従来の臨床診断は、診療所または瀉血センターでの瀉血によって収集された血液サンプルを用いて行われる。瀉血によって収集される少量の血液は、最大10ミリリットルまでとなり得る。
別のサンプルタイプは、患者の体験および利便性を潜在的に向上させることに注目したものである。例えば、マイクロサンプリングは、分析のために少量の生体サンプル(例えば、100マイクロリットル以下)を採取し分析する方法である。マイクロサンプリングは、自宅またはオフィスなど遠隔地での患者による指穿刺を介した収集で実施することができる。指穿刺による収集は、患者の指を針で刺すこと、1滴の血液が皮膚表面へと出現できるようにすること、およびその血液の滴を検査デバイスの吸収チップで捕らえることを含む。次いで、その検査デバイスをケースに密封し、分析のために研究所へと冷凍または特別な取り扱いなしに郵送する。この少量生体サンプルを用いてあらゆる被分析物(例えば、分子の、小分子、タンパク質、ペプチドなど)を検査することができる。上述の例では指穿刺による収集について述べたが、当業者は、少量生体サンプル(マイクロサンプル)は、サンプルサイズが100マイクロリットル以下であれば、他の既知の手法によって収集してもよいことを理解されよう。
マイクロサンプリングに必要な少量は、例えば瀉血によって収集される従来の臨床診断に必要な少量の500〜1,000分の1の量で済む。マイクロサンプリングにおいて収集される血液量が少なくて済むことは、例えば、貧血および/または鉄分欠乏が問題となり得る、いくつかの被分析物について頻繁な検査を受ける患者にとって好都合である。マイクロサンプリング手法の使用は、瀉血を恐れるもしくは好まない者、または静脈アクセスが困難な者(例えば、幼児、肥満者など)にとって望ましいこともある。マイクロサンプリングはさらに、診療所または瀉血センターを必要とする、従来の診断検査のためのサンプル収集に関連するインフラストラクチャコストを減少させる。
マイクロサンプリング検体収集デバイス(すなわち、マイクロサンプラー)の一例は、Mitra(登録商標)マイクロサンプラーである。図1を参照すると、Mitra(登録商標)マイクロサンプラーは、遠位端にあるバレルと、リブを有するサンプラー本体と、近位端にある吸収性サンプラーチップとを含む。遠位端は、標準的な20〜200マイクロリットルピペットヘッドに適合する。バレルには、サンプル源を識別するためのラベルまたは記載があってもよい。サンプラー本体のリブは、サンプルが抽出プレートのウェルに接触することを防ぐ。サンプラーチップは、流体を素早く吸い上げる親水性多孔質材料を含む。サンプラーチップは、血液のヘマトクリットレベルにかかわらず、毎回、数秒間で例えば10マイクロリットルまたは20マイクロリットルを収集する。サンプルには、周囲温度で2時間以下で乾燥する。乾燥したサンプルは、生物学的有害物資とはみなされないので、ドライアイスの必要性、特別な輸送およびそれに伴うコストは不要である。
分析の前に、生体サンプルをマイクロサンプラーから抽出しなければならない。一般に、複数のサンプルが単一の手順で(順次または同時に)処理される。例えば、サンプルは、1つのサンプルをそれぞれ受容するように構成された従来の96ウェルプレートで処理することができる。他の例としては、サンプルラックは、1つのサンプルをそれぞれ受容するように構成された試験管を受容する複数のウェルを含むことができる。そのようなサンプルラックは、最大96までのサンプルを処理するように最大96までのウェルまたは試験管を含むことができる。図2Aおよび図2Bは、Mitra(登録商標)96−Autorackに挿入されているMitra(登録商標)マイクロサンプラーを示している。図3に見られるように、従来のサンプルラックは、複数の円形孔を有するプレートによって覆われている。例えばHamilton製のサンプルハンドラーである自動サンプルハンドラーは、20〜200マイクロリットルのピペットヘッドを含み、所望量の溶液(例えば、抽出緩衝液、水など)を各ウェルまたは試験管に自動で分注するようにプログラムすることができる。
サンプルを抽出するために、各マイクロサンプラーのサンプラーチップは、抽出緩衝液と接触するように配置され、抽出緩衝液を吸収する。次に、さらなる抽出処理(例えば、振とう、加熱または冷却)を受けるために、各サンプラーチップをマイクロサンプラーから手作業で取り外さなければならない。サンプルへの汚染が起こらないように注意しながらの手作業での各サンプラーの取り外しには長時間を要する。
マイクロサンプリング手法の場合、採取されるサンプル量は、100マイクロリットル以下である。サンプルチップをマイクロサンプラーから取り外し、標準的な試験管(12mm×75mm)の底部に配置する場合、サンプルの回収、試験管の底部からの液体の採取、および回収したサンプルの分析に使用できる実験装置の種類に関して制限がある。
上述の課題を解決する技術を含む、改良された技術が必要とされている。
1つの例示的な実施形態は、生物学的サンプリングに使用される装置に関する。装置は、サンプルラックに取り付けられるように構成されたプレートを含む。プレートは、貫通する複数の開口を含み、複数の開口は、第1の部分と第2の部分とを備える非円形形状をそれぞれ有し、第1の部分は、第2の部分より小さな横寸法を有する。
いくつかの実施形態によれば、複数の開口のそれぞれは、涙滴形を有する。他の実施形態によれば、複数の開口のそれぞれは、鍵穴形を有する。さらに他の実施形態によれば、開口の第1の部分は、ノッチ部分である。
いくつかの実施形態によれば、複数の開口のそれぞれは、サンプリングデバイスを挿通状態で受容するように構成され、第1の部分は、サンプリングデバイスからのサンプラーチップの分離を可能にするように構成される。
いくつかの実施形態によれば、サンプリングデバイスは、マイクロサンプリング検体収集デバイスである。
いくつかの実施形態によれば、装置は、サンプルラックを含み、プレートは、サンプルラックに連結されている。
いくつかの実施形態によれば、サンプルラックは、プレートの複数の開口に対して整列された複数の試験管を保持するように構成される。
いくつかの実施形態によれば、基部とその基部から延びる突出部とを備えるマイクロ遠心バイアルが含められ、基部は、マイクロ遠心バイアルを試験管に固定するように構成される。いくつかの実施形態によれば、延長部は、基部から延び、試験管へのマイクロ遠心バイアルの固定を助けるように試験管の上端を受容することができる溝を画定する。いくつかの実施形態によれば、突出部は、中空であり、生体サンプルを受容するように構成される。
例示的な一実施形態によれば、サンプリングデバイスから生体サンプルを抽出する方法は、本節の前段落のいずれかに示されるような装置を用いる。方法は、生体サンプルを含むサンプリングデバイスの少なくとも一部分をプレートの複数の開口のうちの1つに挿入することを含み、ここで、サンプリングデバイスは、サンプラー本体とサンプラーチップとを備え、サンプラーチップは、挿入後にプレートの下に位置する。方法は、サンプリングデバイスを開口の第1の部分へと横に動かすことをさらに含む。方法は、サンプラーチップをサンプラー本体から分離させるようにサンプラー本体を開口から後退させることをさらに含む。
いくつかの実施形態によれば、サンプラー本体を開口から後退させることは、サンプラーチップの少なくとも一部分を開口の第1の部分を囲繞するプレートに係合させ、それによってサンプラーチップがサンプラー本体から分離される。
いくつかの実施形態によれば、方法は、複数のサンプリングデバイスに対してこの方法のステップを同時に実行することを含む。
いくつかの実施形態によれば、方法は、自動サンプルハンドラーを用いて実行される。
本出願に記載の特徴のいずれかを、主に記載されるもの以外の組合せおよび主に記載されるもの以外の実施形態により使用することができ、そうしたすべての変形形態および修正形態は本開示の範囲内に入るものとすることを理解されたい。
本開示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより十分に理解されよう。
図面において確認されるあらゆる寸法は、非限定的な例である。
例示的な実施形態を詳細に示す図面に移る前に、本出願は、説明で述べられるまたは図面に示される詳細または方法に限定されないことを理解されたい。さらに、専門用語は、説明のみを目的としており、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
例示的な一実施形態によれば、サンプリング装置またはシステムは、サンプル分析プロセスの自動化の向上を意図し、さらにはマイクロサンプリングに関する機能性の向上を可能にする機能を含む。1つの例示的な実施形態によれば、サンプリングラックは、生体サンプルを獲得するために使用されるサンプリングデバイスからサンプリングチップを取り外しやすくする複数の非円形孔または開口を含むプレートを用いる。非円形孔または開口は、サンプリングデバイスより寸法が小さく、サンプリングデバイスからサンプリングチップを分離させることができるように構成された部分を含む。プレートは、任意の数の開口または孔を含むことができ、1つの特定の実施形態では、当分野で使用される標準的なサンプルラックに適合するように、そうした開口または孔を96個含むことができる。
サンプリング装置またはシステムはさらに、試験管、バイアルまたは他の類似デバイスと連結するように構成することができるマイクロ遠心バイアルを用いることができる。マイクロ遠心バイアルは、比較的少量の生体サンプルの捕捉または保持を可能にするための構造を有し、遠心機または他の分析機器に適合する。サンプルは、マイクロ遠心バイアルに受容された後、分析のために遠心機または他の分析機器へと輸送され得る。
次に図4A、図4B、図5および図6に移ると、(例えば、複数の試験管またはサンプルバイアルを受容するための)サンプルラック10は、プレート20とともに、サンプリングデバイス(例えば、図1に関して上述したMitra(登録商標)マイクロサンプラーであるが、本開示の趣旨から逸脱することなく他の例示的な実施形態に従って他のタイプのサンプリングデバイスを使用してもよく、サンプリングデバイスはマイクロサンプリングデバイスである必要はない)からサンプラーチップを取り外す自動化されたプロセスにおいて使用することができる。
サンプルラック10およびプレート20のどちらかまたは両方は、被分析物の分析に影響を与えない生体適合材料を用いて任意の適当なプロセスによって生産することができる。例えば、プレートは、積層造形プロセス(例えば、3D印刷)を用いて生産することができる。他の例示的な実施形態に従って他の生産方法を使用してもよい。あるいは、プレート20を3D印刷(または他のプロセスによって生産)し、サンプルラック10として図示されるような市販のサンプルラックに嵌めてもよい。
上述したように、サンプルラック10は、従来の96ウェル構造を有することができ(図4A、図4B、図5および図6参照)、または、試験管(図示せず)を受容する1つまたは複数のウェルを含んでもよい。他の例示的な実施形態によれば、より多いまたはより少ないウェルを用いてもよい。図示のように、プレート20は、サンプルラック10のウェルまたは試験管にそれぞれ対応するよう意図される、プレートを貫通する複数の孔または開口21(非円形開口として図示される)を含む。例えば、96のウェルまたは試験管を含むサンプルラック10の場合、プレート20は、96の非円形開口21を含むことになる。
各開口21は、非円形であり、(ノッチ部分または面積縮小部分として図示される)第1の部分21A、および(試験管またはサンプルバイアルが挿通状態でもたらされ得るように適合された略円形形状を有するより大きな部分として図示される)第2の部分21Bを有する。参照しやすくするため、本明細書において以降、第1の部分21Aを開口21の「ノッチ部分21A」、第2の部分21Bを開口21の「大寸法部分21B」と称することにする。大寸法部分21Bは、ノッチ部分21Aに比べてより大きな横寸法を有する。図5は、プレート20が涙滴形開口21を有し、大寸法部分21Bが涙滴形のより大きな部分であり、ノッチ部分21Aがそこから延びるより小さな部分である、一例を示している。図6は、プレート20が鍵穴形開口21(ここでも、鍵穴形のより小さな部分をノッチ部分21A、鍵穴形のより大きな部分を大寸法部分21Bとする)を有する、他の例を示している。非円形開口の2つの構造を図5および図6に示してきたが、本開示を検討する当業者には、本明細書に開示される概念の趣旨から逸脱することなく他の形状も可能であり、そうした構造は本出願の範囲内に入るものとみなされることを理解されたい。
以下により詳細に述べるように、大寸法部分21Bは、サンプラーチップを受容するように構成され、ノッチ部分21Aは、サンプリングデバイスの本体からの生体サンプルを含むサンプラーチックの分離/取り外しを支援するように構成される。
プレート20は、プレート20に設けられた孔22での例えばスナップ嵌合または締結具の挿入によって、サンプルラック10に取り付けられるように構成される。図4A、図4B、図5および図6に示されるように、孔22は、プレート20の角に位置する。しかし、他の例では、孔22は、プレート20の周囲に沿って様々な位置に配置することができる。
操作の際、プレート20は、サンプルラック10に取り付けられる。生体サンプルを含むサンプラーチップをそれぞれ有する1つまたは複数のサンプリングデバイスは、プレート20の上から開口21の大寸法部分21Bを通ってサンプルラック10に(1つのウェルまたは試験管あたり1つのマイクロサンプラーが)挿入される。開口21の大寸法部分21Bのサイズは、サンプリングデバイスが開口の側部とサンプリングデバイスの側面が干渉し合うことなく簡単に開口21に挿入できるように、サンプリングデバイスより大きなサイズになっている。挿入後、サンプラーチップは、プレート20より下に配置される一方、サンプリングデバイスの本体および遠位端は、プレート20より上にもたらされる(例えば、図4B参照)。サンプラーチップは非円形開口21のノッチ部分21Aより大きいので、以下にさらに詳細に述べるように、ノッチ部分21Aは、サンプリングデバイスからサンプラーチップを分離させやすくすることに使用することができる。例えば、サンプリングデバイスは、開口に挿入されると、サンプラーチップより小さいノッチ部分21Aへと横に動かされ得る。次いで、サンプリングデバイスが開口から上方に出されると(例えば開口から後退させられると)、サンプラーチップは、その少なくとも一部分が開口のより小さなノッチ部分を囲繞するプレートの部分に係合するので、サンプリングデバイスの本体から外れることになる。
サンプリングデバイスの取り扱いは、市販の自動サンプルハンドラー(例えば、20〜200マイクロリットルのピペットヘッドを含む)を用いて自動化することができる。例示的な一実施形態によれば、サンプリングデバイスの遠位端は、標準的な20〜200マイクロリットルピペットヘッドとの使用のために(例えば、それに嵌合するよう)構成される。自動サンプルハンドラーは、ピペットヘッドを介してサンプリングデバイスを持ち上げて、サンプルラック10の所望の位置に挿入するようにプログラムすることができる。自動サンプルハンドラーはさらに、サンプラーチップが開口21のノッチ部分21Aに少なくとも部分的に配置されるように、サンプルデバイスをサンプルラック10内で横に動かすように構成することができる。自動サンプルハンドラーは、サンプラーチップをノッチ部分21Aに配置すると、サンプリングデバイスをプレート20から垂直方向に出すことができる。サンプリングデバイスが上昇されるとき、サンプラーチップは、非円形開口21の大寸法部分21Bより小さいノッチ部分21Aに入り込むことができない。サンプラーチップは、ノッチ部分21Aを通過できないので、サンプリングデバイスから分離され、サンプルラック10内に残ることになる。こうして、非円形開口21を有するプレート20を用いてサンプラーチップを取り外すプロセスを自動化することができる。自動サンプルホルダは、複数のサンプリングデバイスを同時または順次に動かすことに使用することができる。
プレート20は、サンプルを抽出するプロセスを実行する前に取り外すことができる。または、プレート20は、抽出緩衝液または水がサンプルラック10のウェルに加えられる間、所定位置に残っていてもよい。
次に図7〜12を参照すると、サンプリング装置がマイクロサンプル(100マイクロリットル以下、具体的には10マイクロリットル、20マイクロリットル、30マイクロリットルなど少量の生体サンプル)の処理に使用される適用例では、マイクロ遠心バイアル50を使用することができる。例えば、マイクロ遠心バイアル50は、少量の生体サンプルを受容するために、標準サイズの試験管(例えば12mm×75mm)またはサンプルバイアルのような類似のタイプのデバイスに連結され得る。例示的な一実施形態によれば、各試験管に1つのマイクロ遠心バイアル50を挿入することができる。マイクロ遠心バイアル50は、それが挿入される試験管または他のデバイスの長さ未満の長さを有する。以下にさらに詳細に述べるように、マイクロ遠心バイアル50を使用することで、確実に生体サンプルが既存の実験装置に適合し、より簡単に抽出され得るようになる。
マイクロ遠心バイアル50は、中空であり、(例えば環状リムまたはリップとして示される)基部51、および基部51から下方に延びる突出部52(例えば、カップ、レセプタクルなど)を含む。図8〜11を参照すると、マイクロ遠心バイアル50は、摩擦嵌合によって試験管またはバイアルを封止するストッパとして機能することができる(参照しやすくするため、デバイスは、以下では試験管として論議するが、他の例示的な実施形態に従って他の類似のデバイスを使用することもできることを理解されたい)。基部51は、(試験管の上面を受容せずに)試験管の上面に載る。図12を参照すると、いくつかの例では、マイクロ遠心バイアル50は、基部51の下面に形成された溝54を画定する延長部を含むことができる。溝54は、マイクロ遠心バイアル50が試験管に嵌合されるときにその試験管の上面を受容するように構成され、マイクロ遠心バイアル50を試験管により強固に取り付ける(例えば、係止する)働きをする。他の例では、マイクロ遠心バイアル50は、繰り返し可逆的に開閉することができる蓋53(図13参照)を含むことができる。
マイクロ遠心バイアル50は、積層造形(例えば、3D印刷)を含む任意の適当なプロセスを用いて製造することができる。マイクロ遠心バイアル50は、選択するマイクロサンプリングデバイスのタイプまたは使用する実験装置に適合するように構成される様々な形状およびサイズで生産することができる。図7〜図13は、マイクロ遠心バイアル50の形状およびサイズの様々な非限定的な例を示している。これらの様々な例では、突出部52は、丸みのある端部、尖端部または円錐台形端部を有することができる。突出部52の壁は、垂直部分および傾斜部分(図8〜図11参照)を含むことができ、または傾斜部分だけを含んでもよい(図12参照)。突出部52の壁は、緩やかな勾配または急な勾配で傾斜してもよい(図9と図10を比較)。突出部52の長さは、様々な実施形態により異なってもよい(図9と図11を比較)。
マイクロ遠心バイアル50は、上述のサンプルラック10およびプレート20を含むサンプリング装置で使用することができる。あるいは、マイクロ遠心バイアル50は、サンプルラック10および円形開口を有するプレート(例えば図3参照)を含むサンプリング装置で使用してもよい。マイクロ遠心バイアル50はさらに、100マイクロリットル以下の生体サンプルを採取するMitra(登録商標)マイクロサンプラーなどのマイクロサンプラーとともに使用してもよい。生体サンプルを吸収するサンプラーチップは、マイクロ遠心バイアル50に挿入される。サンプラーチップは、上述した自動化された分離方法を用いて、マイクロサンプラーから分離されマイクロ遠心バイアル50に挿入され得る。または、サンプラーチップは、手作業で、マイクロサンプラーから分離しマイクロ遠心バイアル50に挿入してもよい。いくつかの例では、サンプラーチップは、サンプルの抽出前にマイクロサンプラーから分離される。このような場合、サンプラーチップは、マイクロ遠心バイアル50に入っている抽出緩衝液または水に浸され得る。
サンプラーチップおよび抽出緩衝液または水が入ったマイクロ遠心バイアル50は、試験管から取り外され単独で遠心機に配置され得る。または、サンプラーチップおよび抽出緩衝液または水が入ったマイクロ遠心バイアル50は、試験管に取り付けられたまま遠心機に配置されてもよい。遠心機は、サンプラーチップからのサンプルの抽出に使用される。生体サンプルは、例えば、血液、尿、涙、唾液、汗、血清、脳脊髄液(CSF)、血漿または滑液とすることができる(しかし、他の例示的な実施形態に従って他の種類のサンプルを使用することもできる)。マイクロサンプラーは、マイクロ遠心バイアル50および試験管とともに使用することができるが、必ずしもマイクロサンプリング装置の一部ということではない。
所望ならば、標準サイズの試験管を使用する代わりに、マイクロ遠心バイアル50を特注の管状ケーシング40に嵌合させることもできる。いくつかの例では、管状ケーシング40は、マイクロ遠心バイアル50を受容するために一方端が開いた中空の円筒形シェルである(図15参照)。管状ケーシング40は、ラック10に適合するように、標準試験管のサイズを模倣して設計することができる。他の例では、管状ケーシング40は、一方端が開いており、矩形アパーチャ41が形成されるように管状ケーシング40の一部分が除去された、中空の円筒形シェルとすることができる(図16参照)。いくつかの例では、矩形アパーチャ41によって使用者が管状ケーシング40の内部を見ることが可能になる、またはマイクロサンプラーに設けられたバーコードがスキャン可能になる(図14の左上参照)。バーコードは、生体サンプルに関する情報、例えば出所、生体サンプルの種類、生体サンプルが収集された日付、患者名もしくは識別番号、または分析予定の被分析物などを識別するためにスキャンすることができる。
次に図17を参照して、マイクロサンプリング装置を使用して生体サンプルを分析する方法100について述べる。ステップ110において、サンプルが装填され、その間、カートリッジがキャリアに装填され関連のバーコードがスキャンされ得る。装填操作の間、1つまたは複数の管状ケーシング40(または他の実施形態による試験管)がサンプルラック10に設けられる。1つのマイクロ遠心バイアル50が各試験管または各管状ケーシング40に挿入される。プレート(例えば、プレート20または円形開口を有するプレート)がサンプルラック10に固定される。サンプラーチップに生体サンプルを含んだ1つまたは複数のマイクロサンプラーが、マイクロサンプラーのサンプラーチップがプレートの下のそれぞれのマイクロ遠心バイアル50に入るように、マイクロサンプリング装置に(各試験管または各管状ケーシング40に1つのマイクロサンプラーが)挿入される。マイクロサンプラーまたは試験管もしくは管状ケーシング40に付けられたバーコードが、サンプル情報の取得のために読み取られ得る。次いで、マイクロサンプラーは、マイクロサンプリング装置から(自動化されたプロセスで)除去される、またはサンプラーチップがマイクロサンプラーから手作業で分離される。分離されたサンプラーチップは、マイクロ遠心バイアル50にもたらされる。
ステップ120において、各マイクロ遠心バイアル50には、サンプラーチップがマイクロ遠心バイアル50に挿入される前に抽出緩衝液または水が予め装填されてもよい。または、抽出緩衝液または水は、サンプラーチップがすでに入っているマイクロ遠心バイアル50に加えられてもよい。サンプラーチップを取り外してからサンプル抽出プロセスの実行前に抽出緩衝液または水に浸すことで、被分析物の回収率が上がる。次いでステップ130において、マイクロサンプリング装置は、振とう、加熱または冷却などの1つまたは複数の既知の抽出方法を含むサンプル抽出プロセスを受け得る。いくつかの例では、サンプルは、任意選択で、窒素下で乾燥される、および/または再構成され得る。次いでステップ140において、マイクロサンプリング装置は、サンプルの所望の特性を分析するために、質量分析計または自動分析装置(例えば、AbbottのArchitect、およびBeckman−CoulterのAU自動分析装置)などの機器に装填される。
マイクロサンプリング装置の各構成要素は3D印刷できるので、材料コストが大幅に削減される。マイクロサンプリング装置は、化学成分およびサンプルの抽出の自動化を可能にし、様々なマイクロサンプラーおよび自動化サンプルハンドラーシステムに適合する。
当業者には、本開示の範囲および趣旨内で他の実施形態および修正形態があることが明らかであろう。したがって、本開示からその範囲および趣旨内で当業者によって適用可能なすべての修正形態は、本開示のさらなる実施形態として包含されるべきである。添付の図面に含まれる任意の寸法は、単なる代表例であり、多くの変形形態が可能であるように、いかなる点でも定義または限定するものとみなすべきではない。
本明細書で用いられるような用語「ほぼ」、「約」、「実質的に」および同様な用語は、本開示の主題が関係する当業者による、一般的かつ許容される使用と協調して広い意味を有することが意図される。本開示を検討する当業者には、これらの用語は、これらの特徴の範囲を、提供される正にその数値範囲に制限することなく記載および特許請求される一定の特徴の説明を可能にすることを意図されることを理解されたい。したがって、これらの用語は、記載および特許請求される主題の、わずかな、または重要部分でない修正または変更が、添付の特許請求の範囲に示される開示の範囲内にあるとみなされることを示すものと解釈されるべきである。
様々な実施形態を説明するのに本明細書で使用されるような用語「例示的な」およびその変形表現は、そのような実施形態が、可能な実施形態の可能な例、代表例、または例証であることを示すことを意図している(そのような用語は、そのような実施形態が必然的に特別なまたは最高の例であることを暗示することは意図しない)ことに留意されたい。
本明細書で用いられるような用語「連結される」という用語およびその変形表現は、2つの部材を直接的または間接的に互いに結合することを意味する。そうした結合は、静的(例えば、恒久的もしくは固定的)または可動的(例えば取り外し可能もしくは解放可能)であってもよい。そうした結合は、2つの部材が互いに直接的に連結されるか、別の介在部材および互いに連結される任意の追加的な中間部材を用いて2つの部材が互いに連結されるか、または、2つの部材のうちの一方と単一ユニット式ボディとして一体形成された介在部材を用いて、2つの部材が互いに連結されることによって、実現されてもよい。「連結される」またはその変形表現が、追加的な用語によって修飾される場合(例えば、直接的に連結される)、上述に提供した「連結される」の一般的定義は、その追加的な用語の通常語の意味によって修飾され(例えば、「直接的に連結される」は、別の介在部材を伴わない2つの部材の結合を意味する)、その結果、上述に提供した「連結される」の一般的定義より狭い定義となる。そうした連結は、機械的、電気的、または流体的であってもよい。
本明細書において用いられるような用語「または」は、その包含的語義において(かつ、その排他的語義においてではなく)用いられ、そのため、要素のリストを接続するために用いられる場合、用語「または」は、リスト中の要素の1つ、いくつか、または全部を意味する。「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という句などの接続的な言葉は、別段の具体的記述がない限り、要素が、X、Y、Zのいずれか;XおよびY;XおよびZ;YおよびZ;または、X、Y、およびZ(すなわち、X、Y、およびZの任意の組合せ)であってもよいことを伝えるものと理解される。ゆえに、別段の提示がない限り、そうした接続的な言葉は、概して、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを特定の態様が必要とすることを含意する意図はない。
要素の位置に関する本明細書における参照(例えば、「上」、「下」、「上方」、「下方」)は、単に、図中の様々な要素の向きを説明するために使用されるにすぎない。様々な要素の向きは、他の例示的な実施形態に従って異なってもよく、そのような変形形態が本開示に包含されることが意図されることに留意されたい。
図面および説明は、方法ステップの特定の順序を示すことができるが、そのようなステップの順序は、上記で別段の指定がない限り、図示および記載の順序とは異なっていてもよい。さらに、上記で別段の指定がない限り、2つ以上のステップは、同時にまたは部分的に同時に実行されてもよい。そのような変形形態は、例えば、選択されたソフトウェアおよびハードウェアシステムならびに設計者の選択に依存することができる。そのような変形形態は、すべて本開示の範囲内にある。同様に、記載された方法のソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、および決定ステップを達成するためのルールベースのロジックおよび他のロジックを備えた標準プログラミング技術によって達成され得る。
様々な例示的な実施形態に示されるような構成要素の構造および配置は単なる例示にすぎないことに留意することが重要である。さらに、ある実施形態で開示される任意の構成要素は、本明細書で開示される他の実施形態に組み込まれるまたは利用されてもよい。例えば、図12のマイクロ遠心バイアルで示される延長部は、図示され記載される他のマイクロ遠心バイアルのいずれかと併せて使用してもよい。他の実施形態に組み込まれるまたは利用され得る1つの実施形態からの一要素の1つの例だけが上述されているが、様々な実施形態の他の要素が本明細書に開示される他の実施形態のいずれかに組み込まれるまたは利用されてもよいことを理解されたい。