JP2022019259A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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隆充 茶谷
Takamitsu Chaya
飛鳥 鈴木
Asuka Suzuki
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Abstract

【課題】スノー性能を確保しながら、耐久性および対ショックバースト性を悪化させることなく、タイヤ重量の軽減を図り、これら性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】カーカス層4とベルト層7とを備え、トレッド部1の外表面に主溝20が形成された空気入りタイヤにおいて、カーカス層4を、破断伸びが20%~30%であり、且つ、正量繊度D〔単位:dtex/本〕と打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕との積A=D×Ecが1.8×105dtex/50mm~3.0×105dtex/50mmであるポリエステル繊維コードで構成し、ベルト層7を、断面積S〔単位:mm2/本〕と打ち込み本数Eb〔単位:本/50mm〕との積B=S×Ebが5.0mm2/50mm~8.5mm2/50mmであるスチールコードで構成し、主溝20の溝下におけるゴム厚さGaを2.5mm~4.0mmに設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、主溝の溝下におけるゴム厚さが大きい傾向にある主として冬用タイヤとして用いられる空気入りタイヤに関する。
近年、タイヤの軽量化や転がり抵抗の低減に対する要求が高まっており、一般的なタイヤにおいては、例えばトレッド部のゴム厚さ、特に、トレッド部に設けられた主溝の溝下におけるゴム厚さ(溝下ゴムゲージ)を小さくすることが行われている(例えば特許文献1を参照)。一方で、主として冬用タイヤとして用いられる空気入りタイヤは、溝下ゴムゲージが大きい傾向があるため、溝下ゴムゲージは適度に保ったままにして、他の要因によってタイヤの軽量化を図る必要があった。
例えば、ベルト層を構成するベルトコードには、一般的にスチールコードが用いられており、他の補強コード(有機繊維コード)と比較するとタイヤ重量への寄与が大きいため、このベルトコード(スチールコード)の使用量(素線径や打ち込み本数)を抑制して、タイヤ重量の軽減を図ることが考えられる。しかしながら、ベルトコードの使用量が減少すると、ベルト折れ等の故障が生じて耐久性が悪化することが懸念される。また、ベルトコードの使用量の減少に伴って、耐ショックバースト性が低下することも懸念される。尚、耐ショックバースト性とは、走行中にタイヤが大きなショックを受けて、カーカスが破壊する損傷(ショックバースト)に対する耐久性であり、例えばプランジャーエネルギー試験(トレッド中央部に所定の大きさのプランジャーを押し付けてタイヤが破壊する際の破壊エネルギーを測定する試験)が指標となる。そのため、スノー性能を確保しながら、耐久性や対ショックバースト性を悪化させることなく、タイヤ重量の軽減を図るための対策が求められている。
特開2018‐058515号公報
本発明の目的は、スノー性能を確保しながら、耐久性および対ショックバースト性を悪化させることなく、タイヤ重量の軽減を図り、これら性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層とを有し、前記トレッド部の外表面にタイヤ周方向に延びる主溝が形成された空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層はポリエステル繊維コードからなるカーカスコードで構成され、前記カーカスコードの破断伸びが20%~30%であり、且つ、前記カーカスコード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕と、前記カーカスコードの延長方向と直交する方向50mm当たりの前記カーカスコードの打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕との積A=D×Ecが1.8×105dtex/50mm~3.0×105dtex/50mmであり、前記ベルト層はスチールコードからなるベルトコードで構成され、前記ベルトコード1本あたりの断面積S〔単位:mm2/本〕と、前記ベルトコードの延長方向と直交する方向50mm当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数Eb〔単位:本/50mm〕との積B=S×Ebが5.0mm2/50mm~8.5mm2/50mmであり、前記主溝の溝下におけるゴム厚さGaが2.5mm~4.0mmであることを特徴とする。
本発明においては、ベルト層について上述の積B、即ち、単位幅当たりのベルトコードの量(断面積)を上記のように設定してベルトコードの使用量を減少しているので、タイヤ重量の軽減を図ることができる。一方で、主溝の溝下におけるゴム厚さGaを適度に大きく保っているので、ベルトコードの使用量の減少に起因するベルト折れを防止し、耐久性を維持・向上することができる。更に、カーカス層について上述の積A、即ち、単位幅当たりのカーカスコードの繊度を上述の範囲に設定しているので、耐久性を確保しながら制動性能(特に、スノー路面における制動性能)を向上することができる。また、カーカス層を構成するカーカスコードの破断伸びが上述の範囲であるため、カーカスコードが局所変形に追従しやすくなり、プランジャーエネルギー試験時(プランジャーに押圧された際)の変形を充分に許容することが可能になり、破壊エネルギーを向上することができる。つまり、走行時においてはトレッド部の突起入力に対する破壊耐久性が向上することになるので、耐ショックバースト性を向上することができる。これらの協働により、スノー性能、耐久性、および耐ショックバースト性の向上とタイヤ重量の軽減とを両立することができる。
尚、カーカスコード(ポリエステル繊維コード)の「破断伸び」は、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、つかみ間隔250mm、引張速度300±20mm/分の条件にて引張試験を実施して測定される試料コードの破断時の伸び率(%)である。
本発明においては、上述の積Bが6.0mm2/50mm~7.0mm2/50mmであることが好ましい。このように上述の積Bを適度な範囲に設定することで、耐久性の悪化を抑制しながらタイヤ重量の軽減を図ることができ、これら性能を両立するには有利になる。
本発明においては、上述のゴム厚さGaが3.0mm~3.5mmであることが好ましい。このようにゴム厚さGaを適度に大きくすることで、ベルト折れを効果的に抑制し、耐久性を向上するには有利になる。
本発明においては、ベルトコードが、1×2構造のコードまたは単線ワイヤであることが好ましい。このような構造のコードは径が小さいため、上述の積Bを満たしながら、これらの構造のコードを用いることで、ベルト層による補強効果を確保しながら、ベルト層の厚さを小さくすることができ、タイヤ重量の軽減を図るには有利になる。
本発明においては、ベルトコードを構成する素線の径が0.10mm~0.35mmであることが好ましい。このようにベルトコードの素線径を適度な範囲に設定することで、ベルトコードによる補強効果が適正化されるので、ベルト折れに対する耐久性と操縦安定性を効果的に高めることができる。
本発明においては、トレッド部を構成するゴムの300%伸長時のモジュラスが3.0MPa~10.0MPaであることが好ましい。このような物性のゴムでトレッド部を構成することで、スノー性能と耐摩耗性のを効果的に高めることができる。尚、「300%伸長時のモジュラス」は、JIS K6251に準拠して測定した値である。
本発明の空気入りタイヤは、上述の構成によって、スノー性能を確保しながら、耐久性および対ショックバースト性を悪化させることなく、タイヤ重量の軽減を図り、これら性能をバランスよく両立するものであるので、冬用タイヤに好適に用いることができる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(以下、カーカスコードという)を含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(以下、ベルトコードという)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。
更に、ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、ベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(以下、カバーコードという)を含む。カバーコードとしては、例えば有機繊維コードを用いることができる。ベルト補強層8において、カバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。ベルト補強層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層8aや、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bをそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方が設けられている)。ベルト補強層8は、例えば、少なくとも1本のカバーコードを引き揃えてコートゴムで被覆したストリップ材をタイヤ周方向に螺旋状に巻回して構成することができる。
トレッド部1において、上述のタイヤ構成部材(カーカス層4、ベルト層7、ベルトカバー層8)の外周側にはトレッドゴム層11が配置される。特に、本発明では、トレッドゴム層11は、物性の異なる2種類のゴム(踏面に露出するキャップトレッドと、その内周側に配置されるアンダートレッド)がタイヤ径方向に積層した構造を有していてもよい。サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層12が配置され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層13が配置されている。
トレッド部1の外表面には複数の溝と、それによって区画された複数の陸部を設けることができる。溝および陸部(これらによって形成されるトレッドパターン)の具体的な形状は特に限定されないが、本発明では、タイヤ周方向に沿って延在する主溝20が必ず設けられる。尚、以降の説明では、主溝20の溝下におけるトレッドゴム層11の厚さをゴム厚さGaという。
本発明は、主として、上述のカーカス層4およびベルト層7のそれぞれを構成するコード(カーカスコード、ベルトコード)、トレッドゴム層11(ゴム厚さGaや物性)に関するものであるので、その他のタイヤの基本的な構造は上述のものに限定されない。
本発明のベルト層7においては、ベルトコード1本あたりの断面積S〔単位:mm2/本〕と、ベルトコードの延長方向と直交する方向50mm当たりのベルトコードの打ち込み本数Eb〔単位:本/50mm〕との積B=S×Ebが5.0mm2/50mm~8.5mm2/50mm、好ましくは6.0mm2/50mm~7.0mm2/50mmに設定されている。このようにベルト層7を構成することで、単位幅当たりのベルトコードの量(断面積)が適正化されて、ベルトコードの使用量を適度に減少できるので、ベルト折れに対する耐久性を確保しながらタイヤ重量の軽減を図ることができる。このとき、積Bが5.0mm2/50mm未満であると、ベルト折れを十分に抑制することができず、耐久性が低下する虞がある。積Bが8.5mm2/50mmを超えると、タイヤ重量を軽減する効果が得られない。尚、上述の断面積Sおよび打ち込み本数Ebの個々の範囲は、積Bが上述の範囲を満たしていれば特に限定されない。
本発明において、ベルト層7を構成するベルトコードは、1×2構造または単線ワイヤであることが好ましい。このような構造のコードは径が小さいため、上述の積Bを満たしながら、これらの構造のコードを用いることで、ベルト層7による補強効果を確保しながら、ベルト層7の厚さを小さくすることができ、タイヤ重量の軽減を図るには有利になる。
本発明において、カーカス層4を構成するカーカスコードは、ポリエステル繊維のフィラメント束を撚り合わせたポリエステル繊維コードで構成される。このカーカスコード(ポリエステル繊維コード)の破断伸びは20%~30%、好ましくは22%~28%である。このような物性を有するカーカスコード(ポリエステル繊維コード)をカーカス層4に用いているので、高速耐久性と耐ショックバースト性を向上することができる。即ち、カーカスコードが上述の伸び特性を有するため、カーカスコードの剛性を適度に確保することができ、良好な高速耐久性を発揮することができる。また、カーカスコードが上述の伸び特性を有するため、カーカスコードが局所変形に追従しやすくなり、プランジャーエネルギー試験時(プランジャーに押圧された際)の変形を充分に許容することが可能になり、破壊エネルギーを向上することができる。つまり、走行時においてはトレッド部の突起入力に対する破壊耐久性が向上することになるので、耐ショックバースト性を向上することができる。カーカスコードの破断伸びが20%未満であると、耐ショックバースト性を向上する効果を得ることができない。カーカスコードの破断伸びが30%を超えると、中間伸度も大きくなる傾向があるため、剛性が低下して高速耐久性が低下する虞がある。
また、カーカス層4において、カーカスコード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕と、カーカスコードの延長方向と直交する方向50mm当たりのカーカスコードの打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕との積A=D×Ecは1.8×105dtex/50mm~3.0×105dtex/50mm、好ましくは2.2×105dtex/50mm~2.7×105dtex/50mmである。上述の積Aは、カーカス層4における単位幅当たりのカーカスコードの繊度であるので、これが上述の範囲を満たすことで、耐久性とスノー性能(制動性能)を向上することができる。積Aが1.8×105dtex/50mm未満であると、スノー性能が悪化する虞がある。積Aが3.0×105dtex/50mmを超えると、カーカスコードの間隔が狭まるため耐久性を維持することが難しくなる。尚、上述の正量繊度Dおよび打ち込み本数Ecの個々の範囲は、積Aが上述の範囲を満たしていれば特に限定されない。
更に、カーカスコードのサイドウォール部における2.0cN/dtex負荷時の伸びが好ましくは5.5%~8.0%、より好ましくは6.5%~7.5%であるとよい。このような伸び特性を有することで耐久性を向上するには有利になる。2.0cN/dtex負荷時の伸びは5.5%未満であると、コード剛性が高くなり、接地領域直下でのカーカス層4の巻き上げ端部の圧縮歪みが増大し、コードの破断を招く虞がある(即ち、耐久性が損なわれる虞がある)。2.0cN/dtex負荷時の伸びが8.0%を超えると、剛性を確保することが難しくなる。尚、カーカスコード(ポリエステル繊維コード)の「1.5cN/dtex負荷時の伸び」は、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、つかみ間隔250mm、引張速度300±20mm/分の条件にて引張試験を実施して測定される試料コードの1.5cN/dtex負荷時の伸び率(%)である。
更に、カーカスコードの熱収縮率は好ましくは0.5%~2.5%、より好ましくは1.0%~2.0であるとよい。尚、「熱収縮率」とは、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、試料長さ500mm、加熱条件150℃×30分の条件にて加熱したときに測定される試料コードの乾熱収縮率(%)である。このような熱収縮率を有するコードを用いることで、加硫時にコードにキンク(捩じれ、折れ、よれ、形くずれ等)が発生して耐久性が低下することや、ユニフォミティの低下を抑制することができる。このとき、コードの熱収縮率が0.5%未満であると、加硫時にキンクが発生しやすくなり、耐久性を良好に維持することが難しくなる。コードの熱収縮率が2.5%を超えると、ユニフォミティが悪化する虞がある。
更に、下記式(1)で表されるカーカスコードの撚り係数Kが好ましくは2000~2500、より好ましくは2100~2400であるとよい。尚、この撚り係数Kは、ディップ処理後のコードの数値である。このような撚り係数Kを有するコードを用いることで、コード疲労性を良好にして優れた耐久性を確保することができる。このとき、コードの撚り係数Kが2000未満であると、コード疲労性が低下し、耐久性を確保することが難しくなる。コードの撚り係数Kが2500を超えると、コードの生産性が悪化する。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(式中、Tはコードの上撚り数[回/10cm]であり、Dはコードの総繊度[dtex]である。)
上記のように、カーカスコードはポリエステル繊維で構成されるが、ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN繊維)、ポリブチレンテレフタレート繊維(PBT)、ポリブチレンナフタレート繊維(PBN)を例示することができ、PET繊維を好適に用いることができる。いずれの繊維を用いた場合も、各繊維の物性によって、高速耐久性と操縦安定性とをバランスよく高度に両立するには有利になる。特に、PET繊維の場合は、PET繊維が安価であることから、空気入りタイヤの低コスト化を図ることができる。また、コードを製造する際の作業性を高めることもできる。
本発明の空気入りタイヤは、上述のコードを用いる一方で、主溝20の溝下におけるゴム厚さGaが2.5mm~4.0mm、好ましくは3.0mm~3.5mmに設定されている。このようにゴム厚さGaを適度に大きく保っているので、上述のようにベルトコードの使用量が抑制されても、それに起因してベルト折れが発生することを防止し、耐久性を維持・向上することができる。このとき、ゴム厚さGaが2.5mm未満であると、ベルト折れを十分に抑制することができず、耐久性を確保することが難しくなる。ゴム厚さGaが4.0mmを超えると高速耐久性を確保することが難しくなる。尚、ゴム厚さGaは、主溝20の最深部から最外周側の補強部材(図示の例ではベルト補強層8)の外表面までの、最外周側の補強部材に垂直に測定したトレッドゴム層11の厚さである。
上述の特徴に加えて、本発明では、トレッド部1を構成するゴム(トレッドゴム層11)の300%伸長時のモジュラスが、好ましくは3.0MPa~10.0MPa、より好ましくは4.0MPa~7.0MPaであるとよい。このような物性のゴムでトレッド部を構成することで、スノー性能と耐摩耗性を効果的に高めることができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述の各部材の物性や構造の協働によって、スノー性能を確保しながら、耐久性および対ショックバースト性を悪化させることなく、タイヤ重量の軽減を図り、これら性能をバランスよく両立するものである。そのため、本発明の空気入りタイヤは冬用タイヤに好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが245/40R21であり、図1に示す基本構造を有し、トレッド部に関して、主溝の溝下におけるゴム厚さGaとトレッド部を構成するゴムの300%伸長時のモジュラスと表1~3のように設定し、カーカス層に関して、カーカスコードの材質、破断伸び〔単位:%〕、カーカスコード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕、カーカスコードの延長方向と直交する方向50mm当たりのカーカスコードの打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕、これらの積A=D×Ecを表1~3のように設定し、ベルト層に関して、コード構造、素線径、ベルトコード1本あたりの断面積S〔単位:mm2/本〕、ベルトコードの延長方向と直交する方向50mm当たりのベルトコードの打ち込み本数Eb〔単位:本/50mm〕、これらの積B=S×Ebを表1~3のように設定した従来例1、比較例1~6、実施例1~21の空気入りタイヤを製作した。
表1~3において、カーカスコードの「破断伸び」は、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、つかみ間隔250mm、引張速度300±20mm/分の条件にて引張試験を実施して測定した。ベルトコードの「破断応力」は、JIS G3510に準拠して測定した。
表1~3のカーカスコードの材質の欄について、ポリエチレンテレフタレート繊維コードを用いた場合を「PET」と表示した。また、表1~3のベルトコードの構造の欄について、1×2構造の場合を「1×2」、単線ワイヤを用いた場合を「単線」と表示した。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、タイヤ重量、スノー性能、耐ショックバースト性(プランジャーエネルギー)、高速耐久性、ベルト折れの有無を評価し、その結果を表1~3に併せて示した。
タイヤ重量
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、従来例1の測定値に対する変化量〔単位:kg〕で示した。尚、重量が減少した場合は負の値で示した。
スノー性能
各試験タイヤをリムサイズ21×8 1/2Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして排気量2000ccの試験車両に装着し、氷雪路面において速度40km/hの走行状態から制動し、完全停止までの制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど氷雪路面での制動性能(スノー性能)が優れていることを意味する。
耐ショックバースト性(プランジャーエネルギー)
各試験タイヤを、リムサイズ21×8 1/2Jのホイールに組み付け、空気圧を220kPaとし、JIS K6302に準拠して、プランジャー径19±1.6mmのプランジャーを負荷速度(プランジャーの押し込み速度)50.0±1.5m/minの条件でトレッド中央部に押し付けるタイヤ破壊試験(プランジャー破壊試験)を行い、タイヤ強度(タイヤの破壊エネルギー)を測定した。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この値が大きいほど破壊エネルギー(プランジャーエネルギー)が大きく、耐ショックバースト性に優れることを意味する。特に、指数値が「130」以上の場合に、良好な性能が得られたことを意味する。
高速耐久性
各試験タイヤをリムサイズ21×8 1/2Jのホイールに組み付け、試験内圧を240kPaとし、ドラム表面が平滑な鋼製でかつ直径が1707mmであるドラム試験機を用い、周辺温度が38±3℃、走行速度が120km/h、荷重がJATMA最大荷重の88%の条件下で20分間走行させ、その後、20分ごとに走行速度を10km/hずつ加速し、タイヤに故障が生じるまでの走行速度を計測した。評価結果は、走行距離の測定値を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど故障が生じるまでの走行距離が大きく、高速耐久性が優れていることを意味する。尚、指数値が「98」以上であれば、従来例と同等程度の良好な高速耐久性が得られたことを意味する。
ベルト折れの有無
上記高速耐久性の試験後のタイヤを解体し、ベルトコードの破断(ベルト折れ)の有無を調べた。評価結果は、ベルト折れが発生した場合を「有」、ベルト折れが生じていなかった場合を「無」で示した。
Figure 2022019259000002
Figure 2022019259000003
Figure 2022019259000004
表1~3から判るように、実施例1~21のタイヤは、従来例1との対比において、耐久性および対ショックバースト性を悪化させることなく、スノー性能を確保し、且つ、タイヤ重量を軽減し、これら性能をバランスよく両立した。一方、比較例1は、カーカス層について積Aが小さいため、スノー性能が低下し、且つ、耐ショックバースト性を十分に改善することができなかった。比較例2は、カーカスコードの破断伸びが小さいため、耐ショックバースト性を十分に改善することができなかった。比較例3は、ベルト層について積Bが小さいため、ベルト折れが発生した。比較例4は、ベルト層について積Bが大きいため、タイヤ重量を軽減できなかった。比較例5は、主溝の溝下におけるゴム厚さGaが小さいため、ベルト折れが発生した。比較例6は、主溝の溝下におけるゴム厚さGaが大きすぎるため、高速耐久性が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
7c ベルトコード
8 ベルト補強層
11 トレッドゴム層
12 サイドゴム層
13 リムクッションゴム層
20 主溝
CL タイヤ赤道

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層とを有し、前記トレッド部の外表面にタイヤ周方向に延びる主溝が形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカス層はポリエステル繊維コードからなるカーカスコードで構成され、前記カーカスコードの破断伸びが20%~30%であり、且つ、前記カーカスコード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕と、前記カーカスコードの延長方向と直交する方向50mm当たりの前記カーカスコードの打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕との積A=D×Ecが1.8×105dtex/50mm~3.0×105dtex/50mmであり、
    前記ベルト層はスチールコードからなるベルトコードで構成され、前記ベルトコード1本あたりの断面積S〔単位:mm2/本〕と、前記ベルトコードの延長方向と直交する方向50mm当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数Eb〔単位:本/50mm〕との積B=S×Ebが5.0mm2/50mm~8.5mm2/50mmであり、
    前記主溝の溝下におけるゴム厚さGaが2.5mm~4.0mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記積Bが6.0mm2/50mm~7.0mm2/50mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム厚さGaが3.0mm~3.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルトコードが、1×2構造のコードまたは単線ワイヤであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ベルトコードを構成する素線の径が0.10mm~0.35mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記トレッド部を構成するゴムの300%伸長時のモジュラスが3.0MPa~10.0MPaであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 冬用タイヤであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2020122996A 2020-07-17 2020-07-17 空気入りタイヤ Pending JP2022019259A (ja)

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