JP2021512085A - C末端螺旋領域にシステインを有するfc結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、C末端螺旋領域にシステインを有する1つ以上のドメインを含む、Fc結合タンパク質に関する。本発明は更に、本発明のFc結合タンパク質を含む親和性マトリックスに関する。本発明はまた、免疫グロブリンの親和性精製のためのこれらのFc結合タンパク質又は親和性マトリックスの使用、及び本発明のFc結合タンパク質を使用する親和性精製方法にも関する。

Description

本発明は、C末端螺旋領域にシステインを有する1つ以上のドメインを含む、Fc結合タンパク質に関する。本発明は更に、本発明のFc結合タンパク質を含む親和性マトリックスに関する。本発明はまた、免疫グロブリンの親和性精製のためのこれらのFc結合タンパク質又は親和性マトリックスの使用、及び本発明のFc結合タンパク質を使用する親和性精製方法にも関する。
多くの生物学的技術用途及び医薬用途は、抗体を含有する試料から汚染物質を除去することを必要とする。抗体を捕捉及び精製するための確立された手順は、Staphylococcus aureusからの細菌細胞表面プロテインAを免疫グロブリンの選択的リガンドとして使用する親和性クロマトグラフィである(例えば、Huse et al.,J.Biochem.Biophys.Methods51,2002:217−231の考察を参照されたい)。野生型プロテインAは、高い親和性及び選択性でIgG分子のFc領域に結合し、高温及び広範囲のpH値で安定している。アルカリ安定性などの改善された特性を有する、抗体を精製するためのプロテインAのバリアントが入手可能であり、プロテインAリガンドを含む様々なクロマトグラフィマトリックスが市販されている。しかしながら、具体的には、野生型プロテインA系クロマトグラフィマトリックスは、アルカリ条件への曝露後、免疫グロブリンに対する結合能の損失を示す。
抗体又はFc含有融合タンパク質の大規模生成プロセスでは、親和性精製にプロテインAを使用する。しかしながら、親和性クロマトグラフィでのプロテインAの用途の限界に起因して、当該技術分野では、免疫グロブリンの親和性精製を容易にするために、免疫グロブリンに特異的に結合する改善された特性を有する新規Fc結合タンパク質を提供する必要がある。Fc結合タンパク質を含むクロマトグラフィマトリックスの値を最大限に活用するために、親和性リガンドマトリックスを複数回使用することが望ましい。クロマトグラフィサイクル間では、マトリックス上の残留汚染物質の消毒及び除去のために、徹底した洗浄手順が必要とされる。この手順では、高濃度のNaOHを含むアルカリ溶液を親和性リガンドマトリックスに適用することが一般的である。野生型プロテインAドメインは、そのような過酷なアルカリ条件に長時間耐えることができず、免疫グロブリンの結合能を早々に損失してしまう。したがって、この分野では、Fc配列を含むタンパク質に結合することが可能な新規タンパク質を得ることに対する、継続的な必要性が存在する。
本発明は、免疫グロブリンの親和性精製に特に良好に適しているが、従来技術の欠点を克服するFc結合タンパク質を提供する。具体的には、本発明のFc結合タンパク質の有意な利点は、高い動的結合能と組み合わせて、Fc結合能を低減することなく高いpHで長期間にわたる安定性の改善である。更に、新規Fc結合タンパク質は、pH3.5以上で、マトリックスに固定化されたFc結合タンパク質からの結合したFcタンパク質の95%超の溶出を可能にする。
上の概説は、必ずしも本発明によって解決される問題を全て説明するものではない。
本発明の第1の態様は、親和性精製に好適なFc結合タンパク質を提供することである。これは、配列番号2に対応する少なくとも43、46、47、50、51、又は53位のアミノ酸がシステインである、1つ以上のFc結合ドメインを含むFc結合タンパク質を用いて達成される。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、1つ以上のFc結合ドメインを含み、少なくとも1つのドメインが、配列番号2のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、配列番号2に対応する少なくとも43、46、47、50、51、又は53位のアミノ酸がシステインである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、配列番号3〜16のアミノ酸配列、若しくはそれらに対して少なくとも89.5%の同一性をそれぞれ有するアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、配列番号3〜16に対応する少なくとも43、46、47、50、51、又は53位のアミノ酸が、システインである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、配列番号7〜8のアミノ酸配列、若しくはそれらに対して少なくとも89.5%の同一性をそれぞれ有するアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、配列番号7〜8に対応する少なくとも43、46、47、50、51、又は53位のアミノ酸が、システインである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、配列番号17〜77、90〜95の群から選択されるアミノ酸配列、若しくはそれらに対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
第2の態様では、本発明は、第1の態様のFc結合タンパク質を含む親和性分離マトリックスに関する。
第3の態様では、本発明は、免疫グロブリン又は免疫グロブリンのFc部分を含むタンパク質の親和性精製のための、第1の態様のFc結合タンパク質又は第2の態様の親和性分離マトリックスの使用に関する。
第4の態様では、本発明は、免疫グロブリン又は免疫グロブリンのFc部分を含むタンパク質の親和性精製方法であって、(a)免疫グロブリンを含有する液体を提供するステップと、(b)当該親和性分離マトリックスにカップリングされた第1の態様の固定化Fc結合タンパク質を含む、親和性分離マトリックスを提供するステップと、(c)当該液体及び当該親和性分離マトリックスを接触させるステップであって、当該免疫グロブリンが、当該固定化Fc結合タンパク質に結合する、接触させるステップと、(d)当該免疫グロブリンを当該マトリックスから溶出させ、それによって、当該免疫グロブリンを含有する溶出液を得るステップと、を含む、方法に関する。本発明のこの概要は、必ずしも本発明の全ての特徴を説明するものではない。他の実施形態は、以下の詳細な説明を考察することから明らかになるであろう。
C末端螺旋領域にシステインを有するFc結合ドメインのアミノ酸配列。上段の番号は、Fc結合ドメインの対応するアミノ酸位置を指す。配列番号2のFc結合ドメイン。 C末端螺旋領域にシステインを有するFc結合ドメインのアミノ酸配列。上段の番号は、Fc結合ドメインの対応するアミノ酸位置を指す。ヘリックス3にCysを有するFc結合ドメインの例。 ヘリックス3にシステインを有するFc結合ドメインの固定化。エポキシマトリックス上の43、46、47、50、又は58位にシステインを有するIB14タンパク質のカップリング効率。Y軸:nmol/mLでのタンパク質のカップリング量。 ヘリックス3にシステインを有するFc結合ドメインの固定化。cs14 43C及びcs14 46Cのエポキシ活性化セファロース6Bマトリックスへのカップリング。Y軸:nmolでのn(樹脂1mL当たりのタンパク質) C末端領域3にシステインを有するFc結合タンパク質の苛性安定性。43、46、47、50又は58位にシステインを有するIB14のアルカリ安定性の分析。Y軸:%での、Fc結合タンパク質IB14及びCysバリアントの残留IgG結合活性。灰色の棒グラフ:6時間連続の0.5MのNaOH処理後のIgG結合活性。黒色の棒グラフ:NaOHを用いないIgG結合活性。 C末端領域3にシステインを有するFc結合タンパク質の苛性安定性。43又は46位にシステインを有するcs14の苛性安定性及びDBC(登録商標)10%、Y軸:DBC10%(mg/mL)。黒色:DBC10%(mg/mL)、0時間NaOH、明灰色:DBC10%(mg/mL)、18時間NaOH、暗灰色:DBC10%(mg/mL)、72時間NaOH、Cysバリアントを、C末端システインを有するcs14及びプロテインAと比較した。 6、24、及び36時間連続の0.5MのNaOH処理後の、46位にCysを有しないcs26と比較した、及び野生型プロテインAドメインCと比較した、cs26 46Cの残留結合能(%)を示す。X軸は、0.5MのNaOH培養時間を時間単位で示す。 46位にCysを有しないcs26と比較した、及び組み換え野生型プロテインAと比較した、cs26 46C(単量体及び二量体)の動的結合能(DBC、dynamic binding capacity、mg/mL)を示す。
[定義]
以下に本発明を詳細に説明する前に、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、及び試薬は変動し得るので、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態をただ説明することを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
好ましくは、本明細書で使用される用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)」、Leuenberger,H.G.W,Nagel,B.and Kolbl,H.eds.(1995)、Helvetica Chimica Acta,CH−4010 Basel,Switzerland)に提供される定義と同一である。
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、特に文脈上必要とされない限り、「含む(comprise)」という語、並びに及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変化形は、記載される部材、整数、若しくはステップ、又は部材、整数、若しくはステップの群を含むが、任意の他の部材、整数、若しくはステップ、又は部材、整数、若しくはステップの群を除外しないことを意味すると理解されるであろう。
本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、互換的に使用され、特に文脈が相反すると明示しない限り、複数形も同様に含み、各意味の範疇内に当てはまることが意図される。また、本明細書で使用される場合、代替的な(「又は」)と解釈されるときの「及び/又は」は、列挙された項目のうちの1つ以上のいずれか及び全ての可能な組み合わせ、並びに組み合わせの欠如を指し、それらを包含する。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、明確に列挙された量、並びにその±10%の偏差を包含する。より好ましくは、偏差5%は、「約」という用語によって包含される。
いくつかの文書(例えば、特許、特許出願、科学出版物、製造元の取扱説明書など)は、本明細書の本文全体を通して引用される。本明細書では、本発明が、先行する発明によるそのような開示より前の日付のものに権利がないと認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される文書のうちのいくつかは、「参照により組み込まれる」として特徴付けられる。そのような組み込まれる参考文献の定義又は教示と、本明細書に引用される定義又は教示との間に矛盾が生じる場合、本明細書の本文が優先される。
本明細書で言及される全ての配列は、その全内容及び開示と共に、本明細書の一部である添付の配列表に開示される。
本発明の文脈において、「Fc結合タンパク質」、又は「免疫グロブリン結合タンパク質」、又は「Ig結合タンパク質」という用語は、免疫グロブリンのFc領域に特異的に結合することが可能なタンパク質を説明するために使用される。本明細書で理解される「免疫グロブリン」としては、必ずしも限定されないが、例えば、ヒトIgG、ヒトIgG、ヒトIgG、マウスIgG、ラットIgG、ヤギIgG、ウシIgG、モルモットIgG、ウサギIgGなどの哺乳類IgG;ヒトIgM、ヒトIgA;及びFc領域を含む免疫グロブリン断片を挙げることができる。Fc領域への特異的結合に起因して、本発明の「Fc結合タンパク質」又は「Ig結合タンパク質」は、完全免疫グロブリン、及びFc領域を含む免疫グロブリン断片、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、及び免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートに結合することが可能である。本明細書の本発明のFc結合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域への特異的結合を呈するが、Fc結合タンパク質は、免疫グロブリンのFab領域などの他の領域に、低減した親和性で追加的に結合し得ることを除外するものではない。
本発明による「結合」という用語は、好ましくは、特異的結合に関する。「特異的結合」は、Fc結合タンパク質又はFc結合ドメインが、別の非免疫グロブリン標的への結合と比較して、特異的である免疫グロブリンに強力に結合することを意味する。
「結合活性」という用語は、免疫グロブリンに結合する本発明のFc結合タンパク質の能力を指す。例えば、結合活性は、アルカリ処理の前及び/又は後に判定することができる。結合活性は、Fc結合タンパク質に対して、又はマトリックスにカップリングされたFc結合タンパク質に対して、すなわち、固定化結合タンパク質に対して判定され得る。「人工」という用語は、天然に存在しない対象物を指す、すなわち、この用語は、人為的に生成又は修飾された対象物を指す。例えば、人為的(例えば、遺伝子工学によって、シャッフリング法、若しくは化学反応などによって実験室で)に生成された、又は意図的に修飾されたポリペプチド若しくはポリヌクレオチド配列は人工的である。
「解離定数」又は「K」という用語は、特異的結合親和性を定義する。本明細書で使用される場合、「K」という用語(通常「mol/L」で測定され、時折「M」と略記される)は、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の特定の相互作用の解離平衡定数を指すことを意図する。本発明の文脈において、Kという用語は、具体的には、Fc結合タンパク質と免疫グロブリンとの間の結合親和性について説明するために使用される。少なくとも1μM以下、又は好ましくは100nM以下、より好ましくは50nM以下、更により好ましくは10nM以下の免疫グロブリンに対する解離定数Kを有する場合、本発明のFc結合タンパク質は、免疫グロブリンに結合するとみなされる。
「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結された2つ以上のアミノ酸の任意の直鎖分子を指し、生成物の特定の長さを指すものではない。したがって、「ペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は2つ以上のアミノ酸の鎖を指すために使用される任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のうちのいずれかの代わりに又はこれらと互換的に使用され得る。「ポリペプチド」という用語はまた、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、タンパク質分解切断、天然に存在しないアミノ酸による修飾、及び当該技術分野において周知の同様の修飾を含む、ポリペプチドの翻訳後修飾の生成物を指すことも意図される。したがって、2つ以上のタンパク質ドメインを含むFc結合タンパク質はまた、「タンパク質」又は「ポリペプチド」という用語の定義にも当てはまる。
「アルカリ安定性の」若しくは「アルカリ安定性」、又は「苛性安定性の」若しくは「苛性安定性」(本明細書では「cs」とも略される)という用語は、免疫グロブリンに結合する能力を有意に損失することなくアルカリ条件に耐える、本発明のFc結合タンパク質の能力を指す。この分野の当業者であれば、例えば、実施例に記載されるように、Fc結合タンパク質を水酸化ナトリウム溶液で培養することによってアルカリ安定性を容易に試験することができ、その後当業者に既知の一般的な実験、例えば、クロマトグラフィ手法によって免疫グロブリンに対する結合活性を試験することができる。
本発明のFc結合タンパク質、並びに本発明のFc結合タンパク質を含むマトリックスは、「増加した」又は「改善された」アルカリ安定性を呈し、これは、当該Fc結合タンパク質を組み込む分子及びマトリックスが、参照タンパク質と比較して長期間アルカリ条件下で安定であることを意味する。
本明細書で使用される場合、「親タンパク質」又は「親ドメイン」という用語における「親」という用語は、その後修飾されて、当該親タンパク質又はドメインのバリアントを生成するFc結合タンパク質を指す。当該親タンパク質又はドメインは、人工ドメイン(例えば、限定されないが、配列番号78〜83)、天然に存在するStaphylococcus aureusプロテインAドメイン(例えば、ドメインCでは配列番号84、ドメインBでは配列番号85)、又は天然に存在するStaphylococcus aureusプロテインAドメインのバリアント若しくは遺伝子操作されたバージョン(例えば、ドメインZでは配列番号86)であってもよい。
本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、又は挿入によって別のアミノ酸配列とは異なる、Fc結合タンパク質又はドメインのアミノ酸配列を含む。これらの修飾は、遺伝子操作によって、又は人為的に実行される化学合成又は化学反応によって生成することができる。例えば、配列番号27(cs26 A46C)は、配列番号7(cs26)のバリアントである。
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、第2のタンパク質又は非タンパク質性部分などの他の物質に化学的に取り付けられた、少なくとも第1のタンパク質を含むか、又はそれから本質的になる分子に関する。
「修飾」又は「アミノ酸修飾」という用語は、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を別のアミノ酸に交換、欠失、又は挿入することを指す。既知の遺伝子コード、並びに組み換え及び合成DNA技法を考慮すると、当業者は、アミノ酸バリアントをコードするDNAを容易に構築することができる。
「置換」又は「アミノ酸置換」という用語は、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を別のアミノ酸に交換することを指す。例えば、置換G46Cは、46位のグリシンがシステインに置き換えられたFc結合タンパク質を指す。先行する例に関して、46Cは、46位のシステインを指す。本明細書の目的のために、複数の置換は、典型的にはスラッシュによって分離される。例えば、A1I/S11A/K35R/A46Cは、置換A1I、S11A、K35R、及びA46Cの組み合わせを含むバリアントを指す。
「欠失」又は「アミノ酸欠失」という用語は、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸の除去を指す。
「挿入」又は「アミノ酸挿入」という用語は、親ポリペプチド配列へのアミノ酸の追加を指す。
この説明全体を通して、図1A及び図1Bのアミノ酸残基位置番号付け慣習が使用され、位置番号は、例えば配列番号1〜16のものに対応するものとして指定される。
「アミノ酸配列同一性」という用語は、2つ以上のタンパク質のアミノ酸配列の同一性(又は相違)の定量的比較を指す。参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」又は「同一のパーセント(%)」又は「同一性パーセント(%)」は、配列同一性の最大パーセントを達成するように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。
配列同一性を判定するために、タンパク質のクエリ配列を参照タンパク質の配列と整列させる。アラインメントのための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、参照アミノ酸配列に対する任意のポリペプチドのアミノ酸配列同一性の程度を判定するために、SIM局所類似性プログラムを用いることが好ましく(Xiaoquin Huang and Webb Miller(1991),Advances in Applied Mathematics,vol.12:337−357)、これは自由に入手可能である(http://ww.expasy.org/tools/sim−prot.htmlも参照されたい)。複数のアラインメント分析には、ClustalWを使用することが好ましい(Thompson et al.(1994)Nucleic Acids Res.,22(22):4673−4680)。好ましくは、SIM局所類似性プログラム又はClustalWのデフォルトパラメータは、配列同一性百分率を計算するときに使用される。
本発明の文脈では、配列同一性の程度は、一般に、別途明記されていない場合、未修飾配列の全長に対して計算される。
所与の位置で参照アミノ酸配列とは異なるクエリ配列の各アミノ酸を、1つの差として計上する。次いで、差の合計は、参照配列の長さに関連して、非同一性の百分率をもたらす。同一性の定量的百分率は、100から非同一性の百分率を差し引いたものとして計算される。
本明細書で使用される場合、2つのポリペプチド配列の文脈では、「同一のパーセント」、又は「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」、又は「同一性パーセント」という句は、最大に対応するように比較し整列させると、次の配列比較アルゴリズム又は目視検査のうちの1つを使用して測定して、いくつかの実施形態では少なくとも約80%、いくつかの実施形態では少なくとも約82%、いくつかの実施形態では少なくとも84%、いくつかの実施形態では少なくとも86%、いくつかの実施形態では少なくとも87%、いくつかの実施形態では少なくとも89.5%、いくつかの実施形態では少なくとも91%、いくつかの実施形態では少なくとも93%、いくつかの実施形態では少なくとも94%、いくつかの実施形態では少なくとも96%、いくつかの実施形態では少なくとも98%、いくつかの実施形態では100%のアミノ酸残基同一性を有する、2つ以上の配列又はサブ配列を指す。明確にするために、例えば、少なくとも89.5%の同一性を有する配列は、同一性が89.5%超の同一性を有する全ての配列、例えば、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも96%、少なくとも98%、100%のアミノ酸同一性を有する実施形態を含む。
いくつかの実施形態では、少なくとも50残基、少なくとも52残基の領域にわたって、いくつかの実施形態では、少なくとも53残基の領域にわたって、いくつかの実施形態では、少なくとも54残基の領域にわたって、いくつかの実施形態では、少なくとも55残基の領域にわたって、いくつかの実施形態では、少なくとも56残基の領域にわたって、いくつかの実施形態では、少なくとも57残基の領域にわたって、及びいくつかの実施形態では、少なくとも58残基の領域にわたって、同一性パーセントが存在する。
「融合」という用語は、構成成分がペプチド結合によって直接又はペプチドリンカーを介してのいずれかで連結されることを意味する。
「融合タンパク質」という用語は、少なくとも第2のタンパク質に遺伝子的に接合された少なくとも第1のタンパク質を含む、タンパク質に関する。融合タンパク質は、本来別個のタンパク質をコードする2つ以上の遺伝子を接合することを通じて作製される。したがって、融合タンパク質は、単一の線状ポリペプチドとして発現される同一又は異なるタンパク質の多量体を含み得る。
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、その最も広い意味において、少なくとも2つの他の分子を共有結合的に接合する分子を指す。本発明の典型的な実施形態では、「リンカー」は、Fc結合ドメインを少なくとも1つの更なるFc結合ドメインに接続する部分、すなわち、2つのタンパク質ドメインを互いに連結して多量体を生成する部分として理解されるべきである。好ましい実施形態では、「リンカー」はペプチドリンカーである、すなわち、2つのタンパク質ドメインを連結する部分が、1つの単一アミノ酸又は2つ以上のアミノ酸を含むペプチドである。
「クロマトグラフィ」という用語は、移動相及び固定相を用いて、試料中の他の分子(例えば汚染物質)から1種類の分子(例えば免疫グロブリン)を分離する分離技術を指す。液体移動相は、分子の混合物を含有し、固定相(固体マトリックスなど)を横切って又は通してこれらを輸送する。移動相中の異なる分子と固定相との差動相互作用に起因して、移動相中の分子を分離することができる。
「親和性クロマトグラフィ」という用語は、固定相にカップリングされたリガンドが、移動相(試料)中の分子(すなわち免疫グロブリン)と相互作用する、すなわちリガンドが、精製される分子に対して特異的結合親和性を有する、特定様式のクロマトグラフィを指す。本発明の文脈において理解されるように、親和性クロマトグラフィは、免疫グロブリンを含有する試料を、本発明のFc結合タンパク質などのクロマトグラフィリガンドを含む固定相に添加することを伴う。
「固体支持体」又は「固体マトリックス」という用語は、固定相に対して互換的に使用される。
本明細書で互換的に使用される場合、「親和性マトリックス」又は「親和性分離マトリックス」又は「親和性クロマトグラフィマトリックス」という用語は、本発明の親和性リガンド、例えば、本発明のFc結合タンパク質が取り付けられるマトリックス、例えばクロマトグラフィマトリックスを指す。リガンド(例えばFc結合タンパク質)は、混合物から精製又は除去される対象の分子(例えば上で定義した免疫グロブリン)に特異的に結合することが可能である。
本明細書で使用される場合、「親和性精製」という用語は、上で定義した免疫グロブリンを、マトリックスに固定化されたFc結合タンパク質に結合させることによって、上で定義した免疫グロブリンを液体から精製する方法を指す。それにより、免疫グロブリンを除く、混合物の全ての他の構成成分が除去される。更なるステップでは、結合免疫グロブリンは、精製された形態で溶出される。
本発明の実施形態
以降、本発明について更に説明する。次の文章では、本発明の異なる態様を、より詳細に定義する。以下に定義される各態様は、特に相反すると明示されない限り、任意の他の態様又は複数の態様と組み合わせることができる。具体的には、好ましい又は有利であると示される任意の特色は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特色又は複数の特色と組み合わせることができる。
第1の態様では、本発明は、配列番号2に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである、Fc結合タンパク質を対象とする。第1の態様では、Fcタンパク質は、1つ以上のドメインを含み、少なくとも1つのドメインが、配列番号2のアミノ酸配列、又は少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも89.5%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも96%、少なくとも98%、又は100%の同一性を有するアミノ酸を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、配列番号2に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである。
43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有するFc結合タンパク質の驚くべき利点は、Fc結合特性を損なうことなく、かつ高い結合能を提供するマトリックスに対する部位指向性カップリング効率を有し、長期間にわたってアルカリ安定性を付与することである。本発明のFc結合ドメインは、アミノ酸残基7〜19からのヘリックス1、アミノ酸残基23〜37からのヘリックス2、及びアミノ酸残基40〜55からのヘリックス3を有する58個のアミノ酸の三重螺旋束である。アミノ酸43、46、47、50、及び51位は、Fc結合タンパク質のヘリックス3の一部であるが、Fc結合は、ヘリックス1及び2によって媒介される。本発明のFc結合タンパク質は、0.5MのNaOH中で少なくとも6時間、最大で少なくとも72時間の培養後の結合能の低減が20%未満である。この特色は、例えばマトリックスを数回使用することができるように、高いNaOH濃度を有するアルカリ溶液を使用してマトリックス上の汚染物質を除去する洗浄手順を用いるクロマトグラフィ手法にとって重要である。更に、高い苛性安定性を有することに加えて、ヘリックス3の43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するFc結合タンパク質は、高いカップリング効率を示す。例えば46位にCysを有するバリアントの動的結合能は、例えば、組み換えプロテインAと比較して優れている(図5を参照されたい)。
ヘリックス3にシステインを有する好ましいFc結合タンパク質。いくつかの実施形態は、配列番号1〜83からなる群から選択されるアミノ酸を有する配列に関する。いくつかの実施形態は、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有することを条件に、配列番号1〜86、90〜95からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも89.5%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも94.5%、少なくとも96%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列に関する。43、46、47、50、51、又は53位、好ましくは43又は46位に、より好ましくは46位にシステインを有する配列番号1〜86、90〜95からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも89.5%の同一性を有する配列を用いる実施形態が好ましい。
配列番号1〜86、90〜95のアミノ酸配列は、挿入、欠失、又は更なる置換などの更なる修飾を含んでもよい。いくつかの実施形態では、Fc結合ドメインは、1、2、3、4、5、又は6個の更なる置換を有する。いくつかの実施形態では、Fc結合ドメインは、そのN末端の最初の4つのアミノ酸内に1、2、3、若しくは4つのアミノ酸の欠失、及び/又はC末端に1若しくは2つのアミノ酸の欠失を有する。いくつかの実施形態では、Fc結合ドメインは、N末端の、例えば、1、2、及び4位、又は1、2、及び3位に欠失を有する。いくつかの実施形態では、Fc結合ドメインは、C末端の、例えば、57及び/又は58位に欠失を有する(例えば、限定されないが、配列番号33〜34として示される)。いくつかの実施形態は、前述の配列番号(例えば、限定されないが、配列番号1〜86、90〜95)のうちのいずれかへのアミノ酸配列に対して少なくとも89.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列に関する。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するFc結合ドメインの例としては、例えば、限定されないが、図1A及び図1Bに示すアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号7(cs26)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号7に対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、cs24(配列番号8)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs26のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号26〜39、90〜95が挙げられる。
配列番号8(cs24)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号8のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号8に対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、cs26(配列番号7)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs24のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号26〜39、90〜95が挙げられる。
配列番号3(cs14)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の配列同一性を有し、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有する修飾に好適な配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号3に少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、配列番号10(cs25)、配列番号11(cs47h3)、配列番号12(cs47h4)、配列番号13(cs74h1)、及び配列番号14(cs74h2)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs14のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号17〜20、40〜52、64、65、70、71、74〜76が挙げられる。
配列番号4(cs27)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有し、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有する修飾に好適なアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs27のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号21〜25が挙げられる。
配列番号5(cs20)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有し、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有する修飾に好適なアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号5に対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、配列番号9(cs17)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs20のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号53〜57が挙げられる。
配列番号6(cs42)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有し、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有する修飾に好適なアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号16に対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、cs28(4位が異なる)、又はcs41(配列番号15)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs42のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号58〜63が挙げられる。
配列番号16(cs43)及びバリアント。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有し、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有する修飾に好適なアミノ酸配列の1つ以上のドメインを含む。例えば、配列番号16に対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列としては、限定されないが、cs44(44位が異なる)、cs31(25及び54位が異なる)、又はcs45(25及び26位が異なる)が挙げられる。43、46、47、50、51、又は53位にCysを有するcs43のバリアントの例としては、例えば、限定されないが、配列番号66〜69、72が挙げられる。
Fc結合タンパク質の配列;好ましいアミノ酸位置。
驚くべきことに、ヘリックス3の、特にFc結合ドメインの43、46、47、50、51、又は53位からなる群から選択されるアミノ酸位置のシステインは、図及び実施例に示されるように、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有しないドメインと比較して、Fc結合ドメインのアルカリ安定性を増加させ、Fc結合タンパク質のマトリックスへの部位特異的カップリングを改善し、これにより能力が改善される。
いくつかの実施形態では、当該Fc結合ドメインは、1位にイソロイシンを含む。Fc結合ドメインの1位のアミノ酸は、トレオニン(T)ではないことが好ましい。1位のアミノ酸は、イソロイシン(I)又はアラニン(A)であることが好ましい。代替的に、1位が欠失していてもよい。いくつかの実施形態では、当該Fc結合ドメインは、11位にアラニン(A)、グルタミン酸(E)、又はイソロイシン(I)を含む。11位のアミノ酸は、アスパラギン(N)又はリジン(K)ではないことが好ましい。11位のアミノ酸は、アラニン(A)、イソロイシン(I)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、又はプロリン(P)が好ましく、より好ましくはA、I、又はE、最も好ましくはAである。代替的に、11位のアミノ酸は、セリン(S)である。いくつかの実施形態では、当該Fc結合ドメインは、35位にアルギニン(R)又はイソロイシン(I)を含む。35位のアミノ酸は、プロリン(P)、アスパラギン(N)、グリシン(G)、トリプトファン(W)、アラニン(A)、グルタミン(Q)、又はメチオニン(M)ではないことが好ましい。いくつかの実施形態では、当該Fc結合ドメインは、42位にロイシン(L)を含む。42位のアミノ酸は、チロシン(Y)ではないことが好ましい。いくつかの実施形態では、Fc結合ドメインは、43C、46C、47C、50C、51C、又は53Cに加えて、1I、11A、11S、35R、及び42Lからなる群から選択される2、3、又は4つのアミノ酸位置を含む。いくつかの実施形態では、1I、3A、6D、9Q、10Q、12A、13F、14Y、15E、16I、17L、18H、19L、20P、21N、22L、23T、24E、26Q、27R、28N、29A、30F、31I、32Q、33S、34L、36D、37D、38P、39S、41S、42L、45L、48A、52N、55Q、56A、57P位の少なくとも90%は、本発明のFc結合ドメインでは同一である。2位がA又はDであり、4位がK又はQであり、5位がH又はFであり、7位がK又はEであり、8位がD、A、又はEであり、11位がA、S、I、又はEであり、25位がD又はEであり、35位がR又はIであり、40位がV、T、又はQであり、43位がE、S、又はCであり、44位がI、V、又はLであり、46位がC、A、又はGであり、47位がE又はCであり、49位がK又はQであり、50位がK又はCであり、51位がL又はCであり、53位がD又はE又はCであり、54位がA又はSであり、58位がP又はKであることが好ましい。
本発明のFc結合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%同一のアミノ酸配列を含むか、又はそれから本質的になるか、又はそれからなる1つ以上のFc結合ドメインを含む。配列番号2のアミノ酸配列は、次のアミノ酸配列である:
1位のアミノ酸がIから選択されるか又は欠失され、2位のアミノ酸(X)が、A又はDから選択されるか又は欠失され、3位のアミノ酸がAから選択されるか又は欠失され、4位のアミノ酸(X)が、K又はQから選択されるか又は欠失され、5位のアミノ酸(X)が、H又はFから選択され、7位のアミノ酸(X)が、K又はEから選択され、8位のアミノ酸(X)が、D、A、又はEから選択され、11位のアミノ酸(X11)が、A、S、I、又はEから選択され、25位のアミノ酸(X25)が、D又はEから選択され、35位のアミノ酸(X35)が、R又はIから選択され、40位のアミノ酸(X40)が、Q、T、又はVから選択され、43位のアミノ酸(X43)が、E、S、又はCから選択され、44位のアミノ酸(X44)が、I、L、又はVから選択され、46位のアミノ酸(X46)が、G、A、又はCから選択され、47位のアミノ酸(X47)が、E又はCから選択され、49位のアミノ酸(X49)が、K又はQから選択され、50位のアミノ酸(X50)が、K又はCであり、51位のアミノ酸(X51)が、L又はCであり、53位のアミノ酸(X53)が、D、E、又はCから選択され、54位のアミノ酸(X54)が、A又はSから選択され、57位のアミノ酸が、Pから選択されるか又は欠失され、58位のアミノ酸(X58)が、P又はKから選択されるか又は欠失される、IXAXDXQQX11AFYEILHLPNLTEX25QRNAFIQSLX35DDPSX40SLX4344LX4647AX495051NX5354QAPX58。本発明のFc結合タンパク質は、次の43、46、47、50、51、又は53位のうちの1つにシステインを有する。本発明のFc結合ドメインの選択された例としては、例えば、限定されないが、配列番号17〜73、90〜95が挙げられる。
Fc結合タンパク質のC末端領域のシステインから生じる高アルカリ安定性。いくつかの実施形態では、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有するFc結合タンパク質は、驚くべきことに、実施例及び図に示されるように、Fc結合タンパク質の特に良好なアルカリ安定性を提供する。ヘリックス3にシステインを有するFc結合タンパク質が、数時間のアルカリ処理後であっても、Igに結合することが可能であることは最も驚くべきことであり、予想外であった。Fc結合タンパク質のアルカリ安定性は、0.5MのNaOH中での少なくとも6時間の培養後のIg結合活性の損失を比較することによって判定される(図3Aを参照されたい)。例えば、cs26 46Cの結合能は、0.5MのNaOHでの長時間(例えば36時間)の培養後に、野生型ドメインCよりも少なくとも20%高いままである(図4を参照されたい)。
免疫グロブリンに対する親和性。本発明の全てのFc結合タンパク質は、好ましくは500nM未満、又は100nM未満、更により好ましくは10nM以下の解離定数Kで免疫グロブリンに結合する。Fc結合タンパク質又はドメインの結合親和性を判定するための、すなわち解離定数Kを判定するための方法は、当業者に既知であり、例えば、当該技術分野において既知の次の方法:表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPR)に基づく技術、バイオレイヤ干渉法(Bio−layer interferometry、BLI)、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme−linked immunosorbent assay、ELISA)、フローサイトメトリ、等温滴定カロリメトリ(isothermal titration calorimetry、ITC)、分析用超遠心分離、ラジオイムノアッセイ(analytical ultracentrifugation,radioimmunoassay、RIA又はIRMA)、及び増強化学発光(enhanced chemiluminescence、ECL)から選択することができる。本方法のうちのいくつかは、実施例において更に説明される。典型的には、解離定数Kは、20℃、25℃、又は30℃で判定される。特に示されていない場合、本明細書に列挙されるK値は、表面プラズモン共鳴によって22℃+/−3℃で判定される。第1の態様の一実施形態では、Fc結合タンパク質は、0.1nM〜100nM、好ましくは0.1nM〜50nMの範囲のヒトIgGに対する解離定数Kを有する。
多量体。本発明の一実施形態では、Fc結合タンパク質は、互いに連結した1、2、3、4、5、6、7、又は8、好ましくは2、3、4、5、又は6つのFc結合ドメインを含む、すなわち、Fc結合タンパク質は、例えば、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、又は六量体であり得る。多量体は、2、3、4つ、又は更により多くの結合ドメインを含み得る。
本発明の多量体は、一般に、当業者に周知の組み換えDNA技術によって人工的に生成される融合タンパク質である。
いくつかの実施形態では、多量体はホモ多量体であり、例えば、Fc結合タンパク質の全てのFc結合ドメインのアミノ酸配列は同一である。
多量体は、2つ以上のFc結合ドメインを含んでもよく、当該Fc結合ドメインは、好ましくは、43、46、47、50、51、又は53位にシステインを有することを条件に、上述の配列を含むか、又はそれらから本質的になる。
例えば、配列番号27又は配列番号22を使用して、本明細書で実施例1に記載のホモ多量体融合構築物を生成した(例えば、配列番号32、配列番号35、又は配列番号25を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、多量体はヘテロ多量体であり、例えば、少なくとも1つのアルカリ安定Fc結合ドメインは、免疫グロブリン結合タンパク質内の他のFc結合ドメインとは異なるアミノ酸配列を有する。
リンカー。第1の態様のいくつかの実施形態では、1つ以上のFc結合ドメインは、互いに直接連結している。他の実施形態では、1つ以上のFc結合ドメインは、1つ以上のリンカーで互いに連結している。これらの典型的な実施形態では、ペプチドリンカーが好ましい。これは、ペプチドリンカーが、第1のFc結合ドメインを第2のFc結合ドメインに接続するアミノ酸配列であることを意味する。ペプチドリンカーは、ドメインのC末端とN末端との間のペプチド結合によって第1のFc結合ドメインを第2のFc結合ドメインに接続し、それによって単一の直鎖ポリペプチドを生成する。リンカーの長さ及び組成は、少なくとも1〜最大約30個のアミノ酸間で変動し得る。より具体的には、ペプチドリンカーは、1〜30個のアミノ酸の長さ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30アミノ酸の長さを有する。ペプチドリンカーのアミノ酸配列は、苛性条件及びプロテアーゼに対して安定であることが好ましい。リンカーは、Fc結合タンパク質のドメインの構造を不安定にするべきではない。グリシン及びセリンなどの小さなアミノ酸を含むか、又はそれらからなるリンカーが周知である。リンカーは、グリシンが豊富であり得る(例えば、リンカー中の残基の50%超がグリシン残基であり得る)。更なるアミノ酸を含むリンカーもまた、好ましい。本発明の他の実施形態は、アラニン、プロリン、及びセリンからなるリンカーを含む。タンパク質の融合のための他のリンカーは、当該技術分野において既知であり、それらを使用することができる。いくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質の多量体は、Fc結合ドメインを接続する1つ以上のリンカーを含み、リンカーは同一であるか又は異なる。
固体支持体へのコンジュゲーション。本発明のいくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質は、固体支持体にコンジュゲートされる。Fc結合ドメインのヘリックス3の43、46、47、50、51、又は53位のシステインは、Fc結合タンパク質と固体支持体との部位特異的共有結合的カップリング用の取り付け部位を含む。43、46、47、50、51、又は53位のシステインは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、ヨードアセトアミド、マレイミド、エポキシ、又はアルケン基から選択される固相の反応性基との、又は固相とタンパク質との間のリンカーとの特異的な化学反応を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態では、Fc結合タンパク質はまた、例えばN及び/又はC末端のタグの有無にかかわらず追加の配列などの、N及び/又はC末端の追加のアミノ酸残基を含んでもよい。
親和性分離マトリックス。別の態様では、本発明は、第1の態様のFc結合タンパク質を含む親和性分離マトリックスを対象とする。
第2の態様の好ましい実施形態では、親和性分離マトリックスは、固体支持体である。親和性分離マトリックスは、本発明の少なくとも1つのFc結合タンパク質を含む。
親和性マトリックスは、免疫グロブリンの分離に有用であり、洗浄プロセス中に適用される際の高アルカリ条件下であっても、Ig結合特性を保持するべきである。そのようなマトリックスの洗浄は、マトリックスの長期的な繰り返し使用に不可欠である。
親和性クロマトグラフィの固体支持マトリックスは、当該技術分野において既知であり、例えば、限定されないが、アガロース及びアガロースの安定化誘導体(例えば、セファロース6B、Praesto(登録商標)Pure;CaptivA(登録商標)、rPROTEIN A Sepharose Fast Flow、Mabselect(登録商標)、PrismA(登録商標)、及び他)、セルロース若しくはセルロース誘導体、制御された細孔ガラス(例えばProSep(登録商標)vA樹脂)、モノリス(例えばCIM(登録商標)モノリス)、シリカ、酸化ジルコニウム(例えば、CM Zirconia又はCPG(登録商標))、酸化チタン、又は合成ポリマー(例えば、Poros 50A又はPoros MabCapture(登録商標)A樹脂などのポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなど)、及び様々な組成物のヒドロゲルが挙げられる。ある特定の実施形態では、支持体は、多糖類などのポリヒドロキシポリマーを含む。支持体に好適な多糖類の例としては、限定されないが、寒天、アガロース、デキストラン、デンプン、セルロース、プルランなど、及びこれらの安定化されたバリアントが挙げられる。
固体支持マトリックスのフォーマットは、任意の好適な周知の種類であってもよい。本発明のFc結合タンパク質をカップリングするためのそのような固体支持マトリックスは、例えば、次のうちの1つ:カラム、毛管、粒子、膜、フィルタ、モノリス、繊維、パッド、ゲル、スライド、プレート、カセット、又はクロマトグラフィで通常使用され、当業者に既知の任意の他のフォーマットを含んでもよい。
一実施形態では、マトリックスは、ビーズ、例えばセファロースビーズ又はアガロースビーズとしても知られる、実質的に球状の粒子で構成される。好適な粒径は、10〜100μmなど、20〜80μmなど、40〜70μmなどの5〜500μmの範囲の直径であってもよい。粒子形態のマトリックスは、充填床として、又は膨張床を含む懸濁形態で使用することができる。
代替的な実施形態では、固体支持マトリックスは、膜、例えばヒドロゲル膜である。いくつかの実施形態では、親和性精製は、第1の態様のFc結合タンパク質が共有結合されているマトリックスとしての膜を伴う。固体支持体はまた、カートリッジ内の膜の形態であってもよい。
いくつかの実施形態では、親和性精製は、第1の態様のFc結合タンパク質が共有結合されている固体支持マトリックスを含有するクロマトグラフィカラムを伴う。
本発明のFc結合タンパク質は、従来のカップリング技法を介して好適な固体支持マトリックスに取り付けることができる。タンパク質リガンドを固体支持体に固定化するための方法は、この分野において周知であり、標準的な技法及び装置を使用して当業者によって容易に実施される。
Fc結合タンパク質の使用。第3の態様では、本発明は、免疫グロブリン又はそのバリアントの親和性精製のための、第1の態様のFc結合タンパク質又は第2の態様の親和性マトリックスの使用を対象とする、すなわち、本発明のFc結合タンパク質は、親和性クロマトグラフィに使用される。いくつかの実施形態では、本発明のFc結合タンパク質は、本発明の第2の態様に記載の固体支持体上に固定化される。
免疫グロブリンの親和性精製方法。第4の態様では、本発明は、免疫グロブリンの親和性精製方法であって、方法が、(a)免疫グロブリンを含有する液体を提供することと、(b)当該親和性分離マトリックスにカップリングされた第1の態様の固定化Fc結合タンパク質を含む、親和性分離マトリックスを提供することと、(c)当該液体を当該親和性分離マトリックスに接触させることであって、当該免疫グロブリンが、当該固定化Fc結合タンパク質に結合する、接触させることと、(d)当該免疫グロブリンを当該マトリックスから溶出させ、それによって、当該免疫グロブリンを含有する溶出液を得ることと、を含む、方法を対象とする。いくつかの実施形態では、親和性精製方法は、親和性分離マトリックスから、マトリックスに非特異的結合のいくつかの分子又は全ての分子を除去するのに十分な条件下で、ステップ(c)と(d)との間で実施される1つ以上の洗浄ステップを更に含み得る。非特異的結合とは、本開示の主題の少なくとも1つの結合ドメインと免疫グロブリンとの間の相互作用を伴わない、任意の結合を意味する。
開示される使用及び方法に好適な親和性分離マトリックスは、上述の実施形態に従う、かつ当業者に既知である、マトリックスである。
第4の態様のいくつかの実施形態では、ステップ(d)のマトリックスからの免疫グロブリンの溶出は、pHの変化及び/又は塩濃度の変化を通じてもたらされる。例えば、pH5以下の溶液(実施例9の表3を参照されたい)による、又はpH11以上の溶液による、任意の好適な溶液を使用することができる。
いくつかの実施形態では、好ましくは、例えばpH13〜14のアルカリ液体を使用することによる親和性マトリックスの効率的な洗浄及び消毒のための更なるステップ(f)が追加される。ある特定の実施形態では、洗浄液は、0.1〜1.0MのNaOH又はKOH、好ましくは0.25〜0.5MのNaOH又はKOHを含む。本発明のFc結合タンパク質の高いアルカリ安定性に起因して、そのような強アルカリ溶液を洗浄目的で使用することができる。
いくつかの実施形態では、親和性マトリックスは、ステップ(a)〜(e)の繰り返しによって、少なくとも10回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも60回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、又は少なくとも100回再使用することができ、任意選択的に(a)〜(f)を、少なくとも10回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも60回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、又は少なくとも100回繰り返すことができる。
一般に、親和性精製方法を実施するための好適な条件は、当業者に周知である。いくつかの実施形態では、開示のFc結合ドメインを含む開示の親和性精製の使用又は方法は、3.5以上(例えば、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、又は約6.5)のpHで、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%のFc含有タンパク質の溶出を提供し得る。
核酸分子。第5の態様では、本発明は、上に開示の任意の実施形態のFc結合タンパク質をコードする核酸分子、好ましくは単離された核酸分子を対象とする。一実施形態では、本発明は、核酸分子を含むベクターを対象とする。ベクターは、タンパク質コード情報を宿主細胞に転写するために使用することができる、任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を意味する。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。
第6の態様では、本発明は、上に開示の核酸又はベクター、例えば、原核宿主細胞、例えばE.coli、又は真核宿主、例えば酵母Saccharomyces cerevisiae若しくはPichia pastoris、又はCHO細胞などの哺乳類細胞を含む、発現系を対象とする。
Fc結合タンパク質生成のための方法。第7の態様では、本発明のFc結合タンパク質生成のための方法であって、(a)当該Fc結合タンパク質を得るための、結合タンパク質の発現に好適な条件下で、第6の態様の宿主細胞を培養するステップと、(b)任意選択的に、当該Fc結合タンパク質を単離するステップと、を含む、方法を対象とする。原核又は真核宿主を培養するための好適な条件は、当業者に周知である。
本発明のFc結合分子は、一般的な有機合成戦略、固相支援合成技法(solid phase−assisted synthesis techniques)、又は市販の自動合成器などの多くの従来の周知の技法のうちのいずれかによって調製することができる。一方、それらはまた、単独の従来の組み換え技法によって、又は従来の合成技法との組み合わせによって、調製することもできる。
本発明の一実施形態は、上に詳述した本発明によるFc結合タンパク質調製のための方法であって、当該方法が、次のステップ:(a)上で定義したFc結合タンパク質をコードする核酸を調製するステップと、(b)当該核酸を発現ベクターに導入するステップと、(c)当該発現ベクターを宿主細胞に導入するステップと、(d)宿主細胞を培養するステップと、(e)Fc結合タンパク質が発現される培養条件を宿主細胞に施し、それにより、(e)上述のFc結合タンパク質を生成するステップと、任意選択的に、(f)ステップ(e)で生成したタンパク質を単離するステップと、(g)任意選択的に、タンパク質を上述の固体マトリックスにコンジュゲートするステップと、を含む、方法を対象とする。
本発明の更なる実施形態では、Fc結合タンパク質の生成は、細胞を用いないインビトロ転写/翻訳によって実施される。
実施例
次の実施例は、本発明の更なる説明のために提供される。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではなく、次の実施例は、上の説明に基づいて本発明の実用性を単に示すものである。
[実施例1.Fcに結合する人工モザイクタンパク質の生成]
最初に、天然に存在するプロテインAドメイン(E、B、D、A、C、Z)のシャッフリングプロセスによって、Fc結合タンパク質を生成した。より詳細には、本明細書で理解されるシャッフリング処理は、1組の非同一の既知のアミノ酸配列から開始する人工アミノ酸配列をもたらすアセンブリプロセスである。シャッフリング処理を、次のステップ:a)5つの天然に存在するプロテインAドメインE、B、D、A、及びC、並びにプロテインAバリアントドメインZの配列の提供、b)当該配列のアラインメント、c)再度組み合わせられたサブ配列を同定するためのインシリコでの統計的断片化、次いでd)モザイク生成物、すなわち、新規の人工的なアミノ酸配列を生成するための、様々な断片の新たな人工配列へのアセンブリ、で構成した。ステップc)で生成した断片は、任意の長さのものであり、例えば、断片化した親配列が長さnを有する場合、断片は長さ1〜n−1であった。
モザイク生成物のアミノ酸の相対位置は、出発アミノ酸配列に対して維持した。位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、A56、P57の少なくとも90%は、例えば、IB14、IB27、IB24、IB26、IB28、IB20(配列番号78〜83)の人工アミノ酸配列と、天然に存在するプロテインAドメイン又はプロテインAドメインバリアントとの間で同一である。例えば、Fc結合タンパク質IB14、IB26、及びIB27の全アミノ酸配列は、天然に存在するプロテインAドメイン又はドメインZのうちのいずれかの全アミノ酸配列に対して多くとも85%同一であるという点で人工的である。最初の人工Fc結合タンパク質を生成した後、場合によっては、タンパク質は、生化学的特性を更に修飾するようなアミノ酸配列の部位特異的ランダム化によって更に修飾した。個々のアミノ酸残基の部位飽和変異導入によって、更なる修飾を導入した。
人工Fc結合タンパク質の遺伝子を合成し、当業者に既知の標準的な方法を使用して、E.coli発現ベクターにクローニングした。DNAシーケンシングを使用して、挿入された断片の正しい配列を確認した。
多量体Fc結合タンパク質を生成するために、2又は3つの同一のFc結合ドメインを遺伝子融合させた。
任意選択的に、特異的精製用に、strep−tag(WSHPQFEK、配列番号89)をFc結合タンパク質のC末端に追加した。
[実施例2.バリアントを生成するための変異導入]
部位特異的変異導入のために、Q5(登録商標)部位特異的変異導入キット(NEB、カタログ番号E0554S)を、製造元の取扱説明書に従って使用した。各特定の置換のそれぞれをコードするオリゴヌクレオチド及びテンプレートを含有するプラスミドを用いて、PCRを実行した。生成物をライゲーションし、電気穿孔法を介してE.coliXL2−青色細胞(Stratagene)に形質転換した。単一のコロニーを単離し、クローンを含有するインサートにDNAシーケンシングを使用して、正しい配列を確認した。
GeneArt(登録商標)Strings(登録商標)合成(Thermo Fisher Scientific)によって、いくつかの点変異の組み合わせを生成した。StringsのDNA断片は、精製したPCR生成物に対応し、これをpET28aベクターの誘導体にクローニングした。ライゲーション生成物を、電気穿孔法を介してE.coliXL2−青色細胞に形質転換した。単一のコロニーをPCRによってスクリーニングして、適切なサイズのインサートを含有する構築物を同定した。DNAシーケンシングを使用して、正しい配列を確認した。点変異を有するいくつかのバリアントを、例えば、図1Aに示す。
[実施例3.Fc結合タンパク質の発現]
BL21(DE3)コンピテントセルを、Fc結合タンパク質をコードする発現プラスミドで形質転換した。細胞を選択的な寒天プレート(カナマイシン)上に広げ、37℃で一晩培養した。ラクトース及び消泡剤を含まない150μg/mLのカナマイシンを補充したバッフル付き1L三角フラスコ内で、100mLの2xYT培地に単一のコロニーからのプレ培養物を接種し、従来的なオービタルシェーカで、37℃、160rpmで16時間培養した。OD600読も出し値は、6〜12の範囲であるべきである。150μg/mLのカナマイシンを補充した1L三角フラスコ内の、400mLの高濃度培地(改変したH15培地(2%のグルコース、5%の酵母抽出物、0.89%のグリセロール、0,76%のラクトース、250mMのMOPS、202mMのTRIS、pH7.4、消泡剤SE15))中に、前述の一晩培養物からの主な培養物を0.5の開始OD600に調節して接種した。培養物を共振音響ミキサ(RAMbio)に移し、37℃、20×gで培養し、酸素ポンプストッパ(Oxy−Pump stopper)によって通気を促進した。組み換えタンパク質発現は、グルコースを代謝させ、続いてラクトースを細胞に入れることによって誘導した。所定の時点でOD600を測定し、5/OD600に調節した試料を回収し、ペレット化し、−20℃で凍結させた。細胞を一晩およそ24時間増殖させて、約45〜60の最終OD600に到達させた。バイオマスを収集するために、20℃、16000×gで10分間、細胞を遠心分離した。ペレットを秤量し(湿潤重量)、上清中でpHを測定した。処理前に細胞を−20℃で保存した。
[実施例4:Fc結合タンパク質の発現及び溶解度のSDS−PAGE分析]
発酵中に採取した試料を、300μLの抽出緩衝液(0.2mg/mLのリゾチーム、0.5×BugBuster、7.5mMのMgSO、40Uのベンゾナーゼを補充したPBS)に再懸濁し、700rpm、室温で15分間、熱ミキサで撹拌することによって可溶化した。可溶性タンパク質を、遠心分離(16000×g、2分、室温)で不溶性タンパク質から分離した。上清(可溶性画分)を回収し、ペレット(不溶性画分)を当量の尿素緩衝液(8Mの尿素、0.2MのTris、2mMのEDTA、pH8.5)に再懸濁した。可溶性画分及び不溶性画分の両方から50μLを採取し、12μLの5x試料緩衝液、並びに5μLの0.5MのDTTを添加した。試料を95℃で5分間沸騰させた。最後に、8μLのこれらの試料をNuPage Novex4〜12%Bis−Tris SDSゲルに適用し、製造元の推奨に従って泳動し、クマシーで染色した。選択された期間内の最適化条件下で、全てのFc結合タンパク質の高レベルの発現が見出された(データは示さず)。SDS−PAGEによると、全ての発現したFc結合タンパク質は、95%超可溶性であった。
[実施例5:Fc結合タンパク質の精製]
C末端StrepTagII(WSHPQFEK)を有するE.coliの可溶性画分に、Fc結合タンパク質を発現させた。細胞を2回の凍結/解凍サイクルによって溶解させ、製造元(IBA(Goettingen,Germany))の取扱説明書に従ってStrep−Tactin(登録商標)樹脂を用いて精製ステップを実施した。ジスルフィド形成を回避するために、緩衝液に1mMのDTTを補充した。
代替的に、C末端StrepTagIIを有するE.coliの可溶性画分に、Fc結合タンパク質を発現させた。細胞を細胞破壊緩衝液に再懸濁し、1kbarで2サイクルの一定の細胞破壊システム(Unit F8B、Holly Farm Business Park)によって溶解した。Strep−Tactin樹脂(IBA(Goettingen,Germany))及び追加のゲル濾過(Superdex75 16/60、GE Healthcare)を用いて、製造元の取扱説明書に従って、AKTAxpressシステム(GE Healthcare)を使用して精製ステップを実施した。ジスルフィド形成を回避するために、Strep−Tactin精製用の緩衝剤を、1mMのDTTを補充し、泳動用緩衝液としてクエン酸緩衝液(20mMのCitrat、150mMのNaCl、pH6,0)をゲル濾過に使用した。
[実施例6.Fc結合タンパク質は、(ELISAによって判定される際)高い親和性でIgGに結合する。]
IgG又はIgG、又はIgGに対する、Fc結合タンパク質の親和性を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して判定した。抗体(例えば、IgGではセツキシマブ、IgGではパニツムマブ、又はIgGではナタリズマブ)を含有するIgG又はIgG又はIgGを、96ウェルNunc MaxiSorb ELISAプレート上に固定化した(2μg/mL)。4℃で16時間培養した後、ウェルをPBST(PBS+0.1%のTween20)で3回洗浄し、ウェルをPBS中3%のBSAで遮断した(室温で2時間)。陰性対照のウェルは、BSAのみで遮断した。遮断後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、室温でFc結合タンパク質(PBST中)と共に1時間培養した。培養後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、続いてStrep−Tactin−HRP(1:10000)(IBA(Goettingen,Germany))と共に室温で1時間培養した。その後、ウェルをPBSTで3回、PBSで3回洗浄した。TMB−Plus基質を添加することにより、西洋ワサビペルオキシダーゼの活性を可視化した。30分後、0.2MのHSOを添加することによって反応を停止させ、吸光度を450nmで測定した。例えば、ELISAを介して判定される際、ヒトIgGのKは、IB14では4.9nM、ドメインZでは3.4nM、ドメインBでは3.1nM、ドメインCでは2.8nMである。
[実施例7.Fc結合タンパク質は、(表面プラズモン共鳴実験で判定される際)高い親和性でIgGに結合する。]
1つのCM5センサチップ(GE Healthcare)をSPR泳動用緩衝液で平衡化した。EDCとNHSとの混合物を通過させることによって、表面に露出したカルボン酸基を活性化して反応性エステル基を得た。700〜1500RUオンリガンドをフローセル上に固定化し、オフリガンドを別のフローセル上に固定化した。リガンド固定化後のエタノールアミンの注入により、非共有結合Fc結合タンパク質を除去する。リガンド結合の際に、タンパク質分析物は、表面上に蓄積し、屈折率を増加させた。この屈折率の変化をリアルタイムで測定し、応答又はレゾナンスユニット(resonance unit、RU)対時間としてプロットした。分析物を、好適な流量(μL/分)で連続希釈してチップに適用した。各実行後、チップ表面を再生バッファ緩衝液で再生し、泳動用緩衝液で平衡化した。対照試料をマトリックスに適用した。再生及び再平衡化は、前述のように実施した。Biacore(登録商標)3000(GE Healthcare)を25℃で使用することにより、結合研究を実行し、製造元によって提供されるBIAevaluation3.0ソフトウェアを介して、Langmuirの1:1モデル(RI=0)を使用することによって、データ評価を行った。評価された解離定数(K)は、ヒトIgG−Fc、セツキシマブ(IgG)、ナタリズマブ(IgG)、又はパニツムマブ(IgG)の異なる人工Fc結合タンパク質のオフターゲット及びK値に対して標準化され、表1に示される。
Figure 2021512085
[実施例8.エポキシ活性化マトリックスにカップリングされたFc結合タンパク質(セファロース6B)]
精製したFc結合タンパク質を、エポキシ活性化マトリックス(セファロース6B、GE;カタログ番号17−0480−01)に、製造元の取扱説明書に従って(カップリング条件:pH9.0、一晩、エタノールアミンで5時間遮断)、カップリングした。セツキシマブをIgG試料として使用した(5mg、1mg/mLマトリックス)。セツキシマブを、固定化Fc結合タンパク質を含むマトリックスに飽和量で適用した。マトリックスを100mMグリシン緩衝液(pH2.5)で洗浄して、固定化IgG−結合タンパク質に結合したセツキシマブを溶出させた。Fc結合タンパク質の結合活性を判定するために、溶出したIgGの濃度を、BLI(基準としてのプロテインA Octet−sensors及びセツキシマブの定量化)によって測定した。
図2Aは、IB14(配列番号78)、及び43、46、47、50、又は58位にシステインを有するIB14バリアント(それぞれ配列番号74〜77)のカップリング効率を示す。43、46、47、50、又は58位にCysを有する全てのIB14バリアントのカップリング効率は、IB14よりも高かった。図2Bは、C末端にCysを有するcs14と比較した、及び市販のプロテインAと比較した、cs14 46C(配列番号18)又はcs14 43C(配列番号17)のエポキシ活性化セファロース6Bマトリックスへのカップリングを示す。カップリング条件は、450μM、4500nmol/mL、pH9、30℃で2時間又は18時間、1mMのTCEP、1Mの(NHSOであった。正味のカップリング速度でのわずかな変化のみが、2時間〜18時間の間に観察された。カップリング速度は、nmole(ドメイン)/mlで示されている。
[実施例9.エポキシ活性化マトリックスにカップリングされたFc結合タンパク質のアルカリ安定性]
カラムを、室温(22℃+/−3℃)で0時間、6時間、18時間、24時間、36時間、又は72時間、0.5MのNaOHで培養した。0.5MのNaOHでの培養前及び培養後に、固定化タンパク質のIg結合活性を分析した。NaOH処理前の固定化タンパク質のIg結合活性を、100%と定義した。6時間連続の0.5MのNaOH処理後の、IB14バリアント(配列番号74〜77)の残留するIgG結合活性を、図3Aに示す。図3Bは、0時間、18時間、又は72時間連続の0.5MのNaOH処理後のcs14 46C、cs14 43C、cs14、及び市販のプロテインAの苛性安定性を示す。タンパク質を、30℃で2時間、エポキシセファロースに固定化した(4500nmol/ml)。動的結合能DBC10%を、5分の滞留時間で判定した。19,5mg/mlのCs14 46Cは、72時間連続の0.5のNaOH処理後の最高DBC10%を示し、これは市販のプロテインAで測定された値よりも20%超高い。図4は、6、24、及び36時間連続の0.5MのNaOH処理後の、cs26(配列番号7)及び野生型ドメインC(配列番号84)と比較した、cs26 46C(配列番号27)の残留する結合能を示す。cs26 A46C(単量体又は二量体)の結合能は、少なくとも36時間0.5MのNaOH培養後、>20%のままである(表2を参照されたい)。
Figure 2021512085
[実施例10.アガロース系クロマトグラフィビーズPraesto(登録商標)Pure45にカップリングされたFc結合タンパク質]
精製したFc結合タンパク質を、アガロース系クロマトグラフィビーズ(Praesto(登録商標)Pure45、Purolite、カタログ番号PR01262−166)に、製造元の取扱説明書に従って(カップリング条件:pH9.5、3時間、35℃、4.1MのNaSO、エタノールアミンで一晩遮断)カップリングした。ポリクローナルヒトIgG Gammanorm(登録商標)(Ocatpharm)(濃度2,2mg/ml)をIgG試料として使用した。ポリクローナルhIgG試料を、固定化Fc結合タンパク質を含むマトリックスに飽和量で適用した。マトリックスを100mMのクエン酸緩衝液(pH2.0)で洗浄し、固定化Fc結合タンパク質に結合したhIgGを溶出させた。cs26 46C(単量体及び二量体(配列番号27、32)の動的結合能を、6分の滞留時間で10%破過時の注入したhIgGの質量により、組み換え野生型プロテインAと比較して判定した。図5は、Cs26 46Cが、6分の滞留時間で、組み換えプロテインAよりも61.2%高いDBCを有することを示す。
[実施例11.アガロース系クロマトグラフィビーズPraesto(商標)Pure45及び/又はPure85にカップリングされたFc結合タンパク質からのIgGの溶出
精製したFc結合タンパク質(cs2646 C)を、製造元の取扱説明書に従って、アガロース系クロマトグラフィビーズ(Praesto(登録商標)Pure45又はPure5)にカップリングした。ポリクローナルヒトIgG Gammanorm(登録商標)及びモノクローナルIgG抗体セツキシマブを、DBC10%まで充填してIgG試料として使用した(濃度2.2mg/ml)。ポリクローナルhIgG試料を、固定化Fc結合タンパク質を含むマトリックスに飽和量で適用した。2ステッププロセスでは、まず、マトリックスを100mMのクエン酸緩衝液(pH3.5)で、次いで、100mMのクエン酸緩衝液(pH2.0)で洗浄して、固定化Fc結合タンパク質に結合したhIgGを溶出させた。表3は、pH3.5で、結合したIgGのほぼ100%が、cs26 46Cをカップリングしたビーズから溶出されたことを示す。
Figure 2021512085

Claims (14)

  1. 1つ以上のドメインを含む、Fc結合タンパク質であって、配列番号2に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである、Fc結合タンパク質。
  2. 少なくとも1つのドメインが、配列番号2のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも89.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号2に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである、請求項1に記載のFc結合タンパク質。
  3. 少なくとも1つのドメインが、配列番号3〜16のアミノ酸配列、又はそれらに対して少なくとも89.5%の同一性をそれぞれ有するアミノ酸配列を含み、配列番号3〜16に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである、請求項1に記載のFc結合タンパク質。
  4. 少なくとも1つのドメインが、配列番号7〜8のアミノ酸配列、又はそれらに対して少なくとも89.5%の同一性をそれぞれ有するアミノ酸配列を含み、配列番号7〜8に対応する43位のアミノ酸、46位のアミノ酸、47位のアミノ酸、50位のアミノ酸、51位のアミノ酸、又は53位のアミノ酸が、システインである、請求項1に記載のFc結合タンパク質。
  5. 少なくとも1つのドメインが、配列番号17〜86、90〜95の群から選択されるアミノ酸配列、又はそれらに対して少なくとも89.5%の同一性をそれぞれ有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のFc結合タンパク質。
  6. 前記ドメインが、そのN末端の最初の4つのアミノ酸内に1、2、若しくは3つのアミノ酸の欠失、又はそのC末端の最初の2つのアミノ酸内に1若しくは2つのアミノ酸の欠失の少なくとも一つを有する、請求項1に記載のFc結合タンパク質。
  7. 前記Fc結合タンパク質が、互いに連結した2、3、4、5、6、7、又は8つのドメインを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質。
  8. 前記Fc結合タンパク質が、ホモ多量体又はヘテロ多量体である、請求項7に記載のFc結合タンパク質。
  9. 1つ以上のドメインが、直接、又は1つ以上のリンカー、好ましくはペプチドリンカーで互いに連結している、請求項8に記載のFc結合タンパク質。
  10. 前記Fc結合タンパク質が、好ましくは43、46、47、50、51、又は53位の前記システインを介して、固体支持体にコンジュゲートされている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質。
  11. 前記Fc結合タンパク質が、Fc領域を含むIgG、IgG、IgG、IgM、IgA、Ig断片、IgのFc領域を含む融合タンパク質、及び前記IgのFc領域を含むコンジュゲートに結合する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質を含む、親和性分離マトリックス。
  13. Fc配列を含む任意のタンパク質の親和性精製のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質又は請求項12に記載の親和性分離マトリックスの使用。
  14. Fc配列を含むタンパク質の親和性精製方法であって、前記親和性精製方法が、(a)Fc配列を含むタンパク質を含有する液体を提供することと、(b)親和性分離マトリックスにカップリングされた、請求項1〜11のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質の少なくとも1つを含む、親和性分離マトリックスを提供することと、(c)請求項1〜11のいずれか一項に記載のFc結合タンパク質の少なくとも1つが、Fc配列を含むタンパク質に結合することを可能にする条件下で、前記親和性分離マトリックスを前記液体と接触させることと、(d)前記親和性分離マトリックスからFc配列を含む前記タンパク質を溶出させることと、を含む、方法。
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