JP2022017959A - 試料分析方法 - Google Patents

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JP2022017959A
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JP2020120831A
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健司 木下
Kenji Kinoshita
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Bio Education Lab
Aion Co Ltd
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Bio Education Lab
Aion Co Ltd
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  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
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Abstract

【課題】 生体試料の固定材料として試料の一定量を固定できる材料を用いることによって、精製工程を省いた迅速な生体試料分析方法を提供すること。【解決手段】 被験者の有する特定の核酸配列を同定する方法であって、A)前記被験者から体液を採取するステップと、B)前記体液を体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、D)前記容積一定乾燥体液部分を、逆転写酵素およびポリメラーゼに接触させ、逆転写および重合が生じる条件に供するステップと、E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップとを含む、方法。【選択図】 なし

Description

本開示は、生物学的または化学的な測定のための試料の採取、保存、保管、並びにその測定に関する。より詳細には、生体試料中の遺伝子分析のための試料の採取、保存、保管、並びにその測定に関する。
医療の現場では、生体内の状態、病原菌またはウイルス感染の有無を調べる際に生体から得られる試料を分析することが必要とされる。例えば、生体内の異常、病原菌またはウイルス感染が疑われる被験者の生体試料を用いて、当該生体内の状態、病原菌またはウイルス感染に関連する核酸の存在を調べることより、当該生体内の状態、病原菌またはウイルス感染の有無を調べることが可能になる。
ところで、このような病原菌またはウイルスに感染した被験者の生体内では、特に感染初期では、病原菌またはウイルスに関連する核酸量が微量にしか存在しないことが知られている。生体内の状態によっては、生体内の状態に関連する核酸量が微量であることも少なくない。また一方で、生体から得られた物質(例えば、血液や唾液)には夾雑物が多く含まれており、微量な核酸を検出しなければならないような精密な測定では、その測定に必要な酵素反応等を妨げることがあり、また生体試料からの情報を分析するのには、煩雑な精製工程を踏む必要がある。
本開示は、生体試料の固定材料として試料の一定量を固定できる材料を用いることによって、精製工程を省いた迅速な生体試料分析方法を提供する。
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1) 被験者の有する特定の核酸配列を同定する方法であって、
A)前記被験者から体液を採取するステップと、
B)前記体液を体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、
C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、
D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップと
を含む、方法。
(項目2) 前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬を含む液に直接添加する、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4) 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、項目3に記載の方法。
(項目5) 前記体液が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6A) 前記核酸増幅反応試薬は、鎖置換型DNA合成酵素、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写およびDNA合成からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9) 前記乾燥が室温での自然乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10) 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上(例えば、約65℃、約1時間、または約70℃、約15分など)の加熱乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11) 前記切除の切除径が直径約1~約4mmである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12) 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13) 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14) 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15) 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16) 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、項目15に記載の方法。
(項目17) 前記体液が病原体を含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18) 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、項目17に記載の方法。
(項目19) 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20) 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21) 被験者の有する特定の核酸配列を同定するシステムであって、
A)前記被験者から体液を採取する手段と、
B)前記体液を保持し乾燥させる体液固定器具と、
C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するための一定容積切除器具と、
D)核酸増幅反応試薬、および核酸増幅反応が生じる条件を生じるための装置と、
E)核酸を解析のためのデバイスと
を含む、システム。
(項目22) 前記容積一定乾燥体液部分が、前記逆転写酵素、ポリメラーゼ、並びに逆転写および重合が生じる条件を生じるための装置に直接供される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目23) 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目24) 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目25) 前記体液が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目26) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目27) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目28) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目29) 前記乾燥が室温での自然乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目30) 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上(例えば、約65℃、約1時間、または約70℃、約15分など)の加熱乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目31) 前記一定容積切除器具の切除径が直径約1~約4mmである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目32) 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目33) 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目34) 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目35) 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目36) 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目37) 前記体液が病原体を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目38) 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目39) 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目40) 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目41) 体液固定器具を含む、被験者の有する特定の核酸配列を同定するためのキットであって、
A)前記被験者から体液を採取するステップと、
B)前記体液を前記体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、
C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、
D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップと
を含む方法において用いられる、キット。
(項目42) 前記切除された体液固定器具が、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む液に直接添加される、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目43) 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目44) 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目45) 前記体液固定器具が唾液を採取するためのものである、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目46) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目47) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目48) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目49) 前記体液固定器具が室温で自然乾燥される、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目50) 前記体液固定器具が約65℃以上で約15分以上(例えば、約65℃、約1時間、または約70℃、約15分など)加熱乾燥される、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目51) 前記体液固定器具が直径約1~約4mmの切除径で切除される、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目52) 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目53) 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目54) 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジオスレイトール(DTT)である、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目55) 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目56) 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目57) 前記体液が病原体を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目58) 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目59) 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目60) 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、上記項目のいずれか一項に記載のキット。
(項目61) 核酸で提供される特定の核酸配列を増幅または同定する方法であって、
a)前記核酸を含む多孔質材料を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
b)ステップa)で増幅された核酸を解析するステップと
を含む、方法。
(項目62) 前記多孔質材料を、核酸増幅反応試薬を含む液に直接添加する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目63) 前記核酸増幅反応が生じる条件は約90℃で約30秒~約1分間のプレ変性反応から始まる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目64) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目65) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目66) 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目67) 前記核酸は、RNAを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目68) 複数の試料を一括処理する方法であって、
前記複数の試料を乾燥させる工程と、
乾燥させた前記複数の試料を混合する工程と、
混合した試料を1つの試料として処理する工程と
を含む、方法。
(項目69) 前記試料は核酸を含み、前記処理は遺伝子増幅解析を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目70) 前記処理はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目71) 前記PCR解析は、試料1つ分と同じ条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目72) 前記乾燥は、多孔質材料上で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目73) 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、上記項目のいずれか一項記載の方法。
(項目74) 前記PVAスポンジはRNA分解酵素阻害剤で処理されている、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目75) 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目76) 前記混合する工程は、少なくとも10個の試料を混合するものである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目77) 前記処理は病原菌感染のありなしを判定するものであり、前記複数の試料を個別に処理した場合に、陽性率が約1%以下と予想される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目78) 前記試料が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目79) 前記乾燥が室温での自然乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目80) 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上(例えば、約65℃、約1時間、または約70℃、約15分など)の加熱乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目81) 前記混合する工程は、乾燥させた各試料を含む試料固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥試料部分を作製し、当該容積一定乾燥試料部分を混合するものである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目82) 前記複数の試料がアルコール処理される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目83) 前記試料が病原菌またはウイルスを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目84) 前記処理する工程は、約10μl~約100μlの容量で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目85) 前記処理する工程は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目86) 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目87) 前記試料が病原体を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目88) 前記試料中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目89) 複数の試料を一括処理するためのシステムであって、
前記複数の試料を乾燥させる乾燥器具と
乾燥させた前記複数の試料を混合する混合デバイスと、
混合した試料を1つの試料として処理する試料処理部と
を含む、システム。
(項目90) 前記試料は核酸を含み、前記処理は遺伝子増幅解析を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目91) 前記処理はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目92) 前記PCR解析は、試料1つ分と同じ条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目93) 前記乾燥は、多孔質材料上で行われる、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目94) 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目95) 前記PVAスポンジはRNA分解酵素阻害剤で処理されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目96) 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジオスレイトール(DTT)である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目97) 前記混合デバイスは、少なくとも10個の試料を混合する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目98) 前記処理は病原菌感染のありなしを判定するものであり、前記複数の試料を個別に処理した場合に、陽性率が約1%以下と予想される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目99) 前記試料が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、項目89~98のいずれか一項に記載のシステム。
(項目100) 前記乾燥が室温での自然乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目101) 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上(例えば、約65℃、約1時間、または約70℃、約15分など)の加熱乾燥である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目102) 前記混合デバイスは、乾燥させた各試料を含む試料固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥試料部分を作製し、当該容積一定乾燥試料部分を混合するものである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目103) 前記複数の試料がアルコール処理される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目104) 前記試料が病原菌またはウイルスを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目105) 前記処理は、約10μl~約100μlの容量で行われる、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目106) 前記処理は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目107) 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目108) 前記試料が病原体を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目109) 前記試料中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
本開示により、簡便、かつ、好感度の核酸検査(例えば、ウイルス感染症の検査)を行うことができる。特に、SARS-CoV-2のようなパンデミック感染症の感染チェックを迅速かつ簡便に行える点が有利である。
図1Aは、本開示の一実施形態において、生体試料として唾液を固定した後に自然乾燥させた場合の病原菌またはウイルスの検出プロトコルを説明する模式図である。 図1Bは、本開示の一実施形態において、生体試料として唾液を固定した後に65℃で1時間加熱乾燥させた場合の病原菌またはウイルスの検出プロトコルを説明する模式図である。 図2Aは、本開示の一実施形態において、唾液を保持するPVAスポンジをPCR試薬に直接投入して反応を行う場合に、逆転写反応と重合反応を一度に行うための検出プロトコルを表す模式図である。 図2Bは、本開示の一実施形態において、唾液を保持するPVAスポンジをPCR試薬に直接投入して反応を行う場合に、最初に逆転写反応を行い、その後重合反応を行うための検出プロトコルを表す模式図である。 図3は、本開示の一実施形態において、ゲノムDNAを定量するための実験プロトコルを示す模式図である。蒸留水または血清にゲノムDNAを添加して、10、10、10、10/μLの溶液を調整し、体液固定器具に滴下後、パンチした小片をPCR溶液に直接投入してリアルタイムPCRをおこなった。 図4は、本開示の一実施形態において、蒸留水溶液で希釈したゲノムDNAのリアルタイムPCRの増幅結果である。10、10、10、10/μLの段階的な希釈物の増幅曲線を示している。 図5は、本開示の一実施形態において、血清溶液で希釈したゲノムDNAのリアルタイムPCRの増幅結果である。10、10、10、10/μLの段階的な希釈物の増幅曲線を示している。 図6は、本開示の一実施形態において、蒸留水溶液で希釈したゲノムDNAのリアルタイムPCRの標準曲線である。10、10、10、10/μLの段階的な希釈物の各濃度の対数(x軸)をその濃度におけるCt値(y軸)に対してプロットしている。 図7は、本開示の一実施形態において、一度に大量に処理するプール法(一括処理法)による検出プロトコルを説明する模式図である。一実施形態において、一度に10試料をまとめて、その10試料を1試料として扱うことができる。1試料としてまとめた試料から陽性が検出された場合には、その陽性試料に含まれる10試料を展開してさらに検査する。 図8は、本開示の一実施形態において、ウイルスの死滅を確認する実験プロトコルを説明する模式図である。ウイルス感染細胞を段階希釈し、各希釈試料を培養し、ウイルス定量法TCID50によって評価する。細胞が増殖した濃度をウイルスが失活していると評価する。 図9は、ウイルス定量法TCID50を説明する概念図である。 図10は、本開示の一実施形態において、本開示の試料分析方法をドライブスルー型で実施した場合の一連の流れを説明する模式図である。被験者自身が自宅または所定の検査場においてサンプリングを行い、滅菌バッグに入れ、自宅の場合には自身で乾燥後、検査機関に輸送し、検査場でサンプリングする場合には医療関係者によってアルコールおよび乾燥処理後に検査機関に輸送される。 図11は、本開示の一実施形態において、RT-LAMP法を用いて新型コロナウイルスを検出する場合の検査およびサンプリングプロセスを説明する模式図である。他の実施例と同様に、被験者自身が唾液をサンプリングし、体液固定器具に唾液を固定した後、乾燥し、滅菌バッグに封入して検査機関において検査が行われる。 図12は、熱処理後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の構造変化を示す模式図である。 図13は、本開示の一実施形態において、RT-LAMP法を用いて新型コロナウイルスを検出する際に、全数検査を行う場合の一連の流れを示す模式図である。唾液を固定した体液固定器具から一定容積を切除し、試薬に直接投入してRT-LAMP法によってウイルス核酸を増幅させる。 図14は、本開示の一実施形態において、RT-LAMP法を用いて新型コロナウイルスを検出する際に、プール法を用いて一括処理する場合の一連の流れを示す模式図である。唾液を固定した体液固定器具から一定容積を切除し、この切除片を10試料分まとめて試薬に直接投入して、RT-LAMP法によってウイルス核酸を増幅させる。陽性が確認された場合には、当該試料を展開し、当該陽性試料に含まれる10の試料を全数検査する。
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において「試料採取」、「採取」、または「サンプリング」とは、リキッドバイオプシーなどの検査法において、試料を抽出することをいい、そのための剤および材料は、それぞれサンプリング剤およびサンプリング材料という。
本明細書において「多孔質材料」とは、細孔を多く含む材料のことをいい、細孔の大きさは特に限られない。また一つの材料の中に含まれる細孔の大きさは一定であるとは限られない。例えば多孔質材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、繊維素材(例えば、織布、不織布、集合体)とスポンジとの複合品(所謂、綿棒)が含まれるが、これに限られるものではない。多孔質材料は、例えば、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる織布および/または不織布、有機/無機微粒子を賦形剤とともに圧縮成形してなる構造体、アセチルセルロースまたはニトロセルロースからなる多孔質メンブレンも含み得る。賦形剤は、例えば、結晶性セルロース、でんぷん、ケイ酸カルシウムなどを含むが、これらに限定されない。賦形剤は、例えば、圧縮成形によって保形性を有するものであれば単一組成での構成のものも含む。
本明細書において「PVAスポンジ」とは、PVAを架橋した多孔質の材料であり、その構造および作製方法は当技術分野で公知である。架橋は、ホルムアルデヒド等で行うことができる(架橋剤にアルデヒドを用いるものとしては特許第2994982号など、その他の例としては特開2001-302840などを参照)。
本明細書において「ポリビニルアルコール(PVA)」とは、ビニルアルコール<示性式(-CHCH(OH)-)>を重合させた任意の重合体をいい、ポリ酢酸ビニルを酸またはアルカリで加水分解することにより得られる、水酸基を有する水溶性の重合体である。ポバールまたはPVOHとも呼ばれる。任意のPVAがPVAスポンジを製造するために用いることができる。
PVAスポンジは、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、水溶性のPVA(ポリビニルアルコール、ポバール)に酸を触媒としてホルムアルデヒドを結合させるホルマール化反応により不溶性物質のPVF(ポリビニルホルマール)を製造し、その工程で気孔生成剤を加え、気孔の形成を行い不溶性のPVFが完成後この気孔生成剤を抽出し、完成したPVFは多孔質体となり立体的樹枝網目状連続気孔を形成する。この多孔質体がPVAスポンジである。
PVAスポンジは、その体積の90%近くを空隙で構成することができ、それでも基材として使用可能な構造的な強度を維持することが可能である。また、この空隙(気孔)を形成する基質部は、立体網目構造を成し、個々の気孔は全て連続化されている。このような一体構造がPVAスポンジの最大の特徴であり、これにより、数々の機能がもたらされる。加えて、PVAスポンジは、一般的なウレタンスポンジなどとは異なり、きわめて親水性が高く、また、縦横にめぐる微細気孔によって毛細管現象が生じるため、吸水性・保水性に非常に優れる。また、湿潤状態では柔軟性・弾力性があり、特に洗浄材や拭き取り材として使用する場合、対象物の表面を傷めることを防ぐことができる。
PVAスポンジは、市販されているもの(例えば、アイオン株式会社製)を用いることができる。PVAスポンジのパラメータとしては、スポンジの気孔径(平均気孔径)または気孔率を選択することができる。気孔率は、スポンジの体積に占める空隙の体積の割合である。
本明細書において「平均気孔径」は、気孔径の(算術)平均値であり、JIS R 1655:2003に基づき測定することができる。
本明細書において「気孔率」は、所定量の固体によって占められる、全体積に対する吸着可能な細孔及び空隙の体積の比であり、JIS R 1655:2003に基づき測定することができる。また、気孔率は、JIS Z 8837:2018に基づき測定することもできる。気孔率(ε)は、例えば、見かけ体積(Va)及び真体積(V)を測定した後、式:ε=(1―V/Va)×100(%)を用いて算出される。見かけ体積(Va)は、例えば直方体の場合には3辺(縦、横、高さ)の積により求められる直方体の体積である。また、真体積(V)は、見かけ体積(Va)から細孔及び空隙の体積を除いた体積であり、例えば、島津製作所製の乾式自動密度計アキュビック1330を用いて測定されることが可能である。
以下の表1は、アイオン株式会社にて提供されているPVAスポンジの物性を示す表である。本明細書の他の箇所において、下記の品番でPVAスポンジについて言及する場合は、アイオン株式会社製の当該品番のPVAスポンジを指す。
Figure 2022017959000001
FBとGBとは気孔径が大きいため、他の規格のPVAスポンジの方が生体試料のサンプリングにはより適していると考えられる。本開示の一つの実施形態では、PVAスポンジの気孔径は、約5~700μmである。本開示の一つの好ましい実施形態では、PVAスポンジの気孔径は、約80μm~約200μmである。例えば、スポンジに対して比較的浸透し易い生体試料(例えば、唾液、血液)の場合には、操作性の観点から、PVAスポンジの気孔径は、約40~300μm、より好ましくは80~200μmであることが有効である。
PVAスポンジの気孔率は、生体試料の吸収と保持を妨げない程度であれば任意の数値であり得る。本開示の一つの実施形態では、約50~98%であると共に、内部と連通する開口部を表面に多数備えるPVAスポンジが望ましい。本開示の一つの好ましい実施形態では、PVAスポンジの気孔率は、単位体積当たりの保持容量の確保と実用強度の両立を考慮すると、約80~95%であり、より好ましくは、約88~92%であり、最も好ましくは、約89%~91%である。なお、セルローススポンジの気孔率は、例えば、約90~96%であり得、好ましくは約93~95%であり得、ウレタンスポンジの気孔率は、例えば、約90~98%であり得、好ましくは約95~97%であり得る。
D(D)~EB(D)のPVAスポンジでは、生体試料のサンプリングにおいて性能の差はあまりないと考えられる。機械的な特性から見るとE(D)およびF(D)が最も取り扱いやすいと考えられる。
生体試料(例えば、唾液や血液)をPVAスポンジに滴下して乾燥させることによって、生体試料の生物学的または化学的分析のための試料を調製することができる。1つの実施形態では、生物学的分析は核酸分析または遺伝子分析である。
(試料)
本明細書において使用される「体液」とは、特定の対象となる核酸を含むと想定される任意の生体検体をいい、例えば、鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、および細胞組織などの生体試料または臨床試料の他、食品、ミクロソーム、食物、植物、動物などを挙げることができる。「体液」は、細胞、真菌、細菌またはウイルス、あるいはそれらの一部などの実体(entity)に含まれるDNAおよび/またはRNAを包含する試料を含むことができる。
増幅の対象となる遺伝子もしくは核酸または検出の対象となる特定遺伝子もしくは核酸はDNAであってもRNAであってもよい。この場合、本開示の一実施形態においては、体液を保持する「体液固定器具」を逆転写酵素およびポリメラーゼを含む反応液に直接添加して核酸増幅反応を行なうことにより、当該体液中に存在する核酸を直に増幅させることができる。体液固定器具はDNAおよび/またはRNAを包含する試料に含まれ得る、逆転写酵素およびポリメラーゼを阻害し得る物質の悪影響を低減または消失させる材料、例えば、PVAスポンジなどであってもよい。ここで、「直接添加」とは、核酸増幅に先立って、この核酸を包含する体液から核酸を抽出する過程が不要という意味である。また本開示の一実施形態において、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む反応液に直接添加する体液固定器具は、乾燥させることができ、さらに体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製してから、その容積一定乾燥体液部分を直接添加することもできる。
「容積一定乾燥体液部分」とは、例えば生検トレパンなどにより、パイプに詰めた組織または材料の一定量をパンチして切る取ることで得ることができる。このパンチのパンチ径は特に限られるものではなく、パンチする材料部分に含まれる所望の体液量に応じて、例えば直径約1~約4mmとすることもできる。またパンチする体液固定器具の厚みについても、そこに含まれる所望の体液量に応じて、適宜設定可能である。例えば体液として唾液を用いて、パンチ径を1、2、4mm、厚みを0.5、1.0、2.0mmとした場合に、含水量をパンチ体積×気孔率0.9とすると、パンチされた容積一定乾燥体液部分に含まれる体液量は以下の表2-1のとおりとなる。
Figure 2022017959000002
また、実際にパンチ径を1、2、4mm、厚みを1.0mmでパンチされた容積一定乾燥体液部分に水を吸水させると、約3倍の水分を吸水した(表2-2)。この吸水実験では、パンチした小片(E(D)、厚さ1mm、パンチ径2mmおよび4mm)の吸水重量と乾燥重量とを秤量し、吸水重量から乾燥重量を引いた値を算出した(n=3,平均値)。
Figure 2022017959000003
(リキッドバイオプシー)
本明細書において、「リキッドバイオプシー」とは、液体の生体試料を指し、血液、尿、唾液、精液等の体液の試料が含まれる。リキッドバイオプシーの分析は、従来の生検の採取に比較して、低侵襲性で検査を行うことができるが、従来よりも高感度(例えば、100~1,000倍)の検出を行わなければならない場合が多い。リキッドバイオプシーの分析では、液中に漏れ出た生体分子を分析することになるためである。例えば、リキッドバイオプシーの分析には、ウイルス検出、血中循環がん細胞(CTC)、血中循環異常細胞(CAG)、幹細胞、血中循環がん遺伝子(CTG)、セルフリー遺伝子(cfDNA)、マイクロRNA(miRNA)、血中微量分子、ペプチド、マイクロパーティクル等の分析が含まれる。
(遺伝子分析)
本明細書において、「核酸の解析」とは生体試料中の核酸(DNA、RNA等)の状態を調べることをいい、特に断らない限り遺伝子分析と同義で用いられる。一実施形態では、核酸の解析には、核酸増幅反応を利用するものを挙げることができる。これらを含め、核酸解析の例としては、配列決定、遺伝子型判定・多型分析(SNP分析、コピー数多型、制限酵素断片長多型、リピート数多型)、発現解析、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)、SYBR green法、融解曲線分析、リアルタイムPCR、定量RT-PCR、デジタルPCRなどを挙げることができる。核酸解析の1つの例は、TaqManプローブ法による遺伝子型の判定である。蛍光消光プローブ法については、https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol08_02/vol08_02_p18_p19.pdf等に記載されている。
そのような核酸解析においては、核酸の増幅反応を伴うことが一般的である。生体試料(例えば、血液または唾液)を直接核酸増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))の反応液に添加すると、生体試料中の物質による作用で、増幅反応(例えば、Taq DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ)が阻害される場合がある。PVAスポンジに生体試料(例えば、血液または唾液)を滴下して調製した試料では、かかる増幅反応の阻害が抑制される。理論に拘束されるものではないが、PVAスポンジが、PCR増幅を阻害する物質(ヘム、多糖類、ポリフェノール、フルボ酸、色素、イオンなど)を除去する能力を有しているためであると考えられる。
(ポリメラーゼ)
本開示の一実施形態で使用され得る核酸増幅反応においては、核酸ポリメラーゼが用いられる。一実施形態では、核酸解析に用いられるDNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼに代表される、プライマー付加による核酸を合成する耐熱性に優れたポリメラーゼであれば特に制限なく用いることができる。本開示で特に利用される核酸増幅反応は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いるものである。理論に束縛されることを望まないが、KODポリメラーゼを用いると、増幅方法が異なるため、Taqman DNAポリメラーゼのように標識で検出できず、制限酵素での切断パターンでの解析を余儀なくされるため、煩雑な手法であるがTaq DNAポリメラーゼのような5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることで、簡便な解析を実現することができるからである。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼには、Family A(Pol I型)のDNAポリメラーゼが含まれる。
このようなDNAポリメラーゼとしては、たとえばThermus aquaticus由来のTaq DNAポリメラーゼの他、Tth DNAポリメラーゼ、あるいは上述したDNAポリメラーゼの少なくともいずれかの混合物などを挙げることができる。なお、Tth DNAポリメラーゼおよびCarboxydothermus hydrogenoformans由来のC.therm DNAポリメラーゼは逆転写(RT)活性も有しているため、RT-PCRをOne tube-One stepで行なうときに、1種類の酵素で賄うことができるという特徴を有している。すなわち、本開示において、ポリメラーゼおよび逆転写酵素は、別々の酵素によって実現されてもよく、単一の酵素によって実現されてもよい。一実施形態では、他のポリメラーゼを用いる方法も利用し得るが、試料を直接Taq DNAポリメラーゼのような5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼに用いることが簡便な方法として推奨される。本開示の一実施形態においては、唾液などの生体試料を直接、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いた解析法(例えば、いわゆるTaqman法またはそれと同等の手法)に適用することができる。このようなことは、従来技術では達成できなかったことである。
ポリメラーゼを用いた反応としては、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification:ループ介在等温増幅)法、SDA(Strand Displacement Amplification:鎖置換増幅)法、RT-SDA(Reverse Transcription Strand Displacement Amplification:逆転写鎖置換増幅)法、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法、RT-LAMP(Reverse Transcription Loop-Mediated Isothermal Amplification:逆転写ループ介在等温増幅)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification:核酸配列に基づいた増幅)法、TMA(Transcription Mediated Amplification:転写介在増幅)法、RCA(Rolling Cycle Amplification:ローリングサイクル増幅)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids:等温遺伝子増幅)法、UCAN法、LCR(Ligase Chain Reaction:リガーゼ連鎖反応)法、LDR(Ligase Detection Reaction:リガーゼ検出反応)法、SMAP(Smart Amplification Process)法、SMAP2(Smart Amplification Process Version 2)法、PCR-インベーダー(PCR-Invader)法、Multiplex PCR-Based Real-Time Invader Assay (mPCR-RETINA)、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)などを挙げることができる。好ましくは、いわゆるTaqman法が用いられる。バッファーは特に制限されないが、EzWay(商標)(KOMA Biotechnology)、Ampdirect(登録商標)((株)島津製作所製)、Phusion(登録商標)Blood Direct PCR kitバッファー(New ENGLAND Bio-Labs)、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)などのうち、増幅阻害の除去の効果を減弱しないものを用いることができる。またLAMP法も好ましく用いることができ、LAMP法は(1)遺伝子増幅反応が等温で進行する、(2)6領域を認識する4種類のプライマーを使用するため特異性が高い、(3)増幅効率が高く、短時間に増幅可能、(4)増幅産物量が多く、簡易検出に適しているといった点で好ましい。また対象のRNAから逆転写酵素によりcDNAを合成し、得られたcDNAをLAMP法を用いて増幅するRT-LAMP法も同様に好ましく用いることができる。さらに、(1)標的配列を特異的に検出することができ、(2)等温核酸増幅により短時間で高感度に検出することができ、(3)検体RNAに加える試薬が少なく、(4)逆転写から検出まで1ステップで行うことができるSMAP法も好ましく用いることができる。
本開示の一つの好ましい実施形態では、PVAスポンジなどの多孔質材料を用いることが有利である。理論に束縛されることを望まないが、PCR、LAMP法、RT-LAMP法、SMAP法などの各種増幅技術を応用した検出方法が直接行える点で有利であり、特にPVAスポンジを用いる場合、再現性や、簡便性等の点で優れている。
本開示における反応に用いられるプライマーは、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子を決定した時点で、適宜公知の方法で設計することができる。本開示における反応に用いられるプライマーは、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子を特異的に増幅することができるものであれば特に制限されない。
本開示における体液に含まれる核酸の増幅または体液に含まれる遺伝子の検出は、プレート状またはチューブ状の不溶性担体上で行うことが好ましい。このような不溶性担体としては、反応液に対して不溶なプラスチック、ガラスなどからなるチューブのほか、96穴ウェルなどを挙げることができる。なお、チューブ状とは、中空状態のものをいい、底があるPCRチューブや、エッペンドルフチューブのような形状であってもよい。
具体的には、まず、プレート状またはチューブ状の不溶性担体に反応液を投入する。チューブ状の不溶性担体である場合には、その内部にバッファー、ポリメラーゼおよびプライマー等の試薬を含有する反応液を投入し、プレート状の不溶性担体である場合には、その表面に前記反応液を置く。そして前記反応液に、検査対象となる体液を含む多孔質材料を直接投入し、上述したPCR法、LAMP法、RT-LAMP法、SMAP法などの増幅方法を行う。
本明細書で用いられる定量PCRとしては、公知のリアルタイムPCR等の任意の公知の手法を用いて行うことができる。これらの手法は、蛍光試薬などの標識を用いてDNAの増幅量をリアルタイムで検出する方法であり、代表的に、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を必要とする。このような装置は市販されている。用いる蛍光試薬によりいくつかの方法があり、例えば、インターカレンター法、TaqManTMプローブ法、Molecular Beacon法等が挙げられる。いずれも、鋳型ゲノムDNAおよび目的のSNP部位を含むゲノム領域を増幅するためのプライマー対を含むPCR反応系に、インターカレーター、TaqManTMプローブまたはMolecular Beaconプローブと呼ばれる蛍光試薬または蛍光プローブを添加するというものである。本開示で好ましく用いられるTaqManTMプローブ法(TaqManTM法ともいう)では、TaqManTMプローブは両端を蛍光物質と消光物質のそれぞれで修飾した、標的核酸の増幅領域にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドであり、アニーリング時に標的核酸にハイブリダイズするが消光物質の存在により蛍光を発せず、伸長反応時にDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により分解されて蛍光物質が遊離することにより蛍光を発する。従って、蛍光強度を測定することにより増幅産物の生成量をモニタリングすることができ、それによって元の鋳型DNA量を推定することができる。
Taqmanアッセイによるコピー数分析は、例えば、当該分野で公知の手法である。Taqmanアッセイは、蛍光発生5’-ヌクレアーゼアッセイとも称される5’-ヌクレアーゼアッセイによるものであり;Holland et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-7280 (1991);およびHeid et al., Genome Research 6:986-994 (1996)を参照することができる。
TaqMan PCRの手順では、PCR反応に特異的なアンプリコンの作製のために、2つのオリゴヌクレオチドプライマーが用いられる。第三のオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)が、2つのPCRプライマーの間に位置するアンプリコン中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするように設計される。プローブは、PCR反応で用いられるDNAポリメラーゼによって伸長できない構造を有してよく、通常は(必須ではないが)、互いに近接する蛍光レポーター染料および消光剤部分によって共標識される。レポーター染料からの発光は、蛍光体および消光剤が、プローブ上でそうであるように、近接している場合に、消光部分によって消光される。いくつかの場合では、プローブは、蛍光レポーター染料または別の検出可能部分だけで標識されてよい。
TaqMan PCR反応では、5’-3’ヌクレアーゼ活性を持つ熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを用いる。PCR増幅反応の間、DNAポリメラーゼの5’-3’ヌクレアーゼ活性により、鋳型特異的な様式でアンプリコンとハイブリダイズする標識プローブを開裂する。得られるプローブ断片は、プライマー/鋳型複合体から解離し、そして、レポーター染料は、消光剤部分の消光効果から解放される。新たに合成される各アンプリコン分子に対しておよそ1分子のレポーター染料が遊離され、未消光レポーター染料を検出することで、放出される蛍光レポーター染料の量がアンプリコン鋳型の量に正比例するという形でのデータの定量的解釈のベースが提供される。
TaqManアッセイデータの1つの尺度は、通常、閾値サイクル(threshold cycle;CT)として表される。蛍光レベルは、各PCRサイクルの間に記録され、増幅反応にてその時点までに増幅された産物の量に比例している。蛍光シグナルが統計的に有意であるとして最初に記録された際の、または蛍光シグナルが他の何らかの任意レベル(例えば、任意蛍光レベル(arbitrary fluorescence level;AFL))を超える場合のPCRサイクルが、閾値サイクル(CT)である。5’-ヌクレアーゼアッセイのためのプロトコルおよび試薬は、当業者に公知であり、様々な参考文献に記載されている。例えば、5’-ヌクレアーゼ反応およびプローブは、米国特許第6,214,979号(Gelfand et al.);米国特許第5,804,375号(Gelfand et al.);米国特許第5,487,972号(Gelfand et al.);Gelfand et al.第5,210,015号(Gelfand et al.)等を参照することができる。
TaqManTMPCRは、市販のキットおよび装置を用いて行うことができ、例えば、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,CA、USA)、LightCycler(登録商標)(Roche Applied Sciences,Mannheim, Germany)などである。好ましい実施形態では、5’-ヌクレアーゼアッセイ手順は、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection Systemなどのリアルタイム定量的PCR装置上で行われるがこれに限定されない。このシステムは、代表的に、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合デバイス(CCD)、カメラ、およびコンピュータから構成される。このシステムは、サーモサイクラー上の96ウェルなどのマイクロタイタープレートフォーマット中の試料を増幅する。増幅の間、ウェルすべてについて、レーザー誘導蛍光シグナルが光ファイバーケーブルを通してリアルタイムで集められ、CCDカメラで検出される。このシステムは、機器の運転およびデータの解析のためのソフトウェアを含む。
Taqman法の具体的手順の他の例としては、例えば、CYP2D6について報告されたTaqmanアッセイを使用することができる(Bodin et al., J Biomed Biotechnol. 3: 248-53 2005)。この場合、必要に応じて正確なデータを得るために、Primer Express等によって新たなリバースプライマーを設計し、コピー数分析を再度実施することもできる。Taqmanプローブは5’末端がFAMで標識され、3’末端にNo Fluorescence Quencher およびMGBを連結したものを用いることができる。参照遺伝子として、適切な標識(例えば、VIC)で標識したRNase P assay(ThermoFisher)を使用することができる。全てのTaqmanアッセイを製造業者から入手され得る、報告されたプロトコルに従って実施し、コピー数計算をΔΔCt法によって実施することができる(Bodin et al., 2005)。1つの例としては、ΔCt値の中央値を有する試料を2コピーと仮定し、キャリブレータとして使用することができるがこれに限定されない。全ての試料を2連で試験し、平均コピー数値を散布プロット分析で使用することができるが、試料数は必要に応じて増減することができる。
本開示におけるリアルタイムPCR試薬として、TaqPathTM ProAmpTM Master Mixを使用することができる。TaqPathTM ProAmpTM Master Mixの特長としては、並外れたデータ品質(PCR阻害物質の存在下でも、ジェノタイピングおよびコピー数多型(CNV)解析において、高い特異性、ダイナミックレンジ、および再現性を提供できる)や、PCR阻害物質に対する耐性(ヒトや動物由来の調製試料(頬腔スワブ、血液、およびカードパンチ)に対応可能であること)が挙げられる。本開示の一実施形態においては、多孔質材料に保持させた体液から、核酸を抽出または精製せずに、多孔質材料のまま反応に供することが可能である。例えば、体液(血液、血清、血漿、唾液等)を接触させた多孔質材料を、反応液に直接添加することもできる。本開示の一実施形態においては、多孔質材料を体液と接触させた後、多孔質材料を必要に応じて乾燥させることができる。
デジタルPCRにおいては、核酸の混合物を、あるウェルは1個のターゲット分子を含む一方、他のウェルにはターゲットを含まない程度に多数の反応ウェルに分配する。各反応液で通常のPCRを実施し、ターゲット分子を含まないウェルを同定する。標準的な統計モデルで補正計算を行い最終的な濃度の値を得ることができる。デジタルPCRではコピー数の定量にCt値を使用しないので、絶対定量において既知のスタンダードとの比較が不要となる。
本開示の技術は、循環核酸(例えば、循環無細胞核酸)の分析のためのものであり得る。本明細書において、「循環核酸」とは、生体内(特に血中)を循環する核酸を言う。循環核酸のうち、細胞を含まないものを、本明細書において「循環無細胞核酸」という。本明細書において循環核酸は、例えば、血中DNA、ウイルスDNAまたはウイルスRNAであり得る。循環核酸は、場合により、体外に排出される体液(唾液など)にも滲出することがあることから、循環核酸には唾液等の体液に含まれる核酸も包含される。
本明細書において「デジタルPCR」とは、核酸の検出および定量のための方法であって、内部標準または内因性コントロールに頼らず、標的分子数を直接カウントすることで実現される方法をいう。
絶対定量の手法は、当技術分野において公知であり、代表的に、標準試料を用いて検量線を作成し、未知試料の絶対量を測定する方法により実現することができる。通常、絶対量(コピー数)が既知で、未知試料と同じ配列を持った標準試料が必要である。例えば、タカラバイオから入手可能なBacteria(tufgene) Quantitative PCR Kit等を用いることができるがこれらに限定されない。
(逆転写酵素)
本明細書において、「逆転写酵素(RT)」という用語は、その最も広い意味で使用されて、本明細書で開示され、または当技術分野で知られている方法によって測定される逆転写酵素活性を示す任意の酵素を指し、RNA鎖を鋳型として利用してDNA鎖(すなわちcDNA)を合成する酵素(例えば逆転写酵素、DNAポリメラーゼをさらに有してもよい)をいう。レトロウイルス、他のウイルス、および細菌由来の逆転写酵素、ならびに、Tth DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tne DNAポリメラーゼ、Tma DNAポリメラーゼなどの逆転写酵素活性を示すDNAポリメラーゼを含む。レトロウイルス由来のRTには、それだけに限らないが、モロニーネズミ白血病ウイルス(M-MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT、ならびに(その全体を参照により本明細書に組み込む)米国特許出願第2003/0198944号に記載のものが含まれる。総説については、例えば、Levin, 1997, Cell, 88:5-8;Brosiusら、1995, Virus Genes 11:163-79を参照されたい。ウイルスに由来する既知の逆転写酵素は、RNA鋳型からDNA転写物を合成するのにプライマーを必要とする。逆転写酵素は、RNAをcDNAへと転写するのに主に使用され、次いでそのcDNAをさらなる操作用のベクターにクローン化し、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、転写媒介性増幅(TMA)や自己保持配列複製(3SR)などの様々な増幅方法で使用することができる。レトロウイルス、他のウイルス、および細菌由来の逆転写酵素、ならびに、Tth DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tne DNAポリメラーゼ、Tma DNAポリメラーゼなどの逆転写酵素活性を示すDNAポリメラーゼを含む。レトロウイルス由来のRTには、それだけに限らないが、モロニーネズミ白血病ウイルス(M-MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT、ならびに(その全体を参照により本明細書に組み込む)米国特許出願第2003/0198944号に記載のものが含まれる。総説については、例えば、Levin, 1997, Cell, 88:5-8;Brosiusら、1995, Virus Genes 11:163-79を参照されたい。ウイルスに由来する既知の逆転写酵素は、RNA鋳型からDNA転写物を合成するのにプライマーを必要とする。逆転写酵素は、RNAをcDNAへと転写するのに主に使用され、次いでそのcDNAをさらなる操作用のベクターにクローン化し、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、転写媒介性増幅(TMA)や自己保持配列複製(3SR)などの様々な増幅方法で使用することができる。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
(核酸同定法)
本開示の一局面において、被験者の有する特定の核酸配列を同定する方法であって、A)前記被験者から体液を採取するステップと、B)前記体液を体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬(例えば、必要に応じて逆転写酵素、ポリメラーゼなど)に接触させ、核酸増幅が生じる条件(例えば、逆転写および/または重合もしくはDNA合成が生じる条件)に供するステップと、E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップとを含む、方法が提供される。
本開示において、A)前記被験者から体液を採取するステップは、被験者から体液を取得できる手法であれば、どのような手法を用いてもよい。例えば、体液採取器具などを用いて体液を取得してもよく、体液採取器具としては、体液を採取するため器具であればよい。体液採取器具は、対象の体液を採取し得る限り、本明細書の説明に従って、任意の形態、材料、それらの組み合わせを採用し得ることが理解され、一体化された器具として提供されてもよく、別々の部品として提供され、その後に組み立てる(アセンブルする)形態で提供されてもよい。
本開示において、B)前記体液を体液固定器具に配置し乾燥させるステップは、体液を配置することができ、その体液を乾燥させることができる形状や構造をしている限り、どのような体液固定器具を用いてもよく、そのような体液固定器具への体液の配置は、体液採取器具などを用いてもよく、直接体液固定器具に生体から配置してもよい。乾燥もまた、どのような手法を用いてもよく、風乾を含む自然乾燥や、高温での加熱乾燥などを用いてもよい。体液固定器具としては、体液を固定するため器具であればよく、対象の体液を固定し、その状態で乾燥することができる限り、本明細書の説明に従って、任意の形態、材料、それらの組み合わせを採用し得ることが理解され、一体化された器具として提供されてもよく、別々の部品として提供され、その後に組み立てる(アセンブルする)形態で提供されてもよい。あるいは、一体化された器具として提供される場合、さらに包装物(袋など)で包装された形で提供されてもよい。体液固定器具の材質は、体液などの目的物と相互作用しない任意のものであり得、好ましくは、耐熱性を有し、好ましくは、紙製であるが、例えば、プラスチック製であってもよい。体液固定器具の形状は、体液を乾燥させるための空間を形成することができる限りにおいて任意であり、好ましくは、固定された体液を乾燥させる場所を保護することが可能な形状を有し得る。体液固定器具は、例えば、一部分を折り返して蓋を形成することが可能な形状を有していてもよいし、通気性のある箱型であってもよい。
本開示において、C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップもまた、体液を含む部分の一定容積を取得し得る手法である限り、どのような手法を用いてもよい。PVAスポンジなどのシートを用いる場合、シート厚が一定であること、およびシートに含ませられる液体の量が一定であることから、一定の面積を切除することで、一定容積の試料を取得することができる。例えば、一定容積を取得し得る手段としては、パンチなどの一定容積切除器具を用いることができ、一定容積切除器具としては、生検トレパンを挙げることができる。生検トレパンを用いる場合には、機器の先端に備えられた刃先付きパイプを体液固定器具に押し付け、パイプに詰まった組織を取り出して容積一定乾燥体液部分を作製することができる。生検トレパンを用いる場合には、必要な体液量に応じて、体液固定器具の厚みや、刃先のパンチ径を1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、4.0mmなどとすることができる。また一定容積切除器具として、自動パンチ装置を使用することもできる。
本開示において、D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬(例えば、必要に応じて逆転写酵素、ポリメラーゼなど)に接触させ、核酸増幅が生じる条件(例えば、逆転写および/または重合もしくはDNA合成が生じる条件)に供するステップもまた、体液に含まれると予想される核酸(RNA、DNAなど)が核酸増幅反応試薬(例えば、必要に応じて逆転写酵素、ポリメラーゼ(鎖置換型DNA合成酵素であってもよい)など)に接触される条件であれば、どのような手法を用いてもよく、逆転写酵素およびポリメラーゼ等の2種類以上の酵素を用いる場合、同時に2つの酵素あるいは2つの酵素活性を有する単一の酵素に接触されてもよく、別々の2つの酵素に接触されてもよい。別々の場合、RNAを増幅する場合は逆転写酵素に最初に接触されることが好ましい。容積一定乾燥体液部分の逆転写酵素およびポリメラーゼへの接触は、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む溶液に容積一定乾燥体液部分を加えることや、容積一定乾燥体液部分を緩衝液などに入れ逆転写酵素およびポリメラーゼを加えてもよい。
本開示において、E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップもまた、どのような解析手法を用いてもよい。増幅した核酸を次世代シーケンサ(NGS)等の配列決定装置で個々の配列を決定することで解析してもよく、制限酵素などでの酵素処理による断片の解析であってもよい。あるいは、プローブなどを用いて特定の配列が存在するかどうかを検査してもよく、リアルタイムPCRであれば、増幅曲線を分析することで核酸解析を行うこともできる。核酸解析としては、例えば核酸増幅反応、核酸(例えば、DNA)合成反応や逆転写反応を含む遺伝子解析を挙げることができる。これらを含め、核酸解析の例としては、配列決定、遺伝子型判定・多型分析(SNP分析、コピー数多型、制限酵素断片長多型、リピート数多型)、発現解析、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)、SYBR green法、融解曲線分析、リアルタイムPCR、定量RT-PCR、デジタルPCRなどを挙げることができる。核酸解析の1つの例は、TaqManプローブ法による遺伝子型の判定である。
一実施形態において、前記体液固定器具は多孔質材料を含み、この多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、繊維素材(例えば、織布、不織布、集合体)とスポンジとの複合品(所謂、綿棒)などを用いることができるが、細孔を多く含む材料であれば特に限られるものではない。多孔質材料は、例えば、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる織布および/または不織布、有機/無機微粒子を賦形剤とともに圧縮成形してなる構造体、アセチルセルロースまたはニトロセルロースからなる多孔質メンブレンも含み得る。賦形剤は、例えば、結晶性セルロース、でんぷん、ケイ酸カルシウムなどを含むが、これらに限定されない。賦形剤は、例えば、圧縮成形によって保形性を有するものであれば単一組成での構成のものも含む。
例えば多孔質材料としてPVAスポンジを用いる場合、リキッドバイオプシーを含む生体試料のサンプリングに有用である。PVAスポンジは、生体試料中のポリメラーゼ増幅活性阻害成分の阻害を抑制することができる。PVAスポンジは微生物(例えば、細胞)を捕捉することができ、また核酸の安定化に資することもできる。
PVAスポンジを用いたサンプリングは、迅速、簡便、かつ安価に行うことができる。PVAスポンジを用いることにより、工程が短縮され(工程数の減少および時間の短縮などを含む)、これによって、信頼性が高まり、人件費を削減することができる。また、試料間のDNA品質格差が最小化される。PVAスポンジは絶対定量に用いることも可能であり、絶対定量は、複数回の測定を行う場合(例えば、被験体のモニタリング)には重要である。加えて、PVAスポンジは乾燥後、室温で試料の保存、郵送が可能であり、取扱い易さにも優れる。
本開示の一実施形態において、体液は唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むことができるが、リキッドバイオプシーに利用可能な検体であれば特に限られるものではない。例えばPVAスポンジを利用して唾液サンプリングを行う場合の利点としては、唾液の方が鼻腔ぬぐい液より、病原体やウイルスなどの核酸が微量にしか存在しない場合にも、検出感度および特異性が高いことが挙げられる。鼻腔ぬぐい液の採取方法は、採取試料量が不確定であり、そのため定量性がない。一方で、PVAスポンジを利用して唾液をサンプリングする場合には定量的に採取可能であり、例えば唾液1mL中の病原体やウイルス量を定量することが可能となる。
また唾液の場合には、自己で採取が可能という利点も挙げられる。感染性の病原体やウイルスなどを検出する場合には、従来の検査方法では検体採取の医療スタッフが被験者に接する必要があり、医療スタッフが当該病原体やウイルスに感染するおそれがある。一方で、PVAスポンジを利用して唾液をサンプリングする場合には、医療行為に当たらず、自己で唾液のサンプリングが可能なため、医療スタッフは安全に保存された検体を受け取るだけでいいため、医療スタッフの感染の可能性が低下する。鼻腔ぬぐい液の採取は医療行為にあたるものの、唾液の採取は医療行為外(薬剤師を含む誰でも取扱いが可能)であり、その利便性は高い。
また試料を採取し、保存容器に梱包し、輸送し、保存し、試料溶液の分注作業を行うという各段階において2次感染の問題があるところ、医師以外がサンプリング可能とすることで、かかる問題は解決可能となる。2次感染防止の観点から、PVAスポンジを界面活性剤(Tween20,Tritone X-100)などで処理することも可能である。さらに、PVAスポンジを利用して唾液をサンプリングする場合には、サンプリング後、輸送中に自然乾燥させることができるという利点も存在する。またアルコールや次亜塩素酸ソーダなどを噴霧することもでき、通常、約60℃以上での約10分~約1時間の加熱乾燥も可能であり、加熱温度は例えば、約60℃~約90℃、約60℃~約85℃、約60℃~約80℃、または約60℃~約75℃であってもよく、約60℃~約70℃や約60℃~約65℃であってもよい。加熱時間は約15分、約20分、約30分、約40分、約50分等であってもよい。例えば、約65℃で約1時間、約70℃で約15分でもウイルス感染を防止できたことが本開示において示されている。
また新生児スクリーニング用の自動パンチ機を使用することにより、作業効率が向上し、検査反応液に直接PVAスポンジ片を投入してRT-PCR等の反応を行うダイレクトPCRが可能となる。また単にPVAスポンジに唾液を滴下し、そのスポンジ片を用いるだけであるため、DNA抽出・精製のコストを削減することもできる。また一定容積をパンチすることができるため、唾液や血液中のRNA/DNA(コピー数)を絶対定量することもできる。
本開示の一実施形態において、体液を体液固定器具に保持させたのち、当該体液固定器具を乾燥させることができる。この場合、この乾燥は室温での自然乾燥としても良いし、通常、約60℃以上での約10分~約1時間の加熱乾燥としてもよい。加熱温度は例えば、約60℃~約90℃、約60℃~約85℃、約60℃~約80℃、または約60℃~約75℃であってもよく、約60℃~約70℃や約60℃~約65℃であってもよい。加熱時間は約15分、約20分、約30分、約40分、約50分等であってもよい。例えば、約65℃で約1時間、約70℃で約15分でもウイルス感染を防止できたことが本開示において示されている。乾燥の手段としては、特に限られるものではないが、例えば体液固定器具自体の形状を、体液を乾燥させるように構成してもよく、この場合、体液固定器具は、体液を保持するための体液固定部と、蓋部とを備え、前記体液固定器具は、前記体液固定部における体液を乾燥させるための空間を前記蓋部が形成するように、折り畳み可能なように構成されている、体液固定器具が提供される。このような構成によれば、体液固定部における体液を乾燥させるための空間が設けられているため、体液工程部に保持された体液は、体液固定器具が輸送されている最中に自然乾燥されることができる。
本開示の一実施形態において、乾燥の手段としては、上記のような体液固定部に、体液の乾燥を促進させるための熱源をさらに備えることも可能である。熱源としては、体液固定器具または体液固定部に接着できるものが好ましく、化学反応などで熱を自発的に発するものであってもよく、または蓄えた熱を放出するものであってもよい。例えば熱源としては、鉄の酸化反応による発熱を利用したカイロなどが含まれる。また本開示の他の一実施形態において、乾燥の手段としては、乾燥機などを用いて体液固定器具を通常、約60℃以上での約10分間~約1時間加熱乾燥させることもできる。加熱温度は例えば、約60℃~約90℃、約60℃~約85℃、約60℃~約80℃、または約60℃~約75℃であってもよく、約60℃~約70℃や約60℃~約65℃であってもよい。加熱時間は約15分、約20分、約30分、約40分、約50分等であってもよい。例えば、約65℃で約1時間、約70℃で約15分でもウイルス感染を防止できたことが本開示において示されている。
また本開示の一実施形態において、検体採取後の2次感染防止の手段として、上記のような乾燥に加えて、アルコールや次亜塩素酸ソーダのスプレーによって病原体やウイルスを不活性化させることもできる。また本開示の一実施形態において、このような病原体やウイルスの不活性化処理としては、体液固定器具または体液固定部をTween20やTritone X-100などの界面活性剤で処理することもできる。
また本開示の一実施形態において、RNaseによるRNAの分解を防止するため、体液固定器具または体液固定部をアジ化ナトリウムやジチオスレイトール(DTT)などのRNA分解酵素阻害剤で処理することもできる。
本開示の一実施形態において、乾燥させた体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製し、その容積一定乾燥体液部分を、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む反応液に直接添加することもできる。この場合、逆転写反応およびポリメラーゼによる重合反応は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応から始めることができ、または諸条件の逆転写反応を行う前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応から始めることもできる。このような逆転写や重合の条件は、用いる試薬に応じて適宜設定することができ、本開示の一実施形態においては、容積一定乾燥体液部分を、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む反応液に直接添加するために、Tth DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ活性に加えて逆転写活性を備える酵素を用いるのが好ましい。
本開示の一実施形態において、体液固定器具に保持される体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLとすることができるが、分析する対象や分析の種類によって適宜設定可能である。また本開示の一実施形態において、体液固定器具に保持される体液は少なくとも約1μlとすることができ、この体液量についても、分析する対象や分析の種類、また体液に含まれる病原体数に応じて、適宜増減させることもできる。このような体液が体液固定器具に保持され、この体液固定器具の一定の容積が切除されるように、容積一定乾燥体液部分が作成される。一実施形態においては、容積一定乾燥体液部分は例えば直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約20μl(含水実験からの推定値)の体液を含むことができる。
本開示の一実施形態において、PCRの試薬調整およびその後の核酸解析は、例えば、SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit PCR Master Mix(Nセット2)(富士フィルム和光純薬)を用いることができる。このキットで使用する酵素はTth DNA Polymeraseであり、この酵素は高度好熱菌Thermus thermophilus HB8由来の耐熱性DNA Polymeraseである。この酵素は逆転写活性を持ち、その活性はMn2+存在下にて強く促進される。この性質を利用して、逆転写反応とPCRとを同じ酵素で行う(1-step RT-PCR)ことができる。このキットを用いた場合の試薬組成および反応条件は以下の表3および4のとおりである。
Figure 2022017959000004
Figure 2022017959000005
最初の90℃30秒(必要に応じて1分)のホットスタートがPVAスポンジなどの多孔質材料からRNAなどの核酸を溶出させる重要なキーポイントとなる。
他の一実施形態において、PCRの試薬調整およびその後の核酸解析は、例えば、SARS-CoV-2 Detection Kit PCR Master Mix(N2set)(東洋紡)を用いることができる。このキットでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの計2種類の酵素を用いており、核酸解析を2酵素系でおこなう。すなわち、ここで用いる逆転写酵素は耐熱性でないため、最初の逆転写反応は40℃付近で行い、95℃でDNAポリメラーゼ反応をホットスタートさせる。そのため、PVAスポンジなどの多孔質材料からRNAなどの核酸を溶出させる工程を含むことが好ましい。このキットを用いた場合の試薬組成および反応条件は以下の表5および6のとおりである。
Figure 2022017959000006
Figure 2022017959000007
本開示は、被験者の有する特定の核酸配列を同定するシステムを提供する。このシステムは、A)前記被験者から体液を採取する手段(例えば、体液採取器具)と、B)前記体液を保持し乾燥させる体液固定器具と、C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するための一定容積切除器具などの容積一定部分作成デバイスと、D)核酸増幅反応試薬(例えば、必要に応じて逆転写酵素、ポリメラーゼ(鎖置換型DNA合成酵素を含みうる)など)、並びに核酸増幅が生じる条件(例えば、逆転写および/または重合もしくはDNA合成が生じる条件)を生じるための装置と、E)核酸を解析のためのデバイスとを含む。
本開示において用いられる前記被験者から体液を採取する手段(例えば、体液採取器具)は、体液を採取することができる手段や器具であれば、どのようなものであってもよい。例えば、体液採取器具としては、体液を採取するため器具をいい、対象の体液を採取し得る限り、本明細書の説明に従って、任意の形態、材料、それらの組み合わせを採用し得ることが理解され、一体化された器具として提供されてもよく、別々の部品として提供され、その後に組み立てる(アセンブルする)形態で提供されてもよい。好ましい実施形態では、体液を採取する手段は、PVAスポンジなどの多孔質材料を含むことが有利である。理論に束縛されることを望まないが、PCR、LAMP法、RT-LAMP法、SMAP法などの各種増幅技術を応用した検出方法が直接行える点有利であり、特にPVAスポンジを用いる場合、再現性や、簡便性等の点で優れている。
本開示に用いられる、体液を保持し乾燥させる体液固定器具は、体液を保持し乾燥し得る器具であれば、どのような器具であってもよい。例えば、本願と同日付で出願した「体液サンプリングのための器具およびその使用方法」(この記載は本明細書において参考としてその全体が援用される。)に記載されている器具であってもよい。例えば、体液固定器具としては、体液を固定するため器具をいい、対象の体液を固定し、その状態で乾燥することができる限り、本明細書の説明に従って、任意の形態、材料、それらの組み合わせを採用し得ることが理解され、一体化された器具として提供されてもよく、別々の部品として提供され、その後に組み立てる(アセンブルする)形態で提供されてもよい。あるいは、一体化された器具として提供される場合、さらに包装物(袋など)で包装された形で提供されてもよい。体液固定器具の材質は、体液などの目的物と相互作用しない任意のものであり得、好ましくは、耐熱性を有し、好ましくは、紙製であるが、例えば、プラスチック製であってもよい。体液固定器具の形状は、体液を乾燥させるための空間を形成することができる限りにおいて任意であり、好ましくは、固定された体液を乾燥させる場所を保護することが可能な形状を有し得る。体液固定器具は、例えば、一部分を折り返して蓋を形成することが可能な形状を有していてもよいし、通気性のある箱型であってもよい。
本開示に用いられる、体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、例えばパンチして、容積一定乾燥体液部分を作製するための一定容積切除器具は、体液固定器具の一定容積を切除することができる限り、どのような構造や形状をしてもよく、どのような材料を使用してもよい。この場合、一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製することができれば、どのような機能や構造であってもよい。例えば、一定容積切除器具としては、生検トレパンを挙げることができ、機器の先端に備えられた刃先付きパイプを体液固定器具に押し付け、パイプに詰まった組織を取り出して容積一定乾燥体液部分を作製することもできる。生検トレパンを用いる場合には、必要な体液量に応じて、体液固定器具の厚みや、刃先のパンチ径を1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、4.0mmなどとすることができる。また一定容積切除器具として、自動パンチ装置を使用することもできる。
本開示において、核酸増幅反応試薬(例えば、必要に応じて逆転写酵素、ポリメラーゼ(鎖置換型DNA合成酵素を含みうる)など)、並びに核酸増幅が生じる条件(例えば、逆転写および/または重合もしくはDNA合成が生じる条件)を生じるための装置において、逆転写酵素、およびポリメラーゼ等の核酸増幅反応試薬としては、本開示の試料が含むと思われるDNAやRNA等の増幅反応に必要な反応を生じる酵素等(例えば、核酸の逆転写および重合に適切な逆転写酵素およびポリメラーゼ)であれば、どのようなものであってもよい。1つの実施形態では、核酸増幅反応試薬は、ポリメラーゼ(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、鎖置換型DNA合成酵素など)、逆転写酵素、(例えば、必要に応じて逆転写酵素とポリメラーゼの組み合わせ、逆転写酵素と鎖置換型DNA合成酵素、あるいはポリメラーゼもしくは鎖置換型DNA合成酵素および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素など)であってもよい。1つの実施形態では、核酸増幅が生じる条件は、逆転写、重合(DNA重合、RNA重合など)、DNA合成が生じる条件であってもよい。
核酸増幅が生じる条件(例えば、逆転写および/または重合もしくはDNA合成が生じる条件)は使用する試薬(例えば、逆転写酵素、ポリメラーゼ、鎖置換型DNA合成酵素等)によって変動し得るが、当業者であれば、使用する試薬(例えば、逆転写酵素、ポリメラーゼ、鎖置換型DNA合成酵素等)によって適宜決定することができる。例えば、使用する試薬(例えば、逆転写酵素、ポリメラーゼ、鎖置換型DNA合成酵素等)による重合反応は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応から始めることができ、または諸条件の逆転写反応を行う前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応から始めることもできる。あるいは、逆転写酵素およびポリメラーゼが同じ酵素によって実現する場合において、至適温度が同様の場合は、適宜の温度(酵素により、約42℃~約60℃、約90℃等)で開始することができる。
本開示における核酸を解析のためのデバイスは、核酸を解析できる限り、どのようなデバイスであってもよい。例えば、次世代シーケンサーや、PCR法、LAMP法、SDA法、RT-SDA法、RT-PCR法、RT-LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法、PCRインベーダー法、mPCR-RETINA法、蛍光消光プローブ法などの各種反応を実行するためのデバイスを用いることができる。
(一括処理法・プール法)
別の局面において、本開示は、複数の試料を一括処理する方法であって、前記複数の試料を乾燥させる工程と、乾燥させた前記複数の試料を混合する工程と、混合した試料を1つの試料として処理する工程とを含む、方法を提供する。
複数の試料を混合して1つの試料として処理する場合、液体の試料であれば、混合する前の個々の試料に含まれる処理の対象となる成分の濃度は薄まってしまい、検出限界以下になることもしばしばであった。本開示では、乾燥させた複数の試料を混合することにより、対象となる成分の濃度を維持しつつ、場合によっては濃縮することができ、検出限界以下にすることなく、検査や診断を行うことができる。このような効果は、特に、PVAスポンジなどの、目的となる成分に悪影響を与えない材料を用いて乾燥させることで、液体状態で存在しているのと同程度またはそれ以上の状態で、各種処理(例えば、核酸増幅など)を行うことができる。
本開示において、使用される試料は生体試料であることが好ましいがこれに限定されない。
本開示において、処理は、試料に対する操作であれば、どのようなものでもよいが、試料に含まれる特定の成分を用いてこれを変化させることで、別のものを製造したり、情報を抽出したりすることをいう。処理としては、例えば、核酸増幅反応、酵素反応、遺伝子解析、およびリキッドバイオプシー中の化学物質測定(例えば、HPLC-MS/MSなどによる薬物濃度測定)などを挙げることができるがこれに限定されない。
乾燥するために用いる装置または材料は、本開示が目的とする処理に必要な物質(例えば、ポリメラーゼ、逆転写酵素などの酵素、あるいは、抗体等)に実質的に悪影響を与えない(この場合、最終的に処理が目的とする状況に影響を与えなければ、ある程度影響があってもよい)ことが理解される。
本明細書において、「一括処理」または「プール処理」とは、複数の試料(例えば、10試料)を混合して、その混合物を1試料として扱い、各種分析を行うことをいう。混合する試料数は任意の数であり、例えば約2~約100であり、目的の分析に応じて適宜設定可能である。
例えば10試料を混合して、その混合物を1試料として扱う場合、10,000検体を検査するには、1,000(10,000検体/10)+陽性試料ブロック数×10(1試料につき10検体)を検査すれば足りることとなる。陽性率が事前に1%以下と予想される場合に効果があるが、臨床検査データとして治療に有効に活用するためには、感度および特異度を向上させる必要がある。
例えば、陽性率(事前確率):5%、感度:70%、特異度:99%の場合、その検査結果は以下の表7のとおりとなる。
Figure 2022017959000008
この場合には、検査回数は、1,000+500×10=6,000回となり、偽陽性率が高く、プール法による効果はあまりない。
また、陽性率(事前確率):5%、感度:95%、特異度:99.9%の場合、その検査結果は以下の表8のとおりとなる。
Figure 2022017959000009
この場合にも、検査回数は、1,000+500×10=6,000回となり、全数検査をするのが好ましい。
一方で、陽性率(事前確率):1%以下、感度:95%、特異度:99.9%の場合には、その検査結果は以下の表9のとおりとなる。
Figure 2022017959000010
この場合、検査回数は1,000+100×10=2,000回となり、全数検査をした場合の10,000回と比べて検査件数は1/5となり、プール処理による検査数削減効果は高いことがわかる。このような効果は、核酸増幅をする際にPVAスポンジなどの材料を用いた場合に特に顕著に発揮される。
したがって、本開示は、複数の生体試料を一括で核酸の解析を行う方法であって、前記複数の生体試料を多孔質材料(PVAスポンジなど)に含ませて、乾燥する条件に配置する工程と、乾燥させた前記複数の生体試料を含む多孔質材料に所定の量の緩衝液を接触させて、前記生体試料が溶出する条件下で配置し混合する工程と、溶出された生体試料を含む該緩衝液を用いて遺伝子解析する工程とを含む、方法を提供する。
1つの実施形態では、乾燥する条件は、PVAスポンジなどの多孔質材料に含まれる唾液などの生体試料を混合した場合に、処理対象となる成分の濃度が薄まらない程度に乾燥できるものであれば、特に限られるものではない。例えば、乾燥する条件は、室温での自然乾燥としてもよいし、通常、約60℃以上での約10分~約1時間の加熱乾燥とすることもできるが、これに限られるものではなく、混合する対象や量によって適宜設定することができる。加熱温度は例えば、約60℃~約90℃、約60℃~約85℃、約60℃~約80℃、または約60℃~約75℃であってもよく、約60℃~約70℃や約60℃~約65℃であってもよい。加熱時間は約15分、約20分、約30分、約40分、約50分等であってもよい。例えば、約65℃で約1時間、約70℃で約15分でもウイルス感染を防止できたことが本開示において示されている。
1つの実施形態では、所定の量は、唾液などの生体試料がPVAスポンジなどの多孔質材料から溶出するような量であれば特に限られるものではない。例えば所定の量は約10μl~約100μlとすることもできるが、これに限られるものではなく、混合する対象や量によって適宜設定することができる。
1つの実施形態では、緩衝液は遺伝子解析に適した任意のものを用いることができ、例えば、SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit PCR Master Mix(Nセット2)(富士フィルム和光純薬)、SARS-CoV-2 Detection Kit PCR Master Mix(N2set)(東洋紡)、EzWay(商標)(KOMA Biotechnology)、Ampdirect(登録商標)((株)島津製作所製)、Phusion(登録商標)Blood Direct PCR kitバッファー(New ENGLAND Bio-Labs)、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)などにおいて用いられる緩衝液を用いることができる。
1つの実施形態では、生体試料は、特定の対象となる核酸を含むと想定される任意のものでよく、例えば、鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、および細胞組織などの生体試料または臨床試料の他、食品などを挙げることができる。生体試料は、細胞、真菌、細菌およびウイルスからなる群より選択されるDNAおよび/またはRNAを包含する試料を含むことができる。
1つの実施形態では、生体試料が溶出する条件は、緩衝液に含まれるポリメラーゼ及び/または逆転写酵素の種類によって適宜設定することができ、例えばSARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit PCR Master Mix(Nセット2)(富士フィルム和光純薬)で用いるTth DNA Polymeraseは耐熱性で、かつ逆転写活性を持つため、約90℃で約30秒~約1分とすることができる。他の実施形態では、生体試料が溶出する条件は、例えば、SARS-CoV-2 Detection Kit PCR Master Mix(N2set)(東洋紡)の場合には、その用いる逆転写酵素が耐熱性ではないため、蒸留水中で約95℃で約5分間の溶出工程をおこなう。
1つの実施形態では、遺伝子解析は、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification:ループ介在等温増幅)法、SDA(Strand Displacement Amplification:鎖置換増幅)法、RT-SDA(Reverse Transcription Strand Displacement Amplification:逆転写鎖置換増幅)法、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法、RT-LAMP(Reverse Transcription Loop-Mediated Isothermal Amplification:逆転写ループ介在等温増幅)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification:核酸配列に基づいた増幅)法、TMA(Transcription Mediated Amplification:転写介在増幅)法、RCA(Rolling Cycle Amplification:ローリングサイクル増幅)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids:等温遺伝子増幅)法、UCAN法、LCR(Ligase Chain Reaction:リガーゼ連鎖反応)法、LDR(Ligase Detection Reaction:リガーゼ検出反応)法、SMAP(Smart Amplification Process)法、SMAP2(Smart Amplification Process Version 2)法、PCR-インベーダー(PCR-Invader)法、Multiplex PCR-Based Real-Time Invader Assay (mPCR-RETINA)、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)などを挙げることができる。好ましくは、いわゆるTaqman法、LAMP法、SMAP法が用いられる。
本開示は、複数の試料を一括処理するシステムであって、前記複数の試料を乾燥させる乾燥デバイスまたは乾燥材と、乾燥させた前記複数の試料を混合する混合デバイスと、混合した試料を1つの試料として処理する試料処理デバイスとを含む、システムを提供する。
本開示において使用される複数の試料を乾燥させる乾燥デバイスまたは乾燥材は、複数の試料を乾燥させることができる限りどのような形状や構造であってもよく、試料処理を阻害しない限りどのような材料であってもよい。また乾燥デバイスまたは乾燥材は別々に提供されてもよく、単一のデバイスまたは乾燥材として提供されてもよい。
本開示に使用される乾燥させた前記複数の試料を混合する混合デバイスは、複数の試料を混合することができるものであれば、その形状や構造、または種類は特に限れるものではない。また本開示の混合デバイスは、混合の対象となる試料に影響を及ぼさない材料が好ましく、例えば単に複数の試料を混ぜ合わせるデバイスであってもよく、必要に応じて攪拌機などを備えていてもよい。
本開示において使用される混合した試料を1つの試料として処理する試料処理デバイスは、混合した試料に必要に応じて所定の試薬を混ぜて各種処理や反応を行わせるものであれば、特に限られるものではない。処理や反応としては、例えば核酸増幅反応、核酸合成反応や逆転写反応を含む核酸解析や遺伝子解析を挙げることができる。これらを含め、処理や反応の例としては、配列決定、遺伝子型判定・多型分析(SNP分析、コピー数多型、制限酵素断片長多型、リピート数多型)、発現解析、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)、SYBR green法、融解曲線分析、リアルタイムPCR、定量RT-PCR、デジタルPCRなどを挙げることができる。核酸解析の1つの例は、TaqManプローブ法による遺伝子型の判定である。
本開示はまた、複数の生体試料(例えば、唾液、血液など)を一括で核酸増幅および/または解析するシステムであって、前記複数の生体試料を乾燥させる乾燥デバイスまたは乾燥材と、乾燥させた前記複数の生体試料を混合する混合デバイスと、混合した試料を1つの生体試料として核酸増幅し、必要に応じて増幅した核酸を解析する核酸処理デバイスとを含む、システムを提供する。
本開示において使用される複数の生体試料を乾燥させる乾燥デバイスまたは乾燥材は、複数の試料を乾燥させることができる限りどのような形状や構造であってもよく、生体試料処理を阻害しない限りどのような材料であってもよい。また乾燥デバイスまたは乾燥材は別々に提供されてもよく、単一のデバイスまたは乾燥材として提供されてもよい。
本開示に使用される乾燥させた前記複数の生体試料を混合する混合デバイスは、複数の生体試料を混合することができるものであれば、その形状や構造、または種類は特に限れるものではない。また本開示の混合デバイスは、混合の対象となる生体試料に影響を及ぼさない材料が好ましく、例えば単に複数の生体試料を混ぜ合わせるデバイスであってもよく、必要に応じて攪拌機などを備えていてもよい。
本開示において使用される混合した試料を1つの生体試料として核酸増幅し、必要に応じて増幅した核酸を解析する核酸処理デバイスは、混合した生体試料に含まれる核酸を増幅させ、また必要に応じて増幅した核酸を解析するものであれば、特に限られるものではない。核酸増幅には核酸増幅反応や逆転写反応を含むことができ、核酸解析には遺伝子解析を含むことができる。これらを含め、核酸解析の例としては、配列決定、遺伝子型判定・多型分析(SNP分析、コピー数多型、制限酵素断片長多型、リピート数多型)、発現解析、蛍光消光プローブ(Quenching Probe:Q-Probe)、SYBR green法、融解曲線分析、リアルタイムPCR、定量RT-PCR、デジタルPCRなどを挙げることができる。核酸解析の1つの例は、TaqManプローブ法による遺伝子型の判定である。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel, F.M.(1989). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F.M. (1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M.A. et al.(1995).PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J.J. et al.(1999). PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait, M.J.(1985). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Gait, M.J.(1990). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein, F.(1991). Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Adams, R.L. et al.(1992). The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman & Hall; Shabarova, Z. et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids, Weinheim; Blackburn, G.M. et al.(1996). Nucleic Acids in Chemistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G.T.(I996). Bioconjugate Techniques, Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1:病原菌またはウイルスの検出プロトコル)
本実施例では、病原菌またはウイルスの検出プロトコルを説明する。図1Aに生体試料として唾液を固定した後に自然乾燥させた場合の検出プロトコルを表す模式図を、図1Bに生体試料として唾液を固定した後に65℃で1時間加熱乾燥させた場合の検出プロトコルを表す模式図を、それぞれ示した。
まず図1Aでは、唾液を被験者本人がPVAスポンジを用いて採取する。その後、採取した唾液の一定量を、PVAスポンジを備えるキャプチャーに滴下し、保持させる。この唾液の採取から保持までは10分以内で完了する。唾液を保持したキャプチャーの蓋を閉じ、検査機関に輸送するとともに自然乾燥させる。次に、検査機関に届いたキャプチャーのPVAスポンジ部分の一定の容積が切り取られるように、直径3mmでパンチする。その後、パンチした一定の容積のPVAスポンジを、リアルタイムPCRの試薬を有する容器に直接投入する。このパンチ作業と試薬調整には30分で48検体が準備可能である。そして、1時間で解析可能なPCR装置であれば、試薬の調整から遺伝子解析まで2時間で96検体が検査可能となる。そのため、1日で384検体程度の検査が可能となる。
次に図1Bでは、唾液を採取しキャプチャーに保持させた後、必要に応じてアルコールスプレーを施し、65℃で1時間加熱乾燥後に輸送、または輸送後に65℃で1時間加熱乾燥させる。その後、図1Aと同様にPVAスポンジ部分の一定の容積が切り取られるようにパンチし、PCR解析を行う。これにより、1日で480検体程度の検査が可能となる。
(実施例2:PVAスポンジによる病原菌またはウイルスの検出プロトコル)
本実施例では、唾液を保持するPVAスポンジを用いて、PCR試薬に直接投入して反応を行う場合のPCR条件などを説明する。図2Aに逆転写反応と重合反応を一度に行う場合の検出プロトコルを表す模式図を、図2Bに最初に逆転写反応を行い、その後重合反応を行う場合の検出プロトコルを表す模式図を、それぞれ示した。
逆転写反応と重合反応を一度に行う場合には、唾液を保持するPVAスポンジをリアルタイムPCRの試薬を有する容器に直接投入し、以下の条件でPCR解析を行う(図2A)。
Figure 2022017959000011
Figure 2022017959000012
最初に逆転写反応を行い、その後重合反応を行う場合では、唾液を保持するPVAスポンジをリアルタイムPCRの試薬を有する容器に直接投入し、以下の条件でPCR解析を行う(図2B)。
Figure 2022017959000013
Figure 2022017959000014
(実施例3:PVAスポンジを用いたゲノムDNAの定量)
以下の実験により、唾液中のゲノムDNAを定量した。実験の概要を示す模式図を図3に示す。
蒸留水または血清にゲノムDNAを添加して、10、10、10、10/μLの溶液を調整し、各溶液約200mLを、直径2mm厚み2mmのPVAスポンジF(D)を含む試料固定器具に滴下後、65℃で1時間乾燥させた。この試料を用いて、生検トレパン(2mm)でPVAスポンジF(D)をパンチした小片をPCR溶液に直接投入し、リアルタイムPCRを実施した。
直径2mm厚み2mmのPVAスポンジF(D)を用いる場合には、そのPVAスポンジの含水量は、パンチ体積×PVAスポンジF(D)の気孔率0.9であるため、(1.0×3.14×2)×0.9=5.66mLと算出される。
PCR溶液の組成は以下の表14のとおりとした。
Figure 2022017959000015

またPCR増幅条件は以下の表15のとおりとした。
Figure 2022017959000016
結果
蒸留水溶液を用いた場合の増幅の結果を図4に、血清溶液を用いた場合の増幅の結果を図5にそれぞれ示した。PVAスポンジを用いた場合には、蒸留水または血清中に添加したゲノムDNAは、いずれのCt値も同等の数値を示した。すなわち、PVAスポンジを用いた場合には、蒸留水溶液または血清溶液であっても、ゲノムDNA中のRNase P遺伝子の増幅が可能であることが示された。
また蒸留水溶液を用いた場合の標準曲線を図6に示した。10、10、10、10/μLの段階的な希釈物の各濃度の対数(x軸)をその濃度におけるCt値(y軸)に対してプロットした。傾きが-3.52であることから、良好な反応効率であることがわかる。
(実施例4:一括処理法)
本実施例では、個々の試料ではなく、一度に大量に処理するプール法(一括処理法)を説明する。図7に一括処理法による検出プロトコルを表す模式図を示した。本実施例では一度に10試料をまとめて、その10試料を1試料として扱っている。実施例1のようにしてPVAスポンジ部分の一定の容積が切り取られるようにパンチした後、10試料をまとめてPCR試薬を有する容器に投入する(図7下部)。本実施例の場合、1試料で行う通常の解析方法の場合のPCR試薬量を10μLとしており(図7上部)、10試料をまとめた場合のPCR試薬量を50μLとしている。このような解析によって陽性の結果が出た場合には、次に、そのまとめた10試料を1つずつの試料に分けて同様のPCR解析を行う。
(実施例5:新型コロナウイルス定量・全数検査法)
本実施例では、新型コロナウイルスに感染した、または感染が疑われる被験者から試料を取得し、迅速にPCR検査を行う例を説明する。
まず、被験者自身が、PVAスポンジを含む採取器によって唾液を採取する。唾液は鼻腔ぬぐい液より検出感度及び特異性が高い。また唾液は定量的に採取可能であり、唾液1ml中のウイルス量を定量的に評価することができる。さらに、鼻腔ぬぐい液の採取は医療行為であり、医師・歯科医師による採取が必要となるが、唾液採取は医療行為外であり自己採取ができる。本実施例の検査法では、唾液採取から遺伝子検査までの全プロセスにおいて医療行為を含むことはない。
次に、採取した唾液を検体固定器に滴下し、アルコールスプレーを噴霧した後、その検体固定器を検査機関に輸送する。本実施例の検査法では、採取した検体の室温保存が可能であり、輸送時の冷蔵保存が不要であるため、任意の配送手段を利用できる。検体が保持された検体固定器を受け取った検査機関は、必要に応じて検体固定器を65℃で1時間加熱し、検体固定器の一定容積をパンチして切り取り、予め用意していたPCR試薬に直接投入し、逆転写反応およびポリメラーゼ反応を行う。従来の方法では検体採取、保存容器梱包、輸送、保存、検体溶液の分注作業に2次感染のリスクがあるが、本実施例の検査法では、唾液が自己採取できること、室温輸送が可能であることから、2次感染のリスクが低い。
(実施例6:体液採取器具による唾液採取)
本実施例では、トラストキャッチャー(体液採取器具)またはその改良型を用いて唾液を採取する際の手順を説明する。
例えば、実案登録第3169659号などのトラストキャッチャー(体液採取器具)またはその改良型(本願と同日付で出願した「体液サンプリングのための器具およびその使用方法」(この記載は本明細書において参考としてその全体が援用される。)に記載されている器具)の吸水体部分(PVAスポンジ、唾液約300μL吸水)を口に数分間で咥えると、吸水体部分が柔らかくなる。吸収体部分からチューブに挿入し、反対側から唾液をDnaCature(体液固定器具)に5滴(約100μL)ほど滴下する。
(実施例7:DnaCapture(体液固定器具)による唾液の固定と輸送)
本実施例では、唾液をサンプリングした後、体液固定器具に唾液を固定し、その体液固定器具を輸送する例を説明する。DnaCaptureは、本願と同日付で出願した「体液サンプリングのための器具およびその使用方法」(この記載は本明細書において参考としてその全体が援用される。)に記載されている器具であってもよい。
まず、感染性の少ないサンプルについては、サンプリング後、体液固定器具にサンプルを固定し、滅菌バック(片面紙なので通気性に優れている)に入れて輸送中(一昼夜)に自然乾燥させる。他方、ウイルスや細菌などの感染性の高いサンプルについては、体液固定器具にサンプルを固定し、滅菌バックに入れ、乾熱滅菌機などにより60℃~65℃で30分から数時間乾燥後、輸送する。一般にはPVAスポンジは吸水性が高いため高温で乾燥した後に輸送するのが好ましい。
乾熱機などがない場合には、サンプルを固定した体液固定器具を、携帯式カイロ(例えば、マグマ(60~70℃で8時間保温))とともに滅菌バックに封入して、常温に戻った後に輸送することもできる。
(実施例8:パンチ後のDnaCaptureの核酸量の測定)
本実施例では、DnaCapture(体液固定器具)をパンチした後に、含まれるRNAなどの核酸量を測定する例を説明する。
唾液中のRNAウイルス場合、DnaCapture(体液固定器具)上に唾液を滴下し、乾燥したサンプルの小片を生研トレパンで採取する。その小片に含まれるRNAをホットスタートの逆転写能を有するDNA Polymerase、例えばTth DNA Polymeraseを用いて逆転写した後、ターゲット領域のプライマーとTaqman Probeを用いてリアルタイムPCRを実施してRNAの定量(ウイルス量の定量)を行うことができる。例えば、実施例2で用いた逆転写反応と重合反応を一度に行う場合のプライマー(Fw Primer NIID 2019-nCOV N F2(10μmol/L)、Rv Primer NIID 2019-nCOV N R2(10μmol/L))及びTaqman Probe(TaqMan Probe NIID 2019-nCOV N P2(5μmol/L))を用いてRNAの定量を行うことができる。
(実施例9:DnaCapture(体液固定器具)の加熱乾燥によるウイルスの不活化)
本実施例では、DnaCapture(体液固定器具)を加熱乾燥させた場合に、実際にウイルスが死滅し、感染力がなくなっていることを示す例を説明する。
図8にウイルスの死滅を確認する実験プロトコルの例を説明する模式図を示す。まずウイルスを感染させて培養した株を1000倍まで唾液で段階希釈したサンプルを用意する。各サンプルをDnaCapture(体液固定器具)に約100μL添加し、65℃で1時間乾燥する。乾燥後、各サンプル4mm径の生研トレパンでパンチし、その小片を細胞培養液に添加後、数日間培養する。ウイルスの失活は、ウイルス定量法TCID50で評価する。細胞が増殖すればウイルスが失活したと評価する。
また70℃で15分間加熱させた不活化実験を実施したところ、ウイルスは完全に失活し、RNAも一例においては70%以上保存され良好な結果となった。また90%以上保存されていた例もあった。
TCID50(Median tissue culture infectious dose,50%)では、培養細胞にウイルスを感染させて、そのウイルス量を定量する(図9)。一定量のウイルスを含むウイルス液に感染した細胞は、細胞変性を起こす。このウイルス液を希釈し、ある一定以上薄くなると、接種しても細胞変性は起こらなくなる。そこで、細胞を試験管のようなもので何本も培養しておき、ウイルス液を順番に希釈して接種し、ちょうど半分の試験管の細胞が感染する濃度を指してTCID50と呼ぶ。確認はグラム染色試薬リスタルバイオレット溶液で染色して行うことができる。
(実施例10:プール法、1日に1万試料の解析)
本実施例では、1日に1万試料を解析する場合の例を説明する。
例えば、プール法とエンドポイント解析の組み合わせで、1日9600検体/オペレーター1名の遺伝子解析を行う場合には、プール法により10サンプルをまとめて1反応で処理して、960反応(96穴プレート10枚)を10台のPCR装置(例えばABI 9700)で同時に約1時間反応させる(自動パンチ機およびディスペンサーを使用)。
エンドポイントの蛍光値をリアルタイムPCR装置(例えば、QuantStudio 3、または12Kオートローダー付き)で読み込み、陽性ブロックを展開する。陽性率1%の場合は100ブロックが陽性となり、96×10の960検体(96×10回)を全数検査する。QuantStudio3を1台使用して10回繰り返す、またはQuantStudio 12Kオートローダー付きにセットし、自動でRT-PCRを実施する。
(実施例11:ドライブスルー型検査法)
本実施例では、本明細書で説明した体液固定器具や体液採取器具を用いてドライブスルー型で検査する場合の例を説明する。
図10に検体採取から輸送、検査までの流れを説明する模式図を示す。まず所定の検査場などでサンプリングを行う場合には、サンプリングから滅菌バッグに入れるまでを被験者自身が行い、保健所スタッフなどの医療関係者がアルコールスプレーし、密封されているか確認後、滅菌乾燥機に入れて65℃1時間乾燥する。その後、PCR検査センターなどの検査機関に輸送する。
検査機関は、DnaCapture(体液固定器具)入りの滅菌バッグを受け取り後、体液固定器具を取り出し、アルコールスプレーし、検査工程に入る。
自宅でサンプリングを行う場合には、被験者自身がサンプリングを行い、滅菌バッグに携帯式カイロ(例えば、マグマ(60~70℃で8時間保温))を一緒に入れて、1日乾燥後、輸送することもできる。
(実施例12:LAMP法の応用例)
本実施例では、RT-LAMP法を用いて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を検出するプロトコルの例を説明する。図11にRT-LAMP法による新型コロナウイルス検査サンプリングプロセスを説明する模式図を示した。
サンプル処理
唾液を改良型トラストキャッチャーで採取後、ブロックヒーターで95℃で5分間、加熱処理したサンプルをDnaCapture(PVAスポンジ、E(D)、厚さ1mm)に滴下して、65℃に設定された乾熱器内で1時間乾燥する。熱処理後の新型コロナウイルスの構造変化を示す模式図を図12に示した。
Loopamp 2019-nCoV検出試薬キット(栄研化学)を用いて以下のように試験溶液を調整する。
1)試薬及びサンプル溶液の混合
(1)ピペットを用いて、15μLのプライマーミックス 2019-nCoV(PM nCV19)を反応チューブに分注する。
(2)ピペットを用いて、蒸留水(DW)を10μL添加して全量を25μLとした後、PVAスポンジ(E(D)、厚さ1mm)に滴下乾燥した唾液サンプル小片(2mmΦ)を直接添加して、反応チューブの蓋を閉める。
(3)コントロール反応用に、サンプル溶液の代わりに陰性コントロール(NC)10μLを添加して蓋を閉め、陰性コントロールとする。
(4)陽性コントロール 2019-nCoV(PC nCV19)10μLを添加して蓋を閉め、陽性コントロールとする。
(5)スピンダウンし、反応チューブのライン(2本あるうちの下のライン)を目安に、すべての溶液が添加されていることを確認する。
(6)反応チューブを転倒して溶液を蓋に移し、転倒した状態のまま2分間放置する。
(7)反応チューブを5回転倒混和する。この際、蓋の増幅試薬が十分溶解されたことを確認すること。(8)8連マイクロチューブ用簡易遠心機でスピンダウンする。
以上のようにして調整した溶液を用いて、増幅反応を行う。全数検査を行う場合の一連の流れを図13に、プール法を用いて一括処理する場合の流れを図14に示した。
2)増幅反応A.リアルタイム濁度検出を行う場合(標準法)
(1)リアルタイム濁度測定装置のプログラムを本製品用にあわせて設定する。
(2)表示温度が62.5℃に達していることを確認する(リアルタイム濁度測定装置は20分間ウォームアップしてから使用すること)。
(3)反応チューブをセットし測定を開始する。(4)装置の表示画面上で陽性コントロールと陰性コントロールの濁度の上昇の有無を確認する。陽性コントロールで濁度が上昇し、陰性コントロールで濁度が上昇していなければ、増幅反応は正常に進行している。
(5)酵素失活処理(80℃、5分間)が終了していることを確認した後、装置から反応チューブを取り出し、そのまま蓋を開けずに廃棄する。
B.蛍光目視検出を行う場合
(1)インキュベーターを62.5℃に設定し、表示温度が設定温度に達していることを確認する。
(2)反応チューブをセットし、増幅反応(62.5℃,35分間)を行う。
(3)35分後にヒートブロックを用いて酵素失活処理(80℃,5分間、または95℃,2分間)を行い、反応を停止する。
(実施例13:SARS-CoV-2のRT-qPCR)
本実施例では、唾液をPVAスポンジに滴下して、65℃30分で乾燥させて不活性化したSARS-CoV-2(米国CDCから入手可能)を含むサンプルを、RT-qPCR反応液に添加する実験例を説明する。
被験者から得た唾液をDnaCapture(体液固定器具)に固定し、65℃で1時間、乾熱滅菌器で乾燥させ、試薬に直接投入し、SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kitを用いてRT-qPCRを行う。
また他の例としては、被験者から得た唾液を95℃5分間、または65℃30分間で加熱処理後、DnaCapture(体液固定器具)に固定し、自然乾燥させ、試薬に直接投入し、SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kitを用いてRT-qPCRを行う。
これにより、反応阻害が生じなければ、新型コロナウイルス感染者の唾液で2次感染を防御して、安全に輸送・検体処理して、ウイルスの有無が検出可能となる。
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示は、ウイルス感染の検査や診断等の産業において有用である。

Claims (109)

  1. 被験者の有する特定の核酸配列を同定する方法であって、
    A)前記被験者から体液を採取するステップと、
    B)前記体液を体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、
    C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、
    D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
    E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬を含む液に直接添加する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記体液が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記乾燥が室温での自然乾燥である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上の加熱乾燥である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記切除の切除径が直径約1~約4mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記体液が病原体を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 被験者の有する特定の核酸配列を同定するシステムであって、
    A)前記被験者から体液を採取する手段と、
    B)前記体液を保持し乾燥させる体液固定器具と、
    C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するための一定容積切除器具と、
    D)核酸増幅反応試薬、および核酸増幅反応が生じる条件を生じるための装置と、
    E)核酸を解析のためのデバイスと
    を含む、システム。
  22. 前記容積一定乾燥体液部分が、前記逆転写酵素、ポリメラーゼ、並びに逆転写および重合が生じる条件を生じるための装置に直接供される、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、請求項21または22に記載のシステム。
  24. 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記体液が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、請求項21~24のいずれか一項に記載のシステム。
  26. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載のシステム。
  27. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載のシステム。
  28. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載のシステム。
  29. 前記乾燥が室温での自然乾燥である、請求項21~28のいずれか一項に記載のシステム。
  30. 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上の加熱乾燥である、請求項21~28のいずれか一項に記載のシステム。
  31. 前記一定容積切除器具の切除径が直径約1~約4mmである、請求項21~30のいずれか一項に記載のシステム。
  32. 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、請求項21~31のいずれか一項に記載のシステム。
  33. 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、請求項21~32のいずれか一項に記載のシステム。
  34. 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、請求項33に記載のシステム。
  35. 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、請求項21~34のいずれか一項に記載のシステム。
  36. 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、請求項35に記載のシステム。
  37. 前記体液が病原体を含む、請求項21~36のいずれか一項に記載のシステム。
  38. 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、請求項37に記載のシステム。
  39. 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、請求項21~38のいずれか一項に記載のシステム。
  40. 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、請求項21~39のいずれか一項に記載のシステム。
  41. 体液固定器具を含む、被験者の有する特定の核酸配列を同定するためのキットであって、
    A)前記被験者から体液を採取するステップと、
    B)前記体液を前記体液固定器具に配置し乾燥させるステップと、
    C)前記体液固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥体液部分を作製するステップと、
    D)前記容積一定乾燥体液部分を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
    E)ステップD)で増幅された核酸を解析するステップと
    を含む方法において用いられる、キット。
  42. 前記切除された体液固定器具が、逆転写酵素およびポリメラーゼを含む液に直接添加される、請求項41に記載のキット。
  43. 前記体液固定器具は多孔質材料を含む、請求項41または42に記載のキット。
  44. 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、請求項43に記載のキット。
  45. 前記体液固定器具が唾液を採取するためのものである、請求項41~44のいずれか一項に記載のキット。
  46. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、請求項41~45のいずれか一項に記載のキット。
  47. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項41~45のいずれか一項に記載のキット。
  48. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項41~45のいずれか一項に記載のキット。
  49. 前記体液固定器具が室温で自然乾燥される、請求項41~48のいずれか一項に記載のキット。
  50. 前記体液固定器具が約65℃以上で約15分以上、加熱乾燥される、請求項41~48のいずれか一項に記載のキット。
  51. 前記体液固定器具が直径約1~約4mmの切除径で切除される、請求項41~50のいずれか一項に記載のキット。
  52. 前記体液を含む体液固定器具がアルコール処理される、請求項41~51のいずれか一項に記載のキット。
  53. 前記体液固定器具がRNA分解酵素阻害剤で処理されている、請求項41~52のいずれか一項に記載のキット。
  54. 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジオスレイトール(DTT)である、請求項53に記載のキット。
  55. 前記核酸増幅反応が生じる条件は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、請求項41~54のいずれか一項に記載のキット。
  56. 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、請求項55に記載のキット。
  57. 前記体液が病原体を含む、請求項41~56のいずれか一項に記載のキット。
  58. 前記体液中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、請求項57に記載のキット。
  59. 前記体液固定器具に配置される体液は少なくとも約1μlである、請求項41~58のいずれか一項に記載のキット。
  60. 前記容積一定乾燥体液部分は直径約3mm×厚さ約1mmの大きさであり、約10μlの体液を含む、請求項41~59のいずれか一項に記載のキット。
  61. 核酸で提供される特定の核酸配列を増幅または同定する方法であって、
    a)前記核酸を含む多孔質材料を、核酸増幅反応試薬に接触させ、核酸増幅反応が生じる条件に供するステップと、
    b)ステップa)で増幅された核酸を解析するステップと
    を含む、方法。
  62. 前記多孔質材料を、核酸増幅反応試薬を含む液に直接添加する、請求項61に記載の方法。
  63. 前記核酸増幅反応が生じる条件は約90℃で約30秒~約1分間のプレ変性反応から始まる、請求項61または62に記載の方法。
  64. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1つの酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合からなる群より選択される少なくとも1つが生じる条件を含む、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記核酸増幅反応試薬は、核酸ポリメラーゼ、および逆転写酵素の両方の機能を有する酵素を含み、前記核酸増幅が生じる条件は、逆転写および重合が生じる条件を含む、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記核酸は、RNAを含む、請求項61~66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 複数の試料を一括処理する方法であって、
    前記複数の試料を乾燥させる工程と、
    乾燥させた前記複数の試料を混合する工程と、
    混合した試料を1つの試料として処理する工程と
    を含む、方法。
  69. 前記試料は核酸を含み、前記処理は遺伝子増幅解析を含む、請求項68に記載の方法。
  70. 前記処理はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析を含む、請求項68または69に記載の方法。
  71. 前記PCR解析は、試料1つ分と同じ条件で行われる、請求項70に記載の方法。
  72. 前記乾燥は、多孔質材料上で行われる、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、請求項72に記載の方法。
  74. 前記PVAスポンジはRNA分解酵素阻害剤で処理されている、請求項73に記載の方法。
  75. 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジチオスレイトール(DTT)である、請求項74に記載の方法。
  76. 前記混合する工程は、少なくとも10個の試料を混合するものである、請求項68~75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記処理は病原菌感染のありなしを判定するものであり、前記複数の試料を個別に処理した場合に、陽性率が約1%以下と予想される、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記試料が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記乾燥が室温での自然乾燥である、請求項68~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上の加熱乾燥である、請求項68~78のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記混合する工程は、乾燥させた各試料を含む試料固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥試料部分を作製し、当該容積一定乾燥試料部分を混合するものである、請求項68~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記複数の試料がアルコール処理される、請求項68~81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記試料が病原菌またはウイルスを含む、請求項68~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記処理する工程は、約10μl~約100μlの容量で行われる、請求項68~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記処理する工程は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、請求項68~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、請求項85に記載の方法。
  87. 前記試料が病原体を含む、請求項68~86のいずれか一項に記載の方法。
  88. 前記試料中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、請求項87に記載の方法。
  89. 複数の試料を一括処理するためのシステムであって、
    前記複数の試料を乾燥させる乾燥器具と
    乾燥させた前記複数の試料を混合する混合デバイスと、
    混合した試料を1つの試料として処理する試料処理部と
    を含む、システム。
  90. 前記試料は核酸を含み、前記処理は遺伝子増幅解析を含む、請求項89に記載のシステム。
  91. 前記処理はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析を含む、請求項89または90に記載のシステム。
  92. 前記PCR解析は、試料1つ分と同じ条件で行われる、請求項91に記載のシステム。
  93. 前記乾燥は、多孔質材料上で行われる、請求項89~92のいずれか一項に記載のシステム。
  94. 前記多孔質材料はポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ウレタンスポンジ、セルローススポンジ、天然スポンジ(海綿)、樹脂粉体を熱プレス加工することにより得られる焼結構造体、繊維集合体からなる繊維構造体、および多孔質メンブレンを含む、請求項93に記載のシステム。
  95. 前記PVAスポンジはRNA分解酵素阻害剤で処理されている、請求項94に記載のシステム。
  96. 前記RNA分解酵素阻害剤はアジ化ナトリウムまたはジオスレイトール(DTT)である、請求項95に記載のシステム。
  97. 前記混合デバイスは、少なくとも10個の試料を混合する、請求項89~96のいずれか一項に記載のシステム。
  98. 前記処理は病原菌感染のありなしを判定するものであり、前記複数の試料を個別に処理した場合に、陽性率が約1%以下と予想される、請求項89~97のいずれか一項に記載のシステム。
  99. 前記試料が唾液、血液、尿、精液、または涙液を含むリキッドバイオプシーに利用可能な検体である、請求項89~98のいずれか一項に記載のシステム。
  100. 前記乾燥が室温での自然乾燥である、請求項89~99のいずれか一項に記載のシステム。
  101. 前記乾燥が約65℃以上で約15分以上の加熱乾燥である、請求項89~99のいずれか一項に記載のシステム。
  102. 前記混合デバイスは、乾燥させた各試料を含む試料固定器具の一定容積に該当する面積を切除して、容積一定乾燥試料部分を作製し、当該容積一定乾燥試料部分を混合するものである、請求項89~101のいずれか一項に記載のシステム。
  103. 前記複数の試料がアルコール処理される、請求項89~102のいずれか一項に記載のシステム。
  104. 前記試料が病原菌またはウイルスを含む、請求項89~103のいずれか一項に記載のシステム。
  105. 前記処理は、約10μl~約100μlの容量で行われる、請求項89~104のいずれか一項に記載のシステム。
  106. 前記処理は、約42℃~約60℃で約5分間の逆転写反応を含む、請求項89~105のいずれか一項に記載のシステム。
  107. 前記逆転写反応の前に、約90℃で約30秒間のプレ変性反応を含む、請求項106に記載のシステム。
  108. 前記試料が病原体を含む、請求項89~107のいずれか一項に記載のシステム。
  109. 前記試料中の病原体数が約10~約10コピー/μLである、請求項108に記載のシステム。
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