JP2022013781A - 高線量蓄積率のために最適化されたpbsビームレットシーケンスを有する荷電粒子線治療計画システム - Google Patents

高線量蓄積率のために最適化されたpbsビームレットシーケンスを有する荷電粒子線治療計画システム Download PDF

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Abstract

【課題】高線量蓄積率のために最適化されたPBSビームレットシーケンスを有する治療計画システムを提供する。【解決手段】外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む標的組織にペンシルビームスキャン(PBS)によって適用される荷電粒子ビーム、好ましくは陽子ビームによる放射線によって治療するための計画を生成するための治療計画システム(TPS)に関し、TPSは、外周表面内に蓄積される線量を規定する線量規定段階、少なくとも1回の高率での分割中、PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するビーム規定段階であって、少なくとも1つの高率での分割jを含む線量率規定段階であって、健康な細胞を含む特定の体積は、超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、HDR=Dj/t≧1Gy/秒である、線量率規定段階、及び・ビームレットを照射する走査シーケンスを規定するビームレット走査シーケンス段階を含むビーム規定段階を含む。【選択図】図3a

Description

発明の分野
本発明は、ペンシルビームスキャン(PBS)による荷電粒子ビーム、好ましくは陽子ビームにより、腫瘍細胞を含む標的組織を治療するための計画を生成するための治療計画システム(TPS)に関する。この計画により、治療の終了時、腫瘍細胞に隣接する健康な細胞を保護しながら、腫瘍細胞を破壊又は死滅させることを確実にするための所定の臨床基準が満たされる。TPSにより、特定の体積(Vs)に超高線量蓄積率(HDR)で蓄積される線量を含む、N回の照射分割にわたる計画が構築される。TPSは、治療装置の性能を考慮に入れて、平均超高線量蓄積率境界の所定値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0)において、それぞれの特定の体積(Vs)の少なくとも所定の部分の体積に線量を蓄積させることを確実にするようにPBSの走査シーケンスを最適化する。
このように生成された計画により、治療計画を実行するために使用される粒子線治療システムに合わせて、腫瘍細胞に隣接する健康な細胞への損傷の割合が低減された腫瘍細胞の効果的な治療が確実なものとなる。
発明の背景
電子ビーム、陽子ビーム、重イオンビーム、X線、γ線等などの粒子又は波動による放射線治療は、腫瘍を患う患者を治療するために不可欠な手段となっている。
ペンシルビームスキャン(PBS)とは、腫瘍細胞を含む標的に荷電粒子のビームを向けることからなる技術である。PBSは、治療される領域を成形し、腫瘍の形状を反映させることにより、周囲の非がん性細胞に対する不必要な放射線被ばくを低減する。標的の形状に加えて、PBSは、照射される標的内の細胞の位置に応じてビームレットの強度を局所的に調整することができる。
ペンシルビームスキャンは、様々なビームレットからなる単一ビームにより、又は各々が様々なビームレットからなる異なる方向の多重ビームにより腫瘍を治療することが可能であり、強度変調陽子線治療(IMPT)と呼ばれることもある。
このような放射線は、腫瘍細胞及び健康な細胞の両方に損傷を与えるため、健康な細胞、特に腫瘍細胞と隣接する健康な細胞を可能な限り温存しつつ、腫瘍細胞を効果的に破壊又は死滅させることを確実にする計画を規定することが癌治療における主要な課題となる。治療計画の第1の工程は、CTスキャンによって腫瘍領域の画像を取り込むことである。これらの画像に基づいて、腫瘍専門医は、正しい標的を特定し、蓄積させる位置及び線量を決定して、腫瘍細胞を死滅させる。このような計画は、複数の、多くの場合に競合するパラメータを満たさなければならず、そのために極めて複雑である。そのため、治療計画システムは、一般に、コンピュータで生成される。
治療計画が満たすべき第1の基準は、治療の終了時、腫瘍細胞を破壊/死滅させるのに有効な最小標的線量(DmtT0)以上の総標的線量(DmtT)が、標的を形成する腫瘍細胞に送達されていることを確実にすることである。
治療計画によって満たされるべき第2の基準は、腫瘍細胞に隣接する健康な細胞の崩壊を最小限にすることである。更にPBSによる腫瘍細胞を含む体積における線量蓄積がいかに正確であろうとも、この腫瘍細胞を含む体積に到達する放射線ビームは、ほとんど必然的に健康な細胞を通過し、そこにある、その体積に取り囲まれた又はその体積に含まれた健康な細胞にも線量を送達する。異なる放射線は、異なるパターンでそれらのエネルギーを蓄積させる。例えば、X線は、表皮のレベルの近くでそれらのエネルギーの大部分が蓄積し、蓄積したエネルギーは、深度と共に減少する。従って、腫瘍細胞の標的体積の上流に位置する健康な組織は、標的体積の腫瘍細胞よりも高い線量を受ける。これに対して、図1(a)及び1(c)に示されるように、荷電粒子ビーム、特に陽子ビームは、それらのビーム経路の末端近くでそれらのエネルギーの大部分を蓄積させて、いわゆるブラッグピークを形成する。深度が不揃いのそれぞれのブラッグピークを有する多数のビームレットを重ね合わせることにより、腫瘍細胞の体積の深度全体又はその体積の部分に及ぶ個々のブラッグピークの合計(SOBP)を規定することができる。従って、陽子ビームが通過した腫瘍細胞の体積の上流に位置する健康な細胞は、この体積内の腫瘍細胞よりも低い線量を受ける。結果的に、陽子線治療は、深在性腫瘍に高線量を蓄積させるのに適している。
腫瘍細胞に隣接する健康な細胞の崩壊を最小限にするには、健康な細胞が受ける総線量(DhTi)が最大許容線量を超えないようにしなければならない。健康な細胞が1セッションで(比較的)安全に受けることができる最大許容線量は、腫瘍細胞を破壊するのに必要となる最小標的線量(DmtT0)よりも実質的に低くなり得るため、総標的線量(DmtT)は、多くの場合、1回以上の分割(又はセッション)で腫瘍細胞に送達される。
従って、治療計画は、放射線の所定の総標的線量(DmtT)をN回のセッション又は分割jで全ての腫瘍細胞に送達することを含むことができ、ここで、N≧1であり、各分割jで標的分割線量(Dmtj)を腫瘍細胞の体積に送達する。N=1である場合、単一セッションで所定の総標的線量の全てが送達される。N>1である場合、所定の総標的線量は、全ての腫瘍細胞が、N回目のセッションの終了時に全ての腫瘍細胞を死滅させるのに必要とされる所定の総標的線量(DmtT)と等しい積算標的線量を受けるように、いくつかの分割回数で場合により異なる腫瘍細胞の体積に送達される。分割の回数Nは、健康な組織の性質に依存し、この性質によってそれらが安全に分割において受けることが可能となる最大分割線量が決定される。これは、使用される放射線の種類及び腫瘍細胞に対する健康な細胞の位置にも依存する。これらのパラメータは、腫瘍細胞を含む体積に標的分割線量(Dmtj)を蓄積させることを意図した放射線ビームが通過する、健康な細胞に蓄積する線量を少なくとも部分的に決めるためである。
腫瘍細胞は、照射分割後に被った損傷から回復するのに、健康な細胞よりも長い回復時間を有することが観察されている。これにより、治療計画は、いくつかの分割に及び、数日及び数週間の期間にわたって分散させることが可能となり、
(a)健康な細胞が、それらを保護するのに十分な低い分割線量を受け、
(b)腫瘍細胞が、最小標的線量(DmtT)と少なくとも等しい、N回の分割にわたって積算された総標的線量を受け、
(c)2つの連続した分割間における回復時間は、健康な細胞が実質的に回復することが可能となるのに十分であるが、腫瘍細胞には十分でないこと
を確実なものにする。
治療計画により、治療の終了時に大部分の健康な細胞を温存しつつ、全ての腫瘍細胞が破壊されていることを確実にすることができる。
健康な細胞に許容可能な最大分割線量及び最大総線量は、所与の放射線に被ばくした際に所定の組織が障害を発症する確率を規定するものである、正常組織障害発生確率(NTCP)と関連して規定することができる。臓器を選択するためのNTCPの所与の値をもたらす放射線の境界線量の値は、文献において入手可能である。例えば、(非特許文献1)は、171ページの表3において、いくつかの臓器に関して最後の欄で規定されているように、治療症状の5年後に発症する50%のNTCPをもたらすいくつかの線量を列挙している。表3における体積1/3~3/3は、照射された対応する臓器の総体積の一部を示している。代わりに、医療従事者は、境界線量を決定するために、個人的な経験又は他の実験データを参照するなどの他のソースを有し得る。
歴史的に、放射線治療による治療計画には、治療を受ける細胞に1Gy/秒未満の従来線量蓄積率(CDR)で放射線線量を送達することを含んでいた。稀な例外はあるが、現在の放射線治療施設では、0.1Gy/秒近辺の線量率を送達しており、大部分の臨床プロトコルでは、積算して総標的線量(DmtT)に到達するような、2~15GyのN回の標的分割線量(Dmtj)を一定の間隔で送達することを伴うが、照射野に位置する正常組織の許容限度を上回ることが多く、これによって腫瘍細胞と共に正常組織が損傷を受ける。近年では且つ図2(a)及び2(b)に図示されるように、従来線量蓄積率(CDR)又は超高線量蓄積率(HDR)で蓄積される場合、同一線量(D)で健康な細胞に対して異なる効果を有するが、腫瘍細胞に対してそうでないことが観察されている。HDRは、1桁以上である場合があり、通常適用される従来線量蓄積率(CDR)よりも大きい。超高線量蓄積率(HDR)での線量の蓄積は、FLASH放射線治療(=FLASH-RT)とも称される。HDRでの超高線量の蓄積は、CDRでの同一線量の従来の蓄積と比較して健康な組織を大幅に温存することができ、それと同時に、腫瘍細胞がCDRの蓄積よりもHDRの蓄積に対して同等又は更により良好に応答することが動物及び様々な臓器で実験的に観察されている。例えば、FLASH-RTは、抗腫瘍効果を変化させずに維持しながら、肺線維症、脳照射後に起こる記憶喪失及び小腸の壊死の発現率の劇的な減少をマウスにおいて誘発することが報告されている。このように特定の正常組織を温存することは、すでにFLASH-RTで治療を受けた大型動物及び皮膚リンパ腫患者において確認されている。
図3(b)及び3(c)で図示されるように、ビーム方向(z)に沿って伝播する単一のビームレットは、ビーム方向(z)に垂直なガウス分布曲線に略従って線量を放射状に蓄積させる。図3(b)では、ガウス分布曲線がビーム方向(z)に垂直な方向(x)に沿って図示されている。図3(c)では、ビームレットによって放射状に蓄積された線量分布が網掛けで図示されている。図3(b)及び3(c)で分かるように、PBSの2つの隣接する陽子ビームレットのビーム軸は、スポット位置パターン(x,y)に従って分布し、一般的に1.2~2.5倍のσ、好ましくは1.3~1.5倍のσに含まれる距離だけ互いに隔てられ、σは、ビーム方向(z)に垂直な表面平面(Pk)上のスポットにおけるガウス線量分布の分散である。その結果として、ビームレット(B1)は、第1のビームレット(B1)に隣接する第2のビームレット(B2)によって線量が蓄積する領域にわたって衝突する線量を平面(Pk)の領域に蓄積させることにより、図3(b)に図示される波形の分布曲線が得られることになる(こぶが2つのみ図示されているが、第1及び第2のビームレット(B1、B2)から異なるy位置でビーム方向(z)に沿って伝播する更なる隣接するビームレットにより、この形状は、更に複雑になる)。平面(Pk)上の全領域に均一な線量を蓄積させることを確実なものとするには、このような重なりが不可欠である。しかしながら、こtrは、図3(a)に図示されるようにFLASH効果に予想外の影響を及ぼす。波形の分布曲線の振幅は、とりわけ、2つの隣接するスポット間の距離と、所与の位置に線量を送達するスポットの数とに依存する。
図3(a)は、平面(Pk)上の所与の点における、時間の関数として蓄積された線量を図示している。約400ミリ秒の時間(t)では、第1のビームレットにより、FLASH-RT効果の十分な範囲内である1200Gy/秒以上の超高線量率(DRi)で第1の線量(Di)が蓄積されたことが分かる。しかしながら、約280ミリ秒、500ミリ秒及び600ミリ秒の時間では、同一の点において、隣接するビームレットから「漏れた」線量(D1、D2、Di+1、Dk)を異なる線量率(DR1、DR2、DRk)で受けている。各ビームレットの線量は、1Gy/秒を超える超高線量率で蓄積するが、前記の点における全体的な照射時間(Δt)は、平均線量蓄積率であるDRa=ΣDj/Δtが1Gy/秒より低くなり得るようになっており、これによりFLASH-RT効果が損なわれる。積算線量(ΣDj)(図3(a)の点線によれば約22Gy)は、FLASH-RT効果が存在する場合には十分であるが、CDRでない場合には危険である。個々の線量が全て超高線量蓄積率(HDR)で蓄積されたために、臨床医は、FLASH-RT効果が存在し、従って健康な組織が温存されたという印象を有し得る。しかしながら、ある期間(Δt)にわたり、積算線量が、平均蓄積率DRa<1Gy/秒でHDRではなく、CDRで蓄積され、これによってCDRで必要とされるNTCPに許容される線量を上回るように総線量が蓄積された場合、この印象は、誤っている可能性がある。
Kehwar,J. Cancer Res. Ther.,Sept.2005,1(3),168 Bortfeld,T. (1997) An analytical approximation of the Bragg curve for therapeutic proton beams. Med.Phys.,24(12),2024-2033
本発明は、荷電粒子のPBSで治療される標的がHDRで効果的に照射され、必要に応じて、治療される所与のスポットにわたって漏れた全てのビームレットが任意に重なっている線量蓄積分布を考慮することを確実にするという問題を解決するものである。これらの及び他の利点を続いて更に詳細に説明する。
発明の概要
標的組織の境界は、腫瘍細胞を包囲し、健康な細胞によって取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞を包囲する外周表面内に規定される。健康な細胞とは、健康な組織を形成するものである。治療計画は、照射のN回の分割からなり、ここで、N≧1であり、及び治療計画は、以下の基準を満たす。
(C1)N回の分割の終了時、標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、各分割において受けられる標的分割線量(Dmtj)の合計に等しい総標的線量(DmtT)を受けている必要があり(すなわちDmtT=ΣDmtj)、総標的線量は、腫瘍細胞を死滅させるための最小標的線量(DmtT0)に少なくとも等しい、すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0であること。
(C2)N回の分割の終了時、外周表面を取り囲むか又は外周表面内に包囲された健康な組織の全ての健康な細胞(3hi)は、
(C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)は、分割jの終了時、健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、及び
(C2.2)N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)は、N回の分割の治療の終了時、健康な細胞を保護するための所定の総線量閾値を超過しない
ように、各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)の合計と等しい総健康線量(DhTi)を受けている必要がある(すなわちDhTi=ΣDhij)こと。
TPSは、基準(C1)を満たすために必要とされる、外周表面内及びその直接的な周囲に蓄積される線量を規定するように構成された線量規定段階を含む。
TPSは、少なくとも1つの高率での分割jを規定するように構成された線量率規定段階を含み、健康な細胞及び任意選択により腫瘍細胞を包囲する特定の体積の表面によって囲まれた特定の体積(Vs)は、線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定される超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、線量Djの蓄積時間である。
TPSは、少なくとも1回の高率での分割中、PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するように構成されたビーム規定段階であって、
・ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、且つスポットの中心で実質的に垂直に表面平面と交差するビームレットによって表面平面上に形成されるスポットの直径を規定することであって、表面平面は、少なくともスポットの中心で患者の表皮と接触する、規定すること、
・ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成されるスポットの表面平面にスポット位置パターン(x,y)を規定することであって、スポット位置パターン(x,y)は、表面平面への、外周表面のビーム方向に対して平行な投影内に規定される全領域をスポットがカバーすることを確実にする、規定すること
を含むビーム規定段階を含む。
TPSは、ビームレットを照射する走査シーケンスを規定するように構成されたビームレット走査シーケンス段階を含むように構成されている点でも現況技術のTPSと異なり、ビームレット走査シーケンス段階は、分割jの終了時、上記で規定された必要要件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、平均超高線量蓄積率境界の所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0)において、それぞれの特定の体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に線量が蓄積されるように、ビーム規定段階で規定されたスポット位置パターン(x,y)に従ってビームレット放射の時間シーケンスを最適化するように構成される。医療従事者は、健康な細胞が危険(又は少なくとも限定的な危険)にさらされる値を下回る閾値線量値を規定することができる。治療計画は、DRa≧DRa0の値で線量が蓄積されなかった又は蓄積できなかった所定の部分に対する相補的な部分として、閾値線量値以下の線量を受けるそれぞれの特定の体積の部分を優先することが好ましい。この方法により、例えば、
・特定の体積の60%にわたる閾値線量値よりも高い線量をDRa≧DRa0で蓄積させ、同時に、
・線量がDRa<DRa0で蓄積された特定の体積の補完的な40%のうちの75%に閾値線量値よりも低い線量を蓄積させる
ように治療計画を管理する。
その結果として、HDR(すなわちDRa≧DRa0)で高線量を蓄積させるか、又は細胞の健康への影響が限定的な低い線量のみを蓄積させることにより、特定の体積の60%+75%×40%=90%の細胞を温存することができることになる。閾値線量値は、照射を受ける臓器及び一般的に患者(年齢、性別、体重等)によって異なり、臨床医又は医療従事者によって規定することができる。
平均蓄積率DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ここで、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって所与の体積に蓄積される全ての線量の百分位数の合計であり、百分位数は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり、及びΔtは、所与の体積に蓄積される最初の線量と最後の線量との間の時間である。
一実施形態では、ビーム規定段階は、
・標的組織の外周表面及び標的組織を取り囲む健康な組織の外周表面の、ビーム方向に対して平行な表面平面への投影によって形成される表面標的輪郭及び表面健康輪郭を規定すること、
・表面平面上のスポット直径及びスポット位置パターン(x,y)が、表面標的輪郭内に包囲された領域を一様にカバーするように決定されること
を含むように構成される。
本実施形態では、スポット位置パターン(x,y)に従って分布される2つの隣接する陽子ビームレットのビーム軸は、1.2~2.5倍のσ、好ましくは1.3~1.5倍のσに含まれる距離だけ互いに隔てられることが好ましく、σは、2つの隣接する陽子ビームレットによって形成される表面平面(P0)上のスポットにおけるガウス線量分布の分散である。
本実施形態では、第1の特定の体積は、表面平面からビーム方向(z)に沿って測定される距離Vz=(Zn-Z1)に沿って延びることが好ましく、ビームレット走査シーケンス段階は、以下の工程、
・表面平面に対して平行であり、且つ特定の体積が第1の平面と第nの平面との間に挟まれるように、内部平面のレベルでの深度Z1と、第nの内部平面のレベルでの深度(Zn)との間の対応する深度(Z1、...、Zn)で分布されるn個の内部平面を規定する工程、
・対応する特定の体積の表面の、ビーム方向に対して平行なそれぞれの内部平面上への投影によって形成される特定の体積の投影輪郭を規定する工程、
・特定の体積の投影輪郭(V0)によって形成され、且つ高さVz=(Zn-Z1)の円柱形の底辺内に規定される、選択された体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分について平均線量蓄積率DRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択する工程
を含み、前述の工程は、第1の特定の体積と異なるそれぞれの特定の体積について繰り返される。
本発明によれば、特定の体積は、以下の1つ以上に従って規定することができる。
・少なくとも1つの特定の体積は、表面平面(P0)から最も遠い外周表面の部分の両側に位置し、且つ標的組織から出るようにPBSのビームによって通過される細胞を含有し、
・不確定領域と称される少なくとも1つの特定の体積は、異なる比率で混在する腫瘍細胞と健康な細胞との両方を含む領域として規定され、
・少なくとも1つの特定の体積は、直径の1つ以上のビームレットによって交差される健康な組織の健康な細胞(3hi)を含有する。
本発明の実施形態では、それぞれの特定の体積は、特定の外周表面内に含まれ、及びそれぞれの特定の体積のための走査シーケンスの最適化は、以下のように決定される。
・特定の体積の特定の外周表面の、表面平面への、ビーム方向に対して平行な投影によって形成される特定の体積の輪郭を規定し、
・特定の体積の輪郭と交差するか又はその中に含まれるスポットを含むスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定し、
・第1のビームレットによって通過される第1のスポットの中心に線量を送達し、
・隣接するスポットの中心に第1のビームレットによって送達される線量を記録し、
・第1のスポットの中心の直後に照射される第2のスポットの中心を、以下の制約、
○Σ(DRa(m)-DRT(m))を最小化することであって、ここで、DRT(m)は、各スポット(m)の標的平均線量率である、最小化すること、及び/又は
○測定される全てのスポットにわたる平均線量率(DRa(m))の平均を最大化すること、及び/又は
○各スポット(m)の平均線量率(DRa(m))を最大化すること
の1つ以上を満たすように選択し、
・スポット位置パターン(x,y)のサブセットの全てのスポットについて、第3及びその後続のスポットで前述の工程を繰り返す。
代替的実施形態では、それぞれの特定の体積は、特定の外周表面内に含まれ、及びそれぞれの特定の体積のためのシーケンスの最適化は、以下のように決定される。
・表面平面への、ビーム方向に対して平行に投影によって形成される特定の体積の輪郭を規定し、
・特定の体積の輪郭と交差するか又はその中に含まれるスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定し、
・サブセットのスポットの中心のそれぞれの部分について、初期のシーケンス順位をビーム走査シーケンスにおいて割り当て、
・スポットの中心が1つの順列π(p)において取り得る最大の順位上昇(h)の値、すなわち|p-q|≦hを規定し、
・M個の局所順列π(p)=qから構成される、スポットの中心の初期のシーケンス順位の第1の全順列(u=1)を規定し、ここで、pは、初期のシーケンス順位内の所与のスポットの中心の初期の順位であり、及びqは、最大の順位上昇(h)の条件での順列後の最後の順位であり、全順列は、初期のシーケンスに順次適用されるM個のそのようなπ(p)順列から構成され、
・最初のシーケンス順位(p)におけるスポットの中心の重み付けされた隣接順位の距離を、
○初期のシーケンス順位(p)のスポットの中心(cp)と、隣接するシーケンス順位(r)のスポットの中心(cr)との間の重み付けされた隣接順位の距離(Dw(p,r))をDw(p,r)=|p-r|・Ir,p(r)として規定し、ここで、|p-r|は、シーケンス順位(p)及び(r)間の順位差(D(p,r))であり、Ir,p(r)は、位置(cr)と交差するビームにより、位置(cp)のスポット上に蓄積された線量(D)であり、
○初期のシーケンス順位(p)のスポットの中心(cp)からその隣接順位の全てのスポットの中心までの重み付けされた総隣接距離(Dt(p))をDt(p)=ΣDw(p,r)と規定する
ように規定し、
・局所順列π(p)=qのコスト(C,1(p,r))をC,1(p,r)=Dt(q)-Dt(p)として算出し、
・第1の全順列(u=1)の第1の総コストCt,1(π)=ΣC,1(p,r)を算出し、
・選択された順位上昇(h)について、互いに異なり、且つ第1の全順列(u=1)と異なる、初期のシーケンス順位の全ての可能な第2、第3及びそれに続く全順列(u=2、3、4、...)を規定し、
・前述の工程において規定された第2、第3及びそれに続く全順列のそれぞれについて、対応する第2、第3及びそれに続く総コストCt,u(π)=ΣC,u(p,r)を算出し、
・最も低い総コスト(Ct,u(π))をもたらす全順列(u=1、2、3、...)を選択する。
更なる代替的実施形態では、それぞれの特定の体積は、特定の外周表面内に含まれ、及びそれぞれの特定の体積のためのシーケンスの最適化は、
・特定の体積の特定の外周表面の、表面平面(P0)への、ビーム方向に対して平行な投影によって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定し、
・特定の体積の輪郭と交差するか又はその中に含まれるスポットを含むスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定し、
・スカーフシーケンスのユニットセルを、以下の工程、
○第1のビームレットによって最初に照射される初期スポットを規定する工程、
○各々が順次互いに隣接し、且つ全てが幅方向に沿って整列された連続する第2、第3~第wのスポットを規定する工程、
○第(w+1)のスポットを、幅方向と異なる、好ましくは幅方向に対して垂直な長さ方向に沿って第wのスポットに隣接するものと規定する工程、
○各々が順次互いに隣接し、且つ全てが幅方向に沿って整列された第(w+2)~第2wのスポットを規定する工程、
○第(2w+1)のスポットを、長さ方向に沿って第2wのスポットと隣接するものと規定する工程
で規定し、
・スカーフシーケンスのユニットセルを規定する工程を、第(Aw+1)のスポット(S0v(Aw+1))から第((A+2)w+1)のスポット(S0v((A+2)w+1)(ここで、A=2~(N+2)であり)までN回繰り返し、第1のスポットと第wのスポットとを隔てる距離と等しい幅(W)及び第1のスポットと第((N+4)w+1)のスポットとを隔てる距離と等しい長さ(L)の第1のスカーフを形成し、スカーフの幅(W)は、第2wのスポットの平均線量蓄積率(DRa)が所定の値(DRa0)以上であるという制約によって限定される。
最後の実施形態では、特定の体積が第1のスカーフの幅よりも大きい幅を有し、走査シーケンスの最適化は、各々が第1のスカーフに対して平行であり、且つ第1、第2及びそれに続くスカーフのシーケンスにおいて、先行するスカーフに隣接するか又はわずかに当たっている第2並びに任意選択により第3及びそれに続くスカーフのシーケンスを規定することを更に含むことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、TPSは、従来のTPSシステムであって、従来のTPSシステムとは別個の線量規定段階及び事前最適化モジュールであって、従来のTPSシステムと相互作用して、線量規定段階、ビーム規定段階、線量率規定段階及びビームレット走査シーケンス段階を決定するように構成された線量規定段階及び事前最適化モジュールを決定するように構成された従来のTPSシステムを含む。
線量率規定段階は、所与の線量(Di)がビームレットによって送達され得る最高線量率(DRmax)をDRmax=8Imax,K(E)として規定するように構成され、ここで、Imaxは、陽子加速器のノズルが送達し得る最大強度(Imax)であり、及びK(E)は、陽子フルエンスを陽子ビームの入射エネルギーと関連付ける公知の関数である。
本発明によれば、第1のビーム方向に対して平行ないくつかのビームレットから構成された単一ビームを使用する単一ビーム治療計画を最初に決定するように構成される。特定の体積の所定の部分未満が所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)で照射される場合、TPSは、少なくともスポットの所定の部分がDRa>DRa0で照射されるまで、それぞれがいくつかのビームレットから構成され、且つそれぞれが異なるビーム方向に対して平行であり、全てが互いに割線である2つのビーム又はより多くのビームを使用する多重ビーム治療計画を決定するように構成される。
線量規定段階は、スポット位置パターン(x,y)の各スポットの透過深度(z)に沿って最適化されたブラッグピークの合計(SOBP)を有するビームレットを規定するためのエネルギー成形デバイスを規定することを含むように構成されることが好ましい。
本発明は、健康な細胞によって取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞を包囲する外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む標的組織(3t)にペンシルビームスキャン(PBS)によって適用される荷電粒子ビーム、好ましくは陽子ビームによる放射線によって治療するための計画を生成するためのコンピュータ実装方法であって、健康な細胞は、健康な組織(3hi)を形成し、添字iは、健康な組織(3hi)の種類を示す、コンピュータ実装方法にも関する。方法は、上記で規定されたTPSによって実行されることが好ましい。計画は、照射のN回の分割からなり、ここで、N≧1であり、及び計画は、以下の基準を満たす。
(C1)N回の分割の終了時、標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、各分割において受けられる標的分割線量(Dmtj)の合計に等しい総標的線量(DmtT)を受けている必要があり(すなわちDmtT=ΣDmtj)、総標的線量は、腫瘍細胞を死滅させるための最小標的線量(DmtT0)に少なくとも等しい、すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0であること。
(C2)N回の分割の終了時、外周表面を取り囲むか又は外周表面内に包囲された健康な組織の全ての健康な細胞(3hi)は、
(C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)が、分割jの終了時、健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、及び
(C2.2)N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)が、N回の分割の治療の終了時、健康な細胞を保護するための所定の総線量閾値を超過しない
ように、各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)の合計と等しい総健康線量(DhTi)を受けている必要があること(すなわちDhTi=ΣDhij)。
方法は、以下の工程を含む。
・基準(C1)を満たすために必要とされる、外周表面内及びその直接的な周囲に蓄積される線量を規定する線量規定工程、
・少なくとも1つの高率での分割jを規定する線量率規定工程であって、健康な細胞及び任意選択により腫瘍細胞を包囲する特定の体積の表面によって囲まれた特定の体積(Vs)は、線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定される超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、線量Djの蓄積時間である、線量率規定工程、
・少なくとも1回の高率での分割中、PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するビーム規定工程であって、
○ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、且つスポットの中心(cp、cr)で実質的に垂直に表面平面(P0)と交差するビームレットによって表面平面(P0)上に形成されるスポット(S01、S02)の直径(d)を規定することであって、表面平面(P0)は、少なくともスポットの中心で患者の表皮と接触する、規定すること、
○ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成されるスポット(S01、S02)の表面平面(P0)にスポット位置パターン(x,y)を規定することであって、スポット位置パターン(x,y)は、外周表面の、表面平面(P0)への、ビーム方向に対して平行な投影内に規定される全領域をスポットがカバーすることを確実にする、規定すること
を含むビーム規定工程。
方法は、ビームレットを照射する走査シーケンスを規定するビームレット走査シーケンス工程も含み、このビームレット走査シーケンス工程は、分割jの終了時、上記で規定された必要条件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、平均超高線量蓄積率境界の所定の値(DRa0)以上の平均蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0)において、それぞれの特定の体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に線量が蓄積されるように、ビーム規定段階で規定されたスポット位置パターン(x,y)に従ってビームレット放射の時間シーケンスを最適化する工程を含み、ここで、DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって所与の体積に蓄積される全ての線量の百分位数の合計であり、百分位数は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり、及びΔtは、所与の体積に蓄積される最初の線量と最後の線量との間の時間である。
合計すると腫瘍(3)の深度全体にまたがる個々のブラッグピークの合計(SOBP)を形成する、陽子ビームレットの透過深度(z)の関数としての組織へのエネルギー蓄積を示す。 腫瘍細胞を含む標的細胞を通過する、陽子ビーム方向に対して平行な断面を示す。 対応するSOBPを示す。 健康な組織に蓄積された線量(D)及び線量蓄積率(DR)の関数としてNTCP等値線を示す。 健康な組織に蓄積される線量(D)の関数として、NTCPをCDR(白丸)及びHDR(黒丸)でプロットしたものである。 等価係数(α)の異なる値に対して、Dhijの関数としてのDmhijの関係を示す。 平均線量蓄積率(DRa)における線量分布スポットの重なりに対する影響を示す。 ガウス線量分布曲線が、軸(x)に沿って重なった2つの陽子ビームレット(B1、B2)によって平面(x、z)上に蓄積された線量を示す。 患者の表皮表面からの深度(Zk)に位置する平面(Pk)上に蓄積された線量が灰色の網掛けによって図示された、2つのビーム(B1、B2)が略円筒状にビーム方向(z)に沿って伝播する3D図(x、y、z)を示す。 ビームレット(Bm)によって照射され、ビームレット(Bm)と患者の表皮のレベルで交差する平面(P0)上にスポット(S0m)を形成する、健康な細胞(3hi)に取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞(3hi)を包囲する外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む標的組織(3t)を図示する。 表面平面(P0)上のスポット位置パターン(x,y)を示す。 図4(a)と同一の標的組織であるが、異なる方向(z1、z2)に沿って伝播し、外周表面内を通過する2つのビームで治療される標的組織を示す。 特定の体積(Vs)がHDRで照射される、図4(a)及び4(c)と同一の標的組織を示す。 特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれるスポット位置パターン(x,y)のサブセットを示す。 平面(x、z)に沿った断面上の標的組織及び健康な組織の位置、線量(Dj)並びに軸(z)に沿って蓄積された平均線量蓄積率(DRa)を示す。 平面(x、z)に沿った断面上の標的組織及び健康な組織の位置、線量(Dj)並びに軸(z)に沿って蓄積された平均線量蓄積率(DRa)を示す。 平面(x、z)に沿った断面上の標的組織及び健康な組織の位置、線量(Dj)並びに軸(z)に沿って蓄積された平均線量蓄積率(DRa)を示す。 内部平面P1~Pnが特定の体積(Vs)と交差している、図4(a)及び5(a)と同一の標的組織を示す。 図6(a)の標的組織の平面(x、z)に沿った断面を示す。 平面(P0~Pn)上の標的輪郭(T0)の投影及び特定の体積の輪郭(V0)の投影並びに対応する平面(P1~Pn)との標的組織(3t)の交点(T1~Tn)及び対応する平面(P1~Pn)との特定の体積(Vs)の交点(V1~Vn)を示す。 平面(P0~Pn)上の標的輪郭(T0)の投影及び特定の体積の輪郭(V0)の投影並びに対応する平面(P1~Pn)との標的組織(3t)の交点(T1~Tn)及び対応する平面(P1~Pn)との特定の体積(Vs)の交点(V1~Vn)を示す。 平面(P0~Pn)上の標的輪郭(T0)の投影及び特定の体積の輪郭(V0)の投影並びに対応する平面(P1~Pn)との標的組織(3t)の交点(T1~Tn)及び対応する平面(P1~Pn)との特定の体積(Vs)の交点(V1~Vn)を示す。 平面(P0~Pn)上の標的輪郭(T0)の投影及び特定の体積の輪郭(V0)の投影並びに対応する平面(P1~Pn)との標的組織(3t)の交点(T1~Tn)及び対応する平面(P1~Pn)との特定の体積(Vs)の交点(V1~Vn)を示す。 平面(P0~Pn)上の標的輪郭(T0)の投影及び特定の体積の輪郭(V0)の投影並びに対応する平面(P1~Pn)との標的組織(3t)の交点(T1~Tn)及び対応する平面(P1~Pn)との特定の体積(Vs)の交点(V1~Vn)を示す。 わずかに重なっている2つのスカーフを規定するビームレットシーケンスを示す。
詳細な説明
本発明は、ペンシルビームスキャン(PBS)によって送達される1つ以上の荷電粒子ビームで標的組織(3t)を治療するための計画を生成するための治療計画システムに関する。標的組織の例は、健康な細胞によって取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞を包囲する外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む、図1(b)、4(a)、4(c)、5(a)、5(c)、6(a)及び6(b)に図示され、ここで、健康な細胞は、健康な組織(3hi)を形成し、添字iは、健康な組織(3hi)の種類を示す。計画すべき多パラメータの治療が複雑であるため、TPSは、例えば、所定の基準を満たすために必要とされるビーム又はビームレットの性質及び数を最適化することを含む、治療計画を生成するように構成されるコンピュータ又はプロセッサを一般に備える。ビームの性質としては、荷電粒子の種類、ビームの強度、蓄積される線量、線量蓄積率、ビームの方向、分割の数及び頻度等が挙げられる。線量蓄積プロファイルは、図1(a)及び1(c)に図示されるようにブラッグピークを含むものであるため、荷電粒子は、陽子であることが好ましい。本発明による1つ又は複数の荷電粒子ビームは、ペンシルビームスキャン(PBS)によって送達される。計画は、照射のN回の分割からなり、ここで、N≧1であり、TPSは、以下の基準を満たすビーム照射の性質及び数を最適化する必要がある。
(C1)N回の分割の終了時、標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、各分割において受けられる標的分割線量(Dmtj)の合計に等しい総標的線量(DmtT)を受けている必要があり(すなわちDmtT=ΣDmtj)、総標的線量は、腫瘍細胞を死滅させるための最小標的線量(DmtT0)に少なくとも等しい、すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0である。
(C2)N回の分割の終了時、外周表面を取り囲むか又は外周表面内に包囲された健康な組織の全ての健康な細胞(3hi)は、
(C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)が、分割jの終了時、健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、
(C2.2)N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)が、N回の分割の治療の終了時、健康な細胞を保護するための所定の閾値を超過しない
ように、各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)の合計と等しい総健康線量(DhTi)を受けている必要がある(すなわちDhTi=ΣDhij)。
現在、FLASH効果は、当業者に広く認知されているが、FLASH効果の根底をなす化学的メカニズムは、依然として明確に理解されていない。いくつかの異なる理論が展開されている。例えば、超高線量蓄積率のFLASH-RTは、血流を循環する細胞の死滅を著しく低減させることが提唱されており、CDRとHDRとが区別される閾値の線量蓄積率は、1サイクルの血液循環時間に依存する可能性があることを示唆している。人間の場合、FLASH効果が現れるための閾値の線量蓄積率は、約1Gy/秒であると報告されている。また、第一級炭素中心ラジカルにOが付加することによって形成される有機ペルオキシルラジカルROO・は、放射線によって誘発される傷害に重要な役割を果たす可能性があることも提唱されている。別の例では、放射線によって誘発された酸素欠乏と、毛細血管からの酸素の再拡散との間の競合により、FLASH効果を説明することができることも報告されている。本発明は、これら又は他の理論のいずれにも束縛されず、FLASH効果が実際に存在するという実験的証拠に基づいている。本発明は、以下の観察結果に基づいて開発された。
(O1)腫瘍細胞は、線量蓄積率(DR)とは無関係に同様に死滅する。
(O2)超過してはならない健康な組織(3hi)の所定の正常組織障害発生確率(NTCP0i)は、図2(a)~2(b)に示されるように、超高線量蓄積率(HDR)よりも従来線量蓄積率(CDR)で蓄積されるような低い線量で到達する。
(O3)標的組織(3t)の腫瘍細胞は、線量蓄積率にかかわらず、同一の放射線線量に暴露された健康な組織よりも回復時間が長い。
前述の基準を満たすために、TPSは、
・少なくとも1つの高率での分割jを含む線量率規定段階であって、健康な細胞及び任意選択により腫瘍細胞を含む1つ以上の特定の体積(Vs)は、線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定される超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、線量Djの蓄積時間である、線量率規定段階と、
・少なくとも1回の高率での分割中、PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するビーム規定段階であって、
○ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、且つスポットの中心(cp、cr)で実質的に垂直に表面平面(P0)と交差するビームレットによって表面平面(P0)上に形成されるスポット(PBk)の直径(D)を規定することであって、表面平面(P0)は、少なくともスポットの中心で患者の表皮と接触する、規定すること、
○ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成されるスポット(PBk)の表面平面(P0)にスポット位置パターン(x,y)を規定することであって、スポット位置パターン(x,y)は、外周表面の、表面平面(P0)への、ビーム方向に対して平行な投影内に規定される全領域をスポットがカバーすることを確実にすること
を含むビーム規定段階と、
・基準(C1)を満たすために必要となる、各ビームレットによってビーム方向に沿って蓄積される線量を規定する線量規定段階と
を含む。
発明の背景で説明したように、PBSによるビームレットによって特定の体積(Vs)を放射した場合、ビーム方向(z)に対して垂直な平面上の線量分布を規定するスポットが重なっているため、各ビームレットは、超高線量蓄積率(HDR)で線量を蓄積させることが可能であり、これにより、計画に必要とされる所定の平均超高線量蓄積率境界よりも平均線量蓄積率(DRa)が低くなる(DRa≧DRa0)点に、図3(a)に示されるような所与の体積の放射時間(Δt)を増加させ、治療計画が所定のNTCP値を満たすことが確実となる。
前述の問題を解決するために、本発明のTPSは、ビームレットの照射シーケンスを規定するビームレットシーケンス段階を更に含む。ビームレットシーケンス段階は、上記に規定された必要条件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、それぞれの特定の体積に含まれるか又はそれぞれの特定の体積と交差するスポットの少なくとも所定の部分に対し、平均超高線量蓄積率境界を規定する所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0≧1Gy/秒)を得るように、ビーム規定段階で規定されたスポット位置パターン(x,y)に従ってビームレットを放射する時間シーケンスのシーケンスを最適化することを含む。所定の部分は、好ましくは、50%、より好ましくは75%、最も好ましくは90%及び最適には少なくとも95%又は98%であり、DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ここで、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって体積又はスポットに蓄積される全ての線量の百分位数の合計であり、及びΔtは、前記体積又はスポット上に蓄積される最初の線量と最後の線量との間の時間である。百分位数は、線量Djの累計の少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり、特定の場合に応じて100%であり得る。95~100%の百分位数の正確な値は、当業者によって状況に応じて容易に規定することができる(例えば、図3(a)に示されるような分布及び時間の関数として蓄積される線量の値)。
本発明のTPSの各種段階を続いて更に詳細に説明する。
線量規定段階
線量規定段階は、コンピュータ断層撮影走査(=CTスキャン)によって得られた腫瘍領域の画像に基づいて、腫瘍細胞を包囲する外周表面の形状を特定する腫瘍専門医によって一般に実施される。線量規定段階により、外周表面内に含まれる腫瘍細胞を死滅させ、従って基準(C1)を満たすために必要とされる、外周表面内及びその直接的な周囲に蓄積される線量が規定される。この段階は、当業者に公知である。また、この操作は、スポットの重みを規定するとも称される。
好ましい実施形態では、線量規定段階は、スポット位置パターン(x,y)の各スポットの透過深度(z)に沿って最適化されたブラッグピークの合計(SOBP)を有するビームレットを規定するためのエネルギー成形デバイスを使用することを想定している。エネルギー成形デバイスの実際の形状は、線量規定段階後に計算される。エネルギー成形デバイスを構成する異なる円柱形の断面の直径は、スポットの重みに関連しているため、望ましいスポットの重みを得るには、エネルギー成形デバイスの形状が計算され得る前にスポットの重みを最適化する必要がある。
線量率規定段階
線量率規定段階により、腫瘍細胞を死滅させ、同時にFLASH効果の利益を享受する健康な細胞を可能な限り温存させるために、線量が局所的に蓄積される線量率が規定される。この規定は、コンピュータ断層撮影走査(=CTスキャン)によって得られた腫瘍領域の画像に基づいて、健康な細胞を含む1つ以上の特定の体積(Vs)を特定する腫瘍専門医によって一般に実施される。1つ以上の特定の体積(Vs)にFLASH効果を到達させるために、TPSは、少なくとも1回の高率での分割jを送達し、ここで、1つ以上の特定の体積(Vs)が超高線量蓄積率(HDR)で照射され、HDRが線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、線量Djの蓄積時間である。
好ましい実施形態では、線量率規定段階において、計画を実行するために利用可能な粒子線治療システムの性能を考慮に入れる。例えば、線量率規定段階により、所与の線量(Di)をビームレットによって送達させることができる最高線量率(DRmax)をDRmax=8Imax,K(E)と規定することができ、ここで、Imaxは、陽子加速器のノズルが送達し得る最大強度であり、及びK(E)は、陽子フルエンス(1cm当たりの陽子)を、陽子ビームの異なる入射エネルギー(E)について陽子ビームによって組織に蓄積される線量に関連付ける公知の関数である。例えば、「(非特許文献2)」の式26では、Φの右側の係数がK(E)を示している。また、線量率規定段階は、最大走査速度、すなわち陽子ビームに対して垂直な平面内において、スポットがある位置から別の位置に移動することができる最大速度を規定することもできる。
次の段階では、腫瘍を治療するのに必要とされる線量及び線量率を特定する図表を用いて、この図表を実行するために必要となる1つ以上のビームの特性を規定する。この段階をビーム規定段階と規定する。
ビーム規定段階
ビーム規定段階により、照射される荷電粒子の種類(好ましくは陽子)、治療に含まれる分割jの回数N並びに少なくとも1回の高率での分割中のPBSの1つ以上のビームのビームレットの位置及び寸法が規定される。また、この段階により、ビームの数及びビーム方向(z、z1、z2)、各ビームレットによって生じた、標的組織(3t)の形状に応じてSOBPの形状を規定するための同軸のビームレットの重なり、ビームレットの強度等が規定される。ビーム規定段階は、少なくとも2つの工程と、
・1つ又は一連の同軸のビームレットによって形成されるスポット(S01、S02)の直径(d)を規定する工程と、
・表面平面(P0)上のスポット位置パターン(x,y)を規定する工程と
を含む。
スポットの直径(d)
直径(d)のスポット(S01、S02)は、ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、スポットの中心(cp、cr)で実質的に垂直に表面平面(P0)と交差するビームレット(B1、B2)によって表面平面(P0)上に形成されており、表面平面(P0)は、少なくともスポットの中心で患者の表皮と接触する。スポットの直径は、前記ビームレットによって表面平面(P0)上に蓄積された線量分布に依存する。表面平面上の線量分布は、実質的に、図3(b)に図示されるように、表面平面(P0)とのビームレット軸の交点(cp、cr)を中心とした、分散がσの正規分布又はガウス分布に従う。任意の所与の深度(Zk、k=0~n)においてビームレットによって蓄積された線量(Dj)は、ビームレット軸と対応する平面(Pk、k=0~n)との間の交点(cp、cr)で最大となる。スポットの直径(d)は、線量分布の95.4%を含む対応するスポットの中心(cp、cr)を中心として、d=2×(2σ)として規定することができるか、又は代わりに線量分布の99.7%を含むd=2×(3σ)と規定することができる。スポットの直径は、d=2×(2σ)として規定されることが好ましい。
図3(b)に図示されるように、ビームレット(B1、B2)は、表面平面(P0)に限られた線量のみを蓄積させ、対応するSOBPの形状によって規定された限られた深度の部分内に実質的に全ての線量を蓄積させる。最初に、線量分布の形状は、透過深度(z)の端から端までがガウス分布を維持し、ビームレット軸を中心として蓄積した最大線量の値のみが変化するものと見なし得ると仮定する。透過深度(z)の関数としての最大線量は、対応するSOBPによって規定される。更に、図3(c)に示されるように、各スポットの直径は、透過深度(z)と略無関係であり、すなわち、換言すれば、各ビームレットは、円柱形に沿って伝播すると仮定する。ビームレットは、患者の体内により深く透過するといくぶんラッパ状に広がる傾向があることが観察されたため、これは、厳密には正しくはない。このようにして形成された円錐は、開口が非常に小さく、従ってスポットシーケンスを最適化するための円柱形の形成に問題なく近似させることができる。しかしながら、この近似は、深度の関数として線量分布を正確に計算するなどの他の計算に好ましくない場合がある。このような場合、深度の関数としてのスポットの直径をより正確に規定することが必要となるが、これは、構築することが非常に簡単である。
表面平面(P0)は、外周表面の位置及び形状とは無関係に固定された平面であるため、本明細書では、スポットの直径(d)を表面平面(P0)で測定していることに留意されたい。同様のことをビームレットの透過深度(z)に沿った任意の平面上で実施できることは、明らかである。上記の2つの仮定は、少なくとも最初の近似として正しいため、ビームレット(B1、B2)の中心軸と交差する面を基準とする浸透深度(z)とは無関係に極めて類似した結果が得られることになるだろう。
スポット位置パターン(x,y)
ペンシルビームスキャン(PBS)による照射には、ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成されるスポット(S01、S02)の表面平面(P0)上に規定されるスポット位置パターン(x,y)が必要となる。スポット位置パターン(x,y)により、スポット及び対応するビームレットが標的組織(3t)の全域を確実にカバーするようにしなければならない。これは、標的組織(3t)の外周表面及び標的組織(3t)を取り囲む健康な組織(3hi)の外周表面を、ビーム方向に対して平行に表面平面(P0)に投影することによって形成される、表面標的輪郭(T0)及び表面健康輪郭(H0i)を規定することによって達成できる。スポットの直径(d)が分かると、表面標的輪郭(T0)内に包囲された領域を一様にカバーするような表面平面(P0)上のスポット位置パターン(x,y)が決定される。スポット位置パターン(x,y)の一例を図4(b)及び7において概略的に図示する。
表面標的輪郭(T0)内に包囲された領域を一様にカバーすることは、スポット位置パターン(x,y)に従って分布する2つの隣接する陽子ビームレットのビーム軸を、1.2~2.5倍のσ、好ましくは1.3~1.5倍のσに含まれる距離で互いに隔てることによって達成することができ、σは、2つの隣接する陽子ビームレットによって形成される表面平面(P0)上のスポットにおけるガウス線量分布の分散である。2つの隣接するスポット軸を隔てている距離は、隣接するスポットの全てのペアで一定である必要はなく、外周表面の形状に適合するように互いに変化させることができる。簡潔にするために、図では同等の直径のスポットのみの規則的な配列が図示されている。標的組織(3t)の全体積がこのようにカバーされる限りにおいて、ビーム規定段階は、異なる直径のスポット及びあらゆるパターンに従って分布するか又は更にランダムに分布するスポットを規定することができることが明らかである。
図3(b)に示されるように、軸(x)に対して平行な線上にあるこのようなスポット位置パターンは、ビームレット軸のレベルで最大となり、2つの隣接するビームレット軸の間の中間距離で最小となる波形の線量分布パターンを生じさせる。PBSが、図3(b)に示される、軸(x)に対して平行であり、且つビームレット(B1、B2)に対してずれている第2の一連のスポットを走査するとき、第2の線のビームレットが第1の線のビームレットに対して整列しているか又は不揃いであるかに応じて、線量分布パターンは、より複雑になる。これは、TPSによって規定されるスポット位置パターン(x,y)に依存する。
前述の段階(すなわち線量規定段階、線量率規定段階及びビーム規定段階)により、N回の分割の終了時、標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、腫瘍細胞を死滅させるのに十分な総標的線量(DmtT)を受けている必要がある(すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0)という第1の基準(C1)を満たすことができる。しかしながら、これらの段階のみでは、線量率規定段階において特定された、1つ以上の特定の体積内に包囲された健康な細胞をFLASH効果によって温存することを保証するわけではない。所与の点に蓄積された、最初の線量と最後の線量とを隔てる時間が、DRa≧DRa0≧1Gy/秒をもたらすのに必要とされるよりも長い場合、平均線量率(DRa)が必要とされるよりも低くなる可能性があるためである。本発明のTPSは、各々の1つ以上の特定の体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対して、確実にDRa≧DRa0となるように設計された追加の段階を含む。この追加の段階は、ビームレット走査シーケンス段階と称される。
ビームレット走査シーケンス段階
本発明の趣旨は、TPSにビームレット走査シーケンス段階を加えることであり、この走査シーケンスにより、上記で規定された必要条件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、平均超高線量蓄積率境界の所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0≧1Gy/秒)において、それぞれの特定の体積(Vs)の好ましくは50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に線量が蓄積することを確実に保証しなければならない。平均線量蓄積率DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ここで、図3(a)に図示されているように、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって所与の体積又はスポットに蓄積される全ての線量の百分位数の合計であり、及びΔtは、所与の体積又はスポット上に蓄積される最初の線量の百分位数と最後の線量の百分位数との間の時間である。百分位数は、典型的には蓄積された積算線量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%である。
分割中に送達される線量の百分位数を規定することにより、1つのスポットに蓄積された低い線量を無視することが可能となり、これにより、健康な細胞は、限定的な損傷を受けるが、総照射時間(Δt)が大幅に増加し、FLASH効果が存在する場合、人為的にDRaがDRa0未満となることがもたらされる。例えば、図3(a)を参照すると、総時間Δtにわたってスポットに蓄積される、ピークDR1~DRkとして示されている全ての線量(すなわち百分位数=100%)を考慮することにより、そのスポットに平均線量蓄積率の第1の値(DRa100)がもたらされる。ここで、ピークDR1及びDRkに対応する線量は、ピークDR2、DRi及びDRi+1に対応する線量と比較して目にみえて非常に低くなっている(図3(a)の点線の積算線量曲線を参照されたい)。百分位数を<100%、例えば95%又は98%であると考慮すると、ピークDR1及びDRkに対応する低い線量を除外することとなり、従って分子の値(ΣDj)がわずかに減少する。一方、分母の総時間(Δt)は、従って、実質的に減少することになる。従って、百分位数が95%の場合のDRa95=ΣDj/Δtの結果として生じる値は、DRa100よりも実質的に高い(すなわちDRa95>>DRa100)。百分位数95%から除外される線量は、総線量の5%を占めるに過ぎないため、他の線量と比較して、健康な細胞に対する悪影響が限定的であると問題なく見なすことができる。その結果、FLASH効果は、事実上、より短い期間(Δt)の範囲内で蓄積される、ピーク(DR2、DRi、DRi+1)に対応する線量が蓄積することによって存在することになる。
特定の体積(Vs)は、臨床医によって規定されるべきである。特定の体積には、対応するNTCPを低下させるためにHDRで照射されることになる健康な細胞が含まれているはずである。一実施形態では、特定の体積には、外周表面内に規定される全標的組織(3t)と、外周表面の一部又は全てを取り囲み、健康な細胞を含有する安全層とが含まれる。また、外周表面が健康な細胞を包囲している可能性があることにも留意されたい。所与の粒子線療法システムでは、特定の体積の寸法が大きくなると、HDRで照射することが困難になるため、寸法が小さい標的組織に対して本実施形態を実施することができる。標的組織(3t)の寸法が、TPSを実行するために使用される粒子線療法システムの容量に達するか又はそれを超過する場合、寸法を小さくした1つ以上の特定の体積(Vs)を含むことができ、これにより、粒子線療法システムによってそれぞれの特定の体積をHDRで照射することが可能になる。
例えば、特定の体積(Vs)は、以下の基準の1つ以上に従って規定することができる。第1の種類の特定の体積(Vs)は、表面平面(P0)から最も遠い外周表面の部分の両側に位置し、且つ標的組織(3t)から出るようにPBSのビームによって通過される細胞を含有する体積である。これは、図4(a)及び4(c)、図5(a)~5(e)並びに図6(a)~6(g)において図示されている実施形態である。この特定の体積は、健康な組織(3hi)に放射線感受性があり、外周表面に接触しているか又は直接的に隣接している場合、特に重要である。ときに数ミリメートルで腫瘍細胞が健康な細胞から隔てられている状態で、外周表面内の腫瘍細胞を死滅させなくてはならず、且つ健康な組織(3hi)を温存しなくてはならないためである。
第2の種類の特定の体積(Vs)は、不確定領域(3z)と呼ばれ、腫瘍細胞と健康な細胞との両方が異なる比率で混在して含まれる領域として規定される。腫瘍細胞が含まれているため、不確定領域(3z)は、少なくとも部分的に外周表面内に位置している。健康な細胞と腫瘍細胞とが混在するか、又は不確定領域によって外周表面内に健康な細胞の小さい島若しくはクラスターが形成される場合もある。健康な細胞と腫瘍細胞とを隔てる明確な境界がないため、この種の体積は、非常に重要でもある。これまで、不確定領域(3z)に含まれる健康な細胞を犠牲にして、それに混じった腫瘍細胞を確実に死滅させることが一般的であった。
第3の種類の特定の体積(Vs)は、1つ以上のビームレットの直径(d)が交差する、健康な組織(3hi)の健康な細胞を含む体積である。これらの健康な細胞は、外周表面から更に離れていることがあり得るが、いくつかのビーム又はビームレットがこのような体積を通過するため、健康な細胞が危険なレベルで放射線に暴露される可能性がある。
図6(a)~6(g)に図示される実施形態では、第1の特定の体積(Vs)は、表面平面(P0)からビーム方向(z)に沿って測定される距離Vz=(Zn-Z1)に沿って延びる。本実施形態では、ビームレット走査シーケンス段階は、以下の工程、
・表面平面(P0)に対して平行であり、特定の体積(Vs)が第1の平面(P1)と第nの平面(Pn)の間に挟まれるように、内部平面(P1)のレベルでの深度Z1と第nの内部平面(Pn)のレベルでの深度(Zn)との間に対応する深度(Z1、...、Zn)で分布する、n個の内部平面(P1、...、Pn)を規定する工程と、
・対応する特定の体積の表面を、ビーム方向に対して平行に、表面平面(P0)上に又はそれぞれの内部平面(P1、...Pn)上に投影することによって形成される特定の体積の投影輪郭(V0)を規定する工程と、
・特定の体積の投影輪郭(V0)によって形成され、高さVz=(Zn-Z1)の円柱形の底辺内に規定された、選択された体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に対して平均線量蓄積率DRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択する工程と
を含む。
第1の特定の体積と異なるそれぞれの特定の体積(Vs)に対し、前述の工程を繰り返す。本明細書の全体を通して、TPSにおいて特定され、規定される全ての特定の体積(Vs)に、第1の特定の体積に基づく説明を、変更すべき点を変更して適用することは、明らかである。
図6(c)~6(g)で分かるように、第1の特定の体積が第2の平面から第(n-1)の平面と交差することによって形成された、交差する体積の輪郭(V2~V(n-1))は、全て第1の特定の体積(及び全ての特定の体積)の体積投影輪郭(V0)内に包囲されている。従って、その円柱形状に関しては、選択された体積は、そこに内接する対応する第1の特定の体積(Vs)よりも大きい。
各々選択された体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対してDRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスの選択は、異なる方法によって達成することができる。次の方法のいずれかを実施する前に必要とされる、初期の工程としては、
・上記で説明したように、ビーム方向に対して平行に表面平面(P0)に投影することによって形成される、特定の体積投影輪郭(V0)を規定することと、
・図5(b)及び6(c)に図示されるように、特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれるスポット(S0vk)を含むスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定することと
が含まれる。
ビーム走査シーケンスの選択 - 局所的最適化法
各々選択された体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対してDRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択するための第1の方法は、局所的最適化法である。全ての可能なシーケンスのDRaを計算するには、大規模な計算能力が必要とされるため、本方法は、各シーケンスの工程においてできるだけ高いDRaの値を維持することを意図して、各工程を順次最適化する。前項で述べたように、それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)に対するシーケンスの最適化は、以下の工程によって開始される。
・ビーム方向に対して平行に表面平面(P0)に投影することによって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定すること、
・特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれるスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定すること。
線量は、第1のビームレット(B1)が交差するサブセットのうちの第1のスポットの中心(cp)に送達され、第1のビームレットによって隣接するスポットの中心(cr)に送達される線量が記録される。第1のスポットは、好ましくは、特定の体積の輪郭(V0)に隣接し、より好ましくは輪郭(V0)の角に位置している。第1のスポットが輪郭(V0)に隣接していないか又は輪郭(V0)の角にない場合、存在する場合にはアルゴリズムが次のスポットを輪郭又はその角の方に導くシーケンスを選択する。
サブセットのうちの第2のスポットの中心(cr)は、第1のスポットの中心(cp)の直後に照射されるように選択され、以下の制約、
・Σ(DRa(m)-DRT(m))を最小化することであって、ここで、DRT(m)は、各スポット(m)の標的平均線量率である、最小化すること、及び/又は
・測定される全てのスポットにわたる平均線量率(DRa(m))の平均を最大化すること、及び/又は
・各スポット(m)の平均線量率(DRa(m))を最大化すること
の1つ以上を満たすようにする。スポット位置パターン(x,y)のサブセットの全てのスポットについて、第3及びその後続のスポットで前述の工程を繰り返す。
局所的最適化法は、非常に簡単で実装が容易であり、中程度から低程度の計算能力が必要とされる。
ビーム走査シーケンスの選択 - 順列法
各々選択された体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対してDRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択するための代替的な方法は、順列法である。上記で述べたように、それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)に対するシーケンスの最適化は、以下の工程で開始される。
・表面平面(P0)にビーム方向に対して平行に投影することにより、特定の体積の輪郭(V0)を規定すること、
・特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれるスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定すること。
サブセットのスポットの中心(cp、cr)のそれぞれの部分に対して、初期のシーケンス順位をビーム走査シーケンスに割り当てる。値は、スポットの中心が1つの順列π(p)において取り得る最大の順位上昇(h)に対して規定される値、すなわち|p-q|≦hである。
M個の局所順列π(p)=qから構成される、スポットの中心の初期のシーケンス順位の第1の全順列(u=1)が規定され、ここで、pは、初期のシーケンス順位内の所与のスポットの中心の初期の順位であり、及びqは、最大の順位上昇(h)での順列後の最後の順位である。全順列は、初期のシーケンスに順次適用されるM個のそのようなπ(p)順列から構成される。
最初のシーケンス順位(p)におけるスポットの中心(cp、cr)の重み付けされた隣接順位の距離を、
・初期のシーケンス順位(p)のスポットの中心(cp)と、隣接するシーケンス順位(r)のスポットの中心(cr)との間の重み付けされた隣接順位の距離(Dw(p,r))をDw(p,r)=|p-r|・Ir,p(r)と規定することであって、ここで、|p-r|は、シーケンス順位(p)と(r)との間の順位差(D(p,r))であり、Ir,p(r)は、位置(cr)と交差するビームにより、位置(cp)のスポット上に蓄積された線量(D)である、規定すること、
・初期のシーケンス順位(p)のスポットの中心(cp)からその隣接順位の全てのスポットの中心までの重み付けされた隣接順位の距離の総計(Dt(p))をDt(p)=ΣDw(p,r)と規定すること、
・局所順列π(p)=qのコスト(C,1(p,r))をC,1(p,r)=Dt(q)-Dt(p)として算出すること、
・第1の全順列(u=1)の第1の総コストCt,1(π)=ΣC,1(p,r)を算出すること
のように規定する。
次に、選択された順位上昇(h)に対し、初期のシーケンス順位の全ての可能な第2、第3及びそれに続く全順列(u=2、3、4、...)を規定するが、これらは、互いに異なり、且つ第1の全順列(u=1)と異なっている。前述の工程において規定された第2、第3及びそれに続く全順列のそれぞれについて、対応する第2、第3及びそれに続く総コストCt,u(π)=ΣC,u(p,r)を算出する。最後の工程は、最も低い総コスト(Ct,u(π))が得られる全順列(u=1、2、3、...)を選択することから単に構成される。この方法は、上記で述べた前述の局所的最適化法よりも高い計算能力が必要となるが、Vsの部分にDRa≧DRa0をもたらすシーケンスを規定するのにより効果的である。
ビーム走査シーケンスの選択 - スカーフ法
超高線量率(HDR)照射は、市販されて現在利用可能な粒子線療法システムを使用するPBSにより、小さい照射野に対して実行することができる。例えば、IBA社製のProteus Plusシステムでは、幅W=3.2cm及び長さL>40cmの照射野にHDR計画を送達することができる。この性能は、各々選択された体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対してDRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択するための代替的な方法においても利用することができ、スカーフ法とも称される。上記で述べたように、それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)に対するシーケンスの最適化は、以下の工程で開始される。
・ビーム方向に対して平行に表面平面(P0)に投影することによって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定すること、
・特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれるスポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定すること。
スカーフシーケンスのユニットセルは、図7に図示されるように、以下の工程、
・第1のビームレットによって最初に照射される初期スポット(S0v1)を規定する工程、
・各々が順次互いに隣接し、且つ全てが幅方向に沿って整列された連続する第2、第3~第wのスポットを規定する工程、
・第(w+1)のスポット(S0v(w+1))を、幅方向と異なる、好ましくは幅方向に対して垂直な長さ方向に沿って第wのスポット(S0vw)に隣接するものと規定する工程、
・各々が順次互いに隣接し、且つ全てが幅方向に沿って整列された第(w+2)~第2wのスポットを規定する工程、
・第(2w+1)のスポット(S0v(2w+1))を、長さ方向に沿って第2wのスポット(S02vw)と隣接するものと規定する工程
によって規定される。
スカーフシーケンスのユニットセルを規定する工程を、第(Aw+1)のスポット(S0v(Aw+1))から第((A+2)w+1)のスポット(S0v((A+2)w+1)(ここで、A=2~2Nである)までN回繰り返し、第1のスポットと第wのスポットとを隔てる距離と等しい幅(W)及び第1のスポットと第(2N+1)のスポットとを隔てる距離と等しい長さ(L)の第1のスカーフを形成する。スカーフの幅(W)は、第1のスポットに隣接する第2wのスポットの平均線量蓄積率(DRa)が所定の値(DRa0)以上である(すなわちDRa(S0v(2w))≧DRa0)という制約によって限定される。
スカーフ法では、実質的に制限のない長さ(L)のストライプ(=「スカーフ」)にわたってHDR照射を適用することが可能であるが、その幅は、先ほどの制約によって強く制限される。時間(ti)内に所与の線量率(DR)で任意の1つのスポット(S0vm)に線量(D)を蓄積させ、続いてスカーフシーケンスのセルユニットに従ってそのスポットから隣接するスポットに移動することが可能な粒子線療法システムでは、ΣD1i/(2w-1)ti≧DRa0となるように最大幅W=(w-1)diを有することが可能であり、ここで、diは、2つの隣接するスポットを隔てる距離であり、(w-1)は、第1のスポットと、同一線上に沿ったスカーフの対向する端に位置するスポットである第wのスポットとの間隔の数であり、及びD1iは、2本の線で構成されるスカーフシーケンスのユニットセルを形成するシーケンス内の最初の第2wのスポットの任意の1つを中心とするビームレット(i)によって第1のスポットに蓄積される線量である。
特定の体積の輪郭(V0)がスカーフの幅(W)よりも大きい幅を有する場合、走査シーケンスの最適化は、図7に図示されるように、各々が第1のスカーフに平行であり、第1、第2及びそれに続くスカーフのシーケンスにおいて、先行するスカーフに隣接するか又はわずかに当たっている、第2並びに任意選択により第3及びそれに続くスカーフのシーケンスを規定することを更に含み得る。この方法は、上記で説明したような実質的に制限のない長さ(L)の領域だけでなく、実質的に制限のない幅(W)の領域もカバーすることができる点で有利である。しかしながら、2つの隣接するスカーフの間の交点に、図7で網掛け領域として示されているストライプが存在するが、第1のスカーフの第wのスポット(S0vw)及び第2のスカーフの隣接する第1のスポット(S0v1)を照射するのに必要な時間は、第1及び第2のスカーフの隣接するスポットが互いに当たっている領域に必要とされるDRaでの照射を維持するには長くなりすぎるため、このストライプを必要とされるDRaで照射することができないという欠点がある。そのため、図7において網掛けされたストライプ内に位置している細胞は、HDR(すなわち必要とされるDRa)ではなくCDRで照射される危険性がある。このストライプが健康な細胞を包囲しており、蓄積される線量が細胞を死滅させるのに十分に高い場合、このストライプは、犠牲的なものであると見なさなければならない。臨床医は、腫瘍領域の形状並びに腫瘍細胞及び健康な細胞の種類に応じて、犠牲となるストライプが好ましいものであるかどうかを判断する必要があり、健康な細胞への影響が可能な限り少なくなるようにストライプを配置するように判断し得る。スカーフは、スポット位置パターン(x,y)が互いに垂直な2つの直線方向に沿って整列していない場合、図7に図示されるような長方形である必要はないことに留意されたい。代わりに、臨床医は、各々選択された体積(Vs)の少なくとも所定の部分に対してDRa≧DRa0をもたらすビーム走査シーケンスを選択するために、異なる方法を使用し得る。
スカーフ法は、螺旋パターンなどのスカーフ以外の他のパターンに実施することができる。
単一ビーム対多重ビームのTPS
上記で説明したTPSは、第1のビーム方向に対して平行ないくつかのビームレットで構成された単一ビームを含む。TPSが、Vsの少なくとも所定の部分を所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)(すなわちDRa≧DRa0)で確実に照射するビームレットシーケンスを規定することができなかった場合、その代わりとして多重ビーム治療計画を実行することができる。
図4(c)に図示されるように、多重ビームの治療計画では、各々がいくつかのビームレットで構成され、異なるビーム方向(z1、z2)に対して平行であり、全て互いに割線となる2つ以上のビームを使用する。スポットの少なくとも所定の部分がDRa≧DRa0で照射されるまで、ビームを追加してビームレット走査シーケンス段階を繰り返す。図4(c)で分かるように、2つ以上のビームを使用することで、2つのビームが互いに通過する標的(3t)により高い線量を蓄積することができる。この治療計画により、2つのビームが外周表面の外側で互いに通過することを確実に回避することで、健康な細胞に1つのビームのみが通過して、より低い線量を確実に蓄積させることができる。更に、健康な細胞には1つのビームのみが通過するため、線量率の制約(DRa≧DRa0)は、各ビームに対して独立して考慮される。いくつかのビームを使用することで、治療分割jの期間が延長される。やはりこの場合も、これは、臨床家によって選択がなされるべきものである。
事前最適化モジュール
本発明のTPSは、従来のTPSとは区別され、且つ従来のTPSと相互作用する事前最適化モジュールを含むことで、既にある「従来のTPS」に実装することができる。事前最適化モジュールは、ビームレット走査シーケンス段階のみを決定するように構成され得る。しかしながら、好ましい実施形態では、ビーム規定段階、線量率規定段階及びビームレット走査シーケンス段階は、事前最適化モジュールによって決定される。事前最適化モジュールは、後にTPSを実行するために使用する粒子線治療システムの性能を考慮して、ビーム規定段階によって決定される所与のスポット位置パターン(x,y)、ビームレット走査シーケンス段階によって規定される選択された体積(Vs)の数、寸法及び形状を構築し、これにより、線量率規定段階によって規定される線量率を有する粒子線療法システムにより、HDRで適度に照射することが可能となり、少なくともVsの所定の部分でDRa≧DRa0となることが確実となる。
事前最適化モジュールが、所与の粒子線治療システムによって少なくともVsの所定の部分でDRa≧DRa0となるように特定の体積(Vs)を照射することが可能であるように構築されると、事前最適化モジュールによって決定されたパラメータを従来のTPSに導入して、線量規定段階を構築して規定することが可能となる。これは、FLASH効果特性を実現するように設計されていない既存の粒子線治療システム及び既存の従来のTPSを使用する場合、非常に有利である。事前最適化されたモジュールにより、Vsの所定の部分をHDR(すなわちDRa≧DRa0)で照射することにより、現実的に実施可能なTPSのベースを設定することができ、最後に、特にとりわけ標的組織(3t)内に蓄積される線量を規定する工程は、従来のTPSで実行される線量規定段階によって規定されることになる。この治療計画の規定は、反復プロセスであり得、同意できる治療計画が得られるまで前回の実行の結果を次の実行の開始パラメータとして使用する。
等価健康分割線量(Dmhij)
上記で述べたとおり、FLASH効果は、観察結果(O1)及び(O2)を基準にして特定される。
(O1)腫瘍細胞は、線量蓄積率(DR)とは無関係に同様に死滅する。
(O2)超過してはならない健康な組織(3hi)の所定の正常組織障害発生確率(NTCP0i)は、図4(a)~4(b)に示されるように、超高線量蓄積率(HDR)よりも従来線量蓄積率(CDR)で蓄積されるような低い線量で到達する。
換言すれば、所与の正常組織障害発生確率(=NTCP)に到達するのに必要とされる、健康な組織に蓄積される対応する健康な線量(Dhij)は、線量が蓄積したときの線量蓄積率(DR)に強く依存する。これは、図2(a)及び2(b)においてグラフによって図示される。「健康線量」という表現は、「健康な細胞に送達される線量」を短縮したものとして本明細書で使用されており、細胞の健康に有益な線量であるものとして理解すべきでないことに留意されたい。対称的に、これは、所与のNTCPに到達するために必要とされる線量が線量蓄積率に依存しない腫瘍細胞の場合には見られないことであり、これは、健康な細胞ではなく腫瘍細胞に適用される図2(a)のグラフが、図2(b)に図示されるS字曲線ではなく、実質的に直線で垂直なNTCP線(図示せず)を示すことになることを意味する。
図2(a)は、10%~100%の確率を含むNTPC値に対して、健康線量(Dhij)の関数として線量蓄積率(DR)をプロットした、NTCP等値線を示している。分割jの治療の間に超過してはならないNTCPの値NTCP0iが、50%の傷害発生確率であると仮定すると、網掛け領域で示された(0.5)と標示されたNTCP等値線の左側の線量を、対応する線量蓄積率で蓄積させることができる。NTCP等値線=50%を規定する線量(D)は、線量が蓄積される際の割合に強く依存することが分かる。
図2(b)は、図2(a)の直接の結果であり、図2(a)の縦軸DR=1Gy/秒に整列した白いドットが、図2(b)では前記線量率で所与のNTCPに到達するのに必要とされる線量(Dhij)を示しており、白いドットのシグモイド曲線が得られたことが記録されている。図2(a)の縦軸DR=10Gy/秒に黒いドットを整列させて同様の作業を繰り返すことにより、図2(b)では黒いドットのシグモイド曲線が得られたことが記録されている。図2(a)のようにNTCP0i=50%とすると、これら2つの蓄積率で健康な組織(3hi)の健康な細胞に蓄積され得る線量を示す、対応する網掛け領域が得られる。
等価健康分割線量(Dmhij)は、
・従来健康分割線量(Dchij)と、
・α≦1、好ましくはα>0.5の等価係数(α)及び高率健康分割線量(Dhhij)の積と
の合計Dmhij=(Dchij+αDhhij)として規定できる。
等価健康分割線量(Dmhij)は、少なくとも一部がHDRで適用され、あたかも健康分割線量(Dhij)が従来線量蓄積率(CDR)のみで健康な細胞に蓄積されているように、健康な細胞(3hi)の同等又はより低い傷害発生確率(NTCP0i)をもたらす等価線量である。図2(a)~(c)で分かるように、等価健康分割線量(Dmhij)は、CDRのみで蓄積された従来健康分割線量(Dchij)からHDRのみで蓄積された高線量健康分割線量(Dhhij)を含み、超高線量率で蓄積された線量のHDR比率、xH=Dhhij/(Dchij+Dhhij)に依存する。
健康な細胞は、上記に規定され、下記に再掲される基準(C2.1)及び(C2.2)を満たすことによって温存されなければならない。
(C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)は、分割jの終了時、健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、
(C2.2)N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)は、N回の分割の治療の終了時、健康な細胞を保護するための所定の閾値を超過しない。
上記に規定した等価健康分割線量(Dmhij)を考慮すると、条件(C2.1)は、等価健康分割線量、Dmhij=Dchij+αDhhij≦Dch0ijを確実なものにすることによって満たすことができ、ここで、Dch0ijは、健康な細胞を保護するために分割の間に超過してはならない最大従来健康分割線量である。第2の基準(C2.2)は、等価健康線量、DmhTi=ΣDmhij=Σ(Dchij+αDhhij)≦DchT0iを確実なものにすることによって満たすことができ、ここで、DchT0iは、健康な細胞を保護するために超過してはならないN回の分割jにわたって積算された最大従来健康線量である。
例えば、図2(a)及び2(b)に図示されるように、線量(Dhij)及び線量蓄積率(DR)の関数としてNTCP曲線を構築することにより、超高線量蓄積率(HDR)での線量蓄積に対する等価係数αの値を求めることができる。十分に高い線量蓄積率では、所定のNTCP0iをもたらす線量(Dhh0ij)が線量率に依存しなくなり、係数αは、実質的に一定となり(すなわち図2(a)の実線の曲線の右側の垂直部分)、1/kと等しいと規定することができ、ここで、k=1.2~1.5(すなわちα=1/k、ここで、k=1.2~1.5である)であり、好ましくはα<0.9、より好ましくはα<0.85、最も好ましくはα<0.7である。
図2(c)は、等価健康分割線量(Dmhij)と健康分割線量(Dhij)との間の関係の様々な例を図示している。実線は、「Dhhij=0(CDR)」と標記されたCDRのみでの蓄積と、Dchij=0(HDR)」と標記されたHDRのみでの蓄積との関係を示す。Dmhij=Dchij+αDhhijであり、Dhij=Dchij+Dhhijであることを考慮すると、当然ながら以下のようになる。
・CDRのみでの場合、Dhhij=0、従ってDmhij=Dhijとなり、健康な組織(3hi)を保護するために超過してはならない水平の破線Dmhij=Dch0ijがDhij=Dch0ijの値で交差する、図2(c)の「Dhhij=0(CDR)」と標記された傾き1の直線を規定し、
・HDRのみでの場合、Dchij=0、従ってDmhij=αDhijとなり、健康な組織(3hi)を保護するために超過してはならない水平の破線Dmhij=Dch0ijがDhij=Dhh0ijの値で交差する、図2(c)の「Dchij=0(HDR)」と標記された傾きα=1/kの直線を規定する。
点線と混合線は、CDRとHDRとの両方での線量蓄積を含む照射の例であり、図2(c)に示すように、異なる値のαに対してxH=Dhhij/(Dchij+Dhhij)で表される。
DRa0の決定
特定の体積(Vs)に存在する健康な細胞を温存するための、FLASH効果によって到達すべき平均超高線量蓄積率境界(DRa0)は、上記で説明した等価健康分割線量(Dmhij)を使用して決定することができる。例えば、図2(a)に図示されるような所与の健康な組織(3hi)に関するNTCP曲線を使用し、所定の傷害発生確率(NTCP0i)の値を固定して(例えば、NTCP0i=50%であり、この値は、臨床医によって規定することができる)、所定のNTCP0iの値の範囲内で所与の線量を蓄積させるために必要となる平均超高線量蓄積率境界(DRa0)の最小値を、図2(a)の横軸のNTCP0i曲線と所与の線量の値との交点に相当する図2(a)の縦軸の線量蓄積率の値(DR)を読み取ることによるものである。DRa0の値が一度構築されると、治療を計画する様々な段階を実行して、治療計画を確立することが可能となる。必要とされる平均超高線量蓄積率境界(DRa0)が高すぎて、特定の体積の少なくとも所定の部分を平均線量蓄積率で確実に照射することができない場合、DRa≧DRa0となるように、より低い線量値で作業を繰り返すか、又は上記で説明したように、異なるビーム方向の2つ以上のビームを使用して繰り返すことができる。
結論
本発明のTPSでは、FLASH効果が得られるか否かの決定パラメータとして、初めて平均線量蓄積率(DRa)を考慮に入れている。また、治療に使用する粒子線治療システムの性能も考慮に入れている。この問題は、PBSによって標的を照射することによって生じるものであり、これは、特定の一部の体積、続いて2番目の特定の体積などと、標的の全体積が照射されるまで順次線量を蓄積することが関与している。PBSは、ビームレットが第1のスポットを中心とした軌道に沿って標的組織を照射する、離散的なPBSであり得る。続いて、シーケンスにおける第1のスポットからシーケンスにおける第2のスポットにビームレットを移動させるのに必要となる時間の間、ビームレットを中断させ、それからビームレットを再び駆動して、第2のスポットを中心とした軌道に沿って標的組織を照射する。代わりに、PBSは、シーケンスにおいて第1のスポットから第2のスポットに移行する間にビームレットが中断されることのない連続的なPBSであり得る。例えば、スカーフ法は、離散的なPBSと連続的なPBSとの両方を実行するのに適している。
所与の一部の体積を中心とするビームレットは、隣接した一部の体積にも線量を蓄積させるため、平均線量蓄積率(DRa)の問題は深刻なものとなる。なぜなら、その値は、所与の一部の体積に漏れた全ての隣接したビームレットによって総線量を蓄積するために必要とされる合計時間(Δt)を考慮に入れているためである。
本発明のTPSは、ビームレット走査シーケンス段階により、特定の体積(Vs)の少なくとも所定の部分を、PBSによって平均線量蓄積率をDRa≧DRa0で照射することを確実にするものである。この方法により、FLASH効果を効果的に利用して、実質的に多くの健康な細胞を温存しながら、外周表面内に含まれる腫瘍細胞を死滅させることができる。
参照 説明
3hi 健康な組織i
3t 標的組織
3z 不確定領域
B,B1,B2,Bm 粒子ビーム
CDR 従来線量蓄積率
D 線量
d スポットの直径
Dch0ij 最大従来健康分割線量
DchT0i N回の分割jにわたって積算された最大従来健康線量
Dchij 従来健康分割線量
DctT 従来標的線量
Dctj 従来標的分割線量
Dhhij 高率健康分割線量
Dhh0ij 最大高率健康分割線量
Dhij Dhij=Dchij+Dhhijである健康分割線量
DhTi DhTi=ΣDhij=Σ(Dchij+Dhhij)であるN回の分割jにわたって積算された総健康線量
Dj ビームレットjによってある点に蓄積された線量j
Dmhij Dmhij=Dchij+αDhhijである等価健康分割線量
DmhTi DmhTi=ΣDmhij=Σ(Dchij+αDhhij)であるN回の分割jにわたって積算された総等量健康線量
Dmtj Dmtj=Dctj+Dhtjである標的分割線量
DmtT DmtT=DctT+DhtTである総標的線量
DmtT0 最小標的線量
DR 線量蓄積率(又は蓄積率)
DRa 平均蓄積率
DRa0 平均超高線量蓄積率境界
DR1-DRk 所与の点で1つのビームレットによって蓄積された線量蓄積率
H0i zに対して平行なP0に投影される健康な組織の輪郭
HDR 超高線量蓄積率
k 超高線量蓄積率でのCDR/HDR比例定数、(=1/α)
L スカーフの長さ
NTCP 正常組織障害発生確率
NTCP0i 健康な組織(3hi)の最大NTCP値
P0 皮膚水平面においてビーム方向に対して垂直な表面平面
P2 Pn ビーム方向に対して垂直な内部平面
PBS ペンシルビームスキャン
S0m スポット位置パターン(x,y)に定義される平面P0におけるスポット
S0vm スポット位置パターン(x,y)のサブセットに定義される平面P0におけるスポット
SOBP ブラッグピークの合計
T0 zに対して平行なP0に投影される標的組織の輪郭
V0 zに対して平行なP0に投影される特定の体積の輪郭
V1-Vn 特定の体積(Vs)と面P1~Pnとの交点
Vs 特定の体積
W スカーフの幅
w スカーフの幅内のスポットの数
x,y 深度(z)でのビームに対して垂直な平面を定義するベクトル
xH HDR比率=Dhhij/(Dchij+Dhhij)
z,z1,z2 透過深度及びビーム方向
Z0 Z=0(皮膚)
Z2-Zn zに沿った内部平面P2~Pnの深度
a 等価係数(Dmhij=Dchij+αDhhij)
Δt ある点における連続するビームレットによる線量蓄積の合計時間

Claims (15)

  1. 健康な細胞によって取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞を包囲する外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む標的組織(3t)にペンシルビームスキャン(PBS)によって適用される荷電粒子ビーム、好ましくは陽子ビームによる放射線によって治療するための計画を生成するための治療計画システム(TPS)であって、前記健康な細胞は、健康な組織(3hi)を形成し、添字iは、健康な組織(3hi)の種類を示し、前記計画は、照射のN回の分割からなり、ここで、N≧1であり、及び前記計画は、以下の基準、
    (C1)前記N回の分割の終了時、前記標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、各分割において受けられる標的分割線量(Dmtj)の合計に等しい総標的線量(DmtT)を受けている必要があり(すなわちDmtT=ΣDmtj)、前記総標的線量は、前記腫瘍細胞を死滅させるための最小標的線量(DmtT0)に少なくとも等しい、すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0であること、
    (C2)前記N回の分割の終了時、前記外周表面を取り囲むか又は前記外周表面内に包囲された前記健康な組織の全ての健康な細胞(3hi)は、
    (C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)が、前記分割jの終了時、前記健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、及び
    (C2.2)前記N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)が、N回の分割の治療の終了時、前記健康な細胞を保護するための所定の総線量閾値を超過しない
    ように、各分割jにおいて受けられる前記健康分割線量(Dhij)の合計と等しい前記総健康線量(DhTi)を受けている必要があること(すなわちDhTi=ΣDhij)
    を満たし、
    前記TPSは、
    ・前記基準(C1)を満たすために必要とされる、前記外周表面内及びその直接的な周囲に蓄積される線量を規定するように構成された線量規定段階、
    ・少なくとも1つの高率での分割jを規定するように構成された線量率規定段階であって、健康な細胞及び任意選択により腫瘍細胞を包囲する特定の体積の表面によって囲まれた特定の体積(Vs)は、線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定される超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、前記線量Djの蓄積時間である、線量率規定段階、
    ・前記少なくとも1回の高率での分割j中、前記PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するように構成されたビーム規定段階であって、
    ○ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、且つスポットの中心(cp、cr)で実質的に垂直に表面平面(P0)と交差するビームレットによって前記表面平面(P0)上に形成されるスポット(S01、S02)の直径(d)を規定することであって、前記表面平面(P0)は、少なくとも前記スポットの中心で患者の表皮と接触する、規定すること、
    ○前記ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成される前記スポット(S01、S02)の前記表面平面(P0)にスポット位置パターン(x,y)を規定することであって、それにより、前記スポット位置パターン(x,y)は、前記外周表面の、前記表面平面(P0)への、前記ビーム方向に対して平行な投影内に規定される全領域を前記スポットがカバーすることを確実にする、規定すること
    を含むビーム規定段階
    を含む、治療計画システム(TPS)において、
    前記ビームレットの照射の走査シーケンスが規定される、ビームレット走査シーケンス段階を含み、前記ビームレット走査シーケンス段階は、分割jの終了時、上記で規定された前記必要条件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、平均超高線量蓄積率境界の所定の値(DRa0)以上の平均蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0)において、それぞれの特定の体積(Vs)の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に線量が蓄積されるように、前記ビーム規定段階で規定された前記スポット位置パターン(x,y)に従ってビームレット放射の時間シーケンスを最適化するように構成され、
    DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ここで、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって所与の体積に蓄積される全ての前記線量の百分位数の合計であり、前記百分位数は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり、及びΔtは、前記所与の体積に蓄積される最初の線量と最後の線量との間の時間であることを特徴とする、治療計画システム(TPS)。
  2. 前記ビーム規定段階は、
    ・前記標的組織(3t)の前記外周表面及び前記標的組織(3t)を取り囲む前記健康な組織(3hi)の外周表面の、前記ビーム方向に対して平行な前記表面平面(P0)への投影によって形成される表面標的輪郭(T0)及び表面健康輪郭(H0i)を規定すること、
    ・前記表面平面(P0)上の前記スポット直径及びスポット位置パターン(x,y)が、前記表面標的輪郭内に包囲された領域を一様にカバーするように決定されること
    を含む、請求項1に記載の治療計画システム。
  3. 前記スポット位置パターン(x,y)に従って分布される2つの隣接する陽子ビームレットの前記ビーム軸は、1.2~2.5倍のσ、好ましくは1.3~1.5倍のσに含まれる距離だけ互いに隔てられ、σは、前記2つの隣接する陽子ビームレットによって形成される前記表面平面(P0)上の前記スポットにおけるガウス線量分布の分散である、請求項2に記載の治療計画システム。
  4. 第1の特定の体積(Vs)は、前記表面平面(P0)から前記ビーム方向(z)に沿って測定される距離Vz=(Zn-Z1)に沿って延び、前記ビームレット走査シーケンス段階は、
    ・前記表面平面(P0)に対して平行なn個の内部平面(P1、...、Pn)であって、前記特定の体積(Vs)が前記第1の平面(P1)と前記第nの平面(Pn)との間に挟まれるように、前記内部平面(P1)のレベルでの深度Z1と、前記第nの内部平面(Pn)のレベルでの深度(Zn)との間の対応する深度(Z1、...、Zn)で分布されるn個の内部平面(P1、...、Pn)を規定することと、
    ・前記対応する特定の体積の表面の、前記ビーム方向に対して平行な前記それぞれの内部平面(P0、P1、...Pn)上への投影によって形成される特定の体積の投影輪郭(V0)を規定することと、
    ・前記特定の体積の投影輪郭(V0)によって形成され、且つ高さVz=(Zn-Z1)の円柱形の底辺内に規定される、選択された体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも前記所定の部分について平均線量蓄積率DRa≧DRa0をもたらす前記ビームレット走査シーケンスを選択することと
    を含み、前記ビームレット走査シーケンス段階は、前記第1の特定の体積と異なるそれぞれの特定の体積(Vs)について、上述の前記規定及び選択を含む、請求項2又は3に記載の治療計画システム。
  5. 前記特定の体積(Vs)は、
    ・少なくとも1つの特定の体積が、前記表面平面(P0)から最も遠い前記外周表面の部分の両側に位置し、且つ前記標的組織(3t)から出るように前記PBSの前記ビームによって通過される、細胞を含有すること、
    ・不確定領域(3z)と称される少なくとも1つの特定の体積が、異なる比率で混在する腫瘍細胞と健康な細胞との両方を含む領域として規定されること、
    ・少なくとも1つの特定の体積が、直径(d)の1つ以上のビームレットによって交差される健康な組織(3hi)の健康な細胞を含有すること
    の1つ以上に従って規定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  6. それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)のための前記ビームレット走査シーケンス段階は、以下の工程、
    ・前記特定の体積の前記特定の外周表面の、前記表面平面(P0)への、前記ビーム方向に対して平行な投影によって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定する工程、
    ・前記特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれる前記スポット(S0vk)を含む、前記スポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定する工程、
    ・第1のビームレットによって通過される第1のスポットの中心(cp)に線量を送達する工程、
    ・隣接するスポットの中心(cr)に前記第1のビームレットによって送達される前記線量を記録する工程、
    ・前記第1のスポットの中心(cp)の直後に照射される第2のスポットの中心(cr)を、以下の制約、
    ○Σ(DRa(m)-DRT(m))を最小化することであって、ここで、DRT(m)は、各スポット(m)の標的平均線量率である、最小化すること、及び/又は
    ○測定される全ての前記スポットにわたる前記平均線量率(DRa(m))の平均を最大化すること、及び/又は
    ○各スポット(m)の前記平均線量率(DRa(m))を最大化すること
    の1つ以上を満たすように選択する工程、
    ・前記スポット位置パターン(x,y)の前記サブセットの前記全てのスポットについて、第3及びその後続のスポットで上述の工程を繰り返す工程
    を実施するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  7. それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)のための前記ビームレット走査シーケンス段階は、以下の工程、
    ・前記特定の体積の前記特定の外周表面の、前記表面平面(P0)への、前記ビーム方向に対して平行な投影によって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定する工程、
    ・前記特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれる前記スポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定する工程、
    ・前記サブセットの前記スポットの中心(cp、cr)のそれぞれの部分について、初期のシーケンス順位を前記ビームレット走査シーケンスにおいて割り当てる工程、
    ・スポットの中心が1つの順列π(p)において取り得る最大の順位上昇(h)の値、すなわち|p-q|≦hを規定する工程、
    ・M個の局所順列π(p)=qから構成される、前記スポットの中心の前記初期のシーケンス順位の第1の全順列(u=1)を規定する工程であって、ここで、pは、前記初期のシーケンス順位内の所与のスポットの中心の初期の順位であり、及びqは、最大の順位上昇(h)の条件での前記順列後の最後の順位であり、前記全順列は、前記初期のシーケンスに順次適用されるM個のそのようなπ(p)順列で構成される、工程、
    ・最初のシーケンス順位(p)におけるスポットの中心(cp、cr)の重み付けされた隣接順位の距離を、
    ○前記初期のシーケンス順位(p)の前記スポットの中心(cp)と、隣接するシーケンス順位(r)のスポットの中心(cr)との間の重み付けされた隣接順位の距離(Dw(p,r))をDw(p,r)=|p-r|・Ir,p(r)として規定することであって、ここで、|p-r|は、シーケンス順位(p)及び(r)間の順位差(D(p,r))であり、Ir,p(r)は、前記位置(cr)と交差するビームにより、位置(cp)の前記スポット上に蓄積された線量(D)である、規定すること
    ○前記初期のシーケンス順位(p)の前記スポットの中心(cp)からその隣接順位の全てのスポットの中心までの重み付けされた総隣接距離(Dt(p))をDt(p)=ΣDw(p,r)と規定すること
    のように規定する工程、
    ・局所順列π(p)=qのコスト(C,1(p,r))をC,1(p,r)=Dt(q)-Dt(p)として算出する工程、
    ・前記第1の全順列(u=1)の第1の総コストCt,1(π)=ΣC,1(p,r)を算出する工程、
    ・前記選択された順位上昇(h)について、互いに異なり、且つ前記第1の全順列(u=1)と異なる、前記初期のシーケンス順位の全ての可能な第2、第3及びそれに続く全順列(u=2、3、4、...)を規定する工程、
    ・先行する工程において規定された前記第2、第3及びそれに続く全順列のそれぞれについて、対応する第2、第3及びそれに続く総コストCt,u(π)=ΣC,u(p,r)を算出する工程、
    ・最も低い総コスト(Ct,u(π))をもたらす前記全順列(u=1、2、3、...)を選択する工程
    を実施するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  8. それぞれの特定の体積(Vs)は、特定の外周表面内に含まれ、それぞれの特定の体積(Vs)のための前記ビームレット走査シーケンス段階は、以下の工程、
    ・前記特定の体積の前記特定の外周表面の、前記表面平面(P0)への、前記ビーム方向に対して平行な投影によって形成される特定の体積の輪郭(V0)を規定する工程、
    ・前記特定の体積の輪郭(V0)と交差するか又はその中に含まれる前記スポット(S0vk)を含む前記スポット位置パターン(x,y)のサブセットを規定する工程、
    ・スカーフシーケンスのユニットセルを、以下の工程、
    〇第1のビームレットによって最初に照射される初期スポット(S0v1)を規定する工程、
    〇各々が順次互いに隣接し、且つ全てが幅方向に沿って整列された連続する第2、第3~第wのスポットを規定する工程、
    〇第(w+1)のスポット(S0v(w+1))を、前記幅方向と異なる、好ましくは前記幅方向に対して垂直な長さ方向に沿って前記第wのスポット(S0vw)に隣接するものと規定する工程、
    〇各々が順次互いに隣接し、且つ全てが前記幅方向に沿って整列された第(w+2)~第2wのスポットを規定する工程、
    〇第(2w+1)のスポット(S0v(2w+1))を、前記長さ方向に沿って前記第2wのスポット(S02vw)と隣接するものと規定する工程
    で規定する工程、
    ・前記スカーフシーケンスのユニットセルを規定する前記工程を、第(Aw+1)のスポット(S0v(Aw+1))から第((A+2)w+1)のスポット(S0v((A+2)w+1)(ここで、A=2~(N+2)である)までN回繰り返し、前記第1のスポットを前記第wのスポットから隔てる距離と等しい幅(W)及び前記第1のスポットを第((N+4)w+1)のスポットから隔てる距離と等しい長さ(L)の第1のスカーフを形成する工程であって、前記スカーフの前記幅(W)は、前記第2wのスポットの前記平均線量蓄積率(DRa)が前記所定の値(DRa0)以上である(DRa(S0v(2w))≧DRa0)という前記制約によって限定される、工程
    を実施するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  9. 前記特定の体積(Vs)は、前記第1のスカーフの前記幅(W)よりも大きい幅を有し、前記ビームレット走査シーケンス段階は、各々が前記第1のスカーフに対して平行であり、且つ第1、第2及びそれに続くスカーフのシーケンスにおいて、先行するスカーフに隣接するか又はわずかに当たっている第2並びに任意選択により第3及びそれに続くスカーフのシーケンスを規定するように更に構成される、請求項8に記載の治療計画システム。
  10. 従来のTPSシステムであって、前記従来のTPSシステムとは別個の前記線量規定段階及び事前最適化モジュールであって、前記従来のTPSシステムと相互作用して、前記線量規定段階、前記ビーム規定段階、前記線量率規定段階及び前記ビームレット走査シーケンス段階を決定するように構成された前記線量規定段階及び事前最適化モジュールを決定するように構成された従来のTPSシステムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  11. 前記線量率規定段階は、所与の線量(Di)がビームレットによって送達され得る最高線量率(DRmax)をDRmax=8Imax,K(E)として規定するように構成され、ここで、Imaxは、陽子加速器のノズルが送達し得る最大強度(Imax)であり、及びK(E)は、陽子フルエンス(1cm当たりの陽子)を前記陽子ビームの入射エネルギーと関連付ける公知の関数である、請求項1~10のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  12. ・単一ビーム治療計画段階は、第1のビーム方向に対して平行ないくつかのビームレットで構成された単一ビームを使用するビームレット走査シーケンスを最初に決定するように構成され、
    ・前記特定の体積の前記所定の部分未満が前記所定の値(DRa0)以上の平均線量蓄積率(DRa)で照射される場合、多重ビーム治療計画段階は、少なくともスポットの前記所定の部分がDRa>DRa0で照射されるまで、それぞれがいくつかのビームレットで構成され、且つそれぞれが異なるビーム方向に対して平行であり、全てが互いに割線である2つのビーム又はより多くのビームを使用するビームレット走査シーケンスを決定するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  13. 前記線量規定段階は、前記スポット位置パターン(x,y)の各スポットの透過深度(z)に沿って最適化されたブラッグピークの合計(SOBP)を有するビームレットを規定するためのエネルギー成形デバイスを規定することを含むように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療計画システム。
  14. 健康な細胞によって取り囲まれ、及び/又は同様に健康な細胞を包囲する外周表面内に包囲された腫瘍細胞を含む標的組織(3t)にペンシルビームスキャン(PBS)によって適用される荷電粒子ビーム、好ましくは陽子ビームによる放射線によって治療するための計画を生成するためのコンピュータ実装方法であって、前記健康な細胞は、健康な組織(3hi)を形成し、添字iは、健康な組織(3hi)の種類を示し、前記計画は、照射のN回の分割からなり、ここで、N≧1であり、前記計画は、以下の基準、
    (C1)前記N回の分割の終了時、前記標的組織(3t)の全ての腫瘍細胞は、各分割において受けられる標的分割線量(Dmtj)の合計に等しい総標的線量(DmtT)を受けている必要があり(すなわちDmtT=ΣDmtj)、前記総標的線量は、前記腫瘍細胞を死滅させるための最小標的線量(DmtT0)に少なくとも等しい、すなわちDmtT=ΣDmtj≧DmtT0であること、
    (C2)前記N回の分割の終了時、前記外周表面を取り囲むか又は前記外周表面内に包囲された前記健康な組織の全ての健康な細胞(3hi)は、
    (C2.1)各分割jにおいて受けられる健康分割線量(Dhij)が、前記分割jの終了時、前記健康な細胞を保護するための所定の分割線量閾値を超過せず、及び
    (C2.2)前記N回の分割の終了時に受けられ且つ積算される総健康線量(DhTi)が、N回の分割の治療の終了時、前記健康な細胞を保護するための所定の総線量閾値を超過しない
    ように、各分割jにおいて受けられる前記健康分割線量(Dhij)の合計と等しい前記総健康線量(DhTi)を受けている必要があること(すなわちDhTi=ΣDhij)
    を満たし、
    前記方法は、以下の工程、
    ・前記基準(C1)を満たすために必要とされる、前記外周表面内及びその直接的な周囲に蓄積される前記線量を規定する線量規定工程、
    ・少なくとも1つの高率での分割jを規定する線量率規定工程であって、健康な細胞及び任意選択により腫瘍細胞を包囲する特定の体積の表面によって囲まれた特定の体積(Vs)は、線量蓄積率HDR=Dj/t≧1Gy/秒として規定される超高線量蓄積率(HDR)で照射され、ここで、Djは、1回の分割中に特定の体積に蓄積される線量であり、及びtは、前記線量Djの蓄積時間である、線量率規定工程、
    ・前記少なくとも1回の高率での分割中、前記PBSのビームレットの位置及び寸法を規定するビーム規定工程であって、
    ○ビーム方向に対して実質的に平行なビームレット軸に沿って伝播し、且つスポットの中心(cp、cr)で実質的に垂直に表面平面(P0)と交差するビームレットによって前記表面平面(P0)上に形成されるスポット(S01、S02)の直径(d)を規定することであって、前記表面平面(P0)は、少なくとも前記スポットの中心で患者の表皮と接触する、規定すること、
    ○前記ビーム方向に対して実質的に平行な異なるビームレットによって形成される前記スポット(S01、S02)の前記表面平面(P0)にスポット位置パターン(x,y)を規定することであって、それにより、前記スポット位置パターン(x,y)は、前記外周表面の、前記表面平面(P0)への、前記ビーム方向に対して平行な投影内に規定される全領域を前記スポットがカバーすることを確実にする、規定すること
    を含むビーム規定工程
    を含む、コンピュータ実装方法において、
    前記ビームレットを照射する走査シーケンスを規定するビームレット走査シーケンス工程を含み、前記ビームレット走査シーケンス工程は、分割jの終了時、上記で規定された前記必要条件(C2.1)及び(C2.2)を満たすために、平均超高線量蓄積率境界の所定の値(DRa0)以上の平均蓄積率(DRa)(DRa≧DRa0)において、それぞれの特定の体積の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%の少なくとも所定の部分に線量が蓄積されるように、前記ビーム規定段階で規定された前記スポット位置パターン(x,y)に従ってビームレット放射の時間シーケンスを最適化する工程を含み、
    DRaは、DRa=ΣDj/Δt≧DRa0≧1Gy/秒として規定され、ここで、ΣDjは、1つ以上のビームレットによって所与の体積に蓄積される全ての前記線量の百分位数の合計であり、前記百分位数は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり、及びΔtは、前記所与の体積に蓄積される最初の線量と最後の線量との間の時間であることを特徴とする、コンピュータ実装方法。
  15. 請求項1~13のいずれか一項に記載の治療計画システム(TPS)は、前記方法を実行するために使用される、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
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