JP2021527729A - エラストマー材料を含む基材用のフルオロポリマーコーティング - Google Patents

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Abstract

本開示は、エラストマー材料を含む基材を処理する方法であって、a)組成物を提供する工程であって、組成物が、i.コポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):Rf1−O−(CF−CF=CF (I)(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、を含む、組成物を提供する工程と、b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する工程と、d)任意に、フルオロポリマーが硬化性である場合、フルオロポリマーを硬化させる工程であって、硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む、方法に関する。

Description

本開示は、概して、コーティングの分野に関し、より具体的には、エラストマー材料を含む基材をコーティングするのに好適なフルオロポリマー組成物の分野に関する。本開示は更に、エラストマー材料を含む基材を処理する方法、コーティングされた物品、及びこのようなフルオロポリマーコーティングを含むアセンブリに関する。本開示は、このようなフルオロポリマー組成物の様々な使用を更に目的とする。
フルオロポリマー、特に、高含有量のテトラフルオロエテン(TFE)を含むポリマーなどの高フッ素化ポリマーは、それらが化学的及び熱的に不活性であるために、商業的に優れた成功を収めている。フルオロポリマーは、高温及び/又は侵食性の化学物質に対する曝露などの過酷な動作条件に遭遇する広範な用途において使用される。ポリマーの典型的な最終用途としては、エンジン用のシール、油井掘削装置におけるシール、及び高温で又は化学的な侵食環境で動作する工業機器用のシーリング要素が挙げられるが、これらに限定されない。高フッ素化ポリマーの優れた特性は、主として、これらの組成物中のポリマー主鎖の大部分を構成する共重合したペルフルオロモノマー単位の安定性及び不活性に起因する。このようなモノマーとしては、テトラフルオロエテン及び他のペルフルオロα−オレフィンが挙げられる。
基材上にフルオロポリマーコーティングを適用することは、処理された基材に向上した特性を付与するための周知の方法である。しかしながら、当該技術分野では、高フッ素化ポリマー、特に、ペルフルオロエラストマーの溶媒中での許容可能な溶解を達成することは、困難であると認識されており、このことがコーティング組成物の調製を特に困難なものとしている。フッ素化ポリマーを溶解するための典型的に既知の溶媒は、米国特許第5,328,946号(Tuminelloら)に記載されているように、フッ素系溶媒である。特定のペルフルオロ化された液体中にペルフルオロエラストマーを溶解することによってペルフルオロポリマーコーティングを作製するための部分的解決策は、米国特許出願公開第A1−2009/0018275号(Campbellら)に記載されている。記載された解決策は、許容可能なコーティング粘度特性を維持しながら、比較的高いフルオロポリマー含有量を有するコーティング組成物、特に、基材上に薄いフルオロポリマーコーティング層を形成するのに好適なコーティング組成物を作製するのに必ずしも満足できるとは限らない。
更に、フルオロポリマー、特に、ペルフルオロエラストマー材料は特に高価であるため、フルオロポリマーから既知の向上した特性を基材及び物品に付与するために、より費用効率の良い方法が依然として必要とされている。
エラストマー材料は、封止、接着、減衰、絶縁、成形可撓性部品の形成、及び自動車産業における様々な用途を含む、様々な用途に使用されてきた。長年にわたるエラストマー材料の使用の拡大により、性能要件は、特に、高い機械的及び/又は化学的ストレスへの曝露、並びにこのような困難な条件下で封止特性を維持する能力などの、集中的な動作条件における使用の観点から、ますます厳しくなってきている。
当該技術分野において既知の解決法に関連する技術的利点を検討することなく、向上した特性を有するエラストマー材料を含む基材に付与するための費用効率及び改善されたプロセスが依然として必要とされている。
一態様によれば、本開示は、エラストマー材料を含む基材を処理する方法であって、
a)組成物を提供する工程であって、組成物が、
i.コポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、
ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、
を含む、組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する工程と、
d)任意に、フルオロポリマーが硬化性である場合、フルオロポリマーを硬化させる工程であって、硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む、方法に関する。
別の態様によれば、本開示は、基材と、上述したようなフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、基材が、エラストマー材料を含み、フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、物品が、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70(g−mm/m−日)以下の透過定数を有する、物品を目的とする。
更に別の態様では、本開示は、エラストマー材料を含む第1の基材と、金属を含む第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に、上述したようなフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むアセンブリを目的とする。
更に別の態様によれば、本開示は、上述のフルオロポリマーの、透過を低減するための、又はエラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/若しくは耐薬品性を向上させるための、使用に関する。
第1の態様によれば、本開示は、エラストマー材料を含む基材を処理する方法であって、
a)組成物を提供する工程であって、組成物が、
i.コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、
ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、
を含む、組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する工程と、
d)任意に、フルオロポリマーが硬化性である場合、フルオロポリマーを硬化させる工程であって、硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む、方法に関する。
本開示との関連において、驚くべきことに、上述の方法は、比較的抗含有量のフルオロポリマーを有するフルオロポリマーコーティング組成物、特に、優れたコーティング粘度特性を維持しながら、エラストマー材料を含む基材上に薄いフルオロポリマーコーティング層を形成するのに好適なフルオロポリマーコーティング組成物を作製することを可能にすることが見出された。
上記の方法は、特に、透過(燃料及び溶媒への)の低減、耐溶媒膨潤性の向上、耐薬品性の向上、耐熱性の向上を含む、向上した特性を有するエラストマー材料を含む基材に付与するための費用効率の高い方法を提供することが更に発見された。
理論に束縛されることを望むものではないが、有利な特性のこの非常に特有な組み合わせは、特に、上述のフルオロポリマー及びフッ素化(ポリ)エーテル溶媒の特定の組み合わせに起因すると考えられる。
本開示のいずれかの特定の実行を詳細に説明するのに先立ち、本開示はその用途において以下の説明に示される構造の詳細及び構成部品の配置に限定されるものではないということが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであることを理解されたい。「からなる(consisting)」の使用とは対照的に、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」及びその変化形の使用は、これらの後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、「1つ以上の」を包含することを意味する。物理的特性又は濃度を表す、本明細書に記載されているいかなる数値範囲も、その範囲の下限値から上限値の、端点を含む全値を包含することを意図する。例えば、1%〜50%の濃度範囲は略記であり、例えば2%、40%、10%、30%、1.5%、3.9%などの1%〜50%の間の値を明示的に開示することを意図する。
別途記載のない限り、その組成物の重量パーセントとして表される組成物の成分の総量は合計100%になり、すなわち組成物の総重量は、別途記載のない限り、常に100重量%である。
別途記載のない限り、その組成物のモルパーセントとして表される組成物の成分の総量は合計100%になり、すなわち組成物の総モル量は、別途記載のない限り、常に100モル%である。
本明細書で使用するとき、「部分フッ素化アルキル」という用語は、炭素鎖に結合した全てではないがいくつかの水素がフッ素で置換されているアルキル基を意味する。例えば、FHC−基又はFHC−基は、部分フッ素化メチル基である。残りの水素原子が他の原子、例えば塩素、ヨウ素及び/又は臭素などの他のハロゲン原子で部分的又は完全に置換されているアルキル基もまた、少なくとも1つの水素がフッ素で置換されている限り、「部分フッ素化アルキル」という用語に包含される。例えば、式FClC−又はFHClC−の残基もまた、部分フッ素化アルキル残基である。
本明細書で使用する「部分フッ素化エーテル」は、少なくとも1つの部分フッ素化基を含有するエーテル、又は1つ以上のペルフルオロ基及び少なくとも1つの非フッ素化基若しくは少なくとも1つの部分フッ素化基を含有するエーテルである。例えば、FHC−O−CH、FC−O−CH、FHC−O−CFH、及びFHC−O−CFが、部分フッ素化エーテルの例である。残りの水素原子が他の原子、例えば塩素、ヨウ素及び/又は臭素などの他のハロゲン原子で部分的又は完全に置換されているエーテル基もまた、少なくとも1つの水素がフッ素で置換されている限り、「部分フッ素化アルキル」という用語に包含される。例えば、式FClC−O−CF又はFHClC−O−CFのエーテルもまた、部分フッ素化エーテルである。
本明細書では、「ペルフルオロ(perfluorinated)アルキル」又は「ペルフルオロ(perfluoro)アルキル」という用語を使用して、そのアルキル鎖に結合した全ての水素原子がフッ素原子で置換されているアルキル基を表す。例えば、FC−は、ペルフルオロメチル基を表す。
「ペルフルオロエーテル」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されているエーテルである。ペルフルオロエーテルの例は、FC−O−CFである。
本明細書に記載のフルオロポリマー組成物は、基材をコーティングするのに好適であり、コーティング組成物、すなわち基材をコーティングするための組成物として好適であり得る。これらの組成物は、溶媒及びフルオロポリマーの含有量並びに任意選択の添加剤の有無に応じて、様々な粘度を有するように配合され得る。これらの組成物は、典型的には、フルオロポリマーの溶液を含有するか又はその溶液であり、液体又はペーストの形態であり得る。とはいうものの、組成物は、分散又は懸濁した材料を含有することがあるが、これらの材料は、好ましくは、添加剤であり、本明細書に記載されている種類のフルオロポリマーではない。好ましくは、組成物は液体であり、より好ましくは、本明細書に記載の溶媒中に溶解した本明細書に記載の1種以上のフルオロポリマーを含有する溶液である。
本明細書に記載のフルオロポリマー組成物は、基材をコーティングするのに好適であり、それらの粘度を調整して、スプレーコーティング又は印刷(これらに限定されないが例えば、インク印刷、3D印刷、スクリーン印刷)、塗装、含浸、ローラーコーティング、バーコーティング、ディップコーティング、及び溶媒キャスティングが挙げられるがこれらに限定されない、様々なコーティング方法によって適用可能にすることができる。
フルオロポリマー組成物は、液体であってもよい。液体は、例えば、室温(20℃+/−2℃)で2,000mPas未満の粘度を有し得る。一実施形態において、組成物はペーストである。ペーストは、例えば、室温(20℃+/2℃)で2,000〜100,000mPasの粘度を有し得る。
本開示によるフルオロポリマー組成物用のフルオロポリマーは、コポリマーであり、2種以上のペルフルオロコモノマーから誘導される繰り返し単位を主に、又はそれだけを含む。本明細書で使用するとき、「主に」は、コポリマーの総重量に基づいて少なくとも90重量%を意味する。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーであり、ペルフルオロアルキルエーテルは、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは、1(アリル、エーテル)又は0(ビニルエーテル)であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する。
本明細書では、「コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び一般式(I)に対応する1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマー」という表現は、対応するコポリマーが、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位と、一般式(I)に対応する1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位とを組み合わせた合計を含むことを表すことを意味する。
本開示の特定の態様では、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも95重量%の、又は更には少なくとも97重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び一般式(I)に対応する1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む。
典型的な態様では、ペルフルオロアルキル残基Rf1は、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、5個以下の炭素原子、又は更には3個以下の炭素原子を含む。
ペルフルオロアルキル残基Rf1は、最大10個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含んでいてもよい。好ましくは、Rf1は、最大8個の、より好ましくは、最大6個の炭素原子、及び最も好ましくは、3又は4個の炭素原子を含む。一態様では、残基Rf1は、3個の炭素原子を有する。別の態様では、Rf1は、1個の炭素原子を有する。ペルフルオロアルキル残基Rf1は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、環式単位を含有しても、又は含有しなくてもよい。ペルフルオロアルキル残基Rf1の具体例としては、以下を含むがこれらに限定されない、1つ以上のエーテル官能基を有する残基が挙げられる。
−(CF)−O−C
−(CF−O−C
−(CFr3−O−CF
−(CF−O)−C
−(CF−O)−C
−(CF−O)−CF
−(CFCF−O)−C
−(CFCF−O)−C
−(CFCF−O)−CF
ペルフルオロアルキル残基Rf1の他の具体例としては、エーテル官能基を含有しない残基が挙げられ、−C、−C、−C、−CF(式中、C及びC残基は分枝状又は直鎖状であってもよいが、好ましくは、直鎖状である)が挙げられるがこれらに限定されない。
有利な態様によれば、本開示で使用するためのフルオロポリマーは、ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む。
好適なペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の具体例としては、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ2−メトキシ−エチルビニルエーテル、CF=CF−O−CF−O−C、CF=CF−O−CF−O−C、CF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
好適なペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)の具体例としては、ペルフルオロメチルアリルエーテル(PMAE)、ペルフルオロエチルアリルエーテル(PEAE)、ペルフルオロ(n−プロピルアリル)エーテル(PPAE−1)、ペルフルオロ2−プロポキシプロピルアリルエーテル(PPAE−2)、ペルフルオロ3−メトキシ−n−プロピルアリルエーテル、ペルフルオロ2−メトキシ−エチルアリルエーテル、CF=CF−CF−O−CF、CF=CF−CF−O−C、CF=CF−CF−O−(CF−O−CF、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するのに好適なペルフルオロアルキルエーテルの更なる例としては、欧州特許出願公開第EP1997795(A1)号(Navarrini)に記載のビニルエーテルが挙げられるが、これに限定されない。上記のようなペルフルオロアルキルエーテルは、例えば、Anles Ltd.(St.Petersburg,Russia)及び他の企業から市販されているか、あるいは米国特許第4,349,650号(Krespan)若しくは欧州特許出願公開第1,997,795(A1)号(Navarrini)に記載の方法に従って、又は当業者に知られているその改変によって調製することができる。
例示的な態様では、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は更には少なくとも50重量%のTFEから誘導される単位を含む。
典型的な態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、25〜90重量%のTFEから誘導される単位を含む。
別の例示的な態様では、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、10〜75重量%の一般式(I)に対応するペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位と、典型的には、0〜10重量%の他のモノマー単位と、を含み得る。本明細書で使用するための例示的な他のモノマー単位としては、連鎖移動剤、改質剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
典型的な態様によれば、本開示で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、25〜90重量%のTFEから誘導される単位と、10〜75重量%の一般式(I)に対応するペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位(特に、PAVE及び/又はPAAE)と、0〜10重量%の他のモノマー単位とを含む。
当業者には明らかであるように、フルオロポリマー中に存在する様々なモノマー単位の量は、これらのモノマー単位の総重量%がフルオロポリマーの100重量%に等しいように選択されるであろう。また、フルオロポリマー中に存在する様々なモノマー単位の量は、得られるコポリマーが所望の特性を有するように選択されるであろう。
TFEから誘導される単位と上述のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位のモル比は、例えば、1;1〜4:1であり得る。
1つの特定の態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、少なくとも50mol%、少なくとも55mol%、少なくとも60mol%、少なくとも65mol%、又は更には少なくとも70mol%のテトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位を含む。
別の特定の態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、50〜90mol%、55〜90mol%、55〜85mol%、60〜85mol%、又は更には65〜80mol%のテトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位を含む。
更に別の特定の態様では、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、10〜50mol%、10〜45mol%、15〜45mol%、15〜40mol%、15〜35mol%、又は更には20〜35mol%の1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む。
本開示の更なる態様によれば、エラストマー材料を含む基材を処理する方法は、
a)組成物を提供する工程であって、組成物が、
i.コポリマーに組み込まれたモノマーの総モル(100mol%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、
ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、
を含む、組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する工程と、
d)任意に、フルオロポリマーが硬化性である場合、フルオロポリマーを硬化させる工程であって、硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む。
別の特定の態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーに組み込まれたモノマーの総モル(100mol%である)に基づいて、少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、又は更には少なくとも97mol%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び一般式(I)に対応する1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーは熱可塑性であってもよいが、好ましい態様では、フルオロポリマーはエラストマーである。エラストマーは、典型的には非晶質である。
典型的な態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、エラストマーフルオロポリマーの群から選択され、エラストマーフルオロポリマーは、実験項に記載の試験方法に従ってDSCによって測定されたとき、特に、26℃未満、20℃未満、10℃未満、又は更には0℃未満のTgを有する。
典型的には、本明細書で使用するための(エラストマー)フルオロポリマーは、実験項に記載の試験方法に従ってDSCによって測定されたとき、−100℃〜25℃、−80℃〜20℃、−60℃〜20℃、−55℃〜20℃、−50℃〜20℃、−50℃〜15℃、−45℃〜15℃、−45℃〜10℃、又は更には−40℃〜10℃の範囲のTgを有する。
別の典型的な態様によれば、本明細書で使用するための(エラストマー)フルオロポリマーは、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、1〜150、2〜150、10〜100、又は更には20〜70の範囲のムーニー粘度(121℃でのML 1+10)を有する。
本開示の有利な態様では、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、67〜75重量%、又は更には69〜73重量%の範囲のフッ素含有量を有する。フッ素含有量は、コモノマー及びそれらの量を適宜選択することによって達成することができる。フッ素含有量は、モノマーの量を測定し、それらのフッ素含有量を計算することによって、すなわち、例えば硬化部位モノマー、改質剤及び連鎖移動剤(CTA)のような他の構成成分からのフッ素含有量に対する寄与を除外することによって、名目上のフッ素含有量として求めることができる。
本開示の好ましい態様によれば、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは硬化性であり、特に、1つ以上の種類の硬化部位モノマーから誘導される1つ以上の硬化単位を含む。より好ましくは、本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、1つ以上の硬化部位を含む硬化性エラストマーである。硬化部位は、硬化剤又は硬化系の存在下で反応してポリマーを架橋する官能基である。硬化部位は、典型的には、硬化部位又はその前駆体を既に含有する官能性コモノマーである、硬化部位モノマーを共重合させることによって導入される。
特に好ましい態様では、本明細書で使用するための硬化性フルオロポリマーは、硬化性ペルフルオロエラストマー、例えば、当該技術分野において知られているFFKMタイプのペルフルオロエラストマーである。ペルフルオロエラストマーは、ペルフルオロコモノマーから誘導される繰り返し単位だけを含むが、硬化部位モノマー、及び必要であれば改質モノマーから誘導される単位を含有してもよい。硬化部位モノマー及び改質モノマーは、部分的にフッ素化されていてもよく、フッ素化されていなくてもよく、又はペルフルオロ化されていてもよく、好ましくは、ペルフルオロ化されている。
有益な態様によれば、本明細書で使用するための硬化性フルオロポリマー組成物は、本明細書に記載されるように、硬化性フルオロポリマー、特に、フルオロエラストマーを硬化させるための1つ以上の硬化系を含む。しかしながら、保護コーティングは、フルオロポリマーを基材に適用し、例えば乾燥によって、溶媒を除去することによってその前に達成してもよい。硬化は、十分な保護コーティングを達成するために必要とされなくてもよいが、コーティングの機械的特性を提供又は増大させるために必要とされてもよい。したがって、本開示の一態様では、フルオロポリマー組成物は、硬化剤も硬化系も含まない。別の態様では、フルオロポリマー組成物は、硬化性フルオロエラストマーを含み、硬化剤又は硬化系を含む。
典型的な態様では、コモノマーは、有利には、本明細書に記載の特性、例えば、上記のような、例えば20℃未満のガラス転移温度(Tg)及び/又は(コポリマーの総重量に基づいて)69〜73重量%のフッ素含有量を有する硬化性フルオロポリマーを生成するような量で使用される。典型的には、好ましいペルフルオロエラストマーは、TFE及び1つ以上のPAVE、PAAE、又はこれらの組み合わせから誘導される繰り返し単位だけを含む。共重合したペルフルオロエーテル単位は、ポリマー中に存在する全モノマー単位の約10〜約50mol%、好ましくは、約15〜約35mol%を構成し得る。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、単峰性又は二峰性又は多峰性の分子量分布(weight distribution)を有し得る。フルオロポリマーは、コアシェル構造を有していても、有していなくてもよい。コアシェルポリマーとは、重合の終わりに近づくと、典型的にはコモノマーの少なくとも50モル%が消費された後に、コモノマーの組成、又はコモノマーの比、又は反応速度を変更して、異なる組成のシェルを形成させるポリマーのことである。
本明細書で使用するためフルオロポリマーは、バルク、懸濁、溶液、又は水性エマルション重合などの当該技術分野において一般的に既知の方法によって調製することができる。例えば、重合プロセスは、モノマー単独の、又は有機溶媒若しくは水中の溶液、エマルション若しくは分散液としての、フリーラジカル重合によって実施することができる。シード重合は、使用されてもよく、使用されなくてもよい。使用可能な硬化性フルオロエラストマーとしては、市販のフルオロエラストマー、特に、ペルフルオロエラストマーも挙げられる。使用される硬化性フルオロポリマーは、典型的には、180℃で1分未満の硬化開始時間(onset of cure)(Ts2)を有し得る。
典型的な態様では、本開示で使用するための組成物は、フルオロポリマーを、組成物の総重量に基づいて、0.01〜55重量%、0.01〜50重量%、0.01〜45重量%、0.1〜45重量%、1〜45重量%、5〜45重量%、10〜45重量%、又は更には10〜40重量%の範囲の量で含む。
別の典型的な態様では、本開示で使用するための組成物は、フルオロポリマーを、組成物の総重量に基づいて、0.01〜5重量%の範囲の量で含む。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーが硬化性フルオロポリマーである、本開示の有利な態様によれば、これらは典型的には、少なくとも1つ以上の硬化部位を含む。硬化部位は、硬化剤又は硬化系と反応し、それによってポリマーは架橋(硬化)される。硬化性エラストマーは、例えば過酸化物硬化性であってもよく、過酸化物硬化系に対して反応性である硬化部位を含有してもよい。硬化部位は、硬化部位モノマー、すなわち、以下に記載されるような官能性モノマー、官能性連鎖移動剤、及び出発分子(starter molecule)を使用することによって、ポリマー中に導入され得る。過酸化物硬化性硬化部位の代わりに又はそれに加えて、フルオロエラストマーは、他の硬化系に対して反応性である硬化部位を含有してもよい。当該技術分野で広く使用されている例としては、ニトリル又はニトリル基を含有する硬化部位が挙げられる。このような硬化部位は、例えば、アンモニアを生成する硬化系、並びに過酸化物硬化に対して反応性である。
好適な硬化部位はヨウ素原子を含む。ヨウ素含有硬化部位末端基は、重合でヨウ素含有連鎖移動剤を使用することによって導入することができる。ヨウ素含有連鎖移動剤については、以下でより詳細に説明する。加えて、ヨウ素末端基を導入するために、以下に記載されるようなハロゲン化レドックス系を使用することもできる。
硬化性フルオロエラストマーはまた、末端位置での硬化部位に加えて、又はその代替として、主鎖中に又はペンダント基(pending group)として、硬化部位を含有してもよい。ポリマー主鎖内の硬化部位は、好適な硬化部位モノマーを使用することによって導入することができる。硬化部位モノマーは、硬化部位として作用することができる1つ以上の官能基、又はあまり好ましくはないが、硬化部位に変換可能な前駆体を含有するモノマーである。
ヨウ素硬化部位に加えて、他の硬化部位、例えばBr含有硬化部位又は1つ以上のニトリル基を含有する硬化部位もまた存在してもよい。Br含有硬化部位は、Br含有硬化部位モノマーによって導入され得る。ニトリル含有硬化部位は、典型的には、ニトリル基を含有する硬化部位モノマーによって導入される。
硬化部位コモノマーの例としては、例えば以下が挙げられる。
(a)例えば、以下の式(IV)を有するものを含む、ブロモ−又はヨード−(ペル)フルオロアルキル−(ペル)フルオロビニルエーテル:
ZRf−O−CX=CX (IV)
(式中、各Xは同一であっても異なっていてもよく、H又はFを表し、ZはBr又はIであり、Rfは、任意選択的に塩素原子及び/又はエーテル酸素原子を含有する、C1〜C12(ペル)フルオロアルキレンである)。好適な例としては、ZCF−O−CF=CF、ZCFCF−O−CF=CF、ZCFCFCF−O−CF=CF、CFCFZCF−O−CF=CF、又はZCFCF−O−CFCFCF−O−CF=CF(式中、ZはBr又はIを表す)と、
(b)以下の式(V)を有するものなどの、ブロモ−又はヨードペルフルオロオレフィン:
Z’−(Rf)r−CX=CX (V)
(式中、各Xは、独立してH又はFを表し、Z’はBr又はIであり、Rfは、任意選択的に塩素原子を含有する、C〜C12ペルフルオロアルキレンであり、rは0又は1である)と、
(c)臭化ビニル、ヨウ化ビニル、4−ブロモ−1−ブテン、及び4−ヨード−1−ブテンなどの、非フッ素化ブロモ及びヨード−オレフィン。
具体例としては、XがHである(b)に従う化合物、例えばXがHであり、RfがC1〜C3ペルフルオロアルキレンである化合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の例としては、ブロモ−若しくはヨード−トリフルオロエテン、4−ブロモ−ペルフルオロブテン−1、4−ヨード−ペルフルオロブテン−1、又はブロモ−若しくはヨード−フルオロオレフィン、例えば1−ヨード,2,2−ジフルロロ(difluroro)エテン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエテン、4−ヨード−3,3,4,4,−テトラフルオロブテン−1、及び4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、6−ヨード−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロヘキセン−1が挙げられる。
典型的には、フルオロポリマー中のヨウ素、臭素又はそれらの組み合わせの量は、フルオロポリマーの総重量に対して、0.001〜5重量%、好ましくは、0.01〜2.5重量%、又は0.1〜1重量%又は0.2〜0.6重量%である。一実施形態において、硬化性フルオロポリマーは、本フルオロポリマーの総重量に基づいて、0.001〜5重量%、好ましくは、0.01〜2.5重量%、又は0.1〜1重量%、より好ましくは、0.2〜0.6重量%のヨウ素を含有する。
上記のI及び/又はBr硬化部位に加えて、又は代替として、硬化性フルオロポリマーはニトリル含有硬化部位を含有してもよい。ニトリル含有硬化部位は、他の硬化系、限定されるものではないが例えば、ビスフェノール硬化系、過酸化物硬化系又はトリアジン硬化系に対して反応性であってもよい。ニトリル含有硬化部位モノマーの例は、以下の式に対応する:
CF=CF−CF−O−Rf−CN;
CF=CFO(CFCN;
CF=CFO[CFCF(CF)O](CFOCF(CF)CN;
CF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCN;
(式中、rは、2〜12の整数を表し、pは、0〜4の整数を表し、kは、1又は2を表し、vは、0〜6の整数を表し、uは、1〜6の整数を表し、Rfは、ペルフルオロアルキレン又は二価ペルフルオロエーテル基である)。ニトリル含有フッ素化モノマーの具体例としては、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、CF=CFO(CFCN、及びCF=CFO(CFOCF(CF)CNが挙げられるが、これらに限定されない。
硬化部位コモノマーから誘導される単位の量は、所望の架橋密度によって決まる。硬化部位モノマーは、使用されるコモノマーの総量に基づいて、0〜10重量%の量で、典型的には10重量%未満、又は更には5重量%未満の量で使用され得る。
フルオロエラストマーはまた、デュアル硬化型であってもよい。フルオロエラストマーはまた、異なる硬化系に対して反応性である異なる硬化部位を含有してもよい。
ハロゲン化連鎖移動剤を使用することによって末端硬化部位を導入し得ることが企図される。連鎖移動剤は、成長するポリマー鎖と反応し、連鎖成長を停止させることができる化合物である。フルオロエラストマーの製造に関して報告されている連鎖移動剤の例としては、式RIを有するものが挙げられ、式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する、x価のフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基であり、これは、1個以上のエーテル酸素が介在していてもよく、また、塩素原子及び/又は臭素原子を含有してもよい。RはRfであり得、Rfは、エーテル酸素が1個以上介在していてもよいx価の(ペル)フルオロアルキル又は(ペル)フルオロアルキレン基であり得る。例としては、1個以上のカテナリー(catenary)エーテル酸素を含有していてもよい、α−ωジヨードアルカン、α−ωジヨードフルオロアルカン、及びα−ωジヨードペルフルオロアルカンが挙げられる。「α−ω」は、ヨウ素原子が、分子の末端位置にあることを表す。かかる化合物は、一般式X−R−Yによって表すことができ、式中、X及びYはIであり、Rは上記のとおりである。具体例としては、ジヨードメタン、α−ω(又は1,4−)ジヨードブタン、α−ω(又は1,3−)ジヨードプロパン、α−ω(又は1,5−)ジヨードペンタン、α−ω(又は1,6−)ジヨードヘキサン、及び1,2−ジヨードペルフルオロエタンが挙げられる。他の例としては、以下の式(VI)のフッ素化ジヨードエーテル化合物が挙げられる。
Figure 2021527729
(式中、Xは、F、H、及びClから独立して選択され、R及びR’は、F及び1〜3個の炭素を有する一価ペルフルオロアルカンから独立して選択され、Rは、F、又は1〜3個の炭素を含む部分フッ素化若しくはペルフルオロアルカンであり、R’’は、1〜5個の炭素を有する二価フルオロアルキレン又は1〜8個の炭素及び少なくとも1つのエーテル結合を有する二価フッ素化アルキレンエーテルであり、kは0又は1であり、n、m、及びpは、0〜5の整数から独立して選択され、n+mは少なくとも1であり、p+qは少なくとも1である)。
有利な態様では、本明細書に提供されるフルオロポリマー組成物は、例えば過酸化物硬化系を含む、硬化性フルオロポリマー、特に、硬化性フルオロエラストマーを硬化させるための1つ以上の硬化系を含有してもよい。他の硬化系としては、以下に記載されるような窒素ベースの硬化系が挙げられるが、これらに限定されない。
過酸化物硬化系は、典型的には、有機過酸化物を含む。過酸化物は、活性化された際に、フッ素化ポリマーを硬化させて、架橋(硬化)フルオロポリマーを形成する。好適な有機過酸化物は、硬化温度でフリーラジカルを生成するものである。例としては、ジアルキルペルオキシド又はビス(ジアルキルペルオキシド)、例えば、ペルオキシ酸素に結合した第三級炭素原子を有するジ−tert−ブチルペルオキシドが挙げられる。具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン)、及びジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)−ブチル]カーボネートが挙げられる。概ね、フルオロポリマー100部当たり約1〜5部の過酸化物を使用することができる。
硬化剤はまた、担体、例えばシリカ含有担体上に存在してもよい。過酸化物硬化系はまた、加えて1種以上の助剤を含んでもよい。典型的には、助剤としては、過酸化物と協働して、有用な硬化をもたらすことのできる多価不飽和化合物が挙げられる。これらの助剤は、典型的には、フルオロポリマー100部当たり0.1〜10部、好ましくは、フルオロポリマー100部当たり2〜5部の量で添加することができる。有用な助剤の例には、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリル−ホスファイト、(N,N’)−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホラミド、(N,N,N,N)−テトラアルキルテトラフタルアミド、(N,N,N’,N−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリル−フタレート、及びトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。特に有用なのは、トリアリルイソシアヌレートである。
ニトリル硬化部位のための好適な硬化系は、当該技術分野において知られており、アミジン、アミドキシム、及び該当部分が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第A1−2009/0018275号(Campbellら)に記載されている他のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの硬化系としては、複素環式第二級アミンから選択される窒素含有求核化合物;グアニジン;40℃〜330℃の温度でin situで分解してグアニジンを生成する化合物;40℃〜330℃の温度でin situで分解して第一級アミン又は第二級アミンを生成する化合物;式R−NH−Rの求核化合物(式中、Rは、H−、C〜C10脂肪族炭化水素基、又はα位に水素原子を有するアリール基であり、Rは、C〜C10脂肪族炭化水素基、α位に水素原子を有するアリール基、−CONHR、−NHCO、又は−OH’であり、Rは、C〜C10脂肪族炭化水素基である);及び式HN=CRNRの置換アミジン(式中、R、R、Rは、独立して、H−、アルキル又はアリール基であり、R、R及びReのうちの少なくとも1つはH−ではない)を挙げることができる。
本明細書で使用するとき、「複素環式第二級アミン」は、環内に含有される少なくとも1つの第二級アミン窒素を有する芳香族又は脂肪族環状化合物を指す。このような化合物としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、3−ピロリン、及びピロリジンが挙げられる。
本開示に含まれるグアニジンは、グアニジン由来の化合物、すなわち、ジフェニルグアニジン、ジフェニルグアニジンアセテート、アミノブチルグアニジン、ビグアニジン、イソペンチルグアニジン、ジ−σ−トリルグアニジン、o−トリルビグアニド、及びトリフェニルグアニジンなどであるがこれらに限定されない、−NHCNHNH−基を含有する化合物である。
40℃〜330℃の温度でin situで分解して、第一級又は第二級アミンのいずれかを生成する化合物としては、二置換又は多置換尿素(例えば、1,3−ジメチル尿素);N−アルキル又は−ジアルキルカルバメート(例えば、N−(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアミン);二置換又は多置換チオ尿素(例えば、1,3−ジメチル−チオ尿素);アルデヒド−アミン縮合生成物(例えば、1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン);N,N’−ジアルキルフタルアミド誘導体(例えば、N,N’−ジメチルフタルアミド);及びアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
式R−NH−Rの求核化合物の例示的な例としては、アニリン、t−ブチルカルバゼート(butylcarbazate)、及びC〜C10脂肪族第一級アミン(メチルアミンなど)が挙げられるが、これらに限定されない。式HN=CRNRの置換アミジンの例示的な例としては、ベンズアミジン及びN−フェニルベンズアミジンが挙げられる。
これらの求核化合物の大部分は、ポリマー鎖結合ニトリル基の三量体化を触媒してトリアジン環を形成し、それによってフルオロエラストマーを架橋することによって、硬化剤として作用すると考えられる。
窒素含有求核化合物は、単独で、又は互いに組み合わせて、又は他の加硫剤(curative)と組み合わせて使用することができる。他の加硫剤と組み合わせて使用される場合、窒素含有求核化合物が存在し得るレベルは、概ね、ペルフルオロエラストマー100部当たり求核化合物0.01〜5部である。好ましくは、ペルフルオロエラストマー100部当たり求核化合物0.05〜3.0部が使用され得る。ペルフルオロエラストマー100部当たり5部を超える求核化合物を含有する硬化性ペルフルオロエラストマー組成物は、概ねスコーチしやすくなる可能性があり、高ムーニー粘度の組成物をもたらす可能性がある。
単独で、又は上述した窒素含有加硫剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用されてもよく、かつペルフルオロエラストマーを架橋できる他の加硫剤としては、有機スズ化合物又はある特定のアミノ基含有ベンゼン化合物が挙げられる。好適な有機スズ化合物としては、アリル−、プロパルギル−、トリフェニル−、及びアレニルスズス加硫剤が挙げられる。別のタイプの加硫剤としては、下記式
Figure 2021527729
のビス(アミノフェノール)及びビス(アミノチオフェノール)、並びに下記式
Figure 2021527729
のテトラアミンが挙げられ、式中、Aは、SO、O、CO、炭素原子1〜6個のアルキル、炭素原子1〜10個のペルフルオロアルキル、又は2つの芳香環を連結する炭素−炭素結合である。上記式XI及び式XII中のアミノ基及びヒドロキシル基は、A基に対してメタ位及びパラ位において互換的に存在する。好ましくは、第2の硬化剤は、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルジャヘキサフィロプロパン、4,4’−スルホニルビス(2−アミノフェノール)、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’,4,4’−テトラアミノベンゾフェノンからなる群から選択される化合物である。これらの硬化剤の1番目のものは、ジアミノビスフェノールAFと呼ばれる。硬化剤は、米国特許第3,332,907号(Angelo)に開示されているように調製することができる。ジアミノビスフェノールAFは、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール(すなわち、ビスフェノールAF)を、好ましくは、硝酸カリウム及びトリフルオロ酢酸でニトロ化した後、好ましくは、溶媒としてエタノール及び触媒として触媒量のパラジウム炭素を用いて、接触水素化することによって調製することができる。
加硫剤の適切なレベルは、硬化特性、例えば、硬化性組成物の最大可動ダイレオメーター(MDR)トルクに達する時間及び最小ムーニースコーチを考慮することによって選択することができる。最適レベルは、ペルフルオロエラストマーと加硫剤との特定の組み合わせ、及び硬化エラストマーの所望の特性により決定する。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、少なくとも1つの改質モノマーから誘導される単位を含有してもよく、又は含有しなくてもよい。改質モノマーは、ポリマー構造中に分岐部位を導入することができる。典型的には、改質モノマーは、ビスオレフィン、ビスオレフィンエーテル又はポリエーテルである。ビスオレフィン及びビスオレフィン(ポリ)エーテルは、ペルフルオロ化されていても、部分フッ素化されていても、又はフッ素化されていなくてもよい。好ましくは、これらは、ペルフルオロ化されている。好適なペルフルオロビスオレフィンエーテルとしては、以下の一般式(VII)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021527729
(式中、n及びmは、互いに独立して1又は0のいずれかであり、Rfは、1個以上の酸素原子が介在していてもよい、最大30個の炭素原子を含む、ペルフルオロ化された、直鎖状又は分枝状、環状又は非環状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素残基を表す)。特定の好適なペルフルオロビスオレフィンエーテルは、以下の式(VIII)で表されるジ−ビニルエーテルである。
Figure 2021527729
(式中、nは1〜10、好ましくは、2〜6の整数であり、例えば、nは、1、2、3、4、5、6、又は7であり得る)。より好ましくは、nは、例えば1、3、5、又は7などの奇数を表す。
更なる具体例としては、以下の一般式(IX)に従うビスオレフィンエーテルが挙げられる。
Figure 2021527729
(式中、n及びmは、独立して1又は0のいずれかであり、pは1〜10又は2〜6の整数である)。例えば、nは、1、2、3、4、5、6、又は7、好ましくは、1、3、5、又は7を表すように選択され得る。
更なる好適なペルフルオロビスオレフィンエーテルは、以下の式(X)で表すことができる。
Figure 2021527729
(式中、Raf及びRbfは、1〜10個の炭素原子、特に、2〜6個の炭素原子の、異なる直鎖状又は分枝状ペルフルオロアルキレン基であり、これは、1個以上の酸素原子が介在していても介在していなくてもよい)。Raf及び/又はRbfはまた、ペルフルオロフェニル又は置換フェニル基であってもよく、nは、1〜10の整数であり、mは、0〜10の整数であり、好ましくは、mは0である。p及びqは互いに独立して、1又は0のいずれかである。
かかる改質剤は、当該技術分野において公知の方法で調製することができ、また、例えばAnles Ltd,(St.Petersburg,Russia)から市販されている。
好ましくは、改質剤は使用されないか、又は少量だけ使用される。典型的な量としては、ポリマーの総重量に基づいて0〜5重量%、又は0〜1.4重量%が挙げられる。改質剤は、例えば、フルオロポリマーの総重量に基づいて約0.1重量%〜約1.2重量%又は約0.3重量%〜約0.8重量%の量で存在し得る。
ペルフルオロビスオレフィンエーテルのみを例示してきたが、部分フッ素化又は非フッ素化同族体並びにビスオレフィン類似体もまた使用されてもよい。改質剤の組み合わせもまた使用することができる。
本明細書で使用するためのフルオロポリマーは、部分フッ素化又は非フッ素化コモノマー及びこれらの組み合わせを含有してもよいが、好ましくはない。典型的な部分フッ素化コモノマーとしては、1,1−ジフルオロエテン(フッ化ビニリデン、VDF)及びフッ化ビニル(VF)又はトリフルオロクロロエテン又はトリクロロフルオロエテンが挙げられるが、これらに限定されない。非フッ素化コモノマーの例としては、エテン及びプロペンが挙げられるが、これらに限定されない。これらのコモノマーから誘導される単位の量は、0〜8%、又は0〜5%、又は0〜1%を含み、好ましくは、0%(ポリマーの重量に基づく重量パーセント)である。
本明細書で使用するための組成物は、直鎖状、環状、又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒を更に含む。
本明細書で使用するための直鎖状、環状、又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む好適な溶媒は、本開示を踏まえて当業者によって容易に特定されよう。溶媒は、典型的には、フルオロポリマーを溶解させることができる。
本明細書で使用するための溶媒は、典型的には、周囲条件で液体であり、典型的には50℃を超える沸点を有する。好ましくは、溶媒は、容易に除去することができるように、200℃未満の沸点を有する。
本開示の例示的な態様では、本明細書で使用するための溶媒は、組成物の総重量に基づいて少なくとも約25重量%の量で存在し得る。本開示の別の例示的な態様では、溶媒は、組成物の重量に基づいて約25〜99.99重量%、例えば約30〜95重量%、又は50〜90重量%の量で存在してもよい。
1つの例示的な態様では、本明細書で使用するための組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.01〜約55重量%、又は組成物の重量に基づいて、0.01〜45重量%、又は約0.1〜約45重量%、又は約10〜40重量%のフルオロポリマーを含有し得る。溶媒及びフルオロポリマーの最適な量は、最終用途によって決まり得、様々であり得る。例えば、薄いコーティングを作製しようとする間、溶媒中の非常に希薄なフルオロポリマー溶液、例えば、0.01重量%〜5重量%の量が望ましいことがある。また、スプレーコーティングでの用途には、高粘度の溶液よりも低粘度の組成物が好ましいことがある。溶液中のフルオロポリマーの濃度は、粘度に影響を及ぼし、適宜調整され得る。本開示の1つの利点は、高濃度のフルオロポリマーを含むにもかかわらずなお低粘度の透明な液体組成物をもたらす溶液、例えば、約5〜55重量%又は5〜25重量%を含有する組成物もまた調製できることである。
本開示の有利な態様によれば、本明細書で使用するための溶媒は、分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む。好ましくは、本明細書で使用するための溶媒は、非フッ素化アルキル基及びペルフルオロアルキル基を含み、より好ましくは、ペルフルオロアルキル基は分枝状である。
本開示の好ましい態様では、溶媒として本明細書で使用するための部分フッ素化(ポリ)エーテルは、一般式(II):
f2−O−R (II)
(式中、Rf2は、好ましくは、エーテル酸素が1回以上介在していてもよい、ペルフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基から選択される、フルオロアルキル残基であり、Rは、好ましくは、部分フッ素化アルキル基及び非フッ素化アルキル基から選択される)に対応する。典型的には、Rf2は、1〜12個の炭素原子を有し得る。Rf2は、第一級、第二級、又は第三級フッ素化又はペルフルオロアルキル残基であってもよい。これは、Rf2が第一級アルキル残基である場合、エーテル原子に連結した炭素原子は2個のフッ素原子を含有し、フッ素化又はペルフルオロアルキル鎖の別の炭素原子に結合していることを意味する。その場合、Rf2はRf3−CF−に対応し、このポリエーテルは、一般式:Rf3−CF−O−Rで表すことができる。
f2が第二級アルキル残基である場合、エーテル原子に連結した炭素原子はまた、1個のフッ素原子、並びに部分及び/又はペルフルオロアルキル鎖の2個の炭素原子にも連結しており、Rf2は(Rf4f5)CF−に対応する。このポリエーテルは、(Rf4f5)CF−O−Rに対応するであろう。
f2が第三級アルキル残基である場合、エーテル原子に連結した炭素原子はまた、部分及び/又はペルフルオロアルキル鎖の3個の炭素原子にも連結しており、Rfは(Rf6f7f8)−C−に対応する。このポリエーテルは、このとき(Rf6f7f8)−C−ORに対応する。Rf3、Rf4、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は、Rf2の定義に対応し、エーテル酸素が1個以上介在していてもよいペルフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基である。これらは、直鎖状又は分枝状又は環状であってもよい。また、ポリエーテルの組み合わせを使用してもよく、第一級、第二級及び/又は第三級アルキル残基の組み合わせもまた使用してもよい。
本開示の1つの好ましい態様によれば、溶媒として本明細書で使用するための部分フッ素化(ポリ)エーテルは、一般式(III)に対応する。
2p+1−O−C2q+1 (III)
(式中、qは1〜5の整数、例えば1、2、3、4又は5であり、pは5〜11の整数、例えば5、6、7、8、9、10又は11である)。好ましくは、C2p+1は分枝状である。好ましくは、C2p+1は分枝状であり、qは1、2又は3である。
このような溶媒は、例えば、3M Company(St.Paul,USA)からNOVECという商品名で市販されている。
本開示の有利な一態様では、本明細書で使用するための組成物は、直鎖状、環状又は分枝状の、部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒を含むが、但し、少なくとも1つの溶媒が直鎖状の、部分フッ素化エーテルから選択されるならば、このときは溶媒はエトキシ−ノナフルオロブタンとは異なる。
部分フッ素化エーテル及びポリエーテルは、単独で使用されてもよく、又はこれらは、フルオロケミカル溶媒又は非フルオロケミカル溶媒であってもよい他の溶媒と組み合わせて存在してもよい。
本開示の1つの典型的な態様によれば、本明細書で使用するための組成物は、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は更には少なくとも50重量%の量で含む。
本開示の別の典型的な態様によれば、本明細書で使用するための組成物は、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、50重量%未満、又は更に45重量%未満の量で含む。
本開示の更に別の典型的な態様によれば、本明細書で使用するための組成物は、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、25〜99.99重量%、30〜95重量%、40〜95重量%、又は更には50〜90重量%の範囲の量で含む。
更に典型的には、本明細書で使用するための組成物は、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、40〜70重量%、40〜65重量%、40〜60重量%、45〜60重量%、45〜55重量%、又は更には45〜50重量%の範囲の量で含む。
本開示の更なる例示的態様では、本明細書で使用するための組成物は、部分フッ素化(ポリ)エーテルを、組成物の総重量に基づいて、25〜99.99重量%、30〜95重量%、40〜95重量%、又は更には50〜90重量%の範囲の量で含む。
本開示の方法の典型的な態様によれば、本明細書で使用するための組成物は溶液であり、方法は、フルオロポリマーを少なくとも1つの溶媒に(少なくとも部分的に)溶解する工程を更に含む。
本開示の方法の別の典型的な態様によれば、本明細書で使用するための組成物は、上述の方法の工程c)又は任意の工程d)からの結果を(直接)もたらすコーティング組成物である。
フルオロポリマーを含む組成物は、当該技術分野において既知の添加剤を更に含有してもよい。例としては、酸受容体が挙げられる。かかる酸受容体は、無機酸受容体、又は無機酸受容体及び有機酸受容体のブレンドであることができる。無機受容体の例としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、第二リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。有機受容体としては、エポキシ、ステアリン酸ナトリウム、及びシュウ酸マグネシウムが挙げられる。特に好適な酸受容体としては、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛が挙げられる。酸受容体のブレンドも同様に使用することができる。酸受容体の量は、概して、使用される酸受容体の性質に依存する。典型的には、使用される酸受容体の量は、フッ素化ポリマー100部当たり0.5〜5部である。
フルオロポリマー組成物は、安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、及び加工助剤などの、フルオロポリマーの加工及びコンパウンド化において典型的に利用される更なる添加剤を含有してもよいが、但し、意図される使用条件で十分な安定性を有することを条件とする。添加剤の特定の例としては、カーボンブラック、グラファイト、ススなどの炭素粒子が挙げられる。更なる添加剤としては、顔料、例えば酸化鉄、二酸化チタンが挙げられるが、これらに限定されない。他の添加剤としては、粘土、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、シリカ、ガラス繊維、又は当該技術分野で既知の及び使用されている他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
フルオロポリマー組成物は、フルオロポリマー、任意選択の硬化系、及び任意選択の添加剤並びに溶媒を混合することによって調製され得る。好ましくは、フルオロポリマーは、最初に他の固体成分と、特に、硬化系と一緒にコンパウンドされる。コンパウンド化は、従来のゴム加工設備において実施して、固体混合物、すなわち、当該技術分野において「コンパウンド」とも呼ばれる追加の成分を含有する固体ポリマーを提供することができる。典型的な設備は、ゴム用ロール機、バンバリーミキサなどの密閉式ミキサ、及び混合押出成形機が挙げられる。混合中に、構成成分及び添加剤を、得られるフッ素化ポリマー「コンパウンド」又はポリマーシート全体にわたって均一に分散させる。次いで、コンパウンドを、好ましくは、例えばより小さい小片に切り出すことによって微粉砕し、その後溶媒中に溶解させる。
コーティングは、フルオロポリマー組成物を基材に添加し、溶媒を除去することによって調製することができる。本開示の1つの典型的な態様では、コーティングは、硬化させずに調製することができ、組成物は硬化剤を含まなくてもよい。別の態様では、フルオロポリマー組成物は、硬化性フルオロポリマー及び1つ以上の加硫剤を含有する。組成物は、コーティングされる基材に組成物が適用された後に硬化させることができる。硬化前に、溶媒は、有利には、例えば蒸発、乾燥によって、又は溶媒を気化させることによって、減少又は完全に除去され得る。
硬化は、使用される硬化系及び硬化部位に好適な条件によって達成され得る。使用される硬化部位及び硬化系に応じて、硬化は、硬化性フルオロポリマー組成物を高温で若しくは室温で熱処理することによって、又は照射、例えば紫外線硬化によって、達成され得る。硬化は、硬化フルオロポリマーを形成するのに有効な温度でかつ有効な時間行われる。条件の最適化は、フルオロポリマーをその機械的特性及び物理的特性に関して検査することによって試験することができる。硬化は、加圧下で又は加圧なしでオーブン内で実施され得る。硬化プロセスを確実に完全に終了させるために、高温及び又は高圧で後硬化サイクルを適用してもよい。後硬化は、典型的には、170℃〜250℃の温度で0.1〜24時間にわたって実施することができる。硬化条件は、使用される硬化系によって決まる。
フルオロポリマー組成物は、(例えば、スクリーン印刷によって)含浸、印刷、又はエラストマー材料を含むコーティング基材に有利に使用されてもよい。コーティング技術の典型的な例としては、スプレーコーティング、塗装ディップコーティング、ローラーコーティング、バーコーティング、溶媒キャスティング、ペーストコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。コーティングは、組成物が顔料、例えば、二酸化チタン又はグラファイト若しくはススのような黒色フィラーを含有する場合は着色されていてもよく、又は顔料又は黒色フィラーが存在しない場合は無色であってもよい。
コーティング前に(エラストマー)基材の表面を前処理するために、結合剤(bonding agent)及びプライマーを使用してもよい。例えば、金属表面へのコーティングの結合は、結合剤又はプライマーを適用することによって改善させることができる。例としては、市販のプライマー又は結合剤、例えば、CHEMLOKという商品名で市販されているものが挙げられる。
本明細書に記載の組成物の利点は、厚みのあるコーティング又は薄いコーティングの調製に使用可能であることである。別の利点は、より均質なコーティングを提供することができ、例えば、これらに限定はされないが腐食又は化学分解(chemical degradation)から、エラストマー材料を含む基材をより良好に保護できるようになることである。
本明細書で使用するための基材は、エラストマー材料を含む。本開示との関連において、当業者に一般的に既知の任意のエラストマー材料を使用してもよい。本明細書で使用するのに好適なエラストマー材料は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
本明細書で使用するのに好適なエラストマー材料は、典型的には、飽和エラストマー材料、不飽和エラストマー材料、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物の群から選択される。
より具体的には、本明細書で使用するのに好適な例示的なエラストマー材料としては、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルなどの炭化水素ゴム、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルピロリドンなどの炭化水素ゴム、天然ゴム、合成ゴム、天然又は合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエーテルブロックアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、熱可塑性エラストマー、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫物、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
有利な態様によれば、本明細書で使用するための基材は、炭化水素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む。
好ましい態様によれば、本明細書で使用するための基材は、炭化水素ゴム、特に、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む。
本明細書で使用するためのフルオロポリマー組成物は、エラストマー材料を含む基材だけでなく、金属基材もコーティングするために有利に使用され得る。
したがって、別の態様では、本開示は、エラストマー材料を含む第1の基材を、金属を含む第2の基材に接合する方法であって、
a)上述の組成物を提供する工程と、
b)第1の基材の少なくとも一部を、工程a)の組成物と接触させることにより、第1の基材の少なくとも一部の上にコーティング層を形成する工程と、
c)工程b)のコーティング層の少なくとも一部を、第2の基材と接触させる工程と、
d)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、第1の基材と第2の基材との間にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
e)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程d)のフルオロポリマー材料を硬化させる工程と、を含む、方法を目的とする。
本開示の代替の態様によれば、エラストマー材料を含む第1の基材を、金属を含む第2の基材に接合する方法であって、
a)上述の組成物を提供する工程と、
b)第1の基材の少なくとも一部を、工程a)の組成物と接触させることにより、第1の基材の少なくとも一部の上にコーティング層を形成する工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、第1の基材上にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
d)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程d)のフルオロポリマー材料を前硬化させる工程と、
e)工程c)又はd)のフルオロポリマー材料の少なくとも一部を、第2の基材と接触させる工程と、
f)任意に、少なくとも1つのフルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程e)のフルオロポリマー材料を硬化させる、特に、プレス硬化させる工程と、を含む、方法を提供する。
これらの方法の例示的な態様では、本明細書で使用するための金属は、アルミニウム、鋼、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、チタン、銀、金、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は合金からなる群から選択される。好ましくは、本明細書で使用するための金属は、アルミニウム、鋼、クロム、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は合金からなる群から選択される。
更なる態様によれば、本開示は、エラストマー材料を含む物品の透過(燃料及び溶媒への)を低減する方法であって、物品の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーが、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーであり、1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、方法に関する。
本方法の有利な態様では、フルオロポリマーコーティングを含む物品の透過定数は、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、5以下、又は更には0(g−mm/m−日)である。
なお更なる態様によれば、本開示は、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させる方法であって、基材の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーは上述のとおりである。
更に他の態様によれば、本開示は、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させる方法であって、基材の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーは上述のとおりである、方法に関する。
本方法の有利な態様では、フルオロポリマーコーティングの耐熱性は、200℃超、250℃超、280℃超、300℃超、又は更には320℃超の温度まで維持される。
上述の方法の例示的な態様では、これらの方法は、
a)上述の組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、基材上にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
d)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程c)のフルオロポリマー材料を硬化させる工程と、を含む。
本開示の別の態様によれば、エラストマー材料を含む基材と、上述のフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むコーティングされた物品であって、コーティングが、上述の方法により得られる、コーティングされた物品が提供される。
更に別の態様によれば、本開示は、基材と、上記のようなフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、基材が、エラストマー材料を含み、フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、物品が、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70(g−mm/m−日)以下の透過定数を有する、物品を目的とする。
更に別の態様によれば、本開示は、基材と、上記のようなフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、基材が、エラストマー材料を含み、フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、物品が、実験項に記載の溶媒膨潤性減少試験法に従って測定されたとき、少なくとも2の全溶媒膨潤減少係数を有する、物品を目的とする。
これらの物品の有利な態様では、フルオロポリマー層は、1200マイクロメートル未満、1000マイクロメートル未満、800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、80マイクロメートル未満、60マイクロメートル未満、40マイクロメートル未満、又は更には20マイクロメートル未満の厚さを有する。
有利には、物品の透過定数は、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、5以下、又は更には1(g−mm/m−日)以下である。
本開示の1つの有益な態様では、実験項の溶媒膨潤性減少試験法に従って測定されたとき、物品の全溶媒膨潤係数は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、又は更には少なくとも15である。
別の有益な態様では、実験項に記載の溶媒膨潤試験法に従ってアセトン中で測定されたとき、物品の全体積膨潤率は、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は更には5%未満である。
本開示の物品は、有利には、シール又はその構成要素、特に、Oリング及びガスケット、流体輸送用物品又はその構成要素、特に、ホース、より具体的には燃料ラインホース及びターボチャージャーホース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
特に有利な態様では、本開示の物品は、Oリング、ガスケット、燃料ラインホース、及びターボチャージャーホースからなる群から選択される。
本開示の物品の1つの例示的態様によれば、フルオロポリマー層は、上述のエラストマー材料を含む基材を処理する方法により得られる。
本開示の更に別の態様によれば、エラストマー材料を含む第1の基材と、金属を含む第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に、上述したようなフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むアセンブリが提供される。
有利な態様では、(フルオロポリマー)コーティングは、1500マイクロメートル未満、1200マイクロメートル未満、1000マイクロメートル未満、800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、80マイクロメートル未満、60マイクロメートル未満、40マイクロメートル未満、又は更には20マイクロメートル未満の厚さを有する。
本開示のアセンブリの1つの例示的態様によれば、(フルオロポリマー)コーティング/層は、上述のエラストマー材料を含む基材を処理する方法により得られる。
更に別の態様によれば、本開示は、上述のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の透過(溶媒への)を低減するための使用に関する。
更に別の態様によれば、本開示は、上述のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させるための、使用を目的とする。
更に別の態様によれば、本開示は上述のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させるための、使用に関する。
更に別の態様によれば、本開示は、上述の組成物の、エラストマー材料を含む物品の透過(溶媒への)を低減するための使用を目的とする。
更に別の態様によれば、本開示は、上述の組成物の、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させるための、使用に関する。
更に別の態様によれば、本開示は、上述の組成物の、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させるための、使用を目的とする。
項目1は、エラストマー材料を含む基材を処理する方法であって、
a)組成物を提供する工程であって、組成物が、
i.コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、
ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、
を含む、組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する(ことにより、基材上にフルオロポリマー材料を形成する)工程と、
d)任意に、フルオロポリマー(材料)が硬化性である場合、フルオロポリマー(材料)を硬化させる工程であって、硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む、方法である。
項目2は、フルオロポリマーが、エラストマーフルオロポリマーの群から選択され、エラストマーフルオロポリマーが、実験項に記載の試験方法に従ってDSCによって測定されたとき、特に、26℃未満、20℃未満、10℃未満、又は更には0℃未満のTgを有する、項目1に記載の方法である。
項目3は、エラストマーフルオロポリマーが、実験項に記載の試験方法に従ってDSCによって測定されたとき、−100℃〜25℃、−80℃〜20℃、−60℃〜20℃、−55℃〜20℃、−50℃〜20℃、−50℃〜15℃、−45℃〜15℃、−45℃〜10℃、又は更には−40℃〜10℃の範囲のTgを有する、項目2に記載の方法である。
項目4は、エラストマーフルオロポリマーが、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、1〜150、2〜150、10〜100、又は更には20〜70の範囲のムーニー粘度を有する、項目2又は3のいずれか一項に記載の方法である。
項目5は、フルオロポリマーが硬化性であり、特に、1つ以上の種類の硬化部位モノマーから誘導される1つ以上の硬化単位を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法である。
項目6は、フルオロポリマーが、特に、エラストマーフルオロポリマーであり、過酸化物硬化系に対して反応性である1つ以上の硬化部位を含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法である。
項目7は、フルオロポリマーが、特に、エラストマーフルオロポリマーであり、ニトリル基、ヨウ素基、臭素基、及びこれらの組み合わせを含有する硬化部位の群から選択される1つ以上の硬化部位を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法である。
項目8は、フルオロポリマーが特に、エラストマーフルオロポリマーであり、非フッ素化又は部分フッ素化コモノマーから誘導される任意の繰り返し単位を含まない、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法である。
項目9は、フルオロポリマーが、ペルフルオロ、部分的若しくは非フッ素化硬化部位モノマーから誘導される単位、並びに/又はペルフルオロ、部分的並びに非フッ素化ビスオレフィン、ビスオレフィン−エーテル及びビスオレフィンポリエーテルから選択される1つ以上の改質モノマーから誘導される単位を含む、項目7に記載の方法である。
項目10は、フルオロポリマーが、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも95重量%の、又は更には少なくとも97重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び一般式(I)に対応する1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法である。
項目11は、ペルフルオロアルキル残基Rf1が、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、5個以下の炭素原子、又は更には3個以下の炭素原子を含む、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法である。
項目12は、ペルフルオロアルキル残基Rf1が、3個又は1個の炭素原子を含む、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法である。
項目13は、1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位が、ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)からなる群から選択され、特に、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ2−メトキシ−エチルビニルエーテル、CF=CF−O−CF−O−C、CF=CF−O−CF−O−C、CF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法である。
項目14は、1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位が、ペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)からなる群から選択され、特に、ペルフルオロメチルアリルエーテル(PMAE)、ペルフルオロエチルアリルエーテル(PEAE)、ペルフルオロ(n−プロピルアリル)エーテル(PPAE−1)、ペルフルオロ2−プロポキシプロピルアリルエーテル(PPAE−2)、ペルフルオロ3−メトキシ−n−プロピルアリルエーテル、ペルフルオロ2−メトキシ−エチルアリルエーテル、CF=CF−CF−O−CF、CF=CF−CF−O−C、CF=CF−CF−O−(CF−O−CF、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1〜13のいずれか一項に記載の方法である。
項目15は、フルオロポリマーが、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、少なくとも50mol%、少なくとも55mol%、少なくとも60mol%、少なくとも65mol%、又は更には少なくとも70mol%のテトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位を含む、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法である。
項目16は、フルオロポリマーが、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、50〜90mol%、55〜90mol%、55〜85mol%、60〜85mol%、又は更には65〜80mol%のテトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位を含む、項目1〜15のいずれか一項に記載の方法である。
項目17は、フルオロポリマーが、フルオロポリマー中に存在する総モノマー単位に基づいて、10〜50mol%、10〜45mol%、15〜45mol%、15〜40mol%、15〜35mol%、又は更には20〜35mol%の1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含む、項目1〜16のいずれか一項に記載の方法である。
項目18は、フルオロポリマーが、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、67〜75重量%の範囲のフッ素含有量を有する、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法である。
項目19は、組成物が、フルオロポリマーを、組成物の総重量に基づいて、0.01〜55重量%、0.01〜50重量%、0.01〜45重量%、0.1〜45重量%、1〜45重量%、5〜45重量%、10〜45重量%、又は更には10〜40重量%の範囲の量で含む、項目1〜18のいずれか一項に記載の方法である。
項目20は、組成物が、フルオロポリマーを、組成物の総重量に基づいて、0.01〜5重量%の範囲の量で含む、項目1〜19のいずれか一項に記載の方法である。
項目21は、溶媒が、分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む、項目1〜20のいずれか一項に記載の方法である。
項目22は、部分フッ素化(ポリ)エーテルが、一般式(II):
f2−O−R (II)
(式中、Rf2は、好ましくは、エーテル酸素が1回以上介在していてもよい、ペルフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基から選択される、フルオロアルキル残基であり、Rは、好ましくは、部分フッ素化アルキル基及び非フッ素化アルキル基から選択される)に対応する、項目1〜21のいずれか一項に記載の方法である。
項目23は、フルオロアルキル残基Rf2が、1〜12個の炭素原子を含む、項目22に記載の方法である。
項目24は、フルオロアルキル残基Rf2が、第一級、第二級、又は第三級フッ素化若しくはペルフルオロアルキル残基である、項目22又は23のいずれか一項に記載の方法である。
項目25は、部分フッ素化(ポリ)エーテルが、一般式(III):
2p+1−O−C2q+1 (III)
(式中、qは、1〜5の整数であり、pは、5〜11の整数である)に対応する、項目1〜24のいずれか一項に記載の方法である。
項目26は、C2p+1−単位が、分枝状であり、qが、好ましくは、1〜3である、項目25に記載の方法である。
項目27は、組成物が、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、又は更には少なくとも70重量%の量で含む、項目1〜26のいずれか一項に記載の方法である。
項目28は、組成物が、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、50重量%未満、又は更には45重量%未満の量で含む、項目1〜27のいずれか一項に記載の方法である。
項目29は、組成物が、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、25〜99.99重量%、30〜95重量%、40〜95重量%、又は更には50〜90重量%の範囲の量で含む、項目1〜28のいずれか一項に記載の方法である。
項目30は、組成物が、溶媒を、組成物の総重量に基づいて、40〜70重量%、40〜65重量%、40〜60重量%、45〜60重量%、45〜55重量%、又は更には45〜50重量%の範囲の量で含む、項目1〜29のいずれか一項に記載の方法である。
項目31は、組成物が、部分フッ素化(ポリ)エーテルを、組成物の総重量に基づいて、25〜99.99重量%、30〜95重量%、40〜95重量%、又は更には50〜90重量%の範囲の量で含む、項目1〜30のいずれか一項に記載の方法である。
項目32は、フルオロポリマーが、特に、1つ以上の硬化部位を含むエラストマーフルオロポリマーであり、組成物が、フルオロポリマーを硬化させるための少なくとも1つの硬化剤を更に含む、項目1〜31のいずれか一項に記載の方法である。
項目33は、硬化系が、過酸化物系硬化系、ビスアミノフェノール及びビスフェノールAF硬化系、窒素系硬化系、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目32に記載の方法である。
項目34は、組成物が、直鎖状、環状又は分枝状の、部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒を含むが、但し、少なくとも1つの溶媒が直鎖状の、部分フッ素化エーテルから選択されるならば、このときは溶媒はエトキシ−ノナフルオロブタンとは異なる、項目1〜33のいずれか一項に記載の方法である。
項目35は、組成物が溶液であり、方法が、フルオロポリマーを少なくとも1つの溶媒に(少なくとも部分的に)溶解する工程を更に含む、項目1〜34のいずれか一項に記載の方法である。
項目36は、組成物が、工程c)又は任意の工程d)により(直接)得られるコーティング組成物である、項目1〜35のいずれか一項に記載の方法である。
項目37は、基材が、飽和エラストマー材料、不飽和エラストマー材料、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物の群から選択されるエラストマー材料を含む、項目1〜36のいずれか一項に記載の方法である。
項目38は、基材が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルピロリドンを含む炭化水素ゴム、天然ゴム、合成ゴム、炭化水素ゴム、天然又は合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエーテルブロックアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、熱可塑性エラストマー、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫物、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む、項目1〜37のいずれか一項に記載の方法である。
項目39は、基材が、炭化水素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む、項目1〜38のいずれか一項に記載の方法である。
項目40は、基材が、炭化水素ゴム、特に、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む、項目1〜39のいずれか一項に記載の方法である。
項目41は、エラストマー材料を含む第1の基材を、金属を含む第2の基材に接合する方法であって、
a)項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、
b)第1の基材の少なくとも一部を、工程a)の組成物と接触させることにより、第1の基材の少なくとも一部の上にコーティング層を形成する工程と、
c)工程b)のコーティング層の少なくとも一部を第2の基材と接触させる工程と、
d)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、第1の基材と第2の基材との間にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
e)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程d)のフルオロポリマー材料を硬化させる工程と、を含む、方法である。
項目42は、エラストマー材料を含む第1の基材を、金属を含む第2の基材に接合する方法であって、
a)項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、
b)第1の基材の少なくとも一部を、工程a)の組成物と接触させることにより、第1の基材の少なくとも一部の上にコーティング層を形成する工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、第1の基材上にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
d)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程c)のフルオロポリマー材料を前硬化させる工程と、
e)工程c)又はd)のフルオロポリマー材料の少なくとも一部を、第2の基材と接触させる工程と、
f)任意に、少なくとも1つのフルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程e)のフルオロポリマー材料を硬化させる、特に、プレス硬化させる工程と、を含む、方法である。
項目43は、金属が、アルミニウム、鋼、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、チタン、銀、金、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は合金からなる群から選択される、項目41又は42のいずれか一項に記載の方法である。
項目44は、金属が、アルミニウム、鋼、クロム、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は合金からなる群から選択される、項目41〜43のいずれか一項に記載の方法である。
項目45は、エラストマー材料を含む物品の透過を低減する方法であって、物品の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーが、コポリマーの総重量(100重量%である)に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーであり、1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
f1−O−(CF−CF=CF (I)
(式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、方法である。
項目46は、フルオロポリマーコーティングを含む物品の透過定数が、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、5以下、又は更には0(g−mm/m−日)である、項目45に記載の方法である。
項目47は、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させる方法であって、基材の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーが、項目1〜18のいずれか一項に記載されるとおりである、方法である。
項目48は、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させる方法であって、基材の表面の少なくとも一部にフルオロポリマーコーティングを適用する工程を含み、フルオロポリマーが、項目1〜18のいずれか一項に記載されるとおりである、方法である。
項目49は、
a)項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、
b)基材の少なくとも一部を工程a)の組成物と接触させる工程と、
c)少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、基材上にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
d)任意に、フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程c)のフルオロポリマー材料を硬化させる工程と、を含む、項目45〜48のいずれか一項に記載の方法である。
項目50は、エラストマー材料を含む基材と、その上の項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むコーティングされた物品であって、コーティングが、項目1〜40のいずれか一項に記載の方法により得られる、コーティングされた物品である。
項目51は、基材と、その上の項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、基材が、エラストマー材料を含み、フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、物品が、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70(g−mm/m−日)以下の透過定数を有する、物品である。
項目52は、基材と、その上の項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、基材が、エラストマー材料を含み、フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、物品が、実験項に記載の溶媒膨潤性減少試験法に従って測定されたときに、少なくとも2の全溶媒膨潤減少係数を有する、物品である。
項目53は、フルオロポリマー層が、1200マイクロメートル未満、1000マイクロメートル未満、800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、80マイクロメートル未満、60マイクロメートル未満、40マイクロメートル未満、又は更には20マイクロメートル未満の厚さを有する、項目51又は52のいずれか一項に記載の物品である。
項目54は、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、5以下、又は更には1(g−mm/m−日)の透過定数を有する、項目51〜53のいずれか一項に記載の物品である。
項目55は、実験項の溶媒膨潤性減少試験法に従って測定されたとき、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、又は更には少なくとも15の全溶媒膨潤減少係数を有する、項目51〜54のいずれか一項に記載の物品である。
項目56は、実験項に記載の溶媒膨潤試験法に従ってアセトン中で測定されたとき、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は更には5%未満の全体積膨潤率を有する、項目51〜55のいずれか一項に記載の物品である。
項目57は、シール又はその構成要素、特に、Oリング及びガスケット、流体輸送用物品又はその構成要素、特に、ホース、より具体的には燃料ラインホース及びターボチャージャーホース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目51〜56のいずれか一項に記載の物品である。
項目58は、フルオロポリマー層が、項目1〜40のいずれか一項に記載の方法により得られる、項目51〜57のいずれか一項に記載の物品である。
項目59は、エラストマー材料を含む第1の基材と、金属を含む第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に、項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むアセンブリである。
項目60は、コーティングが、1500マイクロメートル未満、1200マイクロメートル未満、1000マイクロメートル未満、800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、80マイクロメートル未満、60マイクロメートル未満、40マイクロメートル未満、又は更には20マイクロメートル未満の厚さを有する、項目58に記載のアセンブリである。
項目61は、コーティングが、項目1〜40のいずれか一項に記載の方法により得られる、項目58又は59のいずれか一項に記載のアセンブリである。
項目62は、項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の透過(溶媒への)を低減するための使用である。
項目63は、項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させるための使用である。
項目64は、項目1〜18のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させるための使用である。
項目65は、項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物の、エラストマー材料を含む物品の透過(燃料及び溶媒への)を低減するための使用である。
項目66は、項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物の、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させるための使用である。
項目67は、項目1〜36のいずれか一項に記載の組成物の、エラストマー材料を含む物品の耐熱性を向上させるための使用である。
以下の実施例により本開示を更に説明する。これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
適用される試験方法:
I−含有量:ヨウ素含有量は、Enviroscience(Dusseldorf,Germany)製のASC−240Sオートサンプラー、Enviroscience AQF−2100F燃焼ユニット(ソフトウェア:「NSX−2100、バージョン1.9.8」;三菱ケミカルアナリテック)Enviroscience GA−210ガス吸収ユニット、及びMetrohm「881 compac IC pro」液体クロマトグラフィー分析器(ソフトウェア:Metrohm「Magic IC Net2.3」)を用いた元素分析により測定する。
ガラス転移温度(Tg):
Tgは、TA Instruments Q200変調DSCを用いる示差走査熱量測定によって測定する。測定条件は、−150℃〜50℃、2〜3℃/分の加熱速度である。変調振幅は、60秒中に毎分+/−1℃である。中点Tg(℃)を報告する。
ムーニー粘度:
ムーニー粘度は、ASTM D1646−07(2012)に従って、1分間の予熱及び121℃で10分間の試験で決定する(121℃でのML 1+10)。
粘度:
Brookfield粘度は、室温(20〜22℃)でスピンドル3を使用してBrookfield粘度計LVにおいて測定する。
透過:
基材及びコーティングされた物品の透過定数は、40℃の標準試験流体Fuel CE10を使用して、約75mmの直径及び約1mmの厚さを有する円形パッド上のSAE Technical PaperシリーズSAE 2000−01−1096に記載の試験手順に従って測定する。
Thwing−Albertアルミニウムカップに70gのCE10試験燃料(45/45/10体積%のイソオクタン/トルエン/エタノール)を充填して、組み立てる。ペルフルオロエラストマー(PFE)シールを使用して、シールを通した蒸気透過を最小限に抑える。フィルム厚及び面積を変化させる試験フィルムの任意のバルーン効果を防止するために、間に別のPFEシールを備えた16メッシュのスクリーンを、試験フィルムの上部に配置する。クランプリング上のキャップねじは締められている。各材料に3つのカップを組み立て、42℃の温水浴に入れたガラスビーカーに逆さまに配置して、カップ内で40℃の温度を達成する。毎日、カップを水浴から取り出し、室温まで冷却し、分析天秤で秤量する。実験室の気温、相対湿度、及び気圧もまた、測定された重量に対する空気浮力補正について記録する。
各カップの重量損失(初期重量と比較して)を時間に対してプロットし、傾きから蒸気透過率を決定する。重量測定に対する空気浮力の影響の補正を行う。短い平衡化時間後に線形依存性が得られることが明らかである。各曲線の傾きは、6日目から31日目までのデータに基づいて計算し、毎日の蒸気損失(g/日)を決定する。次いで、この値にフィルム厚(mm)を乗算し、露出した試験面積(m)で除算して透過定数(g−mm/m−日)を計算する。
透過は、コーティングされていない基材パッド上及び硬化したフルオロポリマーコーティングでコーティングされた基材パッド上で測定する。透過定数は、(g−mm/m−日)で報告し、3つの測定値の平均を表す。
溶媒膨潤:
全体積膨張率は、約25mmの直径及び約3.5mmの厚さを有するOリング試料上で、標準試験手順ASTM D471−06に従って、溶媒としてアセトンを使用し、23℃で24時間浸漬後に測定される。体積膨潤は、コーティングされていないOリング試料及び硬化したフルオロポリマーコーティングでコーティングされたOリング試料上で測定する。体積膨潤率は、%で報告されたASTM D471−06に従って計算し、3つの測定値の平均を表す。
全溶媒膨潤減少係数は、コーティングされていないOリング上で測定された全体積膨潤率を、硬化フルオロポリマーコーティングでコーティングされた同じOリング上で測定した全体積膨潤%で除算することによって計算する。
試験に使用される試験基材:
− VMQ:シリコーンゴムプレート(100mm×100mm×1mm)は、Veritas AG,Germanyから入手したシリコーンゴムから成形される。直径約75mm及び厚さ約1mmの円形パッドを、プレートから切り出す。
− FKM:製品FPO 3731、3M Company,St.Paul,MN,USAから市販されている高フッ素過酸化物硬化性ターポリマーを、FKMゴムプレート(100mm×100mm×1mm)にコンパウンドし、成形する。約75mmの直径及び約1mmの厚さを有する円形パッドをプレートから切り出す。
− VMQ Oリング:約25mmの直径及び約3.5mmの厚さを有する標準ASTM 214 Oリングは、Veritas AG,Germanyから入手したシリコーンゴムから成形する。
FKMフルオロポリマー硬化層でコーティングされたVMQシリコーンゴムパッドの調製:
先ず、フルオロエラストマー組成物を、2ロールミル上で、100重量部の、TFE、HFP、及びVDFモノマー単位から誘導される単位を含む過酸化物硬化性ペルフルオロエラストマーターポリマー(3M Belgium,Zwijndrechtから商品名E−21900で入手可能)を、30重量部のカーボンブラック充填剤(Cancarb,Canadaから商品名Carbon Black Thermax N990で市販されている)、3重量部の過酸化物硬化剤(Akzo Nobel Functional Chemicals,The Netherlandsから商品名Trigonox 101−50D−pdで市販されている)、及び2.85重量部の共剤TAIC(70%)(Lehman & Vossから市販されている)を混合することによって、調製する。コンパウンドした配合物を、約0.5cmのサイズの小片に切り出し、次いで、これらをアセトン溶媒のビーカーに添加する。
溶媒は、15重量%のフルオロポリマーを含有する溶液にするための量で添加する。ビーカーをローラーミキサー上に置き、連続的に一晩混合する。フルオロポリマーは完全に溶解する。
次いで、200μ Zehnterコーターを使用して、溶液をVMQ円形パッド上にバーコーティングする。一晩空気乾燥した後、第2の層を適用し、一晩風乾した後、60℃で40分間乾燥工程を行う。硬化を、177℃で15分間オーブン内で実施し、200℃で2時間後硬化させる。硬化フルオロポリマーコーティングは、約120マイクロメートルの厚さを有する。
FKMペルフルオロエラストマー硬化層でコーティングされたVMQシリコーンゴムパッドの調製:
先ず、ペルフルオロエラストマー組成物を、2ロールミル上で、100重量部の硬化性ペルフルオロポリマーを、商品名PFE40Z(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)を、20重量部のカーボンブラック充填剤(Cancarb,Canadaから商品名Carbon Black Thermax N990で市販されている)、1.5重量部の過酸化物硬化剤(Akzo Nobel Functional Chemicals,The Netherlandsから商品名Trigonox 101−50D−pdで市販されている)、及び2.5重量部の共剤TAIC(70%)(Lehman & Vossから市販されている)を混合することによって、調製する。
コンパウンドした配合物を、約0.5cmのサイズの小片に切り出す。これらの小片を溶媒である部分フッ素化ポリエーテル(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン)のビーカーに添加する。溶媒は、15重量%のペルフルオロエラストマーを含有する溶液にするための量で添加する。ビーカーをローラーミキサー上に置き、連続的に一晩混合する。ペルフルオロエラストマーは完全に溶解する。
次いで、200μ Zehnterコーターを使用して、溶液をVMQ円形パッド上にバーコーティングする。一晩空気乾燥後、第2の層を適用する。同じ手順を第3及び第4の層について行い、続いて、60℃で40分間乾燥工程を行う。硬化を、140℃で15分間オーブン内で実施し、200℃で2時間後硬化させる。硬化ペルフルオロエラストマーコーティングは、約120マイクロメートルの厚さを有する。
FFKMペルフルオロエラストマー硬化層でコーティングされたFKMフルオロポリマーパッドの調製:
先ず、ペルフルオロエラストマー組成物を、2ロールミル上で、100重量部の硬化性ペルフルオロポリマーを、商品名PFE40Z(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)を、20重量部のカーボンブラック充填剤(Cancarb,Canadaから商品名Carbon Black Thermax N990で市販されている)、1.5重量部の過酸化物硬化剤(Akzo Nobel Functional Chemicals,The Netherlandsから商品名Trigonox 101−50D−pdで市販されている)、及び2.5重量部の共剤TAIC(70%)(Lehman & Vossから市販されている)を混合することによって、調製する。
コンパウンドした配合物を、約0.5cmのサイズの小片に切り出す。これらの小片を溶媒である部分フッ素化ポリエーテル(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン)のビーカーに添加する。溶媒は、15重量%のペルフルオロエラストマーを含有する溶液にするための量で添加する。ビーカーをローラーミキサー上に置き、連続的に一晩混合する。ペルフルオロエラストマーは完全に溶解する。
次いで、200μ Zehnterコーターを使用して、溶液をFKMフルオロポリマー円形パッド上にバーコーティングする。一晩空気乾燥後、第2の層を適用する。同じ手順を第3及び第4の層について行い、続いて、60℃で40分間乾燥工程を行う。硬化を、140℃で15分間オーブン内で実施し、200℃で2時間後硬化させる。硬化ペルフルオロエラストマーコーティングは、約120マイクロメートルの厚さを有する。
FFKMペルフルオロエラストマー硬化層でコーティングされたVMQシリコーンゴムOリングの調製:
先ず、ペルフルオロエラストマー組成物を、2ロールミル上で、100重量部の、硬化性ペルフルオロポリマー、商品名PFE40Z(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)を、0.75重量部の過酸化物硬化剤、商品名Luperox P(98%)(Sigma Aldrich,Germanyから市販されている)、及び1.5重量部のニート共剤TAIC(Evonikから市販されている)と混合することによって調製する。
コンパウンドした配合物を、約0.5cmのサイズの小片に切り出す。これらの小片を溶媒である部分フッ素化ポリエーテル(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン)のビーカーに添加する。溶媒は、15重量%のペルフルオロエラストマーを含有する溶液にするための量で添加する。ビーカーをローラーミキサー上に置き、連続的に一晩混合する。ペルフルオロエラストマーは完全に溶解する。
VMQ Oリングを上述のペルフルオロエラストマー組成物に浸漬コーティングし、23℃で1時間風乾し、続いてオーブン内で60℃で40分間乾燥工程を行い、その後140℃で10分間オーブンで硬化させる。この手順を合計4回繰り返す。最後に、コーティングされたOリングを200℃で2時間オーブン内で後硬化させる。
コーティングされていないVMQ Oリングを試験する前に、177℃で7分間プレス硬化し、200℃で2時間オーブン内で後硬化させる。
エラストマー基材と、間にFFKMペルフルオロエラストマー層を有する金属基材とを含むアセンブリの調製:
先ず、ペルフルオロエラストマー組成物を、2ロールミル上で、100重量部の硬化性ペルフルオロポリマーを、商品名PFE40Z(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)を、24重量部のカーボンブラック充填剤(Cancarb,Canadaから商品名Carbon Black Thermax N990で市販されている)、2.5重量部のZnO(Bayerから市販されている)、1.5重量部の過酸化物硬化剤(Akzo Nobel Functional Chemicals,The Netherlandsから商品名Trigonox 101−50D−pdで市販されている)、及び2.5重量部の共剤TAIC(70%)(Lehman & Vossから市販されている)を混合することによって、調製する。
コンパウンドした配合物を、約0.5cmのサイズの小片に切り出す。これらの小片を溶媒である部分フッ素化ポリエーテル(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン)のビーカーに添加する。溶媒は、10重量%のペルフルオロエラストマーを含有する溶液にするための量で添加する。ビーカーをローラーミキサー上に置き、連続的に一晩混合する。ペルフルオロエラストマーは完全に溶解する。
次いで、溶液をアルミニウムQパネル(Labomatから入手)の一部、寸法15cm×7.5cmに、又はサンドブラスト鋼板上に、バーコーティングする。エラストマー材料を含む基材を、アルミニウムパネル又は鋼板上に存在するコーティング層と接触させて、続いてコーティング層を熱硬化工程、及び任意に更なる後硬化工程にさらす工程も可能であることが想到される。
試験結果:
透過(40℃でCE10での)
表1は、様々なコーティングされていない基材パッド及び様々なフルオロポリマーコーティングでコーティングされた様々な基材パッドの透過定数を示す。FKMフルオロポリマーコーティングは、本開示によるものではなく、一方FFKMペルフルオロエラストマーコーティングは本開示によるものである。
Figure 2021527729
表1は、本開示によるものではないフルオロポリマーコーティング(比較例2)又はコーティングされていない基材(比較例1及び4)と比較するときの、エラストマー材料を含む基材上の本開示によるフルオロポリマーコーティング(実施例3)で得られた透過における大幅な減少を示す。
耐溶媒膨潤性(アセトン中、23℃で24時間)
表2は、コーティングされていないVMQシリコーンゴムOリング試料及び本開示によるフルオロポリマーコーティングでコーティングされたVMQシリコーンゴムOリング試料上で測定された全体積膨潤率を示す。
Figure 2021527729
表2は、コーティングされていない基材(比較例6)と比較するときの、エラストマー材料を含む基材上の、本開示によるフルオロポリマーコーティング(実施例7)で得られた優れた耐溶媒膨潤性を示す。

Claims (15)

  1. エラストマー材料を含む基材を処理する方法であって、
    a)組成物を提供する工程であって、前記組成物が、
    i.コポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90重量%の、テトラフルオロエテン(TFE)から誘導される単位及び1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位を含むコポリマーである、少なくとも1つのフルオロポリマーであって、前記ペルフルオロアルキルエーテルが、一般式(I):
    f1−O−(CF−CF=CF (I)
    (式中、nは1又は0であり、Rf1は、任意に酸素原子が1個以上介在しているペルフルオロアルキル残基を表す)に対応する、少なくとも1つのフルオロポリマーと、
    ii.直鎖状、環状又は分枝状の部分フッ素化(ポリ)エーテルを含む少なくとも1つの溶媒と、
    を含む、組成物を提供する工程と、
    b)前記基材の少なくとも一部を工程a)の前記組成物と接触させる工程と、
    c)前記少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去する工程と、
    d)任意に、前記フルオロポリマーが硬化性である場合、前記フルオロポリマーを硬化させる工程であって、前記硬化工程が、工程c)と同時に、又はその後に実施されてもよい、硬化させる工程と、を含む、方法。
  2. 前記ペルフルオロアルキル残基Rf1が、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、5個以下の炭素原子、又は更には3個以下の炭素原子を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上のペルフルオロアルキルエーテルから誘導される単位が、ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)からなる群から選択され、特に、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ2−メトキシ−エチルビニルエーテル、CF=CF−O−CF−O−C、CF=CF−O−CF−O−C、CF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記部分フッ素化(ポリ)エーテルが、一般式(II):
    f2−O−R (II)
    (式中、Rf2は、好ましくは、エーテル酸素が1回以上介在していてもよい、ペルフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基から選択される、フルオロアルキル残基であり、Rは、好ましくは、部分フッ素化アルキル基及び非フッ素化アルキル基から選択される)に対応する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記部分フッ素化(ポリ)エーテルが、一般式(III):
    2p+1−O−C2q+1 (III)
    (式中、qは、1〜5の整数であり、pは、5〜11の整数である)に対応する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記フルオロポリマーが、特に、1つ以上の硬化部位を含むエラストマーフルオロポリマーであり、前記組成物が、前記フルオロポリマーを硬化させるための少なくとも1つの硬化剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 硬化系が、過酸化物系硬化系、ビスアミノフェノール及びビスフェノールAF硬化系、窒素系硬化系、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記基材が、炭化水素ゴム、特に、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、合成ゴム、炭化水素ゴム、天然又は合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエーテルブロックアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、熱可塑性エラストマー、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫物、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記基材が、炭化水素ゴム、特に、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるベースポリマーを含むエラストマー材料を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. エラストマー材料を含む第1の基材を、金属を含む第2の基材に接合する方法であって、
    a)請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、
    b)前記第1の基材の少なくとも一部を、工程a)の前記組成物と接触させることにより、前記第1の基材の少なくとも一部の上にコーティング層を形成する工程と、
    c)工程b)の前記コーティング層の少なくとも一部を、前記第2の基材と接触させる工程と、
    d)前記少なくとも1つの溶媒を少なくとも部分的に除去することにより、前記第1の基材と前記第2の基材との間にフルオロポリマー材料を形成する工程と、
    e)任意に、前記フルオロポリマー材料が硬化性である場合、工程d)の前記フルオロポリマー材料を硬化させる工程と、を含む、方法。
  11. エラストマー材料を含む基材と、その上の請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むコーティングされた物品であって、前記コーティングが、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により得られる、コーティングされた物品。
  12. 基材と、その上の請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含む少なくとも1つのフルオロポリマー層と、を含む物品であって、前記基材が、エラストマー材料を含み、前記フルオロポリマー層が、1500マイクロメートル未満の厚さを有し、前記物品が、実験項に記載の試験方法に従って測定されたとき、70(g−mm/m−日)以下の透過定数を有する、物品。
  13. エラストマー材料を含む第1の基材と、金属を含む第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材との間に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含むコーティングと、を含むアセンブリ。
  14. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの、エラストマー材料を含む物品の透過(燃料及び溶媒への)を低減するための使用。
  15. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の、エラストマー材料を含む物品の耐溶媒膨潤性及び/又は耐薬品性を向上させるための使用。
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