JP2022021583A - マグネトロン - Google Patents

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Abstract

【課題】マグネトロンのエンドハットの吊り構造に起因する不要モードを抑制する。【解決手段】円筒状のアノード2と、アノード2の内面に接合された複数のベーン3と、複数のベーン3に囲まれて配設された円筒状のカソード5と、カソード5内に装着されてカソード5を支持する管状のスリーブ6と、スリーブ6内に配設されてカソード5を加熱するヒータ7と、カソード5の端部側に配設されたエンドハット8と、を有し、エンドハット8は、円筒状に形成されて内径がスリーブ6の外径よりも大きいハット筒部81と、ハット筒部81のうちのカソード5側の端部から外側に延出するシールド部82と、を備え、ハット筒部81内にスリーブ6が挿入された状態でハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられ、隙間Gがハット筒部81の外側の空間と部分的に繋がるようにハット筒部81に穴9が設けられる。【選択図】図1

Description

この発明は、マグネトロンに関し、特に高出力のマイクロ波を発振するマグネトロンに関する。
マグネトロンは、図9に示すように、円筒状のアノード2の内面に複数のベーン3が配設され、ベーン3の内側にアノード2と同心のカソード5が配設されている。また、カソード5には、例えば酸化バリウムなどの電子放出物質が塗布、吹き付け、または含浸等され、ヒータ7で加熱することでカソード5の円筒状表面から電子(熱電子)が放出される。そして、対向して配置された一対のポールピース4の間の磁界と、アノード2とカソード5との間の高電圧印加による電界とで、カソード5から放出された電子を周回させ、ベーン3が形成する共振器に高周波電界を誘起、発振させて、高周波電力を出力するものである。
このようなマグネトロン1では、カソード5から放出された電子が、その電荷によってカソード5の軸方向にも力を受けるため、一部がベーン3に到達しないで軸方向に漏れようとする傾向が生じる。このため、電子が軸方向に漏れるのを防止する円盤状のエンドハット8(尚、エンドシールドも同義)が、カソード5の両側に設けられる(例えば、特許文献1参照)。このエンドハット8はベーン3の先端に近いため、これらエンドハット8とベーン3との間の電界強度が最も高くなり、エンドハット8の温度が上がると暗流(別言すると、電子放出)の原因ともなり、マグネトロン動作に悪影響を与える。さらに、エンドハット8は、通常、カソード5と接している(または、接近している)ため、その温度はカソード5の温度と同等にまで達する。そこで、カソード5をできる限り低い温度(具体的には、950~1050℃程度)で使用することで、エンドハット8の温度も低く保つことができ、マグネトロンの安定動作が図られる。
図9に示すように、エンドハット8の温度の低減を目的として、エンドハット8をスリーブ6から吊り下げる方法が知られている。エンドハット8は、通常、ヒータ7や電子のバックボンバードメント(即ち、カソード5から放出された電子が高周波電界からエネルギーを得てカソード5へと戻り、衝突する現象)によるカソード5の熱がスリーブ6を介して熱伝導されることにより、または、ヒータ7からの熱がスリーブ6を介して直接伝達されることにより、昇温する。この熱伝導を妨げるために、エンドハット8を吊り構造としてハット筒部81の熱伝達の経路を延長したり、ハット筒部81の厚さを薄くしたりすることによって熱抵抗を増大させて、熱伝導を妨げることによって温度低減を図ることが行われている。
特開2016-71999号公報
ところで、マグネトロンを高出力化する場合は、入力電力を大きくする必要がある。磁力一定の下では陽極電流を増加させれば比例して出力が増加するものの、カソード5の電子放出能力(具体的には、単位面積当たりの電子放出量)には限界があるため、陽極電流のみを増加させることによる高出力化には限界がある。そこで、磁力を大きくすることで陽極電圧を上げ、加えてカソード5の電子放出部面積を大きくすることで陽極電流を増加させることにより、マグネトロンをさらに高出力化することができる。
一方、マグネトロンを高出力化すると、バックボンバードメントのエネルギーも大きくなる。バックボンバードメントのエネルギーが大きくなると、カソード5は加熱され、その温度は1050℃を超えることもある。前述のとおり、通常はエンドハット8もカソード5の温度と同等の温度まで上昇するため、エンドハット8からの熱電子や2次電子の放出が増加し、暗流に加えてアーキングも誘発して、マグネトロンの動作を不安定にする、という問題がある。また、エンドハット8の昇温を抑制するために従来から用いられている、図9に示すようなエンドハット8をスリーブ6から吊り下げる方法では、マグネトロンの空胴共振器内に図9に示すような同軸構造を設けると、新たな共振モードを作り出してしまうことになる。このような共振モードを有すると、マグネトロンを動作させた時に共振モードによって不要な発振が起こり、不安定動作の原因になる、という問題がある。パルスで動作させる場合においては、特に、パルスの立上りや立下りで他モードに遷移して不安定発振を起こすことになる、という問題がある。
そこでこの発明は、マグネトロンのエンドハットの吊り構造に起因する不要モードを抑制することが可能なマグネトロンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、円筒状のアノードと、前記アノードの内面に接合された複数のベーンと、前記複数のベーンに囲まれて配設された円筒状のカソードと、前記カソード内に装着されて前記カソードを支持する管状のスリーブと、前記スリーブ内に配設されて前記カソードを加熱するヒータと、前記カソードの端部側に配設されたエンドハットと、を有し、前記エンドハットは、円筒状に形成されて内径が前記スリーブの外径よりも大きいハット筒部と、前記ハット筒部のうちの前記カソード側の端部から外側に延出するシールド部と、を備え、前記ハット筒部内に前記スリーブが挿入された状態で前記ハット筒部の内周面と前記スリーブの外周面との間に隙間が設けられ、前記隙間が前記ハット筒部の外側の空間と部分的に繋がるように前記ハット筒部に穴が設けられる、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマグネトロンにおいて、前記ハット筒部のうちの前記カソード側とは反対側の端部が周方向において複数箇所でスポット状に前記スリーブに接続される、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のマグネトロンにおいて、前記ハット筒部に設けられる前記穴が、複数である、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のマグネトロンにおいて、前記ハット筒部に設けられる前記穴の開口面積が、前記ハット筒部のうちの、前記ハット筒部の円筒軸心方向における中心位置よりも前記カソード側と比べて、前記カソード側とは反対側の方が大きい、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載のマグネトロンにおいて、前記ハット筒部に設けられる前記穴の幅が、前記カソード側と比べて、前記カソード側とは反対側の方が狭い、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、エンドハットのハット筒部の内周面とスリーブの外周面との間に隙間が設けられるため、ヒータによる熱やバックボンバードメントによる熱がエンドハットに伝導することを阻害することができ、エンドハットの昇温を抑制することが可能となる。加えて、スリーブとハット筒部の内周面との間に存在する同軸の空間による不要共振の発生を防止することができるため、エンドハットからの電子放出、放出電子によるアーキング、さらに同軸空間の不要共振に起因する不安定発振を抑制することが可能となり、高出力のマイクロ波を安定して発振することが可能となる。つまり、高出力であってもマグネトロンの安定した動作を確保することが可能となる。
請求項2ないし請求項5に記載の発明によれば、スリーブとハット筒部の内周面との間の同軸の空間による不要共振の発生を抑制したり、共振の強さであるQを低減したり、共振周波数をモーディングやアーキングが発生しにくい領域にずらしたりすることができ、エンドハットからの電子放出、放出電子によるアーキング、さらに同軸空間の不要共振に起因する不安定発振を一層的確に抑制することが可能となり、高出力のマイクロ波を一層確実に安定して発振することが可能となる。
この発明の第1実施例に係るマグネトロンの管球部の断面図(即ち、スリー ブの軸心方向断面図)である。 この発明の第1実施例に係るマグネトロンの特にエンドハットの構造を示す 側面図(即ち、スリーブの軸心方向面図)である。 この発明に係るマグネトロンの共振特性図である。 エンドハットの構造の例を示す図である。(A)はエンドハットの平面図( 即ち、スリーブの軸心方向直交面図)である。(B)はエンドハットのA- A断面図(即ち、スリーブの軸心方向断面図)である。 この発明の第2実施例に係るマグネトロンの特にエンドハットの構造を示す 側面図(即ち、スリーブの軸心方向面図)である。 この発明の第3実施例に係るマグネトロンの特にエンドハットの構造を示す 側面図(即ち、スリーブの軸心方向面図)である。 この発明の第4実施例に係るマグネトロンの特にエンドハットの構造を示す 側面図(即ち、スリーブの軸心方向面図)である。 第1実施例ないし第4実施例を組み合わせた実施例に係るマグネトロンの特 にエンドハットの構造を示す側面図(即ち、スリーブの軸心方向面図)であ る。 従来のマグネトロンの管球部の断面図(即ち、スリーブの軸心方向断面図) である。
以下、この発明を図示の実施例に基づいて説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係るマグネトロン1の概略構成を示す管球部の断面図である。このマグネトロン1は主としてエンドハット8が従来のマグネトロンと構成が異なり、従来のマグネトロンと同等の構成についての説明を省略するが、概略以下のような構成となっている。
すなわち、円筒状のアノード2の内面に複数のベーン3が配設され、アノード2の上下(即ち、円筒軸心方向)の両端にポールピース4がそれぞれ配設され、さらに、ベーン3の内側に円筒状のカソード5がアノード2と同心(即ち、各々の軸心位置が一致する)に配設されている。
ベーン3は、それぞれ、板状に形成され、一辺がアノード2の内周面に接合されたうえで、前記一辺と対向する辺がアノード2の軸心へと向けられて配設される。ベーン3の、前記一辺と対向する辺によって囲まれる円柱状の空間にカソード5が配設される。
カソード5には、この実施例では、電子放出物質である酸化バリウムなどが塗布され、加熱されることでカソード5から電子が放出される。カソード5内に、カソード5よりも長尺で管状のスリーブ6が装着されることで、カソード5が支持される。また、スリーブ6内に、カソード5を加熱するための螺旋コイル状のヒータ7が配設される。そして、対向する一対のポールピース4でカソード5の円筒軸心方向に磁力を与えつつ、アノード2とカソード5との間に高電圧を印加することで、カソード5から放出された電子を周回させ、ベーン3が形成する共振器に高周波電界を誘起、発振させて、高周波電力を出力する。
カソード5やヒータ7の配設関係などについて説明すると、図1に示すように、カソード5の円筒中空部に各々の軸心を一致させてスリーブ6が配置され、スリーブ6内にヒータ7が配設される。ヒータ7の一端側(図中上側)にはヒータ支持体71が接続され、このヒータ支持体71がスリーブ6の内面に固定される。また、ヒータ7の他端側(図中下側)には、図示しないヒータ端子が設けられたヒータリード72が電気的に接続される。
そして、この発明の第1実施例に係るマグネトロン1は、円筒状のアノード2と、アノード2の内面に接合された複数のベーン3と、複数のベーン3に囲まれて配設された円筒状のカソード5と、カソード5内に装着されてカソード5を支持する管状のスリーブ6と、スリーブ6内に配設されてカソード5を加熱するヒータ7と、カソード5の端部側に配設されたエンドハット8と、を有し、エンドハット8は、円筒状に形成されて内径がスリーブ6の外径よりも大きいハット筒部81と、ハット筒部81のうちのカソード5側の端部から外側に延出するシールド部82と、を備え、ハット筒部81内にスリーブ6が挿入された状態でハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられ、隙間Gがハット筒部81の外側の空間と部分的に繋がるようにハット筒部81に穴9が設けられる、ようにしている。
エンドハット8は、カソード5から放出された電子が円筒軸心方向にリークするのを防止するための部品であり、カソード5の円筒軸心方向における両側のそれぞれに、スリーブ6を挿入/挿通させて配設される。エンドハット8は、図2に示すように、円筒状のハット筒部81と、ハット筒部81の円筒軸心方向における一端から外側に延出するシールド部82とを備え、ハット筒部81とシールド部82とは一体的に形成される。
ハット筒部81の内径は、スリーブ6の外径よりも大きく設定され、ハット筒部81内にスリーブ6が挿入/挿通された状態で、ハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが形成される。隙間Gは、スリーブ6の外周面を全周にわたって取り囲んで、円筒状の空間として形成される
ハット筒部81の円筒軸心方向の長さは、加熱されるヒータ7やカソード5の表面で発生するバックボンバードメントによる熱の伝導によってエンドハット8が所定の温度以上に昇温しない長さに調節される。ハット筒部81の円筒軸心方向の長さは、具体的には、ハット筒部81のうちのカソード5側とは反対側の端部が、スリーブ6内のヒータ7から、円筒軸心方向において離れた位置へと至る寸法に調節される。
入力と反対側(図中上側)のエンドハット8は、ハット筒部81内にスリーブ6が挿入され、スリーブ6の上端の接続部83がロウ付けなどで接合されることで、ハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられた状態でスリーブ6に対して固定される。なお、図4に示す例では、ハット筒部81の厚さd3と接続部83の厚さd2とは同じに設定されている。
入力側(即ち、電力が供給される側;図中下側)のエンドハット8は、ハット筒部81内にスリーブ6が挿通され、スリーブ6の下端の接続部83がロウ付けなどで接合されることで、ハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられた状態でスリーブ6に対して固定される。
このように、接続部83のみがスリーブ6に接合されて、ハット筒部81のうちのカソード5側とは反対側の端部が周方向においてスリーブ6に接続される。
このような構成のマグネトロン1によれば、エンドハット8のハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられ、加えて、ハット筒部81のうちのカソード5側とは反対側の端部が、ハット筒部81の円筒軸心方向の長さの調節によってヒータ7から離れた位置においてスリーブ6に接続される。このため、ヒータ7による熱やバックボンバードメントによる熱がエンドハット8に伝わりにくく、エンドハット8の昇温が抑制される。シールド部82が加熱されたとしても、その熱が低温のハット筒部81に伝わるため、シールド部82を含むエンドハット8全体がカソード5の温度と同等の高温にまで上昇するのを抑制することができる。この結果、エンドハット8からの電子放出や放出電子に起因するアーキングを抑制することができ、高出力のマイクロ波を安定して発振することが可能となる。つまり、高出力であってもマグネトロン1の安定した動作を確保することが可能となる。
ここで、スリーブ6とハット筒部81とが同軸に配設されて隙間Gが形成される状態では、この隙間Gが共振特性を生み出す。例えば、スリーブ6の外径をφ14.5mmとするとともにハット筒部81の内径をφ15.2mmとした場合、周波数4~7GHzの強い共振を発生させ、この共振は同軸モードにより発生するため、寸法を変えたり、隙間Gに構造物を付加したりしても消し去ることが困難である。
これに対し、ハット筒部81に穴9を設けることにより、ハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間の隙間Gとしての空間がハット筒部81の外側の空間と部分的に繋がり(言い換えると、部分的に開放され)、不要なリアクタンスを持たずに不要共振の発生を抑えることができることを発明者は見出した。
上述の効果により、図3に示すように、発生する共振の周波数を低下させ、且つ、共振特性はブロードになって共振の強さであるQ(尚、「Q値」とも呼ばれる)を低下させ得る。これにより、不要な共振モードの発生を抑制することができる。したがって、マグネトロン内に同軸モードによる共振が発生しても、その共振での発振は発生しにくくなり、パルスで動作させた場合においても、立上りや立下りでそのモードの発振を起こすことがなくなる。これにより、パルス陽極電圧が立上りにおいて上昇しても不要共振による発振が起こらず、不要な陽極電流は流れずに、基本モードであるπモードでの発振が安定して開始される。また、立上りでのモード遷移や過渡的なインピーダンスの不整合が起こらないため、アーキングの発生も防止することが可能となる。
すなわち、隙間Gがスリーブ6およびハット筒部81と同軸の円筒状に全周にわたって存在すると、マグネトロン1の動作周波数周辺の周波数帯域で共振が発生し、動作が不安定となるおそれがあるのに対し、隙間Gが部分的に開放されているために、このような共振が発生せず、マグネトロン1の安定した動作を良好に確保することが可能となる。
図4は、エンドハット8の構造を示す図である。
シールド部82は、ハット筒部81の円筒軸心方向における一端から外側に延出するドーナツ盤状で、その外径は、カソード5からの電子が円筒軸心方向にリークするのを効果的に防止でき、且つ、ベーン3などに接近しすぎないように調節される。
ハット筒部81の円筒軸心方向における他端部の開口周縁には、内周面から円筒軸心位置へと向けて径方向に突出する複数の接続部83が、開口周縁に沿ってスポット的(別言すると、点在的)に形成される。複数の接続部83により、ハット筒部81の他端部が周方向において複数箇所でスポット状にスリーブ6に接続/接合される。なお、図4に示す例では4個の接続部83が形成されるようにしているが、接続部83の個数は、4個に限定されるものではなく、スリーブ6に対してエンドハット8を安定して固定することができるのであれば、3個以下でもよく、また、5個以上でもよい。
接続部83の突出量(即ち、突出の程度/寸法)と形成位置とは、スリーブ6が挿入/挿通されてスリーブ6の外周面と接続部83の先端とが当接した状態で、ハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが形成され、且つ、ハット筒部81とスリーブ6との各々の軸心位置が一致するように調節されて設定される。
このように接続部83を突出させて形成することにより、スリーブ6とエンドハット8とが限定的に接続することになるので、スリーブ6からの熱伝導を制限してハット筒部81の、延いてはエンドハット8の昇温を抑制することができるとともに、スリーブ6とハット筒部81との接合部において突出部以外の部分では隙間Gとしての空間が開放されることになり、これにより、隙間Gによって生じる共振の周波数を低下させ且つ共振Qを低下させることが可能となる。ハット筒部81に穴9を設けることに加えて、接続部83を突出させて形成することにより、隙間Gとしての空間が一層開放され、安定した発振の実現に寄与することができる。
図5は、この発明の第2実施例に係るマグネトロン1の特にエンドハット8の構造を示す図である。
発明者は、ハット筒部81に設ける穴9の形状と隙間Gで発生する共振の周波数やQとの間の関係(別言すると、法則性)を見出した。そのうちの一つが、カソード5の円筒軸心方向と直交する方向(言い換えると、円筒周方向に沿う方向)における穴9の幅が狭い方が好ましいということである。すなわち、円筒周方向に沿う方向における幅が大きい1個の穴9を形成するよりも、複数の穴9を形成する方が、特に前記幅が小さい複数の穴9を形成する方が有効である。したがって、穴9の個数は、1個に限定されるものではなく、マグネトロンが基本波を安定に発振する領域まで隙間Gの共振周波数を低減させ得るように複数個とすることにより、特に円筒周方向に沿う方向における幅が小さい複数個とすることにより、マグネトロンの安定発振を良好に実現することが可能となる。
図6は、この発明の第3実施例に係るマグネトロン1の特にエンドハット8の構造を示す図である。
この実施例も、ハット筒部81に設ける穴9の形状と隙間Gで発生する共振の周波数やQとの間の関係(別言すると、法則性)に基づき、穴9の開口面積(尚、複数の穴9の開口の合計面積の意味を含む)について、ハット筒部81のうちの、円筒軸心方向における中心位置Cよりもシールド部82側(別言すると、カソード5側)と比べて、シールド部82側とは反対側(別言すると、カソード5側とは反対側)の方を大きくすることが有効である結果を得た。これにより、マグネトロンの安定発振を良好に実現することが可能となる。
図7は、この発明の第4実施例に係るマグネトロン1の特にエンドハット8の構造を示す図である。
この実施例も、ハット筒部81に設ける穴9の形状と隙間Gで発生する共振の周波数やQとの間の関係(別言すると、法則性)に基づき、穴9の形状について、シールド部82側(別言すると、カソード5側)と比べて、シールド部82側とは反対側(別言すると、カソード5側とは反対側)の方を狭くすることが有効である結果を得た。図7に示す例では、穴9の、円筒周方向に沿う方向における幅について、シールド部82側とは反対側を円弧状にすることにより、シールド部82側と比べて狭くしている。これにより、マグネトロンの安定発振を良好に実現することが可能となる。
図8は、第1実施例ないし第4実施例の内容を組み合せた実施例に係るマグネトロン1の特にエンドハット8の構造を示す図である。
具体的には、カソード5の円筒軸心方向における両側のそれぞれに一対で配置されるエンドハット8のハット筒部81に設けられる穴9の形状は一対の各々で同じである必要は無く、また、穴9の個数も一対の各々で同じである必要は無い。スリーブ6は、軸心方向における一方は管球部内で終端し、他方は入力部の絶縁シールを通して管球部の外方まで延長される。したがって、高周波的な同軸のリアクタンスや位相が同じとならないため、同じ形状の穴9が隙間Gの共振の周波数やQを最も低減できることには必ずしもならず、第1実施例ないし第4実施例に関する形状の範囲で組み合せて穴9の最適な個数および形状が適用されるようにしても構わない。
このような構成のマグネトロン1によれば、エンドハット8のハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間に隙間Gが設けられるため、ヒータ7による熱やバックボンバードメントによる熱がエンドハット8に伝導することを阻害することができ、エンドハット8の昇温を抑制することが可能となる。加えて、スリーブ6とハット筒部81の内周面との間に存在する同軸の空間による不要共振の発生を防止することができるため、エンドハット8からの電子放出、放出電子によるアーキング、さらに同軸空間の不要共振に起因する不安定発振を抑制することが可能となり、高出力のマイクロ波を安定して発振することが可能となる。つまり、高出力であってもマグネトロン1の安定した動作を確保することが可能となる。
このような構成のマグネトロン1によれば、また、スリーブ6とハット筒部81の内周面との間の同軸の空間による不要共振の発生を抑制したり、共振の強さであるQを低減したり、共振周波数をモーディングやアーキングが発生しにくい領域にずらしたりすることができ、エンドハット8からの電子放出、放出電子によるアーキング、さらに同軸空間の不要共振に起因する不安定発振を一層的確に抑制することが可能となり、高出力のマイクロ波を一層確実に安定して発振することが可能となる。
以上、この発明の実施例について説明したが、具体的な構成は、上記の第1実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の第1実施例では、図1に示すマグネトロン1に対してこの発明が適用されるようにしているが、この発明が適用され得るマグネトロン1の具体的な構造は図1に示す例に限定されるものではない。この発明は、スリーブに対して同心の吊り構造でエンドハットが装着される構造を有するマグネトロンに対して適用され得る。
具体的には例えば、上記の第1実施例では複数の接続部83によってハット筒部81の端部が周方向において複数箇所でスポット状にスリーブ6に接続/接合されるようにしているが、このような構造はこの発明において必須の構成ではない。すなわち、ハット筒部81の端部の開口周縁の全周にわたって途切れることなく接続部83が形成されるようにしても、ハット筒部81の穴9によってハット筒部81の内周面とスリーブ6の外周面との間の隙間Gとしての空間がハット筒部81の外側の空間と繋がることによってこの発明の作用効果は発揮され得る。
この発明に係るマグネトロンによれば、高出力のマイクロ波を高い安定度で発振することができるので、例えば、特に高出力で高安定度を必要とする医療用や非破壊検査用Linacシステムに使用されるマイクロ波源として有用であり、また、大出力によって遠方の物標を高精度に探知するレーダーの分野において有用である。
1 マグネトロン
2 アノード
3 ベーン
4 ポールピース
5 カソード
6 スリーブ
7 ヒータ
71 ヒータ支持体
72 ヒータリード
8 エンドハット
81 ハット筒部
82 シールド部
83 接続部
C 中心位置
G 隙間
9 穴

Claims (5)

  1. 円筒状のアノードと、
    前記アノードの内面に接合された複数のベーンと、
    前記複数のベーンに囲まれて配設された円筒状のカソードと、
    前記カソード内に装着されて前記カソードを支持する管状のスリーブと、
    前記スリーブ内に配設されて前記カソードを加熱するヒータと、
    前記カソードの端部側に配設されたエンドハットと、を有し、
    前記エンドハットは、円筒状に形成されて内径が前記スリーブの外径よりも大きいハット筒部と、前記ハット筒部のうちの前記カソード側の端部から外側に延出するシールド部と、を備え、
    前記ハット筒部内に前記スリーブが挿入された状態で前記ハット筒部の内周面と前記スリーブの外周面との間に隙間が設けられ、
    前記隙間が前記ハット筒部の外側の空間と部分的に繋がるように前記ハット筒部に穴が設けられる、
    ことを特徴とするマグネトロン。
  2. 前記ハット筒部のうちの前記カソード側とは反対側の端部が周方向において複数箇所でスポット状に前記スリーブに接続される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
  3. 前記ハット筒部に設けられる前記穴が、複数である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネトロン。
  4. 前記ハット筒部に設けられる前記穴の開口面積が、前記ハット筒部のうちの、前記ハット筒部の円筒軸心方向における中心位置よりも前記カソード側と比べて、前記カソード側とは反対側の方が大きい、
    ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のマグネトロン。
  5. 前記ハット筒部に設けられる前記穴の幅が、前記カソード側と比べて、前記カソード側とは反対側の方が狭い、
    ことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載のマグネトロン。
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