JP2022017835A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性能及び溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の総合性能を向上するタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
近年、転がり抵抗を下げるため、ゴム成分としてイソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴム、補強剤としてシリカを使用すると共に、シリカの配合量を最小限にする手法が提案されている。しかしながら、シリカ量が少ない場合、シリカにせん断がかかりにくく、十分に分散させることが難しいこと、イソプレン系ゴムへ偏在することに起因して、トレッドの主溝底部においてTread Groove Crack(TGC)が生じ、溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の低下が問題となっている。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能及び溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の総合性能を向上するタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
ゴム組成物中のアセトン抽出量(AE量)が15.0質量%以下であることが好ましい。
ゴム組成物中のシリカ含有率、アセトン抽出量(AE量)が下記式(1)、(2)を満たすことが好ましい。
(1)シリカ含有率≦30.0質量%
(2)シリカ含有率/AE量≧2.0
ゴム成分100質量部に対する充填材の含有量が65質量部以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が60質量部以下であることが好ましい。
窒素吸着比表面積180m/g以上のシリカを含むことが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が20質量部以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するシリカ及び可塑剤の合計含有量が80質量部以下であることが好ましい。
テルペン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂及び水添ジシクロペンタジエン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物からなるタイヤ部材を有するタイヤに関する。
タイヤ部材がトレッドであることが好ましい。
本発明によれば、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性能及び溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の総合性能を向上できる。
本発明は、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物である。前記ゴム組成物は、低燃費性能及び溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の総合性能を向上できる。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
既述のとおり、転がり抵抗を低下させる目的で、ゴム成分としてイソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴム、充填材としてシリカを用いると、シリカを十分に分散させることが難しく、イソプレン系ゴム側に偏在することで、溝底でのクラックが進行し、耐TGC性能が低下するという問題がある。この点について、シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いることで、シリカがイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴムの双方に分散しやすくなり、溝底でのクラックの進行が抑制され、良好な耐TGC性能が得られる。従って、前記ゴム組成物により、低燃費性能及び溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)の総合性能が顕著に改善されると推察される。
(ゴム成分)
ゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴム(SBR)とを含む。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは28質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
イソプレン系ゴム、SBR以外に使用可能なゴム成分としては、例えば、他のジエン系ゴムを使用できる。他のジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シリカ)
前記ゴム組成物には、充填材としてシリカが配合される。使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは150m/g以上、更に好ましくは160m/g以上、特に好ましくは180m/g以上であり、210m/g以上でもよい。シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは600m/g以下、より好ましくは350m/g以下、更に好ましくは260m/g以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。特に、NSA180m/g以上のシリカを用いることで、少ない配合量でも良好な補強性を得ることが可能となる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、特に好ましくは45質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物に使用されるシランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むものである。このような有機珪素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記有機珪素化合物のなかでも、下記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物が好ましい。
Figure 2022017835000001
(式中、xは、硫黄原子の平均個数を表し、3.5以上である。mは、6以上の整数を表す。R~Rは、同一若しくは異なって炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R~Rの少なくとも1つ及びR~Rの少なくとも1つが前記アルコキシ基である。なお、R~Rは、前記アルキル基又は前記アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。)
xは、前記有機珪素化合物の硫黄原子の平均個数を表す。xは、3.5以上12以下が好ましい。ここで、硫黄原子の平均個数、珪素原子の個数は、蛍光X線により組成物中の硫黄量、珪素量を測定しそれぞれの分子量より換算した値である。
mは、6以上の整数を表し、好ましくは6以上14以下である。
アルキル基(R~R)の炭素数に関し、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
アルコキシ基(R~R)は、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルコキシ基中の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基等が挙げられる。
~Rの少なくとも1つ及びR~Rの少なくとも1つが炭素数1~6のアルコキシ基であり、好ましくは、R~R、R~Rのそれぞれ2つ以上が炭素数1~6のアルコキシ基である。
なお、R~Rは、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。例えば、(i)Rがエトキシ基、Rがメチル基が結合した環構造、(ii)Rがエチル基、Rがメチル基が結合した環構造、を形成する場合、それぞれ、R及びRで「-O-C-CH-」、「-C-CH-」という2価の基が形成され、Siに結合した構造が挙げられる。
前記有機珪素化合物は、例えば、特開2018-65954号公報に記載の製造方法で調製できる。具体的には、特開2018-65954号公報に記載の式(I-1)のハロゲン基含有有機珪素化合物、及びNaSで表される無水硫化ソーダ、更に必要により硫黄を反応させることにより、前記有機珪素化合物を製造することが可能である。上記反応を行う際、スルフィド鎖の調整のため、硫黄の添加は任意であり、所望の平均組成式(I)の化合物となるように、平均組成式(I-1)の化合物と無水硫化ソーダと必要により硫黄との配合量から決定すればよい。例えば、平均組成式(I)の化合物のxを3.5にしたい場合、無水硫化ソーダ1.0molと、硫黄2.5molと、式(I-1)の化合物2.0molとを反応させればよい。
そして、シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いると、化合物中のアルコキシ基がシリカ表面の水酸基と反応することで、シリカ表面を疎水化し、かつ該化合物の炭素鎖が長いことに起因して従来のシランカップリング剤よりも疎水化の影響が大きくなるため、シリカの分散性が顕著に向上させることが可能となる。そのため、ゴム成分としてイソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴム、充填材としてシリカを用いた転がり抵抗を低下させた配合でも、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴムの双方にシリカを均一に分散でき、溝底でのクラックの進行が抑制され、良好な耐TGC性能を得ることができる。従って、このような長鎖シランカップリング剤を用いることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能を顕著に改善することが可能となる。
前記ゴム組成物において、前記有機珪素化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。なお、前記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物の含有量も同様の範囲が望ましい。
前記ゴム組成物は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物以外の他のシランカップリング剤を含んでもよい。
他のシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量(前記有機珪素化合物、他のシランカップリング剤の総量)は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
(他の充填材)
シリカ以外の他の充填材としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
前記ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは85質量部以下、特に好ましくは65質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
(可塑剤)
前記ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
前記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下で、15質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
特に、充填材量が少ない場合は混合時のせん断がシリカにかかり難く、分散不良やイソプレン系ゴム相のみへの分散になりやすいが、可塑剤量も減らした状態で前記有機珪素化合物を用いると、せん断がかかりやすく、かつシランカップリング剤の効果により、低充填材量の配合系でも分散が促進される。その結果、少量の充填材でも十分な補強性が得られ、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が顕著に改善されると推察される。
前記ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下で、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下で、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、オイルの含有量には、油展オイルに含まれるオイルも含まれる。
液状樹脂としては、25℃で液体状態のテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム組成物において、液状樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム組成物において、液状ジエン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
液状ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在するが、以下の構造を有する(E)-β-ファルネセンが好ましい。
Figure 2022017835000002
液状ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。
ビニルモノマーとしては、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル化合物や、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ブタジエンが好ましい。すなわち、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体としては、ファルネセンとブタジエンとの共重合体(ファルネセン-ブタジエン共重合体)が好ましい。
ファルネセン-ビニルモノマー共重合体において、ファルネセンとビニルモノマーとの質量基準の共重合比(ファルネセン/ビニルモノマー)は、40/60~90/10が好ましい。
液状ファルネセン系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が3000~30万のものを好適に使用できる。液状ファルネセン系ポリマーのMwは、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上であり、また、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。
ゴム組成物において、液状ファルネセン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
前記ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の耐久性の観点から、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましく、石油樹脂、テルペン系樹脂がより好ましい。
前記ゴム組成物が上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下であり、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が得られる傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
前記ゴム組成物が上記芳香族ビニル重合体を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下であり、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。なお、上記クマロンインデン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。なお、上記クマロンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。なお、上記インデン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。なお、上記フェノール樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。なお、上記ロジン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の観点から、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。これらの樹脂は、イソプレン系ゴム、SBRのいずれか又は両者と相溶性が高く、組成全体の均一化が可能となるため、前記総合性能が顕著に改善されると推察される。
前記ゴム組成物が上記石油樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下であり、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり、例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。テルペン系樹脂は、イソプレン系ゴム、SBRのいずれか又は両者と相溶性が高く、組成全体の均一化が可能となるため、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が顕著に改善されると推察される。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
前記ゴム組成物が上記テルペン系樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下であり、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
なお、上記アクリル系の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~100質量部であることが好ましい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、前記充填材及び前記可塑剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。該合計含有量の上限は、好ましくは160質量部以下、より好ましくは110質量部以下、更に好ましくは95質量部以下、特に好ましくは85質量部以下で、75質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
前記ゴム組成物において、前記シリカ及び前記可塑剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。該合計含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは90質量部以下、特に好ましくは80質量部以下で、70質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
前記ゴム組成物において、前記シリカ及び前記液体可塑剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。該合計含有量の上限は、好ましくは130質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは70質量部以下で、60質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
(加工助剤)
前記ゴム組成物には、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の観点から、加工助剤を配合することが好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸金属塩、アミドエステル、及び脂肪酸金属塩とアミドエステル若しくは脂肪酸アミドとの混合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、脂肪酸金属塩がより好ましい。脂肪酸金属塩を配合することで、更にシリカの分散を高めることが可能となり、耐TGC性能が向上したものと推察される。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、飽和又は不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数6~28(より好ましくは炭素数10~25、更に好ましくは炭素数14~20)の飽和又は不飽和脂肪酸)が挙げられ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ネルボン酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14~20の飽和脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、ニッケル、モリブデン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、亜鉛、カルシウムが好ましく、亜鉛がより好ましい。
アミドエステルとしては、例えば、上記飽和又は不飽和脂肪酸を構成成分とする脂肪酸アミドエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸アミドでも不飽和脂肪酸アミドでもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、N-(1-オキソオクタデシル)サルコシンアミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物の具体例としては、脂肪酸カルシウム塩とアミドエステルの混合物であるラインケミー社製のAflux16等が挙げられる。
脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物の具体例としては、脂肪酸カルシウムと脂肪酸アミドとの混合物であるストラクトール社製のWB16等が挙げられる。
加工助剤としては、例えば、ラインケミー社、ストラクトール社等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が向上する傾向がある。
(他の材料)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
ゴム組成物は、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の観点から、ゴム組成物(100質量%)中のシリカ含有率(質量%)が下記式を満たすことが好ましい。
シリカ含有率≦40.0質量%
シリカ含有率は、35.0質量%以下がより好ましく、30.0質量%以下が更に好ましく、29.0質量%以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、25.0質量%以上が更に好ましい。
ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の観点から、ゴム組成物(100質量%)中のアセトン抽出量(AE量)が20.0質量%以下であることが好ましい。該アセトン抽出量は、17.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、13.0質量%以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、5.0質量%以上が好ましく、7.0質量%以上がより好ましく、9.0質量%以上が更に好ましい。アセトン抽出量を少なくすることで、隣接部への移行が防止され、耐TGC性能が向上しているものと推察される。
なお、アセトン抽出量(AE量)は、実施例に記載の方法で測定した値である。
ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能の観点から、ゴム組成物(100質量%)中のシリカ含有率(質量%)、アセトン抽出量(AE量(質量%))が下記式を満たすことが好ましい。
シリカ含有率/AE量≧1.6
シリカ含有率/AE量は、2.0以上がより好ましく、2.1以上が更に好ましく、2.2以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、シリカ含有率/AE量は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下であり、特に好ましくは2.8以下である。
シリカ含有率、シリカ含有率/AE量について、単にシリカ量が少ない状態では良好な分散は得られないが、可塑剤も減らす、すなわちAE量も減らすことで、シリカを十分に分散させることが可能となるため、補強性が向上し、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能が顕著に改善されると推察される。
前記ゴム組成物を適用できる部材としては、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング、トレッド等、空気入りタイヤの各部材に好適に使用できる。なかでも、トレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を未加硫の段階でトレッド等の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、タイヤが得られる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、ライトトラック用タイヤに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS3
SBR:日本ゼオン(株)製のSBR1502(非油展、スチレン含有量25質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA111m/g)
シリカ1:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA175m/g)
シリカ2:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100GR(NSA235m/g)
有機珪素化合物1:下記製造例1で合成したシランカップリング剤
有機珪素化合物2:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のNH-60
樹脂1:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX1150(ポリテルペン(β-ピネン樹脂)、軟化点115℃)
樹脂2:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、Tg43℃、軟化点85℃)
樹脂3:エクソンモビール社製のPR120(水添DCPD樹脂、軟化点120℃)
ワックス:日本精鑞社製のOzoace0355
老化防止剤:住友化学社製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
加工助剤:ストラクトール社製のEF44(飽和脂肪酸亜鉛塩)
ステアリン酸:日油社製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製の銀嶺R
硫黄:細井化学工業社製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業社製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
(製造例1:有機珪素化合物1の合成)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、無水硫化ソーダ78.0g(1.0モル)、硫黄80.3g(2.5モル)およびエタノール480gを仕込み、80℃に加熱した。その中に、6-クロロヘキシルトリエトキシシラン566g(2.0モル)を滴下投入し、80℃にて10時間加熱撹拌した。この反応液を、濾過板を用いて加圧濾過することで、反応の進行とともに生成した塩が除去された濾液を得た。得られた濾液を100℃まで加熱し、10mmHg以下の減圧下でエタノールを留去することで、反応生成物として有機珪素化合物1(シランカップリング剤)を得た。得られた有機珪素化合物1は、化合物中に含まれる硫黄量が18.5質量%であり、有機珪素化合物1分子中に含まれる平均の硫黄の原子数Xは3.5であり、mの値は6であった。
<実施例及び比較例>
各表に示す配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ195/65R15、乗用車用タイヤ)を製造した。得られた試験用タイヤを用いて以下の試験を行った。
得られた試験用タイヤについて、以下の評価を行った。評価結果を各表に示した。なお、表1、2は、それぞれ比較例1-1、2-1を基準比較例とした。
<アセトン抽出量(AE量)>
上記試験用タイヤのトレッドから切り出したゴム試験片について、JIS K 6229に準拠したアセトン抽出量の測定方法に準拠し、該試験片中に含まれるアセトンにより抽出される物質の量を測定した。
アセトン抽出量(%)=(抽出前のサンプルの質量-抽出後のサンプルの質量)/抽出前のサンプルの質量×100
<転がり抵抗(低燃費性能)>
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、正規内圧(250kPa)となるように空気を充填した後、乾燥路面のテストコース上を、80km/hの速度で15分間走行した後、アクセルを離し、アクセルをオフにしてから車両が止まるまでの距離を、転がり抵抗として計測し、下記式により指数化した。数値が大きいほど、アクセルオフにしたタイミングから車両が止まるまでの距離が長く、転がり抵抗が小さく、低燃費性能が優れていることを示す。
転がり抵抗=[(試験用タイヤの計測結果)/(基準比較例の計測結果)]×100
<耐TGC性能>
30pphmのオゾンをトレッド部に照射しながら試験用タイヤを80℃2週間熱処理した後、国産FF車に装着し、アスファルト路面上を周回させ、周回後の溝底でのクラックの発生状況を観察した。溝底に発生したクラックの長さを測定し、下記式により指数化した。指数が大きいほど、耐溝底クラック性能が良好である。
(基準比較例のタイヤのクラック長さ)/(各仕様のタイヤのクラック長さ)×100
Figure 2022017835000003
Figure 2022017835000004
各表より、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むシランカップリング剤とを含む実施例は、低燃費性能及び耐TGC性能の総合性能(転がり抵抗及び耐TGC性能の2つの指数の総和で表す)に優れていた。

Claims (11)

  1. イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、
    前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物。
  2. ゴム組成物中のアセトン抽出量(AE量)が15.0質量%以下である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. ゴム組成物中のシリカ含有率、アセトン抽出量(AE量)が下記式(1)、(2)を満たす請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
    (1)シリカ含有率≦30.0質量%
    (2)シリカ含有率/AE量≧2.0
  4. ゴム成分100質量部に対する充填材の含有量が65質量部以下である請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が60質量部以下である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 窒素吸着比表面積180m/g以上のシリカを含む請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が20質量部以下である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. ゴム成分100質量部に対するシリカ及び可塑剤の合計含有量が80質量部以下である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. テルペン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂及び水添ジシクロペンタジエン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. 請求項1~9のいずかに記載のゴム組成物からなるタイヤ部材を有するタイヤ。
  11. タイヤ部材がトレッドである請求項10記載のタイヤ。
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