以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
最初に、図1を参照して、本発明によるシート折り処理装置を備える画像形成システムの全体構成を説明する。画像形成システムは、画像形成装置Aと、シート折り処理装置Bと、後処理装置Cとを含んで構成され、画像形成装置Aによって画像形成されたシートSにシート折り処理装置Bによって折り処理を施した後、さらに下流側の後処理装置Cで、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施し、下流側の収納トレイ27に排出する。画像形成システムには、例えば、複写機、プリンタ、印刷機など種々の構造のものが含まれる。以下、画像形成装置A、シート折り処理装置B及び後処理装置Cについて詳細に説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、図1に示されているように、画像形成ユニットA1と、画像読取ユニットA2と、原稿給送ユニットA3とを含んでいる。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1内に、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
給紙部2は、複数のカセット2a,2b,2c、2dを含んでおり、各カセット2a,2b,2c、2dには、予め選定された異なる規格サイズのシートSを収納可能になっている。各カセット2a,2b,2c、2dには、内部のシートSを一枚ずつ分離する分離機構と、シートSを繰り出す給紙機構が内蔵されている。このような構成の給紙部2に収納されたシートSは、画像形成装置Aの本体制御部(図示せず)から指定されたサイズのシートSを給紙経路6に繰り出す。給紙経路6には、中間部に配置され複数のカセット2a,2b,2c,2dから供給されるシートSを下流側に搬送する搬送ローラ7と、経路端部に配置され各シートSを先端揃えするレジストローラ8とが設けられており、レジストローラ8によって先端揃えされたシートSが所定のタイミングで下流側の画像形成部3に給送される。
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートSに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。図示されている実施形態では、画像形成部3として、静電式画像形成機構が示されている。しかしながら、画像形成部3は、図示されている静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
図1に示されている画像形成部3では、感光体9(ドラム、ベルト)と、感光体9に光学ビームを発光する発光器10とが設けられており、現像器11(ディベロッパー)とクリーナ(図示せず)とが回転する感光体9の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、感光体9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。感光体9に付着されたインク画像(インクトナー)は、給紙部2から送られたシートSに転写チャージャ12で画像転写され、画像転写されたシートSが定着ローラ13で定着された後に、排紙経路14へ送られる。また、画像形成部3には、循環経路17が設けられており、排紙経路14からのシートSをスイッチバック経路で裏表反転した後に、再びレジストローラ8に送り、シートSの裏面に画像形成がされ、排紙経路14へ送られる。排紙経路14には、排紙ローラ15が配置されていると共に、その末端に排紙口16が形成されており、排紙ローラ15によって排紙口16からシート折り処理装置BへシートSを搬送する。
このように構成された画像形成ユニットA1の上部には、画像形成部3で画像形成する原稿画像を光学的に読み取る原稿読取ユニットA2が設けられており、原稿読取ユニットA2のさらに上部に、原稿給送ユニットA3が搭載されている。
画像読取ユニットA2は、透明ガラスで形成された第1のプラテン18及び第2のプラテン19と、読取キャリッジ20と、読取キャリッジ20に搭載された光源と、光電変換素子21と、ミラーやレンズを組み合わせて構成された縮小光学系22とを備え、第1のプラテン18に沿って読取キャリッジ20を走査して第1のプラテン18上に載置された原稿シートSの画像に光源からの光を照射し、原稿シートSの画像からの反射光を縮小光学系22で光電変換素子21に案内して、画像の読み取りを行う。光電変換素子21は画像データを電気信号に変換して画像形成部3に転送する。
原稿給送ユニットA3は、給紙トレイ23と、給紙経路24と、排紙トレイ25とを備え、給紙トレイ23上に載置された原稿を給紙経路24に沿って一枚ずつ搬送して、第2のプラテン19上を通過させ、排紙トレイ25に排出する。なお、原稿給送ユニットA3から給送されて第2のプラテン19上を通過する原稿を読み取るときには、読取キャリッジ20を第2のプラテン19の下方で予め停止させておき、第2のプラテン19上を通過する画像から画像データを生成させる。
[後処理装置]
後処理装置Cは、画像形成装置Aに連結されたシート折り処理装置Bのさらに下流側に連結されており、シート折り処理装置Bによって折り処理を施されて又は折り処理を施されずに排出されたシートSを受け取って、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施す。
後処理装置Cの内部には、後処理経路26が設けられており、後処理経路26に沿ってステープルユニットや整合ユニットなどの後処理機器(図示せず)が配置されている。後処理装置Cは、画像形成装置Aから排出されたシートSをシート折り処理装置Bを介して受け取り、必要に応じて、ステープルユニットや整合ユニットなどの後処理装置によって、受け取ったシートSにステープル処理や整合処理などを施した後に、シートSを収納トレイ27に排出して収納する。
[シート折り処理装置]
画像形成装置Aに連結されたシート折り処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16から排出された画像形成済みのシートSを受け取り、折り処理を施す装置である。
図2にシート折り処理装置Bの内部構成が示されている。シート折り処理装置Bの内部には、略水平方向に延びる搬送経路101が設けられている。以下の説明において、搬送経路101を搬送ローラ対102から折り処理機構103に向けてシートSが搬送される方向をシート搬送方向とし、単純に「上流側」や「下流側」と記されている場合はシート搬送方向における上流側と下流側を意味する。搬送経路101上には、一つ又は複数の搬送ローラ対102と、搬送ローラ対102の下流側に配置される折り処理機構103すなわち折り処理部とが設けられていると共に、折り処理機構103の下流側の搬送経路101の末端部には、さらに、増し折りユニット104が設けられている。シート折り処理装置Bは、搬送経路101に沿って搬送されるシートSに折り処理機構103によって折り処理を施した後に、増し折りユニット104によって増し折り処理を施し、折り処理及び増し折り処理を施したシートSを後処理装置Cに引き渡すことができるようになっている。なお、搬送経路101上には、搬送されるシートを検出するセンサ304a、304bが設けられている。センサ304aは搬送ローラ対102の上流側(画像形成装置Aと搬送ローラ対102との間)に配置されており、センサ304bは折りローラ対105の下流側(折りローラ対105と増し折りユニット104との間)に配置されている。
なお、搬送経路101は、図1に示されているように、画像形成装置Aの排紙口16に連なるように配置され、排紙口16から排出されたシートSを搬送経路101を介してシート折り処理装置B内に搬入できるようになっている。また、増し折りユニット104の排出口も後処理装置Cの後処理経路26と連なるように配置され、増し折りユニット104から排出されるシートSが後処理経路26を介して後処理装置C内に搬入できるようになっている。
搬送ローラ対102は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側搬送ローラ102aと、上側搬送ローラ102aと対向して下側に配置される下側搬送ローラ102bとを含んでいる。本実施形態では、上側搬送ローラ102aは、図示されていない搬送ローラ駆動モータに連結されており、搬送ローラ駆動モータの回転に伴って回転するようになっている一方、下側ローラ102bは、図示されていないバネの付勢力によって上側搬送ローラ102aに圧接されており、従動的に回転するようになっている。しかしながら、搬送ローラ対102は、シートSを搬送することができれば、上述の構成に限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
折り処理機構103は、折りローラ対105と、突き板107とによって構成されている。折りローラ対105は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側折りローラ105aと、上側折りローラ105aと対向して下側に配置される下側折りローラ105bとを含んでいる。下側折りローラ105bは、図示されていないバネの付勢力によって上側折りローラ105aに圧接されており、上側折りローラ105aと下側折りローラ105bとは、図示されていない共通の折りローラ駆動モータに連結されており、折りローラ駆動モータの回転に伴って互いと逆向きに回転するようになっている。突き板107は、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間に配置され、図示されていない突き板駆動モータに連結されており、該突き板駆動モータの駆動に伴って折りローラ対105の上流側で搬送経路101と平行にシート搬送方向に直線状に移動するようになっている。
搬送ローラ対102と折りローラ対105との間の搬送経路101には、上側搬送ガイド108と、下側搬送ガイド109と、上側折りガイド110と、下側折りガイド111とが設けられている。
上側搬送ガイド108は、シートSの先端を搬送ローラ対102から突き板107まで導くように搬送ローラ対102の直後から突き板107の上方まで形成されている。上側搬送ガイド108は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の上側に配置されており、下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。また、上側折りガイド110は、上側搬送ガイド108と折りローラ対105との間に配置され、折りローラ対105にシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を導くように折りローラ対105の直前まで延びている。上側折りガイド110は、折り処理機構103におけるシートSの流れを規制するためのものであり、上側搬送ガイド108の下流側で搬送経路101の上側に設けられている。
下側搬送ガイド109は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の下側に配置されており、上側搬送ガイド108と同様に下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。下側搬送ガイド109は、突き板107の手前で途切れており、下側搬送ガイド109の下流側には、開いたループ形成空間50が形成されている。下側折りガイド111は、突き板107の下流側に配置され、搬送されるシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を折りローラ対105のニップ部へ導くための水平面と水平面へ導きやすくするための傾斜面とを有している。
突き板107は、前記突き板駆動モータからなる図示されていない突き板駆動装置と制御部とによってシート搬送方向に水平移動されるようになっている。前記突き板駆動モータ及び前記制御部については、シート折り処理装置Bの制御構成に関連して詳細に後述する。また、突き板107は、搬送経路101に沿ってシートSを搬送ローラ対102によって折りローラ対105まで搬送するとき、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間のループ形成空間50を埋めるように配置されており、搬送されるシートSの先端を下側折りガイド111まで導くようになっている。
前記制御部は、搬送されているシートSの先端が折りローラ対105にニップされたことを認識すると、該シートSに折り曲げ部を形成するために、突き板107を水平方向に下側搬送ガイド109の下方の退避位置へ移動させて、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間にループ形成空間50を開放させる。その後、シートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態で、搬送ローラ対102によりシートSを所定量だけ搬送すると、シートSの中間部がループ形成空間50で搬送経路101から下方に撓んでループ部を作成する。この状態で、突き板107を退避位置から折りローラ対105へ向かって水平方向に移動させて折り曲げ部を形成し、突き板107が折りローラ対105の手前まで到達した後に、折りローラ対105を駆動させてシートSを搬送させることによって、第1の折り目132が形成され、さらに、突き板107を退避位置へ移動させた後に折りローラ対105によってシートSを搬送させてループ部をニップすることによって第2の折り目133が形成されて、Z折りが施されたシートSが下流側に搬送される。
次に、図3を参照して増し折りユニット104の構成を説明する。増し折りユニット104は、折りローラ対105のシート搬送方向下流側において増し折り受け部材120の下方(下側折りローラ105b側)に配置されている。増し折りユニット104は、移動可能な支持部材112と、支持部材112に支持されている複数の増し折りコロ114と、支持部材112に取り付けられた規制部材115と、支持部材112を増し折り受け部材120に対して接近離反する方向に移動させる第1の移動機構116と、支持部材112を水平方向にシートSの折り目に沿って移動させる第2の移動機構117とを備える。折りローラ対105の下流側には、シートSを増し折りユニット104に案内する一対の受入ガイド118が設けられており、一対の受入ガイド118の上流側端部はシートを増し折りユニット104に受け入れる受入口119をなしている。上側受入ガイド118aは増し折り受け部材120と同一部材で形成され、シート搬送方向に連続したガイドとして機能する。下側受入ガイド118bは、受入口119から増し折りコロ114まで上側受入ガイド118aと共にシートSをガイドする。また、上述のような支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114と増し折り受け部材120とによって増し折り部が構成される。
複数の増し折りコロ114は、各々がシート搬送方向(増し折り受け部材120の下面と平行で且つシートSの折り目と垂直な方向)に延びる回転軸線周りに回転可能となるように、押圧部材配置領域にシートSの折り目の方向に一列に互いに一定の間隔で離間して配置されて支持部材112に支持されている。このように、各増し折りコロ114の回転軸線がシートSのシート搬送方向に延びるように、各増し折りコロ114が支持部材112に支持されていることで、各増し折りコロ114の幅はシート搬送方向に折り目をまたぐ大きさであればよくなり、増し折りコロ114の直径にかかわらず、シートSのシート搬送方向の幅を狭くすることができる。したがって、折りローラ対105に近接して配置することができ、折り処理装置Bの小型化が可能となる。
また、第1の移動機構116は、複数の増し折りコロ114を支持する支持部材112を増し折り受け部材120に対して接近離反する方向に移動させる。これにより、複数の増し折りコロ114を増し折り受け部材120に対して接近離反させ、各増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間に配置されたシートSの折り目を各増し折りコロ114と増し折り受け部材120とによって押圧する押圧位置とシートSから離れる方向に押圧位置から複数の増し折りコロ114を移動させた退避位置との間で移動できるようになっている。また、第2の移動機構117は、押圧位置で支持部材112を水平方向(図3における左右方向)に移動させることによって複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動できるようになっている。
なお、複数の増し折りコロ114と増し折り受け部材120とは、押圧位置においてシートSがそれらの間に介在していなければ、直接接触するようになっている。押圧部材配置領域の長さ(すなわち押圧部材配置領域の両極端位置に配置された増し折りコロ114の間の距離)は、退避位置から押圧位置に移動されたときに一方の極端位置に隣り合って配置される二つの増し折りコロ114の間にシートSの折り目の一方の端部(増し折りコロ114の移動方向上流側の端部)が配置され且つ他方の極端位置に配置される増し折りコロ114が折り目上に配置されるように定められている。好ましくは、図示されている実施形態のように、押圧部材配置領域の長さすなわち押圧部材配置領域の両極端位置に配置された増し折りコロ114の間の長さが、増し折りユニット104に搬入されるシートSの折り目の長さよりも複数の増し折りコロ114の配列の1ピッチ分(隣り合って配置される二つの増し折りコロの1間隔分)だけ短くなっている。この場合、必要となる増し折りコロ114の数を減らすことができ、増し折りコロ114のコストを減少させることができる。また、支持部材112に支持される増し折りコロ114の数が減少するので、同じ力を支持部材112に付与するときにシートSに対する一つの増し折りコロ114当たりの押圧力が大きくなって、増し折りの効果が高くなり、より小さい力で効率的な増し折りが可能となる。
増し折りユニット104では、複数の増し折りコロ114が増し折り受け部材120に対して退避位置又は押圧位置よりも退避位置側へ離れた受け入れ位置に配置された状態で、増し折りユニット104内にシートSを受け入れた後、折りローラ対105と増し折りユニット104との間に設けられたシート位置検出手段(センサ304b)によってシートSの位置を検出してシートSの折り目が増し折りコロ114の下方に到達したときにシートSを停止させ、第1の移動機構116によって増し折り受け部材120に対して複数の増し折りコロ114を押圧位置に移動させる。シートSは、押圧位置に複数の増し折りコロ114が移動したときに、折り目の一方の端部(折り目に沿った移動の方向の上流側の端部)が押圧部材配置領域における一方の極端位置の二つの増し折りコロ114の間に配置される一方、折り目の他方の端部(折り目に沿った移動の方向の下流側の端部)が押圧部材配置領域の外側(すなわち、押圧部材配置領域における他方の極端位置の増し折りコロ114の外側)に配置されるように、増し折りユニット104内に搬送される。さらに、第2の移動機構117によって押圧位置で増し折り受け部材120に対して複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動させることによって、複数の増し折りコロ114でシートSの折り目を折り目の全域にわたって押圧して増し折りを行い、折り目を強化する。このように、各増し折りコロ114と増し折り受け部材120とは押圧部材として機能する。
また、両極端位置の増し折りコロ114の外側及び離間して隣り合う増し折りコロ114の間には、支持部材112に取り付けられた概略L字形状断面を有する規制部材115が配置されている。規制部材115は、増し折りコロ114を増し折り受け部材120に対して押圧位置でシートSの折り目に沿って移動して増し折りを行う増し折り処理の際に、規制部材115の上面(すなわち、増し折り受け部材120と対向する面)と増し折り受け部材120の下面との間の距離d1が、通常の搬送経路の高さ、例えば増し折りユニット104の受入口119に続く搬送経路を形成する一対の受入ガイド118(上側受入ガイド118aと下側受入ガイド118b)の間の距離d2よりも短くなる規制位置に配置され、距離d1を保ちながら支持部材112と共にシートSの折り目に沿って移動する。ここでの規制部材115の上面と増し折り受け部材120の下面との間の距離d1は、これらの部材が直接接触することがないように定められている。これによって、増し折りコロ114による押圧に先だって、規制部材115が折り目の高さを上側受入ガイド118aと下側受入ガイド118bとの間よりも高く押し上げた状態で、増し折りコロ114によってシートSの折り目を押圧して増し折りを行うことができる。
なお、複数の増し折りコロ114と増し折り受け部材120との隙間、および、規制部材115と増し折り受け部材120との隙間は、それぞれ、シートSの折り目に沿った方向に全域にわたって一定に保たれている。
複数の増し折りコロ114は、それぞれ、支持部材112に対して移動可能に支持された補助部材(図示せず)に回動可能に取り付けられ、支持部材112に形成されたバネ受け部(図示せず)と各前記補助部材の下端部との間にそれぞれバネ(図示せず)を配置し、増し折りコロ114を増し折り受け部材120へ向けて付勢するようになっていることが好ましい。このような構成にすることによって、増し折りユニット104の支持部材112及びこれに取り付けられた規制部材115が増し折り受け部材120へ向かって上方へ移動する際に、増し折りコロ114はシートを介して増し折り受け部材120に接したところで上方への移動を停止する一方、前記バネの収縮により支持部材112及び規制部材115はさらに上方への移動を続けることができ、規制部材115の上面と増し折り受け部材120の下面との距離が所望の値になって規制部材115が規制位置に到達した時点で停止させることが可能となる。また、前記各補助部材が個別の前記バネで付勢されていれば、支持部材112が少し傾いてシートSの折り目に沿って移動した場合でも、各増し折りコロ114がシートSの折り目に対して一定の押圧力を付与することができ、折り目の部分によって押圧力が変化し不均一な増し折りを行うことを抑制することができる。
次に、図示されている実施形態における第1の移動機構116と第2の移動機構117の詳細な構成について説明する。
増し折りユニット104の支持部材112は、シート折り処理装置Bの筐体122などに固定されたガイドレール123に沿って移動可能なスライダ124に、ブラケット125を介して上下動可能に取り付けられており、水平方向にスライダ124と連動して移動するようになっている。スライダ124上には、プーリ126と一体的に回転するピニオン(図示せず)と噛合するラック127が設けられており、プーリ126よりもシート搬送方向上流側で且つ折りローラ対105よりも下方(搬送経路101よりもループ形成空間50側)に設けられた増し折り駆動モータ128を駆動して、その回転をベルト129を介してプーリ126に伝達してプーリ126を回転させることによって、スライダ124を水平方向にガイドレール123に沿って移動させることができるようになっている。
また、支持部材112には、シート折り処理装置Bの筐体122などに固定された接触子130と係合するカム溝131が形成されている。支持部材112の水平移動に伴ってカム溝131が接触子130と係合しながら移動し、カム溝131の形状に従って支持部材112が案内されながら移動する。カム溝131は、略水平方向に延びる第1の頂部水平部分と、第1の頂部水平部分の終端から下方に傾斜して延びる第1の傾斜部分と、第1の傾斜部分の終端から概略水平方向に延びる底部水平部分と、底部水平部分の終端から上方に傾斜して延びる第2の傾斜部分と、第2の傾斜部分の終端から略水平に延びる第2の頂部水平部分とを含んでいる。
カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を図3中の水平方向に移動させることによって、支持部材112が増し折り受け部材120に対して接近離反する方向すなわち図3中の上下方向に移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分が第1の移動機構116を構成している。
また、カム溝131の底部水平部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を図中の水平方向に移動させることによって、支持部材112及びこれに支持される複数の増し折りコロ114が増し折り受け部材120に対して図3中の水平方向にシートSの折り目に沿って移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の頂部水平部分が第2の移動機構117を構成している。図示されている実施形態では、接触子130が筐体122などに固定され、カム溝131が支持部材112に形成されているが、接触子130を支持部材112に固定し、カム溝131を筐体122に形成するようにしてもよい。
なお、図示されている実施形態のように、複数の増し折りコロ114が一定の間隔で離間して配置されている場合、隣り合う増し折りコロ114の間に位置する折り目の全てを増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間で押圧するためには、隣り合う増し折りコロ114の間隔分(すなわち1ピッチ分の距離)以上、押圧位置で増し折り受け部材120に対して複数の増し折りコロ114を折り目に沿って移動させる必要がある。上述した第1の移動機構116の構成では、接触子130とカム溝131の第1の傾斜部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が増し折り受け部材120に対して接近して押圧位置に移動される。また、上述した第2の移動機構117の構成では、接触子130とカム溝131の底部水平部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で折り目に沿って移動することになる。よって、カム溝131の底部水平部分の水平方向(折り目に沿った方向)の長さは、隣り合う増し折りコロ114の1ピッチ分以上になっている。
次に、図4(a)、(b)を参照して、図示されている実施形態の増し折りユニット104の動作を簡単に説明する。ここでは、折りローラ対105によって先端に折り目132が形成されているシートSが増し折りユニット104に搬送されるものとして説明を行う。
折り処理機構103からのシートSを受入口119及び上側受入ガイド118aと下側受入ガイド118bとによって構成される搬送経路を通して増し折りユニット104内に受け入れるとき、図4(a)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114はホーム位置である受け入れ位置に配置されている。折りローラ対105の下流側に設けられたセンサ304bによってシートSの位置を検出することで、図4(a)に示されているように、シートSのシート搬送方向先端側の第1の折り目132が増し折りコロ114の上方に到達したことを認識すると、シートSの搬送を停止させ、増し折り駆動モータ128を駆動することによって、スライダ124と共に支持部材112を水平方向に移動させる。これによって、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の頂部水平部分から第1の傾斜部分へ移動し、これに伴って支持部材112が増し折り受け部材120へ向けて上昇して、図4(b)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が増し折り受け部材120との間にシートSの第1の折り目132を挟み込んで押圧する押圧位置へ移動する。
図4(b)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112を更に水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の傾斜部分から底部水平部分に移動する。すると、支持部材112に取り付けられている規制部材115がシートSの第1の折り目132の厚さを予め定められた厚さ(距離d1に相当)以下に規制しつつ、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で増し折り受け部材120に対してシートSの折り目132に沿って複数の増し折りコロ114の1ピッチ分以上の距離だけ移動して、移動方向の先頭の増し折りコロ114がシートSの第1の折り目132の他方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の下流側端部)を越えるまで移動する。こうして、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とによって折り目132を全域にわたって押圧して折り目132の強化すなわち増し折りが行われる。
この状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が底部水平部分から第2の傾斜部分を経て第2の頂部水平部分に移動する。これによって、支持部材112が規制部材115と共に増し折り受け部材120から離れる方向に下降し、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧を終了した位置に近接して下方に位置する第1の退避位置へ移動して、増し折り処理が完了する。尚、第1の退避位置は、ホーム位置である受け入れ位置と異なる位置となっている。
[シート折り処理装置の制御構成]
図5は、シート折り処理装置Bの制御構成を概念的に示している。シート折り処理装置Bは、CPUを含む制御基板からなる制御部301を備えている。制御部301は、押圧位置調整部311、搬送制御部312、及び搬入速度調整部313を備える。
制御部301には、同図に示すように、搬送経路32に沿って設けられたセンサ304が接続されている。センサ304には、搬送されるシートの先端及び後端を検出するシート位置検知センサ304a、304b、及び突き板107の位置を検出するセンサ304cが含まれ、それらの検出結果は、リアルタイムで制御部301に出力される。
更に制御部301には、画像形成装置Aの設定パネルに設けられた入力部305及び表示部(図示せず)が、画像形成装置Aの前記本体制御部(図示せず)を介して接続されている。入力部305は、例えば制御部301に対する操作を可能とするために、スイッチなどの入力インターフェースを備える。また、ユーザーが前記設定パネル上で設定するシートの種類や、シート折り処理装置Bで実行される折り処理モード等の情報は、画像形成装置Aから前記本体制御部を介して制御部301に送信される。
制御部301は、搬送ローラ駆動モータ306、折りローラ駆動モータ307、突き板駆動モータ308、及び増し折り駆動モータ128に接続されている。センサ304から入力する検出結果、及び画像形成装置Aから受信する上記各種情報に基づいて、前記各駆動モータの駆動を制御し、搬送ローラ対102、折りローラ対105、突き板107、スライダ124及び支持部材112をそれぞれ駆動して、シート折り処理装置Bにおけるシートの搬送、折り処理及び増し折り処理を制御実行する。折りローラ駆動モータ307はステッピングモータで構成されており、制御部301では折りローラ駆動モータ307のパルスを正逆方向でカウントすることによりシートSの先端がセンサ304bを通過してからのシートSの位置を認識することができる。なお、折りローラ駆動モータ307と折りローラ対105との間にエンコーダを設けてエンコーダからの情報でシートSの位置管理をしてもよい。
更に制御部301には、折り制御プログラムを記憶させたROM302、及びRAMからなる記憶部303が接続されている。折り制御プログラムは、ROM302から呼び出されて、必要に応じて一時的な情報を記憶部303に格納しながら、上記各処理を実行する。
シート折り処理装置Bの折り処理及び増し折り処理について、図6〜図8を用いて、以下に具体的に説明する。図6(a)〜(c)、図7(d)〜(f)及び図8(g)〜(f)は、シート折り処理装置Bが画像形成装置Aからシートを受け入れ、搬送して折り処理及び増し折り処理を行う過程を工程順に示している。折り処理及び増し折り処理は、例えば図9のフローチャートに示す手順に従って実行する。
制御部301は、まず突き板107がホームポジションにない場合はホームポジションへ移動させる(図6(a)の位置)(ステップSt71)。そして搬送ローラ対102が回転を停止した状態で、画像形成装置Aから搬送されたシートSの先端をセンサ304aで検出して所定時間が経過すると、搬送ローラ駆動モータ306を駆動して搬送ローラ対102を回転させ、図6(a)に示すように前記シートを受け取り、搬送を開始する(ステップSt72)。ステップSt71の前記所定時間は、シートの先端が搬送ローラ対102のニップ部に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な時間である。
制御部301は、突き板107が搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で、ループ形成空間50を閉じる位置に配置された状態(ホームポジション)で、搬送ローラ対102を回転させて、シートSを搬送経路101に沿って搬送し、図6(b)に示すように、シートSの先端が突き板107の先端を通過した後(折りローラ対105のニップ点よりも19mm手前の位置)、折りローラ対105を回転させると共に突き板駆動モータ308を駆動して、突き板107を下側搬送ガイド109の下側に位置する退避位置(図6(c)参照)に向けて移動開始する(ステップSt73)。
図6(c)に示すように、シートSの先端がセンサ304bを通過して所定距離(20mm)搬送された時点で突き板107は退避位置に到達している。なお、シートSの先端の位置は、シートSが折りローラ対105にニップされた状態でシートSの先端がセンサ304bに検出された時点からの折りローラ対105の駆動量を検出することでシートSの先端の位置を制御する。突き板107が退避位置に移動することで搬送経路101の下方にループ空間50が開放される。制御部301は、シートSの先端がセンサ304bよりも20mm下流側に到達したら折りローラ対105を逆転させてシートSの先端をシート搬送方向上流側に向けてスイッチバック搬送をする(ステップSt74)。その間も搬送ローラ対102はシートSをシート搬送方向へ搬送するように回転し続けるので、シートSは折りローラ対105より上流側の部分が搬送経路101からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、搬送ローラ対102によるシートSの送出量に応じて大きくなる。
制御部301は、シートSの先端が折りローラ対105のニップ点よりもセンサ304b側にある状態で折りローラ対105のスイッチバック搬送を停止し(ステップSt75)(図6(c)の状態から33mm戻した状態。折りローラ対105のニップ点からセンサ304bまでの距離は14mm)、図7(d)に示す状態で搬送ローラ対102による搬送を継続する(ステップSt76)。このとき、ループ形成空間50には、搬送ローラ対102の継続的なシートの送り出しによって、シートSに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
制御部301は、シートSに所定のループFLが形成されたら突き板107を退避位置から折りローラ対105側に向けて移動開始(ステップSt77)し、突き板107の先端を折りループFLに突き当てる。更に突き板107は、その先端で前記シートの所定位置を突き押しながら、図7(e)に示すように、折りローラ対105のニップ部の直前(突き板107の先端がホームポジションよりも折りローラ対105側に位置する突き位置。突き板107の先端から折りローラ対105のニップ点までの距離は3mm。)まで移動する。このとき、突き板107の先端で突き押しされたシートSの先端部分は、シートSの第1の折り目となる折り位置が仮折りされる。
制御部301は、突き板107が折りローラ対105のニップ点から4.5mm手前の位置まで来たら折りローラ対105を回転させる。その状態で突き板107が上述した突き位置に到達するとシートSの1つ目の折り目となる折り位置が、折りローラ対105のニップ部に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ105a,105b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートSには、図7(f)に示すように、1つ目即ち第1の折り目132が所定の折り位置に形成される(ステップSt78)。突き板107は、折りローラ対105のニップ部へのシートSの巻き込みを妨げないように、下側搬送ガイド109下側の退避位置に移動させる。これにより、搬送経路101の下方にループ形成空間50が再び開放される。
折りローラ対105は、突き板107を退避させた後も引き続き回転駆動される。従って、シートSは、図7(f)に示すように、そのシート搬送方向の先端及び折りローラ対105により形成された第1の折り目132を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、折りローラ対105にニップされ、下流側へ搬送される。
シートSのシート搬送方向の後端が、上流ユニットである画像形成装置Aの搬出口を抜けて、シート折り処理装置Bに完全に搬入されると(ステップSt79)、図8(g)に示すように、第1の折り目132が、増し折り処理位置を通過して下流側へ所定の搬送量送り出されたところで、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させる(ステップSt80)。ここで、前記増し折り処理位置は、増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間で、増し折り処理を行うためにシートSの折り目が配置されるシート搬送方向の位置である。
シートSの1つ目の折り目132が前記増し折り処理位置から停止するまでにシート搬送方向下流側に送り出される前記所定の搬送量は、シートSのシート搬送方向のシート長によって決定され、その短長に応じて変更することができる。本実施形態では、上述したように、ステップSt80で折りローラ対105及び搬送ローラ対102の停止時に、シートSのシート搬送方向の後端が上流ユニットを抜けてシート折り処理装置Bに完全に搬入されている状態であるように、シートSのシート搬送方向長さに応じて決定される。制御部301は、シートSのシート搬送方向の長さ情報を画像形成装置Aの前記本体制御部から事前に受け取ることができ、また上述したセンサ304に含まれる前記シート位置検出センサ(センサ304a、304b)によって、搬送されるシートSの先端及び後端をそれぞれ検出し、その時間差から算出することもできる。
次に、図8(h)に示すように、搬送ローラ対102を停止させた状態で折りローラ対105を逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側へ移動させる(ステップSt81)。シートSの第1の折り目132が前記増し折り位置に戻されると(ステップSt82)、折りローラ対105を停止させて(ステップSt83)、第1の折り目132を前記増し折り位置に配置する。
このとき、搬送ローラ対102が停止していることによって、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。このように2つのループFL,FL2が1つのループ形成空間50に形成されるので、装置が不必要に大型化せず、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
この状態で、制御部301は、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とにより、第1の折り目132の増し折り処理を行う(ステップSt84)。増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する(ステップSt85)。
ここで、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動を時間差を設けて開始してもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。このように搬送ローラ対102及び折りローラ対105の起動開始に適当な時間差を設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。尚、前記時間差は、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の回転量、それらを駆動する前記モータの回転量、シート搬送量等に置き換えて設定することもできる。
シートSが下流側へ搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなり、第2の折り目133が形成される所望の折り位置で上下から二つ折りに屈曲される。この第2の折り目133となるシートSの折り位置は、このように屈曲された形態で搬送され、折りローラ対105のニップ部で加圧折曲され、第2の折り目133が所望の位置に形成される。
本実施形態では、ステップSt80及びSt81によって、シートSのシート搬送方向の後端位置を、第1の折り目132が前記増し折り位置を越えてシートSを下流側に搬送して折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止した時点で、完全に画像形成装置Aを抜けている状態に調整した。しかしながら、本発明において、ステップSt80及びSt81における折りローラ対105の逆転及び増し折り処理に関連する搬送ローラ対102の回転制御は、これに限定されるものではない。
別の実施形態では、図8(g)に関連して説明したステップSt80において、制御部301は、折りローラ対105を停止させる一方、その後も搬送ローラ対102を回転させてシートSの後端側をシート搬送方向下流側へ送り出すことができる。この搬送ローラ対102によるシートS後端側の搬送は、ステップSt81で折りローラ対105が一旦停止後に逆転しかつ第1の折り目132を前記増し折り位置に戻して停止するまでの間、更に増し折り処理が行われて次のステップSt85に進むまでの間、それら期間の全部で又は部分的に選択して行うことができる。
これにより、第1の折り目132の増し折り処理が終了してシートSの下流側への搬送が開始する(ステップSt85)際におけるシートSの後端位置を、シート搬送方向に沿って調整することができる。例えば、シートSのシート搬送方向の後端が、そのシート搬送方向長さによっては、ステップSt77における折りローラ対105の停止時に、未だシート折り処理装置Bに完全に搬入されておらず、上流ユニットの画像形成装置A内に位置する状態があり得る。この場合であっても、上述したように搬送ローラ対102を回転制御することにより、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、シートSのシート搬送方向の後端が完全に画像形成装置Aを抜けている状態にすることができる。それにより、上述したように、折り処理を含む画像形成システム全体として、生産性の維持・向上を図ることができる。
また別の実施形態では、制御部301は、ステップSt80及びSt81において、折りローラ対105を停止して逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側に搬送する際に、搬送ローラ対102も一旦停止して逆転させ、シートSの後端側をシート搬送方向上流側へ搬送することができる。この場合、搬送ローラ対102の逆転によるシート搬送量は、折りローラ対105の逆転によるシート搬送量よりも少なくなるように、前記搬送ローラ対及び折りローラ対を制御する。
これにより、ループ形成空間50内における第2のループFL2の形成を解消し又はその大きさを縮小することができる。この場合、シートSのシート搬送方向後端は、上流側ユニットの画像形成装置Aに向けて移動するが、この実施形態においても、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、完全に画像形成装置Aを抜けている状態であることが、上述したシステム全体の生産性の観点から好ましい。
ここで、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転によるシート搬送量は、シートSのシート搬送方向の搬送距離、搬送時間、前記搬送ローラ対及び折りローラ対の回転量(回転速度、回転時間)等に基づいて設定することができる。また、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転開始及び/又は逆転停止は、必ずしも同時に行う必要は無い。例えば、搬送ローラ対102の逆転開始を折りローラ対105の逆転開始よりも遅らせたり、搬送ローラ対102の逆転停止を折りローラ対105の逆転停止よりも早くすることができる。
次に図8(i)に示すように,シートSの2つ目即ち第2の折り目133が前記増し折り処理位置に到達すると(ステップSt86)、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させて(ステップSt87)、第2の折り目133を前記増し折り処理位置に配置させる。この状態で、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とにより第2の折り目133の増し折り処理を行う(ステップSt88)。増し折り処理が終了すると、折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送し(ステップSt89)、下流側の後処理装置Cへ搬出する。
これにより、シート折り処理装置Bにおける一連の折り処理及び増し折り処理が終了する。このとき、ステップSt79,St80において、シートSの後端は、シート折り処理装置B側に完全に抜けているので、上流側の画像形成装置Aでは、次のシートをシート折り処理装置Bへ送り出す準備ができており、システム全体として生産性の向上維持が図られる。
更に、シート搬送方向のシート長が短い場合、第1の折り目132が前記増し折り処理位置を通過する前に、シートSの後端が画像形成装置Aを抜けてしまうことがあり得る。この場合、制御部301は、第1の折り目132が前記増し折り処理位置を通過しないように、前記増し折り処理位置にシートSの第1の折り目132の位置を合わせて折りローラ対111を停止させ、増し折り処理を行う。制御部301は、シートSのシート搬送方向長さが短いことを、上述したように搬送経路101を搬送されるシートSの先端及び後端を前記シート位置検出センサによりそれぞれ検出し、その時間差から算出することによって、また画像形成装置Aの前記本体制御部から受け取るシートSのシート搬送方向の長さ情報に基づいて、事前に知ることができる。
図10〜図12は、シート折り処理装置Bによる折り処理及び増し折り処理の第2の実施形態を示している。この処理は、例えば図13のフローチャートの手順に従って行うことができる。
ここで、図10(a)〜(c)及び図11(d)〜(f)の折り処理は、第1の実施形態における図6(a)〜(c)及び図7(d)〜(f)の折り処理と同一であるので、説明を省略する。同様に、図13のステップSt51〜St58の処理も、第1の実施形態における図9のステップSt71〜St78と同一であるので、説明を省略する。
図11(f)に示すように、ステップSt58で1つ目即ち第1の折り目132を形成した後、図12(g)に示すように、第1の折り目132が前記増し折り処理位置に到達すると(ステップSt59)、折りローラ対105を停止させて(ステップSt60)、第1の折り目132を前記増し折り処理位置に配置する。このとき、搬送ローラ対102はそのまま回転し続け、シートSを下流側へ搬送している。シートSの後端が画像形成装置Aを抜けると(ステップSt61)、搬送ローラ対102を停止させる(ステップSt62)。これにより、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。
この状態で、制御部301は、増し折り駆動モータ128を駆動して、図12(h)に示すように、増し折りコロ114と下側折りガイド111とにより、第1の折り目132の増し折り処理を行う(ステップSt63)。増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する(ステップSt64)。
ステップSt82の場合と同様に、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動開始時刻に時間差を設けてもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。この時間差を適当に設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。この後、図12(i)に示す2つ目即ち第2の折り目133の増し折り処理は、第1の実施形態に折れる図8(i)の増し折り処理と同一であるので、説明を省略する。
図1に示す本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置Aから搬出されるシートを受け入れて折りローラ対105側へ搬送するための搬送ローラ対102と搬送経路101とが、シート折り処理装置B内に装備されている。しかしながら、本発明は、このような構成のシート折り処理装置及び画像形成システムに限定されるものではない。
例えば、画像形成装置の排紙口に直接連結されるシート後処理装置において、画像形成したシートを排紙口から搬出する画像形成装置の排紙ローラを利用して、画像形成装置からのシートを受け入れて搬送するようにし、本実施形態の搬送ローラ対102に対応する上流側の搬送ローラを省略した構成が従来から知られ、実用化されている。ここで、画像形成装置において排紙ローラから排紙口に至る排紙経路は、画像形成装置からのシートを受け入れて搬送するシート後処理装置の搬送経路の一部を構成するということができる。
本発明の技術的範囲には、このような構成の画像形成システムも含まれる。その場合、本発明のシート折り処理装置は、その機能において、上流側ユニットであるシート折り処理装置Bの構成の一部を含むものである。具体的には、上述した本実施形態の説明において、シート折り処理装置Bの搬送ローラ対102は、画像形成装置Aの排紙ローラ15に置き換えて読むことができ、搬送経路101は、そのシート搬送方向上流側の一部が、画像形成装置Aの排紙口16から上流側へ排紙ローラ15を少し越えた位置までの部分により構成される、と理解すれば良い。
本実施形態では、シートSの端部を検出するセンサ304bを折りローラ対105のシート搬送方向の下流側(増し折りユニット104側)に配置してシートSを折りローラ対105でニップした状態でシートSの先端がセンサ304bによって検出され、その後のシート先端の位置は折りローラ対105の駆動量を検出することで管理する。つまり、図6(c)から図8(i)および図10(c)から図12(i)に示す通り、シートSの先端がセンサ304bを通過してから増し折り処理が終了するまでシートSは折りローラ対105にニップされているため、シートSの先端の位置は折りローラ対105の駆動量で管理することができる。
これにより、図7(a)の状態でシートSの先端を折りローラ対105のニップ点に精度よく位置決めすることができる。この位置が安定すれば、シートSの先端と第1の折り目132との位置関係がばらつかずに精度の高い折り処理を行うことができる。また、折り処理を行った後に第1の折り目132および第2の折り目120を増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間に正確に位置決めすることができる。
また、図6(c)から図7(d)のシートSのスイッチバック搬送の際に、万が一シートSの先端が折りローラ対105のニップ点を抜けてニップ点の上流側まで戻してしまった場合、このまま折り処理を行うと折りローラ対105の上流側でジャムを起こす可能性がある。その場合に、従来のようにセンサ304bが折りローラ対105の上流側に配置されていると、ジャムを起こしたことを認識することはできないが(シートSの先端が最初に通過してからはセンサがオンのままでシートSの後端が抜けるまではこの状態が続く)、本実施形態のようにセンサ304bが折りローラ対105の下流側に配置されている構成では、シートSの先端が一度センサ304bを通過してからシートSの先端がセンサ304bよりも上流側にスイッチバック搬送するため、折り処理が終わって増し折り処理に移行するためにシートSを搬送した際にセンサ304bがシートSの先端を再び検出しないとジャムと判定することができる。
よって、従来の構成では増し折りユニット104よりも下流側にあるセンサ(不図示)までシートS搬送しているはずが、所定距離搬送してもシートSが下流側のセンサに到達しない場合にジャムの判定をすることになるが、それだとジャムした状態でシートSを送り続けるので装置内でシートSがぐしゃぐしゃになってしまう。しかし、本実施形態のように折りローラ対105の下流側にセンサ304bを配置すれば、ジャム判定までのシートSの搬送距離を短くすることができるので、万が一ジャムとなった場合でもダメージが少ない。
また、シートS先端が増し折りユニット104を抜けて増し折りユニット104よりも下流側のセンサ(不図示)に到達する前にシートSの先端がジャムを起こしてしまった場合でも、センサ304bが折りローラ対105の上流側に配置されているよりも下流側に配置されている方がよい。具体的には、シートSの先端がセンサ304bと下流側センサとの間で引っかかってしまいその状態で所定距離搬送し続けてジャム判定となった場合、シートSの後端は所定距離分下流側に搬送されていることになる。その時、センサ304bが折りローラ対105の上流側に配置されていると、シートSのシート長が短いとシートSの後端がセンサ304bを通過してしまう。この状態で一旦ジャム解のためのカバーを開けて、仮にジャムしたシートを取り除くことなくカバーを閉めた場合、次に動作する際にセンサ304bでも下流側センサでもシートを検出しないため、ジャムが解消されたと判断してシートが取り除かれないまま動作を開始してしまう虞がある。
しかし、本実施形態のようにセンサ304bが折りローラ対105の下流側に配置されている場合は、シートSの後端がセンサ304bを通過しない状態でジャム判定になる。この状態で仮にカバーの開閉をしても次に動作する前にセンサ304bでシートSを検出するため、ジャムの状態で動作を開始することはない。
また、本実施形態では、折りローラ対105の下流側にセンサ304bが配置されている。これにより折り処理をしたシートSの先端から後端までの距離を折りローラ対105の回転量によって検出することができる。つまり、図7(e)に示すように折りローラ対105でシートSをニップした状態でシートSの先端がセンサ304bを通過してから図8(i)よりも後にシートSの後端がセンサ304bを通過するまでの折りローラ対105の回転量を検出(駆動モータのパルス数を数えたりエンコーダを用いて検出したりしてもよい)することで折り処理がされたシートSの搬送方向長さ(以下、シート長)を認識することができる。
このとき、検出したシート長が目論見のシート長と異なる場合は、シートSへの折り位置がずれてしまっている可能性がある。その場合は画像形成装置Aの表示部にエラー表示をしてもよい。また、検出したシート長が目論見よりも長い場合は、図7(d)から図7(e)に移動する際に突き板107が予定よりも早く突き位置に到達している可能性があるので、突き板107が退避位置から突き位置に向けて移動する開始タイミングを早くしたり移動速度を早くしたり(もしくは両方)する補正を行っても良い。逆に検出したシート長が目論見よりも短い場合は図7(d)から図7(e)に移動する際に突き板107が予定よりも遅く突き位置に到達している可能性があるので、突き板107が退避位置から突き位置に向けて移動する開始タイミングを遅らせたり移動速度を遅くしたり(もしくは両方)する補正を行っても良い。
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。