JP2022014736A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】副変速機のギア段の切替中に自動変速機のニュートラルレンジが解除された場合の係合する回転要素の歯打ちによる異音や損傷を抑える。【解決手段】ハイギア位置及びローギア位置の一方から他方へとクラッチスリーブを移動しての副変速機20のギア段の切替を、自動変速機13がニュートラルレンジの状態にあり、かつ車両Cが停車中であることを条件に実施するとともに、ローギア位置を含むトルク制限実施範囲にクラッチスリーブが移動開始時に位置している場合にエンジン10のトルク制限を実施するトルク制限制御と、副変速機20のギア段の切替中に自動変速機13のニュートラルレンジが解除されたときにクラッチスリーブがトルク制限実施範囲に位置している場合に副変速機20のギア段を切替開始前のギア段に戻す戻し制御と、を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、駆動源が発生した動力を車輪に伝達する車両用動力伝達装置に関する。
特許文献1に見られるように、車両における駆動源から車輪への動力伝達経路における主変速機よりも車輪側に副変速機が設けられた車両用動力伝達装置が知られている。副変速機は、第1回転要素、第2回転要素、及び移動回転要素の3つの回転要素を有しており、移動回転要素の移動に応じて同移動回転要素が第1回転要素と係合した状態と、同移動回転要素が第2回転要素と係合した状態と、を切替えることで、ギア段を切替えるように構成されている。
こうした副変速機を備える特許文献1の車両用動力伝達装置では、車両が停車中、かつ主変速機が駆動源と副変速機との動力伝達を切断する中立の状態にあって、副変速機には駆動源側からも、車輪側からも殆どトルクが入力されない状態にあることを条件に、副変速機のギア段切替を許可している。
特開2018-47877号公報
ところで、副変速機のギア段切替の途中で主変速機のニュートラルレンジの状態が解除されることがある。そうした場合、駆動源からトルクが入力された状態で第1/第2回転要素と移動回転要素との係合が行われるため、歯打ちにより、異音が発生したり、回転要素が損傷したりする虞がある。
上記課題を解決する車両用動力伝達装置は、車両に搭載された駆動源と、駆動源が発生した動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設置された主変速機と、動力伝達経路における主変速機よりも車輪に近い側に設置された副変速機であって、第1回転要素、第2回転要素、及び第1回転要素と係合して第1ギア段を形成する第1位置と前記第2回転要素と係合して第2ギア段を形成する第2位置とを移動可能な移動回転要素との3つの回転要素を有する副変速機と、主変速機がニュートラルレンジを形成した状態にあり、かつ前記車両が停車中であることを条件に、移動回転要素を第1位置及び第2位置の一方から他方に移動させて副変速機のギア段を切替える制御ユニットと、を備えている。ここで、第1位置と第2位置との間の移動回転要素の移動範囲の一部であって、第1位置を含む部分をトルク制限実施範囲とする。上記車両用動力伝達装置における制御ユニットは、移動回転要素の移動開始時に、トルク制限実施範囲に同移動回転要素が位置している場合には、そうでない場合よりも駆動源が発生するトルクを小さくするトルク制限制御と、上記ギア段の切替中に主変速機がニュートラルレンジを形成した状態が解除されたときに、移動回転要素がトルク制限実施範囲に位置している場合には、移動回転要素の移動を一旦停止した後、逆方向への同移動回転要素の移動を開始して、切替開始前のギア段に副変速機のギア段を戻す戻し制御と、を実行する。
上記車両用動力伝達装置では、第1位置から第2位置へと移動回転要素を移動することで第1ギア段から第2ギア段への副変速機のギア段の切替が、第2位置から第1位置へと移動回転要素を移動することで第2ギア段から第1ギア段への副変速機のギア段の切替が、それぞれ行われる。上記車両用動力伝達装置における制御ユニットは、こうしたギア段の切替を、主変速機がニュートラルレンジを形成した状態にあり、かつ車両が停車中であることを条件に実施することで、外部から副変速機に殆どトルクが入力されていない状態で、ギア段切替を完了するための第1回転要素又は第2回転要素と移動回転要素との係合が行われるようにしている。
なお、上記トルク制限実施範囲は、第1位置と第2位置との間の移動回転要素の移動範囲の一部であり、かつ第1位置を含む部分である。すなわち、トルク制限実施範囲には第2位置は含まれない。よって、第1ギア段から第2ギア段への切替に際しては、移動回転要素が移動開始時に第1位置に位置しているため、トルク制限制御による駆動源のトルク制限が実施される。これに対して、第2ギア段から第1ギア段への切替に際しては、移動回転要素が移動開始時に第2位置に位置しているため、トルク制限制御による駆動源のトルク制限は実施されないことになる。
一方、上記車両用動力伝達装置における制御ユニットは、ギア段の切替中に、主変速機がニュートラルレンジを形成した状態が解除されたときに、移動回転要素がトルク制限実施範囲に位置している場合に戻し制御を実行して、副変速機のギア段を切替開始前のギア段に戻している。上記のように第1ギア段から第2ギア段への切替に際してはトルク制限制御による駆動源のトルク制限が実施されている。そのため、移動回転要素がトルク制限実施範囲に位置しているときにニュートラルレンジが解除された場合に、そのままギア段の切替を継続しても、戻し制御を行っても、最終的なギア段の形成に係る第1回転要素又は第2回転要素と移動回転要素との係合は、駆動源のトルクが制限された状態で行われる。ただし、第1ギア段、第2ギア段へのそれぞれのギア段の切替のうち、第2ギア段への切替だけが駆動源のトルク制限を必要とするものとなっている。よって、いずれの場合も駆動源のトルクが制限されるとはいえ、戻し制御を行って副変速機のギア段を第1ギア段とする方が、そのまま第2ギア段への切替を継続するよりも、係合時の歯打ちによる異音や回転要素の損傷は生じにくい。一方、第2ギア段から第1ギア段への切替に際してはトルク制限制御による駆動源のトルク制限は行われていない。この場合には、移動回転要素がトルク制限実施範囲に位置した状態で戻し制御を開始した場合に限り、駆動源のトルク制限が実施されることになる。このように、第1ギア段、第2ギア段のいずれのギア段の切替においても、切替中にニュートラルレンジが解除されたときに移動回転要素がトルク制限実施範囲に位置していれば、そのままギア段の切替を継続するよりも、戻し制御を行った方が、回転要素の係合時の歯打ちによる異音や損傷が生じにくくなる。したがって、上記車両用動力伝達装置によれば、副変速機のギア段の切替中に主変速機のニュートラルレンジが解除された場合の係合する回転要素の歯打ちによる異音や損傷を適切に抑えられる。
車両用動力伝達装置の一実施形態の構成を模式的に示す図。 同実施形態の車両用動力伝達装置が備える副変速機のローギア段を形成しているときの状態を模式的に示す図。 同副変速機のハイギア段を形成しているときの状態を模式的に示す図。 同実施形態の車両用動力伝達装置の制御系の構成を模式的に示すブロック図。 (a)~(c)副変速機のクラッチスリーブの移動位置と第1~第3リミットスイッチの状態との関係を示す図。 上記実施形態の車両用動力伝達装置が備えるトランスファ制御ユニットが実行するトルク制限要求ルーチンのフローチャート。 同トランスファ制御ユニットが実行するギア段切替制御ルーチンのフローチャート。 同トランスファ制御ユニットが実行する戻し制御ルーチンのフローチャート。
以下、車両用動力伝達装置の一実施形態を、図1~図8を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、車両Cには、エンジン10が駆動源として搭載されている。車両Cは、左右の前輪11、及び左右の後輪12の4つの車輪を備えている。
エンジン10から各車輪への動力伝達経路には、主変速機としての自動変速機13が設けられている。また、同動力伝達経路における自動変速機13よりも車輪側の部分には、トランスファ14が設置されている。トランスファ14は、フロント・プロペラシャフト15と、左右の前輪11の差動回転を許容するための差動機であるフロント・ディファレンシャル16と、を介して左右の前輪11に連結されている。また、トランスファ14は、リア・プロペラシャフト17と、左右の後輪12の差動回転を許容するための差動機であるリア・ディファレンシャル18を介して左右の後輪12に連結されている。
トランスファ14には、2段階にギア段を切替可能な副変速機20と、フロント・プロペラシャフト15とリア・プロペラシャフト17との差動回転を許容するための差動機であるセンタ・ディファレンシャル19と、が設けられている。なお、本実施形態では、車両Cの走行状況に応じて差動制限力を発生して前輪11、後輪12のトルク配分を変更可能なトルク感応型の差動機がセンタ・ディファレンシャル19として採用されている。
次に、図2及び図3を参照して、副変速機20の構成を説明する。副変速機20には、遊星ギア機構21が設けられている。遊星ギア機構21のサンギア22は、自動変速機13の出力軸に連結されるトランスファ入力軸23に一体に設けられている。また、遊星ギア機構21のリングギア24は、トランスファ14のケース25に非回転に固定されている。さらに、遊星ギア機構21のプラネタリキャリア26には、サンギア22とリングギア24との双方に噛み合わされて、サンギア22の周りを公転する複数のピニオンギア27が設けられている。
また、副変速機20には、略円管形状をなしたクラッチスリーブ28が設けられている。クラッチスリーブ28における図中左側の端部の外周には、センタ・ディファレンシャル19のケース19Aの外周に形成されたスプライン19Bと噛み合うスプライン28Aが形成されている。そして、トランスファ14のケース25の内部においてクラッチスリーブ28は、スプライン19B、28Aの噛み合いを維持した状態で、トランスファ入力軸23の軸方向に摺動可能に設置されている。なお、センタ・ディファレンシャル19は、ケース19Aの回転を、フロント・プロペラシャフト15、及びリア・プロペラシャフト17に伝達可能に構成されている。
さらに、クラッチスリーブ28における図中左側の端部の内周及び外周にはそれぞれスプライン28B、28Cが形成されている。内周側のスプライン28Bは、クラッチスリーブ28が図2に示される位置に位置するときに遊星ギア機構21のサンギア22に設けられたスプライン22Aと噛み合う。また、外周側のスプライン28Cは、クラッチスリーブ28が図3に示される位置に位置するときに遊星ギア機構21のプラネタリキャリア26に設けられたスプライン26Aと噛み合う。そして、クラッチスリーブ28は、スプライン22A、28Bが噛み合うことでサンギア22と係合して一体となって回転する状態となり、スプライン26A、28Cが噛み合うことでプラネタリキャリア26と係合して一体となって回転する状態となる。
以下の説明では、プラネタリキャリア26と係合した状態となるクラッチスリーブ28の位置をローギア位置と記載する。また、サンギア22と係合した状態となるクラッチスリーブ28の位置をハイギア位置と記載する。クラッチスリーブ28がローギア位置に位置しているときには、トランスファ入力軸23の回転が、サンギア22、ピニオンギア27、プラネタリキャリア26、及びクラッチスリーブ28を順に通ってセンタ・ディファレンシャル19に伝えられる。このときのセンタ・ディファレンシャル19には、トランスファ入力軸23の回転が、サンギア22、ピニオンギア27、及びプラネタリキャリア26を経ることで減速された状態で伝達される。一方、クラッチスリーブ28がハイギア位置に位置しているときには、トランスファ入力軸23の回転が、サンギア22、クラッチスリーブ28を順に通ってセンタ・ディファレンシャル19に伝えられる。このときのセンタ・ディファレンシャル19には、トランスファ入力軸23の回転は変速されずにそのままセンタ・ディファレンシャル19に伝達される。このように、副変速機20では、ローギア位置とハイギア位置とにクラッチスリーブ28を移動することで、ギア段が切替えられる。以下の説明では、クラッチスリーブ28がローギア位置に位置するときの副変速機20のギア段をローギア段と記載し、クラッチスリーブ28がハイギア位置に位置するときの副変速機20のギア段をハイギア段と記載する。
副変速機20には、電動式のアクチュエータ29が設置されている。アクチュエータ29は、フォークシャフト30を介してクラッチスリーブ28に連結されている。そして、このアクチュエータ29により、ローギア位置とハイギア位置との間のクラッチスリーブ28の移動が行われる。なお、以下の説明では、アクチュエータ29によるクラッチスリーブ28の移動方向のうち、ローギア位置からハイギア位置に向う側をハイ側の移動方向と記載し、ローギア位置からハイギア位置に向う側をロー側の移動方向と記載する。ちなみに、アクチュエータ29は通電に応じてクラッチスリーブ28の移動を開始し、通電の停止に応じて同移動を停止する。また、クラッチスリーブ28の移動の方向は、アクチュエータ29の通電の方向により切り替わる。
図4に、副変速機20の制御系の構成を示す。副変速機20におけるアクチュエータ29の駆動制御は、トランスファ制御ユニット50により行われる。トランスファ制御ユニット50には、車速Vを検出する車速センサ51、シフトレバーの操作位置SFTを検出するシフトレバーセンサ52、副変速機20のギア段の切替操作用のスイッチであるギア段切替スイッチ53が接続されている。なお、自動変速機13のシフトレンジは、シフトレバーの操作位置SFTに応じて切替えられるため、操作位置SFTは、自動変速機13のシフトレンジを示してもいる。また、トランスファ制御ユニット50は、車内通信回線54を介してエンジン10を制御するエンジン制御ユニット55と接続されている。また、アクチュエータ29には、同アクチュエータ29によるフォークシャフト30の駆動位置に応じてオン状態・オフ状態がそれぞれ切り替わる第1リミットスイッチHL1、第2リミットスイッチHL2、第3リミットスイッチHL3が内蔵されている。トランスファ制御ユニット50は、これらスイッチの状態から、副変速機20におけるクラッチスリーブ28の移動位置を確認している。
図5(a)~(c)に、クラッチスリーブ28の移動位置と各スイッチ(HL1、HL2、HL3)の状態との関係を示す。なお、本実施形態では、クラッチスリーブ28は、図中の位置C1よりもロー側のクラッチスリーブ28の移動位置の範囲を、クラッチスリーブ28がプラネタリキャリア26と確実に係合した状態となるローギア位置の範囲としている。また、図中の位置C4よりもハイ側のクラッチスリーブ28の移動位置の範囲を、クラッチスリーブ28がサンギア22と確実に係合した状態となるハイギア位置の範囲としている。さらに、図中における位置C2から位置C3までのクラッチスリーブ28の移動位置の範囲をサンギア22及びプラネタリキャリア26の双方が確実にクラッチスリーブ28との係合が解除された状態となる中立位置の範囲としている。
同図に示すように、第1リミットスイッチHL1は、位置C3よりもハイ側にクラッチスリーブ28が位置するときにはオンの状態となり、同位置C3よりもロー側にクラッチスリーブ28が位置するときにはオフの状態となる。第2リミットスイッチHL2は、位置C2よりもロー側にクラッチスリーブ28が位置するときにはオンの状態となり、同位置C2よりもハイ側にクラッチスリーブ28が位置するときにはオフの状態となる。さらに、第3リミットスイッチHL3は、位置C1と位置C4との間にクラッチスリーブ28が位置するときにはオンの状態となり、位置C1よりもロー側、又は位置C4よりもハイ側にクラッチスリーブ28が位置するときにはオフの状態となる。トランスファ制御ユニット50は、第1リミットスイッチHL1がオン、かつ第3リミットスイッチHL3がオフの状態にあることをもって、クラッチスリーブ28がハイギア位置にあることを確認している。また、トランスファ制御ユニット50は、第2リミットスイッチHL2がオン、かつ第3リミットスイッチHL3がオフの状態にあることをもって、クラッチスリーブ28がローギア位置にあることを確認している。
なお、トランスファ制御ユニット50は、上述のギア段切替スイッチ53の操作を通じて運転者が選択したギア段が副変速機20の現在のギア段と一致していない場合、アクチュエータ29を駆動して副変速機20のギア段を切替えている。ローギア段からハイギア段への切替は、第1リミットスイッチHL1がオン、かつ第3リミットスイッチHL3がオフの状態となるまで、クラッチスリーブ28がハイ側に移動する方向にアクチュエータ29を駆動することで行われる。また、ハイギア段からローギア段への切替は、第2リミットスイッチHL2がオン、かつ第3リミットスイッチHL3がオフの状態となるまで、クラッチスリーブ28がロー側に移動する方向にアクチュエータ29を駆動することで行われる。
こうしたギア段の切替中に、係合する回転要素の一方、又は双方が回転していると、スプラインの噛み合いに際して歯打ちが発生して、ギア段の切替不要やスプラインの損傷が発生する虞がある。そのため、トランスファ制御ユニット50は、シフトレバーセンサ52が示すシフトレバーの操作位置SFTがニュートラルレンジの位置にあり、かつ車速センサ51が示す車速Vが0であって車両Cが停車中であることを条件にギア段の切替を許可している。すなわち、シフトレバーの操作位置SFTがニュートラルレンジであるときの自動変速機13はエンジン10からトランスファ14への動力伝達を切断した中立の状態となり、停車中は前輪11及び後輪12が回転していない。そのため、上記条件が満たされる場合には、エンジン10側、車輪(前輪11、後輪12)側のいずれの側からも、トランスファ14に殆どトルクが入力されない状態となる。
ただし、自動変速機13を通じてエンジン10からトランスファ14に伝達されるトルクは、自動変速機13が中立の状態となっていても完全にゼロとはならない。こうした中立状態の自動変速機13を通じてトランスファ14に伝達されるトルク、いわゆる漏れトルクは、エンジン10のトルクが大きいほど大きくなる。また、漏れトルクは、自動変速機13の作動油の温度が低く、その粘度が高いほど、大きくなる。そして、漏れトルクが一定の限度を超えると、上記条件が満たされていても、係合時のスプラインの歯打ちにより、スプラインが損傷する虞がある。
一方、本実施形態の動力伝達装置の副変速機20では、プラネタリキャリア26及びクラッチスリーブ28の材質は同じであるが、サンギア22の材質はそれらとは異なる材質となっている。そして、異なった材質の部材同士が衝突した場合には、柔らかい方の部材が傷つき易いため、異種の材質からなるクラッチスリーブ28及びサンギア22が係合するハイギア段への切替時には、同種の材質からなるクラッチスリーブ28及びプラネタリキャリア26が係合するローギア段への切替時よりも、許容可能な漏れトルクの上限が低くなる。ちなみに、ローギア段への切替における許容可能な漏れトルクの上限値は、想定される漏れトルクの最大値よりも大きく、ハイギア段への切替における許容可能な漏れトルクの上限値は、同最大値よりも小さい。そのため、トランスファ制御ユニット50は、ローギア段からハイギア段への切替を行っている間、エンジン制御ユニット55に対してエンジントルクの制限を要求するトルク制限要求制御を実施している。
図6に、こうしたトルク制限要求制御のためにトランスファ制御ユニット50が実行するトルク制限要求ルーチンのフローチャートを示す。トランスファ制御ユニット50は、エンジン10の始動に応じて本ルーチンの処理を開始する。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、アクチュエータ29の通電の開始時であるか否かが判定される。すなわち、ハイ側又はロー側へのクラッチスリーブ28の移動開始時であるか否かが判定される。そして、アクチュエータ29の通電の開始時でない場合(S100:NO)にはステップS100での判定が繰り返される。
アクチュエータ29の通電の開始時には(S100:YES)、ステップS110において、第2リミットスイッチHL2がオンの状態にあるか否かが判定される。このときの第2リミットスイッチHL2がオフの状態にあれば(S110:NO)、ステップS100に処理が戻される。すなわち、本処理では、第2リミットスイッチHL2がオンの状態でアクチュエータ29の通電が開始されるまで待機している。
一方、第2リミットスイッチHL2がオンの状態である場合(S110:YES)にはステップS120に処理が進められ、そのステップS120において、エンジン制御ユニット55に対するトルク制限要求の出力が開始される。トルク制限要求の出力は、アクチュエータ29の通電が停止されるまで継続される。そして、同通電が停止されると(S130:YES)、ステップS140においてトルク制限要求の出力が停止される。その後は、再びアクチュエータ29の通電が開始されるまで、ステップS100での判定が繰り返される。
なお、エンジン制御ユニット55は、トランスファ制御ユニット50からトルク制限要求が入力されているときには、同要求が入力されていない場合よりもエンジントルクを小さくするトルク制限処理を実施する。具体的には、トルク制限処理を実施していないときのエンジン制御ユニット55は、エンジントルクの目標値である目標トルクの値として、アクセルペダルの踏込み量などから決定されるドライバ要求トルクを設定する。これに対して、トルク制限処理を実施しているときのエンジン制御ユニット55は、既定の制限トルクとドライバ要求トルクのうち、より小さい方の値を目標トルクの値として設定する。このように、本実施形態では、トランスファ制御ユニット50のトルク制限要求制御と、そのトルク制限要求制御によるトルク制限要求の出力を受けてのエンジン制御ユニット55のエンジントルクの制御と、を通じて、車両Cの駆動源であるエンジン10が発生するトルクを小さくするトルク制限制御が実現されている。
なお、ローギア段からハイギア段への切替開始時のクラッチスリーブ28は、ローギア位置に位置しており、このときの第2リミットスイッチHL2はオンの状態となっている。これに対して、ハイギア段からローギア段への切替開始時のクラッチスリーブ28は、ハイギア位置に位置しており、このときの第2リミットスイッチHL2はオフの状態となっている。よって、ギア段切替のためのアクチュエータ29の通電開始時に第2リミットスイッチHL2がオンの状態となっていれば、ローギア段からハイギア段への切替であると判断できる。このように本実施形態では、ギア段の切替方向やクラッチスリーブ28の位置を確認することなく、アクチュエータ29の通電状態、及び第2リミットスイッチHL2の状態だけを見てトルク制限要求処理を行っている。
続いて、図7及び図8を参照して、副変速機20のギア段切替制御に係るトランスファ制御ユニット50の処理の詳細を説明する。図7は、ギア段切替制御のためにトランスファ制御ユニット50が実行するギア段切替制御ルーチンのフローチャートを示す。トランスファ制御ユニット50は、エンジン10の始動に応じて本ルーチンの処理を開始する。
本ルーチンが開始されると、まずステップS200において、ギア段切替スイッチ53の操作を通じて運転者が選択した副変速機20のギア段である要求ギア段が、第1~第3リミットスイッチHL1~HL3の状態から確認される副変速機20の現在のギア段である実ギア段と不一致であるか否かが判定される。ここで、要求ギア段と実ギア段とが一致している場合(S200:NO)には、ステップS200の判定が繰り返される。
要求ギア段と実ギア段が一致していない場合(S200:YES)には、ステップS210において、シフトレバーの操作位置がニュートラル(N)レンジであり、かつ車両Cが停車中であるか否かが、すなわちギア段の切替開始の条件が満たされているか否かが判定される。同条件が満たされていない場合(S210:NO)にはステップS200に処理が戻される。すなわち、要求ギア段と実ギア段が一致していない場合にも、上記条件が満たされるまではギア段切替を開始しないようにしている。
上記条件が満たされると(S210:YES)、ステップS220において、要求ギア段がハイギア段であるか否かが判定される。要求ギア段がローギア段である場合(S220:YES)には、ステップS230において既定の時間T1が戻し判定時間TAの値として設定された後、ステップS250に処理が進められる。一方、要求ギア段がハイギア段である場合(S220:NO)には、ステップS240において、時間T1よりも長い既定の時間T2が戻し判定時間TAの値として設定された後、ステップS250に処理が進められる。なお、時間T1には、クラッチスリーブ28がハイギア位置に位置した状態からロー側へのアクチュエータ29の通電を開始した場合に、サンギア22との係合が完全に解除される位置へのクラッチスリーブ28の到達に要する時間の想定値よりも若干長い時間が値として設定されている。一方、時間T2には、クラッチスリーブ28がローギア位置に位置した状態からハイ側へのアクチュエータ29の通電を開始した場合に、上述の位置C2へのクラッチスリーブ28の到達に要する時間の想定値よりも若干小さい値が設定されている。
こうした戻し判定時間TAの設定後にステップS250に処理が進められると、そのステップS250において、切替方向へのアクチュエータ29の通電が開始される。ここでの切替方向とは、クラッチスリーブ28の移動方向が要求ギア段を実現する位置に向う方向となるアクチュエータ29の通電方向を示している。すなわち、要求ギア段がハイギア段の場合にはクラッチスリーブ28がハイ側に移動する通電方向が切替方向となり、要求ギア段がローギア段の場合にはクラッチスリーブ28がロー側に移動する通電方向が切替方向となる。なお、以下の説明では、切替方向とは逆向きのアクチュエータ29の通電方向を戻し方向と記載する。
その後、ステップS260において、要求ギア段への副変速機20のギア段の切替が完了したか否かが判定される。ギア段の切替が完了した場合(S260:YES)には、ステップS270においてアクチュエータ29の通電が停止された後、ステップS200に処理が戻される。
一方、ギア段切替が完了していない場合(S260:NO)には、ステップS280においてニュートラルレンジが解除されたか否かが、すなわち、ドライブレンジやリバースレンジなどのニュートラルレンジ以外の位置にシフトレバーが操作されたか否かが判定される。そして、ニュートラルレンジが解除されていなければ(NO)、ステップS260に処理が戻され、解除されていれば(YES)、ステップS290に処理が進められる。
ステップS290に処理が進められると、そのステップS290において、第2リミットスイッチHL2がオンの状態にあるか否かが判定される。このときの第2リミットスイッチHL2がオンの状態にある場合(YES)にはステップS400に処理が進められ、そのステップS400において、副変速機20のギア段を切替開始前のギア段に戻すための戻し制御が実行され、同戻し制御の完了後にステップS200に処理が戻される。
一方、第2リミットスイッチHL2がオフの状態にある場合(S290:NO)にはステップS300に処理が進められ、そのステップS300において、切替方向へのアクチュエータ29の通電開始からの経過時間Tが、ステップS230又はステップS240で設定された戻し判定時間TA以内であるか否かが判定される。そして、経過時間Tが戻し判定時間TA以内の場合(S300:YES)には、ステップS400に処理が進められて戻し制御が実行される。これに対して、経過時間Tが戻し判定時間TAを超過している場合(S300:NO)にはステップS260に処理が戻される。なお、この場合には、ギア段の切替が完了するまで、切替方向のアクチュエータ29の通電が継続される。
図8に、戻し制御のためにトランスファ制御ユニット50が実行する戻し制御ルーチンのフローチャートを示す。本ルーチンの処理は、図7のギア段切替制御ルーチンにおいてステップS400に処理が進められた場合に実行される。本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS410において、それまで行われていた切替方向へのアクチュエータ29の通電が停止される。そして、続くステップS420において、戻し方向へのアクチュエータ29の通電が開始される。これにより、副変速機20のギア段を切替開始前のギア段に戻す方向へのクラッチスリーブ28の移動が開始される。戻し方向へのアクチュエータ29の通電は、切替開始前のギア段を形成する位置へのクラッチスリーブ28の移動が完了するまで継続される。そして、同移動が完了すると(S430:YES)、ステップS440においてアクチュエータ29の通電が停止された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、ギア段切替スイッチ53の操作により、運転者が副変速機20のギア段として現在のギア段と異なるギア段を選択した場合、シフトレバーの操作位置SFTがニュートラルレンジにあり、かつ車両Cが停車中であることを条件に、運転者が選択したギア段への副変速機20のギア段の切替が開始される。これにより、自動変速機13側からも、車輪側からも、トランスファ14に殆どトルクが入力されていない状態でギア段の切替を行うようにしている。なお、シフトレバーの操作位置がパーキングレンジにあるときには、自動変速機13の出力軸の回転がロックされる。そのため、このときには、副変速機20の遊星ギア機構21のサンギア22やプラネタリキャリア26の回転もロックされてしまい、クラッチスリーブ28がサンギア22やプラネタリキャリア26に係合する際のスプラインの噛み合いが困難となることから、パーキングレンジでもギア段の切替は行わないようにしている。
また、本実施形態におけるトランスファ制御ユニット50は、アクチュエータ29の通電開始時に、第2リミットスイッチHL2がオンの状態にある場合には、エンジン制御ユニット55にエンジントルクの制限を要求している。これにより、ハイギア段からローギア段へのギア段切替に比べて、許容可能な漏れトルクの上限値が小さいローギア段からハイギア段へのギア段切替時にも、円滑なギア段の切替を可能としている。
なお、ギア段の切替開始後、切替が完了する前にシフトレバーの操作位置SFTがニュートラルレンジ以外のレンジに切替えられると、自動変速機13を通じてエンジン10のトルクがトランスファ14に入力されるため、サンギア22やプラネタリキャリア26へのクラッチスリーブ28の係合に際してスプラインの歯打ちが発生し易くなる。本実施形態では、ニュートラルレンジの解除時に、第2リミットスイッチHL2がオンの場合、又は切替方向へのアクチュエータ29の通電開始後の経過時間Tが戻し判定時間TA以内の場合に、副変速機20のギア段を切替開始前のギア段に戻す戻し制御を実行している。一方、それ以外の場合には、ニュートラルレンジが解除されても、運転者が選択したギア段への切替を続行している。なお、戻し制御は、切替方向のアクチュエータ29の通電を停止した後、戻り方向へのアクチュエータ29の通電を開始することで行われる。
まず、ローギア段からハイギア段へのギア段切替の途中でニュートラルレンジが解除された場合を考える。このときのギア段の切替は、トルク制限要求制御によりエンジントルクが制限された状態で行われる。
こうしたハイギア段への切替中の第2リミットスイッチHL2がオフの状態でニュートラルレンジが解除されたのであれば、ギア段切替を継続してもエンジントルクの制限はそのまま継続されることになる。一方、トルク制限要求制御では、アクチュエータ29の通電開始時に第2リミットスイッチHL2がオンの状態にあることを条件にトルク制限要求を出力している。そのため、この場合に戻し制御を実施すれば、エンジントルクが制限されていない状態でクラッチスリーブ28がプラネタリキャリア26に係合される。サンギア22との係合に比べ、プラネタリキャリア26との係合はスプラインの歯打ちに対する耐性が高いとはいえ、ニュートラルレンジが解除され、エンジントルクが制限されていない状態では、係合時に許容可能な上限を超えるトルクがトランスファ14に入力される可能性がある。よって、この場合には、戻し制御を行うよりも、ギア段切替をそのまま継続した方が有利となる。
一方、ハイギア段への切替中の第2リミットスイッチHL2がオンの状態でニュートラルレンジが解除された場合、ギア段切替をそのまま継続しても、戻し制御を行っても、サンギア22又はプラネタリキャリア26へのクラッチスリーブ28の係合は、エンジントルクが制限された状態で行われることになる。よって、この場合には、サンギア22との係合を避けて、歯打ちに対する耐性がより高いプラネタリキャリア26との係合が行われるように、戻し制御を行った方が有利となる。
なお、本実施形態では、切替方向へのアクチュエータ29の通電開始からニュートラルレンジが解除されるまでの経過時間Tが戻し判定時間TA以内の場合にも、戻し制御を実施している。ローギア段からハイギア段へのギア段切替時、すなわち要求ギア段がハイギア段の場合、第2リミットスイッチHL2がオンの状態からオフの状態に切り替わる位置C2へのクラッチスリーブ28の到達に要する時間の想定値よりも若干小さい値が設定されている。よって、経過時間Tが時間T1以内のときには、第2リミットスイッチHL2はオンの状態にある。したがって、経過時間Tが時間T1以内の状態でニュートラルレンジが解除された場合にも、ギア段切替をそのまま継続するよりも、ギア段切替を中止して戻し制御を行う方が有利となる。
次に、ハイギア段からローギア段へのギア段切替の途中でニュートラルレンジが解除された場合を考える。このときのギア段の切替は、トルク制限要求制御によるエンジントルクの制限がなされていない状態で行われる。
こうしたローギア段への切替中の第2リミットスイッチHL2がオフの状態でニュートラルレンジが解除された場合、ギア段切替をそのまま継続しても、戻し制御を行っても、エンジントルクが制限されていない状態でクラッチスリーブ28が係合されることになる。よって、この場合には、サンギア22との係合を避けて、歯打ちに対する耐性がより高いプラネタリキャリア26との係合が行われるように、ギア段切替をそのまま継続した方が有利となる。
なお、ギア段切替の開始直後のサンギア22及びプラネタリキャリア26の係合が完全に解除されていない状態でニュートラルレンジが解除された場合、自動変速機13から入力されたトルクにより、上記スプラインの噛み合いの解除に時間を要する場合がある。一方、ニュートラルレンジの解除は、車両Cの走行開始を目的として行われている可能性があり、そうした場合、時間が経過するほど、アクセルペダルが踏み込まれて、トランスファ14に大きいトルクが入力される可能性が高くなる。よって、ローギア段への切替の開始直後にニュートラルレンジが解除され、サンギア22及びプラネタリキャリア26の係合の解除に時間を要する可能性がある場合には、第2リミットスイッチHL2がオフの状態であっても戻し制御を行うことが望ましい。その点、本実施形態では、ローギア段への切替時には、サンギア22との係合が完全に解除される位置へのクラッチスリーブ28の到達に要する時間の想定値よりも若干長い時間T1が戻し判定時間TAの値として設定されている。そして、ローギア段への切替の開始からの経過時間Tが戻し判定時間TA以内の場合にも戻し制御を行っている。そのため、ローギア段への切替の開始直後にニュートラルレンジが解除され、サンギア22及びプラネタリキャリア26の係合の解除に時間を要する可能性がある場合には、戻し制御が行われることになる。
一方、ローギア段への切替中の第2リミットスイッチHL2がオンの状態でニュートラルレンジが解除された場合には、ギア段切替をそのまま継続すると、エンジントルクの制限がなされないまま、プラネタリキャリア26にクラッチスリーブ28が係合されることになる。これに対して、この場合に戻し制御を行うと、トルク制限要求制御によりエンジントルクが制限された状態で、サンギア22にクラッチスリーブ28が係合されることになる。なお、上記のように、サンギア22との係合に比べてプラネタリキャリア26との係合ではスプラインの歯打ちに対する耐性が高くなっている。しかしながら、エンジントルクが制限されていなければ、アクセルペダルの踏み込みに応じて大きいトルクがトランスファ14に入力される可能性があるため、ギア段切替をそのまま継続するよりも、戻し制御を行った方が有利となる。
このように、ハイギア段への切替、ローギア段の切替のいずれの場合にも、ニュートラルレンジが解除されたときに第2リミットスイッチHL2がオンの状態となっていれば、ギア段切替をそのまま継続するよりも戻し制御を行った方が望ましい結果が得られる。そのため、本実施形態では、ギア段切替中にニュートラルレンジが解除されたときに第2リミットスイッチHL2がオンの状態であれば戻し制御を行うようにしている。
なお、こうした本実施形態では、プラネタリキャリア26が副変速機20の第1回転要素に、サンギア22が副変速機20の第2回転要素に、クラッチスリーブ28が副変速機20の移動回転要素に、それぞれ対応している。また、本実施形態では、トランスファ制御ユニット50及びエンジン制御ユニット55が、副変速機20のギア段の切替、トルク制限制御、及び戻し制御を実行する制御ユニットに対応している。さらに、本実施形態では、ローギア段が第1ギア段に、ハイギア段が第2ギア段に、ローギア位置が第1位置に、ハイギア位置が第2位置に、第2リミットスイッチHL2がオンの状態となるクラッチスリーブ28の移動位置の範囲がトルク制限実施範囲に、それぞれ対応している。
以上の本実施形態の車両用動力伝達装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ギア段切替中にニュートラルレンジが解除された場合、第2リミットスイッチHL2がオンの状態にあれば、戻し制御を行うようにしている。そのため、ギア段切替中にニュートラルレンジが解除された場合の歯打ちによるスプラインの損傷を適切に抑えられる。
(2)本実施形態では、ローギア段への切替開始直後にニュートラルレンジが解除され、サンギア22とクラッチスリーブ28との係合の解除に遅れが生じる可能性がある場合には、第2リミットスイッチHL2がオフの状態でも戻し制御を行っている。そのため、ニュートラルレンジの解除から時間が経ち、トランスファ14に大きいトルクが入力される可能性がある状態で、クラッチスリーブ28の係合が行われることが避けられる。
(3)トルク制限要求の出力の要否を、アクチュエータ29の通電状態、及び第2リミットスイッチHL2の状態だけで判断している。そのため、トルク制限要求制御を簡易な制御ロジックで実現できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ローギア段への切替時とハイギア段への切替時とで戻し判定時間TAに異なる時間を設定していたが、同じ時間を設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ローギア段への切替時、ハイギア段への切替時のいずれの場合にも、切替方向への通電開始からの経過時間に基づく戻し制御の要否判定を行っていたが、いずれか一方のギア段への切替時にのみ行うようにしてもよい。また、いずれのギア段の切替時にも、上記経過時間に基づく戻し制御の要否判定は行わず、ニュートラルレンジ解除時の第2リミットスイッチHL2の状態だけで同要否判定を行うようにしてもよい。
・サンギア22との係合時よりもプラネタリキャリア26との係合時の方が歯打ちに対する耐性が低い場合、アクチュエータ29の通電開始時に第1リミットスイッチHL1がオンの状態であることを条件に、トルク制限要求を出力するようにトルク制限要求制御を行うようにするとよい。そうした場合には、ギア段切替中にニュートラルレンジが解除されたときに第1リミットスイッチHL1がオンの状態にあることをもって戻し制御を行うことになる。
・上記実施形態では、第1~第3リミットスイッチHL1~HL3の状態に応じてクラッチスリーブ28の位置を確認していたが、他の方法でクラッチスリーブ28の位置を確認するようにしてもよい。
・上記実施形態の車両用動力伝達装置は、モータなどのエンジン以外の駆動源を搭載する車両にも同様に適用することができる。
C…車両
10…エンジン(駆動源)
11…前輪(車輪)
12…後輪(車輪)
13…自動変速機(主変速機)
14…トランスファ
20…副変速機
21…遊星ギア機構
22…サンギア(第2回転要素)
26…プラネタリキャリア(第1回転要素)
28…クラッチスリーブ(移動回転要素)
29…アクチュエータ
50…トランスファ制御ユニット(制御ユニット)
51…車速センサ
52…シフトレバーセンサ
55…エンジン制御ユニット(制御ユニット)
HL2…第2リミットスイッチ

Claims (1)

  1. 車両に搭載された駆動源と、
    前記駆動源が発生した動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設置された主変速機と、
    前記動力伝達経路における前記主変速機よりも前記車輪に近い側に設置された副変速機であって、第1回転要素、第2回転要素、及び前記第1回転要素と係合して第1ギア段を形成する第1位置と前記第2回転要素と係合して第2ギア段を形成する第2位置とを移動可能な移動回転要素の3つの回転要素を有する副変速機と、
    前記主変速機がニュートラルレンジを形成した状態にあり、かつ前記車両が停車中であることを条件に、前記移動回転要素を前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動させて前記副変速機のギア段を切替える制御ユニットと、
    を備える車両用動力伝達装置であって、
    前記第1位置と前記第2位置との間の前記移動回転要素の移動範囲の一部であって、前記第1位置を含む部分をトルク制限実施範囲としたとき、前記制御ユニットは、前記移動回転要素の移動開始時に、前記トルク制限実施範囲に同移動回転要素が位置している場合には、そうでない場合よりも同駆動源が発生するトルクを小さくするトルク制限制御と、前記ギア段の切替中に前記主変速機が前記ニュートラルレンジを形成した状態が解除されたときに、前記移動回転要素が前記トルク制限実施範囲に位置している場合には、前記移動回転要素の移動を一旦停止した後、逆方向への同移動回転要素の移動を開始して、切替開始前のギア段に前記副変速機のギア段を戻す戻し制御と、を実行する
    車両用動力伝達装置。
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