以下、本発明を実施するための形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の無線ネットワークシステムの構成単位となる無線通信ユニット対の概念を一実施形態として示す模式図である。無線通信ユニット対は本発明の一実施形態である同一構成の無線通信ユニット1(A),1(B)からなり(以下、無線通信ユニット対1(A),1(B)ともいう)、それぞれ3GPPで規定された方式(本実施形態では、LTEとするが、WiMAXなど他の方式であってもよい)の通信プロトコルスタックに従い、UE(移動端末)5との間で無線通信を行なうものとして構成されている。
無線通信ユニット1(A),1(B)は、それぞれ移動体である大型船舶WS(A),WS(B)に設置され、後に詳述する無線リンク55により無線接続されている。各無線通信ユニット1(A),1(B)は、それぞれUE(移動端末)5が接続可能となるセル50(A),50(B)を形成する。また、大型船舶WS(A),WS(B)(例えば漁業母船、タンカーなど)の周囲では小船舶FB(例えば、漁船、タグボートなど)が操業をおこなっており、セル50(A)又はセル50(B)内の小船舶FBの乗員がUE5を携行している。それらUE5は、それぞれ最も近い無線通信ユニット1(A),1(B)に対し端末無線ベアラ57により無線接続されている。なお、UE5は大型船舶WS(A),WS(B)の乗員が携行するものであってもよい。また、無線通信ユニット1(A),1(B)の設置先は船舶以外の移動体(車両など)であってもよいし、例えば陸上の所望の設置先に固定配置してもよい。
図2は、無線通信ユニット1(A),1(B)の機能ブロック構成を示すものである。無線通信ユニット1(A),1(B)は電気的にはいずれも同一の構成を有する。そして、本明細書において複数の無線通信ユニット及びその構成要素を互いに区別して示す場合は、対応する構成要素に同一の番号を付与しつつ、該番号に続く形で括弧付きの大文字アルファベットを付与して示す。一方、無線通信ユニット間の区別を行なわずに各構成要素を示す場合は、括弧付きの大文字アルファベットを省略する場合がある。以下、無線通信ユニット1(A)側の符号を主体的に用いて説明するが、必要に応じて無線通信ユニット1(B)側についても、対応する符号を援用しつつ説明する。また、本明細書に添付の図面において無線ベアラを示す矢印線を破線にて示し、有線のベアラないし電気的な接続線は実線又は一点鎖線の矢印線で示している。
無線通信ユニット1(A)は、UE(移動端末)5が端末無線ベアラ57を介して接続可能な無線基地局部4(A)(eNodeB(evolved NodeB))と、無線基地局部4(A)に有線接続され、該無線基地局部4(A)に対する上位ネットワーク制御部として機能するEPC(Evolved Packet Core)機能部3(A)とを有する。また、該EPC機能部3(A)には、上流側の無線通信ユニット1(B)(上流ノードユニット)の無線基地局部4(B)(上流無線基地局部)に対し上流側の連携無線ベアラ(上流無線リンク)55(A)を介して接続可能な中継無線通信部9(A)が有線接続されている。
一方、無線通信ユニット1(B)は、同様の無線基地局部4(B)と、無線基地局部4(B)に有線接続され、該無線基地局部4(B)に対する上位ネットワーク制御部として機能するEPC機能部3(B)と、EPC機能部3(B)に有線接続される中継無線通信部9(B)を備える。該中継無線通信部9(B)は、例えば図11に示すように、無線通信ユニット1(B)の上流側に、さらに別の無線通信ユニット(上流ノードユニット)1(C)が配置されていれば、その無線通信ユニット1(C)の無線基地局部4(C)に対し無線リンク55(B)を介して接続可能である(図11参照)。また、無線基地局部4(B)は、下流側の無線通信ユニット1(A)(下流ノードユニット)の中継無線通信部9(A)(下流中継無線通信部)に対し、下流側の連携無線ベアラ(下流無線リンク)55(A)を介して接続可能とされている。無線リンク55(A)は、例えば無線通信ユニット1(A)から見たときは上流無線リンクとなり、無線通信ユニット1(B)から見たときは下流無線リンクとなる。
次に、いずれの無線通信ユニット1(A),1(B)(以下、総称する場合は無線通信ユニット1という)においても、EPC機能部3は、コントロールプレーン側のゲートウェイとなるMME(Mobility Management Entity)2、ユーザプレーン側のゲートウェイとなるS-GW(Serving Gateway)6、EPC機能部3、及び該EPC機能部3の上流側ネットワーク要素(ここで、ルータ8(後述)及び中継無線通信部9)の結節点に位置し、上流側ネットワーク要素側(つまり、上流ノードユニット側)に向けたIPアドレス管理を行なうP-GW(PDN (Packet Data Network) Gateway)7を有する。無線基地局部4には複数のUE5が端末無線ベアラ57を介して無線接続される。また、ルータ8には、映像データ、画像データあるいは音声データからなるユーザデータの配信元となるアプリケーションサーバ8’が接続されている。
コントロールプレーン側において無線基地局部(eNodeB)4は、S1-MMEインターフェースを介してMME2に接続される。また、ユーザプレーン側において無線基地局部4は、S1-Uインターフェースを介してS-GW6に接続される。また、S-GW6はS5インターフェースを介してP-GW7と接続される。
図3は、無線通信ユニット1の電気的構成を示すブロック図である。EPC機能部3はマイコンハードウェアを主体に構成されており、CPU301、プログラム実行領域となるRAM302、マスクROM303(恒久的に書換えが不要なマイコンハードウェア周辺制御用等のファームウェアを格納している;以下、同様)及びそれらを相互に接続するバス306等からなる。また、バス306にはフラッシュメモリ305が接続され、ここにEPC用の通信プロトコルスタックを含む通信ファームウェア305a(通信制御部の機能実現プログラムである)が格納されている。
図6及び図7は、無線通信ユニット1が使用する通信プロトコルスタックを示し、図6はコントロールプレーン側のプロトコルスタックを、図7はユーザプレーン側のコプロトコルスタックを示している。いずれのプロトコルスタックも有線通信用のスタックと無線通信用のスタックとに分かれており、図6及び図7において、「LTE」と表示されている部分が無線通信用のスタックを示す。説明の便宜のため、いずれの図においても無線通信ユニット1(A)と無線通信ユニット1(B)とを無線リンクにより接続した状態で示している。EPC機能部3が使用するプロトコルスタックは、コアネットワーク側インターフェースCoreと無線アクセスネットワーク(Radio Access Network)側インターフェースRANとからなる。図6及び図7においては、説明の簡略化のため無線通信ユニット1(A)側についてはコアネットワーク側インターフェースCoreのみを図示している。
まず、図6のコントロールプレーン側のプロトコルスタックから説明する。無線基地局部(eNodeB)4はEPC機能部3の無線アクセスネットワーク側インターフェースRANに接続される。この区間のプロトコルスタックは、PHY(物理)層(L1)、データリンク層をなすMAC(Medium Access Control)層(L2)、ネットワーク層をなすIP(Internet Protocol)層、トランスポート層をなすUDP(User Datagram Protocol)層及び最上層をなすGTP(GPRS(General Packet Radio Service)Tunneling Protocol)層からなる。この接続区間はユニット内部での有線通信となり、GTPを用いたトンネリングによりIPパケットのやり取りがなされる。また、中継無線通信部9はEPC機能部3のコアネットワーク側インターフェースCoreに接続され、IP層を介したLAN通信によりIPパケットのやり取りがなされる。
一方、中継無線通信部9と無線基地局部(eNodeB)4との無線通信区間のプロトコルスタックは、PHY層、MAC層、RLC層、PDCP層及びRRC層からなる。各層の役割は以下の通りである。
・PHY層:符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行なう。UE5及び中継無線通信部9のPHY層と無線基地局部(eNodeB)4のPHY層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
・MAC層:データの優先制御、HARQによる再送制御処理、及びランダムアクセス手順等を行なう。UE5及び中継無線通信部9のMAC層と無線基地局部4のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。無線基地局部4のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE5への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
・RLC層:MAC層及びPHY層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE5のRLC層と無線基地局部4のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
・PDCP層:PDUのヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行なう。
・RRC層:制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE5のRRC層と無線基地局部4のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルを制御する。UE5のRRCと無線基地局部4のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE5はRRCコネクティッドモードとなり、そうでない場合はRRCアイドルモードとなる。
次に、2つの無線通信ユニット(上流ノードユニット)1(A)及び無線通信ユニット(下流ノードユニット)1(B)間に連携無線ベアラ(無線リンク)を構築し、これらを連携接続するための制御シーケンスは、上記連携無線ベアラの構築及び管理の制御に使用する連携報知情報を、それら上流ノードユニット及び下流ノードユニットのEPC機能部3間にて送受信することにより実行される。そして、コアネットワーク側インターフェースCoreをなすプロトコルスタックには、該連携報知情報を取り扱う無線連携プロトコル層WLPが付加されている。
コアネットワーク側インターフェースCoreをなすプロトコルスタックは、下層側からPHY層(L1)、MAC層(L2)、IP層、UDP層及び無線連携プロトコル層WLPを含む。無線連携プロトコル層WLPは、UDP層(トランスポート層)上に構築される本発明特有の新たなプロトコル層として定義される。上記の連携報知情報は無線連携プロトコル層WLP上にて定義される連携報知パケットに組み込まれ、上流ノードユニット及び下流ノードユニットのEPC機能部3は、連携報知情報の送受信制御を、トランスポート層(ここでは、UDP)上にて規定されるパケット送受信プロトコルに基づき連携報知パケットの送受信制御として実行する(連携報知情報送受信制御部の機能が実現されている)。UDPは、接続確認のためのステートが排除され、かつ送受信されるデータの誤りや順序の違いなどを検出する機能を有さない簡便なプロトコルである。例えば、同じトランスポート層のプロトコルであるTCP(Transmission Control Protocol)の場合、データ本体のパケット通信以外に、開始処理と終了処理が実施されるが、UDPは開始処理及び終了処理は実施されない。また、TCPではパケットの受信に対しACK(acknowledgement)を応答として返すが、UDPではACKを返さない。UDPのデータ送受信手順はこのように簡略化されたものであり、ユニット間の連携接続制御の迅速化に貢献する。なお、無線連携プロトコル層WLPの機能実現プログラムは、図3において通信ファームウェア305aに対し、無線連携プロトコル層モジュール305pとして組み込まれている。
次に、図7のユーザプレーン側のプロトコルスタックについて説明する。該プロトコルスタックの構造は、多くの点で図6のコントロープレーン側のスタック構造と共通しているので、以下、主にその相違点につい説明し、構造的に重複するプロトコル層については、図6と同じ符号を付与して詳細を略する。EPC機能部3のコアネットワーク側インターフェースCoreは、ユーザデータに関しては受信するIPパケットの受動的な転送処理に専念するため、最上層がネットワーク層であるIP層となっている。また、ユーザデータの送信元及び受信先となるUE5あるいはアプリケーションサーバ(APP)8’において、該ユーザデータの送受信を取り扱う最上部のプロトコル層はアプリケーション層APPである。
図5の上は、ユーザデータの転送に用いるIPパケットの模式図である。IPパケット1300はIPヘッダ1301とペイロード1302とからなり、IPヘッダ1301にはPDU識別番号、データの送信元アドレス1301a、送信先アドレス1301bなどが書き込まれる。一方、同図下は、連携報知パケット1350の模式図であり、IPヘッダ1351とペイロード1352とからなる。ユーザデータの転送に用いるIPパケットとの相違点は、送信先アドレスが特定のアドレス(図5下においては「172.17.1.1」)に固定されたIPパケットとして発行される点にある。この固定送信先アドレスは、そのIPパケットが連携報知パケットであることを示す識別情報を兼ねたものである。このような連携報知パケット1350を用いることにより、1つの連携報知パケットのペイロード1352に組み込まれた連携報知情報を、無線リンクにより連携接続されている複数の無線通信ユニット間で容易に共有化することができる。
次に、通信ファームウェア305aの無線連携プロトコル層モジュール305pには、次の3つの制御モジュールが含まれている。
・ルーティング管理モジュール305pr
無線基地局部4又は中継無線通信部9が受信したIPパケット(ユーザデータ及び制御データ)を、EPC機能部3から見てどの向きに送信するかを管理する。基本的に、次の3つのいずれかが実行される。
(管理制御1)IPパケットを上流側に転送する。すなわち、自ノードユニットの中継無線通信部9及び上流無線リンクを経て上流ノードユニットの無線基地局部4に向かう方向である。
(管理制御2)IPパケットを下流側に転送する。すなわち、自ノードユニットの無線基地局部4及び下流無線リンクを経て下流ノードユニットの中継無線通信部9に向かう方向である。
(管理制御3)IPパケットを自ノードユニットに接続中のアプリケーションサーバ8’またはUE5に転送する。
上流ノードユニット及び下流ノードユニットに接続されているアプリケーションサーバ8’及びUE5のノードアドレスのリストは、追って詳述する方式に従い、無線ネットワークシステムを構成する全てのノードユニット(無線通信ユニット1)間で情報共有され、ルーティング管理テーブル305f(ルーティング管理情報)として記憶される。このルーティング管理テーブル305fの内容は、隣接するノードユニット間の連携報知パケット介した通信により定期的に更新される。ルーティング管理モジュール305prの動作は、受信したIPパケットの送信先アドレスが、ルーティング管理テーブル305fを参照することにより、上流側に存在するのか(管理制御1)、下流側に存在するのか(管理制御2)、自ノードユニットのエリア内にあるのか(管理制御3)を単純に判断する処理に集約される。
・トポロジ管理モジュール305pt
無線ネットワークシステムを構成する全てのノードユニットの無線接続トポロジ(無線リンクを介した位相幾何学的な接続形態)を管理する。無線接続トポロジは、自ノードユニットから見た上流ノードユニット及び下流ノードユニットの特定情報を、全てのノードユニット(無線通信ユニット1)間で情報共有することで把握が可能であり、その内容はトポロジ管理テーブル305tt(トポロジ管理情報)として記憶される。このトポロジ管理テーブル305ttの内容も、隣接するノードユニット間の連携報知パケット介した通信により定期的に更新される。また、後述の棄却リスト305rrもトポロジ管理モジュール305ptに組み込まれている。
・無線リンク管理モジュール305pj
中継無線通信部9あるいは無線基地局部4が構築する無線リンク(連携無線ベアラ)の状態を管理する。具体的には自ノードユニットの中継無線通信部9が上流ノードユニットの無線基地局部4に無線リンク55を介して接続した場合、または下流ノードユニットの中継無線通信部9が自ノードユニットの無線基地局部4に無線リンク55を介して接続した場合に連携モードとなり、上記のルーティング管理モジュール305pr及びトポロジ管理モジュール305ptが起動する。一方、無線リンク55を介した他ノードユニットの接続がない場合は孤立モードとなり、ルーティング管理情報及びトポロジ管理情報の各内容はクリアされる。さらに、連携モードにて無線リンク55に割り当てるチャネルを決定するためのチャネルマップ305gも無線リンク管理モジュール305pjに組み込まれている。
・グループID管理モジュール305gt
無線通信ユニット1を複数連携接続して無線ネットワークシステムを構築したい場合、特定の複数の無線通信ユニット1同士にユニットグループを形成させることが可能である。具体的には、自ノードユニットがどのユニットグループに属するかの識別に使用するグループ識別情報、より具体的には自ノードユニットが属するユニットグループを特定するグループ特定情報が各無線通信ユニット1に記憶保持されており、グループID管理モジュール305gtは、自ノードユニットとグループ特定情報が一致する無線通信ユニット1(候補ユニット)についてのみ、連携接続を許可する制御を行なうものである。本実施形態では、グループ特定情報は各無線通信ユニット1に割り振られたグループIDであり、図3においてグループID記憶部305gmがグループ識別情報記憶部の機能を果たす。
なお、グループ識別情報は、自ノードユニットがどのユニットグループに属するかの識別に使用できる情報であればよく、上記のグループ特定情報に限定されない。例えば、候補ユニットからのアタッチ要求を受けた際に、その候補ユニットが自ノードユニットのユニットグループに属さないことを示す情報もグループ識別情報として使用できる。この点については、追って詳述する。
図11は、上記の構成の無線通信ユニット1を採用した場合の、本発明の無線ネットワークシステムの一構成例を示すものである。該無線ネットワークシステムにおいて無線通信ユニット群1(A)~1(C)は、互いに隣接する無線通信ユニット対(1(A)と1(B)、1(B)と1(C))の基地局セル(例えば、無線通信ユニット対1(A),1(B)の場合、図1の50(A)と50(B))が一部重なる位置関係で、無線リンク55(A)及び55(B)により接続されている。例えば、無線通信ユニット対1(A),1(B)の一方に接続されたUE5(A)(移動端末)と他方に接続されたUE5(B)(移動端末)とは、無線通信ユニット対1(A),1(B)及び該無線通信ユニット対1(A),1(B)を接続する連携無線ベアラ55(A)を介してIPパケットの送受信を行なうことができる。無線通信ユニット群1(A)~1(C)は、例えば全てが前述の船舶などの移動体上に搭載されていてもよいし、一部のもののみを移動体上に搭載し、残余のものを建物内などに固定設置するようにしてもよい。また、無線通信ネットワークが配備されていない地域にて、全ての無線通信ユニット群1(A)~1(C)を固定配置してもよい。
また、図11においては、無線リンク55(A),55(B)により接続された無線通信ユニットが3(それ以上でもよい)となっている。例えば、無線通信ユニット1(A)に接続されたUE(移動端末)5(A)は、無線通信ユニット1(C)に接続されたUE(移動端末)5(C)と、無線通信ユニット1(A)~1(C)と、それら無線通信ユニット1(A)~1(C)を接続する連携無線ベアラ55(A),55(B)とを介してIPパケットを送受信できるようになっている。このように、接続される無線通信ユニットの数を容易に増やすことができ、より広大なエリアにてUE5同士の無線通信によるIPパケットの送受信が可能となる。
図11下に掲げた表には、無線通信ユニット群1(A)~1(C)について、無線リンク55(A),55(B)の通信周波数/チャネル番号、トラッキングエリアコード、接続中のUE5(A)~5(C)及びアプリケーションサーバ8’(A)~8’(C)のノードアドレス(表示の簡略化のため、複数のUE5及びアプリケーションサーバ8’のノードアドレスをまとめたサブネットワークアドレスにて示している)、及び無線連携プロトコル層WLP上にて送受信される連携報知パケットの送信先アドレスをまとめて示している。連携報知パケットの送信先アドレスは、どの無線通信ユニット1(A)~1(C)についても同一に定められている。また、無線ネットワークシステム全体でみた場合の、接続中の全てのUE5(A)~5(C)及びアプリケーションサーバ8’(A)~8’(C)のノードアドレスは、無線通信ユニット群1(A)~1(C)間で共有化され、図3のルーティング管理テーブル305fに記憶される。また、無線通信ユニット1(A)~1(C)の接続トポロジ情報([A]→[B]→[C])も同様に共有化され、トポロジ管理テーブル305ttに記憶される。なお、トポロジ管理テーブル305ttに記憶される各無線通信ユニット1(A)~1(C)の特定情報(上記の[A]、[B]、[C])は、無線通信ユニット1(A)~1(C)に固有に割り振られたIDであってもよいし、無線通信ユニット1(A)~1(C)のノードアドレス(例えば、EPC機能部3、無線基地局部4、中継無線通信部9のいずれかのノードアドレスか、これらとは別に割り当てられたユニットノードアドレス)を用いてもよい。本実施形態では、EPC機能部3のノードアドレスを用いるものとする。
図13は、ルーティング管理テーブル305fの内容の例を示すものであり、上から順に、図11の接続状態にある無線通信ユニット1(A)、1(B)及び1(C)のルーティング管理テーブル305fをそれぞれ示す。UE5(A)~5(C)及びアプリケーションサーバ8’(A)~8’(C)のノードアドレスは、自ノードユニットから見て下流ルート側に存在するノードと上流ルート側に存在するノードとが互いに区別された形で記憶されている。
また、フラッシュメモリ305には、上記の通信プロトコルスタックをプラットフォームとして、図2のMME2、S-GW6及びP-GW7の各機能を仮想的に実現するMMEエンティティ305b、S-GWエンティティ305c及びPーGWエンティティ305dの各プログラムがインストールされている。また、バス306には上流側通信インターフェース304A及び下流側通信インターフェース304Bが接続されている。P-GW用のIPパケットの入出力ポートは上流側通信インターフェース304Aに、S-GW用のIPパケットの入出力ポートは下流側通信インターフェース304Bにそれぞれ確保される。なお、上記の構成では、図2のMME2、S-GW6及びP-GW7をコンピュータハードウェア上での仮想機能ブロックとして構成しているが、各々独立したハードウェアロジックにより構成してもよい。
無線基地局部4はマイコンハードウェアを主体に構成されており、CPU401、プログラム実行領域となるRAM402、マスクROM403及びそれらを相互に接続するバス406等からなる。バス406にはフラッシュメモリ405が接続され、ここに無線基地局用のLTEプロトコルスタックを含む通信ファームウェア405aが格納されている。また、バス406には端末無線ベアラの構築によりUEと無線接続するための無線通信部412と、通信インターフェース404が接続されている。通信インターフェース404はEPC機能部3の下流側通信インターフェース304Bと有線の通信バス31により接続されている。
中継無線通信部9はマイコンハードウェアを主体に構成されており、CPU901、プログラム実行領域となるRAM902、マスクROM903及びそれらを相互に接続するバス906等からなる。バス906にはフラッシュメモリ905が接続され、ここに中継無線通信部用のLTEプロトコルスタックを含む通信ファームウェア905aが格納されている。また、バス906には無線リンクの構築により上流無線基地局部と無線接続するための無線通信部912と、通信インターフェース904が接続されている。通信インターフェース904はEPC機能部3の上流側通信インターフェース304Aと有線の通信バス30により接続されている。通信ファームウェア905aに組み込まれている中継無線通信部用のLTEプロトコルスタックは後述するUE(移動端末)用のプロトコルスタックと同一のものが使用される。換言すれば、中継無線通信部9の上流無線基地局部への接続手順は、UE(移動端末)の接続手順と方式的には同一である。
また、通信バス30には、EPC機能部3とアプリケーションサーバ8’(あるいは、インターネット等の外部ネットワークであってもよい)との間のIPパケットの送受信を中継するルータ8が接続されている。
次に、無線通信ユニット1は、着脱式の二次電池モジュール21(例えば、リチウムイオン二次電池モジュールやニッケル水素二次電池モジュールなど)と、無線基地局部4、EPC機能部3、ルータ8及び中継無線通信部9の各機能回路ブロックと、二次電池モジュール21からの入力電圧を各機能回路ブロックの駆動電圧に変換して出力する電源回路部22とが可搬型筐体23に一体的に組付けられた構造を有する。これにより、無線通信ユニット1は、二次電池モジュール21から駆動電源電圧を自律的に調達でき、商用交流などの外部電源電圧が使用不能な設置場所(例えば海上など)においても問題なく使用可能である。可搬型筐体23は金属ないし強化型樹脂製の箱型であり、図3に示す例では、搬送ないし移動の便宜を図るため、可搬型筐体23の底部にキャスター24Cを、同じく背面に手押し用の取手24を設けている。
放電により二次電池モジュール21の出力電圧が下がった場合は、可搬型筐体23から二次電池モジュール21を取り外し、例えば図示しない商用交流電源や自家発電装置に接続された専用の充電器に装着して充電することが可能である。また、電源回路部22は、上記商用交流や移動体に設けられた集中電源部などの外部電源電圧も受電できるようになっており、上記駆動電源電圧に変換出力が可能である。さらに、当該外部電源電圧により二次電池モジュール21の充電を実行できるように構成することもできる。例えば電源回路部22が商用交流等から受電している状態で、停電により該受電が途絶えた場合は二次電池モジュール21からの受電に切り替えることで、無線通信ユニット1の動作が継続可能となるように構成することもできる。
次に、図4は、UE(移動端末)5の電気的構成の一例を示すブロック図である。UE5はマイコン100を処理主体として備えたスマートフォンとして構成されている。マイコン100は、CPU101、プログラム実行領域となるRAM102、ROM103、入出力部104及びそれらを相互に接続するバス106等からなる。また、バス106にはフラッシュメモリ105が接続され、ここにUE5の動作環境を構築するためのOS(図示せず)と、端末アプリ105b等がインストールされている。
また、入出力部104にはグラフィックコントローラ1091を介してモニタ109が接続されている。モニタ109には入力部をなすタッチパネル110が重ね合わされ、モニタ109に表示形成される種々のソフト操作部(ボタンやアイコンなど)と協働して、UE5の動作制御に必要な種々の情報入力がなされるようになっている。タッチパネル110はタッチパネルコントローラ1101を介して入出力部104に接続されている。入出力部104には静止画ないし動画を撮影するためのカメラ111が接続されている。さらに、バス106には無線通信部112が接続されている。UE5は該無線通信部112にて、図3の無線通信ユニット1の無線基地局部4と端末無線ベアラ57を介して無線接続される。
次に、図8は、LTEシステムにおける下りリンクのチャネルマッピングを示す。ここでは、論理チャネル(Downlink Logical Channel)、トランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)及び物理チャネル(Downlink Physical Channel)相互間のマッピング関係を示している。以下、順に説明する。
・DTCH(Dedicated Traffic Channel:専用トラフィックチャネル)は、データの送信のための個別論理チャネルである。DTCHは、トランスポートチャネルであるDLSCH(Downlink Shared Channel:下りシェアドチャネル)にマッピングされる。
・DCCH(Dedicated Control Channel:専用制御チャネル):UE5とネットワークとの間の個別制御情報を送信するための論理チャネルである。DCCHは、UE5及び中継無線通信部9が無線基地局部4とRRC接続を有する場合に用いられる。DCCHは、DLSCHにマッピングされる。
・CCCH(Common Control Channel:共通制御チャネル):UE5及び中継無線通信部9と無線基地局部4との間の送信制御情報のための論理チャネルである。CCCHは、UE5及び中継無線通信部9が無線基地局部4との間でRRC接続を有していない場合に用いられる。CCCHは、DLSCHにマッピングされる。
・BCCH(Broadcast Control Channel:放送制御チャネル):システム情報配信のための論理チャネルである。BCCHは、トランスポートチャネルであるBCH(Broadcast Channel、放送チャネル)又はDLSCHにマッピングされる。
・PCCH(Paging Control Channel:ページング制御チャネル):ページング情報、及びシステム情報変更を通知するための論理チャネルである。PCCHは、トランスポートチャネルであるPCH(Paging Channel:ページングチャネル)にマッピングされる。
また、トランスポートチャネルと物理チャネルとの間のマッピング関係は以下の通りである。
・DLSCH及びPCH:PDSCH(Physical Downlink Shared Channel:物理下りシェアドチャネル)にマッピングされる。DLSCHは、HARQ、リンクアダプテーション、及び動的リソース割当をサポートする。
・BCH:PBCH(Physical Broadcast Channel:物理ブロードキャストチャネル)にマッピングされる。
次に、図9は、LTEシステムにおける上りリンクのチャネルマッピングを示す。図8と同様に、論理チャネル(Downlink Logical Channel)、トランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)及び物理チャネル(Downlink Physical Channel)相互間のマッピング関係を示している。以下、順に説明する。
・CCCH(Common Control Channel:共通制御チャネル):UE5及び中継無線通信部9とEPC機能部3との間の制御情報を送信するために使用される論理チャネルであり、EPC機能部3と無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続を有していないUE5によって使用される。
・DCCH(Dedicated Control Channel:専用制御チャネル):1対1(point-to-point)の双方向の論理チャネルであり、UE5及び中継無線通信部9とEPC機能部3と間で個別の制御情報を送信するために利用するチャネルである。専用制御チャネルDCCHは、RRC接続を有しているUE5によって使用される。
・DTCH(Dedicated Traffic Channel:専用トラフィックチャネル):1対1の双方向論理チャネルであり、特定のUE又は中継無線通信部専用のチャネルであって、ユーザ情報の転送のために利用される。
・ULSCH(Uplink Shared Channel:上りリンク共用チャネル):HARQ)、動的適応無線リンク制御、間欠送信(DTX:Discontinuous Transmission)がサポートされるトランスポートチャネルである。
・RACH(Random Access Channel:ランダムアクセスチャネル):制限された制御情報が送信されるトランスポートチャネルである。
・PUCCH(Physical Uplink Control Channel:物理上りリンク制御チャネル):下りリンクデータに対する応答情報(ACK(Acknowledge)/NACK(Negative acknowledge))、下りリンクの無線品質情報、および、上りリンクデータの送信要求(スケジューリングリクエスト:Scheduling Request:SR)を無線基地局部4に通知するために使用される物理チャネルである。
・PUSCH(Physical Uplink Shared Channel:物理上りリンク共用チャネル):上りリンクデータを送信するために使用される物理チャネルである。
・PRACH(Physical Random Access Channel:物理ランダムアクセスチャネル):主にUE5から無線基地局部4への送信タイミング情報(送信タイミングコマンド)を取得するためのランダムアクセスプリアンブル送信に使用される物理チャネルである。ランダムアクセスプリアンブル送信はランダムアクセス手順の中で行なわれる。
図9に示すように、上りリンクでは、次のようにトランスポートチャネルと物理チャネルのマッピングが行われる。上りリンク共用チャネルULSCHは、物理上りリンク共用チャネルPUSCHにマッピングされる。ランダムアクセスチャネルRACHは、物理ランダムアクセスチャネルPRACHにマッピングされる。物理上りリンク制御チャネルPUCCHは、物理チャネル単独で使用される。また、共通制御チャネルCCCH、専用制御チャネルDCCH、専用トラフィックチャネルDTCHは、上りリンク共用チャネルULSCHにマッピングされる。
LTEシステムの下りリンクにおいては、UE5及び中継無線通信部9は無線基地局部4に対してOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing、直交周波数分割多重)アクセス(OFDMA)により無線接続する。OFDMA方式は、周波数分割多重と時間分割多重とを複合させた二次元の多重化アクセス方式として特徴づけられる。具体的には、直交する周波数軸と時間軸のサブキャリアを分割してUE5に割り振り、各サブキャリアの信号がゼロ(0点)になるように、周波数軸上で直交するサブキャリアを分割する。サブキャリアを分割して周波数軸上に割り当てることにより、あるサブキャリアがフェージングの影響を受けても影響のない別のサブキャリアを選択することができるので、ユーザは無線環境に応じてより良好なサブキャリアを使用でき、無線品質を維持できる利点が生ずる。
そして、OFDMA方式においては、周波数軸と時間軸とが張る仮想平面上で定義されるリソースブロック(Resource Block:以下、RBともいう)が無線リソースとして採用される。RBは図10に示すように、上記平面を180kHz/0.5msecでマトリックスに区切ったブロックとして定義され、各ブロックは周波数軸上では15kHz間隔で隣接する12個のサブキャリアを、時間軸上ではフレームの1スロット分(7シンボル)を含む。このRBは時間軸上で隣接する2つ(1msec)を1組としてUE5及び中継無線通信部9に割り当てられる。他方、LTEシステムの上りリンクにおいても、SC-FDM(Single Career Frequency-Division Multiplexing)アクセス(SC-FDMA)が採用される点を除き、同様の概念のリソースブロックが無線リソースとして用いられる。OFDMAでは1つのリソースブロックが周波数軸上で12のサブキャリア(帯域幅:15kHz)に分割されるのに対し、SC-FDMAはサブキャリアへの分割がなされないシングルキャリア方式である。
3GPP仕様の無線通信方式においては、該3GPPに規定された複数の周波数バンドのいずれが割り当てられる。この割り当てられる周波数バンドは、通信方式によって相違し、例えばLTEバンドとしてはバンド1、3、6、8、11、18、19、21、26、28、41及び42が使用されている。いずれのバンドも、予め定められた帯域幅の複数の周波数チャネルに分割され、EPC機能部3は、図2の無線リンク55及び端末無線ベアラ57を、予め定められた周波数チャネルを選択して構築することとなる。すなわち、下流ノードユニット間チャネル、上流ノードユニット間チャネル及び端末側チャネルは、各々3GPPに規定される複数のバンドのいずれかに属する周波数チャネルとして設定される。
図11の実施形態において、EPC機能部3は、(下流)無線リンク55の設定周波数チャネルを、予め定められた特定の1つの周波数チャネルである(下流)ユニット間チャネルに固定設定する。また、端末無線ベアラ57の設定周波数チャネルである端末側チャネルについては、(下流)ユニット間チャネルと同一の周波数チャネルに設定される。つまり、EPC機能部3は、直下の無線基地局部4に対し、下流側の無線通信ユニット1の中継無線通信部9と移動端末5に対し同一の周波数チャネルを設定する。
また、図11において、無線通信ユニット1(A)のセル、無線通信ユニット1(B)のセル及び無線通信ユニット1(C)のセルは互いに重なりを生じている。この場合、例えば無線通信ユニット1(B)から見て上流及び下流の無線通信ユニット1(A),1(C)を接続する無線リンク55(A),(B)のユニット間チャネルは、これを互いに異なる周波数チャネルに設定することで、無線リンク55(A),(B)の構築に際して、これに関与する、互いに一部重なる複数のセルの間での電波干渉を効果的に防止することができる。
より具体的には、無線通信ユニット1(A)~1(C)の各EPC機能部3は、(上流)無線リンクが構築される際に、下流ノードユニット間チャネルを、上流無線リンクに対して設定される上流ノードユニット間チャネルと異なる周波数チャネルに設定する一方、端末用チャネル群については、下流ノードユニット間チャネル及び上流ノードユニット間チャネルとのいずれとも異なる周波数チャネル群として設定している。例えば、無線通信ユニット1(B)に着目してみた場合、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3は、上流無線リンク55(B)に対して設定される上流ノードユニット間チャネルを例えばCH2に設定する。一方、無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3は、該無線通信ユニット1(A)から見た上流無線リンク55(A)(無線通信ユニット1(B)から見れば下流無線リンクである)に対して設定される上流ノードユニット間チャネル(無線通信ユニット1(B)から見れば下流ノードユニット間チャネルである)を、上記CH2と相違するCH1に設定するのである。このとき、下流ノードユニット間チャネルCH1と上流ノードユニット間チャネルCH2とを同一バンド内の互いに異なる周波数チャネルとして設定することで、無線リンクを構築するための無線基地局部4及び中継無線通信部9のハードウェアを、単一バンド仕様にて簡便に構成できる利点が生ずる。
また、端末側チャネルについては、上記同一バンドに属する周波数チャネルのうち、下流ノードユニット間チャネルと同一のチャネルに設定される。例えば、図11の無線ネットワークシステム全体に1つのバンドのみが割り当てられている場合、端末側チャネルは、同一バンドに属する周波数チャネルのうち、下流ノードユニット間チャネルと同一のチャネルを設定することで、端末無線ベアラ構築も含めて無線基地局部4及び中継無線通信部9のハードウェアの単一バンド仕様化を図ることができ、装置構成の簡略化に寄与する。なお、端末側チャネルは、下流ノードユニット間チャネル及び上流ノードユニット間チャネルとして設定されるもの以外の残余の周波数チャネルから切り替え可能に選択してもよい。
また、本実施形態では、上記の同一バンドとして、3GPPに規定されたバンド28が採用されている。バンド28は、地上波アナログテレビ放送の停波にともない空きを生じたVHF帯(700MHz帯)に設定されている。バンド28は低周波数帯のため通信速度が幾分遅い関係上、都市部など端末加入者の多いエリア等での採用が積極的に進められておらず、電波リソースの利用状況がそれほどひっ迫していないためスムーズな接続が期待できる。また、低周波数帯であるということは、電波の遠方到達性に優れ、1つの無線通信ユニットのセルカバレッジの拡大を図ることができる。また、地下や障害物があっても繋がりやすい特性を有し、例えば海上や鉱山などで本発明の無線ネットワークシステムを構築する上でも好適であるといえる。
次に、本発明の無線ネットワークシステムにおいて、図11のごとく隣接する無線リンク55(A),55(B)のユニット間チャネル設定を互いに異ならせるための具体的な手法としては、例えば無線リンク55(A),55(B)経由して、各無線通信ユニット1(A)~1(C)が前述の連携報知パケットの送受信によりユニット間チャネル情報を共有化することにより行なうことができる。
また、無線ネットワークシステムに参加する無線通信ユニットの上限数が定められている場合には、例えば図11において個々の無線通信ユニット1(A)~1(C)に付与されるノードアドレスの組み合わせに応じて、割り振るべきユニット間チャネルの種別をチャネルマップの形で一律に定め、このチャネルマップを個々の無線通信ユニットのEPC機能部3に組み込んでおくことが、処理のさらなる簡略化を図るうえで有効である。各EPC機能部3はチャネルマップを参照することで、隣接する無線リンクのユニット間チャネルが異なるものとなるように設定とすることが可能となる。この場合、EPC機能部3は、下流ノードユニット間チャネルとして選択可能な周波数チャネル群と、接続先となる下流中継無線通信部のノードアドレスとの対応関係を示すチャネルマップを記憶するチャネルマップ記憶部を有し、下流中継無線通信部からのアタッチ要求を受けるに伴い、該下流中継無線通信部のノードアドレスを取得するとともに、取得したノードアドレスに対応する周波数チャネルをチャネルマップ上にて特定し、特定された該周波数チャネルを下流ノードユニット間チャネルとして設定するように動作する。
図12は、チャネルマップ305gの一例を示す。該チャネルマップ305gにおいては、システム構築に参加する無線通信ユニット1の数が4つであり、それぞれユニット特定情報MID01~MID04が付与されている。そして、それらユニット特定情報の組み合わせに応じ、対応する無線通信ユニットの間に設定するユニット間チャネルのチャネル番号が重複を生じないように定められている。ユニット特定情報は、無線通信ユニット1の認証情報IMSI(International Mobile Subscriber Identity)であってもよいし、ノードアドレスであってもよい。
以下、中継無線通信部9とUE5のアタッチシーケンスの流れについて、図16及び図17を用いて説明する。図16は中継無線通信部9のアタッチシーケンスを示す。TS1では中継無線通信部9から無線基地局部(eNodeB)4を経由してMME2に対し、アタッチ要求が出される。このとき、中継無線通信部9は、認証用のIMSIを送信する。MME2はこれを受け、TS2にてS-GW6に対しベアラ設定要求を送信する。S-GW6はTS3にて、P-GW7との間でS5インターフェース上に物理回線のベアラ設定処理を実行する。ベアラが設定されればS-GW6はTS4にてMME2に、ベアラ設定応答を送信する。
MME2は、TS5にて要求元ユニットのIPアドレスに対応する無線通信チャネルをチャネルマップ305g(図12)上で検索する。そして、TS6で、無線ベアラ設定要求(アタッチ受入れ)を無線基地局部4に設定チャネル番号とともに通知する。これを受けた無線基地局部4はTS7にて設定するべき無線ベアラ(無線リンク)の設定チャネル番号を含むMIB(Master Information Block)を中継無線通信部9に送信する。
TS8にて中継無線通信部9はユニット間チャネルを、受信したMIBに含まれる設定チャネル番号に固定設定し、設定完了を返信する。これを受け、TS9にて無線基地局部4はセッション開始要求(タッチ受入れ)を中継無線通信部9に通知する。TS10にて中継無線通信部9は無線リンクを設定し、セッション開始応答を無線基地局部4に返す。TS11にて、無線基地局部4は、セッション開始応答をMME2に通知する。
一方、図17はUE5(移動端末)のアタッチシーケンスを示す。TS11’ではUE5から無線基地局部(eNodeB)4を経由してMME2に対し、アタッチ要求が出される。このとき、要求元に無線通信ユニットのIMSIを送信する。MME2はこれを受け、TS12にてS-GW6に対しベアラ設定要求を送信する。S-GW6はTS13にて、P-GW7との間でS5インターフェース上に物理回線のベアラ設定処理を実行する。ベアラが設定されればS-GW6はTS14にてMME2に、ベアラ設定応答を送信する。
MME2は、図13の処理に従い、端末無線ベアラ群として使用可能な設定チャネル番号を決定する。そして、TS16で、無線ベアラ設定要求(アタッチ受入れ)を無線基地局部4に決定した設定チャネル番号とともに通知する。これを受けた無線基地局部4はTS17にて設定するべき無線ベアラ(無線リンク)の設定チャネル番号を含むMIB(Master Information Block)をUE5に送信する。
TS18にてUE5は端末側チャネルを、受信したMIBに含まれる設定チャネル番号に設定し、設定完了を返信する。これを受け、TS19にて無線基地局部4はセッション開始要求(アタッチ受入れ)をUE5に通知する。TS20にてUE5は端末側無線ベアラを設定し、セッション開始応答を無線基地局部4に返す。TS21にて、無線基地局部4は、セッション開始応答をMME2に通知する。上記のように、UE5のアタッチシーケンスと中継無線通信部9のアタッチシーケンスとは、周波数チャネル設定の内容を除き、基本的に同一の手順に従い実行されている。
LTEシステムにおいては、上記設定チャネル番号などの報知情報の送信量を運用・環境ごとに柔軟に変更するために、PBCHを用いた固定的な報知情報リソースと、PDSCHを用いた可変的に使用できる無線リソースとが組み合わせて使用される。ここで固定的なリソースであるPBCHを用いるのは、UE5(中継無線通信部9)が最初に取得する情報として報知情報が定められており、UE5(中継無線通信部9)が無線基地局部(eNodeB)4からの通知を受けることなしに受信できる必要があるためである。UE5は固定的なリソースであるPBCHを最初に受信し、PBCHからPDSCHを受信するための最低限の情報を得て、その情報をもとにPDSCHにて送られる報知情報を読むようにしている。PDSCHはRB単位で割り当て可能な可変リソースであるため、PDSCHにて送信する報知情報の量は可変である。これにより報知情報に使用するリソース量の変更が実現され、ネットワーク運用や環境により異なる報知情報量に応じた無線リソースの割り当てが可能となる。
そして、このPBCHにより送信される報知情報のうち上記のMIBは、無線フレームの先頭(すなわち、サブフレーム番号=0)で送信されるものであり、時間リソース及び周波数リソースが常に固定された形で割り当てられる。その送信情報は、通常は、例えばPDSCHにより他の報知情報(例えばSIB(System Information Block))を受信するための情報、及び無線フレーム番号(SFN : System Frame Number)などである。しかし、本実施形態では、このMIBを利用して、無線基地局部4はUE5(中継無線通信部9)に対し、端末無線ベアラあるいは無線リンクのチャネル情報を配信する。MIBのサイズは24ビットに固定されているが、そのうちの10ビットは予備領域となっているので、例えばこの予備領域を利用して上記無線ベアラの設定チャネル情報を組み込むことが可能である。
図18は、同じ無線通信ユニット1に接続するUE5(UE(I)及びUE(II))間のIPパケットの伝送処理の流れを示すものである。U1及びU2は図15により説明済みのアタッチシーケンスであり、端末無線ベアラが構築される。U3でUE(I)からIPパケットが無線基地局部4に向け上りパケットとして送出される。無線基地局部4がこれをEPC機能部3に転送する。EPC機能部3では、自ノードユニット1(A)に接続中のいずれかのUEのIPアドレスが、受け取ったIPパケットのヘッダに記録されている送信先アドレスと一致しているか否かを確認する。図18の場合、UE(II)のIPアドレスがこれに該当することとなり、D1にて該IPパケットを下りパケットとして配下の無線基地局部4に折り返し転送する。無線基地局部4はこれを受け取ってUE(II)に転送し、処理は完了する。
図19は、図11において、無線通信ユニット1(A)に接続中のUE5(A)と、隣接する無線通信ユニット1(A)に接続中のUE5(B)と間のIPパケットの伝送処理の流れを示すものである。U1~U3までの処理は図18と同じである。U3において無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3は、図13のルーティング管理テーブル305fを参照し、受け取ったIPパケットの送信先アドレスが、自ノードユニット1(A)に接続中のいずれのUEのIPアドレスとも一致しないことを確認するとともに、該送信先アドレスが上流ルート及び下流ルートのいずれに存在するかを確認する。例えば、送信先アドレスが上流ルート側に存在する場合は、U4にてそのIPパケットを、無線リンク55(A)により上流側の無線通信ユニット1(B)に転送する。無線通信ユニット1(B)では、このIPパケットを受け取り、同様に自ノードユニット1(B)に接続中のいずれかのUEのIPアドレスが、受け取ったIPパケットのヘッダに記録されている送信先アドレスと一致しているか否かを確認する。一致していれば、D2にて該IPパケットを下りパケットとして配下の無線基地局部4に転送する。無線基地局部4はこれを受け取ってUE5(B)に転送し、処理は完了する。
たとえば、IPパケットの送信元のUEが、カスケード接続された無線通信ユニット群の中間のものに接続されており、送信先のUEが該無線通信ユニットよりも下流側の無線通信ユニットに接続中のUEである場合は、上記U3にてEPC機能部3はルーティング管理テーブル305fを参照し、受け取ったIPパケットの送信先アドレスが、下流ルート側のUEのIPアドレスと一致していることを確認することとなる。該IPパケットは下りパケットとして無線基地局部4に転送され、さらに送信先となるUEが接続される無線通信ユニットに下流側の連携無線ベアラを用いて転送される。
図20は、図11において、無線通信ユニット1(A)に接続中のUE5(A)と、2つ先の無線通信ユニット1(C)に接続中のUE5(C)と間のIPパケットの伝送処理の流れを示すものである。U1~U4までの処理は図19と同じである。U4において無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3はルーティング管理テーブル305fを参照し、受け取ったIPパケットのヘッダに記録されている送信先アドレスが、例えば上流ルート側に存在することが確認された場合、U5にてそのIPパケットを、無線リンク55(B)により上流側の無線通信ユニット1(C)に転送する。無線通信ユニット1(C)では、このIPパケットを受け取り、自ノードユニットに接続中のUE5(C)のIPアドレスが送信先のIPアドレスと一致することを確認する。そして、D3にて該IPパケットを下りパケットとして配下の無線基地局部4に転送する。無線基地局部4はこれを受け取ってUE5(C)に転送し、処理は完了する。
図21は、無線通信ユニット1(A)に接続中のUE5(A)からのIPパケットが、無線ネットワークシステム外の送信先アドレスを有している場合の処理を示す。U1~U5までの処理は図20と同じである。U5において無線通信ユニット1(C)のEPC機能部3はルーティング管理テーブル305fを参照し、受け取ったIPパケットのヘッダに記録されている送信先アドレスが上流ルートに存在することを確認し、U6にてそのIPパケットをルータ8に転送する。
次に、通信ファームウェア305aは、本発明の要部をなす以下の機能部の実現プログラムとして機能する(図11等も参照)。
・グループ識別情報受信制御部:無線基地局部4に対し、下流ノードユニットの候補となる無線通信ユニットである候補ユニットから、グループ識別情報を無線受信させる。
・連携接続可否判定部:取得されたグループ識別情報をグループ識別情報記憶部に記憶されたグループ識別情報と照合し、その照合結果に基づいて候補ユニットとの連携接続の可否判定を行なう。
・連携接続制御部:可否判定の結果が肯定的であった場合にのみ、無線基地局部4が候補ユニットに対し下流ノードユニットとして連携接続することを許可する。
・グループ識別情報送信制御部:自ノードユニットが候補ユニットとなる場合に、中継無線通信部9に対し該自ノードユニットのグループ識別情報を、連携接続要求先となる他の無線通信ユニットに向け無線送信させる。
通信ファームウェア305aは、ルーティング管理テーブル305fの作成および更新にかかる以下の機能部の実現プログラムとして機能する(図11参照)。
・ルーティング管理情報受信制御司令部:自ノードユニットよりも上流側又は下流側に接続されている無線通信ユニットを他ノードユニットとして、該他ノードユニットの無線基地局部に接続中の移動端末(UE)5のノードアドレスを含むルーティング管理情報を上流ノードユニット又は下流ノードユニットから、連携報知情報として受信することを連携報知情報送受信制御部に対し指令する。
・ルーティング管理情報統合処理部:自ノードユニットの無線基地局部4に接続中の移動端末5のノードアドレスを含むルーティング管理情報を、上流ノードユニット又は下流ノードユニットから受信される他ノードユニットのルーティング管理情報と統合する。
・ルーティング管理情報記憶制御部:統合後のルーティング管理情報をルーティング管理情報記憶部(図3において、フラッシュメモリ305のルーティング管理テーブル305fの記憶領域がこれに該当する)に記憶させる。
・ルーティング管理情報送信制御司令部:統合後のルーティング管理情報を連携報知情報として下流ノードユニット又は上流ノードユニットに向け送信することを、連携報知情報送受信制御部に対し指令する。
・ユーザデータ転送制御部:ルーティング管理情報記憶部に記憶されたルーティング管理情報を参照することによりユーザデータの転送先となる移動端末5のノードアドレスを特定し、通信プロトコルのユーザプレーン側にてユーザデータの転送制御を行なう。
以上の構成により、無線連携プロトコル層WLP上での連携報知パケットの送受信処理により、連携接続された複数の無線通信ユニット1間でのルーティング管理情報の共有化処理をスムーズかつ簡便に実行することができる。以下、その具体的な処理の流れの一例について図14A及び図14Bを用いて説明する。ここでは、無線通信ユニット1(A)~1(C)が図11の接続状態となっている場合を例にとる。
ルーティング管理テーブル305fの更新処理は、連携報知パケットを介したいわばバケツリレー的な手法により、無線ネットワークシステムの下流端に位置する無線通信ユニット1(A)と上流端に位置する無線通信ユニット1(C)との間で、往復的に実施される。すなわち、処理起点となる下流端の無線通信ユニット1(A)が自ノードユニットに接続中のUE5(及びアプリケーションサーバ8’)のノードアドレスを報知する連携報知パケットを更新トリガパケットとして発行し上流ノードユニットに送信する。これを受信した上流ノードユニットは連携報知パケットの内容を参照してルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容を更新し、更新後の下流ルート側の内容を次の上流ノードユニットに連携報知パケットにより伝達する(図14A)。そして、 この伝達の流れが上流端の無線通信ユニット1(C)に到達すると、該上流端の無線通信ユニット1(C)はルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容を更新した上で、自ノードユニットに接続中のUE5(及びアプリケーションサーバ8’)のノードアドレスを報知する連携報知パケットを発行し下流ノードユニットに送信する。これを受信した下流ノードユニットは連携報知パケットの内容を参照してルーティング管理テーブル305fの上流ルート側の内容を更新し、更新後の上流ルート側の内容を次の下流ノードユニットに連携報知パケットにより伝達する(図14B)。そして、この伝達の流れが下流端の無線通信ユニット1(A)に返ってくれば、無線通信ユニット1(A)はルーティング管理テーブル305fの上流ルート側の内容を更新し、一連の処理が完結する。このシーケンスは、下流端の無線通信ユニット1(A)が上記の更新トリガパケットを定期的に(例えば、あらかじめ定められた時間間隔で)発行することで繰り返され、ルーティング管理テーブル305fを最新の状態に維持することができる。
以下、より詳細に説明する。まず、下流端の無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3は、自ノードユニットに接続中のUE5のノードアドレス(192.168.1.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.1.0/24)とをペイロードに組み込んだ連携報知パケットを発行する。そして、中継無線通信部(BTC)9に対し上流無線リンク55(A)を介して該連携報知パケットを送信させる(U101)。無線通信ユニット1(B)は無線基地局部4にてこれを受信し、連携報知パケットに書き込まれた上記のノードアドレスによりルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容を更新する(U102)。
このとき、連携報知パケットの送信元が無線通信ユニット1(B)から見て下流側のノードユニットであることは、本実施形態の場合、次のいずれのロジックからも自明に特定できる。
(1)連携報知パケットが無線基地局部4により受信されていること。
(2)連携報知パケットに書き込まれた送信元アドレスが、下流ノードユニットのノードアドレスを示していること。連携報知パケットの発行元はEPC機能部3であり、送信元アドレスが下流ノードユニットのものであるか、下流ノードユニットのものであるかはトポロジ管理テーブル305ttを参照することにより把握できる。
続いて、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3は、無線通信ユニット1(A)から受け取ったUE5のノードアドレス(192.168.1.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.1.0/24)に、自ノードユニットに接続中のUE5のノードアドレス(192.168.2.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.2.0/24)を統合し、これらをペイロードに組み込んだ連携報知パケットを発行する。そして、中継無線通信部(BTC)9に対し上流無線リンク55(B)を介して該連携報知パケットを送信させる(U103)。
上流端の無線通信ユニット1(C)のEPC機能部3は、無線基地局部4にて上記連携報知パケットを受信し、これに書き込まれた上記のノードアドレスにより、ルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容を更新する(U104)。他方、無線通信ユニット1(C)には上流ノードユニットが接続されていないので、ルーティング管理テーブル305fの上流ルート側の内容は空白となる(図13の下参照)。ここまでのシーケンスにより、各無線通信ユニット1(A)~1(C)のルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容更新が完了する。
続いて、図14Bに進み、上流端の無線通信ユニット1(C)は、自ノードユニットに接続中のUE5のノードアドレス(192.168.3.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.3.0/24)とをペイロードに組み込んだ連携報知パケットを発行する。そして、無線基地局部4に対し下流無線リンク55(B)を介して該連携報知パケットを送信させる(U105)。無線通信ユニット1(B)は中継無線通信部9にてこれを受信し、連携報知パケットに書き込まれた上記のノードアドレスによりルーティング管理テーブル305fの上流ルート側の内容を更新する(U106)。この時点で、無線通信ユニット1(B)のルーティング管理テーブル305fの内容は、図13の中央に示す状態となる。
このとき、連携報知パケットの送信元が無線通信ユニット1(B)から見て上流側のノードユニットであることは、本実施形態の場合、次のいずれのロジックからも自明に特定できる。
(3)連携報知パケットが中継無線通信部9により受信されていること。
(4)連携報知パケットに書き込まれた送信元アドレスが、トポロジ管理テーブル305ttにおいて上流ノードユニットのノードアドレスを示していること。
続いて、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3は、無線通信ユニット1(C)から受け取ったUE5のノードアドレス(192.168.3.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.3.0/24)に、自ノードユニットに接続中のUE5のノードアドレス(192.168.2.0/24)とアプリケーションサーバ8’のノードアドレス(172.16.2.0/24)を統合し、これらをペイロードに組み込んだ連携報知パケットを発行する。そして、無線基地局部4に対し下流無線リンク55(A)を介して該連携報知パケットを送信させる(U107)。
下流端の無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3は中継無線通信部9にて上記連携報知パケットを受信し、これに書き込まれた上記のノードアドレスにより、ルーティング管理テーブル305fの上流ルート側の内容を更新する(U104)。他方、無線通信ユニット1(A)には下流ノードユニットが接続されていないので、ルーティング管理テーブル305fの下流ルート側の内容は空白となる(図13の上参照)。以上のシーケンスにより、各無線通信ユニット1(A)~1(C)のルーティング管理テーブル305fの内容更新処理は完了する。処理時にルーティング管理テーブル305fに反映される。このとき、ルーティング管理テーブル305fの内容は、古い内容を消去する形で新しい内容により置き換えられる(すなわち、更新される)。
なお、自ノードユニットに接続中のUE5(及びアプリケーションサーバ8’)のノードアドレスは、各無線通信ユニット1(A)~1(C)が発行する連携報知パケットにより個別に取得してルーティング管理テーブル305fを更新することも可能である。この場合、トポロジ管理テーブル305ttにより連携報知パケットの送信元の上下流の区別を行ない、ルーティング管理テーブル305fの上流ルート側及び下流ルート側を、連携報知パケットを受け取るごとに更新する流れとなる。ここで、接続遮断されたUE5が発生した場合は、そのUE5のノードアドレスをルーティング管理テーブル305fから消去する手順が別途必要となる。具体的には、接続遮断されたUE5のノードアドレスを連携報知パケットにより報知するか、ルーティング管理テーブル305f上にて、接続中のUE5(及びアプリケーションサーバ8’)のノードアドレスを無線通信ユニットのノードアドレスと対応付けて管理するか、のいずれかが必要である。しかしながら、各ノードユニットに接続中のUE5(及びアプリケーションサーバ8’)のノードアドレスを中間の無線通信ユニット1(B)で統合しつつ、連携報知パケットにより報知する前述の手法であれば、ルーティング管理テーブル305fの既存の内容を消去するだけでよくなり、処理の大幅な簡略化を図ることができる。
次に、通信ファームウェア305aは、トポロジ管理テーブル305ttの作成および更新にかかる以下の機能部の実現プログラムとしても機能する(図11参照)。
・無線接続トポロジ情報受信制御司令部:自ノードユニットよりも上流側又は下流側に接続されている無線通信ユニット群1(A)~1(C)について、該無線通信ユニット群1(A)~1(C)に含まれる個々の無線通信ユニットを接続順序とともに特定する無線接続トポロジ情報を上流ノードユニット又は下流ノードユニットから、連携報知情報として受信することを連携報知情報送受信制御部に対し指令する。
・無線接続トポロジ情報更新処理部:上流ノードユニット又は下流ノードユニットから受信された無線接続トポロジ情報の内容を、該無線接続トポロジ情報が特定する無線通信ユニット群に自ノードユニットを組み込んだ形で更新する。
・無線接続トポロジ情報記憶制御部:更新後の無線接続トポロジ情報を無線接続トポロジ情報記憶部(図3において、フラッシュメモリ305のトポロジ管理テーブル305ttの記憶領域がこれに該当する)に記憶させる。
・無線接続トポロジ情報送信司令部:更新後の無線接続トポロジ情報を下流ノードユニット又は上流ノードユニットに向け送信することを、連携報知情報送受信制御部に対し指令する。
この場合、ユーザデータ転送制御部は、無線接続トポロジ情報記憶部に記憶された無線接続トポロジ情報に基づいてユーザデータの転送制御を行なう。
以上の構成により、無線連携プロトコル層WLP上での連携報知パケットの送受信処理により、連携接続された複数の無線通信ユニット1間でのトポロジ管理情報の共有化処理をスムーズかつ簡便に実行することができる。以下、その具体的な処理の流れの一例について図15を用いて説明する。ここでも、無線通信ユニット1(A)~1(C)が図11の接続状態となっている場合を例にとる。その基本的な処理の流れは、ルーティング管理テーブル305fの更新処理と同様のバケツリレー的な手法により、無線ネットワークシステムの下流端に位置する無線通信ユニット1(A)と上流端に位置する無線通信ユニット1(C)との間で、往復的に実施される。すなわち、処理起点となる下流端の無線通信ユニット1(A)は、自ノードユニットのノードアドレス[A]と上流ノードユニットのノードアドレス[B]を、例えば、その下流側から上流側へ向かう配列順序(接続順序)を反映した無線接続トポロジ情報([A]→[B])として組み込んだ連携報知パケットを、更新トリガパケットとして発行し上流ノードユニットに送信する(U201)。
上流ノードユニットである無線通信ユニット1(B)は受け取った連携報知パケットの無線接続トポロジ情報([A]→[B])によりトポロジ管理テーブル305ttの内容を更新する(U202)。続いて上流ノードユニット1(B)は、受け取った無線接続トポロジ情報([A]→[B])の上流側に、次の上流ノードユニットのノードアドレス([C])を付け加える形で更新し、その更新後の無線接続トポロジ情報([A]→[B]→「C])を上流ノードユニットである無線通信ユニット1(C)に連携報知パケットを用いて送信する(U203)。
連携報知パケットの送信の流れが上流端の無線通信ユニット1(C)に到達すると、該上流端の無線通信ユニット1(C)は受け取った無線接続トポロジ情報によりトポロジ管理テーブル305ttの内容を更新し(U204)、これを自ノードユニットが認識して最新の無線接続トポロジ情報([A]→[B]→「C])として、これを連携報知パケットにより下流ノードユニットである無線通信ユニット1(B)に送信する(U205)。これを受信した下流ノードユニットである無線通信ユニット1(B)は、受信した連携報知パケットの無線接続トポロジ情報の内容によりトポロジ管理テーブル305ttを更新し(U206)、更新後の無線接続トポロジ情報の内容を次の下流ノードユニットである無線通信ユニット1(A)に連携報知パケットにより伝達する(U207)。下流端の無線通信ユニット1(A)は、受信した無線接続トポロジ情報によりトポロジ管理テーブル305ttの内容を更新し、一連の処理が完結する。このシーケンスは、下流端の無線通信ユニット1(A)が上記の更新トリガパケットを定期的に(例えば、あらかじめ定められた時間間隔で)発行することで繰り返され、トポロジ管理テーブル305ttを最新の状態に維持することができる。
通信ファームウェア305aは、自ノードユニットが下流端のノードユニットであった場合に、そのさらに下流側に新たな無線通信ユニット(候補ユニット)からのアタッチ要求を受けた時の、アタッチ受け入れ可否の判定・制御に関係する以下の機能部の実現プログラムとしても機能する。
・仮無線リンク構築制御部:下流ノードユニットの候補となる無線通信ユニットである候補ユニットとの間に下流無線リンクを本構築するのに先立って、候補ユニットからのアタッチ要求を受けることにより該候補ユニットとの間に仮無線リンクを構築する。
・判定参照情報受信制御司令部:候補ユニットに対する下流無線リンクの本構築許可判定に参照する判定参照情報を連携報知情報として、候補ユニットから仮無線リンクを介して受信することを連携報知情報送受信制御部に対し指令する。
・下流無線リンク本構築許可判定部:受信した判定参照情報に基づき候補ユニットに対する下流無線リンクの本構築許可判定を行なう。
・連携接続制御部:本構築許可判定の結果が肯定的であった場合は仮無線リンクを下流無線リンクとして本構築状態に移行させる一方、本構築許可判定の結果が否定的であった場合は仮無線リンクの構築状態を解消するデタッチシーケンスを実行する。
上記の構成によると、無線リンクが構築できていない候補ユニットとの間に仮無線リンクを一旦構築することで、候補ユニットから判定参照情報を連携報知パケットに組み込んだ形で的確かつ容易に取得することができ、それを参照することで、候補ユニットとの連携接続の可否判定(下流無線リンクの本構築許可判定)を円滑かつ的確に実行することができる。また、判定結果が肯定的であった場合は仮無線リンクを引き継ぐ形で下流無線リンクの本構築状態にスムーズに移行でき、他方、判定結果が否定的であった場合は仮無線リンクの構築状態を解消するデタッチシーケンスが実行され、不適格な候補ユニットとの連携接続を効果的に防止することができる。
判定参照情報は、前述のグループ特定情報、すなわちグループIDとすることができる。この場合、上記の不適格な候補ユニットは、自ノードユニットと異なるグループIDを有する候補ユニットとして定めることができる。当該構成に特化してみた場合、グループ識別情報受信制御部は、無線基地局部に対し仮無線リンクを介してグループ特定情報を候補ユニットから無線受信させるものとなる。また、連携接続制御部は、グループ識別情報受信制御部が受信したグループ特定情報(グループID)が、グループ識別情報記憶部に記憶されたグループ特定情報(グループID)と照合一致することを条件として、仮無線リンクを下流無線リンクとして本構築状態に移行させる一方、グループ識別情報記憶部に記憶されたグループ特定情報(グループID)と受信したグループ特定情報(グループID)とが照合一致しなかった場合は仮無線リンクの構築状態を解消するデタッチシーケンスを実行する
判定参照情報は、自ノードユニットよりも下流側又は上流側に接続されている候補ユニットを含む無線通信ユニット群について、該無線通信ユニット群に含まれる個々の無線通信ユニットを接続順序とともに特定する無線接続トポロジ情報を含むものとすることもできる。この場合、下流無線リンク本構築許可判定部は、無線接続トポロジ情報が示す無線通信ユニット群の接続形態が、予め定められた禁止接続形態に該当する場合に、候補ユニットに対する下流無線リンクの本構築を非許可として判定するように構成できる。無線接続トポロジ情報の参照により、下流端のノードユニットに対し不適格なトポロジにより接続しようとする候補ユニットとの連携接続を効果的に防止することができる。
この場合、禁止接続形態は、例えば、自ノードユニットよりも上流側に接続されている他ノードユニットのいずれかと同一の無線通信ユニットが候補ユニットとなる接続形態として定めることができる。このような候補ユニットの連携接続が仮に禁止されない場合、無線リンクを介した無線通信ユニットの接続トポロジは少なくとの一部の無線通信ユニット群の間で無端化する(つまり、ループを形成する)ことになる。その無端化している区間に属する無線通信ユニットは、自ノードユニットから見た上流ルート側の無線通信ユニット群と下流ルート側の無線通信ユニット群との区別が困難となり、ルーティング管理のアルゴリズムが複雑化する問題がある。また、無端化している区間に属する無線通信ユニットの無線基地局部4はすべて、送受信の帯域幅の一部が他ノードユニットとの間の無線リンク構築により常に占有された状態になるので、UE5の接続台数が増加したとき、通信トラフィックが圧迫される可能性がある。よって、該接続形態を禁止することで上記の問題を解決することができる。
また、グループIDが不一致であったり、接続トポロジが禁止接続形態に該当したりする不適格な候補ユニットからのアタッチ要求は、候補ユニットが下流端のノードユニットに近接して存在している間は、繰り返し実行される可能性があり、下流端のノードユニットの円滑な通信処理が阻害される恐れがある。このような不具合を防止する観点から、連携接続制御部は、下記の要件を含むものとして構成することが有効である。
・ユニット特定情報取得部:候補ユニットからアタッチ要求を受けるに伴い、該候補ユニットから、該候補ユニットが固有に有するユニット特定情報を無線取得する。
・接続非許可ユニット登録制御部:候補ユニットに対する下流無線リンクの本構築許可判定が否定的であった場合、例えばグループID記憶部305mに記憶されたグループIDと、連携報知パケットを介して受信したグループIDとが照合一致しない候補ユニットや、無線接続トポロジ情報が示す無線通信ユニット群の接続形態が、予め定められた禁止接続形態に該当する候補ユニットである場合、該候補ユニットのユニット特定情報を接続非許可ユニット登録部(図3:棄却リスト305rr)に登録する。
・ユニット特定情報照合部:候補ユニットから取得されたユニット特定情報を、接続非許可ユニット登録部に登録済みのユニット特定情報と照合する。
この場合、仮無線リンク構築制御部は、候補ユニットから取得したユニット特定情報と照合一致するユニット特定情報が接続非許可ユニット登録部に非登録の場合は候補ユニットからのアタッチ要求を受け入れて仮無線リンクを構築し、接続非許可ユニット登録部に登録済みの場合は候補ユニットからのアタッチ要求を拒否するものとして構成される。
上記の構成によると、不適格な候補ユニットからの最初のアタッチ要求時に、該候補ユニットからユニット特定情報を取得し、これを接続非許可ユニットとして登録しておくことで、2回目以降のアタッチ要求時にはユニット特定情報の照合により、アタッチ棄却の形で該候補ユニットとの連携接続を回避することができる。これにより、不適格な候補ユニットからの2回目以降のアタッチ要求時には仮無線リンク構築のためのアタッチシーケンスが実行されず、下流端のノードユニットの通信処理が阻害されることを防止できる。なお、ある時点で「不適格」と判定された候補ユニットも、時間が経過することにより不適格要因が解消されることもあり得る。この場合、接続非許可ユニット登録制御部は、接続非許可ユニット登録部にユニット特定情報を、予め定められた登録有効期間だけ登録するとともに、該登録有効期間が満了するに伴いユニット特定情報の登録状態を無効化するように構成しておくことで、不適格要因が解消された候補ユニットからの無線リンクを介した連携接続を問題なく受け入れることができる。
ここで、グループID不一致により、接続非許可ユニット登録制御部にユニット特定情報が登録された候補ユニットの場合、そのユニット特定情報は、当該候補ユニットが自ノードユニットのユニットグループに属さないことを示す情報となる。これは、自ノードユニットがどのユニットグループに属するかの識別に間接的に使用できる情報であり、グループ識別情報として機能しうるものである。
ユニット特定情報取得部は、候補ユニットに対するアタッチシーケンスにおいて該候補ユニットを接続認証するためのIMSI情報をユニット特定情報として取得するものとして構成することができる。IMSIは候補ユニットの、例えば中継無線通信部9に着脱されるSIM(Subscriber Identity Module)カードに書き込まれた契約加入者の特定情報である。LTEのアタッチシーケンスでは、UE5あるいは中継無線通信部9などの端末機器の加入者認証のため、PUSCHを介して下流端のノードユニットに端末機器からIMSIを送信することが手順として規定されており、これを利用することで、候補ユニットからユニット特定情報を容易に取得できる利点がある。
仮無線リンク構築制御部は、候補ユニットからのアタッチ要求を拒否するに伴い、候補ユニットに対し、当該候補ユニットになされる次回のアタッチ要求までの期間延長を促す報知情報を候補ユニットに送信するように構成できる。これにより、一旦アタッチ要求を拒否した候補ユニットから、再アタッチ要求が短い間隔で頻繁に到来すること(このような動作は、ユニット特定情報の棄却リスト305rr(図3)への登録動作の妨げともなる)を防止できる。上記報知情報としては、下流端のノードユニットから候補ユニット側の端末機機器である中継無線通信部9に返される、アタッチ棄却の理由コード(Cause Code:PDSCHを用いて送信される)を採用できる。例えば、LTEの仕様においては、理由コード22(Congestion:混雑)を受けた候補ユニットは、混雑状態の解消を見込んだ一定期間の経過後にのみ無線基地局部4への再アタッチが許可されるようになっており、上記の目的に適合した処理が実現される。また、理由コード15(ほかのトラッキングエリア候補に移れ)を用いることも有効である。LTEの仕様においては、理由コードを受けた候補ユニットは、他のトラッキングエリアに属する無線基地局部4へのアタッチを試みるので、アタッチ棄却された下流端のノードユニットに再度アタッチ要求するまでの時間を引き延ばすことができる。
以下、その具体的な処理の流れの一例について図22~図27を用いて説明する。ここでは、無線通信ユニット1(A)が候補ユニットとなり、下流端のノードユニットである無線通信ユニット1(B)の無線基地局部4に接続する場合を例にとる。まず、図22に示すように、候補ユニットとなる無線通信ユニット1(A)は、EPC機能部3の無線連携プロトコル層モジュール305p(無線リンク管理モジュール305pj)にて、アタッチ前の状態では前述の孤立モードの状態が確立されている(M101)。一方、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、T101にて探索用電波の送信によりセルサーチを行なう。
無線通信ユニット1(B)の無線基地局部4は、この探索用電波が受信されたことを示す報知情報を、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9にMIBあるいはSIBを用いて返す(T102)。中継無線通信部9はこれを受け、T103にて無線基地局部4にアタッチ要求を行なう。T104では、図16で詳述したアタッチシーケンスが実行され、仮無線リンクが構築される(図25の上及び中)。
無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、仮無線リンク構築を示す無線リンクアップデート情報を、無線連携プロトコル層モジュール305pに通知する。これにより、無線通信ユニット1(A)の動作モードは連携モードに移行する(M102)。これを受けて、無線連携プロトコル層モジュール305pは、グループID管理モジュール305gtを起動させ、グループID(01)を連携報知パケットにより、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3の無線連携プロトコル層モジュール305pに送信する。図中、太い破線は連携報知パケットを介した情報の流れを示す。
無線連携プロトコル層モジュール305pでは、受信したグループID(01)が、無線通信ユニット1(B)側に記憶されているグループID(02)と照合一致するかどうかを判断する(T107:トポロジアップデート照会)。図22においては、照合一致していない場合を示しており、グループID管理モジュール305gtはグループIDを照合棄却する(T108)。また、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9から認証用に取得したIMSIを、棄却リスト305rrに一定期間登録する(T109)。
無線連携プロトコル層モジュール305pはこの流れを受け、EPC機能部3に対して仮無線リンクの切断(デタッチ)を要求する(T110)。T107~T110に関与する制御情報は、無線通信ユニット1(B)にて、無線連携プロトコル層上におけるEPC機能部3内部での連携報知パケット送受信によりやり取りされる。
そして、T111では、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3が、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9との間でデタッチシーケンスを実行し、仮無線リンクが切断される(図。無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、仮無線リンク切断を示す無線リンクアップデート情報を、無線連携プロトコル層モジュール305pに通知する。これにより、無線リンクは切断状態にアップデートされ(T112)、動作モードは孤立モードに移行する(M103)。なお、棄却リスト305rrに登録されたIMSIは、上記一定期間が経過すれば消去ないし無効化される。
次に、図23は、無線通信ユニット1(A)グループID(01)のと無線通信ユニット1(B)のグループID(01)が一致していた場合の処理の例を示すものである(図26の上)。図23のT101~T107までの処理は図22と同じである。グループID管理モジュール305gtはグループIDを照合承認し、その結果を無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3(無線連携プロトコル層モジュール305p)に送信する(T158)。仮無線リンクは、本構築状態の無線リンク(連携無線ベアラ)として引き継がれ(図26の下)、以下、該無線リンクを経由したユーザデータの伝送が開始される(M303)。
最後に、図24は、図22の流れにより、一旦アタッチ棄却された候補ユニット(無線通信ユニット1(A))が、無線通信ユニット1(B)に再度アタッチ要求する場合の処理の流れを示すものである。無線通信ユニット1(A)は孤立モードとなっており(M201)、その中継無線通信部9がT201で無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3にアタッチ要求を出す。無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3は、このとき送信されてくる前述のIMSIを無線連携プロトコル層モジュール305pに照会する。無線連携プロトコル層モジュール305pのトポロジ管理モジュール305ptは、取得されたIMSIを棄却リスト305rr上にて検索する。受信したIMSIが、棄却リスト305rrに登録されたIMSIのいずれかと一致する場合は、T204にてアタッチ要求が棄却される(図27の上)。これにより、仮無線リンクの構築はなされない。
無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3は、T201にて無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9に対し、理由コードを付与してアタッチ棄却を通知する(図27の下)。このときの理由コードの番号は22(混雑:congestion)としているが、前述の通り15(ほかのトラッキングエリアに移れ)などであってもよい。
次に、接続トポロジ情報を用いて候補ユニットとの連携接続の可否判定を行なう場合の処理の流れを説明する。図28に示すように、候補ユニットとなる無線通信ユニット1(A)は、EPC機能部3の無線連携プロトコル層モジュール305p(無線リンク管理モジュール305pj)は、アタッチ前の状態では前述の孤立モードの状態が確立されている(M401)。一方、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、T401にて探索用電波の送信によりセルサーチを行なう。無線通信ユニット1(B)の無線基地局部4は、この探索用電波が受信されたことを示す報知情報を、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9にMIBあるいはSIBを用いて返す(T402)。中継無線通信部9はこれを受け、T403にて無線基地局部4にアタッチ要求を行なう。T404ではアタッチシーケンスが実行され、仮無線リンクが構築される。
無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、仮無線リンク構築を示す無線リンクアップデート情報を、無線連携プロトコル層モジュール305pに通知する。これにより、無線通信ユニット1(A)の動作モードは連携モードに移行する(M402)。これを受けて、無線連携プロトコル層モジュール305pは、ルーティング管理モジュール305pr及びトポロジ管理モジュール305ptを起動させ、図14Aにて説明したルーティング管理情報(U101参照)及び図15にて説明したトポロジ管理情報(U201)を、連携報知パケットにより、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3の無線連携プロトコル層モジュール305pに送信する。図中、太い破線は連携報知パケットを介した情報の流れを示す。
無線連携プロトコル層モジュール305pでは、受信したトポロジ管理情報が示す無線通信ユニット1(A)と無線通信ユニット1(B)との接続トポロジ形態がトポロジ管理モジュール305ptにより解析され、禁止接続形態に該当していないかどうかを判断する(T407:トポロジアップデート照会)。図28においては、前述の無端化部分(ループ)の形成など、禁止接続形態に該当していた場合を示しており、トポロジ管理モジュール305ptはトポロジアップデートを棄却する(T408)。また、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9から認証用に取得したIMSIを、棄却リスト305rrに一定期間登録する(T409)。
無線連携プロトコル層モジュール305pはこの流れを受け、EPC機能部3に対して仮無線リンクの切断(デタッチ)を要求する(T410)。T407~T410に関与する制御情報は、無線通信ユニット1(B)にて、無線連携プロトコル層上におけるEPC機能部3内部での連携報知パケット送受信によりやり取りされる。そして、T411では、無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3が、無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9との間でデタッチシーケンスを実行し、仮無線リンクが切断される。無線通信ユニット1(A)の中継無線通信部9は、仮無線リンク切断を示す無線リンクアップデート情報を、無線連携プロトコル層モジュール305pに通知する。これにより、無線リンクは切断状態にアップデートされ(T412)、動作モードは孤立モードに移行する(M403)。棄却リスト305rrに登録されたIMSIは、期間満了後、消去ないし無効化される。
図29は、無線通信ユニット1(A)と無線通信ユニット1(B)との接続トポロジ形態が禁止接続形態に該当していない場合の処理の例を示すものである。図28のT401~T403までの処理はこの場合も同様に実施されるが、図29では図示を省略している。また、図29のT304~T306までの処理は、図22のT104~T106までの処理と同じである。まず、仮無線リンクが構築され(T304)、無線リンクがアップデートされた後(T305)、ルーティング管理情報及びトポロジ管理情報を受信した無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3では(T306)、無線連携プロトコル層モジュール305pがT307にて仮無線リンク構築を示す無線リンクアップデートを実行する。また、T308では、受信したトポロジ管理情報が示す接続トポロジ形態がトポロジ管理モジュール305ptにより解析される(T308:トポロジアップデート照会)。トポロジ管理モジュール305ptは、T309にて当該接続トポロジ形態を受け入れ、トポロジ管理テーブル305ttの更新を行なう(トポロジアップデート受入)。一方、無線連携プロトコル層モジュール305pは、T310にてルーティング管理モジュール305prに対し、受信したルーティング管理情報の内容が受け入れ可能かどうかの照会を行なう(ルーティングアップデート照会)。ルーティング管理モジュール305prは、T311にて当該ルーティング管理情報の内容を受け入れ、ルーティング管理テーブル305fの更新を行なう(ルーティングアップデート受入)。無線通信ユニット1(B)のEPC機能部3(無線連携プロトコル層モジュール305p)は、更新されたトポロジ管理情報及びルーティング情報を、連携報知パケットを介して、無線通信ユニット1(A)のEPC機能部3(無線連携プロトコル層モジュール305p)に送信する。仮無線リンクは、本構築状態の無線リンク(連携無線ベアラ)として引き継がれ、以下、該無線リンクを経由したユーザデータの伝送が開始される(M303)。
なお、候補ユニットとの、グループIDの照合に基づく連携接続の可否判定と、接続トポロジ情報に基づく連携接続の可否判定とは、どちらを先に実行してもよい。例えば、グループIDの照合に基づく連携接続の可否判定を先に行ない、その結果が肯定的であった場合にのみ接続トポロジ情報に基づく連携接続の可否判定に移行するよう、処理を実施できる。当然、この順序は入れ替えることも可能である。また、接続トポロジ情報に基づく連携接続の可否判定事態を省略することも可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、あくまで例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。