい。その他の層としては、例えば、樹脂層1、反射防止層及び接着層が挙げられる。また、実施形態1の光学積層体は、実施形態2の光学積層体が備える樹脂層2を有していてもよい。
《樹脂層1》
実施形態1の光学積層体は、染料1(浸透染料)の劣化をより抑制する観点から、基材層とハードコート層との間に、非ラジカル重合性樹脂を主成分として含む樹脂層(樹脂層1)を有することが好ましい。
また、実施形態2の光学積層体において、基材層とハードコート層との間に樹脂層2を有する場合には、染料2の劣化をより抑制する観点から、ハードコート層と樹脂層2との間に、非ラジカル重合性樹脂を主成分として含む樹脂層(樹脂層1)を有することが好ましい。
「非ラジカル重合性樹脂を主成分として含む」とは、樹脂層1中の非ラジカル重合性樹脂の含有量が樹脂層1の全量基準で50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
当該非ラジカル重合性樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらの中でも、基材層及びハードコート層等との密着性の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
非ラジカル重合性樹脂としての熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂の中でもポリメチルメタクリレート(PMMA)が好適である。
また、熱可塑性樹脂は、GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が5千~5百万であることが好ましく、1万~百万であることがより好ましい。
非ラジカル重合性樹脂としての熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂を含む組成物の硬化物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤が添加される。
樹脂層1の厚みは、下限は1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、上限は50μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
樹脂層1の厚みを1μm以上とすることにより、染料1及び染料2の劣化を抑制しやすくできる。また、樹脂層1の厚みを50μm以下とすることにより、ハードコート層側の表面の硬度が低下することを抑制しやすくできる。
樹脂層1は紫外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
《反射防止層》
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、反射防止性を付与する観点から、ハードコート層の基材とは反対側に位置する反射防止層を有していてもよい。
以下、反射防止層、及びこれを構成する低屈折率層及び高屈折率層に関しては、特に断りがない限り、実施形態1及び実施形態2に共通の記載とする。
反射防止層は、例えば、低屈折率層の単層構造、高屈折率層と低屈折率層との積層構造が挙げられる。
-低屈折率層-
低屈折率層は、転写層を構成する層のうち、最も被着体から離れた位置に配置することが好ましい。すなわち、低屈折率層は、成形体の最表面に配置することが好ましい。
なお、低屈折率層よりも防眩層側に後述する高屈折率層を低屈折率層に隣接して形成することで、反射防止性をより高めることができる。
低屈折率層の屈折率は、1.10~1.48が好ましく、1.20~1.45がより好ましく、1.24~1.40がより好ましく、1.26~1.38がより好ましく、1.28~1.35がより好ましい。
また、低屈折率層の厚みは、80~120nmが好ましく、85~110nmがより好ましく、90~105nmがより好ましい。また、低屈折率層の厚みは、中空粒子等の低屈折率粒子の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。
低屈折率層を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率の樹脂を塗工して形成する手法、樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ウェット法は、生産効率、斜め反射色相の抑制、及び耐薬品性の点で、ドライ法よりも優れている。また、ウェット法の中でも、密着性、耐水性、耐擦傷性及び低屈折率化の観点から、バインダー樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液により形成することが好ましい。言い換えると、低屈折率層は、バインダー樹脂及び低屈折率粒子を含むことが好ましい。
低屈折率層は、通常、光学積層体の最表面に位置する。このため、低屈折率層には良好な耐擦傷性が求められており、汎用の低屈折率層も所定の耐擦傷性を有するように設計されている。
近年、低屈折率層の屈折率を下げるために、低屈折率粒子として粒子径の大きい中空粒子が用いられるようになっている。このように粒子径の大きい中空粒子を含む低屈折率層の表面を、微細な固形物(例えば砂)のみが付着したもの、又は油分のみが付着したもので擦っても傷が視認できない場合でも、固形物及び油分の両方が付着したもので擦ることにより傷が付くことがある(以下、当該現象を「オイルダスト耐性」と称する場合がある。)。固形物及び油分が付着したもので擦る動作は、例えば、化粧品及び食品等に含まれる油分と、大気中に含まれる砂とが付着した指で使用者がタッチパネル式の画像表示装置を操作する動作に相当する。
低屈折率層のオイルダスト耐性を良好にすることは、低屈折率層の効果(反射防止、虹ムラ抑制等)を長期に渡って維持し得る点で好ましい。なお、「虹ムラ」とは、延伸プラスチックフィルム等の複屈折体により、偏光子を通過した直線偏光の偏光状態が乱れることを原因として生じる、虹模様のムラのこと意味する。
上述した傷は、主として、低屈折率層に含まれる中空粒子の一部分が欠けたり、中空粒子が脱落したりすることによって発生する傾向がある。この原因として、低屈折率層の表面に形成された中空粒子に起因する凹凸が大きいことが考えられる。すなわち、固形物及び油分が付着した指で低屈折率層表面を擦ると、油分がバインダーとなり固形物が指に付着したまま、指が低屈折率層表面を移動する。このとき、低屈折率層表面の凹部に固形物の一部(例えば砂の尖った箇所)が入り込む現象、及び、凹部に入り込んだ固形物が指とともに凹部を抜けて凸部(中空粒子)を乗り越える現象が生じやすくなり、その際に凸部(中空粒子)に大きな力がかかるため、中空粒子が損傷したり脱落したりすると考えられる。また、凹部に位置する樹脂自体も固形物による摩擦で傷付き、樹脂の損傷により中空粒子がより脱落しやすくなったと考えられる。
低屈折率層の好適な実施形態では、低屈折率粒子として中空粒子と非中空粒子とを併用し、かつ、中空粒子と非中空粒子とを均一に分散することにより、オイルダスト耐性を良好にしやすくできる。
オイルダスト耐性を良好にするために、低屈折率粒子は、中空粒子及び非中空粒子を含むことが好ましい。
中空粒子及び非中空粒子の材質は、シリカ及びフッ化マグネシウム等の無機化合物、有機化合物のいずれであってもよいが、低屈折率化及び強度の観点からシリカが好ましい。以下、中空シリカ粒子及び非中空シリカ粒子を中心として説明する。
中空シリカ粒子とは、シリカからなる外殻層を有し、当該外殻層に囲まれた粒子内部が空洞であり、該空洞内部に空気を含む粒子をいう。中空シリカ粒子は、空気を含むことにより、シリカ本来の屈折率に比べて気体の占有率に比例して屈折率が低下する粒子である。非中空シリカ粒子とは、中空シリカ粒子のように内部が空洞となっていない粒子である。非中空シリカ粒子は、例えば中実のシリカ粒子である。
中空シリカ粒子及び非中空シリカ粒子の形状は、特に限定はなく、真球状、回転楕円体状、及び、球体に近似できる多面体形状等の略球状などであってもよい。なかでも、耐擦傷性を考慮すると、真球状、回転楕円体状または略球状であることが好ましい。
中空シリカ粒子は、内部に空気を含むことから、低屈折率層全体の屈折率を低下させる役割を果たす。空気の比率を高めた粒子径の大きい中空シリカ粒子を用いることにより、低屈折率層の屈折率をより低下させることができる。一方で、中空シリカ粒子は、機械的強度に劣る傾向がある。特に、空気の比率を高めた粒子径の大きい中空シリカ粒子を用いた場合、低屈折率層の耐擦傷性を低下させやすい傾向がある。
非中空シリカ粒子は、バインダー樹脂中に分散することにより、低屈折率層の耐擦傷性を向上させる役割を果たす。
中空シリカ粒子及び非中空シリカ粒子を高濃度でバインダー樹脂中に含有させつつ、粒子を樹脂内で膜厚方向に均一に分散させるには、中空シリカ粒子の間が近接し、更に、中空シリカ粒子の間に非中空粒子が入り込めるように、中空シリカ粒子の平均粒子径及び非中空シリカ粒子の平均粒子径を設定することが好ましい。具体的に、中空シリカ粒子の平均粒子径に対する非中空シリカ粒子の平均粒子径の比(非中空シリカ粒子の平均粒子径/中空シリカ粒子の平均粒子径)は、0.29以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。また、該平均粒子径の比は、0.05以上であることが好ましい。光学的特性および機械的強度を考慮すると、中空シリカ粒子の平均粒子径は、50nm以上100nm以下であることが好ましく、60nm以上80nm以下であることがより好ましい。また、非中空シリカ粒子の凝集を防止しつつ分散性を考慮すると、非中空シリカ粒子の平均粒子径は、5nm以上20nm以下であることが好ましく、10nm以上15nm以下であることがより好ましい。
中空シリカ粒子及び非中空シリカ粒子は、表面がシランカップリング剤で被覆されていることが好ましい。(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を有するシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
シリカ粒子にシランカップリング剤による表面処理を施すことにより、シリカ粒子とバインダー樹脂との親和性が向上し、シリカ粒子の凝集が生じにくくなるため、シリカ粒子の分散が均一となりやすい。シランカップリング剤は汎用のものを用いることができる。
中空シリカ粒子の含有量が多くなるほど、バインダー樹脂中の中空シリカ粒子の充填率が高くなり、低屈折率層の屈折率が低下する。このため、中空シリカ粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して100質量部以上であることが好ましく、150質量部以上であることがより好ましい。
一方で、バインダー樹脂に対する中空シリカ粒子の含有量が多すぎると、バインダー樹脂から露出する中空シリカ粒子が増加する上、粒子間を結合するバインダー樹脂が少なくなる。このため、中空シリカ粒子が損傷したり、脱落したりしやすくなって、低屈折率層の耐擦傷性等の機械的強度が低下する傾向がある。このため、中空シリカ粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して400質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
非中空シリカ粒子の含有量が少ないと、低屈折率層の表面に非中空シリカ粒子が存在していても硬度上昇に影響を及ぼさないことがある。また、非中空シリカ粒子を多量に含有すると、バインダー樹脂の重合による収縮ムラの影響を小さくし、樹脂硬化後に低屈折率層表面に発生する凹凸を小さくすることができる。このため、非中空シリカ粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して90質量部以上であることが好ましく、100質量部以上であることがより好ましい。
一方で、非中空シリカ粒子の含有量が多すぎると、非中空シリカが凝集しやすくなり、バインダー樹脂の収縮ムラが生じ、表面の凹凸が大きくなる。このため、非中空シリカ粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましい。
上記の割合でバインダー樹脂中に中空シリカ粒子及び非中空シリカ粒子を含有させることにより、低屈折率層のバリア性を向上させることができる。これは、シリカ粒子が高充填率で均一に分散されていることにより、ガス等の透過が阻害されているためと推測される。
また、日焼け止め及びハンドクリーム等の各種の化粧品には、揮発性の低い低分子ポリマーが含まれている場合がある。低屈折率層のバリア性を良好にすることにより、低分子ポリマーが低屈折率層の塗膜内部に浸透することを抑制でき、低分子ポリマーが塗膜に長期残存することによる不具合(例えば外観異常)を抑制することができる。
低屈折率層のバインダー樹脂は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。低屈折率層の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物は、汎用の材料を用いることができ、例えば、ハードコート層で例示したラジカル重合性樹脂が挙げられる。
なお、ラジカル重合性化合物に関して、エチレン性不飽和結合基を4つ以上有する(メタ)アクリレート系化合物のことを「多官能性(メタ)アクリレート系化合物」、エチレン性不飽和結合基を2~3つ有する(メタ)アクリレート系化合物のことを「低官能性(メタ)アクリレート系化合物」と定義した際に、ラジカル重合性化合物中の低官能(メタ)アクリレート系化合物の割合は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。低官能(メタ)アクリレート系化合物は、硬化時の収縮ムラを抑制して低屈折率層表面の凹凸形状を平滑化しやすくできるとともに、低屈折率層内で低屈折率粒子(特にシリカ粒子)を均一に分散しやすい点で好ましい。
また、前述した硬化時の収縮ムラを抑制して低屈折率層表面の凹凸形状を平滑化しやすくするという観点からは、低官能(メタ)アクリレート系化合物は、2つのエチレン性不飽和結合基を有する(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましい。
また、低屈折率層を形成するラジカル重合性化合物は、架橋による収縮ムラを抑制して表面の平滑性を高める観点から、分子骨格の一部を変性しているものでも良い。例えば、ラジカル重合性化合物として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされた(メタ)アクリレート系化合物も使用することができる。特に、低屈折率粒子(特にシリカ粒子)との親和性を高めて、低屈折率層内で低屈折率粒子(特にシリカ粒子)を均一に分散しやすくする観点から、ラジカル重合性化合物は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドで変性された(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
ラジカル重合性化合物中のアルキレンオキサイド変性の(メタ)アクリレート系化合物の割合は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。また、アルキレンオキサイド変性の(メタ)アクリレート系化合物は、低官能(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましく、2つのエチレン性不飽和結合基を有する(メタ)アクリレート系化合物であることがより好ましい。
低屈折率層中には、防汚性及び表面平滑性の観点からレベリング剤を含むことが好ましい。
レベリング剤は、フッ素系及びシリコーン系が挙げられるが、シリコーン系が好ましい。シリコーン系レベリング剤を含むことにより、低反射率層表面をより平滑にすることができる。更に、低反射率層表面の滑り性及び防汚性(指紋拭き取り性、純水及びヘキサデカンに対する大きな接触角)を良好にすることができる。
レベリング剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1~25質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、5~18質量部であることがさらに好ましい。レベリング剤の含有量を1質量部以上とすることにより、防汚性等の諸性能を付与しやすくできる。また、レベリング剤の含有量を25質量部以下とすることにより、耐擦傷性の低下を抑制できる。
低屈折率層は、優れた表面耐性を得る観点から、最大高さ粗さRzが110nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、90nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがより好ましい。なお、ブロッキング抑制の観点から、Rzは20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
また、Rz/Ra(Raは算術平均粗さ)が22.0以下であることが好ましく、17.0以下であることがより好ましく、12.0以下であることがより好ましく、10.0以下であることがより好ましい。Rz/Raを前記範囲とすることは、Rzが90~110nm程度と大きい場合に特に有効である。
本明細書においてRa及びRzは、走査プローブ顕微鏡SPM-9600アップグレードキット取扱説明書(SPM-9600 2016年2月、P.194-195)に記載されている2次元粗さパラメータの粗さを3次元に拡張したものである。Ra及びRzは、以下のように定義される。
(算術平均粗さRa)
粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ(L)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の式で求められる。
Figure 2022026335000002
(最大高さ粗さRz)
粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値。
Rzが小さいことは、微小領域における中空シリカ粒子に起因する凸部が小さいことを意味している。また、Rz/Raが小さいことは、微小領域におけるシリカ粒子に起因する凹凸が均一であり、凹凸の平均的な標高差に対して突出した凹凸を有さないことを意味している。なお、本発明ではRaの数値は特に限定されないが、Raは15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、6.5nm以下であることがよりさらに好ましい。
低屈折率層中の低屈折率粒子を均一に分散したり、低屈折率層の収縮ムラを抑制したりすることにより、上記のRz及びRz/Raの範囲を満たしやすくなる。
低屈折率層表面のRz及びRz/Raが上記範囲であることにより、固形物が低屈折率層表面の凸部(表面近傍に存在する中空シリカ粒子に起因)を乗り越える際の抵抗を小さくすることができる。このため、油分を伴う砂で荷重をかけながら擦っても、固形物が低屈折率層表面を滑らかに移動すると考えられる。また、凹部の硬度自体も上がっていると考えられる。この結果、中空シリカ粒子の破損や脱落が防止され、バインダー樹脂自体の損傷も防止されたと推測できる。
Rz及びRa等の表面粗さは、特に断りのない限り16箇所の測定値の最小値及び最大値を除外した14箇所の測定値の平均値を意味する。
本明細書において、上記16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から0.5cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。測定サンプルは、5cm×5cmとすることが好ましい。
低屈折率層は、低屈折率層を構成する各成分を溶解又は分散してなる低屈折率層形成塗布液を塗布、乾燥することにより形成することができる。通常、該塗布液中には、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能としたりするために溶剤を用いる。
溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、グリコールエーテル類(1-メトキシ-2-プロピルアセテート等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の揮発が速すぎる場合、低屈折率層形成用塗布液の乾燥時に溶剤が激しく対流する。このため、塗布液中のシリカ粒子が均一分散の状態であっても、乾燥時の溶剤の激しい対流によって均一分散の状態が崩れやすくなる。このため、溶剤としては、蒸発速度が遅いものを含むことが好ましい。具体的には、相対蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が70以下の溶剤を含むことが好ましく、30~60の溶剤を含むことがより好ましい。また、相対蒸発速度が70以下の溶剤は、全溶剤の10~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることが好ましい。
蒸発速度が遅い溶剤の相対蒸発速度の例を挙げると、イソブチルアルコールが64、1-ブタノールが47、1-メトキシ-2-プロピルアセテートが44、エチルセロソルブが38、シクロヘキサノンが32である。
なお、溶剤の残分(蒸発速度が遅い溶剤以外の溶剤)は、樹脂の溶解性に優れるものであることが好ましい。また、溶剤の残分は、相対蒸発速度が100以上のものが好ましい。
また、乾燥時の溶剤の対流を抑制しシリカ粒子の分散性を良好にするために、低屈折率層形成時の乾燥温度は、できる限り低い方が好ましい。乾燥温度は、溶剤の種類、シリカ粒子の分散性、生産速度等を考慮して適宜設定することができる。
-高屈折率層-
高屈折率層は、低屈折率層よりもハードコート層側に必要に応じて形成される。
高屈折率層は、屈折率が1.53~1.85が好ましく、1.54~1.80がより好ましく、1.55~1.75がより好ましく、1.56~1.70がより好ましい。
また、高屈折率層の厚みは、200nm以下が好ましく、50~180nmがより好ましく、70~150nmがさらに好ましい。
高屈折率層は、例えば、バインダー樹脂組成物及び高屈折率粒子を含む高屈折率層形成用塗布液から形成することができる。言い換えると、高屈折率層は、例えば、バインダー樹脂及び高屈折率粒子を含む。
高屈折率層のバインダー樹脂は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。高屈折率層の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物は、汎用の材料を用いることができ、例えば、ハードコート層で例示したラジカル重合性樹脂が挙げられる。
高屈折率粒子としては、五酸化アンチモン(1.79)、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3~2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95~2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75~1.85)、酸化イットリウム(1.87)及び酸化ジルコニウム(2.10)等が挙げられる。
高屈折率粒子の平均粒子径は、2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。また、高屈折率粒子の平均粒子径は、白化抑制及び透明性の観点から、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、80nm以下がより好ましく、60nm以下がより好ましく、30nm以下がより好ましい。高屈折率粒子の平均粒子径が小さいほど透明性が良好であり、特に、60nm以下とすることにより透明性を極めて良好にすることができる。
高屈折率粒子又は低屈折率粒子の平均粒子径は、以下の(y1)~(y3)の作業により算出できる。
(y1)高屈折率層又は低屈折率層の断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
(y2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。粒子が凝集している場合、凝集した粒子を一個の粒子とみなして測定する。
(y3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を、高屈折率粒子又は低屈折率粒子の平均粒子径とする。
低屈折率層及び高屈折率層等の反射防止層は、上述したように紫外線吸収剤を含有していてもよい。
また、反射防止層は、本発明の効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤及びレベリング剤等が挙げられる。
《接着層》
実施形態1の光学積層体は、偏光子及び表示素子等に貼り合わせる観点から、基材層のハードコート層とは反対側に接着層を有していてもよい。
以下、接着層に関しては、特に断りがない限り、実施形態1及び実施形態2に共通の記載とする。
接着層は、感圧接着層(いわゆる「粘着層」)であってもよいし、感熱接着層(いわゆる「ヒートシール層」)であってもよいが、感圧接着層(粘着層)が好ましい。
接着層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシリコーン系、メラミン系、アミド系、イミド系、カーボネート系樹脂、等の汎用の樹脂から形成することができる。
接着層は、光学特性の観点から、いわゆる透明光学粘着層(OCA)であることが好ましい。透明光学粘着層は、光学特性、耐光性、耐候性、耐熱性及び透明性の観点から、アクリル系樹脂から構成することが好ましい。
接着層は、接着力を経時的に維持しやすくする観点から、染料を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、接着層の全固形分の0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
接着層が染料を実質的に含有しないことは、例えば、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)を測定することにより確認できる。
接着層の厚みは、1~100μmであることが好ましく、5~50μmであることがより好ましい。
<諸物性>
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、所定の波長域に吸収ピーク波長を有することが好ましい。
例えば、実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、波長470~510nmの間(以下、「波長域A」という場合がある。)、及び、波長570~650nmの間(以下、「波長域B」という場合がある。)の少なくとも何れかに吸収ピーク波長を有することが好ましく、波長域A及び波長域Bの両方に吸収ピーク波長を有することがより好ましい。当該構成とすることにより、画像表示装置の色純度を高めやすくできる。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、波長域A及び波長域B以外の波長域に吸収ピーク波長を有していてもよい。
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、波長域Aの吸収ピーク波長の分光透過率が15%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましい。また、光学積層体は、波長域Bの吸収ピーク波長の分光透過率が15%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましい。
実施形態1及び実施形態2の光学積層体が、波長470~510nmの間(波長域A)に吸収ピーク波長を有する場合、光学積層体の透過光のL表色系のa値及びb値は、a値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましく、b値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましい。
また、実施形態1及び実施形態2の光学積層体が、波長570~650nmの間(波長域B)に吸収ピーク波長を有する場合、光学積層体の透過光のL表色系のa値及びb値は、a値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましく、b値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましい。
また、実施形態1及び実施形態2の光学積層体が、波長域A及び波長域Bに吸収ピーク波長を有する場合、光学積層体の透過光のL表色系のa値及びb値は、a値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましく、b値が-15.0~5.0であることが好ましく、-13.0~3.0であることがより好ましい。
本明細書において、L表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)により規格化されたL表色系に基づくものであり、JIS Z8781-4:2013において採用されている。
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、画像表示装置の色純度を高める観点から、下記式(i)で示される、分光透過率が50%の波長幅Aが150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることがよりさらに好ましい。なお、波長幅Aが狭すぎても波長カット機能が不十分となるため、波長幅Aは5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。図6の場合、符号aで示す波長幅が、下記式(i)の波長幅Aに相当する。
<分光透過率が50%の波長幅A>
[波長域Aの吸収ピーク波長よりも大きな波長であって、分光透過率が50%以下を示す最も小さい波長]-[波長域Aの吸収ピーク波長よりも小さな波長であって、分光透過率が50%以下を示す最も大きい波長] (i)
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、画像表示装置の色純度を高める観点から、下記式(ii)で示される、分光透過率が50%の波長幅Bが150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。なお、波長幅Bが狭すぎても波長カット機能が不十分となるため、波長幅Bは5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。図6の場合、符号bで示す波長幅が、下記式(ii)の波長幅Aに相当する。
<分光透過率が50%の波長幅B>
[波長域Bの吸収ピーク波長よりも大きな波長であって、分光透過率が50%以下を示す最も小さい波長]-[波長域Bの吸収ピーク波長よりも小さな波長であって、分光透過率が50%以下を示す最も大きい波長] (ii)
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、波長460~495nm(青の波長域)の分光透過率の平均、波長500~550nm(緑の波長域)の分光透過率の平均、波長620~700nm(赤の波長域)の分光透過率の平均が、それぞれ70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、全光線透過率、及び、後述するヘイズを測定する際の光学積層体への光入射面は、基材層を基準としてハードコート層を有する側とは反対側とする。
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、JIS K7136:2000のヘイズが0.1~10%であることが好ましく、0.1~7%であることがより好ましく、0.1~5%であることがさらに好ましい。
実施形態1及び実施形態2において、基材層を基準として、ハードコート層を有する側の光学積層体の表面形状は略平滑であることが好ましい。略平滑とは、カットオフ値0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さがが0.05μm以下であることを意味し、好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01μm以下である。
本明細書において、上述した諸物性は、16箇所の測定値の最小値及び最大値を除外した14箇所の測定値の平均値を意味する。
本明細書において、16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
<層構成の具体例>
下記A1~A20は、実施形態1の光学積層体の層構成の例である。
下記A1~A20において、外層側は左側であり、「/」は層の界面を示す。また、実施形態1の光学積層体の層構成として、下記A1~A20の内層側に、さらに接着層を有する層構成も挙げられる。また、下記A11、A12、A16及びA17において、ハードコート層が紫外線吸収剤を含まず、樹脂層1が紫外線吸収剤を含む構成も挙げられる。
A1:紫外線吸収剤を含むハードコート層/基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A2:紫外線吸収剤を含むハードコート層/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A3:ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A4:ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A5:ハードコート層/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有し、かつ、ハードコート層側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)
A6:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A7:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A8:反射防止層/ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A9:反射防止層/ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A10:反射防止層/ハードコート層/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有し、かつ、ハードコート層側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)
A11:紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A12:紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A13:ハードコート層/樹脂層1/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A14:ハードコート層/樹脂層1/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A15:ハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有し、かつ、ハードコート層側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)
A16:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A17:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A18:反射防止層/ハードコート層/樹脂層1/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層側から浸透してなる染料を含有)
A19:反射防止層/ハードコート層/樹脂層1/紫外線吸収剤を含む基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有)
A20:反射防止層/ハードコート層/樹脂層1/基材層(ハードコート層とは反対側から浸透してなる染料を含有し、かつ、ハードコート層側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)
<大きさ、形状等>
実施形態1及び実施形態2の光学積層体は、所定の大きさにカットした枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。また、枚葉の大きさは特に限定されないが、最大径が2~500インチ程度である。「最大径」とは、光学積層体の任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、光学積層体が長方形の場合は、該領域の対角線が最大径となる。また、光学積層体が円形の場合は、直径が最大径となる。本発明の光学積層体は、最大径が1000mm以上の場合に、周辺のインテリアとの調和等の意匠性の観点でより顕著な効果を発揮できる点で好ましい。光学積層体の最大径が1300mm以上であることがより好ましい。
ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は500~3000mm、長さは500~5000m程度である。ロール状の形態の光学積層体は、画像表示装置等の大きさに合わせて、枚葉状にカットして用いることができる。カットする際、物性が安定しないロール端部は除外することが好ましい。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。より具体的には、光学積層体が四角形状である場合には、縦横比は表示画面として問題がなければ特に限定されない。例えば、横:縦=1:1、4:3、16:10、16:9、2:1等が挙げられるが、デザイン性に富む車載用途やデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない。
<用途>
実施形態1の光学積層体及び後述する実施形態2の光学積層体は、例えば、有機EL表示装置、液晶表示装置及びマイクロLED表示装置等の画像表示装置を構成する部材として好適に使用することができる。なお、画像表示装置は、テレビ、PCモニター、携帯型情報端末、ウェアラブル情報端末及びVRゴーグル等が挙げられる。また、実施形態1の光学積層体及び後述する実施形態2の光学積層体は、光透過性を有する板及び成形体等に貼り合わせて用いることもできる。光透過性を有する板及び成形体としては、ショーウインドウ、ショーケース、フェイスシールド及び遮蔽板等が挙げられる。
-実施形態2の光学積層体-
実施形態2の光学積層体は、外層側から、ハードコート層及び基材層をこの順に有してなり、下記(2)の構成を有するものである。
(2)前記光学積層体が、ハードコート層及び基材層以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、前記バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記樹脂層2及び前記樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
実施形態2では、ハードコート層及び基材層以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、かつ、前記バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂であることを要する。
樹脂層2のバインダー樹脂がラジカル重合性樹脂である場合、当該ラジカル重合性樹脂から経時的に生じるラジカルによって、染料2が劣化してしまう。
また、樹脂層2の厚みが5.0μmを超える場合、光学積層体の表面硬度が不十分となり、光学積層体の耐擦傷性を良好にすることができない。
さらに、実施形態2では、樹脂層2及び樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含むことを要する。当該構成を有さないと、樹脂層2中の染料2が経時的に劣化してしまう。
図3~4は、実施形態2の光学積層体(100)の実施の形態を示す断面図である。
図3~4の光学積層体(100)は、外層側から、ハードコート層(30)及び基材層(10)をこの順に有している。
また、図3~4の光学積層体(100)は、ハードコート層(30)及び基材層(10)以外の層として、染料2(82)を含む樹脂層2(22)を有している。
さらに、図3の光学積層体(100)は、樹脂層2よりも外層側に位置する基材層(10)中に、紫外線吸収剤(70)を含んでいる。また、図4の光学積層体(100)は、樹脂層2よりも外層側に位置するハードコート層(30)中に、紫外線吸収剤(70)を含んでいる。また、図4の光学積層体(100)は、ハードコート層(30)と樹脂層2(22)との間に、樹脂層1(21)を有している。
なお、実施形態2の光学積層体は、図1~2の構成に限定されない。例えば、実施形態2の光学積層体は、図3の構成において、ハードコート層(30)中に紫外線吸収剤(70)を含んでいてもよい。また、実施形態2の光学積層体は、図4の構成において、樹脂層1(21)を有さず、ハードコート層(30)と樹脂層2(22)とが接する構成であってもよい。また、また、実施形態2の光学積層体は、図3~4の積層構成とは異なる積層構成であってもよい。
<樹脂層2>
樹脂層2は、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の層である。また、樹脂層2のバインダー樹脂は非ラジカル重合性樹脂である。
樹脂層2は、光学積層体の耐擦傷性を良好にする観点から、ハードコート層よりも内層側に位置することが好ましく(図3及び図4)、基材層のハードコート層とは反対側に位置することがより好ましい(図4)。
《染料2》
実施形態2の樹脂層2中に含まれる染料2としては、まず、実施形態1で例示した染料と同様のもの(例えば、ポルフィリン系、スクアリリウム系等の有機系色素)が挙げられる。中でも、ポルフィリン系の有機系色素が好ましく、テトラアザポルフィリン系の有機系色素がより好ましい。
実施形態2の染料2は、透光性の被膜に染料が内包されてなるカプセル化染料であってもよい。染料2としてカプセル化染料を用いることにより、染料2の劣化をより抑制しやすくできる。また、カプセル化染料は、光学積層体の表面に凹凸形状を付与することによる防眩効果も期待できる点で好ましい。
カプセル化染料の透光性の被膜は、シリカ及びアルミナ等の無機酸化物であることが好ましく、シリカであることがより好ましい。
無機酸化物の被膜は、紫外線を吸収しやすい点で好ましく、さらには、バインダー樹脂との屈折率差により内部散乱性を付与できる点で好ましい。
カプセル化染料の平均粒子径は、0.01~5μmであることが好ましい。なお、上述した防眩性又は内部散乱性を付与する観点からは、カプセル化染料の平均粒子径は、0.5~5μmであることが好ましい。
染料の含有量は、光学積層体の単位面積当たりに換算して、0.001~0.500g/mであることが好ましく、0.001~0.150g/mであることがより好ましい。
実施形態2において、染料2の含有量は、樹脂層2の厚みにより異なるため一概にはいえないが、バインダー樹脂100質量部に対して0.01~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
実施形態2おいて、染料は、樹脂層2からのブリードを抑制しやすくする観点から、分子量が400超であることが好ましく、1,000超であることがより好ましい。なお、染料2の分子量の上限は特に限定されないが、通常は2000以下である。
《バインダー樹脂》
実施形態2の樹脂層2のバインダー樹脂は、非ラジカル重合性樹脂であることを要する。
当該非ラジカル重合性樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらの中でも、基材層及びハードコート層等との密着性の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
非ラジカル重合性樹脂としての熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂の中でもポリメチルメタクリレート(PMMA)が好適である。
また、熱可塑性樹脂は、GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が5千~5百万であることが好ましく、1万~百万であることがより好ましい。
非ラジカル重合性樹脂としての熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂を含む組成物の硬化物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤が添加される。
《厚み》
樹脂層2の厚みは5.0μm以下であることを要する。
上述したように、樹脂層2の厚みが5.0μmを超える場合、光学積層体の表面硬度が不十分となり、光学積層体の耐擦傷性を良好にすることができない。樹脂層2の厚みは、4.5μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましい。
樹脂層2の厚みが薄すぎると、染料による作用を発揮しにくくなる。このため、樹脂層2の厚みは1.0μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましい。
樹脂層2は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。
また、樹脂層2は、本発明の効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、屈折率調整剤、防眩剤、防汚剤、帯電防止剤及びレベリング剤等が挙げられる。
樹脂層2は、いわゆる「粘着層」ではないことが好ましい。粘着層に染料を含有している場合、粘着力が経時的に低下し、画像表示装置内で剥離してしまうなどの問題を生じることがある。
なお、本明細書では、JIS Z0237:2009の傾斜式ボールタック試験において、「ボールナンバー:No.1」、「傾斜角:20°」の条件で、測定部内にボールが5秒以上停止しないものを、「粘着層に該当しない層」であるとみなす。
<紫外線吸収剤を含む層>
実施形態2の光学積層体は、樹脂層2及び樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含むことを要する。
実施形態2では、樹脂層2のみに紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、樹脂層2よりも外層側に位置する層のみに紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、両者に紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
染料の劣化をより抑制する観点からは、樹脂層2よりも外層側に位置する層に紫外線吸収剤を含むことが好ましい。樹脂層2よりも外層側に位置する層は、例えば、基材層、ハードコート層、樹脂層1及び反射防止層が挙げられる。
実施形態2の紫外線吸収剤としては、実施形態1で例示したものと同様のものが挙げられる。
紫外線吸収剤を含む層が基材層の場合の紫外線吸収剤の好適な含有量は、実施形態1で例示したとおりである。また、紫外線吸収剤を含む層がハードコート層の場合の紫外線吸収剤の好適な含有量は、実施形態1で例示したとおりである。
実施形態2において、樹脂層2中に紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、樹脂層2のバインダー樹脂100質量部に対して0.01~30質量部が好ましく、0.01~15質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましい。
<基材層>
実施形態2において、基材層としては、プラスチックフィルム及びガラスが挙げられる。
プラスチックフィルムは、実施形態1で例示したものが挙げられ、中でもアクリルフィルム又はトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。なお、実施形態2の基材層としてプラスチックフィルムを用いる場合、プラスチックフィルムは浸透染料を含んでいてもよい。
ガラスは、ガラスは、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス及び石英ガラス等が挙げられる。
基材層が紫外線吸収剤を含む場合、上述したように、当該紫外線吸収剤は、基材層に浸透させてなるものであってもよい
実施形態2において、基材層がプラスチックフィルムの場合、厚みは、下限は好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、上限は好ましくは300μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは70μm以下、さらに好ましくは45μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
また、実施形態2において、基材層がガラスの場合、厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.02~3mmであることがより好ましく、0.03~1mmであることがさらに好ましい。
<ハードコート層>
実施形態2のハードコート層の実施形態は、上述した通りである。
<その他の層>
実施形態2の光学積層体は、基材層、ハードコート層及び樹脂層2以外の層(その他の層)を有していてもよい。その他の層としては、例えば、樹脂層1、反射防止層及び接着層が挙げられる。
実施形態2の樹脂層1及び反射防止層の実施形態は、上述した通りである。
《接着層》
実施形態2の光学積層体は、偏光子及び表示素子等に貼り合わせる観点から、基材層のハードコート層とは反対側に接着層を有していてもよい。なお、基材層のハードコート層とは反対側にさらに樹脂層2を有する場合、外層側から、ハードコート層、基材層、樹脂層2、接着層の順であることが好ましい。
実施形態2の接着層の実施形態は、上述した通りである。
<層構成の具体例>
下記B1~B10は、実施形態2の光学積層体の層構成の例である。
下記B1~B10において、外層側は左側であり、「/」は層の界面を示す。また、実施形態2の光学積層体の層構成として、下記B1~B10の内層側に、さらに接着層を有する層構成も挙げられる。
B1:ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層/樹脂層2
B2:紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層2/基材層
B3:ハードコート層/基材層(ハードコート層側又はハードコート層とは反対側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)/樹脂層2
B4:反射防止層/ハードコート層/紫外線吸収剤を含む基材層/樹脂層2
B5:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層2/基材層
B6:反射防止層/ハードコート層/基材層(ハードコート層側又はハードコート層とは反対側から浸透してなる紫外線吸収剤を含有)/樹脂層2
B7:紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/樹脂層2/基材層
B8:反射防止層/紫外線吸収剤を含むハードコート層/樹脂層1/樹脂層2/基材層
B9:ハードコート層/紫外線吸収剤を含む樹脂層1/樹脂層2/基材層
B10:反射防止層/ハードコート層/紫外線吸収剤を含む樹脂層1/樹脂層2/基材層
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置されてなる透明保護板Aと、前記偏光子の他方の側に配置されてなる透明保護板Bとを有してなり、前記透明保護板A及び前記透明保護板Bの少なくとも一方が、上述した本発明の光学積層体であり、前記ハードコート層側の面が前記偏光子と反対側を向くように前記光学積層体が配置されてなる本発明の光学積層体と、他の光学部材とを積層してなるものである。
<偏光子>
偏光子としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等のシート型偏光子、平行に並べられた多数の金属ワイヤからなるワイヤーグリッド型偏光子、リオトロピック液晶や二色性ゲスト-ホスト材料を塗布した塗布型偏光子、多層薄膜型偏光子等が挙げられる。なお、これらの偏光子は、透過しない偏光成分を反射する機能を備えた反射型偏光子であってもよい。
<透明保護板>
偏光子の一方の側には透明保護板A、他方の側には透明保護板Bが配置される。
透明保護板A及び透明保護板Bとしては、プラスチックフィルム及びガラス等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム及びアクリルフィルムが挙げられ、機械的強度の観点から、これらの延伸フィルムが好ましい。ガラスは、アルカリガラス、窒化ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸塩ガラス及び鉛ガラス等が挙げられる。また、偏光子を保護する透明保護板としてのガラスは、画像表示装置の他の部材と兼用することが好ましい。例えば、液晶表示素子のガラス基板と、偏光子を保護する透明保護板とを兼用することが好ましい。
なお、偏光子と透明保護板とは、接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。接着剤は汎用の接着剤を用いることができ、PVA系接着剤が好ましい。
本発明の偏光板は、透明保護板A及び透明保護板Bの両方が上述した本発明の光学積層体であってもよいが、透明保護板A及び透明保護板Bの一方が上述した本発明の光学積層体であることが好ましい。また、偏光子の光出射面側の透明保護板が上述した本発明の光学積層体であることが好ましい。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置120は、表示素子110と、上述した本発明の光学積層体100又は上述した本発明の偏光板とを有するものである(図5)。
光学積層体100又は偏光板は、通常は、図5に示すように、表示素子110の光出射面側に配置される。なお、表示素子が光透過性を有する場合には、表示素子の光出射面とは反対側に光学積層体100又は偏光板を配置してもよい。例えば、表示素子が液晶表示素子の場合、液晶表示素子とバックライトとの間に光学積層体又は偏光板を配置してもよい。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子(有機EL表示素子、無機EL表示素子)、プラズマ表示素子等が挙げられ、さらには、マイクロLED表示素子等のLED表示素子が挙げられる。これら表示素子は、表示素子の内部にタッチパネル機能を有していてもよい。
液晶表示素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子である場合、バックライトが必要である。バックライトは、液晶表示素子の光出射面とは反対側に配置される。
また、本発明の画像表示装置は、オンセル方式又はアウトセル方式のタッチパネル付きの画像表示装置であってもよい。タッチパネル付きの画像表示装置の場合、本発明の光学積層体をタッチパネルの構成部材に組み込んでもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
1.測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の光学積層体の測定及び評価を行った。各測定及び評価時の雰囲気は、特に言及しない限り、温度23±5℃、湿度40~65%とした。また、各測定及び評価の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1-1.染料の劣化
実施例及び比較例の光学積層体を10cm四方に切断したサンプルを作製した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。分光光度計(島津製作所製、商品名:UV-2450)を用いて、該サンプルの耐久試験前の分光透過率を測定した。次いで、該サンプルに対して下記の耐久試験を実施した後の分光透過率を測定した。
耐久試験前の380~780nmの分光透過率の平均、耐久試験後の380~780nmの分光透過率の平均、及びこれらの差分(%)を表1に示す。差分が5.0%以下であれば染料の劣化が抑制できているといえる。
分光透過率の測定条件は、2度視野として、光源はD65を用いた。測定波長間隔は0.5nmとした。光入射面はハードコート層とは反対側(セパレータ側)の面とした。
<耐久試験>
耐候性試験機(スガ試験機社製、製品名「紫外線フェードメーターU48」、光源:カーボンアークランプ)を用いて、光学積層体に50時間紫外線を照射した。
2.光学積層体の作製
[実施形態1の実施例1]
基材層(厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム、富士フイルム社製の商品名「TG60UL」)上に、下記処方の染料浸透用インキを塗布、乾燥し、基材層内に染料を浸透させた。
次いで、基材層の染料浸透用インキを塗布した面とは反対側の面に、下記処方のハードコート層用インキ1を塗布(付着量:5.0g/m)、乾燥、紫外線照射して、厚み10μmのハードコート層を形成し、実施例1の光学積層体を得た。実施形態1の実施例1の光学積層体は、外層側から、ハードコート層、基材層(基材層のハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含む)をこの順に有している。
<染料浸透用インキ>
・染料材料 1.0質量部
(山田化学製、商品名:FDG-007、テトラアザポルフィリン系金属化合物(有機染料)、極大吸収波長:594nm)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 60質量部
・溶剤2(メチルイソブチルケトン) 40質量部
<ハードコート層用インキ1>
・ラジカル重合性化合物 92.0質量部
(新中村化学工業(株) 製、商品名:ATM-4PL)
・光ラジカル重合開始剤 5.0質量部
(IGM Resins社製、商品名「Omnirad 189」)
・紫外線吸収剤 3.0質量部
(BASF社製、商品名:Tinuvin477)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 60質量部
・溶剤2(メチルイソブチルケトン) 40質量部
[実施形態2の実施例1]
基材層(厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム、富士フイルム社製の商品名「TG60UL」)上に、下記処方の樹脂層2用インキを塗布、乾燥し、厚み5.0μmの樹脂層2を形成した。
次いで、基材層の樹脂層2とは反対側の面上に、上記処方のハードコート層用インキ1を塗布、乾燥、紫外線照射して、厚み5.0μmのハードコート層を形成し、実施形態2の実施例1の光学積層体を得た。実施形態2の実施例1の光学積層体は、染料2を含む樹脂層2、基材層、ハードコート層(樹脂層2と逆側)をこの順に有している。
<樹脂層2用インキ>
・非ラジカル重合性の熱可塑性樹脂 99.4質量部
(東洋紡社製、 バイロン 24SS)
・染料材料 0.6質量部
(山田化学製、商品名:FDG-007、極大吸収波長:594nm)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 50質量部
・溶剤2(メチルイソブチルケトン) 50質量部
[比較例1]
基材層(厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム、富士フイルム社製の商品名「TG60UL」)上に、下記処方のハードコート層用インキ2を塗布、乾燥、紫外線照射して、基材層上に染料を含むハードコート層を形成し、比較例1の光学積層体を得た。比較例1の光学積層体は、基材、染料を含むハードコート層をこの順に有している。
<ハードコート層用インキ2>
・ラジカル重合性化合物 91.0質量部
(新中村化学工業(株)製、商品名:ATM-4PL)
・光ラジカル重合開始剤 5.0質量部
(IGM Resins社製、商品名「Omnirad 189」)
・紫外線吸収剤 2.4質量部
(BASF社製、商品名:Tinuvin477)
・染料材料 0.6質量部
(山田化学製、商品名:FDG-007、極大吸収波長:594nm)
・溶剤1 60質量部
(メチルイソブチルケトン)
・溶剤2 40質量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
Figure 2022026335000003
表1の結果から、実施例の光学積層体は、染料の劣化を抑制することができるものであり、長期に渡って視認性を維持し得ることが確認できる。
10:基材層
11:基材層の染料非浸透領域
12:基材層の染料浸透領域
21:樹脂層1
22:樹脂層2
30:ハードコート層
70:紫外線吸収剤
81:染料1
82:染料2
100:光学積層体
110:表示素子
120:画像表示装置

Claims (8)

  1. 外層側から、ハードコート層及び基材層をこの順に有する光学積層体であって、下記(1)及び(2)の少なくとも何れかの構成を有する、光学積層体。
    (1)前記基材層中に、前記基材層の前記ハードコート層側の面又は前記基材層の前記ハードコート層とは反対側の面から浸透してなる染料1を含み、前記基材層を構成する樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記基材層及び前記基材層よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
    (2)前記光学積層体が、ハードコート層及び基材層以外の層として、染料2及びバインダー樹脂を含む厚み5.0μm以下の樹脂層2を有し、前記バインダー樹脂が非ラジカル重合性樹脂である。さらに、前記樹脂層2及び前記樹脂層2よりも外層側に位置する層から選ばれる少なくとも一以上の層に紫外線吸収剤を含む。
  2. 前記ハードコート層がラジカル重合性樹脂を含む、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記基材層が、アクリルフィルム又はトリアセチルセルロースフィルムである、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 前記樹脂層2が、バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物から選ばれる1種以上を含む、請求項1~3の何れかに記載の光学積層体。
  5. 波長470~510nmの間、及び、波長570~650nmの間の少なくとも何れかに吸収ピーク波長を有する、請求項1~4の何れかに記載の光学積層体。
  6. 前記染料1及び前記染料2が、テトラアザポルフィリン系の有機系色素である、請求項1~5の何れかに記載の光学積層体。
  7. 偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置されてなる透明保護板Aと、前記偏光子の他方の側に配置されてなる透明保護板Bとを有する偏光板であって、前記透明保護板A及び前記透明保護板Bの少なくとも一方が、請求項1~6の何れかに記載の光学積層体であり、前記ハードコート層側の面が前記偏光子と反対側を向くように前記光学積層体が配置されてなる、偏光板。
  8. 表示素子と、請求項1~6の何れかに記載の光学積層体又は請求項7に記載の偏光板とを有する、画像表示装置。
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