JP2022019391A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】受信信号から送受リーク成分を分離しやすいレーダ装置を提供する。【解決手段】レーダ装置は、チャープ信号を順次生成する発信器と、チャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路を有している。第1伝送線路の端部には送信アンテナが位置し、チャープ信号を放射する。受信アンテナは、放射されたチャープ信号の反射波を含む信号を受信し、受信信号を第3伝送線路に出力する。ミキサは、第2伝送線路を伝搬してきたチャープ信号と、第3伝送線路を伝搬してきた受信信号とを混合したビート信号を出力する。移相手段は、発信器により生成され、第1伝送線路、送信アンテナ、受信アンテナ、および第3伝送線路を経てミキサに入力される、チャープ信号に基づく受信信号の位相と、発信器により生成され、第2伝送線路を経てミキサに入力されるチャープ信号の位相とを相違させる。【選択図】図1

Description

本開示は、レーダ装置に関する。
特許文献1は、車両に搭載されるレーダ装置を開示する。特許文献1のレーダ装置では、発振器がレーダ波の送信に必要な電波を発生させ、移相器が電波の位相を変化させ、送信アンテナ部が当該電波を送信する。また、制御手段が移相器の動作を制御する。受信アンテナ部は送信されたレーダ波の反射波を受信し、受信部は、反射波が含まれている受信信号を生成する。
レーダ装置の内部には、第1のリーク成分及び第2のリーク成分が存在する。第1のリーク成分は反射ノイズ成分であり、受信部にて生成された受信信号のうち、レーダ波を反射するターゲット以外の物体、例えば車体の一部、からの反射波を示している。第2のリーク成分は送受リーク成分とも呼ばれ、送信部から受信部に漏れる電波に起因する。
制御手段は移相器の位相を制御して、反射ノイズ成分の位相と送受リーク成分の位相とを互いに逆相にし、反射ノイズ成分を送受リーク成分によって打ち消す。これにより、反射ノイズおよび送受リークによる影響を効率よく抑制することができる。
特開2015-102458号公報
特許文献1に記載のレーダ装置は、前提として反射ノイズ成分と送受リーク成分とを用いる。そのため、例えば、送受リーク成分と比較して反射ノイズ成分が小さい利用環境では両者を打ち消すことが困難である。当該レーダ装置には、打ち消せなかった送受リーク成分と、ターゲットからの反射波を示す受信信号とが混合されると、両者を分離することが困難であるという問題があった。送受リーク成分と受信信号とを分離できない場合、送受リーク成分が受信信号に影響を及ぼし、ターゲットの位置、相対速度等に関する測定精度が低くなり得る。
本発明の目的は、受信信号から送受リーク成分を分離しやすいレーダ装置を提供することである。
本発明の例示的な実施形態にかかるレーダ装置は、チャープ信号を順次生成する発信器と、発信器によって生成されたチャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、チャープ信号を放射する送信アンテナと、放射されたチャープ信号の反射波を含む信号を受信信号として受信する受信アンテナと、受信信号を伝送する第3伝送線路とを有する。レーダ装置はさらにミキサ及び移相器を有している。ミキサは、第2伝送線路および第3伝送線路に接続され、第2伝送線路を伝搬してきたチャープ信号、及び第3伝送線路を伝搬してきた受信信号を混合したビート信号を出力する。移相器は、第1伝送線路上に存在し、第1伝送線路上を伝搬するチャープ信号に対して、チャープ信号を受け取った際の位相である挿入位相を変化させて送信アンテナに出力することが可能である。
ある実施形態において、発信器は、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に次の第2チャープ信号を生成する。移相器は、第1チャープ信号及び第2チャープ信号を順次受け取り、少なくとも一方の挿入位相を変化させて、出力する第1チャープ信号の位相と第2チャープ信号の位相とを相違させる。
本発明の例示的な実施形態にかかる他のレーダ装置は、チャープ信号を順次生成する発信器と、発信器によって生成されたチャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、チャープ信号を放射する送信アンテナと、放射されたチャープ信号の反射波を含む信号を受信信号として受信する受信アンテナと、受信アンテナより出力された、受信信号を伝送する第3伝送線路とを有する。レーダ装置はさらに移相器及びミキサを有している。移相器は、第3伝送線路上に存在し、受信信号を受け取った際の位相である挿入位相を変化させて出力することが可能である。ミキサは、第2伝送線路を伝搬してきたチャープ信号と、移相器から出力された受信信号とを混合したビート信号を出力する。
ある実施形態において、発信器は、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に次の第2チャープ信号を生成する。受信アンテナは、放射された第1チャープ信号の反射波を含む信号を受信して第1受信信号を出力し、第2チャープ信号の反射波を含む信号を受信して第2受信信号を出力する。移相器は、第1受信信号及び第2受信信号を受け取り、少なくとも一方の挿入位相を変化させて、出力する第1受信信号の位相と第2受信信号の位相とを相違させる。
ある実施形態において、第1伝送線路を経て移相器に到達したときの第1チャープ信号及び第2チャープ信号の位相は一致する。第2伝送線路を経てミキサに到達したときの第1チャープ信号及び第2チャープ信号の位相は一致する。第3伝送線路を経てミキサに到達したときの第1受信信号及び第2受信信号の位相は相違する。
ある実施形態において、上記レーダ装置は、直交検波を行うためのI信号及びQ信号を発生させる信号発生器をさらに有している。移相器は、第1チャープ信号、第2チャープ信号、I信号、及びQ信号を受け取り、第1チャープ信号及び第2チャープ信号の各々を、I信号及びQ信号を用いて変調し、さらに第1チャープ信号の位相と第2チャープ信号の位相とを相違させる。
ある実施形態において、上記レーダ装置は、信号発生器及びIQミキサをさらに有している。信号発生器は、直交検波を行うためのI信号及びQ信号を発生させる。IQミキサは、第1伝送線路上に存在し、チャープ信号、I信号及びQ信号を受け取って、チャープ信号を、I信号及びQ信号を用いて変調する。
ある実施形態において、上記レーダ装置は、発信器から出力されるチャープ信号を受け取り、第1伝送線路及び第2伝送線路に分配する分配器をさらに有している。
ある実施形態において、上記レーダ装置は、発信器から出力されるチャープ信号を受け取り、第1伝送線路及び第2伝送線路に分配する分配器をさらに有している。移相器は、分配器と送信アンテナの間の第1伝送線路上に存在する。
本発明の例示的な実施形態にかかるさらに他のレーダ装置は、チャープ信号を順次生成する発信器と、発信器によって生成されたチャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、第1伝送線路の端部に位置し、チャープ信号を放射する送信アンテナと、放射されたチャープ信号の反射波を含む信号を受信し、受信信号を出力する受信アンテナと、受信アンテナより出力された、受信信号を伝送する第3伝送線路とを有している。レーダ装置はさらに、ミキサと移相手段とを有している。ミキサは、第2伝送線路および第3伝送線路に接続され、第2伝送線路を伝搬してきたチャープ信号と、第3伝送線路を伝搬してきた受信信号とを混合したビート信号を出力する。移相手段は、発信器により生成され、第1伝送線路、送信アンテナ、受信アンテナ、および第3伝送線路を経てミキサに入力される、チャープ信号に基づく受信信号の位相と、発信器により生成され、第2伝送線路を経てミキサに入力されるチャープ信号の位相とを相違させる。
ある実施形態において、発信器は、チャープ信号として、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に第2チャープ信号を生成する。移相手段は、第1チャープ信号の位相と第2チャープ信号の位相とを相違させる。
ある実施形態において、移相手段は、チャープ信号を放射する方向に沿って送信アンテナを揺動させるアクチュエータである。
ある実施形態において、移相手段は、所定の方向に沿って受信アンテナを揺動させるアクチュエータである。
ある実施形態において、アクチュエータは、チャープ信号を放射する方向に沿って受信アンテナを揺動させる。
本発明によれば、受信信号から送受リーク成分を分離しやすいレーダ装置を提供することができる。
例示的な実施形態にかかるレーダ装置100の基本的な構成を示す図である。 チャープ信号の時間(t)と振幅(a)との関係を示す波形図である。 チャープ信号の時間(t)と周波数(f)との関係を示す波形図である。 送信される連続する3個のチャープ信号C1~C3の時間-周波数の波形例を示す図である。 送信される連続する3個のチャープ信号C1~C3の時間-周波数の波形例を示す図である。 3個のチャープ信号C1の位相の関係を示す図である。 3個のチャープ信号C2の位相の関係を示す図である。 3個のチャープ信号C3の位相の関係を示す図である。 位相差2・Δφが付与される前のチャープ信号の時間-振幅波形を示す図である。 伝送線路TL2から受け取るチャープ信号の時間-振幅波形を示す図である。 位相差2・Δφが付与されたチャープ信号の反射波に基づいて得られた受信チャープ信号の時間-振幅波形を示す図である。 レーダ装置100による位相シフト処理の手順を示すフローチャートである。 例示的なレーダ装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。 物標までの距離及び相対速度を算出するための送信チャープ信号及び受信チャープ信号の関係を示す図である。 IQ検波を行うことが可能な、変形例にかかるレーダ装置200aの構成を示す図である。 アクチュエータ220を有するレーダ装置250の構成を示す図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示にかかる実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
なお、以下に説明する実施形態の構成及び動作は例示である。本開示は、以下に説明される実施形態の構成及び動作に限定されない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、本発明の実施形態にかかるレーダ装置100の基本的な構成を示している。レーダ装置100は、発信器2と、送信アンテナ4と、受信アンテナ6と、ミキサ8と、移相手段10とを有する。また信号の伝送線路として、レーダ装置100は、伝送線路TL1,TL2及びTL3を有する。
レーダ装置100は、例えば自動車に搭載されて、先行車両等の物標までの距離、物標と自車との相対速度、物標が存在する角度等を計測するために利用される。以下、レーダ装置100が行う処理を説明する。
レーダ装置100では、まず発信器2が、後述するチャープ信号を生成する。発信器2には伝送線路TL1及びTL2が接続されている。生成されたチャープ信号は、伝送線路TL1及び伝送線路TL2上を伝送される。なお、本明細書では、発信器2が生成したチャープ信号の位相、または、発信器2から伝送線路TL1及びTL2に送出されたときの位相を、「初期位相」と呼ぶことがある。
伝送線路TL1の端部には、送信アンテナ4が設けられている。伝送線路TL1上のチャープ信号が送信アンテナ4に到達すると、送信アンテナ4は当該チャープ信号を進行方向に向けて放射する。チャープ信号は物体20において様々な方向に反射され、反射波の一部はレーダ装置100の方向に戻る。レーダ装置100の受信アンテナ6は、チャープ信号の反射波を含む信号を受信する。受信アンテナ6には伝送線路TL3が接続されている。受信アンテナ6は、チャープ信号の反射波を含む受信信号を伝送線路TL3上に出力する。
伝送線路TL2の端部及び伝送線路TL3の端部はミキサ8に接続されている。ミキサ8は、伝送線路TL2上を伝搬してきたチャープ信号と、伝送線路TL3上を伝搬してきた受信信号とを受け取り、チャープ信号と受信信号とを混合した中間周波数信号(ビート信号)を生成し出力する。ミキサ8の出力を受け取った演算回路(図示せず)は、後述する方法により、受信信号から不要な信号成分を除去し、周知の方法によって物標までの距離、物標と自車との相対速度、物標が存在する角度等を算出する。
移相手段10は、発信器2により生成され、伝送線路TL1、送信アンテナ4、受信アンテナ6、および伝送線路TL3を経てミキサ8に入力される、チャープ信号に基づく受信信号の位相と、発信器2により生成され、位相手段10を介さない線路である伝送線路TL2を経てミキサ8に入力されるチャープ信号の位相とを相違させる。
移相手段10の一例は、後述する図7における「移相器106」(位相シフタ)であり、図10における「アクチュエータ220」である。移相手段10が「移相器」である場合は、移相手段10は、送信チャープ信号および/または受信チャープ信号の位相をシフトさせる。例えば、移相手段10が伝送線路TL1上に存在する場合には、移相手段10は、伝送線路TL1上を伝搬してきたチャープ信号の挿入位相を変化させて送信アンテナ4に出力する。本明細書において「挿入位相」とは、移相手段10が「移相器」である場合において、当該移相器が信号を受け取ったときのその信号の位相を言う。他の例として、移相手段10が伝送線路TL3上に存在する「移相器」である場合には、当該移相器は伝送線路TL3上を伝搬してきた受信信号の挿入位相を変化させてミキサ8に出力する。一方、移相手段10が「アクチュエータ220」である場合は、移相手段10は送信チャープ信号および/または受信チャープ信号の位相をシフトさせる。なお、本明細書では、アクチュエータ220を「駆動部」と呼ぶこともある。
以下、移相手段10による処理をより詳しく説明する。
図2A及び図2Bは、一般的なチャープ信号の波形を示している。図2Aはチャープ信号の時間(t)と振幅(a)との関係を示し、図2Bはチャープ信号の時間(t)と周波数(f)との関係を示している。図2A及び図2Bに示されるように、本実施形態にかかるチャープ信号は、持続時間Tcの間に周波数が線形的に増加する正弦波である。一例として、図2Bに示すチャープ信号の一番低い周波数は76GHz、一番高い周波数は81GHzである。なお、持続時間Tcの間に周波数が線形的に減少する正弦波を採用してもよい。
レーダ装置100は、図2A及び図2Bに示すチャープ信号を1つとして、複数個のチャープ信号を送信する。図3A及び図3Bは、送信される連続する3個のチャープ信号C1~C3の時間-周波数の波形を示している。図3Aの例ではチャープ信号間には時間間隔が設けられており、その間には信号は存在しない。一方、図3Bの例ではチャープ信号間には時間間隔が設けられていない。このようなチャープ信号を利用するレーダ装置は、周波数連続変調(FMCW)レーダ装置と呼ばれることがある。
図4A~図4Cは、それぞれ3個のチャープ信号C1~C3の位相の関係を示している。前提として、発信器2は、各々の初期位相が同じチャープ信号を順次生成する。例えば、発信器2は、各々がチャープ信号(図2A,図2B)の波形と同じ波形を有する3つのチャープ信号を生成する。なお、説明の便宜のため、発信器2が生成するチャープ信号の初期位相は0(rad)であるとする。
本実施形態では、移相手段10は、発信器2によって生成された3つのチャープ信号(図2A,図2B)のうち、2番目及び3番目のチャープ信号の位相を変化させて出力する。具体的には、移相手段10は、1番目のチャープ信号の位相は変化させずにチャープ信号C1として出力する。移相手段10は、2番目のチャープ信号の位相を、チャープ信号C1に対してΔφ(rad)だけ進めてチャープ信号C2として出力する。さらに移相手段10は、3番目のチャープ信号の位相を、チャープ信号C2に対して位相差Δφだけ進めてチャープ信号C3として出力する。つまりチャープ信号C3の位相は、チャープ信号C1に対して2・Δφだけ進んでいる。位相差Δφをπ/2(rad)として初期位相に注目すると、チャープ信号C1(図4A)を基準値である0(rad)、チャープ信号C2(図4B)はπ/2(rad)、チャープ信号C3(図4C)はπ(rad)である。本明細書では3種類の位相を有する3個のチャープ信号を想定しているが、これは一例に過ぎない。2種類の位相を有する2個のチャープ信号であってもよいし、n種類(n:4以上の自然数)以上の位相を有するn個のチャープ信号であってもよい。また、位相差Δφは固定値であってもよいし、変動値であってもよい。チャープ信号間の位相差を示す情報が参照可能に保持されていればよい。
移相手段10がこのような位相差Δφを付与する理由を説明する。
通常、レーダ装置100は、例えば、数センチメートルから約100メートルの距離範囲内に存在する物体20の位置等を検出することが可能である。チャープ信号の周波数が76GHzである場合、距離分解能は3~4cmであり、レーダ装置100から数cmの距離に存在する物体20を検出することが可能である。
本発明者は、物体20がレーダ装置100から非常に近い位置、例えば5cm~10cmの位置、に存在する場合に、移相手段10内で「受信チャープ信号」が「送受リーク」によって大きな影響を受けてしまい、物体20の認識精度が大幅に低下するという課題を見出した。
図1のミキサ8に注目する。上述のとおり、ミキサ8は、伝送線路TL2上を伝搬してきたチャープ信号(送信チャープ信号)と、伝送線路TL3上を伝搬してきた受信信号(受信チャープ信号)とを受け取り、ビート信号を生成する。ビート信号は、送信チャープ信号と受信チャープ信号との差として求められ、送信チャープ信号の周波数と受信チャープ信号の周波数との差分の情報を含む。周波数の差分の情報を利用して、例えば物標までの距離を求めることができる。
ミキサ8は、伝送線路TL2と接続される入力端子と、伝送線路TL3と接続される入力端子とを備えている。「送受リーク」は、伝送線路TL2を伝搬してきたチャープ信号の一部が漏れ、伝送線路TL3と接続された入力端子に混入する信号成分のことを言う。図1には、伝送線路TL2を伝搬するチャープ信号が伝送線路TL3側の入力端子に影響することを模式的に示す矢印が記載されている。送受リークの大きさは、伝送線路TL2の距離が短いほど大きいことが知られている。例えば、伝送線路TL2の線路長が10~20cmである場合、送受リークは十分観測可能な大きさを有する。なお、ミキサ8以外の構成要素においても、一方の伝送経路から他方の伝送経路への信号成分の漏れが発生し得る。しかしながらそのような漏れ成分のレベルは、ミキサ8の周辺で生じる送受リークのレベルよりも無視できるほど低い。本明細書では、ミキサ8の入力端子に発生する送受リークのみに着目する。
本発明者は、5cm~10cmの位置に存在する物体20からの反射チャープ信号が送受リークによって埋もれてしまい、物体20からの受信チャープ信号波を検出できなくなることを見出した。その理由は、5cm~10cmの位置に存在する物体20とレーダ装置100との間を往復するチャープ信号が移動する距離は10cm~20cmであり、送受リークを生じさせる伝送線路TL2の線路長と概ね等しいからであると考えられる。
そこで本発明者は、元は同じチャープ信号である、伝送線路TL2を経てミキサ8に入力されるチャープ信号、及び伝送線路TL3を伝搬する受信チャープ信号について、一方の位相を他方と相違させることにより、受信チャープ信号と送受リークとを切り分けることとした。移相手段10は、このような位相を相違させるために設けられている。なお、「伝送線路TL3を伝搬する受信チャープ信号の位相をずらすこと」には、送信アンテナ4から送信される前の伝送線路TL1上で送信チャープ信号の位相をずらすことによって受信チャープ信号の位相もずらすこと、及び、受信アンテナ6によって受信された受信チャープ信号の位相を伝送線路TL3上でずらすこと、を含む。
本来存在しない位相差をチャープ信号に次々と付与することにより、位相差に応じた、0ではない相対速度が検出される。そのような相対速度が検出された場合には物体20が存在すると判断でき、相対速度が検出されない場合には、送受リークの影響を受けたと判断できる。なお、送信チャープ信号の位相と反射チャープ信号の位相とのずれにより、ターゲットの相対速度を求める技術は公知である。
いま、移相手段10が伝送線路TL1上に設けられ、伝送線路TL1上を伝搬するチャープ信号に位相差を付与する例を考える。なお伝送線路TL2上を伝搬するチャープ信号には位相差は付与されない。つまり、移相手段10は、伝送線路TL2が伝送線路TL1から分岐した後の、伝送線路TL1上に設けられている。
移相手段10は、発信器2が順次生成した同位相のチャープ信号(図2A,図2B)を受け取る。移相手段10は1つ目のチャープ信号には位相差を付与せず、2つ目のチャープ信号には位相差Δφを付与したチャープ信号(図4B)を生成し、3つ目のチャープ信号には位相差2・Δφを付与したチャープ信号(図4C)を生成する。これらのチャープ信号は図3Aまたは図3Bに示す態様で送信アンテナ4から次々と送信され、物体20において反射される。受信アンテナ6は、送信されたチャープ信号の反射波を含む信号を受信し、受信チャープ信号を伝送線路TL3に出力する。
より具体的に説明するため、移相手段10が位相差2・Δφを付与する前後の波形を比較する。図5Aは、位相差2・Δφが付与される前のチャープ信号の時間-振幅波形を示している。図5Bは、ミキサ8が伝送線路TL2から受け取るチャープ信号の時間-振幅波形を示している。図5Aの波形と比較すると、図5Bの波形には伝送経路長に対応する時間差Δt1だけ時間遅れが生じている。
図5Bに示すチャープ信号は、ミキサ8の伝送線路TL3の入力端子において検出される送受リークと概ね同じである。振幅は必ずしも一致するとは限られないが、位相にずれはない。送受リークは発信器2からミキサ8へ有線で伝搬する信号の一部だからである。そして図5Cは、位相差2・Δφが付与されたチャープ信号の反射波に基づいて得られた受信チャープ信号の時間-振幅波形を示している。物体20までの往復に要する経路長に対応する時間差Δt2だけ時間遅れが生じている。
ミキサ8は、伝送線路TL3の入力端子において、送受リーク(図5B)に加えて、伝送線路TL3からの受信チャープ信号(図5C)を受け取る。ミキサ8の伝送線路TL3側の入力端子が送受リーク及び受信チャープ信号を受け取ったときの両者の位相は異なるため、両者を容易に分離することが可能になる。つまり、ミキサ8が伝送線路TL3の入力端子において受信した信号のうち、本来必要とされる受信チャープ信号を適切に抽出することが可能になる。位相に着目しているため、仮に、入射する反射波のノイズ成分が小さい場合でも、受信信号と送受リークとを分離することができる。
図6は、レーダ装置100による位相シフト処理の手順を示すフローチャートである。当該フローチャートは主として、レーダ装置100の演算回路(図示せず)によって実行される。ただし以下では、記載の便宜上、レーダ装置100によって実行されるとして説明する。また、図6には、ステップS2とステップS4との間に実行される処理S2a、または、ステップS6とステップS8との間に実行される処理S6aとが含まれている。処理S2aと処理S6aの処理は若干異なるため、各処理に応じた内容を説明する。なお、これらは少なくともいずれか一方の処理が行われればよい。以下では、ステップS2aが設けられた例を説明する。
ステップS2において、レーダ装置100は、発信器2にチャープ信号を順次生成させる。生成されたチャープ信号は、伝送線路TL1及び伝送線路TL2をそれぞれ伝搬する。
ステップS2aにおいて、レーダ装置100は、移相手段10を用いて、伝送線路TL1上のチャープ信号の位相を変化させる。具体的には、チャープ信号に順次、位相差Δφずつ付与する。
ステップS4において、レーダ装置100は、ステップS2aで位相差が付与されたチャープ信号を順次、送信アンテナ4から放射させる。
ステップS6において、レーダ装置100は、送信アンテナ4でチャープ信号の反射波を含む信号を受信し、受信信号を出力させる。受信信号は伝送線路TL3を伝搬する。
ステップS8において、レーダ装置100は、位相が互いに相違する伝送線路TL2上のチャープ信号と、伝送線路TL3上の受信信号とをミキサ8に入力させる。このとき、ミキサ8の伝送線路TL3の入力端子には、伝送線路TL2を伝搬してきたチャープ信号に基づく送受リークが発生する。ただしこの送受リークには移相手段10による位相差は付与されていない。
なお、ステップS2aに代えてステップS6aが実行される場合、ステップS4では、レーダ装置100は、発信器2に生成された、同位相のチャープ信号を順次、送信アンテナ4から放射させる。そしてステップS6aにおいて、レーダ装置100は、受信アンテナ6とミキサ8との間に設けられた移相手段10により伝送線路TL3上の受信チャープ信号の位相を変化させればよい。
以上の処理によれば、位相差を利用して、送受リークと受信チャープ信号とを容易に分離することが可能になる。
次に、図7以降の図面を参照しながら、レーダ装置の具体的な構成及び動作を説明する。なお、図1から図6までの説明と重複する説明は省略する。
図7は、自動車等に搭載される、例示的なレーダ装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
レーダ装置200は、発信器102と、分配器104と、移相器106と、送信アンテナTxと、受信アンテナRxと、ミキサ108と、演算回路110とを有する。なお、図7には、演算回路110が算出した、先行車両等の物標までの距離、物標と自車との相対速度、物標が存在する角度等を受け取って自動車の走行を支援するための制御を行う走行支援制御装置300が示されている。ただし、自動車の走行を支援するための制御の説明は本開示の範疇ではない。よって走行支援制御装置300の具体的な構成及び動作の説明は省略する。
レーダ装置200の構成のうち、発信器102、送信アンテナTx、受信アンテナRx及びミキサ108は、図1に示す発信器2、送信アンテナ4、受信アンテナ6及びミキサ8と同じである。よってそれらの説明は省略する。また、伝送線路TL2及びTL3も同様である。また図1と同様、図7にも、ミキサ108において、伝送線路TL2を伝搬してきた信号が伝送線路TL3側の入力端子に影響することを模式的に示す矢印が記載されている。
分配器104は、発信器102から出力された信号を入力端子において受け取り、受け取った信号を2つの出力端子に分配する素子である。2つの出力端子はそれぞれ伝送線路TL1及びTL2に接続されている。分配損失により、分配器104に入力された信号の振幅よりも出力される2信号の振幅は小さい。しかしながら、入力された信号の位相と出力される2信号の位相とは同じである。よって、分配器104に入力されたチャープ信号は、同じ位相のチャープ信号として伝送線路TL1及びTL2に出力される。なお、分配器104は発信器102内に統合されてもよい。
移相器106は、移相手段10(図1)の一例である。移相器106は、分配器104と送信アンテナTxとの間の伝送線路TL1上に設けられ、分配器104から入力された信号の位相(挿入位相)を変化させて、または変化させずに、送信アンテナTxに出力することが可能である。
移相器106は、入力信号を参照信号と遅延信号の2つの高周波信号に変換することによって、位相差を生成する。2つの出力信号を切り替える際にスイッチを使用するが,スイッチ挿入の際の伝送線路の長さの影響を抑制するために、λ/4スタブ回路が用いられ得る。移相器106として、例えば、スイッチドライン(Switched-line)移相器、ローディドライン(Loaded-line)移相器、多数のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチを導波路に並べたMEMS移相器を利用することができる。なお、これらの移相器の構成及び動作は周知であるため、説明は省略する。移相器106によれば、図4A~図4Cに示すような、位相差を選択的に付与したチャープ信号を得ることができる。
移相器106を設ける位置は、受信アンテナRxとミキサ108との間の伝送線路TL3上であってもよい。ミキサ108において、同じチャープ信号に由来する、伝送線路TL2のチャープ信号の位相と伝送線路TL3の受信信号の位相とが相違していればよいからである。
ミキサ8は、伝送線路TL2からチャープ信号を受け取り、かつ、伝送線路TL3から受信信号を受け取る。ミキサ8が伝送線路TL2から受け取るチャープ信号(図5B)の位相は、分配器104から出力された際のチャープ信号(図5A)の初期位相と同じである。また、伝送線路TL2から受け取るチャープ信号の位相と比較すると、ミキサ8が伝送線路TL3から受け取る受信信号(チャープ信号、図5C)の位相は移相器106によって変更された位相差だけ相違している。
ミキサ108の出力は、伝送線路TL4に接続されている。ミキサ108は、伝送線路TL2を伝搬してきたチャープ信号(図5B)と、伝送線路TL3を伝搬してきた受信信号(チャープ信号、図5C)とを混合して、伝送線路TL4に出力する。ここでいう「混合」とは、両信号の差分をとることを言い、伝送線路TL4に出力される信号はビート信号である。ビート信号の周波数は、L2を伝搬してきたチャープ信号の周波数と、受信信号との周波数との差を反映する。
例えば、レーダ装置200前方の距離が異なる位置に、複数の物標が存在する場合を考える。チャープ信号が送信されると、複数の物標の各々で次々と反射され、時間的に前後しながら受信アンテナRxに入射する。つまり、受信された各チャープ信号の、受信アンテナRxへの到達時刻は、物標までの距離に応じて異なる。送信されるチャープ信号の周波数は線形的に増加するため、受信された各チャープ信号の周波数も線形的に増加する。その結果、両信号の差分であるビート信号の周波数には、受信された各チャープ信号の到達時刻の違いを示す情報が含まれている。
演算回路110は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)と呼ばれる半導体集積回路である。演算回路110は、レーダ装置200を動作させるためのコンピュータプログラムを実行する。また演算回路110は、伝送線路TL4からビート信号を受信して、後述する、物標までの距離、物標と自車との相対速度、物標が存在する角度等を算出する。
演算回路110は、AD変換器(ADC)112と、高速フーリエ変換部(FFT)114と、距離推定部116と、距離補正部118と、距離推定部120と、角度推定部122とを有している。
ADC112は、送受リークが除去されたビート信号(アナログ信号)を、所定のサンプリング周波数でサンプリングし、所定の量子化ビット数で量子化することにより、離散的なデジタル信号に変換する。当業者は、演算回路110の仕様、レーダ装置100に求められる精度等に応じて適切なサンプリング周波数及び量子化ビット数を決定し得る。
FFT114は、ADC112から出力された離散的なデジタル信号に高速フーリエ変換処理を行い、ビート信号に含まれる信号の周波数に応じた成分を抽出する。高速フーリエ変換処理は公知であるため、詳細な説明は省略する。
次に、速度推定部116、速度補正部118、距離推定部120及び角度推定部122の処理を説明する。
物標の相対速度を算出するためには、複数のチャープ信号の送信と、各チャープ信号の受信が必要である。例えば、図3Aまたは図3Bに示すチャープ信号C1~C3の送受信が必要である。より一般化して、図8は物標までの距離及び相対速度を算出するための送信チャープ信号及び受信チャープ信号の関係を示している。持続時間Tcのチャープ信号がN個連続して送信されるとする。このとき、N個のチャープ信号を1まとまりとして「フレーム」と呼ぶ。フレームの周期Tfは、Tf=Tc・N である。
連続して送信される2つのチャープ信号を、チャープ信号T1及びT2と表現する。図8では、最初の2つをチャープ信号T1及びT2として例示する。本明細書では、連続して送信される2つのチャープ信号はそれぞれ「第1チャープ信号」及び「第2チャープ信号」として参照される。なお、移相器106は、第1チャープ信号及び第2チャープ信号を順次受け取って、第1チャープ信号の位相と第2チャープ信号の位相との間に位相差Δφを付与する。
速度推定部116は、FFT114による変換結果を用いて、1つの物標、または複数の物標の各々の相対速度を算出する。
第1チャープ信号とその受信信号からは第1ビート信号が得られ、第2チャープ信号とその受信信号からは第2ビート信号が得られるとする。第1ビート信号及び第2ビート信号の波長をλ、第1ビート信号と第2ビート信号との位相差をΔθ、第1チャープ信号及び第2チャープ信号を反射させた物標の相対速度をvと表す。
速度推定部116は、下記の式(1)により、見かけ上の相対速度vaを求める。
va=λ・Δθ/(4π・Tc) (1)
ここで「見かけ上」と表現した理由は、相対速度の算出に、移相器106によって付与された位相差Δφが考慮されていないからである。式(1)には、第1ビート信号と第2ビート信号との位相差Δθが含まれている。しかしながら位相差Δθにはチャープ信号C2に付与された位相差Δφが含まれている。そのため、速度推定部116によって算出された相対速度をさらに補正する必要が生じる。
速度補正部118は、速度推定部116が求めた見かけ上の相対速度vaを、現実の相対速度vrに補正する。具体的には、速度補正部118は、下記の式(2)により、現実の相対速度vrを求める。
vr=va-λ・Δφ/(4π・Tc) (2)
なお、速度推定部116及び速度補正部118bを1つにまとめてもよい。このとき、現実の相対速度vrは下記の式(3)により求めることができる。
vr=λ・(Δθ-Δφ)/(4π・Tc) (3)
測定できる最大速度は、位相変化量Δφがπ(rad)を超えないことであり、「アンビギュイティ」と呼ばれる。また、計算される速度の分解能Δvは、観測するフレームの周期長RTfで決定され、Δv=λ/(2・N・Tc)によって表される。
距離推定部120は、FFT114による変換結果を用いて、1つの物標、または複数の物標の各々までの距離を推定する。例えばある物標からの反射波に注目する。ビート信号には、伝送線路TL2上のチャープ信号と、受信信号に含まれる当該反射波のチャープ信号との差を表す差信号が含まれている。時間-周波数領域でのチャープ信号の波形の変化の傾きをf0、差信号の周波数をΔf、当該物標までの距離をd1、光速をcとする。傾きf0、周波数Δf及び光速cは既知である。このときチャープ信号が物標までの距離を往復することを考慮すると、下記の式(4)が成り立つ。
2・d1=c・(Δf/f0) (4)
距離推定部120は、当該物標までの距離d1を下記の式(5)によって求める。
d1=c/2・(Δf/f0) (5)
または、距離推定部120は、チャープ間の位相差Δφを利用して、下記の式(6)により距離d1を求めてもよい。
d1=c/2・(Δt-Δφ/2π) (6)
角度推定部122は、受信信号の到来方向に基づいて物標が存在する方位を推定する。受信信号の到来方向を推定するために、例えば受信アンテナRxは、所定の間隔でアレイ状に配置された複数の受信素子を有している。各受信素子で得られた受信信号を利用して、距離推定部120は、例えばMUSIC法、ESPRIT法、SAGE法などの「超分解能アルゴリズム」(スーパーレゾリューション法)、を利用して、到来波の個数、及び、各到来波の角度を推定する。これにより、先行する車両の数及び方位を求めることができる。なお、MUSIC法等の到来方向推定アルゴリズムは周知であるため、説明は省略する。
図9は、IQ検波を行うことが可能な、変形例にかかるレーダ装置200aの構成を示している。レーダ装置200aは、信号発生器212及びIQミキサ214を有している点において、レーダ装置200(図7)と相違する。その他についてはレーダ装置200と同じであるためその説明は省略する。
信号発生器212は、直交検波を行うためのI信号及びQ信号を発生させる。直交検波とはいわゆる離散フーリエ変換であり、デジタル処理を利用した直交復調処理を示す。I信号は波形の同相(In-phase)成分を表し、Q信号は直交位相 (Quadrature) 成分を表す。
IQミキサ214は、移相器106の出力信号に、抽出したい周波数の正弦波と、1/4サイクルだけずらした余弦波の畳みこみを行い、移相器106の出力信号に変調を加える。変調された信号は送信アンテナTxから送信され、受信アンテナRxにて受信される。受信信号を復調処理することにより、受信信号の、抽出したい周波数の振幅と位相を求めることができる。
なお、IQミキサ214を、移相器106と統合してもよい。
以上のように、IQ検波を行ったとしても、上述の送受リークと受信信号との峻別が可能である。
次に、図10を参照しながら、図1の移相手段10の他の例を説明する。
図10は、アクチュエータ220を有するレーダ装置250の構成を示している。
レーダ装置250は、移相器106に代えてアクチュエータ220を有する点において、図7に示すレーダ装置200と相違する。他の構成は図7に係るレーダ装置200と同じであるから、説明は省略する。
アクチュエータ220は移相手段10(図1)の一例である。アクチュエータ220は例えば電気モータであり、送信アンテナTxおよび/または受信アンテナRxを所定の方向に沿って揺動させる。所定の方向は、例えばチャープ信号を放射する方向に沿う方向であり、図の左右方向に相当する。
送信アンテナTxおよび/または受信アンテナRxを、チャープ信号を放射する方向に沿って揺動させることにより、送信されるチャープ信号または受信される受信信号に位相差を付与することができる。例えば、図4Aに示すチャープ信号に対して、図4Bに示す位相差を有するチャープ信号を送信する場合には、最初の波形の1/4波長に相当する距離だけ、アクチュエータ220は送信アンテナTxを送信方向とは反対方向に揺動させればよい。また、図4Aに示すチャープ信号に対して、図4Cに示す位相差を有するチャープ信号を送信する場合には、最初の波形の1/2波長に相当する距離だけ、アクチュエータ220は送信アンテナTxを送信方向とは反対方向に揺動させればよい。これにより、送信されるチャープ信号に位相差を付与することができる。受信アンテナRxを揺動させる場合も同様にすればよい。
なお、図10の構成に、図9の直交検波の構成を組み合わせてもよい。
本発明の例示的な実施形態にかかるレーダ装置は、チャープ信号を送受信する種々のシステム、例えば車載レーダシステム、各種の監視システム、屋内測位システム、および無線通信システム、に好適に用いられ得る。
2,102 発信器
4,Tx 送信アンテナ
6,Rx 受信アンテナ
8,108 ミキサ
10 移相手段
20 物体
104 分配器
106 移相器
100,200,200a,250 レーダ装置
110 演算回路
TL1,TL2,TL3,TL4 伝送線路

Claims (14)

  1. チャープ信号を順次生成する発信器と、
    前記発信器によって生成された前記チャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、
    前記チャープ信号を放射する送信アンテナと、
    放射された前記チャープ信号の反射波を含む信号を受信信号として受信する受信アンテナと、
    前記受信信号を伝送する第3伝送線路と、
    前記第2伝送線路および前記第3伝送線路に接続され、前記第2伝送線路を伝搬してきた前記チャープ信号、及び前記第3伝送線路を伝搬してきた前記受信信号を混合したビート信号を出力するミキサと、
    前記第1伝送線路上に存在し、前記第1伝送線路上を伝搬する前記チャープ信号に対して、前記チャープ信号を受け取った際の位相である挿入位相を変化させて前記送信アンテナに出力することが可能な移相器と
    を備える、レーダ装置。
  2. 前記発信器は、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に次の第2チャープ信号を生成し、
    前記移相器は、前記第1チャープ信号及び前記第2チャープ信号を順次受け取り、少なくとも一方の挿入位相を変化させて、出力する前記第1チャープ信号の位相と前記第2チャープ信号の位相とを相違させる、請求項1に記載のレーダ装置。
  3. チャープ信号を順次生成する発信器と、
    前記発信器によって生成された前記チャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、
    前記チャープ信号を放射する送信アンテナと、
    放射された前記チャープ信号の反射波を含む信号を受信信号として受信する受信アンテナと、
    前記受信アンテナより出力された、前記受信信号を伝送する第3伝送線路と、
    前記第3伝送線路上に存在し、前記受信信号を受け取った際の位相である挿入位相を変化させて出力することが可能な移相器と、
    前記第2伝送線路を伝搬してきた前記チャープ信号と、前記移相器から出力された前記受信信号とを混合したビート信号を出力するミキサと
    を備える、レーダ装置。
  4. 前記発信器は、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に次の第2チャープ信号を生成し、
    前記受信アンテナは、放射された前記第1チャープ信号の反射波を含む信号を受信して第1受信信号を出力し、前記第2チャープ信号の反射波を含む信号を受信して第2受信信号を出力し、
    前記移相器は、前記第1受信信号及び第2受信信号を受け取り、少なくとも一方の挿入位相を変化させて、出力する前記第1受信信号の位相と前記第2受信信号の位相とを相違させる、請求項3に記載のレーダ装置。
  5. 前記第1伝送線路を経て前記移相器に到達したときの前記第1チャープ信号及び前記第2チャープ信号の位相は一致し、
    前記第2伝送線路を経て前記ミキサに到達したときの前記第1チャープ信号及び前記第2チャープ信号の位相は一致し、
    前記第3伝送線路を経て前記ミキサに到達したときの前記第1受信信号及び前記第2受信信号の位相は相違する、請求項4に記載のレーダ装置。
  6. 直交検波を行うためのI信号及びQ信号を発生させる信号発生器をさらに備え、
    前記移相器は、前記第1チャープ信号、前記第2チャープ信号、前記I信号、及び前記Q信号を受け取り、前記第1チャープ信号及び前記第2チャープ信号の各々を、前記I信号及び前記Q信号を用いて変調し、さらに前記第1チャープ信号の位相と前記第2チャープ信号の位相とを相違させる、請求項2に記載のレーダ装置。
  7. 直交検波を行うためのI信号及びQ信号を発生させる信号発生器と、
    前記第1伝送線路上のIQミキサであって、前記チャープ信号、前記I信号及び前記Q信号を受け取って、前記チャープ信号を、前記I信号及び前記Q信号を用いて変調するIQミキサと
    をさらに備える、請求項3または4に記載のレーダ装置。
  8. 前記発信器から出力される前記チャープ信号を受け取り、前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路に分配する分配器をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載のレーダ装置。
  9. 前記発信器から出力される前記チャープ信号を受け取り、前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路に分配する分配器をさらに備え、
    前記移相器は、前記分配器と前記送信アンテナの間の前記第1伝送線路上に存在する、請求項1または4に記載のレーダ装置。
  10. チャープ信号を順次生成する発信器と、
    前記発信器によって生成された前記チャープ信号を伝送する第1伝送線路及び第2伝送線路と、
    前記第1伝送線路の端部に位置し、前記チャープ信号を放射する送信アンテナと、
    放射された前記チャープ信号の反射波を含む信号を受信し、受信信号を出力する受信アンテナと、
    前記受信アンテナより出力された、前記受信信号を伝送する第3伝送線路と、
    前記第2伝送線路および前記第3伝送線路に接続され、前記第2伝送線路を伝搬してきた前記チャープ信号と、前記第3伝送線路を伝搬してきた前記受信信号とを混合したビート信号を出力するミキサと、
    前記発信器により生成され、前記第1伝送線路、前記送信アンテナ、前記受信アンテナ、および前記第3伝送線路を経て前記ミキサに入力される、前記チャープ信号に基づく前記受信信号の位相と、前記発信器により生成され、前記第2伝送線路を経て前記ミキサに入力される前記チャープ信号の位相とを相違させる移相手段と
    を備える、レーダ装置。
  11. 前記発信器は、前記チャープ信号として、第1チャープ信号を生成し、所定時間経過後に第2チャープ信号を生成し、
    前記移相手段は、前記第1チャープ信号の位相と前記第2チャープ信号の位相とを相違させる、請求項10に記載のレーダ装置。
  12. 前記移相手段は、前記チャープ信号を放射する方向に沿って前記送信アンテナを揺動させるアクチュエータである、請求項10に記載のレーダ装置。
  13. 前記移相手段は、所定の方向に沿って前記受信アンテナを揺動させるアクチュエータである、請求項10に記載のレーダ装置。
  14. 前記アクチュエータは、前記チャープ信号を放射する方向に沿って前記受信アンテナを揺動させる、請求項13に記載のレーダ装置。
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