JP2021501600A - 反芻動物用カプセル化アミノ酸を製造するためのプロセス - Google Patents

反芻動物用カプセル化アミノ酸を製造するためのプロセス Download PDF

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Abstract

反芻動物用のカプセル化されたアミノ酸飼料製品を製造するための、アミノ酸粒子をカプセル化又はコーティングするプロセスを提供する。カプセル化されたアミノ酸飼料製品は、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体を含む。カプセル化されたアミノ酸飼料製品を反芻動物に給与すると、製品は多量の吸収可能なアミノ酸を直接栄養給与するために動物に送達し、アミノ酸は動物のルーメン内では実質的に発酵しない。一態様において、本プロセスは、栄養を給与するアミノ酸を50重量%超含む組成物を製造する、低コスト且つ生産能力が高い連続プロセスである。滴下造粒された粒状体の優れた取扱い性により、栄養素を混合飼料に均一に分布することが所望される動物飼料を更に配合するために使用することができる。

Description

[01] 本発明は、反芻動物に直接栄養素を給与するために吸収性アミノ酸を高量で送達する組成物を製造するためのプロセス及び該プロセスにより製造される組成物に関する。
[02] 反芻動物は、哺乳動物の加水分解酵素による分解過程では普通は消化しにくい飼料を消化できるように、巨大な前胃で発酵させる過程を進化させた。セルロース性及び他の飼料を発酵することに付随する有利な過程は、該動物に、微生物タンパク質、揮発性脂肪酸、及びビタミン等の最終生成物を栄養給与することにある。しかしながら、高品質のタンパク質及び遊離アミノ酸は反芻動物の第一胃(「ルーメン」とも呼ばれる)で発酵する可能性があるため、それらの価値が低下する。特に、遊離アミノ酸を餌にそのまま添加すると、発酵して、動物にとってはアミノ酸よりもはるかに価値の低いアンモニア及び揮発性脂肪酸となる。したがって、反芻動物の成育及び産乳量を最大限にするために必要な必須アミノ酸を精密に給与する餌を配合するにあたっては、ルーメンにおいて飼料、特にアミノ酸が発酵することが課題となっている。
[03] アミノ酸の送達及び放出を制御するための様々な組成物及び方法が試験されてきた。これらの手法の中には有益性及び商業的価値を示すものもあった。しかしながら、後に小腸で放出されるルーメン保護アミノ酸を安定して製造する、生産能力の高い加工方法を開発及び実施することが困難であることも判明している。カプセル化された製品を製造するための従来のコーティング技術及び方法は、費用が嵩む上に、結果として得られる製品の品質がそれに見合わない可能性もある。通常、従来のコーティング材料が果たす機能的効果は、アミノ酸をルーメン微生物による発酵から保護することとはかけ離れている。特定のコーティングは、保護作用はあっても、動物飼料用途に安全であるとして認可されているものではない。
[04] 様々な従来の保護バリアが利用されてきた。効果的なバリア機構は、飼料中のアミノ酸がルーメンを通過する際の露出を制限すると同時に、消化管の酸性酵素が作用する区画で消化過程に曝されると即座に栄養素を放出させるものである。商業的に大きな関心が寄せられているのは、機能を最も制限することが予測されるメチオニン及びリジン等のアミノ酸である。各アミノ酸は独自の化学的及び物理的特徴を有しているため、バリア技術をアミノ酸の具体的な特徴に合わせる必要がある。アミノ酸を保護マトリクス又は外側のシェルに含有させると費用が追加され、必然的に、その飼料製品により給与されるアミノ酸が希釈される。飼料製品中のアミノ酸を十分な濃度にすること、技術的な送達、及び費用対効果の高い製造技法は、従来の手法では達成されない。
[05] 本開示の一態様においては、従来の製造技法の制限を克服する製造プロセスであり、驚くべきことに、反芻動物に給餌すると、吸収可能なアミノ酸を高量で送達して該動物に直接栄養給与することができる組成物を製造する製造プロセスを提供する。一態様において、本プロセスは、栄養給与のためのアミノ酸を50重量%超含む組成物を製造する滴下(deposition)及び滴下造粒(pastillation)技法を含む。このプロセスは、均一なサイズの粒子(即ち、カプセル化物(encapsulate)又は造粒物(pastille))を、低コスト且つ高い生産能力を有する連続プロセスにより製造する。
[06] 一態様において、本プロセスは、動物飼料成分をカプセル化又はコーティングすることを含み、このプロセスは、乳化剤及びコーティング剤を混合することによりコーティング混合物を生成することと、コーティング混合物を動物飼料成分の粒子を覆うように配置し、それによって、動物飼料成分をカプセル化又はコーティングすることと、を含む。
[07] 本開示の一態様においては、乳化剤を硬化植物油と混合及び加熱し、それによりコーティング混合物を生成し、コーティング混合物をアミノ酸粒子と混合することによりスラリーを生成するプロセス。このプロセスは、スラリーを加熱することにより溶融生成物を生成することを更に含むことができる。このプロセスは、滴下造粒機によって、溶融生成物を、実質的に均一なダストフリー(dust free)の滴下造粒された粒状体(pastille granule)としてベルトクーラー上に滴下することを更に含むことができる。
[08] 添付の図面を考慮しながら以下の説明を参照することにより、本発明をより十分に理解すると共にその利点を得ることができる。図面の類似の参照符号は類似の特徴を表す。
[09]図1は、本開示の態様に従うプロセスの作業工程図を説明するものである。 [10]図2は、図1でより一般的に示した滴下造粒機の更なる態様を説明するものである。 [11]図3は、図1でより一般的に示した滴下造粒機の開口部を介して冷却ベルト上に生成物を着地させる様子を説明するものである。 [12]図4は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(GMS − グリセロールモノステアレート、SMS − ソルビタンモノステアレート、3−1−S − トリグリセロールモノステアレート、及び10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を示すものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの45:55ブレンド物を乳化剤1%と共に含む。 [13]図5は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート、SML − ソルビタンモノラウレート、及びSMO − ソルビタンモノオレエート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を示すものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの45:55ブレンド物を乳化剤1%と共に含む。 [14]図6は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(10−1−S − デカグリセロールモノステアレート、Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン、又は6−2−S − ヘキサグリセロールモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を示すものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの45:55ブレンド物を乳化剤1%と共に含む。 [15]図7は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又は10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を示すものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの40:60ブレンド物を乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩別したものである。 [16]図8は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又は10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの40:60ブレンド物を乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩別したものである。 [17]図9は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩別したものである。 [18]図10は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは100メッシュの篩で篩別したものである。 [19]図11は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩別したものである。 [20]図12は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは100メッシュの篩で篩別したものである。 [21]図13は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(レシチン)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物又は40:60ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩別したものである。 [22]図14は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物又は40:60ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩別したものである。 [23]図15は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又はフィトニュートリエント(phytonutrient)である精油、即ち、チモール若しくはハッカ油若しくはクルクミンを併用したYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの49:50ブレンド物を乳化剤1%及びフィトニュートリエントである精油1%wt:wtと共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩別したものである。 [24]図16は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート又はフィトニュートリエントである精油、即ち、チモール若しくはハッカ油若しくはクルクミンを併用したSMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における85℃での、剪断速度の関数としての粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの49:50ブレンド物を1%乳化剤及びフィトニュートリエントであるいずれかの精油を1%wt:wtと共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩別したものである。 [25]図17は、乳化剤/界面活性剤の選択がリジンHCL含有量及びルーメン安定性(RUP)に与える影響を示すものである。
[26] 従来のコーティング組成物の多くには、ルーメンの水性環境に耐えるための基礎となるように、疎水性を有し且つ栄養的に許容される物質である脂質又は脂肪酸が組み込まれている。ここで直面する問題は、配合物中に乾燥固体として存在するアミノ酸の融点及び密度が脂質のそれとは異なることにある。アミノ酸及び脂質は親水性及び疎水性という正反対の性質に基づく溶解性の違いがあるため、これらを溶融状態で一緒にブレンドすると、多くの場合、スラリーが相分離を起こす可能性がある。このような相分離は、単にバルク相で起こり得るのみならず、脂肪結晶の網目の小さなミクロ領域においても起こり得る。アミノ酸は、配合物中に、塩として(粒子分布の物理的特性が加わる)又は「遊離」アミノ酸として(多くの場合、水溶液中に含有されるため、疎水性及び親水性相互作用の問題が大きくなる)のいずれかで含有させることができる。マトリクス中で成分が分離すると、最終製品中で偏りが生じる原因となったり、ルーメン環境から保護される度合いが低下する可能性がある。本開示の一態様において、アミノ酸は、動物の餌に添加すると反芻動物に有益となるアミノ酸とすることができ、これらに限定されるものではないが、リジン、メチオニン、ヒスチジン、コリン、及びこれらのいずれかの組合せが挙げられる。
[27] 本開示の一態様においては、従来の手法の難点及び制限を克服する新規な技法を提供する。固体粒子の特定の特性、乳化剤、脂質、及び滴下造粒加工を用いて調製されたスラリーのレオロジー特性を試験するための実験を計画し、実施した。驚くべきことに、滴下造粒/滴下物の着地による加工を実施する際に、レオロジーパラメータは十分に制御され、スラリー又は溶融生成物中に固体を高比率で組み込むことが可能であることが見出された。
[28] 本開示の一態様においては、目標の仕様を満たす均一な造粒物を製造するための流体状態のスラリーが提供される。レオロジーをより厳密に理解することにより、アミノ酸、脂質、及び乳化剤を含む組成物を選択する(所望により、他の添加剤に対しても調整する)ことが可能になる。
[29] スラリーの粘度は、固形分含有率及び添加される固体(即ち、アミノ酸)の細かさに伴い増大する。乳化剤を含有させることにより、固体/液体界面の表面張力の低下を促し、それにより粘度を低下させることができる。更に、スラリーは剪断減粘性(shear thinning property)を有することから、固体をより多量に含有させることが可能になり、それにより、加工時にスラリーに流動性を与えることが可能になる。使用される乳化剤及び脂肪の「テール部」の脂肪酸鎖の長さ及び不飽和度を類似させることによっても機能を向上させることができる。一般に、所与の固体濃度及び固体粒度においては、乳化剤の「ヘッド部」が大きいほど粘度を大幅に低下させることが可能になることが確認されている。動物用食品に慣用されている好ましい特性を有する一般の乳化剤は、ソルビタンエステル及びレシチン(ホスファチジルコリンはその構成成分である)である。ホスファチジルコリンは、一般に、特定の生物機能に関与するビタミンB複合体を構成するコリンが豊富であるため、レシチンの有益な構成成分であると見なされている。極端な溶解度パラメータを有する系に乳化剤が存在すると、より多くの核形成部位が生じることにより、脂肪系内での固体の潤滑が促進される。それにより、親水性固体を脂肪スラリー中により多量に添加することが可能になり、より均質な分散液が生成し、当該プロセスにおいてより均一な造粒物が得られる。
[30] レシチンは2本の脂肪酸鎖を含み、大きなリン酸エステルのヘッド基を有する。レシチンは、好ましい乳化性を有することから、反芻動物用食物に使用されるカプセル化製品を製造する組成物及び方法に関する先行技術に記載されている。レシチンは、十分に記載されている食品用乳化剤であり、チョコレート製造において固体糖の粘度を低減するために慣用されているが、降伏特性(yield properties)の向上には有効ではない。ポリリシノール酸ポリグリセロール(PGPR)は、粘度及び降伏特性を得るためにレシチンと併用されることが多い、ポリグリセロールエステルをベースとする乳化剤であり、レシチン−PGPRの組合せは相乗的相互作用を示すことから、チョコレート製造に慣用されている。驚くべきことに、単一種の乳化剤であるジグリセロールエステルがレシチンの機能に匹敵することが見出された。構造が類似している乳化剤、例えば、リン脂質に加えてヘキサグリセロールジステアレートは、脂肪−リジンスラリーのレアオロジー(rheaology)パラメータの制御において類似の機能を示す。しかしながら、より大きなポリグリセロール(デカグリセロール)が、高固形分スラリーの粘度制御に関してはレシチンよりも有効であった。
[31] 図1は、本開示の態様に従うプロセスの作業工程図を例示するものである。図1に示すように、滴下造粒システム100は、撹拌槽2、滴下造粒機4、ベルトクーラー6、及び袋詰め設備8を含む。原料10及びコーティング混合物12を撹拌槽2の上部開口部14を介して撹拌槽2に添加することができる。原料10はアミノ酸供給源16から供給されるアミノ酸を含むことができる。コーティング混合物12は、混合された乳化剤及びコーティング剤を含むことができ、コーティング混合物供給源18から供給される。撹拌翼20を垂直軸A−Aに対し回転させることにより原料10及びコーティング混合物12を撹拌槽2内で混合してスラリーを形成することができる。原料10及びコーティング混合物12を撹拌槽2内で加熱することにより、溶融生成物22を生成することができる。例えば、原料及びコーティング混合物は、脂肪の融点を10℃超えて加熱することができる。代替的な実施形態において(図1に示さず)、原料10及びコーティング混合物12を、撹拌槽2で混合する前に一緒に又は別々に加熱することもできるし、或いは撹拌槽2で混合した後に加熱することもできる。溶融生成物22は、撹拌槽2の下部開口部24を介して撹拌槽2から抜き出すことができる。溶融生成物22は、撹拌槽2から滴下造粒機4へポンプ26を使用して送り出すことができる。一実施形態において、溶融生成物22を、望ましくない大きな粒子又は合着物を取り除くためのフィルタ28に流すことにより、実質的に均一な濾過された溶融生成物をフィルタ28から流出させ、滴下造粒機4に搬送又は送達することができる。
[32] 滴下造粒機4は、濾過された溶融生成物を加熱して溶融生成物22の流動性を維持し、カプセル化されたアミノ酸を含む造粒物を形成するように構成されている。滴下造粒機4は、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体30(カプセル化されたアミノ酸粒子を含む)をベルトクーラー6上のベルトクーラー6の近位端32付近に滴下して着地させるように構成されている。一実施形態において、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体30は、実質的に半球状の形状とすることができる。他の実施形態において、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体は、実質的に角錐状の形状(チョコレートチップ形状に類似)を有することができる。一実施形態において、滴下造粒された粒状体のアスペクト比(直径:高さ)は、半球様形状においては、1.5〜2.5、約1.7、又は約2.0である。他の実施形態において、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体は、実質的に側面が平らな球体(flat-sided sphere)(ホッケーのパック形状に類似)とすることができる。滴下造粒機4は、粒状物のサイズを所望のサイズに、例えば、直径(滴下造粒された粒状体をベルトクーラー6上に滴下して着地させた後に上から見下ろした場合)を1〜25mmの範囲とするように構成することができる。滴下造粒された粒状体30は、ベルトクーラー6の遠位端34から回収して袋詰め設備8に搬送することができ、ここで、滴下造粒された粒状体を袋36に装入することができる。滴下造粒機4は長時間連続運転することが可能である。水を、冷却水ポンプ38により水槽40から冷却機42に、次いで噴霧ノズル46を備えた冷却水噴霧機44に送り出すことができる。冷却水は、噴霧機44により噴霧ノズル46を介してベルトクーラー6の底側の境界面(bottom interface)48に噴霧することができ、それによって、ベルトクーラー6及びベルトクーラー6上の滴下造粒された粒状体30を冷却する。噴霧後の水は水槽40に返送することができる。ベルトクーラー6は、ベルト用ローラ50及び52の周りを回転させることができる。図1に示すように、ベルト用ローラ50は滴下造粒機4の近位側にあり、ベルト用ローラ52は造粒機4の遠位側にある。
[33] 滴下造粒された粒状体の取扱い性が優れているため、最終混合飼料全体に栄養素を均一に分布させることが所望される動物飼料に更に配合するために使用することができる。
[34] 図2は、図1でより一般的に示した滴下造粒機4の更なる態様を例示するものである。図2に示すように、滴下造粒機4は、生成物分配管200、遮熱材204、加熱された円柱形ステータ206、加熱媒体208、及び生成物分配バー(distribution bar)210を含む。滴下造粒機4は、再供給バー(refeed bar)212も含むことができる。上に述べたように、滴下造粒機4は、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体30(カプセル化されたアミノ酸を含む)をベルトクーラー6上に滴下して着地させるように構成されている。フィルタ28(図1に示す)から供給された濾過された溶融生成物を滴下造粒機4で加熱することにより溶融生成物22の流動性を維持する。溶融生成物22は、生成物分配用開口部202を介して、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体30(カプセル化されたアミノ酸を含む)をベルトクーラー6上に滴下して着地させる。冷却水噴霧ノズル46は、冷水を境界面48に噴霧してベルトクーラー6及びベルトクーラー6上に着地した滴下造粒された粒状体30を冷却するように構成されている。ベルトクーラー6はベルト用ローラ216を含むことができる。ベルト用ローラ216は、ベルト用ローラ50及び52と同一であっても異なっていてもよい。ベルトクーラー6及び滴下造粒機4の間の垂直方向の距離は、滴下造粒機4に対し垂直方向に移動するローラ216により調整することができる。
[35] 加熱された円柱形ステータ206は中空ローラ218を含むことができる。加熱された円柱形ステータ206は、ステータの周りを同軸上で回転する、打ち抜き穴を有する回転外筒220を含むことができ、溶融生成物22の小滴を、スチールベルト又はベルトクーラー6の有効(operating)幅に亘り、滴下造粒された粒状体30として滴下して着地させる。加熱された円柱形ステータ206の内部に設けられたバッフル及び内側ノズルの系は、ベルトクーラー6の有効幅に亘り均一な圧力を付与し、打ち抜き穴を有する回転外筒220の全ての穴又は生成物分配用開口部202を介して均一な流れをもたらす。こうすることにより、ベルトの一端から他端までの間に並ぶ滴下造粒された粒状体30の列のそれぞれが確実に均一なサイズになる。
[36] 滴下造粒機4の周速度はベルトの速度と同期しており、それによって、小滴が変形することなくベルト上に着地するようになっている。固化及び冷却時に放出される熱は、ステンレス鋼ベルト又はベルトクーラー6により、その真下に噴霧される冷却水に伝導される。この水は、槽、例えば槽40に回収され、水冷系又は冷却機42に返送され、生成物又は滴下造粒された粒状体30は、どの段階においても水と直接接触することはない。有効な滴下造粒システムの設計は多くの因子を考慮している。例えば、造粒物の最小径は、回転外筒220の穴又は生成物分配用開口部202の径、生成物自体の密度及び粘度、小滴に加わる表面張力及び機械的加速度に依存する。当業者は、本開示に従い、小滴は、スチールベルト又はベルトクーラー6上に滴下されて着地するために十分な重量及び体積を有するべきであり、回転外筒220及びスチールベルト間の距離は、効果的なプロセス(efficient and process)及び所望の滴下造粒された粒状体30を得るために調整できることを認識するであろう。
[37] 当業者は、本開示に従い、適切なプロセスパラメータ及び部品の配置を、専用に開発されたコンピュータプログラム及び/又は加工される具体的な生成物を使用する試運転を用いて更に改良できることを認識するであろう。
[38] 図3は、滴下造粒された粒状体30をベルトクーラー6上に滴下して着地させることを例示するものである。図3に示すように、滴下造粒された粒状体30は、生成物分配用開口部202を通じてベルトクーラー6上に滴下されて着地する。本開示により利益を得る当業者は、滴下造粒された粒状体30を生成物分配用開口部202を通じてベルトクーラー6上に送り出すために、好適なピン及び/又は針状構造体を使用することができることを認識するであろう。
[39] 一態様においては、本明細書に記載した任意のプロセスにより製造される生成物を製造する。
[40] 他の態様において、滴下造粒された粒状体は、アミノ酸、乳化剤、及びコーティング剤を含む。滴下造粒された粒状体は、アスペクト比(直径/高さ)が1.5〜2.5の略半球形状にある。
[41] アミノ酸は、リジン、ヒスチジン、メチオニン、コリン、及びこれらのいずれかの組合せからなる群から選択することができる。乳化剤は、レシチン、モノグリセリド、ソルビタンエステル、ポリグリセロール、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。コーティング剤は、油、脂肪酸、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。コーティング剤は、硬化植物油とすることができる。滴下造粒された粒状体のサイズは、2.2〜5.0mm又は2.2〜3.5mmとすることができる。アミノ酸の粒度(particle size)は50〜120メッシュ又は80〜110メッシュとすることができる。アミノ酸は、滴下造粒された粒状体中に25〜85重量%、25〜75重量%、又は35〜75重量%存在することができる。
[42] 他の態様において、動物に給餌する方法は、本明細書に記載した通りに製造された滴下造粒された粒状体を動物飼料成分と混合することにより動物飼料を生成し、この動物飼料を動物に給与することを含む。動物は反芻動物とすることができる。
[43] 更なる態様において、アミノ酸粒子をカプセル化するプロセスは、乳化剤をコーティング剤と混合し、それによりコーティング混合物を生成することと、コーティング混合物をアミノ酸粒子と混合することによりスラリーを形成することと、このスラリーで造粒物を形成することと、造粒物をベルト上に滴下して着地させることと、を含む。このプロセスは、コーティング混合物を加熱すること及び/又はベルト上の造粒物を冷却することを更に含むことができる。
[44] 本開示のプロセス及びカプセル化された生成物の他の態様を以下の実施例と併せて更に説明する。
実施例1.リジンの粒度及び乳化剤の使用法がルーメンの健全性(粘度を差別化のための特徴とする)に与える影響
[46] 次に示す実施例に、本開示の態様に従い、粘度が差別化のための特徴となることを示す。噴霧冷却プロセスにおいて噴射造粒を行うための設備及び取扱い性を評価するために試験を行った。これらの試験の目的は、約1mmの小球(prill)を形成し、リジンの量及び粒度並びに乳化剤の選択により影響されるルーメン健全性(安定性)を評価することにあった。乾燥粉末形態のリジンHClを、スラリーに対し50%で含有させた。リジンHClは、粒度分布がより広い粉砕された再投入物(milled recharge)又は40メッシュの篩で篩別したもののいずれかとした。配合物の残部は硬化大豆油又はパーム油とした。試験時に、噴霧塔内で運転される回転ディスクを用いて25lbのバッチのスラリーを形成した。結果を表1に示す。
[47] この実験においては、許容される粒度の収率が低く、ルーメン安定性は、市販のカプセル化された製品と比較して劣っていた。スラリーの混合性は、より分布が広く(broader-spectrum)、より粗い材料(即ち<40メッシュのリジン粒状体)を用いた場合は特に劣っており、スラリーは「ざらついて」いた。固形分が50%を超えると粘度及び流動性が問題となり、スラリーの分離が認められた。固形分50%のスラリーが噴霧冷却に適した流動性を示すためには乳化剤の添加量を高くすることが必要であった。乳化剤含有量を高くすることはカプセル化に不利となり得る。粒子を水和させる作用があることから、水性環境中で安定な分散液となる。しかしながら、カプセル化を行うプロセスも、ルーメン安定性を有する生成物を形成するための重要なパラメータである。
実施例2.加工方法間でのリジン配合物の評価(粘度が加工方法に影響を与え、したがって、生成物を改善するための制御が可能となる)
[49] 加工手法(噴射造粒、流動床コーティング、押出、及び滴下造粒)及び組成と加工との相互作用を評価するために一連の調査を実施した。様々な粒度分布のリジン塩酸塩(Lys HCL)(篩別していないLys HCl及び篩別したLys HCl)を配合物に使用した。Lys HClを40又は50%含むスラリーを配合し、配合の0.5〜5重量%の間のモノグリセリド乳化剤(CorbionからのAlphadim(登録商標) 90 SBK)を加え、脂肪系の融点を約20℃超えて加熱した。材料の残部は完全硬化大豆油とした。コーティングプロセスには、完全硬化大豆油に乳化剤を加えたものを利用し、リジン粒状体上に噴霧した。各試作品の試料を泌乳牛のルーメン内で16時間培養した後、ルーメン安定性に関し評価した。結果を表2に示す。
[50] 噴霧冷却により製造された小球の試作品は、粘度の増大に伴いより球形に近くなり、粒度が幾分増大した。リジン含有量が低下するとルーメン安定性が向上した。押出では、リジン懸濁液の配合及び粒子の形成に関し自由度が得られたが、粒子の縁に沿った破壊によってルーメンの健全性が損なわれるようであった。流動床による加工は噴霧冷却よりもルーメン健全性が優れており、押出と同程度であった。
[51] 滴下造粒加工では、特にLys HClの粒度を<40メッシュに制御した場合に、小球の健全性が優れていた。高固形分懸濁液を滴下造粒して平均粒度が2mmを超える造粒物を得ることが十分に可能になるように粘度を調整できることが見出された。組成物中の乳化剤の量が多くても造粒物のルーメン健全性は改善されず、実際、濃度が低い方が造粒物の安定性が高かった。このような高固形分脂肪スラリー系に関しては、レオロジー特性を左右するのは、乳化剤の機能であって量ではないことが見出された。しかしながら、プロセス、組成、粒度等の物理的特性、レオロジー、及びルーメン安定性に関しては、重大なトレードオフが存在する。この調査から、固体の粒度及び乳化剤の量を通じて粘度を制御することにより、スラリー中の固形分を増加しても優れたルーメン健全性を示す造粒物を生成するように加工することが可能になることが判明した。この調査から、様々な加工手法を用いて様々な度合いのルーメン健全性を有する固体粒子を製造することができることが判明した。しかしながら、調査した加工手法の中では滴下造粒加工が最も有望なようであると結論付けた。更に、加工に使用される組成物を精密に配合することにより、ルーメン培養後の造粒物の健全性が95%を超えた。
実施例3.機能性添加物を組成物に含有させることによって更に差別化され、栄養給与に貢献する
[53] 動物は、商業的な給餌作業が健康及び健康増進を損なう可能性があり、或いは吸収不良又は消化管機能の変化に起因して栄養状態が低下する可能性があるという様々な難題を抱えている。飼料添加物、特に植物抽出物(botanical and plant extract)に含まれる天然のフィトニュートリエントは、動物の消化過程を助けるか又は食物消化及び免疫系に好ましい影響を与えることを目的として飼料に添加されることが多い。添加物は特に、動物に商業的価値の高い生産物、例えば液体乳又は肉を大量に生産させるのに有用である。動物飼料中における治療量以下の抗生物質の使用を低減するか又はなくし、フィトニュートリエント等の天然の代替物を優先することが益々重視されるようになり、カプセル化プロセスに使用される組成物にどのフィトニュートリエントを添加することができるかを探索するための調査が急務となっている。
[54] これらの調査において、滴下造粒加工に使用される組成物中のフィトニュートリエント供給源としての植物抽出物を増加した。配合物は50%Lys HCl及び0.5%SMS乳化剤を含むものとした。造粒物の健全性を判定するために、試作材料を多孔質のdacron製の袋に入れて泌乳牛のルーメン内で16時間培養した。
[55] 植物抽出物を懸濁液に含有させることで造粒物のルーメン健全性が低下し、乾物重量の健全性と比較すると、タンパク質(リジン)の健全性がより顕著に損なわれた。これらの調査から、植物(plant botanical)又は精油抽出物をスラリー懸濁液に混合すると、リジンを最適に保護することを可能にするためにマトリクスの粘度及びレオロジー特性を調整することが必要となることが示された。トリグリセリドマトリクス中の精油の溶解度の影響が異なるため、乳化剤の種類及び量をより適したものにすることによって、タンパク質回収率がより高い、はるかに安定なカプセル化された製品を得ることが可能になる。複合製品(combined product)の場合は、ルーメン内で一定量のフィトニュートリエント及び一部のリジンが放出され、その後に消化管で完全な溶解が起こるように、好ましい組成物を配合することができ、それにより、該フィトニュートリエントが標的とする生物活性に応じた複数の利益と、可溶性タンパク質(リジン)がルーメン又は下部消化管に耐性を示す(proving)ことに付随する利益とが得られる。結果を表3に示す。
実施例4.乳化剤(PGEとも称されるポリグリセロールが独自のものである)がリジン−脂質組成物のレオロジー特性に与える影響
[56] 乳化剤は、食品、飼料、パーソナルケア及び化粧品並びに医薬産業等の非常に幅広い用途に用いられる、広く普及している両親媒性分子である。乳化剤は非常に汎用性が高く、したがって、湿潤剤、エモリエント剤、可溶化剤、分散剤、消泡剤、結晶調整剤(crystal modifier)、質感改善剤(texturant)等の異なる機能を得るために使用される。加えて、乳化剤はまた、脂肪の核形成、結晶成長、及び多形転移過程を、単にバルクにおいてのみならず、エマルジョン相においても修正することができる。この独自の機能により、食品産業において、脂肪系の飽和脂肪酸を低減することのみならず、保存期間及び官能特性を改善することに関しても必要に応じた調整(customizing)が可能になるという大きな打開策がもたらされた。
[57] 一般に、大半の乳化剤は、ヘッド基のサイズ及び種類、脂肪酸鎖、脂肪の溶解性等に基づき、何らかの形で脂肪結晶の調整に寄与するが、乳化剤は、結晶形成剤(crystal former)又は結晶崩壊剤(crystal breaker)として分類することができる。分子の脂肪酸鎖の類似性及び相違性、乳化剤の濃度等に基づく乳化剤の可溶性は、脂肪系の様々な機能に寄与する。疎水性を有する脂肪が糖等の親水性水溶性固体成分を多量に含む場合、乳化剤は、固体を潤滑し、粘性がはるかに低いスラリー/懸濁液を形成するような機能を有するべきである。本開示の態様において、適切な乳化剤は、脂肪及び乾燥固体の性質、その粒度及び安定性に基づき特定することができる。
[58] 本開示の一態様において、リジンをカプセル化するための加工ステップについて、硬化大豆油を水溶性固体であるLys HClとブレンドして使用することにより調査を行った。固体リジンの量、脂質対リジンの比、並びに乳化剤の濃度及び種類が、造粒物又は押出された生成物を形成するために加工されるブレンド物のレオロジー特性に影響することが示された。
[59] 更に、乳化剤を差別化する特徴は、加工後のリジンの放出特性である。これは、カプセル化された親水性成分の放出に乳化剤が影響を及ぼすか否かを理解するために重要であった。
[60] これらの疑問に対処するために、硬化大豆油(Stratas Food, LLCからのDritex S)との45:55ブレンド物を、濃度1%(w/w)の乳化剤の存在下に脂質を溶融し、撹拌しながらLys HClを徐々に添加することにより作製した。レオロジー測定を、TA InstrumentsからのAR-2000 Stress Controlled Rheometerを用いて共軸円筒ジオメトリーにて、剪断速度を0.029〜100rad/secの範囲とし、85℃で測定した。
[61] 図4は、乳化剤であるGMS − グリセロールモノステアレート;SMS − ソルビタンモノステアレート;3−1−S − トリグリセロールモノステアレート;及び10−1−S − デカグリセロールモノステアレートの存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を示すものである。リジンの粒度は<40メッシュとした。ソルビタンモノステアレート(SMS)及びグリセロールモノステアレート(GMS)の化学式を以下に示す。当業者は、トリグリセロールモノステアレートが、以下に示すグリセロール及びソルビタンモノステアレートの単一のグリセロール基に替えて3個のグリセロール基を有し、デカグリセロールモノステアレートが10個のグリセロール基を有することを認識するであろう。
[62] モノステアレートを用いた加工と比較すると、ステアリン酸のソルビタンエステルを有するグリセロールヘッド基は、脂質−リジンブレンド物の粘度を低下させるのにより有効であることが示された。同様に、ステアリン酸のデカグリセロールエステルは対応するトリグリセロールエステルよりも効果が高い。ヘッド基の共通の機能はその嵩高さに由来する。脂肪酸鎖のヘッド基は大きいほど固体/液体界面に向かって配向しており、固体粒子の潤滑を促進し、その結果として、スラリーを流動化して粘度特性を低下させる。レオロジー機能を左右するのは、脂肪連続相中の固体粒子の粒度分布である。
[63] 図5に、類似のヘッド基を有する乳化剤の脂肪酸テール基の効果を示す。ソルビタンモノステアレート(SMS)、ソルビタンモノオレエート(SMO)、及びソルビタンモノラウレート(SML)は、いずれも共通のソルビタンヘッド基を有しており、疎水性部分の脂肪酸鎖の長さが変化している。SMSを含むリジン−脂質スラリーの粘度がSMLと比較してより低いことは、脂肪酸鎖が脂質系とより類似している方が、乳化剤の機能が相対的に高くなることを示唆している。同じ理由で、SMOは、類似のソルビタン環を有する他の任意の乳化剤よりも大きく粘度を増大させる。
[64] 大豆レシチンは2本の脂肪酸鎖及びより大きな極性リン酸エステルヘッド基を有するリン脂質であり、次に示す式を有する:
[65] 上に述べたように、ホスファチジルコリンは、一般に、特定の生物機能に関与しているビタミンB複合体を構成するコリンが豊富であることから、レシチンの有利な構成成分と見なされている。ホスファチジルコリンは次に示す式を有する:
[66] レシチンはよく知られている食品用乳化剤である。例えば、レシチンは、固体糖の粘度を低下させることを目的としてチョコレート製造に慣用されている。しかしながら、レシチンは、降伏特性を改善するには十分ではない。ポリリシノール酸ポリグリセロール(PGPR)は、レシチンと併用される、ポリグリセロールエステルをベースとする乳化剤であり、相乗的相互作用によりチョコレートの粘度及び降伏特性が得られる。
[67] 更に本開示の態様を図6〜16に示す。
[68] 図6は、本開示の態様によるカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(10−1−S − デカグリセロールモノステアレート、Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン、又は6−2−S − ヘキサグリセロールモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの45:55ブレンド物を乳化剤1%と共に含むものである。
[69] 図7は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又は10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの40:60ブレンド物を1%乳化剤と一緒に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩過したものである。
[70] 図8は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又は10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの40:60ブレンド物を乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩過したものである。
[71] リジン−脂質スラリーブレンド物において、レシチンの粘度データをポリグリセロールエステル乳化剤である6−2−S(ヘキサグリセロールジステアレート)と比較した。レシチン及び6−2−Sは両方共2本の脂肪酸鎖及びヘッド基(リン酸エステルvsヘキサグリセロール)を有し、機能が非常に類似しており、ジグリセリドの効果が類似している。ポリグリセロール(PGE)6−2−S及び10−1−Sの2種を比較すると、より大きなデカグリセロールのヘッド基が粘度を低下させる機能を支配する。本開示の教示によれば、親水性部分及び疎水性部分のサイズ及び種類のバランスが良い乳化剤を使用することにより、所与のマトリクス系の乾燥固体添加物の添加量を最大限にするに当たり、多種多様な改善をもたらすことができることを当業者は認識するであろう。
[72] 所与の乾燥固体の添加量/粒度分布を有する脂質系を用いて、要求に合わせた溶液を得るために、プロセスの必要性に基づき本開示の特徴を改変することができることを当業者は認識するであろう。
[73] 硬化大豆油(Dritex S)及びリジンHCl(60メッシュ及び100メッシュ)を50:50及び45:55の比で含むスラリーレオロジーパラメータに、濃度1%のレシチン(例えば、Yelkin(登録商標)SSレシチン)及びソルビタンモノステアレート(SMS)が与える効果を図9〜12に例示する。
[74] 図9は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩過したものである。
[75] 図10は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは100メッシュの篩で篩過したものである。
[76] 図11は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは60メッシュの篩で篩過したものである。
[77] 図12は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは100メッシュの篩で篩過したものである。
[78] 本明細書に開示するカプセル化プロセスのレオロジーパラメータを理解する過程において、硬化大豆油及びリジンHClのスラリーを50:50、45:55、及び40:60の異なる比で、リジンHClを40メッシュで調製し、2種の異なる乳化剤であるレシチン(Yelkin(登録商標)SSレシチン)及びデカグリセロールモノステアレート(10−1−S)の効果を、図13〜14に示すように比較した。
[79] 図13は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(レシチン)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物又は40:60ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩過したものである。
[80] 図14は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(10−1−S − デカグリセロールモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの50:50ブレンド物又は45:55ブレンド物又は40:60ブレンド物のいずれかを乳化剤1%と共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩過したものである。
[81] Dritex S−リジンのブレンド物を50:50及び45:55の比とし、粒度の異なるリジンを用いて作製した場合、絶対粘度は、乳化剤の選択を基準としてさえも非常に差があった。レシチンを用いた場合の粘度プロファイルは、レシチンの粒度にかなり無関係であり、高くてもわずか30Pa.s.程度であった。一方、ソルビタンモノステアレートを用いた場合の粘度は、低剪断において120Pa.s程度と比較的高かった。
[82] PGE10−1−Sが存在する40メッシュのリジンを含むDritex Sブレンド物は、レシチンを用いた場合よりも大幅に低かった。乳化剤の有効性は10−1−S>レシチン>SMSとランク付けすることができる。本開示の教示によれば、全体の機能は、乾燥固体の粒度、標的の添加量、脂肪系、その比及び乳化剤の種類の選択に基づくことになることを当業者は認識するであろう。
[83] 図15は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(Archer Daniels Midland CompanyからのYelkin(登録商標)SSレシチン又はフィトニュートリエントである精油、即ちチモール若しくはハッカ油若しくはクルクミンを併用したYelkin(登録商標)SSレシチン)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの49:50ブレンド物のいずれかを乳化剤1%及びフィトニュートリエントである精油1%wt:wtと共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩過したものである。
[84] 図16は、本開示の態様に従うカプセル化されたリジンを含む組成物の、乳化剤(SMS − ソルビタンモノステアレート又はフィトニュートリエントである精油、即ち、チモール若しくはハッカ油若しくはクルクミンを併用したSMS − ソルビタンモノステアレート)の存在下における剪断速度の関数としての85℃における粘度曲線を例示するものであり、組成物は、硬化大豆油及びリジンの49:50ブレンド物のいずれかを乳化剤1%及びフィトニュートリエントである精油1%wt:wtと共に含み、リジンHCLは40メッシュの篩で篩過したものである。
[85] 49:50の比のDritex S−リジン(40メッシュ)にフィトニュートリエントである精油を低濃度(1%wt:wt)でYelkin SS(レシチン)1%と共に添加すると、粘度プロファイルの大きな変化が認められた。本開示の教示によれば、当業者は、精油の選択によりレオロジー特性が独自の影響を受けることと、開示の特徴を調整して、組成を微調整すると共に、材料取扱い性及び後段のカプセル化プロセスを有利なものにすることが可能であることと、を認識するであろう。
[86] ソルビタンモノステアレート(SMS)は、フィトニュートリエントとしてのクルクミン及びチモールを用いた場合に、より有効であり、一方、フィトニュートリエントとしてハッカ油を用いた場合は、レシチンがより有効である。本開示の教示によれば、より要求に適合させた溶液を得るためのプロセスにおいて、所与の組成物の特性を調整するために主要な役割を果たすことができるのは乳化剤の種類であることを当業者は認識するであろう。
[87] 本明細書に開示する調査から、リジン−脂質系のレオロジーは、乾燥固体の粒度、標的の添加量、脂質系、その比、及び乳化剤の種類により影響を受けることが示された。粒度及び乳化剤(又は乳化剤の組合せ)、例えばPGEである6−2−S及び10−1−を調整することによって、乾燥固体を最大限に含有させ、恐らく60〜65%(例えば、リジンの場合)又は65〜70%(ヒスチジンの場合)にすることが可能になるか、或いは、それ以外の場合に用いられる粒度分布よりも幅広い粒度分布を用いて、特に、レオロジーを調整し、所望の最終サイズの造粒物を得ることが可能になる。リジン等のアミノ酸の粒度は液体トリグリセリドコーティングの分散に影響を及ぼす。固体が非常に微細である場合、液体系は、良好な流動性及びコーティング特性を得るために、微細な固体の粒子−粒子相互作用に打ち勝つことが必要である。より大きい粒度分布の場合、脂肪系のコーティングをより均一にすることが可能である。ところが、粒度が非常に細かければ、より大きな凝集体が形成され、脂肪−リジンスラリーの流動を遅延させる可能性が高くなる。粒度のより大きな固体の充填密度は、この充填された系内に乳化剤を含む液体トリグリセリドを、非常に微細な固体で予測されるよりも均一に浸透させることが可能なものである。植物性構成成分の特性と相互作用する場合は、必要とされる含有量及び乳化剤系の選択が変更されるであろう。当業者は、本開示に従い、製造のための加工に好ましく、それと同時に、動物において有益性ももたらす組成物を精密に配合することができることを認識するであろう。
実施例5.滴下造粒加工によるリジン造粒物の製造
[89] 連続運転を実施した場合の組成及び滴下造粒による製造を調査するために、図1〜3に示したものと実質的に同様にして、試験規模の設備でリジン造粒物を製造した。
[90] 添加量40〜60%のLys HClの固体の粒度を評価を容易にするために、40、60、又は100メッシュの篩を取り付けたrotex選別機でLys HClを篩別した。モノグリセリド(Alphadim 90 SBK)、ソルビタンモノステアレート(SMS)、レシチン乳化剤、又は組合せを1%添加して試験した。多孔質dacron袋に入れて泌乳牛のルーメン内で16時間培養することにより試作材料の健全性を評価した。<40メッシュの大きな粒子は、スラリー供給ラインを造粒機手前で撹拌しなければ、固体リジン粒子及び脂質の間の密度の差に起因して固体が分離するため、より微細なリジン粒子(<60メッシュ)を用いることによって、より径の小さい造粒物がより容易に製造されることが見出された。加えて、<40メッシュのより大きな粒子は、加工時の開始及び停止の間に造粒機上のシールバー/ノズルを閉塞させ、それにより連続加工が妨げられやすくなるであろう。レシチンはルーメン健全性を低下させるようであったが;滴下造粒前にスラリーを撹拌すると、懸濁液に空気が捕捉される可能性があり、それにより造粒物が不安定化し、造粒物の健全性が失われることが認められた。造粒物に捕捉された空気は比較的多孔質の材料を生成し、ルーメン等の水性環境に曝された場合に毛管として作用する可能性がある。結果を表4に示す。
実施例6.滴下造粒された粒状体がルーメン安定性に与える効果
[92] リジン造粒物を実質的に図1〜3に示した通りに製造した。組成は、レシチン1%、硬化大豆油49%、及びLys HCl50%を含むものとした。
[93] Lys HClを粉砕し、固体の粒度の評価を容易にするために、60又は100メッシュの篩を取り付けたrotex選別機で篩別した。滴下造粒された粒状体を約45kgのサイズのバッチから回収し、形成された造粒物を6種の篩を取り付けた振動選別機(Sweco)で篩別することにより粒度分布を評価した。
[94] 滴下造粒された粒状物を多孔質dacron袋に入れて泌乳牛のルーメン内で16時間培養することにより健全性を決定した。生体外試験において、ルーメン培養後に残留している材料を、腸液を模擬した酵素の緩衝液に曝露した。生体外試験の結果を推定腸内放出率として報告する。滴下造粒された粒状体100g当たりの代謝性Lys(MP Lys)の推定量を次式を用いて算出した:MPリジン(g)/生成物100g=Lys(%)×安定性(%)×放出率。結果を表5に示す。
[96] ルーメンにおけるリジン保護率(%)(安定性)は、滴下造粒された粒状体中のLysのメッシュサイズ又は推定粒状物のサイズに大きく影響されなかった。しかしながら、100メッシュのLysは腸内放出が平均84%であった一方、60メッシュのLysの放出は平均52%であったことから、推定腸内放出%は、メッシュのより細かいLysを使用した方が優れていた。この結果は、組成物中のLysが100メッシュでは、60メッシュよりもMP Lysが優れていた(それぞれ24.6g vs 14.4g)ことを示唆している。さらなる発見は、好ましいLysメッシュサイズである100メッシュのLysを用いる場合は、造粒物の直径がより小さい(2.4〜2.8;2.8〜3.4mm)方が、直径がより大きい(3.4〜4.0mm)造粒物と比較して、MP Lysがより優れていたことにある。より小さい造粒物の方が腸内放出率(%)が優れていたため、より小さい造粒物(2.4〜3.4mm)はより大きな造粒物(3.4〜4.0mm)よりもMP Lysが向上していた。
実施例7.滴下造粒されたリジンを製造するための加工方法
[98] リジンの造粒物を実質的に図1〜3に示した通りに製造した。約45kgの複数のバッチを作製し、各バッチの組成を同一とした。組成物はレシチン1%、硬化大豆油49%、及びLys HCl 50%を含むものとした。組成物に使用したLysは100メッシュのスクリーンを通して粉砕し、レーザー回折を使用して、粉砕されたLysのサイズの等級(μM)を決定した。粉砕されたリジンの90%が<125μMであり、サイズの中央値は約50μMであった。滴下造粒された粒状体の45kgのバッチをそれぞれ別々のロットとして維持した。粒度分布を決定するために6種のスクリーンを取り付けたSwecoを使用してロットを篩別した。篩別に基づき、ロットを2.4〜2.8mmの範囲及び2.8〜3.4mmの範囲の造粒物に更に分割した。手持ち式マイクロメーター(hand-held micrometer)で測定するために特定の分割されたロットを選択し、造粒物の粒度を評価した(選択したロット当たりサンプル数n=15)。
[99] 更に、滴下造粒された粒状体を、撮像技術を用いて、滴下造粒された粒状体中に見られるリジン粒状体のサイズを求めた。それぞれの分割されたロットから無作為に選択した造粒物を切断し、カーボンスポット(carbon spot)上で切断面を上に向けた。走査型電子顕微鏡を使用し、後方散乱成分(back scatter comp)を用いて、開口数1、作動距離10mm、15kV、倍率50×で動作させて試料を撮像した。
[100] 滴下造粒された粒状体をルーメン安定性試験及び生体外模擬腸内放出試験に付し、ロットのMP Lys含有量を実施例6に記載した通りに算出した。結果を表6に示す。
[102] 直径2.8〜3.4mm又は直径2.4〜2.8mmの範囲にある造粒物は、ルーメン安定性(%)(70vs69)、腸内放出率(%)(89vs93)、及び推定MP Lys(24.4 vs 25.2g/100g)が類似していた。したがって、安定性が均一であり、リジンを放出する、均一な滴下造粒された粒状体が製造された。
実施例8.滴下造粒された粒状体を投与された乳牛のリジンの状態
[104] 滴下造粒された粒状体が泌乳牛のリジンの状態を向上する能力を確認するために試験を行った。滴下造粒された粒状体を本明細書に記載した通りに製造した。乳牛に、体重の維持に十分であると同時に多量の産乳を助けるのに十分な栄養を与えるように配合した餌を給与した。
[105] 各試験を行うために、8頭のホルスタイン種乳牛[BW(平均値±SD)=598.2±64.1kg;DIM=117±16]を、4×4ラテン方格法による反復実験において4種の処理の1種に割り付け、実験期間を7日間とした。2種の試作品に関する実験の全期間を28日間とした。期間(7日間又はd)を、ウォッシュアウト期間(d1、処置剤を送達しない)、処置剤をゼラチンカプセルで送達する適応3期間(d2〜4)、及び更に処置剤をゼラチンカプセルで送達する統計的推定のための期間(d5〜7)に分けた。処置は次に示す通りとした;乳牛に、基礎飼料+トウモロコシ粉(CON)115g;基礎試料+市販のルーメン保護リジン供給源(AJP)115g(陽性対照);基礎試料+ルーメン保護リジン供給源の一実施例115g;及び基礎試料+ルーメン保護リジン供給源の第2の実施例115gを、試験期間を通して給与した。この試験をA〜Hで識別する8種の異なる実施例を評価するために4回繰り返した。
[106] 処置剤を28mLゼラチンカプセル(Structure Probe Inc., West Chester, PA)を介して1日2回送達し(12時間間隔)、投薬器を用いて経口投与した。全ての乳牛に試験期間全体を通して同じ餌を1日1回1300時に給与した。滴下造粒された粒状体を本開示に従い製造し、組成はリジンHClを50〜55%及び選択された乳化剤を1%含有するものとした。AJP処置剤にはAjipro-L(Ajinomoto Heartland Inc., 8430 W. Bryn Mawr, #650, Chicago, IL)を使用した。
[107] 完全飼料(TMR)の試料を毎週入手し、110℃の強制空気循環型オーブンで24時間乾燥させて乾物(DM)を分析した。AOAC公認法(AOAC Official methods of analysis, 16th edition)(AOAC, 1995a, Association of Official Analytical Chemists)を参照されたい。飼料組成をDM成分含有量の変化に応じて毎週調整した。毎週のDM分析に基づき各乳牛の摂取量を求めるために、TMRの給餌量及び残飼量を記録した。完全飼料の試料を毎週採取し(期間中2回)、分析を行うまで−20℃で保存した。実験期間中の試料を合わせ(n=2)、DM、粗タンパク質(CP)、酸性デタージェント繊維(ADF)、中性デタージェント繊維(NDF)、リグニン、非繊維性炭水化物(NFC)、糖、デンプン、脂肪、灰分、可消化養分総量(TDN)、Ca、P、Mg、K、Na、Fe、Zn、Cu、Mn、Mo、S、及びSeの含有量を湿式化学的方法(wet chemistry method)を用いて分析した(Cumberl and Valley Analytical Services, Hagerstown, MD)。TDN値及び泌乳のための正味エネルギー(NEL)は実験室から入手し、Nutrient Requirements of Dairy Cattle(NRC)に基づき算出した。http://www.nap.edu/catalog/nrs/ (2001)。TMRの物理特性評価を、Penn State Particle Separator (Kononoff et al.,2003)に基づき毎週実施した。
[108] 搾乳を1日3回、0430、12300、及び1930時に行った。搾乳毎に乳量を記録し、各期間のd5〜7の搾乳毎に試料を取得した。防腐剤(800 Broad Spectrum Microtabs II; D&F Control Systems, Inc., San Ramon, CA)を試料に添加し、冷蔵庫で0℃で3d保管し、乳量に比例するように組み合わせ(composited)、脂肪、純タンパク質、カゼイン、乳中尿素態窒素(MUN)、乳糖、全固形分の含有量の分析、及び中赤外手法を用いた体細胞数(SCC)の分析を行うために(AOAC, 1995b)、民間の(commercial)実験室(Dairy One, Ithaca, NY)に送付した。
[109] 各期間のd5、6、7の0800時、1000時、1200時、及び1400時と、共変量として使用するために第1期間のd−3、−2、及び−1とに、各乳牛の尾静脈又は動脈から血液を採取した(BD Vacutainer; BD and Co., Franklin Lakes, NJ)。採血管を2,500×gで15min、4℃で遠心することにより血清及び血漿サンプルを採取し、更に分析するために−80℃で保存した。血漿サンプルを乳牛毎及び採取日毎にプールし、アミノ酸プロファイルを分析した。
[110] 乳牛にCONを給餌するか又はAJP若しくは供試生成物を投与した場合の血漿中遊離アミノ酸濃度の相対的変化を評価することにより、実施例A〜Hの生物利用可能なリジン含有量を決定した。この手法は、吸収されたリジン濃度と血漿中リジン濃度が正の線形関係にあることを前提としたものである。多くの刊行物において、この手法が生物学的に妥当であり、動物の第四胃又は腸への吸収性リジンの送達量を求めるために有用であると実証されている(Guinard and Rulquin,1994; King et al., 1991; Rulquin and Kowalczk, 2003)。
[111] 乳牛に供試生成物又はAJPをボーラス投与した場合の血漿中遊離リジン含有量を、全アミノ酸(TAA)の百分率として評価することにより、カプセル化されたリジン生成物の生物利用可能なリジン含有量を求めた。市販のAJP製品は、生物利用可能なリジン含有量が100g当たり25.6gであると報告されている。この値を用いて、供試生成物A〜Hの生物利用可能なリジンの送達量を推算するために、次式を使用した:生物利用可能なリジンのグラム数(100g当たりのグラム)=[(生成物の血漿中リジン(TAAに対する%)−CONTの血漿中リジン(TAAに対する%))/(AJPの血漿中リジン(TAAに対する%)−CONTの血漿中リジン(TAAに対する%))]×25.6。
[112] 表7に、乳牛に投与したAJP又は実施例A〜Hが、血漿中遊離アミノ濃度に与える効果を示す。実施例A及びFは、血漿中リジン含有量に有利な効果を誘発しなかった。実施例Aは造粒物のサイズの中央値が規定の範囲から外れていたために機能せず、一方、Fは、乳化剤(SMS)が第四胃〜小腸におけるリジン放出の低下を引き起こした可能性があるため機能しなかった。実施例B、C、D、E、G、及びHは、生物利用可能なリジンを送達する様々な可能性を示した。実施例Cは優れた特性を示し、生成物100g当たり生物利用可能なリジンを36g送達したと推算された。この試験から、本明細書に開示する加工方法を用いてリジンをカプセル化することにより、泌乳牛のリジンの状態を改善することの利点が示された。
実施例9.カプセル化されたLysが泌乳牛の産乳に与える効果
[115] 滴下造粒された粒状体がリジンの状態及び泌乳牛の産乳に影響を与える能力を調査するために試験を実施した。滴下造粒された粒状体を実質的に本明細書に記載した通りに形成した。ホルスタイン種泌乳牛に、体重維持に十分であると同時に産乳量の増加を支援するように栄養素を与えるように配合された飼料を給与した。8頭のホルスタイン種乳牛[BW(平均値±SD)=598.2±64.1kg;DIM=117±16]を、4×4ラテン方格法による反復実験において4種の処理の1種に割り付け、実験期間を7日間とした。2種の試作品の実験の全期間を28日間とした。期間(7d)を、ウォッシュアウト段階(d1、処置剤を送達しない)、処置剤をゼラチンカプセルで送達する適応3期間(d2〜4)、及び同じく処理剤をゼラチンカプセルで送達する統計的推定のための期間(d5〜7)に分けた。処置は次に示す通りとした;乳牛に、基礎飼料+トウモロコシ粉115g(CON);基礎飼料+市販のルーメン保護リジン供給源115g(AJP)(陽性対照);基礎飼料+滴下造粒されたLys粒状体115g(ルーメン保護Lys A(RPL A)として識別);及び基礎飼料+第2ルーメン−保護リジン試作品115g(ルーメン保護Lys B(RPL B)として識別)を試験期間に亘り給与した。
[116] 搾乳を1日3回、0430、1230、及び1930時に行った。搾乳毎に乳量を記録し、各期間のd5〜7の搾乳毎に試料を採取した。防腐剤(800 Broad Spectrum Microtabs II; D&F Control Systems, Inc., San Ramon, CA)を試料に添加し、冷蔵庫で0℃で3d保管して、乳量に比例するように組み合わせ、脂肪、純タンパク質、カゼイン、乳中尿素態窒素(MUN)、乳糖、全固形分の含有量の分析、及び中赤外手法を用いた体細胞数(SCC)の分析を行うために(AOAC,1995b)、民間の実験室に送付した。
[117] 試験結果を表8に示す。飼料摂取量、体重(BW)、BWに対する比率としての飼料摂取量、産乳量、又は乳組成に関しては、処置による差は見られなかった。乾物摂取量は、RPL B乳牛の方がAJPと比較して高かった(P=0.006)。RPL B乳牛の産乳量は、AJPと比較して高くなる傾向にあった(P=0.07)。脂肪補正乳(3.5%)もAJP乳牛と比較してRPL Bの方が高くなる傾向にあった(P=0.11)。タンパク質率はRPL B乳牛の方がAJPと比較して高かった(P=0.02;CONT3)。RPL Bを投与した乳牛の乳中尿素態窒素濃度はAJPを投与した乳牛と比較して低下しており(P=0.05);CONの乳牛も乳中尿素態窒素濃度はAJPの乳牛よりも低下していた(P=0.01)。体細胞数はAJPと比較してRPL B乳牛の方が低かった(P=0.005)。
[119] RPL B及びCONの間に差が見られ、RPL Bは飼料摂取量がより高く、産乳量がより高くなる傾向にあった。また、RPL Bの乳牛は、乳中尿素態窒素濃度がAJPの乳牛と比較して低く、後者はタンパク質分解性が高い可能性を示唆している。この試験結果は、本明細書に記載するカプセル化されたLysは、泌乳反芻動物の摂取量及び産乳量を、市販のカプセル化されたLysと比較して改善するために使用することができることを示唆している。
実施例10.乳化剤が栄養素含有量及び造粒物のルーメン安定性に与える影響
[121] 乳化剤又は界面活性剤の選択と、固体栄養素含有量を増加した造粒物を形成する能力との関係を評価するために一連の試験を行った。最初に60メッシュの篩又は100メッシュの篩を通過する粒度のリジンHClについて評価した。モノグリセリド(Alphadim 90 SBK)、ソルビタンモノステアレート(SMS)、レシチン乳化剤、又は組合せを、1%又は1.5%(固体含有量が造粒物を形成する粘度の限界に近づいたため)添加して試験を行った。次いで、添加比率及び安定性の初期の見積もりを行うための本プロセスの代替的な実施例として、ヒスチジン、メチオニン、及びコリン塩化物を比較した。
[122] 図18に、直径3〜5mmの造粒物の乳化剤組成、リジンHClの添加量、及びルーメン安定性の関係を示す。SBKを使用することにより良好なルーメン安定性が得られるが、粘度のため、リジンの含有量が組成の約55%に制限され、この試験とは対照的に、レシチンを使用することにより固体を65%まで含有させることが可能となった。SMSを単独で使用すると、固体含有率が中間の60%に到達した一方で、ルーメン安定性は維持されたままであり、タンパク質の値(RUP、%CP)は70%超となった。固体添加量を増加すると、一般に、ルーメン安定性が曲線的に低下した。SMS及びレシチンを組み合わせると、レシチンと比較して、ルーメン安定性が改善され、SMSと比較して、添加可能な比率が増加した。
[123] 表9に示すように、リジンHCLを55%含む小さい造粒物又は大きい造粒物を比較すると、SMSを単独で使用した場合のルーメン安定性は、yelkin及びSMSの50:50ブレンド物をベースとする組成物での変動がより大きかったことと比較して、その差が小さかったことを示している。ルーメン安定性は界面活性剤の量を増加して粘度を変更することによって操作することもできたが、その場合、SMSを組成の1から1.5%に増加すると、小さい造粒物の安定性は87.7%から73.7%RUP(%CP)に低下した。
[124] 表に示すように、栄養素の特徴も達成可能な添加率及び結果として得られる粒子の安定性に影響を与える。乳化剤ブレンド物を用いることにより、固体含有量を、メチオニンの場合は60%、リジンHCLの場合は65%、ヒスチジンの場合は70%として、造粒物を上首尾に形成することが可能となった。アミノ酸以外の栄養素を物理的に送達できる可能性を示すためにコリンHCLも示した。
[126] 本実施例の結果は、カプセル化された粒状体の形成において、複数の栄養素を収容することを目的として乳化剤の種類及び量を調整できる可能性並びに動物の消化管内への送達が調整される可能性を示している。所与の栄養素、アミノ酸、ビタミン、又はフィトニュートリエントに対する、栄養素を適切に送達するための材料の最適化は、固体の物理的特性及び乳化剤の組成により生じる、粒状体の形成を可能にする粘度に基づき発展することになり、これはまた、固体添加率、乳化剤含有量、及び粒状体のサイズとも相互作用する。
[127] 本開示の態様は、次を含む:
[128] アミノ酸の親水性等の特性、粒子サイズ、及び植物抽出物等の更なる栄養添加物の含有に基づく配合の微調整を行いながら、スラリー中の乾燥固体含有量を最大限にする乳化剤の1種又は組合せの選択が見出された。本開示の一態様において、滴下造粒−着地プロセスにおいて50%を超える固体含有量が可能となった。更なる新規な有益な利用性は、乾燥固体を最大限の含有量で、恐らく60〜65%(例えば、リジンHClの場合)又は65〜70%(ヒスチジンの場合)で含む組成物を配合する選択肢、或いは、特にレオロジー及び所望の粒状物の最終サイズを調整する場合に、他の形で実施する場合よりも幅広い分布の粒子が使用されることにある。これらの濃度は上市されている既存の市販品の濃度を超え、それによって、実際の有用性を改善することができる。
[129] ポリグリセロール乳化剤を動物用のカプセル化に使用すると、少なくともソルビタンエステルよりも改善された特性が付与される。また、これらは、レシチンの効果的な代替品となるようである。PGE等の乳化剤を使用することにより、固形分を増加し、及び/又は固体粒度の自由度をより高くすることが可能になる。
[130] 動物の利用性を向上するために、酵素又はフィトニュートリエント等の機能性添加物を、カプセル化されたアミノ酸生成物に含有させる。ハッカ(メントール)及びカプサイシン等の物質は動物の炎症及び血流を変化させる可能性がある。腸組織の吸収能を向上させるフィトニュートリエントを用いることにより、本発明により製造されたカプセル化されたアミノ酸生成物を用いて反芻動物の腸に送達されるアミノ酸の吸収及び利用が、カプセル化されていないアミノ酸生成物、即ち遊離アミノ酸生成物を用いた場合よりも高くなると推測することができる。
[131] 植物性成分を含有させることにより、材料マトリクス内における機能に基づきレオロジーが更に調整され、固体に対する粘度が増加する場合及び低下する場合の両方が認められる。例えば、クルクミンを含有させることにより、レシチンとの相互作用によってSMSを用いた場合よりも大幅に粘度が増加した。これは、栄養及び機能を単一の製品形態で送達する製品を最適化するためには、かなりの量の微調整及び要求に合わせた調整が必要となり得ることを示唆している。
[132] 本発明を、その好ましい実施形態を参照しながら具体的に示し説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細の様々な変更が可能であることを理解するであろう。

Claims (30)

  1. 動物飼料成分をカプセル化又はコーティングするプロセスであって、その方法は:
    (a)乳化剤をコーティング剤と混合し、それにより、コーティング混合物を形成することと;
    (b)前記コーティング混合物を動物飼料成分粒子上に配置し、それにより、前記動物飼料成分をカプセル化又はコーティングすることと;
    を含む、プロセス。
  2. 前記乳化剤は、レシチン、モノグリセリド、ソルビタンエステル、ポリグリセロール、及びこれらの組合せの群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記コーティング剤は、油及び脂肪酸並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  4. 前記動物飼料成分はアミノ酸である、請求項1に記載のプロセス。
  5. アミノ酸粒子をカプセル化するプロセスであって:
    (a)モノグリセリドを硬化植物油と混合し、それにより、コーティング混合物を生成することと;
    (b)前記コーティング混合物をアミノ酸粒子と混合することによりスラリーを形成することと;
    (c)前記スラリーを加熱することにより溶融生成物を形成することと;
    (d)前記溶融生成物を実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体としてベルトクーラー上に滴下して着地させることと;
    を含むプロセス。
  6. 前記アミノ酸粒子は、リジン粒子、メチオニン粒子、ヒスチジン粒子、コリン粒子、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載のプロセス。
  7. 前記溶融生成物は、造粒機に搬送され、前記造粒機から前記ベルトクーラー上に滴下されて着地する、請求項5に記載のプロセス。
  8. 前記溶融生成物は、前記造粒機に搬送される前に前記溶融生成物から望ましくない大きな粒子を除去するために濾過される、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記造粒機は、直径が1〜25mmの範囲にある滴下造粒された粒状体を製造するように構成されている、請求項7に記載のプロセス。
  10. 前記製造された滴下造粒された粒状体は、50重量%を超える栄養を給与するアミノ酸を含む、請求項7に記載のプロセス。
  11. 前記製造された滴下造粒された粒状体は、反芻動物に給与されると、多量の吸収可能なアミノ酸を前記動物に直接栄養給与するために送達し、前記アミノ酸は、前記動物のルーメン内で実質的に発酵されない、請求項7に記載のプロセス。
  12. 前記造粒機は、加熱された円筒形ステータを含み、前記加熱された円筒形ステータは、前記ステータの周りを同軸上を回転する打ち抜き穴を有する回転外筒を含み、前記滴下造粒された粒状体を前記ベルトクーラーの有効幅に亘り滴下して着地させる、請求項7に記載のプロセス。
  13. 実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体生成物であって、反芻動物に給与されると、多量の吸収可能なアミノ酸を前記動物に直接栄養給与するために送達し、前記アミノ酸は、前記動物のルーメン内で実質的に発酵されない、実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体生成物。
  14. 50重量%を超える栄養給与アミノ酸を含む、請求項13に記載の実質的に均一なダストフリーの滴下造粒された粒状体生成物。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセスにより製造される生成物。
  16. 滴下造粒された粒状体であって:
    アミノ酸と;
    乳化剤と;
    コーティング剤と;
    を含み、前記滴下造粒された粒状体は、アスペクト比(直径/高さ)が1.5〜2.5の略半球形状にある、滴下造粒された粒状体。
  17. 前記アミノ酸は、リジン、ヒスチジン、メチオニン、コリン、及びこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の滴下造粒された粒状体。
  18. 前記乳化剤は、レシチン、モノグリセリド、ソルビタンエステル、ポリグリセロール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16又は請求項17に記載の滴下造粒された粒状体。
  19. 前記コーティング剤は、油、脂肪酸、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  20. 前記コーティング剤は、硬化植物油である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  21. 前記滴下造粒された粒状体は、2.2〜5.0mmのサイズを有する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  22. 前記滴下造粒された粒状体は、2.2〜3.5mmのサイズを有する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  23. 前記アミノ酸は、50〜120メッシュの粒度を有する、請求項16〜22のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  24. 前記アミノ酸は、80〜110メッシュの粒度を有する、請求項16〜22のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  25. 前記アミノ酸は、前記滴下造粒された粒状体中に25〜85重量%、25〜75重量%、又は35〜75重量%存在する、請求項16〜22のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体。
  26. 動物に給餌する方法であって:
    請求項16〜25のいずれか一項に記載の滴下造粒された粒状体を動物飼料成分と混合し、それにより動物飼料を生成することと;
    動物に前記動物飼料を給餌することと;
    を含む方法。
  27. 前記動物は反芻動物である、請求項26に記載の方法。
  28. アミノ酸粒子をカプセル化するプロセスであって:
    乳化剤をコーティング剤と混合し、それにより、コーティング混合物を生成することと;
    前記コーティング混合物をアミノ酸粒子と混合することによりスラリーを形成することと;
    前記スラリーを用いて造粒物を形成することと;
    前記造粒物をベルト上に滴下して着地させることと;
    を含む、プロセス。
  29. 前記コーティング混合物を加熱することを更に含む、請求項28に記載のプロセス。
  30. 前記造粒物を前記ベルト上で冷却することを更に含む、請求項28又は請求項29に記載のプロセス。
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