JP2021505156A - 標的化免疫寛容 - Google Patents

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Abstract

部位特異的、または、局所的な免疫特権を付与するための方法及び化合物。【選択図】図1

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2018年8月23日に出願した米国仮出願第62/721,644号、2018年5月24日に出願した米国仮出願第62/675,972号、2017年12月6日に出願した米国仮出願第62/595,357号、2017年12月6日に出願した米国仮出願第62/595,358号、2018年8月23日に出願した米国出願第16/109,875号、2018年8月23日に出願した米国出願第16/109,897号、2018年5月24日に出願した米国出願第15/988,311号、2018年5月24日に出願したPCT出願第PCT/US2018/034334号の優先権を主張するものであって、本明細書の一部を構成するものとして、それら出願の全内容を援用する。
技術分野
本明細書で提供する実施形態は、例えば、局所的または標的化免疫特権のための方法及び組成物に関する。
望ましくない免疫応答の事例、例えば、移植組織の拒絶、または、自己免疫疾患などは、世界中の何百万もの人々での主要な健康問題を構成している。臓器移植の長期転帰の多くには、慢性拒絶反応と、移植臓器の最終的な失敗という特徴がある。20を超える自己免疫障害が公知であり、本質的に身体のすべての臓器に影響が及び、そして、北米だけで5千万人を超える人々に影響が及んでいる。双方の状況において病原性免疫応答に対処するために使用されている広範囲に活性を示す免疫抑制薬には、深刻な副作用がある。
本明細書では、部位特異的免疫特権を提供する方法、及び、治療化合物を開示する。本明細書で開示した実施形態は、本節の一部を構成するものとして援用する。
一部の実施形態では、当該治療化合物は:
1)特異的な標的部分であって
a)例えば、ドナー標的に優先的に(レシピエント抗原への結合と比較して優先的に)結合し、かつ、ドナー由来の移植組織、例えば、臓器に対して部位特異的免疫特権を付与するのに有用である、ドナー特異的標的部分;または
b)例えば、対象の標的組織に優先的に(対象の非標的組織と比較して優先的に)結合し、かつ、例えば、自己免疫障害において、)望ましくない免疫攻撃を受けている対象組織に対して部位特異的免疫特権を付与するのに有用である、組織特異的標的部分、から選択した当該特異的な標的部分;及び
2)エフェクター結合/調節部分であって、
(a)免疫細胞抑制性分子結合/調節部分(本明細書ではICIM結合/調節部分と称する);
(b)免疫抑制性免疫細胞結合/調節部分(本明細書ではIIC結合/調節部分と称する);
(c)治療化合物の一部として、例えば、当該標的の近傍に、当該標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する物質を提供することで、免疫抑制局所微小環境を促すエフェクター結合/調節部分(本明細書ではSM結合/調節部分と称する);または
(d)免疫細胞刺激性分子結合/調節部分(本明細書ではICSM結合/調節部分と称する)であって、当該ICSMは、例えば、共刺激性分子とそのカウンター構造との間の相互作用をブロックすることで、免疫活性化を阻害する、当該免疫細胞刺激性分子結合/調節部分、から選択したエフェクター結合/調節部分、
を含む、改変した多重特異性化合物、例えば、改変した二重特異性分子、例えば、改変した二重特異性抗体分子を含む。
エフェクター結合/調節部分は、クラスa、b、及び、cの複数に分類することができる。例えば、以下に示したように、CTLA4結合分子を、カテゴリーaとbの双方に分類する。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、ICIM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、ICIM結合/調節分子は、抑制性分子、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子に結合及び刺激し、あるいは、免疫細胞、例えば、細胞傷害性T細胞、B細胞、NK細胞、または、骨髄細胞、例えば、好中球、または、マクロファージの活性を阻害または抑制する。
一部の実施形態では、当該治療化合物は:
1)特異的な標的部分、例えば、ドナー特異的標的部分(ドナー標的に結合し、かつ、ドナー由来の移植組織、例えば、臓器に部位特異的免疫特権を付与するのに有用である)、または、組織特異的標的部分(例えば、自己免疫障害において、望ましくない免疫攻撃を受けている対象組織に対して部位特異的免疫特権を付与するのに有用である);及び
2)免疫細胞でのエフェクター分子、例えば、抑制性受容体、例えば、PD−1に結合するICIM結合/調節部分を含むエフェクター結合/調節部分であって、当該特異的な標的部分が、その標的に結合し、かつ、ICIM結合/調節部分が、免疫細胞でのエフェクター分子に結合すると、免疫細胞活性、例えば、免疫攻撃を開始する当該免疫細胞の能力を、例えば、当該免疫細胞でのエフェクター分子のクラスタリングに依存する阻害シグナルを介して、ダウンレギュレートする、当該エフェクター分子、を含む、改変した多重特異性化合物、例えば、改変した二重特異性分子、例えば、改変した二重特異性抗体分子を含む。一部の実施形態では、当該改変した多重特異的化合物は、さらなる結合部分を含んでおり、3つ、または、4つなど、これらの個数に限定されない、2つ以上の特異的分子に結合する。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、ICIM結合/調節部分を含み、かつ、以下の特性の1つまたは双方を有する:(a)免疫細胞のダウンレギュレーションのレベルは、当該治療化合物が、その標的に結合しない場合よりも、当該治療化合物が、その標的に結合する場合の方が高く;及び、(b)当該治療化合物は、細胞表面抑制性受容体、例えば、免疫細胞でのPD−1と結合した場合に、細胞表面抑制性受容体が、内因性リガンドに対して結合する能力を阻害しない、または、実質的に阻害しない。
一部の実施形態では、免疫細胞のダウンレギュレーションのレベルは、当該治療化合物が、その標的に結合していない場合よりも、当該治療化合物が、その標的に結合している場合の方が高い。実施形態では、標的結合治療化合物によるダウンレギュレーションのレベルは、その標的に結合していない場合に認められるものよりも、1.5倍、2倍、4倍、8倍、または、10倍以上も高い。実施形態では、治療化合物は、標的に結合していない場合、免疫細胞をダウンレギュレートせず、または、顕著にダウンレギュレートしない。したがって、抑制性受容体、例えば、PD−1の無差別または望ましくないアゴニズムを、最小化または排除する。例えば、当該治療化合物が、免疫細胞に結合しているが、標的部分に結合していない場合、当該治療化合物による抑制性免疫チェックポイント分子の関与が、ダウンレギュレーションをもたらすことはなく、または、実質的なダウンレギュレーションをもたらすことはなく、例えば、当該治療化合物が結合する免疫細胞の抑制性受容体は、当該免疫細胞のダウンレギュレーション、または、実質的に阻害をするのに十分な阻害シグナルを招くほど集団化されておらず、または、十分に集団化されていない。
実施形態では、当該治療化合物は、細胞表面抑制性受容体、例えば、免疫細胞のPD−1と結合した場合、細胞表面抑制性受容体が、内因性リガンドに結合する能力を阻害しない、または、実質的に阻害しない。一部の実施形態では、当該治療化合物は、PD−1のPD−L1/2結合部位に結合することができる。したがって、抑制性受容体、例えば、PD−1の無差別または望ましくないアンタゴニズムは最小化または排除される。実施形態では、当該治療化合物の抑制性受容体、例えば、免疫細胞のPD−1に対する結合は、天然のリガンド、例えば、PD−L1に結合する抑制性受容体の能力を妨げない、または、実質的に妨げない。実施形態では、当該治療化合物の抑制性受容体、例えば、免疫に関するPD−1に対する結合は、天然のリガンド、例えば、PD−L1の結合を、治療化合物の非存在下で認められる50、40、30、20、10、または、5%未満にまで減らす。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、ICIM結合/調節部分を含み、そして、治療有効用量で対象に投与した場合に、あるタイプのすべての免疫細胞、例えば、すべてのT細胞における抑制性受容体の無差別なアゴニズムが可能であれば、許容できないレベルの全身性免疫活性化を招くことはなく、または、当該抑制性受容体と、その天然リガンドとの相互作用に当該治療化合物が拮抗した場合に起こり得る、許容できないレベルの全身性免疫抑制を招かない。
理論に縛られることを望むものではないが、対象に対して投与をすると、ICIM結合/調節部分を含む治療化合物は、4つの状態;i)未結合で、かつ、自由溶液にある状態;ii)ICIM結合/調節部分を介して、免疫細胞、例えば、T細胞の表面に発現した抑制性受容体だけに結合した状態;iii)当該標的部分を介して、標的移植片または対象組織の表面だけに結合した状態;及び、iv)当該標的部分を介して、標的移植片または対象組織の表面に結合し、かつ、当該ICIM結合/調節部分を介して、免疫細胞、例えば、T細胞を発現した抑制性受容体に結合した状態、のいずれか1つで存在することができる、と考えられる。当該治療化合物を、当該標的部分を介して、当該標的移植片または対象組織だけに結合する場合(iii)、そのものは、当該標的移植片または組織に影響を及ぼすことはなく、または、実質的に影響を及ぼさない。当該治療化合物を、当該標的部分を介して、当該標的移植片または組織に結合させ、かつ、当該ICIM結合/調節部分を介して、免疫細胞、例えば、T細胞で発現させた抑制性受容体に結合すると(iv)、そのものは、当該標的臓器または組織に対して免疫特権を与える。理論に縛られることを望むものではないが、このことは、例えば、複数の治療化合物分子を高密度及び高原子価で固定化することで、その表面に治療化合物分子を多量体化する標的移植組織またはドナー組織を達成する、と考えられる。当該治療化合物分子の多量体化は、当該治療化合物のICIM結合/調節部分に対して、免疫細胞、例えば、病原性T細胞の表面に発現した抑制性受容体のクラスター化を促すこと、そして、当該免疫細胞に作用して、沈黙させる、または、ダウンレギュレートさせる阻害シグナルの伝達を促す、ことを可能にする。例えば、T細胞の場合、PD−L1分子を含むICIM結合/調節部分を含む治療化合物、または、抗PD−1抗体を使用することができる。当該標的に対する複数の治療化合物分子の結合は、当該治療化合物分子の多量体化を招くものであり、このことは、PD−L1分子、または、機能性抗PD−1抗体分子が、T細胞に関してPD−1のクラスター化をもたらす。かようなクラスター化が、当該T細胞でのT細胞受容体に対して、当該標的MHCによる抗原提示の状況下で起こると、ネガティブシグナルが生成され、そして、当該T細胞が不活性化される。実施形態では、当該ICIM結合/調節部分、例えば、機能性抗体分子は、当該エフェクター分子に結合するが、当該エフェクター分子と、その天然リガンド(複数可)との相互作用を阻害しない、または、実質的に阻害しない。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、免疫抑制性免疫細胞、例えば、Treg、例えば、Foxp3+CD25+Tregを、標的標的組織の近傍で、結合し、かつ、補充する、IIC結合/調節部分を含む。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、物質、例えば、免疫応答を調節する可溶性分子、例えば、ATPまたはAMPを調節する、例えば、結合及び阻害する、隔離する、分解する、さもなければ、中和する、SM結合/調節部分を含む。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、免疫細胞での標的に特異的な標的部分を含む。一部の実施形態では、当該標的は、本明細書に記載した通りのものである。一部の実施形態では、当該標的は、MAdCAMである。一部の実施形態では、当該標的部分は、MAdCAMに結合する抗体である。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、刺激性分子、例えば、共刺激性分子に結合するICSM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、当該ICSMは、共刺激性分子のカウンター構造を阻害する。当該共刺激性分子、または、当該共刺激性分子のカウンター構造のいずれかを結合/調節することは、免疫細胞が免疫応答を開始する能力をダウンレギュレートする上で役立つ。一部の実施形態では、当該ICSM結合/調節部分は、刺激性分子、例えば、免疫細胞での共刺激性分子、例えば、T細胞でのOX40、または、当該刺激性分子のカウンターメンバー、例えば、NK細胞、マスト細胞、樹状細胞など、これらに限定されない免疫細胞、または、例えば、内皮細胞または平滑筋細胞などの非免疫細胞などの別の細胞でのOX40Lに結合することができる。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、ドナー特異的標的部分を含み、そして、対象に移植したドナー移植組織に対して部位特異的免疫特権を付与する。一部の実施形態では、当該治療化合物は、組織特異的標的部分を含み、そして、対象の組織、例えば、自己免疫障害の望ましくない免疫応答を有する組織に対して部位特異的免疫特権を付与する。
当該標的部分は、免疫系から保護されるドナー移植または対象組織に特異的である。一部の実施形態では、当該エフェクター分子結合部分は、新たに生成した結合ドメイン、例えば、機能性抗体分子を含む。一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、免疫細胞、例えば、T細胞の表面に発現した抑制性受容体を認識する天然リガンドに由来するアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、保護を受ける移植片またはドナー組織の近傍にある免疫細胞、例えば、T細胞を沈黙させるが、機能のために標的移植片またはドナー組織の存在を必要とするので、当該治療化合物は、当該標的の近くにない免疫細胞、例えば、T細胞を沈黙させない。このことは、当該治療化合物が、免疫細胞、例えば、T細胞が発現した抑制性受容体にだけ結合する場合とは対照的であり、この場合、機能面の影響はない。
本明細書で説明する方法と治療化合物は、少なくとも部分的に、部位特異的免疫特権を提供することに基づいている。本明細書に記載した治療化合物、及び、それらの使用方法は、臨床環境、例えば、免疫応答の逆転及び抑制が望まれる場合に、自己免疫疾患、または、組織、例えば、臓器移植などにおける、免疫抑制治療薬の非部位特異的全身投与の最小化、例えば、抑制または排除を可能にする。異常な免疫系が引き起こす根本的な病態生理学が影響を受ける場合、広範に作用する免疫抑制剤は、臨床的に意味のある応答が可能であるが、患者の全身性免疫系機能を低下させるという、望ましくない効果をもたらす。正常に機能する免疫システムの役割は、周囲の環境に存在する病原性及び日和見性の生物の絶え間ない攻撃に対抗し、そして、健康な個体からがん細胞を絶えず除去することにあるので、慢性免疫抑制を受けている患者は、感染症やがんを発症するリスクが高い。本明細書に記載した方法及び治療化合物は、病理部位での病原性免疫応答だけを選択的に標的とし、減衰させ、抑制し、または、消滅させる一方で、その他の箇所での正常な全身免疫系機能の阻害を最小限に抑える治療法を提供する。
一部の実施形態では、当該治療化合物を、本明細書で提供したようにして提供する。一部の実施形態では、当該化合物は、i)特異的標的部分であって:a)例えば、ドナー標的に優先的に結合するドナー特異的標的部分;または、b)例えば、対象の標的組織に優先的に結合する組織特異的標的部分、から選択した当該特異的標的部分;及び、ii)エフェクター結合/調節部分であって;(a)免疫細胞抑制性分子結合/調節部分(ICIM結合/調節部分);(b)免疫抑制性免疫細胞結合/調節部分(IIC結合/調節部分);または、(c)治療化合物の一部として、例えば、当該標的の近傍に、当該標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する物質を提供することで、免疫抑制局所微小環境を促すエフェクター結合/調節部分(SM結合/調節部分)、から選択した当該エフェクター結合/調節部分を含む。
一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、ICIM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子を含むICIM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、当該抑制性免疫分子カウンターリガンド分子は、PD−L1分子を含む。一部の実施形態では、当該ICIMに関して、当該抑制性免疫分子カウンターリガンド分子は、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB、または、CTLA−4から選択される同族の抑制性免疫チェックポイント分子に関与する。一部の実施形態では、当該ICIMは、抗体である。一部の実施形態では、当該ICIMは、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB、または、CTLA−4に結合する抗体を含む。一部の実施形態では、当該ICIM結合/調節部分は、細胞表面抑制性分子に対する機能性抗体分子を含む。
一部の実施形態では、当該細胞表面抑制性分子は、抑制性免疫チェックポイント分子である。一部の実施形態では、当該抑制性免疫チェックポイント分子は、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB2、CTLA−4から選択し、または、表1から選択される。
一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、IIC結合/調節部分を含む。
一部の実施形態では、当該化合物は、N末端からC末端に至る式:
R1−−−リンカー領域A−R2、または、R3−リンカー領域B−R4、を有しており、
式中、エフェクター結合/調節部分、及び、特異的な標的部分が存在する場合に限り、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ独立して、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分;特異的な標的部分を含み;または、存在しない。
一部の実施形態では、標的細胞に結合する標的部分、及び、エフェクター結合/調節部分を含むポリペプチドであって、当該エフェクター結合/調節部分が、変異体IL−2タンパク質であるIL−2ムテインポリペプチド(IL−2ムテイン)である、当該ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、当該標的部分は、標的細胞の表面の標的タンパク質に結合する抗体を含む。一部の実施形態では、当該ポリペプチドは、本明細書で提供する2つのポリペプチド鎖を含む。一部の実施形態では、当該第1の鎖は、VHドメインを含み、そして、当該第2の鎖は、当該標的細胞、または、当該標的細胞で発現されるタンパク質に結合する、MAdCAMなど、これに限定されない抗体のVLドメインを含む。一部の実施形態では、当該標的部分は、MAdCAMに結合する抗体である。一部の実施形態では、当該標的部分は、OAT1(SLC22A6)、及び、OCT2(SLC22A2)に結合する。一部の実施形態では、当該標的部分は、OAT1(SLC22A6)、及び、OCT2(SLC22A2)に結合する抗体である。一部の実施形態では、当該標的部分は、OAT1(SLC22A6)、及び、OCT2(SLC22A2)に結合しない。誤解を避けるために、本明細書に記載したOCT2は、転写因子ではなく、腎組織で発現される表面タンパク質である。一部の実施形態では、当該標的部分は、膵臓で認められるタンパク質に特異的に結合する部分である。一部の実施形態では、当該標的部分は、FXYD2、TSPAN7、DPP6、HEPACAM2、TMEM27、または、GPR119に結合する。一部の実施形態では、当該標的部分は、FXYD2、TSPAN7、DPP6、HEPACAM2、TMEM27、または、GPR119に結合しない。一部の実施形態では、当該標的部分は、FXYD2、TSPAN7、DPP6、HEPACAM2、TMEM27、または、GPR119に結合する抗体である。
一部の実施形態では、当該ポリペプチドは、当該ポリペプチド、または、治療化合物を形成する第1の鎖と、第2の鎖とを含み、
当該第1の鎖は:
−H−リンカー−Cを含み、式中、Vは、当該第2の鎖のVドメインで当該標的細胞に結合する可変重ドメインであり;Hは、CH1−CH2−CH3ドメインを含む抗体の重鎖であり、当該リンカーは、本明細書で提供するグリシン/セリンアミノ酸配列であり、または、存在しておらず、そして、Cは、本明細書で提供するN末端またはC末端のいずれかの方向でFcタンパク質に融合することができるIL−2ムテインであり、IL−2ムテインを、当該Fcタンパク質に結合するグリシン/セリンリンカーが存在してもよい;及び
当該第2の鎖は:
−Lを含み、式中、Vは、当該第1の鎖のVドメインで当該標的細胞に結合する可変軽鎖ドメインであり、そして、Lドメインは、軽鎖CKドメインである。一部の実施形態では、当該第1の鎖は、先に定義をした変数を有する、C−リンカー−V−Hを含む。
一部の実施形態では、当該ポリペプチドは、C−リンカー−CH2−CH3−リンカー−scFvの式を含み、式中、C及びリンカーは、上記したように、及び、本明細書で定義した通りであり、当該CH2及びCH3は、重鎖ドメインであり、及び、当該scFvは、本明細書で提供する組織標的に結合する標的部分として作用する断片などの一本鎖抗体である。一部の実施形態では、当該ムテインは、本明細書で提供するFc領域に融合し、かつ、1つ以上の当該リンカーは、存在しない。一部の実施形態では、当該リンカーは、本明細書で提供するグリシン/セリンリンカーである。一部の実施形態では、当該リンカーは、ペプチド配列である。
一部の実施形態では、本明細書では、自己免疫疾患または病態を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドの1つ以上を投与する、ことを含む。
一部の実施形態では、本明細書では、本明細書に記載の疾患または病態を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドの1つ以上を投与する、ことを含む。
一部の実施形態では、炎症性腸疾患を有する対象を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを当該対象に投与して、炎症性腸疾患を処置する、ことを含む。一部の実施形態では、当該対象は、クローン病、及び/または、潰瘍性大腸炎を有する。
一部の実施形態では、自己免疫性肝炎を有する当該対象を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを対象に投与して、自己免疫性肝炎を処置する、ことを含む。
一部の実施形態では、原発性硬化性胆管炎を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを当該対象に投与して、原発性硬化性胆管炎を処置する、ことを含む。
一部の実施形態では、腸の炎症を処置する(例えば、軽減する)方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを当該対象に投与して、腸の炎症を処置することを含む。一部の実施形態では、小腸に炎症がある。一部の実施形態では、大腸に炎症がある。一部の実施形態では、腸または結腸に炎症がある。
一部の実施形態では、膵臓の炎症を処置する(例えば、軽減する)方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを当該対象に投与して、膵臓の炎症を処置する、ことを含む。一部の実施形態では、当該方法で、膵炎を処置する。
一部の実施形態では、1型糖尿病を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドを当該対象に投与して、1型糖尿病を処置する、ことを含む。
一部の実施形態では、移植対象を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドの治療有効量を当該対象に投与し、それにより、移植(レシピエント)対象を処置する、ことを含む。
一部の実施形態では、移植したドナー組織を有する対象のGVHDを処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドの治療有効量を当該対象に投与する、ことを含む。
一部の実施形態では、自己免疫障害を有する対象、または、同障害有するリスクがある対象、または、同障害を有するリスクが高い対象を処置する方法を提供しており、当該方法は、本明細書で提供する治療化合物またはポリペプチドの治療有効量を投与し、それにより、当該対象を処置することを含む。
本明細書で提供する治療化合物の実施形態を示しており、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の機能を説明しており、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。 本明細書で提供する治療化合物の例示であり、これらに限定されない。
本出願は、2018年3月15日に出願した米国特許出願第15/922,592号、及び、2018年3月15日に出願したPCT出願第PCT/US2018/022675号を、本明細書の一部を構成するものとして、その各々の全内容を援用する。
本明細書で使用し、かつ、特に断りのない限り、用語「約」とは、対象とする数値の±5%を意味する、ことを意図している。したがって、約100とは、95〜105のことを意味する。
本明細書で使用し、かつ、添付した特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、及び、「the」は、そうでないことが文脈で明確に示されていない限り、複数の意味を含む。
本明細書で使用する用語「約」とは、数値が近似値であり、かつ、多少の変動が、開示した実施形態の実施に顕著な影響を及ぼさないことを意味する。数値に制限を加える場合、文脈で特に断りがない限り、「約」は、当該数値が、±10%変動し、かつ、開示した実施形態の範囲内に留まることを意味する。
本明細書で使用する用語「動物」として、ヒト、ならびに、野生動物、屋内動物、及び、家畜などの非ヒト脊椎動物があるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する用語「接触する」とは、インビトロシステム、または、インビボシステムにおいて、2つの要素を一緒にすることを意味する。例えば、治療化合物を、個体または患者または細胞と「接触させる」ことは、個体、または、ヒトなどの患者に対する当該化合物の投与、ならびに、例えば、細胞を含む試料に対する化合物、または、標的を含む精製製剤の導入を含む。
本明細書で使用する用語「含む(comprising)」(及び、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」などのあらゆる形態の含む(comprising))、「有する(having)」(及び、「有する(have)」及び「有する(has)」などのあらゆる形態の有する(having))、「含む(including)」(及び、「含む(includeds)」及び「含む(include)」などのあらゆる形態の含む(including))、または、「含む(contaning)」(及び、「含む(contains)」及び「含む(contain)」などのあらゆる形態の含む(containing))は、包括的または拡張可能であり、かつ、さらなる、引用していない要素、または、方法ステップを除外しない。また、用語「含む(comprising)」で記載したあらゆる組成物または方法は、列挙した成分または要素からなる(consisting)、からなる(consisting of)、または、から本質的になる(consisting essentially of)組成物も記載している、と理解すべきである。
本明細書で使用する用語「融合した」または「結合した」とは、異なるドメインまたは異種配列を有するタンパク質に関して使用する場合、タンパク質ドメインが、ペプチド結合、または、その他の共有結合のいずれかで、互いに結合される同じペプチド鎖の一部である、ことを意味する。これらのドメインまたはセクションは、互いに直接に結合または融合することができ、または、別のドメインまたはペプチド配列は、2つのドメインまたは配列の間に存在することができ、そして、そのような配列は、依然として互いに融合または結合しているものとみなす。一部の実施形態では、本明細書で提供する様々なドメインまたはタンパク質は、互いに直接に結合または融合されるか、または、本明細書に記載したグリシン/セリン配列などのリンカー配列は、2つのドメインを結合する。
本明細書で使用する用語「個体」、「対象」、または、「患者」とは、互換可能に使用することができ、マウス、ラット、その他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または、霊長類、例えば、ヒトなどの哺乳類を含む、あらゆる動物のことを意味する。
本明細書で使用する用語「阻害する」とは、結果、症状、または、活性を阻害する化合物の非存在下での活性または結果と比較して、抑制を受ける結果、症状、または、活性のことを指す。一部の実施形態では、当該結果、症状、または、活性は、約、または、少なくとも、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または、99%が阻害される。結果、症状、または、活性は、それを完全に除去または消滅すれば、阻害することができる。
本明細書で使用する語句「それを必要とする」は、当該対象が、特定の方法または処置の必要があると識別された、ことを意味する。一部の実施形態では、当該識別は、診断のあらゆる手段で行うことができる。本明細書に記載の方法、及び、処置のいずれにおいても、当該対象は、それを必要とすることができる。一部の実施形態では、当該対象は、特定の疾患、障害、または、病態が蔓延している環境に存在するか、または、同環境に向けて移動する。
本明細書で使用する語句「X〜Yまでの整数」は、端点を含むあらゆる整数のことを意味する。例えば、語句「X〜Yまでの整数」は、1、2、3、4、または、5のことを意味する。
本明細書で使用する用語「哺乳動物」とは、齧歯類(すなわち、マウス、ラット、または、モルモット)、サル、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、または、ヒトを意味する。一部の実施形態では、当該哺乳動物は、ヒトである。
一部の実施形態では、当該治療化合物を、本明細書で提供する。一部の実施形態では、当該治療化合物は、相互作用する複数の鎖を有するタンパク質またはポリペプチドである。当該ポリペプチドは、ジスルフィド結合、または、その他の共有結合などの非共有相互作用、または、共有相互作用を介して、互いに相互作用できる。したがって、実施形態が、治療化合物のことを指す場合、それは、本明細書で提供するタンパク質またはポリペプチドを指すと言えるものであり、文脈がそのように示す場合には、その逆も同様である。
本明細書で使用する語句「眼科的に許容される」は、処置した眼またはその機能、または、処置を受けている当該対象の総体的な健康に対して、持続的に有害な影響を及ぼさない、ことを意味する。しかしながら、軽度の刺激、または、「刺すような」感覚などの一過性の影響は、薬物の局所点眼投与では一般的であり、また、本明細書で定義した「眼科的に許容される」問題において、そのような一過性の影響の存在は、組成、製剤、または、成分(例えば、賦形剤)と矛盾しない、ことが認識される。一部の実施形態では、当該医薬組成物は、眼科的に許容することができ、または、眼科投与に好適なものとすることができる。
特定の抗原、標的、または、エピトープに対する「特異的結合」、または、「特異的に結合する」または「特異的」は、非特異的相互作用と測定可能な程度にまで異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般的に、結合活性を持たない同様の構造の分子であるコントロール分子の結合と比較して、分子の結合を決定することで、測定することができる。例えば、特異的結合は、当該標的に類似したコントロール分子との競合によって、決定することができる。
特定の抗原、標的、または、エピトープに対する特異的結合は、抗原またはエピトープに対して、例えば、少なくとも約10−4M、少なくとも約10−5M、少なくとも約10−6M、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、あるいは、少なくとも約10−10M、少なくとも約10−11M、少なくとも約10−12M、または、それ以上のKを有する抗体で示すことができ、Kは、特定の抗体−標的相互作用の解離速度のことを指す。一般的に、抗原または標的に特異的に結合する抗体は、Kを有しており、これは、当該抗原またはエピトープと比較して、コントロール分子に対して、2−、4−、5−、10−、20−、50−、100−、500−、1000−、5,000−、10,000−、または、それ以上の倍数を示し、または、少なくとも、それらの数値である。
一部の実施形態では、特定の抗原、標的、または、エピトープに対する特異的結合とは、例えば、標的、抗原、または、エピトープに対するKまたはKが、コントロールと比較して、当該標的、抗原、または、エピトープに対して、少なくとも2−、4−、5−、20−、50−、100−、500−、1000−、5,000−、10,000−、または、それ以上の倍数を示す抗体が明らかにするものであって、KまたはKとは、特定の抗体−抗原相互作用の結合率のことを指す。
本明細書で提供したように、当該治療化合物、及び、組成物は、本明細書で提供する処置の方法で使用することができる。本明細書で使用する用語「処置する(treat)」、「処置した(treated)」、または、「処置する(treating)」は、その目的が、望ましくない生理学的病態、障害、または、疾患を遅延させる(軽減する)、または、有益な、または、所望の臨床結果を獲得することである治療的処置と、予防措置との双方を意味する。これらの実施形態の目的のために、有益な、または、所望の臨床結果として、症状の緩和;病態、障害、または、疾患の程度の軽減;病態、障害、または、疾患の安定した(すなわち、悪化していない)状態;病態、障害、または、疾患の発症、または、進行の遅延;検出の可否に関係なく、病態、障害、または、疾患の状態または寛解(部分的または全体的に関係なく)の改善;必ずしも患者が認識可能である必要のない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善;または、病態、障害、または、疾患の増強または改善があるが、これらに限定されない。処置には、過度のレベルの副作用を招かずに、臨床的に有意な反応を引き出すことがある。処置をすると、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間をも延長する。
本明細書では、一般的に、別個のドメインとして、標的部分、及び、エフェクター結合/調節部分を含む、治療化合物、例えば、治療用タンパク質分子、例えば、融合タンパク質を提供する。当該治療化合物を、使用及び製造する方法も提供する。当該標的部分は、当該治療化合物、そして、エフェクター結合/調節部分を、免疫特権を所望する部位に局在化させる上で役立つ。当該エフェクター結合/調節部分は:(a)免疫細胞抑制性分子結合/調節部分(ICIM結合/調節部分):(b)免疫抑制性免疫細胞結合/調節部分(IIC結合/調節部分);(c)可溶性分子結合/調節部分(SM結合/調節部分)、または、(d)免疫細胞刺激性分子結合/調節部分をブロックまたは阻害する分子(本明細書では、ICSM結合/調節部分と称する)の1つ以上を含む。一部の実施形態では、当該ICSMは、例えば、共刺激性分子と、そのカウンター構造との間の相互作用をブロックすることで、免疫活性化を阻害する。一部の実施形態では、当該治療化合物は:(a)及び(b);(a)及び(c);(a)及び(d);(b)及び(c);(b)及び(d);(c)及び(d);または、(a)、(b)、(c)、及び、(d)を含む。
本開示は、例えば、PD−1アゴニストとして作用することができる分子を提供する。特定の理論に縛られるものではないが、PD−1のアゴニズムは、T細胞の活性化/シグナル伝達を阻害し、そして、異なるメカニズムで達成できる。例えば、架橋をすると、アゴニズムでビーズに結合した機能性なPD−1アゴニストを得ることができ、このことは、本明細書の一部を構成するものとして援用する(Akkaya. Ph.D. Thesis: Modulation of the PD−1 pathway by inhibitory antibody superagonists. Christ Church College, Oxford, UK, 2012)で報告されている。重複しないエピトープに結合する2つのモノクローナル抗体とPD−1との架橋は、本明細書の一部を構成するものとして援用する文献に記載の通り、PD−1シグナル伝達を誘導する(Davis,US2011/0171220)。別の例は、本明細書の一部を構成するものとして援用する文献に記載の通り、ヤギ抗PD−1抗血清の使用を介して例示しており(例えば、AF1086,R&D Systems)、このものは、本明細書の一部を構成するものとして援用する文献に記載の通り、可溶性の場合にアゴニストとして作用する(Said et al.,2010,NatMed)。本実施形態で使用することができるPD−1アゴニストの例として、UCBクローン19、または、クローン10、PD1AB−1、PD1AB−2、PD1AB−3、PD1AB−4、及び、PD1AB−5、PD1AB−6(Anaptys/Celgene)、PD1−17、PD1−28、PD1−33、及び、PD1−35(本明細書の一部を構成するものとして援用する、Collins et al,US2008/0311117 A1 Antibodies against PD−1 and uses therefor)があるが、これらに限定されるものではなく、あるいは、二重特異性で、一価の抗PD−1/抗CD3(Ono)など、とすることができる。一部の実施形態では、当該PD−1作動性抗体を、PD−1に対するPD−L1の結合をブロックする抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該PD−1作動性抗体を、PD−1に対するPD−L1の結合をブロックしない抗体とすることができる。
PD−1アゴニズムは、実施例に記載した方法など、あらゆる方法で測定することができる。例えば、b−ガラクトシダーゼ「酵素ドナー」と融合したヒトPD−1ポリペプチド、及び、2)b−ガラクトシダーゼ「酵素アクセプター」と融合したSHP−2ポリペプチドを含む構築物を発現する、例えば、安定して発現する細胞を構築することができる。理論に縛られるものではないが、PD−1が関与すると、PD−1は、SHP−2の補充を受ける。当該酵素アクセプターと酵素ドナーとは、アッセイをすることができる、完全に活性なb−ガラクトシダーゼ酵素を形成する。このアッセイは、PD−1アゴニズムを直接に示すことはないが、PD−1シグナル伝達の活性化は示す。PD−1アゴニズムは、理論に縛られるものではないが、抗CD3誘導T細胞活性化を阻害するので、T細胞活性化の阻害を測定することで、測定をすることもできる。例えば、PD−1アゴニズムは、T細胞を、PHA(ヒトT細胞の場合)、または、ConA(マウスT細胞の場合)で事前に活性化して、PD−1を発現させることで、測定することができる。そして、PD−1アゴニズムアッセイのために、これらの細胞を、抗PD−1(または、PD−L1)の存在下で、抗CD3で再活性化することができる。抗CD3の存在下でPD−1アゴニストシグナルを受け取るT細胞は、抗CD3刺激だけの場合と比較して、活性化の低下を示す。活性化は、増殖、またはサイトカイン(IL−2、IFNg、IL−17)産生、または、CD69活性化マーカーなどのその他のマーカーで読み取ることができる。したがって、PD−1アゴニズムは、サイトカイン産生、または、細胞増殖のいずれかで測定することができる。その他の方法も、PD−1アゴニズムを測定するために使用することができる。
PD−1は、活性化T細胞、及び、その他の免疫細胞で発現するIgスーパーファミリーのメンバーである。PD−1の天然リガンドは、PD−L1、及び、PD−L2であると考えられる。特定の理論に縛られるものではないが、PD−L1、または、PD−L2が、活性化T細胞のPD−1に結合すると、抑制性シグナル伝達カスケードが始まり、活性化Tエフェクター細胞機能が減衰する。したがって、T細胞でのPD−1と、別の細胞(例えば、腫瘍細胞)でのPD−L1/2との間の相互作用をPD−1アンタゴニストでブロックすることは、チェックポイント阻害として公知であり、そして、当該T細胞を阻害から解放する。対照的に、PD−1作動性抗体は、PD−1に結合し、次に、抑制性シグナルを送り、そして、T細胞の機能を弱めることができる。したがって、PD−1作動性抗体は、本明細書に記載のエフェクター分子結合/調節部分として、本明細書に記載した様々な実施形態に組み込むことができ、標的部分と組み合わせると、局所的な組織特異的免疫調節を達成することができる。
当該エフェクター分子結合/調節部分は、様々な方法で、免疫抑制性シグナルまたは環境を提供することができる。一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、疾患病理を駆動する原因となる免疫細胞が発現した抑制性受容体に直接結合し、そして、(本明細書に記載した適切な条件下で)活性化するICIM結合/調節部分を含む。別の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、IIC結合/調節部分を含み、そして、免疫抑制性免疫細胞に結合して蓄積する。一部の実施形態では、当該蓄積した免疫抑制性細胞は、免疫特権を促す。別の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、周囲の微小環境を操作して、免疫細胞、例えば、疾患病理を駆動する免疫細胞の機能を許容しにくくするSM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、当該SM結合/調節部分は、免疫攻撃または活性化を促す実体を枯渇させる。一部の実施形態では、当該エフェクター結合/調節部分は、一対の刺激性分子、例えば、共刺激性分子のメンバーに結合するICSM結合/調節部分を含み、次に、OX40、または、CD30、または、CD40、及び、OX40L、または、CD30L、または、CD40Lなど、これらに限定されない、当該共刺激性分子と、当該共刺激性分子カウンター構造との間の相互作用を阻害し、そして、T細胞、B細胞、NK細胞、または、当該ペアのメンバーを含む、その他の免疫細胞など、これらに限定されない、細胞の免疫刺激を阻害する。
当該標的部分、及び、エフェクター結合/調節部分は、例えば、治療タンパク質分子における同じタンパク質分子のメンバーとして、物理的に、共有結合、または、非共有結合により、直接に、または、リンカー実体を介して、互いを結合する。一部の実施形態では、当該標的、及び、エフェクター部分を、一般的には、別個のドメインとして、治療用タンパク質分子、例えば、融合タンパク質で提供する。一部の実施形態では、当該標的部分、当該エフェクター結合/調節部分、または、双方は、それぞれ、単一ドメイン抗体分子、例えば、ラクダ科動物抗体VHH分子、または、ヒト可溶性VHドメインを含む。一本鎖断片可変(scFv)、または、Fabドメインも含み得る。一部の実施形態では、当該治療用タンパク質分子、または、当該治療用タンパク質分子をコードする核酸、例えば、mRNAまたはDNAを、対象に対して投与することができる。一部の実施形態では、当該標的、及び、当該エフェクター分子結合/調節部分を、第3の実体、例えば、担体、例えば、ポリマー担体、デンドリマー、または、粒子、例えば、ナノ粒子に結合する。当該治療化合物は、選択した標的、または、部位の組織で、または、組織内で使用して、免疫応答をダウンレギュレートすることができるが、全身的な免疫抑制機能は、皆無であるか、または、実質的に僅かでしかない。当該標的または部位は、ドナー組織、または、自己組織を含むことができる。
本明細書では、移植したドナー組織、例えば、同種移植組織、例えば、本明細書に記載の組織、例えば、同種移植肝臓、同種移植腎臓、同種移植心臓、同種移植膵臓、同種移植胸腺または胸腺組織、同種移植皮膚、または、同種移植肺に対して、本明細書に記載の治療化合物を用いて、部位特異的免疫特権を付与する方法を提供する。実施形態では、この処置は、ドナー移植組織に対する拒絶を最小化にし、免疫エフェクター細胞が媒介する損傷を最小化にし、受容を持続させ、または、機能性寿命を延長する。
本明細書では、本明細書に開示した治療化合物を用いて、レシピエント組織の免疫攻撃を媒介するドナー免疫細胞、例えば、ドナーT細胞の能力を最小限にすることで、移植片対宿主病(GVHD)を阻害する方法も提供する。
また、本明細書では、本明細書に開示した治療化合物の投与によって、対象における自己免疫障害または応答を処置し、例えば、治療的処置または予防的処置(または、予防)を行う方法を提供して、例えば、当該免疫システムの部位または組織特異的調節を提供する。一部の実施形態では、当該方法は、対象組織に対する耐性、対象組織の拒絶の最小化、対象組織に対する免疫エフェクター細胞が媒介する損傷の最小化、または、対象組織の機能の持続性を提供する。一部の実施形態では、当該治療化合物は、自己免疫攻撃下で、または、自己免疫攻撃のリスクのある状況で当該組織を標的とする、例えば、特異的に標的とする標的部分を含む。例示的な組織として、膵臓、ミエリン、唾液腺、滑膜細胞、及び、筋細胞があるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する治療的処置に関する用語「処置する(treat)」、「処置した(traeted)」、または、「処置する(treating)」とは、その目的が、望ましくない生理学的病態、障害または疾患を、緩慢(軽減)ならしめること、または、有益な、または、所望の臨床結果を得ることにある。例えば、有益、または所望の臨床結果として、症状の緩和;病態、障害、または、疾患の程度の軽症化;病態、障害、または、疾患の安定した(すなわち、悪化していない)状態;病態、障害、または、疾患の進行の発症の遅延または緩慢化;検出の可否に関係なく、病態、障害、または、疾患の状態、または、寛解(部分的または全体的)の改善;必ずしも患者が認識できるとは限らない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善;または、病態、障害、または、疾患の増強または改善などがあるが、これらに限定されない。処置には、過度なレベルの副作用が無いままに、臨床的に有意な反応を引き出すことを含む。処置には、処置を受けない場合に予想される生存期間よりも長い生存期間も含む。したがって、「自己免疫疾患/障害の処置」とは、本明細書に記載の自己免疫疾患/障害、または、その他の病態に関連する一次現象、または、二次症状のいずれかを緩和または改善する活性のことを意味する。本明細書では、様々な疾患または病態を提供する。当該治療的処置は、発症前に疾患または病態を予防または軽減するために、予防的に投与することもできる。
一部の実施形態では、当該治療化合物の投与は、当該障害が明らかになってから開始する。一部の実施形態では、当該治療化合物の投与は、当該障害を発症、または、完全に発症する前に開始する。一部の実施形態では、当該治療化合物の投与は、当該障害を発症、または、完全に発症する前に、例えば、当該障害を有する対象、当該障害を有するリスクの高い対象、当該障害のリスクまたは存在に関するバイオマーカーを有する対象、当該障害の家族歴を有する対象、または、当該障害のリスク、または、無症候性の存在に関するその他の指標を有する対象において開始する。例えば、一部の実施形態では、膵島細胞損傷を有するが、未だ糖尿病ではない対象を処置する。
理論に縛られることを望むものではないが、当該標的部分は、免疫特権を所望する解剖学的部位で選択的に発現する標的に対して、治療薬を結合及び蓄積するように機能する、と考えられている。一部の実施形態では、例えば、ドナー組織移植の状況において、当該標的部分は、レシピエントではなく、ドナー組織に存在する標的、例えば、対立遺伝子産物に結合する。自己免疫障害の治療では、当該標的部分は、免疫特権を所望する解剖学的部位、例えば、膵臓で優先的に発現する標的に結合する。GVHDの治療では、当該標的部分は、当該宿主組織を標的とし、そして、移植組織に由来する移植免疫エフェクター細胞からの攻撃から宿主を保護する。
この場合もやはり、理論に縛られることを望むものではないが、当該エフェクター結合/調節部分は、免疫抑制性シグナルを送達するか、さもなければ、免疫特権環境を作り出す上で役立つ、と考えられている。
特に断りのない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、これらの実施形態の技術分野に属する当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似する、または、均等の方法及び材料を、本実施形態を実施する、または、試験するにあたって使用することができるが、適切な方法及び材料については後述する。本明細書に記載したすべての刊行物、特許出願、特許、及び、その他の参考文献は、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。加えて、材料、方法、及び、実施例は、例示に他ならず、限定は意図していない。見出し、小見出し、または、(a)、(b)、(i)などの番号、または、文字で表した要素は、単に読みやすくすることを目的としたものである。本明細書において、見出し、または、番号または文字で表した要素の使用は、ステップまたは要素をアルファベット順で実施する必要はなく、あるいは、ステップまたは要素を、必ずしも、互いに独立させる必要はない。当該実施形態のその他の特徴、目的、及び、利点は、説明、及び、図面、ならびに、特許請求の範囲から明らである。
さらなる定義
特に断りのない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、当該実施形態の技術分野に関係する当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本実施形態の説明及び特許請求の範囲において、以下の用語、及び、本出願を通して参照する用語は、定義を提供している場合は、その定義の通りに使用する。
また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、限定を意図していない、ことも理解されたい。
抗体分子という本明細書で使用する用語は、少なくとも1つの機能性免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むポリペプチド、例えば、免疫グロブリン鎖、または、その断片のことを指す。抗体分子は、抗体(例えば、全長抗体)、及び、抗体断片を含む。一部の実施形態では、抗体分子は、全長抗体の抗原結合性、または、機能性断片、または、全長免疫グロブリン鎖を含む。例えば、全長抗体は、自然に存在するか、または、正常な免疫グロブリン遺伝子断片の組換えプロセスで形成される)免疫グロブリン(Ig)分子(例えば、IgG抗体)である。実施形態では、抗体分子とは、抗体断片などの免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な抗原結合部分のことを指す。抗体断片、例えば、機能性断片は、抗体の一部、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)2、可変断片(Fv)、ドメイン抗体(dAb)、または、一本鎖断片(scFv)を含む。機能性抗体断片は、インタクトな(例えば、全長の)抗体によって認識されるものと同じ抗原に結合する。用語「抗体断片」または「機能性断片」は、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、または、軽及び重可変領域を、ペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)で結合している組換え一本鎖ポリペプチド分子などの可変領域からなる単離断片も含む。一部の実施形態では、抗体断片は、Fc断片、または、単一アミノ酸残基などの抗原結合活性を持たない抗体の部分を含まない。例示的な抗体分子として、全長抗体、及び、抗体断片、例えば、dAb(ドメイン抗体)、一本鎖、Fab、Fab’、及び、F(ab’)2断片、及び、一本鎖可変断片(scFv)がある。
用語「抗体分子」は、「sdAb」または「VHH」とも称する、ドメイン、または、単一ドメイン、抗体の全体、または、抗原結合断片も含む。ドメイン抗体は、独立した抗体断片として作用することが可能なVまたはVのいずれかを含む。加えて、ドメイン抗体には、重鎖だけの抗体(HCAbs)を含む。ドメイン抗体は、CDRループが移植されるベースの足場として、IgGのCH2ドメインも含む。また、それは、一般的に、3つの相補性決定領域で区切られた4つのフレームワーク領域から構成されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはタンパク質として定義することができる。このものは、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4として表わされる。sdAbは、ラマなどのラクダ科動物で産生することができるが、当該技術分野で周知の技術を使用して、合成的に生成することもできる。sdAb、または、ポリペプチドのアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.が定めたVHドメインの一般的な付番方法に従う(“Sequence of proteins of immunological interest,” US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91,この文献は、本明細書の一部を構成するものとして援用する)。この付番方法では、sdAbのFR1は、1〜30の位置のアミノ酸残基を含み、sdAbのCDR1は、31〜36の位置のアミノ酸残基を含み、sdAbのFR2は、36〜49の位置のアミノ酸を含み、sdAbのCDR2は、50〜65の位置のアミノ酸残基を含み、sdAbのFR3は、66〜94の位置のアミノ酸残基を含み、sdAbのCDR3は、95〜102の位置のアミノ酸残基を含み、そして、sdAbのFR4は、103〜113の位置のアミノ酸残基を含む。ドメイン抗体は、WO2004041862、及び、WO2016065323にも記載されており、それらの各々は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。当該ドメイン抗体は、本明細書に記載の標的部分とすることができる。
抗体分子は、単一特異性(例えば、一価または二価)、二重特異性(例えば、二価、三価、四価、五価、または、六価)、三重特異性(例えば、三価、四価、五価、六価)、または、より高次の特異性(例えば、四重特異性)、及び/または、六価を超える高次の価数のものとすることができる。抗体分子は、軽鎖可変領域の機能性断片、及び、重鎖可変領域の機能性断片を含むことができ、または、重鎖と軽鎖とを一緒に融合して単一のポリペプチドとし得る。
多重特異性治療化合物、例えば、二重特異性抗体分子のフォーマットの例を、以下に例示するが、それらに限定されない。抗体分子を用いて説明しているが、それらは、特異的結合、または、エフェクター部分としてその他の非抗体部分を含む治療用分子のプラットフォームとして使用できる。一部の実施形態では、これらの例は、対称または非対称のFcフォーマットに基づいているが、それらに限定されない。
例えば、図面では、様々な対称ホモ二量体のアプローチについて記載をしているが、それらに限定されない。一部の実施形態では、二量化界面は、ヒトIgG1 CH2−CH3ドメインを中心とし、このものは、CH2/CH2、及び、CH3/CH3の双方にわたる接触界面を介して二量化する。そのようにして得た、そこに示した二重特異性抗体は、当該二量体の各側のN末端にある2つの同一の結合ユニットと、当該二量体の各側のC末端にある2つの同一のユニットを含む4つの結合ユニットからなる全原子価を有する。いずれの事例でも、ホモ二量体のN末端の結合単位は、ホモ二量体のC末端の結合単位とは異なる。当該分子のいずれかの末端での阻害性T細胞受容体の双方について、このタイプの二価性を使用すると、当該分子のいずれかの末端で、組織連結抗原のための二価性を実現することができる。
例えば、図3では、実施形態を示しているが、これに限定されない。当該ホモ二量体のN末端は、2つの同一の軽鎖から構成される2つの同一のFabドメインを含み、これらは、CH1とのVH/VL相互作用、及び、CkappaまたはClambda相互作用を介して、各重鎖のn末端VH−CH1ドメインと相互作用する別個のポリペプチドである。CkappaまたはClambdaとCH1との間に天然のジスルフィド結合が存在し、軽鎖と重鎖との間に共有結合アンカーを提供する。このデザインのc末端では、2つの同一のscFvユニットがあり、それにより(この実施例では)、当該Fcの当該CH3ドメインのc末端の後に、一般的には、セリン、グリシン、アラニン、及び/または、トレオニン残基(これらに限定されない)から構成される柔軟な親水性リンカーが続き、その後に、各scFvユニットの当該VHドメインが続き、その後に、グリシン/セリンが豊富なリンカーが続き、その後に、VLドメインが続く。これらのタンデムVH及びVLドメインが結合して、当該Fcの当該c末端に付着した一本鎖断片可変(scFv)を形成する。当該Fcを中心とするホモ二量体の性質が故に、この分子の当該c末端に、そのようなユニットが2つ存在する。scFvのドメインの順序は、VH−リンカー−VL、または、VL−リンカー−VHのいずれかのN末端からC末端へと設定し得る。
異なる末端に異なる結合領域を有する分子の例として、一方の末端を、PD−1アゴニストとし、そして、標的特異性を提供する抗体が、抗MAdCAM−1抗体とするものがあるが、これらに限定されない。このことは、例えば、異なる幾何学的配置の分子を例示する図3Aに示したようにして、例示することができる。
一部の実施形態では、当該MAdCAM抗体は、本明細書のその他の箇所で記載したようなブロッキング抗体、または、非ブロッキング抗体である。理論に縛られるものではないが、MAdCAMは、その2つのIgスーパーファミリーI−セットドメイン内の複数の残基を介して、リンパ球で発現するインテグリンα4β7のヘッドピースと相互作用することが示されており、また、その相互作用の原子レベルの構造的基盤が報告されている(Viney JL et al. (1996). J Immunol. 157, 2488−2497; Yu Y et al (2013). J Biol Chem. 288, 6284−6294; Yu Y et al (2012). J Cell Biol. 196, 131−146,本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する)。そのことは、MAdCAMとα4β7の相互作用が、インテグリンベータ7サブユニットI様ドメインに存在する3つのジカチオン結合部位に依存しており、そして、これらの金属結合部位が、Ca2+、Mn2+、及び、Mg2+と協働できる、ヒト(Chen J et al (2003). Nat Struct Biol. 10, 995−1001; de Chateau M et al (2001). Biochemistry. 40, 13972−13979)、及び、マウス(Day ES et al (2002). Cell Commun Adhes. 9, 205−219; Hoshino H et al (2011). J Histochem Cytochem. 59, 572−583)の双方の分子システムにおいて、構造面、機構面、及び、機能面において非常に詳細に示されている。Mg2+またはMn2+を含む、または、含まずに、高レベルのCa2+の存在下で、細胞接着アッセイ、フローサイトメトリー、及び/または、フローチャンバーアッセイを使用すると、MAdCAM/α4β7相互作用は、機能性親和性がさらに小さくなり、また、リンパ球の回転接着を可能にするが、当該インテグリンを活性化するCa2+を少なくし、Mg2+またはMn2+を多くすると、MAdCAM/α4β7の相互作用は、機能性親和性が高くなり、また、リンパ球の強固な接着を媒介する(Chen J et al(2003)).Nat Struct Biol.10,995−1001)。数多くのグループが、様々な細胞:細胞、細胞:膜調製、及び/または、細胞:タンパク質をベースとした接着/相互作用アッセイを、FACS、細胞フローチャンバーをベースとした計数、または、IHCをベースとした読み取りを利用して実施することで、MAdCAMとα4β7との相互作用における、抗MAdCAM、または、抗α4β7抗体の影響をモニターして、ブロッキング抗体、または、非ブロッキング抗体を同定できる、ことを報告している(Nakache, M et al (1989). Nature. 337, 179−181; Streeter, PR et al (1988). Nature. 331. 41−46; Yang Y et al (1995). Scand J Immunol. 42. 235−247; Leung E et al (2004). Immunol Cell Biol. 82. 400−409; Pullen N et al (2009). B J Pharmacol. 157. 281−293; Soler D et al (2009). J Pharmacol Exp Ther. 330. 864−875; Qi J et al (2012). J Biol Chem. 287. 15749−15759)。
このことは、MECA−89(非ブロッキング)、及び、MECA−367(ブロッキング)などの抗マウスMAdCAM抗体の同定を伴うマウスシステム設定で例示されている)Nakache, M et al (1989). Nature. 337, 179−181; Streeter, PR et al (1988). Nature. 331. 41−46; Yang Y et al (1995). Scand J Immunol. 42. 235−247)。ヒトシステムでは、抗ヒトMAdCAM PF−00547659(Pullen N et al(2009).B J Pharmacol.157.281−293)、及び、抗ヒトα4β7ベドリズマブ(Soler D et al(2009).J Pharmacol Exp Ther.330.864−875)などのヒトMAdCAMと、ヒトα4β7との相互作用をブロックする抗体、ならびに、抗ヒトMAdCAMクローン17F5(Soler D et al(2009).J Pharmacol Exp Ther.330.864−875)、及び、抗ヒトα4β7クローンJ19(Qi J et al(2012).J Biol Chem.287.15749−15759)などの相互作用をブロックしない抗体が同定されている。したがって、当該抗体は、所望の効果に基づいて、ブロッキングまたは非ブロッキングのいずれかとすることができる。一部の実施形態では、当該抗体は、非ブロッキングMAdCAM抗体である。一部の実施形態では、当該抗体は、ブロッキングMAdCAM抗体である。当該抗体が、ブロッキングであるか、あるいは、非ブロッキングであるかを実証する一例を、実施例6に示すが、これに限定されるものではなく、あらゆる方法を使用することができる。本明細書に記載した各参考文献を、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する。一部の実施形態では、当該PD−1アゴニストを、本明細書に記載したような、IL−2ムテインで置換するが、これらに限定されない。
別の実施例では、そして、図4に示したように、当該ホモ二量体のN末端は、2つの同一の軽鎖から構成される2つの同一のFabドメインを含み、これらは、CH1とのVH/VL相互作用、及び、CkappaまたはClambda相互作用を介して、各重鎖のn末端VH−CH1ドメインと相互作用する別個のポリペプチドである。CkappaまたはClambdaとCH1との間に天然のジスルフィド結合が存在し、軽鎖と重鎖との間に共有結合アンカーを提供する。このデザインのc末端では、2つの同一のVHユニット(同ユニットで、または、4つの末端付着/融合点のいずれかで、非抗体部分も置換できる)があり、それにより(この実施例では)、当該Fcの当該CH3ドメインのc末端の後に、一般的には、セリン、グリシン、アラニン、及び/または、トレオニン残基(これらに限定されない)から構成される柔軟な親水性リンカーが続き、その後に、各scFvユニットの当該VHドメインが続き、その後に、可溶性の独立したVH3生殖系列ファミリーをベースとしたVHドメインが続く。当該Fcを中心とするホモ二量体の性質が故に、この分子の当該c末端に、そのようなユニットが2つ存在する。
限定を意図していない別の実施例では、図5に示したように、当該ホモ二量体のN末端は、2つの同一の軽鎖からなる2つの同一のFabドメインを含み、これらは、図3及び図4とは異なり、CkappaまたはClambdaのc末端と、当該VHのN末端との間のリンカーを介して、当該N末端で当該重鎖と物理的に結合している。このリンカーは、36〜80アミノ酸長で、かつ、セリン、グリシン、アラニン、及び、トレオニン残基で構成し得る。当該物理的に結合したn末端軽鎖は、CH1とのVH/VL相互作用、及び、CkappaまたはClambda相互作用を介して、各重鎖のn末端VH−CH1ドメインと相互作用する。CkappaまたはClambdaとCH1の間に天然のジスルフィド結合が存在しており、軽鎖と重鎖の間にさらなる安定性を提供する。このデザインのc末端では、2つの同一のFabユニットがあり、それにより(この実施例では)、当該Fcの当該CH3ドメインのc末端の後に、一般的には、セリン、グリシン、アラニン、及び/または、トレオニン残基(これらに限定されない)から構成される柔軟な親水性リンカーが続き、その後に、CH1ドメインが続き、その後に、c末端のVHドメインが続く。記載したように、n末端VH/CH1ドメインに結合しているN末端軽鎖とは異なり、c末端CH1/VHドメインと対になるようにデザインした軽鎖は、別個のポリペプチドとして発現する。当該C末端の軽鎖は、VH/VLと、CkappaまたはClambdaとの間に、CH1で界面を形成する。天然のジスルフィドは、この軽鎖を、当該重鎖に固定する。この場合もやはり、4つの付着/融合点のいずれかにおける抗体部分のいずれかは、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
当該二重特異性抗体を、以下の限定を意図していない実施例で示したように非対称とすることができる。限定を意図していない実施例は、非対称/ヘテロダイマー手法を示す、図6、図7、及び、図8にも記載している。この場合もやはり、これらのフォーマットのいずれかにおいて、4つの付着/融合点のいずれかでの抗体部分のいずれかは、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。一部の実施形態では、当該二量化界面は、ヒトIgG1 CH2−CH3ドメインの周りに集中しており、CH2/CH2、及び、CH3/CH3の双方にわたる接触界面を介して二量化する。しかしながら、各重鎖のホモ二量化の代わりに、ヘテロ二量化を達成するために、各CH3ドメインに突然変異を導入する。当該ヘテロ二量化突然変異として、一方のCH3ドメインでのT366W突然変異(kabat)と、他方のCH3ドメインでのT366S、L368A、及び、Y407V(kabat)突然変異がある。当該ヘテロ二量化界面は、CH3/CH3界面の反対側にあるS354、及び、Y349などの天然残基からシステイン残基への突然変異を介して、新たなジスルフィド結合でさらに安定化し得る。結果として得た二重特異性抗体は、4つの結合ユニットで構成される総原子価を有している。この方法により、当該分子全体に、一方の末端だけに対する二重特異性、及び、他方の末端に対する単一特異性(全体として三重特異性)、または、全体の分子特異性が2または4であり、いずれかの末端に対する二重特異性を付与する、ようにデザインすることができる。以下の例示的な実施例では、当該C末端は、例えば、組織連結標的に対して二価の単一特異性を提供することができる、2つの同一の結合ドメインを含む。例示的な実施例での3つすべてのN末端では、双方の結合ドメインが、異なる認識要素/パラトープを含み、そして、同じエフェクター部分標的での2つの異なるエピトープの認識を達成でき、または、例えば、T細胞抑制性受容体、及び、CD3を認識することができる。一部の実施形態では、当該N末端結合部分は、例えば、scFv、一本鎖Fab、タンデムscFv、VH、または、VHHドメイン抗体構成など、その他の単一ポリペプチドフォーマットと交換し得る。線状、または、環状ペプチドなど、その他のタイプの認識要素も使用し得る。
非対称分子の例を、図6に示す。図6を参照すると、当該分子のN末端は、VH/VL、及び、CkappaまたはClambda/CH1相互作用を介して、第1の重鎖と対になった第1の軽鎖、及び、天然の重/軽鎖ジスルフィド結合からなる共有結合連結から構成させる。このヘテロ二量体分子のN末端の反対側には、CkappaまたはClambdaのc末端と、当該VHのN末端との間のリンカーを介して、物理的に結合している第2の軽鎖と第2の重鎖がある。当該リンカーは、36〜80アミノ酸の長さであり、かつ、セリン、グリシン、アラニン、及び、トレオニン残基で構成し得る。当該物理的に結合したn末端軽鎖は、VH/VL相互作用、及び、CH1とCkappaまたはClambdaとの相互作用を介して、各重鎖のn末端VH−CH1ドメインと相互作用する。CkappaまたはClambdaとCH1との間に天然のジスルフィド結合が存在し、当該軽鎖と重鎖との間にさらなある安定性を付与する。当該分子のc末端には、N末端グリシン/セリン/アラニン/トレオニンをベースとしたリンカーを介して、重鎖1と重鎖2の双方のCH3ドメインのc末端に結合した2つの同一の可溶性VH3生殖系列ファミリーVHドメインがある。
一部の実施形態では、非対称分子は、図7に例示したように示すことができる。例えば、当該分子のN末端は、グリシン/セリン/アラニン/トレオニンをベースとしたリンカーを介して、ヒトIgG1ヒンジ領域に結合した2つの異なるVH3生殖系列をベースとした可溶性VHドメインからなる。当該第1の重鎖に結合するVHドメインは、当該2番目の重鎖に結合するVHドメインとは異なる。各重鎖のc末端には、VHドメインに基づいたさらなる可溶性VH3生殖細胞があり、このものは、2つの重鎖の各々と同一である。前述したknobs into holes変異を介した当該重鎖ヘテロ二量化は、当該FcモジュールのCH3界面に存在する。
一部の実施形態では、非対称分子を、図8に例示したものとすることができる。この実施例は、双方のN末端Fabユニットが、CkappaまたはClambdaのc末端と、各々個別のN末端との間のリンカーを介して、軽鎖1及び軽鎖2が、重鎖1及び重鎖2と物理的に結合するように構成していることを除けば、図7に示した分子と同様である。各事例のリンカーは、36〜80アミノ酸の長さであり、かつ、セリン、グリシン、アラニン、及び、トレオニン残基で構成し得る。当該物理的に結合したn末端軽鎖は、VH/VL相互作用、及び、CH1とCkappaまたはClambdaとの相互作用を介して、各重鎖のn末端VH−CH1ドメインと相互作用する。CkappaまたはClambdaとCH1との間に天然のジスルフィド結合が存在し、当該軽鎖と重鎖との間にさらなる安定性を付与する。
二重特異性分子は、混合フォーマットを有することもできる。このことを、例えば、図9、図10、図11に例示している。
例えば、図9に例示したように、ホモ二量体Fcをベースとした手法(図3、4、及び、5を参照されたい)を、図7の部分フォーマット選択と組み合わせることを例示しており、それにより、総分子価は4になるが、特異性は2つの特異性に制限される。当該N末端は、2つの同一の可溶性VH3生殖細胞系に基づいたVHドメインからなり、かつ、当該c末端は、N末端ドメインに対して異なる特異性の2つの同一の可溶性VH3生殖細胞系に基づいたVHドメインからなる。したがって、各特異性の価数は、2である。この場合もやはり、このフォーマットでは、4つの付着/融合点のいずれかにおける抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
図10は、別の実施例を示している。この例では、当該分子は、4つのVH3生殖系列をベースとした可溶性VHドメインからなる。当該最初の2つのドメインは、同じ特異性(例えば、抑制性受容体)を有しており、N末端から3番目のドメインは、組織抗原に対して特異性を有しており、そして、N末端から4番目のドメインは、ヒト血清アルブミン(HSA)に対して特異性を有しており、それにより、Ig Fcドメインの非存在下で、当該分子の半減期が延長することになる。ドメイン1と2、ドメイン2と3、ドメイン3と4の間に、グリシン、セリン、アラニン、及び/または、トレオニンが豊富な3つのリンカーが存在する。このフォーマットでは、最大で4重特異性を構成し得るが、各事例で一価であること、または、各事例が二価である二重特異性もある。ドメインの順序を、変更することができる。また、このフォーマットでは、抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
図11は、さらに別の手法を示している。この実施例は、当該分子のN末端に、2つの同一のFabユニット(二価の単一特異性)を有するFcホモ二量体である、という点で図3及び4と同様である。この実施例は、各重鎖のC末端にタンデムscFvが付加している、点で異なる。したがって、各事例において、FcのCH3ドメインのc末端は、グリシン/セリン/アラニン/トレオニンをベースとしたリンカーを介して、第1のVHドメインのN末端に結合し、12〜15アミノ酸のグリシン/セリンに富むリンカーを介して、C末端で、第1のVLドメインのN末端に結合し、25〜35アミノ酸のグリシン/セリン/アラニン/トレオニンをベースとしたリンカーを介して、c末端で、第2のVLドメインのN末端に結合し、12〜15アミノ酸のグリシン/セリンをベースとしたリンカーを介して、c末端で、第2のVHドメインのN末端に結合する。したがって、このFcホモ二量体をベースとした分子では、分子のc末端に2つの同一のタンデムscFvがあり、例えば、単一の組織抗原に対する四価、または、2つの異なる分子に対する二価を提供する。このフォーマットは、図5、6、及び、7での一本鎖Fab構成の使用を介して、N末端での二価の単一特異性、または、N末端での一価の二重特異性のいずれかを保持しながら、c末端での一価の四重特異性を可能にするFcのc末端での2つの異なるタンデムscFvを可能にする、ヘテロ二量体Fcコアに適合させることもできる。したがって、この分子は、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つの特異性を持つように構成することができる。タンデムscFvユニット内でのscFvのドメイン順序は、N末端からC末端にかけて、VH−リンカー−VL、または、VL−リンカー−VHのいずれかに設定し得る。この場合もやはり、このフォーマットでは、4つの付着/融合点のいずれかでの抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
また、二重特異性抗体を、組織浸透性を高めながら、例えば、全身PKを短くするように構築することもできる。これらのタイプの抗体は、例えば、ヒトVH3をベースとしたドメイン抗体フォーマットに基づくことができる。これらを、例えば、図12、13、及び、14に例示している。図12、13、及び14は、それぞれ、可溶性VH3生殖系列ファミリーをベースとしたVHドメインモジュールを含んでいた。各ドメインは、約12.5kDaであり、全体の分子量を小さくすることができ、このことは、特定の理論に縛られるものではないが、組織への浸透を促す上では有益である。これらの実施例では、VHドメインのいずれも、FcRnまたはHSAなどの半減期延長標的を認識しない。図12に例示したように、当該分子は、第1ドメインのC末端と、第2ドメインのN末端との間の柔軟な親水性グリシン/セリンをベースとしたリンカーで結合した2つのVHドメインからなる。この実施例では、あるドメインが、T細胞共刺激受容体を認識し、そして、2番目のドメインが、組織連結抗原を認識する。図13に示されるように、当該分子は、親水性グリシン/セリンをベースとしたリンカーのN−C末端結合を有する3つのVHドメインからなる。当該分子は、各標的に対して三価であるが、一価となるように構成し得る。ある標的では二価であるが、別の標的では一価である二重特異性とし得る。図14に例示したように、当該分子は、各ドメイン間にN−C末端グリシン/セリンが豊富なリンカーを有する、4つのVHドメインからなる。この分子は、それぞれの事例における異なる抗原価で、四重特異性、三重特異性、または、二重特異性になるように構成し得る。この場合もやはり、このフォーマットにおいて、抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
二重特異性抗体のその他の実施形態を、図15及び16に例示する。図15及び16は、相互作用を共有結合で固定するc末端重/軽ジスルフィド結合を含む、ヒトIgG CH1/Ckappa界面の天然のヘテロ二量化コアからなる。このフォーマットは、Fcまたは半減期延長のためのあらゆる部分を含まない。図15に例示したように、定常カッパドメインのN末端にある当該分子には、天然のVL−Ckappaエルボ配列を介して、そのC末端が、定常カッパドメインのN末端に結合している、12〜15個のアミノ酸グリシン/セリンをベースとしたリンカーを介して、そのC末端が、VLドメインのN末端に結合したN末端VHドメインからなるscFv断片が付加している。当該CH1ドメインは、そのN末端に、天然のVH−CH1エルボ配列を介して、そのC末端が、CH1ドメインのN末端に結合している、12〜15個のアミノ酸グリシン/セリンをベースとしたリンカーを介して、そのC末端が、VHドメインのN末端に結合したN末端VLドメインからなるscFv断片が付加している。図16に例示したように、当該分子は、実施例13と同じN末端構成を有する。しかしながら、定常カッパ、及び、CH1ドメインのC末端には、VH−VL、または、VL−VH構成のいずれかであり、かつ、同じ抗原、または、2つの異なる抗原のいずれかに特異的であり得るscFvモジュールが付加している。当該VH/VLドメイン間リンカーは、12〜15アミノ酸の長さであり、かつ、グリシン/セリン残基からなり得る。当該scFv結合サブユニットは、可溶性VHドメイン、または、ペプチド認識要素、または、タンデムscFv要素とでも交換し得る。この手法は、可変ラムダ、及び/または、定常ラムダドメインを使用するように構成することもできる。この場合もやはり、このフォーマットでは、あらゆる付着/融合点のあらゆる抗体部分を、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
図17は、別の実施形態を例示している。図17は、そのC末端で、12〜15アミノ酸のグリシン/セリンが豊富なリンカーを有する第1のVHドメインのN末端に結合した第1のN末端VLドメイン、それに続く、当該第1のVH c末端にて、第2のVLドメインのN末端に対する、25〜30アミノ酸のグリシン/セリン/アラニン/トレオニンをベースとしたリンカー、からなるタンデムscFvフォーマットを表している。当該第2のVLドメインは、そのC末端で、12〜15アミノ酸のグリシン/セリンリンカーで、第2のVHドメインのN末端に結合する。各scFvは、共刺激T細胞分子、及び、組織連結標的などの異なる標的抗原を認識する。この場合もやはり、このフォーマットでは、抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
図18は、別の実施形態を例示している。図18は、F(ab’)2scFv融合体である。このものは、ヒトIgG CH1ドメインのC末端にある天然のヒトIgG1ヒンジ領域の2つのジスルフィド結合を介して結合した、2つの同一のFab成分からなる。当該ヒトIgG1 CH2及びCH3ドメインは存在しない。重鎖1及び2のc末端には、グリシン/セリン/アラニン/トレオニンが豊富なリンカーを介して、huIgG1ヒンジ領域のc末端に結合した、2つの同一のscFv断片がある。そこに示した構成では、当該VHは、各scFvユニットのN末端であり、そして、12〜15アミノ酸のグリシン/セリンが豊富なリンカーを介して、VLドメインのN末端に結合する。代替構成は、N末端−VL−リンカー−VH−C末端である。このデザインでは、当該構築物は、標的に到達するための二価性を有する二重特異性である。この場合もやはり、このフォーマットでは、4つの付着/融合点のいずれかでの抗体部分のいずれかを、非抗体部分、例えば、抗体分子を含まないエフェクター結合/調節部分で置換することができる。
本明細書で使用する用語、CD39分子とは、治療化合物の一部として、ATPをAMPにリン酸加水分解するに十分なCD39配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、CD39分子は、天然に存在するCD39、例えば、当該CD39分子の由来となるCD39の割合と同等、または、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、95%となるように、ATPをAMPにリン酸化する。一部の実施形態では、CD39分子は、天然に存在するCD39と、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
あらゆる機能性アイソフォームを、(CD39、または、本明細書で説明したその他のタンパク質を用いて)使用することができる。例示的なCD39配列として、Genbank受託番号NP_001767.3、または、以下の配列に由来する成熟型がある:
MEDTKESNVKTFCSKNILAILGFSSIIAVIALLAVGLTQNKALPENVKYGIVLDAGSSHT
SLYIYKWPAEKENDTGVVHQVEECRVKGPGISKFVQKVNEIGIYLTDCMERAREVIPRS
QHQETPVYLGATAGMRLLRMESEELADRVLDVVERSLSNYPFDFQGARIITGQEEGAYG
WITINYLLGKFSQKTRWFSIVPYETNNQETFGALDLGGASTQVTFVPQNQTIESPDNALQ
FRLYGKDYNVYTHSFLCYGKDQALWQKLAKDIQVASNEILRDPCFHPGYKKVVNVSDL
YKTPCTKRFEMTLPFQQFEIQGIGNYQQCHQSILELFNTSYCPYSQCAFNGIFLPPLQGDF
GAFSAFYFVMKFLNLTSEKVSQEKVTEMMKKFCAQPWEEIKTSYAGVKEKYLSEYCFS
GTYILSLLLQGYHFTADSWEHIHFIGKIQGSDAGWTLGYMLNLTNMIPAEQPLSTPLSHS
TYVFLMVLFSLVLFTVAIIGLLIFHKPSYFWKDMV(配列番号1)。
一部の実施形態では、CD39分子は、ヒト、または、マウス血清内を循環することが認められたCD39の可溶性触媒活性型を含み、例えば、Metabolism of circulating ADP in the bloodstream is mediated via integrated actions of soluble adenylate kinase−1 and NTPDase1/CD39 activities, Yegutkin et al. FASEB J. 2012 Sep; 26(9):3875−83を参照されたい。可溶性組換えCD39断片は、Inhibition of platelet function by recombinant soluble ecto−ADPase/CD39, Gayle, et al., J Clin Invest. 1998 May 1; 101(9): 1851−1859にも記載されている。
本明細書で使用する用語、CD73分子とは、治療化合物の一部として、細胞外AMPをアデノシンへと脱リン酸化するのに十分なCD73配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、CD73分子は、天然に存在するCD73、例えば、当該CD73分子の由来となるCD73の割合と同等、または、少なくともの割合の10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、95%となるように、細胞外AMPをアデノシンに脱リン酸化する。一部の実施形態では、CD73分子は、天然に存在するCD73と、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。例示的なCD73配列として、GenBank AAH65937.1 5’−ヌクレオチダーゼ、エクト(CD73)[ホモサピエンス]、または、以下の配列に由来する成熟型がある:
MCPRAARAPATLLLALGAVLWPAAGAWELTILHTNDVHSRLEQTSEDSSKCVNASRCM
GGVARLFTKVQQIRRAEPNVLLLDAGDQYQGTIWFTVYKGAEVAHFMNALRYDAMAL
GNHEFDNGVEGLIEPLLKEAKFPILSANIKAKGPLASQISGLYLPYKVLPVGDEVVGIVGY
TSKETPFLSNPGTNLVFEDEITALQPEVDKLKTLNVNKIIALGHSGFEMDKLIAQKVRGV
DVVVGGHSNTFLYTGNPPSKEVPAGKYPFIVTSDDGRKVPVVQAYAFGKYLGYLKIEFD
ERGNVISSHGNPILLNSSIPEDPSIKADINKWRIKLDNYSTQELGKTIVYLDGSSQSCRFRE
CNMGNLICDAMINNNLRHADETFWNHVSMCILNGGGIRSPIDERNNGTITWENLAAVLP
FGGTFDLVQLKGSTLKKAFEHSVHRYGQSTGEFLQVGGIHVVYDLSRKPGDRVVKLDV
LCTKCRVPSYDPLKMDEVYKVILPNFLANGGDGFQMIKDELLRHDSGDQDINVVSTYIS
KMKVIYPAVEGRIKFSTGSHCHGSFSLIFLSLWAVIFVLYQ(配列番号2)。
一部の実施形態では、CD73分子は、剪断応力によるGPIアンカーのタンパク質分解開裂、または、加水分解を受けて、内皮細胞の膜から脱落することができる可溶性形態のCD73を含み、例えば、参考文献: Yegutkin G, Bodin P, Burnstock G. Effect of shear stress on the release of soluble ecto−enzymes ATPase and 5’−nucleotidase along with endogenous ATP from vascular endothelial cells. Br J Pharmacol 2000; 129: 921−6を参照されたい。CD73機能については、Colgan et al., Physiological roles for ecto−5’−nucleotidase (CD73), Purinergic Signalling, June 2006, 2:351を参照されたい。
本明細書で使用する用語、細胞表面分子バインダーとは、例えば、細胞の細胞表面分子、例えば、免疫抑制性免疫細胞、例えば、Tregに結合する分子、一般的には、ポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、当該細胞表面バインダーは、当該細胞表面分子の天然に存在するリガンド(細胞表面分子リガンド)に由来する配列を十分に有しており、当該細胞表面分子に対して、特異的に結合することができる。一部の実施形態では、当該細胞表面結合は、当該細胞表面分子に対して結合する、例えば、特異的に結合する抗体分子である。
本明細書で使用する用語、ドナー特異的標的部分とは、治療化合物の成分として、レシピエントの組織とは対照的に、移植したドナー組織に優先的に治療化合物を局在化させる部分、例えば、抗体分子のことを指す。治療化合物の成分として、当該ドナー特異的標的部分は、ドナーからの移植組織、例えば、臓器に対する部位特異的免疫特権を付与する。
一部の実施形態では、ドナー特異的標的部分は、遺伝子座に存在する対立遺伝子の産物、例えば、ポリペプチド産物に結合し、その対立遺伝子は、(レシピエント)対象での遺伝子座には存在しない。一部の実施形態では、ドナー特異的標的部分は、産物でのエピトープに結合し、このエピトープは、(レシピエント)対象には存在しない。
一部の実施形態では、治療化合物の成分としてのドナー特異的標的部分は、ドナー標的または抗原に対して優先的に結合し、例えば、ドナー抗原または組織に対する親和結合性よりも大きな結合親和性をドナー標的に対して示し、例えば、対象の抗原または組織に対する親和性よりも、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または、10,000倍も大きな親和性を有する。一部の実施形態では、ドナー特異的標的部分は、ドナー組織に存在する(しかしながら、当該対象には存在しない)対立遺伝子の産物に対する結合親和性を有しており、当該対象に存在する遺伝子座の対立遺伝子(ドナー組織には存在しない対立遺伝子)の産物に対する親和性よりも、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または、10,000倍も大きな親和性を有する。ドナー特異的部分が成分である治療化合物の親和性は、細胞懸濁液で測定することができ、例えば、当該対立遺伝子を有する浮遊細胞に対する親和性を、当該対立遺伝子を持たない浮遊細胞に対する親和性と比較する。一部の実施形態では、当該ドナー対立遺伝子細胞に対する結合親和性は、10nM未満である。一部の実施形態では、当該ドナー対立遺伝子細胞に対する結合親和性は、100pM、50pM、または、10pM未満である。
一部の実施形態では、ドナー対立遺伝子の産物に対する特異性は、ドナー特異的標的部分が、免疫ダウンレギュレーションエフェクターと連動する場合に十分であり:i)当該移植組織の免疫攻撃、例えば、臨床環境での組織学的炎症反応、Tエフェクター細胞への浸潤、または、臓器機能によって測定を行ったもの、例えば、腎臓のクレアチニンは、例えば、その他の点では同様の移植物で認められるものと比較して、実質的に減少するが、当該ドナー特異的標的部分の欠如は、免疫ダウンレギュレーティングエフェクターと連動する;及び/または、ii)移植組織の外側または移植組織から離れたレシピエントの免疫機能を実質的に維持する。一部の実施形態では、以下の内の1つ以上が認められる:治療化合物の治療レベルでは、末梢血リンパ球数は実質的に影響を受けない、例えば、T細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、B細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、及び/または、顆粒球(PMN)細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、または、単球のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり;治療化合物の治療レベルでは、非疾患関連抗原に対するPBMC(末梢血単核細胞)のエクスビボ増殖機能は、実質的に正常であるか、または、正常値の70、80、または、90%以内であり;治療化合物の治療レベルでは、日和見感染、及び、免疫抑制に関連するがんの発生率、または、リスクのリスクは、正常値よりも実質的に増加しない;または、治療化合物の治療レベルでは、日和見感染、及び、免疫抑制に関連するがんの発生率、または、リスクのリスクは、標準治療、または、非標的免疫抑制で認められるよりも実質的に小さい。一部の実施形態では、当該ドナー特異的標的部分は、抗体分子、標的特異的結合ポリペプチド、または、標的リガンド結合分子を含む。
本明細書で使用する用語、エフェクターとは、免疫応答を媒介する実体、例えば、細胞または分子、例えば、可溶性または細胞表面分子のことを指す。
本明細書で使用するエフェクターリガンド結合分子とは、エフェクターの天然に存在するカウンターリガンドに由来する配列を十分に有するポリペプチドのことを指し、エフェクター結合/調節分子として役立てるに十分な特異性で、エフェクターに結合することができる。一部の実施形態では、それは、天然に存在するカウンターリガンドの親和性の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、95%で、エフェクターに結合する。一部の実施形態では、それは、当該エフェクターに対して天然に存在するカウンターリガンドと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
本明細書で使用するエフェクター特異的結合ポリペプチドとは、エフェクター結合/調節部分として役立てるに十分な特異性で結合できるポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、特異的結合ポリペプチドは、エフェクターリガンド結合分子を含む。
本明細書で使用するリスクの上昇とは、対象における障害のリスクのことを指し、当該対象は、当該障害または当該障害の症状の病歴、当該障害または当該障害の症状に関連するバイオマーカー、または、当該障害または当該障害の症状の家族歴の1つ以上を有する。
本明細書で使用する用語、エフェクターまたは抑制性免疫チェックポイント分子に対する機能性抗体分子とは、多量体化治療化合物のICIM結合/調節部分として存在する場合に、エフェクターまたは抑制性免疫チェックポイントに結合し、そして、刺激することができる抗体分子のことを指す。一部の実施形態では、抗エフェクターまたは抑制性免疫チェックポイント分子抗体分子は、単量体として、エフェクターまたは抑制性免疫チェックポイント分子に結合する(または、治療化合物が多量体化されていない場合に結合する)場合、抑制性免疫チェックポイント分子に対する、抑制性免疫チェックポイント分子抗体分子の内因性カウンターリガンドの結合を、拮抗せず、実質的に拮抗せず、妨げず、または、実質的に妨げない。一部の実施形態では、当該抗エフェクターまたは抑制性免疫チェックポイント分子抗体分子は、単量体として当該抑制性免疫チェックポイント分子に対して結合する(または、当該治療化合物を多量体化しない場合に結合する)場合、当該エフェクターまたは抑制性分子を、刺激させない、または、実質的に刺激させない。
本明細書で使用する用語、ICIM結合/調節部分とは、治療化合物の一部として、細胞表面抑制性分子、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子、例えば、PD−1に結合し、及び、作用し、または、細胞シグナル伝達に結合し、または、同シグナル伝達を調節する、例えば、FCRL、例えば、FCRL1−6に結合し、または、免疫機能を促す分子に結合し、及び、拮抗する、エフェクター結合/調節部分のことを指す。
本明細書で使用する用語、IIC結合/調節部分とは、治療化合物の一部として、免疫抑制性免疫細胞に結合する、エフェクター結合/調節部分のことを指す。一部の実施形態では、当該IIC結合/調節部分は、結合部位での免疫抑制性免疫細胞の個数または濃度を増加させる。
本明細書で使用する用語、ICSM結合/調節部分とは、刺激性、例えば、共刺激性結合ペアの免疫刺激効果に拮抗する、エフェクター結合/調節部分のことを指す。本明細書で使用する用語、刺激性または共刺激性結合ペアとは、2つのメンバー、1)免疫細胞の表面にある分子、及び、2)さらなる免疫細胞、または、非免疫細胞であり得る、その細胞分子の結合パートナー、を含む。通常、一方のメンバーが、他方のメンバーに結合すると、その他の要件が満たされると仮定すると、当該免疫細胞表面のメンバーは、免疫細胞、例えば、共刺激性分子を刺激し、そして、免疫応答を促す。共刺激性分子と共刺激性分子カウンター構造との双方が、免疫細胞で発現している状況では、双方の細胞の双方向での活性化が起こり得る。ある実施形態では、ICSM結合/調節部分は、結合ペアの免疫細胞発現メンバーに結合し、そして、拮抗する。例えば、それは、OX40に結合し、そして、拮抗する。別の実施形態では、ICSM結合/調節部分は、それ自体が、免疫細胞発現メンバーに結合する、例えば、OX40Lに結合し、そして、拮抗する結合ペアのメンバーに結合し、そして、拮抗する。どちらの事例でも、免疫細胞の刺激、または、共刺激を阻害する。ある実施形態では、当該ICSM結合/調節部分は、結合部位での免疫刺激性免疫細胞の個数または活性を減少させる。
本明細書で使用する用語、IL−2ムテイン分子とは、CD25(IL−2Rアルファ鎖)に対して高親和性で結合し、かつ、その他のIL−2Rシグナル伝達成分CD122(IL−2Rベータ)、及び、CD132(IL−2Rガンマ)に対して低親和性で結合するIL2変異体のことを指す。そのようなIL−2ムテイン分子は、Treg細胞を優先的に活性化する。実施形態では、IL−2ムテインは、単独で、または、治療化合物の成分として、細胞傷害性、または、エフェクターT細胞よりも、少なくとも2、5、10、または、100倍以上にまで、Tregを活性化する。例示的なIL−2ムテイン分子は、WO2010085495、WO2016/164937、US2014/0286898A1、WO2014153111A2、WO2010/085495、細胞傷害性WO2016014428A2、WO2016025385A1、及び、US20060269515に記載されている。さらなるドメイン、例えば、Fcドメイン、または、半減期の延長のためのその他のドメインを含む、これらの参考文献が開示したムテインは、そのようなさらなるドメインを用いずとも、本明細書に記載の治療化合物、及び、方法で使用することができる。別の実施形態では、IIC結合/調節部分は、別のポリペプチド、例えば、インビボでの半減期を延長するポリペプチド、例えば、免疫グロブリン定常領域、または、その多量体または二量体、例えば、AMG592に結合した、例えば、融合したIL−2ムテイン、または、その活性断片を含む。一実施形態では、当該治療化合物は、AMG592のIL−2部分を含む。一実施形態では、当該治療化合物は、IL−2部分を含むが、AMG592の免疫グロブリン部分は含まない。一部の実施形態では、当該ムテインは、Fc領域を含まない。一部のIL−2ムテインについては、Fc領域が、ムテインの半減期を延長することが示されているので、当該ムテインは、当該Fc領域を含むように遺伝子操作する。一部の実施形態では、当該延長した半減期は、本明細書に記載し、かつ、実施形態で示した方法には不必要である。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインと融合したFc領域は、N297突然変異を含み、同突然変異として、N297Aなどがあるが、これに限定されない。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインと融合したFc領域は、N297突然変異を含んでおらず、同突然変異として、N297Aなどがあるが、これに限定されない。
本明細書で使用する用語「抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子」とは、例えば、PD−L1分子の事例では、十分な抑制性免疫チェックポイント分子リガンド配列を有するポリペプチドのことを指し、十分なPD−L1配列は、多量体化した治療化合物のICIM結合/調節部分として存在する場合、例えば、この場合もやはり、PD−L1分子、PD−1の事例では、その同族の抑制性免疫チェックポイント分子に結合し、そして、作用することができる。
一部の実施形態では、当該抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子、例えば、PD−L1分子は、単量体として、その同族リガンド、例えば、PD−1に結合する(または、当該治療化合物が多量体化していないときに結合する)場合は、抑制性免疫チェックポイント分子に対する内因性抑制性免疫チェックポイント分子リガンドを、拮抗または実質的に拮抗せず、または、その結合を妨げず、または、実質的に妨げない。例えば、PD−L1分子の事例では、当該PD−L1分子は、PD−1に対する内因性PD−L1の結合に拮抗しない。
一部の実施形態では、当該抑制性免疫チェックポイント分子リガンドを、単量体として、その同族性抑制性免疫チェックポイント分子に結合させても、当該抑制性免疫チェックポイント分子は、刺激させず、または、実質的に刺激させない。例として、例えば、PD−1に結合するPD−L1分子では、PD−1を刺激させず、または、実質的に刺激させない。
一部の実施形態では、当該抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子は、天然に存在する抑制性免疫チェックポイント分子リガンドと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
例示的な抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子として:抑制性免疫チェックポイント分子PD−1に結合するPD−L1分子があり、そして、実施形態では、天然のPD−L1、例えば、
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWE
MEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMI
SYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVL
SGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNE
RTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSKKQSDTHLEET(配列番号3)の配列を含む当該PD−L1分子、または、その活性断片と、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有しており;一部の実施形態では、当該活性断片は、当該PD−L1配列の残基19〜290を含み;;抑制性免疫チェックポイント分子KIR2DL4、LILRB1、及び、LILRB2のいずれかに結合し、及び、実施形態では、自然発生のHLA−Gと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有するHLA−G分子、がある。例示的なHLA−G配列として、例えば、GenBank P17693.1 RecName: Full=HLA class I histocompatibility antigen, alpha chain G; AltName: Full=HLA G antigen; AltName: Full=MHC class I antigen G; Flags: Precursor,での配列、または、
MVVMAPRTLFLLLSGALTLTETWAGSHSMRYFSAAVSRPGRGEPRFIAMGYVDDTQFV
RFDSDSACPRMEPRAPWVEQEGPEYWEEETRNTKAHAQTDRMNLQTLRGYYNQSEAS
SHTLQWMIGCDLGSDGRLLRGYEQYAYDGKDYLALNEDLRSWTAADTAAQISKRKCE
AANVAEQRRAYLEGTCVEWLHRYLENGKEMLQRADPPKTHVTHHPVFDYEATLRCW
ALGFYPAEIILTWQRDGEDQTQDVELVETRPAGDGTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQ
HEGLPEPLMLRWKQSSLPTIPIMGIVA(配列番号4)
の配列で認められる成熟形態がある。
本明細書で使用する用語、抑制性分子カウンターリガンド分子とは、多量体治療化合物のICIM結合/調節部分として存在する場合、同族抑制性分子に結合し、そして、刺激させるに十分な抑制性分子カウンターリガンド配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、当該抑制性分子カウンターリガンド分子は、当該抑制性分子に対して、単量体として(または、当該治療化合物を多量体としない場合に)結合すると、当該抑制性分子に対する当該抑制性分子の内因性カウンターリガンドを、拮抗せず、実質的に拮抗せず、結合を妨げず、または、実質的な結合を妨げない。一部の実施形態では、当該抑制性分子カウンターリガンド分子は、当該抑制性分子に対して、単量体として(または、当該治療化合物を多量体としない場合に)結合すると、当該抑制性分子を、作動させない、または、実質的に作動させない。
本明細書で使用する用語、配列同一性、パーセント同一性、及び、関連する用語は、2つの配列、例えば、2つの核酸配列、または、2つのアミノ酸、または、ポリペプチド配列の関連性のことを指す。アミノ酸配列との関連で「実質的に同一」という用語は、本明細書では、i)同一である、または、ii)第1及び第2のアミノ酸配列が、共通の構造ドメイン、及び/または、共通の機能性活性を付与させることが可能である第2のアミノ酸配列の整列したアミノ酸残基の保存的置換である、十分な、または、最小数のアミノ酸残基を含む第1のアミノ酸を指すために使用する。例えば、参照配列、例えば、本明細書で提供する配列と、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を示す共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列。
ヌクレオチド配列との関連において本明細書で使用する用語「実質的に同一」とは、第1及び第2のヌクレオチド配列が、共通の機能性活性を有するポリペプチドをコードし、第1及び第2の核酸配列において整列したヌクレオチドと同一である、十分な、または、最小数のヌクレオチドを含み、または、共通の構造ポリペプチドドメイン、または、共通の機能性ポリペプチド活性をコードする、当該第1の核酸配列のことを指す。例えば、参照配列、例えば、本明細書で提供する配列と、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を示すヌクレオチド配列。
用語「機能性変異体」とは、天然に存在する配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、または、実質的に同一のヌクレオチド配列でコードされており、かつ、天然に存在する配列の1つ以上の活性を有することができる、ポリペプチドのことを指す。
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語は、本明細書では互換的に使用する)の計算は、次のように行う。
2つのアミノ酸配列、または、2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、これらの配列を、最適な比較目的のために整列する(例えば、最適なアライメントのために、ギャップを、第1及び第2のアミノ酸、または、核酸配列の一方または双方に導入することができ、また、比較のために、非相同配列を無視することができる)。好ましい実施形態では、比較のために整列した参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、60%、そして、さらにより好ましくは、少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置、または、ヌクレオチド位置で、アミノ酸残基、または、ヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置に、第2の配列での対応する位置にある同じアミノ酸残基またはヌクレオチドが置かれている場合、それらの分子は、その位置で同一である(本明細書で使用するアミノ酸または核酸の「同一性」とは、アミノ酸または核酸の「相同性」と同義である)。
2つの配列間の同一性パーセントとは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの個数と、それぞれのギャップの長さとを考慮した、配列が共有する同じ位置の個数の関数のことである。
数学的アルゴリズムを使用して、2つの配列間の配列の比較と、同一性パーセントの決定を行うことができる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれている、Needleman and Wunsch((1970)J.Mol.Bio.48:444−453)を使用して決定しており、同プログラムは、Blossum62マトリックス、または、PAM250マトリックスのいずれかを使用しており、そして、ギャップウェイトは、16、14、12、10、8、6、または、4であり、かつ、レングスウェイトは、1、2、3、4、5、または、6である。なおも別の好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを使用して決定しており、同プログラムは、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用しており、そして、ギャップウェイトは、40、50、60、70、または、80であり、かつ、レングスウェイトは、1、2、3、4、5、または、6である。特に好ましいパラメーターのセット(及び、特に指定のない限り使用するパラメーター)は、ギャップペナルティーが12であり、ギャップ拡張ペナルティーが4であり、そして、フレームシフトギャップペナルティーが5である、Blossum62スコアリングマトリックスである。
2つのアミノ酸間、または、ヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers and W.Miller((1989)CABIOS,4:11−17)のアルゴリズムを使用して決定することができ、同プログラムは、PAM120重量残余表を使用しており、ギャップレングスペナルティーは12であり、そして、ギャップペナルティーは4である。
本明細書に記載した核酸及びタンパク質配列を、公開データベースに対して検索を実行して、例えば、その他のファミリーメンバー、または、関連する配列を同定するための「クエリ配列」として使用することができる。このような検索は、Altschul,et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLAST and XBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行できる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行して、例えば、本明細書で提供するあらゆる核酸配列に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施して、本明細書で提供するタンパク質分子と相同のアミノ酸配列を得ることができる。比較のためのギャップを有するアラインメントを取得するために、Altschul,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されたようにして、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、XBLAST及びNBLAST)を使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。本明細書で使用する用語「低度ストリンジェンシー、中度ストリンジェンシー、高度ストリンジェンシー、または、非常に高度なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーションと洗浄のための条件を説明している。ハイブリダイゼーション反応を実施するためのガイダンスは、本明細書の一部を構成するものとして援用する、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1−6.3.6に認めることができる。その参考文献では、水性及び非水性の方法が記載されており、そのどちらでも使用することができる。本明細書に記載の特定のハイブリダイゼーション条件は、以下の通りである:1)約45℃における、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)での低度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件であって、少なくとも50℃における、0.2×SSC、0.1%SDSを用いた2回の洗浄(低ストリンジェンシー条件の場合、洗浄液の温度を55℃にまで上げることができる)が続く;2)約45℃における、6×SSCでの中度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件であって、60℃における、0.2×SSC、0.1%SDSを用いた1回以上の洗浄が続く;3)約45℃における、6×SSCでの高度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件であって、65℃における、0.2×SSC、0.1%SDSを用いた1回以上の洗浄が続く;及び、好ましくは、4)非常に高度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃における、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSであり、65℃における、0.2×SSC、1%SDSを用いたで1回以上の洗浄が続く。非常に高度なストリンジェンシー条件(4)が好ましい条件であり、特に断りのない限りは、使用すべきものである。
本実施形態の分子及び化合物は、それらの機能に実質的な影響を及ぼすことがない、さらなる保存的、または、非必須アミノ酸置換を有し得る、ことを理解されたい。
用語「アミノ酸」とは、アミノ官能性と酸官能性の双方を含み、かつ、天然アミノ酸のポリマーに含有できる、天然または合成のすべての分子を含む、ことを意図している。例示的なアミノ酸として、天然アミノ酸;その類似体、誘導体、及び、同族体;変異側鎖を有するアミノ酸類似体;及び、前述したいずれかのすべての立体異性体がある。本明細書で使用する用語「アミノ酸」とは、D−またはL−光学異性体、及び、ペプチド模倣体の双方を含む。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換する置換のことである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義している。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び、芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸がある。CD39分子、CD73分子、細胞表面分子バインダー、ドナー特異的標的部分エフェクターリガンド結合分子、ICIM結合/調節部分IIC結合/調節部分、抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子、抑制性分子カウンターリガンド分子、SM結合/調節部分、または、ICSM結合/調節部分。
本明細書で使用する用語、SM結合/調節部分とは、治療化合物の一部として、当該標的の免疫系による攻撃を抑制または最小化する物質、例えば、標的の近傍に提供することで、免疫抑制性局所微小環境を促すエフェクター結合/調節部分のことを指す。一部の実施形態では、当該SM結合/調節部分は、当該標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する分子を含み、または、そこに結合する。一部の実施形態では、治療化合物は、免疫抑制機能を有する可溶性物質、例えば、内因性または外因性物質を、結合及び蓄積するSM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、免疫攻撃を促す物質、例えば、可溶性物質、一般的には内因性の可溶性物質を、結合、及び、阻害、隔離、分解、または、さもなければ中和するSM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、免疫抑制物質、例えば、免疫抑制性であることが公知のタンパク質の断片を含むSM結合/調節部分を含む。例として、成分を枯渇させ、免疫エフェクター細胞機能、例えば、ATPまたはAMPを促す物質、例えば、CD39分子、または、CD73分子を、結合し、または、含む、エフェクター分子結合部分。
本明細書で使用する用語、特異的な標的部分とは、ドナー特異的標的部分、または、組織特異的標的部分のことを指す。
本明細書で使用する用語、対象とは、哺乳動物の対象、例えば、ヒト対象のことを指す。一部の実施形態では、当該対象は、非ヒト哺乳動物、例えば、ウマ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、または、ブタである。
本明細書で使用する標的リガンド結合分子とは、特異的な標的部分として機能するのに十分な特異性を有する標的組織の標的リガンド(例えば、ドナー組織または対象標的組織)と結合できる、標的リガンドの天然に存在するカウンターリガンドに由来する十分な配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、それは、天然に存在するカウンターリガンドの親和性の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、95%で、標的組織または細胞に結合する。一部の実施形態では、それは、当該標的リガンドの天然に存在するカウンターリガンドと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
本明細書で使用する用語、標的部位とは、標的部分で結合した実体、例えば、エピトープを含む部位のことを指す。一部の実施形態では、当該標的部位とは、免疫特権を確立する部位のことである。
本明細書で使用する用語、組織特異的標的部分とは、治療分子の成分として、当該治療分子を、対象のその他の組織とは対照的に、標的組織に優先的に局在化させる部分、例えば、抗体分子のことを指す。治療化合物の成分として、当該組織特異的標的部分は、標的組織、例えば、自己免疫攻撃を受けている、または、自己免疫攻撃のリスクがある臓器または部位に対して、部位特異的免疫特権を付与する。一部の実施形態では、組織特異的標的部分は、当該標的組織の外部に存在しておらず、または、治療分子の治療濃度では、許容できないレベルの免疫抑制が欠如しており、または、実質的に欠如するのに十分に低いレベルで存在する産物、例えば、ポリペプチド産物に結合する。一部の実施形態では、組織特異的標的部分は、エピトープに結合し、このエピトープは、当該標的部位の外側に存在せず、または、標的部位の外側に実質的に存在していない。
一部の実施形態では、組織特異的標的部分は、治療化合物の成分として、標的組織、または、標的組織抗原に対して優先的に結合し、例えば、当該標的組織または抗原に対して、標的抗原または組織に対する結合親和性よりも大きい結合親和性、例えば、非標的組織または標的組織の外部に存在する抗原に対する親和性よりも、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または、10,000倍も大きい結合親和性を有している。当該組織特異的部分を成分とする治療化合物の親和性は、細胞懸濁液で測定することができ、例えば、当該標的抗原を有する懸濁細胞に対する親和性を、当該標的抗原を持たない懸濁細胞に対する親和性と比較する。一部の実施形態では、当該標的抗原担持細胞に対する当該結合親和性は、10nM未満である。
一部の実施形態では、当該標的抗原担持細胞に対する結合親和性は、100pM、50pM、または、10pM未満である。一部の実施形態では、標的抗原に対する特異性は十分であり、当該組織特異的標的部分を、免疫ダウンレギュレーティングエフェクターに結合すると:i)当該標的組織の免疫攻撃、例えば、臨床環境での組織学的炎症反応、Tエフェクター細胞への浸潤、または、臓器機能によって測定を行ったもの、例えば、腎臓のクレアチニンは、例えば、その他の点では同様の移植物で認められるものと比較して、実質的に減少するが、当該組織特異的標的部分の欠如は、免疫ダウンレギュレーティングエフェクターと連動する;及び/または、ii)当該標的組織の外側または標的組織から離れたレシピエントの免疫機能を実質的に維持する。
一部の実施形態では、以下の内の1つ以上が認められる:治療化合物の治療レベルでは、末梢血リンパ球数は実質的に影響を受けない、例えば、T細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、B細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、及び/または、顆粒球(PMN)細胞のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり、または、単球のレベルは、正常値の25、50、75、85、90、または、95%以内であり;治療化合物の治療レベルでは、非疾患関連抗原に対するPBMC(末梢血単核細胞)のエクスビボ増殖機能は、実質的に正常であるか、または、正常値の70、80、または、90%以内であり;治療化合物の治療レベルでは、日和見感染、及び、免疫抑制に関連するがんの発生率またはリスクのリスクは、正常値よりも実質的に増加しない;または、治療化合物の治療レベルでは、日和見感染、及び、免疫抑制に関連するがんの発生率またはリスクのリスクは、標準治療、または、非標的免疫抑制で認められるよりも実質的に小さい。一部の実施形態では、当該組織特異的標的部分は、抗体分子を含む。一部の実施形態では、当該ドナー特異的標的部分は、抗体分子、標的特異的結合ポリペプチド、または、標的リガンド結合分子を含む。一部の実施形態では、当該組織特異的標的部分は、標的組織に、排他的に、または、実質的に排他的に存在する、または、発現する産物、または、産物上の部位に結合する。
ICIM結合/調節部分:抑制性受容体に結合するエフェクター結合/調節部分
本明細書に記載した方法及び化合物は、免疫細胞の表面の抑制性受容体に直接に結合し、そして、活性化して、免疫細胞が免疫攻撃を媒介する能力を、例えば、抑制し、または、解消し、または、実質的に解消する、ICIM結合/調節部分を含むエフェクター結合/調節部分を有する治療化合物を提供する。ICIM結合/調節部分の標的実体に対する結合は、免疫細胞応答の部位特異的、または、局所的ダウンレギュレーションを促し、例えば、当該標的部分に対する結合部位を有する当該位置を実質的に制限する。したがって、正常な全身性免疫機能を、実質的に保持する。一部の実施形態では、ICIM結合/調節部分は、抑制性免疫チェックポイント分子カウンターリガンド分子、例えば、天然リガンド、または、当該抑制性免疫チェックポイント分子の天然リガンド(例えば、PD−L1、または、HLA−G)の断片を含む。一部の実施形態では、ICIM結合/調節部分は、抑制性免疫チェックポイント分子に関与する機能性抗体分子、例えば、scFv結合ドメインを含む機能性抗体分子を含む。
一部の実施形態では、例えば、機能性抗体分子、または、抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子を含むICIM結合/調節部分は、当該抑制性受容体に結合するが、抑制性受容体の天然リガンドが、抑制性受容体に結合することを妨げない。実施形態では、フォーマットを使っており、そこでは、標的部分が、例えば、scFvドメインを含むICIM結合/調節部分に結合し、例えば、融合し、そして、溶液(例えば、血液、または、リンパ液)(そして、おそらくは、単量体フォーマット)内にある抑制性受容体に結合するように構成しており、当該治療用分子は:i)(例えば、完全な作動分子で、認められるレベルの30、20、15、10、または、5%未満を作動する)当該免疫細胞での抑制性受容体を作動させず、または、実質的に作動させず;及び/または、ii)(例えば、完全な拮抗分子で、認められるレベルの30、20、15、10、または、5%未満を拮抗する)当該免疫細胞での抑制性受容体に拮抗しない、または、実質的に拮抗しない。候補分子は、例えば、MLRをベースとしたアッセイ(混合リンパ球反応)を使用して、標的を発現しない細胞をベースとしたインビトロでのアッセイにおいて、当該免疫応答を増加または抑制する能力によって、作動させる、または、作動させない能力について評価をすることができる。
一部の実施形態では、候補ICIM結合/調節部分を、全身性免疫抑制、及び、全身性免疫活性化を、抑制、完全または実質的に解消することができる。一部の実施形態では、当該治療化合物の標的ドメインが、標的に結合すると、免疫保護を所望する組織の表面の当該治療化合物を、クラスター化または多量体化する役割を果たす。一部の実施形態では、ICIM結合/調節部分、例えば、scFvドメインを含むICIM結合/調節部分は、作動性で、かつ、免疫抑制性のシグナル、または、そのようなシグナルの実質的なレベルを、局所の免疫細胞に送達できるクラスター化、または、多量体の状態を必要とする。このタイプの治療薬は、例えば、全身性免疫系を撹乱させずに、または、実質的に撹乱させずに、局所免疫抑制を提供することができる。すなわち、当該免疫抑制は、全身性であって、特定の領域または組織タイプに局在化するのではなく、当該抑制を必要とする箇所に局在化する。
一部の実施形態では、当該標的、例えば、標的臓器、組織、または、細胞型に結合すると、当該治療化合物は、標的、例えば、標的臓器、組織、または、細胞型を被覆する。循環リンパ球が、当該標的に関与して破壊しようとすると、この治療では、当該治療化合物の蓄積部位だけに、または、それ以上の範囲に「オフ」信号を出す。
候補治療化合物は、例えば、ELISA、細胞をベースとしたアッセイ、または、表面プラズモン共鳴によって、その標的に結合する、例えば、特異的に結合する能力について評価をすることができる。この特性は、当該免疫特権の部位特異性と局所的性質とを媒介するので、一般的には、最大化する必要がある。候補治療化合物が、標的に結合した際に、例えば、細胞をベースとした活性アッセイによって、免疫細胞をダウンレギュレートする能力について評価をすることができる。この特性は、当該免疫特権の部位特異性と局所的性質とを媒介するので、一般的には、最大化する必要がある。単量体(または、非結合)形態の候補治療化合物がもたらすダウンレギュレーションのレベルを、例えば、細胞をベースとした活性アッセイによって、評価をすることができる。この特性は、免疫系の全身的ダウンレギュレーションを媒介できるので、一般的には、最小限に抑える必要がある。単量体(または、非結合)形態の候補治療化合物がもたらす細胞表面抑制性分子、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子の拮抗レベルは、例えば、細胞をベースとした活性アッセイによって評価をすることができる。この特性は、当該免疫系の望ましくない全身活性化を媒介できるので、一般的に、最小限に抑える必要がある。一般的に、これらの特性を選択し、かつ、バランスを図ることで、許容不可能なレベルの当該抑制性免疫チェックポイント分子の非特異的作動作用またはアンタゴニズムが無いままに、十分に健全な部位特異的免疫特権を生み出す。
例示的な抑制性免疫チェックポイント分子
例示的な抑制性分子(例えば、抑制性免疫チェックポイント分子)(それらのカウンターリガンドを併記した)を、表1に記載している。この表には、例示的なICIM結合部分が結合できる分子を列挙している。
Figure 2021505156
Pd−L1/Pd−1経路
プログラムした細胞死タンパク質1(しばしば、PD−1と称する)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞表面受容体である。PD−1は、T細胞、及び、その他の細胞タイプで発現し、同細胞タイプとして、B細胞、骨髄細胞、樹状細胞、単球、T制御性細胞、iNK T細胞があるが、これらに限定されない。PD−1は、2つのリガンド、PD−L1及びPD−L2に結合し、そして、抑制性免疫チェックポイント分子である。抗原を担持したMCHと、T細胞でのT細胞受容体との関係において、同族リガンド、PD−L1またはPD−L2との関係は、T細胞の活性化及び機能を、最小化し、または、妨げる。PD−1の抑制効果として、リンパ節での抗原特異的T細胞のアポトーシス(プログラムした細胞死)の促進と、制御性T細胞(サプレッサーT細胞)のアポトーシスの抑制の双方がある。
一部の実施形態では、治療化合物は、PD−1阻害を作動させるICIM結合/調節部分を含む。ICIM結合/調節部分は、例えば、PD−1のリガンドの断片(例えば、PD−L1、または、PD−L2の断片)、または、例えば、PD−1に結合するscFvドメインを含む、別の分子、例えば、機能性抗体を含む、抑制性分子カウンターリガンド分子、を含むことができる。
一部の実施形態では、治療化合物は、当該対象に存在しない、実質的に低レベルで存在するドナー抗原、例えば、表2のドナー抗原に優先的に結合し、かつ、対象のドナー移植組織に局在する標的部分を含む。一部の実施形態では、それは、その他の組織に結合せず、または、実質的に結合しない。一部の実施形態では、治療化合物は、HLA−A2に特異的であり、かつ、ドナー同種移植片に特異的に結合するが、宿主組織に結合しない、または、実質的に結合しない標的部分を含むことができる。一部の実施形態では、当該治療化合物は、例えば、PD−1のリガンドの断片(例えば、PD−L1、または、PD−L2の断片)を含むICIM結合/調節部分、例えば、抑制性分子カウンターリガンド分子、または、例えば、標的に結合すると、当該治療化合物がPD−1を活性化するように、PD−1に結合する、例えば、scFvドメインを含む別の部分、例えば、機能性抗体分子を含む。当該治療化合物は、同種移植片を標的とし、そして、当該同種移植片に対して局所的免疫特権を付与する。
一部の実施形態では、治療化合物は、表3の抗原に優先的に結合し、かつ、対象、例えば、自己免疫障害、例えば、表3の自己免疫障害を有する対象での標的部位に局在する標的部分を含む。一部の実施形態では、そのものは、その他の組織に結合せず、または、実質的に結合しない。一部の実施形態では、当該治療化合物は、例えば、PD−1のリガンドの断片(例えば、PD−L1、または、PD−L2の断片)を含むICIM結合/調節部分、例えば、抑制性分子カウンターリガンド分子、または、例えば、標的に結合すると、当該治療化合物がPD−1を活性化するように、PD−1に結合する、例えば、scFvドメインを含む別の部分、例えば、機能性抗体分子を含む。当該治療化合物は、自己免疫攻撃の対象となる組織を標的とし、そして、当該組織に対して局所的免疫特権を付与する。
PD−L1及びPDL2、または、それらに由来するポリペプチドは、候補ICIM結合部分を提供することができる。しかしながら、単量体形態において、例えば、当該治療化合物が、血液またはリンパ液を循環すると、この分子は、PD−L1/PD−1経路に拮抗するという望ましくない効果をもたらしかねず、かつ、標的、例えば、標的臓器の表面でクラスター化または多量体化すると、当該PD−1経路だけを作動し得る。一部の実施形態では、しかしながら、組織の表面で(当該標的部分によって)多量体とした際に阻害シグナルを作動及び駆動させると、治療化合物は、可溶性形態において、PD−1経路に対して不活性である、または、実質的に不活性である機能性抗体分子、例えば、scFvドメインを含むICIM結合/調節部分を含む。
HLA−G:KIR2DL4/LILRB1/LILRB2経路
KIR2DL4、LILRB1、及び、LILRB2は、T細胞、NK細胞、及び、骨髄性細胞に認められる抑制性分子である。HLA−Gは、それぞれのカウンターリガンドである。
KIR2DL4は、CD158D、G9P、KIR−103AS、KIR103、KIR103AS、KIR、KIR−2DL4、キラー細胞免疫グロブリン様受容体、及び、2つのIgドメイン、及び、長い細胞質テール4としても知られている。LILRB1は、LILRB1、CD85J、ILT−2、ILT2、LIR−1、LIR1、MIR−7、MIR7、PIR−B、PIRB、白血球免疫グロブリン様受容体B1としても知られている。LILRB2は、CD85D、ILT−4、LIR−2、LIR2、MIR−10、MIR10、及び、ILT4としても知られている。
HLA−G分子を含む治療化合物は、例えば、HLA−G分子を含む多量体化した治療化合物分子を用いて、KIR2DL4、LILRB1、及び、LILRB2のいずれかを含む免疫細胞に対して阻害シグナルを提供し、そして、部位特異的免疫特権を付与することができる。
作動性抗KIR2DL4、抗LILRB1、または、抗LILRB2抗体分子を含む治療化合物を使用して、KIR2DL4、LILRB1、及び、LILRB2のいずれかを含む免疫細胞に対して阻害シグナルを提供することができる。
HLA−Gは、例えば、細胞の表面に発現した場合、または、ビーズの表面に結合した場合など、多量体とした場合にのみ、阻害シグナルを伝達する。実施形態では、治療化合物を溶液において多量体化しない(または、有意なレベルの抑制性分子作動性を実現するに十分な多量体化をしない)HLA−G分子を含む治療化合物を提供する。溶液での多量体化を最小限に抑えるHLA−G分子の使用は、免疫細胞の全身的作動性、及び、望ましくない免疫抑制を最小限に抑える。
理論に縛られることを望むものではないが、多量体化しない限り、HLA−Gは、ダウンレギュレーションに効果的ではなく、標的への当該治療化合物の結合は、当該標的部分を介して、ICIM結合実体を多量体化し、そして、当該多量体化ICIM結合実体は、免疫細胞の表面の抑制分子に結合し、及び、クラスター化し、その結果、当該免疫細胞をダウンレギュレートするネガティブシグナルを媒介する、と考えられる。したがって、抗原提示細胞、及び、その他の骨髄性細胞、NK細胞、及び、T細胞などの標的組織に損傷を与えようとする浸潤免疫細胞を、ダウンレギュレートする。
HLA−G分子は、単量体の形態が望ましい場合には、拮抗性を最小限に抑えるが、LILRB1及びLILRB2の冗長性は最小限に抑えられ、一部の単量体の拮抗性をもってしても、全身への影響を最小限に抑える。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、HLA−G分子、例えば、B2Mを含まないアイソフォーム(例えば、HLA−G5)を含むICIM結合/調節部分を含む、Carosella et al.,Advances in Immunology,2015、127:33を参照されたい。B2Mフリーフォーマットでは、HLA−Gは、LILRB2を対して優先的に結合する。
HLA−G分子の構築に適した配列として、GenBank P17693.1 RecName: Full=HLA class I histocompatibility antigen, alpha chain G; AltName: Full=HLA G antigen; AltName: Full=MHC class I antigen G; Flags: Precursor、または
MVVMAPRTLFLLLSGALTLTETWAGSHSMRYFSAAVSRPGRGEPRFIAMGYVDDTQFV
RFDSDSACPRMEPRAPWVEQEGPEYWEEETRNTKAHAQTDRMNLQTLRGYYNQSEAS
SHTLQWMIGCDLGSDGRLLRGYEQYAYDGKDYLALNEDLRSWTAADTAAQISKRKCE
AANVAEQRRAYLEGTCVEWLHRYLENGKEMLQRADPPKTHVTHHPVFDYEATLRCW
ALGFYPAEIILTWQRDGEDQTQDVELVETRPAGDGTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQ
HEGLPEPLMLRWKQSSLPTIPIMGIVAGLVVLAAVVTGAAVAAVLWRKKSSD(配列番号5)、がある。候補HLA−G分子は、例えば、“Synthetic HLA−G proteins for therapeutic use in transplantation,” LeMaoult et al.,2013 The FASEB Journal 27:3643に記載されたものと同様の方法で、方法及び化合物での使用に対する適合性について試験をすることができる。
一部の実施形態では、治療化合物は、当該対象に存在しない、実質的に低レベルで存在するドナー抗原、例えば、表2のドナー抗原に優先的に結合し、かつ、対象のドナー移植組織に局在する標的部分を含む。一部の実施形態では、それは、その他の組織に結合せず、または、実質的に結合しない。一部の実施形態では、治療化合物は、HLA−A2に特異的であり、かつ、ドナー同種移植片に特異的に結合するが、宿主組織に結合せず、かつ、例えば、標的に結合すると、当該治療化合物が、KIR2DL4、LILRB1、または、LILRB2を活性化するように、KIR2DL4、LILRB1、または、LILRB2に結合するHLA−G分子を含むICIM結合/調節部分と組み合わせる、標的部分を含むことができる。当該治療化合物は、同種移植片を標的とし、そして、当該同種移植片に対して局所的免疫特権を付与する。
一部の実施形態では、治療化合物は、組織特異的抗原、表3の抗原に優先的に結合し、かつ、対象、例えば、自己免疫障害、例えば、表3の自己免疫障害を有する対象での標的部位に局在する標的部分を含む。一部の実施形態では、そのものは、その他の組織に結合せず、または、実質的に結合しない。一部の実施形態では、当該治療化合物は、例えば、標的に結合すると、当該治療化合物がKIR2DL4、LILRB1、または、LILRB2を活性化するように、KIR2DL4、LILRB1、または、LILRB2に結合するHLA−G分子を含むICIM結合/調節部分を含む。当該治療化合物は、自己免疫攻撃の対象となる組織を標的とし、そして、当該組織に対して局所的免疫特権を付与する。
LILRB1にも結合できる、安定で、かつ、可溶性のHLA−G−B2M融合タンパク質を遺伝子操作することは可能である。例えば、HLA−Gの結晶構造を、HLA−G/B2M単量体を使用して決定した(Clements et al.2005 PNAS 102:3360)。
FCRLファミリー
FCRL1−6は、一般的に、B細胞の活性化または機能を阻害する。これらの1型膜貫通糖タンパク質は、5種類の免疫グロブリン様ドメインの様々な組み合わせからなり、各々のタンパク質は、3〜9個のドメインからなり、かつ、個々のタイプのドメインは、FCRLタンパク質の全体を通して保存されていない。一般的に、FCRLの発現は、リンパ球に限定されており、Bリンパ球において主要な発現がある。一般的に、FCRLは、B細胞の活性化を抑制するように機能する。
ICIM結合/調節部分は、作動性抗BCMA抗体分子を含むことができるる。一部の実施形態では、当該治療化合物は、抗FCRL抗体分子、及び、抗B細胞受容体(BCR)抗体分子を含む。理論に束縛されることを望まないが、双方の特異性の抗体分子を含む治療化合物は、FCRLをBCRに近接し、そして、BCRシグナル伝達を阻害する、と考えられる。
ブチロフィリン及びブチロフィリン様分子
エフェクター結合/調節部分は、ブチロフィリンのアゴニスト、または、アンタゴニストを含むことができる。一部の実施形態では、エフェクター結合/調節部分は、作動性または機能性BTN1A1分子、BTN2A2分子、BTNL2分子、または、BTNL1分子を含むことができる。
本明細書で使用する用語、機能性BTNXi分子(Xi=1A1、2A2、L2、または、L1)とは、治療化合物の一部として、T細胞を阻害するに十分なBTNXi配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、BTNXi分子は、天然に存在するブチロフィリン、または、ブチロフィリン様分子と、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
一部の実施形態では、エフェクター結合/調節部分は、拮抗性BTNL8分子である。
本明細書で使用する用語、拮抗性BTNL8分子とは、治療化合物の一部として、休止T細胞によるサイトカインの活性化、増殖、または、分泌を阻害するに十分なBTNL8配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、BTNL8分子は、天然に存在するブチロフィリンと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
免疫抑制性T細胞を動員するIIC結合/調節部分:エフェクター結合/調節部分
一部の実施形態では、当該治療化合物は、標的部分が媒介した部位で免疫抑制性細胞、例えば、免疫抑制性T細胞を、結合、活性化、または、保持して部位特異的免疫特権を付与する、エフェクター結合/調節部分、例えば、IIC結合/調節部分を含む。当該IIC結合/調節部分、例えば、scFv結合ドメインを含む抗体分子を含むIIC結合/調節部分は、免疫抑制性細胞型、例えば、Treg、例えば、Foxp3+CD25+Tregに結合する。臓器、組織、または、特定の細胞タイプの耐性は、近接したTregの圧倒的な増加と、当該標的臓器への浸潤に関連しており;実施形態では、本明細書に記載の方法及び化合物は、この生理学的状態を合成的に再現し、そして、模倣する。Tregsが蓄積すると、免疫抑制性微小環境を作る出して、当該免疫系から目的の臓器を保護する。
Treg及びTGFB標的分子としてのGARPバインダー
GARPは、活性化Tregの表面に発現する潜在的なTGF−ベータの膜タンパク質受容体である(Tran et al.2009 PNAS 106:13445、及び、Wang et al.2009 PNAS 106:13439)。一部の実施形態では、治療化合物は、活性化ヒトTregなどの可溶性GARP及びGARP発現細胞の一方または双方と結合するIIC結合実体と、目的の標的組織を当該治療化合物の標的とする標的部分とを含む。GARPバインダーを含むIIC結合/調節部分は、例えば、抗GARP抗体分子、例えば、抗GARP scFvドメインを含むIIC結合/調節部分を含む。理論に縛られることを望むものではないが、GARPバインダーを含む当該治療化合物は、当該治療化合物の標的部分が標的とした部位、例えば、移植片、または、臓器損傷の部位で、GARP発現Tregを蓄積する、と考えられている。この場合もやはり、理論に縛られることを望むものではないが、GARPバインダー効果を含む治療化合物は、臓器損傷の部位での可溶性GARPの蓄積にも影響を与え、免疫抑制剤サイトカインであるTGFB1に局所的に結合して、活性化をする、と考えられる(Fridrich et al.2016 PLoS One 11:e0153290;doi:10.1371/journal.pone.0153290、及び、Hahn et al.2013 Blood 15:1182)。したがって、GARPバインダーを含むエフェクター結合/調節部分は、IIC結合/調節部分、または、SM結合/調節部分のいずれかとして作用することができる。
Treg標的及びTエフェクター細胞サイレンシング分子としてのCTLA4
一部の実施形態では、エフェクター結合/調節部分は、例えば、抗体分子、例えば、Tregの表面で発現するCTLA4に結合するscFvドメインを含む。当該治療用分子は、当該標的部位でCTLA4+ Tregを蓄積し、または、保持し、結果として、局所的な免疫抑制をもたらす。
CTLA4は、Tregでより高度に発現するが、活性化T細胞でも発現する。エフェクター結合/調節部分、例えば、抗CTLA4抗体、または、機能性抗CTLA4抗体を含む治療化合物は、CTLA4発現T細胞をダウンレギュレートすることができる。したがって、CTLA4に結合するエフェクター結合/調節部分を含む治療化合物では、当該エフェクター部分は、ICIM結合/調節部分として作用することもできる。
一部の実施形態では、当該抗CTLA4バインダーは、単量体フォーマットの場合には、拮抗性も作動性も示さず、そして、当該標的へ結合してクラスター化または多量体化した場合にのみ作動性を示す。
理論に縛られることを望むものではないが、当該標的部分を介した、当該治療化合物の標的に対する結合は、治療化合物の多量体化をもたらす、と考えられる。記憶及び活性化T細胞の事例では、当該治療化合物のエフェクター結合/調節部分で結合するCTLA4はクラスター化を受け、そして、CTLA4の関与による阻害シグナルを、記憶及び活性化T細胞で発現する。
一部の実施形態では、当該抗CTLA4バインダーは、単量体フォーマットの場合には、拮抗性も作動性も示さず、そして、当該標的へ結合してクラスター化または多量体化した場合にのみ作動性を示す。
Tregを活性化するIL−2ムテイン分子:IL2受容体バインダー
Treg細胞を(細胞傷害性T細胞よりも)優先的に増殖または刺激するIL−2ムテイン分子を、IIC結合/調節部分として使用することができる。
一部の実施形態では、IIC結合/調節部分は、IL−2ムテイン分子を含む。本明細書で使用する用語「IL−2ムテイン分子」または「IL−2ムテイン」とは、Treg細胞を優先的に活性化するIL−2変異体のことを指す。一部の実施形態では、IL−2ムテイン分子は、それ単独で、または、治療化合物の成分として、細胞傷害性T細胞よりも、少なくとも2、5、10、または、100倍以上に、Tregを活性化する。Treg細胞の優先的活性化を評価するための適切なアッセイは、米国特許第9,580,486号、例えば、実施例2及び3において、または、WO2016014428、例えば、実施例3、4、及び、5において認めることができ、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。成熟IL−2の配列は、
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLT
FKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRP
RDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFC
QSIISTLT(成熟IL−2配列)(配列番号6)
IL−2の未成熟な配列は、
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEE
LKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTF
MCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(配列番号15)
として表すことができる。
一部の実施形態では、IIC結合/調節部分は、別のポリペプチド、例えば、インビボ半減期を延長するポリペプチド、例えば、免疫グロブリン定常領域、または、その多量体、または、二量体に結合した、例えば、融合したIL−2ムテイン、または、その活性断片を含む。
IL−2ムテイン分子は、IL−2の1つ以上の残基を変異させて調製することができる。IL−2−ムテインの例として、WO2016/164937、US9580486、US7105653、US9616105、US9428567、US2017/0051029、US2014/0286898A1、WO2014153111A2、WO2010/085495、WO2016014428A2、WO2016025385A1、及び、US20060269515があるが、これらに限定されず、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。
一部の実施形態では、上記配列の位置1でのアラニンが欠失している。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、成熟IL−2配列の125位のシステインから置換したセリンを含む。IL−2ムテイン分子における突然変異及び置換のその他の組み合わせは、US20060269515に記載されており、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する。一部の実施形態では、125位のシステインも、バリンまたはアラニンで置換する。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、V91K置換を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、N88D置換を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、N88R置換を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、H16E、D84K、V91N、N88D、V91K、または、V91R、それらのあらゆる組み合わせの置換を含む。一部の実施形態では、これらのIL−2ムテイン分子は、本明細書に記載した125位での置換も含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は:T3N、T3A、L12G、L12K、L12Q、L12S、Q13G、E15A、E15G、E15S、H16A、H16D、H16G、H16K、H16M、H16N、H16R、H16S、H16T、H16V、H16Y、L19A、L19D、L19E、L19G、L19N、L19R、L19S、L19T、L19V、D20A、D20E、D20H、D20I、D20Y、D20F、D20G、D20T、D20W、M23R、R81A、R81G、R81S、R81T、D84A、D84E、D84G、D84I、D84M、D84Q D84R、D84S、D84T、S87R、N88A、N88D、N88E、N88I、N88F、N88G、N88M、N88R、N88S、N88V、N88W、V91D、V91E、V91G、V91S、I92K、I92R、E95G、及び、Q126からなる群から選択される1つ以上の置換を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子のアミノ酸配列は、C125AまたはC125S置換と、T3N、T3A、L12G、L12K、L12Q L12S、Q13G、E15A、E15G、E15S、H16A、H16D、H16G、H16K、H16M、H16N、H16R、H16S、H16T、H16V、H16Y、L19A、L19D、L19E、L19G、L19N、L19R、L19S、L19T、L19V、D20A、D20E、D20F、D20G、D20T、D20W、M23R、R81A、R81G、R81S、R81T、D84A、D84E、D84G、D84I、D84M、D84Q、D84R、D84S、D84T、S87R、N88A、N88D、N88E、N88F、N88I、N88G、N88M、N88R、N88S、N88V、N88W、V91D、V91E、V91G、V91S、I92K、I92R、E95G、Q126I、Q126L、及び、Q126Fから選択される1つの置換を有する、成熟IL−2配列に示すアミノ酸配列とは異なる。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、C125AまたはC125S置換と、D20H、D20I、D20Y、D20E、D20G、D20W、D84A、D84S、H16D、H16G、H16K、H16R、H16T、H16V、I92K、I92R、L12K、L19D、L19N、L19T、N88D、N88R、N88S、V91D、V91G、V91K、及び、V91Sから選択される1つの置換を有する、成熟IL−2配列に示すアミノ酸配列とは異なる。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、N88R、及び/または、D20H突然変異を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、アミノ酸30、アミノ酸31、アミノ酸35、アミノ酸69、及び、アミノ酸74からなる群から選択される位置にて、ポリペプチド配列において突然変異を含む。一部の実施形態では、30位での突然変異は、N30Sである。一部の実施形態では、31位での突然変異は、Y31Hである。一部の実施形態では、35位での突然変異は、K35Rである。一部の実施形態では、69位での突然変異は、V69Aである。一部の実施形態では、74位での突然変異は、Q74Pである。一部の実施形態では、当該ムテインは、V69A突然変異、Q74P突然変異、N88DまたはN88R突然変異、及び、L53I、L56I、L80I、または、L118I突然変異の1つ以上を含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、V69A突然変異、Q74P突然変異、N88DまたはN88R突然変異、及び:L53I、L56I、L80I、及び、L118I突然変異からなる群から選択されるLからIへの突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、V69A、Q74P、N88D、または、N88R突然変異、及び、L53I突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、V69A、Q74P、N88D、または、N88R突然変異、及び、L56I突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、V69A、Q74P、N88D、または、N88R突然変異、及び、L80I突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、V69A、Q74P、N88D、または、N88R突然変異、及び、L118I突然変異を含む。本明細書で提供する当該ムテインは、C125A、または、C125S突然変異も含むことができる。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、上記した成熟ヒトIL−2配列と比較して:N88R、N88I、N88G、D20H、D109C、Q126L、Q126F、D84G、または、D84Iからなる群から選択される置換を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、D109Cの置換と、N88R置換、及び、C125S置換の一方または双方とを含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子の位置109にあるシステインと、ポリエチレングリコール部分を結合し、当該ポリエチレングリコール部分は、5〜40kDaの間の分子量を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のあらゆる置換を、位置125での置換と組み合わせる。当該置換を、C125S、C125A、または、C125V置換とすることができる。
本明細書に記載した置換または突然変異に加えて、一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応する位置73、76、100、または、138の1つ以上の位置、または、配列番号6に対応する位置53、56、80、または、118の1つ以上の位置に、置換/突然変異を有する。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応する、位置73と76;73と100;73と138;76と100;76と138;100と138;73、76、及び、100;73、76、及び、138;73、100、及び、138;76、100、及び、138;または、73、76、100、及び、138の各々の位置に突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応する、位置53と56;53と80;53と118;56と80;56と118;80と118;53、56、及び、80;53、56、及び、118;53、80、及び、118;56、80、及び、118;または、53、56、80、及び、118の各々の位置に突然変異を含む。IL−2は、その他のタンパク質に融合または結合できるので、本明細書で使用する配列番号6または15の呼称に対応する用語は、NCBIウェブサイトで使用できるような、アラインメントソフトウェアのデフォルト設定での配列の整列の仕方のことを指す。一部の実施形態では、当該突然変異は、ロイシンからイソロイシンである。したがって、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応する位置73、76、100、または、138の1つ以上の位置、または、配列番号6に対応する位置53、56、80、または、118の1つ以上の位置に、イソロイシンを含むことができる。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号6に対応するL53に突然変異を含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号6に対応するL56に突然変異を含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号6に対応するL80に突然変異を含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号6に対応するL118に突然変異を含む。一部の実施形態では、当該突然変異は、ロイシンからイソロイシンである。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号6に対応するこれらのムテインでの位置69、74、88、125、または、それらのあらゆる組み合わせでの突然変異も含む。一部の実施形態では、当該突然変異は、V69A突然変異である。一部の実施形態では、当該突然変異は、Q74P突然変異である。一部の実施形態では、当該突然変異は、N88DまたはN88R突然変異である。一部の実施形態では、当該突然変異は、C125AまたはC125S突然変異である。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応する位置49、51、55、57、68、89、91、94、108、及び、145の1つ以上の位置、または、配列番号6に対応する位置29、31、35、37、48、69、71、74、88、及び、125の1つ以上の位置に突然変異を含む。これらの置換は、単独で、または、互いに組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、2、3、4、5、6、7、8、9、または、49、51、55、57、68、89、91、94、108、及び、145の各々の位置での置換を含む。そのような組み合わせの例として、49、51、55、57、68、89、91、94、108、及び、145;49、51、55、57、68、89、91、94、及び、108;49、51、55、57、68、89、91、及び、94;49、51、55、57、68、89、及び、91;49、51、55、57、68、及び、89;49、51、55、57、及び、68;49、51、55、及び、57;49、51、及び、55;49及び51;51、55、57、68、89、91、94、108、及び、145;51、55、57、68、89、91、94、及び、108;51、55、57、68、89、91、及び、94;51、55、57、68、89、及び、91;51、55、57、68、及び、89;55、57、及び、68;55及び57;55、57、68、89、91、94、108、及び、145;55、57、68、89、91、94、及び、108;55、57、68、89、91、及び、94;55、57、68、89、91、及び、94;55、57、68、89、及び、91;55、57、68、及び、89;55、57、及び、68;55及び57;57、68、89、91、94、108、及び、145;57、68、89、91、94、及び、108;57、68、89、91、及び、94;57、68、89、及び、91;57、68、及び、89;57及び68;68、89、91、94、108、及び、145;68、89、91、94、及び、108;68、89、91、及び、94;68、89、及び、91;68及び89;89、91、94、108、及び、145;89、91、94、及び、108;89、91、及び、94;89及び91;91、94、108、及び、145;91、94、及び、108;91、及び、94;または、94及び108の位置での突然変異があるが、これらに限定されない。それぞれの突然変異を、互いに組み合わせることができる。配列番号6でも同じ置換を行うことができるが、本開示から明らかなように、付番は適切に調整する(配列番号15で付与した番号より20少ない数値が、配列番号6の位置に対応する)。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応する35、36、42、104、115、または、146の1つ以上の位置、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、または、126)に、突然変異を含む。これらの変異は、本明細書に記載したその他のロイシンからイソロイシンへの突然変異、または、配列番号15に対応する位置73、76、100、または、138、または、配列番号6に対応する位置53、56、80、または、118の1つ以上での突然変異と組み合わせることができる。一部の実施形態では、当該突然変異は、E35Q、H36N、Q42E、D104N、E115Q、または、Q146E、または、それらのあらゆる組み合わせである。一部の実施形態では、これらの置換の1つ以上は、野生型である。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号15に対応する位置35、36、42、104、115、または、146の1つ以上、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、及び、126)に、野生型残基を含む。
これらの位置での突然変異は、本明細書に記載したその他の突然変異のいずれかと組み合わせることができ、同突然変異として、本明細書に記載し、かつ、上掲の配列番号15に対応する位置73、76、100、または、138、または、配列番号6に対応する位置53、56、80、または、118での置換があるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するN49S突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するY51SまたはY51H突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するK55R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するT57A突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するK68E突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するV89A突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するN91R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するQ94P突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するN108DまたはN108R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号15に対応するC145AまたはC145S突然変異を含む。これらの置換は、単独で、または、互いに組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、当該ムテインは、これらの置換の各々を含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、これらの突然変異の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または、8つを含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号15に対応する位置35、36、42、104、115、または、146の1つ以上、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、及び、126)に、野生型残基を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するN29S突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するY31SまたはY31H突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するK35R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するT37A突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するK48E突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するV69A突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するN71R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するQ74P突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するN88DまたはN88R突然変異を含む。一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、配列番号6に対応するC125AまたはC125S突然変異を含む。これらの置換は、単独で、または、互いに組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、当該ムテインは、これらの突然変異の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または、8つを含む。一部の実施形態では、当該ムテインは、配列番号15に対応する位置35、36、42、104、115、または、146の1つ以上、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、及び、126)に、野生型残基を含む。
本明細書に記載したIL−2ムテインのいずれかについて、一部の実施形態では、配列番号15に対応する位置35、36、42、104、115、または、146の1つ以上、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、または、126)は、(例えば、配列番号6または15に示したような)野生型である。一部の実施形態では、配列番号15に対応する位置35、36、42、104、115、または、146の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または、それぞれ、または、配列番号6での同等の位置(例えば、位置15、16、22、84、95、及び、126)は、野生型である。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATEIKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号16)の配列を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHIQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号17)の配列を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHIRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号18)の配列を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFINRWITFSQSIISTLT(配列番号19)の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載したIL−2ムテイン配列は、当該IL−2リーダー配列を含まない。当該IL−2リーダー配列は、MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号20)の配列で表すことができる。したがって、一部の実施形態では、上記に例示した配列は、リーダー配列を持たないペプチドも含むことができる。配列番号16〜20は、配列番号15に対応する位置73、76、100、または、138の1つで、または、配列番号6に対応する位置53、56、80、または、118の1つ以上での突然変異だけを示すが、これらのペプチドは、これらの位置に、1つ、2つ、3つ、または、4つの突然変異を含むことができる。一部の実施形態では、各位置での置換は、イソロイシン、または、その他のタイプの保存的アミノ酸置換である。一部の実施形態では、列挙した位置でのロイシンを、独立して、イソロイシン、バリン、メチオニン、または、フェニルアラニンで置換する。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテイン分子は、本明細書に記載したFc領域、または、その他のリンカー領域に融合する。そのような融合タンパク質の例は、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する、US9580486、US7105653、US9616105、US9428567、US2017/0051029、WO2016/164937、US2014/0286898A1、WO2014153111A2、WO2010/085495、WO2016014428A2、WO2016025385A1、US2017/0037102、及び、US2006/0269515に認めることができる。
一部の実施形態では、当該Fc領域は、LALA突然変異と称されるものを含む。当該Fc領域に対してKabat付番法を使用すると、このものは、L247A、L248A、及び、G250Aに対応する。一部の実施形態では、当該Fc領域に対してEU付番法を使用すると、当該Fc領域は、L234A突然変異、L235A突然変異、及び/または、G237A突然変異を含む。使用する付番法に関係なく、一部の実施形態では、当該Fc部分は、これらの残基に対応する突然変異を含むことができる。一部の実施形態では、当該Fc領域は、N297GまたはN297A(Kabat付番法)突然変異を含む。Kabat付番法は、全長配列に基づいているが、当該Fc領域について当業者が使用する従来のアラインメントに基づいた断片で使用する。
一部の実施形態では、当該Fc領域は:
DKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCV
VVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYR
VVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKG
QPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWE
SNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNV
FSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.(配列番号21)
または、
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCV
VVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYR
VVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKG
QPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWE
SNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNV
FSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.(配列番号28)の配列を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、当該Fc領域に結合している。例として、グリシン/セリンリンカーがあるが、これらに限定されない。例えば、グリシン/セリンリンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)、または、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)の配列とすることができる。これは単に限定を意図しない例であり、そして、当該リンカーは、様々な数のGGGGS反復(配列番号23)、または、GGGGA反復(配列番号29)を有することができる。一部の実施形態では、当該リンカーは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または、10個のGGGGS反復(配列番号23)、または、GGGGA反復(配列番号29)反復を含む。
したがって、当該IL−2/Fc融合体は、ZIL−2M−Lgs−ZFcの式で表すことができ、式中、ZIL−2Mは、本明細書に記載したIL−2ムテインであり、Lgsは、本明細書に記載したリンカー配列(例えば、グリシン/セリンリンカー)であり、及び、ZFcは、本明細書に記載した、または、当業者に公知のFc領域である。一部の実施形態では、当該式は、逆方向のZFc−Lgs−ZIL−2Mとすることができる。
一部の実施形態では、当該IL−2/Fc融合体は、
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATEIKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGG
SGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRT
PEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQ
YNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKT
ISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDI
AVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号24)
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHIQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGG
SGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRT
PEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQ
YNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKT
ISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDI
AVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号25)
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHIRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGG
SGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRT
PEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQ
YNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKT
ISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDI
AVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号26)
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDL
QMILNGISNHKNPRLARMLTFKFYMPEKATELKHLQCLEEE
LKPLEEALRLAPSKNFHLRPRDLISDINVIVLELKGSETTFMC
EYADETATIVEFINRWITFSQSIISTLTGGGGSGGGGSGGGGS
GGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTP
EVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQY
NSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTIS
KAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIA
VEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQ
QGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号27)、の配列を含む。
一部の実施形態では、当該IL−2/Fc融合体は、以下の表、表2から選択される配列を含む:
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
一部の実施形態では、当該IL−2ムテインは、一部の実施形態では、その他のタンパク質またはリンカーと融合したIL−2ムテインを示す、以下の表に示す配列の1つ以上を含む。この表は、IL−2を融合できる様々なFcドメインまたは変異体の配列も示す:
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
Figure 2021505156
一部の実施形態では、これらの表または全文に示した配列は、位置L53、L56、L80、及び、L118に対応する1つ以上の突然変異を含む、または、含まない。一部の実施形態では、当該表または本願全体に示した配列は、位置L59I、L63I、I24L、L94I、L96I、または、L132I、または、同じ位置でのその他の置換に対応する1つ以上の突然変異を含む、または、含まない。一部の実施形態では、当該突然変異は、ロイシンからイソロイシンである。一部の実施形態では、当該ムテインは、本明細書で示した、または、記載した以外の別の突然変異を含まない。一部の実施形態では、当該ペプチドは、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、または、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、または、配列番号60の配列を含む。
一部の実施形態では、当該タンパク質は、本明細書で提供するIL−2ムテインを含む。一部の実施形態では、配列番号59または配列番号60を含むポリペプチドを提供しており、式中、X、X、X、及び、Xの少なくとも1つがIであり、かつ、残りが、LまたはIである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。
一部の実施形態では、当該融合体のFc部分は含まない。一部の実施形態では、当該ペプチドは、本明細書で提供するIL−2ムテインから本質的になる。一部の実施形態では、当該タンパク質は、Fc部分を含まない。
例示だけの目的で、Fcと標的部分とで融合したIL−2ムテインの実施形態を、図19に示す。
これらの配列は、例示だけを目的としており、限定は意図していない。一部の実施形態では、当該化合物は、配列番号53、54、55、または、56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、当該化合物は、配列番号53、54、55、または、56のアミノ酸配列を含み、C125AまたはC125S突然変異を含む、または、含まない。一部の実施形態では、125位の残基は、C、S、または、Aである。一部の実施形態では、当該化合物は、配列番号59または配列番号60のアミノ酸配列を含み、式中、X、X、X、及び、Xの少なくとも1つがIであり、かつ、残りが、LまたはIである。一部の実施形態では、当該タンパク質は、本明細書で提供するIL−2ムテインを含む。一部の実施形態では、配列番号59または配列番号60を含むポリペプチドを提供しており、式中、X、X、X、及び、Xの少なくとも1つがIであり、かつ、残りが、LまたはIである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X及びXはLであり、かつ、X及びXは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。一部の実施形態では、X、X、及び、XはLであり、かつ、Xは、Iである。
また、本明細書で提供するそれぞれのタンパク質を、C125S、及び、LALA、及び/または、G237A変異を有するものとして見なし得る。また、本願を通して説明するように、当該C125置換を、C125Aとすることができる。
実施形態では、IL−2ムテイン分子は、天然に存在するヒトIL−2分子、例えば、本明細書で開示した天然に存在するIL−2配列、または、本明細書の一部を構成するものとして援用する配列と、少なくとも60、70、80、85、90、95、または、97%の配列同一性または相同性を含む。
本明細書に記載したように、当該IL−2ムテインは、当該IL−2ムテインを、MAdCAM発現細胞を標的とするMAdCAM抗体など、結合部分を有する二重特異性分子の一部とすることができる。本明細書に記載したように、当該二重特異性分子は、2つのポリペプチド鎖から生成し得る。一部の実施形態では、以下のもの使用することができる:
Figure 2021505156
Figure 2021505156
これらのタンパク質は、当該IL−2ムテインでのC125AまたはC125S突然変異の有無に関係なく、生産することができる。含めることができるIL−2ムテインの例として、配列番号59または配列番号60の配列などを本明細書で示しているが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、当該軽鎖のいずれかにおける定常kappaドメインを、定常lambdaドメインに置換することができる。
GITRバインダー
GITR(CD357)は、Tregに存在する細胞表面マーカーである。当該GITR−GITRL相互作用のブロックは、Treg機能を維持する。一部の実施形態では、治療化合物は、GITR発現Treg細胞に結合するIIC結合実体と、当該治療化合物を目的の標的組織に向かわせる標的部分とを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、GITRLに対するGITRの結合を阻害する抗GITR抗体分子、例えば、抗GITR抗体分子を含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、抗GITR抗体分子、GITRLに対するGITRの結合を阻害する抗GITR抗体分子、及び、PD−1アゴニスト、IL−2ムテイン分子、または、本明細書に記載したその他のエフェクターを含む。
理論に縛られることを望むものではないが、GITRバインダーを含む当該治療化合物は、当該治療化合物の標的部分が標的とする部位、例えば、移植、または、臓器損傷部位でのGITR発現Tregの蓄積をもたらす、と考えられる。
ブチロフィリン/ブチロフィリン様分子
エフェクター結合/調節部分は、作動性BTNL2分子を含むことができる。理論に縛られることを望むものではないが、作動性BTNL2分子は、Treg細胞を誘導する、と考えられる。
本明細書で使用する用語、作動性BTNL2分子とは、治療化合物の一部として、Treg細胞を誘導するに十分なBTNL2配列を有するポリペプチドのことを指す。一部の実施形態では、BTNL2分子は、天然に存在するブチロフィリンと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の配列同一性、または、実質的な配列同一性を有する。
一部の実施形態では、エフェクター結合/調節部分は、拮抗性BTNL8分子である。
SM結合/調節部分を含む治療化合物:局所微小環境での操作
治療化合物は、例えば、当該標的の近傍に、当該標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する、本明細書でSM結合/調節部分と称する物質を提供することで、免疫抑制性局所微小環境を促すエフェクター結合/調節部分を含むことができる。
一部の実施形態では、当該SM結合/調節部分は、当該標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する分子(本明細書では、SM結合/調節部分と称する)を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、可溶性物質、例えば、免疫抑制性機能を有する内因性または外因性物質に結合及び蓄積するSM結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、一般的には、可溶性物質、及び、内因性可溶性物質を結合、阻害、隔離、分解、または、さもなければ、中和するSM結合/調節部分、例えば、CD39分子、または、CD73分子、または、アルカリホスファターゼ分子、例えば、CD39分子またはアルカリホスファターゼ分子の事例ではATP、そして、CD73分子の事例ではAMPを含み、それらは、免疫攻撃を促す。一部の実施形態では、治療化合物は、免疫抑制性物質、免疫抑制性物質を含むSM結合/調節部分、例えば、免疫抑制性のタンパク質の断片を含む。
ICSM結合/調節部分を含む治療化合物:刺激の阻害、例えば、免疫細胞の共刺激の阻害
治療化合物は、刺激、例えば、共刺激結合ペア、例えば、OX40、及び、OX40Lを阻害、または、拮抗するICSM結合/調節部分を含むことができる。当該ICSM結合/調節部分は、当該ペアのいずれかのメンバーに結合して拮抗することができる。
一実施形態では、当該ICSM結合/調節部分は、刺激性、例えば、共刺激性結合ペアのいずれかのメンバーに結合して、拮抗する抗体分子を含む。一実施形態では、当該ICSM結合/調節部分は、当該結合ペアのメンバーの1つの拮抗性類似体を含む。そのような実施形態では、当該ICSM結合/調節部分は、他方に結合するメンバーの一方の可溶性断片を含むことができる。一般的には、当該類似体は、当該ペアの標的メンバーに結合する天然に存在するメンバーと、少なくとも50、60、70、80、90、95、または、98%の相同性または配列同一性を有する。免疫細胞の表面に存在するメンバーに結合するICSM結合/調節部分の事例では、一般的に、当該ICSM結合/調節部分は、結合するが、活性化はしない、または、内因性のカウンターメンバーが結合及び活性化することを許容する。
したがって、例えば、OX40免疫細胞メンバー、及び、OX40Lカウンターメンバーを含む結合ペアの事例では、ICSM結合/調節メンバーは、以下のいずれかを含むことができる:
a)OX40免疫細胞メンバーに結合し、例えば、内因性OX40Lカウンターメンバーの結合をブロックすることで、刺激に拮抗する抗体分子;
b)OX40Lカウンターメンバーに結合し、例えば、OX40免疫細胞メンバーに対する内因性OX40Lカウンターメンバーの効果的な結合をブロックすることで、刺激に拮抗する抗体分子;
c)OX40免疫細胞メンバーに結合し、そして、刺激に拮抗する、OX40Lカウンターメンバーの可溶性断片または類似体;及び
c)OX40Lカウンターメンバーに結合し、そして、刺激に拮抗する、OX40免疫細胞メンバーの可溶性断片または類似体。
例えば、当該ICSM結合/調節部分、例えば、抗体分子、または、拮抗性類似体、または、カウンターメンバーは、CD2、ICOS、CD40L、CD28、LFA1、SLAM、TIM1、CD30、OX40(CD134)、41BB(CD137)、CD27、HVEM、DR3、GITR、BAFFR、TACI、BCMA、または、CD30、CD40に結合することができる。別の実施形態では、当該ICSM結合/調節部分、例えば、抗体分子、または、拮抗性類似体、または、カウンターメンバーは、B7.1、B7.2、ICOSL(B7−H2、B7RP1)、LFA3、CD48、CD58、ICAM1、SLAM、TIM4、CD40、CD30L、OX40L(CD252)、41BBL(CD137L)、CD70、LIGHT、TL1A、GITRL、BAFF、APRIL、または、CD30、CD40Lに結合することができる。
一部の実施形態では、当該ICSM結合/調節分子は、免疫細胞に存在する活性化または共刺激性分子、例えば、共刺激性分子に結合及び拮抗し、または、カウンターメンバーに結合して、当該カウンターメンバーが、当該免疫細胞に存在する当該共刺激性分子の活性化を妨げる。一部の実施形態では、当該ICSMは、拮抗性抗体分子、例えば、免疫細胞の共刺激性分子に結合し、または、当該ICSMのカウンターメンバーに結合し、当該免疫細胞に存在する当該共刺激性分子の活性化を妨げ、その結果、当該共刺激性分子の活性を阻害する抗体分子を含む。一部の実施形態では、当該ICSMは、拮抗性カウンター分子、例えば、当該共刺激性分子に結合し、その結果、当該共刺激性分子活性を阻害する分子の断片を含む。
一部の実施形態では、結合ペアの一方のメンバーは、免疫細胞、例えば、T、B、または、NK細胞または樹状細胞の表面にあり、その一方で、当該カウンターメンバーは、別の免疫細胞、または、樹状細胞などのAPC、または、平滑細胞などの非免疫細胞、または、内皮細胞にある。
以下の表で、共刺激性分子とカウンター構造のペアの例を示すが、これらに限定されない。
Figure 2021505156
ドナー組織
本明細書に記載した治療化合物及び方法は、対象へのドナー組織の移植と併用することができ、ドナー移植組織の拒絶を最小限に抑え、免疫エフェクター細胞を介した損傷を最小限に抑え、ドナー移植組織の受容を延長し、または、機能寿命を延長することができる。当該組織を、異種移植組織、または、同種移植組織とすることができる。移植した組織は、例えば、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、胸腺、皮膚、または、肺の臓器のすべて、または、一部を含むことができる。実施形態では、本明細書に記載の治療化合物は、全身性免疫抑制の必要性を低減または解消する。本明細書に記載した治療化合物及び方法は、GVHDを処置するために使用することができる。一部の実施形態では、宿主細胞を、エフェクター結合/調節部分として、PD−L1分子を含む治療化合物でコーティングする。
表2に、移植適応の標的分子を示す。標的分子とは、標的部分が結合する標的である。本明細書のその他の箇所で説明するように、一部の実施形態では、ドナー組織に存在し、かつ、対象(レシピエント)で発現しない、または、異なる(例えば、減少または実質的に減少した)レベルで発現する対立遺伝子の産物に結合する標的部分を選択する。
Figure 2021505156
自己免疫疾患
本明細書に記載した治療化合物及び方法は、望ましくない自己免疫応答、例えば、1型糖尿病、多発性硬化症、心筋炎、白斑、脱毛症、炎症性腸疾患(IBD、例えば、クローン病、または、潰瘍性大腸炎)、シェーグレン症候群、限局性糸球体硬化症(FSGS)、強皮症/全身性硬化症(SSc)、または、関節リウマチを有する、または、それらを有するリスクのある対象を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、当該処置は、自己免疫攻撃を受けている、または、そのリスクがある対象組織の拒絶を最小化し、免疫エフェクター細胞が媒介する損傷を最小化し、生存を延長する。表3は、幾つかの自己免疫適応症と、臓器/細胞タイプでの標的分子を示している。標的分子は、標的部分が結合する標的である。
Figure 2021505156
Figure 2021505156
本明細書に記載した化合物で処置することができる自己免疫障害、及び、疾患のその他の例として、心筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、亜急性細菌性心内膜炎、抗糸球体基底膜腎炎、間質性膀胱炎、ループス腎炎、膜性糸球体腎症、慢性腎臓疾患(「CKD」)、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、抗合成酵素症候群、円形脱毛症、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性じんましん、水疱性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状iga病(lad)、限局性強皮症、尋常性天疱瘡、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、ムッカハーベルマン病、乾癬、全身性皮膚硬化症、白斑、アディソン病、1型自己免疫性多内分泌症候群(APS)、2型自己免疫性多内分泌症候群(APS)、3型自己免疫性多内分泌症候群(APS)、自己免疫性膵炎(AIP)、1型糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、オード甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性食道炎、子宮内膜症、自己免疫性精巣炎、シェーグレン症候群、自己免疫性腸疾患、セリアック病、クローン病、顕微鏡的大腸炎、潰瘍性大腸炎、血小板減少症、有痛脂肪症、成人発症スティル病、強直性脊椎炎、CREST症候群、薬物誘発性ループス、腱付着部炎関連関節炎、好酸球性筋膜炎、フェルティ症候群、IgG4関連疾患、若年性関節炎、ライム病(慢性)、混合性結合組織病(MCTD)、回帰性リウマチ、パリーロンベルグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、乾癬性関節炎、反応性関節炎、再発性多発性軟骨炎、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュニッツラー症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、未分化結合組織病(UCTD)、皮膚筋炎、線維筋痛症、封入体筋炎、筋炎、重症筋無力症、神経筋緊張症、傍腫瘍性小脳変性症、多発性筋炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、急性運動性軸索型ニューロパチー、抗−N−メチル−D−アスパラギン酸(抗NMDA)受容体脳炎、バロ同心性硬化症、ビッカースタッフ脳炎、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、ギランバレー症候群、橋本脳症、特発性炎症性脱髄性疾患、ランバート・イートン筋無力症候群、多発性硬化症、オシュトラン症候群、連鎖球菌に関連する小児自己免疫神経精神障害(PANDAS)、進行性炎症性神経障害、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群、シデナム舞踏病、横断性脊髄炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性ブドウ膜炎、コガン症候群、グレーブス眼炎、中間部ブドウ膜炎、木質結膜炎、モーレン潰瘍、視神経脊髄炎、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、視神経炎、強膜炎、スザック症候群、交感性眼炎、トローザ・ハント症候群、自己免疫性内耳疾患(AIED)、メニエール病、ベーチェット病、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、巨細胞性動脈炎、多発血管性肉芽腫症(GPA)、IgA血管炎(IgAV)、川崎病、白血球破砕性血管炎、ループス血管炎、リウマチ性血管炎、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)、結節性多発動脈炎(PAN)、リウマチ性多発性筋痛、血管炎、原発性免疫不全などがあるが、これらに限定されない。
潜在的な自己免疫障害、及び、疾患、ならびに、本明細書に記載した化合物で処置することができる自己免疫併存疾患の例として、慢性疲労症候群、複合性局所疼痛症候群、好酸球性食道炎、胃炎、間質性肺疾患、POEMS症候群、レイノー現象、原発性免疫不全、壊疽性膿皮症、無ガンマグロブリン血症、アミロイド症、筋萎縮性側索硬化症、抗細管基底膜腎炎、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性末梢神経障害、ブラウ症候群、キャッスルマン病、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、慢性再発性多発性骨髄炎、補体成分2欠損症、接触性皮膚炎、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、デゴ病、湿疹、好酸球性胃腸炎、好酸球性肺炎、胎児赤芽球症、進行性骨化性線維異形成症、胃腸類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、特発性巨細胞性心筋炎、特発性肺線維症、IgA腎症、免疫調節性リポタンパク質、IPEX症候群、木質結膜炎、マジード症候群、発作性睡眠、ラスムッセン脳炎、統合失調症、血清病、脊椎関節症、スウィーツ症候群、高安動脈炎などがあるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、尋常性天疱瘡、天疱瘡を含まない。一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、落葉状天疱瘡を含まない。一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、水疱性天疱瘡を含まない。一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、グッドパスチャー病を含まない。一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、乾癬を含まない。一部の実施形態では、当該自己免疫障害は、皮膚障害を含まない。一部の実施形態では、当該障害は、腫瘍性障害、例えば、がんを含まない。
治療化合物
治療化合物は、エフェクター結合/調節部分と機能的に関連する特異的な標的部分を含む。一部の実施形態では、当該特異的な標的部分、及び、エフェクター結合/調節部分は、共有結合または非共有結合、例えば、一方を他方に直接に結合する共有結合または非共有結合で互いに結合する。その他の実施形態では、特異的な標的部分、及び、エフェクター結合/調節部分は、例えば、共有結合的または非共有結合的に、リンカー部分を介して結合する。例えば、融合ポリペプチドの事例では、当該特異的な標的部分と、ポリペプチド配列とを含むポリペプチド配列は、互いに直接結合するか、または、1つ以上のリンカー配列を介して結合することができる。一部の実施形態では、当該リンカー部分は、ポリペプチドを含む。しかしながら、リンカーは、ポリペプチドに限定されない。一部の実施形態では、リンカー部分は、その他の主鎖、例えば、非ペプチドポリマー、例えば、PEGポリマーを含む。一部の実施形態では、リンカー部分は、粒子、例えば、ナノ粒子、例えば、ポリマーナノ粒子を含むことができる。一部の実施形態では、リンカー部分は、分岐分子、または、デンドリマーを含むことができる。しかしながら、当該エフェクター結合/調節部分が、標的結合の非存在下でクラスター化を招く(PD−1のようなエフェクターに結合する)ICIM結合/調節部分構造を含む一部の実施形態は、標的結合の非存在下でクラスター化を引き起こし得るので回避すべきである。したがって、実施形態では、当該治療化合物は構造を有しており、例えば、ICIMのコピーが十分に制限されており、その結果、標的結合の非存在下で、クラスター化を、最小化、または、実質的に解消し、または、解消し、または、実質的な全身性免疫抑制を妨げるに十分なまでに最小化する。
一部の実施形態では、治療化合物は、エフェクター結合/調節部分に共有結合または非共有結合した特異的な標的部分を含むポリペプチドを含む。一部の実施形態では、治療用分子は、エフェクター結合/調節部分に、例えば、直接に、または、1つ以上のアミノ酸残基を含む結合部分を介して、融合した特異的な標的部分を含む融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、治療用分子は、非共有結合または共有結合、例えば、ペプチド結合以外の共有結合、例えば、スルフヒドリル結合によって、エフェクター結合/調節部分に結合した特異的な標的部分を含むポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は:
1.a)標的特異的結合ポリペプチドを含む特異的標的部分;
1.b)標的リガンド結合分子を含む特異的標的部分;
1.c)抗体分子を含む特異的標的部分;
1.d)一本鎖抗体分子、例えば、scFvドメインを含む特異的標的部分;または
1.e)抗体分子の第1の軽鎖または重鎖可変領域を含む特異的標的部分であって、かつ、その他の可変領域は、当該第1と共有結合または非共有結合している当該特異的標的部分;
及び
2.a)エフェクター特異的結合ポリペプチドを含むエフェクター結合/調節部分;
2.b)エフェクターリガンド結合分子を含むエフェクター結合/調節部分;
2.c)抗体分子を含むエフェクター結合/調節部分;
2.d)一本鎖抗体分子、例えば、scFvドメインを含むエフェクター結合/調節部分;または
2.e)抗体分子の第1の軽鎖または重鎖可変領域を含むエフェクター結合/調節部分であって、かつ、その他の可変領域は、当該第1と共有結合または非共有結合している当該エフェクター結合/調節部分を含むポリペプチド、例えば、融合ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.a及び2.aを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.a及び2.bを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.a及び2.cを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.a及び2.dを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.a及び2.eを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.b及び2.aを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.b及び2.bを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.b及び2.cを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.b及び2.dを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.b及び2.eを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.c及び2.aを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.c及び2.bを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.c及び2.cを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.c及び2.dを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.c及び2.eを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.d及び2.aを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.d及び2.bを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.d及び2.cを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.d及び2.dを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.d及び2.eを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.e及び2.aを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.e及び2.bを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.e及び2.cを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.e及び2.dを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、1.e及び2.eを含む。
本明細書で開示した治療化合物は、例えば、複数のエフェクター結合/調節、及び、特異的標的部分を含むことができる。あらゆる適切なリンカー、または、プラットフォームを使用して、複数の部分を提示することができる。当該リンカーは、一般的には、1つ以上のエフェクター結合/調節、及び、標的部分に結合または融合している。
一部の実施形態では、2つ(または、それ以上)のリンカーを、共有結合または非共有結合のいずれかで会合させて、例えば、ヘテロ、または、ホモ二量体の治療化合物を形成する。例えば、当該リンカーは、Fc領域を含み、そして、2つのFc領域は、互いに結合することができる。2つのリンカー領域を含む治療化合物の一部の実施形態では、当該リンカー領域は、例えば、2つの同一のFc領域として自己会合することができる。2つのリンカー領域を含む治療化合物の一部の実施形態では、当該リンカー領域は、自己会合することができず、または、実質的にすることができず、例えば、2つのFc領域は、ノブとホールのペアのメンバーとすることができる。
治療化合物の限定を意図しない例示的構成は、以下(例えば、NからC末端に向けて)を含み:
R1−−−リンカー領域A−R2
R3−−−リンカー領域B−−−R4、
式中、
R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ独立して、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分;特異的な標的部分を含み;または、存在せず;
リンカー領域A、及び、リンカーBは、互いに結合できる部分を含み、例えば、リンカーA、及び、リンカーBは、それぞれ、エフェクター結合/調節部分、及び、特異的な標的部分が存在するのであれば、Fc部分を含む。
一部の実施形態では:
R1は、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分を含み、または、存在せず;
R2は、特異的な標的部分を含み、または、存在せず;
R3は、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分を含み、または、存在せず;
R4は、特異的な標的部分を含み、または、存在せず;
リンカー領域A、及び、リンカーBは、互いに結合できる部分を含み、例えば、リンカーA、及び、リンカーBは、それぞれ、R1またはR3の一方が存在し、かつ、R2またはR4の一方が存在するのであれば、Fc部分を含む。
一部の実施形態では:
R1は、特異的な標的部分を含み、または、存在せず;
R2は、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分を含み、または、存在せず;
R3は、特異的な標的部分を含み、または、存在せず;
R4は、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分を含み、または、存在せず;
リンカー領域A、及び、リンカーBは、互いに結合できる部分を含み、例えば、リンカーA、及び、リンカーBは、それぞれ、R1またはR3の一方が存在し、かつ、R2またはR4の一方が存在するのであれば、Fc部分を含む。
限定を意図しない例を以下に示すが、これらに限定されない:
Figure 2021505156
Figure 2021505156
一部の実施形態では、:エフェクター結合部分と特異的な標的部分が存在するのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ独立して:免疫細胞、例えば、T細胞、または、B細胞、例えば、PD−L1分子、または、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト);特異的な標的部分での抑制性受容体を活性化するエフェクター結合調節部分を含み、;または、存在しない。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3は、独立して、免疫細胞、例えば、T細胞、または、B細胞、例えば、PD−L1分子、または、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト)での抑制性受容体を活性化するエフェクター結合調節部分を含み;かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、独立して、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト)を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3は、独立して、特異的な標的部分、例えば、抗組織抗原抗体を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト)、例えば、scFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、独立してPD−L1分子(PD−1のアゴニスト)を含み、かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含み、及び、一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3は、独立して、特異的な標的部分、例えば、抗組織抗原抗体を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、PD−L1分子(PD−1のアゴニスト)を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では、SM結合/調節部分と特異的な標的部分とが存在しているのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、物質、例えば、免疫応答を調節する可溶性分子、例えば、ATP、または、AMP、例えば、CD39分子、または、CD73分子を調節、例えば、結合及び阻害、隔離、分解、または、さもなければ、中和するSM結合/調節部分;特異的な標的部分を含み;または、存在しない。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3は、独立して、物質、例えば、免疫応答を調節する可溶性分子、例えば、ATP、または、AMP、例えば、CD39分子、または、CD73分子を調節、例えば、結合及び阻害、隔離、分解、または、中和するSM結合/調節部分を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、独立して、CD39分子、または、CD73分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、CD39分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含み、及び、一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、CD73分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3の一方は、CD39分子を含み、かつ、他方は、CD73分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:HLA−G分子と特異的な標的部分とが存在するのであれば、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、;HLA−G分子;特異的な標的部分を含み;または、存在しない。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、HLG−A分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、作動性抗LILRB1抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、作動性抗KIR2DL4抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、作動性抗LILRB2抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、作動性抗NKG2A抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、R1、及び、R3の一方は、拮抗性抗LILRB1抗体分子、作動性抗KR2DL4抗体分子、及び、作動性抗NKG2A抗体分子から選択される一方の部分と、それらから選択される異なる部分を含む他方とを含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3の一方は、拮抗性抗LILRB1抗体分子を含み、かつ、他方は、作動性抗KR2DL4抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3の一方は、拮抗性抗LILRB1抗体分子を含み、他方は、作動性抗NKG2A抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
ある実施形態では:IL−2ムテイン分子と、特異的な標的部分とが存在するのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して:IL−2ムテイン分子;特異的な標的部分を含み;または、存在しない。
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
R1、R2、R3、及び、R4の1つは、IL−2ムテイン分子を含み、1つは、抗GITR抗体分子、例えば、GITRに対するGITRLの結合を阻害する抗GITR抗体分子を含み、及び、1つは、特異的標的部分を含む;
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
ある実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、IL−2ムテイン分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含む。
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
ある実施形態では:R1、及び、R3の一方は、GARP結合分子、例えば、抗GARP抗体分子、または、GITR結合分子、例えば、抗GITR抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含む。
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
ある実施形態では:R1、及び、R3の一方は、GARP結合分子、例えば、抗GARP抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含む。
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
ある実施形態では:R1、及び、R3の一方は、GITR結合分子、例えば、抗GITR抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;かつ、R2、及び、R4は、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を独立して含む。
ある実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では:エフェクター結合部分と、特異的な標的部分とが存在するのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、B細胞の抑制性受容体を活性化するエフェクター結合調節部分、例えば、抗FCRL抗体分子、例えば、作動性抗FCRL抗体分子;特異的な標的部分を含み;または、存在しない。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
実施形態では、当該抗FCRL分子は:FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に対する抗FCRL抗体分子、例えば、作動性抗FCRL抗体分子を含む。
一部の実施形態では:R1、及び、R3は、それぞれ、作動性抗FCRL抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
実施形態では、当該抗FCRL分子は、抗FCRL抗体分子、例えば、FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に対する作動性抗FCRL抗体分子を含む。
一部の実施形態では、:R1、及び、R3は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対する抗体分子を含み、かつ、R2、及び、R4は、それぞれ、抗FCRL抗体分子、例えば、作動性抗FCRL抗体分子、例えば、scFv分子を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
実施形態では、当該抗FCRL分子は、抗FCRL抗体分子、例えば、FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に対する作動性抗FCRL抗体分子を含む。
一部の実施形態では、:R1、R2、R3、及び、R4の1つは、抗BCR抗体分子、例えば、拮抗性抗BCR抗体分子を含み、1つは、抗FCRL抗体分子を含み、かつ、1つは、特異的標的部分を含む。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
一部の実施形態では、当該抗FCRL分子は、抗FCRL抗体分子、例えば、FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に対する作動性抗FCRL抗体分子を含む。
一部の実施形態では、:R1、R2、R3、及び、R4の1つは、抗BCR抗体分子、例えば、拮抗性抗BCR抗体分子と、抗FCRL抗体分子とを含む二重特異性抗体分子を含み、1つは特異的標的部分を含む;一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
実施形態では、当該抗FCRL分子は、抗FCRL抗体分子、例えば、FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に対する作動性抗FCRL抗体分子を含む。
一部の実施形態では、T細胞エフェクター結合/調節部分、B細胞エフェクター結合/調節部分、及び、特異的な標的部分が存在するのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、
i)T細胞の活性、増殖、または、機能を最小化または阻害する、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分(T細胞エフェクター結合/調節部分);
ii)B細胞の活性、増殖、または、機能を最小化または阻害する、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、ICSM結合/調節部分、または、SM結合/調節部分(B細胞エフェクター結合/調節部分);
iii)特異的な標的部分を含み;または
iv)存在しない。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分)を含む。
一部の実施形態では、R1、R2、R3、及び、R4の1つは、作動性抗PD−1抗体を含み、かつ、1つは、HLA−G分子を含む。
一部の実施形態では、R1、R2、R3、及び、R4の1つは、SM結合/調節部分、例えば、CD39分子、または、CD73分子を含む。一部の実施形態では、R1、R2、R3、及び、R4の1つは、制御性免疫細胞、例えば、Treg細胞、または、Breg細胞、例えば、IL−2ムテイン分子に結合、活性化、または、維持する実体を含む。
一部の実施形態では、R1、R2、R3、及び、R4の1つは、作動性抗PD−1抗体を含み、または、1つは、HLA−G分子を含み、かつ、1つは、IL−2ムテイン分子を含む。一部の実施形態では、当該PD−1抗体を、IL−2ムテイン分子で置換する。一部の実施形態では、R1、R2、R3、及び、R4の1つは、作動性抗PD−1抗体を含み、1つは、HLA−G分子を含み、かつ、1つは、CD39分子、または、CD73分子を含む。一部の実施形態では、当該PD−1抗体を、IL−2ムテイン分子で置換する。
リンカー領域
本明細書のその他の箇所で説明したように、特異的な標的、及び、エフェクター結合/調節部分は、リンカー領域で結合することができる。本明細書に記載したあらゆるリンカー領域を、リンカーとして使用することができる。例えば、リンカー領域A、及び、Bは、Fc領域を含むことができる。一部の実施形態では、治療化合物は、自己会合することができるリンカー領域を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、自己会合を最小化する部分を有するリンカー領域を含み、一般的には、リンカー領域A、及び、リンカー領域Bはヘテロ二量体である。リンカーとして、グリシン/セリンリンカーもある。一部の実施形態では、当該リンカーは、GGGGS(配列番号23)の1つ以上の反復を含むことができる。一部の実施形態では、当該リンカーは、配列番号23の1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つの反復を含む。一部の実施形態では、当該リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)を含む。これらのリンカーは、本明細書で提供する治療化合物または組成物のいずれにも使用できる。
当該リンカー領域は、ヘテロ二量体を生成するために、修飾(例えば、突然変異)したFc領域を含むことができる。一部の実施形態では、当該Fc領域のCH3ドメインを突然変異させることができる。そのようなFc領域の例を、例えば、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する、米国特許第9,574,010号に認めることができる。本明細書で定義したFc領域は、CH3ドメイン、または、その断片を含み、そして、ヒンジ、CH1、または、CH2などの1つ以上のさらなる定常領域ドメイン、または、その断片をさらに含み得る。Fcアミノ酸残基の付番は、Kabat et al.,1991,NIH Publication 91−3242,National Technical Information Service,Springfield,VAのようなEUインデックスである、ことが理解される。「Kabatで記載のEUインデックス」とは、ヒトIgG1 Kabat抗体のEUインデックス付番法のことを指す。便宜のため、本明細書の一部を構成するものとして、その内容を援用する、米国特許第9,574,010号の表Bは、ヒトIgG1由来のCH2及びCH3ドメインのKabatに記載のEUインデックスに従って付番したアミノ酸を提供する。米国特許第9,574,010号の表1.1は、リンカー領域として使用することができる変異型Fcヘテロ二量体の突然変異を提供する。米国特許第9,574,010号の表1.1は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
一部の実施形態では、当該リンカー領域Aは、第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、かつ、当該リンカー領域Bは、第2のCH3ドメインポリペプチドを含み、当該第1及び第2のCH3ドメインポリペプチドは、独立して、野生型CH3ドメインポリペプチドと比較して、アミノ酸修飾を含み、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、位置T350、L351、F405、及び、Y407にアミノ酸修飾を含み、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、位置T350、T366、K392、及び、T394にアミノ酸修飾を含み、位置T350でのアミノ酸修飾は、T350V、T350I、T350L、または、T350Mであり;位置L351でのアミノ酸修飾は、L351Yであり;位置F405でのアミノ酸修飾は、F405A、F405V、F405T、または、F405Sであり;位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407V、Y407A、または、Y407Iであり;位置366でのアミノ酸修飾は、T366L、T366I、T366V、または、T366Mであり、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392F、K392L、または、K392Mであり、及び、位置T394でのアミノ酸修飾は、T394Wであり、及び、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載のEUインデックスに従っている。
一部の実施形態では、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392M、または、K392Lである。一部の実施形態では、位置T350でのアミノ酸修飾は、T350Vである。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、Q347R、及び、S400RまたはS400Eの一方から選択される1つ以上のアミノ酸修飾をさらに含む。一部の実施形態では、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、L351Y、K360E、及び、N390R、N390D、または、N390Eの1つから選択される1つ以上のアミノ酸修飾をさらに含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、Q347R、及び、S400RまたはS400Eの一方から選択される1つ以上のアミノ酸修飾をさらに含み、かつ、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、L351Y、K360E、及び、N390R、N390D、またはN390Eの1つから選択される1つ以上のアミノ酸修飾をさらに含む。一部の実施形態では、位置T350でのアミノ酸修飾は、T350Vである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aである。一部の実施形態では、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vである。一部の実施形態では、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366LまたはT366Iである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366LまたはT366Iであり、そして、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392MまたはK392Lである。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405V、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390R、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405T、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390R、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405S、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390R、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、T366L、N390R、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾Q347R、T350V、L351Y、S400E、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、K360E、T366L、N390R、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400R、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390D、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400R、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390E、K392M、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390R、K392L、及び、T394Wを含む。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、L351Y、S400E、F405A、及び、Y407Vを含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾T350V、T366L、N390R、K392F及びT394Wを含む。
一部の実施形態では、第1のCH3ドメインポリペプチド、及び、第2のCH3ドメインポリペプチドを含む単離したヘテロ二量体は、当該第1のCH3ドメインポリペプチドが、位置F405及びY407でのアミノ酸修飾を含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドが、位置T366及びT394でのアミノ酸修飾を含み、(i)当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、位置L351でのアミノ酸修飾をさらに含み、及び、(ii)当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、位置K392でのアミノ酸修飾をさらに含み、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405A、F405T、F405S、または、F405Vであり;及び、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407V、Y407A、Y407L、または、Y4071であり;位置T394でのアミノ酸修飾は、T394Wであり;位置L351でのアミノ酸修飾は、L351Yであり;位置K392でのアミノ酸修飾は、K392L、K392M、K392V、または、K392Fであり、及び、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366I、T366L、T366M、または、T366Vであり、当該ヘテロ二量体CH3ドメインは、約70℃以上の融解温度(Tm)と、約90%以上の純度とを有しており、そして、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載のEUインデックスに従って付番した。
一部の実施形態では、当該リンカー領域Aは、第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、そして、当該リンカー領域Bは、第2のCH3ドメインポリペプチドを含み、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、位置F405及びY407でのアミノ酸修飾を含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、T366及びT394でのアミノ酸修飾を含み、(i)当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、位置L351でのアミノ酸修飾をさらに含み、及び、(ii)当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、位置K392でのアミノ酸修飾をさらに含み、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405A、F405T、F405S、または、F405Vであり;及び、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407V、Y407A、Y407L、または、Y407Iであり;及び、位置T394でのアミノ酸修飾は、T394Wであり;位置L351でのアミノ酸修飾は、L351Yであり;位置K392でのアミノ酸修飾は、K392L、K392M、K392V、または、K392Fであり、及び、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366I、T366L、T366M、または、T366Vであり、当該ヘテロ二量体CH3ドメインは、約70℃以上の融解温度(Tm)と、約90%以上の純度とを有しており、そして、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載のEUインデックスに従って付番した。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aである。一部の実施形態では、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366IまたはT366Lである。一部の実施形態では、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366IまたはT366Lであり、そして、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392LまたはK392Mである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾はF405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366Lであり、そして、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392Mである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366Lであり、そして、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392Lである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366Iであり、そして、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392Mである。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y407Vであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366Iであり、そして、位置K392のアミノ酸修飾はK392Lである。一部の実施形態では、当該第1のCH3ドメインポリペプチドは、位置S400でのS400D及びS400Eから選択されるアミノ酸修飾をさらに含み、そして、当該第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸修飾N390Rをさらに含む。一部の実施形態では、位置F405でのアミノ酸修飾は、F405Aであり、位置Y407でのアミノ酸修飾は、Y405Vであり、位置S400でのアミノ酸修飾は、S400Eであり、位置T366でのアミノ酸修飾は、T366Lであり、及び、位置K392でのアミノ酸修飾は、K392Mである。
一部の実施形態では、当該改変した第1及び第2のCH3ドメインは、G型免疫グロブリン(IgG)に基づいたFc構築物からなる。当該IgGを、IgG1、IgG2、IgG3、または、IgG4とすることができる。
変異CH3ドメインを含むその他のリンカー領域A、及び、リンガー領域Bは、米国特許第9,499,634号、及び、第9,562,109号に記載されており、その各々を、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。
リンカー領域A、及び、リンカー領域Bは、タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンなどの天然に存在するタンパク質の相補的な断片とすることができる。実施形態では、リンカー領域A、及び、リンカー領域Bの一方は、第1の、例えば、タンパク質のN末端断片、例えば、hSAを含み、かつ、他方は、第2の、例えば、タンパク質のC末端断片、例えば、hasを有する。ある実施形態では、当該断片は、N末端、及び、C末端断片を含む。ある実施形態では、当該断片は、2つの内部断片を含む。一般的に、これらの断片が、重複することはない。ある実施形態では、当該第1の、及び、当該第2の断片は、一緒に、当初のタンパク質、例えば、hSAの配列全体を提供する。当該第1の断片は、当該他方の配列、例えば、(本明細書で定義した)R1、R2、R3、または、R4の配列に結合、例えば、融合する、N末端、及び、C末端を提供する。
当該リンカー領域A、及び、リンカー領域Bは、アルブミンポリペプチドに由来することができる。一部の実施形態では、当該アルブミンポリペプチドは、天然のヒト血清アルブミンポリペプチド、及び、ヒトアロアルブミンポリペプチドから選択される。当該アルブミンポリペプチドを改変して、当該リンカー領域Aとリンカー領域Bが互いに相互作用してヘテロダイマーを形成することができる。改変したアルブミンポリペプチドの例は、米国特許第9,388,231号、及び、第9,499,605号に記載されており、本明細書の一部を構成するものとして、それらの各々の全内容を援用する。
したがって、本明細書で提供するものは、式、R1−リンカー領域A−R2、及び、R3−−リンカー領域B−−−R4の多機能性ヘテロマルチマータンパク質であり、当該リンカー領域A、及び、リンカー領域Bは、ヘテロマルチマーを形成する。一部の実施形態では、当該リンカー領域Aは、第1のポリペプチドを含み、かつ、当該リンカー領域Bは、第2のポリペプチドを含み;当該第1の、及び、第2のポリペプチドのそれぞれは、天然のヒト血清アルブミンポリペプチド、及び、ヒトアロアルブミンポリペプチドから選択されるアルブミンポリペプチドのセグメントを含むアミノ酸配列を含み;当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、セグメンテーション部位での当該アルブミンポリペプチドのセグメンテーションにより取得され、当該セグメンテーショの結果、セグメンテーション部位にて、ゼロから3個のアミノ酸残基の欠失を招き;当該第1のポリペプチドは、A194C、L198C、W214C、A217C、L331C、及び、A335Cから選択される少なくとも1つの突然変異を含み、そして、当該第2のポリペプチドは、L331C、A335C、V343C、L346C、A350C、V455C、及び、N458Cから選択される少なくとも1つの突然変異を含み;及び、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは自己集合して、単量体形態のアルブミンポリペプチドの準天然構造を形成する。
一部の実施形態では、当該セグメンテーション部位は、大きな溶媒接触表面積(SASA)と、アルブミン構造の残部との限定的な接触を有するアルブミンポリペプチドのループとに存在しており、b)当該セグメンテーションは、輸送体ポリペプチド間の相補的界面をもたらす。これらのセグメンテーション部位は、例えば、米国特許第9,388,231号に記載されており、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する。
一部の実施形態では、当該第1のポリペプチドは、本明細書に記載した突然変異の1つ以上を有する当該アルブミンポリペプチドの残基1〜337、または、残基1〜293を含む。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、本明細書に記載した突然変異の1つ以上を有する当該アルブミンポリペプチドの342〜585、または、304〜585の残基を含む。一部の実施形態では、当該第1のポリペプチドは、残基1〜339、1〜300、1〜364、1〜441、1〜83、1〜171、1〜281、1〜293、1〜114、1〜337、または、1〜336のアルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、アルブミンタンパク質の残基301〜585、365〜585、442〜585、85〜585、172〜585、282〜585、または、115〜585、304〜585、340〜585、または、342〜585を含む。
一部の実施形態では、当該第1の、及び、当該第2のポリペプチドは、以下の表に示すようなアルブミンタンパク質の残基を含む。当該アルブミンタンパク質の配列を、以下に示す。
Figure 2021505156
一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、ジスルフィド結合などの互いに共有結合を形成できるリンカーを含む。リンカーの例として、ペプチドリンカーがあるが、これに限定されない。一部の実施形態では、当該ペプチドリンカーは、GGGGSを含む。当該リンカーは、当該第1のポリペプチドのC末端を、当該第2のポリペプチドのN末端に融合させることができる。当該リンカーを使用して、当該リンカーがジスルフィド結合を形成する能力を無効にせずに、本明細書に記載した部分を付着させることもできる。一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、共有結合を形成できるリンカーを含まない。一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、以下の置換を有する。
Figure 2021505156
当該アルブミンポリペプチドの配列は、N末端シグナル残基(MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRR)を削除したポストタンパク質形態である、以下に示すヒトアルブミンの配列である。
DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHV
KLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATL
RETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEV
DVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRY
KAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCA
SLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKV
HTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKP
LLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEA
KDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCA
AADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKF
QNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEA
KRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVN
RRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKK
QTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDK
ETCFAEEGKKLVAASQAALGL(ヒトアルブミン)
一部の実施形態では、当該リンカー領域A、及び、当該リンカー領域Bは、本明細書に記載したヘテロ二量体を形成する。
一部の実施形態では、当該ポリペプチドは、N末端に、IgG Fc骨格のC末端のscFvと融合した、IgG1 Fc骨格のF(ab’)2からなる抗体を含む。一部の実施形態では、当該IgG Fc骨格は、IgG1 Fc骨格である。一部の実施形態では、当該IgG1骨格を、IgG4骨格、IgG2骨格、または、その他の同様のIgG骨格で置き換える。この段落で説明するIgG骨格は、Fc領域が治療化合物の一部と称する本願全体において使用することができる。したがって、一部の実施形態では、IgG1 Fc骨格のF(ab’)2からなる抗体は、IgG1 Fcの抗MAdCAM抗体または抗PD−1抗体、または、本明細書で提供する、その他のあらゆる標的部分またはエフェクター結合/調節とすることができる。一部の実施形態では、C末端に融合した当該当該scFVセグメントは、当該N末端領域が抗MAdCAM抗体であれば、抗PD−1抗体とし、または、当該N末端領域が抗MAdCAM抗体であれば、抗PD−1抗体とすることができる。この例では、当該N末端を、本明細書で提供した内のいずれかの標的部分とし、かつ、当該C末端を、本明細書で提供した内のいずれかのエフェクター結合/調節部分とすることができるが、これらに限定されない。あるいは、一部の実施形態では、当該N末端を、本明細書で提供した内のいずれかのエフェクター結合/調節部分とし、かつ、当該C末端を、本明細書で提供した内のいずれかの標的部分とすることができる
一部の実施形態では、当該N末端を、本明細書で提供した内のいずれかの標的部分とし、かつ、当該C末端を、本明細書で提供した内のいずれかのエフェクター結合/調節部分とすることができる。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、ホモ二量体化する2つのポリペプチドを含む。一部の実施形態では、当該ポリペプチドのN末端は、ヒトIgG1 Fcドメイン(例えば、CH2、及び/または、CH3ドメイン)に融合するエフェクター結合/調節部分を含む。一部の実施形態では、当該FcドメインのC末端は、当該標的部分に融合した別のリンカーである。したがって、一部の実施形態では、当該分子は、R1−リンカーA−Fc領域−リンカーB−R2の式を使用して表すことができ、式中、R1を、エフェクター結合/調節部分とすることができ、R2は、標的部分であり、リンカーA、及び、リンカーBは、本明細書で提供する独立したリンカーである。一部の実施形態では、リンカー1とリンカー2とは相違する。
一部の実施形態では、当該分子は、R1−リンカーA−Fc領域−リンカーB−R2の式を使用して表すことができ、式中、R1は、標的部分とすることができ、R2は、エフェクター結合/調節部分であり、リンカーA、及び、リンカーBは、本明細書で提供する独立したリンカーである。一部の実施形態では、リンカーAとリンカーBとは相違する。これらのリンカーは、本明細書で提供する例から選択することができるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、R1及びR2は、F(ab’)2及びscFV抗体ドメインから独立して選択する。一部の実施形態では、R1及びR2は、異なる抗体ドメインである。一部の実施形態では、scFVは、VL−VHドメイン配向にある。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、当該二重特異性抗体は、以下を含む4つのポリペプチド鎖から構成される:
鎖1:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−リンカーA−scFv[VL2−リンカーB−VH2]−ct
鎖2:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−リンカーA−scFv[VL2−リンカーB−VH2]−ct
鎖3:nt−VL1−CL−ct
鎖4:nt−VL1−CL−ct、
式中、鎖1と2は、互いに同一であり、また、鎖3と4は、互いに同一であり、
式中、鎖1は、鎖2とホモ二量体を形成し;及び、鎖3と4は、鎖1と鎖2に関連する。すなわち、各軽鎖が各重鎖と結合すると、VL1はVH1と結合し、そして、CLはCH1と結合して、2つの機能性Fab単位を形成する。特定の理論に縛られるものではないが、VL2とVH2は、本明細書で提供するリンカー(例えば、GGGGSG(配列番号23)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)、または、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)とタンデムに共有結合しているため、各scFvユニットは、本質的に機能している、と考えられる。互いに独立しているリンカーA、及び、リンカーBの配列は、同一のもの、または、異なるものとすることができ、そして、本出願を通して説明した別の態様にすることもできる。したがって、一部の実施形態では、リンカーAは、GGGGS(配列番号23)、または、その2つの反復、GGGGSGGGGSGGGGGS(配列番号30)、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)を含む。一部の実施形態では、リンカーBは、GGGGS(配列番号23)、または、その2つの反復、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)を含む。当該scFvは、NT−VH2−VL2−CT、または、NT−VL2−VH2−CTの配向に配置し得る。NTまたはntは、タンパク質のN末端を、また、CTまたはctは、タンパク質のC末端を表している。CH1、CH2、及び、CH3は、IgG Fc領域由来のドメインであり、そして、CLは、定常軽鎖を表しており、カッパまたはラムダファミリ軽鎖のいずれかである。その他の定義は、当該技術分野で通常使用する事項を表している。
一部の実施形態では、当該VH1及びVL1ドメインは、当該エフェクター分子に由来しており、そして、当該VH2及びVL2ドメインは、当該標的部分に由来する。一部の実施形態では、当該VH1及びVL1ドメインは、標的部分に由来しており、そして、当該VH2及びVL2ドメインは、エフェクター結合/調節部分に由来する。
一部の実施形態では、当該VH1及びVL1ドメインは、抗PD−1抗体に由来しており、そして、当該VH2及びVL2ドメインは、抗MAdCAM抗体に由来する。一部の実施形態では、当該VH1及びVL1ドメインは、抗MAdCAM抗体に由来しており、そして、当該VH2及びVL2ドメインは、抗PD−1抗体に由来する。
一部の実施形態では、リンカーAは、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つのGGGGS(配列番号23)反復を含む。一部の実施形態では、リンカーBは、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つのGGGGS(配列番号23)反復を含む。誤解を避けるために、本願全体で使用するリンカーAとリンカーBの配列は、互いに独立している。したがって、一部の実施形態では、リンカーAとリンカーBは、同一のもの、または、異なるものとすることができる。一部の実施形態では、リンカーAは、GGGGS(配列番号23)、または、その2つの反復、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)を含む。一部の実施形態では、リンカーBは、GGGGS(配列番号23)、またはその2つの反復、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)を含む。
一部の実施形態では、当該治療化合物は、軽鎖と重鎖を含む。一部の実施形態では、当該軽鎖及び重鎖は、標的部分のVHドメインを有するN末端で始まり、その後に、ヒトIgG1のFc領域(例えば、CH2−CH3)に融合するヒトIgG1のCH1ドメインが続く。一部の実施形態では、Fc領域のc末端で、本明細書で提供するリンカーに融合し、同リンカーとして、GGGGS(配列番号23)、または、その2〜3つの反復、または、GGGGSGGGGSGSGGGS(配列番号22)などがあるが、これらに限定されない。次いで、リンカーは、本明細書で提供するエフェクター部分のいずれか1つなど、エフェクター結合/調節部分に融合することができる。重鎖ホモ二量化により、当該ポリペプチドをホモ二量化することができ、その結果、2つの抗PD−1抗体など、2つのエフェクター部分を有する治療化合物が得られる。この配向では、当該標的部分はIgGフォーマットであり、2つのFabアームがあり、それぞれが、当該標的部分の結合パートナー、例えば、抗MAdCAM標的部分で結合したMAdCAMを認識する。
一部の実施形態では、当該治療化合物がFc部分を含む場合、当該Fcドメイン(部分)は、Fc領域を「エフェクターレス」にする突然変異を有しており、FcRに結合することができない。エフェクターを持たないFc領域をもたらす突然変異は公知である。一部の実施形態では、公知の付番方式を用いたFc領域の突然変異は、K322A、L234A、L235A、G237A、L234F、L235E、N297、P331S、または、それらのあらゆる組み合わせからなる群から選択する。一部の実施形態では、当該Fc突然変異は、L234、及び/または、L235、及び/または、G237での突然変異を含む。一部の実施形態では、当該Fc突然変異は、L234A、及び/または、L235A変異を含み、このものは、LALA突然変異と称することもできる。一部の実施形態では、当該Fc突然変異は、L234A、L235A、及び、G237A突然変異を含む。
本明細書で開示しているものは、リンカー領域ポリペプチド、治療用ペプチド、及び、当該ポリペプチドをコードする核酸(例えば、治療化合物)、当該核酸配列を含むベクター、及び、当該核酸またはベクターを含む細胞である。
治療化合物は、複数の特異的な標的部分を含むことができる。一部の実施形態では、当該治療化合物は、複数のある特異的な標的部分、ドナー特異的な標的部分の複数のコピー、または、複数の組織特異的な標的部分を含む。一部の実施形態では、治療化合物は、第1の、及び、第2のドナー特異的標的部分、例えば、第1のドナー標的に特異的な第1のドナー特異的標的部分、及び、第2のドナー標的に特異的な第2のドナー特異的標的部分を含み、例えば、当該第1の、及び、第2の標的は、同じドナー組織に認められる。一部の実施形態では、当該治療化合物は、例えば、組織特異的標的に対する第1の特異的標的部分、及び、第2の標的に対する第2の特異的標的部分を含み、例えば、当該第1の、及び、第2の標的は、同じ、または、異なる標的組織に認められる。
一部の実施形態では、治療化合物は、それぞれがICIM結合/調節部分を含む複数のエフェクター結合/調節部分を含み、ICIM結合/調節部分の個数は、例えば、標的に対する当該治療化合物の結合の非存在下での免疫細胞の全身的作動性回避するために、免疫細胞でのICIM結合/調節部分のリガンドの(標的結合の非存在下での)クラスター化を最小化する。
基準物、例えば、ヒトポリペプチド由来のポリペプチド
一部の実施形態では、治療分子の成分は、例えば、ヒトで使用する治療分子の事例では、天然に存在するヒトポリペプチドに由来する基準分子に由来する、または、同分子をベースとする。例えば、一部の実施形態では、CD39分子、CD73分子、細胞表面分子バインダー、ドナー特異的標的部分、エフェクターリガンド結合分子、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子、抑制性分子カウンターリガンド分子、SM結合/調節部分、特異的標的部分、標的リガンド結合分子、または、組織特異的標的部分の全部または一部は、天然に存在するヒトポリペプチドをベースとするか、または、同ポリペプチドに由来することができる。例えば、PD−L1分子は、ヒトPD−L1配列をベースとするか、または、それに由来することができる。
一部の実施形態では、治療化合物成分、例えば、PD−L1分子:
a)当該ヒトポリペプチドの天然に存在する形態の全部または一部、例えば、その活性部分を含み;
b)疾患状態とは関連のない天然に存在する形態のヒトポリペプチドであり、データベース、例えば、2017年1月11日のGenBankデータベースに記録されている配列を有するヒトポリペプチドの全部または一部、例えば、活性部分を含み;
c)a)またはb)の配列と、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、または、30個以下のアミノ酸残基だけ異なる配列を有するヒトポリペプチドを含み;
d)a)またはb)の配列と、1、2、3、4、5、10、20、または、30%以下だけ異なるアミノ酸残基を持つヒトポリペプチドを含み;
e)a)またはb)の配列と、実質的な差異が無い配列を有するヒトポリペプチドを含み;または
f)a)またはb)の配列を有するヒトポリペプチドと、生物学的活性、例えば、免疫応答を増強または阻害する能力において実質的な差異が無い、c)、d)、または、e)の配列を有するヒトポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、治療化合物は、複数のエフェクター結合/調節部分を含むことができる。例えば、治療化合物は、以下から選択される2つ以上のものを含むことができる:
(a)ICIM結合/調節部分;(b)IIC結合/調節部分;(c)SM結合/調節部分、または、(d)ICSM結合/調節部分。一部の実施形態では、例えば、治療化合物は、複数の、例えば、2つのICIM結合/調節部分を含むことができ(それらは、同一のものであり、または、相違している);例として、2つは、PD−1を活性化または作動させ;複数の、例えば、2つのIIC結合/調節部分;(それらは、同一のものであり、または、相違している);複数の、例えば、2つのSM結合/調節部分(それらは、同一のものであり、または、相違している)、または、複数の、例えば、2つのICSM結合/調節部分(それらは、同一のものであり、または、相違している)。一部の実施形態では、当該治療化合物は、ICIM結合/調節部分、及び、IIC結合/調節部分;ICIM結合/調節部分、及び、SM結合/調節部分;IIC結合/調節部分、及び、SM結合/調節部分、ICIM結合/調節部分、及び、ICSM結合/調節部分;IIC結合/調節部分、及び、ICSM結合/調節部分;または、ICSM結合/調節部分、及び、SM結合/調節部分を含むことができる。一部の実施形態では、当該治療化合物は、複数の標的部分を含む。一部の実施形態では、当該標的部分は、同一のもの、または、相違しているもの、とすることができる。
医薬組成物及びキット
別の態様では、本実施形態は、医薬として許容される担体と共に製剤した、本明細書に記載した治療化合物を含む組成物、例えば、医薬として許容される組成物を提供する。本明細書で使用する「医薬として許容される担体」として、生理学的に適合性のある、ありとあらゆる溶媒、分散媒、等張剤、及び、吸収遅延剤などがある。
当該担体は、(例えば、注射、または、注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、直腸、局所(local)、眼、局所(topical)、脊髄、または、表皮投与に適したものとすることができる。本明細書で使用する用語「担体」とは、化合物と共に投与する希釈剤、アジュバント、または、賦形剤のことを意味する。一部の実施形態では、医薬担体は、水及び油などの液体とすることもでき、同油として、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物、または、合成に由来するものなどがある。当該医薬担体を、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素など、とすることもできる。さらに、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、着色剤を使用することができる。当該担体は、本明細書で提供する治療化合物を含む医薬組成物に使用することができる。
本明細書で提供する実施形態の組成物及び化合物は、様々な形態とし得る。このようなものとして、例えば、液体溶液(例えば、注射及び注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、リポソーム、及び、坐薬などの液体、半固体、及び、固体の剤形がある。好ましい形態は、意図する投与様式、及び、治療用途で定まる。一般的な組成物は、注射または注入可能な溶液の形態である。一部の実施形態では、当該投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一部の実施形態では、当該治療分子を、静脈内への注入または注射で投与する。別の実施形態では、当該治療分子を、筋肉内注射または皮下注射で投与する。別の実施形態では、当該治療分子を、例えば、注射または局所適用して、標的部位に対して局所的に投与する。本明細書で使用する語句「非経口投与」及び「非経口的に投与した」とは、経腸及び局所投与以外の投与様式、通常は、注射による投与フォーマットのことを意味しており、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び、胸骨内への注射及び注入があるが、これらに限定されない。
治療用組成物は、一般的には、製造及び保管の条件下で、無菌かつ安定でなければならない。当該組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または、高濃度の治療分子に適したその他の規則構造で製剤することができる。滅菌注射液は、必要な量の活性化合物(すなわち、治療用分子)を、必要に応じて、上記に列挙した成分の1つ以上を用いて、適切な溶媒に加え、続いて、ろ過滅菌して調製することができる。一般的に、分散液は、当該活性化合物を、基本的な分散媒と、上記に列挙したものの内の必要なその他の成分とを含む、滅菌ビヒクルに加えて調製する。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の事例では、好ましい調製方法は、真空乾燥と、凍結乾燥とであり、活性成分の粉末と、先に滅菌ろ過したその溶液に由来するあらゆるさらなる所望の成分とが得られる。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用して、分散液の事例では、必要な粒子サイズを維持して、及び、界面活性剤を使用して維持することができる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸塩、及び、ゼラチンを組成物に含めることで、実現することができる。
当業者であれば、投与の経路、及び/または、様式は、所望の結果に応じて変化する、ことは理解できる。特定の実施形態では、当該活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、及び、マイクロカプセル化送達システムなどの制御放出製剤など、急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製し得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及び、ポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための数多くの方法に、特許が付与されており、または、一般に、当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
特定の実施形態では、治療化合物は、例えば、不活性希釈剤、または、吸収可能な可食性担体と共に経口投与することができる。当該化合物(及び、必要に応じて、その他の成分)は、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入し、錠剤に圧縮加工し、または、当該対象の食事に直接に取り入れ得る。経口治療投与のために、当該化合物は、賦形剤に含有させ、そして、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウエハースなどの形態で使用し得る。非経口投与以外で化合物を投与するには、その不活性化を防ぐ材料で、当該化合物をコーティングするか、または、同材料と当該化合物とを共投与する必要もあり得る。治療用組成物は、当該技術分野で公知の医療機器で投与することもできる。
投与計画は、最適な望ましい反応(例えば、治療反応)を提供するために調整する。例えば、治療状況の緊急性に応じて、単一のボーラスを投与し、幾つかの分割用量を経時的に投与し、または、当該用量を比例的に減少または増加し得る。投与単位形態で非経口組成物を製剤することが、投与の簡便性と、投与量の均一性に関して特に有利である。本明細書で使用する用量単位形態は、処置を受ける対象の単位用量として適切な物理的に個別の単位のことを指し;各単位は、計算された所定量の活性化合物を含み、必要な医薬担体に関連して、所望の治療効果を導き出す。投与単位形態の詳細は、(a)活性化合物に固有の特性、及び、達成される特定の治療効果、及び、(b)個々人の感受性に対処する活性化合物などの配合に関する当該技術分野に固有の制限によって決定され、そして、それらの直接的な支配を受ける。
治療化合物の治療的または予防的有効量の例示的な範囲は、0.1〜30mg/kg、より好ましくは、1〜25mg/kgであるが、これらに限定されない。当該治療化合物の投与量及び治療計画は、当業者が決定することができる。特定の実施形態では、当該治療化合物は、約1〜40mg/kg、例えば、1〜30mg/kg、例えば、約5〜25mg/kg、約10〜20mg/kg、約1〜5mg/kg、1〜10mg/kg、5〜15mg/kg、10〜20mg/kg、15〜25mg/kg、または、約3mg/kgの用量で、注射で(例えば、皮下または静脈内)投与する。投与スケジュールは、例えば、週に1回から、2週間、3週間、または、4週間に1回まで変更することができる。ある実施形態では、当該治療化合物を、隔週で、約10〜20mg/kgの用量で投与する。当該治療化合物は、20mg/分を超える速度、例えば、20〜40mg/分、及び、一般的には、40mg/分以上の速度で、静脈内注入で投与して、約35〜440mg/m2、一般的には、約70〜310mg/m2、そして、より一般的には、約110〜130mg/m2の用量に到達させることができる。実施形態では、約110〜130mg/m2の注入速度は、約3mg/kgのレベルを達成する。その他の実施形態では、当該治療化合物は、10mg/分未満、例えば、5mg/分以下の速度で、静脈内注入で投与して、約1〜100mg/m2、例えば、約5〜50mg/m2、約7〜25mg/m2、または、約10mg/m2の用量に到達させることができる。一部の実施形態では、当該治療化合物を、約30分間にわたって注入する。投与量の数値は、緩和される病態の種類と重篤度によって変わり得る、ことに留意されたい。あらゆる特定の対象に関して、個々人での必要度と、当該組成物の投与を管理または監督する専門家の判断とに従って、特定の投与計画を経時的に調整する必要があり、また、本明細書に記載した投与範囲は、例示目的のものでしかなく、かつ、特許請求した組成物の範囲と実施の制限を意図するものではない、ことをさらに理解されたい。
当該医薬組成物は、治療的分子の「治療的有効量」または「予防的有効量」を含み得る。「治療有効量」とは、所望の治療結果を達成するために必要な投与量及び期間において有効な量のことを指す。治療分子の治療有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び、体重、ならびに、当該個体において所望の応答を誘発する当該治療化合物の能力などの要因によって変化し得る。治療有効量とは、治療分子が奏する毒性または有害効果よりも、治療的に有益な効果が大きくなる量でもある。「治療的有効用量」は、好ましくは、測定可能なパラメーター、例えば、免疫攻撃を、未処置の対象と比較して、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、及び、さらにより好ましくは少なくとも約80%を阻害する。測定可能なパラメーター、例えば、免疫攻撃を阻害する化合物の能力は、移植拒絶または自己免疫障害の効力を予測する動物モデルシステムで評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物の阻害能力を試験することで評価することができ、インビトロでの阻害に関するアッセイは、当業者に公知である。
「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するために必要な投与量及び期間において有効な量のことを指す。一般的には、疾患の前または初期の段階で、対象に予防用量を使用するので、当該予防有効量は、治療有効量よりも少量である。
本明細書に記載した治療化合物を含むキットも、実施形態の範囲内である。当該キットは;使用説明書;その他の試薬、例えば、標識、治療薬、または、治療分子を、標識またはその他の治療薬、または、放射線防護組成物に対して、キレート化、または、さもなければ、結合させる上で有用な作用物質;投与する治療用分子を調製するための器具またはその他の材料;医薬として許容可能な担体;及び、対象へ投与するための器具またはその他の材料、の1つ以上のその他の要素を具備することができる。
一部の実施形態では、本明細書で提供する実施形態は、以下を含むが、これらに限定されない:
1.治療化合物であって:
i)特異的標的部分であって:
a)例えば、ドナー標的に優先的に結合する、ドナー特異的標的部分;または、
b)例えば、対象の標的組織に優先的に結合する、組織特異的標的部分、から選択される前記特異的標的部分;及び
ii)エフェクター結合/調節部分であって:
(a)免疫細胞抑制性分子結合/調節部分(ICIM結合/調節部分);
(b)免疫抑制性免疫細胞結合/調節部分(IIC結合/調節部分);または
(c)治療化合物の一部として、例えば、標的の近傍に、前記標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する物質を提供することで、免疫抑制局所微小環境を促すエフェクター結合/調節部分標的(SM結合/調節部分)、から選択される前記エフェクター結合/調節部分を含む、前記治療化合物。
2.前記エフェクター結合/調節部分が、抑制性受容体に直接に結合して活性化する、実施形態1の治療化合物。
3.前記エフェクター結合/調節部分が、抑制性免疫チェックポイント分子である、実施形態2の治療化合物。
4.前記エフェクター結合/調節部分が、免疫細胞によって発現する、実施形態1〜3のいずれかの治療化合物。
5.前記免疫細胞が、望ましくない免疫応答に寄与する、実施形態4の治療化合物。
6.前記免疫細胞が、疾患病状を引き起こす、実施形態4または5の治療化合物。
7.前記エフェクター結合/調節が結合する分子を刺激する前記治療分子の能力が、前記治療化合物が前記標的部分を介して標的に結合していると、前記治療化合物が前記標的部分を介して標的に結合していない場合よりも、例えば、2、5、10、100、500、または、1,000倍も大きい、実施形態1の治療化合物。
8.その同族リガンド、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子に対して、単量体として結合する(または、治療化合物が多量体化しない場合に結合する)と、前記同族リガンドを作動性にしない、または、実質的に作動性にしない、実施形態1〜7の治療化合物。
9.前記治療化合物の治療有効用量で、エフェクター結合/調節部分が結合する分子に顕著な全身的作動性が存在する、実施形態1〜8の治療化合物。
10.前記治療化合物の治療有効用量で、エフェクター結合/調節部分が結合する分子の作動性が、前記標的部分が結合する標的部位だけに実質的に生じる、実施形態1〜9の治療化合物。
11.前記治療化合物による、その同族リガンド、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子への結合が、内因性カウンターリガンドによる、前記同族リガンド、例えば、抑制性免疫チェックポイント分子への結合を阻害しない、または、実質的に阻害しない、実施形態1〜9の治療化合物。
12.前記エフェクター結合/調節部分による、その同族リガンドへの結合が、内因性カウンターリガンドによる、前記エフェクター結合/調節部分の前記同族リガンドへの結合を、60、50、40、30、20、10、または、5%未満阻害する、実施形態1〜11の治療化合物。
14.前記エフェクター結合/調節部分による、その同族リガンドへの結合が、前記エフェクター結合/調節分子の同族リガンドの拮抗性を実質的に発生させない、実施形態1〜11の治療化合物。
15.前記エフェクター結合/調節部分が、ICIM結合/調節部分を含む、実施形態1の治療化合物。
16.前記エフェクター結合/調節部分が、抑制性免疫チェックポイント分子リガンド分子を含むICIM結合/調節部分を含む、実施形態15の治療化合物。
17.前記抑制性免疫分子カウンターリガンド分子が、PD−L1分子を含む、実施形態16の治療化合物。
18.前記ICIMが、前記抑制性免疫分子カウンターリガンド分子を、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB、または、CTLA−4から選択される同族抑制性免疫チェックポイント分子に関与せしめる、実施形態15の治療化合物。
19.前記ICIMが、抗体である、実施形態18の治療化合物。
20.前記ICIMが、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB、または、CTLA−4に結合する抗体を含む、実施形態18の治療化合物。
21.前記抗体が、PD−1に結合する抗体である、実施形態20の治療化合物。
22.前記抗体が、PD−1に結合する抗体であり、かつ、PD−1アゴニストである、実施形態20の治療化合物。
23.前記抗体が、PD−1に結合する抗体であり、かつ、標的部位に結合している時はPD−1アゴニストである、実施形態20の治療化合物。
24.前記抑制性免疫分子カウンターリガンド分子が、HLA−G分子を含む、実施形態16の治療化合物。
25.前記ICIMが、前記抑制性免疫分子カウンターリガンド分子を、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB、または、CTLA−4から選択される同族抑制性免疫チェックポイント分子に関与せしめる、実施形態15の治療化合物。
26.前記抑制性免疫分子カウンターリガンド分子が、表1から選択される同族抑制性免疫チェックポイント分子に関与する、実施形態15の治療化合物。
27.その同族抑制性免疫チェックポイント分子に対して単量体として結合する場合、前記抑制性免疫チェックポイント分子を作動性にしない、または、実質的に作動性にしない、実施形態15の治療化合物。
28.前記抑制性免疫分子カウンターリガンドが、天然に存在する抑制性免疫チェックポイント分子リガンドと、少なくとも60、70、80、90、95、99、または、100%の相同性を有する、実施形態15の治療化合物。
29.前記エフェクター結合/調節部分が、細胞表面抑制性分子に対する機能性抗体分子を含むICIM結合/調節部分を含む、実施形態1の治療化合物。
30.前記細胞表面抑制性分子が、抑制性免疫チェックポイント分子である、実施形態1の治療化合物。
31.前記抑制性免疫チェックポイント分子が、PD−1、KIR2DL4、LILRB1、LILRB2、CTLA−4から選択され、または、表1から選択される、実施形態30の化合物。
32.前記治療化合物の治療有効用量での全身性免疫抑制のレベルは、全身性免疫抑制剤を用いた標準治療が付与するレベル(関係しておれば)よりも低く、または、等モル量の遊離している(治療化合物の成分ではない)エフェクター結合/調節分子が付与するレベル(関係しておれば)よりも低い、実施形態1〜31のいずれかの治療化合物。
33.例えば、前記治療化合物の治療有効用量での全身性免疫抑制のレベルは、等モル量の遊離している(治療化合物の成分ではない)エフェクター結合/調節分子が付与するレベルよりも低い、実施形態1〜32の治療化合物。
34.第2のエフェクター結合/調節部分をさらに含む、実施形態1〜33のいずれか1つの治療化合物。
35.前記第2のエフェクター結合/調節部分が、前記エフェクター結合/調節部分とは異なる標的に結合する、実施形態34の治療化合物。
36.前記第2のエフェクター結合/調節部分が、IIC結合/調節部分を含む、実施形態34または35の治療化合物。
前記第2のエフェクター結合/調節部分が、SM結合/調節部分を含む、実施形態34または35の治療化合物。
37.前記エフェクター結合/調節部分が、IIC結合/調節部分を含む、実施形態1の治療化合物。
38.前記エフェクター結合/調節部分が、IIC結合/調節部分を含み、前記標的部位にて、免疫抑制性免疫細胞を増大、補充、または、蓄積する、実施形態1の治療化合物。
39.前記エフェクター結合/調節部分が、免疫抑制性免疫細胞の細胞表面分子に、結合、または、特異的に結合する細胞表面分子バインダーを含む、実施形態1の治療化合物。
40.前記エフェクター結合/調節部分が、免疫抑制性免疫細胞の細胞表面分子に、結合、または、特異的に結合する細胞表面分子リガンド分子を含む、実施形態1の治療化合物。
41.前記エフェクター結合/調節部分が、免疫抑制性免疫細胞の細胞表面分子に、結合する抗体分子を含む、実施形態1の治療化合物。
42.前記免疫抑制性免疫細胞が、Foxp3+CD25+T制御性細胞などのT制御性細胞を含む、実施形態38〜41のいずれかの治療化合物。
43.前記エフェクター結合/調節部分が、GARPに結合し、そして、例えば、GARP発現免疫抑制性細胞、例えば、TregのGARPに結合する抗体分子を含む、実施形態1〜42のいずれかの治療化合物。
44.前記エフェクター結合/調節部分が、SM結合/調節部分を含む、実施形態1の治療化合物。
45.前記SM結合/調節部分が、免疫抑制性局所微小環境を促す、実施形態44の治療化合物。
46.前記エフェクター分子結合部分が、例えば、免疫細胞機能を阻害する物質、例えば、免疫細胞の活性化を阻害し、または、活性化した免疫細胞の機能を阻害する物質の局所濃度または量を増加させることで、利用可能性を高める、実施形態44及び45のいずれかの治療化合物。
47.前記エフェクター分子結合部分が、免疫抑制機能を有する可溶性物質、例えば、内因性または外因性物質を結合及び蓄積する、実施形態44〜46のいずれかの治療化合物。
48.前記エフェクター分子結合部分が、例えば、免疫細胞機能を促す物質、例えば、免疫細胞の活性化を促し、または、活性化した免疫細胞の機能を促す物質の局所濃度または量を減らし、または、封鎖することで、利用可能性を低下させる、実施形態44〜47のいずれかの治療化合物。
49.SM結合/調節部分が、例えば、前記標的の近傍に、前記標的の免疫系による攻撃を阻害または最小化する物質を提供することで、免疫抑制局所微小環境を促す、実施形態44〜48のいずれか1つの治療化合物。
50.前記SM結合/調節部分が、前記免疫系による標的の攻撃を阻害または最小化する分子を含む、実施形態44〜49のいずれか1つの治療化合物。
51.前記SM結合/調節部分が、可溶性物質、例えば、免疫抑制機能を有する内因性または外因性物質に結合、及び/または、蓄積する、実施形態44〜50のいずれか1つの治療化合物。
52.前記SM結合/調節部分が、免疫攻撃を促す物質、例えば、可溶性物質、一般的に、及び、内因性可溶性物質に結合、及び/または、阻害、封鎖、分解、または、さもなければ、中和する、実施形態44〜51のいずれか1つの治療化合物。
53.前記エフェクター分子結合部分が、ATPまたはAMPの利用可能性を低下させる、実施形態44〜52のいずれか1つの治療化合物。
54.SM結合/調節部分が、免疫エフェクター細胞機能、例えば、ATPまたはAMPを促す成分を枯渇させる物質、例えば、CD39またはCD73に結合し、または、含む、実施形態44〜53のいずれか1つの治療化合物。
55.前記SM結合/調節部分が、CD39分子を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
56.前記SM結合/調節部分が、CD73分子を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
57.前記SM結合/調節部分が、抗CD39分子を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
58.前記SM結合/調節部分が、抗CD73抗体分子を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
59.前記エフェクター分子結合部分が、免疫抑制物質、例えば、免疫抑制タンパク質の断片を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
60.SM結合/調節部分が、アルカリホスファターゼ分子を含む、実施形態44〜54のいずれか1つの治療化合物。
61.前記化合物が、N末端からC末端に向かう式:
R1−−−リンカー領域A−R2、または、R3−リンカー領域B−R4、
式中、エフェクター結合/調節部分と特異的な標的部分とが存在する場合に限り、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、エフェクター結合/調節部分、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、または、SM結合/調節部分;特異的な標的部分を含み;または、存在しない、前記式を有する、実施形態1の治療化合物。
62.リンカー領域A、及び、リンカー領域Bのそれぞれが、Fc領域を含む、実施形態61の治療化合物。
63.R1及びR2の一方が、抗PD−1抗体であり、かつ、R1及びR2の一方が、抗MAdCAM抗体である、実施形態61の治療化合物。
64.R1の1つが、抗PD−1抗体であり、かつ、1つのR2が、抗MAdCAM抗体である、実施形態61の治療化合物。
65.R1の1つが、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR2が、抗PD−1抗体である、実施形態61の治療化合物。
66.R3及びR4の一方が、抗PD−1抗体であり、かつ、R3及びR4の一方が、抗MAdCAM抗体である、実施形態61の治療化合物。
67.R3の1つが、抗PD−1抗体であり、かつ、1つのR4が、抗MAdCAM抗体である、実施形態61の治療化合物。
68.R3の1つが、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR4が、抗PD−1抗体である、実施形態61の治療化合物。
69.前記リンカーが存在しない、実施形態61〜68のいずれかの治療化合物。
70.前記リンカーが、Fc領域である、実施形態61〜68のいずれかの治療化合物。
71.前記リンカーが、グリシン/セリンリンカー、すなわち、GGGGS(配列番号23)の1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つの反復などである、実施形態61〜68のいずれかの治療化合物。
72.前記リンカーが、Fc領域と、グリシン/セリンリンカー、すなわち、GGGGS(配列番号23)の1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つの反復とを含む、実施形態61〜68のいずれかの治療化合物。
73.前記PD−1抗体が、PD−1アゴニストである、実施形態61〜72のいずれかの治療化合物。
74.R1、及び、R3は、独立して、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト)を含み;かつ、R2、及び、R4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態61の治療化合物。
75.R1、及び、R3は、独立して、特異的な標的部分、例えば、抗組織抗原抗体を含み;かつ、R2、及び、R4は、独立して、機能性抗PD−1抗体分子(PD−1のアゴニスト)を含む、実施形態73及び74のいずれかの治療化合物。
76.SM結合/調節部分と特異的な標的部分とが存在する必要があるのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して;物質、例えば、免疫応答を調節する可溶性分子、例えば、ATPまたはAMP、例えば、CD39分子またはCD73分子を調節し、例えば、結合及び阻害し、封鎖し、分解し、または、さもなければ、中和するSM結合/調節部分;特異的な標的部分を含み;または、存在していない、実施形態73及び74のいずれかの治療化合物。
77.R1及びR3が、独立して、CD39分子またはCD73分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態61の治療化合物。
78.R1及びR3が、それぞれ、CD39分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態77の治療化合物。
79.R1及びR3が、それぞれ、CD73分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態61または77の治療化合物。
80.R1及びR3の一方が、CD39分子を含み、かつ、他方が、CD73分子を含み;及び、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態61の治療化合物。
81.HLA−G分子と特異的な標的部分とが存在する必要があるのであれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、HLA−G分子;特異的な標的部分を含み;または、存在しない、実施形態61の治療化合物。
82.R1及びR3が、それぞれ、HLG−A分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態61または81の治療化合物。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
83.R1及びR3が、それぞれ、作動性抗LILRB1抗体分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81及び82のいずれかの治療化合物。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
84.R1及びR3が、それぞれ、作動性抗KIR2DL4抗体分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81及び82のいずれかの治療化合物。一部の実施形態では、リンカーA、及び、リンカーBは、Fc部分(例えば、自己ペアリングFc部分、または、自己ペアリングしない、または、実質的に自己ペアリングしないFc部分)を含む。
85.R1及びR3が、それぞれ、作動性抗LILRB2抗体分子を含み;かつ、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
86.R1及びR3が、それぞれ、作動性抗NKG2A抗体分子を含み、かつ;R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
87.R1及びR3の一方が、拮抗性抗LILRB1抗体分子、作動性抗KR2DL4抗体分子、及び、作動性抗NKG2A抗体分子から選択される第1の部分を含み、かつ、他方が、拮抗性抗LILRB1抗体分子、作動性抗KR2DL4抗体分子、及び、作動性抗NKG2A抗体分子から選択される異なる部分を含み;かつ、R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
88.R1及びR3の一方が、拮抗性抗LILRB1抗体分子を含み、かつ、他方が、作動性抗KR2DL4抗体分子を含み;及び、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
89.R1及びR3の一方が、拮抗性抗LILRB1抗体分子を含み、かつ、他方が、作動性抗NKG2A抗体分子を含み;及び、R2及びR4が、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
89A.IL−2ムテイン分子と特異的な標的部分が存在する場合に限り、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、IL−2ムテイン分子;特異的な標的部分を含み;または、存在しない、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
89B.R1及びR3は、それぞれ、IL−2ムテイン分子を含み、かつ、R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aの治療化合物。
89C.R1及びR3の一方は、MAdCAM結合分子、例えば、抗MAdCAM抗体分子、または、GITR結合分子、例えば、抗GITR抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;及び
R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aまたは89Bの治療化合物。
89D.R1及びR3の一方は、GARP結合分子、例えば、抗GARP抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;及び
R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aまたは89Bの治療化合物。
89E.R1及びR3の一方は、GARP結合分子、例えば、抗GARP抗体分子、または、GITR結合分子、例えば、抗GITR抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;及び
R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aまたは89Bの治療化合物。
89F.R1及びR3の一方は、GARP結合分子、例えば、抗GARP抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;及び
R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aまたは89Bの治療化合物。
89G.R1及びR3の一方は、GITR結合分子、例えば、抗GITR抗体分子を含み、かつ、他方は、IL−2ムテイン分子を含み;及び
R2及びR4は、独立して、特異的な標的部分、例えば、組織抗原に対するscFv分子を含む、実施形態89Aまたは89Bの治療化合物。
89H.前記化合物が、ポリペプチドまたはタンパク質であり、前記ポリペプチドまたはタンパク質が、標的細胞とエフェクター結合/調節部分とに結合する標的部分を含み、前記エフェクター結合/調節部分が、IL−2突然変異ポリペプチド(IL−2ムテイン)である、実施形態1の治療化合物。
89I.前記標的部分が、標的細胞の表面の標的タンパク質に結合する抗体を含む、実施形態89Hの治療化合物。
89J.前記抗体が、MAdCAM、OAT1(SLC22A6)、OCT2(SLC22A2)、FXYD2、TSPAN7、DPP6、HEPACAM2、TMEM27、または、GPR119に結合する抗体である、実施形態89Iの治療化合物。
89K.前記IL−2ムテインが、免疫細胞が発現する受容体に結合する、実施形態89Iの治療化合物。
89L.前記免疫細胞が、望ましくない免疫応答に寄与する、実施形態89Iの治療化合物。
89M.前記免疫細胞が、疾患病状を引き起こす、実施形態89H〜89Lのいずれかの治療化合物。
89N.前記標的部分が、抗MAdCAM抗体を含む、実施形態89H〜89Mのいずれかの治療化合物。
89O.前記化合物が、N末端からC末端に向かう式:
R1−−−リンカー領域A−R2、または、R3−リンカー領域B−R4、
式中、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して、前記エフェクター結合/調節部分、前記特異的な標的部分を含み、または、存在しない、前記式を有する、実施形態89Hの治療化合物。
89P.リンカー領域A、及び、リンカー領域Bのそれぞれが、Fc領域を含む、実施形態89Oの治療化合物。
89Q.R1及びR2の一方が、前記IL−ムテイン抗体であり、かつ、R1及びR2の一方が、抗MAdCAM抗体である、実施形態89Oまたは89Pの治療化合物。
89R.R1が、前記IL−ムテインであり、かつ、R2が、抗MAdCAM抗体である、実施形態89O、89P、または、89Qの治療化合物。
89S.R1の一方が、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR2が、抗PD−1抗体である、実施形態89O、89P、または、89Qの治療化合物。
89T.R3及びR4の一方が、前記IL−2ムテインであり、かつ、R3及びR4の一方が、抗MAdCAM抗体である、実施形態89O、89P、または、89Qの治療化合物。
89U.R3が、前記IL−2ムテインであり、かつ、R4が、抗MAdCAM抗体である、実施形態89O、89P、または、89Qの治療化合物。
89V.R3が、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR4が、前記IL−2ムテインである、実施形態89O、89P、または、89Qの治療化合物。
89W.前記リンカーが存在しない、実施形態89O〜89Wのいずれかの治療化合物。
89X.前記リンカーが、Fc領域であり、または、Fc領域を含む、実施形態89O〜89Wのいずれかの治療化合物。
89Y.前記リンカーが、グリシン/セリンリンカーを含む、実施形態89O〜89Wのいずれかの治療化合物。
89X.前記リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGS、または、GGGGSの配列を含む、実施形態89O〜89Wのいずれかの治療化合物。
89Y.前記IL−2ムテインが、配列番号6のIL−2配列を含み、ペプチドは、配列番号の位置53、56、80、または、118に対応する位置に突然変異を含む、実施形態89Hの治療化合物。
89Z.前記IL−2ムテインが、配列番号6のIL−2配列を含み、ペプチドは、配列番号6の位置53、56、80、または、118に対応する位置に突然変異を含む、実施形態89H〜89Zのいずれかの治療化合物。
89AA.前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、実施形態89Yの治療化合物。
89BB.前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、実施形態89Zの治療化合物。
89CC.前記IL−2ムテインが、配列番号6での位置に対応する、29、31、35、37、48、69、71、74、88、及び、125の1つ以上の位置での突然変異をさらに含む、実施形態89H〜89BBのいずれかの治療化合物。
89DD.前記IL−2ムテインが、位置E15、H16、Q22、D84、E95、または、Q126の1つ以上に突然変異を含み、または、位置E15、H16、Q22、D84、E95、または、Q126の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、それぞれが野生型である、実施形態89H〜89CCのいずれかの治療化合物。
89EE.前記ムテインの突然変異が、E15Q、H16N、Q22E、D84N、E95Q、または、Q126Eの1つ以上である、実施形態89H〜89DDのいずれかの治療化合物。
89FF.前記ムテインが、配列番号6のN29S突然変異を含む、実施形態89H〜89EEのいずれかの治療化合物。
89GG.前記ムテインが、Y31SまたはY51H突然変異を含む、実施形態89H〜89FFのいずれかの治療化合物。
89HH.前記ムテインが、K35R突然変異を含む、実施形態89H〜89GGのいずれかの治療化合物。
89II.前記ムテインが、T37A突然変異を含む、実施形態89H〜89HHのいずれかの治療化合物。
89JJ.前記ムテインが、K48E突然変異を含む、実施形態89H〜89IIのいずれかの治療化合物。
89KK.前記ムテインが、V69A突然変異を含む、実施形態89H〜89JJのいずれかの治療化合物。
89LL.前記ムテインが、N71R突然変異を含む、実施形態89H〜89KKのいずれかの治療化合物。
89MM.前記ムテインが、Q74P突然変異を含む、実施形態89H〜89LLのいずれかの治療化合物。
89NN.前記ムテインが、N88DまたはN88R突然変異を含む、実施形態89H〜89MMのいずれかの治療化合物。
89OO.前記ムテインが、C125AまたはC125S突然変異を含む、実施形態89H〜89NNのいずれかの治療化合物。
89PP.前記IL−2ムテインが、Fcペプチドに融合または結合する、実施形態89H〜89OOのいずれかの治療化合物。
89PP1.前記Fcペプチドが、L234、L247、L235、L248、G237、及び、G250の1つ以上の位置に突然変異を含む、実施形態89PPの治療化合物。
89PP2.前記突然変異が、LからA、または、GからAへの突然変異である、実施形態89PP1の治療化合物。
89PP3.前記Fcペプチドが、L247A、L248A、及び/または、G250A突然変異(Kabat付番法)を含む、実施形態89PP1の治療化合物。
89PP4.前記Fcペプチドが、L234A突然変異、L235A突然変異、及び/または、G237A突然変異(EU付番法)を含む、実施形態89PP1の治療化合物。
89QQ.前記化合物が、ポリペプチドを形成する第1の鎖と、第2の鎖とを含む前記ポリペプチドを含み、前記第1の鎖が:
−H−リンカー−Cを含み、式中、Vは、前記第2の鎖のVドメインで前記標的細胞に結合する可変重ドメインであり;Hは、CH1−CH2−CH3ドメインを含む抗体の重鎖であり、前記リンカーは、グリシン/セリンリンカーであり、そして、Cは、N末端またはC末端のいずれかの配向でFcタンパク質に融合または結合したIL−2ムテインであり;及び
前記第2の鎖が:
−Lを含み、式中、Vは、前記第1の鎖のVドメインで前記標的細胞に結合する可変軽鎖ドメインであり、そして、Lドメインは、軽鎖CKドメインである、実施形態89Hの治療化合物。
89QQ1.前記VH及びVLドメインが、細胞で発現するMAdCAMに結合する抗MAdCAM可変ドメインである、実施形態89QQの治療化合物。
89QQ2.前記IL−2ムテインが、配列番号6の位置53、56、80、または、118に対応する位置に突然変異を含む、実施形態89QQまたは89QQ1の治療化合物。
89QQ3.前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、実施形態89QQ2の治療化合物。
89QQ4.前記ムテインが、位置69、75、88、及び/または、125、または、それらのあらゆる組み合わせに対応する位置に突然変異をさらに含む、実施形態89QQ2または89QQ3の治療化合物。
89QQ5.前記IL−2ムテインが、L53I、L56I、L80I、及び、L118Iの内の1つ、ならびに、V69A、Q74P、N88D、または、N88Rの突然変異、及び、任意のC125AまたはC125Sからなる群から選択される突然変異を含む、実施形態89QQ2または89QQ3の治療化合物。。
89QQ6.前記IL−2ムテインが、L53I突然変異を含む、実施形態89QQ5の治療化合物。
89QQ7.前記IL−2ムテインが、L56I突然変異を含む、実施形態89QQ5の治療化合物。
89QQ8.前記IL−2ムテインが、L80I突然変異を含む、実施形態89QQ5の治療化合物。
89QQ9.前記IL−2ムテインが、L118I突然変異を含む、実施形態89QQ5の治療化合物。
89QQ10.前記IL−2ムテインが、その他のあらゆる突然変異を含まない、実施形態89QQ5の治療化合物。
89QQ11.前記Fcタンパク質が、KABAT付番法による、L247A、L248A、及び、G250A突然変異、または、L234A突然変異、L235A突然変異、及び/または、G237A突然変異を含む、実施形態89QQ〜89QQ10のいずれか1つの治療化合物。
89QQ12.前記リンカーが、GGGGGSGGGGSGGGGS、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSの配列を含む、実施形態89QQ〜89QQ11のいずれか1つの治療化合物。
89QQ13.前記ポリペプチドが、本明細書に記載した配列を含むFcペプチドを含む、実施形態89QQ〜89QQ11のいずれか1つの治療化合物。
90.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、抗BCR抗体分子、例えば、拮抗性抗BCR抗体分子を含み、1つが、抗FCRL抗体分子を含み、かつ、1つが、特異的な標的部分を含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
91.前記抗FCRL分子が、FCRL1、FCRL2、FCRL3、FCRL4、FCRL5、または、FCRL6に関する抗FCRL抗体分子、例えば、作動性抗FCRL抗体分子を含む、実施形態90の治療化合物。
92.T細胞エフェクター結合/調節部分、B細胞エフェクター結合/調節部分、及び、特異的な標的部分が存在しておれば、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ、独立して:
i)T細胞の活性、増殖、または、機能を最小化または阻害する、エフェクター結合/調節部分(T細胞エフェクター結合/調節部分)、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、または、SM結合/調節部分;
ii)B細胞の活性、増殖、または、機能を最小化または阻害する、エフェクター結合/調節部分(B細胞エフェクター結合/調節部分)、例えば、ICIM結合/調節部分、IIC結合/調節部分、または、SM結合/調節部分;
iii)特異的な標的部分;または
iv)存在しない、ことを含む、実施形態81〜84のいずれかの治療化合物。
93.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、作動性抗PD−1抗体を含み、かつ、1つが、HLA−G分子を含む、実施形態92の治療化合物。
94.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、SM結合/調節部分、例えば、CD39分子、または、CD73分子を含む、実施形態92〜93の治療化合物。
95.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、制御性免疫細胞、例えば、Treg細胞またはBreg細胞に結合し、活性化し、または、維持する実体を含む、実施形態92〜94のいずれかの治療化合物。
96.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、作動性抗PD−1抗体を含み、または、1つが、HLA−G分子を含む、実施形態92〜95のいずれかの治療化合物。
97.R1、R2、R3、及び、R4の1つが、作動性抗PD−1抗体を含み、1つが、HLA−G分子を含み、そして、1つが、CD39分子またはCD73分子を含む、実施形態96の治療化合物。
98.前記エフェクター結合/調節部分が、ポリペプチドを含む、実施形態1〜97のいずれかの治療化合物。
99.前記エフェクター結合/調節部分が、少なくとも5個、10個、20個、30個、40個、50個、150個、200個、または、250個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、実施形態1〜98のいずれかの治療化合物。
100.前記エフェクター結合/調節部分が、5Kd、10Kd、15Kd、20Kd、または、40Kdの分子量を有する、実施形態1〜99のいずれかの治療化合物。
101.前記エフェクター結合/調節部分が、アポリポタンパク質CIII、プロテインキナーゼA、Srcキナーゼ、または、Beta1インテグリンの発現の阻害剤を含まない、実施形態1〜100のいずれかの治療化合物。
102.前記エフェクター結合/調節部分が、アポリポタンパク質CIII、プロテインキナーゼA、Srcキナーゼ、または、Beta1インテグリンの活性の阻害剤を含まない、実施形態1〜100のいずれかの治療化合物。
103.前記治療化合物は、肺、皮膚、膵臓、網膜、前立腺、卵巣、リンパ節、副腎、肝臓、または、腸組織から選択される組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
104.前記治療化合物は、細管細胞、例えば、近位細管上皮細胞を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
105.前記治療化合物は、TIE−2、APN、TEM4、TEM6、ICAM−1、ヌクレオリンP2Z受容体、Trk−A、FLJ10849、HSPA12B、APP、または、OX−45を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
106.前記治療化合物は、内腔発現タンパク質を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
107.前記ドナー標的が、心臓特異的標的を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
108.前記治療化合物は、肺組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
109.前記治療化合物は、腎臓組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
110.前記治療化合物は、膵臓肺組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
111.前記治療化合物は、腸組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
112.前記治療化合物は、前立腺組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
113.前記治療化合物は、脳組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
114.前記治療化合物は、CD71を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
115.前記治療化合物は、CD90を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
116.前記治療化合物は、MAdCAMを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
117.前記治療化合物は、アルブミンを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
118.前記治療化合物は、炭酸脱水酵素IVを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
119.前記治療化合物は、ZG16−pを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
120.前記治療化合物は、ジペプチジルペプチダーゼIVを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
121.前記治療化合物は、血管内皮細胞膜の内腔表面を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
121.前記治療化合物は、心臓組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
122.前記治療化合物は、腫瘍、固形腫瘍、または、固形腫瘍の血管を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
123.前記治療化合物は、皮膚組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
124.前記治療化合物は、表皮組織を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
125.前記治療化合物は、基底膜を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
126.前記治療化合物は、Dsgポリペプチドを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
127.前記治療化合物は、Dsg1を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
128.前記治療化合物は、Dsg3を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
129.前記治療化合物は、BP180を特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
130.前記治療化合物は、デスモグレインを特異的な標的としない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
131.前記治療化合物は、補体調節因子、例えば、補体阻害剤を含んでおらず、前記補体阻害剤として、米国特許第8,454,963号に記載されたものがあるが、これに限定されることはなく、また、同文献は、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
133.前記治療化合物は、造影剤を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
134.前記治療化合物は、放射性作用物質、放射性同位体、放射性医薬品、造影剤、ナノ粒子;酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、及び、生物発光物質からなる群から選択される造影剤を含まず、前記造影剤として、米国特許第8,815,235号に記載されたものがあるが、これに限定されることはなく、また、同文献は、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
135.前記治療化合物は、放射性核種を含まず、前記放射性核種として、米国特許第4,870,536号に記載されたものがあるが、これに限定されることはなく、また、同文献は、本明細書の一部を構成するものとして、その全内容を援用する、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。。
136.結合するドナー細胞による内在化を受けない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
137.前記治療化合物が、前記特異的な標的部分が標的とする細胞に入り込まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
138.前記治療化合物が、前記特異的な標的部分が標的とする細胞を死滅させない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
139.前記治療化合物が、前記エフェクター結合/調節部分が結合する細胞に入り込まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
140.前記治療化合物が、前記エフェクター結合/調節部分が結合する細胞を死滅させない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
141.前記治療化合物が、自己抗原性ペプチドまたはポリペプチドを含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
142.前記治療化合物が、自己抗原性ペプチドまたはポリペプチド、例えば、自己抗体を有する前記対象に対するペプチドまたはポリペプチドを含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
143.前記治療化合物が、哺乳動物、例えば、自己免疫障害を有するヒトに由来する抗体分子を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
144.前記治療化合物が、哺乳動物、例えば、急性粘膜皮膚PVを有するヒトに由来する抗体分子を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
145.前記治療化合物が、哺乳動物、例えば、グッドパスチャー病を有するヒトに由来する抗体分子を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
146.前記治療化合物が、哺乳動物、例えば、尋常性天疱瘡を有するヒトに由来する抗体分子を含まない、実施形態1〜101のいずれかの治療化合物。
141.ドナー特異的標的部分を含む、実施形態1〜146のいずれかの治療化合物。
142.レシピエントの組織とは対照的に、移植したドナー組織に優先的に局在化する、実施形態141のいずれかの治療化合物。
143.前記ドナー特異的標的部分が、ドナー由来の移植組織、例えば、臓器に対して部位特異的免疫特権を付与する、実施形態141〜142の治療化合物。
144.前記ドナー特異的標的部分が、前記レシピエントの遺伝子座に存在しないドナーの遺伝子座に存在する対立遺伝子の産物、例えば、ポリペプチドに結合する、実施形態141〜143の治療化合物。
145.前記ドナー特異的標的部分が、対象組織で発現する遺伝子の対立遺伝子と比較して、ドナー組織、例えば、移植組織、例えば、臓器で発現する遺伝子の対立遺伝子に対して優先的に結合する、実施形態141〜144のいずれかの治療化合物。
146.前記ドナー特異的標的部分が、ドナー組織、例えば、移植組織、例えば、臓器で発現する遺伝子の対立遺伝子に対して、対象組織で発現する遺伝子の対立遺伝子に対する親和性よりも、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または、10,000倍も大きな結合親和性を有する、実施形態141〜145の治療化合物。
147.前記ドナー特異的標的部分が、前記レシピエントの遺伝子座に存在しないドナーの遺伝子座に存在する対立遺伝子の産物、例えば、ポリペプチドに対して結合する、実施形態141〜146の治療化合物。
148.前記結合が、例えば、治療化合物の臨床的に有効な用量で、望ましくない、実質的に、または、臨床的に許容されない全身免疫抑制を得るのに十分に特異的である、実施形態141〜147のいずれか1つの治療化合物。
149.前記治療化合物が、前記標的部位で、例えば、前記標的部位に前記治療化合物の蓄積を招くドナー特異的標的部分の結合を蓄積する、実施形態141〜148のいずれか1つの治療化合物。
150.前記ドナー特異的標的部分が、表2、例えば、その対立遺伝子が、ドナーに存在はするが、レシピエントには存在しない、HLA遺伝子座、例えば、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ、または、HLA−DR遺伝子座から選択される遺伝子座の産物に結合する、実施形態141〜149のいずれか1つの治療化合物。HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ、または、HLA−DR遺伝子座。
151.前記ドナー特異的標的部分が、HLA−Aの対立遺伝子、HLA−Bの対立遺伝子、HLA−Cの対立遺伝子、HLA−DPの対立遺伝子、HLA−の対立遺伝子、または、HLA−の対立遺伝子に結合する、実施形態141〜150のいずれか1つの治療化合物。
152.前記治療化合物は、移植片を有する、移植片を有することになる、または、それを必要とする対象の処置に適している、実施形態141〜151のいずれか1つの治療化合物。
153.前記移植片が、臓器、例えば、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、胸腺、皮膚、または、肺の全部または一部を含む、実施形態152の治療化合物。
154.前記ドナー特異的標的部分が、抗体分子を含む、実施形態141〜153のいずれか1つの治療化合物。
155.前記ドナー特異的標的部分が、標的特異的結合ポリペプチド、または、標的リガンド結合分子を含む、実施形態141〜153のいずれか1つの治療化合物。
156.組織特異的標的部分を含む、実施形態1〜155のいずれか1つの治療化合物。
157.前記組織特異的標的部分が、MAdCAMに特異的に結合する分子である、実施形態156の治療化合物。
158.前記組織特異的標的部分が、MAdCAMに特異的に結合する抗体である、実施形態156の治療化合物。
159.前記治療化合物が、自己免疫障害、例えば、本明細書に記載した自己免疫障害を有する、または、同障害を有するリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態156〜158のいずれか1つの治療化合物。
160.前記治療化合物が、前記標的部位で、例えば、前記標的部位に前記治療化合物の蓄積を招くドナー特異的標的部分の結合を蓄積する、実施形態156〜159のいずれかの治療化合物。
161.前記治療化合物が、対象のその他の組織とは対照的に、標的組織に対して優先的に局在する、実施形態156〜160のいずれかの治療化合物。
162.前記治療化合物が、対象標的組織、例えば、自己免疫障害において、例えば、望ましくない免疫攻撃を受けている、または、同免疫攻撃を受けるリスクがある、または、そのリスクが高い標的組織に対して部位特異的免疫特権を付与する、実施形態156〜161のいずれかの治療化合物。
163.前記組織特異的標的部分が、前記治療化合物の成分として、例えば、自己免疫障害において、望ましくない免疫攻撃を受けている対象の標的組織に対して優先的に結合する、実施形態156〜161のいずれかの治療化合物。
164.組織特異的標的部分が、前記産物、例えば、前記標的組織の外側に存在しないポリペプチド、または、治療分子の治療濃度にて、許容不可能なレベルの免疫抑制が存在しない、または、実質的に存在しない十分に低レベルで存在するポリペプチドに結合する、実施形態156〜163のいずれかの治療化合物。
165.前記組織特異的標的部分が、非標的組織よりも、標的組織において豊富である産物、または、同産物での部位に結合する、実施形態156〜164のいずれかの治療化合物。
166.前記治療化合物が、標的組織に存在する、または、実質的に独占的に発現する産物、または、同産物での部位に結合する、実施形態156〜165のいずれかの治療化合物。
167.前記特異的な標的部分が結合する前記産物、または、同産物での部位を、治療化合物の治療有効レベルで、前記対象が、許容できないレベル、例えば、臨床的に有意なレベルの全身性免疫抑制を受けなくなるのに十分なまでに前記標的組織を制限する、実施形態156〜166のいずれかの治療化合物。
168.標的組織または標的組織抗原に優先的に結合する前記治療化合物が、例えば、前記標的組織、または、抗原に対して、前記標的組織の外部に存在する非標的組織または抗原に対する親和性よりも、例えば、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または、10,000倍も大きな結合親和性を有する、実施形態156〜167の治療化合物。
169.前記組織特異的標的部分が、産物、例えば、ポリペプチド産物、または、同産物での部位に結合し、予め選択した部位、例えば、自己免疫障害における望ましくない免疫応答の部位に存在する、実施形態156〜168の治療化合物。
170.前記治療化合物が、1型糖尿病を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態156〜169のいずれかの治療化合物。
171.前記標的組織が、膵臓組織、例えば、膵島、または、膵臓ベータ細胞、腸組織(例えば、腸内皮細胞)、腎臓組織(例えば、腎臓上皮細胞)、または、肝臓組織(例えば、肝臓上皮細胞)を含む、実施形態156〜170のいずれかの治療化合物。
172.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、本明細書に記載したポリペプチド、例えば、表3に列挙したもの、例えば、SEZ6L2、LRP11、DISP2、SLC30A8、FXYD2、TSPAN7、または、TMEM27から選択されるポリペプチドに結合する、実施形態156〜171のいずれかの治療化合物。
173.前記治療化合物が、多発性硬化症を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態156〜168のいずれかの治療化合物。
174.前記標的組織が、CNS組織、ミエリン鞘、または、乏突起膠細胞のミエリン鞘を含む、実施形態173の治療化合物。
175.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、本明細書に記載したポリペプチドに結合し、かつ、同ポリペプチドとして、表3に列挙したもの、例えば、MOG、PLP、または、MBPがあるが、これらに限定されない、実施形態173〜174のいずれかの治療化合物。
176.前記治療化合物が、心筋炎を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態156〜168のいずれかの治療化合物。
177.前記標的組織が、心筋細胞、単球、マクロファージ、または、骨髄細胞を含む、実施形態176の治療化合物。
178.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、本明細書に記載したポリペプチドに結合し、同ポリペプチドとして、表3から選択したもの、例えば、SIRPA(CD172a)があるが、これらに限定されない、実施形態176〜177のいずれかの治療化合物。
179.治療化合物が、炎症性腸疾患、自己免疫性肝炎(AIH);原発性硬化性胆管炎(PSC);原発性胆汁性硬化症;(PBC);または、移植を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態156〜168のいずれかの治療化合物。
180.前記対象が、クローン病または潰瘍性大腸炎を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い、実施形態156〜168のいずれかの治療化合物。
181.前記標的組織が、腸上皮細胞などの腸細胞、または、肝上皮細胞などの肝細胞を含む、実施形態179または180の治療化合物。
182.前記エフェクター結合/調節部分が、本明細書に記載したポリペプチドに結合し、同ポリペプチドとして、表3から選択したもの、例えば、PD−1があるが、これらに限定されない、実施形態179〜181のいずれかの治療化合物。
182.前記標的部分が、本明細書に記載したポリペプチドに結合し、同ポリペプチドとして、MAdCAMがあるが、これらに限定されない、実施形態179〜181のいずれかの治療化合物。
183.前記対象が、関節リウマチを有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い、実施形態156〜168のいずれかの治療化合物。
184.前記標的組織が、心筋細胞、単球、マクロファージ、または、骨髄細胞を含む、実施形態183の治療化合物。
185.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、表3から選択されるポリペプチド、例えば、SIRPA(CD172a)に結合する、実施形態183または184の治療化合物。
186.前記組織特異的標的部分が、抗体分子を含む、実施形態156〜185のいずれかの治療化合物。
187.前記組織特異的標的部分が、標的特異的結合ポリペプチド、または、標的リガンド結合分子を含む、実施形態156〜185のいずれかの治療化合物。
188.前記組織特異的標的部分が、MAdCAMに結合する標的特異的結合ポリペプチドを含む、実施形態156〜185のいずれかの治療化合物。
189.前記治療化合物が、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、または、その他の免疫細胞の細胞表面分子に結合して、その細胞が、前免疫応答を伝播する、実施形態1〜188のいずれかの治療化合物。
190.前記治療化合物が、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、または、その他の免疫細胞の能力を低下させて、前免疫応答を伝播させる、実施形態1〜189のいずれかの治療化合物。
191.前記特異的な標的部分が、哺乳動物標的、例えば、哺乳動物ポリペプチドを標的とし、かつ、前記エフェクター結合/調節部分が、哺乳動物の免疫成分、例えば、ヒト免疫細胞、例えば、哺乳動物のB細胞、T細胞、または、マクロファージに対して、結合/調節をする、実施形態1〜190のいずれかの治療化合物。
192.前記特異的な標的部分が、ヒト標的、例えば、ヒトポリペプチドを標的とし、かつ、前記エフェクター結合/調節部分が、ヒト免疫成分、例えば、ヒト免疫細胞、例えば、ヒトB細胞、T細胞、または、マクロファージに対して、結合/調節をする、実施形態1〜192のいずれかの治療化合物。
193.前記治療化合物を、ヒトでの使用のために構成する、実施形態1〜193のいずれかの治療化合物。
194.前記治療化合物を、非ヒト哺乳動物での使用のために構成する、実施形態1〜191のいずれかの治療化合物。
195.前記治療化合物、例えば、前記エフェクター結合/調節部分が、PD−1アゴニストを含む、実施形態1〜194のいずれかの治療化合物。
195.1.前記治療化合物が、配列番号15のIL−2ムテインを含み、前記ムテインが、位置73、76、100、または、138に突然変異を含む、先行実施形態のいずれかの治療化合物。
195.2.前記突然変異が、位置73、76、100、または、138でのLからIへの突然変異である、実施形態195.1の治療化合物。
195.3.前記IL−2ムテインが、位置49、51、55、57、68、89、91、94、108、及び、145の1つ以上での突然変異をさらに含む、実施形態195.1または195.2の治療化合物。
195.4.前記ムテインが、位置E35、H36、Q42、D104、E115、または、Q146の1つ以上をさらに含み、または、E35、H36、Q42、D104、E115、または、Q146の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、各々が野生型である、実施形態195.1〜195.3のいずれかの治療化合物。
195.5.前記突然変異が、E35Q、H36N、Q42E、D104N、E115Q、または、Q146Eの1つ以上である、実施形態195.4の治療化合物。
195.6.前記IL−2ムテインが、N49S突然変異を含む、実施形態195.1〜195.5のいずれか1つの治療化合物。
195.7.前記IL−2ムテインが、Y51SまたはY51H突然変異を含む、実施形態195.1〜195.6のいずれか1つの治療化合物。
195.8.前記IL−2ムテインが、K55R突然変異を含む、実施形態195.1〜195.7のいずれか1つの治療化合物。
195.9.前記IL−2ムテインが、T57A突然変異を含む、実施形態195.1〜195.8のいずれか1つの治療化合物。
195.10.前記IL−2ムテインが、K68E突然変異、V89A(V69A)突然変異、N91R(N71R)突然変異、Q94PまたはQ74P突然変異、(N88D)またはN108R(N88R)突然変異、C145A(C125A)、または、C145S(C125S)突然変異を含む、実施形態195.1〜195.8のいずれか1つの治療化合物。
195.11.前記治療化合物が、配列番号6のIL−2ムテインを含み、前記ムテインが、位置53、56、80、または、118に突然変異を含み、かつ、実施形態195.1〜195.10に示した1つ以上の突然変異を含む、実施形態195.1〜195.10のいずれか1つの治療化合物。
195.12.前記IL−2ムテインが、Fcペプチドに融合または結合する、実施形態195.1〜195.11のいずれか1つの治療化合物。
195.13.前記Fcペプチドが、L234、L247、L235、L248、G237、及び、G250(EU付番法)の1つ以上の位置に突然変異を含む、実施形態195.12の治療化合物。
196.炎症性腸疾患を有する対象を処置する方法であって、実施形態1〜195.13.13のいずれかの治療化合物を前記対象に対して投与をして、前記炎症性腸疾患を処置する、ことを含む前記方法。
197.炎症性腸疾患を有する前記対象が、クローン病を有する、実施形態196の方法。
198.炎症性腸疾患を有する前記対象が、潰瘍性大腸炎を有する、実施形態196の方法。
199.自己免疫性肝炎を有する対象を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物を前記対象に対して投与をして、前記自己免疫性肝炎を処置する、ことを含む前記方法。
200.原発性硬化性胆管炎を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物を対象に対して投与をして、前記原発性硬化性胆管炎を処置する、ことを含む前記方法。
201.1型糖尿病を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物を投与し、それにより、前記対象を処置して、前記1型糖尿病を処置する、ことを含む前記方法。
202.移植対象を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物の治療有効量を対象に投与し、それにより、移植(レシピエント)対象を処置する、ことを含む前記方法。
203.移植したドナー組織を有する対象におけるGVHDを処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物の治療有効量を前記対象に投与する、ことを含む前記方法。
204.移植を受ける前;GVHDの症状を発症する前;移植後または移植と同時;または、GVHDの症状の発症後または発症と同時に、前記治療化合物を前記対象に投与する、実施形態203の方法。
205.自己免疫障害を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物の治療的有効量を投与し、それにより、前記対象を処置する、ことを含む前記方法。
206.前記対象が、同種移植ドナー組織を移植した、移植する、または、必要としている、実施形態205の方法。
207.前記ドナー組織が、固形臓器、例えば、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、胸腺、または、肺を含む、実施形態205〜206のいずれかの方法。
208.前記ドナー組織が、臓器、例えば、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、胸腺、または、肺の全部または一部を含む、実施形態205〜206のいずれかの方法。
209.前記ドナー組織が、皮膚を含む、実施形態205〜206のいずれかの方法。
210.前記ドナー組織が、皮膚を含まない、実施形態205〜206のいずれかの方法。
211.前記ドナー組織が、遺伝子座の対立遺伝子の産物を提示または発現するが、対立遺伝子は、前記対象において存在または発現しない、実施形態205〜210のいずれかの方法。
212.前記ドナー組織が、表2から選択される遺伝子座、例えば、HLA遺伝子座、例えば、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ、または、HLA−DR遺伝子座の対立遺伝子の産物を提示または発現するが、対立遺伝子は、前記対象において存在または発現しない、実施形態205〜210のいずれかの方法。
213.前記移植組織を前記対象に導入することを含む、実施形態205〜212のいずれかの方法。
214.例えば、末梢循環、または、リンパ系において、前記標的部位から離間した部位での免疫細胞不活性化について対象をモニターする(例えば、免疫抑制チェックポイント分子の望ましくない作動作用をモニターする)、ことを含む、実施形態196〜213のいずれかの方法。
215.例えば、末梢循環、または、リンパ系において、前記標的部位から離間した部位での免疫細胞活性化について対象をモニターする(例えば、免疫抑制チェックポイント分子の望ましくない拮抗作用をモニターする)、ことを含む、実施形態196〜214のいずれかの方法。
216.モニタリングの結果に応じて、前記対象の処置コースを選択する、例えば、前記治療化合物の用量を増加させる、前記治療化合物の用量を減少させる、そのままの用量で前記治療化合物による治療を継続する、実施形態196〜215のいずれかの方法。
217.実施形態1〜195.13の化合物を、前記レシピエントに投与することを含む、実施形態196〜216のいずれかの方法。
218.前記投与が、例えば、末梢循環系への全身投与を含む、実施形態196〜216のいずれかの方法。
219.前記投与が、例えば、前記標的組織、前記ドナー組織、または、前記標的組織または前記ドナー組織が位置する、または、位置する予定である部位への局所投与を含む、実施形態196〜216のいずれかの方法。
220.前記ドナー組織をレシピエントに導入する前に、前記治療化合物を、レシピエントに投与することを含む、実施形態219のいずれかの方法。
221.前記ドナー組織をレシピエントに導入した後に、前記治療化合物を、レシピエントに投与することを含む、実施形態219のいずれかの方法。
222.前記ドナー組織をレシピエントに導入すると同時に、前記治療化合物を、レシピエントに投与することを含む、実施形態213のいずれかの方法。
223.前記ドナー組織をレシピエントに導入する前に、前記治療化合物を、前記ドナー組織と接触させることを含む、実施形態213の方法。
224.前記対象に前記治療化合物を提供することを含み、前記移植組織は、前記対象に導入する前に治療化合物と接触している、実施形態213のいずれかの方法。
225.前記ドナー組織をレシピエントに導入した後に、例えば、前記ドナー組織に対する局所投与によって、前記治療化合物をドナー組織と接触させることを含む、実施形態213のいずれかの方法。
226.本明細書で提供する治療化合物を、治療レベルが、少なくとも1日間、5日間、10日間、14日間、または、28日間、例えば、連続する、または、連続しない日数にわたって存在するように投与することを含む、実施形態196〜226のいずれかの方法。
227.前記対象に、非標的免疫抑制剤を与えない、実施形態196〜226のいずれかの方法。
228.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与前の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、または、90日間、非標的免疫抑制剤を与えない、実施形態196〜226のいずれかの方法。
229.前記対象に、移植組織の導入前の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、または、90日間、非標的免疫抑制剤を与えない、実施形態213のいずれかの方法。
230.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与後の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、90日間、または、180日間、非標的免疫抑制剤を与えない、実施形態196〜229のいずれかの方法。
231.前記対象に、前記の移植組織の導入後の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、90日間、または、180日間、非標的免疫抑制剤を与えない、実施形態196〜229のいずれかの方法。
232.前記対象に対して、非標的化免疫抑制剤を投与することを含む、実施形態196〜231のいずれかの方法。
233.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与の後の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、または、90日間、非標的免疫抑制剤を与える、実施形態196〜232のいずれかの方法。
234.前記対象に、前記移植組織の導入前の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、または、90日間、非標的免疫抑制剤を与える、実施形態213の方法。
235.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与後の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、90日間、または、180日間、非標的免疫抑制剤を与える、実施形態234の方法。
236.前記対象に、前記移植組織の導入後の少なくとも1日間、15日間、30日間、60日間、90日間、または、180日間、非標的免疫抑制剤を与える、実施形態196〜235のいずれかの方法。
237.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与前に非標的免疫抑制剤を与えるが、1日、15日、30日、60日、90日、または、180日を超えて与えない、実施形態196〜235のいずれかの方法。
238.前記対象に、前記移植組織の導入前に非標的免疫抑制剤を与えるが、1日、15日、30日、60日、90日、または、180日を超えて与えない、実施形態213の方法。
239.前記対象に、前記治療化合物の最初の投与後に非標的免疫抑制剤を与えるが、1日、15日、30日、60日、90日、または、180日を超えて与えない、実施形態196〜238のいずれかの方法。
240.前記対象に、移植組織の導入後に非標的免疫抑制剤を与えるが、1日、15日、30日、60日、90日、または、180日を超えて与えない、実施形態213の方法。
241.前記対象を、前記移植組織の拒絶についてモニターする、実施形態213の方法。
242.非標的免疫抑制剤の用量を選択し、または、前記モニタリングに応じて、非標的免疫抑制剤の用量を選択する、実施形態196〜242のいずれかの方法。
243.前記用量で投与する、実施形態242の方法。
244.選択した用量がゼロである、すなわち、非標的免疫抑制剤を投与しない、実施形態243の方法。
245.選択した用量がゼロではなく、すなわち、非標的免疫抑制剤を投与する、実施形態243の方法。
246.前記用量が、治療化合物の投与をしない場合に投与するであろう量よりも少ない、実施形態243の方法。
247.前記対象が、哺乳動物、例えば、非ヒト哺乳動物である、実施形態196〜246のいずれかの方法。
248.前記対象が、ヒトである、実施形態196〜246のいずれかの方法。
249.前記ドナー及び対象が、HLA遺伝子座、例えば、主流または傍流の遺伝子座でミスマッチする、実施形態213の方法。
250.前記対象が、哺乳動物、例えば、非ヒト哺乳動物である、実施形態249の方法。
251.前記対象が、ヒトである、実施形態249の方法。
252.自己免疫障害を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象を処置する方法であって、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物の治療的有効量を投与し、それにより、前記対象を処置する、ことを含む前記方法。
253.前記治療化合物の提供を、前記自己免疫障害の症状の発症前、または、発症の同定前に開始する、実施形態252の方法。
254.前記治療化合物の提供を、前記自己免疫障害の症状の発症後、または、発症の同定後に開始する、実施形態252〜253のいずれかの方法。
255.自己免疫障害が、1型糖尿病を含む、実施形態252〜254の方法。
256.前記標的組織が、膵島または膵臓ベータ細胞、腸組織(例えば、腸内皮細胞)、腎臓組織(例えば、腎臓上皮細胞)、または、肝臓組織(例えば、肝臓上皮細胞)を含む、実施形態252〜255のいずれかの治療化合物。。
257.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、表3から選択されるポリペプチド、例えば、MAdCAM、OAT1、OCT、DPP6、SEZ6L2、LRP11、DISP2、SLC30A8、FXYD2、TSPAN7、または、TMEM27ポリペプチドに結合する、実施形態252〜256のいずれかの治療化合物。
258.前記治療化合物の提供を、1型糖尿病の症状の発症前、または、発症の同定前に開始する、実施形態252〜257のいずれかの方法。
259.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定前に開始する、実施形態252〜258のいずれかの方法。
260.前記治療化合物の提供を、1型糖尿病の症状の発症後、または、発症の同定後に開始する、実施形態252〜259のいずれかの方法。
261.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定後に開始する、実施形態252〜260のいずれかの方法。
262.前記治療化合物が、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物である、実施形態252〜261のいずれかの方法。
263.前記治療化合物が、多発性硬化症を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態252〜257のいずれかの方法。
264.前記標的組織が、CNS組織、ミエリン鞘、または、乏突起膠細胞のミエリン鞘を含む、実施形態263の方法。
265.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、表3から選択されるポリペプチド、例えば、MOG、PLP、または、MBPポリペプチドに結合する、実施形態263または264のいずれかの方法。
266.前記治療化合物の提供を、多発性硬化症の症状の発症前、または、発症の同定前に開始する、実施形態263〜265のいずれかの方法。
267.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状の対象の同定前に開始する、請求項236〜265のいずれかの方法。
268.前記治療化合物の提供を、多発性硬化症の症状の発症後、または、発症の同定後に開始する、実施形態263〜265のいずれかの方法。
269.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定後に開始する、実施形態263〜265のいずれかの方法。
270.前記治療化合物が、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物である、実施形態263〜269のいずれかの方法。
271.前記治療化合物が、心筋炎を有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態252〜257のいずれかの方法。
272.前記標的組織が、心筋細胞、単球、マクロファージ、または、骨髄細胞を含む、実施形態271の方法。
273.前記エフェクター結合/調節部分、または、標的部分が、表3から選択するポリペプチド、例えば、SIRPA(CD172a)ポリペプチドに結合する、実施形態271または272の方法。
274.前記治療化合物の提供を、心筋炎の症状の発症前、または、発症の同定前に開始する、実施形態271〜273のいずれかの方法。
275.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定前に開始する、請求項271〜273のいずれかの方法。
276.前記治療化合物の提供を、心筋炎の症状の発症後、または、発症の同定後に開始する、実施形態271〜273のいずれかの方法。
277.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定後に開始する、実施形態271〜273のいずれかの方法。
278.前記治療化合物が、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物である、実施形態271〜277のいずれかの方法。
279.前記治療化合物が、関節リウマチを有する、または、そのリスクがある、または、そのリスクが高い対象の処置に適している、実施形態252〜257のいずれかの方法。
280.前記標的組織が、心筋細胞、単球、マクロファージ、または、骨髄細胞を含む、実施形態279の方法。
281.前記エフェクター結合/調節部分、または、前記標的部分が、表3から選択されるポリペプチド、例えば、SIRPA(CD172a)ポリペプチドと結合する、実施形態279または280の方法。
282.前記治療化合物の提供を、関節リウマチの症状の発症前、または、発症の同定前に開始する、実施形態279〜281の方法。
283.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定前に開始する、実施形態279〜281の方法。
284.前記治療化合物の提供を、関節リウマチの症状の発症後、または、発症の同定後に開始する、実施形態279〜281の方法。
285.前記治療化合物の提供を、事前に選択した特徴または症状を有する前記対象の同定後に開始する、実施形態279〜281の方法。
286.前記治療化合物が、実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物である、実施形態279〜285の方法。
287.例えば、末梢循環、または、リンパ系において、前記標的部位から離間した部位での免疫細胞不活性化について対象をモニターする(例えば、免疫抑制チェックポイント分子の望ましくない作動作用をモニターする)、ことを含む、実施形態196〜286のいずれかの方法。
288.例えば、末梢循環、または、リンパ系において、前記標的部位から離間した部位での免疫細胞活性化について対象をモニターする(例えば、免疫抑制チェックポイント分子の望ましくない拮抗作用をモニターする)、ことを含む、実施形態196〜287のいずれかの方法。
289.モニタリングの結果に応じて、前記対象の処置コースを選択する、例えば、前記治療化合物の用量を増加させる、前記治療化合物の用量を減少させる、そのままの用量で前記治療化合物による治療を継続する、実施形態196〜288のいずれかの方法。
290.前記対象を、標的組織の自己免疫攻撃についてモニターする、実施形態196〜289のいずれかの方法。
291.前記モニタリングに応じて、前記治療化合物の用量を選択する、実施形態290の方法。
292.前記用量を投与する、実施形態291の方法。
293.選択した用量がゼロである、すなわち、治療化合物を投与しない、実施形態290の方法。
294.選択した用量がゼロでない、実施形態290の方法。
295.選択した用量が増大した用量である、実施形態290の方法。
296.選択した用量が減少した用量である、実施形態290の方法。
297.投与が、全身投与、例えば、末梢循環系への投与を含む、実施形態196〜296のいずれかの方法。
298.投与が、局所投与、例えば、標的組織への投与を含む、実施形態196〜297のいずれかの方法。
299.本明細書で提供する治療化合物を、治療レベルが、少なくとも1日間、5日間、10日間、14日間、または、28日間、例えば、連続する、または、連続しない日数にわたって存在するように投与することを含む、実施形態196〜298のいずれかの方法。
300.前記対象が、哺乳動物、例えば、非ヒト哺乳動物である、実施形態196〜299のいずれかの方法。
301.前記対象が、ヒトである、実施形態196〜299のいずれかの方法。
302.実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物をコードする核酸分子または複数の核酸分子。
303.実施形態302の核酸分子を含むベクターまたは複数のベクター。
304.実施形態302の核酸分子、または、実施形態303のベクターを含む細胞。
305.実施形態304の細胞を培養して、前記治療化合物を製造することを含む、治療化合物を製造する方法。
306.実施形態1〜195.13のいずれかの治療化合物をコードする核酸配列を作り出す方法であって、
a)標的部分をコードする配列を含むベクターを提供し、そして、エフェクター結合/調節部分をコードする前記ベクター配列に挿入して、治療化合物をコードする配列を形成し、または
b)エフェクター結合/調節部分をコードする配列を含むベクターを提供し、そして、標的部分をコードする前記ベクター配列に挿入して、治療化合物をコードする配列を形成する、ことを含み、
それにより、治療化合物をコードする配列を作り出す、前記方法。
307.前記標的部分を、対象の必要性に応じて選択する、実施形態306の方法。
308.前記エフェクター結合/調節部分を、対象の必要性に応じて選択する、実施形態306または307の方法。
309.前記治療化合物をコードする配列を発現させて、前記治療化合物を製造する、ことをさらに含む、実施形態306または307のいずれかの方法。
310.前記配列、または、前記配列から作り出したポリペプチドを、別の実体、例えば、対象に対して前記治療化合物を投与する医療提供者に移す、ことをさらに含む、実施形態306〜309のいずれかの方法。
311.対象を処置する方法であって:
実施形態306〜310に限らず、本明細書で提供するいずれかの方法によって、治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を別の実体から取得すること、例えば、受け取ること;
前記治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を対象に対して投与し、
それにより、前記対象を処置することを含む、前記方法。
312.前記治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を、別の実体、例えば、前記治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を作り出す実体と同定する、ことをさらに含む、実施形態311の方法。
313.前記治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を、別の実体、例えば、前記治療化合物、または、治療化合物をコードする核酸を作り出す実体に要求する、ことをさらに含む、実施形態311または312の方法。
314.前記対象が、自己免疫障害を有し、かつ、前記治療化合物が、自己免疫障害に特徴的な自己抗原性ペプチドまたはポリペプチドを含まず、例えば、前記対象が保有する自己抗体に対するペプチドまたはポリペプチドを含まない、実施形態311〜333のいずれかの方法。
以下の実施例は、本明細書に記載した化合物、組成物、及び、方法を例示するものであり、これらに限定されない。当業者に公知のその他の適切な変更及び改変は、以下の実施形態の範囲内のものである。
実施例1:HLAを標的としたPD−1アゴナイズ治療化合物
HLAを標的としたPD−1アゴナイズ治療薬の技術
HLA−A2に特異的な結合ドメインを、BB7.2ハイブリドーマ(ATCC)由来のIg重及び軽鎖の可変領域をクローニングし、そして、一本鎖抗体(scFv)に変換して得る。scFvの活性及び特異性は、HLA−A2発現細胞に対するBB7.2の結合を、その他のHLA−A対立遺伝子を発現する細胞と比較して評価することで、確認できる。PD−1結合活性に必要な最小のPD−L1残基を、アミノ酸68〜114に対応するPD−L1 IgVドメインのアミノ酸3’及び5’の必要性を体系的に評価して同定する。発現構築物をデザインし、そして、タンパク質を合成及び精製し、BiacoreでPD−1結合活性を試験する。PD−L1 IgVドメインによるPD−1結合に必要な最小必須アミノ酸を、PD−L1−IgVと称する。BB7.2 scFv、及び、PD−L1−IgV二重特異性分子を生成するために、ドメイン配置VLBB7.2−VHBB7.2−PD−L1−IgV−IgG4 Fcを有する二重特異性一本鎖抗体BB7.2xPD−L1−IgVをコードするDNA断片を合成し、そして、DHFR選択カセットを含む発現ベクターにクローニングする。
発現ベクタープラスミドDNAを、293T細胞に一時的にトランスフェクトし、そして、BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体を、プロテインA/Gカラムを使用して上清から精製する。BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体の完全性を、ポリアクリルアミドゲルで評価する。BB7.2 scFvドメインのHLA−A2に対する結合、及び、PD−L1−IgVドメインのPD−1に対する結合を、ELISA、及び、細胞をベースとしたFACSアッセイで評価する。
BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体のインビトロでの機能は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して評価する。96ウェルプレートフォーマットでは、HLA−A2ドナー由来の照射した100,000個のヒトPBMCを、ウェルごとに分注し、そして、活性化剤として使用する。次いで、HLA−A1レスポンダーT細胞を、増量を行うBB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体とともに加える。72時間にわたって増殖するレスポンダーT細胞の能力を、BrdUの取り込みで評価し、そして、IFNg及びIL2サイトカイン産生を、ELISAで評価する共培養上清でさらに評価を行う。BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体は、HLA−A2−レスポンダーT細胞の増殖と、サイトカイン産生とを阻害することで実証されているように、MLR反応を抑制することが認められている。
BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体のインビボ機能を、皮膚同種移植に寛容なネズミ科のマウスモデルを使用して評価する。マウスのC57BL/6−Tg(HLA−A2.1)1Enge/J(Jackson Laboratories,Bar Harbor Maine)系統を、Balb/cJと交配すると、F1子孫は、HLA−A2.1導入遺伝子を発現し、そして、同種移植片ドナーとして機能する。C57BL/6Jマウスを剃毛し、そして、安楽死させたC57BL/6−Tg(HLA−A2.1)1Enge/JxBalb/cJ F1マウスの皮膚を剥ぎ取って、外科的に移植する。同時に、宿主マウスに対して、BB7.2xPD−L1−IgV二重特異性抗体の腹腔内注射を開始し、同抗体には、マウスIgG1 FcまたはBB7.2だけを、または、PD−L1−IgVだけを含むように操作を施してある。皮膚同種移植片の拒絶または受容を、30日間にわたってモニタリングし、宿主を安楽死させ、そして、リンパ節及び同種移植片に残存するリンパ球集団を定量する。
実施例2:関心のある細胞型または組織を取り囲むプリン作動性ハローを作り出す、エフェクタードメインとしてのCD39及び/またはCD73
CD39及び/またはCD73の触媒的に活性な断片を、標的ドメインに融合する。当該標的部位での結合と蓄積が起こると、CD39は、ATPをAMPに加水分解する。当該標的部位での結合と蓄積が起こると、CD73は、細胞外AMPをアデノシンに脱リン酸化する。本明細書での使用に適したCD39の可溶性触媒活性形態は、ヒト及びマウスの血液で循環することが認められる、例えば、Yegutkin et al.FASEB J.2012 Sep;26(9):3875−83を参照されたい。可溶性組換えCD39断片は、Inhibition of platelet function by recombinant soluble ecto−ADPase/CD39,Gayle,et al.,J Clin Invest.1998 May 1;101(9):1851−1859にも記載されている。適切なCD73分子は、剪断応力によるGPIアンカーのタンパク質分解開裂または加水分解により、内皮細胞の膜から脱落することができる可溶型CD73を含む、例えば、参考文献:Yegutkin G, Bodin P, Burnstock G. Effect of shear stress on the release of soluble ecto−enzymes ATPase and 5’−nucleotidase along with endogenous ATP from vascular endothelial cells. Br J Pharmacol 2000; 129: 921−6を参照されたい。
ATPからAMP、または、AMPからアデノシンの局所触媒作用を受けて、劇症Tエフェクター細胞機能に必要な局所エネルギー貯蔵は枯渇する。Treg機能は、必要なエネルギーの酸化的リン酸化に依存している(必要とするATPがより少ない)ため、ATP枯渇の影響を受けることはなく、T記憶、及び、その他のエフェクター細胞では、解糖機能に依存している(ATPの使用が大きい)ため、影響を免れない。
実施例3:抗体誘発性PD−1シグナル伝達の測定
2つの構築物、1)b−ガラクトシダーゼに融合したヒトPD−1ポリペプチド、別名、「酵素ドナー」、及び、2)b−ガラクトシダーゼに融合したSHP−2ポリペプチド、別名、「酵素アクセプター」を、安定的に発現するJurkat細胞。PD−1抗体を、当該細胞と接触させ、そして、PD−1が結合すると、SHP−2を、PD−1に動員する。当該酵素アクセプター及び酵素ドナーは、アッセイすることができる完全に活性なβ−ガラクトシダーゼ酵素を形成する。このアッセイは、PD−1シグナル伝達の活性化を示すために使用することができる。
実施例4:PD−1アゴニズムの測定。PD−1アゴニストは、T細胞の活性化を阻害する。
特定の理論に縛られるものではないが、PD−1アゴニズムは、抗CD3誘導T細胞活性化を阻害する。ヒトまたはマウスの細胞は、PHA(ヒトT細胞の場合)、または、ConA(マウスT細胞の場合)で事前に活性化して、PD−1を発現する。次に、PD−1アゴニズムアッセイのために、抗PD−1(または、PD−L1)の存在下で、T細胞を、抗CD3で「再活性化」する。抗CD3の存在下でPD−1アゴニストシグナルを受け取るT細胞は、抗CD3刺激だけと比較して、活性化の低下を示す。活性化は、増殖またはサイトカイン産生(IL−2、IFNg、IL−17)によって、また、場合によっては、CD69活性化マーカーなどのその他のマーカーによって、読み取ることができる。
実施例5:抗MAdCAM/マウスPD−L1融合タンパク質の発現と機能は、分子配置の影響を受けない
抗マウスMAdCAM抗体/マウスPD−L1分子を含む二重特異性融合分子を、2つの配向で発現した。第1の配向は、マウスPD−L1が、その重鎖のc末端に融合した抗マウスMAdCAM IgGから構成されていた。第2の配向は、Ig FcドメインのN末端で融合したマウスPD−L1と、c末端で融合した抗マウスMAdCAM scFvとから構成されていた。双方の分子は、哺乳類の発現システムで十分に発現することが認められた。また、これらの分子が、それぞれの結合パートナーであるMAdCAMまたはPD−1に、双方の配向で同時に結合できることも認められた。これらの結果は、PD−L1に融合した抗MAdCAM抗体からなる分子が、PD−L1が、Fcに対して、NまたはC末端融合でき、そして、適切な機能性結合活性を保持する構成で発現できる、ことを実証している。
簡単に説明すると、ヒトIgG1 FcドメインのN末端に融合したマウスPD−L1、及び、c末端に融合した抗MAdCAM scFv MECA−89を有する単一ポリペプチドをコードする単一遺伝子を含むpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。あるいは、2つのプラスミドを、等モル比で同時トランスフェクトした。第1のプラスミドは、MECA−89の軽鎖をコードし、かつ、第2のものは、c−末端に融合したマウスPD−L1を有するMECA−89の全長IgG1重鎖をコードした。5〜7日後、これらの分子を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離と、0.22umろ過装置でろ過して清澄化した。この二重特異性分子を、proA樹脂で捕捉した。この樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、そして、捕捉した分子を、1M容量の1M Tris pH8.5を使用して中和しながら、100mMグリシンpH2.5を使用して溶出した。このタンパク質を、PBS pH7.4で緩衝剤交換し、そして、Superdex200 3.2/300でのサイズ排除クロマトグラフィーで分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、1ugの精製物質の分析を実施した。
配向に関係なく、双方のタンパク質を、10mg/Lを超えて発現し、そして、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEで示したように、精製後に95%以上が単分散した。したがって、このことは、FcドメインのN及びC末端に異なる免疫調節剤と組織標的部分とを備えた、二重機能二重特異性分子の産生及び活性を実証している。このことは、PD−1アゴニスト、及び、結合パートナーが、Ig FcドメインのNまたはC末端で発現できることも具体的に示している。
実施例6:MAdCAMに結合したPD−1アゴニストプロトタイプを含む二重特異性分子は、MAdCAM及びPD−1を同時に結合することができる。
簡単に説明すると、免疫吸着プレートを、1μg/mLの濃度のマウスPD−1を含むPBS pH7.4で、75ul/ウェルになるようにコーティングし、そして、4℃で、一晩、インキュベートした。0.05%Tween−20(洗浄緩衝剤)を含むPBS pH7.4で、ウェルを3回洗浄し、次いで、1%BSAを含むPBS pH7.4(ブロック緩衝剤)を、200ul/ウェルにして、室温で、2時間ブロックした。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、N末端またはC末端にPD−1アゴニストプロトタイプを含む2つの二重特異性分子を、1%BSA及び0.05%Tween−20(アッセイ緩衝剤)を含むPBSで、1nM、10nM、及び、100nMに希釈した。希釈した材料を、マウスPD−1コーティングプレートに対して、75ul/ウェルで、室温で、1時間加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、マウスMAdCAMを、アッセイ緩衝剤で10nMの濃度にして、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、アッセイ緩衝剤で0.5μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗マウスMAdCAMポリクローナル抗体を、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、1:5000のアッセイ緩衝剤で希釈した高感度ストレプトアビジンHRPを、15分間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、洗浄緩衝剤(tween−20不含)で1回洗浄して、TMBでアッセイを進展させ、そして、1N HCLで停止した。OD 450nmを測定した。この実験は、マウスPD−1の非存在下でのプレート/ブロックへの非特異的結合の適切なコントロールを含んでおり、ならびに、MAdCAMコントロールは使っておらず、そして、マウスPD−1とマウスMAdCAMとの間に架橋を形成できない単一特異的コントロールを含んでいた。
これらの結果は、1nM、10nM、及び、100nMの濃度で、双方の二重特異性分子が、マウスMAdCAM及びマウスPD−L1と同時に相互作用できる一方で、単一特異性コントロールが、架橋シグナルを生成しない、ことを実証した。加えて、マウスPD−1が当該プレート表面に存在しない場合、試験したあらゆる濃度で、MAdCAMに対する化合物の結合は存在しておらず、このことは、当該試験化合物が、当該プレート表面と非特異的に相互作用しないことを示した。したがって、これらの結果は、MAdCAMとPD−1の双方に対する結合を標的にしている二重特異性分子が、双方の分子に対して首尾良く結合することができることを実証した。これらの実験は、PD−1抗体の代替としてPD−L1を使用して行ったが、PD−1抗体も同様に機能するものと考られる。
実施例7:二重特異性PD−L1プロトタイプ分子は、PD−1アゴニストアッセイでT細胞を阻害する
PD−1作動性抗体を模倣する二重特異性分子を試験して、PD−1アゴニズムが、T細胞を阻害できることを実証した。簡単に説明すると、7週齢のメスのC57LB/6マウスを屠殺し、そして、脾細胞を単離した。これらの脾細胞を、3日間、ConAに曝露し、そして、PD−1型分子の存在下または非存在下で抗CD3に曝露し、この実施例では、同分子は、抗ヒトIgGを使用して、プレートに結合したPD−L1二重特異性分子であった。次に、T細胞を、PD−L1二重特異性分子に導入した。PD−1抗体を模倣するPD−L1は、T細胞アゴニストであり、そして、T細胞活性化を阻害することが認められた。MAdCAMコーティングプレートと相互作用することで、プレートに結合した抗MAdCAM抗体と融合したPD−L1二重特異性分子を使用して、同じ実験を反復した。PD−1アゴニスト模倣体であるPD−L1/抗MAdCAM抗体は、T細胞活性の効果的なアゴニストであることが認められた。これらの結果は、PD−1抗体/MAdCAMAb融合タンパク質を模倣する二重特異性分子が、分子の末端にある当該MAdCAM抗体成分を介して、当該分子を捕捉すると、一次マウスT細胞芽細胞への機能性阻害シグナルを伝達できることを実証している。
実施例8:異なる組織結合を有する二重特異性PD−1プロトタイプ分子は、PD−1アゴニストアッセイにおいて、T細胞を阻害することができる
PD−L1の融合分子を、PD−1抗体の代替として使用して、クラスIH−2Kk抗体に結合させた。実施例6及び7に記載したデータと同様に、MHCクラスIH−2Kk結合PD−L1分子は、機能性結合を有していた。簡単に説明すると、C57Bl/6マウスの脾細胞を、コンカナバリンA(ConA)とIL−2で、3日間、刺激した。プレートを、4Cで、一晩、抗CD3(2C11)でコーティングし、次いで、洗浄した。プレートを、37Cで、3時間、抗ヒトIgGでコーティングし、次いで、洗浄した。単一特異性抗H−2Kk(16−3−22)、または、二重特異性抗H−2Kk:mPD−L1を添加し、そして、37Cで、3時間、インキュベートし、次いで、洗浄した。すべての試験試料は、ヒトIgG1−Fc部分を含んでいた。PBS(Tx不含)を添加して、アッセイのバックグラウンドを決定した。ConA芽球を、2回洗浄し、プレートに加え、そして、37Cでインキュベートした。24時間後に、上清を除去した。IFNgレベルを、MSDで決定した。48時間後、細胞生存率/代謝を、Cell Titer−gloで分析した。当該IgG Fcドメインを介して捕捉すると、MHCクラスI結合PD−L1二重特異性は、マウスPD−1アゴニズムアッセイで、T細胞活性化を減衰させることができる。したがって、この実施例は、MHCクラスI H−2Kkに対するマウス抗体の事例では、異なる二重特異性プロトタイプ分子は、当該分子が異なる組織連結を介して捕捉すると、初代マウスT細胞芽細胞に、機能性阻害シグナルを発揮できることを実証している。したがって、このデータは、当該結合が、MAdCAMに特異的ではなく、かつ、本明細書で提供する標的部分として作用することができるその他の分子で可能であることを実証している。
実施例9:PD−1アゴニストは、Jurkat細胞のシグナル伝達を誘導できる
ベータ−ガラクトシダーゼ酵素ドナーに融合したヒトPD−1と、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素アクセプターに融合したSHP−2との双方を発現するJurkat細胞を、プレートの試験条件に加え、そして、2時間、インキュベートする。アゴニストPD−1抗体は、シグナル伝達とSHP−2の補充、酵素の追加、及び、活性ベータ−ガラクトシダーゼ酵素の形成を誘導する。ベータ−ガラクトシダーゼ基質を加えると、化学発光は、標準的な発光プレートリーダーで測定できる。アゴニズムを、化学発光で測定し、測定される化学発光が大きいほど、アゴニズムが大きいことを示す。
このアッセイでは、PD−1/MAdCAM二重特異性分子のアゴニズムを測定した。C110(UCB)、及び、CC−90006(Celgene/Anaptys)を、PD−1作動性抗体として使用した。どちらにも活性があり、そして、Ig捕捉アッセイフォーマットの機能アッセイでPD−1アゴニズムを示す。簡単に説明すると、プレートを、4Cで、一晩、抗ヒトIgGでコーティングし、そして、洗浄した。抗破傷風毒素(TT)、または、ベンチマーク作動性抗PD−1モノクローナル抗体、C110、または、CC−90006を加え、37Cで、1時間、インキュベートし、そして、洗浄した。すべての試験試料は、ヒトIgG1−Fcを含んでいた。培地(Tx不含)を加えて、アッセイのバックグラウンドを決定した。プレートを、3回洗浄した。b−ガラクトシダーゼ酵素ドナーに融合したヒトPD−1と、b−ガラクトシダーゼ酵素アクセプターに融合したSHP−2との双方を発現するJurkat細胞を加え、そして、2時間、インキュベートした。アゴニストPD−1抗体は、シグナル伝達とSHP−2の補充、酵素の追加、及び、活性b−ガラクトシダーゼ酵素の形成を誘導する。B−ガラクトシダーゼ基質を加え、そして、標準的な発光プレートリーダーで化学発光を測定した。2つのヒトPD−1作動性抗体(C110、及び、CC−90006)は、改変したJurkatレポーターアッセイにおいて、シグナル伝達(アゴニズムの代わりとなるもの)に結合して誘導する。したがって、このアッセイは、機能性PD−1アゴニズムアッセイである。C110:MECA89(MECA89は、公知のMAdCAM抗体である)は、MAdCAM抗体であるMECA89[scFv]を、C110の重鎖のC末端に融合して作成した新規の二重特異性分子である。この融合タンパク質は、C110だけのタンパク質と同様に、IgG Fcドメインを介して捕捉すると、機能性アッセイにおいて、活性を示し、また、PD−1アゴニズムを示す、ことが認められた。しかしながら、C110:MECA89だけが、MAdCAMタンパク質を捕捉物として使用する機能アッセイフォーマットにおいて活性化する(単一特異性成分は、シグナル伝達しない)。
簡単に説明すると、プレートを、4Cで、一晩、抗ヒトIgG、または、組換えmMAdCAM−1でコーティングし、そして、洗浄した。単一特異性抗破傷風毒素(TT)、抗MAdCAM−1(MECA89)、または、作動性抗PD−1(C110)、または、二重特異性C110:MECA89を加え、37Cで、1時間、インキュベートし、そして、洗浄した。すべての試験試料は、ヒトIgG1−Fc部分を含んでいた。PBS(Tx不含)を添加して、アッセイのバックグラウンドを決定した。プレートを、2回洗浄した。b−ガラクトシダーゼ酵素ドナーに融合したヒトPD−1と、b−ガラクトシダーゼ酵素アクセプターに融合したSHP−2との双方を発現するJurkat細胞を加え、そして、2時間、インキュベートした。アゴニストPD−1抗体は、シグナル伝達とSHP−2の補充、酵素の追加、及び、活性b−ガラクトシダーゼ酵素の形成を誘導する。B−ガラクトシダーゼ基質を加え、そして、標準的な発光プレートリーダーで化学発光を測定した。結果:プレートを、抗IgGFc捕捉剤でコーティングすると、C110と、MAdCAMで結合したC110二重特異性分子との双方は、Jurkatレポーターアッセイにおいて、PD−1シグナルを誘導することができるが、当該プレートを、組換えMAdCAMタンパク質でコーティングすると、レポーターアッセイにおいて、MAdCAMに結合した二重特異性分子だけが、PD−1シグナルを誘導することができる。これらの結果は、PD−1アゴニストの代わりとなるPD−L1で認められた結果と同様に、MAdCAMで結合し、かつ、PD−1アゴニスト抗体を含む分子が、機能性であることを実証している。
実施例10:PD−1作動性抗体の生成
PD−1に対する免疫応答を生成する条件下で、マウスPD−1で、PD−1欠損マウスを免疫処置した。マウスPD−1に結合する54個のハイブリドーマを生成し、そして、同定した。異なるハイブリドーマが産生した抗体を、実施例4及び6に記載した方法に従って、T細胞アゴニズムについて分析をした。54種のハイブリドーマの内、少なくとも6種を、PD−1アゴニストとして同定した。これらの抗体は、PD−1に対する結合についても試験を行い、そして、PD−L1結合部位と同じ部位で結合することが認められた。
簡単に説明すると、PD−L1結合部位への結合を、以下のアッセイを使用して決定した。免疫吸着プレートを、1×PBS、pH7.4において、組換えマウスPD−L1−Fc(2μg/mL)の75μLで、一晩、コーティングした。次いで、プレートを、1×PBSで、3回洗浄し、そして、1%BSAを補充した1×PBSで、室温で、2時間ブロックした。組換えマウスPD−1−Fc(1nM)を、1%BSAと、0.05%Tween20(アッセイ緩衝剤)を補充した1×PBSにおいて、100nMの標記抗マウスPD−1抗体と、室温で、1時間、インキュベートし、そして、震盪した。ブロッキングした後に、プレートを、0.05%Tween20 PBSTを補充した1×PBSで、3回洗浄し、そして、抗体−PD−1コンジュゲートを、プレートに結合したマウスPD−L1とインキュベートした。未結合のPD−1をPBSTで洗い流した後に、プレートを、ビオチン化ポリクローナル抗PD−1抗体(0.5μg/mL)を含むアッセイ緩衝剤の75μLと共にインキュベートし、続いて、同じくアッセイ緩衝剤で希釈した1:5000ストレプトアビジンHRPを用いて増幅した。プレートを、PBSTで、3回洗浄し、続いて、1×PBSで、3回洗浄した後に、100μLのTMBを添加し、続いて、100μLの1M HClで進行を停止した。450nmで吸光度を読み取り、そして、抗体の非存在下で、PD−L1に対するPD−1の結合に対して正規化した。それらの結果は、当該活性抗体が、当該PD−L1結合部位に結合することを示した。当該不活性な抗体は、PD−L1結合部位に結合しなかった。したがって、この実施例は、本明細書に記載する以前に同定したPD−1作動性抗体に加えて、アゴニストである抗PD−1抗体を産生する能力を実証している。
実施例11:結合した抗PD−1抗体は、PD−1アゴニストとして作用する
ヒト抗体scFvファージライブラリーを、組換えヒト、マウス、及び、イヌPD−1タンパク質に対して、反復選択ラウンドを経てパンニングをして、前述した3つのPD−1の全種のオーソロガスを認識する抗体クローンを濃縮した。これらのscFvクローンは、nt−VH−リンカー−VL−ctフォーマットで構成されており、そして、pIIIコートタンパク質を介して、M13ファージ表面に融合した。選択の後に、CHO細胞の細胞表面に発現したヒト、マウス、及び、イヌPD−1に対する結合について、クローンscFvをスクリーニングした。3つすべての細胞表面発現したPD−1種オーソロガスに対して交差反応性が認められたクローンを、標準的な分子生物学技術を使用して、ヒトIgG1フォーマットに変換し、それにより、各分子は、合計で4つのポリペプチド鎖(2つの重鎖と、2つの軽鎖)で構成されていた。2つの軽鎖は、互いに同一であり、また、2つの重鎖は、提示したように互いに同一であった。
2つの同一の重鎖が、ホモ二量化し、そして、2つの同一の軽鎖が、各重鎖と対になって、インタクトなヒトIgG1を形成する。当該Fcドメインは、FcγR相互作用を除去するL234A、L235A、及び、G237A突然変異を含む。当該変換したヒトIgG1抗PD−1抗体をトランスフェクトし、そして、HEK293 Expi細胞で発現させ、さらに、プロテインAクロマトグラフィーで精製した。当該タンパク質濃度は、ナノドロップ分光光度計と、抗体特異的吸光係数とを組み合わせて使用して決定した。抗体は、PBS pH7.4で製剤した。
次に、当該抗PD−1抗体を、アゴニスト活性について、本明細書に記載したJurkatアッセイで試験した。簡単に説明すると、組織培養プレートを、抗IgGでコーティングし、または、コーティングせずに放置した。捕捉フォーマットでは、試験試料またはコントロールを、抗IgGでコーティングしたウェルに対して、100nM、25nM、または、12.5nMで加え、37Cで、3時間、インキュベートした。プレートを洗浄し、そして、Jurkat PD−1細胞を加えた。可溶性フォーマットでは、予めJurkat PD1細胞を含有する、100nM、25nM、または、12.5nMのウェルに対して、可溶性試験試料、または、コントロールを加えた。プレートリーダーで、発光を測定した。それらの結果は、抗PD−1抗体を、抗IgGを介して捕捉するが、12個のヒト/マウス交差反応性PD−1抗体の内の9つが、可溶性フォーマットではなく、Jurkatアッセイで、用量依存的活性を示すことを実証した。このデータは、当該抗PD−1抗体が、標的部分によって、その標的に結合すると、アゴニストとして作用できることを実証している。
結論として、特定の理論に縛られるものではないが、本明細書に記載したデータは、PD−1アゴニスト/MAdCAM二重特異性分子が、MAdCAM及びPD−1の双方に結合し、また、T細胞活性をアゴナイズすることも実証している。したがって、これらの分子を使用して、本明細書で提供する様々な病態を処置し、そして、局所的、及び/または、組織特異的免疫調節及びT細胞応答のダウンレギュレーションをもたらすことができる。
実施例12:IL−2ムテインの生成
ヒトIgG1 FcドメインのN末端(配列番号57)またはC末端(配列番号58)に融合したヒトIL−2Mポリペプチドをコードする単一遺伝子を含むpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。5〜7日後に、IL−2Mを発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離と、0.22umろ過装置で過とを行って清澄化した。IL−2Mを、proA樹脂で捕捉した。当該樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、そして、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉したタンパク質を溶出した。当該タンパク質を、30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、Superdex 200 3.2/300カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、5ugの精製物の分析を実施した。これらのIL−2Mを、10mg/Lを超えて発現しており、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEが示すように、精製後に、95%超が単分散した。
実施例13:IL−2M分子は、CD25に結合することができる
免疫吸着プレートを、0.5μg/mLの濃度のCD25を含むPBS pH7.4で、75ul/ウェルになるようにコーティングし、そして、4℃で、一晩、インキュベートした。0.05%Tween−20(洗浄緩衝剤)を含むPBS pH7.4で、ウェルを洗浄し、次いで、1%BSAを含むPBS pH7.4(ブロック緩衝剤)を、200ul/ウェルにして、室温で、2時間ブロックした。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、実施例12のIL−2M分子を、1%BSA及び0.05%Tween−20(アッセイ緩衝剤)を含むPBSで、11〜2倍の段階希釈で希釈を行い、2nMを最高濃度とした。希釈した材料を、CD25コーティングプレートに対して、75ul/ウェルで、室温で、1時間加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、アッセイ緩衝剤で0.05μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗IL−2ポリクローナル抗体を、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、1:5000のアッセイ緩衝剤で希釈した高感度ストレプトアビジンHRPを、15分間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、洗浄緩衝剤(tween−20不含)で1回洗浄して、TMBでアッセイを進展させ、そして、1N HCLで停止した。OD 450nmを測定した。この実験は、CD25、及び、CD25に結合できないネガティブコントロール分子の非存在下で、プレート/ブロックに対するIL−2M分子の非特異的結合の適切なコントロールを含んでいた。
これらの結果は、2nM〜1.9pMの濃度で、IL−2M分子を、CD25に対して、基準未満のナノモルEC50で結合できたことを示す。加えて、当該プレート表面にCD25が存在しない場合、試験したいずれの濃度にあっても、化合物が全く検出されておらず、このことは、どの試験化合物も、当該プレート表面とは非特異的に相互作用しないことを示す(データは示さず)。
実施例14:IL−2M分子の効力及び選択性を決定するインビトロP−STAT5アッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、FICOLL−PAQUE Premium及びSepmateチューブを使用して、新たに分離したヘパリン化ヒト全血から調製した。PBMCを、実施例12の野生型IL−2、または、IL−2Mの存在下で、10%ウシ胎児血清RPMI培地で、20分間、培養し、その後、BD Cytofixで、10分間、固定した。固定した細胞を、BD Perm III、次いで、BioLegend FOXP3の透過処理バッファーで順次に透過処理した。ヒト血清で、10分間、ブロッキングした後に、細胞を、phospho−STAT5 FITC、CD25 PE、FOXP3 AF647、及び、CD4 PerCP Cy5.5の抗体で、30分間、染色し、次いで、プレートリーダーを備えたAttune NXTで取得した。実施例12のIL−2Mは、Tregでは、STAT5リン酸化を、強力かつ選択的に誘導するが、Teffでは認められない。
実施例15:二重特異性MAdCAM結合IL−2M分子の生成方法
GGGGS(x3)リンカーを備えた本明細書で提供したLALA突然変異を有するFcタンパク質に融合したN88D、V69A、及び、Q74P突然変異を有するIL−2ムテインと、MAdCAM、または、類似の分子に結合するが、ヒトIgG1 FcドメインのN末端に融合したヒトIL−2M、及び、c末端に融合した抗mMAdCAM scFv MECA−89を有するGGGGS(x4)リンカーB0002を備えたscFVとを含む、単一B0001ポリペプチドをコードする単一遺伝子を含むpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。B0003では、2つのプラスミドを、等モル比で、同時トランスフェクトした。第1のプラスミドは、MECA−89の軽鎖をコードし、そして、第2のものは、c−末端に融合したヒトIL−2Mを有するMECA−89の全長IgG1重鎖をコードした。5〜7日後に、B0001、B0002、及び、B0003を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離、及び、0.22umろ過装置でろ過して清澄化した。B0001、B0002、及び、B0003を、proA樹脂で捕捉した。この樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉タンパク質を溶出させた。当該タンパク質を、30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、Superdex 200 3.2/300カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、1ugの精製物の分析を実施した。
B0001、B0002、及び、B0003は、8mg/Lを超えて発現しており、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEが示すように、精製後に、95%超が単分散した。この実験は、NまたはC末端のいずれかに免疫調節剤を有する二重機能二重特異性分子を産生することができ、また、IL−2Mタンパク質の位置(NまたはC末端のいずれか)が、発現を有意に変更せず、したがって、いずれのフォーマットも使用できることを示す。
実施例16:二重特異性MAdCAM結合IL−2M分子は、MAdCAMとCD25とを同時に結合できる
免疫吸着プレートを、1μg/mLの濃度の組換えマウスMAdCAM−1を含むPBS pH7.4で、75ul/ウェルになるようにコーティングし、そして、4℃で、一晩、インキュベートした。0.05%Tween−20(洗浄緩衝剤)を含むPBS pH7.4で、ウェルを3回洗浄し、次いで、1%BSAを含むPBS pH7.4(ブロック緩衝剤)を、200ul/ウェルにして、室温で、2時間ブロックした。洗浄緩衝剤、B0001、B0002、B0003で、3回洗浄した後に、1%BSA及び0.05%Tween−20(アッセイ緩衝剤)を含むPBSで、1nM、10nM、及び、100nMに希釈した。希釈した材料を、マウスMAdCAM−1コーティングプレートに対して、75ul/ウェルで、室温で、1時間加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、アッセイ緩衝剤で10nMの濃度にしたヒトCD25を、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、アッセイ緩衝剤で0.4μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗CD25ポリクローナル抗体を、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、1:5000のアッセイ緩衝剤で希釈した高感度ストレプトアビジンHRPを、15分間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、洗浄緩衝剤(tween−20不含)で1回洗浄して、TMBでアッセイを進展させ、そして、1N HCLで停止した。OD 450nmを測定した。この実験は、マウスMAdCAM−1の非存在下でのプレート/ブロックに対する実施例15のタンパク質の非特異的結合の適切なコントロールを含んでおり、ならびに、ヒトCD25とマウスMAdCAMとの間に架橋を形成することができないCD25コントロール、及び、単一特異的コントロールは含んでいなかった。
1nM、10nM、及び、100nMの濃度で、実施例15の二重特異性分子は、マウスMAdCAMとヒトCD25とを同時に相互作用することができるが、単一特異性コントロールは、架橋シグナルを生成しないことが明らかになった。加えて、当該プレート表面にマウスMAdCAM−1が存在しない場合、あらゆる試験濃度でCD25に対してあらゆる化合物が結合しなかったことは、当該試験化合物が、当該プレート表面と非特異的に相互作用していないことを示すものであった。これらの結果は、ELISAなどの機能性結合アッセイにおいて、当該二重特異性分子が、MAdCAMとCD25との双方に同時に結合できることを実証している。
実施例17:溶液内にある場合、または、結合している場合の二重特異性MAdCAM結合IL−2Mの活性及び選択性を実証するインビトロでのP−STAT5アッセイ
組換えマウスMAdCAMを、96ウェル高結合性プレート(Corning)のウェルに、一晩、コーティングさせた。PBSで2回洗浄した後に、当該プレートを、10%FBS RPMI培地で、1時間、ブロックした。実施例15のMAdCAM結合IL−2M二重特異性、または、未結合IL−2Mコントロール(実施例12で調製したものなど)を、1時間、捕捉した。PBSで2回洗浄した後に、新たに単離したヒトPBMCを、捕捉したIL−2M、または、溶液内のIL−2Mと比較するために、60分間、刺激した。次に、細胞を、BD Cytofixで、10分間、固定し、BD Perm III及びBioLegend FOXP3透過性緩衝剤で連続して透過処理を行い、ヒト血清でブロックし、そして、ホスホ−STAT5 FITC(CST)、CD25 PE、FOXP3 AF647、及び、CD4 PerCP Cy5.5(BD)に対する抗体で、30分間、染色し、及び、プレートローダーを備えたAttune NXTで取得した。溶液では、双方の分子は、TregとTeffで同等の活性と選択性を有している。マウスMAdCAMでコーティングしたプレートは、実施例15の二重特異性分子を捕捉することができ、そして、捕捉/固定化した二重特異性分子は、TeffよりもTregを選択的に活性化することもできた。この実施例は、MAdCAMと結合したIL−2M分子が、溶液内にある場合、または、捕捉/固定化している場合に、生物活性と選択性を保持することができることを実証している。
実施例18:IL−2ムテインの免疫原性
IL−2ムテイン配列を、www”dot”cbs”dot”dtu”dot”dk/services/NetMHCIIpan/でのNetMHCIIPan 3.2ソフトウェアを使用して分析した。人工神経回路網を使用して、MHCクラスII対立遺伝子に対するペプチド親和性を決定した。その分析では、MHCクラスII分子と潜在的に直接相互作用する9残基のペプチドを、結合コアとして認識した。間接的に結合に影響を与える可能性がある結合コアに隣接する残基も、マスキング残基として調べた。当該結合コアとマスキング残基との双方を含むペプチドをMHCクラスII分子に対する予測Kが50nM未満の場合には、強力なバインダーとして認識した。強力なバインダーは、T細胞の免疫原性を導入する可能性が大きい。
コンピューターでの分析は、北米及びヨーロッパで最も代表的な合計で9つのMHCII対立遺伝子を含んでいた。試験したIL−2M(IL−2ムテイン)分子のパネルは、L53I、L56I、L80I、または、L118I突然変異を含むIL−2ムテインであった。MHCII対立遺伝子DRB1_1101、DRB1_1501、DRB1_0701、及び、DRB1_0101だけが、評価したいずれかの分子とヒットした。DRB_1501についてのペプチドヒットは、C125S突然変異を含む野生型IL−2を含む、試験したすべての構築物の間で同一であった。L80Iを追加すると、DRB1−0101の1つのT細胞エピトープ[ALNLAPSKNFHLRPR]が除去され、そして、その他の2つのT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR及びEALNLAPSKNFHLRP]の親和性がわずかに低下する。MHCII対立遺伝子DRB1−0701の場合、L80Iは、1つのT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR]を除去する。したがって、このデータは、L80I突然変異を含むIL−2ムテインの免疫原性が小さいことを実証しており、このことは、驚くべきことであり、かつ、コンピューターでの分析からは予測しえない結果である。
実施例19:さらなるIL−2ムテインの生成
ヒトIgG1 FcドメインのN末端に融合したヒトIL−2Mを有する、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56の単一IL−2M(IL−2ムテイン)(及び、IL−2Mコントロール;配列番号50)ポリペプチドをコードする単一遺伝子を含むpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。5〜7日後に、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56(及び、IL−2Mコントロール;配列番号50)を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離、及び、0.22umろ過装置でろ過して清澄化した。配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56(及び、IL−2Mコントロール;配列番号50)を、proA樹脂で捕捉した。この樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉タンパク質を溶出させた。当該タンパク質を、30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、Superdex 200 3.2/300カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、5ugの精製物の分析を実施した。
IL−2M配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56(及び、IL−2Mコントロール;配列番号50)は、45mg/Lを超えて発現しており、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEが示すように、精製後に、95%超が単分散した。
実施例20:実施例19のIL−2Mは、CD25に結合できる
免疫吸着プレートを、0.5μg/mLの濃度のCD25を含むPBS pH7.4で、75ul/ウェルになるようにコーティングし、そして、4℃で、一晩、インキュベートした。0.05%Tween−20(洗浄緩衝剤)を含むPBS pH7.4で、ウェルを洗浄し、次いで、1%BSA(ブロック緩衝剤)を含むPBS pH7.4を、200ul/ウェルにして、室温で、2時間ブロックした。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、IL−2M配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56を、1%BSA及び0.05%Tween−20(アッセイ緩衝剤)を含むPBSで、11〜2倍の段階希釈で希釈を行い、2nMを最高濃度とした。希釈した材料を、CD25コーティングプレートに対して、75ul/ウェルで、室温で、1時間加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、アッセイ緩衝剤で0.05μg/mLに希釈したヤギビオチン化抗IL−2ポリクローナル抗体を、1時間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、1:5000のアッセイ緩衝剤で希釈した高感度ストレプトアビジンHRPを、15分間、室温で、75ul/ウェルで、プレートに対して加えた。洗浄緩衝剤で3回洗浄した後に、洗浄緩衝剤(tween−20不含)で1回洗浄した後に、TMBでアッセイを進展させ、そして、1N HCLで停止した。OD 450nmを測定した。この実験は、CD25の非存在下で、プレート/ブロックに対する当該分子の非特異的結合の適切なコントロールを含んでいた。これらの結果は、2nM〜1.9pMの濃度で、実施例19のムテインを、CD25に対して、基準未満のナノモルEC50で結合できたことを示す。加えて、当該プレート表面にCD25が存在しない場合、試験したいずれの濃度にあっても、化合物が全く検出されておらず、このことは、どの試験化合物も、当該プレート表面とは非特異的に相互作用しないことを示す。したがって、実施例19のムテインは、CD25に結合することができる。
実施例21:実施例19のIL−2ムテインは強力かつ選択的である
末梢血単核細胞(PBMC)を、FICOLL−PAQUE Premium及びSepmateチューブを使用して、新たに分離したヘパリン化ヒト全血から調製した。PBMCを、野生型IL−2、または、実施例19のムテインの存在下で、10%ウシ胎児血清RPMI培地で、20分間、培養し、その後、BD Cytofixで、10分間、固定した。固定した細胞を、BD Perm III、次いで、BioLegend FOXP3の透過処理緩衝剤で順次に透過処理した。ヒト血清で、10分間、ブロッキングした後に、細胞を、phospho−STAT5 FITC(CST)、CD25 PE、FOXP3 AF647、及び、CD4 PerCP Cy5.5(すべてBD)の抗体で、30分間、染色し、次いで、プレートリーダーを備えたAttune NXTで取得した。実施例19のIL−2ムテインは強力であり、Treg対Teffに対して選択性を有することも認められた。L118I突然変異を含むムテインは、その他のムテインと比較して、活性と選択性が増大していた。
実施例22:IL−2ムテインはヒト化マウスのTregを増殖する
ヒトCD34+造血幹細胞でヒト化したNSGマウスを、Jackson Labsから購入した。0日目及び7日目に、これらのマウスに対して、1μgのIL−2ムテイン(配列番号50)、または、その他のIL−2ムテイン配列番号53、配列番号54、配列番号55、または、配列番号56を皮下投与した。7日目に、マウスを安楽死させ、そして、全血と脾臓を採取した。全血を、96ウェルディープウェルプレートに分注し、そして、BD Fix Lyseを使用して、10分間、固定した。70umフィルター(BD)を使用して脾細胞を単離し、そして、BioLegendのRBC溶解緩衝剤を使用して赤血球を溶解した。2%ウシ胎児血清PBSで洗浄した後に、脾細胞を、近赤外生死染色(Invitrogen)で、20分間、標識し、次いで、BioLegend固定緩衝剤を使用して、20分間、固定した。その後、全血細胞と脾細胞の双方を、BioLegend FOXP3透過処理緩衝剤を使用して透過処理し、ヒト血清でブロックし、そして、ヒトCD8a FITC(BL)、ヒトCD25 PE(BD)、ヒトFOXP3 AF647(BD)CD4 PerCP Cy5.5(BD)、ヒトSiglec−8 PE Cy7(BL)、ヒトCD3 BV421(BL)、ヒトCD45 BV605(BL)、ヒトCD56 BV785(BL)、及び、マウスCD45(BV711)に対する抗体で、30分間、染色し、そして、プレートリーダーを備えたAttune NXTで取得した。
ビヒクルコントロールと比較して、IL−2M配列番号54及び配列番号56は、マウス脾臓及び全血において、Tregを選択的に誘導した(Dunnの多重比較試験を用いたANOVAで、p<0.0005)。その他のIL−2もTregの頻度を増加させたが、ビヒクル群と比較して、これらの変化は、統計的に有意ではなかった。配列番号54及び配列番号56を投与したマウスでは、CD56pos NK細胞、CD3pos T細胞、CD8pos 細胞傷害性Tリンパ球、CD4pos ヘルパーT細胞、または、CD25lo/FOXP3neg Tエフェクターの頻度に有意な変化はなかった。これらの結果は、IL−2ムテインが、制御性T細胞の頻度を増加させることを実証している。
実施例23:二重特異性mAdCAM結合IL−2M分子の生成
二重特異性MAdCAM−IL−2ムテインを生成し、その抗体は、MECA89の重鎖と軽鎖であった。このものを、重鎖と軽鎖の双方をコードする2つのプラスミドを等モル比で同時トランスフェクトして作成した。第1のプラスミドは、MECA−89の軽鎖をコードし、そして、第2のものは、L118I突然変異を含むヒトIL−2MにC末端で融合したMECA−89の全長IgG1重鎖をコードした。3〜5日後に、二重特異性を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離と、0.22umろ過装置で過とを行って清澄化した。二重特異性を、proA樹脂で捕捉した。当該樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、そして、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉したタンパク質を溶出した。当該タンパク質を、30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、AdvanceBio SECカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、1ugの精製物の分析を実施した。
当該二重特異性分子は、17mg/Lで発現しており、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEが示すように、精製後に、95%超が単分散した。これらの結果は、C末端に免疫調節物質を有する二重機能性二重特異性分子を生成できたことを実証している。
実施例24:MAdCAM抗体の生成
ヒト抗体scFvファージライブラリーを、組換えヒト、マウス、及び、イヌMAdCAMタンパク質に対して反復選択ラウンドにわたってパニングして、MAdCAMの3つの上記した種のオーソロガスをすべて認識する抗体クローンを濃縮した。これらのscFvクローンを、nt−VH−リンカー−VL−ctフォーマットで構成し、そして、pIIIコートタンパク質を介して、M13ファージ表面に融合した。選択の後に、CHO細胞の細胞表面で発現したヒト、マウス、及びイヌMAdCAMに対する結合について、クローンscFvを、ELISAでスクリーニングした。3つの細胞表面発現MAdCAM種オーソロガスのすべてに対して交差反応性であると認められたクローンを、標準的な分子生物学技術、または、遺伝子合成を使用して、ヒトIgG1フォーマットに変換し、それにより、各分子は、合計で4つのポリペプチド鎖(2つの重鎖と、2つの軽鎖)から構成されていた。2つの軽鎖は、互いに同一であり、かつ、2つの重鎖は、互いに同一であった。2つの同一の重鎖(1及び2)をホモ二量化し、そして、2つの同一の軽鎖(3及び4)は、各重鎖と対になって、インタクトなヒトIgG1を形成する。当該Fcドメインは、L234A、L235A、及び、G237A突然変異を含んでおり、FcγR相互作用を解消する。当該フォーマットは、次のように例示することができる:
鎖1:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−ct
鎖2:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−ct
鎖3:nt−VK1−CK−ct
鎖4:nt−VK1−CK−ct
加えて、MAdCAM scFvは、標準的な分子生物学技術(Gibsonクローニング手順など)、または、遺伝子合成を使用することで、IL−2Mが、以下に概説する、MAdCAM抗体のIgG重鎖のc末端に位置する二重特異性フォーマットにも変換した:
鎖1:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−ct−リンカー−IL−2M
鎖2:nt−VH1−CH1−CH2−CH3−ct−リンカー−IL−2M
鎖3:nt−VK1−CK−ct
鎖4:nt−VK1−CK−ct
ELISAを使用して、捕捉した、または、プレートに結合したヒト、イヌ、及び、マウスMAdCAMに対する抗MAdCAM scFvの結合を分析した。ビオチン化したヒト及びイヌMAdCAMを、ストレプトアビジンでコーティングしたプレートで捕捉し、そして、マウスMAdCAM−Fcを、免疫吸着プレートに直接にコーティングした。ブロッキングステップの後に、それらのプレートを洗浄し、そして、粗ペリプラズム溶解物に含まれるscFvをプレート表面に塗布した。scFv結合を、抗V5 HRPコンジュゲートを使用して検出した。このアッセイを、TMB基質で進行させ、そして、酸で停止した。450nmでの吸光度を測定した。ELISAの各ステップの間に、適切な洗浄ステップを入れた。ヒト対イヌ、及び、ヒト対マウスで評価した。scFvも、表面プラズモン共鳴技術を使用して分析した。当該V5タグを介して、バイオセンサー表面で捕捉した後に、可溶性単量体ヒトMAdCAMを滴定し、次いで、結合と解離の双方を測定し、そして、オン及びオフレートの導出を可能にする1:1結合モデルに適合させた。
測定した結果は、試験したクローンの大部分が、ヒト及びイヌのMAdCAM結合交差反応性を有しており、そして、小さなパネルが、マウスMAdCAMに対するさらなる交差反応性を有していることを示している。バイオセンサー実験は、ヒトMAdCAMに対するオン及びオフレートに関して、クローンが、様々な結合を示し、k値は、10 1/M〜10 /1Mの範囲であり、かつ、k値は、10−1〜10−4 1/sの範囲であった。特定のクローンは、2x10e2 1/sよりも遅いオフレートを有する。したがって、MadCAM抗体は生成されており、そして、二重特異性フォーマットで使用することができる。
実施例25:実施例19の二重特異性ヒトMAdCAM結合IL−2Mの生成
2つのプラスミドの各々を、等モル比で、同時トランスフェクトした。各事例での第1のプラスミドは、Hu.MAdCAMの軽鎖をコードし、そして、第2のものは、本明細書で提供するMAdCAM−IL−2ムテイン二重特異性化合物の表に例示したように、L118I突然変異を含むC末端に融合したヒトIL−2Mを有する、Hu.MAdCAMの全長IgG1重鎖をコードした。3〜5日後に、当該Hu.MAdCAM−IL−2M二重特異性を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離と、0.22umろ過装置で過とを行って清澄化した。当該Hu.MAdCAM−IL−2M二重特異性を、proA樹脂で捕捉した。当該樹脂を、PBS pH7.4で洗浄し、そして、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉したタンパク質を溶出した。当該タンパク質を、30mM HEPES 150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、AdvanceBio SECカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、1ugの精製物の分析を実施した。当該Hu.MAdCAM−IL−2M二重特異性は、10mg/Lを超えて発現しており、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、還元/非還元SDS−PAGEが示すように、精製後に、95%超が単分散した。したがって、これらの結果は、C末端に免疫調節物質を有するヒトの二重機能性二重特異性分子を生成できたことを実証している。
実施例26:IL−2ムテインが誘導するシグナル伝達の持続性
末梢血単核細胞(PBMC)を、FICOLL−PAQUE Premium及びSepmateチューブを使用して、新たに分離したヘパリン化ヒト全血から調製した。PBMCを、IL−2Mの存在下で、10%ウシ胎児血清RPMI培地で、60分間、培養した。次いで、細胞を、3回洗浄し、さらに3時間インキュベートした。その後、細胞を、BD Cytofixで、10分間、固定した。固定した細胞を、BD Perm III、次いで、BioLegend FOXP3の透過処理緩衝剤で順次に透過処理した。ヒト血清で、10分間、ブロッキングした後に、細胞を、phospho−STAT5 FITC、CD25 PE、FOXP3 AF647、及び、CD4 PerCP Cy5.5の抗体で、30分間、染色し、次いで、プレートリーダーを備えたAttune NXTで取得した。実施例19の4つのIL−2ムテインはすべて、コントロールと比較して、Tregでは持続的シグナル伝達を誘導したが、Teffではかような誘導はなかった。配列番号56のIL−2ムテインは、配列番号55、配列番号54、または、配列番号53のIL−2ムテインよりも優れている。これらの結果は、IL−2が、Tregで持続性のある選択的なシグナル伝達を誘導しており、このことは、インビボでのTregの増殖を促し、また、Tregの増殖を実現するための投与頻度を低減可能にすることを実証している。
実施例27:インビトロでのP−STAT5アッセイは、溶液内にある場合、または、結合している場合の二重特異性Hu.MAdCAM結合IL−2Mの活性及び選択性を実証する
組換えヒトMAdCAMを、96ウェル高結合性プレート(Corning)のウェルに、一晩、コーティングさせた。PBSで2回洗浄した後に、当該プレートを、10%FBS RPMI培地で、1時間、ブロックした。MAdCAM結合IL−2M二重特異性、または、未結合IL−2Mコントロールを、1時間、捕捉した。PBSで2回洗浄した後に、新たに単離したヒトPBMCを、捕捉したIL−2M、または、溶液内のIL−2Mと比較するために、60分間、刺激した。次に、細胞を、BD Cytofixで、10分間、固定し、BD Perm III及びBioLegend FOXP3透過性緩衝剤で連続して透過処理を行い、ヒト血清でブロックし、そして、ホスホ−STAT5 FITC(CST)、CD25 PE、FOXP3 AF647、及び、CD4 PerCP Cy5.5(BD)に対する抗体で、30分間、染色し、及び、プレートローダーを備えたAttune NXTで取得した。結果:溶液では、ヒトMAdCAM及びコントロールに結合したIL−2M二重特異性は、TregとTeffで同等の活性と選択性を有している。MAdCAMでコーティングしたプレートは、二重特異性分子を捕捉することができ、そして、捕捉/固定化した二重特異性分子は、TeffよりもTregを選択的に活性化することもできた。この実施例は、ヒトMAdCAMと結合したIL−2M二重特異性が、溶液内にある場合、または、捕捉/固定化している場合に、生物活性と選択性を保持することができることを実証している。
実施例28:IL−2ムテインは、ヒトTregにおいてpSTAT5を誘導する。
6名の健康なドナー由来のヘパリン添加全血から得た精製PBMCを、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59の配列、または、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59の配列を含むIL−2ムテインタンパク質の連続希釈で、37℃で、30分間、処理をした。細胞を固定し、洗浄し、透過処理し、そして、洗浄した。表面マーカーと細胞内/核マーカーの両方(pSTAT5、及び、FOXP3)を検出する抗体で細胞を染色した。データを、Attune NxTサイトメーターで収集した。Tregを、単核、一重項、CD3pos、CD4pos、CD25hi、FoxP3posにゲートした。リン酸化STAT5を発現するゲートしたTregの%を測定した。最適曲線を、pSTAT5の用量反応に適合させ、そして、EC50値を決定した。6名すべてのドナーの平均EC50値を、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59のIL−2(37.26±7.30;n=16)、及び、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59のIL−2(23.11±5.35;n=15)について決定した。このデータは、当該IL−2ムテインが、ヒトTregにおいてpSTAT5を誘導できることを実証している。XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59の配列を含むIL−2は、配列番号39を含むIL−2配列よりも強力であるが、どちらも、複数の細胞集団では活性である。
実施例19:IL−2ムテインは、インビトロで、サルPBMCにおいてpSTAT5を誘導する。
3頭の健康なサルのヘパリン添加全血から得た精製PBMCを、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59の配列、または、XがIであり、X、X、及び、XがLである、配列番号59の配列を含むIL−2ムテインタンパク質の連続希釈で、37℃で、60分間、処理をした。IL−2ムテイン処理の最後の30分間に、蛍光色素標識抗CD25、及び、抗CD4を加えた。細胞を、固定し、洗浄し、透過処理し、そして、洗浄した。表面マーカーと細胞内/核マーカーの両方(pSTAT5、及び、FOXP3)を検出する抗体で細胞を染色した。データを、Attune NxTサイトメーターに集めた。Tregを、単核、一重項、CD3pos、CD4pos、CD25hi、FoxP3posにゲートした。リン酸化STAT5を発現するゲートしたTregの%を測定した。IL−2ムテインが、サルにおいてpSTAT5を誘導することが認められた。
実施例20:IL−2ムテインは、増殖Treg細胞を誘導し、そして、インビボで、Treg増殖を誘導する。
がIであり、X、X、及び、XはLである、配列番号59、または、XがIであり、X、X、及び、XがLである配列の配列番号59のIL−2ムテインを投与(2つの時点/カニクイザル、5頭のカニクイザル)する前に、または、XがIであり、X、X、及び、XはLである、配列番号59(5つの時点/カニクイザル、2頭のカニクイザル)、もしくは、XがIであり、かつ、X、X、及び、XはLである、配列番号59(5つの時点/カニクイザル、3頭のカニクイザル)のいずれかによる投与の後に、サル(カニクイザル)の静脈全血を、K2EDTAチューブに回収した。試料を、2つに分け、2つのFACSパネルで個別に染色した。一方は、「Tregパネル」であり、他方は、一般的な免疫表現型分類パネルであった。赤血球を溶解し、そして、固定および透過処理した後に、細胞を、表面および細胞内マーカーで染色した。FACS分析では、μlあたりの総細胞数を、ADVIAで決定した。次いで、μlあたりの所与の亜集団の細胞数を、総数/μl、及び、全体の%で計算した。それぞれのサルについて、投与前の2度の採血で得た所定の細胞型のμlあたりの平均数を平均し、投与後の採血の正規化のために使用して、「投与前からの倍数変化」を決定した。血清サイトカイン、及び、ケモカインを分析するために、K2EDTA全血由来の血漿を試験が終わるまで凍結した。ケモカインとサイトカインの量を、標準対照の連続希釈を使用して、マルチプレックスMSDアッセイで定量した。MCP−1とIP−10の平均と範囲を、投与前の採血で決定した。双方のムテインが、Tregを増殖させて、サルのTreg増殖を誘導することが認められた。これらの結果は、IL−2ムテインが、ヒトに類似するインビボ動物モデルで機能することを実証している。いずれの分子も、Tconv細胞、CD4細胞(Tナイーブ)、または、CD8細胞(細胞傷害性T)、サルのNK細胞(非ヒト霊長類)を有意に増殖させないことも認められた。また、いずれの分子も、血清ケモカインを有意に誘導しないことも認められた。このデータは、IL−2ムテインが、Treg細胞を増殖させ、そして、その他の経路の望ましくない拡大または活性化を伴わず、Treg細胞の増殖を誘導できることを実証している。したがって、当該IL−2ムテインは、Tregの拡大と増殖に対して、驚くほどに強力で、効果的で、そして、選択的である。
まとめると、本明細書で説明した実施形態、及び、実施例は、ある特定の組織を標的とすることができるIL−2ムテインが意図したように機能すること、そして、本明細書に記載した疾患および病態を処置するために使用できることを実証している。さらに、本明細書で提供した実施例は、MAdCAM抗体、及び、IL−2ムテインを含む二重特異性分子が、TeffよりもTregを選択的かつ強力に活性化することができる、という驚くべき予期しない結果を示しており、これらの分子を使用して、本明細書に記載した病態を処置または改善できることを実証している。また、これらの実施例は、本明細書で提供したように、単独で(または、Fcタンパク質に結合して)使用すると、IL−2ムテインが、TeffよりもTregを選択的かつ強力に活性化するように機能できることを実証している。
本明細書で引用したありとあらゆる特許、特許出願、及び、刊行物の開示は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。特定の態様を参照して様々な実施形態が開示してきたが、当業者であれば、これらの実施形態のその他の態様及び変更を、当該実施形態の要旨及び範囲から逸脱することなく想到し得る、ことは明らかである。添付した特許請求の範囲は、そのようなすべての態様及び同等の変更を含む、と解釈することを意図している。
一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、ジスルフィド結合などの互いに共有結合を形成できるリンカーを含む。リンカーの例として、ペプチドリンカーがあるが、これに限定されない。一部の実施形態では、当該ペプチドリンカーは、GGGGS(配列番号23)を含む。当該リンカーは、当該第1のポリペプチドのC末端を、当該第2のポリペプチドのN末端に融合させることができる。当該リンカーを使用して、当該リンカーがジスルフィド結合を形成する能力を無効にせずに、本明細書に記載した部分を付着させることもできる。一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、共有結合を形成できるリンカーを含まない。一部の実施形態では、当該第1の、及び、第2のポリペプチドは、以下の置換を有する。
Figure 2021505156
当該アルブミンポリペプチドの配列は、N末端シグナル残基(MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRR)(配列番号61)を削除したポストタンパク質形態である、以下に示すヒトアルブミンの配列である。
DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRY
KAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKP
LLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKF
QNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKK
QTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDK
ETCFAEEGKKLVAASQAALGL(ヒトアルブミン)(配列番号62)
89X.前記リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)、GGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)、GGGGSGGGGS(配列番号63)、または、GGGGS(配列番号23)の配列を含む、実施形態89O〜89Wのいずれかの治療化合物。
89QQ12.前記リンカーが、GGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号30)、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)の配列を含む、実施形態89QQ〜89QQ11のいずれか1つの治療化合物。
実施例15:二重特異性MAdCAM結合IL−2M分子の生成方法
GGGGS(x3)(配列番号30)リンカーを備えた本明細書で提供したLALA突
然変異を有するFcタンパク質に融合したN88D、V69A、及び、Q74P突然変異を有するIL−2ムテインと、MAdCAM、または、類似の分子に結合するが、ヒトIgG1 FcドメインのN末端に融合したヒトIL−2M、及び、c末端に融合した抗mMAdCAM scFv MECA−89を有するGGGGS(x4)(配列番号22)リンカーB0002を備えたscFVとを含む、単一B0001ポリペプチドをコードする単一遺伝子を含むpTT5ベクターを、HEK293 Expi細胞にトランスフェクトした。B0003では、2つのプラスミドを、等モル比で、同時トランスフェクトした。第1のプラスミドは、MECA−89の軽鎖をコードし、そして、第2のものは、c−末端に融合したヒトIL−2Mを有するMECA−89の全長IgG1重鎖をコードした。5〜7日後に、B0001、B0002、及び、B0003を発現する細胞培養上清を回収し、そして、遠心分離、及び、0.22umろ過装置でろ過して清澄化した。B0001、B0002、及び、B0003を、proA樹脂で捕捉した。この樹脂を、PBS
pH7.4で洗浄し、10分の1容量の1M Tris pH8.0を使用して中和しながら、0.25%酢酸 pH3.5を使用して、捕捉タンパク質を溶出させた。当該タンパク質を、30mM HEPES
150mM NaCl pH7に緩衝剤交換し、そして、Superdex 200 3.2/300カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。Bis−Tris 4〜12%ゲルでの還元及び非還元SDS−PAGEによって、1ugの精製物の分析を実施した。
コンピューターでの分析は、北米及びヨーロッパで最も代表的な合計で9つのMHCII対立遺伝子を含んでいた。試験したIL−2M(IL−2ムテイン)分子のパネルは、L53I、L56I、L80I、または、L118I突然変異を含むIL−2ムテインであった。MHCII対立遺伝子DRB1_1101、DRB1_1501、DRB1_0701、及び、DRB1_0101だけが、評価したいずれかの分子とヒットした。DRB_1501についてのペプチドヒットは、C125S突然変異を含む野生型IL−2を含む、試験したすべての構築物の間で同一であった。L80Iを追加すると、DRB1−0101の1つのT細胞エピトープ[ALNLAPSKNFHLRPR](配列番号64)が除去され、そして、その他の2つのT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR(配列番号65)及びEALNLAPSKNFHLRP(配列番号66)]の親和性がわずかに低下する。MHCII対立遺伝子DRB1−0701の場合、L80Iは、1つのT細胞エピトープ[EEALNLAPSKNFHLR](配列番号67)を除去する。したがって、このデータは、L80I突然変異を含むIL−2ムテインの免疫原性が小さいことを実証しており、このことは、驚くべきことであり、かつ、コンピューターでの分析からは予測しえない結果である。

Claims (70)

  1. 標的細胞に結合する標的部分と、エフェクター結合/調節部分とを含むポリペプチドであって、前記エフェクター結合/調節部分が、IL−2ムテインポリペプチド(IL−2ムテイン)であり、前記IL−2ムテインが、配列番号60の配列を含み、式中、X、X、X、及び、Xの少なくとも1つがIであり、かつ、残りがLまたはIである、前記ポリペプチド。
  2. 前記標的部分が、標的細胞の表面の標的タンパク質に結合する抗体を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記抗体が、MAdCAM、OAT1、OCT2、FXYD2、TSPAN7、DPP6、HEPACAM2、TMEM27、または、GPR119に結合する抗体である、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 前記IL−2ムテインは、免疫細胞が発現する受容体に結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 前記免疫細胞が、望ましくない免疫応答に寄与する、請求項1に記載のポリペプチド。
  6. 前記免疫細胞が、疾患病状を引き起こす、請求項1に記載のポリペプチド。
  7. 前記標的部分が、抗MAdCAM抗体を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  8. 前記化合物は、N末端からC末端に至る式:
    R1−−−リンカー領域A−R2、または、R3−リンカー領域B−R4、
    を有し、
    式中、
    R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ独立して、前記エフェクター結合/変調部分、前記標的部分を含み、または、存在しない、請求項1に記載のポリペプチド。
  9. リンカー領域A、及び、リンカー領域Bのそれぞれが、Fc領域を含む、請求項8に記載のポリペプチド。
  10. R1及びR2の一方が、IL−ムテイン抗体であり、かつ、R1及びR2の一方が、抗MAdCAM抗体である、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. R1が、IL−ムテインであり、かつ、R2が、抗MAdCAM抗体である、請求項8に記載のポリペプチド。
  12. R1の一方が、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR2が、抗PD−1抗体である、請求項8に記載のポリペプチド。
  13. R3及びR4の一方が、前記IL−2ムテインであり、かつ、R3及びR4の一方が、抗MAdCAM抗体である、請求項8に記載のポリペプチド。
  14. R3が、前記IL−2ムテインであり、かつ、R4が、抗MAdCAM抗体である、請求項8に記載のポリペプチド。
  15. R3が、抗MAdCAM抗体であり、かつ、1つのR4が、前記IL−2ムテインである、請求項8に記載のポリペプチド。
  16. 前記リンカーが存在しない、請求項8〜15のいずれかに記載のポリペプチド。
  17. 前記リンカーが、Fc領域である、請求項8〜15のいずれかに記載のポリペプチド。
  18. 前記リンカーが、グリシン/セリンリンカーである、請求項8〜15のいずれかに記載のポリペプチド。
  19. 前記リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGS、または、GGGGSである、請求項8に記載のポリペプチド。
  20. 前記IL−2ムテインが、配列番号6のIL−2配列を含み、ペプチドが、配列番号6の位置53、56、80、または、118に対応する位置に突然変異を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  21. 前記IL−2ムテインは、配列番号6のIL−2配列を含み、ペプチドが、配列番号6の位置53、56、80、または、118に対応する位置に突然変異を含む、請求項1〜20のいずれかに記載のポリペプチド。
  22. 前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、請求項20に記載のポリペプチド。
  23. 前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、請求項21に記載のポリペプチド。
  24. 配列番号6の29、31、35、37、48、69、71、74、88、及び、125の1つ以上の位置での突然変異をさらに含む、請求項1、20、または、23に記載のポリペプチド。
  25. 前記ムテインが、位置E15、H16、Q22、D84、E95、または、Q126の1つ以上での突然変異をさらに含み、または、位置E15、H16、Q22、D84、E95、または、Q126の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、各々が野生型である、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  26. 前記ムテインの突然変異が、E15Q、H16N、Q22E、D84N、E95Q、または、Q126Eの1つ以上である、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  27. 前記ムテインが、配列番号6でのN29S突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  28. 前記ムテインが、Y31SまたはY51H突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  29. 前記ムテインが、K35R突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  30. 前記ムテインが、T37A突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  31. 前記ムテインが、K48E突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  32. 前記ムテインが、V69A突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  33. 前記ムテインが、N71R突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  34. 前記ムテインが、Q74P突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  35. 前記ムテインが、N88D、または、N88R突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  36. 前記ムテインが、C125A、または、C125S突然変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  37. 前記IL−2ムテインが、配列番号59の配列を含むタンパク質のような、Fcペプチドに融合または結合している、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  38. 前記Fcペプチドが、L234、L247、L235、L248、G237、及び、G250の位置の1つ以上での突然変異を含む、請求項37に記載のポリペプチド。
  39. 前記突然変異が、LからA、または、GからAへの突然変異である、請求項37に記載のポリペプチド。
  40. 前記Fcペプチドが、L247A、L248A、及び、G250A突然変異を含む、請求項37に記載のポリペプチド。
  41. 前記Fcペプチドが、L234A突然変異、L235A突然変異、及び/または、G237A突然変異を含む、請求項37に記載のポリペプチド。
  42. 前記ポリペプチドが、前記ポリペプチドを形成する第1の鎖、及び、第2の鎖を含み、
    前記第1の鎖は、
    −H−リンカー−Cを含み、Vが、前記第2の鎖のVドメインを有する前記標的細胞に結合する可変重ドメインであり;Hは、CH1−CH2−CH3ドメインを含む抗体の重鎖であり、前記リンカーは、グリシン/セリンリンカーであり、及び、Cは、N末端またはC末端のいずれかの方向でFcタンパク質に融合したIL−2ムテインであり;及び
    前記第2の鎖は;
    −Lを含み、Vは、前記第1の鎖のVドメインで前記標的細胞に結合する可変軽鎖ドメインであり、及び、前記Lドメインは、軽鎖CKドメインである、
    請求項1に記載のポリペプチド。
  43. 前記VH及びVLドメインが、細胞で発現するMAdCAMに結合する抗MAdCAM可変ドメインである、請求項42に記載のポリペプチド。
  44. 前記IL−2ムテインが、配列番号6の位置53、56、80、または、118に対応する位置での突然変異を含む、請求項42に記載のポリペプチド。
  45. 前記突然変異が、位置53、56、80、または、118でのLからIへの突然変異である、請求項44に記載のポリペプチド。
  46. 前記ムテインが、位置69、75、88、または、125、または、それらのあらゆる組み合わせに対応する位置での突然変異をさらに含む、請求項44に記載のポリペプチド。
  47. L53I、L56I、L80I、及び、L118Iの1つと、V69A、Q74P、N88D、または、N88R、及び、任意のC125A、または、C125Sの突然変異からなる群から選択した突然変異を含む、請求項44に記載のポリペプチド。
  48. 前記IL−2ムテインが、L53I突然変異を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  49. 前記IL−2ムテインが、L56I突然変異を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  50. 前記IL−2ムテインが、L80I突然変異を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  51. 前記IL−2ムテインが、LI181突然変異を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  52. 前記IL−2ムテインが、その他の突然変異を何ら含まない、請求項47に記載のポリペプチド。
  53. 前記Fcタンパク質は、KABAT付番法に従った、L247A、L248A、及び、G250A突然変異、または、L234A突然変異、L235A突然変異、及び/または、G237A突然変異を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  54. 前記リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGS、または、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSの配列を含む、請求項47に記載のポリペプチド。
  55. 前記ポリペプチドが、本明細書に記載した配列を含むFcペプチドを含む、先行請求項のいずれかに記載のポリペプチド。
  56. 炎症性腸疾患を有する対象を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載のポリペプチドを前記対象に対して投与して、前記炎症性腸疾患を処置することを含む、前記方法。
  57. 前記炎症性腸疾患を有する対象が、クローン病を有する、請求項56に記載の方法。
  58. 前記炎症性腸疾患を有する対象が、潰瘍性大腸炎を有する、請求項56に記載の方法。
  59. 自己免疫性肝炎を有する対象を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物を前記対象に対して投与して、前記自己免疫性肝炎を処置することを含む、前記方法。
  60. 原発性硬化性胆管炎を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物を前記対象に対して投与して、前記原発性硬化性胆管炎を処置することを含む、前記方法。
  61. 1型糖尿病を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物を前記対象に対して投与して、前記1型糖尿病を処置することを含む、前記方法。
  62. 移植対象を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物の治療有効量を前記対象に対して投与し、それにより、移植(レシピエント)対象を処置することを含む、前記方法。
  63. 移植したドナー組織を有する対象でのGVHDを処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物の治療有効量を前記対象に対して投与することを含む、前記方法。
  64. 自己免疫疾患を有する対象、または、自己免疫疾患を有するリスクのある対象、または、自己免疫疾患を有するリスクが大きい対象を処置する方法であって、請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物の治療有効量を投与することを含み、それにより、前記対象を処置する、前記方法。
  65. 前記対象が、自己免疫障害を有し、かつ、前記治療化合物が、前記自己免疫障害に特有の自己抗原性ペプチドまたはポリペプチドを含まない、例えば、前記対象が保有している自己抗体に対するペプチドまたはポリペプチドを含まない、請求項56〜64のいずれかに記載の方法。
  66. 請求項1〜55のいずれかに記載の治療化合物をコードする核酸。
  67. 請求項65に記載の核酸を含むベクター。
  68. 請求項66に記載の核酸、または、請求項67に記載のベクターを含む細胞。
  69. 治療化合物を製造する方法であって、請求項67に記載の細胞を培養して、前記治療化合物を製造することを含む、前記方法。
  70. 請求項1〜55に記載の治療化合物をコードする核酸配列を製造する方法であって、
    a)標的部分をコードする配列を含むベクターを提供し、そして、エフェクター結合/変調部分をコードするベクター配列に挿入して、治療化合物をコードする配列を形成し、または、
    b)エフェクター結合/変調部分をコードする配列を含むベクターを提供し、そして、標的部分をコードするベクター配列に挿入して、治療化合物をコードする配列を形成し、
    それにより、治療化合物をコードする配列を製造する、前記方法。
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