JP2021521393A - フローティングリングシール - Google Patents

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Abstract

本発明は、回転部品上をシールするためのフローティングリングシールに関する。フローティングリングシールは、一体型本体(20)を備え、一体型本体(20)は、径方向内側に向けられた第1の絞り領域(21)と、径方向内側に向けられた第2の絞り領域(22)と、一体型本体(20)の内周に設けられた第1の周方向溝(23)とを備え、第1の溝(23)は、フローティングリングシールの軸方向(X−X)における第1の絞り領域(21)と第2の絞り領域(22)との間に配置される。

Description

本発明は、大幅に軽量化され設計が簡素化された、回転部品、特に回転シャフト上をシールするためのフローティングリングシールに関する。
従来技術による様々な構成のフローティングリングシールが知られている。例えば、フローティングリングシールは高速ポンプのポンプシャフトをシールするために用いられている。フローティングリングシールはシャフト上で浮遊配置とされ、特にシャフトが径方向にたわんだ場合に適切な径方向のたわみに追従可能である。フローティングリングシールの問題は、フローティングリングシールと回転部品の間の永続的なギャップであり、そこで比較的激しい漏れが生じる。このため、通常、複数のフローティングリングシールが直列に配置される。しかしながら、これは、製造上かなりの手間がかかり、特に、シールされるべき部品の軸方向に大きな設置スペースを要し、ポンプなどの設置全長を増加させる。これらは、そのようなポンプ製造業者が可能な限り避けたいものである。
そのため、本発明の目的は、回転部品上をシールするためのフローティングリングシールを提供することであり、このフローティングリングシールは、簡素で廉価な設計で、特に、シールの軸方向の全長を短縮することが可能である。更に、本発明の目的は、本発明に係るフローティングリングシールを備える部品装置を提供することである。
本目的は、請求項1に記載の特徴を有するフローティングリングシール及び請求項9に記載の特徴を有する部品装置により解決されるであろう。それぞれの従属請求項は、本発明の好適な実施形態を示す。
より容易な組み立て/分解に加えて、本発明に係る回転部品上をシールするためのフローティングリングシールは、大きな重量的利点を提供する。本発明によると、フローティングリングシールは、径方向内側に向けられた第1及び第2の絞り領域を有する一体型本体を備える。これらの絞り領域は、本体の内周に設けられた第1の周方向溝により互いに分離されている。溝は、第1及び第2の絞り領域の間に位置する。回転部品側に向けられた2つの絞り領域を備え、回転部品と2つの絞り領域との間に絞りギャップを有する一体型のフローティングリングシールを設計することにより、従来技術の2つの個別のフローティングリングシールと比べて、大きな重量的利点がもたらされる。本発明に係るフローティングリングシールの合計質量は、2つの個別のフローティングリングシールと比べて約40%削減可能である。
好ましくは、第1の絞り領域のフローティングリングシール軸方向の幅は、絞り領域のフローティングリングシール軸方向の第2の幅以下である。これにより、第2の絞り領域の絞り効果が向上し、フローティングリングシールの全体的な漏れが低減される。
間に溝が配置された2つの絞り領域を有する本発明に係る装置の別の大きな利点は、第1の絞り領域を通り第2の絞り領域に向かって流れる漏れ流が溝内で減速され、その後、第2の絞り領域にわたって漏れが大幅に低減されることである。ここで、漏れ流は特に逆流をもたらすことができる。
特に、溝幅は、第1の絞り領域の第1の幅以下、及び/又は、第2の絞り領域の第2の幅以下であることが好ましい。
本発明の他の好ましい実施形態によると、一体型本体は、径方向内側に向けられた第3の絞り領域を更に備える。第3の絞り領域は、第2の絞り領域と直列に配置される。更に、第2の周方向溝が、本体の内周の第2及び第3絞り領域の間に配置される。
一体型本体は、好ましくは、第4の絞り領域を備える。第3の周方向溝が、一体型本体の内周の第3及び第4絞り領域の間に形成される。従って、このようなフローティングリングシールは、4つの絞り領域と3つの周方向溝を備える。
カーボンフローティングリングシールが特に好ましい。フローティングリングシールの一体型設計により、特にカーボンフローティングリングシールとして、製造時の大幅なコスト削減も実現できる。
本発明の他の好ましい実施形態によると、フローティングリングシールは、更にシールリングキャリアを備える。シールリングキャリアは、一体型フローティングリングシールを保持する、分離可能な部品である。シールリングキャリアは、好ましくは、一体型本体の絞り領域の反対側に配置される。
好ましくは、フローティングリングシールはまた、一体型本体又はシールリングキャリア付きの一体型本体を緩く保持する凹部を有する筐体、特にチタン製の筐体を備える。
更に、本発明は、本発明に係るフローティングリングシールと、特にシャフトである回転部品とを備える部品装置に関する。特に、シャフトはポンプシャフト又はコンプレッサシャフトであることが好ましい。
部品装置は、フローティングリングシールの一体型本体の第1の絞り領域と回転部品との間の第1の絞りギャップと、一体型本体の第2の絞り領域と回転部品との間の第2の絞りギャップとを備える。更に好ましくは、これらの絞り領域と回転部品の表面は、第1の絞りギャップ及び/又は第2の絞りギャップのギャップ高さが軸方向に一定に保たれるように設計される。好ましくは、第1の絞りギャップのギャップ高さは、第2の絞りギャップのギャップ高さと等しい。
好ましくは、部品装置は、ポンプ、コンプレッサ又はタービンである。部品装置は、好ましくは、非常に高速で運転される。
以下、フローティングリングシールを備える部品装置の好ましい実施形態の例を、以下の添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略斜視図である。 図3は、本発明の第3の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略斜視図である。
以下に、図1を参照して、本発明の第1の実施形態例に係るフローティングリングシール2を備える部品装置1を詳細に説明する。
図1から分かるように、フローティングリングシール2は、一体型本体20とシールリングキャリア6を備える。シールリングキャリア6は、一体型本体20を保持するようになっている。
一体型本体20は、第1の絞り領域21と第2の絞り領域22とを備える。第1の絞り領域21は、一体型本体20の径方向内側に向けられた領域に位置する。第2の絞り領域22もまた、一体型本体20の径方向内側に向けられた領域に位置する。
図1から分かるように、フローティングリングシール2は、シャフト3上でプロダクト領域10を大気領域11からシールする。第1の絞り領域21とシャフト3の表面との間に第1の絞りギャップ8が形成され、第2の絞り領域22とシャフト3の表面との間に第2の絞りギャップ9が形成される。
フローティングリングシール2の軸方向X−Xにおける第1の絞り領域21と第2の絞り領域22との間には、溝23が配置される。溝23は、一体型本体20の内周の全周にわたって形成される。
軸方向X−Xにおいて、第1の絞り領域21の第1の幅B1は、第2の絞り領域22の第2の幅B2よりも短い。更に、溝23の軸方向X−Xの幅N1は、第1の幅B1及び第2の幅B2よりも短い。
第1の絞りギャップ8の第1ギャップ高さは軸方向X−Xにおいて一定に保たれる。第2の絞りギャップ9の第2ギャップ高さも軸方向X−Xにおいて一定である。好適には、第1及び第2の絞りギャップのギャップ高さは、第2の絞りギャップ9の第2ギャップ高さが第1の絞りギャップ8の第1ギャップ高さと等しくなるように選択される。
フローティングリングシール2は、筐体4の凹部5に位置する。筐体4は、シャフト3の軸方向に組み立て可能である複数の部分から設計されている。図1から分かるように、フローティングリングシール2は、凹部5内に浮遊状態で配置される。これにより、フローティングリングシール2が、動作中に起こり得るシャフト3の径方向のたわみの際にシャフトの動きに追従可能となる。この場合、シャフトの径方向の動きにより、シャフト3と一体型本体20とが短期的に接触することもある。
フローティングリングシール2はまた、自身を本体4内に取り付け可能とするロック機構7を含む。ロック機構7は、ヘッド71を有するボルト70を備える。図1から分かるように、ボルト70はシールリングキャリア6内に位置する。ヘッド71は軸方向X−Xに突出しており、凹部5の側方ノッチ50内に位置する。側方ノッチ50には、フローティングリングシール2が上記のシャフトの径方向のたわみに追従できるように、ヘッド71のための径方向のクリアランスを設ける。これを両方向矢印Aで示す。
筐体4には、フローティングリングシール2を上記の径方向のたわみに対応できるようにするために軸方向X−Xに突出する突起40が形成される。これにより、凹部5において、フローティングリングシールを安全にガイドすることが可能となる。突起40はまた、媒体が絞りギャップ8、9を迂回して、フローティングリングシール2の後ろの経路を通るのを防ぐ。
突起40は、周方向の全周にわたって設けられている。
このようにして、従来技術で以前に使用されていた2つの個別のフローティングリングシールを、フローティングリングシール2に置き換えることができる。特に、約40%までの大幅な軽量化が実現可能となる。更に、フローティングリングシール2の一体型設計により、フローティングリングシール2を交換する必要がある場合に、はるかに容易な組み立て及び分解を可能とする。そのうえ、ロック機構7はシールキャリア6にのみ設けられているので、フローティングリングシールの一体型本体20は、ロック機構を収容するために、脆弱化をもたらす凹みや溝等を組み込むことなく設計することができる。これにより、本体20の重量が更に軽減され、一体型本体20の耐用年数が大幅に延びる。
動作中に、第1の絞りギャップ8を介していくらかの漏れが生じるが、周方向溝23が備わっているため、溝23の領域において漏れの流速は著しく低下する。したがって、大気領域11に向かう第2の絞りギャップ9を通る別の漏れは、再び大幅に減少されるか、又は必要に応じて完全に防止することができる。
溝23の深さは、第1の絞りギャップ8を通って溝23に到達した漏れのうちの少なくとも一部の戻り流Cが溝23の領域において発生するように選択される。これは更に、フローティングリングシールを通る漏れの流速を低下し、第2の絞りギャップ9を通る更なる漏れを最小限に抑える。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る部品装置1を示しており、同じ部品又は動作上同じ部品は同じ符号で示す。
図2から分かるように、部品装置1は、本発明に係る2つの分離したフローティングリングシール2を備える。フローティングリングシール2の基本構造は、第1の実施形態例と同じである。しかしながら、図2から分かるように、これらのフローティングリングシール2は、シャフト3上に互いに鏡映反転で配置される。従って、プロダクト領域10から大気領域11へ向かう方向に合計4つの絞りギャップが設けられる。更に、図2から分かるように、周方向溝41が、筐体4の第1及び第2のフローティングリングシール2の間の領域に設けられる。この周方向溝41において、第1のフローティングリングシール2を介してもたらされた漏れが蓄積して戻り流Cを形成し、第2のフローティングリングシールを介して大気領域11へと生じる漏れを更に低減する。
図3は、本発明の第3の実施形態例に係る部品装置を示す。図3から分かるように、第3の実施形態例のフローティングリングシール2は、第3の絞り領域25を備えており、第1の絞り領域21と第2の絞り領域22との間に設けられた第1の溝23と、第2の絞り領域22と第3の絞り領域25との間に設けられた第2の溝26を有する。第1の実施形態例と同様に、第1の溝23と第2の溝26は、円周方向の全周にわたって設計されている。このようにして、3つの絞り領域を有することにより、プロダクト領域10から大気領域11への漏れを更に低減する一体型本体20が提供される。
1 部品装置
2 フローティングリングシール
3 シャフト
4 筐体
5 凹部
6 シールリングキャリア
7 ロック機構
8 第1の絞りギャップ
9 第2の絞りギャップ
10 プロダクト領域
11 大気領域
20 一体型本体
21 第1の絞り領域
22 第2の絞り領域
23 第1の溝
24 突起
25 第3の絞り領域
26 第2の溝
40 突起
41 溝
50 側方ノッチ
70 ボルト
71 ヘッド
A 両方向矢印
B1 第1の幅
B2 第2の幅
C 戻り流
N1 第1の溝23の溝幅
X−X 軸方向
好ましくは、第1の絞り領域のフローティングリングシール軸方向の第1の幅は、第2の絞り領域のフローティングリングシール軸方向の第2の幅以下である。これにより、第2の絞り領域の絞り効果が向上し、フローティングリングシールの全体的な漏れが低減される。
フローティングリングシール2はまた、自身を筐体4内に取り付け可能とするロック機構7を含む。ロック機構7は、ヘッド71を有するボルト70を備える。図1から分かるように、ボルト70はシールリングキャリア6内に位置する。ヘッド71は軸方向X−Xに突出しており、凹部5の側方ノッチ50内に位置する。側方ノッチ50には、フローティングリングシール2が上記のシャフトの径方向のたわみに追従できるように、ヘッド71のための径方向のクリアランスを設ける。これを両方向矢印Aで示す。
このようにして、従来技術で以前に使用されていた2つの個別のフローティングリングシールを、フローティングリングシール2に置き換えることができる。特に、約40%までの大幅な軽量化が実現可能となる。更に、フローティングリングシール2の一体型設計により、フローティングリングシール2を交換する必要がある場合に、はるかに容易な組み立て及び分解を可能とする。そのうえ、ロック機構7はシールリングキャリア6にのみ設けられているので、フローティングリングシールの一体型本体20は、ロック機構を収容するために、脆弱化をもたらす凹みや溝等を組み込むことなく設計することができる。これにより、本体20の重量が更に軽減され、一体型本体20の耐用年数が大幅に延びる。

Claims (11)

  1. 一体型本体(20)を備え、
    前記一体型本体(20)は、
    径方向内側に向けられた第1の絞り領域(21)と、
    径方向内側に向けられた第2の絞り領域(22)と、
    前記一体型本体(20)の内周に設けられた第1の周方向溝(23)とを備え、
    前記第1の溝(23)は、前記フローティングリングシールの軸方向(X−X)における前記第1の絞り領域(21)と前記第2の絞り領域(22)との間に配置される、回転部品上をシールするためのフローティングリングシール。
  2. 前記第1の絞り領域(21)の第1の幅(B1)は、前記第2の絞り領域(22)の第2の幅(B2)以下である、請求項1に記載のフローティングリングシール。
  3. 前記第1の溝(23)は、前記第1の幅(B1)以下、且つ、前記第2の幅(B2)以下の溝幅(N1)を有する、請求項2に記載のフローティングリングシール。
  4. 前記一体型本体(20)は、径方向内側に向けられた第3の絞り領域(25)を更に備え、
    第2の溝(26)が、前記フローティングリングシールの軸方向(X−X)における前記第3の絞り領域(25)と前記第2の絞り領域(22)との間に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
  5. 前記一体型本体(20)は、カーボンを含む材料からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
  6. 前記一体型本体(20)を担持するシールリングキャリア(6)を更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
  7. 前記シールリングキャリア(6)は、前記一体型本体(20)の前記絞り領域(21、22)の反対側に位置する、請求項6に記載のフローティングリングシール。
  8. 前記一体型本体(20)を浮遊状態で収容するための凹部(5)を含む筐体(4)を更に備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のフローティングリングシール(2)を少なくとも1つと、
    回転部品(3)とを備える部品装置。
  10. 前記第1の絞り領域(21)と前記回転部品(3)の表面との間の第1の絞りギャップ(8)の第1のギャップ高さは一定に保たれ、及び/又は、前記第2の絞り領域(22)と前記回転部品(3)の前記表面との間の第2の絞りギャップ(9)の第2のギャップ高さは一定に保たれている、請求項9に記載の部品装置。
  11. 前記第1のギャップ高さは前記第2のギャップ高さと等しい、請求項10に記載の部品装置。
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