JP2021535010A - ガラス及びセラミックを製造するための相分離性の付加製造用組成物 - Google Patents

ガラス及びセラミックを製造するための相分離性の付加製造用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、光重合光源の強度を変化させることによって空隙率に関して微調整することができ、さらにガラス、セラミック、又はガラス−セラミック、及びそれらのそれぞれのアロイから物品を得るのに使用することができる、付加製造の分野で「インク」とも称される付加製造用組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、特に光造形法タイプのプロセスに適しており、且つ光が照射されると二相共連続構造体へと相分離し得る流動性のある付加製造用組成物に関する。
3D印刷技術の出現により、フルデジタルファブリケーションプロセスで複雑な形状の物品を製造するための魅力的な新しい可能性が拓かれた。ガラス及び/又はセラミックに関しては、3D印刷は、最新の工業プロセスによって得られる自動化と、手作業の芸術的な仕事によって得ることが可能な複雑な形状とを組み合わせることができる可能性を有している。この方向での最近の開発により、溶融状態のガラス材料の直接押出によって、又は室温における粒子懸濁インクの光造形パターニング(SLA)によって、ガラス物品の3D印刷が可能となった。
溶融ガラス材料の直接押出は、従来の粉末ベースのプロセスにおける高い収縮性を回避する技術であり、不均一な粉末の緻密化に付随して生じる欠陥が最小限に抑えられるが、フィラメントの直径が大きいことから、製造される物品の幾何学的複雑性及び規模に関してなおも制約を有する、依然としてコストのかかる高エネルギー適用である。溶融ガラスの押出によって課される制約を克服するための戦略は、キャスティング用の粒子ベースのインクを使用すること、特に直接インク書き込み(direct ink writing)であった。しかしながら、そのようなインクを使用して付加製造を行うことの主な制約は、i)溶剤の使用量が多く、インク強度(ink strength)が制限されること、及びii)印刷された構造体のごく一部にしか架橋樹脂が含まれていないため、特色を示すサイズ(feature size)が制限されることである。ナノ粒子インクを用いた光造形は、幾何学的により複雑な部品を得るためのコスト効率の高い代替手法ではあるものの、これまではSiOナノ粒子を使用して実証されているに過ぎず、利用可能な化学分野は限定的である。これとは対照的に、骨再生用の生体活性ガラス、ディスプレイ用の高強度ゴリラガラス、及び光通信用のガラスファイバー等の市販のガラスの例は、興味深い機能特性には、多くの場合1種を超える酸化物を含有する組成物が必要であることを示している。従って、この種の材料を進歩させるためには、印刷組成設計空間を広げ、且つ解像度を向上させる技術の開発が鍵となる。
特許文献1には、石英ガラス物品を得るために光造形プロセスで使用することが可能な組成物が開示されており、この組成物は、石英ガラス粒子を重合性有機ポリマー前駆体中に分散させたものであり、これによって未焼成体(green body)を形成し、この未焼成体を焼成することで石英ガラス物品を得ることができる。この組成物は、高い粒子含有量、2.82Pa・sという高い粘度を示し、そのため解像度が低くなる。
特許文献2には、物品を得るために光造形プロセスで使用可能な組成物が開示されており、この組成物は、無機材料粉末を光硬化性有機ポリマー前駆体中に分散させたものであり、この組成物を脱気して、焼成された物品の中に空隙が形成されないようにする。この手法は、懸濁液やスラリーで印刷された物品から気泡を除去することに依拠しているものの、粘度、脱バインダー、及び焼結等の設計上の課題は解決していない。
非特許文献1には、3D印刷してからシリカガラスへと焼成可能な水性光重合性ゾル−ゲル組成物が開示されている。この手法では、セラミック前駆体をアクリレート化する必要があることから、オルトケイ酸テトラエチル等のごくわずかなアルコキシドの選択に限定される。非特許文献1に開示されている単相ゾル−ゲルインクは、照射時に共連続二相構造体を形成することができない。
国際公開2018/065093号 米国特許出願公開第2018/0036945号明細書
"Additive Manufacturing of Transparent Silica Glass from Solutions", Ido Cooperstein, Efrat Shukrun, Ofir Press, Alexander Kamyshny, and Shlomo Magdassi, ACS Applied Materials & Interfaces 2018 10 (22) 18879-18885
本発明は、付加製造による物品の製造に便利に使用することができ、光重合光源の強度を変化させることによって相分離及びその後の空隙率に関して微調整することができ、またガラス、セラミック、又はガラス−セラミック、及びそれらのそれぞれのアロイから物品を得るのに使用することができる、付加製造の分野で「インク」とも称される付加製造用組成物を提供する。
本発明の目的は、組成物、特に付加製造用組成物を提供することである。組成物は、共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相を含み、該連続液相は、少なくとも1種以上の無機前駆体化合物、特にはアルコキシル化無機前駆体化合物であって、好ましくは光重合性ではない無機前駆体化合物と、1種以上の光重合性有機ポリマー前駆体化合物とを含む。
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照しつつ以降で説明されるが、図面は本発明の好ましい実施形態を図示することを目的とするものであり、本発明を限定することを目的とするものではない。
本発明による付加製造用組成物の連続液相における光誘起相分離の段階的な概略図である。(a)では、光重合性有機ポリマー前駆体化合物(ひし形)及びアルコキシル化無機前駆体化合物(黒線)への照射が行われる。(b)では、連続有機ポリマー相(白色の背景上の破線)とアルコキシル化無機前駆体化合物(点線の背景上の黒色の実線)とから構成される二相性且つ共連続の構造体が形成されてより粗い構造体へと成長し、その後これは(c)に示されているように熱分解される。 a)〜c)は、本発明による付加製造用組成物に、異なる光強度で、すなわち(a)0.22mW/cm、(b)2.20mW/cm、及び(c)22.00mW/cmで照射することによって得られた熱分解サンプルの二相性且つ共連続性の3D構造体の断面を示す、後方散乱SEM画像の図である。照射量は、全ての所定の照射について48.4mJ/cmで一定に保たれた。d)〜e)では、ヒストグラムはそれぞれの場合で150〜330nmの範囲の支柱のサイズ分布を示している。示されている二相性且つ共連続性の3D構造体は、表S1に開示されているように、樹脂2による組成物を使用して得られた。 (a)段階的な多孔質インクを使用して空隙率を調整できることを示す図である。これは3Dにおける脱バインダーと焼結の動力学に影響を与える。プロットは、半径方向(R)又は垂直方向(h)の光強度勾配で印刷された構造体の位置の関数における平均の支柱サイズを示している。空隙率に勾配を有する例示的な物品が製造された:(b)は半径方向の勾配であり、(c)は垂直方向の勾配である。 本発明による付加製造用組成物を使用して光造形により得られた、高い透明性を有する複雑なホウリンケイ酸ガラスアロイの構造体を示す。 いずれも未重合の、比較のゾル−ゲルインクのサンプル(右上)及び本発明の一実施形態による樹脂4のサンプル(左上)、並びにいずれも照射により重合した後の、ゾル−ゲルインクのサンプル(右下)及び樹脂4のサンプル(左下)を示す。
本発明の目的は、組成物、特に共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相を含む付加製造用組成物であって、好ましくは光重合性ではない少なくとも1種以上の無機前駆体化合物と、1種以上の光重合性有機ポリマー前駆体化合物とを含む組成物を提供することである。より好ましい実施形態では、共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相は、少なくとも2種以上の無機前駆体化合物、特には2種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物を含む。連続液相に加えて、組成物は、例えば固体粒子等の1種以上の固体添加剤をさらに含んでいてもよいし、固体粒子を含まなくてもよいことが理解される。
付加製造用組成物の連続液相における光誘起相分離は、任意の適切な放射線の波長、強度、及び照射量によって引き起こすことができる。そのような適切な波長の放射線の例は、可視光、UV、IR、電子線、又はガンマ線であり、所定の放射線の具体的な使用は、ほとんどの場合、光重合性有機ポリマー前駆体化合物の種類に依存する。そのような放射線を提供することができる光源は、例えば発光ダイオード、白熱灯、及び放電灯等、当該技術分野で周知である。本発明の付加製造用組成物はさらに、供給される放射線の強度に応じて異なるサイズの共連続二相構造体を形成することができる。例えば、高強度の放射線が付加製造用組成物に供給される場合には、形成された共連続二相構造体はより小さな規模を有することになる、すなわち両方の相の相互接続ネットワークの支柱又はチャネルがより小さな直径を有することになるのに対して、弱い放射線強度が付加製造用組成物に供給される場合には、形成された共連続二相構造体はより大きな規模を有することになる、すなわち両方の相の相互接続ネットワークの支柱又はチャネルはより大きな直径を有することになる。従って、付加製造用組成物は、放射線の強度を調整することによって、得られる共連続二相構造体の規模に関して調整することができる。約405nmの波長を有する放射線を用いて150nmから330nmの支柱直径のおよそ2倍の変化を達成することができる強度範囲の具体例は、22mW/cm〜0.22mW/cmである。
光重合性ポリマー有機前駆体化合物は、重合を開始して、無機前駆体化合物の液体連続相が浸透している有機ポリマーの連続相の固相を形成することから、付加製造用組成物は、照射後に共連続二相構造体を形成することが示された。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、以降で特許請求及び例示される組成物では、付加製造用組成物の連続液相の光誘起相分離がスピノーダル分解の機構に従って進行することがこれまでに見出されている。共連続二相構造体の形成は、有機ポリマーの非連続的な内包物又は液滴が周囲の無機構造体を壊すことによって熱分解する場合と比較した場合、有機ポリマーの熱分解生成物が連続的な有機ポリマー相の相互接続する空洞及びチャネルを通って逃げることができるため、標準的な炉で、すなわち加熱速度及び/又は雰囲気が制限されずに容易に焼成できる未焼成体の形成を可能にする。さらに、無機非結晶性アモルファス固体(inorganic non-crystalline amorphous solid)、無機結晶質固体、又は無機結晶質−アモルファス混合固体から実質的に構成される物品を形成するための未焼成体の後の焼成温度が1000℃未満であることから、2種以上の無機前駆体化合物の使用により、無機物の物品に到達するのに要する時間を短縮することができる。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相は、1種以上の染料及び/又は1種以上の光開始剤をさらに含む。1種以上の染料及び/又は1種以上の光開始剤を含めることにより、吸収が増加するため、照射された付加製造用組成物の物体の部分(又は光造形の文脈においてはボクセル)においてより厳密に境界を定めることができることから、付加製造プロセスをより効率的にすることができる。本発明による付加製造用組成物は、重合禁止剤をさらに含むことができる。
連続液相における使用に適した染料の具体例は、1−(フェニルジアゼニル)ナフタレン−2−オール又はSudan Iであり、連続液相における使用に適した光開始剤の具体例は、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上の無機前駆体化合物は、アルコキシル化シロキサン、アルコキシル化若しくはアルキル化シラザン、アルコキシル化若しくはアルキル化カルボシラン、アルコキシル化リン酸塩、アルコキシル化チタン酸塩、アルコキシル化ジルコン酸塩、アルコキシル化アルミン酸塩、アルコキシル化スズ酸塩、アルコキシル化ホウ酸塩等のアルコキシル化無機前駆体化合物、塩素化無機前駆体(例えばAgCl、HAuCl、TiCl)及びこれらの組み合わせ等のハロゲン化無機前駆体化合物、アルキル化無機前駆体化合物及びこれらの組み合わせ、並びにヒドロキシル化無機前駆体化合物及びこれらの組み合わせから選択される。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上の無機前駆体化合物は、それ自体が液体であってもよいし、固体である場合には溶媒に溶解されていてもよい。
特に、付加製造用組成物は、上述した無機前駆体化合物から選択される少なくとも2種以上の無機前駆体化合物を含み得る。2種以上の無機前駆体化合物がアルコキシル化無機前駆体化合物から選択される場合、2種以上の無機前駆体化合物は、好ましくは、アルコキシル化シロキサン、アルコキシル化ホウ酸塩、及びアルコキシル化リン酸塩から選択される。2種以上の無機前駆体化合物を含むことにより、未焼成体の焼成により無機酸化物アロイの物品が得られる。無機前駆体化合物から選択される2種の無機前駆体化合物の組み合わせの具体例は、アルコキシル化シロキサンとアルコキシル化ホウ酸塩との組み合わせ、アルコキシル化シロキサンとアルコキシル化リン酸塩との組み合わせ、及びアルコキシル化リン酸塩とアルコキシル化ホウ酸塩との組み合わせである。3種以上の無機前駆体の組み合わせの具体例は、アルコキシル化シロキサン及びアルコキシル化ホウ酸塩とアルコキシル化リン酸塩との組み合わせである。
さらなる実施形態では、付加製造用組成物は、アルコキシル化シロキサン、アルコキシル化ホウ酸塩、及びアルコキシル化リン酸塩から選択される1種以上、好ましくは2種以上の無機前駆体化合物を含有することができ、該組成物中でアルコキシル化シロキサンは、連続液相中に含まれる1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物の総重量又は総体積に対して、重量又は体積基準で主成分として存在する。
本発明による付加製造用組成物の別の実施形態では、連続液相において、1種以上の無機前駆体化合物は、共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相の総体積に対して20体積%〜80体積%、好ましくは30体積%〜70体積%、より好ましくは40体積%〜60体積%の範囲で存在し得る。
無機前駆体化合物は、例えばアルコキシル化シロキサンの場合のテトラエトキシシラン等の縮合生成物のモノマー、オリゴマー、若しくはポリマー形態であってもよいし、ポリ(テトラエトキシシラン)等のそのオリゴマー若しくはポリマーの形態であってもよいことが理解される。
アルコキシル化シロキサンの具体例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラiso−プロポキシシラン、テトラtert−ブチルオキシシラン、テトラn−ブチルオキシシラン、及びそれらのオリゴマー又はポリマーであり、これらのオリゴマー又はポリマーは、そのホモ−若しくはヘテロ−オリゴマー又はポリマーであってよい。特に、テトラエトキシシラン又はそのポリマーであるポリ(ジエトキシシロキサン)がアルコキシル化無機前駆体化合物として適している。無機前駆体化合物がアルコキシル化シロキサンのオリゴマー又はポリマーである場合、そのようなアルコキシル化無機前駆体化合物の粘度は、好ましくは25℃で1000mPa・s未満、より好ましくは25℃で0.1mPa・sと500mPa・sの間、最も好ましくは25℃で0.1mPa・sと10mPa・sの間である。
アルコキシル化ホウ酸塩の具体例は、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリiso−プロピル、ホウ酸トリn−プロピルである。
アルコキシル化チタン酸塩の具体例は、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ(iso/n)プロポキシド、チタンテトラ(n/tert)ブトキシド、及びチタンテトラn−ブトキシドのオリゴマーであり、チタンテトラn−ブトキシドのオリゴマー又はポリマーが好ましい。
アルコキシル化リン酸塩の具体例は、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ(イソ/n)プロピル、リン酸トリ(n/tert)ブチルである。特にリン酸トリエチルがアルコキシル化無機前駆体化合物として適している。
アルコキシル化ジルコン酸塩の具体例は、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ(イソ/n)プロポキシド、ジルコニウムテトラ(n/tert)ブトキシド、及びジルコニウムテトラn−ブトキシドのオリゴマー又はポリマーである。
アルコキシル化アルミン酸塩の具体例は、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−プロポキシド、アルミニウムtert−ブトキシド、アルミニウムn−ブトキシドであり、特にはアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−プロポキシド、及びジエトキシシロキサン−ブチルアルミネートコポリマーである。
アルコキシル化ホウ酸塩の具体例は、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリn−プロピル、ホウ酸トリtert−ブチル、ホウ酸トリn−ブチルであり、特にはホウ酸トリメチルである。
アルコキシル化スズ誘導体の具体例は、2−エチルヘキサン酸スズ(II)である。
アルキル化無機前駆体化合物の具体例は、ヘキサメチルジシラザン等のアルキル化シラザン又はアルキル化カルボシラン、メチルシランやエチルシラン等のシラン、及びシリコーンとして知られるこれらのポリマーである。
ハロゲン化無機前駆体化合物の具体例は、ハロゲン化チタン酸塩、特に四塩化物等のクロロチタン酸塩である。他の好適なハロゲン化無機前駆体化合物は、テトラクロロ金酸や塩化銀等の銀及び/又は金をベースとする塩化物である。
ヒドロキシル化無機前駆体化合物の具体例は、例えばホウ酸である。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上の光重合性有機ポリマー前駆体化合物は、アクリレートポリマー前駆体化合物、ビニルポリマー前駆体化合物、ジウレタンジメタクリレート等のウレタンアクリレート前駆体化合物等のポリオレフィン前駆体化合物、及びこれらの誘導体から選択される。
光重合性有機ポリマー前駆体化合物がアクリレートポリマー前駆体化合物である場合、アクリレート有機ポリマー前駆体化合物は、好ましくは、モノ−、ジ−、トリ−、又はテトラアクリレートポリマー前駆体化合物の中から選択される。
モノアクリレートポリマー前駆体化合物の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、メチル若しくはエチルアクリレート等のアルキルアクリレート、メチル若しくはエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレートであり、特にはアクリル酸、及びヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート等のこれらの誘導体である。
ジアクリレートポリマー前駆体化合物の具体例は、ウレタンジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等のアルカンジオールジアクリレートである。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物は、メトキシル化無機前駆体化合物、エトキシル化無機前駆体化合物、又はプロポキシル化無機前駆体化合物である。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上の有機ポリマーは、1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物が縮合する温度よりも高い熱分解温度を有する。
本発明による付加製造用組成物のより好ましい実施形態では、連続液相において、無機前駆体化合物は、無機前駆体化合物がアクリロイル基を含むように化学的に修飾されていないという意味で、より好ましくはアクリロイル基、チオール基、ビニル基、メタクリロイル基、又はエポキシ基を含むように化学的に修飾されていないという意味で、未修飾の無機前駆体化合物である。特に、アルコキシル化無機前駆体化合物は、アルコキシル化無機前駆体化合物がアクリロイル基を含むように化学的に修飾されていないという意味で、より好ましくはアクリロイル基、チオール基、ビニル基、メタクリロイル基、又はエポキシ基を含むように化学的に修飾されていないという意味で、未修飾のアルコキシル化無機前駆体化合物である。全てのアルコキシル化無機前駆体化合物をアクリロイル基で官能化できるわけではないため、これにより、1種を超えるアルコキシル化無機前駆体化合物を含めることができる。本発明による付加製造用組成物の別の好ましい実施形態では、連続液相において、1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物は、重量基準で未修飾のアルコキシル化無機前駆体化合物が主であり、修飾されたアルコキシル化無機前駆体の合計量は、アルコキシル化無機前駆体化合物の総重量に対して5重量パーセント未満、又は2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満である。
本発明による付加製造用組成物の別の実施形態では、1種以上の光重合性ポリマー有機前駆体化合物は、共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相の総体積に対して20重量%〜80重量%、好ましくは30重量%〜70重量%、最も好ましくは40体積%〜80体積%の範囲で存在することができる。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、請求項1に記載の付加製造用組成物は、固体粒子、特に無機固体粒子をさらに含有する。本発明による付加製造用組成物のより好ましい実施形態では、固体粒子は、ガラス、セラミック、又はガラス−セラミック粒子等の無機固体材料から選択することができる。他の可能な固体粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア、及びジルコニアから選択することができる。固体粒子は、好ましくは、1000nm未満又は1nmと1000nmの間の直径を有する。
本発明による付加製造用組成物の好ましい実施形態では、付加製造用組成物は流動性のある状態で提供される。本開示との関係において、「流動性(flowable)」とは、適切なレオメーターで100 1/s未満のせん断速度で25℃で測定した場合の粘度が1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満又は0.1と500mPa・sの間、より好ましくは100mPa・s未満又は0.1と100mPa・sの間、さらに好ましくは10mPa・s未満又は0.1と10mPa・sの間、最も好ましくは1.5mPa・s未満又は0.1と1.5mPa・sの間であることを意味する。
本発明のさらなる目的は、付加製造によって未焼成体を形成するステップと、前記未焼成体を焼成して物品を製造するステップとを含む物品、特に無機酸化物の物品の製造方法であって、、付加製造による未焼成体を形成するステップは、
a.上記による付加製造用組成物の物体を流動性のある状態で準備するステップと、
b.付加製造用組成物の物体の少なくとも一部に照射することで付加製造用組成物の物体の照射された部分を共連続二相構造体へと相分離させ、付加製造用組成物の物体の照射された部分における共連続二相構造体の形成を可能にし、それにより、製造すべき未焼成体の少なくとも一部を形成するステップであって、1つの連続相が、少なくとも1種以上の重合した有機ポリマー前駆体化合物によって実質的に形成され、1つの連続相が、少なくとも1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物によって実質的に形成されるステップと、
c.任意選択的に、未焼成体が形成されるまで、好ましくは異なる組成物を使用する単一の層内で、又は異なる組成物を使用する複数の層で、1つ前のステップを1回以上繰り返すステップと
を含み、未焼成体を焼成して物品を製造するステップは、
d.重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物を除去するのに十分な温度で未焼成体を焼成して、ガラス、セラミック、又はガラス−セラミックの物品を形成するステップ
を含む、方法を提供することである。
本開示との関係において、「未焼成体(green body)」という用語は、ガラス、セラミック、又はガラス−セラミックの物品等の無機物の物品を提供するために焼成することができる自立構造体を意味する。
物品の製造方法は、付加製造によって未焼成体を形成する第1のステップを含み、このステップでは、付加製造用組成物が相分離する能力が鍵となる。
第1のサブステップでは、付加製造用組成物の物体が流動性のある状態で準備される。そのため、特に付加製造が例えばDLPのような光造形プロセスを使用して行われる場合、付加製造用組成物は、好ましくは500mPa・s未満、より好ましくは100mPa・s未満の粘度を有する。
第1のサブステップでは、付加製造用組成物の物体が準備され、これは、光造形プロセスが使用される場合には付加製造用組成物で満たされたバットの中に入れておくことができ、或いは3Dインクジェット又は他の堆積プロセスが使用される場合には付加製造用組成物が充填されたカートリッジの中に入れておくことができる。
第2のサブステップでは、付加製造用組成物の物体の少なくとも一部に照射することで付加製造用組成物の物体の照射された部分を共連続二相構造体へと相分離させ、付加製造用組成物の物体の照射された部分における共連続二相構造体の形成を可能にし、それにより、製造すべき未焼成体の少なくとも一部を形成し、1つの連続相は、少なくとも1種以上の重合した有機ポリマー前駆体化合物によって実質的に形成され、1つの連続相は、少なくとも1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物によって実質的に形成されている。光造形プロセスが使用される場合には、付加製造用組成物の物体の少なくとも一部に、バット内の付加製造用組成物の物体の対応する部分に放射線ビームをフォーカスすることによって照射することができ、一方で3Dインクジェットプロセスが使用される場合には、カートリッジから基材上に放出された付加製造用組成物の物体の対応する部分に放射線を照射することができる。付加製造プロセスで一般的なように、第2のサブステップは、所望の未焼成体が得られるまで所定の回数繰り返すことができ、同じ又は異なる空隙率の未焼成体を製造するために第2のサブステップを繰り返す場合には、同じ又は異なる照射強度を使用することができる。第2のサブステップは、異なる化学組成を有する未焼成体を製造するために、異なる組成物を使用する単一の層内で繰り返すことも、異なる組成物を使用する複数の層で繰り返すこともできる。
物品の製造方法は、未焼成体を焼成して物品を製造する第2のステップを含み、このステップでは、未焼成体は、重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物を除去して物品を形成するのに十分な温度で焼成される。本発明との関係において好適な1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物は、重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物を除去するのに十分な温度よりも低い温度で既に縮合(already condense)し、そのため無機物の物品は、未焼成体を焼成して有機材料を除去する際にそれに伴って形成される。好ましい一実施形態では、重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物の除去は、物品を形成する無機酸化物材料のガラス転移温度を超える温度で行われる。この温度では、重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物の熱分解の可動性(mobility)が増加するためである。重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物が除去される温度の具体例は、350℃超、又は350℃と450℃の間、又は450℃超、又は450℃と550℃の間である。一方、本発明との関係において好適なアルコキシル化無機前駆体化合物は、200℃超又は250℃と350℃の間、より好ましくは350℃超又は350℃と450℃の間で縮合する。
本発明による物品の製造方法の好ましい実施形態では、ステップdにおいて、未焼成体は、無機の非結晶性アモルファス固体、無機の結晶質固体、又は無機の結晶−アモルファス混合固体から実質的に構成される物品を形成するのに十分な温度でさらに焼成される。未焼成体から有機ポリマーが除去された後、得られた物品は、それ以前は有機ポリマーで満たされていた相互接続された空洞がその後に空になるという意味で多孔質である。得られる多孔質の物品は、制御された様式で多孔質物品を緻密化するために、焼結温度でさらに焼成することができる。さらなる焼成は、連続したステップで、すなわちさらなる焼成の前の冷却段階によって第1の焼成を終了することなく行うことも、冷却段階によって第1の焼成を終了することによって別のステップで行うこともできる。好ましい実施形態では、未焼成体は、独立したさらなる焼成ステップにおいて、無機の非結晶性アモルファス固体、無機の結晶質固体、又は無機の結晶−アモルファス混合固体から実質的に構成される物品を形成するのに十分な温度でさらに焼成される。
本発明による物品の製造方法の好ましい実施形態では、付加製造プロセスは、例えば、DLP 3D印刷、インクジェット、SLA、反転SLA、又は2光子リソグラフィー等の光造形プロセスである。
本発明による物品の好ましい実施形態では、上述の製造方法によって得られる物品としては、容器;グラス、瓶、カップ、マグカップ等の入れ物;実験用ガラス物品;医療用ガラス物品;ペンダント、イヤリング、指輪、装飾品等の宝飾品;ファイバーやレンズ等の光学デバイス、及び二相性ポリマー、ガラス、セラミック、又はガラス−セラミックから構成される3次元補強材料が挙げられる。
実験データ
樹脂組成は、成分の重量パーセントで定義される。特に記載がない限り、全ての化学物質はSigma-Aldrichから購入し、供給されたままの状態で使用した。リン酸トリエチル(TEP)、ホウ酸トリメチル(TMB)、ポリ(ジエトキシシロキサン)(PDEOS)は試薬グレードであり、湿度管理されたキャビネットで保管した。PDEOSはABCRから供給されたものであり、48〜52重量%SiO相当であった。アクリレートモノマーであるウレタンジアクリレート(UA(DSM Coating ResinsのNeorad U25−20D)及びトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)は、重合禁止剤4−メトキシフェノール(MEHQ)と共に使用した。この重合禁止剤は、デジタル光プロジェクション(DLP)3D印刷に必要な酸素阻害に不可欠な役割を果たすためである。適正な垂直解像度を得るために、青色光吸収染料であるSudan Iを樹脂の総含有量に対して0.005重量%で添加した。光開始剤であるジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)は樹脂の総含有量に対して1.0重量%で添加した。樹脂1〜5の組成は以下の表S1に記載されている。得られた樹脂は水と同等の粘度を有しており、混合直後に使用した。
Figure 2021535010
市販のデジタルライトプロセッシング(DLP)3DプリンタであるAutodesk Emberを使用して分子インクの構造体をプログラムした。光の強度は、印刷ファイル内のスライス画像の1〜100%のグレースケールレベルを変更することによって、ボクセル単位でプログラムした。照射強度は、G&R Labs 222型露光計を使用して校正し、グレースケール強度の全範囲が0〜22mW/cmに直線的に対応するように決定した。照射量は任意の所定の照射について48.4mJ/cmで一定に保持したため、100%照射領域の照射時間は2.2秒であり、1%照射領域の照射時間は220秒であった。PDMSの印刷面への貼り付きを防止するために、接着性のフッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルム(Mc Master Carr)で覆った。
相分離した材料の熱分解には、アクリレートポリマーの脱バインダーと金属アルコキシドの縮合という明確に区別されるステップが含まれる。これらのプロセスを調べるために、熱重量分析(TGA)、示差熱分析(DTA)、及び質量分析(MS)を行った。350〜440℃の範囲にわたってTGAを使用すると、重量の大幅な減少が観察され、その後、440〜600℃の範囲にわたってより緩やかな重量の減少が観察された。これに対応して、DTAは420℃と530℃で最小の2つの発熱ピークを示した。放出された物質は炭素質化合物と水であると推定される。インライン質量分析では、質量電荷比が18、27、及び44のイオンが記録された。これらは、次の化合物に対応すると推定される:m/z=18についてH;m/z=27についてBO又はCHCH;及びm/z=44についてCO 又はCHCH。2番目の一連の放出ピークはおよそ900℃で発生する。これは、シリカ構造体内に閉じ込められた水と炭素質の物質であると推定される。温度が系のガラス転移温度を超えてすぐに、材料は構成要素から拡散するのに十分な可動性を有した。
これらの観察から、脱バインダー処理及び縮合熱処理が引き起こされた。全ての加熱ステップは、Nabertherm LT炉内で0.40℃/分の加熱速度で行った。脱バインダープロセスの加熱サイクル中、閉じ込められている有機材料及び水の拡散を促進するために、500℃で6時間及び700℃で4時間保持を行った。高さ5mm、直径5mmの円筒として印刷した脱バインダーされた(debound)サンプルを、TA Instruments DIL 806膨張計で焼結して、焼結温度を決定した。I=1%、I=10%、及びI=100%の均一な照射強度で3D印刷されたサンプルは、871℃、893℃、927℃で緻密化率のピークを示すことが判明した。透明なガラスサンプルを製造するために、脱バインダーされたサンプルをさらに1000℃まで加熱し、4時間保持した。最後に、サンプルを1℃/分の速度で室温まで冷却し、500℃で12時間保持することで、緻密化によって引き起こされる内部応力を緩和した。図4A、4B、及び4Cに示されている物品は、表S1に開示されている樹脂1、2及び3をそれぞれ使用した本発明による付加製造プロセスによって得られた。
比較例1
3回蒸留した水の中に65重量%のエタノールと0.1重量%のHNOが入っている加水分解溶液3gの中に、9.58gのTEOSを最初に溶解させ、その後これを約30分撹拌することにより20gのゾル−ゲルインクを製造した。続いて、0.054gの光開始剤であるジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)及び1.06gのAPTMSを溶液に添加し、さらに30分間撹拌して確実に完全に溶解させた。その後、3回蒸留した水の中に65重量%のエタノールが入っている溶液6.2gに0.094gの酢酸アンモニウムを溶解させ、これを溶液に添加して混合物を形成し、これを再度撹拌して全ての成分を完全に混合した。
混合後、ゾル−ゲルインクの半透明サンプルに385nmにて20mW/cmで6秒間照射することにより重合した。光学的な比較のために、樹脂4のサンプルも照射によって重合した。両方の重合したサンプルの写真を図5に示す。示されているように、樹脂4の未重合サンプル(左上)は、照射により半透明の単相溶液から不透明な固体(左下)へと変化した一方で、比較例1による未重合サンプルのゾル−ゲルインク(右上)は、照射により半透明の単相溶液から半透明の固体(右下)へと変化する。透明度の変化、すなわち樹脂4のサンプルの不透明度の増加は、重合の進行に伴い生じる二相性の共連続構造体への相分離に起因する。結果として、比較例1によるサンプルの重合後であっても変化しない透明性は、相分離が生じないことを示している。尚、印刷された「未焼成」物品の透明性の欠如は、二相性且つ共連続性の構造体の有機相が除去される、後続の焼成ステップ中に回復し得る。

Claims (13)

  1. 共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な連続液相を含む付加製造用組成物であって、前記連続液相が、
    a.1種以上の無機前駆体化合物と、
    b.1種以上の光重合性有機ポリマー前駆体化合物と
    を少なくとも含む、付加製造用組成物。
  2. 前記連続液相が、1種以上の染料及び/又は1種以上の光開始剤をさらに含む、請求項1記載の付加製造用組成物。
  3. 前記連続液相が、少なくとも2種以上の無機前駆体化合物を含む、請求項1又は2記載の付加製造用組成物。
  4. 前記連続液相において、前記無機前駆体化合物が、シロキサン、アルコキシル化リン酸塩、アルコキシル化チタン酸塩、アルコキシル化ジルコン酸塩、アルコキシル化アルミン酸塩、アルコキシル化ホウ酸塩及びそれらの組み合わせから好ましくは選択されるアルコキシル化無機前駆体化合物、ハロゲン化無機前駆体化合物及びそれらの組み合わせ、アルキル化無機前駆体化合物及びそれらの組み合わせ、並びにヒドロキシル化無機前駆体化合物及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の付加製造用組成物。
  5. 前記連続液相において、前記1種以上の光重合性ポリマー有機前駆体化合物が、アクリレートポリマー前駆体化合物、ビニルポリマー前駆体化合物、ウレタンアクリレート前駆体化合物、及びこれらの誘導体から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の付加製造用組成物。
  6. 前記連続液相において、前記無機前駆体化合物が、メトキシル化無機前駆体化合物、エトキシル化無機前駆体化合物、又はプロポキシル化無機前駆体化合物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の付加製造用組成物。
  7. 固体粒子、特には無機固体粒子をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の付加製造用組成物。
  8. 前記連続液相が、共連続二相構造体への光誘起相分離が可能な前記連続液相の総体積に対して20体積%〜80体積%、好ましくは30体積%〜70体積%、より好ましくは40体積%〜60体積%の無機前駆体化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の付加製造用組成物。
  9. 付加製造によって未焼成体を形成するステップと、前記未焼成体を焼成して物品を製造するステップとを含む物品の製造方法であって、前記付加製造による未焼成体を形成するステップは、
    a.請求項1〜8のいずれか1項記載の付加製造用組成物の物体を流動性のある状態で準備するステップと、
    b.前記物体の少なくとも一部に照射することで前記付加製造用組成物の前記物体の前記照射された部分を共連続二相構造体へと相分離させ、前記付加製造用組成物の前記物体の前記照射された部分における共連続二相構造体の形成を可能にし、それにより、製造すべき未焼成体の少なくとも一部を形成するステップであって、1つの連続相は、少なくとも前記1種以上の重合した有機ポリマー前駆体化合物によって実質的に形成され、1つの連続相は、少なくとも前記1種以上のアルコキシル化無機前駆体化合物によって実質的に形成されるステップと、
    c.任意に、前記未焼成体が形成されるまで1つ前のステップを1回以上繰り返すステップと
    を含み、前記未焼成体を焼成して物品を製造するステップは、
    d.前記重合した有機ポリマー前駆体化合物及び/又は光重合性有機ポリマー前駆体化合物を除去するのに十分な温度で前記未焼成体を焼成して前記物品を形成するステップ
    を含む、方法。
  10. ステップdにおいて、前記未焼成体を、無機の非結晶性アモルファス固体、無機の結晶質固体、又は無機の結晶質−アモルファス混合固体から実質的に構成される物品を形成するのに十分な温度でさらに焼成する、請求項9記載の物品の製造方法。
  11. 前記付加製造プロセスが、光造形プロセスである、請求項9記載の物品の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項記載の物品の製造方法によって得られる物品、好ましくは異なる空隙率を有する物品。
  13. 付加製造プロセス、特には光造形プロセスにおける、請求項1〜8のいずれか1項記載の付加製造用組成物の使用。
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