JP2021530569A - 自閉症を処置するための組成物および方法 - Google Patents

自閉症を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、自閉症を処置する組成物および方法を提供する。具体的には、本発明は、α−メチル−DL−チロシンを投与することによって自閉症の中核症状を処置することに関する。

Description

関連出願の相互参照
[001]本出願は、2018年7月19日に出願された米国特許仮出願第16/040,405号の優先権および利益を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[002]本発明は、自閉症を処置する組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、α−メチル−DL−チロシンを投与することによって自閉症の中核症状を処置することに関する。
[003]自閉スペクトラム症(ASD)または自閉症は、精神障害の診断および統計マニュアル−V(DSM−5)において、「社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流が困難であり、かつ限局的および反復的行動、興味または活動がある」と定義されている。小児自閉症は、小児がん、小児糖尿病および小児後天性免疫不全症候群(AIDS)よりも蔓延しており、米国で150万人、欧州で300万人の小児、世界の残りの国全体で数千万人の推定蔓延度と結び付けられている。自閉症はまた、小児と成人との両方において、本質的な経済的重荷となっている。さらに不安なことに、説明可能な理由なしに、小児自閉症が1年当たり10〜17%の率で増加しているように見えることである。最後に、現在のところ、自閉症の中核症状を扱う認可された医薬品がない。自閉症は、著しい経済的重荷および満たされていない医療ニーズの領域となっている深刻な疾患である。
[004]自閉症は、初めて、1943年に、Dr.Leo Kannerが、彼の5歳の患者について「・・・1人残されたときに最も幸福であり、彼の母親に決して泣きつかず、彼の父親の帰宅に気づかないように見え、訪問中の親戚に無関心であった・・・常同的に指を動かしながらにこにこして歩き回り・・・何か回せるものを見つけると喜んで回し、彼への言葉は明確に字句通りであって融通のきかない意味を有し・・・部屋に連れていかれたとき、彼は人々を完全に無視し、すぐさま物体に向かった」と説明したことによって記載され、これは、Lai,M.C.ら、Autism.Lancet、2014年、383(9920):896〜910頁に引用されている。
[005]もともと、自閉症は小児統合失調症の一形態であると考えられた。しかしながら、1980年代半ばに、自閉症は受け継がれる障害であると見出され、遺伝性病因を有すると確信された。現在、自閉症は、診断上、「精神障害の診断および統計マニュアル−第5版」(DSM−5)(2013年)において「社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流が困難であり、かつ限局的および反復的行動、興味または活動がある」と定義されている。ASDの特徴「社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流が困難である」についてのDSM−5における診断基準は、(1)社会的感情的交互作用における欠損、例えば異常な社会的アプローチおよび通常のやり取りの会話の失敗から、興味、感情または情動を分かち合うことの低減まで、対人的相互交流を開始するまたは応えることの失敗までの範囲、(2)対人的相互交流のために用いられる非言語コミュニケーション行動における欠損、例えば言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとの統合の不良から、アイコンタクトおよびボディランゲージにおける異常、またはジェスチャーの理解および使用における欠損まで、顔の表情と非言語コミュニケーションとの総合的な欠如までの範囲、ならびに(3)関係を発展させる、維持するおよび理解することにおける欠損、例えば多様な社会的脈絡に合わせるために行動を調整することの困難から、想像して何かのふりをすることを分かち合うことにおける、または友だちを作ることにおける困難まで、同僚への興味の不在までの範囲が挙げられる。
[006]自閉症は幼児期に典型的に表出し、多くの合併症を伴い、それらには、てんかん、脆弱X症候群、レット症候群、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、感覚または運動の異常応答、睡眠障害、認知機能の低下、不安および攻撃が挙げられる。
[007]2010年に、CDCは、米国における自閉症の率が小児68人中1人であり、男児が女児より5倍罹患しやすいと報告した。これは、男児42人中1人が自閉症と診断されていることを意味する。2014年に行われた自閉症蔓延の評価以来、約30%の増加であり、わずか12年で、報告された率は2倍超となり、問題が急速に拡大している。ニュージャージーでは、観察された自閉症の率は小児46人中1人であり、これは、ニュージャージーで生まれた男児29人中1人がおそらくは自閉症であることを意味する。
[008]自閉症児を育てる財政的コストは、2014年に、自閉症児ではない小児を育てるコストよりも320万ドル多いと推定され、これは、一旦彼らの家族がもはや維持できなくなったときの、この集団を成人として維持する社会的コストを考慮に入れていない。自閉症の社会的コストは広く深く、多くは調査されていない。例えば、自閉症によるヘルスケアの利用率についての情報が明らかにされたのは2017年半ばであったにすぎず、精神医療ケアへの、および自閉症に併存する合併症の高い発生率へのケアに対する彼らの要請は、一般集団のそれを、または精神疾患患者集団の他の要素を、はるかに超えていることが見出された。同様に、停学および退学の率が自閉症集団において劇的に高く、自閉症人口数が増えるにつれて高くなっていることが、2017年9月に初めて判明した。
[009]最近、自閉症に関連する死亡率に注意がもたらされるようになってきた。自閉症は典型的には致命的な疾患とは考えられていないが、多くの治験責任医師が、自閉症集団において死亡率が著しく増加したと報告しており、主要な死因は自殺である。スウェーデン国立患者レジストリ(the Swedish National Patient Registry)および死因レジストリ(the Cause of Death Registry)に基づくマッチドケースコホート研究では、1987年から2009年の間の死亡が調べられ、自閉症患者における死亡率が一般集団と比べて256%高いことを見出した。死亡時の平均年齢は、一般集団では70.2歳であり、自閉症患者では58.39歳であり、自殺は、より良好なふるまいの患者に伴っていた。1,706人の小児および青年のレビューは、自閉症における自殺念慮または試行のリスクが18%増加したと報告した。カナダの研究において、アスペルガー症候群の患者のうちの35%が自殺を試行した報告された。日本、オーストラリア、イギリスおよびベルギーでも同様であった。フランスのPubMed文献のレビューでは、自閉症患者のうちの合計で21.3%に自殺念慮があった、または自殺を試行したと報告され、注目すべき観察では、「・・・用いられる方法は暴力であることが多い」と見出された。
[010]自閉症の原因へのリサーチに莫大なリソースが費やされてきた。遺伝的な、食事上の、発達上の、薬理的な、環境的な、および行動上の要素が、全て、この症候群の潜在的原因であると示唆されてきた。
[011]Demser(登録商標)として現在市販されている、精製された単一の鏡像異性体として表される分子であるα−メチル−L−チロシンが、チロシンヒドロキシラーゼを阻害すると知られており、これは、L−チロシンの、DOPA(ジヒドロキシ−フェニルアラニン)への酵素媒介転換の結果生じるカテコラミン生合成における律速酵素である。カテコラミン合成におけるこの最初のステップは、L−チロシンにとって高度に立体特異的である。メチル化されたL−チロシンであるL−AMPTは、チロシンヒドロキシラーゼ(Demser(登録商標)処方情報、2015年;Demser(登録商標)のためのFDA医薬品承認審査概要[SBA]、1979年)の拮抗阻害剤として作用する。Demser(登録商標)は、1979年にFDAによって最初に認可され、褐色細胞腫の患者の処置における使用について、(1)手術のための患者の手術前準備用、(2)手術が禁忌であるときの患者の管理用、および(3)悪性の褐色細胞腫の患者の慢性処置用、と示されている。成人および12歳以上の小児に推奨されるDemser(登録商標)の初期投薬量は、経口で1日4回250mgである。この投薬量は、4回の分割用量で、1日250mg〜500mgから、最大4.0g/日まで増やされてもよい。Demser(登録商標)は市販されてはいるが、当業者は、α−メチル−DL−チロシンのラセミ混合物、すなわちDL−AMPTを投与することによって自閉症またはその中核症状を処置する方法を開発してこなかった。
[012](a)自閉症の蔓延における劇的な増加、(b)小児および彼らの家族へのこの障害の破壊的な影響、(c)私たちの社会におけるコミュニティ、教育の、医療のおよび精神医療のシステムに自閉症が据える実質的な社会的および経済的重荷、にわたる広範な懸念を受けて、自閉症は、公的医療の緊急事態となっている。したがって、自閉症を処置するための、特にこの障害の中核症状を処置するための、治療的に有効な方法へのきわめて重大な要請が存在する。
[013]一態様では、本発明は、自閉症を処置する方法を必要とする対象における自閉症を処置する方法を提供し、該方法は、前記対象へ、治療有効量のα−メチル−DL−チロシンおよび薬学的に許容される担体を含む組成物を投与することを含む。例示的な実施形態では、該組成物は、α−メチル−DL−チロシンを、約50mg(w/w)〜約500mg(w/w)を範囲とする量で含む。
[014]別の態様では、本発明は、自閉症を処置する方法を必要とする患者における自閉症を処置するために、長期にわたって治療薬の血漿中濃度をもたらす方法を提供し、該方法は、前記対象に、前記治療薬を、1日3回、約50mg(w/w)〜約500mg(w/w)を範囲とする濃度で投与することを含み、ここで、前記治療薬は、α−メチル−DL−チロシンであり、ここで、前記血漿中濃度は、約500ng/ml〜5000ng/mlの範囲であり、ここで、前記期間は、少なくとも1週間である。
[015]別の態様では、本発明は、自閉症に関連する臨床形質を処置する方法を必要とする患者における該自閉症を処置する方法を提供し、該方法は、前記対象に、治療有効量のα−メチル−DL−チロシンを含む組成物を投与し、それによって前記対象における前記自閉症に関連する臨床形質を処置することを含む。例示的な実施形態では、臨床形質は、社会的コミュニケーションにおける欠損、対人的相互交流における欠損、社会的モチベーションにおける欠損、無気力および社会的な引きこもり、不適切なスピーチ、多動、常同行動、不機嫌およびかんしゃく、限局的行動、反復的行動、儀式的行動、単調行動、強迫行動、自傷行動、またはこれらの組み合わせである。
[016]本発明の他の特徴および利点は、以下の「発明を実施するための形態」、「実施例」および「図面の簡単な説明」から明らかになる。しかしながら、「発明を実施するための形態」および特定の「実施例」は、本発明の好ましい実施形態を示しているものの、例示のみの方法によって付与されており、その理由が、この「発明を実施するための形態」からの、本発明の趣旨および範囲内での多様な変更および修正が当業者には明らかになるからであることが、理解されるべきである。
[017]コナーズ親用評定尺度データの結果を描く。 [018]患者の登録および割付を例示する。 [019]治験HT02−121(実施例6)における患者において認めたバイタルサインにおけるベースラインからの最大変化の例を示し、これらの変化が一過性であり、卒倒が、起立性基準からみてはるかに短かったことを示す。 [020]治験HT02−121における非盲検100mgおよび200mgTIDからの、週ごと(1日目を除く)、総体的平均、患者ごとの無作為L1−79血漿中濃度を示す。1日目に、L−79血漿中濃度を、投与後1時間で評価した。 [021]治験HT02−121における非盲検100mgTID群からの、週ごと(1日目を除く)、総体的平均、患者ごとの無作為L1−79血漿中濃度を示す。 [022]治験HT02−121における非盲検200mgTID群からの、週ごと(1日目を除く)、総体的平均、患者ごとの無作為L1−79血漿中濃度を示す。 [023]グラフによる提示は、L1−79についての、経時的なプラセボと比べたCGI−総体的重篤度(CGI−S)を示す。 [024]グラフによる提示は、L1−79についての、経時的なプラセボと比べたCGI−総体的改善度(CGI−I)を示す。 [025]CGI−Sにおける4週目でのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [026]CGI−Sにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [027]4週目/LOCFでのCGI−Sについての応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [028]VABS II標準化社会化スコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [029]VABS II標準化コミュニケーションスコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [030]ADOS−2総スコアにおける0週目から4週目までのスクリーニングからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [031]ADOS−2限局的および反復的行動総スコアにおける0週目から4週目までのスクリーニングからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [032]ADOS−2対人的情動総スコアにおける0週目から4週目までのスクリーニングからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [033]ADOS−2総スコアにおける患者ごとのスクリーニングから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [034]SRS−2総Tスコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [035]SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [036]SRS−2社会的コミュニケーションTスコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [037]SRS−2社会的モチベーションTスコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [038]SRS−2 DSM−5限局的および反復的行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [039]SRS−2総Tスコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [040]SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [041]SRS−2社会的コミュニケーションTスコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [042]SRS−2社会的モチベーションTスコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [043]SRS−2総Tスコアについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [044]SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコアについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [045]SRS−2社会的コミュニケーションT−スコアについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [046]SRS−2社会的モチベーションTスコアについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [047]ABC−C無気力および社会的引きこもりドメインにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [048]ABC−C不適切スピーチドメインにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [049]ABC−C多動および不服従ドメインにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [050]ABC−C常同行動ドメインにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [051]ABC−C不機嫌およびかんしゃくドメインにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [052]ABC−C無気力および社会的引きこもりドメインにおける患者ごとのベースラインからの4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [053]ABC−C不適切スピーチドメインにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [054]ABC−C無気力および社会的引きこもりドメインについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [055]ABC−C不適切スピーチドメインについての4週目/LOCFでの応答者解析を示す(ITT集団、ドラフト)。 [056]RBS−R総スコアにおける0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [057]RBS−R限局的行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。プラセボと比べてL1−79 200mgついてのスコアにおける低下によって認められたように、RBS−R総スコアにおいて平均的改善があった。 [058]RBS−R儀式的行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [059]RBS−R単調行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [060]RBS−R強迫行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [061]RBS−R常同行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [062]RBS−R自傷行動における0週目から8週目までのベースラインからの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [063]RBS−R総スコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化を示す(ITT集団、ドラフト)。 [064]RBS−R総スコアについての4週目またはLOCFでの応答者解析(改善または悪化なしと規定した)を示す。
[065]本主題は、本開示の一部を構成する以下の「発明を実施するための形態」を参照することによって、より容易に理解されうる。本発明が、本明細書に記載されているおよび/または示されている特定の製品、方法、条件またはパラメータに限定されず、かつ本明細書で使用されている用語が、実施例の方法のみによる特定の実施形態を説明する目的のためであり、特許請求されている発明を限定することが企図されていないと理解されるべきである。
[066]本明細書で別段の定義がない限り、本出願に関連して用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有することになる。さらに、脈絡による別段の要請がない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むことになる。
[067]上に、かつ本開示を通じて利用される通り、以下の用語および略語は、別段の指定がない限り、以下の意味を有すると理解されることになる。
[068]本開示において、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の参照物を含み、特定の数値への参照は、脈絡が明らかに別段のことを示していない限り、少なくともその特定の値を含む。そのため、例えば、「1種の化合物」への参照は、当業者に既知のそのような化合物およびそれらの等価物のうちの1種または複数への参照である。用語「複数」は、本明細書で用いられるとき、1種以上を意味する。値の範囲が表されているとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行する「約」の使用によって近似として表されるとき、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。全ての範囲は両端値を含み、かつ組み合わせ可能である。
[069]本明細書で使用されるとき、用語「成分」、「組成物」、「化合物の組成物」、「化合物」、「薬剤」、「薬理的に活性な作用剤」、「活性剤」、「治療の」、「治療」、「処置」または「医薬品」は、本明細書で互換的に使用されて、対象(ヒトまたは動物)に投与されるとき、局所的および/または全身的作用によって所望の薬理的および/または生理的効果を引き起こす1種の化合物もしくは複数の化合物または物質の組成物を指す。
[070]本明細書で使用されるとき、続く用語は以下の通り定義される:
ABA 適用された行動解析
ABC−C 異常行動チェックリスト−コミュニティ
ADHD 注意欠陥多動性障害
ADIR 自閉症診断インタビューレビュー
ADME 吸収、分配、代謝および除去
ADOS−2 自閉症診断観察スケジュール、第2版
AE 有害事象
AIDS 後天性免疫不全症候群
ASD 自閉スペクトラム症
AST アスパルテートアミノトランスフェラーゼ
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
AUC 濃度時間曲線下面積
AUC0−8 0〜8時間の濃度時間曲線下面積
AUC0−12 0〜12時間の濃度時間曲線下面積
AUC0−∞ 0〜無限の濃縮時間曲線下面積
AUC0−tz 0〜最終定量化可能濃度の濃度時間曲線下面積
CFR 連邦規則集
CGI−I 臨床包括的所見−総体的改善度
CGI−S 臨床包括的所見−疾病の重篤度
Cmax 最大濃度
CNS 中枢神経系
DL−AMPT ラセミ(DおよびL異性体)α−メチル−パラ−チロシン
DOPA ジヒドロキシ−フェニルアラニン
DSM−5 精神障害の診断および統計マニュアルV
EI 早期介入
EOP2 フェーズ2の終了
FDA 食事および薬剤投与
FDASIA 食品医薬品局安全およびイノベーション法
FOBs 機能観察総合評価
GMP 適正製造基準
HBV B型肝炎ウイルス
HCVA 出血性脳血管発作
HED ヒト等価用量
HIV ヒト免疫不全ウイルス
IEP 個別教育プログラム
L−AMPT α−メチル−パラ−チロシンのL異性体
LC−MS/MS 液体クロマトグラフィー質量分光測定
LOCF 最直前観察値
LQTS QT延長症候群
MTD 最大耐量
NDA 新薬申請
NOAEL 最大無毒性量
PD 薬力学
PK 薬物動態
PND 出生後日数
PSP 小児治験計画
RBS−R 反復的行動スコア−改訂版
SBA 医薬品承認審査概要
SRS−2 対人応答性尺度、第2版
1/2 半減期
TdP 多形性心室頻拍
TID 1日3回
TK 毒物動態学
TQT サロ・キューティ
ULN 正常の上限
USAN 米国一般名
VABS II ヴァインランド適応行動尺度−第2版
[071]自閉症に関して、例えば、ネガティブな影響または症状には、アメリカ精神医学会の、診断および統計マニュアル第5版(DSM−5、DSM−V)における、自閉スペクトラム症のために指定された診断基準の対象であるもののうちの任意のものを挙げることができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれ、例えば社会的感情的交互作用における欠損(例えば、異常な社会的アプローチおよび正常なやり取りの会話の失敗から、興味、感情または情動を分かち合うことの低減まで、対人的相互交流を開始するまたは応答することの失敗までの範囲);対人的相互交流のために用いられる非言語コミュニケーション行動における欠損(例えば、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとの統合の不良から、アイコンタクトおよびボディランゲージにおける異常、またはジェスチャーの理解および使用における欠損、顔の表情と非言語コミュニケーションとの総合的な欠如までの範囲;関係を発展させる、維持するおよび理解することにおける欠損(例えば、多様な社会的脈絡に合わせるために行動を調整する困難から、想像して何かのふりをすることを分かち合うことにおける、または友だちを作ることにおける困難まで、同僚への興味の不在までの範囲);常同的なまたは反復的な運動、目的物の使用またはスピーチ(例えば単純な運動の常同性、おもちゃを並べるまたは物体をはじく、反響言語、奇異なフレーズ);単調性への執着、ルーチンへの柔軟性に欠くこだわり、または言語または非言語行動の儀式化したパターン(例えば小さな変更における極度な悲嘆、移行に伴う困難、頑固な思考パターン、挨拶の儀式、毎日同じ経路をたどるまたは同じ食品を食べる必要性);強度または焦点において異常である高度に限局的な、固定化した興味(例えば、普通でない物体への強い執着または没頭、過度に周りに境界線を描くような、または固執的な興味);ならびに環境の感覚的な面における感覚的インプットまたは普通でない興味への多動もしくは反応低下(例えば痛み/温度への明らかな無関心、特定の音またはテクスチャに対する嫌悪反応、物体の臭いを過剰にかぐことまたは物体に過剰に触ること、光もしくは動きに視覚的に陶酔すること)である。
[072]自閉スペクトラム症患者のいくつかのサブ集団は、アスペルガー障害(すなわちアスペルガー症候群)または社会的コミュニケーション障害と診断された患者を含み、注意欠陥多動性障害(ADHD)(例えば不注意、多動および衝動性)ならびに/またはチック(運動チックもしくは声チック)の症状を呈する。例えばDSM−5を参照されたい。
[073]本開示の、自閉症症状の、または該症状のうちの任意のものの評価は、当業者に既知の方法を用いて実施されうる。例えば、自閉症症状を評価する1つの方法は、多種の心理測定試験におけるベースラインからの変化に基づく臨床包括的所見(CGI)尺度である。これらの試験には、異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)、コナーズ親用評定尺度、および自閉症診断観察スケジュール(ADOS)を挙げることができる。自閉症症状はまた、医師の、定期的にスケジューリングされたクリニック訪問にて撮影されたビデオ映像情報からの、および対象の介助者によって経時的に提供された情報からの、個人の臨床観察からも評価されうる。本開示の組成物および方法は、コナーズ親用評定尺度評価スコアの少なくとも1つの面において少なくとも1ポイントの低下をもたらす。
[074]上でおよび本開示を通して利用されるとき、用語「有効量」は、関連する障害、状態または副作用の処置の点で所望の結果を達成するのに必要な投薬におけるおよび期間にわたる有効量を指す。本発明の有効量の成分が、選択された特定の化合物、成分または組成物、投与の経路、および個体において所望の結果を引き出す成分の能力に関してのみならず、緩和されることになる状態の疾患状況または重症度、個体のホルモンレベル、年齢、性別、体重、患者のそのときにある状況、および処置されている生理的状態の重篤度、特定の患者に続けられている同時の医薬品または特別の食事、および当業者が認めることになる他の要因に関しても、患者ごとに多様であり、適切な投薬は参加する医師の裁量にあることが、認められることになる。投薬レジメンは、改善された治療応答をもたらすように調整されてもよい。有効量はまた、そこで成分の任意の毒性のまたは有害な影響よりも治療有益効果がまさるようなものである。
[075]本発明はまた、本発明の化合物および1種または複数の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。「薬学的に許容される担体」は、利用される投薬量および濃度において、それに曝露される細胞または哺乳動物に非毒性である任意の賦形剤を含む。医薬組成物は、1種または複数のさらなる治療薬を含んでもよい。
[076]「薬学的に許容される」は、健全な医薬判断の範囲内にあり、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または合理的な利益/リスクの比と同一基準の他の問題との併発なしでヒトおよび動物の組織と接触するのに好適な、化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
[077]薬学的に許容される担体の例には、例えば溶媒、分散媒体、緩衝剤、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、湿潤剤、保存剤、バガー、キレート剤、抗酸化剤、等張化剤および吸収遅延剤が挙げられるがこれらに限定されない。
[078]薬学的に許容される担体の例にはまた、例えば、水;生理食塩水;リン酸緩衝生理食塩水;デキストロース;グリセロール;エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール;ホスフェート、シトレートおよび他の有機酸;アスコルビン酸;低分子量(約10残渣未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血漿アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン;単糖、二糖、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS;糖などの等張化剤、マンニトールおよびソルビトールなどのポリアルコール、および塩化ナトリウム;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
[079]本発明内で、開示されている化合物は、薬学的に許容される塩の形態において調製されてもよい。「薬学的に許容される塩」は、開示されている化合物の誘導体を指し、ここで、その親化合物は、その酸塩または塩基塩を作製することによって改変される。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基残渣の無機もしくは有機酸塩、カルボン酸などの酸性残渣のアルカリ塩もしくは有機塩などが挙げられるがこれに限定されない。薬学的に許容される塩には、従来の非毒性塩、または例えば非毒性無機酸もしくは有機酸から形成された親化合物の第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の非毒性塩には、無機酸に由来するもの、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など;ならびに有機酸から調製された塩、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などが挙げられる。これらの生理的に許容される塩は、当技術分野で既知の方法、例えば遊離アミン塩基を水性アルコールに、過剰な酸で溶解することによって、または遊離カルボン酸をヒドロキシドなどのアルカリ金属塩基でもしくはアミンで中和することによって、調製される。
[080]本明細書に記載されている化合物は、代替的形態において調製されうる。例えば、多くのアミノ含有化合物が、酸付加塩として使用されうるまたは調製されうる。多くの場合、このような塩は、化合物の単離および取り扱い性を改善する。例えば、試薬、反応条件などに応じて、本発明に記載されている化合物は、例えばそれらの塩酸塩またはトシレート塩として使用されうるまたは調製されうる。同形の結晶形態、全てのキラルおよびラセミ形態、N−オキシド、水和物、溶媒和物および酸塩水和物もまた、本発明の範囲内であると熟慮される。
[081]本発明の一定の酸性または塩基性化合物は、双性イオンとして存在してもよい。遊離酸、遊離塩基および双性イオンを含む、化合物の全ての形態が本発明の範囲内であると熟慮される。アミノ基とカルボキシ基との両方を含有する化合物が、それらの双性イオン性形態との平衡において存在することが多いことが、当技術分野で既知である。そのため、例えばアミノ基とカルボキシ基との両方を含有する、本明細書で記載されている任意の化合物はまた、それらの対応する双性イオンへの参照物も含む。
[082]用語「立体異性体」は、同一の化学構造を有するが空間における原子または基の配列に関して異なる、化合物を指す。用語「鏡像異性体」は、重ねることができない互いの鏡像である立体異性体を指す。
[083]用語「投与すること」は、本発明の化合物もしくは組成物を直接投与するか、または体内で活性化合物もしくは物質の当量を形成することになるプロドラッグ、誘導体もしくは類似体を投与するか、のいずれかを意味する。
[084]用語「阻害剤」は、本明細書で使用されるとき、タンパク質、ポリペプチドまたは酵素の発現または活性を阻止する化合物を含み、発現および/または活性の完全な阻害を必ずしも意味しない。むしろ、阻害は、タンパク質、ポリペプチドまたは酵素の発現および/または活性の、所望の効果をもたらすのに十分な程度までのおよび時間までの阻害を含む。
[085]操作のいかなる特定の機序に束縛されることも意図しないが、本発明によるチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤が、血流中に分泌されるアドレナリンの量を低減することによって機能すると確信される。
[086]チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、当技術分野で周知であり、かつ例えば米国特許出願公開第2015/0290279号、米国特許出願公開第2015/0216827号、米国特許出願公開第2015/0111937号、米国特許出願公開第2015/0111878号、米国特許出願公開第2013/0184214号および米国特許出願公開第2013/0183263号;米国特許第8,481,498号、米国特許第9,308,188号および米国特許第9,326,962号;ならびにPCT特許出願公開WO2015061328において完全に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者に既知の任意の好適なチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤を使用することができる。
[087]一定の実施形態では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、チロシン誘導体である。チロシン誘導体は、立体異性体および鏡像異性体を含む異なる異性体の形態において存在することができる。チロシン誘導体は、例えば、L型またはD型にて存在することができる。チロシン誘導体はまた、例えばラセミ形態においても存在することができる。
[088]代表的なチロシン誘導体には、例えば、メチル(2R)−2−アミノ−3−(2−クロロ−4ヒドロキシフェニル)プロパノエート、D−チロシンエチルエステル塩酸塩、メチル(2R)−2−アミノ−3−(2,6−ジクロロ−3,4−ジメトキシフェニル)プロパノエート、H−D−チロシン(tBu)−アリルエステル塩酸塩、メチル(2R)−2−アミノ−3−(3−クロロ−4,5−ジメトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(4−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)メトキシ]フェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(2−クロロ−3,4−ジメトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート、ジエチル2−(アセチルアミノ)−2−(4−[(2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ]ベンジルマロネート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(2,6−ジクロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロパノエート、メチル(2R)−2−アミノ−3−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート、H−DL−チロシン−メチルエステル塩酸塩、H−3,5−ジヨード−チロシンメチルエステル塩酸塩、H−D−3,5−ジヨード−チロシンメチルエステル塩酸塩、H−D−チロシンメチルエステル塩酸塩、D−チロシンメチルエステル塩酸塩、D−チロシン−メチルエステル塩酸塩、メチルD−チロシネート塩酸塩、H−D−チロシンメチルエステル塩酸塩、D−チロシンメチルエステル塩酸塩、H−D−チロシンメチルエステル−塩酸塩、(2R)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、(2R)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)メチルエステル塩酸塩、メチル(2R)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート塩酸塩、メチル(2R)−2−アザニル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート塩酸塩、3−クロロ−L−チロシン、3−ニトロ−L−チロシン、3−ニトロ−L−チロシンエチルエステル塩酸塩、DL−m−チロシン、DL−o−チロシン、Boc−チロシン(3,5−I2)−OSu、Fmoc−チロシン(3−N02)−OH、α−メチル−L−チロシン、α−メチル−D−チロシンおよびα−メチル−DL−チロシンのうちの1種または複数が挙げられる。本発明の一定の実施形態では、チロシン誘導体は、以下に示すα−メチル−L−チロシンである:
Figure 2021530569
[089]他の実施形態では、チロシン誘導体は、α−メチル−D−チロシンである。他の実施形態では、チロシン誘導体は、以下に示す、ラセミ形態にあるα−メチル−DL−チロシンである:
Figure 2021530569
[090]特定の実施形態では、チロシン誘導体は、α−メチル−L−チロシンまたはα−メチル−DL−チロシンの構造的バリアントである。α−メチル−L−チロシンまたはα−メチル−DL−チロシンの構造的バリアントは、当技術分野で周知であり、例えば米国特許第4,160,835号において完全に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[091]一実施形態では、本発明のチロシン誘導体は、式:
Figure 2021530569
[式中、Rは、水素、メチルもしくはエチルエステル基、または1〜4個の炭素原子のアルキルであり、Rは、水素、低級アルキル、低級アルケン、サクシニミド、または1〜4個の炭素原子のアルキルであり、Rは、一般式:
Figure 2021530569
(式中、Yはパラ位に位置し、かつ水素、ヒドロキシ、メチルエーテル、ジメチルエーテル、トリメチルエーテル、または非置換のもしくはハロゲンで置換されたベンジルであり、YとYとは、同一でありまたは異なり、ここで、1つまたはYとYとの両方は、メタ位またはオルト位のいずれかに位置し、ここで、YとYとは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、メチルエーテルまたはニトロであり、Rは、水素、アセチル、tert−ブチルオキシカルボニルまたはフルオレニルメチルオキシカルボニルである)
の、置換されたベンゼン環である]
を有するアリールアラニン化合物である。
[092]いくつかの実施形態では、YとYとは、同一でありまたは異なり、かつ(a)YとYとが両方ともヒドロキシであることはできない、(b)YとYとが両方とも水素であることはできない、および(c)YとYとのうちの1つが水素であるとき、他はヒドロキシルであることはできないように、水素、シアノアミノ、カルボキシル、シアノ、チオカルバモイル、アミノメチル、グアニジノ、ヒドロキシ、メタンスルホンアミド、ニトロ、アミノ、メタンスルホニルオキシ、カルボキシメトキシ、ホルミル、メトキシ、ならびに炭素および1種または複数の窒素、硫黄または酸素原子を含有する、置換されたまたは非置換の5員または6員の複素環から選択され、そのような複素環の特定の例は、ピロール−1−イル、2−カルボキシピロール−1−イル、イミダゾール−2−イルアミノ、インドール−1−イル、カルバゾール−9−イル、4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチルチアゾール−3−イル、4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、イミダゾール−2−イルおよび4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イルである。
[093]一例では、Rは、式:
Figure 2021530569
(式中、ベンゾ複素環は、インドリン−5−イル、1−(N−ベンゾイルカルバミミドイル)−インドリン−5−イル、1−カルバミミドイルインドリン−5−イル、1H−2−オキシインドール−5−イル、インドール−5−イル、2−メルカプトベンズイミダゾール−5(6)−イル、2−アミノベンズイミダゾール−5(6)−イル、2−メタンスルホンアミド−ベンズイミダゾール−5(6)−イル、1H−ベンゾオキサゾール−2−オン−6−イル、2−アミノベンゾチアゾール−6−イル、2−アミノ−4−メルカプトベンゾチアジアゾール−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イル、1,3−ジヒドロ−2,2−ジオキソ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イル、1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2,2−ジオキソ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イル、4−メチル−2(1H)−オキソキノリン−6−イル、キノキサリン−6−イル、2−ヒドロキシキノキサリン−6−イル、2−ヒドロキシキノキサリン−7−イル、2,3−ジヒドロキシキノキサリン−6−イルおよび2,3−ジヒドロ−3(4H)−オキソ−1,4−ベンゾオキサジン−7−イルからなる群から選択される)
を有する、置換されたまたは非置換のベンゾ複素環である。
[094]別の例では、Rは、式:
Figure 2021530569
(式中、複素環は、5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン−2−イル、2−ヒドロキシピリジ−4−イル、2−アミノピリジ−4−イル、2−カルボキシピリジ−4−イルまたはテトラゾロ[1,5−a]ピリジ−7−イルからなる群から選択される)
を有する、置換されたまたは非置換の複素環である。
[095]特定の一実施形態では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、アクアヤマイシンである。一例では、アクアヤマイシンは、記載される式:
Figure 2021530569
の化合物である。
[096]別の特定の実施形態では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、オウデノンである。一例では、オウデノンは、記載される式:
Figure 2021530569
の化合物である。
[097]当業者に既知の他の好適なチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤もまた、使用されうる。他のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤の例には、例えば、シクロヘキシミド、アニソマイシン、3−ヨード−L−チロシン、ピラトリオン、カテコールまたはトリフェノール環系を有するフェニルカルボニル誘導体、例えばフェネチルアミンおよび没食子酸誘導体、4−イソプロピルトロポロン、2−(4−チアゾイル)ベンズイミダゾール、8−ヒドロキシキノリン、o−フェナントロリン、5−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、ビリルビン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、α−α’−ジピリジル、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、2,4,6−トリピリジル−s−トリアジン、エチル3−アミノ4H−ピロロ−イソキサゾール−5(6H)−カルボキシレート、α−ニトロソ−β−ナフトール、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸(R Hochster、Metabolic Inhibitors V4:A Comprehensive Treatise 52 Elsevier(2012年)を参照)。
[098]特定の実施形態では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、L1−79であり、これは、ラセミ形態にあるα−メチル−DL−チロシンまたはD,Lα−メチル−パラ−チロシン(略称はDL−AMPT)を指す。
[099]α−メチル−DL−チロシンは、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)の活性を阻害し、これは、カテコラミン生合成における第1の変換、すなわちチロシンの、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)への転換を触媒し、これは、カテコラミン合成における律速ステップである。α−メチル−DL−チロシンは、THをめぐって競合的に競い合い、ほとんど変わらずに尿において排出されるチロシン類似体である。
[100]予備試験において、Demser(すなわちα−メチル−L−チロシン)が腸管浸漏の症状に対して有益な効果を有したが、この効果が短時間であったことが観察された。ラセミ混合物(すなわちα−メチル−DL−チロシン)がより大きい生理的効果および半減期を有することが観察された。これは、体内に存在する異なるLアミノ酸輸送系によって、またはL異性体がより長期にわたって持続することを可能にする腎排出の完了によって、Dアミノ酸異性体が輸送されなかったことに起因しうる。
[101]別の態様では、本発明は、治療有効量または用量のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
[102]本明細書に記載されている自閉症の処置のための本発明の組成物の有効用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者が成人であるか小児であるか、投与される他の医薬品、および処置が予防的か治療的かを含む、多くの異なる要因に応じて多様である。普通、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物もまた処置されうる。処置投薬量は、当業者に既知の慣用の方法を用いて滴定して、安全性および有効性を最適化してもよい。
[103]本発明の医薬組成物は、「治療有効量」を含んでもよい。「治療有効量」は、必要な投薬量においておよび必要な期間の間、所望の治療的結果を達成するのに有効な量を指す。治療有効量の分子は、個体の疾患状況、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を引き出す分子の能力などの要因に応じて多様でありうる。治療有効量はまた、そこで分子の任意の毒性のまたは有害な影響よりも治療有益効果がまさるようなものである。
[104]本明細書で使用されるとき、用語「処置する」および「処置」は、予防的または防止的手段を含む治療的処置であって、その目的が、疾患または状態に伴う望ましくない生理的変化を防止するまたは遅らせる(低減する)ことである、治療処置を指す。利益のあるまたは所望の臨床結果には、検出可能であれ検出不可能であれ、症状の緩和、疾患または状態の程度の低減、疾患または状態の安定化(すなわち、ここで、疾患または状態が悪化しない)、疾患または状態の進行の遅延または緩慢化、疾患または状態の改善または寛解、および疾患または状態の軽減(部分的であれ全体であれ)が挙げられるがこれらに限定されない。治療の必要がある人々には、既に疾患もしくは状態を有する人々、ならびに疾患もしくは症状を有しやすい人々、または疾患もしくは症状が予防されることになる人々が挙げられる。
[105]投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば治療的または予防的応答)を付与するように調整されうる。
[106]一例では、単一の大型丸薬が投与されてもよい。別の例では、いくつかの分割用量が経時的に投与されてもよい。なおも別の例では、用量は、治療状況の急迫した事情により示されるのに比例して減らされたり増やされたりしてもよい。投薬ユニット形態は、本明細書で使用されるとき、哺乳動物の対象を処置するための一体型投薬に見合う物理的に別々のユニットを指す。各ユニットは、所望の治療効果をもたらすように計算された所与の量の活性化合物を含有してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の投薬ユニット形態は、活性化合物の固有の特性、および達成されることになる特定の治療または予防効果によって、規定され、かつそれらに直接依存する。
[107]本発明の組成物は、1回のみ投与されてもよく、またはそれは複数回投与されてもよい。複数回の投薬のために、組成物は、例えば1日3回、1日2回、1日1回、2日ごとに1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間ごとに1回または月1回、投与されてもよい。
[108]投薬量の値は、緩和されることになる状態の種類および重篤度に応じて多様でありうることが特記されるべきである。任意の特定の対象について、指定された投薬レジメンが、個人の必要性に応じて、および組成物の投与を管理するまたは監督する人の専門的判定に従って、経時的に調整されるべきこと、ならびに本明細書で記載している投薬範囲が例示的なものにすぎず、特許請求している組成物の範囲または実践を限定することが企図されていないことが、さらに理解されるべきである。
[109]対象への「投与」は、いかなる特定の送達系にも限定されず、かつ経口(例えばカプセルで、サスペンションでまたは錠剤で)、非経口(皮下、静脈内、髄内、関節内、筋肉内または腹腔内注射を含む)、局所または経皮が挙げられるがこれらに限定されない。宿主への投与は、単回投与または繰り返し投与において起こりえ、多様な生理的に許容される塩の形態のうちの任意のものにおいて、ならびに/または(先に記載した)医薬組成物の一部として許容される医薬担体および/もしくは添加剤と共に起こりうる。ここでもまた、生理的に許容される塩の形態および標準の医薬製剤技術が当業者に周知である(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.を参照)。
[110]一態様では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤の投薬量は、約1mg〜約4gの範囲であってもよい。特定の実施形態では、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤の投薬量は、約10mg〜約1500mgの範囲であってもよい。本発明のいくつかの好適な実施形態では、組成物は、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(すなわちα−メチル−DL−チロシン)を、約50mg(w/w)〜約1500mg(w/w)、約50mg(w/w)〜約500mg(w/w)、約75mg(w/w)〜約350mg(w/w)、約90mg(w/w)〜約350mg(w/w)、約100mg(w/w)〜約300mg(w/w)または約100mg(w/w)〜約200mg(w/w)を範囲とする量で含む。一実施形態では、組成物は、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(すなわちα−メチル−DL−チロシン)を、約90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、750、1000または1500mg(w/w)の量で含む。本明細書で使用されるとき、「組成物」は、薬学的に有効な量の1種または複数の有効成分(例えばチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤、別のざ瘡処置剤、またはこれらの混合物)を含有する任意の組成物を指す。
[111]いくつかの実施形態では、異なる投薬量を有する複数の組成物が、同時にまたは連続的に投与される。例としては、一実施形態では、α−メチル−DL−チロシンを約200mg(w/w)の量で含む第1の組成物と、α−メチル−DL−チロシンを約100mg(w/w)の量で含む第2の組成物とが、同時に投与される。別の実施形態では、α−メチル−DL−チロシンを約200mg(w/w)の量で含む第1の組成物と、α−メチル−DL−チロシンを約100mg(w/w)の量で含む第2の組成物とが連続的に投与される。
[112]一態様では、組成物は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間、投与される。別の態様では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間の投薬期間の間、投与される。なおも別の態様では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12か月の投薬期間の間、投与される。
[113]別の態様では、本発明は、自閉症の処置を必要とする対象における自閉症を処置するために、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤の治療薬(例えばα−メチル−DL−チロシン)の血漿中濃度を長期にわたって得る方法を提供し、該方法は、前記対象に、前記治療薬を、1日3回約50mg(w/w)〜約500mg(w/w)を範囲とする濃度で投与することを含み、ここで、前記血漿中濃度は、約500ng/ml〜5000ng/mlの範囲であり、ここで、前記期間は、少なくとも1週間である。一実施形態では、所望の血漿中濃度を得るために、該薬剤は、少なくとも1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間または4週間投与される。特定の実施形態では、所望の血漿中濃度を得るために、該薬剤は、約1日〜約4週間、約2日間〜約4週間、または約1週間〜約4週間を範囲とする期間投与される。いくつかの実施形態では、所望の血漿中濃度を得るために、該薬剤は、6か月を超えて、治療レジメンの期間投与される。
[114]本発明の組成物の投与は、約500ng/ml〜5000ng/ml、約800ng/ml〜2500ng/ml、または約1400ng/ml〜1800ng/mlを範囲とする血漿中濃度をもたらしうる。
[115]本発明の医薬組成物は、例えば、固体、半固体および液体の剤形、例えばカプセル、錠剤、ピル、粉末、液体溶液(例えば注射用および不溶解性溶液)、分散体またはサスペンション、リポソームおよび坐薬を含む多様な方法で製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では、該組成物は、注射および不溶解性溶液の形態にある。該組成物は、経口、局所、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、非経口、経粘膜または経皮投与に好適な形態にある。特定の実施形態では、該組成物は、カプセルの形態にある。別の特定の実施形態では、該組成物は、錠剤の形態にある。
[116]医薬組成物の投与は、経口で、経鼻で、皮下で、静脈内に、筋肉内に、経皮で、経腟で、直腸で、またはこれらの任意の組み合わせを含む多種の経路を介しうる。経皮投与は、例えばオレイン酸、1−メチル−2−ピロリドン、ドデシルノナオキシエチレンを使用して果たされうる。
[117]一態様では、本発明は、対象に、治療有効量の第1のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤、例えばα−メチル−DL−チロシンを、治療有効量の第2のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤、例えばα−メチル−L−チロシンとの併用において投与することを提供する。別の態様では、本発明は、対象に、治療有効量の1種または複数のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤、例えばα−メチル−DL−チロシンおよび/またはα−メチル−L−チロシンを、自閉症の処置において有用である治療有効量の別の作用剤との併用において投与することを提供する。
[118]これらの態様のうちのいくつかでは、γ−アミノブチル酸(GABA)が、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)と共に投与されうる。GABAは、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤と同時に投与されうる。他の態様では、GABAは、例えば当日の別の時間に、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤とは別に投与されうる。いくつかの態様では、GABAは就寝時に投与される。典型的には、GABAの投薬量は、約5mg〜約30mg、例えば5、10、15、20、25または約30mgのGABAであり、15mgのGABAが特に好ましい。
[119]これらの態様の別のものでは、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)および任意選択のGABAに加えて、p450 3A4促進剤が投与される。好ましいp450 3A4促進剤には、5,5−ジフェニルヒダントイン、バルプロ酸およびカルバマゼピンが挙げられる。
[120]アスペルガー障害(アスペルガー症候群)または社会的コミュニケーション障害と診断されてADHDおよび/またはチックの症状も有する対象を含む、自閉スペクトラム症におけるこれらの対象は、本開示の方法を用いて処置されうる。これらの態様では、該対象は、有効量のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤および有効量のベータアドレナリン作動薬(ベータ作動薬とも称される)を投与されうる。チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤は、本明細書に記載されているチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤の任意のものであり得、α−メチル−DL−チロシンが特に好ましい。ベータアドレナリン作動薬は当技術分野で既知であり、かつ例えばアルブテロール、レバルブテロール、フェノテロール、フォルモテロール、イソプロテレノール、メタプロテレノール、サルメテロール、テルブタリン、クレンブテロール、イソエタリン、ピルブテロール、プロカテロール、リトドリン、エピネフリン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。アルブテロールが、特に好ましいベータアドレナリン作動薬である。
[121]これらの態様の一定のものでは、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤およびベータアドレナリン作動阻害剤は、同時に投与される。他の態様では、ベータアドレナリン作動阻害剤は、例えば当日の別の時間に、α−メチル−DL−チロシンとは別に投与される。
[122]本開示によれば、記載されている、疾患または障害を治療する方法は、これもまた同じ疾患または障害を治療するのに有効であると知られる処置方法との併用において使用されうる。例えば、自閉症行動および症状は、自律神経伝達に影響を及ぼす化合物(例えばアンフェタミン、メチルフェニデートなど)、向精神性薬剤(例えばリスペリドン)、神経伝達物質再取り込み阻害剤(例えばフルオキセチン)、グルタミン性伝達を刺激する化合物(例えばLY2140023)、および/またはコリン作用性神経伝達に影響を及ぼす化合物(例えばガランタミン)で処置されうる。したがって、本開示はまた、有効量のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)および有効量の自律神経伝達に影響を及ぼす化合物、向精神性薬剤、神経伝達物質再取り込み阻害剤、グルタミン性伝達を刺激する化合物および/またはコリン作用性神経伝達に影響を及ぼす化合物を投与することによって患者における自閉症を処置する方法も対象とする。一実施形態では、本発明は、治療有効量のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)および治療有効量の中枢神経系(CNS)作用剤を投与することによって患者における自閉症を処置する方法を提供する。
[123]本発明の組成物によって処置される疾患または障害には、例えば自閉症またはそれに関連する疾患もしくは障害が挙げられる。
[124]自律神経系は、自閉症で見られるものと似た症状において、関係があるとされてきた。自閉スペクトラム症(ASD)は、インスラおよび扁桃体を含む自律と関連する構造における異常な知見と関連してきた。心理社会的負荷に起因する基礎心拍数の上昇および心拍数の低下などの自律に関連する変化が、自閉症において見られる。自閉症−自律の結び付きが、社会化での困難、言語の困難および認知発達における遅れを含む呼吸性洞性不整脈(RSA)の因果関係により例示される。
[125]慢性的に過剰に活性化した自律系が、自閉症、生理的過覚醒、および他の関連症に付随する悪化したレベルの不安に基づく自閉症との相関物であるとの仮説が唱えられてきた。不安は、おそらくは自閉症に伴う最大の合併症であり、この疾患の他の特徴を駆り立てうるものであり、自律機能と結び付いている中枢神経系構造と関連してきた。表現型的に、自閉症と不安とは両方とも、常同反復的行動および限局的興味、回避行動ならびにスピーチ問題と共に存在する。不安と、報告されている上昇した心拍数、呼吸、および他の「闘争または飛行」反応の続発症である自律症状との間の関係性は、自閉症における末梢神経系機能のための役割を明らかにする。しかしながら、これは、中枢自律活性化にとって副次的でありうる。中枢機能は、上昇した感情的反応および誇張された恐れの受容、または恐れ応答の阻害の減衰をはっきり表すことができ、これは、自律応答と感情的応答とが重なる、上に挙げた中枢構造と関連している。
[126]自閉症を、中枢神経系におけるコリン作動性機能と関連付ける、具体的には、とりわけ小脳において多様なα−サブタイプのニコチン受容体と関連付ける、かなり多数のエビデンスが存在する。しかしながら、自律機能は、古典的にはコリン作動系とカテコラミン作動系とのバランスであると考えられ、コリン作動性機能における認められた増加または低下は、これらの系の、カテコラミン作動性トーンとのダイナミックなバランスにおける変化の顕在化でありうる。α−メチル−DL−チロシンの投与によって、アセチルコリンに基づく操作か、またはドーパミン、ノレピネフリンもしくはエピネフリン媒介機序を平衡させるかのいずれかの操作を通じてASDにおける治療変更を果たすことが可能でありうると確信される。
[127]本発明はまた、ASDの中核症状の処置を必要とする対象への、α−メチル−DL−チロシンの投与による該中核症状の処置にも関する。
[128]操作のいかなる特定の機序に束縛されることも意図しないが、本発明により投与されるチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)が、自閉症において関係があるとされるカテコラミン作動性経路を調節し、より具体的にはそのような経路が、CNSおよび胃腸管中でカテコラミン作動性機能を含むASDの中核症状に包含されることが確信される。したがって、内分泌系および神経内分泌系に対するカテコラミンの既知の効果は、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)の投与によって統制され、血流中に分泌されたアドレナリンの量を低下させることが挙げられるがこれらに限定されず、これは、不機嫌およびかんしゃくの強度ならびにASDの他の中核症状を低減させることができる。
[129]一態様では、本発明は、自閉スペクトラム症(ASD)の中核症状の処置を必要とする対象における該症状を処置する方法を提供し、該方法は、治療有効量のα−メチル−DL−チロシンのラセミ混合物を投与することを含む。
[130]別の態様では、本発明は、自閉症に関連する臨床形質の処置を必要とする対象におけるその方法を提供し、該方法は、前記対象に、治療有効量のチロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(例えばα−メチル−DL−チロシン)を含む組成物を投与し、それによって前記対象における前記自閉症に関連する臨床形質を処置することを含む。
[131]自閉症に関連する臨床形質の例には、例えば、社会的コミュニケーションの欠如、対人的相互交流の欠如、社会的モチベーションの欠如、無気力および社会的引きこもり、不適切スピーチ、多動、常同行動、不機嫌およびかんしゃく、限局的行動、反復的行動、儀式的行動、単調行動、強迫行動、自傷行動、またはこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
[132]一実施形態では、臨床形質は、1つまたは複数の心理測定的試験において、ベースラインからの変化に基づいて評価される。心理測定的試験の例には、例えば、臨床包括的所見(CGI)評定尺度、ヴァインランド適応行動尺度(VABS)、自閉症診断観察スケジュール(ADOS)、対人応答性尺度(SRS)、異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)、反復的行動尺度(RBS)、コナーズ親用評定尺度(CPRS)、またはこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態では、臨床形質は、精神障害の診断および統計マニュアル−V(DSM−V)基準の要請と合う。
[133]用語「対象」、「個体」および「患者」は、本明細書では互換的に使用され、かつ本発明による医薬組成物を使用する予防的処置を含む処置がそれに提供される動物、例えばヒトを指す。用語「対象」は、本明細書で使用されるとき、ヒトおよび非ヒト動物を指す。用語「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、本明細書では互換的に使用され、かつ、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物、例えば非ヒト霊長目動物(特により高度な霊長目動物)、ヒツジ、イヌ、齧歯動物(例えばマウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、および非哺乳動物、例えば爬虫類、両生類、鳥類および七面鳥類を含む。
[134]一実施形態では、対象は、3歳から21歳の間の、5歳から21歳の間の、または6歳から17歳の間の、ヒトの患者である。別の実施形態では、対象はヒトの成人の患者である。
[135]本明細書に引用されている全ての特許および文献の参照物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[136]本明細書でまた提供されるのは、本明細書に記載されている1種または複数の分子または組成物を含むキットである。以下の実施例は、先行する開示を補うために、かつ本明細書に記載されている主題のより良い理解を付与するために提供される。これらの実施例は、記載されている主題を限定するものと考えられるべきではない。本明細書に記載されている実施例および実施形態が、例示のみを目的とすること、およびそれらに照らした多様な修正または変更が、当業者には明らかとなり、かつその中に含まれることになり、本発明の真の範囲から逸脱することなくなされうることが理解される。
実施例1
[137]初めに200人の患者をスクリーニングした。治験の基準に合う30人の被験者が同意した。9人の被験者は、治験に同意する前に高血糖値(高血糖症)を有していた。
[138]高血糖値(高血糖症)は、2度にわたり126mg/dl以上の空腹時血漿グルコース値であると定義する。患者の平均年齢は62歳であり、患者の年齢の中央値は60歳であった。患者のうちの6人は女性であり、患者のうちの3人は男性であった。患者のうちの5人は50〜60歳であり、患者のうちの4人は60歳以上であった。
[139]治験における患者には、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(すなわちα−メチル−DL−チロシン)、メラニン促進剤(すなわちメラノタンII)、p450 3A4促進剤(すなわち5,5−ジフェニルヒダントイン)、およびロイシンアミノペプチダーゼ阻害剤(すなわちN−[(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブチリル]−L−ロイシン)を含んだ処置レジメンを投与した。これらの化合物を、1週間当たり各5日において6週間投与し、週のサイクルの間に1日または2日のオフ日を設けた。血糖値を、全ての被験者について2週間ごとに監視した。血糖値は、毎日の血糖値試験によって測定し、2週間ごとに検査室血糖値試験でフォローアップした。
[140]およそ2週間から4週間の後、被験者のうちの全9人は、2度にわたり125mg/dl以下の空腹時血漿グルコース値と規定される正常な血糖値を有していた。
[141]総体的に、上に特記した処置は、被験者による耐容性が良好であり、処置に関連した有害事象がなく、応答は、処置の100%で記録された。
実施例2
[142]患者をスクリーニングし、彼らが自閉スペクトラム症のためのDSM−V基準のどの程度と合致するかを評価する。この基準を満たす患者のサブ群に、チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤(すなわちα−メチル−DL−チロシン)を含む処置レジメンを、1日3回50〜100mgの用量で投与する。別のサブ群に、p450 3A4促進剤(すなわち5,5−ジフェニルヒダントイン)をさらに含む処置レジメンを、1日用量30mgで投与する。ガンマ−アミノブチル酸を、任意選択で、両方のサブ群に、就寝時間に、睡眠を助けるためおよびカチカチという音および歯磨きのような反復的行動を静めるために15mgの用量で投与する。バソプレシンを、脳の統制を助ける必要性に応じて投与する。処置レジメンの各投与に続き、被験者がDSM−5基準のどの程度を満たすかについての変更を、再度評価する。
実施例3
[143]自閉症の処置におけるAMPTの使用についての、無作為化盲検プラセボ対照フェーズ2治験
[144]治験デザイン:8週間の無作為化盲検2選択肢の処置期間、続いて次の18週間にわたる追加の処置のフォローアップ訪問の、総計26週間の治験参加。処置選択肢は、L1−79単独またはプラセボからなる。
[145]サンプル数:Ll−79 N=30、プラセボ N=10。
[146]治験集団:エントリー基準に合い、かつ調査の選択肢において高いパフォーマンスを有する12歳超の自閉症患者。
[147]主な適格基準:署名された治験参加同意書、臨床上正常な検査室値、DSM−5に従った自閉症の診断、適格なADOSスコア、プロトコルを完了するのに十分高い機能、少なくとも2週間は精神作用薬剤なし、ABC−Cスコア>12。
[148]主な除外基準:脆弱X症候群、てんかん、相補的代替医薬品の使用、任意の合併症、他の精神障害、範囲外の検査室値。
[149]実験的処置:LI−79は薬剤Demser(登録商標)のラセミ形態である。それを毎日×8週間付与し、次いで10週目、13週目および26週目にフォローする。
[150]非実験的処置:プラセボ。
[151]投薬量および投与法:LI−79またはプラセボに無作為化し、90mgTIDの用量で経口投与することになる。
[152]評価スケジュール:患者は8週間の上記スケジュールを受け、1週目から8週目まで週ごとの処置評価を受け、次いで10週目、13週目および26週目に後処置フォローアップ訪問を行うことになる。
[153]安全性測定:規則的にスケジューリングされた完全な病歴および身体検査、バイタルサイン、CBC、ディファレンシャル、血小板のカウント、尿分析、以下を含む血漿酵素:総タンパク質、アルブミン、グルコース、BUN、クレアチニン、直接のおよび総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、リン、カルシウム、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(「AST」)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、T、TSH、ならびに有害事象の評価。独立DMCが、患者の安全性を確保するために本試験の実施を監督することになる。
[154]治験期間:最大50週間(12週間の登録、38週間の処置およびフォローアップ)。
[155]治験エンドポイント:主要なエンドポイントは、異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)、コナーズ親用評定尺度および自閉症診断観察スケジュール(ADOS)を含む多種の心理測定的試験における、ベースラインからの変化に基づく臨床包括的所見(CGI)尺度に反映される参加医師の評価、ならびにクリニックにおける彼らの個人観察からの評価、ならびに規則的にスケジューリングしたクリニック訪問(このプロトコル1つ当たり)で撮影される、および本治験のコースにわたり介助者によって提供される、ビデオ映像情報からの評価とすることになる。
実施例4
[156]α−メチル−DL−チロシン(AMPT)を3人の患者に投与した。患者のこの群を、自閉症のDSM−5定義の下、適格とし、処置した。表1を参照。
[157]
Figure 2021530569
異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)、自閉症診断観察スケジュール(ADOS)、コナーズ親用評定尺度(CPRS)、および臨床包括的所見尺度を、該疾患を評価するのに用いた。ビデオを訪問ごとで撮影した。
[158]この観察の最初の3週間にわたるこれらの患者のうちの2人についてのデータを、以下の表に提示する。コナーズ親用評定尺度データを図1に描く。これらの臨床的改善は、素早く始まって恒久性があるように見える。何週間にも何か月にもわたる継続的改善を観察した。有害事象は、2人の患者における、投薬初日の軽度の疲労以外は報告されなかった。
Figure 2021530569
Figure 2021530569
Figure 2021530569
実施例5
自閉症患者におけるL1−79投与の評価
[159]L1−79を2人の患者で事例的に使用し、続いてさらなる8人の自閉症患者で、より構造的な評価を行った。全ての患者に、L1−79の初期投与量90mgTIDを最短3か月間投与した。評価の間、400mgTIDにのぼる用量を使用した。これらの10人の患者で入手可能なデータの概要を、臨床有効性の概要において提供し、自閉症を処置するためのL1−79の使用を、IND128673、シーケンス番号0005に答申した。サンプル数は小さく、L1−79の非盲検投与を含んでいたが、結果は、ABC−Cドメインにおいて一貫した改善を有して、ADOS−2における平均的低下が30%であるという心強いものであり、1人の小児は60%のADOS−2低下をはっきりと表し、これは彼の自閉症診断の撤回をもたらした。加えて、より長期の処置が、自閉症の中核症状により大規模な治療上の利益をもたらした。その上、治験薬L1−79を中断したとき、この利益の全てが退行したわけではなかった。これらのデータは、L1−79が自閉症の中核症状を改善させる潜在性を有していることを示唆している。
実施例6
自閉症と診断された男性患者における、無作為化二重盲検プラセボ対照4週間治験
[160]この臨床試験(本明細書では「治験HT02−121」と称する、すなわち実施例6)の目的は、L1−79が、耐容性が良好でASDの処置のための臨床上有用な作用剤であるかどうかを測定すること、およびL1−79での4週間のTID投薬のPKおよび薬力学(PD)を評価することであった。実施例5の予備治験は、少なくとも3か月のL1−79での非盲検処置を含んでいたが、本治験は、入手可能な毒物学データにおける制限に基づいてわずか4週間であった。より短い期間に基づき、L1−79への応答は、治験HT02−121において、より長い期間の予備治験と比べて少ないことを予想した。
[161]この臨床試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照2コホート4週間投与の用量増加治験であり、これには、自閉症と診断された12歳から21歳の間の男性患者においてL1−79 100mgおよび200mgTIDの安全性および有効性を評価するために、2つの非盲検処置群を組み入れた。20人の患者の第1のコホートは、患者3群からなった:5人の患者の第1の群は、非盲検L1−79 100mgTIDを服用し、PKおよびEKG評価を受けた。このコホート中の残りの2群は、L1−79 100mgTIDまたはプラセボを服用するように2:1ベースで無作為化した15人の患者からなった。非盲検L1−79 100mgTID群からのPKおよび安全性データを、第2のコホートを登録する前に、レビューおよび受諾のためにFDAに申請した。第2のコホートは、手順通りに第1のコホートと同一とした。患者20人の第2のコホートは、同じ3つの群の患者からなっていたが、100mgTIDの用量の代わりに200mgTIDを使用した。キーとなる適格基準は以下の通りとした:(1)13歳から21歳の間の男性、(2)自閉症診断インタビューレビュー(ADIR)によって、および自閉症の診断と一致しているADOS−2スコアによって確認された、DSM−5に従った自閉スペクトラム症の診断、(3)1種のみの併用薬において安定でなければならず、かつ治験中の心理社会的介入において計画された変更がない。
[162]キーとなる除外基準は以下の通りとした:(1)性的に活動的な男性、(2)脆弱X症候群、レット症候群、もしくはがん、遺伝的疾患、もしくは薬剤治療を要する任意の疾患もしくは症候群を含むがこれらに限定されない任意の他の合併症の病歴、(3)統合失調症、統合失調感情障害、アルコール使用障害または注意欠陥多動性障害(ADHD)のDSM−5診断、(4)てんかんおよび喘息を含む任意の活動性の医学的問題を有した、(5)進行中のまたは活動性の感染症、前兆となる循環器疾患、肝疾患、腎疾患、骨格−筋疾患、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、出血性脳血管発作(HCVA)、B型肝炎ウイルス(HBV)を含むがこれらに限定されない、制御できない介入性疾病、または治験の要請への遵守を制限しうる精神医学的疾病/社会状況、(6)慢性処置を必要とする任意の疾患、(7)免疫抑制薬での処置を要する任意の疾患、および/または(8)重篤な精神障害の現在のもしくは生涯にわたる診断。
非盲検患者
[163]各コホート中の最初の5人の患者を、非盲検方式において活性な医薬品を服用するように割り当てた。患者を、無作為化した患者と同一に処置したが、以下の例外を伴った:(1)血液サンプルを、ベースラインにて、ならびに投薬1時間後に、ならびに1週目、2週目、3週目および4週目の処置訪問での投薬後1時間後に採り、L1−79のPKを測定した、(2)EKGを、ベースラインにて、ならびに1週目、2週目、3週目および4週目の処置訪問前3日以内に、ならびに1週目および4週目の後投薬フォローアップ訪問にて評価した、(3)バイタルサイン、身体検査およびASD評価を、1週目の後投薬訪問にて実施した、(4)血液および尿サンプルを、ベースラインにて、ならびに1週目、2週目、3週目および4週目の処置訪問の投薬後1時間にて、かつ安全性分析のために、1週目および4週目の投薬後フォローアップ訪問にて採った。
無作為化患者
[164]無作為化患者を、非盲検患者と同一に処置したが、以下の3つの例外を伴った:(1)PK用の血液サンプルは採らなかった、(2)ECGは実施しなかった、および(3)これらの患者には1週目のフォローアップ訪問をさせず、4週目のフォローアップ訪問のみとした。治験のための時間およびイベントスケジュールを表5に付与する。
Figure 2021530569
安全性のエンドポイント
[165]安全性が、本治験の主要なエンドポイントであった。以下の安全性のエンドポイントを評価した:ECG、身体検査、実験評価(血液学、化学および尿分析)、起立性血圧を含むバイタルサイン、有害事象(AE)および併用薬。
有効性のエンドポイント
[166]主要な有効性エンドポイントは、臨床包括的所見(CGI)評定尺度によって記録した、治験責任医師による臨床上の改善度の測定であった。さらなる有効性のエンドポイントには、(1)ヴァインランド適応行動尺度、第2版(VABS II)親/介助者評定フォームの社会化およびコミュニケーションドメインにおけるベースラインからの変化、(2)ADOS−2総スコアおよびサブスコアにおけるベースラインからの変化、(3)対人応答性尺度、第2版(SRS−2)総スコアおよびサブ尺度における変化、(4)ABC−Cドメインにおける変化、(5)反復的行動尺度−改訂版(RBS−R)総スコアおよびサブ尺度における変化が挙げられる。叙述的統計のみである本治験の所与の診査デザインを計画した。
結果
治験集団
[167]患者の登録および割付を図2にまとめる。総計42人の患者を無作為化し、治験薬の少なくとも1回の用量を服用させた。1人の患者を非盲検L1−79 200mgTIDに無作為化したが、クリニックにおいて治験医薬品1回用量を服用した後、親が0週目/ベースラインにて治験からの自発的な撤退を要請した。39人の患者は治験を完了した。二重盲検L1−79 200mgTIDで処置した1人の患者が、AE(表8を参照)に起因して治験から撤退し、プラセボで処置した1人の患者が自発的に治験から撤退した。属性の特徴を表6にまとめる。
Figure 2021530569
安全性
併用薬および身体検査
[168]患者の大半は、治験中、CNS医薬品を服用しなかった。治験中、以下のCNS医薬品を用いた:クロニジン(n=2)、Strattera(登録商標)(n=1)、Depakote(登録商標)(n=3)、ロラゼパム(n=1)、Prozac(登録商標)(n=1)およびAbilify(登録商標)(n=1)。治験中に報告された臨床的に著しい身体検査の知見はなかった。
有害事象
[169]プライマリー器官別大分類および好ましい用語ごとのAEの発生率を表7に提示し、治験中に報告されたAEの列挙を表8に提示する。全てのAEは、強度において軽度から中度であり、自然治癒した。
Figure 2021530569
Figure 2021530569
[170]AEを経験した患者(34.1%、患者41人中14人)のうち、大半は軽度(24.4%、患者41人中10人)から中度(14.6%、患者41人中6人)の強度のAEを経験した。3件のAEのみが1人超の患者によって報告された。故意の自傷が、非盲検100mg群における2人の患者、および二重盲検プラセボ群における1人の患者によって処置緊急性AEとして報告された。不機嫌が、非盲検100mg群における2人の患者によって処置緊急性AEとして報告された。故意の自傷および不機嫌を報告した患者のうちの1人(02−002)について、これらの症状は積極的な処置から撤退した数日間以内に出現した(すなわち4週目の完了後)。他の患者(02−001)について、症状は、積極的な薬物処置中に始まった。存在する尿シスチン結晶が、4週目フォローアップ訪問にて、二重盲検200mg群における2人の患者によって非処置緊急性AEとして報告された。
[171]治験中に報告された重篤な有害事象(SAE)または死亡はなかった。総計2人の患者が有害事象に起因して治験から撤退した:二重盲検200mg群における1人の患者が強直性大発作の処置緊急性AEを経験し、二重盲検プラセボ群における1人の患者が故意の自傷およびかんしゃくの処置緊急性AEを経験した。
バイタルサイン
[172]起立性バイタルサインを、治験HT02−12において記載した各訪問にて取った。起立性低血圧症(すなわち20mmHgの収縮期血圧における低下、10mmhgの拡張期血圧における低下、または1分当たり30拍の心拍数の上昇)のための基準に遭った変化は観察しなかった。少数の被験者が、収縮期および/または拡張期血圧において、処置の1週目または2週目での心拍数の上昇を伴って無症状性低下を示したが、それらは4週目に治癒し、本質的に軽度であった(例えば収縮期血圧における10mmgHgの低下、拡張期血圧における5mmHgの低下、および心拍数における1分当たり15〜24拍の上昇)。図3は、認めた、ベースラインからの最大変化の例を付与し、これらの変化が一過性であり、卒倒が、起立性基準からみてはるかに短かったことを示している。
ECGSおよび検査室評価
[173]ベースラインEKGからの著しい臨床上の変化は、患者のいずれにおいても認められなかった。尿検査が明らかにした臨床上の症状に関連する知見はなかった。認められたのは、L1−79における患者の半数(50%)が結晶尿を発現し、それと比較してプラセボ処置群では30%を観察したことであった。本治験中に結晶尿を発現した人たちのうち、およそ半数(50%)が濃い尿(比重>1.025)を有していた。結晶尿のほとんどはシュウ酸カルシウム結晶からなっていた。結晶尿に伴う症状はなかった。
[174]1人の患者は、4週目にアミラーゼの無症状性一過性軽度上昇を発現し(146U/L、正常の上限[ULN]は125U/Lである)、これは、4週目フォローアップ訪問までに治癒した。
[175]安全性集団において認めた、ASTもしくはALTまたは任意の他の化学パラメータにおいて著しい上昇はなかった。
[176]血液学パラメータの評価は、安全性集団において著しい偏差がないことを明らかにした。
薬物動態
[177]薬物動態を、非盲検100mgおよび200mgTID患者において評価した。1日目に、L−79濃度を、投与後1時間に評価した。続いて、無作為L1−79血漿中濃度を、1週目、2週目、3週目および4週目に評価した。1日目での投与後1時間に、100mおよび200mgTIDを有する血漿中濃度は、それぞれ0(<2.5)〜736ng/mLおよび23〜1680ng/mLの範囲であった。個々の患者および組み合わせた総体的平均L1−79無作為血漿中濃度の概要を、図4に示す。図5および図6に示すように、総体的L1−79無作為血漿中濃度は、1週目〜4週目にわたって比較的安定していた。
有効性
[178]この治験を開始したとき、長期の青年および生殖毒物学データが欠如していた。出願者は、期間28日の短期治験を開始し、患者の数、性別および年齢における制限が、本治験中に可能であった。結果として、本治験は、有効性エンドポイントのうちの任意のものにおいて統計的有意性を示すようにはデザインせず、そうするだけの検出力もなかった。そのため、予想通り、アウトカム測定のうちで統計的有意性を達成したものはなかった。予期され、かつ観察されたのは、自閉症の中核症状における改善と一致した様々なインスツルメントにおけるポジティブな傾向であった。事実、ASDに罹患した標的の中核的社会的ドメインの処置における改善と類似した指標を示す、多くの要素からなる有効性測定があった。加えて、有効性データは、盲検処置を受けた患者について提示しているのみである。
アウトカム測定
[179]本治験のコホート1とコホート2との間に質問票をどのように管理するかにおいて、いくらかの相違があった。予備治験では、全てのフォームを治験責任医師の存在下で治験サイトにて完了した。本治験のコホート1では、VABS−II、SRS−2、ABC−CおよびRBS−Rは、本治験の執行をはかどらせるために、処置訪問に先立って家で患者/患者の家族によって埋めてもらい処置訪問にて返却した。コホート1の間のVABS II、SRS−2、ABC−CおよびRBS−Rについての評価手順は処置訪問では行わず、結果として、家族がフォームを適正に埋めるのは困難であった。コホート2の間で質問票の質および完全性を改善するために、全ての質問票(ADOS−2[両方のコホートで、外部の認定されたADOS−2試験管理者が管理した]およびCGI[両方のコホートで、治験責任医師が完了した]を例外とする)を、筆頭治験責任医師が、事前指定した処置訪問において患者/患者の家族の補助を得ながら完了した。コホート2データはより豊富であったので、結果の検討は、ADOS−2およびCGIの例外を伴って、L1−79 200mgのプラセボに対する比較に焦点を当て、ここで、L1−79 100mgと200mgとの両方をプラセボと比較した。
[180]治験の終了の後、VABS−IIについての基礎アンカーが常に適切に確立したわけではないことを発見した。加えて、2つのサブドメイン(コミュニケーションおよび社会化)のみが患者について完了し、これは、ドメインまたは総スコアを得ることを不可能にした。しかしながら、VABS IIコミュニケーションおよび社会化ドメインについての結果を以下に提示する。
[181]有効性測定の要約を以下に提示する(表9)。L1−79の利益となるポジティブな傾向を示すこれらの測定について、3セットの図をそれぞれの有効性測定について提示する。これらの図は以下からなる:a)3つの処置群間でスクリーニング/ベースラインから4週目まで(いくつかの症例では治療時点後4週間が続く)を比較した変化を示す線グラフ、b)個々の患者の応答プロット、およびc)応答者解析プロット。L1−79の利益となるポジティブな傾向を示さない有効性測定では、3つの処置群間でスクリーニング/ベースラインから4週目まで(いくつかの症例では治療時点後4週間が続く)を比較した変化を示す線グラフのみを提示する。
応答者の定義
[182]活性薬剤に曝露した患者についての、プラセボと比較した、それぞれの有効性エンドポイントにおける大規模な変化を観察することによるデータの分析に加え、「応答者」集団を定義することが重要である。一般に、応答者解析は、治験集団における総体的変化よりも、任意の利益を示す患者の数に焦点を当てることを企図する。典型的には、応答者は、その標的症状が有効性エンドポイントにおいて事前に指定した改善を示す患者であると定義される。この定義は、自閉症を含むほとんど全ての障害において治験した実験的処置についての中期および長期のアウトカムを判定するための受容された標準と一致する。しかしながら、症状の重篤度において振幅を有する自閉症のような障害のための短期間の治験において、改良した定義が必要であることは考慮に入れていない。ASDでは、小児は、確認可能ではあるが依然として未確認な多様な要因に関連する彼らの行動的、社会的および感情的症状の調節において、軽度から中度の改善または悪化の期間を通ることが多い(Boso、2010年;城之内、2011年)。そのため、短期間の治験において、「ベースライン」測定は、事実として、これらの振幅のうちの1つの頂点、中間点または最下点にある可能性がある。治験下での標的症状をベースラインにて測定するときにそれらが頂点または中間点にある場合、短期間の治験は、標的症状をその振幅の最下点に戻らないように防止することによって、初期の有効性を示す機会を有するのみでありうる。何人かの治験患者の間でこれが起きた可能性を考慮に入れるために、応答者の定義は、標的症状における短期の安定性または改善のいずれかを示す患者を含んでいる。そのため、ポジティブな傾向を示すそれぞれの有効性エンドポイントについて、応答者解析は本明細書で定義しているように行った。
[183]有効性測定についてのスクリーニング/ベースラインからの変化の要約を、表9に提示する。
Figure 2021530569
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臨床包括的所見(CGI)評定尺度
[184]L1−79についての、経時的なCGI−総体的重篤度(CGI−S)およびCGI−総体的改善度(CGI−I)を、プラセボと比べて、図7および図8にグラフで提示する。4週目または最直前観察値(LOCF)におけるベースラインからのCGI−S平均変化を図9に提示し、200mg群における患者についての総体的CGISにおいて、プラセボ群および100mg群における患者と比べて平均0.5ポイントの改善を示している。
[185]CGI−Sにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化の概要を、図10に提示する。加えて、4週目またはLOCFでの応答者解析(改善として定義する)を、CGISについて図11に提示する。
[186]CGI−Sのための応答者の定義は、(改善または変化なし、の代わりに)改善としてのみ定義し、その理由は、週1回実施した他の測定とは異なって、CGI−Sは、本治験の全体にわたるアウトカム測定およびそれらの動きの全てに基づいて、患者の臨床症状の重篤度の総体的評価に医師を必要とするためである。
[187]4週目でのCGI−Sについての応答者解析は、L1−79 100mg群および200mg群についての、プラセボと比べた、改善の、明白な用量応答傾向を示している。
ヴァインランド適応行動尺度、第2版(VABS II)
[188]L1−79についての、VABS II標準化社会化スコアおよびVABS II標準化コミュニケーションスコアにおける、プラセボと比べたベースラインからの経時的な変化を、それぞれ図12および図13にグラフで提示する。
自閉症診断観察スケジュール、第2版(ADOS−2)
[189]L1−79についての、ADOS−2総スコア、限局的および反復的行動総スコアおよび対人的情動総スコアにおける、プラセボと比べたスクリーニングからの経時的な変化を、図14、図15および図16にグラフで提示する。典型的にアウトカム測定としては使用しないが、短期間にわたるADOS−2における変化は、先に提示した、より長い期間の非盲検予備治験と一致する。
[190]多数の患者にわたるこの効果の一貫性は、図17に提示したADOS−2総スコアにおけるスクリーニングから4週目までの変化の概要によって示唆される。
対人応答性尺度、第2版(SRS−2)
[191]L1−79についての、SRS−2総Tスコア、SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコア、SRS−2社会的コミュニケーションTスコア、SRS−2社会的モチベーションTスコアおよびSRS−2 DSM−5限局的および反復的行動Tスコアにおける、プラセボと比べたベースラインからの経時的な変化を、それぞれ、図18、図19、図20、図21および図22にグラフで提示する。
[192]SRS−2総計、SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流、SRS−2社会的コミュニケーション、ならびにSRS−2社会的モチベーションTスコアは、L1−79 200mg処置群において平均して8ポイント近くまたは8ポイント以上改善した(図18、図19、図20および図21)。社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流尺度は、ASDの診断に要する社会的コミュニケーションの欠損および対人的相互交流の欠損を作り上げているDSM−5基準からなる。かなり関心があるのは、8ポイント以上落ちた60から83の間のベースラインスコアを有する患者が、臨床上の重篤度にあるカテゴリー変更をおそらくは示したという知見であり、その理由は、症状の重篤度の「正常限度内」(Tスコア60未満)、「軽度の範囲」(Tスコア60〜65)、「中度の範囲」(Tスコア66〜75)および「重度の範囲」(Tスコア76以上)という分類が、これらのTスコア範囲内で規定されているからである。
[193]SRS−2総Tスコア、SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコア、SRS−2社会的コミュニケーションTスコアならびにSRS−2社会的モチベーションTスコアにおける、患者ごとのベースラインから4週目までの変化の概要を、それぞれ、図23、図24、図25および図26に提示する。
[194]SRS−2総計、SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流、SRS−2社会的コミュニケーション、ならびにSRS−2社会的モチベーションTスコアについて、観察した応答者の規模と数との両方が、L1−79 200mgで、プラセボに比べて大きかった(図27、図28、図29および図30)。SRS−2総Tスコアについて、L1−79 200mg群において、3人の患者が重篤度のカテゴリーを変更するのに十分改善し、比較するとL1−79 100m群とプラセボ群との両方において2人であった。SRS−2社会的モチベーションTスコアについて、L1−79 200mg群において、6人の患者が臨床重篤度のカテゴリー変更を示し、比較すると100mg群で4人、プラセボ群で3人であった。SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコアについて、200mg群において、4人の患者が重篤度カテゴリー化を変更し、比較すると100mg群で2人、プラセボ群で3人であった。同様に、SRS−2社会的コミュニケーションTスコアについて、200mg群において、4人の患者がカテゴリー改善を示し、比較するとプラセボ群と100mg群との両方で3人であった。
[195]応答者解析(改善または悪化なしと規定した)を、4週目またはLOCFでのSRS−2総Tスコア、SRS−2 DSM−5社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流Tスコア、SRS−2社会的コミュニケーションTスコアならびにSRS−2社会的モチベーションTスコアについて、それぞれ図27、図28、図29および図30に提示する。
[196]図27〜30は、応答者の百分率(改善または悪化なしと規定した)が、L1−79 200mgで、プラセボと比べて高かったことを示す。応答者の定義(上の章)を参照されたい。
異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)
[197]L1−79についての、ABC−C無気力および社会的引きこもりドメイン、ABC−C不適切スピーチドメイン、ABC−C多動および不服従ドメイン、ABC−C常同行動ドメイン、ならびにABC−C不機嫌およびかんしゃくドメインにおける、プラセボと比べたベースラインからの経時的な変化を、それぞれ図31、図32、図33、図34および図35にグラフで示す。
[198]ABC−C無気力および社会的引きこもりドメイン、ならびにABC−C不適切スピーチドメインにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化の概要を、それぞれ図36および図37において提示する。ベースラインスコアからの平均変化において200mg群とプラセボ群との間に乖離はなかったが、応答者解析は、200mg群において、プラセボと比べて、患者が行動の改善または悪化なしと応答する傾向がより大きいことを示し、それぞれ図38および図39に示す。
[199]SRS−2がそうであるように、L1−79 200mgを付与された患者についての回答者の数と応答の規模との両方が、ABC−Cの社会的およびスピーチドメインについて乖離に向かう傾向を示した。等しくに認められるのは、L1−79 200mgでの患者の90〜100%がこれらのドメインの安定または改善を示したことであり、これは、より短い期間にわたる強度において著しく多様であることが知られる。
反復的行動尺度−改訂版(RBS−R)
[200]L1−79についての、RBS−R総スコア、RBS−R限局的行動、RBS−R儀式的行動、RBS−R単調行動、RBS−R強迫行動、RBS−R常同行動およびRBS−R自傷行動におけるベースラインからの経時的な変化を、プラセボと比較して、図40、図41、図42、図43、図44、図45および図46においてグラフで提示する。
[201]L1−79 200mgについてのスコアの低下を認めたRBS−R総スコアにおいて、プラセボと比べて平均的改善があった(図40)。
[202]RBS−R総スコアにおける患者ごとのベースラインから4週目までの変化の概要を、図47に提示する。加えて、4週目またはLOCFにおけるRBS−R総スコアについて、応答者解析(改善または悪化なしと規定した)を図48に提示する。
[203]ABC−C無気力および社会的引きこもり、ならびにABC−C不適切スピーチドメインと一致して、RBS−R総スコアは、限局的および反復的行動において、L1−79 200mgで、プラセボに比べて大規模な低下に向かう明らかな傾向を示した。これは、L1−79 200mgで処置した患者の91%が症状の改善または安定化を有し、プラセボでは78%であったことを示す応答者解析によってさらに示される。
総体的結論
[204]ASDの小児および成人のための現在入手可能な治療は、障害(不機嫌、かんしゃく、衝動、多動)に伴い、かつ血液検査を通じて代謝パラメータの監視を要する副作用を有する随伴症状のみを標的とする。静脈切開は、ほとんどの神経標準の小児および成人にとって不快であるが、これは、それらの恐れと適切にコミュニケーションできない極度の知覚感度を有する人たちにとってきわめて精神的外傷的である。実際、静脈切開は、彼らが呈する異常行動の多くが、相互交流する、コミュニケーションをとる、および他人と結び付くことの不能におそらくは起因することにおいて、これらの個体にとってキャッチ22である。彼らに、これらの行動を左右する中核症状を改善させるだけでなく侵襲的監視の必要なしにそのようにする治療を提供する潜在性は、これらの小児にとって生活の質を改善するための長い道のりとなろう。
[205]治験HT02−121からの結果は、L1−79が、ASDの中核症状の処置において利益をもたらすように見えるという概念の証拠を提供する。ASDは、第1に、社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流、ならびに限局的および反復的行動パターン、興味または活動における持続する欠損として定義される。これらの中核症状の、社会的と行動的との両方の強度を測定するのに特に用いた多くの要素からなる独立した評価からの予備的エビデンスは、多数のインスツルメントにわたって繰り返し認めることが可能であった一貫した傾向を示した。本治験は限定的な数および短期間であったため、用いたアウトカム測定における統計的に有意な改善を示すという任意の予想または能力が排除されたが、本治験で用いた多くの要素からなる測定間の一致はきわめて心強いものである。1か月未満の処置において、本治験に関与した医師による盲検評価は、CGI−Sにおいて、ベースラインと比べて1ポイント近い変化を示した。同様に、L1−79を服用している患者は、ADOS−2スコアにおいて、同じ期間内でベースラインから1ポイント近く改善した。
[206]10人の自閉症患者におけるL1−79の非盲検投与での先の経験(実施例5を参照)は、L1−79が、自閉症の中核症状を改善する潜在性を有することを明らかに示した。治験HT02−121において、CGI−S、ADOS−2、SRS−2、ABC−CおよびRBS−Rを含む多くの要素からなる個々の有効性測定は、ASDにより影響を及ぼされた標的スコアの社会的ドメインにおいて、短い処置期間および少数の患者にもかかわらず、一貫した改善を示した。28日間の処置期間にわたって、L1−79は安全であり耐容性が良好であった。治験の終了時に、多くの親が、彼らの子どもたちがL1−79での処置を受けることの継続を望んだ。結果として、両方の臨床サイトにて、これらの親たちが、彼らの自閉症の子どもたちにおけるL1−79の影響について直接FDAと話すことができるようにという企図の下、協議のビデオを撮影した。
実施例7
自閉スペクトラム症の青年および成人における社会的コミュニケーション機能の中核的欠損の処置のための、L1−79の無作為化二重盲検プラセボ対照適応試験
[207]完了した治験HT02−121(実施例6)は、自閉症の処置のためのL1−79のフェーズII安全性治験であった。治験HT02−121は、13歳から21歳の間の男性の自閉症患者におけるL1−79 100mgおよび200mgTIDの安全性および有効性を評価するための、2つの非盲検処置群を組み入れた、無作為化二重盲検プラセボ対照2コホート4週間投与上昇治験とした。治験HT02−121からの結果は、L1−79がASDの中核症状の処置において利益をもたらすように見えるという概念の証拠をもたらす。これらの中核症状の社会的と行動的との両方の強度を測定するのに具体的に用いた、多くの要素からなる独立した分析からの予備的エビデンスは、多数のインスツルメントにわたって繰り返し認めることが可能であった一貫した傾向を示した。本治験の限定的な数および短い期間により、用いたアウトカム測定における統計的に有意な改善を示すという任意の予想または能力は排除されたが、本治験において利用した多くの要素からなる測定間の一致はきわめて心強い。治験HT02−121からの結果のレビューに続いて、FDAは、L1−79が、市場の認可につながる登録試験を開始することを許可し、L1−79 IND128673に迅速承認指定を与えた。
[208]結果として、本発明者らは、定義している社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流における中核的欠損を処置するための、L1−79の治療剤としての評価に向けた、便宜ではあるが徹底的なアプローチを可能にする、フェーズIIIセッティングにおける適応試験アプローチを提案している。治験HT02−121(実施例6)からの結果に基づいて、提案したのは、2つのフェーズIII無作為化二重盲検平行群およびプラセボ対照の臨床試験(治験301および治験302)であり、これは、前向き無作為化二重盲検の様式で、それらの自閉症診断観察スケジュール−2(ADOS−2)結果に基づいて自閉症と診断された患者に200または300mgの用量でTID投与されるL1−79の安全性および有効性を定量化するために、治験301の第1のセグメント中に最適な適格基準、サンプル数およびアウトカム測定を評価するような適応デザインを利用する。
[209]自閉症の処置のためのL1−79での臨床経験のほとんどを、100〜200mgTIDの用量とする。実施例8の治験(本明細書では「治験301」とも称する)では、前向き無作為化二重盲検の様式で、それらの自閉症診断観察スケジュール−2(ADOS−2)結果に基づいて自閉症と診断された患者に200または300mgの用量でTID投与されるL1−79の安全性および有効性を定量化することを模索する。
[210]剤形は、DL−α−メチル−パラ−チロシン100mgのカプセル(これ以降、「L1−79」と称する)を収容するカプセルである。フェーズIII臨床試験(治験301および治験302)のためのL1−79の企図した投薬レジメンは、2つまたは3つのカプセルの1日3回(TID)経口投与である。
治験デザインの理論的根拠:
[211]ASDは、子ども時代の発達の間、対人的相互交流における欠損、および挙動、興味または行動の、限局的、反復的パターンの存在により特徴づけられる障害である(Swedo,S.E.,Baird、G.,Cook、E.H.,Happe’、F.G.,Harris、J.C.,Kaufmann、W.E.、…Wright,Harry,H.(Eds.)、(2013年)、Neurodevelopmental Disorders、アメリカ精神医学会;精神障害の診断および統計マニュアル(第5版)、アメリカ精神医学会)。最近の文献は、ASDの小児および成人における周辺のおよび自閉症の神経系の関与を示唆してきた(Baker、2017年;Fenning、2017年)。結果として、皮膚電位試験が、交感神経系を標的とする処置に、より応答しそうな患者の集団についての重要なバイオマーカーとして役立ちうる。
主要な目的:
[212]本治験の主要な目的は、自閉スペクトラム症(ASD)の青年および成人における社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流における中核的欠損の処置のための、L1−79の有効性、安全性および耐容性を、プラセボと比べて評価することである。
副次的な目的:
[213]本治験の副次的な目的は以下を含む:
[214]1.この適応試験の第1のセグメント中に、最適な適格基準、サンプル数およびアウトカム測定を評価すること、
[215]2.ASDにおける反復的および限局的行動を減らすことに対するL1−79の効果を、プラセボと比べて評価すること、
[216]3.ASDにおける、多動、かんしゃくおよび不機嫌を含む異常行動を減らすことに対するL1−79の効果を、プラセボと比べて評価すること、ならびに
[217]4.被験者のサブセットにおけるL1−79についての薬物動態(PK)および薬力学(PD)のさらなるモデル化を、時間内の断続的なまばらなサンプリングを通じて実施すること。
治験デザイン:
[218]適格な参加者は、ADOS−2におけるASD症状の医師のインタビューおよび評価、ならびに重篤度の臨床包括的所見(CGI−S)評定4以上(中度以上)に基づき、ASDのための精神障害の診断および統計マニュアル−第5版(DSM−5)基準に合う12歳から21歳の間の青年および成人となる。
[219]被験者を、プラセボ、L1−79 200mgまたはL1−79 300mgの1日3回(TID)群に、比1:2:2で無作為化することになる。
[220]200および300mg群における被験者を、200mgTIDで開始することになる。300mg群における被験者は、7日後に300mgTIDまで滴定することになる。
[221]スクリーニング評価は、ADOS−2、DSM−5からのASD基準のレビューおよびCGI−Sを含むことになる。
[222]適応デザインを、以下の基準を決定するために用いることになる、提案した合間の分析で使用することになる:主要なアウトカムについての潜在的エンドポイント、定義した治験集団の修正、および推定したサンプル数。データ監視委員会および独立統計グループが、合間の分析を実行して、予備定義した基準に基づく治験における、提案した変化に関するスポンサーに推奨を行うことになる。サンプル数再計算は、合間の分析で測定することになる主要なアウトカムおよび潜在的治験集団に依存することになる。サンプル数再計算は、盲検データに基づくことになる。
[223]イベントのスケジュールを表10に提示する。
Figure 2021530569
[224]適格基準:
1.被験者は、21歳までの男性または女性の、青年または成人でなければならない
2.被験者は、13歳から21歳の間でなければならない
3.初潮後の女性は、適切な場合、妊娠調節しなければならない
4.DSM−5基準[例えば自閉症症状評定尺度(ASRS)、小児自閉症評定尺度−2(CARS2)または自閉症診断インタビュー−改訂版(ADI−R)]を利用する評価ツールに基づき、かつADOS−2で4以上のCGI−Sスコアで確認した、ASDの診断
5.被験者は、1種のみの併用薬において安定でなければならず、かつ本試験中、心理社会的介入における計画した変更があってはならない
6.被験者および介助者は、本明細書で使用される試験において有効なスコアを得るのに十分な試験手順において自発的に参加し、かつ参加できなければならない
7.被験者は、1年にわたり彼らを知っていて1週間当たり少なくとも10時間彼らと共に過ごし、各アポイントメントに進んで彼らと同行する介助者を有していなければならない
8.被験者は、治験責任医師の意見において耐容性が十分でなければならず、本試験の要請に従うことが可能でなければならない。例えば、採血またはEGGに耐容性がないであろう患者は、本治験に適格な候補ではない
9.被験者は、カプセルを飲み込めなければならない
10.被験者および介助者は、治験参加同意書に進んで署名しなければならない、または彼らの法的保護者もしくは代理人によって付与される治験参加同意書を有していなければならない。18歳未満の全ての被験者、または自分自身でケアできない人は、介助者の同意書を有していなければならない。
[225]除外基準:
1.性的に活動的な男性および女性
2.進行中のまたは活性な感染症、症候性心臓血管疾患、肝疾患、腎疾患、骨格筋疾患、HIV、HCVA、HBVが挙げられるがこれらに限定されない制御できない介入性疾患、または治験の要請への遵守を制限しうる精神疾患/対人的状況
3.免疫抑制薬での処置を要する任意の疾患
4.脆弱X症候群、レット症候群、または他の、患者の自閉症症状のベースとなりうる神経学的障害(例えば先天性もしくは後天性脳損傷、脳異常形態、発作、神経遺伝性もしくは代謝障害)の診断
5.統合失調症、統合失調感情障害、アルコール摂取障害またはADHD、重篤な精神障害(例えば双極性障害など)の現在または生涯の診断というDSM−5診断
6.制御できない発作性障害、心臓疾患、がん、喘息、遺伝性疾患、または継続的な薬剤療法を要する任意の疾患もしくは症候群が挙げられるがこれらに限定されない任意の活性な慢性医学的問題の存在
7.自閉症の処置のために1種超の医薬品を要する被験者、または医薬品のそれらの最小耐容用量を断っていない被験者
8.免疫抑制薬での処置を要する任意の疾患の被験者
9.範囲外の肝臓もしくは腎臓機能試験、または他の、治験責任医師によって臨床的に有意であるとみなされる、説明されていない検査室異常値の存在
10.治験参加同意書を付与することを進んで行わないまたはできない任意の被験者または介助者。
治験集団:
[226]350人の患者を計画する。
試験製品、用量および投与方法
[227]D−Lアルファ−メチル−チロシン(L1−79)を100および200mgとしてカプセル化した。2つの用量の選択肢を、200mgTID(プラセボと組み合わせた1回用量200mg)、および300mgTID(200mgの1つのカプセルと100mgの1つのカプセル)として試験することになる。
処置の期間:
[228]12週間(84日間)
有効性評価:
[229]有効性の測定の中に含まれないベースライン評価には、ウェクスラー成人知能検査尺度(WASI−2)およびスペンス不安尺度(SAS)が挙げられる。より大きい自閉症神経系の変動が治療への応答と相関するかどうかを測定するために、皮膚電位試験をベースラインにて実施することになる(「治験の理論的根拠」を参照)。主要なアウトカム測定は、ヴァインランド適応行動尺度−第3版(VABS−3)の適用行動複合(ABC)からの社会化(SOC)、コミュニケーション(COM)および日常生活スキル(DLS)ドメイン、ならびに対人応答性尺度−2(SRS−2)の社会化、コミュニケーションおよび対人的相互交流(SCI)、ならびに限局的興味および反復的行動(RRB)サブ尺度を含む5要素複合測定における12週目でのベースラインからの変化となる。副次的な主要なアウトカム測定は、12週目でのベースラインCGI−Sからの変化に基づくことになる。
[230]さらなる副次的なアウトカム測定を、以下について、12週目でのベースラインスコアからの変化について、ゲートした方法(合間の分析中に測定すること)において評価することになる:
1.異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)の社会的引きこもり/無気力および不適切スピーチドメイン
2.ABC−C、不機嫌、多動および常同ドメイン
3.反復的行動尺度−改訂版(RBS−R)
4.育児ストレスインデックス(PSI)ショートフォーム
5.官能プロファイル−ショートフォーム(SSP)
6.スペンス不安尺度(SAS)
7.ADOS−2総スコア(ADOS−2は、交互的な相互交流の盲検レビューにおける潜在的使用のために、スクリーニングで、かつ試験の終了で、ビデオ撮影をすることになる)。
安全性評価:
[231]安全性評価には、身体検査、血圧および脈拍の起立性測定、標準的血液学および臨床化学評価、併用薬の使用、尿分析、ECG、および自発的に報告された有害事象が挙げられる。
PK評価:
[232]ASD患者におけるL1−79のPKおよびPDのより大きい理解を得るために、PKパラメータをモデル化し、同パラメータを若い健康な成人で行った、より徹底的な治験から得たデータと比較することを助けるのに、まばらなサンプリングを利用することになる。まばらなサンプリングは、静脈切開手順の数を制限することになり、これは、典型的には、ASDではない同等者よりも採血手順がはるかに精神的外傷的であるASDの小児において、重要な配慮である。
統計的方法:
[233]適応デザインは、本治験の3つの構成要素を評価することになる:アウトカムの変動性、適格基準の潜在的修正、および合間の分析の時間になされる測定に基づくサンプル数再計算。適格基準の修正は、ASDの人々のための処置および介入戦略に直接影響を及ぼすことで知られる以下の特性:1)スペンス不安尺度による評価に基づく不安の重篤度、2)ウェクスラー成人知能検査尺度により評価するIQ、および3)ABC−C不機嫌および多動サブ尺度に基づく破壊的行動症状の重篤度、というベースライン重篤度のASDについての潜在的中間形質の評価に基づくことになる。加えて、自閉症感受性を測定するための皮膚反応性試験を、応答者表現型についての診査バイオマーカーとして使用することになる(これらのサブ群のための判定についての「治験の理論的根拠」を参照)。主要なアウトカムの選択は、ヴァインランド適応行動尺度−第3版(VABS−3)の適応行動複合(ABC)からの、社会化(SOC)、コミュニケーション(COM)および日常生活スキル(DLS)ドメイン、ならびに対人応答性尺度−2(SRS−2)の、社会化、コミュニケーションおよび相互交流(SCI)、ならびに限局的興味および反復的行動(RRB)サブ尺度を含む5要素複合測定の条件付検出力分析に基づくことになる。アウトカムおよび適格基準を選択した後、サンプル数を盲検データに基づいて再計算することになる。
[234]本発明の広範な概念から逸脱することなく、上に記載した実施形態に変更がなされうることが、当業者により認められることになる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲により規定されている本発明の趣旨および範囲内にある修正をカバーすることを企図することが理解される。

Claims (28)

  1. 自閉症を処置する方法を必要とする対象における自閉症を処置するために治療薬の血漿中濃度を長期にわたり提供する方法であって、前記対象へ、前記治療薬を、1日約50mg(w/w)〜約1500mg(w/w)を範囲とする濃度で投与するステップを含み、前記治療薬が、α−メチル−DL−チロシンであり、前記血漿中濃度が、約500ng/ml(w/w)〜5000ng/ml(w/w)を範囲とし、前記期間が、少なくとも1週間である、方法。
  2. 前記治療薬の濃度が、約90mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療薬の濃度が、約100mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記治療薬の濃度が、約200mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記治療薬の濃度が、約250mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記治療薬の濃度が、約300mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記治療薬の濃度が、約350mg(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記治療薬が、複数の分割用量において投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記治療薬が、約1週間から約4週間以上を範囲とする期間に投与される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記血漿中濃度が、約800ng/ml〜2500ng/mlを範囲とする、請求項1に記載の方法。
  11. 前記血漿中濃度が、約1400ng/ml〜1800ng/mlを範囲とする、請求項1に記載の方法。
  12. 自閉症に関連する臨床形質の処置を必要とする対象における自閉症に関連する臨床形質を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量のα−メチル−DL−チロシンを含む組成物を投与して、それによって前記対象における前記自閉症に関連する臨床形質を処置するステップを含む、方法。
  13. 前記臨床形質が、社会的コミュニケーションにおける欠損、対人的相互交流における欠損、社会的モチベーションにおける欠損、無気力および社会的引きこもり、不適切スピーチ、多動、常同行動、不機嫌およびかんしゃく、限局的行動、反復的行動、儀式的行動、単調行動、強迫行動、自傷行動、またはこれらの組み合わせである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記臨床形質が、精神障害の診断および統計マニュアル−V(DSM−V)基準の要請に合う、請求項12に記載の方法。
  15. 前記臨床形質が、1種または複数の心理測定的試験においてベースラインからの変化に基づいて評価される、請求項12に記載の方法。
  16. 前記心理測定的試験が、臨床包括的所見(CGI)評定尺度、ヴァインランド適応行動尺度(VABS)、自閉症診断観察スケジュール(ADOS)、対人応答性尺度(SRS)、異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)、反復的行動尺度(RBS)、コナーズ親用評定尺度(CPRS)、またはこれらの組み合わせに基づく、請求項15に記載の方法。
  17. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約50mg(w/w)〜約1000mg(w/w)を範囲とする量で含む、請求項12に記載の方法。
  18. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約90mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  19. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約100mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  20. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約200mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  21. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約250mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  22. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約300mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  23. 前記組成物が、α−メチル−DL−チロシンを、約350mg(w/w)の量で含む、請求項12に記載の方法。
  24. 前記組成物が、複数の分割用量において投与される、請求項12に記載の方法。
  25. 前記組成物が、1日3回投与される、請求項12に記載の方法。
  26. 前記組成物が、少なくとも1週間投与される、請求項12に記載の方法。
  27. 前記組成物が、約1週〜約4週間を範囲とする期間に投与される、請求項12に記載の方法。
  28. 自閉症の処置を必要とする対象における自閉症を処置するために治療薬の血漿中濃度を長期にわたり提供する方法であって、前記対象へ、前記治療薬を、1日約50mg(w/w)〜約500mg(w/w)を範囲とする濃度で投与するステップを含み、前記治療薬が、α−メチル−DL−チロシンであり、前記血漿中濃度が、約500ng/ml(w/w)〜5000ng/ml(w/w)を範囲とし、前記期間が、少なくとも1週間である、方法。
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