JP2022011597A - 熱交換器およびこれを用いたヒートポンプ式冷凍サイクル - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に好適に使用され、冷房時および暖房時の圧損の増大および熱交換性能の低下を抑制しうる熱交換器を提供する。【解決手段】ヒートポンプ式冷凍サイクル1の室外熱交換器4は、熱交換コア部32に、第1熱交換管33からなる第1熱交換パスP1と、第1熱交換管33および第2熱交換管34からなりかつ第1熱交換パスP1の冷媒流れ方向下流側に設けられた第2熱交換パスP2とを有する。全第1熱交換管33の通路断面積が同一である。全第2熱交換管34の通路断面積が同一であるとともに第1熱交換管33の通路断面積よりも大きくなっている。第2熱交換パスP2において、複数の第1熱交換管33が第1熱交換パスP1側に配置され、複数の第2熱交換管34が残りの部分に配置されている。【選択図】図2
Description
この発明は、熱交換器およびこれを用いたヒートポンプ式冷凍サイクルに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、図2の上下、左右を上下、左右というものとする。
ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両の車両用空調装置を構成するヒートポンプ式冷凍サイクルとして、圧縮機と、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室外熱交換器と、車室内に配置されかつ冷房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室内エバポレータと、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させる室内コンデンサとを備えており、室外熱交換器が、空気と冷媒との熱交換を行うメインコア部と、 メインコア部を通過した冷媒が流入するレシーバタンクと、 レシーバタンクを通過した冷媒を空気との熱交換により過冷却するサブクールコア部とを有し、メインコア部およびサブクールコア部が、上下方向に離間して配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間において上下方向に延びるように配置されかつ両ヘッダタンクを通じさせる複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に設けられたフィンと、メインコア部、レシーバタンク、サブクールコア部の順番に冷媒を通過させる第1の流路と、 第1の流路と反対方向または同一方向にメインコア部のみに冷媒を通過させる第2の流路とを備えており、上側ヘッダタンクにメインコア部に通じ、かつ冷房時冷媒入口と暖房時冷媒出口を兼ねた冷媒流通口が形成され、下側ヘッダタンクにサブクールコア部に通じる冷房時冷媒出口およびメインコア部に通じる暖房時冷媒入口が形成され、第1の流路が冷媒流通口と冷房時冷媒出口との間に設けられ、第2の流路が暖房時冷媒入口と冷媒流通口との間に設けられているヒートポンプ式冷凍サイクルが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルにおいては、冷房時の冷房時冷媒入口および冷房時冷媒出口と、暖房時の暖房時冷媒入口および暖房時冷媒出口とを切り替えることによって、冷房時に、前記室外熱交換器における前記第1の流路に冷媒を流通させて圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させ、暖房時に、前記室外熱交換器における前記第2の流路に冷媒を流通させて減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させることによって、冷房時および暖房時の熱交換性能の低下、ならびに冷房時および暖房時に室外熱交換器を冷媒が通過する際の圧損の増大を抑制している。
しかしながら、特許文献1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルにおいては、室外熱交換器の構成が複雑になるという問題がある。しかも、冷房時の冷媒の流れ方向および暖房時の冷媒の流れ方向を逆向きにするとともに、冷房時に冷媒が流れる部分と暖房時に冷媒が流れる部分とを変更する必要があり、そのための機構の構成や配管の構成が複雑になってヒートポンプ式冷凍サイクル全体の構成も複雑になるという問題がある。
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器として使用した場合に、冷房時および暖房時において冷媒の流れ方向を変えることなく、冷媒が流れる際の圧損の増大および熱交換性能の低下を抑制しうるとともに、ヒートポンプ式冷凍サイクル全体の構成が簡易になる熱交換器およびこれを用いたヒートポンプ式冷凍サイクルを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)長手方向を同方向に向けて配置された2つのヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に設けられ、かつ両ヘッダタンクの長手方向に間隔をおいて配置されて両端が両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管を有する熱交換コア部とを備えており、熱交換コア部に、連続して並んだ複数の熱交換管からなる第1熱交換パスと、連続して並んだ複数の熱交換管からなりかつ第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側に隣接した第2熱交換パスとが設けられ、第1熱交換パスの全熱交換管の冷媒流れ方向が同一であり、第2熱交換パスの全熱交換管の冷媒流れ方向が同一であるとともに第1熱交換パスでの冷媒流れ方向とは逆方向であり、一方のヘッダタンクに、第1熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第1ヘッダおよび第2熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第2ヘッダとが隣接して設けられ、他方のヘッダタンクに第1熱交換パスおよび第2熱交換パスの熱交換管の他端が通じる第3ヘッダが設けられており、冷媒が、第1ヘッダから第1熱交換パスを経て第3ヘッダに流れ、さらに第2熱交換パスを経て第2ヘッダに流れるようになされている熱交換器において、
第1熱交換パスが第1熱交換管により構成され、第2熱交換パスが前記第1熱交換管と第2熱交換管により構成され、全第1熱交換管の通路断面積が同一であり、全第2熱交換管の通路断面積が同一であるとともに第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっており、第2熱交換パスにおいて、複数の第1熱交換管が第1熱交換パス側に配置され、複数の第2熱交換管が残りの部分に配置されている熱交換器。
第1熱交換パスが第1熱交換管により構成され、第2熱交換パスが前記第1熱交換管と第2熱交換管により構成され、全第1熱交換管の通路断面積が同一であり、全第2熱交換管の通路断面積が同一であるとともに第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっており、第2熱交換パスにおいて、複数の第1熱交換管が第1熱交換パス側に配置され、複数の第2熱交換管が残りの部分に配置されている熱交換器。
2)第1熱交換パスの第1熱交換管の合計数が、第1熱交換管および第2熱交換管の合計数の半分以下であるとともに、第2熱交換パスの第2熱交換管の合計数が第1熱交換パスの第1熱交換管の合計数以下になっており、第2熱交換パスの全第2熱交換管の総通路断面積が第1熱交換パスの全第1熱交換管の総通路断面積以上となっている上記1)記載の熱交換器。
3)両熱交換パスの第1熱交換管および第2熱交換管の合計数に対する第2熱交換パスの第1熱交換管の合計数の比率が10%以上である上記2)記載の熱交換器。
4)2つのヘッダタンクが長手方向を上下方向に向けて配置され、第2熱交換パスが第1熱交換パスの上側に隣接して設けられている上記1)~3)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
5)熱交換コア部に、第1熱交換パスおよび第2熱交換パスのみが設けられている上記1)~4)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
6)圧縮機と、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室外熱交換器と、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器と、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させる室内エバポレータと、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から放熱して凝縮させる室内コンデンサと、暖房時に圧縮機で圧縮されて室内コンデンサを通過した冷媒を減圧する第2減圧器とを備えており、室外熱交換器が、上記1)~5)のうちのいずれかに記載の熱交換器からなり、冷房時および暖房時のいずれの場合にも、冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れるようになされているヒートポンプ式冷凍サイクル。
上記1)~5)の熱交換器によれば、一方のヘッダタンクに、第1熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第1ヘッダおよび第2熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第2ヘッダとが隣接して設けられ、他方のヘッダタンクに第1熱交換パスおよび第2熱交換パスの熱交換管の他端が通じる第3ヘッダが設けられており、冷媒が、第1ヘッダから第1熱交換パスを経て第3ヘッダに流れ、さらに第2熱交換パスを経て第2ヘッダに流れるようになされている熱交換器において、第1熱交換パスが第1熱交換管により構成され、第2熱交換パスが前記第1熱交換管と第2熱交換管により構成され、全第1熱交換管の通路断面積が同一であり、全第2熱交換管の通路断面積が同一であるとともに第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっており、第2熱交換パスにおいて、複数の第1熱交換管が第1熱交換パス側に配置され、複数の第2熱交換管が残りの部分に配置されているので、次の効果を奏する。すなわち、第1熱交換管の通路断面積を適切な大きさにすることによって、冷媒が、第1ヘッダから第1熱交換パスの全熱交換管内に流入する際に比較的大きな抵抗が付与されるので、第1熱交換パスの全第1熱交換器への冷媒流入量が均一化される。また、第2熱交換管の通路断面積が第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっているので、第1熱交換パスの全熱交換管から第3ヘッダ内に流入した冷媒が、第3ヘッダから第2熱交換パスの全熱交換管内に流入する際に、第1熱交換管に流入しにくくなるとともに第2熱交換管に流入しやすくなり、第2熱交換パスの第1熱交換管に流入する冷媒量を減少させるとともに、第2熱交換管に流入する冷媒量を増加させることが可能になって、第2熱交換パスの第1熱交換管に流入する冷媒量と第2熱交換管に流入する冷媒量とを均一化することができ、第2熱交換パスの全熱交換管を流れる冷媒流量が均一化される。したがって、この熱交換器を、上記6)のヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に使用すると、冷房時に第1ヘッダに流入した気相冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れる場合、および暖房時に第1ヘッダに流入した液相冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れる場合のいずれの場合であっても、両熱交換パスの熱交換管への冷媒流入量が均一化される。その結果、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器として使用した場合に、冷房時および暖房時において冷媒の流れ方向を変えることなく、冷媒が流れる際の圧損の増大および熱交換性能の低下を抑制することが可能になり、特許文献1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルのように、冷房時の冷房時冷媒入口および冷房時冷媒出口と、暖房時の暖房時冷媒入口および暖房時冷媒出口とを切り替える機構や、室外熱交換器内での冷媒の流れ方向を逆向きにする機構および配管が不要になる。しかも、熱交換器自体の構成も簡易になる。
上記2)の熱交換器によれば、当該熱交換器をエバポレータとして使用した場合、たとえばヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器として使用した場合の暖房時において、通路抵抗の上昇を抑制することができる。
上記3)の熱交換器によれば、第1熱交換パスの全熱交換管から第3ヘッダ内に流入した冷媒が、第3ヘッダから第2熱交換パスの全熱交換管内に流入する際の第2熱交換パスの全熱交換管を流れる冷媒流量を効果的に均一化することが可能になる。
上記6)のヒートポンプ式冷凍サイクルによれば、冷房時には高圧の気相冷媒が第1ヘッダ部内に流入し、暖房時には低圧の液相冷媒が第1ヘッダ部内に流入するが、いずれの場合にも、第1熱交換管の通路断面積を適切な大きさにすることによって、冷媒が、第1ヘッダから第1熱交換パスの全熱交換管内に流入する際に比較的大きな抵抗が付与されるので、第1熱交換パスの全第1熱交換器への冷媒流入量が均一化される。また、第2熱交換管の通路断面積が第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっているので、第1熱交換パスの全熱交換管から第3ヘッダ内に流入した冷媒が、第3ヘッダから第2熱交換パスの全熱交換管内に流入する際に、第1熱交換管に流入しにくくなるとともに第2熱交換管に流入しやすくなり、第2熱交換パスの第1熱交換管に流入する冷媒量を減少させるとともに、第2熱交換管に流入する冷媒量を増加させることが可能になって、第2熱交換パスの第1熱交換管に流入する冷媒量と第2熱交換管に流入する冷媒量とを均一化することができ、第2熱交換パスの全熱交換管を流れる冷媒流量が均一化される。したがって、冷房時に第1ヘッダに流入した気相冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れる場合、および暖房時に第1ヘッダに流入した液相冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れる場合のいずれの場合であっても、両熱交換パスの熱交換管への冷媒流入量が均一化される。その結果、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器として使用した場合に、冷房時および暖房時において冷媒の流れ方向を変えることなく、冷媒が流れる際の圧損の増大および熱交換性能の低下を抑制することが可能になり、特許文献1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルのように、冷房時の冷房時冷媒入口および冷房時冷媒出口と、暖房時の暖房時冷媒入口および暖房時冷媒出口とを切り替える機構や、室外熱交換器内での冷媒の流れ方向を逆向きにする機構および配管が不要になる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明による熱交換器をヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に適用した車両用空調装置を概略的に示す。図2は図1の車両用空調装置の冷凍サイクルの室外熱交換器の全体構成を示し、図3および図4は図2の室外熱交換器の要部の構成を示す。
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
また、以下の説明において、ろう材による接合をろう付というものとする。
図1において、ハイブリッド自動車や電気自動車に好適に用いられる車両用空調装置は、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)と空調ケース(2)とを備えている。
ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)は、圧縮機(3)と、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機(3)で圧縮された冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室外熱交換器(4)と、車室内に配置され、かつ暖房時に圧縮機(3)で圧縮された冷媒から熱を放熱させる室内コンデンサ(5)と、冷房時に室外熱交換器(4)を通過した冷媒を減圧する第1減圧器としての膨張弁(6)と、車室内に配置され、かつ冷房時に膨張弁(6)で減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室内エバポレータ(7)と、暖房時に室内コンデンサ(5)を通過した冷媒を減圧する第2減圧器としての固定絞り弁(8)と、固定絞り弁(8)と並列に設けられ、かつ冷房時に固定絞り弁(8)への冷媒の流れを阻止するとともに暖房時に固定絞り弁(8)のみに冷媒が流れるようにする開閉弁(9)と、冷房時に室内エバポレータ(7)を通過した冷媒を気液2相に分離するとともに、暖房時に室外熱交換器(4)を通過した冷媒を気液2相に分離する気液分離器(10)とを備えており、これらの機器が冷媒循環路(11)により接続されている。
冷媒循環路(11)における室外熱交換器(4)の冷媒流出側と気液分離器(10)の冷媒流入側との間には、冷房時のみに冷媒が流れる第1冷媒流通部(12)、および暖房時のみに冷媒が流れる第2冷媒流通部(13)が並列状に設けられており、第1冷媒流通部(12)に膨張弁(6)および室内エバポレータ(7)が配置されている。室外熱交換器(4)から流出した冷媒が第1冷媒流通部(12)と第2冷媒流通部(13)とに分流する部分には三方弁(14)が設けられている。また、冷媒循環路(11)における室内コンデンサ(5)の冷媒流出側と室外熱交換器(4)の冷媒流入側との間には、冷房時のみに冷媒が流れる第3冷媒流通部(15)、および暖房時のみに冷媒が流れる第4冷媒流通部(16)が並列状に設けられており、第3冷媒流通部(15)に開閉弁(9)が設けられ、第4冷媒流通部(16)に固定絞り弁(8)が設けられている。
したがって、冷媒循環路(11)は、開閉弁(9)および三方弁(14)の働きによって、冷房時に冷媒を圧縮機(3)、室内コンデンサ(5)、室外熱交換器(4)、膨張弁(6)、室内エバポレータ(7)および気液分離器(10)の間の冷房用回路で循環させ、暖房時に冷媒を圧縮機(3)、室内コンデンサ(5)、固定絞り弁(8)、室外熱交換器(4)および気液分離器(10)の間の暖房用回路で循環させる。
車両用空調装置の冷房運転モードおよび除霜運転モードにおいては、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮されて室内コンデンサ(5)を通過した後に室外熱交換器(4)に送られ、室外熱交換器(4)で熱を放熱して凝縮し、ついで膨張弁(6)により減圧された後に室内エバポレータ(7)で熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(10)で気液分離された後に圧縮機(3)に戻される(図1破線矢印参照)。なお、除霜運転モードにおいては、冷媒は、室外熱交換器(4)を流れる際に、自身の有する熱により室外熱交換器(4)に付着した霜を溶かす。車両用空調装置の暖房運転モードにおいては、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に室内コンデンサ(5)で熱を放熱して凝縮し、ついで固定絞り弁(8)により減圧された後に室外熱交換器(4)で熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(10)で気液分離された後に圧縮機(3)に戻される(図1実線矢印参照)。
空調ケース(2)は、車室内空気と車室外空気とが適当な比率(0~100%)で導入される空気導入部(20)と、空気導入部(20)に連なって設けられた空気通路(21)と、空気通路(21)から分岐して互いに並列状に設けられた第1分岐通路(22)および第2分岐通路(23)とを備えている。空気導入部(20)に送風機(24)が配置され、空気通路(21)に室内エバポレータ(7)が配置され、第2分岐通路(23)に室内コンデンサ(5)が配置されている。また、空調ケース(2)に、第1分岐通路(22)および第2分岐通路(23)の上流端を開閉し、室内エバポレータ(7)を通過した後第1分岐通路(22)を流れる空気量と、室内エバポレータ(7)を通過した後第2分岐通路(23)を流れる空気量とを調節するダンパ(25)が設けられている。
そして、上述した車両用空調装置におけるヒートポンプ式冷凍サイクル(1)の室外熱交換器(4)として、本発明の熱交換器が適用されている。
図2に示すように、室外熱交換器(4)は、長手方向を上下方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製第1ヘッダタンク(30)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(31)と、両ヘッダタンク(30)(31)間に設けられた熱交換コア部(32)とを備えている。
第1ヘッダタンク(30)の下部に、冷房時に圧縮機(3)により圧縮された高圧の冷媒が流入するとともに、暖房時に固定絞り弁(8)により減圧された低圧の冷媒が流入する冷媒入口(図示略)が形成されるとともに、冷媒入口に通じるアルミニウム製入口部材(37)がろう付されている。第1ヘッダタンク(30)の上部に、冷房時に冷媒が膨張弁(6)に向かって流出するとともに、暖房時に冷媒が気液分離器(10)に向かって流出する冷媒出口(図示略)が形成されるとともに、冷媒出口に通じる出口部材(38)がろう付されている。
第1ヘッダタンク(30)は、入口部材(37)から冷媒入口を通して冷媒が流入する第1ヘッダ(39)と、第1ヘッダ(39)に対して第1ヘッダタンク(30)の長手方向上側に隣接しかつ冷媒出口を通して冷媒が流出する第2ヘッダ(40)とを有する。第2ヘッダタンク(31)は、第2ヘッダタンク(31)の全体に設けられた1つの第3ヘッダ(41)を有する。第1ヘッダタンク(30)の第1ヘッダ(39)と第2ヘッダ(40)は、第1ヘッダタンク(30)内をアルミニウム製仕切部材(42)により上下2つの区画に分割することにより形成されている。
熱交換コア部(32)は、幅方向を通風方向(図2の紙面表裏方向)に向けるとともに長手方向を左右方向に向けた状態で両ヘッダタンク(30)(31)間に上下方向に間隔をおいて配置され、かつ長手方向両端部が両ヘッダタンク(30)(31)に接続された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(33)(34)と、隣り合う熱交換管(33)(34)どうしの間および上下両端の熱交換管(33)(34)の外側に配置されて熱交換管(33)(34)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(35)と、上下両端のコルゲートフィン(35)の外側に配置されてコルゲートフィン(35)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(36)とからなる。
熱交換コア部(32)には第1および第2の2種類の熱交換管(33)(34)が配置されており、連続して並んだ複数の第1熱交換管(33)により構成され、かつ右端部が第1ヘッダ(39)に通じるとともに左端部が第3ヘッダ(41)に通じている第1熱交換パス(P1)と、連続して並んだ複数の第1熱交換管(33)および連続して並んだ複数の第2熱交換管(34)により構成され、かつ左端部が第3ヘッダ(41)に通じるとともに右端部が第2ヘッダ(40)に通じている第2熱交換パス(P2)とが、第2熱交換パス(P2)が第1熱交換パス(P1)の上側に並ぶように設けられている。第2熱交換パス(P2)においては、複数の第1熱交換管(33)が第1熱交換パス(P1)側に連続して並んで配置され、複数の第2熱交換管(34)が残りの部分に連続して並んで配置されている。第1熱交換パス(P1)を構成する第1熱交換管(33)の右端部は、冷媒が流入する第1ヘッダ(39)に通じるとともに同左端部は第3ヘッダ(41)に通じており、第2熱交換パス(P2)を構成する第1熱交換管(33)および第2熱交換管(34)の右端部は、冷媒が流出する第2ヘッダ(40)に通じるとともに同左端部は第3ヘッダ(41)に通じているので、第1熱交換パス(P1)の全第1熱交換管(33)の冷媒流れ方向は右から左となり、第2熱交換パス(P2)の全第1熱交換管(33)および全第2熱交換管(34)の冷媒流れ方向は左から右となって、第1熱交換パス(P1)の冷媒流れ方向と第2熱交換パス(P2)の冷媒流れ方向とは逆向きになる。
図3および図4に示すように、第1熱交換パス(P1)の全部および第2熱交換パス(P2)の一部を構成する全第1熱交換管(33)の通路断面積は同一である。第2熱交換パス(P2)の一部を構成する全第2熱交換管(34)の通路断面積は同一であるとともに、第1熱交換管(33)の通路断面積よりも大きくなっている。第1熱交換管(33)の通路断面積は、第1ヘッダ(39)内の液相冷媒および気相冷媒のいずれもが第1熱交換パス(P1)の第1熱交換管(33)に分かれて流入する際に、冷媒流入量が均一化されるように抵抗を付与しうるような適切な大きさにされることが好ましい。
第1熱交換パス(P1)の第1熱交換管(33)の合計数は、両熱交換パス(P1)(P2)を構成する全第1熱交換管(33)および全第2熱交換管(34)の合計数の半分以下であるとともに、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(34)の合計数が第1熱交換パス(P1)の第1熱交換管(33)の合計数以下になっていることが好ましい。たとえば、第2熱交換パス(P2)の全第1熱交換管(33)および全第2熱交換管(34)の合計数に対する第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(33)の合計数の比率は10%以上であることが好ましい。さらに、第2熱交換パス(P2)の全第2熱交換管(34)の総通路断面積が、第1熱交換パス(P1)の全第1熱交換管(33)の総通路断面積以上となっていることが好ましい。
第1熱交換管(33)、第2熱交換管(34)、第1熱交換パス(P1)および第2熱交換パス(P2)の具体例を例示すると、第1熱交換管(30)の通路断面積8~10mm2、第2熱交換管(34)の通路断面積12~15mm2であり、かつ第1熱交換管(30)の通路断面積と第2熱交換管(34)の通路断面積との比が1:1.5である場合、表1および表2に示すようになる。
表1は、全第1熱交換管(33)と全第2熱交換管(34)の合計数が10の場合であり、表2は前記合計数が15の場合である。
冷媒は、図1に破線矢印で示すように、圧縮機(3)で圧縮されて高温高圧とされた後に室内コンデンサ(5)を通過し、ついで室外熱交換器(4)の入口部材(37)から冷媒入口を通って第1ヘッダタンク(30)の第1ヘッダ(39)内に入る。第1ヘッダ(39)内に入った冷媒は、第1熱交換パス(P1)の第1熱交換管(33)を通って第2ヘッダタンク(31)の第3ヘッダ(41)に入った後、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(33)および第2熱交換管(34)を通って第1ヘッダタンク(30)の第2ヘッダ(40)に入り、冷媒出口を通って出口部材(37)から流出する。冷媒は、室外熱交換器(4)を上述したように流れる際に車室外空気に熱を放熱して凝縮し、ついで膨張弁(6)により減圧された後に室内エバポレータ(7)で空調ケース(2)の空気通路(21)を流れる空調用空気から熱を奪って蒸発し、その後気液分離器(10)で分離された気相冷媒が圧縮機(3)に戻される。室内エバポレータ(7)で熱を奪われた空調用空気は、第1分岐通路(22)を通って車室内に吹き出される。
また、上述した構成の車両用空調装置において、車室内暖房時の暖房運転モードでは、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)においては、三方弁(14)および開閉弁(9)の働きによって、冷媒は第2および第4冷媒流通部(13)(16)を通って冷媒循環路(11)を流れる。さらに、空調ケース(2)のダンパ(25)が、第1分岐通路(22)への空気の流れを遮断するとともに第2分岐通路(23)への空気の流れを許容する位置に切り替えられる(図1破線参照)。なお、車室内の暖房時にも、空調用空気が両分岐通路(22)(23)を流れるようにダンパ(25)の位置が調整されることもある。このとき、車両のグリルの開口部から入った走行風(車室外空気)が、室外熱交換器(4)の熱交換コア部(32)を通過して第1および第2熱交換管(33)(34)内を流れる冷媒に熱を与える。
冷媒は、図1に実線で示すように、圧縮機(3)で圧縮されて高温高圧とされた後に室内コンデンサ(5)内に流入し、高温高圧の冷媒が有する温熱は、室内コンデンサ(5)を流れる間に空気通路(21)の第2分岐通路(23)を流れる空調用空気に放熱され、冷媒が凝縮させられる。室内コンデンサ(5)を通過して冷媒から温熱を奪った空調用空気は、第2分岐通路(23)を通って車室内に吹き出される。室内コンデンサ(5)において放熱した冷媒は、固定絞り弁(8)により減圧された後に、入口部材(37)から冷媒入口を通って第1ヘッダタンク(30)の第1ヘッダ(39)内に入り、上述した冷房運転モードの場合と同様に、室外熱交換器(4)を流れる。冷媒は、室外熱交換器(4)を流れる際に車室外空気から熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(10)において分離された気相冷媒が圧縮機(3)に戻される。
このような車室内の暖房時において、車室外空気の温度が低温の場合に、室外熱交換器(4)に着霜が発生して両熱交換管(33)(34)およびコルゲートフィン(35)に霜が付着し、霜が成長することにより室外熱交換器(4)を通過する車室外空気に対する通気抵抗が上昇し、室外熱交換器(4)の熱交換性能が著しく低下する。
このような着霜が発生した場合、車両用空調装置は除霜運転モードに切り替えられる。除霜運転モードでは、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)においては、上述した冷房運転モードの場合と同様に、三方弁(14)および開閉弁(9)の働きによって、冷媒は第1および第3冷媒流通部(12)(15)を通って冷媒循環路(11)を流れる。また、空調ケース(2)のダンパ(25)が、第2分岐通路(23)への空気の流れを遮断するとともに第1分岐通路(22)への空気の流れを許容する位置に切り替えられる。なお、車両用空調装置の除霜運転モードにおいても、空調用空気が両分岐通路(22)(23)を流れるようにダンパ(25)の位置が調整されることもある。
冷媒は、冷房運転モードの場合と同様に、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)を流れ、室内エバポレータ(7)において空調用空気から熱を奪うとともに、圧縮機(3)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(4)の両熱交換管(33)(34)を流れる間に、冷媒の有する熱により両熱交換管(33)(34)およびコルゲートフィン(35)に付着した霜が溶かされ、解霜水が排水される。こうして、室外熱交換器(4)の除霜が行われる。
上述した実施形態においては、この発明による熱交換器が車両用空調装置を構成するヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に適用されているが、これに限定されるものではなく、冷房のみを行う冷凍サイクルに用いられるコンデンサなどにも適用可能である。
この発明による熱交換器は、比較的廃熱の少ないハイブリッド自動車や電気自動車の車両用空調装置を構成するヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に好適に用いられる。
(1):ヒートポンプ式冷凍サイクル
(3):圧縮機
(4):室外熱交換器
(5):室内コンデンサ
(6):膨張弁(第1減圧器)
(7):室内エバポレータ
(8):固定絞り弁(第2減圧器)
(30):第1ヘッダタンク
(31):第2ヘッダタンク
(32):熱交換コア部
(33):第1熱交換管
(34):第2熱交換管
(39):第1ヘッダ
(40):第2ヘッダ
(41):第3ヘッダ
(P1):第1熱交換パス
(P2):第2熱交換パス
(3):圧縮機
(4):室外熱交換器
(5):室内コンデンサ
(6):膨張弁(第1減圧器)
(7):室内エバポレータ
(8):固定絞り弁(第2減圧器)
(30):第1ヘッダタンク
(31):第2ヘッダタンク
(32):熱交換コア部
(33):第1熱交換管
(34):第2熱交換管
(39):第1ヘッダ
(40):第2ヘッダ
(41):第3ヘッダ
(P1):第1熱交換パス
(P2):第2熱交換パス
Claims (6)
- 長手方向を同方向に向けて配置された2つのヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に設けられ、かつ両ヘッダタンクの長手方向に間隔をおいて配置されて両端が両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管を有する熱交換コア部とを備えており、熱交換コア部に、連続して並んだ複数の熱交換管からなる第1熱交換パスと、連続して並んだ複数の熱交換管からなりかつ第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側に隣接した第2熱交換パスとが設けられ、第1熱交換パスの全熱交換管の冷媒流れ方向が同一であり、第2熱交換パスの全熱交換管の冷媒流れ方向が同一であるとともに第1熱交換パスでの冷媒流れ方向とは逆方向であり、一方のヘッダタンクに、第1熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第1ヘッダおよび第2熱交換パスの熱交換管の一端が通じる第2ヘッダとが隣接して設けられ、他方のヘッダタンクに第1熱交換パスおよび第2熱交換パスの熱交換管の他端が通じる第3ヘッダが設けられており、冷媒が、第1ヘッダから第1熱交換パスを経て第3ヘッダに流れ、さらに第2熱交換パスを経て第2ヘッダに流れるようになされている熱交換器において、
第1熱交換パスが第1熱交換管により構成され、第2熱交換パスが前記第1熱交換管と第2熱交換管により構成され、全第1熱交換管の通路断面積が同一であり、全第2熱交換管の通路断面積が同一であるとともに第1熱交換管の通路断面積よりも大きくなっており、第2熱交換パスにおいて、複数の第1熱交換管が第1熱交換パス側に配置され、複数の第2熱交換管が残りの部分に配置されている熱交換器。 - 第1熱交換パスの第1熱交換管の合計数が、第1熱交換管および第2熱交換管の合計数の半分以下であるとともに、第2熱交換パスの第2熱交換管の合計数が第1熱交換パスの第1熱交換管の合計数以下になっており、第2熱交換パスの全第2熱交換管の総通路断面積が第1熱交換パスの全第1熱交換管の総通路断面積以上となっている請求項1記載の熱交換器。
- 両熱交換パスの第1熱交換管および第2熱交換管の合計数に対する第2熱交換パスの第1熱交換管の合計数の比率が10%以上である請求項2記載の熱交換器。
- 2つのヘッダタンクが長手方向を上下方向に向けて配置され、第2熱交換パスが第1熱交換パスの上側に隣接して設けられている請求項1~3のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 熱交換コア部に、第1熱交換パスおよび第2熱交換パスのみが設けられている請求項1~4のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 圧縮機と、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室外熱交換器と、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器と、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させる室内エバポレータと、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から放熱して凝縮させる室内コンデンサと、暖房時に圧縮機で圧縮されて室内コンデンサを通過した冷媒を減圧する第2減圧器とを備えており、室外熱交換器が、請求項1~5のうちのいずれかに記載の熱交換器からなり、冷房時および暖房時のいずれの場合にも、冷媒が室外熱交換器の熱交換コア部の第1熱交換パスを流れた直後に第2熱交換パスを流れるようになされているヒートポンプ式冷凍サイクル。
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JP2020112832A JP2022011597A (ja) | 2020-06-30 | 2020-06-30 | 熱交換器およびこれを用いたヒートポンプ式冷凍サイクル |
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