JP2022000614A - 高分子材料の余寿命判定方法および検査方法 - Google Patents

高分子材料の余寿命判定方法および検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射線等の外的因子による高分子材料の余寿命を、簡便且つ高精度に診断することができる高分子材料の余寿命判定方法、および、配管や配管機器の検査方法を提供する。【解決手段】余寿命判定方法は、高分子材料の余寿命を判定する方法であって、判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性または吸収線量との相関関係を求める工程と、判定対象の高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、赤外吸収スペクトルの測定結果と、機械的物性または吸収線量の限界値とを相関関係にあてはめて互いに比較する工程とを含み、測定結果から相関関係に基づいて推定される推定値と、機械的物性もしくは吸収線量の限界値との関係、または、推定値の限界値に対する割合に基づいて、判定対象の高分子材料の余寿命を判定する。【選択図】図7

Description

本発明は、原子力関連施設等で用いられる高分子材料の余寿命判定方法、および、原子力関連施設等で用いられる配管や、継手、パッキン、ガスケット等の配管機器の検査方法に関する。
原子力関連施設では、高分子材料で形成された配管や、継手、パッキン、ガスケット等の配管機器が用いられている。高分子材料の多くは、常時、高線量の放射線に晒されるため、一般製品用の材料を用いる場合には、短い時間間隔で定期検査を行う必要がある。高分子材料は、放射線環境下において、酸化劣化が促進されることが知られている。
特許文献1には、屋外構造物の外装に用いられる有機系塗膜の劣化の進行を予測する方法が記載されている。この方法では、標準試料を実環境空間での暴露試験に供して、劣化外力の強さを求めている。劣化外力の強さの指標は、FT−IRによって測定されるカルボニルインデックス値とされている。暴露試験に供した標準試料を回収し、標準試料の劣化外力の強さに基づいて、有機系塗膜の劣化を予測している。
特許文献2には、酸化防止剤を含むポリオレフィン材の寿命推定方法が記載されている。この方法では、ポリオレフィン材の酸化開始温度とポリオレフィン材に含まれる酸化防止剤の残存率との関係を求め、この関係から求められた任意の点をポリオレフィン材の寿命の指標として、ポリオレフィン材の寿命を計算している。
特許文献3には、酸化防止剤が添加されたケーブル被覆材料の寿命検査方法が記載されている。この方法では、複数の熱劣化試験を行い、酸化防止剤の官能基の濃度を赤外分光スペクトル測定により定量し、破断伸びとピーク強度の相関から官能基の限界濃度を見積もり、限界濃度に到達する時間から熱劣化寿命を予測している。
特許文献4には、ケーブルの絶縁劣化寿命診断を行う方法が記載されている。この方法では、ポリオレフィンのカルボニル基吸光度と基準スペクトル吸光度との吸光度比を求め、その経時変化からケーブルの劣化の程度を診断している。
特開2015−206751号公報 特開2015−087235号公報 特開2012−173183号公報 特開2004−309277号公報
配管や配管機器の検査に際しては、設備自体を停止しなければならないケースが多く、設備の連続的な運転が妨げられている。また、高頻度の検査が必要な場合、メンテナンスコストがかかるという問題がある。配管や配管機器の余寿命を診断するためには、データベースを用意しておく必要があるが、実環境での暴露試験や、数年間にも及ぶ促進劣化試験が必要な場合、診断に時間がかかることも問題となる。
このような状況下、高分子材料で形成された配管や配管機器について、放射線等の外的因子による劣化の程度や余寿命を簡便に診断可能な方法が求められている。特に、原子力関連施設で用いられる配管や配管機器については、検査対象自体の汚染や、作業者の被曝の可能性がある。そのため、非破壊で短時間に行うことが可能であり、且つ、可搬性が高い小型の計測機器で高精度に実施できる方法が望まれる。
特許文献1に記載された方法では、標準試料を実環境空間での暴露試験に供するため、標準試料の設置や回収に手間がかかる。また、実環境空間での暴露試験は、配管や配管機器が設置される実際の環境を完全に再現するものではない。実際の環境では、パッキン、ガスケット等の配管機器に常に圧縮力がかかるし、配管、継手等にはクリープが起こる。高分子材料に応力や歪みが生じると、劣化が加速することが知られているため、特許文献1に記載された方法では、劣化の程度を高精度に診断することが困難である。
特許文献2、3に記載された方法では、酸化防止剤の残存率や、酸化防止剤の官能基の濃度を利用するため、酸化防止剤の添加量に左右される方法となる。酸化防止剤の添加量が少ない場合や、酸化防止剤が実質的に添加されていない場合には、劣化の程度を高精度に診断することが困難である。一般的な配管や配管機器は、酸化防止剤が0.1%程度と少ないものが大半であるため、汎用性の低さに課題を抱えている。
特許文献4に記載された方法では、吸光度比の経時変化を利用するため、長期間にわたって加熱劣化試験を行う必要がある。検査対象の配管や配管機器の種類によっては、加熱劣化試験に2〜5年程度が必要になることが多いため、診断に用いるデータベースの用意に時間がかかることが問題となる。また、加熱劣化試験は、実環境とは異なる劣化モードとなることが多く、ガンマ線等の放射線に紫外線等が加わった場合の複合劣化を評価することが難しい。
そこで、本発明は、放射線等の外的因子による高分子材料の余寿命を、簡便且つ高精度に診断することができる高分子材料の余寿命判定方法、および、配管や配管機器の検査方法を提供することを目的とする。
すなわち、前記課題を解決するために本発明に係る余寿命判定方法は、高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法であって、判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性または吸収線量との相関関係を求める工程と、判定対象の高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記機械的物性の限界値、または、予め設定されている前記吸収線量の限界値と、を前記相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記機械的物性もしくは前記吸収線量の限界値との関係、または、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記機械的物性の限界値もしくは前記吸収線量の限界値に対する割合に基づいて、前記判定対象の高分子材料の余寿命を判定する。
また、本発明に係る検査方法は、高分子材料で形成された配管または配管機器の劣化を検査する検査方法であって、検査対象の配管または配管機器の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記機械的物性の限界値、または、予め設定されている前記吸収線量の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、前記相関関係は、検査対象の配管または配管機器と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性または吸収線量との関係として求められた関係である検査方法。
本発明によると、放射線等の外的因子による高分子材料の余寿命を、簡便且つ高精度に診断することができる高分子材料の余寿命判定方法、および、配管や配管機器の検査方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る余寿命判定方法の流れを示す図である。 ガンマ線を照射する前の高分子材料の表面について測定された赤外吸収スペクトルの一例を示す図である。 ガンマ線を照射した後の高分子材料の表面について測定された赤外吸収スペクトルの一例を示す図である。 図3の要部を拡大して示す拡大図である。 高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との関係の一例を示す図である。 高分子材料の機械的物性と高分子材料の吸収線量との関係の一例を示す図である。 高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との関係の一例を示す図である。 高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの測定結果と高分子材料の吸収線量の限界値を比較する方法について説明する図である。 高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの測定結果と高分子材料の機械的物性の限界値を比較する方法について説明する図である。
以下、本発明の一実施形態に係る高分子材料の余寿命判定方法、および、配管や配管機器の検査方法について説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態に係る余寿命判定方法は、高分子材料の余寿命を判定する方法に関する。この方法では、高分子材料の余寿命として、高分子材料の初期状態に対する劣化の程度を判定する。高分子材料の劣化としては、ガンマ線等の放射線による劣化や、ガンマ線等の放射線と、紫外線、熱、酸素、水分等とによる複合劣化を評価することができる。
劣化の程度を評価する判定対象の高分子材料としては、放射線環境下で用いられる高分子材料が好ましく、放射線環境下や放射性物質を含む流体の移送に用いられる配管や配管機器の材料が特に好ましい。配管機器としては、配管継手、運動部に用いられるパッキン、静止部に用いられるガスケット等が挙げられる。
高分子材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンや、塩化ビニル、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のジエン系エラストマや、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン等のフッ素樹脂等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、密度が0.94g/cm以上0.97g/cm以下の高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)、密度が0.93g/cm以上0.94g/cm未満の中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene:MDPE)、密度が0.91g/cm以上0.93g/cm未満の低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene:LDPE)が挙げられる。
本実施形態に係る余寿命判定方法では、高分子材料の劣化の程度を評価するための指標として、高分子材料の表面で測定される赤外吸収スペクトルの変化を利用する。また、高分子材料の劣化の程度を比較するために、判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料を、標準試料として用いる。標準試料は、ガンマ線の照射による劣化試験に供される。
本実施形態に係る余寿命判定方法では、判定対象の高分子材料の劣化の程度を評価するために、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との相関関係、または、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料に吸収される吸収線量との相関関係を利用する。標準試料を劣化試験に供して相関関係を求め、この相関関係に基づいて、判定対象の高分子材料で測定された赤外吸収スペクトルの測定結果と、機械的物性の基準または吸収線量の基準とを比較する。
図1は、本発明の実施形態に係る余寿命判定方法の流れを示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る余寿命判定方法は、赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性または吸収線量との相関関係を求める工程S110と、判定対象の高分子材料の赤外吸収スペクトルを測定する工程S120と、赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている機械的物性の限界値、または、予め設定されている吸収線量の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する工程S130と、を含む。
なお、判定対象の高分子材料の余寿命の判定には、機械的物性との相関関係のみを用いてもよいし、吸収線量との相関関係のみを用いてもよいし、機械的物性との相関関係および吸収線量との相関関係の両方を用いてもよい。
相関関係を求める工程S110では、標準試料、すなわち、劣化の程度が未知である判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と、高分子材料の機械的物性または吸収線量との相関関係を求める。赤外吸収スペクトルの変化は、ガンマ線の照射による高分子材料の構造変化によって起こるため、放射線環境下における劣化の程度を表す指標となる。
相関関係を求める工程S110では、はじめに、複数の標準試料のそれぞれについて、ガンマ線を照射する前の表面の赤外吸収スペクトルを測定しておく(ステップS111)。標準試料は、任意の形状の試験片であってもよいし、配管や配管機器の形状に成形された試験品であってもよい。
標準試料の個数は、2以上である限り、特に制限されるものではない。標準試料の個数は、測定数を多くして正確な相関関係を求める観点からは、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が更に好ましい。
図2は、ガンマ線を照射する前の高分子材料の表面について測定された赤外吸収スペクトルの一例を示す図である。
図2に示すように、ガンマ線を照射する前の高分子材料について、表面の赤外吸収スペクトルを測定すると、高分子材料の種類に応じて、劣化試験前の初期状態を表すスペクトルを得ることができる。図2は、高密度ポリエチレンの赤外吸収スペクトルである。
高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルは、分解能が10μm程度である顕微赤外分光光度計によって測定することができる。顕微赤外分光光度計としては、定置式および可搬式のいずれを用いることもできる。但し、判定対象の高分子材料の測定には、実地で簡便に使用可能な可搬式が好ましい。そのため、装置誤差を低減する観点からは、標準試料の測定にも可搬式を用いることが好ましい。
相関関係を求める工程S110では、標準試料の赤外吸収スペクトルを測定した後、複数の標準試料のそれぞれに対し、一定の線量率の下、互いに異なる吸収線量となるようにガンマ線を照射する(ステップS112)。ガンマ線の吸収線量は、正確な相関関係を求める観点からは、標準試料毎に十分に離れた値とすることが好ましい。
ガンマ線を照射する環境は、判定対象の高分子材料がおかれる実環境等に応じて、適宜の温度、酸素濃度、紫外線線量等の条件にすることができる。例えば、高温環境、高酸素濃度環境、紫外線環境等でガンマ線を照射すると、ラジカル連鎖反応等で放射線劣化が促進されるため、種々の放射線環境を模擬した劣化試験を行って、ガンマ線等の放射線と、熱、酸素、紫外線等との複合劣化を評価することができる。
ガンマ線の線量率は、各標準試料に対して同一の条件、且つ、照射中に一定の条件とし、例えば、0.1〜100kGy/h、好ましくは1〜10kGy/hとする。ガンマ線の吸収線量は、高分子材料の種類にもよるが、例えば、1〜5000kGyの範囲で設定することができる。ガンマ線の吸収線量は、試料距離、遮蔽厚さ、線源種類等のいずれで調整してもよい。
相関関係を求める工程S110では、各標準試料にガンマ線を照射した後、複数の標準試料のそれぞれについて、ガンマ線を照射した後の表面の赤外吸収スペクトルを測定する(ステップS113)。そして、赤外吸収スペクトルの測定結果として、ガンマ線の照射によって変化したピークの面積またはピークの高さを求める。
図3は、ガンマ線を照射した後の高分子材料の表面について測定された赤外吸収スペクトルの一例を示す図である。図4は、図3の要部を拡大して示す拡大図である。
図3に示すように、ガンマ線を照射した後の高分子材料について、表面の赤外吸収スペクトルを測定すると、高分子材料の種類毎に、ガンマ線の吸収線量に応じて、劣化後の状態を表すスペクトルを得ることができる。図3は、図2の高密度ポリエチレンの劣化後の赤外吸収スペクトルである。
図3では、破線で囲まれた波数1700m−1付近の領域Aに、初期状態(図2参照)では確認されていないシグナルが現れている。図4には、波数1900〜1300m−1付近の領域を拡大して示している。高密度ポリエチレンの場合、波数1700m−1付近の領域Aに加え、波数1450〜1500m−1付近の領域Bにも、シグナルの変化が生じている。
ガンマ線の照射によって生じたシグナルや、ガンマ線の照射によって変化したシグナルは、高分子材料の分子構造変化に由来するものであり、放射線環境下における劣化の指標となる。そのため、このようなシグナルのピークの面積やピークの高さを計測し、機械的物性または吸収線量との相関関係を求めておくと、判定対象の赤外吸収スペクトルの測定結果と、高分子材料の機械的物性や吸収線量とを相関関係にあてはめ、互いに比較することができる。
ピークの面積やピークの高さは、領域Aのように、ガンマ線の照射によって生じたシグナルについて求めてもよいし、領域Bのように、ガンマ線の照射によって変化したシグナルについて求めてもよい。但し、正確な相関関係を求める観点からは、ガンマ線の照射による変化が大きいシグナルや、互いに重なり合っていないシグナルについて求めることが好ましい。また、正確な相関関係を求める観点からは、ピークの高さよりも、ピークの面積を用いることが好ましい。
相関関係を求める工程S110では、ガンマ線の照射によって変化したピークの面積またはピークの高さを求めると共に、複数の標準試料のそれぞれについて、ガンマ線を照射した後の機械的物性を測定する(ステップS114)。標準試料の機械的物性を測定することにより、放射線劣化した高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と、その状態における高分子材料の機械的物性との関係が求められる。
赤外吸収スペクトルの変化は、ピークの面積の変化率、または、ピークの高さの変化率として表される。ピークの面積の変化率は、ガンマ線の照射後の所定のピークの面積を、ガンマ線の照射前の所定のピークの面積で除算して求められる。ピークの高さの変化率は、ガンマ線の照射後の所定のピークの高さを、ガンマ線の照射前の所定のピークの高さで除算して求められる。
判定対象の高分子材料が、配管または継手の材料である場合は、機械的物性として、引張強さ、または、引張破断伸びを測定することが好ましい。また、判定対象の高分子材料が、パッキンまたはガスケットの材料である場合は、機械的物性として、圧縮永久歪みを測定することが好ましい。機械的物性は、JIS K7161、K6262等に準じて測定することができる。
なお、判定対象の高分子材料の劣化の程度を評価するにあたり、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との相関関係のみを用いる場合には、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との相関関係については、求めなくてもよい。そのため、このような場合には、ガンマ線を照射した後の機械的物性を測定しなくてもよい。
図5は、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との関係の一例を示す図である。
図5において、縦軸は、ガンマ線の照射によって変化した赤外吸収スペクトル上のピークの面積の変化率(照射後のピークの面積/照射前のピークの面積)、横軸は、ガンマ線の照射によって高分子材料が吸収した吸収線量[kGy]を示す。
図5に示すように、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との関係は、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)と吸収線量値との関係を示す散布図等として得られる。吸収線量値が大きいほど、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)が大きくなる相関関係となる。そのため、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との相関関係は、線形近似により近似直線として表すことができる。
図5において、吸収線量が約25kGy以下の領域では、ピークの面積の変化率が小さいが、吸収線量が約25kGyを超える領域では、線形的な変化が認められる。配管や配管機器に用いられる一般的な高分子材料は、このような線形的な変化を示す傾向がある。そのため、適切な吸収線量の範囲を設定することにより、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の吸収線量との関係を近似直線として求めることができる。
図6は、高分子材料の機械的物性と高分子材料の吸収線量との関係の一例を示す図である。
図6において、縦軸は、ガンマ線を照射した後の高分子材料の機械的物性(引張破断伸び[%])、横軸は、ガンマ線の照射によって高分子材料が吸収した吸収線量[kGy]を示す。
図6に示すように、高分子材料にガンマ線を照射すると、高分子材料の機械的物性が低下し、高分子材料に吸収される吸収線量が大きいほど、機械的物性の低下が大きくなる。このように、高分子材料に吸収される吸収線量は、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化だけでなく、高分子材料の機械的物性に対しても相関関係を示す。そのため、判定対象の高分子材料の劣化の程度を評価するにあたっては、機械的物性との相関関係または吸収線量との相関関係を用いることができる。
図6に示すように、機械的物性として、引張破断伸びを測定した場合には、引張強度等を測定した場合とは異なり、或る吸収線量において機械的物性が顕著に低下し、散布図上で機械的物性の測定値がゼロになる。散布図上で機械的物性の測定値がゼロになる特異点は、判定対象の高分子材料の劣化の程度を評価するにあたり、赤外吸収スペクトルの測定結果についての閾値を与える。そのため、機械的物性としては、引張強度等と比較して、引張破断伸びを測定することが好ましい。
図7は、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との関係の一例を示す図である。
図7において、縦軸は、ガンマ線の照射によって変化した赤外吸収スペクトル上のピークの面積の変化率(照射後のピークの面積/照射前のピークの面積)、横軸は、ガンマ線を照射した後の高分子材料の機械的物性(引張破断伸び[%])を示す。
図7に示すように、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との関係は、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)と機械的物性の測定値との関係を示す散布図等として得られる。赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)が大きいほど、機械的物性の測定値が悪くなる相関関係となる。そのため、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との相関関係は、線形近似により近似直線として表すことができる。
図7において、赤外吸収スペクトル上のピークの面積の変化率が0〜約0.5の領域では、機械的物性の変化が小さいが、ピークの面積の変化率が約0.5〜1.0の領域では、機械的物性の変化が大きくなっている。機械的物性として、引張破断伸びを測定した場合には、散布図上のプロットを、2本の直線で線形近似することができる。図7に示すように、機械的物性の最大値を含む近似曲線110と、機械的物性の最小値を含み、機械的物性の軸に対して略垂直な近似曲線120とを求めることができる。
このような機械的物性の最大値を含む近似曲線110と、機械的物性の最小値を含む近似曲線120との交点10は、判定対象の高分子材料の劣化の程度を評価するにあたり、劣化の有無を判定するための閾値として用いることができる。判定対象の高分子材料について測定された赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)が閾値以上であると、機械的物性が低下しており、初期状態よりも劣化していると判定することができる。また、閾値未満であると、機械的物性が低下してなく、健全であると判定することができる。
また、このような機械的物性の最大値を含む近似曲線110は、プロットの全体を線形近似する場合とは異なり、劣化の程度をより正確に表す近似直線となる。このような近似直線を評価に用いると、プロットの全体を線形近似する場合とは異なり、機械的物性が低下していない劣化試験の初期の測定結果が排除されるため、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との相関関係を、より正確に診断に反映させることができる。
図1に示すように、判定対象の高分子材料の赤外吸収スペクトルを測定する工程S120では、劣化の程度が未知である判定対象の高分子材料について、表面の赤外吸収スペクトルを測定する。判定対象の高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルは、分解能が10μm程度である顕微赤外分光光度計によって測定することができる。
顕微赤外分光光度計としては、可搬式を用いることが好ましい。可搬式の顕微赤外分光光度計によると、投光部および受光部を高分子材料に近接させるか、押し当てるだけで、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルを測定することができる。そのため、実環境で使用されている高分子材料で形成された配管や配管機器を、非破壊で短時間に測定することができる。
続いて、相関関係にあてはめて比較する工程S130では、判定対象の高分子材料について測定された赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)と、予め設定されている機械的物性の限界値、または、予め設定されている吸収線量の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する。
赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)と、機械的物性の限界値または吸収線量の限界値との比較は、いずれか一方を相関関係を表す近似直線にあてはめて、相関関係から推定される推定値を求め、推定値を閾値と比較することにより行うことができる。
推定値は、赤外吸収スペクトルの測定結果を近似直線に代入することによって、高分子材料の機械的物性値、または、高分子材料に吸収された吸収線量値として求めることができる。機械的物性の推定値や吸収線量の推定値は、予め設定されている機械的物性の限界値や、予め設定されている吸収線量の限界値と比較することができる。
或いは、推定値は、機械的物性の限界値または吸収線量の限界値を近似直線に代入することによって、赤外吸収スペクトルの変化(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)の値として求めることができる。赤外吸収スペクトルの変化の推定値は、予め設定されている赤外吸収スペクトルの変化の限界値と比較することができる。
判定対象の高分子材料の余寿命は、赤外吸収スペクトルの変化と高分子材料の機械的物性との相関関係を用いる場合、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)から相関関係に基づいて推定される推定値と、機械的物性の限界値との大小関係に基づいて判定することができる。また、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)から相関関係に基づいて推定される推定値の、機械的物性の限界値に対する割合に基づいて判定することもできる。
一方、判定対象の高分子材料の余寿命は、赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との相関関係を用いる場合、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)から相関関係に基づいて推定される推定値と、吸収線量の限界値との大小関係に基づいて判定することができる。また、赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との相関関係が線形的である場合は、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)から相関関係に基づいて推定される推定値の、吸収線量の限界値に対する割合に基づいて判定することもできる。
機械的物性との相関関係を用いる場合、および、吸収線量との相関関係を用いる場合のそれぞれにおいて、判定対象の高分子材料の余寿命の判定には、大小関係と割合の両方を組み合わせて用いてもよい。例えば、大小関係の判定において、劣化が実質的に生じていない判定対象を除外し、残りの判定対象について、推定値の限界値に対する割合を判定することができる。
また、判定対象の高分子材料の余寿命の判定に、機械的物性との相関関係および吸収線量との相関関係の両方を用いる場合、機械的物性との相関関係に基づく大小関係の判定、機械的物性との相関関係に基づく推定値の限界値に対する割合の判定、吸収線量との相関関係に基づく大小関係の判定、および、吸収線量との相関関係に基づく推定値の限界値に対する割合の判定のうち、任意の判定を組み合わせて用いることができる。
判定の組み合わせとしては、精度の観点から、機械的物性との相関関係に基づく大小関係の判定、機械的物性との相関関係に基づく推定値の限界値に対する割合の判定、および、吸収線量との相関関係に基づく大小関係の判定のうち、一種以上を組み合わせて用いることが好ましい。特に、機械的物性との相関関係に基づく大小関係の判定と、吸収線量との相関関係に基づく大小関係の判定において、劣化が実質的に生じていない判定対象を除外し、残りの判定対象について、機械的物性との相関関係に基づく推定値の限界値に対する割合を判定することが好ましい。
なお、組み合わせを用いる場合においても、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)と、機械的物性の限界値または吸収線量の限界値との比較は、いずれか一方を相関関係を表す近似直線にあてはめて、相関関係から推定される推定値を求め、推定値を限界値と比較することにより行うことができる。推定値は、機械的物性の限界値または吸収線量の限界値を近似直線に代入することによって、赤外吸収スペクトルの変化(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)の値として求め、予め設定されている赤外吸収スペクトルの変化の限界値と比較してもよい。
図8は、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの測定結果と高分子材料の吸収線量の限界値を比較する方法について説明する図である。
図8において、縦軸は、ガンマ線の照射によって変化した赤外吸収スペクトル上のピークの面積の変化率(照射後のピークの面積/照射前のピークの面積)、横軸は、ガンマ線の照射によって高分子材料が吸収した吸収線量[kGy]を示す。
図8に示す方法では、吸収線量の限界値が予め設定されている。吸収線量の限界値(X1)は、約58kGyに設定されている。このような限界値は、図7に示すように、赤外吸収スペクトルの測定結果と機械的物性の測定結果との関係を示す直線同士の交点10に対応する値として求めることができる。吸収線量の限界値(X1)は、破線で示すように、高分子材料の劣化の程度を表す閾値として、赤外吸収スペクトルの変化(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)の限界値(Y1)と等価である。
図8に示す方法では、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率)(y1)を近似直線式に代入することによって、判定対象の高分子材料に吸収された吸収線量の推定値(x1)を求めることができる。この推定値(x1)が、予め設定されている吸収線量の限界値(X1)以上であると、初期状態よりも劣化していると判定することができる。一方、この推定値(x1)が、予め設定されている吸収線量の限界値(X1)未満であると、初期状態から実質的に劣化が進行してなく、健全であると判定することができる。
同様に、赤外吸収スペクトルの測定結果(y1)が、吸収線量の限界値(X1)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y1)以上であると、初期状態よりも劣化していると判定することができる。一方、赤外吸収スペクトルの測定結果(y1)が、吸収線量の限界値(X1)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y1)未満であると、初期状態から実質的に劣化が進行してなく、健全であると判定することができる。
また、判定対象の高分子材料に吸収された吸収線量の推定値(x1)の、吸収線量の限界値(X1)に対する割合を計算することにより、高分子材料の劣化の程度を定量的に評価することができる。同様に、赤外吸収スペクトルの測定結果(y1)の、吸収線量の限界値(X1)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y1)に対する割合を計算することにより、高分子材料の劣化の程度を定量的に評価することができる。
このような方法によると、ガンマ線の照射による赤外吸収スペクトルの変化と、高分子材料に吸収される吸収線量との相関関係が線形的である範囲において、初期状態に対する高分子材料の劣化の程度を正確に評価することができるため、高分子材料の余寿命を高精度に判定することができる。吸収線量の限界値(X1)を、図7に示すように、交点10に対応する値として求めることも可能であるため、機械的物性の測定数を削減することができる。
図9は、高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルの測定結果と高分子材料の機械的物性の限界値を比較する方法について説明する図である。
図9において、縦軸は、ガンマ線の照射によって変化した赤外吸収スペクトル上のピークの面積の変化率(照射後のピークの面積/照射前のピークの面積)、横軸は、ガンマ線を照射した後の高分子材料の機械的物性(引張破断伸び[%])を示す。
図9に示す方法では、機械的物性の限界値が予め設定されている。機械的物性の限界値(X2)は、約500%に設定されている。機械的物性の限界値(X2)は、破線で示すように、高分子材料の劣化の程度を表す閾値として、赤外吸収スペクトルの変化(ピークの面積の変化率・ピークの高さの変化率)の限界値(Y2)と等価である。
図9に示す方法では、赤外吸収スペクトルの測定結果(ピークの面積の変化率)(y2)を近似直線式に代入することによって、判定対象の高分子材料の機械的物性の推定値(x2)を求めることができる。この推定値(x2)が、予め設定されている機械的物性の限界値(X2)以上であると、初期状態よりも劣化していると判定することができる。一方、この推定値(x2)が、予め設定されている機械的物性の限界値(X2)未満であると、初期状態から実質的に劣化が進行してなく、健全であると判定することができる。
同様に、赤外吸収スペクトルの測定結果(y2)が、機械的物性の限界値(X2)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y2)以上であると、初期状態よりも劣化していると判定することができる。一方、赤外吸収スペクトルの測定結果(y2)が、機械的物性の限界値(X2)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y2)未満であると、初期状態から実質的に劣化が進行してなく、健全であると判定することができる。
また、判定対象の高分子材料の機械的物性の推定値(x2)の、機械的物性の限界値(X2)に対する割合を計算することにより、高分子材料の劣化の程度を定量的に評価することができる。同様に、赤外吸収スペクトルの測定結果(y1)の、機械的物性の限界値(X2)に対応した赤外吸収スペクトルの変化の限界値(Y1)に対する割合を計算することにより、高分子材料の劣化の程度を定量的に評価することができる。
このような方法によると、配管や配管機器に要求される機械的物性に応じて、初期状態に対する高分子材料の劣化の程度を正確に評価することができるため、高分子材料の余寿命を高精度に判定することができる。赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性との相関関係が十分に線形的でない場合であっても、吸収線量との相関関係を用いる場合と比較して、初期状態に対する劣化の有無を確実に評価することができる。
相関関係にあてはめて比較する工程S130では、高分子材料の余寿命を、余寿命残時間として定量的に求めることもできる。余寿命残時間は、限界値との大小関係の比較によって、初期状態よりも劣化していると判定された場合に、当該判定対象の高分子材料について求めることが好ましい。
余寿命残時間(T)は、高分子材料が用いられる実環境の線量率が大きい場合、次の式(1)で表すことができる。
余寿命残時間=(吸収線量の限界値[kGy]−吸収線量の測定値[kGy])
/実環境線量率[kGy/h]×線量率効果係数・・・(1)
また、余寿命残時間(T)は、高分子材料が用いられる実環境の線量率が極めて小さい場合、ないし、ガンマ線等の放射線よりも外気温度、紫外線量等の影響が支配的である場合、次の式(2)で表すことができる。
余寿命残時間=(吸収線量の限界値[kGy]−吸収線量の測定値[kGy])
/実環境使用時間[h]/吸収線量の測定値[kGy]・・・(2)
このような余寿命残時間によると、判定対象の高分子材料の余寿命を、実環境線量率で分けて時間単位で表すことができるため、劣化の程度が認識され易くなる。この余寿命判定方法では、ガンマ線等の放射線と、熱、酸素、紫外線等との複合劣化を評価することができるが、放射線の影響の大きさにかかわらず、時間単位で比較することが可能になる。
次に、高分子材料で形成された配管または配管機器の検査方法について説明する。
本実施形態に係る検査方法は、前記の余寿命判定方法の原理を用いて、高分子材料で形成された配管または配管機器の劣化の程度を検査する方法に関する。高分子材料で形成された配管や配管機器は、可搬式の顕微赤外分光光度計を用いることにより、実環境において、設備上に設置されている状態で評価することができる。
検査対象の配管や配管機器としては、放射線環境下や放射性物質を含む流体の移送に用いられる配管や配管機器を対象とすることが好ましい。特に、原子力関連施設で広く用いられている点で、高密度ポリエチレン、もしくは、ポリ塩化ビニルで形成された配管や継手、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、もしくは、テトラフルオロエチレンで形成されたパッキンやガスケットが好ましい。
本実施形態に係る検査方法は、検査対象の配管または配管機器の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている機械的物性の限界値、または、予め設定されている吸収線量の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含む。
検査に用いる相関関係は、前記の余寿命判定方法と同様に、検査対象の配管または配管機器と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との関係として求められた関係である。検査に用いる相関関係は、前記の相関関係を求める工程S110と同様にして求めることができる。高分子材料は、任意の形状の試験片であってもよいし、配管や配管機器の形状に成形された試験品であってもよい。
本実施形態に係る検査方法では、前記の判定対象の高分子材料の赤外吸収スペクトルを測定する工程S120と同様に、検査対象の配管または配管機器の表面の赤外吸収スペクトルを測定した後、前記の相関関係にあてはめて比較する工程S130と同様に、検査対象の配管または配管機器の劣化の程度を評価することができる。
次に原子力関連施設で用いられる配管および配管機器の具体的な検査方法を示す。
高密度ポリエチレン製の配管や継手を検査する場合、ガンマ線を照射する工程(ステップS112)において、ガンマ線の線量率は、例えば、1kGy/h、ガンマ線の吸収線量は、例えば、25〜100kGyの範囲とする。高密度ポリエチレン製の場合、図3に示すような赤外吸収スペクトルが得られる。高密度ポリエチレン製の配管および継手の機械的物性としては、引張強度または引張破断伸びを測定することができる。
高密度ポリエチレン製の配管および継手の機械的物性の限界値(X2)としては、引張破断伸びの値で、350%等がある。図9に示すように、赤外吸収スペクトルの測定結果(y2)が得られたとき、判定対象の機械的物性の推定値(x2)が420%であったとすると、初期品よりも劣化していると判定することができる。このとき、判定対象の機械的物性の推定値(x2)の、機械的物性の限界値(X2)に対する割合は、120%となる。
また、余寿命残時間は、実環境の線量率が大きい場合、吸収線量の限界値を75kGy、吸収線量の測定値を68kGy、実環境線量率を1×10−4、線量率効果係数を0.4として、28000hと計算することができる。また、実環境の線量率が小さい場合、実環境使用時間を70000hとして、7206hと計算することができる。
また、ポリ塩化ビニル製の配管や継手を検査する場合、ガンマ線を照射する工程(ステップS112)において、ガンマ線の線量率は、例えば、1kGy/h、ガンマ線の吸収線量は、例えば、50〜200kGyの範囲とする。ポリ塩化ビニル製の場合、波数1800〜1700cm−1の範囲に、ガンマ線の照射によるシグナルの変化が現れる。ポリ塩化ビニル製の配管および継手の機械的物性としては、引張強度または引張破断伸びを測定することができる。
また、EPDM製のパッキン(Oリング)を検査する場合、ガンマ線を照射する工程(ステップS112)において、ガンマ線の線量率は、例えば、10kGy/h、ガンマ線の吸収線量は、例えば、0.1〜2MGyの範囲とする。EPDM製の場合、波数1800〜1500cm−1の範囲に、ガンマ線の照射によるシグナルの変化が現れる。EPDM製のパッキンの機械的物性としては、圧縮永久歪みを測定することができる。
また、NBR製のガスケット(Oリング)を検査する場合、ガンマ線を照射する工程(ステップS112)において、ガンマ線の線量率は、例えば、10kGy/h、ガンマ線の吸収線量は、例えば、0.1〜1MGyの範囲とする。NBR製の場合、波数1900〜1600cm−1の範囲に、ガンマ線の照射によるシグナルの変化が現れる。NBR製のパッキンの機械的物性としては、圧縮永久歪みを測定することができる。
以上の余寿命判定方法や検査方法によると、所定の限界値に対する定性的な判定や、所定の限界値に対する割合を求める定量的な判定によって、初期状態等の所定の基準に対する劣化の程度を診断することができるため、高分子材料、配管や配管機器の余寿命を判定することができる。特に、ガンマ線の照射による劣化試験を行うため、加熱劣化試験等とは異なり、数年間に及ぶような長時間の試験を行う必要がなく、短時間で必要なデータを得ることができる。また、ガンマ線の照射による劣化試験を行うため、ガンマ線等の放射線と、紫外線、熱、酸素、水分等とによる複合劣化についても、相関関係を求めることができる。また、高分子材料の表面で測定される赤外吸収スペクトルの変化を利用するため、可搬式の簡便な計測装置を用いて、対象を非破壊で簡易的に測定することが可能であり、測定作業を短時間で容易に行うことができる。よって、放射線等の外的因子による高分子材料の余寿命を、簡便且つ高精度に診断することができる。
また、以上の余寿命判定方法や検査方法によると、余寿命や劣化の程度の評価に、相関関係を利用するため、測定・検査の頻度を少なくして、メンテナンス等のコストを低減することも可能になる。また、対象の測定に可搬式の顕微赤外分光光度計を用いることが可能であるため、実環境で使用されている高分子材料、配管や配管機器を、特殊な技術を要することなく、非破壊で短時間に測定することができる。そのため、原子力関連施設のような放射線環境で使用されている高分子材料、配管や配管機器であっても、作業者の被曝を低減しつつ負担少なく測定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
10 交点
110 近似曲線
120 近似曲線

Claims (15)

  1. 高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法であって、
    判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性との相関関係を求める工程と、
    判定対象の高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記機械的物性の限界値と、を前記相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記機械的物性の限界値との関係、または、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記機械的物性の限界値に対する割合に基づいて、前記判定対象の高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法。
  2. 請求項1に記載の余寿命判定方法であって、
    前記相関関係を求める工程は、
    複数の標準試料のそれぞれについて、前記ガンマ線を照射する前の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記標準試料のそれぞれに対し、一定の線量率の下、互いに異なる吸収線量となるようにガンマ線を照射する工程と、
    前記標準試料のそれぞれについて、前記ガンマ線を照射した後の表面の赤外吸収スペクトルを測定し、照射によって変化したピークの面積またはピークの高さを求める工程と、
    前記標準試料のそれぞれについて、前記ガンマ線を照射した後の機械的物性を測定する工程と、を含む余寿命判定方法。
  3. 請求項1に記載の余寿命判定方法であって、
    前記機械的物性の限界値は、前記赤外吸収スペクトルの測定結果と前記機械的物性の測定結果との関係を示す直線同士の交点に対応する値として求められる余寿命判定方法。
  4. 請求項1に記載の余寿命判定方法であって、
    判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との相関関係を求める工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記吸収線量の限界値と、を前記相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記吸収線量の限界値との関係、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記機械的物性の限界値との関係、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記吸収線量の限界値に対する割合、または、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記機械的物性の限界値に対する割合に基づいて、前記判定対象の高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法。
  5. 高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法であって、
    判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との相関関係を求める工程と、
    判定対象の高分子材料の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記吸収線量の限界値と、を前記相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記吸収線量の限界値との関係、または、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記吸収線量の限界値に対する割合に基づいて、前記判定対象の高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法。
  6. 請求項5に記載の余寿命判定方法であって、
    前記相関関係を求める工程は、
    複数の標準試料のそれぞれについて、前記ガンマ線を照射する前の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記標準試料のそれぞれに対し、一定の線量率の下、互いに異なる吸収線量となるようにガンマ線を照射する工程と、
    前記標準試料のそれぞれについて、前記ガンマ線を照射した後の表面の赤外吸収スペクトルを測定し、照射によって変化したピークの面積またはピークの高さを求める工程と、を含む余寿命判定方法。
  7. 請求項5に記載の余寿命判定方法であって、
    判定対象の高分子材料と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性との相関関係を求める工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記機械的物性の限界値と、を前記相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記吸収線量の限界値との関係、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値と、前記機械的物性の限界値との関係、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記吸収線量の限界値に対する割合、または、前記赤外吸収スペクトルの測定結果から前記相関関係に基づいて推定される推定値の、前記機械的物性の限界値に対する割合に基づいて、前記判定対象の高分子材料の余寿命を判定する余寿命判定方法。
  8. 高分子材料で形成された配管または配管機器の劣化を検査する検査方法であって、
    検査対象の配管または配管機器の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記機械的物性の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記相関関係は、検査対象の配管または配管機器と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と機械的物性との関係として求められた関係である検査方法。
  9. 高分子材料で形成された配管または配管機器の劣化を検査する検査方法であって、
    検査対象の配管または配管機器の表面の赤外吸収スペクトルを測定する工程と、
    前記赤外吸収スペクトルの測定結果と、予め設定されている前記吸収線量の限界値と、を相関関係にあてはめて互いに比較する工程と、を含み、
    前記相関関係は、検査対象の配管または配管機器と同じ材質の高分子材料にガンマ線を照射して、表面の赤外吸収スペクトルの変化と吸収線量との関係として求められた関係である検査方法。
  10. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、原子力関連施設に設けられた配管または配管機器である検査方法。
  11. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、配管であり、
    前記配管は、高密度ポリエチレン、もしくは、ポリ塩化ビニルで形成された配管である検査方法。
  12. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、配管機器であり、
    前記配管機器は、高密度ポリエチレン、もしくは、ポリ塩化ビニルで形成された継手である検査方法。
  13. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、配管機器であり、
    前記配管機器は、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、もしくは、テトラフルオロエチレンで形成されたパッキンまたはガスケットである検査方法。
  14. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、配管または継手であり、
    前記機械的物性は、引張強さ、または、引張破断伸びである検査方法。
  15. 請求項8または請求項9に記載の検査方法であって、
    前記検査対象は、パッキンまたはガスケットであり、
    前記機械的物性は、圧縮永久歪みである検査方法。
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