「例示的」なる用語は、本明細書において、「例、事例または実例として役立つ」という意味を有するものとして使用される。本明細書中に「例示的」として記載されているいずれの実施形態も、必ずしも、他の実施形態に比べて好ましいまたは有利であるとみなされるべきものとはかぎらない。
外科手術の技術における改善は増々、手技の侵襲性の削減に関するものとなっている。詳細には、外科医は可能な場合には常に、「侵襲性が最小である」手技(すなわち切開が特定のサイズに制限されることを意味する)を行なおうと努めている。しかしながら、そのほぼ全体を非常に小さな切開部位を介して行なうことのできる多くの外科手術では、結局、小さい切開部位を介して行なうことが非常に困難である最終ステップが求められることになる。この最終ステップとは、切除された組織の摘出である。例えば子宮全体、腎臓の大部分または癌性腫瘍などの大きな組織部分の摘出は、多くのロジスティック上の課題を創り出す。本開示全体を通して参照指示されている先行の開示は、まだ患者の体内にある間に検体内部のこれらの大きな組織部片を切片化するためのさまざまな装置、システムおよび方法について説明している。現在のアプローチは、小さな切開部位を通して1つずつ引出すことができるのに充分なほどに小さい部片に組織を切片化することを可能にする。
いくつかの因子により、このプロセスは、時間がかかり困難で面倒、かつ/または患者にリスクをもたらすものになっている。例えば、組織の一部分が石灰化している場合、現在利用可能な切断装置では、その部分を通って切裂くのに長時間かかる可能性がある。このような場合、組織を検体バッグの頂部近くにもっていき、組織が抜出されるにつれてそれを切断するステップに一時間以上かかる可能性があり、その部域内で多くの人手とツールが必要とされるかもしれない。組織および検体バッグを過度に操作し処理しなければならない場合、バッグの開口部が滑って切開部位内に戻る可能性がある。組織検体が癌性腫瘍である場合、このような検体は、こぼれて患者の体内に癌細胞をまき散らす液体を含んでいることが多いため、これは患者にとって極めて高いリスクとなり得る。本開示は、検体バッグ内部で組織検体を切片化する容易さ、安全性および効率を改善する装置、システムおよび方法を提供する。
既存の検体バッグまたは収納構成要素システムの1つのタイプは、トロカールまたは切開部位を通って挿入され次に患者の体内にひとたび入った時点で開放され得るような形で外科医、外科医助手および/または手術室看護婦により巻かれるかまたは折畳まれる可撓性材料である。このタイプのシステムにおいては、外科医はまず、摘出すべき組織を切除し、次にバッグ開口部を腹腔鏡ツールで操作して組織検体をバッグ内部に置く。組織の捕捉後、バッグ開口部は腹腔鏡捕捉器具で上昇させられて切開部位から外に導かれ、外科医により手でまたはケリー鉗子または留め金を加えて外部でしっかり固定される。
これらのタイプの検体バッグのいくつかは、バッグ開口部を完全開放位置へと付勢された状態に保つためバッグの頂部に形成されたまたは取付けられたポリマリングを包含している。このポリマリングは、露出させられたバッグを開放状態で適切な場所に保つのを助けて、それが患者の腹膜または他の外科的部位内へと落下して戻ることがないようにすることができる。
検体バッグまたは収納構成要素システムの別の一般的なタイプは、トロカールまたは切開部位を通って腹膜内へと挿入するためのカニューレまたは管腔の内部に典型的に設置されるバッグを使用し、検体バッグは、カニューレを超えて前進させられて開口部にアクセスする。
多くの検体バッグシステムが、組織検体をバッグ内部に置く上で外科医を補助するためバッグ開口部を伸張位置へと付勢するための機械的手段を使用する。このようなシステムは、ばねの付勢によって、カニューレの外部にある場合に検体バッグの頂部が開放されるような形で、検体バッグの頂部に取付けられたばねの付勢を伴う成形金属リングを含み得る。このタイプの金属リングを使用するシステムの大部分が、同様に、露出のためにバッグ開口部を閉鎖するための引紐として、紐または縫合材料をも包含する。これらの装置において、紐は患者の体の外部にとどまり、バッグを封止するために引張られ得る。この紐は、カニューレ内に金属リングが引込まれて戻る間、開口部を閉鎖し、バッグをカニューレおよび金属リングから解放された状態に残し、かつ同様に、カニューレおよび金属リングが引抜かれた後、切開部位内にバッグを残す。その後、外科医は紐を用いて、切開部位を通ってバッグ開口部を引張ることができる。他のシステムでは、バッグ開口部を閉鎖しそうしながらバッグを金属リングから引裂させ、バッグを金属リングおよびカニューレから解放された状態に残す引紐として、紐または縫合材料が使用される。紐はその後、切開部位を通してバッグ開口部を回収するために使用される。
前述の通り、現在利用可能な検体回収袋は、外科医が検体バッグを詰め込み、その後露出させる間、組織を収納するように設計されている。以上で言及し組込まれている特許中に記載の組織検体摘出システムは、ワイヤ、リターン電極および他の構成要素を含む組織切片化装置を利用する。本開示の組織検体摘出システムは、さまざまな組織切片化装置構成要素(例えば切片化用ワイヤおよびリターン電極)を統合し、さらに1つ以上の「コネクタ」を含むことができる。「組織切片化装置構成要素」または単に「切片化用構成要素」なる用語は、物理的に組織を切断するように構成された任意のタイプの切断用装置を意味する。多くの場合、これらの切片化用構成要素は、機械力によってまたはRFエネルギの支援を得て、あるいはこの2つの組合せを用いて組織内を通って引き寄せられることにより組織を切断する個別のワイヤまたはワイヤループを含む。しかしながら、本明細書中に記載のいずれの切片化用構成要素も、以上で組込まれている特許の各々の中で参照指示されているもの、本開示全体にわたり参照指示されているいずれか、または公知のまたは今後創出されるべき他のあらゆるタイプの組織切断装置を含むことができる。多くの実施形態において、これらの切片化用構成要素は、患者の体内で展開される前に、本開示の検体バッグ内に統合され得る。統合型切片化用構成要素(例えば切片化用ワイヤループ)を有するこのような検体バッグの例が、本開示の以下の部分で説明される。
「コネクタ」なる用語は、1つ以上のコネクタピンを含むコネクタハウジング、または個別のコネクタピン自体のいずれかを意味する。「コネクタピン」は、「コネクタ部分」と呼ばれる場合もある。これらのコネクタは、一方の端部で検体バッグ内部の切片化用構成要素に取付けられる。コネクタは、切片化装置の別個の部分を後日連結できるようにするように構成されている。組織切片化装置構成要素とこの別個の連結可能部分との間の区別および言及を容易にするため、この別個の連結可能部分は、本明細書において、「連結可能(組織切片化)機器」または「連結可能機器の部品」と呼ぶことができる。例えば、連結可能機器は、組織を通して引き寄せるための準備として組織検体に対抗して切片化用構成要素(切断用装置)に張力付与するように構成された張力付与メカニズムアセンブリであり得る。連結可能機器は、複数の実施形態において、切片化用構成要素に求められる力およびRFエネルギを印加し、RF発電機にリターン電流を戻すことができる。したがって、コネクタ、切片化ワイヤおよびリターン電極を統合する本開示の検体バッグは、組織の切片化ステップが、バッグと統合されていないまたはバッグに連結されていない別個のツールを用いて外科医によって行なわれることから受動的検体回収袋の利用分野には必要とされない追加の構成要素を有する。
連結可能組織切片化機器と連結可能である検体摘出バッグを含む本開示の装置において、コネクタと結び付けられた構成要素は、組織の詰め込みのために必要とされず、露出中にも必要とされない。本開示の装置およびシステムがこれらのコネクタを含んでいるのは、組織切片化機器を連結するための1つ以上のメカニズム(すなわちコネクタ)を組織検体収集バッグ自体の中に統合することが極めて有利であるからである。詳細には、収集された組織を検体バッグの内部に保持しながら切片化する必要がある場合、連結可能組織切片化機器(例えばRF電源式張力付与装置)に対して切片化用構成要素(例えば切片化ワイヤまたは他の切断用装置)を迅速かつ容易に連結できることは、外科医にとって有利であり得る。切片化用構成要素を迅速にアクティブ化し使用できることで、組織の可動化の後の極めて重要な瞬間において貴重な時間を節約することができる。実施形態において、切片化用構成要素は、バッグと統合された複数のワイヤループを含む。これらの切片化用ワイヤの端部を管理し邪魔にならない所に置き、ひとたび必要となった時点で直ちにアクセスできるようにしておくことが、極めて望ましい。これにより、追加の器具を回収するのに費やされる時間が削減され、機器を何度も脱着することに付随するリスクが削減される。したがって、本開示の統合型コネクタシステムは、複数の利便性および利点を提供する。しかしながら、組織の詰め込みおよび露出の間、コネクタおよびリターン電極部分は保護されていなければならない。
本開示は、検体バッグおよび統合型コネクタキャリヤを利用する組織検体摘出のための装置、システムおよび方法を提供する。まず図1−Aを参照すると、検体バッグおよびコネクタキャリヤアセンブリ10100が示されている。検体バッグおよびコネクタキャリヤアセンブリ10100は、図示された実施形態において統合されていることから、これを単に「検体バッグアセンブリ」と呼ぶことができる。検体バッグアセンブリは、バッグ開口部に取付けることのできる可撓性リング10102を伴う検体バッグ10101を含む。図示された実施形態における可撓性リング10102は、可撓性を有しばね様の品質を有するのに充分な薄さの金属で製造されてよい。図示されている実施形態において、可撓性リング10102は、遠位端部で可撓性部材10103と結合され近位端部10104でしっかりと保持されている2つの別個のばねアーム10107Aおよび10107Bを含む。可撓性リングがより多くのまたはより少ない別個の構成要素を含み得ることが企図される。例えばそれは単一の可撓性リングでもあり得、あるいはより多くの分離可能な部品でもあり得る。図示されてはいないが、検体バッグ10101は、その壁の内部にまたはその壁に隣接して、複数の切片化用構成要素を含み得る。
検体バッグ10101とカニューレアセンブリ(図1−Aには示さず)との間の中間の場所に、コネクタキャリヤ10105が示されている。コネクタキャリヤ10105は、切片化機器に取付けられるように構成されたコネクタを保持すること、バッグ開口部を開閉するために可撓性リング10102に沿って走行するためのガイドを提供すること、リターン電極10108がバッグから離れるように外に伸張するためのチャネルを提供して、リターン電極ケーブル10108をアセンブリの近位端部にしっかり固定し、リターン電極ケーブル0108を引張ることで印加され得る力を解放し、かつ外側管の最遠位位置に機械的アンカーを提供するべくカニューレまたは外側管と統合され得るロックを提供することを含めた、後続図中で示され説明されている複数の機能を果たす。リターン電極10108は、切片化機器がRF電源による出力を受けている実施形態において、切片化機器の部品に差込まれるように構成され得る。このような実施形態では、検体バッグ10101内部の導電性材料に取付けられ得るリターン電極10108は、検体バッグ10101内部の切片化用構成要素(例えばワイヤループ)および切片化機器によって創出される回路を完成させることができる。RF電源型切片化装置の実施形態が、本開示全体を通して示され説明される。
図1−Bは、製造中にコネクタキャリヤ10105(図1−Aより;図1−Bには図示せず)を中に詰め込みできるカニューレアセンブリ10201を示す。コネクタキャリヤ10105は、機械的アンカー10802に近接近して位置付けされ得る。カニューレアセンブリ10201は、近位内側管および取っ手アセンブリ10206(本明細書中では「内側管」、「取っ手」または「内側管取っ手」とも呼ばれる)、および遠位外側カニューレ部分10203(「外側壁」とも呼ばれる)を含み得る。内側管取っ手は同様に、近位端部グリップ10204も含み得る。製造中、検体バッグ10101(図1−Aより。図1−B中には図示せず)は巻かれて、遠位外側カニューレ部分10203の内部に位置付けされ得る。カニューレアセンブリ10201が切開部位を通って挿入された後、内側管10206を外側管10203内に押し込む内側管取っ手10206を前進させることによって、外科手術対象の体内に検体バッグ10101を前進させることができる。医療用グリップ部分10202が、完全伸張位置と完全包囲位置の間の任意の位置に配置され得るような形で内側管10201と外側管10203を取付けることができる。すなわち、管は、端部同士接して、または外側管内に内側管を入れて、またはその間の任意の位置に配置されてよい。
バッグ10101が前進すると、可撓性リング10102は、可撓性リング10102が外側管10203の遠位縁部10205を超えて伸張するにつれてバッグを開放し始める。後続図中で示され説明されるように、コネクタキャリヤ10105が遠位縁部10205に到達するにつれて、コネクタキャリヤ10105の頂部部分内に統合された機械的アンカー10802が外側管10203内の開口部10207(本明細書中では「固定用開口部」とも呼ばれる)とインタフェースして、それをカニューレアセンブリ10201内部の位置にしっかり固定することができる。機械的アンカー10802は、開口部10207に到達し突出して、外側管10203の内部でその位置にコネクタキャリヤ10105をしっかり固定するまで、カニューレアセンブリ10201の内部の押下げられた位置にとどまるばね式戻り止めメカニズムとして実装され得る。
コネクタキャリヤ10105の機械的アンカー10802が外側管固定用開口部10207内にしっかり固定された時点で、ユーザは、内側管取っ手10206を前進させるかまたは引込むことにより、バッグの開閉を制御することができる。連結金具10405(図1−Hにより明確に示されている)が可撓性リング10102に取付けられ、内側管および取っ手10206によって移動させられる。連結金具10405の運動により、バッグを保持する可撓性リング10102はコネクタキャリヤ10105の側面の周りを摺動させられる。したがって、可撓性リング10102は拘束解除され、完全に開放したバッグ位置に到達するかまたは、バッグ開口部が外側管10203およびコネクタキャリヤ10105の遠位縁部10205に接して閉鎖または束ねられるような形で引込まれ得る。バッグは可撓性リング10102の運動に基づいて開閉できるものの、コネクタキャリヤ10105は、外科的部位内の体液、組織および他の生体材料に対する曝露から保護された状態で、外側管10203の内部にとどまることができる。
図1−Cに示されているように、コネクタキャリヤ機械的アンカー10802は、外側管10203との関係においてしっかり固定されているが、一方、外側管10203に対し遠位であるバッグアセンブリの部分は、開放した状態にとどまる。図1−Cは、内側管10206が大部分外側管10203の内部に位置されるような形で全体に押し込まれている内側管10206を示す。検体バッグ10101および可撓性リング10102(ここでは描かれていないが)は、結果として、完全に外側管10203から外に押し出されている。ここでは、検体バッグ10101の頂部に、可撓性リング10102を検体バッグ10101に取付ける複数の可撓性ループ10310が含まれていることを示すために、可撓性リング10102は描かれていない。可撓性ループ10310を共に束ねることが可能であり(すなわち当初カニューレアセンブリ10201内で巻き取られているとき、または可撓性リング10102がカニューレアセンブリ10201内に引き戻されたとき)、あるいは、可撓性リング10102が前進させられたときにはこれらのループをばらばらに広げ、バッグの頂部を開放状態に保つことが可能である。
しかしながら、図1−Cに示されているように、コネクタキャリヤ10105は、機械的アンカー10802および固定用開口部10207によってしっかり固定されて、外側管10203の内部にとどまる。このようにして、組織切片化構成要素および連結可能機器のコネクタは、コネクタキャリヤ10105の内部容積内にしっかり固定され、可撓性リングの走行から保護される。可撓性リング10102は、取っ手10204の前進および引込みの間、後続図で示され説明されている通り、コネクタキャリヤ10105の側面に沿って走行する。さらに、リターン電極ケーブル10108(図1−Mおよび1−N中に図示)が、取っ手10206の内部切欠きの内部に設置され、こうして、リターン電極ケーブルは、バッグの前進および引込みの間保護されるようになっている。
この実施形態において、組織は、ひとたびバッグが開放した時点で、すなわちひとたび取っ手10206が順方向に前進させられ、機械的アンカー10802にコネクタキャリヤ10105をしっかり固定させ、バッグ開口部が未拘束可撓性リング10102によって開放された時点で詰め込まれる。組織が外科医によってバッグ内に詰め込みされた後、取っ手10206は完全に引込められて、連結金具10406および内側管取っ手10206を用いて可撓性リング10102を外側管10203内に引戻すことができる。可撓性リング10102は、コネクタキャリヤハウジング10105に沿って、かつ外側管10203内に戻るように引込む。
この位置において、開放したバッグ状に広げられて今や組織検体を収納する検体バッグ10101を構成する材料は、このとき外側管10203内に引戻すには大きくなりすぎている。したがって、可撓性ループ10310は、遠位縁部10205に接して束ねられ、バッグ開口部を外側管10203の遠位縁部10205に接して閉鎖させる。これにより、外科医は、バッグが閉鎖された状態で、切開部位から外に外側管10203を引出すことができる。このとき、閉鎖され束ねられたバッグ開口部は、切開部位を通って容易に摺動することができる。バッグおよびその開口部が完全に露出された後、可撓性リング10102がバッグを再度開放するまで内側管取っ手10206を再度前進させることができる。開放した可撓性リング10102は、幾分か剛性の円を形成することから、切開部の上を転動したり、切開から離れるように摺動したり、切開内に戻り落ちることなく、ちょうど切開部位の外側で患者の腹部の外部表面上にカニューレおよび検体バッグを留めることができる。換言すると、バッグ開口部が一旦完全に露出された時点で、開放した可撓性リング10102がバッグを所定の場所に保ち、こうして外科医または外科医助手は、所定の場所にしっかり固定するためにバッグを保持するかまたはケリー鉗子を追加する必要がない。検体バッグの詰め込まれた部分は、患者の体内にとどまり、したがって、外科医は、患者の体内にある間にバッグの内部の組織の追加の切片化を行ない、こうして組織が切開部位を通過するのに充分小さい部分へと切片化され得るようにすることができる。検体バッグ開口部およびカニューレアセンブリを迅速かつ安全に据え置くことの1つのメリットは、外科医が、外科手術の重要な瞬間の間に時間を節約でき、かつ回収する器具の数をより少なくできるという点にある。
バッグの露出が完了した後、外側管10203および取っ手10206(すなわちカニューレアセンブリ10201全体)を検体バッグアセンブリ10101から除去することができる。この離脱は、コネクタキャリヤ機械的アンカー10802が外側管10203の固定用開口部10207内へ係止する位置を超えて取っ手10206を前進させることによって行なわれ得る。この管の前進の実施は、開口部10207から機械的アンカー10802を解除することによって実装され得る。これは、非限定的に以下の記述されている実施形態を含めた多くの方法で行なうことができる。例えば、機械的アンカーがばね式戻り止めである実施形態においては、取っ手10206を前進させている間、手でばねを押し下げればよい。取っ手10206は、製造および出荷中は取っ手10206内に挿入されている機械的ストッパ10305を近位グリップ部分10204の近くに含み、これにより、機械的アンカー10802を外側管10203内にしっかり固定する場所に取っ手10206の前進を制限することができる。機械的ストッパ10305は、ユーザによって取外しされ得、取っ手を前進させ、外側管を機械的アンカーから解除することができる。
別の実施形態は、機械的アンカーを押し下げてこれにより機械的アンカーを外側管固定用開口部10207から解除し、外側管10203の離脱を可能にする位置まで取っ手10206を前進させることを可能にするレバーに結合された制御機構を有すると考えられる外側管10203の形に設計されたメカニズムを含み得る。
別の実施形態においては、取っ手10206を回転できるようにして機械的アンカー10802特徴部を解除する半径方向に機械的アンカー10802を移動させてそれを外側管10203から解除する制御機構を提供することができる。これにより、取っ手10206の前進が可能となり、外側管10203を離脱することができる。当業者であれば、外側管10203の任意の固定用特徴部との関係において任意のタイプのラッチ特徴部を維持するために必要とされる力を高めるかまたはこれを克服する制御またはアクションを取っ手または別の構成要素に対してユーザが加えることができるようにするべく設計され得る他のメカニズムを想定することができる。
図1−Dは、外側管10203内の固定用特徴部の場所を超えてコネクタキャリヤ10105が前進した直後の検体バッグおよびカニューレアセンブリ10201を示す。この位置において、内側管取っ手10206と可撓性リングガイド10406の間の連結金具10405およびコネクタ10401は、曝露されている。これらの構成要素各々の実施形態は、図1−H中により明確に示されている。図示されている連結金具メカニズム10405は、カニューレアセンブリ10202を連結金具10405との関係において上昇させて離脱をひき起こすことができるようにする単純な結合である。
手短に図1−Nを見てみると、説明された離脱を実装し得る連結金具10405の一実施形態が示されている。内側管10206と連結金具10405の間の界面点がひとたび、外側管10203の遠位端部を通過して伸張した時点で、この接合部は分離することができる。これらの(今や曝露された)部分を分離するためには、ユーザはまず内側管10206(これはなおも外側管10203に取付けられている可能性がある)上で持ち上げ、その後連結金具10405上で下向きに引張ることができる。これによって、バッグアセンブリ(バッグ10101、可撓性リング10102、コネクタキャリヤ10105、連結金具10405、およびリターン電極ケーブル10108を含む)は完全にカニューレアセンブリ10201から分離できることになる。すなわち、カニューレアセンブリ10201を離脱させて、検体が詰め込まれたバッグの下部部分を患者の体内に残し、バッグおよびコネクタキャリヤアセンブリ10105の開口部を患者の切開の外側に残すことができる。
当業者であれば、外側管10203から外に伸張された場合の結合解除を可能にする、外側管10203内にありながらの可撓性リングガイド10406に対する内側管取っ手10206の結合を創出するための他の方法を容易に想定することができる。
カニューレアセンブリ10201が検体バッグアセンブリから離脱された場合、リターン電極ケーブル10108を内側管取っ手10206の内部切欠きから外に引出して、それ(バッグとケーブル)を患者の外部腹部表面上に残すことができる。このようにして、カニューレアセンブリ10201の取外しの後、外科医は、後続する切片化プロセスに対する外科医の焦点をカニューレアセンブリ10201に邪魔させることなく、後続する切片化ステップのために自由にコネクタおよびリターン電極ケーブル10108の連結にアクセスすることができる。
図1−Eは、コネクタハウジング10520を一時的に保持するように構成されているコネクタキャリヤ10105を示す。図1−Fに拡大図で示されているコネクタハウジング10520は、1つ以上のタイプの組織切片化機器を連結するように構成されている。コネクタハウジング10520は、検体バッグアセンブリ10100がバッグ内部のさまざまなタイプの組織切片化構成要素と統合され得るような形で、コネクタキャリヤ10105内に収納される。図示された実施形態において、コネクタハウジング10520は、組織切片化のための特定の1つのタイプの切断装置である複数のワイヤループ10601を管理する。ワイヤループは、米国特許第9,649,147号明細書および第9,522,034号明細書に示され説明されているものによって実装され得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他のあらゆるタイプの切断装置を使用することができる。
コネクタハウジング10502は、コネクタピン10603が一方向にのみ抜出る(すなわちバッグから離れるように上方に抜出て、こうしてワイヤまたは他の切断装置を切断対象組織の方向に引張る)ことができるような形で構成され得る。これらのコネクタピンは、複数のワイヤループ10601(または他のあらゆるタイプの切断装置)を追加の組織切片化機器に連結できるようにする。組織切片化機器の例示的タイプは、図13および14を参照して示され説明されているものなどの張力付与メカニズムアセンブリを含み得る。
図示されたコネクタは、コネクタに対する下向きの押圧運動を介して張力付与メカニズムアセンブリに対して容易に連結可能である。その後、張力付与メカニズムアセンブリをコネクタキャリヤ10105から離れるように上向きに引張り、コネクタハウジング10520を離脱させることができる。その後、外科医は、検体の上方で、検体バッグ10101の中心開口部の直上の位置まで張力付与メカニズムアセンブリを移動させ、張力付与メカニズムアセンブリ上のボタンを押して切片化用構成要素(例えばワイヤループ)に張力付与することができる。換言すると、ワイヤを組織検体に対して緊張状態に引張ることができる。コネクタピン10603は、互いに独立して移動できることから、ワイヤを奇妙な形をした組織検体に対して緊張状態に引張ることができる。すなわち、特定のワイヤが接触している組織検体の形状に基づいて他のものに比べていくつかのコネクタピンおよびワイヤをさらに張力付与メカニズムアセンブリ内へと引上げることが可能である。
コネクタハウジング10502の目的は、ユーザが1回の差込みステップで全ての個別の連結を差込みできるように、複数の(この実施形態では4つの)個別の連結点(この実施形態ではワイヤループの)を保持することにある。他の実施形態では、より多くの連結点を有する機器への連結を容易にするために、1つのコネクタハウジングにつきより多くのコネクタピン(例えば6個、8個または10個)が存在してよい。同様に、図示されている2つよりも多いコネクタハウジング10502が存在する可能性もある。コネクタピンは同様に、異なるタイプの機器と結合するため異なる形状で構成され得る。
各々の個別のコネクタピン10603は、コネクタハウジング10502から離れるように個別に独立して引張るように構成されている。したがって、コネクタピン10603の各々は、連結された切断装置を動作させるために、必要な場合には別個に操作され得る。所望される場合、コネクタピン10603は、ワイヤループでの組織の切断または手作業での鋸切断を容易にするため、手で引張られるかまたは移動させられる可能性がある。換言すると、コネクタピン10603は、異なるタイプの組織切片化機器に取付けられるようにまたはどんな組織切片化機器にも全く取付けられないように構成され得る。
例示された実施形態の中で示されている通りの検体バッグおよびカニューレアセンブリは、後続図において説明されるように、切片化ワイヤに対するRFエネルギの付加により補助される機器の使用を可能にするリターン電極ケーブル10108を有する。リターン電極ケーブル10108は、RF切片化機器の中に差込まれ得る。しかしながら、これらのワイヤを用いた組織検体の切片化メカニズムは、その中での機械的効果、電気的効果またはあらゆる組合せ効果によって達成可能である。
示された実施形態において、コネクタハウジング10520は、張力付与メカニズムアセンブリに対する連結のために以前に利用可能であったメカニズムに比べて、効率の良いステップまたは他の形で削減された数のステップで、張力付与メカニズムアセンブリに対して複数のワイヤループを連結する。しかしながら、コネクタハウジング10520およびコネクタピン10603は、あらゆるタイプのマルチピン差込み装置に連結するために使用可能である。代替的には、機械的、電気的または他の機器を切断装置に連結するためにコネクタピン10603を使用することができる。示されている特定のコネクタハウジング10520の構造は、クリック音によって、適正な連結が行なわれたという信頼性をユーザが得られるようにすることができるという利点を有する。これは同様に、検体バッグの内部に統合された複数のワイヤループまたは他の複雑な切片化構成要素の管理、および切片化機器に対するその連結を1回のステップで可能にする。
コネクタハウジング10520の保持管理および抜出しを容易にするために、張力付与メカニズムアセンブリの連結およびコネクタキャリヤ10105からの取外しのためのより容易な位置を提供するようにハウジングが回転(または移動)させられるような時点までハウジングが所定の場所に保持されるような形で、コネクタキャリヤ10105およびコネクタハウジング10520に対して特徴部を追加することができる。
図1−Hおよび図1−Iは、コネクタハウジング10520を間で回転させることのできる2つの位置にあるコネクタハウジング10520の1つを示す。図1−Hでは、コネクタハウジング10520は、コネクタハウジング10520の保管と保護を助ける平担な位置にあり、図1−Iでは、コネクタハウジング10520は、直立位置にある。コネクタハウジング10520がその直立位置に回転(移動)させられた場合、これらのハウジングは容易に張力付与メカニズムアセンブリに連結され得、一時的にコネクタハウジングを保持していたコネクタキャリヤ10520から容易に移動され得る。コネクタハウジング10520は、ひとたび切片化機器に取付けられると、コネクタキャリヤ10105から離れるように引張られ得る。示された実施形態において、コネクタハウジング10520は、離れるように引張られたとき、切片化用ワイヤループを曝露することができ、このワイヤループは次に、組織切片化を行なう目的で検体バッグ内に設置され得る。
図1−Fおよび図1−Gに戻って参照すると、複数のコネクタピン10603が、複数のワイヤループ10601をカバーし、コネクタハウジング10520から個別に取外し可能である。示された実施形態において、これらのコネクタピン10603自体は、ワイヤまたは検体バッグ10101内部の他の切片化構成要素から、図13および14を参照して示され説明されるものなどの張力付与メカニズムアセンブリまでの物理的連結を提供する。
多くの実施形態において、コネクタキャリヤ10105からコネクタハウジング10520全体を解除できることが必要であり得る。例えば、切片化機器の連結およびその後のその使用には、検体バッグの開口部の中心上に切片化機器を位置付けすることが必要とされ得る。図1−Iは、この解除を達成する保持および解除メカニズム10901を示す。コネクタキャリヤ10105の一部である保持および解除メカニズム10901は、ラッチ、所定の場所にスナップ留めまたは係止するように構成された2つの部品間の機械的付勢または張力、または当該技術分野において公知の他のあらゆるラッチメカニズムによって実装され得る。示された実施形態において、コネクタハウジングの材料と保持および解除メカニズム10901の形状との間の張力は、保持および解除メカニズム10901からコネクタハウジング10520を取外すための手による引張りの物理的力によって達成され得る。
必要な場合、コネクタハウジング10105を、その直立位置(張力付与メカニズムに対する取付け用)からその折畳み位置(コネクタキャリヤ10105内部の保持用)まで戻すことができる。他の実施形態においては、コネクタハウジング10520の回転を容易にするため、本明細書中で「プルタブおよびカートリッジメカニズム」と呼ばれている追加の特徴部を実装することができる。プルタブおよびカートリッジメカニズム11001は、図1−Kに示されており、プルタブ11002とカートリッジ11003を含む。カートリッジ11003は、コネクタハウジング10520および/またはコネクタ10603の一部分の上に位置付けされ得る。カートリッジ11003は、製造中、図1−K中に示された構成で位置付けされ得る。プルタブ11002は、図1−Lで示されている直立位置へとコネクタハウジング10520を回転させるために、矢印で示された方向に引張られ得る。
カートリッジ11003およびコネクタハウジング10520がひとたび直立になると、ユーザは、描かれた矢印の方向におよび/または上向きにプルタブ11002を引張り続けることができ、これにより、カートリッジ11002はコネクタハウジング10520から離脱させられる。コネクタハウジング10520からカートリッジ11003を取外すのに必要な力は、コネクタハウジング10520の偶発的な取外しを防止する目的で、コネクタキャリヤ10105からコネクタハウジング10520を完全に取外すのに必要とされるものよりも小さいことが企図されている。実施形態において、プルタブ11002は、組織の詰め込み中に検体バッグ10101の内部を一時的にライニングする保護障壁に取付けられ得る。保護障壁は、開放したシリンダを形成する可撓性で、コーティングされ、かつ/または滑りやすい材料であり得る。この保護障壁の目的は、組織検体が詰め込まれたときに、検体バッグ10101の内部のワイヤまたは他の切片化構成要素が移動しないように保護することにある。しかしながら、切片化が始まる前に、切片化プロセスを妨げないように、保護障壁を除去することが可能である。プルタブ11002は、1つのステップでコネクタハウジングを回転させると同時に保護障壁を除去するための迅速かつ便利な方法を提供する。
図1−Kおよび1−Lは、連結および/または張力付与のためにコネクタハウジングを準備するステップを示す。コネクタハウジングが直立位置にある状態で、外科医は、ワンステップ差込みプロセスを達成するために切片化機器を(4ピン)コネクタハウジング10502に「突き刺す(stab)」ことができる。コネクタキャリヤ10105内部に保持されていたコネクタハウジング10502をコネクタキャリヤ10105から離れるように引上げることができ、外科医は、組織検体の直上でバッグの開口部の中心の上に切片化機器を設置することができる。切片化機器が、先に説明した張力付与装置である場合、張力付与装置(このとき差込まれている)を一回押すだけで、連結されたピン10603を介してワイヤループ10603の各々が張力付与されることになり、外科医は、RF電源を介してワイヤループの各々を用いて組織検体を細かく分離することができる。
図1−Mは、コネクタキャリヤ10105、連結金具10405および内側管取っ手10206の側面斜視図を示し、図1−Nはその断面を示す。リターン電極ケーブル10108は、カニューレアセンブリ10201からコネクタキャリヤ10105までそして検体バッグ10101内へと走る切欠き10905の内部に保持された状態で示されている。リターン電極ケーブル10108は、組織切片化機器によって送出されるあらゆるRFエネルギを導くため導電性パッドにおいて検体バッグ内部で終端することができる。リターン電極ケーブル10108の他方の端部は、切片化機器の部品内に差込まれて、回路を閉じることができる。
図1−Oは、検体バッグアセンブリ10100およびカニューレアセンブリ10201を、その完全に離脱された構成で示す。
図1−Pは、本開示の方法120000を示す流れ図である。この方法は、ステップ120001で、外科手術患者の切開部位内に組織検体摘出装置のカニューレアセンブリを挿入するステップを含み得る。組織検体摘出装置は、検体バッグ、検体バッグの頂部開口部を形成するように構成された可撓性リングおよびコネクタキャリヤを含み得る。コネクタキャリヤは、1つ以上のコネクタ部分を含む少なくとも1つのコネクタハウジングを保持し、かつコネクタキャリヤの内部に存在するように構成され得る。コネクタキャリヤはさらに、1つ以上のコネクタ部分を含む少なくとも1つのコネクタハウジングを保持するように構成され得る。コネクタキャリヤはさらに、コネクタキャリヤの内部に存在するように構成され得る。カニューレアセンブリは、内側管取っ手部分および外側管部分を含み得る。この方法12001はさらに、カニューレアセンブリの内側管取っ手を前進させて、検体バッグを開放し、コネクタキャリヤをカニューレアセンブリ内部の位置からカニューレアセンブリの外部まで移動させるステップを含み得る。
実施形態において、コネクタキャリヤはさらに機械的アンカーを含むことができ、方法120000は、さらにステップ120003で、機械的アンカーを解除してコネクタキャリヤをカニューレアセンブリ内部の位置から前記カニューレアセンブリの外部まで移動させるステップを含み得る。実施形態において、方法120000は、さらにステップ120004で、患者の切開部位から外に検体バッグの頂部開口部を引張るステップを含み得る。実施形態において、方法120000は、さらにステップ120004で、検体バッグ、可撓性リングおよびコネクタキャリヤからカニューレアセンブリを離脱させるステップを含み得る。実施形態において、方法120000は、さらにステップ120005で、組織切片化機器の少なくとも1つの部品を1つ以上のコネクタ部分に連結するステップを含み得る。実施形態において、方法120000は、さらにステップ120006で、少なくとも1つのコネクタハウジングを直立位置へと回転させるステップを含み得る。実施形態において、方法120000はさらに、ステップ120007で、組織切片化機器の少なくとも1つの部品を用いて組織検体を切片化するステップを含み得る。
(バッグリターンモニター)
モノポーラ電気手術において交互部位熱傷(alternate site burn)を削減する一般的方法は、患者に対するリターンパッド連結の質を検出するために接触品質モニタを使用することにある。この接触品質モニタは、リターンバッド内部の2つの別個のリターン電極間に適用される照会信号としてAC波形を使用する。2つの別個のリターン電極間で結果として得られた電気パラメータにより、接触品質モニタシステムは、2つの電極間の組織または患者連結のインピーダンスを決定することができる。このインピーダンスは、絶対的および相対的の両方の形で、接触の品質を推論するために使用される。
先の開示では、バイポーラ応用であるにせよ、ワイヤのRF切片化を利用して検体バッグ内部のリターン電極について同じインピーダンス検出方法をどのように使用できるかが記載されてきた。リターンパッド接触品質モニタシステムに適用されるものと同じ原理は、RFエネルギの印加前に組織の不良な接触を識別することができる検体バッグにも当てはまり、これによりリターン電極と組織との電気的接触を改善するためにバッグを操作することができる。
本開示は、接触品質システムが検体バッグ内部に2つの別個のリターン電極を含み2つの電極を横断して公知の抵抗を有している方法を提供する。この方法は、実際上組織と並列であると考えられる基準抵抗を結果としてもたらす可能性がある。このようにして、組織インピーダンスの感度は低下するかもしれないが、公知のインピーダンスを使用して、リターン電極導電層が無傷である、および総リターン電極インピーダンスが許容可能な範囲内にあることを確認することが可能であると考えられる。この方法は、基板に対し加えられた機械的外力がリターン電極のコーティングのインピーダンスを危殆化すると考えられる可撓性基板上のコーティングを用いてリターン電極が実現されている利用分野において使用可能である。当業者であれば、利用分野にとって有利なパラメータの感度を最適化するために選りすぐりの公知の抵抗値を選択することができるということを容易に理解できるものである。すなわち、患者の皮膚上にリターンパッドが設置される利用分野において使用するためには、接触品質および部位の熱傷を測定するための他のシステムが設計される。しかしながら本開示中のRFエネルギの印加は、切片化組織に向けられる。切片化する必要のある組織は、測定し考慮する必要のある異なる抵抗値を有する。組織のインピーダンスを測定インピーダンスより優越させるためには、より高い抵抗値を選択することができ、リターン電極トレースの電気インピーダンスをこの測定値より優越させることができるためには、より低い抵抗を選択することができる。この値は、0オームつまりリターン電極トレースの電気インピーダンスを提供するだけであると考えられる単一の電極から、組織インピーダンスならびにリターン電極連結の電気インピーダンスを含むと考えられる断線までの範囲であり得る。患者の皮膚上のリターンパッドと共に使用される他のシステムは、例えば5オーム未満の値を許容しないと思われる。
可撓性基板上のコーティングされたリターン電極のインピーダンスに加えて、コーティングされた基板からケーブルまでの抵抗移行の場所は、弾性の差異および結果としてのせん断力に起因する機械的荷重条件の下での課題を提起する。本開示の一態様は、リターンケーブルに対する銀コーティングの圧縮を使用することによってこの移行を創出する方法を提供する。この実施形態においては、銀コーティングのごく近位に平担な表面が設置されるような形でリターン電極ケーブルに対してはんだ付けまたは圧接を介して平担な表面を付着させることができる。電気的結合を提供するため、平担な表面に対して銀コーティングに圧縮を印加することができる。このようにして、圧縮が基板を所定の場所に保持することから、可撓性基板のわずかな変動によって基板から平担な表面への移行の全体的抵抗に影響が及ぼされることはない。平担な表面のサイズおよび形状は、コーティングされた基板とケーブルの間の適切な電気的移行を保証するべく界面インピーダンスを提供するように選択され得る。リターン電極トレースの電気インピーダンスを測定する方法は、この移行ならびに基板上のトレースのインピーダンスの変化も同様に検出し得る。
(可変力切片化器具)
先の開示では、RF組織検体摘出装置が、切断中に切片化ワイヤに対して機械的負荷を加えるために図12〜14を参照して示され説明されているものなどの一定力張力付与メカニズムを使用する上での利点を有する、ということが識別されていた。この方法は、低温切断を行なうために必要とされる最小限の力が切片化中に常に加えられることを保証する。一定力印加の欠点は、組織密度および検体のサイズが変動するにつれて、組織の変動範囲に対応するように一定力値を選択しなければならない、という点にある。
軸方向機械的負荷が印加された状態で組織検体の周りに巻かれたワイヤループを用いてRF切断する場合(例えば図50、78および80に示された例示的ワイヤループ装置)、機械的および電気的エネルギの組合せが、組織検体の側面で始動する切断を創出し、ワイヤを検体の中心に向かって組織内に引込む。これは、ワイヤに沿った機械力および電磁場の分布に起因する。切片化が進むにつれて、切断効果は、組織内へ、そして組織の表面を下へ遠位点に向かって伝わる。これは究極的には、ワイヤを完全に組織内に引張った場合の最遠位点まで伝わる。ワイヤ形状のこの変化が起こるにつれて、ワイヤにより印加される力は変化する。力は、微小のセグメントとしてモデリングされ得、ここで各セグメントは、組織内への法線力とワイヤに対して軸方向の力を有する。組織の周りのセグメントの場所は、法線力および軸力ベクトルの振幅を決定する。法線力は、ワイヤを組織内へ駆動し切断を行なう成分である。軸力は、ワイヤを前進させるだけであり、切断効果に対して有意に寄与することはない。前述の通り、切断開始は、組織検体の中央点で始まる。この場所において、法線力は、印加された負荷の軸からおよそ90度であることからその最小値にある。結果として、切断は、小さい法線成分で非常にゆっくりと始まる。ワイヤ切断が進むにつれて、検体の遠位部分に向かっての切断の前進および形状の変化は、ワイヤの遠位端部における法線力成分を増大させる。その結果、切片化が進むにつれてより高い切断力が印加されることになる。
この増大する力の1つの側面は、印加された機械的負荷に起因する組織の圧縮が切断中に増大するという点にある。この圧縮は、組織インピーダンスの変化によって観察できる。切断当初、圧縮力は、開始されたワイヤの周りに創出される蒸気溜りおよび組織インピーダンスにより決定された公称値で始まる。力が増大するにつれて、ワイヤによる組織の圧縮は増大し、結果としての組織のインピーダンスは低下する。これは主として、圧縮された組織ならびに切断を持続するのに必要とされるアーク放電を維持するためのRFエネルギにとってのより大きな課題の結果である。大部分の組織検体にとって、この現象はマイナスの影響を及ぼさないが、非常に大きな組織検体の場合および非常に大きな機械的負荷が印加される場合、切断の終りまで切断を持続するのに必要とされるRFエネルギには課題が多い可能性がある。印加される負荷および組織圧縮の範囲およびシステムのサイズの選択において、この効果を考慮に入れることが有益であり得る。
一定力に対する代替案として、本開示の一態様は、切片化ワイヤに対し負荷を加えるための可変力メカニズムにある。切断中、印加される力の範囲を維持するため、高い値からより低い値まで負荷を変動させることができる。このアプローチは、インピーダンスをより恒常に保ち、切断を持続するRFエネルギの能力を増大させると考えられる。
可変力は、開始時印加力および、典型的な組織圧縮およびサイズをモデリングするために選択される既定の最終力を用いたリニアリダクションで印加され得る。それは同様に、ワイヤの形状が変化するにつれて力の増大をより密にモデリングするため、指数関数的減衰でもあり得る。
調整可能な印加力を、DCモータを用いて送出することができる。このモータは、ウィンチなどのスプール、ウォームギア、または最大の検体に必要とされる総ワイヤ切断長と合致するかまたはそれを上回る長さを走行するラックアンドピニオンを用いて、ワイヤに結合され得る。DCモータは、測定された組織インピーダンスに基づいて印加力を変調することのできる電流ドライバと共に使用され得る。このようにして、同様に組織に対する発電機送出電力能力も維持する最大の力がワイヤに対して印加される。DCモータは同様に、モータによって送出される力を定電流で制御できるようにするために所望される印加力の範囲と合致する固有の負荷特性によって選択され得る。
(再利用可能な切片化器具)
先行する開示では、切片化器具の使い捨て部分と共に機能する再利用可能な部分を創出するために、RF組織切片化を容易に適応させることができるということが説明されてきた。このことには、全体的手技コストを削減すると同時に、使用毎に処分される材料の量を削減するというメリットがある。
説明された再利用可能な切片化器具の一実施形態は、力を印加するためにモータを利用する張力付与メカニズムを使用することにある。小型DCモータなどのモータを使用することには、切片化器具張力付与メカニズムの位置を自動的に前進させる、または引込めることができるという点において、再利用可能な利用分野において利点がある。これにより、次の使用のための準備として切片化器具を容易に再詰め込みすることが可能になる。この再詰め込みは、コイルばねの実施形態でははるかに困難である。さらに、モータには、切断中および次の使用に向けた切片化器具の準備のときの再詰め込み中、ワイヤの実時間位置情報を伝えることができるようにするためのエンコーダが組込まれている可能性がある。これによって、切断のための自動張力付与および切片化が完了した後に張力付与メカニズムを詰め込み前の位置に再配置することが可能になる。この実施形態を使用すると、装置の再利用可能部分は、切片化器具とコントローラ、張力付与メカニズムおよびユーザ制御機構との間の通信に必要とされる電子機器を含み得る。使い捨て部分は、切片化器具と切片化ワイヤとのインタフェースに限定され得る。
以上で説明された特徴および実施形態は、そのままでまたは、以下で説明するシステムと併用して、およびこれらのシステムに対する改良として、使用可能である。
1つの例示的利用分野においては、図1−Qに例示されるように、高度の電気手術システム100が提供され得る。システム100は、あたかも全体が本明細書中に記載されているかのごとく全ての目的のためにその全内容が参照により本明細書に組込まれている、2015年7月21日出願で2014年7月22日の優先日を有する、「大容量の組織を縮小して摘出するシステムおよび方法」という名称の出願人の国際出願PCT/US15/41407号明細書中に記載の組織の切片化および/または摘出などの機能のいくつかまたは全てを行なうように構成され得る。システム100は、多くのリード線106によって共に結合された電気手術装置102および発電機104を含み得る。発電機104はコントローラ108を含み得る。
本明細書中で別段の記載がある場合を除いて、「切片化装置」なる用語は、組織を切片化するための装置を含めるように理解されるものとし、機械的切片化作用、および/または電気手術解体作用および/または、例えば、バイポーラ切片化作用またはモノポーラ作用を含み得る。
いくつかの実施形態においては、図2に例示されているように、発電機104は、組織切片化パラメータの1つ以上のセットを記憶するためのデータストア110を含み得る。組織切片化パラメータは、電気手術手技中の正常なまたは予期される応答と結び付けられたパラメータを含むことができ、かつ組織切片化電圧、電流、力率角度、インピーダンス、電力、エネルギ、電極またはワイヤの走行速度、電極またはワイヤの走行距離および/または電極またはワイヤによって組織に印加される機械的切片化力に関係し得る。データストア110は、コントローラ108の一構成要素、またはコントローラとは別個の構成要素であり得る。
組織切片化パラメータは、分析的および/または経験的方法によって得られ、好ましくは安全な組織温度を維持しながら、システム100またはその構成要素の最適な動作を保証する目標境界値である。
いくつかの実施形態において、電極/ワイヤと組織の間のアクティブ電極曝露部域を通ってアークを提供することにより切片化切断の始動を開始するために必要とされる最小限の電圧として、組織切片化電圧パラメータVminが定義されている。いくつかの実施形態において、組織切片化電圧パラメータVminは、切片化切断を持続させるために必要とされる最小電圧として定義されている。組織切片化電圧パラメータVminは、電極またはワイヤのコーティングの誘電値、コーティングの厚みおよびコーティングの均一性を考慮することによって計算可能である。組織切片化電圧パラメータVminは同様に、または代替的に、対照組織の切片化切断の始動時点および/または最中におけるリターンと電極/ワイヤの間の電圧を測定することによって、経験的に決定され得る。
いくつかの実施形態において、組織切片化電流パラメータIminは、組織切片化切断を創出するのに必要な電流密度を満たすために必要とされる最小電流として定義される。いくつかの実施形態において、組織切片化電流パラメータIminは切断効果を持続させるために必要な最小電流として定義されている。組織切片化電流パラメータIminは、アクティブ電極の表面積を、対照組織中で所望の切断効果を達成する公知の電流密度に乗じることによって計算され得る。組織切片化電流パラメータIminは同様に、または代替的に、切断が発生するまで対照組織に対して印加されるRF電流を増大させ、対照組織に送出された電流を測定することによって、経験的に決定され得る。いくつかの実施形態において、対照組織は、電気手術手技中の患者の組織であり得る。
いくつかの実施形態において、力率角度PFAcut変数は、患者に対する電気手術手技中に測定される。力率角度PFAcut変数は、電気手術装置に送出される電圧および電流の波形の間の位相角を測定することによって決定され得、電気手術手技中に発電機に対して、組織を含むシステムによって提供される複合負荷インピーダンスの一表現である。力率角度PFAcut変数は、アクティブ電極またはアクティブ切片化ワイヤとリターン電極の間に短絡状態または断線状態が存在するか否かを決定するために測定され追跡され得る。
短絡を決定するためのコントローラ108からの直接的インピーダンス測定は、直列ケーブルインダクタンスが優勢になることから、困難である。出願人は、短絡中の力率角度PFAcutがほとんど誘電性であると考えられ、90度近くの位相角を有することになるということを決定した。したがって、RFアクティブ化中に、アクティブ電極とリターン電極の間に短絡が意図的に印加されている間に最低のまたは最も誘電性の低い力率角度PFAcut変数を測定することによって、短絡力率角度パラメータPFAshortを経験的に決定することができる。このとき、最低力率角度PFAcut変数を、短絡力率角度パラメータPFAshortとして定義することができる。
同様にして、並列システムキャパシタンスに起因して、断線についての直接的インピーダンス測定は困難である。断線中の力率角度PFAcut変数は、ほとんどが容量性と考えられ、−90度近くの位相角を有することになる。したがって、PFアクティブ化中にアクティブ電極とリターン電極の間に断線状態が存在することが分かっている間に最高のまたは最も容量性の低い力率角度PFAcut変数を測定することによって、断線力率角度パラメータPFAopenを経験的に決定することができる。このとき、最高の力率角度PFAcut変数を、断線力率角度パラメータPFAopenとして定義または仮定することができる。
いくつかの実施形態において、先に説明した力率角度PFAの代りに力率PFを使用して、断線および/または短絡を決定することができる。力率は、RMS電圧VrmsとRMS電流Irmsの積に対する送出中の実際の電力つまり有効電力Prealの比率である。RMS電圧VrmsとRMS電流Irmsの積は、本明細書においては、皮相電力として言及され得る。この比率は、純粋抵抗負荷が印加された場合にそうであると考えられるように、有効電力および皮相電力が同じであるとき、1.0である。より誘電性の高いまたはより容量性の高い負荷が印加されるにつれて、有効電力は減少するものの皮相電力は同じに留まることから、これらの負荷の位相シフトは比率の値を減少させてゼロに接近する。このようにして、力率角度PFAの代りに力率PFを使用することができ、こうして、切断のための最低力率閾値PFcut、短絡力率閾値PFshortおよび断線力率閾値PFopenの検出が提供されるかまたは可能になる。
いくつかの実施形態において、平均有効電力Prealは、先に説明したように、電圧および電流センサを用いて検出または導出され得る。しかしながら、瞬時有効電力Prealを得るために、センサの出力端をアナログ乗算器に接続することができる。乗算器の出力端はこのとき、有効電力Prealを平均化するための窓を提供する目的で、固有キャパシタンスを有するアナログ回路に結合され得る。平均RMS電圧VrmsおよびRMS電流Irmsは同様に、RMSアナログ出力を提供するアナログRMS電圧およびRMS電流検知回路を用いても測定可能である。これらのセンサのRMS出力端は同様に、瞬時皮相電力を得るために乗算器に接続され得、有効電力測定について先に説明した通り、乗算器の出力端は、皮相電力を平均化するための窓を提供するべく、固有キャパシタンスを有するアナログ回路に接続され得る。この回路は、A/D変換器を用いて読取ることができ、こうして平均皮相電力出力により平均有効電力アナログ出力を除すことによって力率PFを容易に計算できる。
いくつかの実施形態においては、有効電力乗算器の出力端および皮相電力乗算器の出力端をアナログ除算器に直接結合させて、瞬時力率PFを得ることができる。この出力端は、力率を直接測定するためにA/D変換器を用いて読取られてよく、あるいは、力率を平均化するための窓を提供するべく固有キャパシタンスを有するアナログ回路に接続されてもよい。
いくつかの実施形態において、力率計算の純粋にアナログな方法には、実行するためにマイクロプロセッサ、FPGAまたは他のソフトウェアまたはRTLプログラマブル命令セットを必要としないアナログ式の短絡および/または断線検出を提供するための閾値検出器としてのコンパレータの使用が含まれ得る。
インピーダンスZcut変数は、リード線114、116における電圧Vおよび電流I変数(例えば図2参照)から演繹することができ、最小組織インピーダンスパラメータZminおよび最大組織インピーダンスパラメータZmaxに対して比較するために使用することができる。組織インピーダンスパラメータZmin、Zmaxは、アクティブ電極表面積、アクティブ電極ワイヤのコーティング特性、組織タイプおよび組織の水和量によって影響され、制御された条件下にある患者の組織内のまたは対照組織内の切断プロセス中のインピーダンス値の範囲を測定することによって、経験的に決定可能である。
関連して、電力変数Pcutをリード線114、116における電圧Vおよび電流I(図2参照)から演繹することができ、最小電力パラメータPminおよび最大電力パラメータPmaxに対して比較することができる。最小電力パラメータPminは、本明細書中で先に説明した通り、切断効果を始動または持続させるために必要な電力密度を満たすことが必要とされる最小電力Pminによって決定または定義され得る。最大電力パラメータPmaxは、過度な焦付き、組織の乾燥および/または蒸気または煙の発生無く、切片化または切断効果を送出することになる値として決定または定義され得る。いくつかの実施形態においては、アクティブ電極表面積を所望の電力密度に乗ずることによって、最小および最大電力パラメータPmin、Pmaxを計算することができる。アクティブ電極表面積は、出願人の同時係属出願である国際出願PCT/US15/41407号明細書中で例示され説明されているように、定義または決定され得る。最小電力パラメータ値Pminは同様に、所望の切断効果が観察されるまでRF電力を調整し、組織に送出された電力を測定することによって、経験的に決定され得る。
いくつかの実施形態においては、発電機から組織に送出される電力効率を改善する方法が提供され得る。いくつかの実施形態において、コントローラは、力率補正を使用することができる。力率補正は、システムのケーブルインダクタンスを相殺するためにコントローラ(例えば図2参照)が調整できる可変的キャパシタンスを使用することによって達成され得る。コントローラ108は、力率位相角PFAcutを連続的に監視することができ、この値を用いて、コントローラ108に結合されたリターン電極126とアクティブ電極またはワイヤ122、124の間に並列に印加される可変的キャパシタンスを調整することができる。こうして、PFAcut角度が変更され、コントローラは、切断を行なうための最大電力効率を結果としてもたらすほぼ0度の位相角を達成するように位相を制御することができるようになる。この技術は、組織に対して送出される電力を最大化するために使用可能であり、こうしてより高速の切断を提供するかまたはより大きな組織検体を効率良く切断することができるようになる。
組織に送出されるエネルギ変数Etissueは、RFアクティブ化の間に組織に対して印加される蓄積エネルギによって定義される。エネルギ変数Etissueは、サイクル毎のベースで例えばリード線114、116における電圧Vおよび電流I値(図2参照)からの有効電力成分を蓄積することによって演繹され得る。組織に送出されるエネルギ変数Etissueを使用すると、公知の体積および/またはサイズの対照組織試料を用いて、組織に送出されるエネルギと、結果としての組織検体の温度上昇との間の関係を決定することができる。この関係を用いると、エネルギ変数Etissueを最大エネルギパラメータEmaxと比較して、組織の温度が意図された値を超えず、安全とみなされた温度を超えないように保証することができる。走行速度変数Rtravelは、固定された時間にわたる張力付与メカニズムまたは切断用電極またはワイヤの走行距離として定義され、切断用電極又はワイヤ(例えば図1−Q参照)が安全な切断速度および適正に機能するシステム100と一貫性のある速度で走行しているか否かを確認するために、最小走行速度パラメータRminおよび最大走行速度パラメータRmaxに対して比較され得る。電極の走行速度変数Rtravelは、所望される低温切断を保証するための重要な変数である。固定された電力送出の場合、組織を通した電極の走行速度Rtravelが低下するにつれて、組織に送出される総エネルギは増大し、その結果としての電極近くの局所化した組織の温度は、より速い速度で上昇することになる。結果としての温度上昇が過度に大きいかまたは過度に速い場合、患者に傷害が発生する可能性がある。
最小走行速度パラメータRminは、アクティブ電極またはワイヤに対して印加された電圧Vおよび電流Iから導出される電力Pを調整し、対照組織検体の表面上の最大許容温度上昇を達成する走行速度を測定することによって、経験的に決定され得る。いくつかの実施形態においては、機械力Fを、ゼロポンドフォース以上の公知の機械力Fに調整することができる。電力および力を変動させることに加えて、低い走行速度を検知した時点でワイヤに対し振動または他の動的負荷を印加してその進捗を加速することができる。
張力付与メカニズムまたは電極またはワイヤ上に全く機械Fが無い状態で、上昇速度を測定することによって、最大走行速度パラメータRmaxを経験的に決定することができる。この値は、ワイヤの破損など、ワイヤが組織検体に対して力を印加していない状態を表わしている。
走行速度を測定または決定するために、多くの方法が使用可能である。いくつかの実施形態においては、図6で例示されているように、ばねまたは力印加メカニズム674のごく近位に、光学運動センサ676が具備されている。光学運動センサは、ばねが移動するにつれて光学センサの焦点部域が線形並進運動としてこの運動を検出できるような形で、ばねの場所に焦点が合せられていてよい。いくつかの実施形態において、運動は、一平面内部の運動として検出され得る。
いくつかの実施形態においては、複数の運動センサを提供することができる。複数の運動センサは、時点T0+1における画像に対して時点T0における画像を比較して、張力付与メカニズム、切断用電極および/またはワイヤの移動方向および/または移動距離を決定するように構成され得る。
いくつかの実施形態において、センサは1つ以上の集積回路、センサ光学レンズおよび光源を有する。いくつかの実施形態において、センサは、利用分野専用に別個の構成要素を有する。ばね上の焦点部域は、ばねの移動が水平方向、横断方向またはX方向の運動に見えるように、ばねコイルの平坦な側でばねシリンダのスプールの近くにあり得る。いくつかの実施形態において、光学センサの焦点部域は、ばねスプールまたはシリンダから離れたばねの伸張部分に沿って存在する。いくつかの実施形態において、焦点部域は、スプールシリンダの頂部にあり、こうしてセンサは、ばねが移動するにつれてXおよびYの両方向または横断方向および長手方向の移動として検出される回転移動を検出するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、1つ以上の光学センサが具備され、画像を創出するよりはむしろコントラスト変化を検出するように構成されている。コントラスト変化は、ばねまたは力印加メカニズム内の表面のむらであり得るか、またはばね表面上に創出されるパターンであり得る。いくつかの実施形態においては、張力付与メカニズム、切断用電極またはワイヤなどの移動する構成要素上に、予め選択されたまたは公知の規則的な間隔でコントラストのあるパターンが提供され得、1つ以上の光学センサは、走行速度および速度距離を決定するため、焦点部域を通過して移動するパターンの数を計数するように構成されている。いくつかの実施形態において、パターンは、速度を測定するために基準間隔を提供するように構成されている。パターンは、一次パターンにまたは二次パターンとして一次パターンの近くに統合されるかまたは変調された別個のパターンであってよく、こうして走行した絶対距離、走行マーカの始まりまたは終りおよび/または走行距離のキーポイントなどの追加情報が提供される。
いくつかの実施形態において、装置は、センサまたは複数のセンサによって検出され、かつ/または伝達された情報に応えて電力を調整するように構成されてよい。例えば、装置は、張力付与メカニズム、電極またはワイヤが好ましい速度より低い速度で並進運動しているまたは移動しているという決定に応えて、切断用電極に印加されつつある切片化電力を増大させるように構成されていてよい。別の例として、装置は、張力付与メカニズム、電極、またはワイヤが好ましい速度よりも高い速度で並進運動しているまたは移動しているという決定に応えて、切断用電極に印加されつつある切片化電力を低減させるように構成されていてよい。
いくつかの実施形態においては、ばねまたは力印加メカニズムと接触した状態で、公知の直径を有するホイールが具備されていてよく、測定されたホイールの回転が、ばねの走行の標示を提供する。ホイールの回転は、ホイール内に公知の幅または角度のスポークを含めることおよびホイールの相対する側面上に位置設定された光源および検出器によって観察されるスポークの数を光学的に計数することによって、測定可能である。
いくつかの実施形態において、ホイールは、電位差計または可変抵抗器に対して機械的に結合されている。ホイールが回転するにつれて、電位差計の抵抗は変化する。抵抗の変化を用いて、ばねの対応する走行変化を計算することが可能である。
いくつかの実施形態においては、ホイールの曝露された頂部表面上に、抵抗性フィルムが具備されている。ホイールが回転するにつれて、低インピーダンス値から高インピーダンス値まで変動する、表面に沿った可変的抵抗が提供され得る。抵抗性フィルムの表面の中心および縁部に一対の接点を設置して、回転が抵抗を変動させるようすることができ、これらの抵抗変化を追跡することにより回転を計算することができる。
いくつかの実施形態において、装置は、走行速度または走行距離を決定するためにキャパシタンス変化を検出するように構成されていてよい。いくつかの実施形態においては、例えば第2の導電性半円形を有する半円形など、ホイール表面全体をカバーしていない電気プレートが提供される。これら2つのプレート間に経時的に変動する電圧を印加して、ホイールが回転するにつれてのキャパシタンスの変化を測定することができる。このアプローチにおいては、ばねの走行変化は、抵抗性フィルムでの先行例と類似した形で計算可能である。
いくつかの実施形態においては、走行速度または走行距離を標示するために、ばねまたは力印加メカニズムに対してエンコーダが機械的に結合される。エンコーダは、2つの波形の位相を用いて走行速度を決定するために使用可能である波形を提供し得る。
いくつかの実施形態においては、1つ以上のセンサまたは検知回路の出力が、走行速度を計算または推論するために使用される情報を提供する。本明細書中で切片化器具としても言及され得る電気手術器具102は、この情報を用いて直接、走行速度が受容可能であるか否かを決定することができる。切片化器具は、センサ出力を計算し、処理しかつ/または追跡するための処理装置、アナログ回路および/またはデジタル回路を含むことができる。いくつかの実施形態において、装置は、例えば走行距離が受容可能なまたは予期された範囲外にある場合にのみ、1つ以上のセンサからの情報に応答したアクションを始動させることができる。
cm/秒などのユーザにとって有意な単位へとこの情報をスケーリングすることが有益であり得る。いくつかの実施形態において、装置は、当業者には公知の要領でデジタル、アナログまたは他の信号を1つの情報提供出力へとスケーリングするように構成されたプロセッサを有する。この方法を使用することのメリットの1つは、外部測定機器に比較され得るトレース可能な形で、ばねの運動を定量化できるという点にある。付加的なメリットは、ばねまたは力印加メカニズムの全走行範囲を通した走行速度に非線形性が観察された場合に、補正アルゴリズムを適用できるという点にある。
いくつかの実施形態において、切片化器具は、センサと通信状態にある処理装置を有する。いくつかの実施形態において、切片化装置は、処理を行ないかつ/またはユーザが切片化装置を構成できるようにするため、マイクロプロセッサ、ステートマシンおよび/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を有することができる。
いくつかの実施形態において、信号は、この処理を行なうために、切片化器具から、コントローラあるいはオンサイトまたはオフサイトの別の処理ユニットなどの別個の装置まで伝送される。走行距離変数Dtravelは、電気手術装置102内の張力付与装置から直接測定され得、予張力走行距離パラメータDpretenおよび切断完了走行距離パラメータDcompleteに対する比較のために使用され得る。予張力走行距離および切断完了走行距離パラメータDpreten、Dcompleteは、張力付与メカニズムおよびアクティブ電極アセンブリの設計によって計算され、こうして予張力走行距離パラメータDpretenが意図された最大の検体における予張力付与中に達成された最小距離を標示し、切断完了走行距離パラメータDcompleteが、アクティブ電極ワイヤが切断を終了した時点で達成された最大距離を標示するようになっている。張力付与装置の詳細については、出願人の国際出願PCT/US15/41407号明細書を参照のこと。変数Dtravelは、同様に、予張力が印加された後の各々の別個の張力付与メカニズムの走行を測定するためにも使用可能である。これらの値を用いて、予張力の完了時点でのDtravelをDpretenに対して比較することにより、組織検体の体積および/または形状を近似することができる。この近似を使用することによって、組織に対する最大送出エネルギEmaxを調整して切片化中の組織検体に対応することができる。
当業者であれば、本明細書中で先に説明された走行速度を測定するために使用された方法および/または構成要素を、走行距離の決定、計算または推論のために使用することができるということを認識するものである。いくつかの実施形態において、走行距離は、相対距離として計算または決定される。いくつかの実施形態において、測定距離は、例えば、初期位置が分かっている場合または先に説明したような絶対位置インジケータが含まれている場合、絶対距離として計算または決定される。
いくつかの実施形態において、装置は、切片化に関係する信号または情報をユーザに伝送するように構成されていてよい。例えば、切片化装置は、切片化手技の完了百分率、完了速度、走行速度、走行した絶対距離および/または走行した相対距離を標示するように構成され得る。
いくつかの実施形態において、切片化装置は、切片化速度、走行速度および/または他のパラメータが、電極に印加中の切片化電力に結び付けられると考えられる予期された範囲などの予期された範囲内にない場合に、ユーザに対して聴覚または視覚的警告信号を伝送するように構成され得る。すなわち、予期された走行速度範囲は、特定の電力レベルおよび/または切片化力と結び付けられ得る。実際の走行速度が予期された範囲外である場合、これは、手技上の問題点の標示であり得、ユーザは手技を停止および/または調整する必要がある可能性がある。
ここで図20〜22を手短に参照して、アクティブ電極ワイヤの予張力付与について説明する。いくつかの実施形態においては、ユーザが組織試料に接してワイヤに予張力付与できる、すなわちワイヤを組織試料に向かって付勢できるようにするために、導入器管メカニズム1500が具備され得る。このメカニズム1500を開始させた時点で、導入器管1501は、(導入器管に向かって組織試料を引戻す代りに)組織試料に向かって長さを伸張することになる。このメカニズム1500は、メカニズムの解除時点で検体に向かって外へ自在に伸縮する入れ子になったばね式管を含むことができる。この伸張する導入器管は、非限定的に、導入器管を伸張させるためにねじ留め解除するジャックスクリューメカニズム、多部品導入器管を伸張させる、および/または伸張した導入器管が自らの上に圧壊して戻るのを防ぐため自己係止歯を用いて入れ子式導入器管を手で伸張させる膨張可能な空気袋を含むことができる。
切片化器具の伸張可能な遠位端部部分は、患者の腔内に、切片化すべき組織と直接接触した状態で挿入され得る。導入器管1501と呼ばれる器具管のこの遠位先端部には、アクティブ切片化用ワイヤと組織/導入器管界面との間の高い摩擦抗力点となる機会があり得る。したがっていくつかの実施形態は、導入器管が組織検体としっかり接触できるようにし、それでも組織検体と導入器管の遠位先端部の間に挟まれることなく組織を通って切片化器具内に切片化ワイヤを自由に引込むための空間を与える、導入器管の遠位端部上の歯形構成要素1505(例えば図 を参照)を含む。
いくつかの実施形態は、摩擦を削減するためのスタンドオフプラットフォーム1506を含む。いくつかの実施形態において、スタンドオフ1506は、球形スタンドオフであり得る。しかしながら、当業者であれば、プラットフォームが組織との密な接触を提供し、アクティブ切片化ワイヤが中を走行できる障害の無い空間を提供するかぎり、プラットフォーム1506は任意の形状をしていてよいということを理解するものである。いくつかの実施形態において、プラットフォームは、切片化ワイヤが(切片化器具上で)導入器管1501の遠位先端部と組織の間をより自由に走行できる広い空間をつねに提供しながら、器具/切片化組織の緊密な接触を提供している。
いくつかの実施形態においては、導入器の遠位先端部が、図3に例示されている通り、管を通って器具内へと走行するワイヤの摩擦を低減させるPTFEなどの滑らかな高温インサートを収納している。
ここで図4に戻ると、導入器400は、気腹を維持するための2つ以上の特徴部を有し得る。導入器は、腹膜の内部表面近くに設置される装置の遠位部分の周りに膨張リング401を有することができる。いくつかの実施形態においては、腹膜の内部にある膨張可能なリング401と腹膜の外部にある機械的シーラー402との間で組織を圧縮するような形で、切開に向かって下向きに調整され得る第2の機械的シーラー402が具備される。いくつかの実施形態において、膨張は、所望される場合に導入器に取付けられる別個のシリンジを使用することによって達成され得る。いくつかの実施形態においては、導入器403の取っ手内にシリンジ様の特徴部が組み込まれ、こうして近位取っ手が移動させられるにつれて、特徴部が膨張可能リングに導かれる圧力を創出するようになっている。
ここで図5を見ると、いくつかの実施形態は、導入器500の遠位端部近くに可撓性膜501を含む。導入器の近位区分502は、取っ手505に力を加えることによって導入器の遠位端部504に向かって摺動でき、遠位端部上の傾斜路506と近位区分に結合された半剛性フィンガ507との間に干渉をひき起こす。干渉は、半剛性フィンガを外向きに拡張させて、可撓性膜501を導入器から離れるように外向きに拡張させ、腹膜の内部を封止するために使用できる突出部を創出する。先に説明したように、切開部位において圧縮を提供するため、機械的シーラー508を適用することができる。
いくつかの実施形態においては、導入器の遠位端部近くに可撓性膜が位置設定される。膜の下で導入器シャフトの円周の周りに、半剛性「フィンガ」を配設し、導入器の近位区分に結合させることができる。「フィンガ」の下には、正常な位置において傾斜路がフィンガの遠位縁部で始まるような形で位置設定された、導入器の最遠位部分に結合された傾斜路が存在する。シャフトの近位部分が導入器の遠位端部に向かって前進させられると、フィンガは導入器から離れるように伸張し、同様に可撓性膜も伸張する。これにより腹膜の内部を封止するために使用できる突出部が創出される。切開部位において圧縮を提供するため、先に説明した通り、機械的シーラーを適用することができる。
いくつかの実施形態において、導入器は装置の遠位端部近くに付着されたフィルムを有する。このフィルムは、導入器が適正な場所まで引抜かれた時点でフィルムが切開部位に対するシールを提供し得るように、導入器の横断面軸の中に配設される。この実施形態において、導入器は、気腹を維持するためにユーザにより所定の場所に保持されるか、または先に説明した通り外部表面上のシールの使用によって、適切な場所での導入器の保持を補助することが可能である。
当業者であれば、気腹を維持するシールを提供するために切開部位の内部および/または外部表面上で可撓性膜、膨張リングまたは機械的シーラーのあらゆる組合せが使用可能であるということを理解できる。さらに、取っ手の最遠位部分は、膨張または運動を印加したスライド、導入器のシャフトに沿って上下に移動し得る管の区分、または封止を開始させるために必要とされる運動を創出するためのてことして作用する突出部を含めた、封止用特徴部を成立させるための、多くのユーザインタフェース特徴部を包含することができる。
いくつかの実施形態において(例えば図4参照)は、導入器の多機能性を提供する目的で、導入器403の遠位部分に対する引紐の結合を封止用特徴部と共に含み入れることが可能である。これにより、バッグの挿入、組織充填中の腹膜の封止を行なうのに必要とされる応力を最小限にし、切開部位を通ってバッグ開口部を引張るのと同時に導入器の容易な引抜きを可能にすることによって、手技の効率は高まる。
いくつかの実施形態において、発電機104は、組織切片化と結び付けられるアナログおよび/またはデジタル信号を検出および/または送信するために、第1、第2および第3のリード線114、116、118の第1のセット120(図2中に示されている)に結合され得る。例えば、アナログおよび/またはデジタル信号は、非限定的に、組織切片化手技中に調整または印加されるべき電圧、電流、インピーダンス、電力、走行速度、走行距離および/または機械的切片化力を含めた、組織切片化変数を制御するための信号を含むことができる。第1のリード線セット120は、電気手術装置102に結合された第1の切断用ワイヤ122と結び付けられ得る。同様に第1、第2および第3のリード線を含み得る第2のリード線セット130は、第2の切断用ワイヤ124と結び付けられてよい。リード線セット120、130は、1セットあたりより多くのまたはより少ないリード線、およびより多くのまたはより少ないセットを含み得る。
いくつかの実施形態において、コントローラ108は、切断用ワイヤ122、124に、切片化および摘出のための無線周波数(RF)電力を組織検体(図示せず)に対して印加させるように構成され得る。図2には、2本のワイヤ122、124しか例示されていないものの、コントローラ108は、多数のワイヤセットと結び付けられた多数の組織切片化変数を制御するように構成されてよい。
ここで図7を参照すると、コントローラ108、708は、時分割の形で多数の組織切片化ワイヤを制御するように構成され得る。例えばコントローラ108、708は、本明細書中に記載の方法論を達成するための命令を含む非一時的有形プロセッサ可読媒体710を含むことができる。例えば、非一時的命令は、1つ以上の方法を実行するために処理用構成要素712によってアクセス可能であり得る。
1つの方法は、少なくとも1つの検出された組織切片化変数を組織切片化パラメータと比較するステップ714および/または少なくとも1つの検出された組織切片化変数を第2の組織切片化変数と比較するステップ716、そしていずれかの比較ステップ714、716に応答して組織切片化制御信号を調整するステップ718を含み得る。
コントローラ108、708は、さらに、複数のまたは全ての切断用ワイヤ122、124が実質的に同時に組織切片化切断を完了させるような形で組織切片化変数を制御するように構成され得る。組織切片化切断を実質的に同時に完了させることで、各々のワイヤの場所における温度蓄積の管理を助けることができる。
コントローラ108、708は、RF電力を印加するように意図された切断用ワイヤの各々の間でPF電力を切換えることにより、実質的に同時に切断を完了させるように構成され得る。これは、固定された時間周期にわたり順序アルゴリズム内でRFエネルギを切換え、最も低い走行速度のメカニズムが最大のエネルギを受け取るようにRFエネルギを切換えて、同じ期間中に異なるまたはより低いインピーダンス値またはより低い走行長を標示する切断用ワイヤ122、124が、切断を維持するために残りのワイヤセットに比べて平均してより多くのRF電力を受け取ることができるような形で電気パラメータに基づいてかまたは切断中に同じ走行長を有するように切断用ワイヤ122、124を制御することによって、達成可能である。当業者であれば、電極が走行していない場合、蒸気溜りが圧壊し、その結果インピーダンスはより低くなり、対照的に切断がアクティブ状態である場合には、蒸気溜りがインピーダンスを増大させ得る、ということを認識するものである。
特に多重化アプローチを使用する場合には、切断を持続させるために、ワイヤの周りのより高いインピーダンスおよび蒸気を維持するべく、不活性時間を制限しなければならない。
第1の張力付与メカニズムまたは切断用ワイヤ122、124が前進していないかまたは、例えば非常に石灰化した組織検体または他の故障原因(例えば組織試料内でステープルに遭遇)に起因して第2の張力付与メカニズムまたは切断用ワイヤ122、124ほど速く前進していない場合にも、不活性時間を制限しなければならない。この場合、適正に前進していない切断用ワイヤ122、124またはワイヤセットは、RF電力を受け取ることから除外され得る。いくつかの実施形態において、残りの切断用ワイヤ122、124またはワイヤセットは、切断を完了させることができる。
ここで図8を見ながら、組織切片化方法800のさらなる詳細について説明する。例示されている通り、方法800には、複数の組織切片化変数を受信するステップ802が含まれる。組織切片化変数は、行なわれている組織切片化手技、例えば小さい切開部位を通した摘出に先立つ大きな組織検体の切片化ステップと結び付けられ得る。組織切片化変数は、エネルギ、電力、電圧、電流、機械力などの組織切片化ワイヤによって組織検体に印加される変数、および/またはインピーダンス、抵抗、走行速度および走行した距離などのフィードバック変数を含み得る。
受信ステップ802は、経時的に複数の組織切片化変数を受信するステップを含み得る。
方法800は同様に、組織切片化変数の1つ以上をそれぞれの組織切片化パラメータと比較するステップ804、または組織切片化変数の1つ以上を第2の組織切片化変数と比較するステップ806、および比較ステップ804または比較ステップ806に応答して、組織検体に対するエネルギおよび/または切片化力を調整するステップ808も含んでいる。
方法800は、図1−Q〜図3のいずれかに例示されているかまたは本明細書中において他の形で説明されている装置を用いて達成され得る。
方法800は、検出された力率角度PFAcut変数と短絡力率角度パラメータPFAshortおよび/または断線力率角度パラメータPFAopenを比較するステップを含むことができる。力率角度パラメータPFAshort、PFAopenは、本開示の先行する節において説明されている。
ここで、図1−Qに戻ると、システム100および/または方法800は、任意には、短絡および/または断線チェックを有する回路チェック810を含むことができる。すなわち、いくつかの実施形態において、システム100、コントローラ108、708および/または発電機104は、切片化ワイヤ/バッグアセンブリに損傷を加えることなく、電気的短絡または断線についてチェックする810ために全電力または作動電力レベルをはるかに下回る電力で短かく小さい電気パルスを送るように構成され得る。回路チェック810中の電力は10ワット以下のレベルであり電気手術上の影響が発生しないようになっている。
例えば、システム100においては、システム100によって組織に印加される複合負荷インピーダンスの別個の実数成分および虚数成分を提供するために、電流および電圧センサを具備することができる。当業者であれば、ケーブルインピーダンスの虚数成分つまり無効分が、発電機による短絡の測定精度を非常に困難なものにする可能性があるということを理解するものである。しかしながら、複合インピーダンスの実数成分および虚数成分が分かっているシステム100または方法800を提供することにより、短絡、断線および中間インピーダンス値についてのより良い測定を提供するために実数成分を使用することができる。いくつかの実施形態において、システム100または方法800は、短絡および断線チェックおよび/または短絡および/または断線チェックのためのメカニズムを含み得る。
複合負荷インピーダンスの位相および振幅は同様に、短絡の場合と同様に相対的比較として使用され得、ケーブルインピーダンスは、正の位相角を結果としてもたらす負荷に対して有意に寄与し、断線においてケーブルおよびシステムのキャパシタンスは、負の位相角を結果としてもたらす負荷に対して有意に寄与する。位相を計算するための方法には、アナログ位相検出器を使用するステップ、ゼロ交差点とピーク振幅を比較するステップ、またはデジタルサンプリングおよびソフトウェア方法、例えばGoertzelアルゴリズムを使用するステップが含まれる。
いくつかの実施形態において、システム100は、切断中に制御された成果を提供するように組織に対して送出される電力またはRFエネルギを調整できるように構成され得る。例えば、リード線の第1および/または第2のセット120、130を用いて、所望される通りに、ワイヤ122、124に対して適用される電力変数を監視し調整することができ、あるいは、ワイヤ122、124に対する電力を監視し調整するための任意の好適な数のリード線、および任意の数の切断用ワイヤ122、124を提供することも同様に可能である。
当業者であれば、電力変数と結び付けられたデジタルおよび/またはアナログ信号または制御信号を伝送するようにリード120、130を構成できるということを理解するものである。RF電力は、切断走行速度を制御するために振幅変調され得る。走行速度フィードバックを用いて、実質的に恒常な所望の走行速度を維持し、走行速度を最小値Rminよりも高く維持し、低温切断を保証し、かつ/または電力を最大値より低く維持して切断の完了時に送出される電力を削減するように電力を調整することができる。
いくつかの実施形態においては、張力付与メカニズムに対し力ゲージを結合させることができ、実質的に一定の力および/または適切な組織切片化のための所望される閾値より上のまたは下の力を維持する上でばねを補助するように電力を調整することができる。これらの方法は、線形アクチュエータまたは手による引張りなどの、組織切片化力を印加する他の手段のために使用され得る。
いくつかの実施形態において、コントローラ108、708は、発電機104上にセットされ別個の電源コードを有するボックスであり得、あるいは、いくつかの実施形態において、コントローラ108、708は、図1−Qまたは図2に例示されている発電機104と一体であり、この発電機の一構成要素であり得、あるいは、電気手術器具102と一体であるかまたはその一構成要素であり得る。コントローラ108、708は、発電機104に取付けられたRF電源接続部などの電源のみを有していてよく、あるいは、図2に例示されているように、発電機104、データストア110、電気手術器具102および/またはユーザインタフェース112と通信するための追加の接続部を有していてよい。この追加の通信により、発電機104に対しておよび発電機104から情報を転送することが可能になる。この情報には、電力およびモードの設定、リターン電極インピーダンス情報、エラー情報、例えば本明細書中で先に説明したような組織切片化パラメータからの偏差、手技パラメータおよび変数の記憶および統計学的情報、および手技パラメータデータベースの履歴的統計情報が含まれ得る。
コントローラ108、708は、電気手術手技を行なうためにAC電源接続を重複させる必要性を削減することによって、それをより可搬性の高い使用し易いものにするバッテリー式装置として具体化されてもよい。
コントローラ108、708および/またはコントローラ108、708を利用する発電機104は、発電機104の出力端を電気手術装置102に接続する前に、発電機104が送出する電力に結び付けられた電流I、電圧Vおよび/または他の変数を測定する能力を有することができる。これによって、コントローラ108、708は、ワイヤ/電極122、124に対して電気手術PFエネルギを印加する前にユーザが適正な発電機設定を選択し終っていることを保証し、ワイヤ/電極122、124上のあらゆるコーティングの安全性が始動のために維持されていることを保証することができる。
いくつかの実施形態において、適正な電圧、電流および電力の範囲Vmin、Vmax、Imin、Imax、Pmin、Pmaxが発電機104によって送出されることを保証するように選択された1つまたは複数の内部抵抗器を具備して、ワイヤ/電極122、124上のあらゆるコーティングの安全性が維持されていることを保証することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ108、708またはシステム100は、ユーザにアラートを出し、補正アクションを勧告し、かつ/または発電機108、708との通信を始動させて、コーティングの安全性が損なわれているという決定に応答して電力設定を変更するように構成される。
いくつかの実施形態において、コントローラ108、708は、コントローラ108、708が選択的および/または逐次的にワイヤ122、124に通電し得るように、電気手術装置102内の個別の張力付与メカニズムおよびワイヤセットに対してRFエネルギなどの電力を印加するための手段を有することができる。
いくつかの実施形態において、ユーザは、図2に例示されている通り、発電機104またはコントローラ108とのユーザインタフェース112を通して適切な順序を選択することができるものの、当業者であれば、ユーザインタフェース112が、電気手術装置102の一構成要素上および/またはシステム100の他の任意の構成要素上に位置設定され得ることを認識するものである。すなわち、ユーザインタフェース112は、装置102がどのように組織を扱うかを入力、受信および/または検分および/または操作するための1つ以上の手段を含むことができる。
いくつかの実施形態において、コントローラ108は、発電機出力の波高因子を決定し、ユーザが適正な出力モード設定を選択したことを確認するように構成され得る。いくつかの実施形態において、RMSまたは平均電圧(電流、電力)およびピーク電圧(電流、電力)を測定するステップは、波高因子を演繹するために利用される。
図9は、組織切片化の制御方法900の流れ図である。方法900は、本明細書中で先に説明したコントローラ108、708またはシステム100を用いて達成され得る。いくつかの実施形態において、方法900には、予張力が組織に印加されたか否かを決定するステップ902、(b)組織に印加された電力が受容可能であるか否かを決定するステップ904、(c)ワイヤ122,124と組織の間のインピーダンスが受容可能であるか否かを決定するステップ906、(d)組織に印加された電圧が受容可能であるか否かを決定するステップ908、(e)組織に印加された電流が受容可能であるか否かを決定するステップ3010、(f)力率角度が受容可能であるか否かを決定するステップ912、(g)最低走行速度に達したか否かを決定するステップ914、(h)走行速度が受容可能であるか否かを決定するステップ916および/または(i)切断が完了したか否かを決定するステップ918、のうちの1つ以上を含む。
決定ステップ902、904、906、908、910、912、914、916、918の1つ以上に応答して、方法900は、(a)装置102に予張力付与するようオペレータに助言するステップ920、(b)電力を調整するかまたは電力を一時中断し、オペレータに電力を変更するよう助言するステップ922、(c)電力アクティブ化を中断しオペレータにアラートを出すステップ924、(d)短絡が存在するか否かを決定するステップ926、(e)断線が存在するか否かを決定するステップ928、または(f)電力を調整するかまたはオペレータに電力を変更するよう助言するステップ930の1つ以上を含むことができる。
方法900は、短絡が存在することを決定するステップ926に応答して、電力アクティブ化を中断しオペレータにアラートを出すステップ924または電力を調整するかまたはオペレータに電力を変更するように助言するステップ930を含むことができる。
方法900は、断線が存在することを決定するステップ928に応答して、電力アクティブ化を中断しオペレータにアラートを出すステップ924または電力を調整するかまたはオペレータに電力を変更するよう助言するステップ930を含むことができる。
方法900は、電力を送出するよう要求するステップ932、電力を印加するステップ934、および電力を除去するステップ3036を含むことができる。電力を印加するステップ934は、予張力が印加されたことを決定するステップ902に対する応答性を有し得る。電力を除去するステップ936は、切断が完了したことを決定するステップ918に対する応答性を有し得る。
図10は、多重化された組織切片化制御方法1000の流れ図である。方法1000は、本明細書中で先に説明したコントローラ108、708またはシステム100を用いて達成され得、複数の電極1〜Nの各電極Xに対して適用される、本明細書中で先に説明した方法900の一部または全てを含み得る。方法1000はさらに、電極1〜Nのいずれかについての最大オフタイムに達したか否かを決定するステップ1038、そして決定ステップ1038に応答して、最大オフタイムに達した電極にXを更新するステップ1040または全ての電極1〜Nがアクティブ化されるまででX=X+1を更新しその後最低のRtravelを有する残りのアクティブ電極にXを更新するステップ1042および/または電力アクティブ化が全ての電極1〜Nについて中断されたか否かを決定するステップ1042を含むことができる。換言すると、システム100、200は、電極の1つが最大オフタイムに達した場合にはシステムが次にその電極を使用することになるように構成され得る。どの電極も最大オフタイムに達しなかった場合には、システムは、最も低速で移動している電極に対し電力を印加する。
ここで図11を見ると、いくつかの実施形態において、方法3000、4000に関連する電極1〜Nなどの1つ以上のワイヤ電極122、124の走行距離および走行速度を検出するためのさまざまな方法およびシステムが、本明細書において開示されている。いくつかの実施形態においては、例えば、1つ以上の一定力ばね1104上に複数の視覚的または電気的マーカ1102が提供され得る。マーカ1102は、各々のばね1104に沿って均一の距離のところに設置されたライン(着色された、または電気的に隔離されたもの)を含むことができ、関連して、ばねマーク1102に遭遇する毎に検出または計数し、これにより走行した距離DTravelXおよび/または走行速度RTravelXを推論するために、光学センサまたは電気センサ1106が具備され得る。これらのマークは同様に、主要な目盛りマークとして作用するため先に説明されたものとは異なる均一の距離で周期的に含められるより大きな幅を含み得る。この主目盛りマークは、総距離測度として使用され得、かつ/または例えば走行速度RTravelXを測定するために走行速度RTravelXが装置102またはシステム100の能力の上限に接近した場合など、計数補正のために使用され得る。いくつかの実施形態において、ばねマーク1102は、ばね1104に沿った距離と対比してカラーコード化されるかまたは他の形で修飾されており、こうしてカラー光センサまたは他の識別用手段が、切断用ワイヤアセンブリまたはワイヤ122、124の位置を決定することができるようになっている。
同様にして、いくつかの実施形態においては、図12に例示されているように、切片化器具102内の単一のセンサ(例示せず)、またはコントローラ108、708または発電機104が、器具の動作中に複数のワイヤまたは電極153、155(例えば図1−Q参照)を有する第1の切断用アセンブリ151の位置を決定できるような形で、第1のRFIDタグ1220を第1のコネクタブロック1224に組付けることができる。複数のワイヤまたは電極157、159(例えば図1−Q参照)を有する第2の切断用アセンブリ160の位置を決定するために、第2のコネクタブロック1226に対して類似の形で第2のRFIDタグ1222を組付けることができる。
いくつかの実施形態においては、タッチプローブの偏向を測定して、ばねコイルにおける偏向をテストするために、力ゲージまたはホイートストン・ブリッジ様の装置を具備することができる。当業者であれば、より大きな偏向は、より多くのばね材料が偏向されていることを意味し、ひいては、電極またはワイヤあるいは電極またはワイヤのセット153、160のさらなる走行を意味するということを理解するものである。
いくつかの実施形態においては、各々の一定力ばね1904のために軸受マウントを具備することができる。各々の軸受マウントの回転測定値を用いて、各ばねおよび電極またはワイヤの走行距離(および走行速度)を決定することができる。
いくつかの実施形態においては、各コネクタブロックが測定用センサからどれほど離れているかを視覚的に測定し、これにより各ばねおよび電極またはワイヤの走行距離(および走行速度)を決定するために、コネクタブロックの走行軸に沿って各コネクタブロックのマイクロ「レーダー」光学測定を提供することができる。
いくつかの実施形態においては、張力付与メカニズムの極近くでかつこのメカニズムの走行に沿って、抵抗性ストリップまたはストリップセットを貼付することができる。抵抗性ストリップまたはフィルムに対する電気的結合が提供されるような形で、遠位端部近くで張力付与メカニズムまたは張力付与ブロックに対して接点を取付けることができる。張力付与メカニズムが移動するにつれて、接点は「ワイパー」または可変抵抗器と類似の形で作用する。抵抗性フィルムの端部および接点を横断して電圧を印加する電気回路を使用することによって、走行距離に関係付けされる抵抗変化を測定することができる。抵抗変化速度も測定することができ、走行速度に関係付けされる。
いくつかの実施形態においては、先に説明した通りの接点および抵抗性ストリップが提供されるが、この場合、抵抗性ストリップに対して並列であるものの電気的に結合されていない第2の導電性ストリップを伴う。接点は、抵抗性ストリップおよび導電性ストリップの両方に対する電気的結合を提供する。いくつかの実施形態において、電気回路は、抵抗性および導電性ストリップの固定された端部を横断して電圧を印加することができる。当業者であれば、ストリップに直接接続されないものの走行の持続時間にわたりごく近位で動作すると考えられる接点を利用するようにこのアプローチを修正することができるということを理解するものである。このアプローチは、走行距離または変更速度を測定するために使用可能と考えられる可変キャパシタンスまたは相互インダクタンスを電極が印加できるようにする。
機械的切片化力変数Fsegは、張力付与メカニズム上の力ゲージにより測定され得る。力ゲージは、あらゆるアナログ、デジタルまたは機械的信号送りメカニズムを含め、意図された目的に好適な任意のゲージであり得る。機械的切片化力変数Fsegを最小機械的切片化力パラメータと比較して、正しい機械的負荷が組織検体に対して印加されていることを保証することができる。最小機械的切片化力パラメータFminは、張力付与メカニズム力特性の設計仕様によって定義され得る。いくつかの実施形態において、最小機械的切片化力パラメータFminは、対照組織内の公知の電力レベルにおける電極の所望される走行速度と結び付けられる力を測定することによって、経験的に定義され得る。
ここでひき続き図12〜14を参照すると、再利用可能な組織切片化装置1300が提供され得る。再利用可能な組織切片化装置1300は、本明細書中で先に説明された装置102またはシステム100および出願人の国際出願PCT/US15/41407号明細書中に記載の装置に関連して本明細書中で先に説明した機能の一部または全てを行なうように構成され得る。再利用可能な組織切片化装置1300は、図1−A〜図1−O中で言及されているコネクタに連結するために使用される連結可能な切片化機器として使用可能である。
装置1300は、遠位部分1304に対し離脱可能な形で連結されているかまたは連結可能である近位部分1302を含み得る。近位部分1302と遠位部分1304の間の連結領域1319は、ワイヤ張力付与メカニズムのブロックであり得、こうして、使い捨ての管腔1303が取付けられるようになっている。使い捨ての管腔1303は、近位部分1302上の張力付与ブロック1318に連結する支柱1316を有する1つ以上の張力付与メカニズムのためのガイド1306を提供することができ、遠位端部1308がアクティブ電極ワイヤ連結部(例示せず)に連結することができるようにするための連結点を有することができる。使い捨ての管腔1303は同様に、張力付与用ばね(または張力付与力メカニズム)を予張力位置まで前進させるための手段1310、ユーザが張力付与メカニズムを予張力付与できるようにする予張力メカニズム1312および切開部位内へのバッグの設置用の導入器1314(例えば図1−Q参照)を含むことができる。
図13および図14をひき続き参照して、ここで使い捨ての管腔1303の使用方法についてさらに詳述する。いくつかの実施形態においては、近位部分1302のばねおよび張力付与ブロック1318を遠位位置まで前進させることを可能にするために、制御機構1310を具備することができる。制御機構1310は、制御タブであり得る。ばねおよび張力付与ブロック1318は、近位部分1302内部でロックメカニズム(例示せず)によって遠位位置に保持され得る。
ユーザは、近位部分1302内の張力付与メカニズムの端部で、遠位部分1304内の支柱1316(図13参照)が端子ブロック1318の収容用開口部1318a内にスナップ留め/摺動/係止されるような形で、部分1304、1302を合わせて摺動させることによって、近位部分1302に遠位部分1304を連結することができる。この取付けは同様に、制御機構1310または制御タブを近位で、または遠位部分1304から離れるように戻って摺動させ、近位部分1302内のロックメカニズムと予張力メカニズム制御機構1312の整列を可能にすることもできる。近位および遠位部分1302、1304は、取付け後に予張力メカニズム制御機構1312を押圧することでロックメカニズムが解除され4つの張力付与メカニズムが予張力付与されるように構成され得る。当業者であれば、多くの異なる解除方法を提供し得るということを認識するものである。
図13および図14をひき続き参照すると、いくつかの実施形態において、張力付与メカニズム1306は、予張力付与に先立ちアクティブ電極コネクタ(例示せず)に連結され得、予張力付与および切断ステップ中、ガイド1306内部に収納され得る。
近位部分1302内で張力付与メカニズムによって生成された印加力は、支柱1316を通り、整列ブロック1320を通り、遠位端部1308を通り、そしてアクティブ電極コネクタを通して、張力付与ブロック1318から機械的かつ電気的に結合され得る。いくつかの実施形態において、全ての患者接触部域が、使い捨て管腔1303の一部であり得、このため、近位部分1302を含めた再利用可能部分の清浄および再処理が簡略化される。
いくつかの実施形態において、図14に例示されているように、切片化装置の1つまたは複数の再利用可能部分1404は、無菌移送プロセスを用いて、滅菌バッグ1402により囲繞されるかまたはこのバッグの内部に担持される。滅菌バッグ1402は、再利用可能部分1404を囲繞することができ、使い捨て部分1406がユーザによって再利用可能部分に取付けられ得る。バッグを通したアクセスは、バッグ1402のアクセス開口部1408を通して行なわれ得る。いくつかの実施形態において、アクセス開口部1408は移動、並進運動または折り畳み可能なスリーブの後方で開放状態にあるかまたは、開放させられ、かつ/または、ユーザが使い捨て部分および再利用可能部分を連結したときに使い捨て部分の特徴部によって穿刺される。いくつかの実施形態においては、滅菌の分野において無菌性を保持しながら装置の滅菌使い捨て部分と非滅菌再使用可能部分の連結を容易にするため、滅菌バッグ1402内に滅菌アダプタが統合される。当業者であれば、再利用可能部分1402と使い捨て部分1404を提供しこれらの部分の連結を可能にする多くの手段を直ちに認識するものである。現在公知のおよび今後開発されるべき任意の全ての手段が、本明細書において企図されている。
患者接触構成要素から再利用可能な構成要素を分離するための手段を提供するいくつかの実施形態は、再利用可能な組織切片化装置1300の内部に使い捨てインサートを含み得る。使い捨てインサートは、切断後にワイヤを捕捉することができる。いくつかの実施形態においては、切断後にワイヤを収納する内部部域を清浄できるように、装置を容易に分解し、再組立てし、再滅菌することができる。
ここで図15〜図22を見ると、いくつかの実施形態においては、組織切片化装置200が、無線周波数(RF)エネルギなどの電力でアクティブ化すべきワイヤセットのみに張力付与する能力をユーザに提供するような形で、マルチワイヤ組織切片化を提供し得る。この能力は、現在組織切片化に関与しているワイヤのみに対して全電力またはRFエネルギの印加を隔離する上で有用であり得る。具体的には、組織切片化を行なう者は、1つの平面的方向のワイヤ、例えば全ての「X」方向ワイヤのみを、電力またはRFエネルギの導入と共にこれらのワイヤまたはワイヤセットをアクティブ化するために張力付与する能力を有することが有用であると考える可能性がある。これらの「X」方向ワイヤは、アクティブワイヤと不活性ワイヤが電気的に結合する尤度を削減するように、互いに物理的空間内で重複しないように構成され得る。当業者であれば、アクティブ化すべきワイヤのみ、または1つの平面的方向にある全てのワイヤに対して張力付与力を選択的に付与することが考えられるメカニズム1502を作る多数の方法を直ちに想定するものである。
いくつかの実施形態においては、張力付与または電力アクティブ化に先立ちフランジまたはタブ1506などによって所定の場所に係止され得る歯車様のスプール1504の周りに、一定力ばね1503が巻き付けられる。
いくつかの実施形態において、図23を参照すると、一定力ばね2302には、ノッチ2304または追加の係合特徴部が具備されている。1つまたは複数の戻り止めゲート2306が、一時的に係合特徴部またはノッチ2304内に挿入され、こうして、一定力ばね2302は一時的に伸張状態に維持されるように構成されている。戻り止めゲート2306は、一定力ばね2302の一方または両方を係止解除し、ばね2302がワイヤ122、124またはワイヤセット153、160に張力付与できるようにするために、選択的に持上げ、回転、または摺動され得る。いくつかの実施形態においては、ユーザが例えばスロット入りカラー2308を回転させることによってゲート2306を持上げるかまたは係合解除できるように、スロット入りカラー2308を具備することができる。スロット2310は、回転運動が予め選択された回転場所で線形または垂直運動に変わるように、配向され得る。
いくつかの実施形態においては、例えば4個といった複数の戻り止めゲート2306が、4つのばねアセンブリの各ばね2302を係合させるために具備される。いくつかの実施形態において、ゲート2306は、カラー2308の規定の回転角度で上昇するかまたは持上げられるように構成されている。いくつかの実施形態においては、第1のゲート2306aが、第2のゲート2306bが第2のばね2302bから上昇または係合解除する前に第1のばね2302aから上昇または係合解除するように構成されている。カラー2308は、このような形で係合解除を制御するように構成され得る。
いくつかの実施形態においては、カラー2308内のスロット2310の代りに、電動ばねおよび/または二枚弁空気圧器具を使用することができる。
ここで図24および図25を見ると、いくつかの実施形態においては、組織切片化装置には摘出バッグ161、2400が具備される。バッグ2400は、実質的に本明細書の他の部分で説明されているような可撓性コンテナ2402、および切開を通ってバッグ161を挿入するのを補助するための導入器2404を含み得る。いくつかの実施形態において、導入器2404は、ワイヤ/電極がもつれないように保護する遠位形状を有するマンドリルを含むことができる。導入器2404は、バッグ161が患者の腔内に完全に設置された後に取外される別個の構成要素であり得、あるいはいくつかの実施形態においては、組織切片化装置の遠位端部へのアタッチメントであり得、バッグ161が設置された後に取外すことができ、あるいは組織切片化装置の遠位端部として設計された特徴部であり得る。導入器2404はバッグ161、2400内に設置することができ、可撓性コンテナ2402は導入器2404の周りに圧壊され、挿入中所定の場所に保持され得る。アクティブ電極コネクタ2410を挿入中に陥凹させて患者の切開部位上で捕捉される確率を低減できるように、導入器2404の近位端部の陥凹部域2406を提供することができる。
いくつかの実施形態においては、なおも図24〜図25を参照して、導入器2404がバッグ開口部の周りの半剛性リングに引紐2405を機械的に結合するための手段を有し得る。いくつかの実施形態においては、ユーザまたは把持器具が切開部位を通って引紐2405にアクセス可能となるようにバッグから導入器2404を引抜くことができ、こうしてバッグ開口部の露出が所望される場合に引紐2405へユーザがアクセスするのを助けることができる。引紐2405を結合する手段は、当業者にとって公知の、現在開発されている、または今後開発されるべきあらゆる手段であり得、結束、膠付け、溶接、締結(例えばねじ締結具)、または他の任意の手段を含み得る。
当業者であれば、本明細書中に記載の引紐2405および/または他の構成要素が、外科用鋼、可撓性金属材料、金属コーティング、可撓性金属コーティング、滅菌ポリマ材料、ばね、コイル、記憶維持材料、および/または外科手術環境内での意図された使用のためおよび患者への汚染物質の移動を最小限に抑えるために選択される他の材料で作られ得るまたはこれらを有し得るということも理解するものである。いくつかの実施形態において、引紐2405は、導入器2404およびバッグ161、2400を、挿入準備されたまたは圧縮された構成に付勢するように構成され得る。
いくつかの実施形態においては、図26に例示されているように、ユーザがバッグ161を露出できるようにするため、安全なつなぎを形成するための管材料と統合されたリターンケーブルを提供することができる。いくつかの実施形態において、摘出バッグ161は、低圧空気を用いて膨張させることのできる複数の膨張部域2604をバッグ内部に含む。これらの膨張部域2604は、バッグ161内への組織検体の詰め込みを補助する目的でバッグ開口部および/またはバッグ161の側壁に対して剛性を提供するために使用される。膨張部域2604は、リターン電極ケーブル2602と共に、摘出バッグ161が組織検体の詰め込みのために挿入された時点で患者の体外に突出する共通の膨張管2606を含むか、またはこれに結合され得る。
いくつかの実施形態において、リターン電極ケーブル2602および膨張管2606は、摘出バッグ161から退出するところで、共に機械的に取付けられ機械的に支持され、こうして、組織検体が詰め込まれた後、切開部位に向かってバッグ161を引張るための手段として使用され得るようになっている。バッグ161を収縮させた後、バッグ開口部またはバッグ開口部の一部分が露出されてユーザが残りのバッグ開口部を患者の体外に引出すことができるようになるまで、リターンケーブル/膨張管アセンブリ2602、2606を引張ることにより、切開部位を通ってバッグ開口部を引張ることができる。リターン電極ケーブル2602と管材料2606のこの統合は、成形されたアセンブリであるか、両方の構成要素の周りに貼付されたフィルムであるか、1つのアセンブリとして共に積層されるか、共通のアタッチメントの長さに沿って共に縛られるか、あるいは接着剤または他の手段を用いて固着され得る。
ここで図27を見ると、システム100のための組織摘出バッグ2700が提供され得る。バッグ2700は、バッグ2700の内部表面に対して電極/ワイヤをしっかり固定するために穿孔2701を含む薄いフィルム層2702を使用することができる。これらの穿孔2701は、予張力ステップ中電極/ワイヤの解除を制御するように設計され得、または選択された場所で電極/ワイヤを部分的に解除し、切断中の電極/ワイヤの走行の間残りの場所で電極/ワイヤを解除するように設計され得る。いくつかの実施形態において、穿孔2701は、1センチメートルあたりおよそ4〜5個の穿孔(つまり2.54センチメートル(1インチ)あたり約12個の穿孔)となるようにサイズ決定/間隔取りされ得る。いくつかの実施形態において、1センチメートルあたり3〜4個の穿孔(つまり2.54センチメートル(1インチ)あたり約8個の穿孔)が選択されてもよい。予張力付与中の電極/ワイヤの解除の制御は、穿孔層が中に設けられる材料の厚みおよび剛性と共に、穿孔2701を含むフィルム2702の厚みTおよび弾性と組合わせた、長さあたりの穿孔構成の選択によって達成され得る。
さらに、フィルム2702がバッグ2700に取付けられていない寸法の幅Wは、ワイヤチャネル2707を画定する。このワイヤチャネル2707は、電極/ワイヤ151、122、124を解除するために必要とされる分離を創出するように張力付与力が加えられる場合にワイヤ(例えば例示されているようなワイヤ151、または本明細書中に記載の任意のワイヤ122、124または電極)が穿孔2701を見出す能力に関係する重要な寸法である。この幅Wは、材料2702の弾性および/または厚みTと組合わされて、先に説明された長さあたりの穿孔の値およびパターンに加えて、最適なワイヤ解除性能を提供するように調整され得る。
いくつかの実施形態において、組織摘出バッグ2700のためのワイヤチャネル2707の幅Wは、0.5センチメートル未満(つまり約0.200インチ未満)である。いくつかの実施形態において、幅は約1.63センチメートル未満(つまり約0.064インチ未満)である。ワイヤ151が穿孔を分離する確率を増大させるのを補助する別の手段は、ワイヤ151がチャネル2707内をルーティングされるにつれて、穿孔2701のラインを見出す可能性がより大きくなるように、フィルム2702内で互いに平行に多数の穿孔ライン2701を有することである。
これらの値の適切な組合せを選択することで、切断中に電極/ワイヤが前進するにつれて前進する形での電極/ワイヤの解除を得ることができ、かつ、穿孔チャネル2707に沿って電極/ワイヤが誘導され得、結果として、より予測可能な切片化切断が得られる。これは、穿孔2701を有する一部のまたは全ての区分を横断して同じ長さあたり穿孔値によって達成され得、異なる区分内の異なる長さあたり穿孔値を用いることによって増強され得、長さあたり穿孔値を増大または減少させる線形、対数または他のパターンであり得、あるいは、電極/ワイヤが走行するにつれて分離を増強するためにオープンエリア2709が後続する穿孔2701のパターンであり得る。
当業者であれば、バッグの内部には多数のワイヤが使用されることから、組織に対してRFエネルギなどの電力を印加するように意図されたワイヤセットが、電力またはRFエネルギを有するように意図されていないワイヤセットのごく近くで交わるところに交差点が創出されるということを認識するものである。或る量の電力が、容量的に、誘導的にまたは導電的に不活性ワイヤセットに結合する傾向をもつ。アクティブ電極の総表面積が増大することから、これは結果として電流密度を低下させ得る意図されないワイヤセットの切断をもたらす可能性があり、そのため、所望される切断性能は達成されない。したがって、この結合は、意図されないワイヤセットの切断を回避するように管理されなければならない。
図99を手短に参照すると、いくつかの実施形態においては、バッグの壁9906の一部分またはフィルム9910の中に1つ以上の電極ワイヤ9908を成形するかまたは収納することができる。図99は、いくつかの電極ワイヤ9908をどのように位置付けできると考えられるかについての平面図を例示する。
いくつかの実施形態において、結合は、意図されたワイヤセットと意図されないワイヤセットの間でより高い隔離を提供することによって、電気的に管理され得る。これは、交差点においてチャネルの穿孔部分を整列させることによって達成可能である。これにより、導電結合にとって最大のメリットが提供され、容量結合のためにより高い誘電体が提供される。
隔離を増大することに加えて、電場の全体的振幅を削減することができる。これは、組織に対するアクティブワイヤの曝露量を制御することによって達成される。ワイヤと組織間の接触が増大するにつれて、有効なインピーダンスは減少し、その結果ワイヤに沿った電場の振幅は低くなる。さらに、ワイヤセット上の電圧が、アーク放電の始まるレベルに達するにつれて、アーク経路は優先的に組織内となり、意図されないワイヤセットは通らない。
結合は、意図されないワイヤセットと対比して、切断が意図されたワイヤセットに対してより高い機械的負荷を提供することによって機械的に管理され得る。これは、別個の予張力を用いてか、または切断プロセスの持続時間にわたり印加される異なる力を用いて達成可能である。意図されたワイヤセットと意図されていないワイヤセットの間に結合が観察された場合、意図されたワイヤセットが組織内を前進するにつれて、2つのワイヤセット間の力の差が2つの間の分離を増大させることになる。分離の増大は、2つのワイヤセット間の結合の振幅を、究極的には有意でないレベルまで減少させる。
図27をひき続き参照すると、バッグ材料内の穿孔2701は、力または温度上昇に補助された力によりワイヤの解除が可能になるまで、ワイヤをしっかり固定するかまたは収納するための一時的方法として使用され得る。当業者であれば、穿孔を含むかまたはワイヤを取付ける材料が、非常に低い融点を有するフィルムである場合には、ワイヤチャネルは、主として電力またはRFエネルギのアクティブ化で創出された温度により解除するように構成され得るということを理解するものである。このようにして、機械力は、バッグからワイヤを解除する二次的手段であり、切断のためにアクティブ化されるアクティブ電極ワイヤは、開始時点でチャネルからより容易に解除されることになる。
ワイヤセットがバッグ穿孔から離脱する能力を増強するために、1つの特徴部をワイヤと組合わせることができる。例えば、ワイヤ151は、ワイヤが組織を通って移動するにつれて穿孔を切断するかまたは穿孔の引裂を改善するためにワイヤまたはテフロン(登録商標)管材料に取付けられるくさび状の特徴部を有することができる。
いくつかの実施形態は、切開部位を通って摘出するには切断された組織切片が大きくなり過ぎる尤度を低減させるように構成され得る。いくつかの実施形態においては、多数のアクティブ電極ワイヤセット層がバッグの層に対して穿孔を用いて取付けられる。
例えば、電気手術装置102が、4つの別個のアクティブ電極ワイヤセットに電力を印加する4つの張力付与メカニズムを有するように設計されている場合、バッグは、外側層、外側層に結合されたリターン電極を有する第2の層、およびバッグの内部に積層された一連の内部層を含み得る。これらの内部層の各々は、穿孔を用いて取付けられた4つのアクティブ電極ワイヤセットを有する層の長さに沿って走る穿孔を伴う絶縁層であり得る。これらの層は、それらが外側層内に容易に挿入され得るように外側層の形状に適合し得る。層は同様に、内部層が所定の場所にあるとき、リターン電極が組織に対して曝露されるような形で、各層の底部部域内に1つの開口部を有することもできる。ユーザは、最内側層から電気手術装置102に対してアクティブ電極ワイヤセットのコネクタを取付けることができる。
組織切片化は、出願人の同時係属出願の国際出願PCT/US15/41407号明細書中に記載されている通りに行うことができる。切片化が完了し、ワイヤが層から除去された時点で、層は、外科医が手で、例えば内側層の曝露部分を引張り層内の穿孔を分離させてフィルムを除去できるようにすることによって除去され得る。この除去によって、アクティブ電極ワイヤセットコネクタの次のセットが曝露される。ここで先に説明したものと同じ形で、組織摘出バッグに対して、第2の電気手術装置102つまり完全に伸張した位置に再詰め込みされ得る装置を連結することができる。当業者であれば、これにより切片化切断の数が増大し、全ての切片化ステップが完了した後に大きな組織切片が残る可能性は低減するということを理解することができる。バッグの層は、各々の内部層が他の全ての層からわずかに回転させられて、全ての切片化ステップが完了した後に大きな組織切片を残す尤度をさらに削減するような形で構築され得る。
ひき続き図27を参照すると、フィルム2702は複数の異なる領域、いくつかの実施形態においては2つの領域へと分離される。バッグ2700aの底面は、例示されたような半球状領域であり得る底部領域2706を含むことができるが、当業者であれば、バッグ2700の特定の目的に応じてボックス形状または他の任意の形状を選択することができるということを理解するものである。バッグ2700の側面は、側部領域2704を有することができる。予張力および切断中に電極/ワイヤにより組織検体に対して印加される力に起因して、底部領域2706内の力は側部領域2704内の力よりも小さく、これにより、底面からの解除の前に側面からのワイヤの解除を付勢することができる。この傾向に対抗するため、当業者は、底部部分における第2の厚みT2とは異なる、例えば第2の厚みよりも厚い、側部部分における第1の厚みT1を有するフィルム2702を提供することが望ましいかもしれないということを理解するものである。第1のパターンの穿孔2701を有するフィルム2702の側部区分および第1のパターンの穿孔2701とは異なる第2のパターンの穿孔2701を有するフィルム2702の底部区分を提供することが望ましい場合もある。
例えば、図27は、底部部域2706が厚み0.001インチ(25.40μm)のフィルムおよび1インチあたり12歯(1センチメートルあたり約4.72歯)の穿孔を有して、穿孔2701を分離するためにより低い破断力を提供している実施形態を例示する。側部領域2704は、底部領域2700a内に比べて側部領域2704内で穿孔2701を分離するためにわずかに高い力が必要とされることを保証するために、厚み約0.0022インチ(約55.88μm)のフィルム2702および1インチあたり8歯(1センチメートルあたり約3.15歯)の穿孔2701を有することができる。この実施形態は、組織検体の操作および詰め込み中、底部領域2700aに比べて側部領域2704上でより高い力が発生して、詰め込みプロセス中に不具合が発生する心配をせずに底部領域2700a内でより低い穿孔力を使用できるようにするという事実を有効に利用するものである。この構成は同様に、電極/ワイヤが予張力ステップに伴ってまたはこのステップ中に完全におよび/または時期尚早に解除しないようにより高い側部領域力をも有効に利用する。これにより、電極/ワイヤを切断中に解除させて、穿孔2701が、組織を通したワイヤの走行と穿孔2701を整列させるためのガイドとして作用するようにすることが可能になる。
穿孔パターンの他の例が、図27に例示されている。いくつかの実施形態においては、電気手術装置のための回収バッグの製造方法が提供され得る。この方法は、少なくとも部分的にフィルム2702でコーティングされた内部領域を有する可撓性バッグ2700を提供するステップ、および少なくとも1つの電気手術電極またはワイヤの解除パターンを制御するように構成されたパターンでフィルムを穿孔するステップを含み得る。諸方法は、側部部分に第1の厚みT1を有し底部部分に第2の厚みT2を有し、第2の厚みT2が第1の厚みT1と異なっているフィルム2702を提供するステップを含み得る。
いくつかの実施形態において、開放窓2709を提供すること、つまり所望の間隔または場所で穿孔層を省略することにより、図27に例示されているように、バッグからのワイヤの解除が補助される。これらの窓2709は、ワイヤ151を拘束せず、アクティブ電極ワイヤ151と組織の間の直接的接触を可能にする。穿孔または穿孔壁の部域は、整列を維持するためのワイヤ151の一時的取付けを提供する。
穿孔壁に対する窓2709の比率は、穿孔を通してワイヤ151を解除するために必要とされる力を制御するため、長さあたりの穿孔値と類似の要領で調整または選択され得る。さらに、穿孔壁は解除に先立ちアクティブ電極ワイヤ151をカバーすることから、穿孔壁は、隔離層を提供することができ、かつ/または隔離層が穿孔壁を有することができる。
組織検体の周りの所望される場所に設置された窓2709を有する実施形態においては、切断の始動および早期の切断遂行を強化することができる。例えば、ワイヤ151の機械的負荷および電場分布に起因して、アクティブ電極ワイヤは、バッグの側壁の第1の部分において切断の始動を優先的に開始することができる。第1の部分またはその近くに窓2709を設置することで、この始動は強化されることになる。対照的に、第2の部分またはその近くに壁を設置することで、切断の始動は、第2の部分に向かって移動させられる。一方、第1の部分またはその近くに穿孔壁を設置すると、アクティブ電極ワイヤ151上に創出された電圧が穿孔壁を通してアークを創出するのでないかぎり、第1の部分における切断の始動は制限される可能性がある。したがって、窓および/または穿孔壁はバッグの選択された部分が切断中の組織の第1の部分を提供するような形で構成され得る。
すなわち、切断は、組織の第1の領域から組織の第2の領域に向かって走行するように制御され得る。
ここで図28を見ると、穿孔801または穿孔壁2883は、いくつかの実施形態において、バッグの開口部領域まで延在しておらず、こうして、電極またはワイヤの近位端部が製造中コネクタ2884へと容易に終端されかつ/またはユーザがワイヤセットコネクタを容易に誘導できるようにすること、またはワイヤコネクタに取付けられるよう意図された切片化器具または他の装置内の対応するレセプタクルに対するワイヤの終端を可能にしている。バッグ開口部近くで穿孔壁によってしっかり固定されていない電極またはワイヤの部分を有することで、ワイヤはバッグの内部表面から離れるように自由に伸張することが可能になる。
手短に図100を参照すると、バッグ10000は、ワイヤ/電極10006の設置を管理するため、外側バッグ10002とエプロン10004を含み得る。
ここで図28を見ると、詰め込み中の損傷からワイヤを保護するために、バッグ内には「エプロン」または追加のフィルム層2885が具備されている。このエプロンは、バッグ開口部に対して近位端部においてまたはバッグ開口部の近くで取付けられ得る。エプロンは、連続的な円筒形形状を有するかまたは、バッグの内部の周囲に延在する一連のセグメントであり得る。エプロンは、ワイヤおよび/またはコネクタがエプロンとバッグ内の別の特徴部との間にあるように位置付けされ得る。エプロンは、穿孔によって収納されていないあらゆるワイヤがエプロンの下方にとどまるように、穿孔の近くまたは穿孔を超えた点まで、バッグの内部表面に沿って遠位に延在し得る。エプロンがあることにより、組織はワイヤまたはワイヤコネクタと直接接触せず、より容易に詰め込みされ得る。エプロンは同様に、詰め込み、バッグの操作および露出中、ワイヤを保護することもできる。
エプロン2885は、ワイヤセットの近位部分またはコネクタを一時的に保持するための1つ以上の袋2881を有することができる。
当業者であれば、エプロンは、バッグ表面上に位置設定された任意の特徴部が検体の詰め込みを妨げ得る場合にメリットを有し得ること、および/または詰め込み、操作、露出または他の手技ステップ中に保護するためのメリットとなり得ることを理解するものである。いくつかの実施形態においては、エプロン2885が、先に説明した電極またはワイヤ151、ワイヤ、ケーブルまたはメッシュなどの機械的部材、バッグ表面の突出部、監視電極、温度センサ、圧力センサ、バッグ内に埋込まれた特徴部、および/またはバッグ内に位置設定された、またはバッグ内に設置されたまたはバッグの内部表面の近傍で使用される他のアイテムを隔離または保護することができる。
エプロン2885は同様に、詰め込み後バッグの中味を保持する一助となるべく、収納フラップ2986(図29参照)として使用されてもよい。収納フラップ2986は、組織がバッグ内に詰め込みされるのをエプロンが制限しないような形で、詰め込まれた組織検体とバッグの内部表面との間にとどまるようにサイズ決定され得る。収納フラップは同様に、組織がバッグ内に詰め込まれたとき組織が落下するかまたはエプロンの最遠位縁部の下方に置かれるか、または収納フラップの最遠位縁部が、詰め込み完了後に組織の上方に上昇され得るような形で、サイズ決定されてもよい。その結果、エプロン2885は、組織の時期早尚なまたは意図的でない摘出または変位を制限するように構成され得る。
いくつかの実施形態において、装置102、200は、取外し可能なエプロン2885を伴うバッグを有することができる。取外し可能なエプロン2885は、バッグおよび1つ以上の切断用電極ワイヤ151の内部に選択的に位置付けされ得る。取外し可能なエプロン2885は、ワイヤ151を曝露するためバッグとの関係において移動可能であり得る。
いくつかの実施形態においては、引紐2987が具備され、ユーザが収納フラップを閉鎖し、又は組織検体を捕捉しかつ流体を収納することができるようにするため、収納フラップ2986の底面または遠位縁部に位置付けまたは位置設定され得る。この特徴は、バッグの中味がバッグの操作および露出中収納されるよう所望されている場合、例えば組織検体が癌細胞を含むと考えられているかまたは疑われている場合に有益であり得る。収納フラップおよび引紐は同様に、組織の詰め込み中バッグ特徴部を保護することもできる。
いくつかの実施形態においては(図29参照)、2つのエプロン層、すなわち先に説明したようなバッグ特徴部を保護するための第1のエプロン層2885、および実質的に本明細書中で先に説明した通りの形で組織検体を収納するために使用できる第2の収納フラップ層2986を提供することができる。
組織検体の詰め込み後、収納フラップ2986は、バッグ開口部を露出するのを支援するために使用可能である。周囲に沿って収納フラップの遠位縁部に結合される引紐2987を用いて、切開部位を通って引紐を引張ることにより、組織検体の周りで収納フラップの遠位縁部が持上げられ開口部が切開に向かって引き寄せられることになる。引紐は収納フラップを閉鎖するかまたは実質的に閉鎖し、切開を通ってそれを誘導することができる。バッグ開口部は、それが切開開口部を通って引張られるにつれて、この切開開口部をたどることができる。バッグがその意図された露出位置に達した時点で、バッグは開口部の周りで半剛性部材2889と共にしっかり固定され得、固定のため膨張され得、あるいは、外科医助手によって所定の場所に保持されることを含め他の機械的手段を用いて保持され得る。引紐は緩めることができ、収納フラップを広げかつ/または切断して電極および/またはワイヤまたはワイヤコネクタなどの内部表面上のバッグ特徴部に対するアクセスを得ることができる。
いくつかの実施形態においては、露出後までエプロン2885が所定の場所にとどまることができるように、バッグを露出する別個の手段を使用することができる。バッグは、バッグ開口部を切開部位に向かってこの切開部位を通って誘導する一助となる半剛性部材2889に対してリード線または縫合糸2888(図28参照)を結合することによって、露出され得る。露出の後、エプロンはアクセス可能であり、組織検体の周りで切開部位から外へ持ち上げられ得、ここでエプロンは切断されているかまたはユーザがそれを引き離すことができるようにする穿孔特徴部2890を有することができ、これにより電極および/またはワイヤまたはワイヤコネクタ2884などの内部表面上のバッグ特徴部にアクセスすることができる。この実施形態には、詰め込みおよび操作中に組織検体と接触したエプロン層の部分と腹膜または切開部位が接触する可能性を低減させるという追加のメリットがある。エプロンは、内部バッグ体積内で幾分か圧壊し得る。この「カーテニング」効果により、エプロンはバッグの内部表面のごく近位に留まらないようにされてい。エプロンの最遠位部分を所定の場所に保つ一助となるように、エプロンおよびバッグの内部表面上の対応する場所に1つの特徴部を追加することができる。
いくつかの実施形態においては、図30に例示されているように、エプロン3085上の特徴部またはタブ3092を、エプロンの底面または遠位部分内に具備することができる。対応する特徴部、つまりスロット3093を、バッグの内部表面に追加されたフィルム層内に具備することができる。製造中はスロット内にタブを挿入しておき、タブをスロットから引出してエプロンの遠位端部を解放するための力をユーザが印加するまで、バッグ表面の近くにエプロンを保持する一助とすることができる。
バッグの内部表面に接してエプロンの遠位部分を保持する1つの方法は、バッグの周囲の小さい場所を溶接するかまたはヒートシールすることである。この溶接は、バッグを所定の場所に保持するもののユーザがエプロンを除去するための力を印加したときに容易に破断して解放するように設計されている。さらに、遠位エプロンのより大きな部分を、ユーザがエプロンを引き離すことができるようにエプロンに追加された穿孔を伴うバッグの内部側面に溶接することができる。
いくつかの実施形態において(例えば図28参照)、バッグの内部表面は、ユーザによる連結までワイヤ圧接コネクタが存在するための場所を創出するように構成された位置付け特徴部を有することができる。位置特徴部は、バッグの内部側面内に創出された袋、折り目またはポケット2891であり得る。このポケットは、1つ以上のコネクタを収容しかつ/またはコネクタが使用されることになるまで所定の場所にコネクタを取外し可能な形で保つように成形され得る。いくつかの実施形態においては、袋の底面内の開口部が提供され、コネクタをこの開口部内に設置することはできるもののコネクタが開口部を通って非意図的に落下して戻ることはできないようにサイズ決定され得る。
いくつかの実施形態において、バッグは、ワイヤがスロット内に設置され得コネクタがポケット内に設置され得るように、頂部に開口部を伴うポケットと側面に沿ったスロットを有する。
いくつかの実施形態において、ポケットの場所は、連結を可能にするため、切片化器具上の連結部と整列するように選択される。いくつかの実施形態においては、バッグの挿入、組織検体の詰め込みおよび/または露出中にコネクタを保護するためにエプロンの下にとどまるような形で、1つの袋、複数の袋、1つのポケットまたは複数のポケットが近位バッグ開口部のわずかに下方に設置される。
エプロンの1つの利点は、それが、詰め込み中にワイヤおよびコネクタを邪魔にならない所に保つという点にある。異なるワイヤセットをカバーするために多数の異なるエプロンを使用し得ると考えられ、この場合、1つのエプロンが、器具への連結のために1つ以上のコネクタを曝露するように最初に除去され得、その後で第2のエプロンが除去されて1つ以上の他のコネクタを曝露する。別の実施形態においては、1つのエプロンは、ワイヤを邪魔にならない所に保ちながら器具に対する連結を可能にし、偶発的なワイヤのもつれを回避するため、ワイヤコネクタ用の開口部を有することができる。この実施形態においては、コネクタ開口部を伴う1つ以上の第1のエプロンが、コネクタに対するアクセスをなおも可能にしながらワイヤをカバーすることができ、その一方で、器具との連結に先立ちコネクタを保護するという主要目的のために1つ以上の第2のエプロンを使用できると考えられる。
バッグは、穿孔の上方でバッグ開口部の近くで整列を維持するように、共通のワイヤセットを収納する追加のガイドを含むことができる。ガイドは、ごく近位で共通のワイヤコネクタ内に共に圧接されるかまたは取付けられたワイヤを保持するための熱収縮、管材料および/または他の手段を含み得る。例えばワイヤコネクタの近くの場所にある穿孔の上方など、ワイヤが共に保持されている場合に意図された通りの性能を示すことができるワイヤに沿った場所で、1つ以上のガイドが使用されてよい。
手短かに図98を参照すると、いくつかの実施形態においては、複数のワイヤ9804、9805または電極を有するワイヤセット9810の相対的配置を制御するために、ガイド管腔9802を具備することができる。ガイド管腔9802の近位端部は、装置102の残りの部分に対してワイヤセット9810を取付けるため、コネクタ9808に結合されているかまたはコネクタ9808と一体であり得る(例えば図1−Q参照)。ガイド管腔9802は、いくつかの実施形態において、可撓性であるかまたは比較的堅くてよい。いくつかの実施形態においては、隔離用コーティング9806または材料によって、電極ワイヤのための隔離ゾーンが提供され得る。隔離用コーティング9806または材料は、ワイヤ9804、9805が組織検体の周りに位置付けされた時点でより適切に間隔取りされるように、ワイヤ電極9804、9805を互いから離れる方向に付勢するように構成され得る。
ガイドは、ワイヤをその対応するワイヤチャネルへとルーティングするために分離させる必要のある点に向かって、バッグ開口部に近位の位置から延在し得る。ガイドのこの遠位終端は、ワイヤがワイヤチャネルを退出するにつれてバッグ内側表面のごく近くに自然にとどまるような形でワイヤに過度の張力を創出しないように選択されるべきであり、同様に、組織の詰め込みまたは導入器管が前進する間に組織に予張力を印加するプロセスを妨害してはならない。
バッグ開口部の近くでワイヤを誘導するためのいくつかの実施形態は、伸張されたワイヤチャネルを含むことができる。これは、独立して使用されてよく、または熱収縮または先に説明したようなワイヤを捕捉する他の手段と併用されてもよい。伸張されたワイヤチャネルは、製造中に内部に設置されるべきワイヤ用の狭いチャネルを創出する2つのポリウレタンフィルムで構成され得る。フィルムは、バッグの内側表面に取付けられたワイヤチャネルの伸張部分であり得、穿孔の上方でバッグの内部表面に取付けられていてもいなくてもよい。
いくつかの実施形態においては、最大の組織検体の高さまで、そしてこの場所より上方のバッグの内側表面から解放された状態でバッグの側壁に取付けられる共通のフィルムを提供することができる。コネクタは、ワイヤコネクタとバッグ上のワイヤチャネルの間でのワイヤの収納をなおも維持しながら、切片化器具に対する連結を容易にするためにバッグから引出され得る。
いくつかの実施形態において、2つのフィルム層は、収納が望まれる管腔を形成するため、RF封止、溶接、および/または他の任意の手段により共に付着される。いくつかの実施形態においては、ユーザがワイヤをガイドから解除できるようにするため、穿孔が具備される。フィルムは同様に、予張力を加える前にユーザがフィルムを通してワイヤを「引裂」して、切断手技に備えて切開部位内への予張力導入器管の無制限の走行を可能にすることができるように、薄い内部フィルム層を伴って設計され得る。
いくつかの実施形態においては、コネクタに近い近位終端がバッグの内側表面に一時的に取付けられている状態で、伸張したワイヤチャネルがエプロンの下側に位置設定されている。この取付けは、ワイヤ連結を行なうときにユーザが引裂するための穿孔を伴って設計されているヒートシールされた連結部によるものであってもよいし、ユーザがバッグの内側表面から伸張したワイヤチャネルを「引裂」できるような薄いフィルムであってもよいし、伸張したワイヤチャネルが製造中に内部に据え付けられるバッグの側面内のスロットおよび/またはバッグの内側表面に対しこのチャネルを取付ける他の方法を用いて取付けられてもよい。いくつかの実施形態において、取付けは、ワイヤ連結中にユーザが除去できる、製造中コネクタが内部に設置される開口部の近くのバッグの領域または袋を使用することによって、ワイヤコネクタを用いて行なうことができる。
伸張したワイヤチャネルの形状は、バッグの内部から解除されたときにワイヤを捻回する可能性を削減するように設計または構成され得る。いくつかの実施形態においては、比較的幅広の伸張したチャネルが具備され得る。いくつかの実施形態においては、複数のワイヤチャネルが具備され、同じ伸張したワイヤチャネル上に並列に整列させられる。この伸張したワイヤチャネルの幅は、ユーザが連結を行なうにつれてのワイヤの捻回に耐えるものである。いくつかの実施形態においては、この捻回防止特徴部を増強するべくワイヤチャネルフィルムに対してマイラーストリップまたは他の材料が取付けられる。いくつかの実施形態において、マイラーストリップまたは他の材料は、フィルムの外側層と第3の層の間に設置されて、伸張したワイヤチャネルが適正な位置で自然に整列した状態にとどまるようになっている。
いくつかの実施形態は、切片化器具の内部に別個のチャネルを提供する。例えば、切断中に張力付与メカニズムを同様に整列させるトレイが別個のチャネルを提供し得る。器具の内部で異なるワイヤセットを別個に保つことで、これらのワイヤセットが張力付与を受けるにつれて、および切断が進行するにつれて、異なるワイヤセットの各々との潜在的なもつれまたは干渉が取り除かれる。
先に説明されたガイド構造は、露出の後検体バッグに対するワイヤコネクタの長い分離を可能にするようにワイヤ長が設計されている場合、または、内容全体が参照により本明細書に組込まれている出願人の同時係属の米国特許出願第14/805,358号明細書中に記載されているような張力付与メカニズムに連結部が固定されている場合に、極めて重要になる。
いくつかの実施形態において、リターン電極ケーブルは、検体バッグの遠位部分または底面からバッグの側壁に沿ってバッグ開口部の外へ延在する。切断が劣化しないように保証するためには、リターン電極ケーブルがワイヤセットと干渉しないように保証する手段が重要である。このリターン電極ケーブルは、ケーブルを内側側壁に固着することによってワイヤセットチャネルを収納するワイヤチャネルと類似の形で、ポリウレタンフィルムで構成されたリターン電極ケーブル「ワイヤチャネル」の下のワイヤセットの間の場所の中にケーブルをルーティングすることでワイヤセットから分離され得るか、あるいはポリウレタンフィルムの層間でルーティングされ得るか、または電気的隔離を確保するために絶縁層が追加された状態でバッグ表面上に導電性材料を被着させることによって創出され得る。
切片化器具は、検体バッグの露出された部分の上の特定の特徴部に対して器具の配向を視覚的に整列させる外部表面上の標示を含むことができる。これにより、切片化器具に対する検体バッグのワイヤコネクタの連結中、ユーザが適正な整列を保つことが可能になる。整列特徴部は、ラベル、挿入された特徴部、オーバモールドされた特徴部、ハウジング内の成形特徴部、シルクスクリーン加工された形状、類似のカラーを有する形状、登録番号または他のシンボルまたはユーザにとっての他の識別手段であり得る。いくつかの実施形態は、遠位管の外部ハウジングに対して軸方向に適用された対比ラインを含むことができ、こうしてラインがリターン電極ケーブルと整列状態に置かれたとき、器具は、ワイヤ連結を行なうために検体バッグと適正な整列状態にあるようになっている。
導入器管が検体バッグ内にそして組織検体に接して伸張させられた状態で、ワイヤ内部の緩みはことごとく除去され、ワイヤセット全てに対して張力が加わる。この張力は、導入器管の遠位端部から切片化器具の内部のワイヤ連結点まで、ワイヤを整列させる。この整列によって、各々のワイヤセットが他のワイヤセットを妨げることなく器具内部を前進できることが保証される。この整列が無い場合、アクティブ化されていないワイヤセットが切断中のワイヤセットを捕捉するかまたはこれともつれる可能性は増大する。
ここで図31を見ると、システム100のための回収バッグ3130が提供され得、このバッグ3130は膨張可能な特徴部を含み得る。バッグ3130の膨張は、膨張されたまたは膨張可能なセル3132のハニカムパターンを用いて達成され得る。複数の膨張可能なセル3132は、患者とバッグ3130内部の電極/ワイヤの間の熱障壁を提供し得る。内側層が穿刺されるかまたは熱的に機能しなくなった場合、セル3132は圧壊して、残りのセル3132を無傷の状態に残し、熱的保護を提供し続けることになると思われる。いくつかの実施形態において、セル3132は複数の膨張チャネル3132を含むことができ、これらのチャネルの一部または全てが、別個のシリンジまたは栓などの別個の圧力保持手段を伴う。いくつかの実施形態において、バッグ3130は、加圧下で捕捉される静止空気を有する小さい独立した部域を含み得る。
膨張したセル3132は、組織検体または電極と摘出バッグの外部表面の外部の隣接構造との間に、追加の断熱障壁を提供する。対照的に、バッグ全体を単一のセルとして膨張させた場合、層のうちの1つの不具合が、膨張および断熱を喪失させることになると考えられる。バッグ3130内に多数の独立した膨張部域3132を提供することによって、個別の領域内の層の1つが機能しなくなった場合、その層の断熱は失なわれるかまたは低下する可能性があるが、残りの膨張セル3132は断熱を提供し続け、患者に対しひき起こされるあらゆる熱損傷を最小限に抑える。
図31をひき続き参照すると、各々別個の圧力源または別個の圧力保持手段を伴う多数の膨張部域3134(1、2、3、4とラベル付け)を伴う摘出バッグ3130が提供され得る。当業者であれば、任意の数の膨張部域3134を提供できること、および膨張させるために同数のまたはより少ない数の手段を提供できることを理解するものである。例えば、第1の膨張部域3133を第2の膨張部域3135に対して流体的に結合し、単一の加圧源1で両方の部域3133、3135を加圧できるようにすることが可能である。
いくつかの実施形態においては、膨張特徴部または機能が、ワイヤチャネル内部に統合されている。例えば、チャネルには第3の層を具備することができる。第1の層は穿孔層であり、第2の層は境界層であり、第3の層は底部層である。境界層および底部層は封止され、こうして低圧空気または流体が適用されたとき、チャネルが膨張してワイヤチャネルの直下に構造を提供するようになっている。このことには、ワイヤの直下に断熱を提供する上でのメリットがあり、このことはチャネルからのワイヤの解除を補助する構造を提供する一助となる。
ここで図32を見ると、組織切片化のためのいくつかの実施形態は、電極またはワイヤを通して組織に印加される電圧および電流と組合わせてまたはこれらとは独立して、超音波エネルギを用いて電極またはワイヤに対し振動運動を提供するステップを含む。先に説明した通り、ワイヤ122、124上の機械的負荷F(図2も参照のこと)は極めて重要な意味をもち、一定力であってもよいし、あるいは動的に印加されてもよい。動的載荷には、振動の使用が含まれ、ここで、ワイヤまたはワイヤ端部上で高周波振動を生成するためにトランスジューサが使用され得る。振動を創出するための超音波の使用は、単独でまたはRFエネルギと共に用いられてよい。いくつかの実施形態において、超音波トランスジューサは、切片化器具上にある。バッグ上のワイヤコネクタが切片化器具に連結された場合、力を印加するためにばねまたは代替的手段を用いて検体を通してワイヤが引張られている間に、超音波または高周波振動がバッグ内のワイヤに伝達される。
いくつかの実施形態においては、ばね3206または機械的負荷を印加する他の手段を含み得る張力付与メカニズム3204の端部に対して、圧電性結晶または圧電性結晶スタック3202が結合されている。例示されている通り、アクティブ電極ワイヤ3208が、張力付与メカニズム3204に直交して振動するアーム3212上に機械的に連結され得る。振動アーム3212は、圧電性結晶3202に対して音響的に結合され得る。結晶3202は、変位を増幅するために超音波ホーン3214またはカップリングを使用することができ、超音波範囲内の捩れ運動が電極またはワイヤに沿って軸方向にまたは長手方向に振動をひき起こすような形で配向され得る。
最適な周波数での振動を駆動するために、圧電性結晶の電極に対して制御システムを適用することができる。制御システムは、位相ロックループを利用して、ワイヤを通して組織内へ最高の超音波出力伝達を提供する最適化された周波数に制御することができる。位相ロックループは同様に、張力付与装置によって印加される最低の力から最高の力までの振動を維持するように設計された振幅変調された利得段を有することもできる。RFエネルギ切断に対する補足物として使用される、恒常な変位を維持しない固定振動またはウィーンブリッジ発振器などの他の制御システムを利用することが可能である。
いくつかの実施形態においては、導入器(図5参照)が、切開部位のための保護スリーブとして作用し得る。いくつかの実施形態においては、図32を再び参照して、電極/ワイヤ3217の一方の側は、張力付与メカニズム3204上の定位置3216において終端され、ワイヤ3217のもう一方の側は、圧電性結晶3202の振動部分に連結される。したがって、ワイヤ3217は、拡張および収縮し、組織界面に対するワイヤ3217の撹拌および摩擦熱応答を伴って組織切片化が発生し得るようにするように構成される。ワイヤ3217は、検体全体を捕捉し大きな切片を切断するように構成され得、または、いくつかの事例においては機械式分割器と類似の要領で、より小さい切片として摘出されると思われる組織検体のより小さい部分を切断するように構成され得る。
ここで図33を見ると、1つ以上のワイヤ電極3302および組織摘出バッグ3304を有する組織切片化装置102、200(例えば図1−Qまたは図2を参照)が提供され得る。ワイヤ電極3302は、組織摘出バッグ3304の内部上のフィルム3306内にワイヤ電極3302を埋込むことによって、組織摘出バッグ3304に結合され得る。ワイヤ電極3302に電力を印加し、フィルム3306を破壊させることによって組織切断効果を始動させることができ、これによりワイヤ電極3302がバッグから解除され、組織とワイヤ電極3302の間の火花が始動されて組織切断効果が達成される。
当業者であれば、概して、切断効果を開始させるためのワイヤの始動は、RFエネルギなどの電力が印加された時点のワイヤ電極3302と組織の間の分離の結果としてもたらされること、そしてワイヤ電極またはバッグ3304内のワイヤ電極またはフィルム材料または任意の他の構成要素上のコーティングが、この効果を達成するために好適であり得ることを理解するものである。
いくつかの実施形態においては、この目的で、組織試料を予張力付与するための別個の手段およびワイヤ電極3302と組織の間の絶縁性層が提供されている。この層は、加圧空気層、非導電性流体層、組織試料に張力を印加するという代替的機能に役立ち得るワイヤと組織間に適用される絶縁フィルムまたは層であるか、または動作中に組織ワイヤ/バッグ界面内に隙間が結果としてもたらされるようにするバッグ、ワイヤアタッチメントおよび予張力メカニズムの設計を用いて達成可能と思われる。アクティブ化されるべき所望のワイヤセットは、印加されたRFエネルギなどの電力を有することができ、電圧を有する充分な電力が印加された後、ワイヤセットは組織の表面まで引張られるか、または、機械的に、電気的にまたは温度を用いて、分離層を突破し切断効果を開始することができる。一般的に言うと、図33に例示されているように、ワイヤ電極を所定の場所に保持するための任意の容易に電気的に除去可能な(又は分解可能な)接着剤または保持用体積を提供することができる。電気的入力時点で、裸のワイヤ電極3302が保持媒体(接着剤/保持用体積)またはフィルム3306を切り開くことになる。この分解し易い媒体またはフィルム3306は同様に、組織切断効果の始動を促進するための偽空隙も提供し得る。
ここで図34を参照すると、リターン電極3420がバッグに取付けられ、バッグの側壁を長手方向下への延長部分3421を含んでいる。これらの延長部分3421は、アクティブ電極チャネル3422の間に位置設定され、バッグの側壁の遠位部分にあるリング3423を用いて電気的に接続されている。例示された構成において、ワイヤ151は、リング3423においてのみリターン電極3420と交差する。したがって当業者であれば、本明細書中で先に説明したようにフィルム802などによってリング3423において、リターン電極3420をワイヤ151から隔離すべきであるということを認識するものである。リターン電極3420とアクティブ電極/ワイヤ151を絶縁するために必要とされる隔離は、延長部分3421を使用することによって、例示されている実施形態においては削減されている。すなわちいくつかの実施形態において、装置102またはシステム200は、ベースまたはリング部分3421に結合された複数の導電性の細長い部分または延長部分3421を含むことができる。さらに、この構成は、切断の始点において(例えばバッグまたはリング3421の底面近くで)発生する最低の観察上のインピーダンスを提供した。ワイヤ151が組織内へと走行するにつれて、インピーダンスはわずかに増大し、ワイヤがリターン電極3420から離れるように走行するにつれて切断を持続させるためのより多くのエネルギを提供する。
リターン電極3420の1つの付加的な利点は、バッグアセンブリがより容易に小さい直径まで圧縮されて、切開部位を通した挿入を補助するということにある。
いくつかの実施形態において、図35に例示されるように、リターン電極3540は、切開部位を通した挿入を補助するため、リターン電極3540を折畳むかまたは圧壊させるための部域を含み得る。例えば、リターン電極3540は、バッグの遠位部分の内部表面に取付けられた第1のリターン部分3544と第2のリターン部分3546を有する、2重リターン電極3540であり得る。部分3544、3546は、例えば傘と同じように、延長部分3548が圧壊できるようにする陥凹部域3542を有することができる。延長部分3548の少なくとも一部分はパイ形状を有するか、またはリターン電極3540の中心との関係において、広い遠位部分と狭い近位部分の間でテーパがかかっていてよい。いくつかの実施形態においては、2重リターン電極3540の第1の部分3544は、約5つの延長部分3548を有し、2重リターン電極3540の第2の部分3546は、約5つの延長部分3548を有する。いくつかの実施形態において、第1および第2の部分3544、3546は、互いに鏡面対称である。
2重リターン電極3540は、導入期に接して圧壊し、より容易な挿入を可能にする一方、組織が詰め込まれてバッグに張力が印加されたときに大きな表面部域3549を提供するように構成され得る。当業者であれば、表面部域3549が、電力アクティブ化中のより低いリターン電極加熱および切開部位内へのバッグの挿入中の圧壊し易さを維持するのに充分な大きさにあり続けることを保証する目的で、陥凹部域3542の数およびリターン電極表面部域3549対陥凹部域3542の比率を調整できるということが分かる。
本明細書中に記載のものなどのリターン電極を製造する方法は、リターン電極およびケーブルをバッグに固着するステップまたは、蒸着、スプレーコーティングまたは導電性印刷プロセスを用いてバッグの表面上に電極を形成するステップを含むことができる。被着または導電性印刷方法は、完成したバッグの可撓性の改善を提供して、より容易な挿入を可能にすることができる。固着されたリターン電極およびリターン電極ケーブルは、接着剤で固着されたフレキシブル回路から作られてよく、またはケーブルおよび/またはリターン電極の境界におけるヒートシールによりバッグ層内に統合されてよい。
いくつかの実施形態において(例示せず)は、例えば、切片化切断の一部として特徴的な乾燥層またはパターンを残すように異なる電力設定または波形を提供することなど、各々のワイヤまたはワイヤセットの電力変調の使用を通して、識別のために組織切片化をマーキングすることができる。この異なる電力設定または波形は、組織にRF電力を送出する基本波形と組合わされる変調されたより高い周波数波形であり得る。したがって、切断を行なうために送出されるRF電力を制御するという一次的機能は、制御システムフィードバックループ内でアナログまたはデジタル低域通過フィルタまたは帯域通過フィルタを使用することにより変調された波形によって比較的影響され得ない。すなわち、該方法10000は、ワイヤ1〜Nの各々と結び付けられた切断内にワイヤが識別パターンを残すようにさせるために電力設定を調整するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、識別パターンは、各ワイヤについて異なるものであり得、あるいは、いくつかのワイヤは他のものと同じ識別パターンを有していてよい(例えば、いくつかは単純に方向、あるいはどのワイヤが最初または最後であるかなどを識別し得る)。
ここで図36を見ると、電極/ワイヤは、各電極/ワイヤが異なるカラーを有し、ワイヤが組織検体に接して予張力付与されたときに組織検体の遠位端部がマーキングされた状態になるような形で表面に塗布されるカラーコード化された粉末を有することができる。例えば、第1のワイヤ1は、カラーAを有する粉末コーティングを有していてよく、第2のワイヤ2は、カラーBを有する粉末コーティングを有していてよい。切片化された組織検体の部片の配向を再創出するために、組織検体上の結果として得られたマーキングを使用することができる。
ここで図37を参照すると、いくつかの実施形態において、電極またはワイヤには、ワイヤが組織検体内を走行するにつれてそれぞれの組織の先端に「形跡」または配向マークを提供する絶縁区分または極めて導電性の高い区分が具備され得る。例えば、図37に例示されているように、アクティブ電極表面部域を画定するため、第1のアクティブ電極3712に対してコーティング3702を適用することができる。アクティブ電極表面部域内部には、周辺部域に比べて電力またはRFエネルギについての電導度の低い絶縁材料の2つのバンド3704が存在し得る。その結果、組織と絶縁3704の界面における電流濃度はさらに低い。その結果、切断後の組織検体の乾燥に視覚的差異がもたらされる。組織の表面は、これらの絶縁バンド3704によって創出されたラインを有することになり、第1のアクティブ電極3712によってこれらのラインを使用してどの組織切片が切断されたかを識別することができる。これらのバンド3704は、切断平面を横断してこのパターンを残すべく、第1のアクティブ電極3712全体を通して反復され得る。
図37をひき続き参照すると、第2のアクティブ電極3714は、第1の電極3712の数とは異なる数で、複数の絶縁材料バンド3704を有することができる。第3のアクティブ電極3716は、第1のアクティブ電極3712および第2のアクティブ電極3714の数とは異なる数で、複数の絶縁材料バンド3704を有することができる。各アクティブ電極3712、3714、3716から切断された切片平面を他の平面と区別するための任意の好適なパターンのバンド3704を有するより多くのまたはより少ない電極を提供してもよい。
いくつかの実施形態においては、第1の材料リング1006が、第2の材料リング3708と異なる長手方向寸法を有することができる。いくつかの実施形態において、第1のおよび第2の材料リング1006、3708は、電極3716のコーティング3702の残りの部分とは異なる伝導度を有し得る。いくつかの実施形態において、材料リング1006、3708は、コーティング3702の残りの部分より伝導度が高い。いくつかの実施形態において、材料リング1006、3708は比較的伝導度が低い。いくつかの実施形態において、第1のリング1006は、第2のリング3708の全表面積とは異なる全表面積を有する。
いくつかの実施形態において、絶縁材料3704の長さ、所与の長さについてのバンドの数および/またはバンド3704の間隔取りは、それぞれのアクティブ電極によって作られた切断を充分に識別するために変調可能である。いくつかの実施形態において、バンドは、絶縁材料の代りに、アクティブ電極表面上の通常のコーティング3702よりも高い割合で電流を伝導する極めて導電性の高い材料を有することができる。すなわち、一般的に言うと、識別バンド3704は、コーティング3702に比べて伝導率がより高いかまたは低いものであり得る。
組織切片化方法においては、外科医が、詰め込み中にまたはバッグが露出された後に、組織検体に予めマーキングを行うことができる。
いくつかの実施形態においては、バッグが露出されたとき、近位組織検体表面上にインクスタンプが具備されていてよく、これは詰め込み中にマーキングされたインクスタンプであり得、または、切断に先立ち検体内の対象の領域内に注入される染料であり得る。
手短に図1−Qに戻ると、いくつかの実施形態において、アクティブ電極ワイヤ153、155、157、159の多数のセットを含む摘出バッグ161が提供され得る。バッグ161およびアクティブ電極ワイヤ153、155、157、159は、第1のワイヤセットと第2のワイヤセットの間の干渉を回避するために特定のワイヤ153、155、157、159アクティブ化順序を有するように設計され得る。ユーザが誤まった順序で電力またはRFエネルギのアクティブ化を行なうのを防止するため、コネクタは、張力付与メカニズムの連結と対応するようにカラーコード化されるかまたは整形され得る。関連して、張力付与メカニズムは、ユーザまたはコントローラが選択する所定の動作順序を有することができる。
アクティブ電極ワイヤコネクタに連結するように設計された張力付与メカニズムのレセプタクルは、それに結び付けられたカラーおよび形状を有することができる。対応するアクティブ電極ワイヤコネクタは同じカラーまたは形状を有し、ユーザが同様のカラーまたは形状を共に連結させて、適正な順序が維持されることを保証できるようにし得る。いくつかの実施形態においては、適正な連結順序が維持されることを保証する方法には、張力付与ロッドレセプタクルの各々に独特の形状を与え、こうしてこのレセプタクルが独特の噛合形状を有する対応するアクティブ電極ワイヤコネクタのみを受容することになるようにするステップが含まれる。代替的には、それぞれのワイヤは、1本のワイヤから次のワイヤへ増大する量のコーティングインピーダンスを有することができる。このとき、全てのワイヤに対してエネルギが印加され得るが、コーティングの変動により、ワイヤは同時ではなくむしろ逐次的に点火するかまたは切断するように強制される。
いくつかの実施形態において、ばね676は、ワイヤに対して電力またはRFエネルギを印加するための直接的導電体として用いられ、電力の印加が可能になる時点を制御するために、ばねの表面に対して絶縁コーティングを塗布することができる。この絶縁材料の場所には、ばねが完全伸張位置または予張力位置にあるとき絶縁コーティングが電力またはRFエネルギとばねの電気的界面の接触点に位置設定されるような形で塗布が行われ得る。装置が予張力付与され、ばねが前進して組織試料上に張力を加えるとき、絶縁コーティングはばねのコイルまで前進し、ばねの導電性部分は今や、RFとばねの電気的界面に接触した状態にある。電力またはRFエネルギが終結されるようにばねがその切断を完了する場所に、追加の絶縁コーティングを適用することができる。
検体切断対象のいくつかの器官としては、非限定的に、子宮、卵巣、腎臓、結腸、脾臓、肝臓、胆のうおよび肺が含まれる。いくつかの器官については、侵襲性が最小限である検体へのアクセスおよびその切除には、肺に対するビデオ補助胸腔鏡下手術手技(VATS)などにおける非円形遠位器具端部が有益である。この場合、肋骨間の間隔を理由として、切開は高さよりも幅の方が広い可能性がある。この場合、切片化器具は、利用可能な空間の使用に対応するかまたは最適化するために切片化器具は非円形であることが有利であり得る。例えば、概して3つ以上の張力付与メカニズムが、細長い卵形の器具端部内で1本のラインの形で配設され得る。バッグの形状も、組織検体の形状およびサイズと電極ワイヤアセンブリをよりうまく整列させるように修正され得る。これには同様に、異なる数のアクティブ電極アセンブリまたは異なるアクティブ電極ワイヤ長も必要とされ得る。
いくつかの手技において、切除から残留したステープルラインまたはクリップが検体に収納されている可能性が高い。これは、肺および結腸の手技において特に一般的である。アクティブ電極を破断することなく切断中ステープルラインに貫入する可能性がより高いより強いワイヤを利用することが望ましい場合がある。これは、例えばチタンなどのより強い材料の使用を通して達成され得る。同様に、それは、典型的に使用されると思われるよりも大きい直径のワイヤまたはより線の使用を通しても達成され得る。
技術が進歩し、侵襲性をさらに最小限に抑えた手技へと駆動されるにつれて、外科手術において一般的に用いられる切開サイズは縮小し続けている。これらのサイズがより小さくなるにつれて、現在利用可能な方法を用いてルーチン的に摘出される組織検体を摘出する必要性は、より困難を伴うものになる。摘出のための検体切断の候補である前述の器官に加えて、摘出に先立つ組織切片化にとって必要とみなされていないこれらの器官のより小さい部分および小さい塊も、将来において摘出の候補となる。一例としては、今日5mmのトロカールを通して容易に摘出され得る盲腸または胆のうが考えられるが、3mm以下の装置の使用がさらに一般的になるにつれて、装置による切片化は摘出のための1つの明白な解決法になる。
いくつかの実施形態において、識別方法を実施できる、組織切片化装置100またはコントローラ108、708内に対応する回路を有する抵抗器、光学フィードバックまたはRFIDを含む圧接コネクタが提供され得る。いくつかの実施形態において、識別方法には、(a)適正な電力設定についてコントローラに通知するために、特定の曝露長さをコントローラに対して識別すること(コントローラは、異なる長さの曝露が使用された場合、調整することができる)、および/または(b)使用中のバッグのタイプをコントローラに対して識別すること、が含まれる。識別方法には、小型子宮バッグ、大型子宮バッグ、肺バッグ、結腸バッグ、腎臓バッグなどの使用を区別または識別するステップが含まれ得る。バッグ識別方法は、コントローラ108または装置102のデータストア110内に予めプログラミングされたルックアップテーブルのための指標として抵抗器値、光学シグニチャまたはRFIDを使用して達成され得る。指標は、抵抗器を収納するコネクタに連結された特定のタイプのバッグまたは特定のアクティブ電極ワイヤセットについてのパラメータを更新する記憶されたパラメータをポイントし得る。いくつかの実施形態においては、光暗号化またはRFIDコンテンツにおいてプログラミングされた情報を使用して、コントローラ108に渡された情報でパラメータを更新する。この情報は、いくつかの実施形態において、コントローラがユーザにより行なわれた任意の連結について正しい順序でRFエネルギを印加するように構成されるような形で順序番号を含んでいてよく、または、その特定のアクティブ電極ワイヤセットについてのパラメータに対する調整として使用可能であるインピーダンスまたは他の性能情報を含み得る。
ここで図38および39を見ると、いくつかの実施形態は、アクティブ電極ワイヤセットに関する情報を提供するために使用可能である抵抗値を提供するために圧接コネクタ3905内に統合された抵抗器3800、3901を含み得る。図38は、抵抗素子3802および接点または端部キャップ3803を伴う抵抗器3801の一例を例示する。抵抗素子3802は、所望される抵抗を提供し、炭素のフィルムまたは巻き線型材料であり得る。接点または端部キャップ3803は、導電性の高い材料、例えばスズめっきされた銅またはアルミニウムで構成され、抵抗素子3802によって提供される所望の抵抗を2つの接点3803間で電気的に測定できるような形で抵抗素子に取付けられる。
図39は、圧接コネクタ3905および圧接フェルール3906内に抵抗器3901を一体的に結合する一実施形態を例示する。圧接フェルール3906は、機械的および電気的に結合されるように意図された共通のアクティブ電極ワイヤ3907の終端を含む。これらのワイヤ3907は、圧接フェルール3906内の管腔を通り抜け、圧接されて機械的にワイヤをしっかりと固定すると同時に、アクティブ電極ワイヤ3907と圧接フェルール3905の間に電気的結合を提供する。当業者であれば、その方法がワイヤ3907から圧接フェルール3906まで電気結合を提供するかぎりにおいて、圧接以外の手段で圧接フェルールの内部にこれらのワイヤを溶接、固着または捕捉できるということを認識するものである。
いくつかの実施形態において、圧接フェルール3906は、近位端部に段付き特徴部を有し、こうして圧接フェルール3906は、圧接コネクタ3905内でまたは圧接コネクタ3905との関係において固定されるようになっている。これにより、圧接フェルール3906と圧接コネクタ3905の間には、機械的および電気的結合が提供される。抵抗器3901は、遠位端部キャップ3909が端部圧接フェルール3906と電気的に接触状態になるような形で圧接コネクタ3905の内部に設置され得る。こうして、圧接コネクタ3905の外側表面から抵抗器3901の一方の端部に対する電気的結合が提供される。
注目すべきことに、近位端部キャップ3910は、圧接コネクタ3905から電気的に隔離されている。これは、例えば、抵抗器3901本体と圧接コネクタ3901の内部表面との間の絶縁性フィルムによって提供され得る隔離障壁3908を創出することにより達成される。これは、圧接コネクタの内部表面の頂部部分に適用される絶縁性フィルムまたはコーティング、端部キャップ503の側面に適用される絶縁性フィルムまたはコーティング、抵抗素子よりも小さい直径を有する端部キャップが具備された物理的分離であるか、または圧接コネクタ内への挿入に先立ち頂部端部キャップの中心のみを曝露する絶縁構成要素の内部に抵抗器を設置することによるものであり得る。
いくつかの実施形態においては、近位端部キャップ3910と圧接コネクタ3905の外側表面の間で、抵抗器3901の抵抗値を電気的に測定することができる。
引き続き図39を参照すると、圧接コネクタとインタフェースする張力付与器具内の構成要素は、外側部分から電気的に隔離されている中心軸方向構成要素(図示せず)を有する。軸方向構成要素は、圧接コネクタ505が張力付与器具内に設置されたときに接触を保証するばねまたは他の手段を有することができる。このとき、抵抗器501の抵抗は、中心軸方向構成要素と圧接コネクタ505の残りの表面と接触する外側部分との間に公知の電圧または電流を印加し、結果として得られる他方、すなわち電流または電圧を測定することによって、測定される。
ここで図40を見ると、いくつかの実施形態においては、抵抗素子4020が、圧接コネクタ4021の近位端部に材料のコーティングまたはリングを含み得る。この抵抗素子4020は、噴霧、蒸着によって適用されるか、機械加工され所定の場所に固着されるか、または他の手段で適用され得る。図39を参照して先に説明したように、ワイヤ4007から圧接フェルール4006への電気的結合が提供され得る。
ここで、圧接コネクタ4021にインタフェースする張力付与器具内部の構成要素(図示せず)は、近位端部で内部噛合表面上に別個の接触点を有し、下部部分から電気的に隔離されなければならない。抵抗器4020の抵抗はこのとき、近位接触点と圧接コネクタの残りの表面と接触する外側部分との間に公知の電圧または電流を印加し、結果として得られる他方、すなわち電流または電圧を測定することによって測定される。
抵抗を測定するステップは、アナログ回路、例えば基準電圧を印加するためのオペアンプまたは他の手段、および結果として得られる電気パラメータを測定するためのA/D変換器を使用して達成可能である。この回路は、張力付与器具の内部に位置設定され得るか、またはコントローラの内部に位置設定され得る。
抵抗器501、4020の各々の側に別個の電気トレースを具備することができ、これは、隔離フィルムでばねから隔離された状態でばねの表面上に薄い導電性トレースを適用することによって達成され得る。導電性トレースは、装置の遠位端部でばねに張力付与ロッドを連結する終端ブロックによって、軸方向接点(図39参照)または近位接点(図40参照)のいずれかに対してルーティングされ得る。ばねの近位端部では、ばねのコイルに位置設定された別個のばね接点が導電性トレースおよび残りのばね表面と整列する。
いくつかの実施形態において、電気トレースは、図39に例示されている軸方向接点かまたは図40に例示されている近位接点のいずれかにルーティングされる終端ブロックの外側表面上の別個の接触部域を使用することによって提供される。圧接コネクタ4006が取付けられるとき、器具は完全伸張位置にある。この位置では、器具の予張力を印加する前に抵抗器測定を行なうために、器具のハウジング内に位置設定されたばね接点を終端ブロックの接触部域と整列させることができる。いくつかの実施形態において、各々の圧接コネクタについて測定された抵抗器値は、張力付与器具上かまたはコントローラ自体の中に位置設定されてよいデータストアの中に記憶される。
ここで図1−Qに戻ると、いくつかの実施形態においては、バッグ161を有するシステム100が提供され得る。バッグ161は、各々抵抗器(例示せず)を有する複数のアクティブ電極セット153、155、157、159を有することができる。第1の電極セット153は、100オームといった第1の抵抗を有する抵抗器を有することができる。第2の電極セット155は、200オームといった第2の抵抗を有する抵抗器を有することができ、第3の電極セット157は、300オームといった第3の抵抗を有する抵抗器を有することができ、第4の電極セット159は、400オームといった第4の抵抗を有する抵抗器を有することができる。コントローラ108、708は、各々の抵抗器値を検出し、特定の順序にしたがって電極セット153、155、157、159に対してRFアクティブ化を印加することができる。いくつかの実施形態においては、電極セットが中に連結されていた張力付与メカニズムの如何に関わらず、まず第1の電極セット153に対して、2番目に第2の電極セット155に対して、などといったように電力が印加される。
同様に4つのアクティブ電極ワイヤセットを伴う第2のタイプのバッグが、それぞれ1100オーム、1200オーム、1300オームおよび1400オームの抵抗器を収納し得る。このアプローチを用いると、当業者であれば、さまざまな組合せを伴う多数のバッグタイプを、ルックアップテーブル情報を含むコントローラを用いてサポートできるということが分かる。
いくつかの実施形態において、システムは、組織対リターンの界面インピーダンスチェックを行なうように構成されている。当業者であれば、低温切断を維持するために装置のリターン電極と組織検体との間に良好な接触を有することが最も重要であることを理解するものである。この接触を保証するための1つの方法は、本明細書中で先に記載された断線チェックの中で説明されている。別の方法は、この技術分野において公知の方法に類似する形でリターン電極の2つの区分を利用することである。公知の方法を用いて、リターン電極の2つの区分間で電気手術発電機によって小さな照会信号が印加される。この信号は、2つのリターン電極区分の間のインピーダンスを計算するために、多くの現在利用可能な発電機によって使用される。組織が同時に2つの区分と接触するにつれて、区分間の組織のインピーダンスは低い抵抗を提供することになる。これは、発電機により連続的に監視され、組織がリターン電極との接触を失なった場合、インピーダンスの変化を観察すでき、ユーザが状況に対応できるようにアラーム条件を始動させることができる。
いくつかの実施形態においては、移動/位置インジケータが具備される。光学的エンコーダまたは送受信機対と併せて、ばねの表面上の目盛付きマーキングは、ばねの走行の相対的測定を可能にする。一定期間にわたり走行長さを積分することにより、電極/ワイヤ走行速度を検出することができる。走行長さは、予張力の場所からのマーキングを計数することによって決定可能である。走行停止状態は、受容可能なものよりも低い走行速度によって識別され標示され得る。
ここで図41を見ると、例示されているように、アクティブ電極コネクタの認識方法4100が開示されている。方法4100には、(a)張力付与メカニズムにアクティブ電極を連結するステップ4102、(b)抵抗値を読取るステップ4104、(c)抵抗値が対応するルックアップテーブル指標を有するか否かを決定するステップ4106、(d)アクティブ電極指標値が先に行なわれた他の連結と一貫性があるか否かを決定するステップ4108、(e)全ての予期されたアクティブ電極が指標値に基づいて連結されたか否かを決定するステップ4110、(f)パラメータを更新するステップ4112、および(g)オペレータにアラートを出すステップ4114のうちの1つ以上が含まれ得る。
出願人は、組織がシステム100の多数の電力またはPFエネルギアクティブ化と共に切片化されるにつれて、組織の構造が脆弱化され組織は「流動する」かまたは形状を変え、これにより不規則なまたは反復不能な切片サイズが発生する可能性があると判断した。この組織の流動を削減する方法を提供することができ、これには、流動を抑制するために切片化中組織を保持することが含まれる。
例えば、図42および図43を参照すると、組織を所定の場所に保持するために特定の部域に膨張が提供され得る。
図42は、4つの別個のアクティブ電極ワイヤセット4202を有する摘出バッグ4200の平面図および側面図を例示する。バッグ4200は同様に、ワイヤセットに平行に走りワイヤの間でバッグの表面上に位置設定された膨張可能なチャネル4204を含む。これらの膨張可能なチャネル4204は、組織検体が詰め込まれるときには収縮され、バッグ4200が露出され電気手術装置102に連結された後に膨張させられる。膨張は、バッグ4200上の膨張チャネル4204を伸張させて組織検体の表面と接触させ、バッグ4200の周囲に支持を提供する。このとき、張力付与メカニズムは、切片化プロセスを開始するために予張力付与される。膨張チャネル4204の場所は、アクティブワイヤ電極が組織と接触し、チャネル4204と干渉せずに切断を行なうことができるようにするように選択され得る。膨張チャネル4204の場所は同様に、切断全体にわたり組織を支持し、組織の「流動」を削減することもできる。切断が完了した後、膨張チャネル4204は、収縮させられて検体の摘出を可能にし得る。この膨張と収縮は、シリンジを用いて行なうことができる。いくつかの実施形態において、コントローラ108または第2の装置は、圧力を自動的に調節するように構成され得る。シリンジを用いて膨張のために印加される受容可能な体積範囲、および自動化されたシリンジ印加による手作業でのまたは自動圧力送出装置内の圧力センサでの圧力増加の抵抗、を観察することによって、好首尾の圧力印加についてのフィードバックを提供することが可能である。
図43は、組織支持のための組織摘出バッグの使用方法4300を例示している。方法4300には、(a)組織検体を詰め込むステップ4302、(b)バッグ開口部を露出するステップ4304、(c)組織切片化装置に対してアクティブ電極ワイヤコネクタを連結するステップ4306、(d)膨張チャネルを膨張させて組織検体を保持するステップ4308、(e)予張力が張力付与メカニズムに印加されるにつれて患者の体内に導入器を挿入するステップ4310、(f)全てのアクティブ電極ワイヤセットについて組織を切片化するステップ4312、および(g)膨張チャネルを収縮させるステップ4314のうちの1つ以上が含まれ得る。
ここで図41に戻ると、いくつかの実施形態において、アクティブ電極認識が好首尾に完了した後、器具またはコントローラは、図41に示されているようにパラメータを更新することができる。このパラメータ更新の一部として、アクティブ化の順序が含まれ得る。したがって、器具またはコントローラは、電力またはRFエネルギを印加するための最初の引張りに対応するアクティブ電極ワイヤを自動的に選択することができる。さらに、器具またはコントローラは同様に、最初の引張りに対応するアクティブ電極ワイヤに関連する予張力メカニズムを選択することもできる。イネーブル信号が器具またはコントローラから印加されるまで予張力メカニズムをロックアウトするためのソレノイドまたは他の電気機械的手段が、器具またはコントローラの予張力メカニズム選択能力を提供し得る。第1のアクティブ電極および/または第2のアクティブ電極の予張力メカニズムは、切断の前および/または最中に組織検体を保持する上で補助するために同時に有効化されることが望まれ得る。
いくつかの方法および/またはシステムは、例えば組織を凍結させるために低温を適用することなどによって切断に先立ち組織試料を前処理することで、切断の信頼性を改善する。これによって、より剛性の高い検体を得ることができ、切断の熱的結果を低減させることができる。いくつかの方法は、組織検体内に定着材料を注入するステップを含み、これにより検体の剛性は高まる。
いくつかの実施形態においては、張力付与メカニズムが、一定力ばね702および/または他のメカニズム、例えば滑車システム、ケーブル駆動機構またはウィンチシステム、非線形ばね、歯車または接触カップリングなどの回転カップリングを伴う線形駆動機構、磁気カップリングを伴う線形駆動機構、手動制御を伴う線形駆動機構、および/または先に説明した通り、電気機械式駆動機構、例えばサーボまたはストッパモータ駆動機構または線形アクチュエータを含み得る。
いくつかの実施形態においては、組織検体を調製または検査する方法が提供される。後の病理学的検査のために組織検体をマーキングし再組立てする1つの方法には、バッグ内に検体を入れる前または入れた直後に対象の部域または余白を外科医がマーキングするステップが関与する。外科医は次に、組織を切片化し、バッグからその部分を取り出すことができる。ひとたび取り出された後、検体は再び集められ、あるいは、病理学的査定のため識別され検査され得る。マーキングされた検体は、目視を通して識別され得、あるいは、ユーザが蛍光性ライトを用いて切片を識別できるようにするため、蛍光性のまたは類似の化学マーカを含み得る。
ここで図44を見ると、いくつかの実施形態においては専用マーキングツール4400が具備され得、切片化に先立ち検体の対象の部域または余白をマーキングするために外科医によって利用され得る。このマーキングツール4400は、腹腔鏡開口部またはトロカールを通り抜けるように構成されたシャフト4402を含むことができる。いくつかの実施形態において、マーキングツール4400のシャフト4402は、2〜20ミリメートルの小さな直径を有するが、当業者であれば、他のサイズも好適であり得ることを理解するものである。マーキングツール4400は、その遠位端部4400の表面上に存在するマーキングインクを含み得る。いくつかの実施形態において、患者の腔内にマーキングツール4400を設置するとき、インクを収納する遠位端部4404をカバーするためにシース4406を使用することができ、このシースは次にユーザによりツール4400のインクの入った部分を曝露する目的で引戻されるかまたは引抜かれ得る。曝露部4408および/または遠位端部4404の長さは、シース4406が引抜かれる長さに基づいてユーザにより決定され得る。いくつかの実施形態において、インクは、器具が患者の体内に設置された後に初めて器具のマーキング端部上に来るような形で、ユーザによってのみ放出され得る。
いくつかの実施形態において、遠位端部4404は、検体の大きな表面を迅速にマーキングするため、例えば最高約6〜8インチ(約15.24〜約20.32インチ)の長さの比較的長いインク付き曝露部4408を有する。いくつかの実施形態においては、遠位端部4404全体が曝露部4408を有することができる。いくつかの実施形態において、曝露部4408は、遠位端部4404全体よりも少ない。
代替的には、いくつかの実施形態において、より精緻化されたまたは選択的な部域内でインクの配置を制御するために、比較的小さな曝露部4408が提供され得る。当業者であれば、非限定的に検体サイズ、患者のサイズ、外科手術腔のサイズ、検体の場所および/または他の因子を含めた多くの因子に基づいて、曝露部4408の長さを調整または選択できる、ということを理解するものである。いくつかの実施形態において、マーキングツール4400は、近位端部4412に対する遠位端部4404の連接を可能にして検体のマーキングを容易にするため、連接リンク4410を有する。
いくつかの実施形態において、専用マーキングツール4400は、ひとたび患者の体内に挿入された時点で遠位端部4404の直径を拡張させ、患者からの除去の前に直径を減少させ、いくつかの実施形態においては体から除去する前にもとの直径まで戻すための手段を有することができる。いくつかの実施形態において、外側表面上にインクを収納する膨張可能なバルーン4414を提供することができる。ユーザはバルーン4414を膨張させ、検体上の対象部域をマーキングし、バルーン4414を収縮させ、次に体からマーキングツール4400を除去することができる。バルーン4414は、マーキングツール4400のシャフト4402の内部に収納され、バルーン4414の膨張に先立ちシャフト4402の遠位端部から伸張され得る。インクは、患者の体内に挿入する前の拡張用部材の上に存在していてもよく、あるいは器具の内部の小さな袋中に存在し、これによりユーザがマーカを拡張させ、その後、袋を破壊開放するかまたはインクを放出させて、拡張された部材によりインクを塗布できるようになっていてよい。
ひき続き図44を参照すると、遠位端部は、インクパッドを保持する板ばね様の拡張メカニズム4418またはファン4416を用いて患者の体内で拡張するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、スポンジなどの自己拡張性材料、または水または液体に曝露された時点で拡張する材料、任意の記憶維持材料または類似する手段を、患者の体内への挿入後の拡張を可能にするために提供することができる。すなわち、例えば拡張可能なマーキング端部4414、4416、4418を器具のシャフト4402内に引込み戻すこと、またはマーキング端部上に戻るようにシース4406を伸張させることなどによって、患者からの除去前に最小化させることのできる拡張可能なマーキング端部4414、4416、4418を提供することができる。当業者であれば、この機能性を達成するための任意の数の起動メカニズムを容易に想定するものである。
ここで図45を見ながら、マーキング特徴部を伴うバッグ4500についてさらに詳細に論述する。低温切断アプローチは、組織に対する最小限の損傷で非常にきれいな切断を創出することから、癌手術の場合のように後続する病理学的査定を必要とする組織については、切片化アプローチを使用することができる。先に説明したように、バッグ内にあるとき、またはひとたびバッグから摘出された時点で検体部片を識別する一助とするために、インクまたはマーカを使用することができる。病理学的検査を容易にするために、追加のアプローチを使用してもよい。
例えば、図45に例示されているように、バッグ4500のリターン部分4504上にインクを収容することにより、各々の予測された組織切片について異なるカラーのマーカまたはインク4502を有する組織摘出バッグ4500を提供することができる。インク4502は、インク4502が結果として得られた切片上に適正に設置されることを保証するために電極またはワイヤがアクティブ化されたときに放出される感熱インク(または充分な熱で開放しインクを放出する小さな袋)または類似のものであり得る。いくつかの実施形態において、電極またはワイヤ4508の1つ以上は、例えば、電極またはワイヤ4508から組織上に溶出する低温材料などを用いて、切断中組織上にとどまる着色材料4510を内部に統合された状態で有することができる。
いくつかの実施形態において、バッグ4500は、製造中バッグ4500に取付けられる1つ以上の比較的小さいインク袋4506内にインク4502が入った状態で製造され得る。代替的には、インク袋4506は空でバッグ4500内に組込まれ、バッグの遠位端部上のチャネル開口部を通って使用前または使用中に外科医によってインクが袋4506内に注入されてもよい。これには、外科医が自ら選好するインクまたはマーカを選択できるという利点がある。いくつかの実施形態においては、バッグ4500のリターンパッド4504に1つ以上のインク袋4506を取付けることができる。いくつかの実施形態においては、バッグ4500の可撓性コンテナ4512に1つ以上のインク袋4506を取付けることができる。いくつかの実施形態においては、リターンパッド4504および可撓性コンテナ4512の両方に、複数のインク袋4506を取付けることができる。
ここで図46を見ると、いくつかの実施形態において、切片化器具には遠位端部4600が具備され得る。遠位端部4600は、ワイヤ/電極4608を拡張させる1つ以上の伸縮弁4604または他の切片化器具特徴部に取付けられまたはその上にコーティングされたインク4602を含み得る。いくつかの実施形態において、切片化器具の遠位端部4600は、管の1つ以上の遠位表面4606および/または組織との接触用に意図された1つ以上の弁4604上に位置設定されたインク4602を有することができる。切片化器具102(例えば図1−Q参照)がひとたび予張力付与された時点で、検体はインク付き特徴部4604、4606と接触させられる。
いくつかの実施形態において、医師は、切片化の後で、かつバッグからの切片の摘出に先立ち、マーカを適用することができる。試料のマーキングは、外科手術マーカ、インク2314(例えば図45参照)、または物理的に取付けられたタグ、クリップまたはRFIDタグを用いて露出されたバッグ開口部に最も近い試料切片端部上で行なわれ得る。こうして病理学者は、試料切片がひとたび手術室から運ばれてきた時点で、それらを再配向することができる。これらのマーカは同様に、バッグ内に統合されてもよい。
図45に例示されているように、1つ以上のRFIDタグ2316は、(切断に先立ち電極/ワイヤによって創出されるパターンにより画定される)リターン部分2304の1つ以上の上で、バッグ2300の底面に対し取付けられる、または取外し可能な形で取付けられてよい。RFIDタグ2316を組織切片に取付けるために、1つ以上の棘2318または他の任意の手段を提供することができる。
いくつかの実施形態において、外科医は、バッグ内への検体の詰め込みに先立ち、またはその直後に、余白について病理学的査定が必要である検体の表面または部分をマーキングすることができる。これは、マーカまたはインクを用いて行なうことができる。その後検体を切片化し、患者から摘出することができる。このとき病理学者は、この表面を含む切片を見出してし、余白またはこの表面上に発見される可能性のあるあらゆる癌細胞について査定することができる。
いくつかの実施形態は、切片化、摘出に先立って、またはバッグからの切片の摘出の間、検体を撮像するために、非限定的にデジタルカメラおよび/または超音波を含めた撮像認識を使用するステップを含む。その後、切片上の特徴部を認識しそれらを互いとの関係において適正な場所に再配向するように設計されたソフトウェアを用いて検体を再度創出する目的で切片を再配向するために、デジタル画像処理を使用することができる。デジタル撮像ソフトウェアを伴う低コストデジタルカメラも同様に、切片をその当初の配向へと再配向するための安価な自動式手段を提供し得る。これは、撮像前の検体の事前マーキングを伴ってまたは伴わずに行なうことができる。
いくつかの実施形態は、摘出後に切除組織検体を再構築するステップ、および切片化された組織検体上で蛍光透視法などの一般的な撮像手段を用いて組織検体内部の対象部域の場所を決定するステップを含む。これは、検体についての追加の診断を行なって、必要な病理学的査定の範囲を決定するためまたは求められる残りの外科的介入を誘導するためにも同様に使用され得る。
いくつかの実施形態においては、マーカを使用して、外科手術の前かまたは術中のいずれかに対象の公知の腫瘍または構造を識別することができる。バッグは同様に、バッグとの関係における検体(および腫瘍)の配向を示す目的で詰め込まれ、バッグの一部として撮像または走査され得るマーカまたは基準を有することもできる。検体切片が切片化され摘出されるにつれてこれらの検体切片を追跡することにより、腫瘍の公知の原初の場所、ひいては腫瘍を含む切片を決定することができる。これにより、病理学者には、その評価中にさらなる情報が提供される。
いくつかの実施形態においては、切断に先立って基準としてワイヤを使用することができる。ワイヤの場所をさらに強化するためには、ワイヤの小さな部分に対して超音波感応性またはX線不透過性のコーティングを塗布することができる。一般的に利用可能な画像捕捉アプローチを使用して、ワイヤの場所、その予測される走行経路および腫瘍の場所を全て決定し分析することができる。この情報はその後、病理学的査定にとってどの切片が特に有用であるかについて、病理学者を導くことができる。外科医または手術室スタッフは、問題の切片を識別するためこの画像情報を使用して手術室を離れる前に組織切片上に追加のマーカを置くことができる。切片を推定するワイヤまたはバッグ基準を用いてとられた検体からの画像も同様に病理学的検査の最中にアクセスされて、切片自体に比較され得る組立てられた切片構造(すなわち脈管構造、腫瘍など)を示すことができる。
いくつかの実施形態においては、癌組織の取扱い方法が提供される。切片化バッグから癌性であることが分かっているかまたは疑われている切片化された組織を摘出する間、流体または組織が漏出しそれによって検体部位播種をひき起こすことがないように保証するために、細心の注意が望まれる場合がある。吸収パッド4708などのさまざまな方法を用いて、組織の漏出を制限することができる。パッド4708は、漏出し得るあらゆる流体を吸収するため、露出されたバッグ開口部4710の上、下または周りに置かれた孔を内部に有することができる(例えば図47を参照のこと)。
図47を参照すると、組織切片4704が患者から露出されるにつれてそれらを捕捉するための別個のバッグ4700を提供することができる。別個のバッグ4700は、切片4704が患者および/または一次バッグ4702から摘出されるにつれて各々の個別の切片4704を中心にして捻回され得る。いくつかの実施形態において、別個のバッグ4700は、一次バッグ4702が1つ以上の組織切片4704と共に除去されるにつれて、この一次バッグ4702を中心にして捻回され得る。
いくつかの実施形態においては、図47で例示されているように、切片4704が患者から摘出されるにつれてそれらを捕捉するために、伸張可能なまたは細長いバッグ4700を具備することができる。例えば、細長いバッグ4700は、特定の組織を摘出するために好適である最大幅Wに比べて大きな深さDを有し得る。例えば、子宮用の標準的バッグが第1の幅Wおよび第1の深さDを有し得る場合に、細長いバッグ4700は、標準的バッグと変わらない第1の幅Wと第1の深さDより大きい第2の深さDを有することができ、いくつかの実施形態において、第2の深さDは、組織切片4704を捕捉するために充分な材料が提供されることを保証するように、第1の深さDの数倍であり得る。
例示されているように、細長いバッグ4700は、1つ以上の捻回領域4706において捻回可能である可撓性コンテナを有することができ、こうして個別の切片4704を個別に捕捉することができる。例えば、切片4704を捕捉することができ、切片4704を収納するためにバッグ4700を捻回することができ、バッグ4700内に別の切片4704を入れてプロセスを反復することができる(この捻回プロセスは、二次的バッグ4700にもあてはまるという点に留意されたい)。当業者であれば、細長いまたは二次的バッグ4700、4700が具備されユーザが組織切片4704を捻回させてそれらを分離できるようにする場合でも、ユーザは必ずしもこのステップを行なう必要はなく、任意には単一の腔内に全ての組織切片4704が捕捉される、ということを理解するものである。当業者であれば同様に、ユーザが任意には、個別の切片4704を互いから半永久的に分離させるように、捻回領域4706を封止し、縛り、挟持しまたは他の形で締結することができるということを理解するものである。いくつかの実施形態において、本明細書中で先に説明したフィルム802は、切片4704の回りに形成されたキャビティの間に半永久的な封止特徴部を提供することができる。
癌性細胞を識別する上で使用するための新規の染料が創出されていることから、これらの染料をバッグに設置することができ、こうして、検体がひとたび切片化された時点で、外科医はバッグを見て、試料中に何らかの癌の兆候が存在するか否かを調べることができる。例えば、パデュー大学の研究者らによって創出された造影剤および癌細胞「自動誘導装置」を用いる蛍光誘導型外科手術に類似する方法においては、新規の造影剤を外科手術に先立って注入することができ、摘出時点で検体中にそれを見ることができると考えられる。関連して、実質的に図41〜46に関して本明細書中で先に説明した通りの方法で、類似の造影剤をバッグ(バッグの壁、バッグリターン上の小さな袋)内に設置するか、または、バッグから切片を摘出する前または後にシリンジまたは類似の器具を用いて外科医がバッグ内に注入することができる。
ここで図48を見ると、本明細書において新規の組織切片化方法4800がさらに説明されている。この方法4800は、切片化すべき検体の組織タイプを識別するステップ4802、特定の組織のための摘出バッグを選択するステップ4804、患者の腔内に摘出バッグを挿入するステップ4806、バッグ内に検体を詰め込むステップ、バッグを露出するステップ4808(そして任意にはバッグを切片化器具に連結するステップ)、および組織を切片化するステップ4810(そして任意には器具を除去するステップ)を含む。方法4800は、患者および/またはバッグから切片化された組織を摘出するステップ4812を含んでいてよい。
先に説明した通り、組織切片化切断を比較的迅速に始動して、比較的低い電力および低い温度での組織切片化を可能にするために、ワイヤまたは電極のコーティングを提供することができる。
図48に例示されているように、いくつかの実施形態において、バッグを選択するステップ4804には、ワイヤコーティングを有するバッグを選択するステップにおいて、ワイヤコーティングインピーダンスを切断中の組織のインピーダンスと整合させるステップが含まれていてよい。例えば、肺は、人体に見られる他の多くの組織に比べて高いインピーダンスの組織である。したがって、肺特異的バッグを選択するステップ4804には、子宮または卵巣嚢胞などの比較的インピーダンスの低い組織を切断するために使用されるワイヤに比べてより高速でより低温の切断を結果としてもたらす組織内へのエネルギを最適化するため、比較的高いインピーダンスのコーティングを施したワイヤを有するバッグを選択するステップが含まれ得る。ユーザは、切片化および摘出のために標的とされる組織に基づいて、特定のワイヤまたは特定のリターン電極インピーダンスを有するバッグを選択できると思われる。当業者であれば、ユーザに対してどのバッグが選択されたかを表示しかつ/または選択されたバッグが実際に、切断中の組織のインピーダンスに整合するインピーダンスを有するコーティングを施したワイヤ/電極をまさに有するか否かを確認するために、さまざまなアラートを提供することができるということを理解するものである。
ここで図49を見ると、電気手術器具のワイヤコネクタの緊急解除、中断または解除を提供するためのシステムおよび方法が、本明細書中で開示されている。いくつかの実施形態において、緊急解除装置4900は、トラフ(ばねアセンブリ)の遠位端部と導入器管の間など、器具ハウジング4906内のスロット4904の中に、プランジカッター4902を有する。すなわち、緊急解除装置4900は、緊急解除のために1つ以上のまたは全ての電極/ワイヤ4908を切り離すためギロチンカッターと類似の形で機能することができ、図1−Qに例示されているシステム100中に内含され得る。
いくつかの実施形態においては、器具からのワイヤコネクタの緊急解除が提供される。緊急解除装置は、ワイヤの力または強度を上回る力により装置を引き離してワイヤを破断させることを可能にする、ばねと結び付けられたクランプまたは「ブレーキ」を含み得る。
緊急解除には、組織に対して挿入管を押圧し、こうして挿入管がワイヤの範囲を超えて伸張してワイヤ上により高い力をひき起こし、これが究極的にワイヤまたは連結部を破断するようになるステップが含まれていてよい。緊急解除には、コネクタバレルからワイヤの圧接を解除するワイヤクリンプバレル内のニチノールばねまたはクリップの使用が含まれ得る。緊急解除装置は、ユーザがコネクタを除去し、遠位挿入管を引込み、ばねに結合してこれらのばねを前方に引張ってユーザによる連結解除を可能にする構成要素を挿入することができるようにするため、ばねを張力付与前の位置まで再伸張させる力を後方から印加するように構成された部材または解除特徴部を含むことができる。緊急解除装置には、圧壊した場合にワイヤの周りを締め付けて連結部を切離す開口部が含まれ得る。緊急解除装置には、磁気カップリングが連結部を保持し、磁場の除去によってコネクタが分離させられるコネクタシステムが含まれていてよい。緊急解除装置には、例えば回転によって異なる方向にばねを移動させた後、ばねを元の位置まで戻るように伸張させるべく回転可能であるロックアウトカラーなどの解除特徴部が装置内に結合された状態で含まれていてよい。
いくつかの実施形態において、緊急解除装置には、意図された使用の最大範囲の直ぐ上の解除力で設計されている張力付与ロッドが具備されており、ここで、印加された力がトリップポイントまたは意図された使用の最大範囲を超えた場合に、連結点は分離するかまたは圧壊するかのいずれかである。いくつかの実施形態において、切片化装置は、ユーザが患者から離れたところでさらに高い力を印加できるような形で構成されており、張力付与ロッドは、例えばこのさらに高い力がトリップ閾値または意図された使用の最大範囲に達したときなどに、応答して解除するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、ユーザが開始した制御に伴ってまたは張力付与が始まった後で力が失なわれた場合にコネクタを保持するアゴを開放するロック特徴部がテンションロッド上に具備されている。ロック特徴部は、コネクタを解除するために患者の体内に装置を押圧することによる力の緩和およびブレーキと併せて使用され得る。
いくつかの実施形態においては、張力付与ロッド上に切断用特徴部が具備され、ナイフの刃またはワイヤと接触するように移動するピンチポイントなどのように、ユーザが始動させた時点でワイヤを切断するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、テンションロッド上の駆出特徴部が具備され、ユーザが始動させた時点でコネクタを駆出し、トレイの遠位端部、電気的励起、例えば異なる共振周波数またはエネルギーレベルにおいてワイヤを切り離すゲートを持ち上げて融解させ、相変化を駆動し、リテーナピン、解除するために後ろから押し出されたピン付きコネクタロッドピンを軟化または解除させるように構成されている。
いくつかの実施形態においては、図50に例示されているように、張力付与ロッドがカラー5002により捕捉されたループに取付けられたピンを有し、ループ5006が張力付与ロッドの端部に結合されている「カイトハーネス解除装置」に類似した解除装置が提供されている。もはやピンを捕捉しないようにカラー5002が移動させられた時点で、ピンは反転し、テンションロッドの端部が解除できるようになる。カラー5002は、管へと設計された干渉により移動させられる可能性があり、ピンを反転しないように保持して解除を可能にする管の密な接触嵌合により置換され得る。このようにして、管の中実部分と整列させられた場合、ピンの反転を可能にするのに充分な空き空間がないことから、解除は発生し得ないものの管がスロットと整列させられた場合にはピンが反転しコネクタがワイヤ5008をばね5004から解除するような形でスロットを有する同心管を使用することによって、解除を可能にすることができる。
ここで図51のいくつかの実施形態を見ると、図50に関して説明した「カイトハーネス」に類似した「帆走ケーブル解除装置」に類似する解除装置が提供されている。類推によって、帆走においては、これらの「張力下解除メカニズム」は、ペリカンフックおよびロープクラッチ内に見い出される。
いくつかの実施形態においては、「ジャック」係合を含む緊急解除装置が提供され、ここで、張力付与ロッドは、ワイヤコネクタ上の薄板ばねの開放部分と整列する隆起部分を有する。ワイヤコネクタは、ワイヤコネクタの開放部分が、隆起した張力付与ロッドを捕捉するまで、テンションロッド上に押される。ワイヤコネクタ上の薄板ばねは、張力付与ロッドを超えて遠位に延在し、逆の力が印加された場合に器具の管腔内の特徴部と干渉する隆起形状を有する。この逆の力は、管腔の内部表面に対して成形、機械加工または追加された段付き特徴部であり得、または「解除」位置まで回転させられた場合にのみばねを妨げ、こうしてユーザがこの特徴部を積極的に有効化した場合にのみ解除を可能にすることのできる内部管のストリップによって提供され得る。
いくつかの実施形態においては、張力付与メカニズム他の構成要素の緊急解除は、戻り止め連結を用いて提供される。例えば第1の構成要素内の伸張位置に向かって付勢された移動可能な突出部が提供され得、第2の構成要素内の陥凹または通路と選択的に係合するように構成され得る。戻り止め連結は、トリップ力またはオーバーライド入力に応答して選択的に解するように構成され得る。
ここで図52を見ながら、ばね絶縁特徴部について詳述する。図52に例示されているように、電気の流れを防止し(「ドラグストリップ」のみが絶縁材と接触する)電極/ワイヤに通電できる時を制御するために、選択的絶縁領域5202を具備することができる。
さらに、導電性であるものの電気的に結合されていないばねの平行な区分を、ばね表面上に組込むことが可能である。いくつかの実施形態において、この効果は、絶縁された裏当てを伴う薄い導電層を適用することで創出される。これらの電気的「トレース」を追加することによって、これらのトレースと整列して干渉なくばねの長さに沿って異なる電気信号を結合させることができるようにする別個の接触部材が提供され得る。いくつかの実施形態において、電極ワイヤ抵抗器からの抵抗値は、例えば本明細書において先に説明した要領で電極のタイプを識別するために、電気手術器具102の固定部分内部の回路に対して供給される。
図53に例示されているように、いくつかの実施形態においては、切断用メッシュ内にリターン電極ワイヤを組込むことができる。ワイヤ5302は、引込められるにつれてアクティブ化され、検体を切片化する。
図54に例示されているように、いくつかの実施形態は2重バッグを含み、外側バッグ5402および内側バッグが、多重化された電力またはRFエネルギの切断用メッシュ5406を含む。組織を切断するために、バイポーラRF切断用ワイヤのメッシュが回収バッグをライニングし得る。捕捉時点で、ワイヤはアクティブ化され得(例えば本明細書中で先に説明した通りの順序で)、メッシュをシャフト内に引込みながら、より小さい部片へと試料を切断することができる。例えば外側または内側バッグ5402、5406の中のまたはこれらのバッグに結合されたバルーン5404を用いて、シャフトに対してバッグを封止することによって、シャフト内へと試料または試料の部片を押し込むのを補助することができる。結果として得られる切片化された部片は、細長い部片であり得る。
図55に例示されているように、いくつかの実施形態は、開放した検体バッグに直交して配向された電極5504の切断用メッシュまたはバスケット5502などの圧壊可能なバスケット5502を含む。このときバッグは、シャフトを中心として閉鎖され、シャフトの軸およびワイヤメッシュに対して平行になるように再配向され得る。その後、シャフト内に引込まれるにつれてワイヤはアクティブ化されて、検体をより小さい部片へと切断する。結果として得られる切片化された組織部片は、パイ形状を有し得る。
図56に例示されているように、いくつかの実施形態は、バッグにより保持された静止検体および無線周波数エネルギ切断用メカニズムなどの回転式バイポーラ電源を含む。切断用メカニズム5602は、それが回転するにつれて遠位または近位に前進または移動するように構成され得る。結果として得られる切片化された組織5604は、手技中に検体から摘出され得る。リターン電極5606はバッグの一部であり得る。
図57に例示されているように、いくつかの実施形態において、回転式切断用メカニズム5702は、回転ワイヤを含み得る。回転ワイヤは、電気密度を最大化しかつ/または屈曲して切断用構造を拡張させるための鋭利なコーナーを有し得る。
図58に例示されているように、いくつかの実施形態においては、組織を切片化するために、単一のバイポーラ電極を具備することができる。ワイヤ5802は、異なる配向へ回転しながら前進させられ、引込められてよい。結果として得られる組織切片は、実質的に円筒形の形状を有する。
図59に例示されているように、いくつかの実施形態において、アクティブ電極5902およびリターン電極は、検体の周りに巻き付けられるかまたは、ワイヤが回収バッグ内に捕捉された検体の周りで締め付けられ得るような形で配設され得る。その後ワイヤは、同時に引込められアクティブ化されて試料を切片化する。結果として得られた組織切片は、実質的に、ロティーニパスタの切片のように整形され得る。
図60に例示されているように、いくつかの実施形態においては、回収バッグ1616内の切断/把持ループが提供され得る。切断ループは、回収バッグシャフトを下へ伸張させられる電極である。ワイヤ6002は、検体の外部から走行し、検体を「かき集め」、より小さくより管理しやすい部片へと切断する。連結操作部を具備することができる。電極ワイヤループ6002は、各々の切片化された部片6004上で圧壊させられるかまたは圧壊可能であって、この部片を患者の腔から引出すことができる。組織切片6004は、オレンジスライスのようであってよい。
図61に例示されているように、いくつかの実施形態は、移動する組織6104を伴う静止切断メカニズム6102を提供している。例えば、検体6104は、バイポーラRF電極ワイヤ6102内に引張られ得る。検体は、装置の回収バッグ部分の中に捕捉され得る。バッグは次に、途中でアクティブ化されたワイヤ電極を通過して装置シャフト内に引張られ得る。切断中の検体を封入するために、別のバッグ6106または電極メッシュが検体の外部にあり得る。メッシュは同様にリターン電極としても役立ち得る。バッグ/カッタは、組織内に多数の切断を得るために、手で回転させられてよい。
図62に例示されているように、拡張可能な漏斗を伴うプッシュプル電極グリッドがいくつかの実施形態において提供され得る。検体は複数の電極中を通って装置シャフト内に引き寄せられてよい。シャフトの遠位端部は、回収バッグが引込まれるにつれてシャフト内に検体を収集するように漏斗6202内へ拡張し得る。多数の切断を得るためにシャフト/カッタを手で回転させることができる。
図63に例示されているように、いくつかの実施形態は、多段剛性電極またはRF切断メカニズム中に検体を引込むステップを提供する。組織が装置シャフト内に引き寄せられるにつれて組織を切り開くため、一連のバイポーラ電極ワイヤが、異なる角度で係止される。いかなる手動式回転も必要とされない。電極ワイヤは、例えば第1段6302および第2段6304といったように、漏斗の内部にあってよい。
図64に例示されているように、いくつかの実施形態は、リターン電極として把持器/マニピュレータを伴う静止切断ワイヤを提供する。いくつかの実施形態においては、リターン電極でもあり得る把持器を伴う1つ以上の静止電極ワイヤ6402が、電極ワイヤ内に検体を引込むために使用される。切片化された組織は、シャフトまたは切開を通して摘出することができる。図62に例示された漏斗6202を、ここでも具備させることができる。
図65に例示されるように、いくつかの実施形態は、回転縁部剥離/切断アクションを提供し得る。例えば、ワイヤを通して検体を押すだけまたは引張るだけでなくむしろ、いくつかの実施形態は、1つ以上のバイポーラ電極切断ワイヤまたはワイヤループを通して検体を回転させるために「串状部材」6502を提供する。こうして、検体がシャフト内に引き寄せられるにつれて螺旋状の切断が創出され、これが切片化された組織を引き延ばす。
図66に例示されているように、いくつかの実施形態においては、螺旋切断電極が提供され得る。いくつかの実施形態においては、回転串状部材または回転バッグが、囲繞された検体に対し回転を付与する。このとき、1つ以上のバイポーラ電極切断ワイヤを使用して、ワイヤを通ってまたはワイヤに接して引張られるにつれて組織を薄く剥ぐか薄切りにすることができる。串状部材および/またはバッグは、リターン電極を含むことができる。
図67に例示されている通り、電極構造6700は、金属ファイラ6702で製織された撚糸6704を含み得る。リターン電極6700は、検体バッグを構成するファブリック内に組込まれ得る。例えば、バッグを製造するために使用される撚糸6704中に直接製織されたワイヤ6702が、リターン電極6700の1つの実施形態を提供し得る。
図68に例示されているように、バイポーラ/バイファイラ型ワイヤ対6800が、電極構造6800を提供し得る。いくつかの実施形態においては、切断を創出するためにバイポーラRFエネルギを有効化するための一連のバイファイラ型ワイヤ対を提供することができる。各々のワイヤ対6800は、アクティブ電極6802およびリターン電極6804を含むことができる。ワイヤ6802、6804は、絶縁材6806中の1つ以上の窓または陥凹6808を通って、構造の相対する側で絶縁材6806を通して曝露され得る。
図69で例示されている通り、本明細書中で例示される大部分のワイヤ電極は、実質的に円形であるものとして示されているが、当業者であれば、方形ワイヤ電極6900など、他のワイヤ電極形状を有するワイヤ電極6900が想定されるということを認識するものである。矩形のワイヤ電極6900は、コーナーにおける電流密度を最大化し得る。こうして、バイポーラRFエネルギを用いて切断を始動させるのに必要とされる電力を削減することができる。ワイヤ6902はコーティング6904を有することができる。ワイヤ電極6900のコーナー6906は、電流密度を集中させる部域を提供して、これにより切断または切断の始動をより効率良くすることができる。
図70に例示されるように、バッグ構造7000のいくつかの実施形態は、バイポーラRFエネルギなどの電力を印加するためにリターン電極7004とアクティブ電極7006の両方を組込んだバッグ7002を含むことができる。フラットパターンをバッグ形状に溶接する前に、変換器により構造7010が製造され得る。
図71に例示されているように、いくつかの実施形態は、バッグ内に製織されたバイポーラ電極7102およびリターン電極を提供する。いくつかの実施形態においては、細いワイヤ7104がリターン電極を提供することができる。細いワイヤ7104は、回収バッグを形成するポリマーファブリック7106へと製織され得る。
図72に例示されているように、いくつかの実施形態は、アクティブ電極とリターン電極を有するバッグ構造7200を提供する。いくつかの実施形態においては、多層構造を提供することによって、アクティブ電極ワイヤを検体バッグ内に組込むことができる。外側層7202は、ナイロンまたはエラストマを含むことができ、次の層7204は、ホイルリターンを含むことができ、次の層7206は絶縁層を含むことができ、次の層7208はアクティブ電極ワイヤを含むことができ、次のまたは最内側層7210は、有孔バッグ材料を含むことができる。
図73に例示されているように、いくつかの実施形態は、検体を予張力付与するための2重バッグ構造7300を含む。2重バッグ構造7300は、装置に対して圧壊することで検体を締め付けることのできる内部バッグ7302を含んでいてよく、一方、外側バッグ7304は、検体を切断するために使用されるワイヤ/電極(例示せず)を収容するか、または囲繞することができる。リターン電極(例示せず)も同様に、外側バッグ7304内に収容され得る。
図74に例示されているように、いくつかの実施形態は、最外側バッグ7402内にリターン電極(例示せず)を伴う2重バッグ構造を提供する。外側バッグ7402が検体を締め付けてリターン電極を収容するような形で、2重層バッグ構造7400を使用することができる。内側バッグ7404は、切断のためのアクティブ電極(例示せず)を収納し得る。
図75に例示されているように、いくつかの実施形態は、暗号信号コントローラ(多重化)を提供する。切断を実施する電力(例えばRFエネルギ)のためのさまざまな発電機の潜在的使用に対処するため、装置ケーブルと直列にコントローラ108、708、7502を具備することができる。コントローラ108、708、7502は、信号の多重化を必要とするプロジェクトと併せて使用され得る。
図76に例示されているように、回収バッグ7602に、組織を切断し露出するためのオーバーチューブ7604を具備することができる。いくつかの実施形態においては、オーバーチューブ7604と主要装置シャフト(例示せず)の間に位置付けされた支持アーム7606および引紐7608が、回収バッグ7602の再配向を補助することができる。いくつかの実施形態においては、2つ以上の引紐7608を提供することで、バッグの閉鎖の制御を改善することができ、装置シャフト(例示せず)上で閉鎖するバッグ7602の傾向を増大させることができる。
図77に例示されているように、いくつかの実施形態においては、検体回収バッグ7602の使用方法が提供される。1つの方法は、バッグ7602内に検体を捕捉するステップとその後摘出のためより小さな部片へと組織を切片化するステップとを含む。バッグ7602は、当初、図76に例示されているように、シャフト(例示せず)に直交して開放していてよく、その後、図73に例示されているように、1つ以上の電極7610を用いて中の検体に切断を印加するために、シャフト上でまたは切開部を通して、回転され得る。外部引紐7612がバッグ7602の位置付けを補助することができる。
図78に例示されているように、いくつかの実施形態が、ワイヤループのためのガイドを提供する。例えば、シャフト先端部7802またはシャフトの遠位部分が、各ワイヤ電極7806のためのガイド7804を含み得る。ガイド7804はワイヤ7806を互いに離れるように付勢して、それらが接触するのを防止し、これによりワイヤ7806の切断経路を維持することができる。
図79に例示されているように、いくつかの実施形態においては、バイポーラ電力をアクティブ化するためおよび各ワイヤループの張力付与のためのカム筒7902を具備することができる。カム筒7902は、各々の切断ワイヤの順序付けを組織することができる。筒は、所与の時点で1つのループまたはループ対のみをアクティブ化できるようにするためのスロット7904を有することができる。各ループ/ループ対は、手で引張ることができる。カム筒を回転させることで、電力またはPFエネルギのアクティブ化のためにどのワイヤが利用可能であるかも制御することができる。
図80に例示されているように、経時的にワイヤ張力を制御するための相対するばね8002を伴うワイヤループを提供することができる。いくつかの実施形態においては、切断中にワイヤの力を自動化して、組織を通した引張り全体にわたりワイヤ8004上に可変的ばね力を創出するために、一対のばねまたは他の構成要素を使用することができる。出願人は、切断の終了間近で引張り速度を減速させることにより、電極の火花または閃光発生が削減されると判断した。
図81に例示されているように、個別のワイヤループのための取っ手またはシャフト構造を提供することができる。いくつかの実施形態においては、引張ばねにより積極的に張力付与されるワイヤカラムを解除するために、シャフト構造8100内の回転リング8102を使用することができる。ユーザがリングを回転させて、1つのロッドを解除し、電力またはRFエネルギをアクティブ化することができる。いくつかの実施形態において、各切断には、約20〜25センチメートル(つまり約8〜10インチ)の走行が必要である。
本明細書中で開示されている実施形態は、ポリープ切除術、解剖用器具または、凝固または止血を伴うワイヤ切断が所望される他の利用分野において使用され得る。
図82に例示されているように、代用として手動式ワイヤ引込みを提供することが可能である。
図83に例示されているように、切断中にワイヤ張力を達成するための捩りばね8302を提供することができる。捩りばね8302は、一定力ばねであってよく、切断用ワイヤ/電極8304の引込みを提供し得る。捩りばねは、ワイヤまたは装置シャフト内にワイヤを引張る他の構造を螺旋状に巻くことができる。捩りばね8302は、逐次的に動作し得る。
図84に例示されているように、いくつかの実施形態は、カムおよびローブメカニズム8400を用いて電極ワイヤアクティブ化を提供する。回転カムは、電力またはRFエネルギのためのワイヤ/電極を選択するため、半径方向に間隔取りされた各ワイヤ/電極を別の電気的接点まで外に上昇させることができる。カムを回転させて、1つのワイヤ/電極を解除し、別のワイヤをアクティブ化することができる。
図85に例示されているように、いくつかの実施形態は、ワイヤ/電極長ロックメカニズム8500または方法を提供する。いくつかの実施形態においては、カムロックスライドが提供され、一定の力が達成されるまでワイヤ/電極上を前進させられ得る。このとき、カムは、ワイヤ/電極がわずかに弛緩するにつれてワイヤ/電極を所定の場所に係止することができる。カムロックは、電力および/または切断用張力を始動させる前に検体に対してワイヤ/電極を予張力付与する方法を提供する。
低温高速ワイヤ切断の適用中、何らかのレベルの止血が望まれるエネルギの送出を、止血と高速切断の両方を提供するように改変することができる。
止血を増大させる1つの手段は、ワイヤ切断中の最初のエネルギ印加の方法を改変することである。低電圧およびより高い電流能力を有する電圧制限された電力を張力付与されたワイヤカッタに最初に送出して切断始動を遅延させ、切断に先立つ組織の凝固を可能にすることができる。既定の時点で、または既定のパラメータ閾値が満たされるまで、エネルギ送出はこのとき、電圧の増加を通してワイヤ切断が始動させられるように改変され得ると考えられる。これを達成する別の手段は、非正弦波形を最初に適用して凝固効果を増強し、正弦波形に遷移して切断を増強することにあると思われる。これは、単一の事象であり得、あるいは切断が前進するにつれて連続的に調整することが可能である。これは同様に、制御および切断性能を改善するため、電気的データまたは走行速度データからのフィードバックに基づいて純粋な正弦波形とより高い波高因子との間で変調させることによっても調整可能である。この変調は、パルス幅変調、波形のひずみ特性の変更、出力のサイクルまたは部分サイクルの削除または振幅の変更、RF出力段に対する負荷の加算または減算による減衰特性の変更、または他の手段であり得る。
監視すると有利であるかもしれないパラメータとしては、インピーダンスまたは相変化などの電気的パラメータ、または組織の収縮または柔軟性などの機械的パラメータが含まれる。最初の止血ステップの間、0.68〜1.37MPa(100〜200psi)という高い圧力で、切断単独の場合に必要とされるよりも高い力を凝固中にワイヤに対して印加することができる。その後、力を低下させるかまたは維持して切断を完了することができる。凝固または止血時間は変動し得るが、0.25〜10秒になるものとして予期される。ワイヤは、利用分野に応じて、高インピーダンスコーティングまたは代替的には非粘着性コーティングを有していてもいなくてもよい。
ここで図86を見ると、バッグ8611の詰め込み中に気腹を維持するために好適な器具8610を例示している。導入器8610は、切開部位に対し押付けられたときにシールを提供するシーラー8612をシャフト8614上に有することができる。このシーラー8612は、患者の体内または体外にあり得る。シーラー8612は、膨張可能なまたは膨張不能の特徴部を含み得る。ユーザは、シャフト8614の長さに沿ってシーラー8612を移動させるかまたは摺動させて、切開部またはその近くにシーラー8612を位置付けし、かつ/またはシーラー8612を好適な時点で切開部から離れるように移動させることができるかもしれない。いくつかの実施形態において、シーラー8612は、導入器シャフトを取り囲むかまたは囲繞するカップ状の特徴部を含み、カップ状の特徴部の最小限の移動で導入器の移動を可能にするために、導入器シャフトにおいて可撓性を有する。いくつかの実施形態においては、器具200とインタフェースする開口部が、使用後にシーラー8612を除去し、バッグ8611の詰め込みおよび露出を補助するように意図された別の器具(例えば把持器)上に設置できるような形で柔軟性を有する。
いくつかの実施形態においては、例えば膣式摘出に対する腹腔鏡検査の場合のように、摘出バッグを高い信頼性で閉じることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態においては、バッグを共に溶融させることによりバッグ開口部を封止するためにバッグシーラーツールが提供され得る。ここでは、より信頼性の高いより容易な封止のため、バッグの開口部端部に比較的低い溶融温度を有する材料が提供され得る。いくつかの実施形態においては、信頼性の高い閉鎖を可能にするために、大きなクリップまたはタイが提供され得る。ここでは、ユーザは、バッグの中味と外部との間に流体不浸透性障壁を提供するためにバッグ開口部に恒常的に取付けられているクリップまたはタイを展性材料(例えばろうおよび/または接着剤)部域またはストリップの上または周りに適用することができる。可鍛性材料は、バッグの内部壁または外部壁上に具備され得る。バッグの外部に可鍛性材料を具備することで、潜在的なまたは偶発的な事前係合を削減することができ、係合は例えばユーザがバッグの端部を中に反転させた後に可能になる。変形形態では、展性材料上に除去可能なストリップを具備して、事前係合を防止することができる。
ここで図87を見ながら、バッグを用いた切片の摘出を補助するための手段について詳述する。組織を切片8722にした後、特に癌が疑われているか分かっている状況においては、検体切片8722と同時にバッグを除去することが望ましい場合がある。この状況下では、切除すべき組織上に圧縮力を印加するように構成されているバッグ8724を提供することができる。
例えば、図87(b)に例示されているように、バッグ8724は、このバッグ8724を除去するための力を印加するのと同時に切片8722を圧縮しかつ/または再配向する切片締付け器8726を含み得る。具体的には、切片締付け器8726は、ユーザが切片締付け器8726を近位に引張るにつれて、バッグ8724が患者の体外に引出されるのと同時にまたは実質的に同時に切片8722が圧縮されるような形で構成され得る(例えば図87(c)参照)。いくつかの実施形態において、切片締付け器8726は、直接的接触を通して組織切片8722の再配向を容易にするために、バッグ8724の内部上に統合される。切片締付け器8726は、紐またはストラップ様の特徴部であり得る。いくつかの実施形態において、切片締付け器8726は、記憶維持材料を有しかつ/または組織を受入れるためにバッグ8724を拡張させるのを補助する目的で弾性を有することができる。いくつかの実施形態において、切片締付け器8726の表面は粗化されるかまたは、切片締付け器8726と切片8722の間の摩擦係数を増大させるかまたはユーザまたは器具が近位で引張るにつれて切片8722を有効に「把持する」突出部を有する。
いくつかの実施形態において、図87(c)に例示されているように、切片締付け器8722は、切断または引張り力Fの方向との関係において一定の角度で締付け力を印加するように構成されている。切断、ワイヤの引込みまたは引張り力との関係において15〜90°の角度αで締付け/引張り力を印加することによって、切片8722は、切開を通した摘出を可能にするように圧縮されると同時に再位置付けされ得る。より多くの圧縮が望まれる場合には、90°に近い角度が所望される可能性がある。いくつかの実施形態において、角度αは45°〜89°である。他の実施形態においては、角度αは60°〜85°である。他の実施形態においては、角度αは70°〜80°である。切片のより多くの移動または再配向が望まれる場合には、角度は15°により近いものであり得る。いくつかの実施形態において、角度αは15°〜45°であり、いくつかの実施形態において、角度αは15°〜35°であり、他の実施形態において、角度αは15°〜20°である。
図88に例示されているように、いくつかの事例においては、外科手術のためにロボットまたは他の電気機械式手段が使用される可能性がある。このような事例においては、バッグから切片を摘出するために同じ手段を利用することが所望される場合がある。図88は、ロボット援用摘出を可能にする例示的アプローチを示している。例示されているように、組織摘出バッグ8831、ロボット把持器8832、ガイド手段8834、およびバッグマシンインタフェース8836を有するシステム8830が、いくつかの実施形態において提供されている。
ロボット把持器8832は、外科医が患者の体または切開部内外に進むロボット把持器8832を検分できるようにするカメラまたはアーム8835を含むことができる。ガイド手段8834は、トロカールまたは切開部位の間のガイドを含めトロカールまたは切開部の内外にロボット把持器8832を誘導する能力を提供する。いくつかの実施形態において、ロボット把持器8832は、切開部位と別の場所(例えば検体または病変コンテナまたは組織を収容するためのトレイ)との間を走行するように構成されている。
バッグマシンインタフェース8836は、バッグ開口部上またはその近位に提供されていてよく、ロボットアーム8838とインタフェースしアーム8838が組織切片8822の摘出中にバッグ8831上に張力を提供して切片が容易に識別され把持されるようにするように構成されている。
本明細書中で開示されているいくつかの実施形態は、肺組織を摘出するために使用され得る。例えば、本明細書中に提供されている外科的方法には、(必ずしもこの順番ではないが)以下のステップが含まれる。(1)病理にとっての対象部域または余白をマーキングまたは識別するステップ、(2)検体を捕捉するために検体バッグを胸腔内に挿入するステップ、(3)バッグ内に検体を詰め込むステップ、(4)バッグ開口部を露出するステップ、(5)ワイヤコネクタを器具に連結するステップ、(6)器具の遠位端部を胸腔内に挿入するステップ、(7)切断前にワイヤを予張力付与するステップ、(8)機械的または機械/電気的切断のいずれかを用いて組織を切片化するステップ、(9)器具を除去するステップ、(10)バッグの直径を減少させる、および/または組織切片を再配向する目的で切断またはワイヤ引込み引張り力の方向に対して15〜90°の角度で組織切片上に外部圧縮力を印加するステップ、(11)収納された検体と共にバッグを除去するステップ。
本明細書中に開示されている組織摘出方法には、(必ずしもこの順番ではないが)以下のステップが含まれる。(1)病理にとっての対象部域または余白をマーキングまたは識別するステップ、(2)検体を捕捉するために検体バッグを胸腔内に挿入するステップ、(3)バッグ内に検体を詰め込むステップ、(4)バッグ開口部を露出するステップ、(5)ワイヤコネクタを器具に連結するステップ、(6)器具の遠位端部を胸腔内に挿入するステップ、(7)切断前にワイヤを予張力付与するステップ、(8)機械的または機械/電気的切断のいずれかを用いて組織を切片化するステップ、(9)器具を除去するステップ、(10)検体切片を摘出するステップ、(11)バッグを除去するステップ。
バッグに対するワイヤの一時的保持は、いくつかの方法で実施可能である。バッグは、多重層、または、ワイヤを所定の場所に一時的に保持するための追加の特徴部が取付けられた単一層を含み得る。バッグは、一緒に溶接または接着された複数のフィルム部片を含み得るかまたは、フィルムを再整形することによって成形されるかまたはバルーンと類似の金型内でブロー成形され得る。アプローチの如何に関わらず、ワイヤを所定の場所に保持する手段は、解除可能であり、組織の切片化を完成させるために解除しなければならない。
無線周波数エネルギを伴ってまたは伴わずに検体を切片化するためにワイヤを使用する別の重要な特徴は、例示されているようにバッグの側壁にワイヤが保持されるように保証することである。ワイヤをバッグの側壁に対して取付けられた状態に保つことによって、ワイヤを不注意にシフトさせるかまたはワイヤを捕らえて検体が完全に詰め込みされることなく、検体を詰め込むことができる。この目的で、ワイヤは、ワイヤに対し印加された張力により解除するループ、穿孔または類似のバッグ特徴部を用いて、所定の場所に保持され得る。さらに、保持用特徴部は、保持用特徴部を溶融または軟化させるワイヤへのエネルギ印加に応えて解除し得る。付加的アプローチは、保持用特徴部からワイヤを解除する、ユーザが引張ることのできる機械的引手または特徴部を有することである。機械的引手または特徴部は、露出されたときにバッグの開口部の近くでユーザがアクセスできる保持用特徴部に取付けられた別個の紐であり得る。バッグ自体の内部の膨張可能な特徴部も同様に、保持用特徴部を破裂させるために使用可能である。
バッグにワイヤを一時的に取付けることの1つの潜在的リスクは、ワイヤの離脱中にバッグが破裂することである。多重バッグ層の使用は、保持用特徴部の解除時点でバッグが無傷の状態にとどまることを保証する一助となる。保持用特徴部は、バッグの最内側層に取付けられ、バッグが無傷で流体不浸透性の状態にとどまることを保証するためにバッグの外部に1つ以上の追加層を伴う。
バッグの安全性に関してユーザにフィードバックを提供する追加の特徴部が追加され得る。バッグは、膨張させられるかまたは膨張可能なチャネルを有することができる。膨張に伴って、バッグまたは膨張可能なチャネルが維持する測定膨張圧力は、バッグ内の考えられるあらゆる孔を標示するものである。センサを伴う圧力バルブの使用を、あらゆる圧力降下の検出に用いることができる。バッグまたは膨張可能なチャネルを膨張させるための圧力バルブおよび/または手段は、バッグ内に結合されるか、または代替的には、切片化器具自体の中に結合され得る。他の潜在的アプローチとしては、手技中にバッグの外部をユーザが検分できるようにするためのカメラの使用、体液との接触の時点で色が変わる3層バッグの外側2層の内部の変色するインジケータの使用、または2つの層間に何らかの流体が侵入したか否かをユーザが視覚的に決定できる、透明な外側バッグ層またはフィルムの使用、が含まれる。別の方法は、外側バッグ層の内部上の導電性被着および膨張によって外側層に対し分離されている中心層を有することであると考えられる。2つの導電層の間のキャパシタンスは、容量性タッチスクリーンの押圧と同様、圧力降下がキャパシタンス読取り値を変更するような形で監視可能である。キャパシタンスは、規則的間隔で、コマンド時点で、または連続的に測定可能であり、あるいは、圧力が失なわれた場合システムが条件を識別してアラートを発することができるような形で閾値を予め決定することもできる。2つの導電層は同様に、2つの層間の抵抗変化を用いて圧力条件の喪失を標示できるという点において、抵抗性タッチスクリーンと類似の形でも使用可能である。最後に、バッグの外側2層は無菌流体を含んでいてよく、これによりユーザは、手技の進行中に流体レベルが降下しなかった場合にバッグの安全性を確信することができる。
ユーザがバッグ内の隙間を視覚的に決定した場合、バッグの中味から体液または組織が失なわれるリスクを削減するために、接着性パッチを適用することができる。ユーザは同様に、患者の体腔を洗浄(すすぎと吸引)するよう決定を下すこともできる。
本明細書は主として、電気手術システムに向けられているが、組織の切片化および摘出は、いくつかの実施形態において、電気手術構成要素を有していない切片化装置を用いて達成されてもよいということを理解すべきである。具体的には、例えば力、運動および/または振動などによって機械的に組織を切片化する1つ以上のワイヤを有する外科装置が提供されてもよい。本明細書中で開示されている実施例の多くは同様に、このような機械的外科装置にもあてはまる。例えば、外科装置は、電気的態様を有することなく、引張り力または切断速度を制御するように構成されたコントローラを伴ってまたは伴わずに、本明細書中で開示されたワイヤ張力付与方法を利用し得る。同様にして、ロボットシステムも、本質的には電気手術的ではない切断機能を提供し得る。電気手術切片化手技の場合と同様に、摘出バッグは、組織切片が摘出バッグ内に置かれている間切断用ワイヤを所定の場所に保つ(そして互いにもつれることがないように保つ)ための手段を提供することができ、同様にして、ワイヤは、所望される設定された力または時間で摘出バッグから離脱するように構成され得る。機械式のみの切断の使用は、組織が石灰化していないか、機械的特性の変動性が比較的少ないか、または概してより砕けやすく、したがって組織を通して高い信頼性で切断するために極端に高い力を必要としない利用分野において有利であり得る。この事例に対処するために、組織摘出装置またはワイヤ切断装置は、電気手術切断に必要とされる要素無しで構成され得る。例えば、コントローラまたは電気手術発電機に対するリターン電極または連結部を省くことができる。当業者であれば、電気手術切断要素を伴わない摘出装置には、ユーザが完了する器具連結をより少ない数しか必要としない、ということを理解するものである。その結果、これにより製品の生産コストを低減させることができる。いくつかの実施形態においては、電気手術切断特徴部を有していない摘出装置は、より低温での組織の切断を可能にし、虚弱な患者にとってはより安全な代替案であり得る。当業者であれば、電気手術切断を伴わない摘出装置における機械的引張り力が、電気手術切断特徴部を伴うものに比べて著しく大きいものとなるということを理解するものである。
先に米国特許出願第14/805,358号明細書の中で言及された通り、RFエネルギのバイポーラ利用分野には幾分かのメリットがあり得る。図89は、バイポーラワイヤアセンブリ8950の一実施形態を例示する。ワイヤは、絶縁部材8953により分離された2つの導電性外側領域8951および8952を伴って創出される。2つの導電性領域8951および8952は、電気的に結合されておらず、絶縁部材8953の分離は、組織切片化を行なうために印加される電圧が絶縁部材を横断してアークを発生させないようなものである。RF電圧は、一方がアクティブ電極として作用し他方がリターン電極としてアクティブである導電性領域8951、8952の間に印加され得る。いくつかの最適な実施形態において、導電性領域8951、8952および絶縁部材8953は、それらが機械的に結合されワイヤアセンブリの長さ全体にわたり捻回される554ような形で固着または形成されている。この捻回は、組織検体を横断する或る1点において組織と両方の導電性領域8951、8952の接触を保証する。切断の始動は、ワイヤアセンブリの長さを横断して或る1点で発生し、ワイヤが切断中に組織内へと前進するにつれて、ワイヤの長さ全体にわたり接触が起こる。ここで説明されている通りに装置を構成することにより、両方の導電性領域が、切断の完了を通して組織と接触した状態にとどまる確率は増大し得る。
図90は、共に機械的に固着または形成されて機械的カップリングを創出する絶縁部材9063により分離された2つの平行なワイヤ9061、9062を有するバイポーラワイヤアセンブリ9060を例示している。この構成は、平行なままに残されるかまたは図89に関して説明されているように捻回されてよい。
本明細書中で先に説明されているように、バッグ161の破裂は、組織切片化装置を用いてかまたは単純に組織を切片化しない摘出装置を用いてのいずれであれ、監視、防止および/または軽減すべき潜在的な不具合である。
ここで図91を参照すると、外側バッグ層9102、内側バッグ層9104およびそれらの間の空間9106を含む摘出バッグシステム9100が提供され得る。層9102、9104は、継手9108などにおいて、この技術分野において公知の任意の手段を用いて互いに結合または融合され得る。バッグ層9102、9104の間の真空または圧力のいずれも、破損の検出または軽減戦略の一部として使用可能である。
いくつかの実施形態において、層9102、9104間の空間9106内の圧力を用いて、外側バッグ層9102を膨張させることができる。外側バッグ層9102内に破損が発生した場合、膨張したバッグのサイズまたは圧力の低下を探査することによって、圧力損失を視覚的に検出することができる。
いくつかの実施形態においては、バッグ層9102、9104の間の空間9106に真空を適用することができる。真空は、2つの目的に役立つことができる。すなわち第1に、真空は、外側バッグ層9104がもはや内側層9104に向かって引張られていると思われない場合に、破損の視覚的標示を提供する。第2に、外側バッグ層9104内に破損が発生した場合、真空は空気をバッグ層9102、9104間の空間内に引き込み、こうして他の材料または流体が孔から漏出する可能性を最小限に抑える(特にこの孔が小さい場合)。すなわち、層9102、9104間の空間9106内の真空は、流体の内向きの流れを付勢する傾向をもち得、一方空間9106内の圧力は、破損の場合に流体を患者の体外にそして潜在的には患者の体内に放出する傾向を有すると考えられる。
いくつかの実施形態において、図92に例示されているように、摘出装置102は、送気のために使用中の気体の存在を検出するために、例えば導入器管内に位置付けされたCO2および/またはN2Oセンサを含み得る。すなわち、例えば、バッグ161が、真空状態でまたは内部に大気がある状態で患者の腔内に導入された場合、送風のために使用される気体、例えば二酸化炭素または亜酸化窒素は、バッグ161の内部空間9204に入る傾向を有し、センサ9202は、気体特徴の変化を検出し、かつ/または内部空間9204内の気体内部に送風気体を有することを検出するために提供され構成され得る。当業者であれば、センサ9202が必ずしも摘出装置102の内部にある必要はなく、単に、この技術分野において公知のまたはいまだ開発されていないいずれかの好適な手段を用いて、サンプリングのために内部空間9204に曝露されるだけでよい、ということを認識するものである。
ここで図93を見ると、多重バッグ層を有するいくつかの実施形態においては、外側および内側層バッグ層9302、9304の間の中間空間9306に対してセンサ9202を曝露するために、管(例示せず)、管腔またはチャネル9308が具備され得る。センサ9202は、バッグアセンブリ9300から遠隔に位置付けされ得、センサ9202がこの中間空間9306内の空気の中味をサンプリングできるような形でチャネル9308に結合され得る。
いくつかの実施形態においては、層9102、9104、9302、9306間の空間9106、9306またはバッグ内部9204に対してわずかな真空を適用して、センサ9202において検出されつつある気体の中味が増大し、それにより漏出のより正確な標示が提供されるようにすることができる。このわずかな真空は、ポンプ(例示せず)、真空エアシリンダまたは、センサ9202に向かって空間9106、9306、9204の中味を引き寄せ手技全体を通して負の圧力を維持できることを保証するためセンサ9202と結合された空気流制御弁を非限定的に含めた、負圧を印加するための他の手段を用いて、創出され得る。
図94に例示されているように、いくつかの実施形態においては、1つ以上のチャネル9410、9412を提供し、外側および内側バッグ層9402、9404の間の中間空間9406に結合することができる。第1のチャネル9410は、真空ポンプ9408に結合され得、前述の通り、中間空間9406の中味をサンプリングするための負圧を提供するために使用され得る。空間9406から引き出された空気または他の空気を空間9406に再供給するために、第2のチャネル9412を具備することができる。このようにして、先に説明したチャネル9410、9412のうちの一方または別のチャネル9416を用いてセンサ9202などにおいて連続的に監視可能な空気の循環が創出される。
この監視は、ベースラインを確立し、かつ/またはCO2および/またはN2Oの出発レベルのより正確な標示を提供することができる。センサ9202は、いくつかの実施形態において、本明細書中で先に言及した通りCO2および/またはN2Oの示差的または変化するレベルについて監視することができる。いくつかの実施形態において、図95に例示されているようなバッグシステム9500は、監視中の空間9204の空気の質を条件付けまたは維持するために、HEPA、炭素および/または他のフィルタを含み得る。例えば、チャネル9410、9412がバッグ161の内部に結合されている場合、切断プロセスから創出されるあらゆる蒸気、煙または他の効果をバッグ部域9204の内部で有意に削減することができる。
センサ9202は独立して使用されてもよいし、かつ/またはCO2および/またはN2Oが検出された場合の視覚的または可聴標示を含むことができる。センサ9202は同様に、CO2および/またはN2Oが検出された場合にユーザに対して可聴または視覚的標示を創出できるコントローラ108、808などの処理ユニットに電気的に結合されてもよい。センサ9202は同様に、器具102に対して電気的に結合されてよく、あるいは、バッグ161、9100、9300内の漏出の存在の検出専用の別個の装置に結合されていてもよい。
CO2および/またはN2Oの標示時点でユーザに対し提供されるアラートは、外科チームが、患者の転帰を最善の形で管理するべく、可能なかぎり早期の機会に外科的介入を行なうことを可能にすることができる。
いくつかの実施形態において、図95に例示されているように、ポンプ9408、9414とインラインで具備されている1つ以上のセンサ9518、9520は、バッグ161内に導入されバッグ161から退出しつつある流体の品質、または2つのバッグ9302、9304間の空間を監視するように構成され得る。すなわち、システム9300、9400、9500は、内部空間9204または空間9106、9306、9406、9506内にある気体の変化を検出するように構成され得る。漏出検出方法は、第1の時点で検出された1つ以上の流体品質値と第2の時点で検出された1つ以上の流体品質値を比較するステップを含み得る。
システム100はこの情報を用いて、漏出が発生するにつれて、この漏出についてユーザにアラートを出し、外科チームが外科的介入を行なうことができるようにし得る。
ひき続き図91、93、94および95を参照すると、いくつかの実施形態において、空間9106、9306、9406に対して高圧空気または流体を適用することができ、加圧状態の構造に対して、20〜50kHzの範囲内の音響波または超音波を適用することができる。構造の音響放出を監視し構造内の漏出または変化を表わすと考えられる放出の変化を検出するために、音響トランスジューサ(例示せず)を提供することができる。音響放出検出には、以下の技術のうちの1つ以上が利用される。リングダウン計数法、エネルギ分析、振幅分析、周波数分析、パターン認識および/または音響放出の変化を検出するためのスペクトル分析、または当業者にとって公知の他の任意の手段。
いくつかの実施形態においては、手術後の漏出検出方法が提供されている。例えば、外側および内側バッグ層の間の空間9106、9204、9306、9406に対して、またはバッグ161の内部に対して、バッグ161、9100、9300、9400が空気圧装置の周りで封止されている状態で、ポンプ、シリンダまたは他の手段から流体圧力が印加され得る。圧力検出器を用いて、結果としての空気圧および/または減衰特性を測定することができる。漏出が発生したか否かを決定するための視覚的標示も同様に提供され得る。
検出システムは、圧力検出器、印加された圧力を制限するための圧力制御弁および通気メカニズムを含むことができる。中間空間を使用する実施形態については、空間に対するアクセスを提供する管腔は、ユーザによる漏出検出システムの容易な取付けを可能にする取付け具を有することができる。バッグ開口部を使用する実施形態については、界面がバッグ開口部に嵌合し、ユーザが開口部を界面上に締付けてシールを創出できるようにする。バッグは同様に、テストを行なう能力を改善するために界面に対するシールを創出するのを補助する特徴部も有することができる。
術後漏出検出方法は、必要な場合には外科手術を完了する前に外科チームが外科的介入を行なうことができるようにし得る。
いくつかの実施形態において、漏出検出方法は、使用後のバッグ層間の流体洗浄(例えば無菌生理的食塩水)を含み得る。次に、血液などの生物学的材料について、流体の中味を評価することができる。
いくつかの実施形態においては、術後漏出検出方法には、バッグを膨張させるステップおよび気泡を探査するために水などの流体下に置くステップが含まれ得る。
いくつかの実施形態においては、切片化手技の完了後、漏出について検体バッグを評価することができる。例えば、手術室の給気を使用して、膨張させながら、給気の周りでバッグ開口部を把持し封止することにより使用済み検体バッグの内部に充填を行うことができる。ひとたび検体バッグが膨張させられた時点で、開口部を自己捻回させて、加圧空気を封止することができる。この膨張した検体バッグを水浴中(すなわち検体バッグが出荷時に入っていたトレイの小さいキャビティ内)に(部分的に)沈めて、検体バッグ内の何らかの破損から漏れ出る気泡を目視することができる。水の表面張力を修正し、水の可視的泡立ちを増強するために、バッグの表面または水に対して界面活性剤を添加してよい。
漏出検出のいくつかの実施形態は、バッグ層間の中間空間または検体バッグの内部に液体、例えば水または生理的食塩水を充填するステップ、および既定の圧力まで加圧空気を付加して、バッグまたはバッグ層内のいずれかの破損を通しての何らかの漏出を加速させるステップを含むことができる。
いくつかの実施形態において、バッグ表面は、目視されてよく、かつ/あるいは、タオルまたは空気で乾燥させられてよく、バッグ層の境界を横断した液体の移動を目視することができる。
いくつかの実施形態においては、バッグまたはバッグ層境界を横断した移動を視覚的に識別する能力を増強するために、空間内に導入される流体中に着色剤または染料を提供することができる。
いくつかの実施形態においては、外側バッグ層9102が第1の半透明色で作製されていてよく、内側バッグ層9104が第2の色で作製されていてよく、その間の空間9106は加圧され得る。漏出を決定する方法は、バッグ層9102、9104間の1つ以上の接触点において知覚された色の変化を視覚的に決定するステップを含み得る。視覚的に決定するステップには、外科的手技の最中または後で内視鏡カメラを使用するステップまたは外側層9104を検分するステップが含まれ得る。
例えば、内側バッグ層に青色の色合いが加えられ、外部層に黄色の色合いが加えられた場合、接触部域は結果として、2つの有色層の光結合の増大に起因する緑色の色合いの形状をもたらすことになる。
いくつかの実施形態においては、外科的手技が進行するにつれて、組合せ色部域のサイズの変化、詳細には増大が、2層間の接触部域の変化を標示し得る。この中間空間内の2層の間に定体積の空気が捕捉されている場合、または使用に先立ちわずかな圧力が加えられた場合、この色が組合わされた領域のサイズの増大により、バッグ層の1つの漏出を識別することが可能である。
当業者であれば、上述の手技は、層間の空間9106が真空下にある場合でも好適であり得るということを認識するものである。例えば、層9102、9104が互いから離れるように引張られた場合、漏出が同様に標示される。
いくつかの実施形態においては、漏出検出方法は、水分検出層を提供するステップおよび/または流体に起因するインピーダンスの変化または導電性流体を表わす電気的パターンを監視するステップを含み得る。
側断面図および部分平面図を例示する図96に例示されているように、例えば内側層の漏出を検出する方法には、内側バッグ層9604と外側バッグ層9602の間の中間空間内に導電性メカニズム9606を提供するステップが含まれ得る。メカニズム9606は、導電性フィルムまたはメッシュであり得、かつ/または内側バッグ層内9604の外側表面および/または外側バッグ層9602の内側表面上に被着または印刷されたコーティングまたは層であり得る。
いくつかの実施形態においては、第1の電極9608および第2の電極9610が、導電性メカニズム9606またはメッシュの残りを伴ってまたは伴わずに、層9602、9604の間に位置付けされ得る。
導電性メカニズム9606は、2つの別個の電極9608、9610間に固定された間隔取りを有するパターンにあり得る。2つの電極9608、9610は、バッグ層の内部表面の一部または大部分をカバーする単一の電極対であり得るか、または並列で電気的に接続されている多数の場所に設置された対であり得る。電極は、リターン電極接触品質を監視するために電気手術発電機によって適用される2重電極監視照会波形と類似する信号、好ましくはAC波形に電気的に結合され得る。信号は、切片化器具102、監視ユニットまたはコントローラ108内かまたは別個の遠隔の場所に位置設定された電気回路から生成され得る。電極を横断して測定される電圧および電極の間で測定される電流の特性は、電極を横断したインピーダンスを提供することができる。中間空間が乾燥している場合、インピーダンスは、断線に近づき、2つの電極の間隔取りでのバッグ層材料のコンダクタンスに特徴的なものとなる。内側層が漏出している場合には、流体または他の材料が中間空間内に進入し得る。この流体または異物は、血液、組織または他の体液の伝導率に起因するインピーダンスの変化を提供する。2つの電極間のインピーダンスの減少を測定することによって、流体または電極の間隔取りにまたがる他の組織の漏出を検出することができる。
漏出検出のいくつかの実施形態は、力率角度を使用することによって、バッグの折り目または他の手段で創出された短絡を、流体または他の体液または材料の導入と区別できるような形で、複合インピーダンスを測定するステップを含む。このことは同様に、中間空間に正の圧力を加えてバッグに折り目が発生する可能性を削減すること、ならびに折り目を有することが予期されているバッグの部域と整列するように電極の形状を設計して、折り畳まれたバッグが電極を同じ電極と接触させ相対する電極とは接触させないようにすることによって増強され得る。
有意な量の体液がバッグの底面に落下する尤度が高いことから、流体が電極または回路と接触したときにそれを検出するために、バッグの底面にある電極または一連の電極を使用することができる。電極は、抵抗またはキャパシタンスを検知し得る。例えば、電極は、バッグの底面に流体吸収ゲルを有することができ、液体が添加された場合これがキャパシタンスを変化させる。
バッグ内の漏出を検出するいくつかの実施形態は、バッグの内側および外側層の間の収納された中間空間の中にヘリウム(He)または不活性ガスを一定量印加するステップを含み得る。ガス分光検出技術を用いて、バッグ内部に設置されたヘリウム検出器または不活性ガス検出器が、器具の中に組込まれ、こうしてセンサは、導入器管内部に位置設定されるかまたは管の外部に位置設定されるようになっており、ここで管腔は、センサが、例えば煙排出システムの場合のようにバッグ内部から流動する空気の中味をサンプリングできるように導入器管に連結されている。ヘリウムまたは不活性ガスのあらゆる痕跡が、中間空間からバッグの内部への気体の移動を標示し、このこと自体が漏出の発生を標示する。
いくつかの実施形態において、検出器は、腹腔内部のヘリウムまたは不活性ガスのあらゆる検出が、バッグの中間空間と外側バッグ層の間の漏出を表わすことになるように、追加の腹腔鏡ポートを通って設置される。この方法は、漏出について測定しながら送気を一時中断するステップを含み得る。
いくつかの漏出検出方法は、外科的手技の最中または後の漏出について光学的に走査するステップを含み得る。
漏出検出方法のいくつかの実施形態は、手技中にバッグの表面を検分するためにカメラを使用するステップを含む。カメラは別個のポートを通って挿入され得、腹腔鏡検査中に使用される内視鏡カメラであり得、または、漏出を検出するように意図された別個のカメラであり得ると考えられる。カメラの画像は、本明細書中で先に説明したコントローラなどの処理ユニット、または実時間で画像をデジタル化できる異なるユニットに対して送信され得る。処理ユニットは同様に、実時間撮像データを比較するために使用可能なデジタル化された画像を記憶するためのデータストアも含み得る。この比較は、手技が進むにつれてバッグの幾何形状の変化、例えばバッグの漏出の標示を提供し得る中間空間の厚み、を決定するために使用可能である。視像は同様にバッグの表面または底面上の流体の蓄積を探査することができ、バッグから形成または落下する液滴を探査することができ、本開示中で提示された他の実施形態のいくつかと併用することができる。例えば材料が、特定の色を有する中間空間の内部に設置されている場合、プロセッサはバッグの外側表面上のこの色の振幅の変化を識別するために、フィルタリングアルゴリズムを使用することができる。
いくつかの実施形態は、手技が完了した後のバッグを、患者の体内にバッグを設置する前に取った測定値と、またはメーカーの仕様と比較するステップを含む。
ここで図97を参照すると、漏出検出のいくつかの実施形態は、(開放されたときに音を立てる広口瓶の蓋に例えて)2つのバッグ層9702、9704の間の空間9706内の真空圧が失なわれたときに拡張するかまたは「音を立てる」可聴または視覚的インジケータ9708を提供するかまたは使用するステップを含む。例えば、内側または外側バッグ9702、9704のいずれかの中の破損が発生した場合、真空喪失インジケータ9708特徴部は、音を立てるか、伸張するかまたは第1の張力状態から第2の状態まで変化して、外科医にバッグのいずれかの層内の破損が検体バッグの2層間の隙間空間の真空喪失をひき起こしたことを標示することになる。
漏出検出のいつかの実施形態は、バッグ層間に変色水分インジケータを提供するかまたは使用するステップを含むことができる。例えば、検体バッグ層は、ポリウレタンの溶接された2つの層で構築されて、2層間に封止された内側空間を創出し得る。これら2つの層のいずれかの中の危殆化または漏出は、バッグ構築の間に内側空間に適用されると思われる変色化学物質によって標示され得る。化学的インジケータが水性の体液と接触したとき、流体との化学反応により作用物質内に色変化が創出され、これは体腔内の内視鏡カメラからかまたはバッグの除去後に外科医によって観察可能であると考えられる。作用物質はバッグの組立て中にポリウレタンの内側壁のいずれかまたは両方の上に噴霧され得る。作用物質は同様に、緩い粉末としてかまたは液体フィルムとして構築物内に挿入されてもよい。有色紙または繊維のストリップが変色作用物質を保持し得る。
いくつかの実施形態においては、体内へのバッグの設置後にポートを通して液体作用物質が挿入されてもよい。流体はいずれかの側から内側空間内に移行した可能性があることから、2層間の色変化は、2層のうちの少なくとも一方が危殆化されたことだけを標示していると考えられる。いずれの層が穿孔されたかを確認するために、追跡試験が有用であり得る。
漏出検出のために有用であるいくつかの実施形態においては、外側バッグの内部表面上のスプレー式コーティングが提供され、液体に化学結合するように構成されていてよい。手技の後、内側バッグの外側表面および/または外側バッグの内側表面の、例えばブラックライトを用いた目視により、漏出が発生したか否かが顕示される可能性がある。
破損した内側バッグ層からの液体の漏れを識別するために、内側検体バッグ層の外部上のコーティング。このコーティングは、体液と組合わされた場合、浸潤する液体と結合するように構成され、こうして、裸眼でおよび/またはブラックライトなどの二次的機器を用いて視覚化され得るマーカを創出することができる。内側バッグ層内の破損についての検査は、この破損マーカの存在を探査するために各々の術後バッグを走査することによって、検体摘出手技毎の手順として組込まれ得る。
漏出検出方法および装置のいくつかの実施形態は、液体の存在下で色を変える水性カラー「汚れ無し(no mess」マーカーパッドの使用を含み得る。すなわち、内側バッグ層内の破損を視覚的に標示するために、乾燥水彩絵具顔料に類似するコーティングを検体バッグ製造中に内側バッグと外側バッグの間の隙間に適用することができる。この隙間に破損が生じかつ体液がこの隙間に浸潤した場合には、乾燥顔料は飽和状態となり、破損した内側バッグ層の視覚的識別を提供する。
漏出検出方法および装置のいくつかの実施形態は、漏出検出のための指紋「ダスト」を含み得る。以上で説明した水彩絵具顔料方法および装置と同様に、検体バッグの2層間の隙間空間内に粉末を挿入することができる。この空間内への体液の浸潤は、粉末をペースト様の物質へと変える。このペースト物質は破損した内側バッグ層の視覚的識別を可能にすると思われる。
いくつかの実施形態においては、バッグ層の1つとして、またはバッグ層に加えてかつバッグ層の間に、変色材料を使用することができる。バッグ層のいずれかが破損した場合、変色材料は、破損の視覚的標示として色を変えることが考えられる。例えば、層間の材料は、典型的な膨張ガスであるCO2またはN2Oがバッグ層間の空間に入ったとき、色を変える。
いくつかの実施形態は、層内部にあるあらゆる流体を吸収する変色材料をバッグの底面のみで使用することを含む。この変色材料は、タンパク質、流体または生物学的流体の他の化学的特徴の結果として色変化するように構成されていてよい。
漏出検出方法または装置のいくつかの実施形態は、層間にカメラを伴っていてもいなくてもよい視覚的インジケータの使用を含む。内側バッグ内に破損が発生したか否かの視覚的標示を提供するために、外側バッグ層は白色のまたは類似のコントラストを示す材料で製造されていてよく、こうして外科医は、器具の使用中にカメラなどで、または使用後に、外側白色層の内側上の血液を探査することができる。外側バッグ内側表面の変色は、内側バッグ層の破損が発生したことを標示し得る。
漏出検出装置9700および方法のいくつかの実施形態は、図97に例示されているようなインジケータ管または幾何形状などの1つ以上の真空喪失インジケータの使用を含み得る。例えば、1つ以上のポケット、管または拡張部材9708を、バッグアセンブリの外側層9702の周囲の場所に位置付けすることができる。1つ以上の拡張部材9708は、通常の弛緩した状態では目立たず、通常の条件下で、完全に収納され加圧されたバッグアセンブリでは、幾何形状は弛緩状態にとどまると思われる。しかしながら、内側バッグ層9702内に漏出が発生した場合、外側層9702上の拡張部材9708は拡張して、内側バッグ層漏出の容易に識別可能な標示を提供すると思われる。
漏出によってひき起こされ得るあらゆる悪影響を軽減するため、漏出管理実施形態も同様に、本明細書中で説明されている。例えば、いくつかの実施形態においては、実施中の手技に特異的な化学療法作用物質をバッグ161の内部空間内に設置することができる。この作用物質は、例えばバッグの製造または予備包装中に、バッグ内に予め設置され得、または、この作用物質をバッグ内に位置付けすることもできる。
いくつかの実施形態においては、バッグ層間の空間内の化学療法作用物質は、接触する細胞を殺すように構成され得る。該作用物質は、意図された手技を標的とするように選択または構成された特異的作用物質であり得る。
いくつかの実施形態において、作用物質は、作用物質と接触するあらゆる細胞がヒドロゲルまたはゲルの表面に粘着または接着する可能性が高くなるように、ヒドロゲルまたはゲル内に収納される。
化学療法作用物質は、手技および/または患者の病歴に基づいて選択され得る。例えば、子宮摘出が進行中である場合、患者に好適な平滑筋肉腫に適用であると考えられる化学療法作用物質を用いて、バッグの内部空間またはバッグ層間の空間内に移動し得るあらゆる癌細胞に最適に対処することができる。
結腸摘出のためには、腺癌に必要とされている作用物質を選択し、バッグ内に置くことができる。
いくつかの実施形態において、外科医および/または腫瘍医は、化学療法作用物質を選択し、それを使用直前に外側層と内側層の間の空間に添加する。
いくつかの実施形態において、外科医および/または腫瘍医学者は、製造中にバッグ層の間またはバッグ内に入れられる一定範囲の事前投与される化学療法作用物質から選択することができる。作用物質は、液体の形で安全な数量で塗布されてよく、あるいは、フィルムとして内側バッグの外部層または外側バッグの内部層のいずれかに貼付されてもよい。
漏出軽減のいくつかの実施形態においては、層の防腐剤または殺菌剤溶液を、本明細書中で先に説明した化学療法作用物質に関して記載されたものと実質的に類似の形で提供することができる。
漏出軽減のいくつかの実施形態は、漏出が内側層内に発生した場合、内側層を破損する一定量の流体または他の材料を吸収性材料が収納するような形で、内側および外側バッグ層の間に吸収性材料層を設置または使用するステップを含む。このことは同様に、器具または他の機械的縁部による損傷をバッグの両方の層が受けないようにするための幾分かの保護をも提供する。吸収性材料は、ファブリック、発泡材、ゲルまたは、高い水分吸収特性を有する他の材料であり得る。
漏出軽減のいくつかの実施形態は、流体と接触したときに硬度または位相を変える吸収性材料を提供または使用するステップを含む。材料は、バッグ層間に設置され得る。これは、いくつかの実施形態においてはゲルに変化する乾燥物質であり得る。いくつかの実施形態において、物質はより硬質にまたはより柔軟に変化することができ、ゲルに変化する粉末またはフィルムであり得、または、化学的にアクティブ化された変化の結果として色を変える可能性もある。材料は、位相を変えて、視覚的に、バッグの物理的触診を通してなどのいずれかの方法で検出され得る。
漏出軽減のいくつかの実施形態は、内側および外側バッグ層間の粘性ゲル材料層の使用または設置を含んでいてよく、こうして漏出が発生した場合にゲルは漏出の影響を最小限に抑えるように構成されるようになっている。ゲルは、いくつかの実施形態において、漏出を閉鎖し得る。いくつかの実施形態において、内側および外側バッグ層およびゲル層の両方に漏出が侵入する確率をより低くするような形でバッグの厚みを増大させることができる。いくつかの実施形態において、ゲルは、生体適合性材料で構成されているかまたはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、ゲルは、リターン電極上に設置されたものなどのヒドロゲルを含み得る。いくつかの実施形態において、ゲルは、親水性ポリマ材料、生分解性親水性材料および/または有機親水性材料を含む。ゲルは、製造時に層間空間に添加され得るかまたは、管腔を通してゲルを添加することができる。
ゲルは、内側層から外側層を断熱して両方の層の破損の尤度を削減するように選択され構成され得る。
漏出軽減のいくつかの実施形態は、マルチセル中間層の使用を含む。外側バッグ層と内側バッグ層の間のマルチセル層は、内側層が危殆化された場合に潜在的に漏出し得る流体体積を削減するのに役立つ多くの内部空間を含み得る。例えば、内側層および外側層を結合する多くの壁が、バッグの内側層と外側層の間の空間の内部に空気、流体、ゲルまたは本明細書中に記載の他の漏出軽減または漏出管理手段の多くのより小さな一定体積を形成することができる。
いくつかの実施形態において、空気、流体、ゲルまたは本明細書中に記載の他の漏出軽減または漏出管理手段のより小さい一定体積は、内側層と外側層の間に位置付けされた第3のバッグ層によって提供され得る。第3の層は、内側壁、外側壁および内側壁と外側壁を結合して、その間に一定体積を創出する多くの連結用壁を含み得る。
いくつかの実施形態において、マルチセル層は、流体または漏出軽減手段の複数の封止されたポケットを含み得る。マルチセル層は、内側層と外側層の間に位置付けされ得る。マルチセル層は、汚染した材料の走行を制限し、切片化された癌性の組織試料の一部分などの汚染した材料がバッグアセンブリを破損する確率を低下させることができる。マルチセル層は、いくつかの実施形態において、両方のバッグ層の外部に位置付けされ得る。
漏出軽減のいくつかの実施形態は、体液と接触したときに凝固する材料の使用を含み得る。例えば、外側および内側バッグ層の間の空間内にエポキシまたは任意の熱硬化性材料を提供することができる。熱硬化性材料は、内側バッグ層の破損により材料が中間空間に到達できるようになった場合に凝固または硬化するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、凝固により破損を塞ぐことができる。いくつかの実施形態において、熱硬化性材料は、一定時間以内に硬化するように選択または構成され得る。この一定時間は、いくつかの実施形態において5分以下であり得る。一定時間はいくつかの実施形態において、2分以下であり得る。一定時間はいくつかの実施形態において、1分以下であり得る。一定時間は、いくつかの実施形態において30秒以下であり得る。一定時間はいくつかの実施形態において15秒以下であり得る。
当業者であれば、熱硬化性材料の硬化時間が速くなればなるほど結果として得られる固着は弱くなるということを認識するものである。しかしながら、この特徴は、切片化手技の完了後、外科医が硬化した材料を砕き切開部位を通してそれらを摘出することを可能にすることにより、有利であり得る。硬化した材料の粉砕は、いくつかの実施形態において、外側バッグ層を破壊することなく達成され得る。
いくつかの実施形態においては、二酸化炭素および/または亜酸化窒素との反応性を有する材料を、外側層と内側層の間の空間内で使用または設置することができる。反応性材料は、気泡またはゲルを形成するかまたは凝固して内側バッグ層の何らかの破損の効果を軽減するように選択または構成され得る。
本明細書中で開示されたさまざまな要素の各々は、さまざまな形で達成され得る。本開示は、このような変形形態の各々を、それがいずれかの装置実施形態、方法またはプロセス実施形態の一実施形態の変形形態であろうと、単にこれらのうちのいずれかの要素の一変形形態であろうと、包含するものと理解されるべきである。詳細には、各要素についての文言は、たとえ機能または結果だけが同じであっても、等価の装置用語または方法用語により表現され得るということを理解すべきである。このような等価の、より広義の、さらにはより一般的な用語は、各要素またはアクションの説明の中に包含されるものとみなされなければならない。このような用語は、所望される場合、本発明が権利付与されている暗示的に広い対象範囲を明示的にするために置換可能である。
単なる一例として、全てのアクションは、そのアクションを取るための手段として、またはそのアクションをひき起こす要素として表現され得る、ということを理解すべきである。同様にして、開示された各々の物理的要素は、その物理的要素が促進にするアクションの開示を包含するものとして理解されるべきである。この最後の側面に関して、「切断用メカニズム」の開示は、(明示的に論述されているか否かに関わらず)「切断」行為の開示を包含するものとして理解されるべきであり、逆に「切断」行為のみの開示が存在した場合には、このような開示は、「切断用メカニズム」の開示を包含するものとして理解されるべきである。このような変更および代替的用語は、説明中に明示的に含まれているものとして理解されなければならない。
開示された実施形態の先の説明は、あらゆる当業者がクレームにより定義されている本発明を行なうかまたは使用できるように提供されている。当業者には、これらの実施形態に対するさまざまな修正が直ちに明白となるものであり、本明細書中に定義されている一般的原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用可能である。したがって、本発明は、本明細書中に示されている実施形態に限定されるように意図されておらず、本明細書中で開示されている原理および新規の特徴と一貫性ある最も広い範囲が認められるべきものである。