JP2021528963A - 高悪性度漿液性卵巣癌の治療的治癒についてのmiRNAの予測的及び予後的使用 - Google Patents

高悪性度漿液性卵巣癌の治療的治癒についてのmiRNAの予測的及び予後的使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)の診断及び予後診断への使用に適した、循環miRNAにあるバイオマーカーの特定、並びにかかる診断に使用される診断キットに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)の診断及び予後診断への使用に適した、循環miRNAにあるバイオマーカーの特定、並びにかかる診断に使用される診断キットに関する。
診断アッセイ及び予後診断アッセイは、健康状態の変化の指標となる身体の細胞又は組織の生理学的変化を判断するのに医療専門家及び一般人が使用する標準的なツールである。
HGSOC患者の75%超で起こる未だ予測不能な再発は、再発疾患が通常、従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に応答しなくなるという事実に関連して、低い5年生存率の原因となる(病期III〜IVで30%未満)。しかしながら、標的療法が登場してきていることから、時間とともにこの状況が改善されることが期待される。特定の分子環境(相同組換え修復異常(Homologous Repair Deficiency)(HRD)表現型)において特に効果的な作用物質であるPARP阻害剤(PARPi)の使用は、この方向性の一段階である。しかしながら、HGSOC治療管理の改善には、より信頼性の高い予測バイオマーカー及び追跡バイオマーカーの特定及び検証が必要とされ、これは現在でも大きな課題となっている。
今のところ、卵巣癌の確定診断には、婦人科腫瘍医が手術を行い、病理医が分析するための試料を採取しなければならない。術中、外科医は疾患がどのくらい広がっているかを評価する。この評価は、「病期分類」と呼ばれる。グレード分類とともに、これらの評価は、腫瘍医が治療計画を勧める上で助けとなる。
卵巣癌の病期分類は、国際産婦人科連合(FIGO)によって標準化されている。他の因子も予後診断に影響を与えるが、FIGO病期(4つの主な病期I〜IVがある、上記を参照されたい)は、長期生存のはるかに重要な予測因子である。
病期Iの卵巣癌では、癌細胞は一方又は両方の卵巣に見られる。癌細胞は、卵巣の表面上又は腹部から採取した体液(腹水)中に見られることもある。この病期では、癌細胞は、腹部若しくは骨盤における他の器官及び組織、リンパ節、又は遠隔部位には広がっていない:
IA−いずれか一方の卵巣又は卵管における限局的発生、ここでは外側の卵巣被膜は破綻していない。卵巣の外面には腫瘍はなく、腹水貯留がなく、及び/又は洗浄液は陰性である。
IB−癌が両方の卵巣又は卵管に存在するが、外側の被膜は無傷であり、外面上に腫瘍はない。腹水貯留がなく、洗浄液は陰性である。
IC−癌は病期IA又はIBのレベルのいずれかであるが、被膜が破綻しているか、又は卵巣表面上に腫瘍があるか、又は腹水若しくは洗浄液中に悪性細胞が存在する。
病期IIの卵巣癌では、癌細胞は、一方又は両方の卵巣から骨盤内の他の組織へと広がっている。癌細胞は、骨盤内の卵管、子宮、膀胱、S字結腸、又は直腸に見られる。癌細胞は、腹部から採取した体液中に見られる場合もある:
IIA−子宮及び/又は卵管への進展又は転移。洗浄液は陰性洗浄液であり、腹水貯留はない。
IIB−他の骨盤組織への進展又は転移。洗浄液は陰性であり、腹水貯留はない。
IIC−病期IIA又はIIBのような骨盤での進展又は転移であるが、骨盤洗浄液は陽性である。
病期IIIの卵巣癌では、癌細胞は、骨盤の外側の組織に、又は腹部の後ろにある所属リンパ節(後腹膜リンパ節)に広がっている。癌細胞は、肝臓の外側に見られる場合もある:
IIIA−腫瘍は主に、骨盤に限定されているが、微視的腹膜転移が骨盤を越えて腹部の腹膜表面又は大網に広がっている。
IIIB−IIIAと同じであるが、骨盤を越えた巨視的腹膜転移又は大網転移のサイズが2cm未満である。
IIIC−IIIAと同じであるが、骨盤を越えた腹膜転移若しくは大網転移が2cmより大きいか、又はリンパ節転移が鼠径部、骨盤部、若しくは傍大動脈部に広がっている。癌は、リンパ節まで広がっている場合もあるが、肝臓若しくは脾臓の内部、又は遠隔部位には広がっていない。
病期IVの卵巣癌では、癌細胞は、腹部及び骨盤の外側の組織に広がっている。癌細胞は、脾臓、肝臓の内部、肺、及び腹腔の外側に位置する他の器官に見られる場合がある:
病期IVA:癌細胞は、肺の周りの体液に見られ(これは、悪性胸水と呼ばれる)、癌の他の領域は骨盤又は腹腔の外側には広がっていない。
病期IVB:癌は、脾臓若しくは肝臓の内部に、後腹膜リンパ節以外のリンパ節に、及び/又は腹腔の外側の他の器官若しくは組織に広がっている。これには、肺、脳、及び皮膚が含まれる。
顕微鏡下で組織及び体液中の細胞を見ることで、病理医は、癌を(幾つかの細胞特徴及び組織学的特徴に従って)グレード1、2、又は3と評する。グレード1は、癌が恐らくは卵巣組織にあり、広がっている可能性は低い。グレード2、特にグレード3の細胞は、より不規則であり、転移している可能性がより高い。しかしながら、卵巣癌は通常、「低悪性度」(グレード1)又は「高悪性度」(グレード2又は3)に分類される。そのため、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)は、グレード2又は3、かつ病期I〜IVの卵巣癌を有する患者に関するものである(非特許文献1)。
卵巣癌に関する循環miRNAについての研究が幾つか公開されているが、かかる癌のバイオマーカーとして臨床に導入されているmiRNAはこれまでに存在しておらず、CA−125及びタンパク質バイオマーカー(HE4)等の診断に現在使用されている他の既知のバイオマーカーは限られた予後的価値しか有していない。
そのため、本発明者らが行った研究の目的は、HGSOC患者由来の循環miRNAの存在が疾患の非侵襲的な診断バイオマーカー及び予後診断バイオマーカー並びに治療モニタリングとして作用することができるかを判断することであった。
マイクロRNA(miRNA)は、様々な機構を介して転写後レベルでタンパク質発現を制御する小さい(19ヌクレオチド〜25ヌクレオチドの)非コーディング調節RNAである。約2654個の成熟マイクロRNA(miRNA)がヒトゲノムにおいて同定されており(非特許文献2)、全ヒト遺伝子の半分以上がmiRNAによって調節されていると考えられる。単一のmiRNAが遺伝子のネットワーク全体を調節することができることから、これらの分子は、ゲノムのマスター調節因子とみなされる。miRNAの調節不全は、腫瘍抑制タンパク質を変化若しくは改変させるか、又は癌遺伝子を活性化させる可能性がある。これまでの研究により、循環miRNAを、良性腫瘍状態及び悪性腫瘍状態の両方のより良い理解を与えるツールとして、並びに診断目的に利用することができることが分かっている(非特許文献3)。
驚くべきことに、本発明者らによって、或る循環miRNA(miRBaseによる命名法に従うとhsa−miR−622と呼ばれる)は、統合シグネチャーを構成し、標準的なプラチナ製剤ベースの化学療法及びPARPi等の革新的な治療に対する応答の効果的な予測を可能にすることが観察されている。
さらに、応答に関連して治療後に起こる、上記循環miRNAプロファイルの特定の変化が、再発の早期検出に有用な追跡ツールを構成する。
臨床医にとって、かかる分子ツールの特定により、従来のプラチナ製剤ベースの化学療法又は特定の戦略(例えば、プラチナ製剤感受性患者の治療のために最近臨床試験に導入されたPARPi)に向いている患者を特定することで、毒性又は副作用を伴う非効果的な治療への不必要な曝露を避けることが可能になるとともに、治療への初期応答の正しい評価及び病理の追跡が可能になる。
本発明は、「CRB」と呼ばれる後向きコホート及び「miRSA」と呼ばれる多施設前向きコホートの2つの独立した均一コホートにおける個々のRT−qPCRアッセイによるmiRの発現の研究に起因している。
要するに、進行期のHGSOC患者におけるこれらの研究の結果により、hsa−miR−622の循環miRNAが治療に対する患者の下記の両方の応答を予測するという興味深い事実が判明した:
疾患再発(無増悪生存期間(PFS))、及び、
全生存期間(OS)。
この対象のmiRNAを、外因性ノーマライザーを用いたRT−qPCRによる絶対量(dosages)を用いて臨床ルーチンにおいて使用することができ、この方法論を血液以外の体液(例えば、尿、腹水等)に用いることができる。
かかる循環miRNAシグネチャーの規定により、プラチナ製剤抵抗性又はPARPi抵抗性であると予測される患者を代替戦略に向けることを可能にする治療決定を導くことが可能になり、及び/又は少なくとも再発のリスクがより高い患者のより良好な監視が可能になる。この予後診断は、コンパニオン試験(単純、安価、高速、かつ日常的な臨床使用に容易に移行可能)のために、治療決定に適合した時間枠にてプラチナ製剤抵抗性又はPARPi抵抗性の患者を特定することを容易にする。
腫瘍におけるhsa−miR−622の発現は、これまでプラチナ製剤により治療されるHGSOC患者の抵抗性と関連付けられてきたが(非特許文献4)、このmiRの存在及び予測妥当性は、血液等の体液では全く研究されてこなかった。
Kurman RJ. Origin and molecular pathogenesis of ovarian high-grade serous carcinoma. Ann Oncol. 2013 Dec;24 Suppl 10:x16-21 miRBase Release 22, March 2018, www.mirbase.org Sourvinou et al., Quantification of circulating miRNAs in plasma: effect of preanalytical and analytical parameters on their isolation and stability, J Mol Diagn. 2013, 15(6):827-34 Choi et al., Platinum and PARP Inhibitor Resistance Due to Overexpression of MicroRNA-622 in BRCA1-Mutant Ovarian Cancer, Cell Reports. 2016, 14(3):429-439
そのため、本発明は、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)における予後に関連する循環miRNAの規定に関する。より具体的には、本発明は、RT−qPCRをベースとする、単純、高速、経済的でかつ信頼性の高い試験を用いた、患者由来の生体試料(尿、腹水、血液、血漿、血清等の体液)中のhsa−miR−622の発現レベルの測定に関する。
第1の態様によれば、本発明は、従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対する進行期(III〜IV)のHGSOC患者の応答を予後診断する方法であって、
上記HGSOC患者の液体生体試料、好ましくは血液、血清又は血漿中の少なくともhsa−miR−622の濃度を測定する工程と、
得られた値と少なくとも1つの参照値とを比較する工程と、
その結果として、上記患者が、プラチナ製剤感受性患者又はプラチナ製剤抵抗性患者と予測されるか判断する工程と、
を含む、方法に関する。
本発明では、HGSOC患者への従来の化学療法の実施前に、上記方法を行うことが好ましい。
「マイクロRNA」、「miRNA」、又は「miR」は、小さい(19nt〜24ntの)非タンパク質コーディング内因性RNA分子を意味する。miRNA遺伝子は、ヒト遺伝子の2%〜5%までを占め、コーディング遺伝子の50%を調節すると推定される。miRNA発現に関わる遺伝子座は、タンパク質コーディング若しくは非コーディング遺伝子のイントロン内に、非コーディング遺伝子のエキソンに、又は3’UTRに位置している。miRNAは、RNAi(RNA干渉)経路を介して、mRNA発現を調節し、タンパク質産生を妨げることが分かっている。公開済みのmiRNA配列及びアノテーションの検索データベースもインターネット上で利用可能である。miRBase Sequenceデータベースにおける各エントリーは、成熟miRNA配列(miRと称される)の位置及び配列についての情報とともに、miRNA転写産物(データベースにおいてmirと称される)の予測されるヘアピン部分を表す。ヘアピン及び成熟配列はどちらも検索及び閲覧が可能であり、エントリーは、名称、キーワード、参照及びアノテーションによっても検索することができる。全ての配列及びアノテーションデータはダウンロードも可能である。現在、miRBaseは、マンチェスター大学の生活科学部がホストとして管理しているが、以前はWellcome Trust Sanger Instituteがホストとしてサポートしていた。
本発明にて検討されている標的となる成熟miRNA hsa−miR−622(miR−622とも指定される)の配列は、
ACAGUCUGCUGAGGUUGGAGC(配列番号1)
である。
一実施の形態では、本発明の方法は、hsa−mir−622の「iso−miR」の濃度を測定することにより行うことができる。かかるiso−miRは、miRとは数ヌクレオチド異なる(Bartel D.P., Metazoan MicroRNAs, Cell. 2018, 173(1):20-51)。例えば、「hsa−miR−622のiso−miR」の配列は、配列番号1の配列と比較して1ヌクレオチド〜5ヌクレオチド異なり得る。
別の実施の形態では、本発明の方法は、hsa−mir−622のRNA前駆体に相当する「hsa−pre−miR−622」の濃度を測定することにより行うことができる。hsa−pre−miR−622の配列は、
AGAGAAGCUGGACAAGUACUGGUCUCAGCAGAUUGAGGAGAGCACCACAGUGGUCAUCACACAGUCUGCUGAGGUUGGAGCUGCUGAGAUGACACU(配列番号2)
である。
本発明では、「従来のプラチナ製剤ベースの化学療法」又は「従来の化学療法」という表現は、好ましくはカルボプラチンをパクリタキセルと組み合わせて、又は組み合わせずに用いた、より好ましくはカルボプラチン及びパクリタキセルを併用した、第一選択のプラチナ製剤ベースの治療法を指す。
診断検査の評価について、適中率(predictive values)は、臨床状況における検査の結果の解釈の助けとなる。手法の診断的価値は、その感度、特異度、適中率及び有効度によって定められる。いずれの検査法でも真陽性(TP)、偽陰性(FN)、偽陽性(FP)、及び真陰性(TN)が生じる。
検査の「感度」は、疾患が存在する又は応答性がある全ての患者の中で陽性の検査結果を有する患者の割合、すなわちTP/(TP+FN)×100%である。
検査の「特異度」は、疾患がない又は応答性がない全ての患者の中で陰性の検査結果を有する患者の割合、すなわちTN/(FP+TN)×100%である。
検査の「適中率」すなわち「PV」は、結果(value)(陽性又は陰性)が真である回数の評価基準(%)であり、すなわち全ての陽性の検査結果に対する真陽性のパーセントは、陽性適中率(PV+)すなわちTP/(TP+FP)×100%である。「陰性適中率」(PV)は、陰性の検査結果を有する患者に対する応答性のない患者の割合すなわちTN/(FN+TN)×100%である。
検査の「正確度」又は「有効度」は、その検査が総検査回数に対して正しい回答を与える回数の割合、すなわち(TP+TN)/(TP+TN+FP+FN)×100%である。「誤り率(error rate)」は、応答性があると予測されたが、応答性がなかった患者、及び応答性がないと予測されたが、応答性があった患者から算出されるもの、すなわち(FP+FN)/(TP+TN+FP+FN)×100%である。検査全体の「特異度」は、検査の感度及び特異度の正確度の評価基準であり、これは集団における疾患変化の全体尤度としては変わらず、適中率が変化する。PVは、所与の患者における疾患の有無又は臨床応答の有無の医師による臨床的評価によって変わる。
hsa−miR−622は、卵巣癌細胞及び卵巣癌患者の血清中で発現される内因性miRNAである。
本発明者らによって初めて示されたように、循環hsa−miR−622発現は、HGSOC患者を高い再発リスク又は低い再発リスクに分類することを可能にするものであり、また全生存期間の強力な予測因子でもある。
さらに、多変量分析を用いて、本発明者らは、循環hsa−miR−622発現が、腫瘍病期及び一次手術後に残存する疾患等の関連する臨床共変量に合わせて調整することで、その予後効果を維持することを示した。
このため、体液中のhsa−miR−622の濃度の値と参照値とを比較することで、HGSOC患者を、癌再発(PFS)及び全生存期間(OS)について低リスク群又は高リスク群に分けることが可能になる。
実際に、循環hsa−miR−622プロファイルから、HGSOC患者をプラチナ製剤抵抗性患者又はプラチナ製剤感受性患者のいずれかと予測することができる。
本発明によれば、「プラチナ製剤抵抗性患者」(又は「早発再発者(early relapser)」)は、プラチナ製剤ベースの第一選択化学療法の終了後、6ヶ月未満で再発するHGSOC患者を指す。殆どの場合、プラチナ製剤抵抗性患者は、全生存期間が24ヶ月に満たない短期生存者である。
これに対して、「プラチナ製剤感受性患者」(又は「遅発性再発者(late relapser)」)は、プラチナ製剤ベースの第一選択化学療法の終了後、再発しない、又は6ヶ月以降に再発するHGSOC患者(すなわち、プラチナ製剤感受性の再発患者)を指す。殆どの場合、プラチナ製剤感受性患者は、全生存期間が少なくとも24ヶ月である長期生存者である。
一実施の形態では、hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の前に治療シーケンス(PDS又はNACT)に関わらず治療応答を予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.128zmol/μl未満である場合、被検患者はプラチナ製剤感受性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.128zmol/μl以上である場合、被検患者はプラチナ製剤抵抗性患者と予測することができる。
別の実施の形態では、hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の後に治療シーケンス(PDS又はNACT)と組み合わせた治療応答を予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.124zmol/μl未満である場合、被検患者はプラチナ製剤感受性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.28zmol/μl以上である場合、被検患者はプラチナ製剤抵抗性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.124zmol/μl以上であり、かつ厳密に0.28zmol/μl未満である場合、被検患者は、
患者がネオアジュバント化学療法で治療されている場合には、プラチナ製剤抵抗性患者、又は、
患者がネオアジュバント化学療法の代わりに一次腫瘍減量手術で治療されている場合、プラチナ製剤感受性患者、
と予測することができる。
本発明では、「ネオアジュバント化学療法」(すなわちNACT)という用語は、腫瘍の外科的摘出の前に及び/又は癌の主要な治療の実施の前に行われる薬物治療を指す。
別の実施の形態では、hsa−miR−622濃度を使用して、再発時の治療応答を予測することができ、
特に、患者が再発中であり、循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl未満である場合、被検患者をプラチナ製剤感受性患者と予測することができ、
特に、患者が再発中であり、循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl以上である場合、被検患者をプラチナ製剤抵抗性患者と予測することができる。
特に、循環hsa−miR−622濃度を、RT−qPCR、マイクロアレイ又は次世代シークエンシング(NGS)により測定することができる。
より詳しくは、循環hsa−miR−622濃度をTaqMan(商標) RT−qPCRにより測定することができる。
例えば、第一選択化学療法前にサンプリングした体液の試料(好ましくは、血清又は血漿)から、NucleoSpin(商標) miRNAプラズマキット(Macherey-Nagel)を使用して全RNAを単離するが、他のキットも使用することができる。次いで、全RNA溶液のアリコートを、例えばTaqMan(商標)逆転写キットを使用して逆転写した後、例えばTaqMan(商標)ケミストリーを用いて増幅する。
特に、循環hsa−miR−622濃度の絶対量は、初めに既知量の合成hsa−miR−622オリゴヌクレオチドの測定により得られるmiRNAの検量線との比較により試料中のhsa−miR−622量をアッセイして、次にRNA抽出工程の直前に体液中の既知量のcel−miR−39−3p、cel−miR−54−3p及びcel−miR−238−3pを加えることに基づく外因性の正規化を用いることにより得ることができ、そのようにして体液中の絶対量(quantitation)を先に記載されているように算出することができる(Vigneron et al., Towards a new standardized method for circulating miRNAs profiling in clinical studies: Interest of the exogenous normalization to improve miRNA signature accuracy, Mol Oncol. 2016, 10(7):981-92)。RNA抽出に用いられる方法に応じて、循環hsa−miR−622濃度の値は、例えば5%〜10%変動し得る。
一実施の形態では、液体生体試料は、尿、血液、血清、血漿、腹水の中から選択され、好ましくは血清である。
本発明の方法は、ex vivo又はin vitroで行うことができる。
上記方法について本明細書で開示された特徴及び実施の形態は全て、必要な変更を加えて本発明による下記方法に置き換えることができる。
別の態様では、本発明は、従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対するHGSOC患者の感受性をモニタリングする方法であって、
上記HGSOC患者の、PARPiベースの治療及び/又は従来の化学療法中に得られる液体生体試料中の少なくともhsa−miR−622の濃度を測定する工程と、
得られた値と少なくとも1つの参照値とを比較する工程と、
上記患者が上記従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対して感受性であるか否かを判断する工程と、
を含む、方法に関する。本発明の方法を用いて、患者における治療の失敗が腫瘍のプラチナ製剤抵抗性の変化に関連するものであるかを判断することもできる。
本発明の方法を用いて、腫瘍エスケープ(tumor escapement)を検出することもできる。
別の態様では、本発明は、患者においてHGSOCを診断及び治療する方法であって、該方法は、
HGSOCを患うヒト患者から液体生体試料を得ることと、
上記患者の液体生体試料中のhsa−miR−622の濃度を測定することと、
hsa−miR−622の濃度と少なくとも1つの参照値とを比較することにより、患者をプラチナ製剤感受性患者又はプラチナ製剤抵抗性患者と診断することと、
プラチナ製剤感受性と診断された患者に従来のプラチナ製剤ベースの化学療法及び/又はPARPi治療を実施することと、
を含む、方法にも関する。
さらに、本発明は、循環hsa−miR−622の少なくとも一部に結合することが可能な1つのオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含む、本発明の方法に使用される検査キットに関する。
一実施の形態では、本発明のキットは、PCRキットである。
一実施の形態では、本発明の検査キットは、少なくとも1つの参照RNA及び/又は該参照RNAの少なくとも一部に結合することが可能な少なくとも1つの特異的オリゴヌクレオチドプローブを更に備える。
上記参照RNAを用いて、生体試料中のhsa−miR−622の絶対濃度を測定する絶対検量線を作成することができる。
上記参照RNAは、生体試料には存在しないことが好ましい。例えば、上記参照RNAは、cel−miR−54−3p(UACCCGUAAUCUUCAUAAUCCGAG、配列番号3)又はcel−miR−238−3p(UUUGUACUCCGAUGCCAUUCAGA、配列番号4)とすることができ、これらは生物学的モデルであるカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)において発現される2つのmiRに相当する。
上記RNA参照は、合成RNAであることが好ましい。
キットは、リアルタイムPCRアッセイから選択されるアッセイの実施に適合させることができる。miRNAマイクロアレイ及びNGS(次世代シークエンシング)等の他の技術を用いて、miRNA発現を定量することもできる。
一実施の形態では、本発明のキットは、RNA単離収率制御(isolation yield controls)の試験を可能にするプライマーを更に備える。
別の態様では、本発明は、従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対して予測された予後及び/又は予測された応答に従ってHGSOC患者を層別化するためのバイオマーカーとしての液体生体試料、好ましくは血液、血清又は血漿中で測定されたhsa−miR−622の濃度の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、PARPi治療に対して予測された予後及び/又は予測された応答に従ってHGSOC患者を層別化するためのバイオマーカーとしての液体生体試料、好ましくは血液、血清又は血漿中で測定されたhsa−miR−622の濃度の使用を提供する。
本発明では、「PARPi治療」という表現は、PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)ファミリーの酵素、特にPARP−1の薬理学的阻害剤として作用する少なくとも1つの化合物の患者への投与を指す。PARP阻害剤は、これらに限定されるものではないが、オラパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ、ルカパリブ、CEP 9722、E7016、イニパリブ及び3−アミノベンズアミドを含む群から選択することができる。
実際、PARP阻害剤による治療に対する応答がプラチナ製剤感受性に関連していることが分かっている。特に、プラチナ製剤感受性は、PARPiに感受性である可能性がより高い患者を特定するための臨床バイオマーカーであると考えることができることが認められる(de Picciotto et al., Ovarian cancer: Status of homologous recombination pathway as a predictor of drug response, Crit Rev Oncol Hematol. 2016, 101:50-59、非特許文献4)。プラチナ製剤ベースの治療に対する応答とPARPiベースの治療に対する応答との間のこの類似性は、実施例で示されるように本発明において検証された(実施例VIIIを参照されたい)。
この理由から、液体生体試料中で測定されたhsa−miR−622の濃度をプラチナ製剤感受性/抵抗性のバイオマーカーとして用いる本発明の特徴及び実施の形態を、必要な変更を加えて、液体生体試料中で測定されたhsa−miR−622の濃度をPARPi感受性/抵抗性のバイオマーカーとして用いる本発明に適用する。
そのため、本発明は、PARPiベースの治療に対する進行期のHGSOC患者の応答を予後診断する方法であって、
少なくとも上記HGSOC患者の液体生体試料中のhsa−miR−622の濃度を測定する工程と、
得られた値と少なくとも1つの参照値とを比較する工程と、
その結果として上記患者がPARPi感受性患者又はPARPi抵抗性患者と予測されるか判断する工程と、
を含む、方法も提供する。
一実施の形態では、hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の前に治療シーケンス(PDS又はNACT)に関わらず治療応答を予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.128zmol/μl未満である場合、被検患者はPARPi感受性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.128zmol/μl以上である場合、被検患者はPARPi抵抗性患者と予測することができる。
別の実施の形態では、hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の後に治療シーケンス(PDS又はNACT)と組み合わせた治療応答を予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.124zmol/μl未満である場合、被検患者はPARPi感受性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.28zmol/μl以上である場合、被検患者はPARPi抵抗性患者と予測することができ、
特に、循環hsa−miR−622濃度の値が0.124zmol/μl以上であり、かつ厳密に0.28zmol/μl未満である場合、被検患者は、
患者がネオアジュバント化学療法で治療されている場合には、PARPi抵抗性患者、又は、
患者がネオアジュバント化学療法の代わりに一次腫瘍減量手術で治療されている場合、PARPi感受性患者、
と予測することができる。
別の実施の形態では、hsa−miR−622濃度を使用して、再発時の治療応答を予測することができ、
特に、患者が再発中であり、循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl未満である場合、被検患者をPARPi感受性患者と予測することができ、
特に、患者が再発中であり、循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl以上である場合、被検患者をPARPi抵抗性患者と予測することができる。
別の態様では、本発明は、HGSOC患者の再発の早期検出のためのバイオマーカーとしての、液体生体試料、好ましくは血液、血清又は血漿中で測定されたhsa−miR−622の濃度の使用も提供する。
一実施の形態では、定期的に、例えば1年に1回、6ヶ月毎、又は3ヶ月毎に行われる複数回の分析により、液体生体試料中で測定されるhsa−miR−622の濃度の展開をモニタリングすることにより、再発を検出することができる。
一実施の形態では、定期的に、例えば1年に1回、6ヶ月毎、又は3ヶ月毎に行われる複数回の分析により、液体生体試料中で測定されるhsa−miR−622の濃度の展開をモニタリングすることにより、プラチナ製剤ベースの化学療法又はPARPiベースの治療に対する抵抗性の出現を検出することができる。
CRBコホートにおける血清hsa−miR−622発現に応じたリスクにより層別化された無増悪生存及び全生存を示す図である。hsa−miR−622の高リスク曲線と低リスク曲線とを、ログランク検定を用いて比較した。Ss:感度、Sp:特異度、PPV:陽性適中率、NPV:陰性適中率、AUC:曲線下面積、P:p値。 miRSAコホートにおける血清has−miR−622発現に応じたリスクにより層別化された無増悪生存及び全生存を示す図である。hsa−miR−622の高リスク曲線と低リスク曲線とを、ログランク検定を用いて比較した。Ss:感度、Sp:特異度、PPV:陽性適中率、NPV:陰性適中率、AUC:曲線下面積、P:p値。 CRBコホートのNACT患者における血清hsa−miR−622発現に応じたリスクにより層別化された無増悪生存及び全生存を示す図である。hsa−miR−622の高リスク曲線(太字)と低リスク曲線(細字)とを、ログランク検定を用いて比較した。P:p値。 ベースライン時の漿液性(serous)miR−622発現により層別化されたmiRSAコホート及びCRBコホートの生存を示す図である。miRSA患者をプラチナ製剤抵抗性の再発(PFI 6ヶ月未満)及びプラチナ製剤感受性の再発(PFI 6ヶ月以上)に分類するために、ROC曲線から、最良のヨーデン指標(Youden indices)に基づいて0.128zmol/μLのカットオフ値を得る(A)。漿液性hsa−miR−622のベースライン時の発現に対して0.128zmol/μLのカットオフ値を用いて、カプラン−マイヤー曲線は、miRSAコホートにおける無増悪生存及び全生存の層別化(B及びC)、並びにCRBコホートにおける無増悪生存の層別化(D)を示す。曲線は、ログランク検定を用いて比較した。ROC=受信者動作特性、TPV=真陽性値、FPV=偽陽性値、AUC=曲線下面積。 再発時の漿液性miR−622発現により層別化されたCRBコホートの全生存を示す図である。CRB患者を再発からの短期生存者(OS 12ヶ月未満)及び長期生存者(OS 12ヶ月以上)に分類するために、ROC曲線から、最良のヨーデン指標に基づいて0.34zmol/μLのカットオフ値を得る(A)。漿液性hsa−miR−622の発現に対して0.34zmol/μLのカットオフ値を用いて、カプラン−マイヤー曲線は、CRBコホート(B)、及び第二選択のプラチナ製剤ベースの化学療法に対して応答性のあるCRBプラチナ製剤感受性再発者(C)における再発時の全生存の層別化を示す。曲線は、ログランク検定を用いて比較した。ROC=受信者動作特性、TPV=真陽性値、FPV=偽陽性値、AUC=曲線下面積。 進行時にPARPi維持により治療された患者(CRBコホート)における血清hsa−miR−622発現に応じたリスクにより層別化された全生存を示す図である。hsa−miR−622の高リスク曲線(太字)と低リスク曲線(細字)とを、ログランク検定を用いて比較した。
材料及び方法
患者の血液試料
全体で、HGSOC(病期III及びIV)の女性由来の試料の2つの治療未経験コホート:CRB(後向きコホート)及びmiRSA(多施設前向きコホート、NCT01391351)をこの研究に使用した。コホートは、疾患及び治療の同種基準を満たす患者に限定し、患者の臨床的特徴を表1に概説する。
Figure 2021528963
生物資源センター(CRB)のOvaRessources(後向きコホート)
本プロジェクトにて後向きコホート研究に(retrospectively)使用される血清試料は全て、フランス、カーンのF.Baclesse総合癌センター(CCC)(2000年設立)の婦人科腫瘍部門により回収され、生物資源センター(CRB)のOvaRessources(ISO 9001品質マネジメント)のバイオバンクに由来するものであった。血清試料を品質及び安全性の最適条件にて−20℃で保存した。全ての患者から、F.Baclesse CCCの生物コレクションでの保存及び生物学的調査に関する使用について書面による同意を得た。これらの血清試料は、フランスの現行規程、特に公衆衛生規約の生物医学研究に関する規定に準拠して、また生命倫理法、Computer Law and Freedoms、ヘルシンキ宣言、及び良き臨床上の基準(GCP)に従って得た。加えて、血清試料は、所轄官庁、すなわちANSM(National Agency for the Safety of Medicines)、CPP(Committee for the Protection of Individuals)、ARH(Regional Agency for Hospitalization)、MESR(Ministry of Education, Health and Research)及びCNIL(National Commission for Computing and Freedoms)に対するそれぞれの規程に従って提出された。
実施例I及び実施例IIIに示される分析は、39個の組織学的に検証された臨床高悪性度漿液性卵巣癌(病期III〜IV)由来の血清試料に限定した。これらの血清試料は、一次腫瘍減量手術(PDS、N=32)又はネオアジュバント化学療法(NACT、N=7)で治療する患者に対して、手術前及びプラチナ製剤ベースの化学療法前に採取した。
実施例Vに示される拡張分析は、ベースライン試料で65個の組織学的に検証された臨床HGSOCに対して行った。
実施例VIに示される分析は、再発試料で35個の組織学的に検証された臨床HGSOCに対して行った。
実施例VIIに示される分析は、再発試料で、PARPiに適格な13個の組織学的に検証された臨床HGSOC(6ヶ月以降の再発及びプラチナ製剤ベースの第二選択化学療法に対する応答)に対して行った。
実施例VIIIに示される分析は、8個の組織学的に検証された臨床HGSOC(CRBコホート)由来の血清試料に対して行った。これらの血清試料は、進行時にPARPi維持により治療した患者に対する第一選択化学療法の前に採取した。
miRSA(miRNA血清分析)コホート
2011年〜2013年に行われたmiRSA臨床研究(NCT01391351)に含まれていた患者から血清試料を得た。miRSA研究は、標準操作手順にて専門臨床チーム及び腫瘍学研究所により行われた。この研究は、倫理委員会「Nord−Ouest III」(CPP番号2011 02)及び国内当局(AFSSAPS番号B110260−20)による承認を受けた。試料及びデータの科学的使用の前に、フランス及び欧州の規則に遵守して、患者に適切な情報を与え、書面による同意を求めた。患者の血清は、SST IIチューブ(BD Vacutainer(商標)、Becton Dickinson(フランス、ル・ポン=ド=クレ))に回収し、通常の分析前プロトコルに従って処理した。要するに、体液を2回遠心分離して、残存細胞を全て除去した後、−80℃で速やかに凍結した。実験は、1度だけ融解したRNAを用いて行った。全ての手順を通してRNaseフリーのプロトコルに従った。
実施例IIに示される分析は、補助的研究に十分な血清を有する、35個の組織学的に検証された臨床高悪性度漿液性卵巣癌(病期III〜IV)由来の血清試料に限定した。これらの血清試料は、ネオアジュバント化学療法(NACT)で治療した患者に対してプラチナ製剤ベースの化学療法前に採取した。
実施例IVに示される拡張分析は、ベースライン試料で65個の組織学的に検証された臨床HGSOCに対して行った。
結果
主要評価項目は、予測因子の主な目的が早期再発のリスクがある患者を特定することができることであったことから、無増悪生存期間(PFS)とした。無増悪生存期間は、診断日と、進行日若しくは死亡日(どちらか初めに起こった方)又は進行なく生存している患者への最終追跡日との間の時間(月数)として定義した。
副次的評価項目は、全生存期間(OS)とした。全生存期間は、診断日と、死亡日又は生存患者への最後の接触日との間の時間(月数)として定義した。
合成miRNA
SDS−PAGEにより精製された合成マイクロRNAを、hsa−miR−622(配列番号1)、cel−miR−54−3p(UACCCGUAAUCUUCAUAAUCCGAG、配列番号3)及びcel−miR−238−3p(UUUGUACUCCGAUGCCAUUCAGA、配列番号4)についてEurogentec(ベルギー、リエージュ)から購入した。オリゴヌクレオチドを20μMの濃度にて−80℃で保存した。
血清試料からのRNA単離
miRNAは、製造業者の推奨及び先に公開済みの方法論(Vigneron et al., 2016)に従って、市販のNucleoSpin(商標) miRNAプラズマキット(Macherey-Nagel(フランス、ウルト)を使用して血清試料から単離した。変性工程後、Eurogentecにより合成された1500アトモルのcel−miR−54−3p及びcel−miR−238−3pを各試料に加えた。全RNAを30μLにてヌクレアーゼフリー水に溶出させた後、−80℃で凍結した。
RT−qPCRを用いたmiRNAの絶対定量
初めに、miRNAを、特異的なステム−ループプライマー(Thermo Fisher Scientific, Life Technologies)及びマイクロRNA逆転写キット(Thermo Fisher Scientific, Life Technologies)を用いて逆転写してから、加水分解プローブ(Thermo Fisher Scientific, Life Technologies)を用いて増幅した。要するに、5μLの単離RNAを10μLのRTマスターミックスと混合した。次いで、1.33μLのcDNAを有する三連試料(triplicates)を96ウェル光学プレートにおいて18.7μLのqPCRマスターミックス(Universal Master Mix II、UNGなし)と混合した。ステム−ループプライマー及び加水分解プローブについてのThermo Fisherの参照IDは、下記の通りであった:cel−miR−54−3p(001361)、cel−miR−238−3p(000248)及びhsa−miR−622(001553)。蛍光及び閾値のベースラインは、7500ソフトウェアv2.0.6を備えるApplied ABI Prism 7500 Fast PCRシステム(Thermo Fisher Scientific, Life Technologies, Applied Biosystems)を使用して測定した。絶対検量線は、RT−qPCR工程の前に、合成cel−miR−54−3p、cel−miR−238−3p、及びhsa−miR−622を、2×10zmol/μL、2×10zmol/μL、2×10zmol/μL、2×10zmol/μL、2×10zmol/μL及び2zmol/μLで希釈することにより作成した。この検量線を用いて、定量的サイクル数(Cq)をRNA抽出物1マイクロリットル当たりのアトモル数でのmiRNA濃度に換算した。cel−miR−54−3p及びcel−miR−238−3pの血清単離収率を、各試料について、回収量を添加量で割ることにより算出し、その幾何平均を用いて、血清1マイクロリットル当たりのゼプトモル数でのhsa−miR−622濃度を推定した。
統計分析
PFI(Platinum-free interval)は、プラチナ製剤ベースの第一選択化学療法の最終日から、進行性疾患(再発、死亡又は追跡の喪失)が記録されるまでの期間として定義される。卵巣癌患者は通例、プラチナ製剤抵抗性再発又はプラチナ製剤感受性再発(それぞれ6ヶ月未満及び6ヶ月以上のPFI)のいずれかに分類された。
患者は、短期生存者及び長期生存者(それぞれ、24ヶ月未満及び24ヶ月以上のOS)にも分類された。
各コホートについてROC曲線を用いて、最良のヨーデン指標に従ってhsa−miR−622値の閾値を選択した。
次いで、患者を、hsa−miR−622発現に従って、低発現群及び高発現群に分類した。PFS及びOSに対するhsa−miR−622値の閾値の予後的利得(prognosis interest)を、カプラン−マイヤー曲線にて、ログランク検定、並びに逐次方法によるCox単変量分析及び多変量分析を用いて評価した。手術結果(巨視的残存物の有無)及び病期(III又はIV)を既知の化学療法前予後因子として多変量分析に含めた。
実施例I:CRBコホートのPDS患者における血清hsa−miR−622発現レベルと全生存期間との関連性
卵巣癌腫瘍におけるhsa−miR−622の予後的利得を示す先の観察結果に基づき、CRBコホート由来の患者の血清におけるhsa−miR−622の発現を分析した。上記のように、患者を短期生存者及び長期生存者(それぞれ、24ヶ月未満及び24ヶ月以上)に分類し、最良の判別子であるhsa−miR−622値を、ROC曲線を用いて、最良のヨーデン指標に従って特定した。患者を高hsa−miR−622発現及び低hsa−miR−622発現の2つの群に分けた(カットオフ=0.28zmol/μL又は169コピー/μL)。高血清hsa−miR−622発現群は、低hsa−miR−622発現群に比べて有意に悪いOSを示すことが観察された(中央値OS 22.8ヶ月対48.9ヶ月、ログランクp=0.0062)(図1を参照されたい)。PFSについては、低hsa−miR−622群と高hsa−miR−622群との間で有意差は観察されなかった(p=0.81)。次に、Cox単変量モデルを用いて、それぞれの関連の予後変数についてのハザード比(HR)を推定した。高hsa−miR−622発現群(HR=3.43、CI95% 1.3〜8.7、p=0.0098)及び一次手術後の準最適な腫瘍減量(HR=3.41、CI95% 1.1〜10.2、p=0.028)は、単変量分析においてOSと大きく関連していた(表2を参照されたい)。次いで、Cox回帰モデルによる多変量分析を用いて、他の既知の予後因子(すなわち、病期及び残存疾患)の随伴効果に関してhsa−miR−622の予後効果を評価した。予想外のことに、これらの臨床共変量に合わせて調整を行う多変量分析にて分析したところ、hsa−miR−622は、独立した予後効果(OSについて、p=0.044)を維持した。
Figure 2021528963
0.280zmol/μLのカットオフ値を用いたCRBコホートでは、高miR−622発現群には、感度57.1%、特異度71.4%、真適中率(true predictive value)40.0%及び偽適中率(false predictive value)83.3%にて、7人のうち4人のプラチナ製剤抵抗性患者(早期再発者)が含まれている。
0.280zmol/μLのカットオフ値を用いたCRBコホートでは、高miR−622発現群には、感度60.0%、特異度80.0%、真適中率60.0%及び偽適中率80.0%にて、10人のうち6人の短期生存者が含まれている。
実施例II:miRSAコホートのNACT患者における血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
血清hsa−miR−622発現レベルをmiRSAコホート由来の患者試料において分析した。高hsa−miR−622発現及び低hsa−miR−622発現の2つの群が構成された(カットオフ=0.124zmol/μL又は75コピー/μL)。CRBコホートにて導かれた先の観察結果と十分一致して、血清hsa−miR−622の高発現がより悪い全生存期間を予測するものであった(24.4ヶ月対32.2ヶ月以上(最終生存確率0.5超)、ログランクp=0.025)(図2を参照されたい)。興味深いことに、高血清hsa−miR−622発現群は、低hsa−miR−622発現群と比べて有意に低いPFSを示すことも見いだされた(中央値PFS 12.7ヶ月対22ヶ月、ログランクp=0.0077)。このmiRNAシグネチャーは、HGSOCに対する治療を受けた女性を癌再発に関して低リスク群又は高リスク群に分けることができた。高リスク群と低リスク群との無増悪生存期間の中央値の差は9.4ヶ月であった。次に、miRSAコホートの単変量分析及び多変量分析を行った(NACTは、一次手術を受けなかった)。高hsa−miR−622発現群は、単変量分析においてPFS(HR=2.82、CI95% 1.3〜6.2、p=0.010)及びOS(HR=4.00、CI95% 1.1〜14.7、p=0.037)と大きく関連していた(表3を参照されたい)。さらに、臨床共変量に合わせて調整を行う多変量分析にて分析したところ、hsa−miR−622発現は、PFS(p=0.0057)及びOS(p=0.036)について独立した予後因子であった。
Figure 2021528963
0.124zmol/μLのカットオフ値を用いたmiRSAコホートでは、高hsa−miR−622発現群には、感度90.0%、特異度56.0%、真適中率45.0%及び偽適中率93.3%にて、10人のうち9人のプラチナ製剤抵抗性患者(早期再発者)が含まれている。
0.124zmol/μLのカットオフ値を用いたmiRSAコホートでは、高hsa−miR−622発現群には、感度80.0%、特異度60.0%、真適中率66.7%及び偽適中率75.0%にて、10人のうち8人の短期生存者が含まれている。
実施例III:CRBコホートのNACT患者における血清hsa−miR−622発現レベルと全生存期間との関連性
miRSAコホートのNACT患者に対するhsa−miR−622の予後的利得を示す先の観察結果に基づき、予備的に、0.124zmol/μLという同じ閾値をCRBコホート由来のNACT患者に用いた。患者を高hsa−miR−622発現及び低hsa−miR−622発現の2つの群に分けた(カットオフ=0.124zmol/μL)。興味深いことに、高血清hsa−miR−622発現群は、低hsa−miR−622発現群と比べて悪いPFS及びOSを示すことが見いだされた(中央値PFS 20.3ヶ月対16.8ヶ月、ログランクp=0.17及び中央値OS 35.9ヶ月対15.1ヶ月、ログランクp=0.29)(図3を参照されたい)。
実施例IV:miRSAコホートにおけるベースライン時の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
補足的分析を行い、ベースライン時の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得を調べた。
初めに、血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得をmiRSAコホート(n=65)においてベースライン時に評価した。患者をPFIに従ってプラチナ製剤抵抗性再発(6ヶ月未満)及びプラチナ製剤感受性再発(6ヶ月以上)に分類し、ROC曲線を用いて、最適カットオフ発現を77コピー/μL(0.128zmol/μL)に固定した(図4Aを参照されたい)。高miR−622群(n=31、24事象)は、低miR−622群(n=34、22事象)より有意に低いPFSと関連していた(中央値 15.4ヶ月対24.4ヶ月、ログランクp=0.049、HR 1.78、95%CI 1.0〜3.2、p=0.052、図4Bを参照されたい)。また、高miR−622群(12事象)は、低miR−622群(5事象)よりも有意に低いOSと関連していた(中央値 29.7ヶ月対40.6ヶ月、ログランクp=0.0046、HR 4.49、95%CI 1.4〜14.0、p=0.0095、図4Cを参照されたい)。
次に、ベースライン時のmiRSAコホートの単変量分析及び多変量分析を行った。高hsa−miR−622発現群は、単変量分析においてより低いPFS(HR=1.78、CI95% 1.0〜3.2、p=0.052)及びより低いOS(HR=4.49、CI95% 1.4〜14.0、p=0.0095)と有意に関連していた(表4を参照されたい)。さらに、臨床共変量に合わせて調整を行う多変量分析にて分析したところ、hsa−miR−622発現は、PFS(p=0.015)及びOS(p=0.0011)について独立した予後因子であった。
Figure 2021528963
実施例V:CRBコホートにおけるベースライン時の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得をCRBコホート(n=65)においてもベースライン時に評価した。同じカットオフ値を用いて、高hsa−miR−622群(n=52、42事象)は、低hsa−miR−622群(n=13、7事象)より有意に大きい死亡リスクと関連していた(中央値 30.3ヶ月対48.9ヶ月、ログランクp=0.040、HR 2.28、95%CI 1.0〜5.1、p=0.045、図4Dを参照されたい)。
次に、ベースライン時のCRBコホートの単変量分析及び多変量分析を行った。高hsa−miR−622発現群は、単変量分析においてより低いOSと有意に関連していた(HR=2.28、CI95% 1.0〜5.1、p=0.045)(表5を参照されたい)。
Figure 2021528963
実施例VI:CRBコホートにおける再発時の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
次いで、血清hsa−miR−622発現レベルの動的な予後的利得をCRB(n=35)において再発時に調べた。患者を残存OSに従って短期生存者(12ヶ月未満)及び長期生存者(12ヶ月以上)に分類した。ROC曲線を用いて、最適カットオフ発現を205コピー/μL(0.34zmol/μL)に固定した(図5Aを参照されたい)。高miR 622群(n=11、11事象)は、低miR 622群(n=24、21事象)より有意に低いOSを示す(中央値 7.9ヶ月対20.6ヶ月、ログランクp=0.00077、HR 3.56、95%CI 1.6〜7.8、p=0.0015、図5Bを参照されたい)。
次に、再発時のCRBコホートの単変量分析及び多変量分析を行った。高hsa−miR−622発現群は、単変量分析においてより低いOSと有意に関連していた(HR=3.56、CI95% 1.6〜7.8、p=0.0015)(表6を参照されたい)。さらに、臨床共変量に合わせて調整を行う多変量分析にて分析したところ、hsa−miR−622発現は、OS(p=0.0062)について独立した予後因子であった。
Figure 2021528963
実施例VII:CRBコホート由来のPARPiに適格な患者における再発時の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
さらに、第二選択PARPi維持適格基準に従って、第二選択のプラチナ製剤ベースの化学療法に応答性のあるプラチナ製剤感受性患者に注目したところ(図5Cを参照されたい)、高miR−622群(n=2、2事象)は、低miR−622群(n=11、8事象)より低いOSに関連していた(中央値 15.3ヶ月対34.8ヶ月、ログランクp=0.0026)。CRBコホート(n=65)に対してベースライン時に同じカットオフ値を用いた場合と一致して、高miR−622群(n=20、19事象)は、低miR−622群(n=45、30事象)より有意に低いOSを示す(中央値 22.8ヶ月対35.9ヶ月、ログランクp=0.017、HR 2.01、95%CI 1.1〜3.6、p=0.019)。
実施例VIII:進行時にPARPi維持により治療された患者における第一選択化学療法前の血清hsa−miR−622発現レベルの予後的利得
進行時にPARPi維持により治療された8人の患者(CRBコホート)由来の血清に対する第一選択化学療法前のmiR−622の予後的利得を評価した。上記と同じカットオフ値を用いて、高miR−622群(n=2、1事象)は、低miR−622群(n=6、3事象)よりも有意に低い全生存期間(OS)に関連していた(中央値 34.7ヶ月対94.9ヶ月、ログランクp=0.28、HR 4.24、p=0.31、図6を参照されたい)。

Claims (11)

  1. PARPiベースの治療及び/又は従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対する進行期のHGSOC患者の応答を予後診断する方法であって、
    前記HGSOC患者の液体生体試料中の、少なくともhsa−miR−622の濃度を測定する工程と、
    得られた値と少なくとも1つの参照値とを比較する工程と、
    その結果として、前記患者が、
    PARPi感受性及び/又はプラチナ製剤感受性の患者、又は、
    PARPi抵抗性及び/又はプラチナ製剤抵抗性の患者、
    と予測されるか判断する工程と、
    を含む、方法。
  2. PARPiベースの治療及び/又は従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対するHGSOC患者の感受性をモニタリングする方法であって、
    前記HGSOC患者の、PARPiベースの治療及び/又は従来の化学療法中に得られる液体生体試料中の少なくともhsa−miR−622の濃度を測定する工程と、
    得られた値と少なくとも1つの参照値とを比較する工程と、
    前記患者がPARPiベースの治療及び/又は従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対して感受性であるか否かを判断する工程と、
    を含む、方法。
  3. 前記液体生体試料が、尿、血液、血清、血漿、腹水からなる群において選択され、好ましくは血清である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の前に治療シーケンス(PDS又はNACT)に関わらず治療応答を予測し、
    特に、前記循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.128zmol/μl未満である場合、被検患者は治療シーケンスに関わらずPARPi感受性及び/又はプラチナ製剤感受性の患者と予測することができ、
    特に、前記循環hsa−miR−622濃度の値が0.128zmol/μl以上である場合、被検患者は治療シーケンスに関わらずPARPi抵抗性及び/又はプラチナ製剤抵抗性の患者と予測することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記hsa−miR−622濃度をベースライン時に使用して、治療方針の決定の後に治療シーケンス(PDS又はNACT)と組み合わせた治療応答を予測し、
    特に、前記循環hsa−miR−622濃度の値が厳密に0.124zmol/μl未満である場合、被検患者はPARPi感受性及び/又はプラチナ製剤感受性の患者と予測することができ、
    特に、前記循環hsa−miR−622濃度の値が0.28zmol/μl以上である場合、被検患者はPARPi抵抗性及び/又はプラチナ製剤抵抗性の患者と予測することができ、
    特に、前記循環hsa−miR−622濃度の値が0.124zmol/μl以上であり、かつ厳密に0.28zmol/μl未満である場合、被検患者は、
    患者がネオアジュバント化学療法で治療されている場合には、PARPi抵抗性及び/又はプラチナ製剤抵抗性の患者、又は、
    患者がネオアジュバント化学療法の代わりに一次腫瘍減量手術で治療されている場合、PARPi感受性及び/又はプラチナ製剤感受性の患者、
    と予測することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記hsa−miR−622濃度を使用して、再発時の治療応答を予測し、
    特に、前記患者が再発中であり、前記循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl未満である場合、被検患者をPARPi感受性及び/又はプラチナ製剤感受性の患者と予測することができ、
    特に、前記患者が再発中であり、前記循環hsa−miR−622濃度の値が0.34zmol/μl以上である場合、被検患者をPARPi抵抗性及び/又はプラチナ製剤抵抗性の患者と予測することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記循環hsa−miR−622濃度の値を、RT−qPCR、マイクロアレイ、又は次世代シークエンシングを用いて測定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記循環hsa−miR−622濃度の値を、外因性ノーマライザーを用いたTaqMan(商標) RT−qPCRによる絶対量を用いて測定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 循環hsa−miR−622の少なくとも一部に結合することが可能な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法に使用されるキット。
  10. 少なくとも1つの参照RNA及び/又は該参照RNAの少なくとも一部に結合することが可能な少なくとも1つの特異的オリゴヌクレオチドプローブを備えるPCRキットである、請求項9に記載のキット。
  11. PARPiベースの治療及び/又は従来のプラチナ製剤ベースの化学療法に対して予測された予後及び/又は予測された応答に従ってHGSOC患者を層別化するためのバイオマーカーとしての液体生体試料中で測定されたhsa−miR−622の濃度の使用。
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