JP2022001662A - 極細孔を備える長尺超硬合金体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長手方向に同一直径の極細孔を有する長尺超硬合金体を提供する。【解決手段】超硬丸棒1は,炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相を含む超硬合金から構成され,直径11μm程度の極細孔2が長手方向に同径に形成されているものである。炭化タングステン(WC)を含む原料粉末と溶媒を混錬させた供給粉末をシリンダ内に供給し,シリンダ内において上記供給粉末を押し固め,押し固められた供給粉末を,所定の開口形状を備え,通路内に直径15μmのタングステンワイヤが配置された口金を通じて押出,押出された成形品を焼結することよって超硬丸棒1は製造される。【選択図】図1
Description
この発明は極細孔を備える長尺超硬合金体およびその製造方法に関する。
特許文献1は,レーザ加工によってワークに挿通孔を穿設する穿孔装置を記載する。
特許文献1の記載の穿孔装置では,レーザ加工によってワークに30〜50μmの直径の挿通孔が穿孔される。レーザ光は,ワークの外からワークに向けて照射されるので,穿孔が進むにつれて挿通孔の直径は次第に小さくなる,すなわち先細りとなる。比較的深い(長い)挿通孔を長手方向に沿って同一直径に形成するのは難しい。
この発明は,長手方向に同一直径の極細孔を有する長尺超硬合金体を提供することを目的とする。
この発明による極細孔を備える長尺超硬合金体は,炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相を含む超硬合金から構成され,直径100μm以下の極細孔が長手方向に同径に(同一直径で)形成されていることを特徴とする。
この発明による極細孔を備える長尺超硬合金体は,長手方向にほぼ一様な断面形状を有し,かつ長さが直径に比べてはるかに長い。長尺超硬合金体には,その長手方向に,直径100μm以下の極細孔が形成されている(あけられている)。長尺超硬合金が備える極細孔も,長手方向にほぼ一様な断面形状(直径)を持つ。
この発明による極細孔を備える長尺超硬合金体は,炭化タングステンを主成分とする硬質相を含む超硬合金から構成されるので,たとえばセラミックに比べてはるかに強度が高い。しかも炭化タングステンは電気抵抗が小さく,熱伝導率も良好である。強度が高く,しかも導電性および熱伝導性に優れた,微細孔を備える長尺の超硬合金体が提供される。炭化タングステンを主成分とするとは,超硬合金体全体に対して50.0wt%以上の炭化タングステンを含むことを意味する。
この発明による長尺超硬合金体が備える極細孔は流体(液体または気体)を噴出するための噴出孔として用いることができる。また,この発明による長尺超硬合金体が備える極細孔は細線(ワイヤ)を供給する供給孔として用いることもできる。この発明による極細孔を備える長尺超硬合金体は,たとえば切削工具,ノズル,キャピラリとして用いることができる。
たとえば,この発明による長尺超硬合金体を切削工具として用いる場合,長尺超硬合金体が備える極細孔は水分または油分の供給孔として用いられる。微量の水分または油分を供給しながら被工作物を切削することができる。この発明による長尺超硬合金体をノズルとして用いる場合,長尺超硬合金体が備える極細孔から細い水流を勢いよく噴射させることができる(極小ウォータージェット)。
この発明による極細孔を備える長尺超硬合金体の製造方法は,炭化タングステン(WC)を主要に含む原料粉末と溶媒を混錬させた供給粉末をシリンダ内に供給し,シリンダ内において上記供給粉末を押し固め,押し固められた供給粉末を,所定の開口形状を備え,通路内に直径100μm以下のタングステンワイヤが配置された口金を通じて押出,押出された成形品を焼結するものである。炭化タングステン(WC)を主要に含むとは,製造される超硬合金体全体に対して50.0wt%以上の炭化タングステンを含むことを意味する。
長尺超硬合金体に100μm以下の同径の極細孔を形成するために,口金の通路内にタングステンワイヤが配置される。タングステンワイヤが配置された通路内に押し固められた供給粉末が通される。タングステンワイヤが配置されている箇所に極細孔が形成され,極細孔を備える成形品が口金から押出される。
口金から押出された成形品は,その後に焼結されることで焼き固められる。供給粉末に含まれる溶媒は焼結時に揮発し,これによって成形品および極細孔の寸法が縮小する。たとえば15μmの直径のタングステンワイヤを用いると,最終製品としての長尺超硬合金体が備える極細孔の直径は,タングステンワイヤの直径の75%程度,約11μmになる。タングステンワイヤの限界直径を5μmとすると,長尺超硬合金体が備えることができる極細孔の最小直径は3.75μmとなる。
図1は超硬丸棒の斜視図である。図2は超硬丸棒の製造装置の概略図である。
図1を参照して,超硬丸棒1は,超硬合金製の断面円形の長尺部材であり,長手方向にほぼ一様な断面形状を有し,かつ長さが直径に比べてはるかに長い。超硬丸棒1の断面中心に直径11μm程度の非常に小さい孔(以下,極細孔2という)があけられている。極細孔2は,超硬丸棒1の長手方向の全体,すなわち一端面から他端面にかけて連続して形成される。
後述するように,超硬丸棒1は,炭素タングステン(WC)を主成分とする硬質相を含む超硬合金から形成され,非常に硬い。超硬合金よりもさらに硬いたとえばタイヤモンドを用いて超硬丸棒1を切断したり,その表面形状を加工したりすることは可能である。すなわち,超硬丸棒1は任意の長さに切断することができ,たとえばその先端を先細りに尖らせたりすることができる。
図2を参照して,超硬丸棒1の製造工程を説明する。
超硬丸棒1の製造には押出機が用いられる。押出機は,円筒状のシリンダ11,シリンダ11の先端部に取り付けられた口金12,およびシリンダ11の末端部に設けられるピストン装置16を備えている。
シリンダ11内の円柱形の空間内に,超硬合金粉末と溶媒を混錬させた供給粉末20が充填される。たとえば,炭化タングステン(WC),炭化ニオブ(NbC)およびコバルト(Co)を含む原料粉末と,パラフィン,エタノール等の溶媒を混錬した供給粉末20が用いられる。炭化ニオブに代えてまたは加えて,炭化タンタル(TaC),酸化チタン(TiO2),炭化クロム(Cr3C2)を含ませてもよい。いずれにしても超硬合金粉末は炭化タングステンを主成分とする。一例として,WC−1.5%NbC−6%Coを用いることができる。いずれにしても,供給粉末20の全体を占める炭化タングステンの分量(質量)は非常に大きく,最終製品としての超硬丸棒1の物理的性質および電気的性質は炭化タングステンに大きく依存する。炭化タングステンは硬くかつ導電性および熱伝導性を持つので,超硬丸棒1も硬くかつ導電性および熱伝導性を持つものとなる。
シリンダ11の末端部のピストン装置16によってシリンダ11内の供給粉末20がシリンダ11内で押し固められる。押し固められた供給粉末20は,シリンダ11の先端部に取り付けられた口金12内の円柱状通路12aを通って外に押出される。口金12はその入り口および出口の開口形状がともに円形であり,入り口の直径が大きく,出口の直径がそれよりも小さい。シリンダ11の円柱形の内部空間の中心軸と口金12の円柱状通路12aの中心軸とが一致するように,口金12はシリンダ11に取り付けられる。口金12を通る過程において供給粉末20はその全周囲から均等に押し固められ,断面円形の超硬丸棒(成形品)が口金12の出口から連続的に押出される。
押出機によって成形された成形品は加熱炉(図示略)に供給され,そこで焼結される。焼結工程を経ることによって,溶媒が揮発し,炭化タングステンを硬質相とする超硬合金製の超硬丸棒1が完成する。
シリンダ11の内部には,スタビライザー(図示略)によって支持された細長いパイプ14が,その長手方向が口金12の通路12aとほぼ一直線上になるようにして設けられている。
パイプ14の中に,直径15μmの非常に細い,断面円形のタングステンワイヤ15が通されてパイプ14に固定されている。タングステンワイヤ15の長さはパイプ14の長さよりも長く,所定長さのタングステンワイヤ15がパイプ14の先端開口から外に出されている。
パイプ14の先端開口から外に出ているタングステンワイヤ15は,供給粉末20の流れに沿って口金12の円柱状通路12a内に通される。上述したように,口金12を通る過程において供給粉末20は全周囲から均等に押し固められるので,タングステンワイヤ15は口金12の円柱状通路12aのほぼ中心を通ることになる。このため,口金12から押出される細長い超硬丸棒1の中心には,タングステンワイヤ15の外径に相当する内径を持つ孔2が形成される。たとえば,直径15μmのタングステンワイヤ15を用いると,超硬丸棒1(焼結前のもの)には15μmの直径の孔2がその中心に形成される。超硬丸棒1に形成される孔2の直径はかなり小さく,以下,「極細孔2」と呼ぶ。極細孔2は超硬丸棒1の全長にわたって同径に形成される。図2においては,極細孔2および極細孔2と同径のタングステンワイヤ15の直径が,かなり強調して示されている。
上述したように,押出機によって成形された超硬丸棒1は,その後に加熱炉(図示略)に供給されて焼結され,ここでその寸法が縮小する。焼結後の超硬丸棒1の外径および長さ,ならびに極細孔2の直径は,焼結前の超硬丸棒1の75〜80%程度に縮小する。試作品においては,焼結前の超硬丸棒1の直径(口金12の出口径)が5.07mmであったときに,焼結後の超硬丸棒1の直径は3.8mmまで縮小した。直径15μmのタングステンワイヤ15を用いたところ,焼結後の超硬丸棒1が備える極細孔2の直径は約11μmであった。
超硬丸棒1の極細孔2の直径は,押出機に設けられるタングステンワイヤ15の直径に依存する。タングステンワイヤ15の直径が細くなればなるほど,理論上,超硬丸棒1に形成される極細孔2の直径は小さくなる。たとえばタングステンワイヤ15の直径が10μmであるとすると,焼結後の超硬丸棒1の極細孔2の直径は7〜8μm程度になる。もっとも,タングステンワイヤ15が細すぎると,押出成形の途中でタングステンワイヤ15が切れてしまうことが生じやすくなる。極細孔2の形成に用いることができるタングステンワイヤ15の限界直径が約5μmとすると,超硬丸棒1が備える極細孔2の最小直径は3.75μm(5×0.75)程度になる。
図3(A)は,図2に示す押出装置を用いることによって形成される超硬丸棒1の端面図である。超硬丸棒1の直径は口金12の円柱状通路12a(出口径)に依存する。極細孔2の直径は,上述したように,タングステンワイヤ15の直径に依存する。
シリンダ11に設けるタングステンワイヤ15の数を増やすことによって,超硬丸棒1に形成される極細孔2の数を増やすことができる。図3(B)は2本のタングステンワイヤ15をシリンダ11内に設けることによって製造される超硬丸棒1Aの端面図であり,2つの極細孔2が形成されている。図3(C)は3本のタングステンワイヤ15をシリンダ11内に設けることによって製造される超硬丸棒1Bの端面図であり,3つの極細孔2が形成されている。
極細孔2が形成された超硬丸棒1は,極細孔2から水分または油分を供給可能な切削工具,極細孔2から流体(液体または気体)を噴出させるノズル,極細孔2に極細のワイヤが通されてワイヤーボンディングに用いられるキャピラリ等として利用することができる。
1,1A,1B 超硬丸棒
2 極細孔
11 シリンダ
12 口金
12a 通路
14 パイプ
15 タングステンワイヤ
16 ピストン装置
20 供給粉末
2 極細孔
11 シリンダ
12 口金
12a 通路
14 パイプ
15 タングステンワイヤ
16 ピストン装置
20 供給粉末
Claims (3)
- 炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相を含む超硬合金から構成され,直径100μm以下の極細孔が長手方向に同径に形成されていることを特徴とする,
極細孔を備える長尺超硬合金体。 - 上記極細孔の直径が3.75μm以上である,
請求項1に記載の極細孔を備える長尺超硬合金体。 - 炭化タングステン(WC)を主要に含む原料粉末と溶媒を混錬させた供給粉末をシリンダ内に供給し,
シリンダ内において上記供給粉末を押し固め,
押し固められた供給粉末を,所定の開口形状を備え,通路内に直径100μm以下のタングステンワイヤが配置された口金を通じて押出,
押出された成形品を焼結する,
極細孔を備える長尺超硬合金体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2020107050A JP2022001662A (ja) | 2020-06-22 | 2020-06-22 | 極細孔を備える長尺超硬合金体およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7249707B1 (ja) * | 2022-10-26 | 2023-03-31 | 株式会社共立合金製作所 | 細長孔を有する超硬合金成形体およびその製造方法 |
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2020
- 2020-06-22 JP JP2020107050A patent/JP2022001662A/ja active Pending
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JP7249707B1 (ja) * | 2022-10-26 | 2023-03-31 | 株式会社共立合金製作所 | 細長孔を有する超硬合金成形体およびその製造方法 |
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