JP2022003022A - がん用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い抗がん効果が得られる、複数の剤を組み合わせて投与されるがん用医薬組成物を提供する。【解決手段】HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与されるがん用医薬組成物。【選択図】図6I
Description
本開示は、がん用医薬組成物に関する。
がんは悪性新生物とも呼ばれ、その治療は医学における大きな目標の1つとなっている。従来、放射線、化学的抗がん剤を用いた治療などが行われてきたが、その効果はがんの種類によっても大きく異なり、全てのがんに対して高い効果が得られるわけではない。
いくつかのがん腫に対して、HMG−CoA還元酵素阻害剤が有用であることが示唆されている。現在のところ、例えば以下のような報告がなされている。
例えば、非特許文献1には、メバロン酸経路の阻害剤、具体的には、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン系化合物)は、ヒト悪性腫瘍に対して抑制効果を有することが開示されている。
例えば、非特許文献1には、メバロン酸経路の阻害剤、具体的には、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン系化合物)は、ヒト悪性腫瘍に対して抑制効果を有することが開示されている。
例えば、非特許文献2には、ピタバスタチンが転写因子FOXO3a(Forkhead box O3)を活性化させることで、FOXO3aがPUMA(p53 upregulated modulator of apoptosis)を活性化させ、口腔扁平上皮がん細胞のアポトーシスを誘導したことが開示されている。
例えば、非特許文献3には、黒色腫細胞に対してピタバスタチン及び抗悪性腫瘍剤であるダカルバジンを2剤同時添加することによって、黒色腫細胞のアポトーシスとオートファジーが活性化され、黒色腫細胞に対して相乗的な細胞毒性をもたらしたことが開示されている。
例えば、非特許文献4には、卵巣がん細胞に対してピタバスタチン及び合成副腎皮質ホルモン製剤であるプレドニゾロンを2剤同時添加することによって、卵巣がん細胞のメバロン酸経路が阻害され、卵巣がん細胞に対して相乗的な細胞死を誘発したことが開示されている。
A. Gobel, M. Rauner, L. C. Hofbauer, T. D. Rachner, Cholesterol and beyond - The role of the mevalonate pathway in cancer biology. Biochim Biophys Acta Rev Cancer 1873, 188351 (2020)
N. Lee, N. T. Pun, WJ. Jang, J. W. Bae, CH. Jeong, Pitavastatin induces apoptosis in oral squamous cell carcinoma through activation of FOXO3a. J Cell Mol Med, 00:1-12 (2020)
A. Al-Qatati, S. Aliwaini, Combined pitavastatin and dacarbazine treatment activates apoptosis and autophagy resulting in synergistic cytotoxicity in melanoma cells. Oncol Lett 14, 7993-7999 (2017)
M. I. Abdullah, M. N. Abed, F. Khanim, A. Richardson, Screening a library of approved drugs reveals that prednisolone synergizes with pitavastatin to induce ovarian cancer cell death. Sci Rep 9, 9632 (2019)
しかしながら、従来の抗がん剤によっても十分な治療効果が得られない場合があり、さらなる抗がん剤の開発が望まれる。
本開示は、上記に鑑みなされたものであり、高い抗がん効果が得られる、複数の剤を組み合わせて投与されるがん用医薬組成物を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物。
<2> HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤を有効成分として含む、上記<1>に記載のがん用医薬組成物。
<3> HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤を有効成分として含む、上記<1>に記載のがん用医薬組成物。
<4> 前記MET阻害剤は、MET特異的阻害剤である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<5> 前記MET阻害剤は、カプマチニブ、テポチニブ、チバンチニブ、サボリチニブ(AZD6094)、AMG337、及びOMO−1からなる群より選択される少なくとも1つを含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<6> 前記MET阻害剤は、カプマチニブである、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<7> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ゴルジ体機能阻害剤である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<8> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、MET成熟阻害剤である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<9> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、及びメバスタチンからなる群より選択される少なくとも1つである、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<10> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチンである、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<11> GGPS1をバイオマーカーとして前記がん用医薬組成物に感受性を有すると判断された対象に投与される、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<12> 前記がんは、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんである、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<1> HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物。
<2> HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤を有効成分として含む、上記<1>に記載のがん用医薬組成物。
<3> HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤を有効成分として含む、上記<1>に記載のがん用医薬組成物。
<4> 前記MET阻害剤は、MET特異的阻害剤である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<5> 前記MET阻害剤は、カプマチニブ、テポチニブ、チバンチニブ、サボリチニブ(AZD6094)、AMG337、及びOMO−1からなる群より選択される少なくとも1つを含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<6> 前記MET阻害剤は、カプマチニブである、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<7> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ゴルジ体機能阻害剤である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<8> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、MET成熟阻害剤である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<9> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、及びメバスタチンからなる群より選択される少なくとも1つである、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<10> 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチンである、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<11> GGPS1をバイオマーカーとして前記がん用医薬組成物に感受性を有すると判断された対象に投与される、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
<12> 前記がんは、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんである、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のがん用医薬組成物。
本開示によれば、高い抗がん効果が得られる、複数の剤を組み合わせて投与されるがん用医薬組成物を提供することができる。
以下、本開示に係る実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の開示において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本文中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において、「阻害」及び「抑制」との語は、対象となる物質又はその機能を少なくとも一部低減することを表し、対象となる物質又はその機能を完全に妨げることを必ずしも意味するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本文中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において、「阻害」及び「抑制」との語は、対象となる物質又はその機能を少なくとも一部低減することを表し、対象となる物質又はその機能を完全に妨げることを必ずしも意味するものではない。
≪がん用医薬組成物≫
本開示に係るがん用医薬組成物は、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される。
本開示に係るがん用医薬組成物は、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される。
HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与されるがん用医薬組成物は、高い抗がん効果を有する。
なお本開示に係るがん用医薬組成物の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
がん細胞における細胞生存又は細胞増殖のメカニズムの推定を、図6Iに示す。がん細胞内において、グルコースの解糖系又は脂肪酸のβ酸化において生成されたアセチルCoAは、アセチルCoA同士が反応することで、アセトアセチルCoAに変換される。アセトアセチルCoAは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)合成酵素の働きによって、HMG−CoAに変換される。HMG−CoAは、HMG−CoA還元酵素(HMGCR)の働きによって、メバロン酸に変換される。さらにメバロン酸はイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換され、IPPはゲラニル二リン酸(GPP)に変換され、GPPはファルネシル二リン酸(FPP)に変換される。FPPは、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPS1)によって、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)に変換される。GGPPは、ゴルジ体の機能を制御する。ゴルジ体において、未成熟なMETタンパク質(Immature MET)は、切断修飾され、成熟MET(Mature MET)となる。そして成熟METは、細胞膜まで輸送され、膜貫通型チロシンキナーゼ受容体として働くことができるようになる。受容体となった成熟METは、肝細胞増殖因子(HGF)との結合を経て、二量体化され、成熟METの細胞内側に存在するキナーゼ領域中のチロシンがリン酸化されることで、成熟METは活性化状態となる。そして、前記活性化された成熟METは、一連の細胞内カスケード反応を引き起こし、AKT又はERKを介して、細胞の生存又は細胞の増殖を促進する。
よって、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素の働きを阻害することで、ゴルジ体の機能によるMETの成熟を阻害し、細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができると考えられる。
さらには、MET阻害剤は、細胞膜まで輸送された成熟METの働きを阻害することで、細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができると考えられる。
上記したように、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤と前記MET阻害剤は、単独でも細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができるが、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤と前記MET阻害剤とを併用することで、より強力にMETの働きを阻害することができ、より効率の高いがん用医薬組成物として利用することができると考えられる。
なお、本開示は、上記推定機構には何ら制限されない。
がん細胞における細胞生存又は細胞増殖のメカニズムの推定を、図6Iに示す。がん細胞内において、グルコースの解糖系又は脂肪酸のβ酸化において生成されたアセチルCoAは、アセチルCoA同士が反応することで、アセトアセチルCoAに変換される。アセトアセチルCoAは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)合成酵素の働きによって、HMG−CoAに変換される。HMG−CoAは、HMG−CoA還元酵素(HMGCR)の働きによって、メバロン酸に変換される。さらにメバロン酸はイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換され、IPPはゲラニル二リン酸(GPP)に変換され、GPPはファルネシル二リン酸(FPP)に変換される。FPPは、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPS1)によって、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)に変換される。GGPPは、ゴルジ体の機能を制御する。ゴルジ体において、未成熟なMETタンパク質(Immature MET)は、切断修飾され、成熟MET(Mature MET)となる。そして成熟METは、細胞膜まで輸送され、膜貫通型チロシンキナーゼ受容体として働くことができるようになる。受容体となった成熟METは、肝細胞増殖因子(HGF)との結合を経て、二量体化され、成熟METの細胞内側に存在するキナーゼ領域中のチロシンがリン酸化されることで、成熟METは活性化状態となる。そして、前記活性化された成熟METは、一連の細胞内カスケード反応を引き起こし、AKT又はERKを介して、細胞の生存又は細胞の増殖を促進する。
よって、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素の働きを阻害することで、ゴルジ体の機能によるMETの成熟を阻害し、細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができると考えられる。
さらには、MET阻害剤は、細胞膜まで輸送された成熟METの働きを阻害することで、細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができると考えられる。
上記したように、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤と前記MET阻害剤は、単独でも細胞の生存又は細胞の増殖を阻害することができるが、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤と前記MET阻害剤とを併用することで、より強力にMETの働きを阻害することができ、より効率の高いがん用医薬組成物として利用することができると考えられる。
なお、本開示は、上記推定機構には何ら制限されない。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含むがん用医薬組成物は、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤を有効成分として含むがん用医薬組成物、とすることができる。つまり、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤を、配合剤として投与することができる。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含むがん用医薬組成物は、HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤を有効成分として含むがん用医薬組成物、とすることができる。つまり、HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤を、単剤として投与することができる。
(HMG−CoA還元酵素阻害剤)
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素を阻害することができる剤であれば、特に限定されない。例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素の機能を抑制する剤であってもよく、HMG−CoA還元酵素の遺伝子転写又はタンパク質発現を抑制する剤であってもよい。HMG−CoA還元酵素阻害剤はスタチン系化合物としても知られる。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素を阻害することができる剤であれば、特に限定されない。例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素の機能を抑制する剤であってもよく、HMG−CoA還元酵素の遺伝子転写又はタンパク質発現を抑制する剤であってもよい。HMG−CoA還元酵素阻害剤はスタチン系化合物としても知られる。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ゴルジ体機能阻害剤であることが好ましい。ゴルジ体機能阻害剤とは、ゴルジ体の機能、例えば、タンパク質のプロセシング又はタンパク質の輸送などを阻害することができる剤をいう。ゴルジ体機能阻害剤は、ゴルジ体の機能を阻害することにより、METの成熟を阻害するものであることが好ましい。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、MET成熟阻害剤であることがより好ましい。本開示において、METの成熟とは、METの細胞膜への移行が可能となるようにMETが切断修飾されることをいう。MET成熟阻害剤は、METの成熟を阻害できる剤であれば特に限定されない。MET成熟阻害剤としては、例えば、ゴルジ体においてMETを切断修飾できないようにすることができる剤が挙げられる。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン及びメバスタチンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。なお本開示において、上記したようなスタチン類を、まとめて、スタチン系化合物という。本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、高い抗がん効果を得ることができる観点から、ピタバスタチンが特に好ましい。なお、上記スタチン系化合物として例示される化合物は、上記化合物の薬学的に許容される塩又はその水和物を包含するものとする。例えばピタバスタチンは、ピタバスタチンカルシウム水和物であってもよく、本開示において、ピタバスタチンは、ピタバスタチンカルシウム水和物を含む。
(MET阻害剤)
本開示において、MET阻害剤は、METを阻害することができる剤であれば、特に限定されない。METを阻害するとは、例えば、METの遺伝子転写又はタンパク質発現抑制による阻害であってもよく、又はMETのチロシンキナーゼ活性抑制による阻害であってもよく、つまり、METの下流に続くシグナルを阻害するものであればよい。なお本開示において、MET成熟阻害剤、すなわち、METの細胞膜への移行が可能となるようなMETの切断修飾を阻害する物質は、本項における「MET阻害剤」には含めないものとする。なおMETは、c−Met、又はHGFR(hepatocyte growth factor receptor)とも呼ばれる。
本開示において、MET阻害剤は、METを阻害することができる剤であれば、特に限定されない。METを阻害するとは、例えば、METの遺伝子転写又はタンパク質発現抑制による阻害であってもよく、又はMETのチロシンキナーゼ活性抑制による阻害であってもよく、つまり、METの下流に続くシグナルを阻害するものであればよい。なお本開示において、MET成熟阻害剤、すなわち、METの細胞膜への移行が可能となるようなMETの切断修飾を阻害する物質は、本項における「MET阻害剤」には含めないものとする。なおMETは、c−Met、又はHGFR(hepatocyte growth factor receptor)とも呼ばれる。
本開示において、MET阻害剤は、MET特異的阻害剤であってもよく、マルチキナーゼ阻害剤であってもよい。MET特異的阻害剤は、METを選択的に阻害する一方、マルチキナーゼ阻害剤は、MET以外のキナーゼも阻害する。MET特異的阻害剤としては、例えば、カプマチニブ、テポチニブ、チバンチニブ、サボリチニブ(AZD6094)、AMG337及びOMO−1などが挙げられる。マルチキナーゼ阻害剤としては、例えば、クリゾチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、MGCD−265(グレサチニブ)、アムバチニブ及びゴルバチニブなどが挙げられる。高い抗がん効果を得ることができる観点からは、MET阻害剤は、MET特異的阻害剤であることが好ましい。MET特異的阻害剤の例としては、METエクソン14スキッピング(METex14)変異に特異的なMET特異的阻害剤(例えば、カプマチニブ)であることが好ましい。
本開示において、MET阻害剤は、カプマチニブ、テポチニブ、チバンチニブ、サボリチニブ(AZD6094)、AMG337、及びOMO−1からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。本開示におけるMET阻害剤は、高い抗がん効果を得ることができる観点から、カプマチニブであることがより好ましい。
(HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤との組み合わせ)
本開示の、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物において、HMG−CoA還元酵素阻害剤はピタバスタチンであって、MET阻害剤はカプマチニブである組み合わせが、高い抗がん効果を得ることができる観点から特に好ましい。
本開示の、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物において、HMG−CoA還元酵素阻害剤はピタバスタチンであって、MET阻害剤はカプマチニブである組み合わせが、高い抗がん効果を得ることができる観点から特に好ましい。
(口腔扁平上皮がん及び食道扁平上皮がん)
がんの種類の中でも、例えば口腔がん及び食道がんは、リンパ節に容易に転移する傾向があり、予後不良となりやすいことが知られている。特に食道がんは、世界で6番目に多いがん関連死因である。特に、アジア諸国、南アフリカなどの発展途上国における口腔がん及び食道がんの発症が目立っている。日本を含むアジア諸国では、口腔がん及び食道がんのうちの90%以上が、口腔扁平上皮がん(OSCC)又は食道扁平上皮がん(ESCC)と診断されている。
がんの種類の中でも、例えば口腔がん及び食道がんは、リンパ節に容易に転移する傾向があり、予後不良となりやすいことが知られている。特に食道がんは、世界で6番目に多いがん関連死因である。特に、アジア諸国、南アフリカなどの発展途上国における口腔がん及び食道がんの発症が目立っている。日本を含むアジア諸国では、口腔がん及び食道がんのうちの90%以上が、口腔扁平上皮がん(OSCC)又は食道扁平上皮がん(ESCC)と診断されている。
本開示におけるがん用医薬組成物は、高い抗がん効果を得ることができる観点から、口腔扁平上皮がん用及び食道扁平上皮がん用の医薬組成物であることが好ましい。
≪がん用医薬組成物の投与≫
本開示において、がん用医薬組成物の投与量、投与回数、投与頻度、投与方法、及び投与経路は特に限定されない。
本開示において、がん用医薬組成物の投与量、投与回数、投与頻度、投与方法、及び投与経路は特に限定されない。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤の投与量は、がんの種類、位置、重症度、治療を受ける対象の年齢、体重、及び状態等に応じて適宜調整できる。例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤が組み合わされずに使用される場合の最大投与量、最低投与量、推奨投与量等を、本開示のがん用医薬組成物の投与量に適用することができる。HMG−CoA還元酵素阻害剤の一日あたりの用量は、例えば、対象がヒト成人である場合、0.01mg〜100mg、より具体的には0.1mg〜10mgとすることができる。MET阻害剤の一日あたりの用量は、例えば、対象がヒト成人である場合、0.001mg〜10g、より具体的には0.01mg〜1gとすることができる。なお、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される場合であっても、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤のそれぞれの一日あたりの用量は、前記したHMG−CoA還元酵素阻害剤の用量及びMET阻害剤の用量と同様である。
本開示において、がん用医薬組成物は、当業者に既知の方法を用いて、がんの治療を必要とする対象に投与することができる。例えば、がん用医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、皮内、皮下、経直腸、吸入、局所投与(例えば、腫瘍内、経皮、経粘膜、より具体的には点鼻、舌下、パッチ等)によって投与することができる。なかでも、通院等の負担軽減、侵襲性の低減などの観点から経口が好ましい。
本開示において、がん用医薬組成物は、取り扱いの観点から、単位投与量の形態(経口剤、溶液、懸濁液、乳濁液等)に製剤化されていてもよい。
本開示において、がん用医薬組成物は、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、5日おき、週1回、7日おき、8日おき、9日おき、週2回、月1回又は月2回の頻度で投与してもよい。また、投与回数は総計で例えば1回〜30回、すなわち、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又は11回〜30回としてもよいが、30回を超える回数投与しても構わない。
なお本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とは同一の医薬組成物中に含まれていてもよく、この場合は、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤の両方を含むがん用医薬組成物(合剤)が提供される。
本開示において、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とはそれぞれ異なる医薬組成物中に含まれていてもよい。HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とがそれぞれ異なる医薬組成物中に含まれている場合、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、とは、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする医薬組成物とMET阻害剤を有効成分とする医薬組成物とが同時に対象に投与されてもよく、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする医薬組成物とMET阻害剤を有効成分とする医薬組成物とが順次に(つまり、異時に)対象に投与されてもよいことを意味する。それぞれの剤の投与回数、投与頻度の間の関係については特に限定はされない。
本開示において、同時に投与されるとは、複数の剤が混合された後に同時に投与されることと、複数の剤が予め混合されずに同時に投与されることと、を含む。
本開示において、順次に投与されるとは、複数の剤がそれぞれ1剤ずつ時間間隔をおいて投与されることを含む。順次に投与される場合、投与する剤の順番は特に限定されない。なお複数の剤は、それぞれ別々の経路で投与されてもよい。
本開示において、順次に投与されるとは、複数の剤がそれぞれ1剤ずつ時間間隔をおいて投与されることを含む。順次に投与される場合、投与する剤の順番は特に限定されない。なお複数の剤は、それぞれ別々の経路で投与されてもよい。
ただし、本開示に係るHMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とによる相乗効果を効果的に得る観点からは、HMG−CoA還元酵素阻害剤を投与するタイミングとMET阻害剤を投与するタイミングとの間の間隔(一方の剤を投与するタイミングと、それと最も時間的に近接しているもう一方の剤を投与するタイミングとの間の間隔)は、1週間以内であってもよく、1日以内であってもよく、12時間以内であってもよく、1時間以内であってもよい。なお前記間隔は、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤のそれぞれ又はそれぞれに由来する成分が、同時に有効血中濃度を満たすような時間間隔であることが好ましく、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時に対象に投与されてもよい。
なお、本開示において「組み合わせて投与」及び「併用」の用語は、複数の剤が同一の組成物に含有されて投与される場合、複数の剤が別々の組成物に含有されるが同時に投与される場合、複数の剤が別々の組成物に含有され別々の時点で投与される場合のいずれをも包含する意味で用いられる。
≪がん用医薬組成物に含まれるその他の組成≫
本開示において、がん用医薬組成物の剤型としては、例えば、散剤、顆粒剤、丸剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。本開示のがん用医薬組成物は、さらに薬学的に許容される添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、乳化剤、可塑剤、フィルム形成剤、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤、pH調整剤、界面活性剤、香料、防腐剤、安定剤、希釈剤等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。なお、各添加剤の使用量は適宜決定することができる。
本開示において、がん用医薬組成物の剤型としては、例えば、散剤、顆粒剤、丸剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。本開示のがん用医薬組成物は、さらに薬学的に許容される添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、乳化剤、可塑剤、フィルム形成剤、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤、pH調整剤、界面活性剤、香料、防腐剤、安定剤、希釈剤等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。なお、各添加剤の使用量は適宜決定することができる。
本開示において、がん用医薬組成物は、例えば、所定のpHに緩衝化されていてもよい無菌の液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、乳濁液、分散物又は粘性組成物として投与することもできる。前記液体調製物は、注射用の液体調製物であってもよく、経口用の液体調製物であってもよい。また、特定の組織との接触時間を長くするために、前記液体調製物を適切な粘度範囲内の粘度を有する粘性組成物の形態としてもよい。液体調製物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸塩緩衝化生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)及びそれらの混合物からなる溶媒又は分散媒を含んでいてもよい。
なおHMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする医薬組成物及びMET阻害剤を有効成分とする医薬組成物がそれぞれ単剤で投与される場合であっても、配合剤として投与される場合であっても、上記の剤型及び添加剤を適用することができる。
本開示に係るがん用医薬組成物は、本開示に係るがん用医薬組成物に加えて、さらに他の抗がん剤を含んでいてもよく、他の抗がん剤を併用してもよい。他の抗がん剤の例としては、例えば、代謝拮抗薬、分子標的薬、キナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、カルシニューリン阻害薬、抗がん性抗生物質、植物アルカロイド、プラチナ製剤、ホルモン療法薬、免疫制御薬などを挙げることができる。
≪バイオマーカー≫
本開示に係るがん用医薬組成物は、GGPS1をバイオマーカーとして前記がん用医薬組成物に感受性を有すると判断された対象に、投与されることができる。
本開示に係るがん用医薬組成物は、GGPS1をバイオマーカーとして前記がん用医薬組成物に感受性を有すると判断された対象に、投与されることができる。
本開示においてGGPS1をバイオマーカーとするとは、例えば、対象から採取した検体中の、GGPS1のタンパク質量又はGGPS1のmRNA量などを評価のターゲットとすることをいう。例えば、バイオマーカーとなりえるGGPS1の発現が所定量以下、所定量未満、又は検出限界以下である対象を、本開示のがん用医薬組成物に感受性を有すると判断し、当該対象に本開示のがん用医薬組成物を投与することができる。さらには、GGPS1と他のバイオマーカーとを組み合わせて、本開示のがん用医薬組成物を投与する対象を特定してもよい。例えば、GGPS1とMET遺伝子変異の有無をバイオマーカーとして、本開示のがん用医薬組成物を投与する対象を特定してもよい。
≪対象におけるがんの治療方法≫
本開示によれば、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供される。
さらには、本開示によれば、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供される。
本開示によれば、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供される。
さらには、本開示によれば、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供される。
本開示に係るがんの治療方法における対象、がんの種類、用量、投与スケジュール等の、治療方法の詳細については、特に限定されない。
本開示に係るがん用医薬組成物をがんの治療に用いる場合、治療の対象は例えば任意の哺乳動物でよいが、例えば霊長類の動物であり、より具体的にはヒトであってもよい。治療対象は、愛玩動物又は家畜であってもよく、その例としては、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギなどが挙げられる。
治療の対象となるがん(癌)は、固形がんでも血液がんでもよく、腺がん、扁平上皮がん(例えば、口腔扁平上皮がん及び食道扁平上皮がん)、腺扁平上皮がん、未分化がん、大細胞がん、小細胞がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、膣がん、子宮頸部がん、子宮がん、肝臓がん、腎臓がん、膵臓がん、脾臓がん、肺がん、気管がん、気管支がん、結腸がん、小腸がん、胃がん、食道がん、胆嚢がん、精巣がん、卵巣がん等のがん、骨組織、軟骨組織、脂肪組織、筋組織、血管組織及び造血組織のがんのほか、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、骨肉腫、軟部組織肉腫等の肉腫、肝芽腫、髄芽腫、腎芽腫、神経芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫等の芽腫、胚細胞腫瘍、リンパ腫、並びに白血病を挙げることができる。
治療の対象となるがん(癌)は、固形がんでも血液がんでもよく、腺がん、扁平上皮がん(例えば、口腔扁平上皮がん及び食道扁平上皮がん)、腺扁平上皮がん、未分化がん、大細胞がん、小細胞がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、膣がん、子宮頸部がん、子宮がん、肝臓がん、腎臓がん、膵臓がん、脾臓がん、肺がん、気管がん、気管支がん、結腸がん、小腸がん、胃がん、食道がん、胆嚢がん、精巣がん、卵巣がん等のがん、骨組織、軟骨組織、脂肪組織、筋組織、血管組織及び造血組織のがんのほか、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、骨肉腫、軟部組織肉腫等の肉腫、肝芽腫、髄芽腫、腎芽腫、神経芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫等の芽腫、胚細胞腫瘍、リンパ腫、並びに白血病を挙げることができる。
本開示に係るがん用医薬組成物は、がんの確定診断がされる前であっても、対象内におけるがん細胞の存在が疑われる状況においては、対象に予防的に投与してもよい。本開示においては、このような使用形態も、がんの治療の概念に包含される。
≪がんの治療のためのがん用組成物の使用≫
本開示の一態様は、がんの治療のための、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物の使用を含む。
さらには、本開示の一態様は、がんの治療のための、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物の使用を含む。
上記の使用においても、がん用医薬組成物の詳細については、前述の本開示に係るがん用医薬組成物の説明がそのまま当てはまる。
本開示の一態様は、がんの治療のための、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物の使用を含む。
さらには、本開示の一態様は、がんの治療のための、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物の使用を含む。
上記の使用においても、がん用医薬組成物の詳細については、前述の本開示に係るがん用医薬組成物の説明がそのまま当てはまる。
≪がん用治療薬の製造における使用≫
本開示によれば、がんを治療するための医薬の製造における、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物の使用が提供される。
さらには、本開示によれば、がんを治療するための医薬の製造における、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物の使用が提供される。
上記の使用においても、がん用医薬組成物の詳細については、前述の本開示に係るがん用医薬組成物の説明がそのまま当てはまる。
本開示によれば、がんを治療するための医薬の製造における、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物の使用が提供される。
さらには、本開示によれば、がんを治療するための医薬の製造における、HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含み、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用される、がん用医薬組成物の使用が提供される。
上記の使用においても、がん用医薬組成物の詳細については、前述の本開示に係るがん用医薬組成物の説明がそのまま当てはまる。
≪GGPS1阻害剤≫
なお、本開示は上述の態様に制限されず、さらに以下の態様を含む。
本開示の一態様によれば、GGPS1阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、GGPS1阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物が提供される。
GGPS1阻害剤は、GGPS1を阻害するものであれば限定されない。例えば、GGPS1阻害剤は、GGPS1の作用を阻害するものであってもよく、GGPS1の遺伝子転写又はタンパク質発現を抑制するものであってもよい。
なお、本開示は上述の態様に制限されず、さらに以下の態様を含む。
本開示の一態様によれば、GGPS1阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、GGPS1阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物が提供される。
GGPS1阻害剤は、GGPS1を阻害するものであれば限定されない。例えば、GGPS1阻害剤は、GGPS1の作用を阻害するものであってもよく、GGPS1の遺伝子転写又はタンパク質発現を抑制するものであってもよい。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。「%」も同様に質量基準である。
実施例で使用されている略語を以下に示す。
ESCC :食道扁平上皮がん
OSCC :口腔扁平上皮がん
HOC313−LM細胞:口腔扁平上皮がん由来の細胞
HOC313−LM−Pita−R細胞:HOC313−LM細胞を親株とするピタバスタチン耐性細胞
MEV :メバロン酸
IPP :イソペンテニル二リン酸
GPP :ゲラニル二リン酸
FPP :ファルネシル二リン酸
GGPS1 :ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ
GGPP :ゲラニルゲラニル二リン酸
HGF :肝細胞増殖因子
MET :METタンパク質
pMET :リン酸化されたMETタンパク質
AKT :AKTタンパク質
pAKT :リン酸化されたAKTタンパク質
ERK :ERKタンパク質
pERK :リン酸化されたERKタンパク質
cPARP :切断されたポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ
DGBP :ジゲラニルビスホスホネート
RTK :受容体チロシンキナーゼ
NC :陰性対照
Pita :ピタバスタチン
Cap :カプマチニブ
Simva :シンバスタチン
Rosuva :ロスバスタチン
Fluva :フルバスタチン
Crizo :クリゾチニブ
Tepo :テポチニブ
Combo :2剤の組み合わせ
CDDP :シスプラチン
P :t検定を用いて統計解析した有意確率
SD :標準偏差
NS :有意差なし
ESCC :食道扁平上皮がん
OSCC :口腔扁平上皮がん
HOC313−LM細胞:口腔扁平上皮がん由来の細胞
HOC313−LM−Pita−R細胞:HOC313−LM細胞を親株とするピタバスタチン耐性細胞
MEV :メバロン酸
IPP :イソペンテニル二リン酸
GPP :ゲラニル二リン酸
FPP :ファルネシル二リン酸
GGPS1 :ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ
GGPP :ゲラニルゲラニル二リン酸
HGF :肝細胞増殖因子
MET :METタンパク質
pMET :リン酸化されたMETタンパク質
AKT :AKTタンパク質
pAKT :リン酸化されたAKTタンパク質
ERK :ERKタンパク質
pERK :リン酸化されたERKタンパク質
cPARP :切断されたポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ
DGBP :ジゲラニルビスホスホネート
RTK :受容体チロシンキナーゼ
NC :陰性対照
Pita :ピタバスタチン
Cap :カプマチニブ
Simva :シンバスタチン
Rosuva :ロスバスタチン
Fluva :フルバスタチン
Crizo :クリゾチニブ
Tepo :テポチニブ
Combo :2剤の組み合わせ
CDDP :シスプラチン
P :t検定を用いて統計解析した有意確率
SD :標準偏差
NS :有意差なし
(細胞培養及び正常組織からのRNA抽出)
合計43種類のESCC細胞株を使用した。前記ESCC細胞株のうち、31種類は腫瘍から確立されたKYSEシリーズ細胞株を使用し、残りの12種類は東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターによって提供されたTEシリーズ細胞株を使用した。また、合計23種類のOSCC細胞株として、東京医科歯科大学で腫瘍から確立された細胞株又はJCRB細胞バンク(日本、大阪)から購入した細胞株を使用した。高転移性細胞株(HOC313−LM)としては、HOC313細胞から東京医科歯科大学で確立されたものを使用した。ESCC及びOSCC細胞を、37℃、5%CO2、かつ加湿された条件下で、10%ウシ胎児血清を添加したRPMI培地中又はDMEM培地中で培養した。全ての細胞株について、細胞の形態を観察することで、それぞれの細胞株が正しく培養されていることを確認した。食道、舌、及び喉の正常組織におけるRNAは、BioChain(米国、カリフォルニア州、ニューアーク)から購入した。
合計43種類のESCC細胞株を使用した。前記ESCC細胞株のうち、31種類は腫瘍から確立されたKYSEシリーズ細胞株を使用し、残りの12種類は東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターによって提供されたTEシリーズ細胞株を使用した。また、合計23種類のOSCC細胞株として、東京医科歯科大学で腫瘍から確立された細胞株又はJCRB細胞バンク(日本、大阪)から購入した細胞株を使用した。高転移性細胞株(HOC313−LM)としては、HOC313細胞から東京医科歯科大学で確立されたものを使用した。ESCC及びOSCC細胞を、37℃、5%CO2、かつ加湿された条件下で、10%ウシ胎児血清を添加したRPMI培地中又はDMEM培地中で培養した。全ての細胞株について、細胞の形態を観察することで、それぞれの細胞株が正しく培養されていることを確認した。食道、舌、及び喉の正常組織におけるRNAは、BioChain(米国、カリフォルニア州、ニューアーク)から購入した。
(FDA承認薬ライブラリの細胞増殖率に関するスクリーニング)
FDA(アメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration))承認薬ライブラリ(SCREEN−WELL(登録商標)FDA承認薬ライブラリV2)を、エンゾライフサイエンス社(米国、ニューヨーク州、ファーミングデール)から購入した。HOC313−LM細胞を、96ウェルプレートに3.5×104細胞/ウェルの濃度で播種した。翌日に、766種類の前記FDA承認薬を、それぞれ1μMの濃度で各ウェルに添加した。添加24時間後に、各ウェルの細胞をクリスタルバイオレット溶液で染色した。その後、染色された細胞を2%SDSに溶解し、細胞密度を吸収分光計(560nm)で測定した。
FDA(アメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration))承認薬ライブラリ(SCREEN−WELL(登録商標)FDA承認薬ライブラリV2)を、エンゾライフサイエンス社(米国、ニューヨーク州、ファーミングデール)から購入した。HOC313−LM細胞を、96ウェルプレートに3.5×104細胞/ウェルの濃度で播種した。翌日に、766種類の前記FDA承認薬を、それぞれ1μMの濃度で各ウェルに添加した。添加24時間後に、各ウェルの細胞をクリスタルバイオレット溶液で染色した。その後、染色された細胞を2%SDSに溶解し、細胞密度を吸収分光計(560nm)で測定した。
(細胞増殖率の測定)
前記したスクリーニングにおける細胞増殖率の測定の後に続く、各実験における細胞増殖率の測定についても、前記したように、細胞をクリスタルバイオレット溶液で染色し、染色された細胞を2%SDSに溶解し、細胞密度を吸収分光計(560nm)で測定することで実施した。
前記したスクリーニングにおける細胞増殖率の測定の後に続く、各実験における細胞増殖率の測定についても、前記したように、細胞をクリスタルバイオレット溶液で染色し、染色された細胞を2%SDSに溶解し、細胞密度を吸収分光計(560nm)で測定することで実施した。
(薬剤処理及び細胞増殖率の測定)
各薬剤は、以下のものを使用した。ピタバスタチンカルシウム(製品コード:163-24861)、ロスバスタチン (製品コード:187-03361)は、富士フイルム和光純薬株式会社(日本、大阪)から購入した。カプマチニブ(別名:INCB28060)は、セレックケミカル社(米国、テキサス州、ヒューストン)から購入した。テポチニブ(製品コード:HY-14721)、ジゲラニルビスホスホネート(DGBP)(製品コード:HY-U00145)は、メドケムエクスプレス社(米国、ニュージャージー州、モンマス)から購入した。HGF(製品番号100-39-10UG)は、ペプロテック社(米国、ニュージャージー州、ロッキーヒル)から購入した。シンバスタチン (製品コード:S6196)、フルバスタチン (製品コード:SML0038)、クリゾチニブ (製品コード:PZ0191)、シスプラチン (製品コード:479306)、メバロン酸、IPP、GPP、FPP、コレステロール、及びGGPPは、シグマアルドリッチ社(米国、ミズーリ州、セントルイス)から購入した。MGCD−265 (製品コード:20097)は、ケイマンケミカル社 (米国、ミシガン州、アナーバー)から購入した。
細胞を各薬剤で処理し、24時間〜72時間後における生存細胞の数を、クリスタルバイオレット染色により評価した。なおHGF添加の場合は、はじめに細胞をピタバスタチンで72時間処理した後、培地を無血清培地に交換した。交換1時間後、次にHGFを無血清培地に添加し、添加後0分、15分、30分、及び60分の時点で細胞を回収し、生存細胞の数を、クリスタルバイオレット染色により評価した。
各薬剤は、以下のものを使用した。ピタバスタチンカルシウム(製品コード:163-24861)、ロスバスタチン (製品コード:187-03361)は、富士フイルム和光純薬株式会社(日本、大阪)から購入した。カプマチニブ(別名:INCB28060)は、セレックケミカル社(米国、テキサス州、ヒューストン)から購入した。テポチニブ(製品コード:HY-14721)、ジゲラニルビスホスホネート(DGBP)(製品コード:HY-U00145)は、メドケムエクスプレス社(米国、ニュージャージー州、モンマス)から購入した。HGF(製品番号100-39-10UG)は、ペプロテック社(米国、ニュージャージー州、ロッキーヒル)から購入した。シンバスタチン (製品コード:S6196)、フルバスタチン (製品コード:SML0038)、クリゾチニブ (製品コード:PZ0191)、シスプラチン (製品コード:479306)、メバロン酸、IPP、GPP、FPP、コレステロール、及びGGPPは、シグマアルドリッチ社(米国、ミズーリ州、セントルイス)から購入した。MGCD−265 (製品コード:20097)は、ケイマンケミカル社 (米国、ミシガン州、アナーバー)から購入した。
細胞を各薬剤で処理し、24時間〜72時間後における生存細胞の数を、クリスタルバイオレット染色により評価した。なおHGF添加の場合は、はじめに細胞をピタバスタチンで72時間処理した後、培地を無血清培地に交換した。交換1時間後、次にHGFを無血清培地に添加し、添加後0分、15分、30分、及び60分の時点で細胞を回収し、生存細胞の数を、クリスタルバイオレット染色により評価した。
(FACS分析によるアポトーシス率の測定)
MEBCYTOアポトーシスキット(MBL社、日本、名古屋)でアポトーシス細胞を染色し、Accuriフローサイトメーター(BD社、米国、カリフォルニア州、サンノゼ)を使用して細胞集団分析を行うことで、細胞のアポトーシス率を測定した。キット及びフローサイトメーターの詳細な使用方法は、各製造元の指示に従って実施した。
MEBCYTOアポトーシスキット(MBL社、日本、名古屋)でアポトーシス細胞を染色し、Accuriフローサイトメーター(BD社、米国、カリフォルニア州、サンノゼ)を使用して細胞集団分析を行うことで、細胞のアポトーシス率を測定した。キット及びフローサイトメーターの詳細な使用方法は、各製造元の指示に従って実施した。
(ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、及び免疫蛍光顕微鏡分析)
細胞溶解液のタンパク質濃度は、タンパク質アッセイキット(Bio−Rad社、米国、カリフォルニア州、ハーキュリーズ)を使用して測定した。前記細胞溶解液に含まれるタンパク質は、SDSポリアクリルアミドゲルを用いてウエスタンブロッティング分析を行った。ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、及び免疫蛍光顕微鏡分析には、次の一次抗体を使用した。
抗リン酸化Met抗体(#3077)、抗Met抗体(#8198)、抗cPARP抗体(#9541)、抗リン酸化ERK抗体(#4370)、抗ERK抗体(#4695)、抗ホスホAKT抗体(#9271)、及び抗AKT抗体(#9272)は、セルシグナリングテクノロジー社(米国、マサチューセッツ州、ビバリー)から購入した。抗β-アクチン抗体(A5441)、抗GGPS1抗体(sc-271679、#E3112)、抗GM130抗体(ab169276)、抗GBF1抗体(612116)、及び抗Arf1抗体(ARF01)は、シグマアルドリッチ社、サンタクルーズバイオテクノロジー社(米国、テキサス州、ダラス)、アブカム社(米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ)、BDバイオサイエンス社(米国、カリフォルニア州、サンノゼ)、又はサイトスケルトン社(米国、コロラド州、デンバー)から購入した。
ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、及び免疫蛍光顕微鏡分析の詳細な方法は、各製造元の指示に従って実施した。
細胞溶解液のタンパク質濃度は、タンパク質アッセイキット(Bio−Rad社、米国、カリフォルニア州、ハーキュリーズ)を使用して測定した。前記細胞溶解液に含まれるタンパク質は、SDSポリアクリルアミドゲルを用いてウエスタンブロッティング分析を行った。ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、及び免疫蛍光顕微鏡分析には、次の一次抗体を使用した。
抗リン酸化Met抗体(#3077)、抗Met抗体(#8198)、抗cPARP抗体(#9541)、抗リン酸化ERK抗体(#4370)、抗ERK抗体(#4695)、抗ホスホAKT抗体(#9271)、及び抗AKT抗体(#9272)は、セルシグナリングテクノロジー社(米国、マサチューセッツ州、ビバリー)から購入した。抗β-アクチン抗体(A5441)、抗GGPS1抗体(sc-271679、#E3112)、抗GM130抗体(ab169276)、抗GBF1抗体(612116)、及び抗Arf1抗体(ARF01)は、シグマアルドリッチ社、サンタクルーズバイオテクノロジー社(米国、テキサス州、ダラス)、アブカム社(米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ)、BDバイオサイエンス社(米国、カリフォルニア州、サンノゼ)、又はサイトスケルトン社(米国、コロラド州、デンバー)から購入した。
ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、及び免疫蛍光顕微鏡分析の詳細な方法は、各製造元の指示に従って実施した。
(リン酸化RTKのアレイ分析)
Proteome Profilerヒトリン酸化RTKアレイキットをR&Dシステムズ社(米国、ミネソタ州、ミネアポリス)から購入し、製造元の指示に従って、リン酸化RTKのアレイ分析を実施した。なお分析に用いたタンパク質は、1μMのピタバスタチン又は対照溶媒で72時間処理された、HOC313−LM細胞又はピタバスタチン耐性を有するHOC313−LM−Pita−R細胞から抽出した。
Proteome Profilerヒトリン酸化RTKアレイキットをR&Dシステムズ社(米国、ミネソタ州、ミネアポリス)から購入し、製造元の指示に従って、リン酸化RTKのアレイ分析を実施した。なお分析に用いたタンパク質は、1μMのピタバスタチン又は対照溶媒で72時間処理された、HOC313−LM細胞又はピタバスタチン耐性を有するHOC313−LM−Pita−R細胞から抽出した。
(in ovo及びin vivo腫瘍増殖アッセイ)
ニワトリ胚は、株式会社カントウ(日本、群馬)から購入した。ニワトリ胚を37℃で10日間培養した後、腫瘍細胞として3×106個のHOC313−LM細胞又は2×106個のKYSE200細胞をニワトリ胚の漿尿膜(CAM)に移植した。前記移植の2日目以降、毎日、前記移植した腫瘍に対して薬剤を投与した。前記移植の16日目に、ニワトリを安楽死させ、腫瘍の体積を観察した。
SCIDマウス(免疫不全マウス)は、チャールズリバーラボラトリーズ社(日本、横浜)から購入した。100μlのマトリゲル(登録商標)(BD社)に懸濁した1×107個のHOC313−LM細胞を、SCIDマウスの左腹壁に注入した。前記注入の1週間後から、毎日、薬剤を腹腔内に注射し、2日ごとに腫瘍サイズを測定した。腫瘍サイズは、(腫瘍サイズ(mm3)=[(長さ)×(幅)2]/2)の計算式を利用して求めた。前記注入の24日目にマウスを解剖し、腫瘍の体積を評価した後、腫瘍切片を得るために直ちに腫瘍をホルマリン固定及びパラフィン包埋した。
ニワトリ胚は、株式会社カントウ(日本、群馬)から購入した。ニワトリ胚を37℃で10日間培養した後、腫瘍細胞として3×106個のHOC313−LM細胞又は2×106個のKYSE200細胞をニワトリ胚の漿尿膜(CAM)に移植した。前記移植の2日目以降、毎日、前記移植した腫瘍に対して薬剤を投与した。前記移植の16日目に、ニワトリを安楽死させ、腫瘍の体積を観察した。
SCIDマウス(免疫不全マウス)は、チャールズリバーラボラトリーズ社(日本、横浜)から購入した。100μlのマトリゲル(登録商標)(BD社)に懸濁した1×107個のHOC313−LM細胞を、SCIDマウスの左腹壁に注入した。前記注入の1週間後から、毎日、薬剤を腹腔内に注射し、2日ごとに腫瘍サイズを測定した。腫瘍サイズは、(腫瘍サイズ(mm3)=[(長さ)×(幅)2]/2)の計算式を利用して求めた。前記注入の24日目にマウスを解剖し、腫瘍の体積を評価した後、腫瘍切片を得るために直ちに腫瘍をホルマリン固定及びパラフィン包埋した。
(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR))
qRT−PCRは、ViiA7リアルタイムPCRシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)とカパサイバーファストqPCRキット(カパバイオシステムズ社、米国、マサチューセッツ州、ウィルミントン)を使用した。システム及びキットの使用方法は、製造元の指示に従った。遺伝子発現値は、目的の遺伝子と内部標準遺伝子(GAPDH)間のサイクル閾値の違いに基づく比率として評価した。なおGAPDHは、がん細胞から分離されたRNA量の正規化因子である。
なお、リアルタイムPCRにおいて、GGPS1フォワードプライマー(配列番号1)、GGPS1リバースプライマー(配列番号2)、METフォワードプライマー(配列番号3)、METリバースプライマー(配列番号4)、HMGCRフォワードプライマー(配列番号5)、HMGCRリバースプライマー(配列番号6)、GAPDHフォワードプライマー(配列番号7)、又はGAPDHリバースプライマー(配列番号8)の各プライマーを用いた。
qRT−PCRは、ViiA7リアルタイムPCRシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)とカパサイバーファストqPCRキット(カパバイオシステムズ社、米国、マサチューセッツ州、ウィルミントン)を使用した。システム及びキットの使用方法は、製造元の指示に従った。遺伝子発現値は、目的の遺伝子と内部標準遺伝子(GAPDH)間のサイクル閾値の違いに基づく比率として評価した。なおGAPDHは、がん細胞から分離されたRNA量の正規化因子である。
なお、リアルタイムPCRにおいて、GGPS1フォワードプライマー(配列番号1)、GGPS1リバースプライマー(配列番号2)、METフォワードプライマー(配列番号3)、METリバースプライマー(配列番号4)、HMGCRフォワードプライマー(配列番号5)、HMGCRリバースプライマー(配列番号6)、GAPDHフォワードプライマー(配列番号7)、又はGAPDHリバースプライマー(配列番号8)の各プライマーを用いた。
配列番号1 :5’−ACTCAAGAAACAGTCCAAAGA−3’
配列番号2 :5’−TCTGTAGCTTGTCCTCTGGAA−3’
配列番号3 :5’−GACTTCTTCAACAAGATCGTCA−3’
配列番号4 :5’−CAAAGCTGTGGTAAACTCTGTT−3’
配列番号5 :5’−TACTGGTAACAATAAGATCTGT−3’
配列番号6 :5’−CGTAAATTCTGGAACTGGA−3’
配列番号7 :5’−CGACCACTTTGTCAAGCTCA−3’
配列番号8 :5’−AGGGGTCTACATGGCAACTG−3’
配列番号2 :5’−TCTGTAGCTTGTCCTCTGGAA−3’
配列番号3 :5’−GACTTCTTCAACAAGATCGTCA−3’
配列番号4 :5’−CAAAGCTGTGGTAAACTCTGTT−3’
配列番号5 :5’−TACTGGTAACAATAAGATCTGT−3’
配列番号6 :5’−CGTAAATTCTGGAACTGGA−3’
配列番号7 :5’−CGACCACTTTGTCAAGCTCA−3’
配列番号8 :5’−AGGGGTCTACATGGCAACTG−3’
(発現ベクターの構築)
RT−PCRを利用してヒトGGPS1の全長cDNA(相補的DNA)を得た。得たPCR産物を、pCDH−CMV−MCS−EF1−RFP+Puroベクター(システムバイオサイエンス社、米国、カリフォルニア州、パロアルト)に挿入した。レンチウイルスは、HEK293TN細胞とpPACKパッケージキット(システムバイオサイエンス社)を使用して、製造元の指示に従って調製した。ウイルスは、PEG−it(システムバイオサイエンス社)を使用して製造元の指示に従って沈殿させた。コントロールとしての空ベクター、又はGGPS1発現ベクターを含むレンチウイルスを、TransDux(システムバイオサイエンス社)を使用して、細胞に感染させた。
なお、RT−PCRにおいて、GGPS1フォワードプライマー(配列番号9)及びGGPS1リバースプライマー(配列番号10)のプライマーを用いた。
RT−PCRを利用してヒトGGPS1の全長cDNA(相補的DNA)を得た。得たPCR産物を、pCDH−CMV−MCS−EF1−RFP+Puroベクター(システムバイオサイエンス社、米国、カリフォルニア州、パロアルト)に挿入した。レンチウイルスは、HEK293TN細胞とpPACKパッケージキット(システムバイオサイエンス社)を使用して、製造元の指示に従って調製した。ウイルスは、PEG−it(システムバイオサイエンス社)を使用して製造元の指示に従って沈殿させた。コントロールとしての空ベクター、又はGGPS1発現ベクターを含むレンチウイルスを、TransDux(システムバイオサイエンス社)を使用して、細胞に感染させた。
なお、RT−PCRにおいて、GGPS1フォワードプライマー(配列番号9)及びGGPS1リバースプライマー(配列番号10)のプライマーを用いた。
配列番号9 :5’−TTGCTAGCATGGAGAAGACTCAAGAAACA−3’
配列番号10:5’−TTGGATCCTTATTCATTTTCTTCTTTGAACAT−3’
配列番号10:5’−TTGGATCCTTATTCATTTTCTTCTTTGAACAT−3’
(遺伝子発現アレイ分析と経路分析)
SurePrintG3遺伝子発現マイクロアレイVer.3(アジレントテクノロジー社)を使用して、製造元の指示に従って遺伝子発現プロファイルの分析を実施した。GeneSpringGX14.9ソフトウェア(アジレントテクノロジー社)を用いて生データを分析した。GeneSpringGX14.9によって正規化された発現アレイデータを用いて、WikiPathwaysを使用して経路分析を行った。DAVIDツール(https://david.ncifcrf.gov/summary.jsp)を利用してKEGG経路分析を行った。正規化された発現アレイデータを使用してGSEA(バージョン4.0.3)を行った。遺伝子セットのデータベースとしては「c6:oncogenic signatures gene sets」を選択した。
SurePrintG3遺伝子発現マイクロアレイVer.3(アジレントテクノロジー社)を使用して、製造元の指示に従って遺伝子発現プロファイルの分析を実施した。GeneSpringGX14.9ソフトウェア(アジレントテクノロジー社)を用いて生データを分析した。GeneSpringGX14.9によって正規化された発現アレイデータを用いて、WikiPathwaysを使用して経路分析を行った。DAVIDツール(https://david.ncifcrf.gov/summary.jsp)を利用してKEGG経路分析を行った。正規化された発現アレイデータを使用してGSEA(バージョン4.0.3)を行った。遺伝子セットのデータベースとしては「c6:oncogenic signatures gene sets」を選択した。
(低分子干渉RNA(siRNA)の導入)
siRNA−MET(s8700、s8702)、siRNA−GGPS1(s18107、s18108)、及びネガティブコントロールsiRNA(si−NC)は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社から購入した。各siRNA(20nM)は、LipofectamineRNAiMAX(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用して、製造元の指示に従って細胞に導入した。
siRNA−MET(s8700、s8702)、siRNA−GGPS1(s18107、s18108)、及びネガティブコントロールsiRNA(si−NC)は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社から購入した。各siRNA(20nM)は、LipofectamineRNAiMAX(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用して、製造元の指示に従って細胞に導入した。
(Arf1−GTPプルダウンアッセイ)
Arf1活性測定バイオケムキット(BK-032S)をサイトスケルトン社から購入し、製造元の指示に従ってArf1−GTPプルダウンアッセイを実施した。タンパク質は、メバロン酸又はGGPPの存在下又は非存在下で、1μMのピタバスタチン若しくは対照溶媒で48時間処理したHOC313−LM細胞から抽出した。Image Jソフトウェアを使用して、定量分析を実施した。
Arf1活性測定バイオケムキット(BK-032S)をサイトスケルトン社から購入し、製造元の指示に従ってArf1−GTPプルダウンアッセイを実施した。タンパク質は、メバロン酸又はGGPPの存在下又は非存在下で、1μMのピタバスタチン若しくは対照溶媒で48時間処理したHOC313−LM細胞から抽出した。Image Jソフトウェアを使用して、定量分析を実施した。
(がん治療応答ポータルの分析)
非造血系がん細胞における、GGPS1発現と、シンバスタチン及びロバスタチン耐性との相関関係を、がん治療応答ポータルのウェブサイト(https://portals.broadinstitute.org/ctrp.v2.1/)からダウンロードした。
非造血系がん細胞における、GGPS1発現と、シンバスタチン及びロバスタチン耐性との相関関係を、がん治療応答ポータルのウェブサイト(https://portals.broadinstitute.org/ctrp.v2.1/)からダウンロードした。
(統計解析)
統計解析は、GraphPad Prism 8(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ)を利用して実施した。2つのグループ間の差をスチューデントのt検定でテストし、2因子分散分析(ANOVA)を適用して腫瘍の増殖を分析した。P<0.05は、統計的に有意であると見なした。
統計解析は、GraphPad Prism 8(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ)を利用して実施した。2つのグループ間の差をスチューデントのt検定でテストし、2因子分散分析(ANOVA)を適用して腫瘍の増殖を分析した。P<0.05は、統計的に有意であると見なした。
(データの寄託)
本開示に記載されたマイクロアレイデータは、GEOデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)に提出され、ID番号「GSE145624」が割り当てられている。
本開示に記載されたマイクロアレイデータは、GEOデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)に提出され、ID番号「GSE145624」が割り当てられている。
<実施例1>
(薬剤のスクリーニングとピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果の確認)
OSCC株細胞株系統であって、高転移性細胞株であるHOC313−LM細胞を用いて、OSCC及びESCCに対して抗がん作用を有する薬剤のスクリーニングを行った。薬剤は、766種類の薬剤を含むFDA承認薬ライブラリ(エンゾライフサイエンス社)を用いた。各薬剤を細胞に添加し、細胞増殖率を測定した(図1A)。15種類の薬剤で有意な細胞増殖阻害が観察され、その中でも、HMG−CoA還元酵素阻害剤である、ピタバスタチン(ピタバスタチンカルシウム)は、最も顕著な細胞増殖率の減少を示した。他の14種類の薬剤は、既知の抗がん剤及び微小管重合の阻害剤であるコルヒチンであった。
(薬剤のスクリーニングとピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果の確認)
OSCC株細胞株系統であって、高転移性細胞株であるHOC313−LM細胞を用いて、OSCC及びESCCに対して抗がん作用を有する薬剤のスクリーニングを行った。薬剤は、766種類の薬剤を含むFDA承認薬ライブラリ(エンゾライフサイエンス社)を用いた。各薬剤を細胞に添加し、細胞増殖率を測定した(図1A)。15種類の薬剤で有意な細胞増殖阻害が観察され、その中でも、HMG−CoA還元酵素阻害剤である、ピタバスタチン(ピタバスタチンカルシウム)は、最も顕著な細胞増殖率の減少を示した。他の14種類の薬剤は、既知の抗がん剤及び微小管重合の阻害剤であるコルヒチンであった。
次に、ピタバスタチンのがん細胞増殖阻害効果について調べた。最初に、HOC313−LM細胞におけるピタバスタチンによる細胞増殖阻害を検証したところ、ピタバスタチンは、用量依存的にアポトーシスを誘導することで細胞増殖を阻害した(図1B)。次に、43種類のESCC細胞株を用いてピタバスタチンによる細胞増殖への影響を評価し、カットオフ値を0.5としてピタバスタチンに対する低感受性グループ及び高感受性グループに分けた(図1C)。さらに、23種類のOSCC細胞株を用いてピタバスタチンによる細胞増殖への影響を評価し、カットオフ値を0.5としてピタバスタチンに対する低感受性グループ及び高感受性グループに分けた(図1D)。高感受性グループ(HOC313−LM細胞、KYSE150細胞、及びKYSE200細胞)では、ピタバスタチンはAKT及びERKタンパク質の発現を抑制した(図1E)。一方で低感受性グループ(KYSE70細胞、KYSE510細胞、KYSE1190細胞、及びKYSE1440細胞)では、ピタバスタチンはAKT及びERKタンパク質の発現レベルに影響を与えなかった(図1E)。
次に、高感度細胞株であるHOC313−LM細胞とKYSE200細胞を用いて、in ovoにおける薬剤投与実験を行ったところ、ピタバスタチンは、in ovoにおいて統計的に有意に腫瘍増殖を阻害した(図1F、図1G)。さらに、HOC313−LM細胞を用いたマウスのin vivo実験では、ピタバスタチンは、腫瘍増殖を阻害した(図1H、図1I)。
<実施例2>
(GGPS1の役割の確認)
ピタバスタチンが細胞増殖を阻害する仕組みを明らかにするために、ピタバスタチンに対するレスキュー実験を実施した。レスキュー実験では、メバロン酸経路の各代謝産物を使用した。なおメバロン酸経路から細胞増殖までの経路の推定を図2Aに示す。HOC313−LM細胞又はKYSE150細胞において、メバロン酸又はGGPPを添加したときのみ、細胞増殖率及びアポトーシス率が回復し、つまり、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果がレスキューされた(図2B、図2C、図2D、図2E、図2F)。一方で、IPP、GPP、FPP、又はコレステロールを添加しても、細胞増殖率及びアポトーシス率は回復せず、つまり、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果はレスキューされなかった。また、HOC313−LM細胞においては、ピタバスタチン処理でcPARPの発現が増加し、さらにメバロン酸又はGGPPを添加すると、cPARPの発現が抑制され、pAKT、AKT、及びpERKの発現が回復した(図2D)。以上のことから、GGPPは細胞増殖に重要な役割を果たし、異化酵素であるGGPS1はがん治療のターゲットとすることができる可能性が示唆された。
(GGPS1の役割の確認)
ピタバスタチンが細胞増殖を阻害する仕組みを明らかにするために、ピタバスタチンに対するレスキュー実験を実施した。レスキュー実験では、メバロン酸経路の各代謝産物を使用した。なおメバロン酸経路から細胞増殖までの経路の推定を図2Aに示す。HOC313−LM細胞又はKYSE150細胞において、メバロン酸又はGGPPを添加したときのみ、細胞増殖率及びアポトーシス率が回復し、つまり、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果がレスキューされた(図2B、図2C、図2D、図2E、図2F)。一方で、IPP、GPP、FPP、又はコレステロールを添加しても、細胞増殖率及びアポトーシス率は回復せず、つまり、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害効果はレスキューされなかった。また、HOC313−LM細胞においては、ピタバスタチン処理でcPARPの発現が増加し、さらにメバロン酸又はGGPPを添加すると、cPARPの発現が抑制され、pAKT、AKT、及びpERKの発現が回復した(図2D)。以上のことから、GGPPは細胞増殖に重要な役割を果たし、異化酵素であるGGPS1はがん治療のターゲットとすることができる可能性が示唆された。
次に、ピタバスタチン耐性細胞株(HOC313−LM−Pita−R細胞)を樹立し、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害の詳細なメカニズムを明らかにした。HOC313−LM−Pita−R細胞においては、親株であるHOC313−LM細胞よりも、ピタバスタチンによる細胞増殖阻害の影響を受けなかった(図2G)。さらに、HOC313−LM−Pita−R細胞においては、ピタバスタチンによるAKT及びERKの発現抑制の影響は小さかった(図2H)。
次に、GGPS1ノックダウンが細胞増殖を阻害するかを明らかにするために、GGPS1特異的siRNAで72時間又は120時間処理したHOC313−LM細胞又はKYSE150細胞における、細胞増殖率の測定及びウエスタンブロッティング分析を行った。いずれにおいても、GGPS1ノックダウンでは細胞増殖率が低下し、さらにGGPPを添加することで細胞増殖率の低下はレスキューされた(図3A、図3B、図3D)。また、GGPS1ノックダウンではAKT及びERKの発現が低下し、さらにGGPPを添加することでAKT及びERKの発現の低下はレスキューされた(図3C、図3E)。GGPS1ノックダウンでは未成熟なMETが多くみられるが、さらにGGPPを添加することで成熟METが増加した(図3E)。なお図3E中、METのタンパク質発現を確認しているメンブレンにおいて、上側矢印の位置は未成熟なMETのバンド位置を表し、下側矢印の位置は成熟したMET(成熟MET)のバンド位置を表す。以下の説明においても、METのタンパク質発現を確認しているメンブレンにおいて、矢印は同様の意味を表す。
次に、細胞成長に関わるGGPS1の阻害剤である、ジゲラニルビスホスホネート(DGBP)の効果も評価した。DGBPは、HOC313−LM細胞、KYSE150細胞、及びKYSE200細胞におけるMET成熟を阻害したが、これはGGPP添加によってレスキューされた(図3F)。さらに、in ovo実験によると、DGBP処理は、ピタバスタチン処理のように、腫瘍増殖を阻害した(図3G)。
<実施例3>
(ピタバスタチンによるMETシグナル伝達経路調節機能の確認)
ピタバスタチンが腫瘍増殖を阻害する詳細なメカニズムを明らかにするために、リン酸化受容体チロシンキナーゼアレイを使用して、受容体チロシンキナーゼ(RTK)のリン酸化状態を評価した(図4A)。HOC313−LM−Pita−R細胞ではピタバスタチン処理によるMETのリン酸化レベルの減少は観察されなかったのに対し、HOC313−LM細胞ではピタバスタチン処理によるMETのリン酸化レベルの減少が確認された。HOC313−LM細胞においてMETのリン酸化レベルが減少していることから、ピタバスタチンによる細胞増殖の阻害は、METシグナル伝達経路に関連しているとみられる。さらにHOC313−LM細胞において、ピタバスタチンはMETのリン酸化レベル(pMET)を用量依存的に減少させることができた(図4B)が、METのmRNA転写量を変化させなかった(図4C)。さらには、ピタバスタチン処理によるHOC313−LM細胞及びHOC313−LM−Pita−R細胞のリン酸化MET(pMET)及びMETのタンパク質発現量に関する実験から、ピタバスタチンがMET成熟を阻害することによって細胞増殖を低下させていることが明らかとなった(図4B)。なおピタバスタチンによるMET成熟の阻害は、メバロン酸又はGGPPを添加することでレスキューされた(図4D)。さらに、GGPS1ノックダウンでは未成熟なMETが多く確認され、これはGGPPを添加することでレスキューされた(図4E、図4F)。
(ピタバスタチンによるMETシグナル伝達経路調節機能の確認)
ピタバスタチンが腫瘍増殖を阻害する詳細なメカニズムを明らかにするために、リン酸化受容体チロシンキナーゼアレイを使用して、受容体チロシンキナーゼ(RTK)のリン酸化状態を評価した(図4A)。HOC313−LM−Pita−R細胞ではピタバスタチン処理によるMETのリン酸化レベルの減少は観察されなかったのに対し、HOC313−LM細胞ではピタバスタチン処理によるMETのリン酸化レベルの減少が確認された。HOC313−LM細胞においてMETのリン酸化レベルが減少していることから、ピタバスタチンによる細胞増殖の阻害は、METシグナル伝達経路に関連しているとみられる。さらにHOC313−LM細胞において、ピタバスタチンはMETのリン酸化レベル(pMET)を用量依存的に減少させることができた(図4B)が、METのmRNA転写量を変化させなかった(図4C)。さらには、ピタバスタチン処理によるHOC313−LM細胞及びHOC313−LM−Pita−R細胞のリン酸化MET(pMET)及びMETのタンパク質発現量に関する実験から、ピタバスタチンがMET成熟を阻害することによって細胞増殖を低下させていることが明らかとなった(図4B)。なおピタバスタチンによるMET成熟の阻害は、メバロン酸又はGGPPを添加することでレスキューされた(図4D)。さらに、GGPS1ノックダウンでは未成熟なMETが多く確認され、これはGGPPを添加することでレスキューされた(図4E、図4F)。
未成熟なMET又は非切断のMETは、ゴルジ体に局在することが知られているため、次に、メバロン酸又はGGPPの存在下又は非存在下における、ピタバスタチン処理、又はGGPS1ノックダウン処理後のMETの局在について、抗MET抗体、抗GBF1抗体、及び抗GM130抗体を用いて免疫蛍光染色で確認した(図4G、図4H、図4I、図4J)。GBF1とGM130はcis−ゴルジ体に存在し、小胞輸送を制御する。また、GBF1はArfのGEF(グアニンヌクレオチド交換因子)としても知られている。免疫蛍光染色により、正常な状態ではMETは細胞膜及びゴルジ体に存在したが、ピタバスタチン処理又はGGPS1ノックダウンにより、METは細胞膜から細胞質及びゴルジ体に移行したことがわかった。さらに、ピタバスタチン処理又はGGPS1ノックダウンにより、GBF1は細胞質に認められた。このことは、GBF1がGEFとして機能していないことを示唆している。そのため、ピタバスタチン処理細胞における、Arf1−GTPプルダウンアッセイにより、Arf1活性化を調べた。その結果、ピタバスタチン処理によりArf1−GTPが減少すること、及びこのピタバスタチンの作用がメバロン酸又はGGPPの添加により相殺されることがわかった(図4K)。さらに、ピタバスタチン処理後の未成熟METはHGFの刺激に非応答であることがわかった(図4L)。これらの結果から、ピタバスタチンは、ゴルジ体の機能不全をもたらし、MET成熟を阻害することにより、METシグナル伝達経路を阻害することが明らかとなった。
次にメバロン酸経路が、成熟METの生成に関与しているかどうかを評価するために、複数の細胞株に対して、ピタバスタチン処理、シンバスタチン処理、ロスバスタチン処理、又はフルバスタチン処理し、DGBP又は細胞毒性薬剤(CDDP又はクリゾチニブ)で処理した(図4M、図4N)。スタチン系化合物によるメバロン酸経路の阻害は、MET成熟を阻害したが、細胞毒性薬剤(CDDP又はクリゾチニブ)はMET成熟に影響を与えなかった。以上のことから、メバロン酸経路は、ゴルジ体の機能を介してMETの成熟を調節する可能性があることが明らかとなった。
<実施例4>
(ピタバスタチンとカプマチニブの組み合わせによる腫瘍増殖阻害に対する効果の確認)
ピタバスタチンとMET特異的阻害剤であるカプマチニブとの組み合わせに関して、細胞増殖アッセイを行った。カプマチニブの単独投与では、HOC313−LM細胞、HOC313−LM−Pita−R細胞、KYSE150細胞、及びKYSE200細胞の細胞増殖に影響を与えなかったのに対して、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与では、ピタバスタチンの単独投与と比較して、細胞増殖阻害が増強された(図5A、図5B、図5C、図5D、図5E、図5F、図5G、図5H、図5I)。さらに、KYSE150細胞及びKYSE200細胞では、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与によって、METの成熟及びリン酸化、並びにMETシグナルの抑制が観察された(図5J)。なお、ピタバスタチン又はカプマチニブの単独投与では、HGFによって活性化されるMETシグナルは完全に阻害されなかったが、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与では、METの成熟とMETのリン酸化が阻害されることにより、METシグナルが強力に抑制された(図5K)。
(ピタバスタチンとカプマチニブの組み合わせによる腫瘍増殖阻害に対する効果の確認)
ピタバスタチンとMET特異的阻害剤であるカプマチニブとの組み合わせに関して、細胞増殖アッセイを行った。カプマチニブの単独投与では、HOC313−LM細胞、HOC313−LM−Pita−R細胞、KYSE150細胞、及びKYSE200細胞の細胞増殖に影響を与えなかったのに対して、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与では、ピタバスタチンの単独投与と比較して、細胞増殖阻害が増強された(図5A、図5B、図5C、図5D、図5E、図5F、図5G、図5H、図5I)。さらに、KYSE150細胞及びKYSE200細胞では、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与によって、METの成熟及びリン酸化、並びにMETシグナルの抑制が観察された(図5J)。なお、ピタバスタチン又はカプマチニブの単独投与では、HGFによって活性化されるMETシグナルは完全に阻害されなかったが、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与では、METの成熟とMETのリン酸化が阻害されることにより、METシグナルが強力に抑制された(図5K)。
さらに、他のスタチン系化合物(シンバスタチン、ロスバスタチン、又はフルバスタチン)と、カプマチニブと、の2剤投与による細胞増殖を調べた。これらの組み合わせは相乗的な細胞増殖阻害を示した。これらのスタチン系化合物のうち、ピタバスタチンとカプマチニブとを組み合わせた2剤投与が、細胞増殖阻害に最も効果的であった(図5L、図5M、図5N、図5O)。また、ピタバスタチンと、他のMET阻害剤(クリゾチニブ、MGCD−265(グレサチニブ)又はテポチニブ)と、の2剤投与による細胞増殖も評価したところ、これらの組み合わせによる細胞増殖阻害の増強が観察できた(図5P、図5Q、図5R、図5S)。さらに、ピタバスタチンとテポチニブとの2剤投与によって、METの成熟及びリン酸化、並びにMETシグナルの抑制が観察された(図5T)。
次に、細胞増殖において、METの阻害がピタバスタチンの機能にどう影響を与えるかを評価するために、HOC313−LM細胞にMET特異的siRNAを導入することでノックダウン実験を行った(図5U、図5V)。その結果、ピタバスタチンとカプマチニブとの2剤投与と同じように、ピタバスタチンによる細胞増殖の阻害はMETノックダウンにより増強されるのに対し、METのノックダウンのみでは細胞増殖に影響を与えなかった。さらに、細胞増殖に対するこの2剤の組み合わせ効果は、メバロン酸又はGGPPを添加することによって抑制され、アポトーシス率に対するこの2剤の組み合わせ効果は、メバロン酸又はGGPPを添加することによって抑制された(図5W、図5X、図5Y、図5Z)。さらにはHOC313−LM細胞にメバロン酸又はGGPPを添加することで、2剤の組み合わせによるMET未成熟はレスキューされた(図5AA)。
次に、HOC313−LM細胞及びKYSE200細胞、並びにピタバスタチン及びカプマチニブを使用して、in ovo実験を実施した(図6A、図6B)。in vitro実験と同様に、ピタバスタチンとカプマチニブとを組み合わせた2剤投与では、胚内において、より効果的に腫瘍増殖が阻害された。
さらに、HOC313−LM細胞を用いたマウスのin vivo実験では、ピタバスタチンとカプマチニブとの組み合わせにより、重大な有害事象も無く、ピタバスタチンの単独投与と比較して、腫瘍増殖が抑制された(図6C、図6D、図6E、図6F)。次に、マウスの腫瘍標本におけるMETのリン酸化状態を評価した(図6G、図6H)。ピタバスタチンとカプマチニブとの組み合わせでは、対照サンプルと比較して、METのリン酸化がより有意に抑制された。
上記の結果から、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤、特にピタバスタチンとカプマチニブとを組み合わせた2剤投与は、METシグナル伝達を抑制し、OSCC及びESCCのがん治療に有用であることが明らかになった(図6I)。
以上のことから、本開示によれば、高い抗がん効果が得られる、複数の剤を組み合わせて投与されるがん用医薬組成物を提供することができ、さらには、高い抗がん効果が得られる、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんの治療に使用されるがん用医薬組成物を提供することができることが示唆される。
本開示は、がんに用いられる医薬組成物として利用することができる。
Claims (12)
- HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含み、HMG−CoA還元酵素阻害剤とMET阻害剤とが同時又は順次に組み合わせて投与される、がん用医薬組成物。
- HMG−CoA還元酵素阻害剤及びMET阻害剤を有効成分として含む、請求項1に記載のがん用医薬組成物。
- HMG−CoA還元酵素阻害剤又はMET阻害剤を有効成分として含む、請求項1に記載のがん用医薬組成物。
- 前記MET阻害剤は、MET特異的阻害剤である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記MET阻害剤は、カプマチニブ、テポチニブ、チバンチニブ、サボリチニブ(AZD6094)、AMG337、及びOMO−1からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記MET阻害剤は、カプマチニブである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ゴルジ体機能阻害剤である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、MET成熟阻害剤である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、及びメバスタチンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ピタバスタチンである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- GGPS1をバイオマーカーとして前記がん用医薬組成物に感受性を有すると判断された対象に投与される、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
- 前記がんは、口腔扁平上皮がん又は食道扁平上皮がんである、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のがん用医薬組成物。
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