JP2022011398A - 吸着材及びその製造方法 - Google Patents

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喜彦 森
Yoshihiko Mori
祐介 松山
Yusuke Matsuyama
康秀 肥後
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Abstract

【課題】間隙水にさらされる等の、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下であっても、重金属類に対する吸着性を、長期間にわたって維持することができる吸着材を提供する。【解決手段】重金属類を吸着するための吸着材であって、該吸着材が、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物を含み、該粉粒状物のメディアン径が、質量基準で、30~5,000μmである吸着材。該吸着材を製造するための方法であって、炭酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを600~1,300℃で焼成して、酸化マグネシウム含有物質からなる焼成物を得る焼成工程と、焼成物を粉砕して、粉砕物を得る粉砕工程と、記粉砕物を分級して、吸着材を得る分級工程、を含む吸着材の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、吸着材及びその製造方法に関する。
近年、工場、事業所、産業廃棄物処理場の跡地などにおいて、土壌が鉛、6価クロム、ヒ素、フッ素等の重金属類で汚染されていることが、しばしば報告されている。このように土壌が重金属類で汚染されると、その汚染が地下水にまで広がり、人体や穀物にまで影響を及ぼすという安全衛生上の問題がある。
重金属類の溶出を抑制する方法としては、不溶化工法と吸着層工法が知られている。
不溶化工法とは、重金属類を含む土壌等に、天然鉱物等の重金属類吸着材を添加して混合し、重金属類の溶出を抑制する工法である。
吸着層工法とは、重金属類吸着材と砂等の母材の混合物を敷設して構成した重金属類吸着層の上に、重金属類を含む土壌等を盛土し、さらに該盛土の上を、覆土やアスファルト舗装で覆う工法である、吸着層工法によれば、降雨等により盛土内に浸透した水に盛土中の重金属類が溶出しても、下方の重金属類吸着層が重金属類を吸着することで、重金属類の溶出を防ぐことができる。
このような事情下において、重金属類を不溶化または吸着するための技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、重金属類を含む焼却灰、酸化マグネシウム含有物質、鉄化合物、及び水を含むことを特徴とする固化不溶化体が記載されている。該固化不溶化体は、重金属類を含む焼却灰を含むにもかかわらず、重金属類の溶出量の低いものである。
また、排水中の重金属の除去方法として、特許文献2には、ハイドロタルサイト100重量部に対し、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、または、炭酸マグネシウム若しくは水酸化マグネシウムを含有する鉱物を、550~1,400℃で焼成して得た軽焼マグネシアの一部を水和してなる軽焼マグネシア部分水和物を10~1,000重量部含有してなる重金属吸着材を、重金属が溶存した排水に添加・撹拌した後、固液分離して重金属吸着材を回収することを特徴とする排水中の重金属の除去方法が記載されている。
特開2018-158306号公報 特開2011-206692号公報
吸着層工法において、吸着層を形成させた後、吸着層を構成する重金属類吸着材が、長期間、間隙水等にさらされた場合等、経年劣化によって、吸着材の物性が変化して、重金属類に対する吸着性が低下することがある。
本発明の目的は、間隙水にさらされる等の、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下であっても、重金属類に対する吸着性を、長期間にわたって維持することができる吸着材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物を含み、該粉粒状物のメディアン径が、質量基準で、30~5,000μmである吸着材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供するものである。
[1] 重金属類を吸着するための吸着材であって、上記吸着材が、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物を含み、上記粉粒状物のメディアン径が、質量基準で、30~5,000μmであることを特徴とする吸着材。
[2] 上記酸化マグネシウム含有物質が、軽焼マグネシアまたはその部分水和物である前記[1]に記載の吸着材。
[3] pH調整剤を含む前記[1]又は[2]に記載の吸着材。
[4] 鉱物系の吸着補助剤を含む前記[1]~[3]のいずれかに記載の吸着材。
[5] 前記[1]~[4]のいずれかに記載の吸着材、及び、上記吸着材を担持させるための繊維含有基材を含むことを特徴とする吸着用シート。
[6] 前記[1]~[4]のいずれかに記載の吸着材を製造するための方法であって、炭酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを600~1,300℃で焼成して、上記酸化マグネシウム含有物質からなる焼成物を得る焼成工程と、上記焼成物を粉砕して、粉砕物を得る粉砕工程と、上記粉砕物を分級して、上記吸着材を得る分級工程、を含むことを特徴とする吸着材の製造方法。
[7] 上記粉砕物のメディアン径が、質量基準で、5~4,500μmであり、上記分級工程において、0.2~5,000μmの範囲内で分級点を設定した後、設定した分級点で上記粉砕物を分級し、上記分級点以下の粒度を有する粉粒状物の割合が60質量%以下である吸着材を得る前記[6]に記載の吸着材の製造方法。
[8] 前記[1]~[4]のいずれかに記載の吸着材、または、前記[5]に記載の吸着用シートを用いた、重金属類を含む廃液の処理方法であって、上記吸着材または上記吸着用シートを、上記廃液と接触させて、上記廃液中の重金属類を上記吸着材または上記吸着用シートに吸着させる吸着工程を含むことを特徴とする重金属類を含む廃液の処理方法。
本発明の吸着材によれば、間隙水にさらされる等の、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下であっても、重金属類に対する吸着性を、長期間にわたって維持することができる。
実施例で使用した酸化マグネシウム含有物質2の分級前及び分級後の粒度分布を示す図である。
本発明の吸着材は、重金属類を吸着するための吸着材であって、該吸着材が、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物を含み、該粉粒状物のメディアン径が、質量基準で、30~5,000μmであるものである。
重金属類とは、カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、ひ素及びその化合物、フッ素及びその化合物、及び、ホウ素及びその化合物(土壌汚染対策法(平成15年)において第二種特定有害物質として挙げられているもの)のいずれかである。なお、フッ素及びホウ素は重金属ではないが、フッ素及びその化合物、及び、ホウ素及びその化合物は重金属類に含まれるものとする。
酸化マグネシウム含有物質の例としては、軽焼マグネシアまたは軽焼マグネシアの部分水和物が挙げられる。中でも、重金属類をより吸着することができ、不純物の含有量が少なく、かつ、入手の容易さの観点から、軽焼マグネシアが好ましい。
軽焼マグネシアの例としては、炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムのいずれか一方または両方を含む原料を、好ましくは600~1,300℃の温度で焼成することによって得られるものが挙げられる。
軽焼マグネシアの部分水和物は、軽焼マグネシアを粉砕した後、当該粉砕物に水を添加して撹拌し混合するか、または、当該粉砕物を相対湿度80%以上の雰囲気下に1週間以上保持して、軽焼マグネシアを部分的に水和させることによって得ることができる。
軽焼マグネシアの原料、焼成温度等の製造条件の詳細は、以下のとおりである。
原料としては、例えば、マグネサイト、ドロマイト、ブルーサイト、及び、海水中のマグネシウム成分を消石灰等のアルカリで沈澱させて得た水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、塊状物でもよいし、粉粒状物でもよい。また、水酸化マグネシウムの沈殿物を含むスラリーやその脱水物でもよい。
また、原料として、マグネサイト、ブルーサイトまたは水酸化マグネシウムを使用する場合の焼成温度(加熱温度)は、好ましくは600~1,300℃、より好ましくは750~1,100℃、特に好ましくは800~1,000℃である。該温度が600℃以上であると、軽焼マグネシアの生成の効率がより向上する。該温度が1,300℃以下であると、重金属類の吸着性がより向上する。
固形原料として、ドロマイトを使用する場合の焼成温度(加熱温度)は、好ましくは600℃以上、750℃未満である。該温度が600℃以上であると、軽焼マグネシアの生成の効率がより向上する。該温度が750℃未満であると、酸化カルシウムが生成しにくいため、酸化カルシウムの生成による、重金属類の吸着性の低下が起こりにくくなる。
焼成時間(加熱時間)は、固形原料の仕込み量や粒度等によって異なるが、通常、30分間~5時間である。
本発明で用いられる酸化マグネシウム含有物質中の酸化マグネシウムの含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。該含有率が20質量%以上であれば、重金属類の吸着性がより向上する。
酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物のメディアン径は、質量基準で、30~5,000μmである。上記メディアン径が30μm未満であると、間隙水にさらされる等の、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下に置かれた場合に、重金属類の吸着性を長期間にわたって維持することができなくなる。また、上記メディアン径が5,000μmを超える場合、重金属類の吸着性が低下する。
上記メディアン径は、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下に置かれた場合であっても、重金属類の吸着性をより長期間にわたって維持する観点からは、30μm以上、好ましくは35μm以上、さらに好ましくは50μm以上、さらに好ましくは70μm以上、さらに好ましくは200μm以上、さらに好ましくは500μm以上、さらに好ましくは1,000μm以上、さらに好ましくは1,500μm以上、さらに好ましくは3,000μm以上、特に好ましくは4,000μm以上である。
また、上記メディアン径は、重金属類の吸着性をより向上させる観点からは、5,000μm以下、好ましくは4,800μm以下、より好ましくは3,000μm以下、さらに好ましくは2,500μm以下、さらに好ましくは2,000μm以下、さらに好ましくは1,000μm以下、さらに好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
ここで、本明細書中、「粉粒状」とは、粉状の材料(0.1mm未満の粒度を有するもの;粉体)の集合体、粒状の材料(0.1mm以上の粒度を有するもの;粒体)の集合体、または、粉状の材料および粒状の材料を含む集合体の形態を有することを意味する。また、「粉粒状物」とは、粉体の集合体、粒体の集合体、または、粉体および粒体を含む集合体を意味する。
また、本明細書中、「メディアン径(D50)」とは、粉粒状物を、特定の粒度を境にして、該粒度よりも小さな粒度のもの(小さな粒度の集合体)と、該粒度より大きな粒度のもの(大きな粒度の集合体)に分けた場合に、これら小さな粒度の集合体を大きな粒度の集合体とが同量(各々、50質量%づつ)になるときの特定の粒度をいう。
なお、メディアン径は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置または「JIS Z 8815-1994(ふるい分け試験方法通則)」に準拠したふるい分け法を用いて、質量累積分布を作成することで得ることができる。
本発明の吸着材は、吸着材を使用した後の廃液のpHを、排出基準値である5.8~8.6を満たすものとする目的で、pH調整剤を含んでいてもよい。
上記pHが5.8~8.6の範囲内であれば、吸着材を使用した後の廃液の用途が制限されることがない。
pH調整剤は、吸着材を使用した後の廃液のpHを降下または上昇させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、クエン酸もしくはその塩、グルコン酸もしくはその塩、塩化第一鉄、塩化第二鉄、及びミョウバン等が挙げられる。中でも、入手の容易性等の観点から、好ましくは硫酸第一鉄である。
pH調整剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤としては、好ましくは、粉末の形態を有するものが用いられる。
pH調整剤の量は、吸着材を使用した後の廃液のpHを、排出基準値である5.8~8.6を満たすようにすることができる量であればよく、吸着材の使用対象となる廃液のpHによっても異なるが、酸化マグネシウム含有物質100質量部に対して、好ましくは1~300質量部、より好ましくは5~150質量部、さらに好ましくは10~100質量部、特に好ましくは20~50質量部である。上記量が1質量部以上であれば、pHを調整する効果がより大きくなる。上記量が300質量部以下であれば、pH調整剤にかかるコストの過度の上昇を防ぐことができる。
本発明の吸着材は、必要に応じて鉱物系の吸着補助剤を含んでいてもよい。吸着材の使用対象となる廃液に含まれている重金属類の種類や量を考慮して、適宜選択した吸着補助剤を用いることで、重金属類等をより吸着することができる。
鉱物系の吸着補助剤の例としては、ベントナイト、ゼオライト、頁岩、セピオライト、活性炭、活性白土、鹿沼土、赤玉土、黒土、バーミキュライト、粘土、石灰石、珪石、ドロマイト、及び砂質土等が挙げられる。中でも、入手の容易性や、重金属類の吸着性をより向上させる観点から、鹿沼土、石灰石、頁岩、赤玉土、及びゼオライトが好ましく、鹿沼土、赤玉土、及びゼオライトがより好ましく、鹿沼土、及び赤玉土が特に好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鉱物系の吸着補助剤の粒度は、好ましくは30mm以下である。
鉱物系の吸着補助剤の量は、吸着材の使用対象となる廃液に含まれている重金属類の種類や量によっても異なるが、酸化マグネシウム含有物質100質量部に対して、好ましくは10~4,000質量部、より好ましくは50~3,000質量部、特に好ましくは80~2,500質量部である。上記量が10質量部以上であれば、重金属類の吸着性をより向上することができる。上記量が5,000質量部以下であれば、吸着補助剤にかかるコストの過度の上昇を防ぐことができる。
本発明の吸着材の製造方法の一例としては、炭酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを600~1,300℃で焼成して、酸化マグネシウム含有物質からなる焼成物を得る焼成工程と、得られた焼成物を粉砕して、粉砕物を得る粉砕工程と、得られた粉砕物を分級して、吸着材を得る分級工程を含む方法が挙げられる。
分級工程において、本発明の粒度分布を有する吸着材をより容易に得ることができる観点から、粉砕工程で得られる粉砕物のメディアン径は、質量基準で、好ましくは5~4,500μmである。
また、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下に吸着材が置かれた場合において、重金属類の吸着性をより長期間にわたって維持することができる吸着材を得る観点からは、粉砕物のメディアン径は、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上、さらに好ましくは500μm以上、さらに好ましくは800μm以上、さらに好ましくは1,000μm以上、さらに好ましくは2,000μm以上、特に好ましくは3,000μm以上である。
さらに、重金属類の吸着性により優れた吸着材を得る観点からは、粉砕物のメディアン径は、好ましくは4,200μm以下、より好ましくは4,000μm以下、より好ましくは3,000μm以下、より好ましくは2,000μm以下、さらに好ましくは1,000μm以下、さらに好ましくは500μm以下、さらに好ましくは250μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
分級工程において、上記粉砕物を分級して、分級点よりも小さな粒度を有する粉砕物を除去する。上記分級点は、吸着材の用途等に応じて、例えば、0.2~5,000μmの範囲内で任意に設定することができる。
吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下に吸着材が置かれた場合において、重金属類の吸着性をより長期間にわたって維持する観点からは、上記分級点を、0.2μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは60μm以上、さらに好ましくは100μm以上、さらに好ましくは500μm以上、さらに好ましくは1,000μm以上、さらに好ましくは2,000μm以上、特に好ましくは3,000μm以上に設定すればよい。
また、重金属類の吸着性をより向上させる観点からは、上記分級点を、5,000μm以下、好ましくは4,500μm以下、より好ましくは4,000μm以下、さらに好ましくは3,000μmm以下、さらに好ましくは2,000μm以下、さらに好ましくは1,000μm以下、さらに好ましくは500μm以下、さらに好ましくは250μm以下、さらに好ましくは125μm以下、さらに好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下に設定すればよい。
分級方法としては、特に限定されないが、振動篩いや気流分級機等を用いて分級する方法が挙げられる。
分級によって、粉粒状物中の上記分級点以下の粒度を有する粉粒状物の割合が、好ましくは60質量%以下(より好ましくは57質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下)である吸着材を得ることができる。上記割合が60質量%以下であれば、吸着材の物性に変化が起こりやすい環境下に置かれた場合において、重金属類の吸着性をより長期間にわたって維持することができる。
なお、分級工程において、分級点以下の粒度を有する粉砕物の大部分が、除去される。このため、分級して得られる、分級点よりも大きな粒度を有する粉砕物(換言すると、本発明の吸着材の主材料である、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物)の粒度分布(粒度を横軸にし、質量割合を縦軸にしたグラフ)は、分級前の粉砕物の粒度分布に比べて、より高いピークを有するもの(例えば、図1参照)となる。
吸着材が、上述したpH調整剤及び鉱物系の吸着補助剤の少なくともいずれか一方を含む場合、分級工程において、分級後の粉砕物と、pH調整剤及び鉱物系の吸着補助剤の少なくともいずれか一方を混合すればよい。
本発明の吸着材を、重金属類を含む廃液に接触させることで、廃液中の重金属類を吸着して、廃液中の重金属類の量を小さくすることができる。
また、吸着材を、土壌や焼却灰等に添加、混合することで、土壌や焼却灰等から重金属類が溶出することを防ぐことができる。
吸着材はそのまま使用してもよいが、廃液の処理を行う際に、吸着材の設置や除去を容易にすることができる等の観点から、吸着材及び該吸着材を担持させるための繊維含有基材を含む吸着用シートとして使用してもよい。
また、上記吸着シートは吸着層工法における吸着層として使用することができる。
繊維含有基材は、吸着材を担持することができるものであれば特に限定されないが、例えば、繊維からなる、シート状の織布や不織布等が挙げられる。また、廃液の処理効率の観点から、通水性を有する物が好ましい。
繊維としては、特に限定されるものではなく、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、再生繊維、半合成繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリエーテル系繊維等の有機繊維や、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウール、スラグウール等の無機繊維等が挙げられる。
繊維含有基材に吸着材を十分に担持させる目的で、バインダーとして樹脂を用いてもよい。樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム等が挙げられる。
上述した吸着材、又は、吸着用シートを用いて、重金属類を含む廃液を処理することで、廃液中の重金属類の量を低減することができる。
重金属類を含む廃液の処理方法の例としては、上述の吸着材または上述の吸着用シートを、重金属類を含む廃液と接触させて、該廃液中の重金属類を上述の吸着材または上述の吸着用シートに吸着させる吸着工程を含む方法等が挙げられる。
重金属類を含む廃液は、重金属類を含む液体であれば特に限定されるものではなく、工場からの排水や、降雨等により盛土内に浸透した水に盛土の重金属類が溶出した浸透水や、泥水等が挙げられる。
重金属類を含む廃液に対する吸着材の量(吸着シートを用いる場合、該シートに担持された吸着材の量)は、廃液中の重金属類の量や、吸着材の吸着性能等によっても異なるが、廃液100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.3~80質量部、さらに好ましくは0.5~50質量部、特に好ましくは0.8~30質量部である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1) 酸化マグネシウム含有物質1~6;マグネサイトを890℃で焼成してなる軽焼マグネシアを粉砕して得られた粉砕物(粉粒状物)を、表1に示す分級点及び分級手段によって分級を行ったもの。酸化マグネシウム含有物質中の酸化マグネシウムの割合:90質量%以上、分級後の粉砕物中の、表1に示す分級点以下の粒度を有する粉砕物の割合(表1中、「分級点以下の割合」と示す。)、分級前及び分級後の粉砕物のメディアン径(D50)を表1に示す。
なお、酸化マグネシウム含有物質1と4、2と5、3と6は、各々、同じ粉砕物を異なる分級点において分級したものである。
また、酸化マグネシウム含有物質2の分級前及び分級後の粒度分布を図1に示す。
(2)吸着補助剤A:鹿沼土(粒度:3mm以下)
(3)吸着補助剤B:石灰石(粒度:3mm以下)
(4)吸着補助剤C:頁岩(粒度:3mm以下)
(5)吸着補助剤D:赤玉土(粒度:3mm以下)
(6)吸着補助時E:ゼオライト(粒度:3mm以下)
(7)pH調整剤:硫酸第一鉄(試薬;粉末)
Figure 2022011398000002
[実施例1、比較例1]
表2に示す種類及び量の酸化マグネシウム含有物質からなる吸着材を、水に浸漬させて14日間静置した後、固液分離を行って吸着材を回収した。
ふっ素濃度が20.0mg/リットルである水溶液100ミリリットルに、回収した吸着材を投入して、16時間振とうした後、水溶液中のふっ素濃度を測定した。
[実施例2、比較例2]
吸着材を、水に浸漬させて28日間静置した以外は、実施例1と同様にして、水溶液中のふっ素濃度を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2022011398000003
[実施例3、比較例3]
表3に示す種類及び量の酸化マグネシウム含有物質からなる吸着材を、水に浸漬させて14日間静置した後、固液分離を行って吸着材を回収した。
ひ素濃度が3.0mg/リットルである水溶液100ミリリットルに、回収した吸着材を投入して、16時間振とうした後、水溶液中のひ素濃度を測定した。
また、セレン濃度が0.3mg/リットルである水溶液に100ミリリットルに、上記吸着材を投入して、16時間振とうした後、水溶液中のセレン濃度を測定した。
[実施例4~8]
表3に示す種類及び量の、酸化マグネシウム含有物質及び吸着補助剤を混合してなる吸着材と、水10gを混合した後、ポリエチレン製の袋に入れて密封し、20℃の恒温下で14日間静置した。
実施例3と同様にして、ひ素濃度が3.0mg/リットルである水溶液、及び、セレン濃度が0.3mg/リットルである水溶液それぞれに静置後の吸着材を投入して、水溶液中のひ素濃度及びセレン濃度を測定した。
[実施例9、比較例4]
吸着材を、水に浸漬させて56日間静置した以外は、実施例3と同様にして、ひ素濃度が3.0mg/リットルである水溶液、及び、セレン濃度が0.3mg/リットルである水溶液それぞれに回収した吸着材を投入して、水溶液中のひ素濃度及びセレン濃度を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 2022011398000004
[実施例10、比較例5]
表4に示す種類及び量の、酸化マグネシウム含有物質及びpH調整剤を混合してなる吸着材を、水に浸漬させて7日間静置した後、固液分離を行って吸着材を回収した。
鉛濃度が1.0mg/リットルである水溶液100ミリリットルに、回収した吸着材を投入して、16時間振とうした後、水溶液中の鉛濃度を測定した。
結果を表4に示す。
Figure 2022011398000005
表2から、実施例1(メディアン径が90μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)のふっ素濃度(4.5mg/リットル)は、比較例1(メディアン径が28μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)のふっ素濃度(6.1mg/リットル)よりも小さく、実施例1で用いた吸着材は、比較例1で用いた吸着材と比較して、重金属類の吸着性に優れていることがわかる。
同様の傾向は、実施例2(メディアン径が90μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)と比較例2(メディアン径が28μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)の比較、実施例3(メディアン径が38μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)と比較例3(メディアン径が12μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)の比較、実施例9(メディアン径が4,540μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)と比較例4(メディアン径が5,130μmの酸化マグネシウム含有物質を用いたもの)の比較においてもみられる。
また、実施例3と、実施例4~8の比較から、吸着補助剤を用いることで、重金属類の吸着性がより向上することがわかる。

Claims (8)

  1. 重金属類を吸着するための吸着材であって、
    上記吸着材が、酸化マグネシウム含有物質からなる粉粒状物を含み、
    上記粉粒状物のメディアン径が、質量基準で、30~5,000μmであることを特徴とする吸着材。
  2. 上記酸化マグネシウム含有物質が、軽焼マグネシアまたはその部分水和物である請求項1に記載の吸着材。
  3. pH調整剤を含む請求項1又は2に記載の吸着材。
  4. 鉱物系の吸着補助剤を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の吸着材。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の吸着材、及び、上記吸着材を担持させるための繊維含有基材を含むことを特徴とする吸着用シート。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の吸着材を製造するための方法であって、
    炭酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを600~1,300℃で焼成して、上記酸化マグネシウム含有物質からなる焼成物を得る焼成工程と、
    上記焼成物を粉砕して、粉砕物を得る粉砕工程と、
    上記粉砕物を分級して、上記吸着材を得る分級工程、
    を含むことを特徴とする吸着材の製造方法。
  7. 上記粉砕物のメディアン径が、質量基準で、5~4,500μmであり、
    上記分級工程において、0.2~5,000μmの範囲内で分級点を設定した後、設定した分級点で上記粉砕物を分級し、上記分級点以下の粒度を有する粉粒状物の割合が60質量%以下である吸着材を得る請求項6に記載の吸着材の製造方法。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の吸着材、または、請求項5に記載の吸着用シートを用いた、重金属類を含む廃液の処理方法であって、上記吸着材または上記吸着用シートを、上記廃液と接触させて、上記廃液中の重金属類を上記吸着材または上記吸着用シートに吸着させる吸着工程を含むことを特徴とする重金属類を含む廃液の処理方法。
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