JP2021527497A - 歯科矯正システムを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、歯科矯正システム(13)が3次元プリンティングにより作製されるプリントするステップを含む、患者の歯(11)の歯科矯正治療のための歯科矯正システム(13)を製造する方法に関する。

Description

本開示は、患者の歯を歯科矯正治療するための歯科矯正システムを製造する方法に関する。
歯科矯正分野では、顎の不正咬合を患うおよび/または歯並びの悪い患者に対して、歯並びを揃えることを目的とする歯科矯正装置を治療期間中にわたって取り付けることが知られている。各歯科矯正装置は、患者ごとに個別に作製されるか、またはそうでない場合がある。種々の治療技術が市場には存在する。
既知の様式では、1つもしくは複数の歯科矯正ワイヤと、歯科矯正ワイヤが挿入され得る1つもしくは複数のスロットまたはワイヤを保持し得る装着手段をそれぞれが備える複数のブラケットとを備える、歯科矯正装置が存在する。これらの装置は、2種類のバージョンで提供されている。
唇側バージョンでは、ブラケットは、歯の外方(唇側)表面上に装着される。次いで、歯科矯正弧線(archwire)が、歯並びを揃えるためにブラケットのスロットに挿入される。このバージョンでは、ブラケットは、その装着者が笑うと外から見えてしまう。
舌側バージョンでは、ブラケットは、歯の内方(舌側)表面上に装着される。この場合には、ブラケットは外部からは見えない。
これらの歯科矯正装置の問題点は、それらの配置と、この配置を行うために必要とされる時間とにとりわけ存在する。
既知の様式では、治療は、患者専用にカスタマイズされるか、またはされない場合がある。
治療がカスタマイズされない場合には、歯科矯正弧線上の屈曲部の数を最小限に抑えるために、歯上の正確な位置にブラケットを位置決めすることが極めて重要となる。各歯の矯正位置は、歯科矯正ブラケットと弧線との間の相互作用により決定される。したがって、結果的に得られる歯並びは、施術者が、弧線上の歯の形態構造のばらつきを補償する能力に大きく依存する。
実際に、通則として、各患者の各歯は、固有の形態構造を有する。したがって、標準ブラケットすなわち大量生産されたブラケットは、歯の最適な移動の発現を決して可能にするものではないことが容易に理解される。これにより、矯正歯科医は、歯科矯正弧線上にいくつかの屈曲部を形成することによって介入する。これらの屈曲部は、形態構造差を補償する。
かかる歯科矯正装置の配置は、その分野の専門家(矯正歯科医)により実施される場合であっても、多くの場合において危険性が残る。歯の唇側表面および/または舌側表面の形態構造のばらつきにより、歯上へのブラケットの正確な位置決めは難しいままであり、理想的な歯並びの実現はほとんど不可能となる。
この問題を解消するために、歯の形態構造のばらつきが極めて高い場合に、カスタマイズされた方法を、より具体的には舌側バージョンにおいて利用することが知られている。
治療がカスタマイズされる、すなわち患者専用化される場合に、2つの主要なカテゴリーのシステムが知られている。
第1のカテゴリーは、標準ブラケットを使用するシステムを含む。これらのブラケットは、歯上に任意に配置され得るものであり、次いで弧線は、歯を変位させるために必要とされる力および傾向を伝達するように適合化される必要がある。この弧線は、デジタル設計され、屈曲ロボットにより3次元的に屈曲される。
第2のカテゴリーは、2次元的に作製されたカスタマイズされたブラケットおよびカスタマイズされた弧線を使用するシステムを含む。カスタマイズされた弧線およびカスタマイズされたブラケットを共に使用する利点は、弧線上の屈曲部の数が削減される点である。屈曲部の数が多いと、弧線の適切な摺動が妨げられ、したがって歯並びの適切な平滑化が妨げられる。
これらのカスタマイズされたシステムを使用するためには、およびしたがって歯科矯正ブラケットおよび/または歯科矯正弧線を正確に位置決めするためには、カスタマイズされたシステムを作製するために歯科矯正治療のデジタルセットアップが必要となる。このデジタルセットアップとは、不正咬合に基づき実施される歯の矯正位置のシミュレーションのことである。
このシミュレーションが実施されると、歯科矯正ブラケット(パール)および歯科矯正弧線が、デジタル設計され、このシミュレーションにおいてデジタル的に位置決めされる。その後、これらの弧線およびブラケットが、例えばCAD/CAMにより作製される。その後のステップは、不正咬合モデルに対してかまたは直接口内へかのいずれかにおける作製されたブラケット(実物)の位置決めを可能にするための転写システムを作製することからなる。
したがって、このために、
- 不正咬合部に対してブラケットを正確に位置調整し、熱成形された転写トレイもしくはシリコーン転写トレイを構成することか、または
- 作製されたブラケットを直接的に口内で位置調整するために剛性位置決めジグを作製すること
のいずれかが必須となる。
明らかに、この目的は、仮想歯上への仮想ブラケットの仮想位置決め(デジタルセットアップ)と同一のシナリオにおいて、口内にすなわち患者の歯上にブラケットを位置決めすることを可能にすることである。
これらの2つのシナリオにおいては、以下の問題が生じる。
- 不正咬合モデル上において正確にブラケットを位置調整するために、例えば、プラスタ製の不正咬合モデルを製造すること、または光造形法により不正咬合モデルを直接インプリントすることが必要となる。
- 次いで、多くの場合シリコーンから作製されるかまたは熱成形される転写トレイと呼ばれる型を頂部に作製することが必要となる。これは、常に非常に正確なものであるとは限らない。なぜならば、全体(作製された転写トレイおよびブラケット)をリリースし、その後にこのトレイ内においてブラケット間の交換を非常に正確に行うことが必要であるからである。トレイ内におけるブラケットの配置が不正確であると、カスタマイズされたシステムの利点が損なわれる。
- 不正確さの第2の要因:トレイが可撓性であるため、施術者は、すべてのブラケットを歯と接触状態に置くためにトレイを完璧に圧迫しなければならない。
- 剛性ジグシステムに関して、これらのジグ内にブラケットを手動で位置決めすることに関連するエラー原因がさらに存在する。ジグ内に不正確に挿入されたブラケットがあると、歯並びのデジタルシミュレーションと口内の実際の歯並びとの間に相違を同様にもたらすことになる。
要するに、位置調整が不正確であると、カスタマイズされたシステムの完璧な効果を危うくすることになり、我々が理解しているように、現行のシステムはいずれもそのレベルに違いこそあれ位置調整エラーの要因を含んでいる。
したがって、ブラケットを歯上に接合する最中にこれらのブラケットを適切な位置に保持するための位置決めシステムを使用することが知られている。例えば、米国特許第7094053(B2)号の文献から、歯の中の1つまたは複数に対して形状合致する剛性ジグが、別個のかつ除去可能な中間パーツによりブラケットの中の1つまたは複数に対して装着されることが知られている。記載されるこのシステムは、理論上においては、位置決めの最中におけるエラーを最小限に抑えることを可能にするものであるが、ブラケットにおよびジグにこの中間パーツを組み付ける最中におけるエラーが残る。また、EP2571449A1の文献から、歯に対して形状合致する剛性ジグが、そのエッジの中の少なくとも1つの少なくとも一部分においてブラケットのベースに対して密接に付着することが知られている。しかし、ブラケットおよびジグが単体ピースでない場合には、位置決めエラーは依然として存在する。これらのシステムは、ブラケットのそれぞれのジオメトリに対して適合化されなければならない。小型化の進むブラケットの使用は、中間パーツおよび装着システムの設計および作製を困難にし、位置決めエラーは、増幅され、これらのシステムは、取り扱いが困難になる。かかる歯科矯正装置の使用は、多くの場合において長期間の訓練(舌側手技の場合)を必要とし、また多くの場合においてかなりの経験を必要とする。歯科矯正弧線は、前記ブラケットを口内で接合した後にブラケットのスロットに挿入される。
さらに、多軸マシンでは、かかる歯科矯正システムの製造は可能とはならない。なぜならば、特に、パーツが非常に小さく非常に脆弱であるからである。さらに、スロットは、小さな穿孔具の使用を必要とするが、これらのボアは壊れやすい傾向がある。
かかる歯科矯正システムを製造するために、レーザ加工を利用することが可能であるが、かような製造は非常に高額となる。さらに、レーザは、その投影によりとりわけ円錐形状を有するが、それによりスロットの正確な穿孔が困難となる。
米国特許第7094053(B2)号 EP2571449A1 米国特許第8678817(B2)号
本明細書では、「歯科矯正治療」という用語は、患者の歯の審美的外観の改善として理解されるべきであり、「歯科矯正治療」は、外科手術を含まない。換言すれば、本開示において、歯の位置の改善は、外科手術を伴わない装置により実現され、前記装置は、矯正作用を発揮する。
本開示の目的は、先行技術から既知である歯科矯正システムの製造の欠点の少なくともいくつかを有さない、患者の歯の歯科矯正治療のための歯科矯正システムを製造する方法を提供することである。
以下の説明では、パールは、先行技術から既知であるブラケットよりも平滑であるが、歯科矯正ワイヤまたは弧線(archwire)に対するブラケットの機能を有する。かかるパールは、歯上に配置され、歯科矯正弧線を受けるための開口を備える。
そのため、デジタルシミュレーションにおけるデジタルパールの位置決めに関しては、歯上におけるパール(作製された)の位置決めに関連する上記のエラー要因のすべてが解消される。
口内でこの「オールインワン」アセンブリすなわち本開示の歯科矯正システムを接合した後に、施術者は、パールが歯に対して接合された状態に留まるように、パールから位置決めシステムを分離させる(場合によっては単体ピースとして設計された予備破断ゾーンにて)ことのみが必要となる。
本開示のこの目的は、患者の歯の歯科矯正治療のための歯科矯正システムを製造する方法であって、歯科矯正システムが3次元プリンティングにより作製されるプリントするステップを含む、方法によって達成される。
そのため、有利には、装置の配置が容易化され、パールの正確な位置決めが確保される。
本開示の好ましい実施形態では、以下の設定の中のあるものおよび/または別のものが、任意に使用され得る。
- プリントするステップにて作製される歯科矯正システムが、装置およびジグを備え、この装置は、歯科矯正ワイヤが挿入され得るスロットをそれぞれが備えるパールを備え、パール同士は、ジグにより相互連結され、ジグは、別個のキャップを備え、前記キャップは、歯の形状に対して個別に形状設定される。
- キャップ同士は、相互連結される。
- ジグは、マスタージグをさらに備え、キャップ同士は、マスタージグにより相互連結される。
- パールのそれぞれが、ジグから装着解除可能である。
- パールは、被覆される。
- パールの外部表面が、平滑材料からなる。
- スロットの材料が、金属を含む。
- スロットは、金属製である。
- キャップは、パールに対して連結される。
- パールのそれぞれが、キャップから装着解除可能である。
- 歯科矯正システムは、少なくとも1つのマークをさらに備える。
- プリントする前記ステップで、前記歯科矯正システムは単体ピースとして形成される。
- プリントする前記ステップの前に、デジタル初期不正咬合モデルが、口腔内スキャナの出力から直接的に取得される、または患者の歯のインプリントのスキャンから取得される。
- プリントする前記ステップの前に、歯科矯正治療のデジタルセットアップが、不正咬合を基礎として実施される歯の矯正位置のシミュレーションを得るために実施される。
- パールは、デジタル設計され、前記デジタルセットアップにおいてデジタル位置決めされる。
- 弧線は、デジタル設計され、前記デジタルセットアップにおいてデジタル位置決めされる。
- 弧線は、プリント後に、および歯科矯正システムが患者の口内に配置される前に、パール内に配置される。
- ジグは、マスタージグをさらに備え、キャップ同士は、マスタージグにより相互連結され、キャップは、コネクタおよびアームを備え、キャップ、マスタージグ、アーム、およびコネクタは、初期位置において製造されることによりジグを形成する。
- 歯科矯正システムは、イソプロパノール中で洗浄され、歯科矯正システムは、超音波槽内にさらに浸漬され、次いで歯科矯正システムは、UVで再び硬化されて完全に安定化および固化される。
本開示のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照として、非限定的な例として提示される実施形態の中の1つの以下の説明から明らかになろう。種々の図において、同一の参照符号は、同一または同様の要素を示す。
先行技術による装置の概略斜視図である。 本開示による装置の概略斜視図である。 本開示による方法を利用した図1Bの装置の位置決めを伴う、本開示による歯科矯正デバイスの底面図である。 ジグから分離された後の、図2Aにおける装置の位置決めの底面図である。 図2Aにおける装置のパールの斜視図である。 図3Aにおけるパールの斜視図である。 さらなる一実施形態によるパールの側方斜視図である。 図4Aにおけるパールの前方斜視図である。 アームを有する図4Aにおけるパールの側方斜視図である。 アームを有する図4Aにおけるパールの前方斜視図である。 すべてが治療対象の歯の舌側に配置された、アームおよびマスタージグ(すなわち弧線)を有する図4Aにおけるパールの前方斜視図である。 本開示による歯科矯正デバイスの別の実施形態の斜視図である。 歯科矯正ワイヤ配置を示す、歯科矯正デバイスの実施形態の斜視図である。 歯科矯正ワイヤ配置を示す、追加のスカート要素を有する図6Aの実施形態の斜視図である。 本開示の一実施形態による製造方法を示す、歯科矯正デバイスの実施形態の斜視図である。 支持具の除去後の図7Aの実施形態の斜視図である。 本開示の別の実施形態による製造方法を示す、歯科矯正デバイスの実施形態の斜視図である。 コネクタの除去前の図8Aの実施形態の斜視図である。
図1Aは、先行技術において既知の、および先行技術から知られる方法により患者の歯511上に配置された、歯科矯正装置510を概略的に示す。装置510は、歯科矯正ワイヤ512と、複数のブラケット516およびベース514とを備える。各ベース514は、対応する歯511とブラケット516との間に固定される。各ブラケット516はスロット518を備え、歯科矯正ワイヤ512がこのスロット518内に挿入される。
一般的には、米国特許第8678817(B2)号の文献に開示されるように、かかるブラケットは、歯表面に対して装着するための取付けベースと、このベース上に形成され歯科矯正弧線(archwire)(または歯科矯正ワイヤ)を受けるようにサイズ設定された弧線スロットとを備える。
図1Aは、ブラケットが歯511の外方表面(唇側表面)511A上に配置される、唇側バージョンからなる先行技術において知られている装置510を概略的に示す。歯科矯正ワイヤ512は、治療の間にわたり歯511の歯並びを揃えるために、ブラケット516のスロット518に挿入される。このバージョンでは、ブラケット516は、患者が笑うと外から見えてしまう。
かかる既知のブラケット516は、そのジオメトリおよび/または寸法が原因となり容易に外から見えてしまい、そのことが、ブラケット516を美観の低いものにしている。さらに、および特にブラケットが歯の舌側表面に配置される場合には(図示せず)、既に知られているように、これらのブラケットは、例えば舌がブラケットに接触した場合に不快感を引き起こし得る。
この理由により、患者は、本開示によるおよび以降において説明される装置10を用いることを好む。
図1Bは、本開示による装置10の概略斜視図を示す。
この実施形態は、舌側バージョンからなり、ブラケット16およびベース14に代わるパール15が、歯11の内方表面(舌側表面)11B上に配置される。この場合に、これらのパール15は外方から見えない。しかし、本開示は、かかるバージョンに限定されず、唇側バージョンもまた、図示しないが本開示の一部となる。
両バージョン(舌側および唇側)において、この装置の配置は、各パール15を個別に位置決めすることが必要となる場合には困難な手技となる。パール15は、一般的には歯11上に接合される。しかし、本開示によれば、この難しさは、本歯科矯正システムと、パール同士がリンクされ、治療対象の各歯11上に共に最適に配置されることとにより解消される。
かかるパールは、歯との調和を可能にする点において顕著である。より厳密には、本開示において定義されるパールを用いた場合に、患者は自身の口内においてパールの触感を感じない(またはほぼ感じない)。さらに、かかるパールは、小さいまたは視認不能であるため、非常に審美性が高い。パール15は、歯科矯正ワイヤ512のためのブラケットの機能を有する。さらに、パール15は、先行技術から既知であるブラケットよりも一般的に小さいことが可能である。したがって、本開示によるパールは、不快感がより低い。さらに、本開示の装置を用いた場合に、ベースが歯とブラケットとの間に配置される先行技術から既知である装置とは対照的に、ベースが不要となる。
先行技術から既知である実施形態については、舌側バージョンの実施形態(図1B)は、唇側バージョン(図示せず)の実施形態よりも視覚的により高い魅力を有する。さらに、唇側バージョンは、先行技術による唇側バージョン(図1A)から既知である実施形態よりも視覚的により高い魅力を有し、舌側バージョン(図1B)は、先行技術から既知である実施形態(図示せず)よりも視覚的により高い魅力を有する。しかし、唇側よりも舌側においては歯11へのアクセスがより困難であるため、舌側バージョン(図1B)は患者の歯11上への配置がより困難である。
図3Aおよび図3Bにおいてさらに明確に理解されるように、各パール15は、スロット18を備え、弧線(archwire)または歯科矯正ワイヤ12が、スロット18に挿入される(図3Aおよび図3Bには図示せず)。このスロット18は、図3Bに示すように正方形断面を有し得るが、断面は、矩形、円形、または任意の他の形状であってもよい。歯科矯正ワイヤ12は、その一部分において、円形断面、正方形断面、または任意の他の形状の断面を有してもよい。
パール15は、任意の形状のものであってもよく、例えばウィング、チェーンを最適に受けるための中間パーツ、または第2のスロットを備えてもよい。パール15は、例えば接合によって既知の装着手段を使用して歯11に対して装着される。
本開示によるパールの第1の実施形態が、図3Aおよび図3Bに示され、本開示によるパールの第2の実施形態が、図4Aおよび図4Bに示される。第2の実施形態は、鋭角隅部を全く備えない、歯と接触状態に置かれる表面の対向側の表面を有する。換言すれば、この表面上には表面の凹凸または粗度が存在しない。したがって、この表面は平滑である。したがって、この表面は、歯11の外見を完全なものにするように形状設定される。
さらに、この表面は、ドーム形状を有する。例えば図4Cに示すように、この表面は凸状である。この表面が凸状であることは、多少なりとも目立ち得る。
図4Cおよび図4Dを参照すると、コネクタ27が、パール15およびキャップ24に対して連結される。キャップ24は、前記コネクタ27およびアーム25を備えてもよい。
図4Eは、すべてが舌側11Bにおいて治療対象の歯11上に配置された、アーム25および弧線すなわちマスタージグ26を有する図4Aにおけるパールの前方斜視図である。かかるマスタージグ26は、円弧形状、豆形状、または任意の他の関連形状を有してもよく、実際には、マスタージグの形状は、治療対象の歯列弓の形状に倣う。
自明ではあるが、全体は、歯11の外方面11Aの側に配置され得る。キャップ24は、歯11上に配置される。この位置において、パール15は歯11上に正確に位置決めされる。
この実施形態では、マスタージグ26は、アーム25の上方に位置するが、歯11の外方面11Aの側において前方に対して装着可能である(または装置が歯11の外方面11A上に配置される場合には、舌側11Bにおいて)。
有利には、パールが配置されることとなる歯によれば、パールの寸法は、2.0mm〜3.0mmの間の幅Wと、3.0mm〜4.0mmの間の長さLとからなる。好ましくは、体積は、2.0mm3(立法ミリメートル)〜25.0mm3の間からなる。したがって、パール15は、歯に対してある特定のコンパクトなサイズを有する。例えば、成人の歯については、パール15は、歯の舌側表面の20%〜99%の間を占める。パールは、解剖学的な、および/または歯と同形的な形状を有し得る。換言すれば、ベースよりも頂部自由端部においてより幅広である歯の場合には、パールの形状もまた、歯のベースに向かってよりも歯の頂部自由端部に向かってより幅広となることが可能である。
さらに、パールは、1g(グラム)〜10gの間の重量を有する。
パール15は、例えばセラミック材料から作製される。セラミックは、歯の中の1つと類似の色を有し、これによりパール15の審美的特性が改善される。さらに、セラミックは、生体適合性を有し、すなわち人体に対する使用に適合性を有する。また、セラミックは、荷重に対する耐性を有する材料であり、これはパール15に対して歯科矯正ワイヤ12により印加される荷重に関してパール15の良好な支承を実現する。しかし、パール15は、生体適合性樹脂などの他の材料から作製されてもよい。
パールのこれらの特定の寸法は、審美的な成果をパールに与える。さらに、ヒトは、自身の歯の上で自身の舌を動かした場合に、歯がその表面に異物のコネクタを備えているという感触を感じない。パールが小さな寸法であることにより、舌は、パールに引っ掛からず、またはパールの上で動かされても擦りむいてしまうことがない。
バージョン(舌側または唇側)に関わらず、装置10は、下顎(下顎骨)または上顎(上顎骨)上に配置され得る。
さらに、バージョンに関わらず、装置10は、下顎骨中の歯11と同数のパール15を、または実際にはより少数のパール15を備え得る。実際に、顎中の歯11のすべてが、必ずしも治療される必要があるとは限らず、この場合には、治療対象の歯上にのみパールを配置することが適切である。そのため、装置10が備え得るパールのすべてが、ある歯から隣接する歯へと連続的に配置されなくてもよい。図2Aおよび図2Bに示す例では、顎は12個の歯11を備えるが、その中の8個のみが治療対象であり、したがって、装置は、8個のパール15のみを備える。この例では、これらのパールは、ある歯から他の歯へと連続した状態にある。例えば、装置は、2個の歯上にのみ配置されてもよいが、上記で開示したように3個以上の歯上に配置可能である。
上述のように歯科矯正装置10の配置を容易にし、関連する歯11上へのパール15のそれぞれの正確な位置決めを確保するために、本開示は、パール15のセットが単体ピースとして製造される配置方法に関する。かかる製造は、3次元プリンティングを利用して行われる。
単体ピースとして製造される歯科矯正装置10では、パール15は、図2Aに示されるようにいかなるエラーの可能性も伴うことなく歯11上に同時に位置決めされ得る。かかる歯科矯正装置10は、例えば生体適合性樹脂などのプラスチック材料から作製される場合に、特に単体ピースとして製造される。歯科矯正装置10が、セラミックなどの他の材料からなる場合には、歯科矯正装置10は、例えばスナップ嵌めなどの装着手段により共に組み付けられた少なくとも2つのパーツにおいて製造され得る。2つのパーツでのかような製造により、使用される材料の品質の最適化が可能となり、したがってコスト削減が可能となる。実際には、セラミック材料は、一般的にはプラスチック材料よりも高額である。さらに、歯科矯正治療で使用される材料(プラスチックおよびセラミック)は、生体適合性を有する必要がある。さらに、少なくとも2つのパーツでの製造は、技術的/経済的理由から適用される場合がある。
さらに、パールは被覆され得る。より厳密には、パール15の外部表面が被覆され得る。実際に、パール15は、技術的理由または経済的理由により金属で製造され、患者の快適性を高めるために表面が平滑材料で被覆され得る。同様に、パール15は、平滑材料から作製することが可能であり、その場合には、スロット18は、ワイヤの挿入を容易にするために、およびワイヤとスロットとの間の摩擦を軽減するために、金属から作製され得る。
平滑材料は、例えばセラミック材料またはプラスチック材料である。
本開示による方法は、舌側装置である図2Aおよび図2Bに示す装置10を参照として説明されるが、唇側バージョン装置10の配置に対しても同様に適用可能である点を理解されたい。
本開示によれば、パール15の同時位置決めは、すべてのパール15がコネクタにより相互連結された単体アセンブリまたは単体デバイス11を使用して実施される。これらのコネクタは、口内への配置前にこれらのパールが相互に対して意図せずに変位されるのを回避させる剛性を有する。この例では、図2Aに示すように、パール15は、ジグ22により相互連結される。ジグ22は、別個のキャップ24を備え得る。これらのキャップ24は、歯11の形状に対して個別に形状設定され得る。さらに、図2Aに示すように、パール15は、弧線により、すなわちジグ22上に設けられたマスタージグ26により相互連結され得る。
これらのコネクタは、ブリッジ機能を有して、1つまたは複数のパール15の間にリンクを形成し得る。これらのブリッジは、パール15の中の1つまたは複数とマスタージグ26との間にリンクを形成し得る。また、ブリッジは、キャップ24の中の1つまたは複数とパール15の中の1つまたは複数との間にリンクを形成し得る。
好ましくは、キャップ24は、歯11の形状に対して個別に形状設定される。それにより、例としては、キャップ24'は、歯11'に対して形状設定されるが、隣接するキャップ24''は、治療対象となる隣接する歯11''に対して形状設定される。
上述のように歯科矯正装置10の配置を容易化し(第1の実施形態または第2の実施形態)、関連する歯11上へのパール15のそれぞれの正確な位置決めを確保するために、少なくとも1つのマーク15'が、歯科矯正システム13上に設けられてもよい。かかるマーク15'は、特にすべての歯が治療されるわけではない場合に、正確な歯上に対する歯科矯正システム13のおよびより厳密には装置10の配置を容易にする。例えば、各パールまたは好ましくは各キャップ24が、マーク15'を備える。パールまたはキャップのそれぞれがマーク15'を備える必要はなく、実際にはパールまたはキャップの一方にのみ1つあれば十分である。例えば、マーク15'は、対応するパールが配置される対象となる歯の番号に対応し得る(図4Dおよび図4Eを参照)。図示する例では、マーク15'は、図4Dに示すように13であってもよく、マーク15'は、図4Eに示すように34であってもよい。
さらに、ジグ22は、キャップ24およびマスタージグ26を備える。単体アセンブリを実現するために、キャップ24は、マスタージグ26により相互連結され得る。マスタージグ26は、アセンブリの剛性が上昇するように剛性を有してもよい。
各キャップ24が、アーム25によりマスタージグ26に対して連結されてもよい。アーム25が存在しない場合には、キャップ24は、図5に示すようにマスタージグ26に対して直接的に連結される。
さらに、歯科矯正システム13がアーム25を有するまたは有さない場合に、キャップ24は、コネクタ27によりパール15に対して連結されてもよい。実際には、各キャップ24は、コネクタ27により対応するパール15に対して連結されてもよい。しかし、複数のパール15が、図5に示すように単一のキャップ24に対して連結され得る。その場合には、共通キャップ24が、対応するコネクタ27によりパール15に対して個別に連結される。
さらに、図5に示すように、歯科矯正システム13は、パール15の個数よりも少ないキャップ24を備えてもよい。実際には、1つのパールが、1つまたは複数のキャップに対して連結可能であり、コネクタの個数は、パールが連結されるキャップの個数に対して適合化される。例えば、図5に示すように、パール15Aは、第1のコネクタ27Bにより第1のキャップ24Aに対して連結され、第2のコネクタ27'Bにより第2のキャップ24Bに対して連結される。その場合には、キャップ24Aは、対応するコネクタ27Aおよび27Bにより2つのパール15Aおよび15Bに対して連結される。さらに、図5に示すように、1つのパールが、パールコネクタ29により隣接する複数のパールに対して連結されてもよい。例えば、パール15'が、パールコネクタ29によりパール15Aおよび15Cに対して連結される。
そのため、例として、キャップ24'は、一方ではマスタージグ26に対して連結され、他方ではパール15'に対して連結される。同様に、キャップ24''は、一方ではマスタージグ26に対して連結され、他方ではパール15''に対して連結される。より具体的には、キャップ24'は、一方では、アーム25'によってマスタージグ26に対して連結され、他方ではコネクタ27'によってパール15'に対して連結される。同様に、キャップ24''は、一方ではアーム25''によってマスタージグ26に対して連結され、他方ではコネクタ27''によってパール15''に対して連結される。しかし、本開示によれば、対応するキャップとパールとの間にアームおよびコネクタを配置する必要はない。実際に、1つまたは複数のパールが、対応するコネクタ27により同一のキャップ24に対して連結されてもよい。
図2Aに示すように装置10が舌側のものである場合には、マスタージグ26は、歯11の外方面11Aの側に位置するが、歯科矯正ワイヤ12は、歯11の内方面11Bの側に位置する。
ジグ22の設計は、装置10の配置の最中に、各パール15が必要な場合に関連する歯11上に正確に位置決めされるようにカスタマイズされる。
ジグ22を使用するために、ならびにしたがってパール15および/または歯科矯正弧線12を正確に位置決めするために、歯科矯正治療のデジタルセットアップが必要となる。このデジタルセットアップは、不正咬合に基づき実施される歯の矯正位置のシミュレーションである。デジタル初期(不正咬合)モデルが、口腔内スキャナの出力から直接的に、または患者の歯のインプリント(例えばシリコーンの)のスキャンから取得される。
このシミュレーションが実施されると、歯の矯正位置が、歯科矯正弧線12およびパール15を正確に設計および位置決めするために使用される。
その後、キャップ24、マスタージグ26、アーム25、およびコネクタ27が、初期位置(すなわち不正咬合)において製造され、それにより、口内において歯科矯正システム13および特に装置10を正確に配置することを可能にするためのジグ22が形成される。
単体ピースとしての製造により、手動による取り扱いに関連する組み立て上のあらゆる問題を解消することが可能となる。
患者の歯11上に装置10を位置決めするために、本開示による方法は、複数のパール15を同時に配置することからなる。この例では、ジグ22は、患者の口内に挿入され、キャップ24がそれぞれの歯11と接触状態になるまで治療対象の顎(下顎または上顎)の歯のより近くへ移動される。このとき、パール15は、関連する歯11と接触状態にあり、正確に位置決めされる。
パール15が、装着手段を使用して歯11に対して装着されると、ジグ22がパール15から分離される。例えば、この分離は、パール15とキャップ24との間に配置されたコネクタ27を破壊することにより行われ得る。コネクタの剛性は、一方ではジグ22および特にパール15が共に剛体的に維持され、他方ではコネクタの破壊が容易になるように選択される。かかる破壊は、手動により(すなわち器具を全く用いずに)またはそれ以外により(切断)行われ得る。容易に破壊可能にするために、各リブが、パール付近に脆弱ゾーンを有することが可能であり、かかる破壊可能ゾーンにより、リブからのパールの完全な分離が可能となる。
分離後に、装置10のみが口内に留まり、各パールは、ジグから分離され、関連する歯上の定位置に維持される。
本開示の一実施形態によれば、弧線12は、製造直後にパール15のスロット18内に配置され得る。この配置は、歯科矯正システム13が患者の口内に配置される前に、すなわち製造工場内において行われ得る。その場合に、歯科矯正ワイヤ12は、歯11上にジグ22を位置決めする前に、すなわち歯11上にパール15を配置する前に、各パールのスロットに挿入され得る。この場合に、ジグ22が歯11上に配置され、パール15が装着されると、ジグは、パールから装着解除され、次いで装置10は、口内において正確に配置される。より厳密には、コネクタ27が、パール15から分離される。
本開示の別の実施形態によれば、弧線12は、施術者自身によってパール15のスロット18内に配置され得る。歯科矯正ワイヤ12は、歯11上にジグ22を位置決めした後に、すなわち歯11上に複数のパール15を同時に配置した後に、各パールのスロット18に挿入され得る。この場合に、ジグ22が歯11上に配置され、パール15が装着されると、パール15のスロット18内に歯科矯正ワイヤ12を挿入することが適切となり、次いでジグ22が、パール15から装着解除され得る。次いで、装置10が、口内において正確に配置される。
歯11上にジグ22を位置決めする前に各パール15のスロットにワイヤ12を挿入する場合には、ワイヤ12は、隣接し合うパール間において最短の経路をとる。
これらの2つの異なる技術(ジグ22の位置決め前または位置決め後の挿入)を比較すると、歯科矯正ワイヤ12は、2つの異なる経路をたどることになる。第1の例では、この経路は、最終的に歯11を貫通して進むが、第2の技術ではそうではない。換言すれば、さらなる特徴部を追加する必要がある。補足パーツが、ジグ22に対して追加されることにより、ワイヤ12が正確に駆動されて、したがってジグ22が歯11上に配置されることが可能となる。これらのパーツは、歯11のガイドまたは輪郭のいずれかであってもよく、パール15の装着解除後に除去される。
実際に、オペレータは、実験室内で歯科矯正ワイヤ12を物理的に配置するときに、歯の位置を必ずしも認識しているわけではない。この場合に、歯科矯正ワイヤ12の経路は、歯のジオメトリを考慮しなくてもよい。デバイスが口内において位置決めされなければならなくなった場合に、歯科矯正ワイヤ12は、図6Aにおいてとりわけ破線箇所のゾーンZ内で概略的に示されるように、歯と同一の位置に物理的に到着し得るため挿入を阻止する。歯科矯正ワイヤ12は、「歯を貫通して」進む。
この問題を解消するために、図6Bに示すように、オペレータが歯科矯正ワイヤ12を物理的に上手く位置決めすることを可能にするスカート要素100が、ジグ22上にさらに設けられ得る。かかるスカート要素100により、歯科矯正ワイヤ12は、接合後にジグ22と共に除去されることになるこれらのスカート要素100を迂回することにより歯の周囲を進み得る(図6Bを、特に破線箇所のゾーンZ内を参照)。したがって、デバイスは、口内に正確に挿入され得る。図6Bに示すように、スカート要素100は、コネクタ27に対してリンクされたスカートコネクタ110によりジグ22に対して装着され得る。
歯科矯正ワイヤ12は、患者の歯11が歯並び欠陥を有する初期位置と、患者の歯11の位置が矯正された最終位置との間において変形されるのに適したものである。
本開示によれば、上述した歯科矯正治療以外における装置10の別の使用は、コンテンション治療のためである。かかるコンテンション治療は、一般的には患者の全生涯にわたり行われる。上述のような歯科矯正治療後に、装置が、患者の口から除去されず、今後のいかなる歯の変異も回避するために維持される。
3次元プリンティング用に使用される材料は、UV感受性を有する生体適合性樹脂を含むものであってもよい。3次元プリンティングは、UV投影により層ごとに液体樹脂を重合させる。しかし、セラミックまたは他の種類の材料が、歯科矯正システム13全体または少なくともその一部の3Dプリンティングに対して使用されてもよい。歯科矯正システム13は、単体要素としてまたは個別の要素としてプリントされ得る。個別の要素としてなされる場合には、それらの要素のそれぞれまたは少なくとも1つが、3Dプリンティングによって製造される。さらに、個別の要素として製造される場合に、歯科矯正システム13は、患者の口内に入れられる前に共に組み立てられる。
3次元プリンティングを利用した本開示の一実施形態による製造は、図7Aに示すように、歯科矯正システム13の良好な作製のために支持具200の追加を必要とし得る。図7Bに示すように、これらの支持具200は、プリンティング後には除去される。プリンティング後に、歯科矯正システム13は、イソプロパノール中で洗浄され、さらに超音波槽内に入れられる。次いで、歯科矯正システム13は、特にUV感受性樹脂から作製される場合には、UVで再び硬化されて完全に安定化および固化される。これらの支持具200の除去は、洗浄の前または後に行われ得る。実際に、これらの支持具200の除去は、一般的には製造工場内で、および歯科矯正装置10が患者の口内に入れられる前に行われる。
図8Aおよび図8Bに示すような、3次元プリンティングを利用した本開示の別の実施形態による製造は、図7Aに示す支持具200を用いずに行われてもよい。実際に、その場合に、これらの支持具200は、図8Bに示すようにコネクタ27によって置き換えられる。ジグ22は、製造中にコネクタ27が垂直方向に延在し得るように、図7Aおよび図7Bに示すものよりも大きくてもよい。
次いで、コネクタ27が、製造工場内でまたは施術者自身によってパールから装着解除され得る。これを目的として、コネクタ27は、パールからおよびジグ22から容易にかつ手動により(器具を全く用いずに)装着解除可能である。支持具200を用いないかかる製造は、低品質製品をもたらすことなく可能である。なぜならば、このプリンティングは、使用されない歯科矯正システム13の面22Aから開始されるからであり、換言すれば、この面22Aが粗度の高いおよび凹凸を有するものとなっても、面22Aは正確である必要のないジグ22の面であるため、歯科矯正システム13の品質に対する影響が存在しないからである。コネクタ27は、ジグ22に関して選択される設計に応じて、図8Bに示すようにジグ22から直線状に延在してもよくまたはより複雑なものであってもよい。いずれの場合でも、プリンティング後に、歯科矯正システム13は、イソプロパノール中で洗浄され、さらに超音波槽内に入れられる。次いで、歯科矯正システム13は、特にUV感受性樹脂から作製される場合には、UVで再び硬化されて完全に安定化および固化される。
10 歯科矯正装置、装置
11 歯、単体アセンブリ、単体デバイス
11' 歯
11'' 歯
11A 外方面
11B 内方表面、舌側表面、舌側、内方面
12 弧線、歯科矯正弧線、歯科矯正ワイヤ、ワイヤ
13 歯科矯正システム
14 ベース
15 パール
15' パール、マーク
15'' パール
15A パール
15B パール
16 ブラケット
18 スロット
22 ジグ
22A 面
24 キャップ
24' キャップ
24'' キャップ
24A 第1のキャップ、キャップ
24B 第2のキャップ
25 アーム
25' アーム
25'' アーム
26 マスタージグ
27 コネクタ
27' コネクタ
27'' コネクタ
27A コネクタ
27B 第1のコネクタ、コネクタ
27'B 第2のコネクタ
29 パールコネクタ
100 スカート要素
110 スカートコネクタ
200 支持具
510 歯科矯正装置、装置
511 歯
511A 外方表面、唇側表面
512 歯科矯正ワイヤ
514 ベース
516 ブラケット
518 スロット

Claims (14)

  1. 患者の歯(11)の歯科矯正治療のための歯科矯正システム(13)を製造する方法であって、前記歯科矯正システム(13)は、装置(10)およびジグ(22)を備え、前記装置(10)は、歯科矯正ワイヤ(12)が挿入され得るスロット(18)をそれぞれが備えるパール(15)を備え、前記パール(15)同士は、前記ジグ(22)により相互連結され、前記ジグ(22)は、別個のキャップ(24)を備え、前記キャップ(24)は、歯(11)の形状に対して個別に形状設定される、患者の歯(11)の歯科矯正治療のための歯科矯正システム(13)を製造する方法であって、
    不正咬合モデルに基づき実施される前記歯の矯正位置のシミュレーションを得るために行われる前記歯科矯正治療のデジタルセットアップをするステップと、
    前記パール(15)をデジタル設計し、前記デジタルセットアップにおいて前記パールをデジタル位置決めするステップと、
    プリントするステップであって、前記歯科矯正システム(13)は、3次元プリンティングによって作製される、ステップと
    を含む、方法。
  2. 前記キャップ(24)同士が相互連結される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ジグ(22)は、マスタージグ(26)をさらに備え、前記キャップ(24)同士は、前記マスタージグ(26)により相互連結される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記パール(15)のそれぞれが、前記ジグ(22)から装着解除可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記キャップ(24)は、前記パール(15)に対して連結される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記パール(15)のそれぞれが、前記キャップ(24)から装着解除可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記歯科矯正システム(13)は、少なくとも1つのマーク(15')をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. プリントする前記ステップにて、前記歯科矯正システム(13)は単体ピースとして形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. プリントする前記ステップの前に、デジタル初期不正咬合モデルが、口腔内スキャナの出力から直接的に取得される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. プリントする前記ステップの前に、デジタル初期不正咬合モデルが、前記患者の歯のインプリントのスキャンから取得される、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 弧線(12)が、デジタル設計され、前記デジタルセットアップにおいてデジタル位置決めされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記弧線(12)は、プリント後に、および前記歯科矯正システム(13)が患者の口内に配置される前に、前記パール(15)内に配置される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ジグ(22)は、マスタージグ(26)をさらに備え、前記キャップ(24)同士は、前記マスタージグ(26)により相互連結され、前記キャップ(24)は、コネクタ(27)およびアーム(25)を備え、前記キャップ(24)、前記マスタージグ(26)、前記アーム(25)、および前記コネクタ(27)は、初期位置において製造されることにより前記ジグ(22)を形成する、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記歯科矯正システム(13)は、イソプロパノール中で洗浄され、前記歯科矯正システム(13)は、超音波槽内にさらに浸漬され、次いで前記歯科矯正システム(13)は、UVで再び硬化されて完全に安定化および固化される、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
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